JP7243558B2 - エアバッグの排気構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両等の乗物に衝撃が加わった場合に膨張用ガスにより展開及び膨張して乗員を保護するエアバッグから余剰の膨張用ガスを排出するエアバッグの排気構造に関する。
側突等により車両の側壁部に衝撃が加わった場合に、車両用シートに着座している乗員を保護する装置として、エアバッグ及びガス発生器を備えたサイドエアバッグ装置が有効である。
エアバッグとしては、車幅方向に重ねられた一対の布部の周縁部同士を周縁縫製部で縫合することにより形成され、かつ膨張用ガスにより膨張する膨張部を有するものが一般的である。ガス発生器は、上記エアバッグの内部に配置される。
上記構成のサイドエアバッグ装置によれば、側突等により側壁部に衝撃が加わると、ガス発生器から膨張用ガスが膨張部に供給される。この膨張用ガスにより、膨張部が展開及び膨張する。膨張部が、乗員と、車両の車幅方向内側へ進入してくる側壁部との間に介在して乗員を拘束する。
上記エアバッグには、展開及び膨張した膨張部内の余剰の膨張用ガスを排出するための排気構造が設けられている。
例えば、特許文献1には、上記排気構造として、周縁縫製部が一部の領域において縫合を解除されることにより、互いに離間した一対の端末部が周縁縫製部に形成されている。両布部の周縁部間であって、両端末部によって挟まれた領域は排気孔として機能する。
上記タイプの排気構造によれば、膨張部内の余剰の膨張用ガスが排気孔を通じて膨張部の外部へ排出される。こうした膨張部による乗員の拘束と、膨張用ガスの排気孔からの排出に伴う内圧低下とにより、上記側壁部を通じて乗員に伝わる側方からの衝撃が緩和される。このようにして、乗員の上半身が衝撃から保護される。
特開2015-85768号公報
ところが、上記特許文献1に記載された排気構造では、エアバッグの内圧に応じて排気孔の形状が変化する。排気孔は、エアバッグによる乗員拘束前の内圧が低いときには、閉じられた状態となる。排気孔は、乗員拘束によりエアバッグの内圧が上昇すると開かれる。しかも、その排気孔の開口面積は内圧に応じて異なる。排気孔の開口面積の変化に伴い、排気孔からの膨張用ガスの排出量が変化する。そのため、特許文献1に記載された排気構造では、膨張用ガスを安定して排出させることが難しい。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、安定して膨張用ガスを排出させることのできるエアバッグの排気構造を提供することにある。
上記課題を解決するエアバッグの排気構造は、厚み方向に重ねられた一対の布部の周縁部同士を周縁縫製部で縫合することにより形成され、かつ膨張用ガスにより膨張する膨張部を有するエアバッグに適用される排気構造であって、前記周縁縫製部が一部の領域において縫合を解除されることにより、互いに離間した一対の端末部が前記周縁縫製部に形成され、各布部の周縁部の一部には、両端末部間を通って、前記周縁縫製部により囲まれた領域の内側へ入り込む切込み部が形成されており、各布部には、同布部における前記切込み部の周辺部分の少なくとも一部を補強する排気補強縫製部が設けられ、前記布部毎の前記排気補強縫製部は、各端末部を挟んで前記切込み部とは反対側の箇所で前記周縁縫製部に交差している。
上記の構成によれば、衝突等による衝撃が乗物に加わってエアバッグの膨張部に膨張用ガスが供給されると、その膨張部が膨張して乗員が拘束される。
一方、膨張部の上記膨張に伴い、一対の布部が同布部の厚み方向における両側へ引っ張られる。これに伴い、布部毎の切込み部が同方向へ引っ張られる。膨張部の膨張時には、布部毎の切込み部のうち端末部よりも内側部分が開いた状態となる。この内側部分は、膨張部の内部と外部とを連通させる排気孔として機能する。この排気孔は、膨張部の膨張時には、同膨張部による乗員拘束の程度に拘わらず同程度に開口した状態となる。排気孔の開口形状はほとんど変化しない。そのため、膨張部内の膨張用ガスは、上記のように開口した排気孔を通って膨張部の外部へ安定して排出される。
こうした膨張部による乗員の拘束と、膨張用ガスの排出に伴う膨張部の内圧低下とにより、乗員に加わる衝撃が緩和される。
なお、膨張部の上記膨張に伴い、一対の布部が引っ張られることにより、周縁縫製部が端末部を起点としてほつれるおそれがある。しかし、周縁縫製部は、各端末部を挟んで切込み部とは反対側の箇所で、同周縁縫製部に対し交差している排気補強縫製部によって補強される。そのため、周縁縫製部がたとえほつれたとしても、そのほつれは、排気補強縫製部によって受け止められる。この受け止めにより、周縁縫製部が排気補強縫製部よりも切込み部から遠ざかる側へほつれることが抑制され、排気孔の形状が保持される。
上記エアバッグの排気構造において、前記布部毎の前記排気補強縫製部は線状をなし、前記切込み部を取り囲んでおり、前記布部毎の前記排気補強縫製部は、同排気補強縫製部の両端部において前記周縁縫製部に交差していることが好ましい。
上記の構成によれば、各布部は、切込み部を取り囲むように設けられた線状の排気補強縫製部によって補強される。そのため、膨張部の上記膨張に伴い、一対の布部が引っ張られることにより、布部が切込み部を起点としてどの方向へ裂け始めたとしても、その裂けは、排気補強縫製部によって受け止められる。この受け止めにより、布部が排気補強縫製部を越えて切込み部から遠ざかる側へ裂けることが抑制される。
上記エアバッグの排気構造において、前記布部毎の前記排気補強縫製部は、前記切込み部の形状に沿って設けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、各布部は切込み部に沿って設けられた線状の排気補強縫製部によって補強される。切込み部から排気補強縫製部までの距離は、切込み部のどの箇所でも同程度となる。そのため、布部が切込み部を起点として裂け始めたとしても、切込み部から同程度離れた箇所で止められる。
上記エアバッグの排気構造において、前記布部毎の前記切込み部は半円形をなしていることが好ましい。
上記の構成によれば、膨張部の膨張に伴い、上述したように、一対の布部が同布部の厚み方向における両側へ引っ張られる。これに伴い、布部毎の切込み部が同方向へ引っ張られる。このとき、仮に切込み部が矩形等、角張った形状をなしていると、引っ張りに伴い生ずる応力が角部分に対し集中するおそれがある。この点、上記の構成によるように、布部毎の切込み部が半円形をなしていると、引っ張りに伴い生ずる応力が集中しにくい。
上記エアバッグの排気構造によれば、安定して膨張用ガスを排出させることができる。
エアバッグの排気構造をサイドエアバッグ装置に適用した一実施形態において、同サイドエアバッグ装置が装備された車両用シートを乗員及びエアバッグとともに示す側面図。 一実施形態において、車両用シート及び側壁部の位置関係を乗員及びエアバッグとともに示す概略平断面図。 一実施形態において、エアバッグモジュールが収納用形態にされて収納部でシートフレームに締結された状態を示す部分平面図。 一実施形態において、エアバッグが展開非膨張状態にされたエアバッグモジュールの側面図。 図4のエアバッグモジュールの内部構造を示す側断面図。 図5における排気構造を拡大して示す部分側断面図。 エアバッグの構成部材の分解斜視図。 一実施形態において、展開及び膨張したエアバッグの概略平断面図。 一実施形態における排気構造を車両前方から見た部分正面図。 図6に対応する図であり、排気構造の変形例を示す部分側断面図。 図4に対応する図であり、エアバッグ本体の本体膨張部に排気構造を適用した変形例を示すエアバッグモジュールの側面図。
以下、エアバッグの排気構造を車両用サイドエアバッグ装置に適用した一実施形態について、図1~図9を参照して説明する。
なお、以下の記載においては、車両の前進方向を前方として説明し、車両の後進方向を後方として説明する。また、車両の車幅方向における中央部を基準とし、その中央部に近づく側を「車内側」とし、中央部から遠ざかる側を「車外側」とする。また、車両用シートには、衝突試験用のダミーと同様の体格を有する乗員が、予め定められた適正な姿勢で着座しているものとする。
図1及び図2に示すように、車両10において側壁部11の車内側の近傍には、車両用シート12が配置されている。ここで、側壁部11とは、車両10の側部に配置された車両構成部材を指し、主としてドア、ピラー等がこれに該当する。例えば、前席に対応する側壁部11は、フロントドア、センターピラー(Bピラー)等である。また、後席に対応する側壁部11は、サイドドア(リヤドア)の後部、Cピラー、タイヤハウスの前部、リヤクォータ等である。
車両用シート12は、シートクッション13及びシートバック14を備えている。シートクッション13は、車体の床に設置された図示しないレールに対し、前後位置調整可能に取付けられている。シートバック14は、シートクッション13の後部から上側ほど後方に位置するように傾斜した状態で起立しており、傾斜角度を調整可能に構成されている。車両用シート12は、シートバック14が前方を向く姿勢で車室内に配置されている。このように配置された車両用シート12の幅方向は、車幅方向と合致する。
シートバック14の車外側の側部には収納部15が設けられており、サイドエアバッグ装置の主要部をなすエアバッグモジュールABMがこの収納部15に組込まれている。エアバッグモジュールABMは、ガス発生器20及びエアバッグ30を主要な構成部材として備えている。次に、これらの構成部材の各々について説明する。
ここで、本実施形態では、エアバッグモジュールABM及びその構成部材について「上下方向」、「前後方向」というときは、車両用シート12のシートバック14を基準としている。シートバック14の起立する方向をエアバッグモジュールABM等の「上下方向」とし、シートバック14の厚み方向をエアバッグモジュールABM等の「前後方向」としている。上述したように、シートバック14は後方へ多少傾斜していることから、エアバッグモジュールABM等の「上下方向」は厳密には車両10の上下方向(鉛直方向)と合致しておらず、多少傾斜している。同様に、エアバッグモジュールABM等の「前後方向」は、車両10の前後方向(水平方向)と合致しておらず、多少傾斜している。
<ガス発生器20>
図3及び図4に示すように、ガス発生器20は、インフレータ21と、そのインフレータ21を覆うリテーナ22とを備えており、全体が上下方向へ延びる長尺状をなしている。ここでは、インフレータ21として、パイロタイプと呼ばれるタイプが採用されている。インフレータ21は略円柱状をなしており、その内部には、膨張用ガスを発生する図示しないガス発生剤が収容されている。インフレータ21は、その上端部にガス噴出部21aを有している。また、インフレータ21の下端部には、同インフレータ21への作動信号の入力配線となる図示しないハーネスが接続されている。
なお、インフレータ21としては、上記ガス発生剤を用いたパイロタイプに代えて、高圧ガスの充填された高圧ガスボンベの隔壁を火薬等によって破断して膨張用ガスを噴出させるタイプ(ハイブリッドタイプ)が用いられてもよい。
一方、リテーナ22はガス発生器20の外周部分を構成している。このリテーナ22は、膨張用ガスの噴出する方向を制御するディフューザとして機能するとともに、インフレータ21をエアバッグ30等と一緒に、シートバック14内のシートフレーム16に締結する機能を有する部材である。リテーナ22の大部分は、金属板等の板材を曲げ加工等することによって略筒状に形成されている。
リテーナ22には、これをシートフレーム16に取付けるための係止部材として、一対のボルト23が固定されている。なお、ガス発生器20は、インフレータ21とリテーナ22とが一体になったものであってもよい。また、ガス発生器20は、リテーナ22が用いられず、ボルト23が固定されたインフレータ21のみによって構成されてもよい。
上記インフレータ21及びリテーナ22は、図示しないインナチューブ内に配置されている。インナチューブは、後述するエアバッグ本体31の本体布部34,35と同様の素材によって、上下両端部が開放され、かつリテーナ22よりも僅かに大径状の円管状に形成されている。インナチューブは、インフレータ21から噴出された膨張用ガスを、上方及び下方へ分配する整流機能を有している。
<エアバッグ30>
図4、図5及び図7に示すように、エアバッグ30はエアバッグ本体31、インナバッグ50及び膨張厚み規制部70を備えている。
<エアバッグ本体31>
エアバッグ本体31は、エアバッグ30の外殻部分を構成するものである。図4は、エアバッグ本体31が展開のみされて膨張されていない状態(以下「展開非膨張状態」という)のエアバッグモジュールABMを示している。また、図5は、エアバッグモジュールABMの内部構造を示すべく、図4のエアバッグ本体31が車幅方向の中央部分で切断されたエアバッグモジュールABMを示している。さらに、図7は、エアバッグ本体31をはじめとする、エアバッグ30の各構成部材をそれぞれ展開させた状態で示している。
このエアバッグ本体31の形成のために、1枚の布片(基布、パネル布等とも呼ばれる)32が用いられている。布片32としては、強度が高く、かつ可撓性を有していて容易に折り畳むことのできる素材、例えばポリエステル糸、ポリアミド糸等を用いて形成した織布等が適している。布片32の車幅方向における中央部分には、上下方向に延びる折り線33が設定されている。布片32は、折り線33に沿って二つ折りされて車幅方向に重ね合わされている。ここでは、エアバッグ本体31の重ね合わされた2つの部分を区別するために、車内側に位置するものを本体布部34といい、車外側に位置するものを本体布部35というものとする。
なお、本実施形態では、折り線33がエアバッグ本体31の後端部に位置するように布片32が二つ折りされているが、折り線33が他の端部、例えば前端部、上端部、下端部等に位置するように布片が二つ折りされてもよい。また、エアバッグ本体31は、折り線33に沿って分割された2枚の布片からなるものであってもよい。この場合には、エアバッグ本体31は、2枚の布片を車幅方向に重ね合わせ、両布片を、袋状となるように結合させることにより形成される。さらに、エアバッグ本体31は、3枚以上の布片からなるものであってもよい。
エアバッグ本体31においては、両本体布部34,35の外形形状が、折り線33を対称軸として互いに線対称の関係にある。各本体布部34,35は、エアバッグ本体31が車両用シート12と側壁部11との間で展開及び膨張したときに、乗員P1の上半身の多くの部位に対応する領域、本実施形態では、腰部PPから肩部PSにかけての部位に対応する領域を占有し得る形状及び大きさに形成されている(図1参照)。
各本体布部34,35の周縁部のうち、後端部(折り線33の近傍部分)を除く部分には、同周縁部に沿って形成された帯状の本体補強布36が重ねられている。各本体布部34,35と本体補強布36とは、同本体補強布36に沿って設けられた本体補強縫製部37によって結合されている。本体補強縫製部37は、両本体補強布36及び両本体布部34,35を、縫製(縫糸で縫合)することにより形成されている。本体布部34,35毎の周縁部は、これらの本体補強布36及び本体補強縫製部37によって補強されている。
上記のように、それぞれ本体補強布36が縫合された両本体布部34,35は、図4及び図5に示すように、両本体補強布36と、両本体布部34,35の周縁部の多くの部分とに沿って設けられた本体周縁縫製部38によって結合されている。本体周縁縫製部38は、両本体補強布36と、両本体布部34,35の周縁部のうち、後端部(折り線33の近傍部分)を除く部分とを縫製することにより形成されている。
上記縫製に関し、図4~図7及び図9では、3つの線種によって縫製部分が表現されている。変形例を示す図10及び図11についても同様である。1つ目の線種は、一定長さの太線を断続的に並べて表現した線(破線の一種)であり、これは、縫合部分を側方から見た状態を示している(図4における本体補強縫製部37、本体周縁縫製部38等参照)。2番目の線種は、一定長さ(一般的な破線よりも長い長さ)の細線を断続的に並べて表現した線(破線の一種)であり、これは、本体布部34,35等の奥に位置していて直接は見えない(隠れている)縫糸の状態を示している(図4におけるインナ補強縫製部59、インナ周縁縫製部61、排気補強縫製部64等参照)。3番目の線種は、点を一定間隔おきに並べて表現した線(破線の一種)であり、これは、縫合の対象となる本体布部34,35間等における縫糸の状態を示している(図5における本体周縁縫製部38、インナ周縁縫製部61等参照)。すなわち、縫製が3番目の線種で表現されている図は、縫製部分を通る断面に沿った断面構造を示している。
図4及び図5に示すように、両本体布部34,35の間であって、本体周縁縫製部38によって囲まれた箇所は、膨張用ガスによって展開及び膨張する本体膨張部39を構成している。
各本体布部34,35及び各本体補強布36のそれぞれの前部には、本体膨張部39の内部と外部とを連通させる排気孔41が形成されている。排気孔41は、本体膨張部39内の余剰の膨張用ガスを外部へ排出するためのものであり、ベントホールとも呼ばれる。本体補強布36及び本体布部34,35は、排気孔41の周りにそれぞれ設けられた円環状の排気補強縫製部42によって縫合されている。各排気孔41は、本体補強布36及び排気補強縫製部42によって補強されている。
<インナバッグ50>
図5、図7及び図8に示すように、インナバッグ50は、展開及び膨張することで本体膨張部39の特定の部位を、展開の初期に、他の部位よりも優先的に膨張させるためのものであり、本実施形態では、特許請求の範囲における「膨張部」に該当する。インナバッグ50は、本体膨張部39内の後半部に配置されている。インナバッグ50の形成のために、エアバッグ本体31と同様の素材からなる1枚の布片51が用いられている。布片51には、上下方向に延びる折り線52が設定されている。布片51は、折り線52に沿って二つ折りされて車幅方向に重ね合わされている。ここでは、インナバッグ50の重ね合わされた2つの部分を区別するために、車内側に位置するものをインナ布部53といい、車外側に位置するものをインナ布部54というものとする。本実施形態では、これらのインナ布部53,54は、特許請求の範囲における布部に該当する。
インナバッグ50は、折り線52をエアバッグ本体31における折り線33上に重ねられて配置されている。インナバッグ50は、上記両折り線33,52上に設けられた図示しない結合縫製部によってエアバッグ本体31に縫合されている。
インナバッグ50は、上膨張部55、下膨張部56及び中間膨張部57を備えて構成されている。上膨張部55は、シートバック14の上部の前方で展開及び膨張することで、本体膨張部39の上部を通じて乗員P1の肩部PSを側突時の衝撃から保護する。下膨張部56は、シートバック14の下部の前方で展開及び膨張することで、本体膨張部39の下部を通じて乗員P1の腰部PPを側突時の衝撃から保護する。中間膨張部57は、シートバック14の上下方向における中間部分の前方で展開及び膨張することで、本体膨張部39の上下方向における中間部分の後部を通じて、乗員P1の肩部PSから腰部PPにかけての部位における後部を側突時の衝撃から保護する。
ここで、インナバッグ50を通じた本体膨張部39による乗員P1の保護対象、すなわち、肩部PS、腰部PP、及びそれらの間の後部は、いずれもそれ以外の部位、例えば、図1及び図2に示す胸部PT、腹部PB等よりも高い耐衝撃性を有している。インナバッグ50は、上記耐衝撃性の高い部位の側方で膨張する部分に対し、他の部分に対するよりも優先して膨張用ガスを供給して、早期に内圧を高めることで、本体膨張部39を通じて、乗員P1の耐衝撃性に応じた内圧で同乗員P1の上半身を、側突時における衝撃から効果的に保護しようとするものである。
図5、図7及び図8に示すように、各インナ布部53,54の周縁部のうち、後端部(折り線52の近傍部分)を除く部分には、同周縁部に沿って形成された帯状のインナ補強布58が重ねられている。各インナ布部53,54とインナ補強布58とは、同インナ補強布58に沿って設けられたインナ補強縫製部59によって結合されている。インナ補強縫製部59は、両インナ補強布58及び両インナ布部53,54を縫製することにより形成されている。インナ布部53,54毎の周縁部は、これらのインナ補強布58及びインナ補強縫製部59によって補強されている。
上記のようにインナ補強布58が縫合された両インナ布部53,54は、両インナ補強布58と、両インナ布部53,54の周縁部の多くの部分とに沿って設けられたインナ周縁縫製部61によって結合されている。インナ周縁縫製部61は、本実施形態では、特許請求の範囲における周縁縫製部に該当する。インナ周縁縫製部61は、両インナ補強布58と、両インナ布部53,54の周縁部のうち、後端部(折り線52の近傍部分)を除く部分とを縫製することにより形成されている。
図5に示すように、上膨張部55、下膨張部56及び中間膨張部57のそれぞれには、膨張用ガスの排気構造ESが設けられている。これらの排気構造ESは互いに同一の構成を有している。
図6及び図9に示すように、各排気構造ESでは、インナ周縁縫製部61とインナ補強縫製部59とがそれぞれ一部の領域において縫合を解除されている。この縫合解除により、インナ周縁縫製部61には、互いに離間した一対の端末部62が形成されている。各インナ布部53,54の周縁部の一部と、インナ補強布58において対応する箇所とには、それらの外周縁から、両端末部62間を通って、インナ周縁縫製部61により囲まれた領域の内側へ入り込む切込み部63が形成されている。インナ布部53,54毎の切込み部63は、同インナ布部53,54の外周縁において開口されており、半円形をなしている。両切込み部63のうち端末部62よりも内側の部分によって、インナバッグ50の内部と外部とを連通させて、そのインナバッグ50内の膨張用ガスを外部へ排出させるための排気孔(ベントホールとも呼ばれる)65が構成されている。
各インナ布部53,54には、切込み部63の周辺部分を補強する排気補強縫製部64が設けられている。インナ布部53,54毎の排気補強縫製部64は線状をなし、切込み部63を取り囲んでいる。さらに、本実施形態では、インナ布部53,54毎の排気補強縫製部64は、切込み部63の形状に沿って円弧状に形成されている。
より詳しくは、上述したインナ補強布58の一部は、切込み部63の周縁部分にも重ねられている。各インナ布部53,54において切込み部63の周辺部分と、インナ補強布58において切込み部63の周縁部分とは、同切込み部63に沿って設けられた排気補強縫製部64によって結合されている。ここで、「切込み部63に沿って設けられる」とは、切込み部63から一定距離ずつ離れた箇所に設けられたという意味である。さらに、インナ布部53,54毎の排気補強縫製部64は、各端末部62を挟んで切込み部63とは反対側の箇所で、インナ周縁縫製部61に対し略直角に交差(直交)している。
<膨張厚み規制部70>
図5、図7及び図8に示すように、膨張厚み規制部70は、本体膨張部39が膨張したときの車幅方向の厚み(以下「膨張厚み」という)を規制するためのものである。膨張厚み規制部70は、一般にテザーと呼ばれているものと同様の構成を有しており、本体膨張部39の上下方向における中間部分であって、前後方向における中間部分、より詳しくはインナバッグ50の中間膨張部57から前方に若干離間した箇所に位置している。膨張厚み規制部70は、上記本体布部34,35と同様の素材からなる1枚の布片を備えている。布片の車幅方向における両側部は、上下方向に延びる長円状の結合縫製部71により、本体布部34,35のうち対応するものに対し、縫合されている。膨張厚み規制部70は、両側部における本体膨張部39との上記縫合により、インナバッグ50における中間膨張部57の若干前方で、両本体布部34,35間に架け渡されている。
上記膨張厚み規制部70は、本体膨張部39が展開及び膨張したとき、車幅方向に緊張させられた状態となり、本体膨張部39の同方向の厚みを規制する。このとき、両結合縫製部71間の間隔が、膨張厚み規制部70の近傍での本体膨張部39の膨張厚みとなる。
膨張厚み規制部70において、中間膨張部57における排気孔65の前方となる箇所には、貫通孔72が形成されている。この貫通孔72により、上記排気孔65から排出された膨張用ガスが膨張厚み規制部70を通過できるようにしている。膨張厚み規制部70における貫通孔72の周りは、同膨張厚み規制部70に設けられた円環状の補強縫製部73によって補強されている。
そして、ガス発生器20の全体は、ガス噴出部21aがインフレータ21の上端部に位置し、かつ上部ほど後側に位置するように傾斜した姿勢にされて、中間膨張部57の後端部内に挿入されている。ガス発生器20のハーネスは、インナバッグ50及びエアバッグ本体31に通されていて、エアバッグ30の外部に引き出されている。
ガス発生器20における複数のボルト23は、インナチューブ、インナバッグ50及びエアバッグ本体31に挿通されている。この挿通により、ガス発生器20が、エアバッグ30に対し位置決めされた状態で係止されている。
ところで、図3に示すように、ガス発生器20及びエアバッグ30を主要な構成部材として有するエアバッグモジュールABMは、上記展開非膨張状態のエアバッグ30(図4参照)のうちガス発生器20よりも前側の部分等が折り畳まれることにより、コンパクトな収納用形態にされている。これは、エアバッグ30を、シートバック14における限られた大きさの収納部15に対し、収納に適したものとするためである。なお、図3では、エアバッグ本体31内に配置された部材、例えば、インナバッグ50、膨張厚み規制部70等の図示が省略されている。
収納用形態にされたエアバッグモジュールABMは、収納部15に配置されている。エアバッグモジュールABMは、本実施形態では、シートフレーム16よりも車内側に配置されているが、車外側に配置されてもよい。ガス発生器20から延びて、インナチューブ、インナバッグ50及びエアバッグ本体31に挿通されたボルト23が、シートフレーム16に挿通され、同ボルト23にナット24が締付けられている。この締付けにより、ガス発生器20が、インナチューブ、インナバッグ50及びエアバッグ本体31と一緒に、上部ほど後側に位置するように傾斜した状態でシートフレーム16に取付けられている。
なお、ガス発生器20は、上述したボルト23及びナット24とは異なる部材によってシートフレーム16に取付けられてもよい。また、リテーナ22が用いられることなくインフレータ21がシートフレーム16に直接取付けられてもよい。
図1に示すように、サイドエアバッグ装置は、上述したエアバッグモジュールABMのほかに衝撃センサ75及び制御装置76を備えている。衝撃センサ75は加速度センサ等からなり、側壁部11を通じて車両10に対し側方から加わる衝撃を検出する。制御装置76は、衝撃センサ75からの検出信号に基づきガス発生器20の作動を制御する。
さらに、車両10には、車両用シート12に着座している乗員P1をその車両用シート12に拘束するためのシートベルト装置が装備されているが、図1、図2等ではこのシートベルト装置の図示が省略されている。
次に、上記のように構成された本実施形態の作用について説明する。また、作用に伴い生ずる効果についても併せて説明する。
側壁部11に対し側方から衝撃が加わったことが衝撃センサ75によって検出されないときには、制御装置76からガス発生器20に対し、これを作動させるための作動信号が出力されず、膨張用ガスが噴出されない。ガス発生器20が収容されたエアバッグ30は、折り畳まれた状態で収納部15に収納され続ける。
車両10の走行中等に、側突等により側壁部11に対し、側方から所定値以上の衝撃が加わり、そのことが衝撃センサ75によって検出されると、その検出信号に基づき制御装置76からガス発生器20に対し上記作動信号が出力される。この作動信号に応じて、ガス発生器20のガス噴出部21aから膨張用ガスが噴出される。噴出された膨張用ガスは、まず、ガス発生器20を囲んでいるインナチューブに供給される。この膨張用ガスは、インナチューブの整流作用を受け、インナチューブの上端開放部分から上膨張部55に供給されるとともに、下端開放部分から下膨張部56に供給される。
膨張用ガスの供給により上膨張部55及び下膨張部56が膨張を開始するとともに、それらに繋がった中間膨張部57も膨張を開始する。インナバッグ50が膨張することで、本体膨張部39においてインナバッグ50の周りの部分が同インナバッグ50によって押されて膨張を開始する。
インナバッグ50及び本体膨張部39は、折り状態の解消(展開)を伴いながら膨張する。上記インナバッグ50及び本体膨張部39の各膨張は、折り畳まれた順とは逆の順に展開しながらなされる。
上膨張部55内の膨張用ガスの一部は、同上膨張部55に設けられた上側の排気孔65を通って本体膨張部39内に排出される。下膨張部56内の膨張用ガスの一部は、同下膨張部56に設けられた下側の排気孔65を通って本体膨張部39内に排出される。中間膨張部57内の膨張用ガスの一部は、同中間膨張部57に設けられた中間の排気孔65を通って本体膨張部39内に排出される。
これらの排出された膨張用ガスにより、本体膨張部39がさらに展開及び膨張する。
上記のように展開及び膨張するインナバッグ50及び本体膨張部39は、一部(ガス発生器20の近傍部分)を収納部15内に残した状態で、シートバック14から出る。
その後も膨張用ガスが供給されるインナバッグ50及び本体膨張部39は、図1及び図2において二点鎖線で示すように、側壁部11と、車両用シート12に着座している乗員P1の上半身との間で前方へ向けて展開及び膨張する。
なお、図8に示すように、本体膨張部39の展開及び膨張に伴い、膨張厚み規制部70が車幅方向の両側へ引っ張られる。膨張厚み規制部70が緊張状態となることで、本体膨張部39の車幅方向の膨張が規制される。
そして、乗員P1の上半身(腰部PPから肩部PSにかけての領域)が、展開及び膨張した本体膨張部39によって押圧され、拘束される。
ところで、インナバッグ50における3箇所の排気構造ESでは、それぞれ次のように膨張用ガスの排出が行なわれる。
上膨張部55、下膨張部56及び中間膨張部57のそれぞれの膨張に伴い、一対のインナ布部53,54が、図9に示すように、同インナ布部53,54の厚み方向である車幅方向における両側へ引っ張られる。これに伴い、インナ布部53,54毎の切込み部63が同方向へ引っ張られる。インナバッグ50の膨張時には、インナ布部53,54毎の切込み部63が開いた状態となる。両切込み部63のうち端末部62よりも内側部分は、インナバッグ50の内部と外部とを連通させる排気孔65として機能する。この排気孔65のうち端末部62よりも内側の部分は、インナバッグ50の膨張時には、同インナバッグ50による乗員拘束の程度に拘わらず同程度に開口した状態となる。排気孔65の開口形状はほとんど変化しない。そのため、インナバッグ50内の膨張用ガスは、上記のように開口した排気孔65を通ってインナバッグ50の外部の本体膨張部39へ安定して排出される。この膨張用ガスの排出に伴い、上膨張部55、下膨張部56及び中間膨張部57のそれぞれの内圧が低下する。そして、上記各膨張部の内圧低下と、上記乗員拘束とによって、乗員P1に加わる衝撃が緩和され、同乗員P1の上半身が衝撃から保護される。
ここで、上述したように乗員P1の肩部PS及び腰部PPの耐衝撃性は胸部PT、腹部PB等の耐衝撃性よりも高い。そのため、上膨張部55、下膨張部56及び中間膨張部57の内圧が高くなっても支障がなく、むしろ、上膨張部55によって肩部PSを通じて、また下膨張部56によって腰部PPを通じて乗員P1の上半身が車内側へ押されることとなり、同乗員P1がより適切に拘束されて衝撃から保護される。
なお、インナバッグ50の上記膨張に伴い、一対のインナ布部53,54が引っ張られることにより、図6及び図9に示すインナ周縁縫製部61が端末部62を起点としてほつれるおそれがある。しかし、インナ周縁縫製部61は、各端末部62を挟んで切込み部63とは反対側の箇所で、同インナ周縁縫製部61に対し交差している排気補強縫製部64によって補強されている。そのため、インナ周縁縫製部61がたとえほつれたとしても、そのほつれは、排気補強縫製部64によって受け止められる。この受け止めにより、インナ周縁縫製部61が排気補強縫製部64よりも切込み部63から遠ざかる側へほつれることが抑制され、排気孔65の形状が保持される。
また、本実施形態では、各インナ布部53,54が、切込み部63を取り囲むように設けられた線状の排気補強縫製部64によって補強されている。そのため、インナバッグ50の上記膨張に伴い、一対のインナ布部53,54が車幅方向における両側へ引っ張られることにより、インナ布部53,54が切込み部63を起点として裂け始めたとしても、その裂けは、排気補強縫製部64によって受け止められる。この受け止めにより、インナ布部53,54が排気補強縫製部64を越えて切込み部63から遠ざかる側へ裂けるのを抑制することができる。
特に、本実施形態では、各インナ布部53,54は切込み部63から同程度離れた箇所において、その切込み部63に沿って設けられた線状の排気補強縫製部64によって補強されている。切込み部63から排気補強縫製部64までの距離は、切込み部63のどの箇所でも同程度となる。そのため、インナ布部53,54が切込み部63を起点として裂け始めたとしても、切込み部63から同程度離れた箇所で止めることができる。
本実施形態によると、上記以外にも、次の効果が得られる。
・上述したように、インナバッグ50の膨張に伴い、一対のインナ布部53,54が車幅方向における両側へ引っ張られる。これに伴い、インナ布部53,54毎の切込み部63が同方向へ引っ張られる。このとき、仮に切込み部63が矩形等、角張った形状をなしていると、引っ張りに伴い生ずる応力が角部分に対し集中するおそれがある。この点、本実施形態では、インナ布部53,54毎の切込み部63が半円形をなしているため、引っ張りに伴い生ずる応力の集中を抑制することができる。
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
<エアバッグ30について>
・エアバッグ本体31は、その略全体が上記実施形態のように膨張する本体膨張部39によって構成されてもよいが、膨張用ガスが供給されず膨張することのない非膨張部を一部に有するものであってもよい。
・エアバッグ本体31(本体膨張部39)として、内部が、複数の部屋(膨張室)に区画されたものが用いられてもよい。
・乗員P1の上半身のうち、エアバッグ本体31によって保護される部位が、上記実施形態とは異なる部位に変更されてもよい。この場合、エアバッグ本体31の形状や大きさが、乗員P1の上半身の対象となる部位を保護できる形状や大きさに変更される。
・エアバッグ本体31における各本体布部34,35の周縁部を補強する本体補強布36が省略されてもよい。この場合、本体補強縫製部37は設けられてもよいし、省略されてもよいが、本体補強縫製部37のみでも各本体布部34,35の周縁部を補強する効果は得られる。
同様に、インナバッグ50における各インナ布部53,54の周縁部を補強するインナ補強布58が省略されてもよい。この場合、インナ補強縫製部59は設けられてもよいし、省略されてもよいが、インナ補強縫製部59のみでも各インナ布部53,54の周縁部を補強する効果は得られる。
なお、インナ補強布58が省略された場合であっても、排気補強縫製部64は必要である。この場合の排気補強縫製部64は、図10に示すように、各端末部62を挟んで切込み部63とは反対側の箇所でインナ周縁縫製部61に交差する部分が少なくとも必要である。インナ周縁縫製部61のほつれを止めるためである。従って、同図10に示すように、排気補強縫製部64は、インナ周縁縫製部61に交差する部分のみによって構成されてもよい。また、排気補強縫製部64は上記図10の長さと、図6等に示す上記実施形態の長さとの中間の長さとなるように形成されてもよい。
・切込み部が半円形とは異なる形状、例えば半楕円形に形成されてもよい。
・図6に示すように、インナ布部53,54、及びインナ補強布58において、切込み部63と、排気補強縫製部64と、インナ周縁縫製部61とによって挟まれた領域では、同図6において二点鎖線で示すように、角部分が切除されてもよい。
<適用対象について>
・上記エアバッグの排気構造は、シートバック14が車両の前方とは異なる方向、例えば側方を向く姿勢で車両用シート12が配置された車両において、その車両用シート12に対し側方(車両の前後方向)から衝撃が加わった場合に、同衝撃から乗員P1を保護するタイプのサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
・上記実施形態では、エアバッグの排気構造をインナバッグ50に適用したが、これに代えて、又は加えて、エアバッグ本体31における本体膨張部39に適用してもよい。図11は、内部にインナバッグ50が設けられていないエアバッグ本体31の本体膨張部39にエアバッグの排気構造を適用した例を示している。
本体膨張部39では、厚み方向に重ねられた一対の本体布部34,35(本体布部34の図示略)の周縁部同士が本体周縁縫製部38によって縫合されている。この場合、本体周縁縫製部38が一部の領域において縫合を解除されることにより、互いに離間した一対の端末部62が本体周縁縫製部38に形成される。各本体布部34,35の周縁部の一部には、両端末部62間を通って、本体周縁縫製部38により囲まれた領域の内側へ入り込む切込み部63が形成される。各本体布部34,35には、切込み部63の周辺部分を補強する排気補強縫製部64が設けられる。本体布部34,35毎の排気補強縫製部64は、各端末部62を挟んで切込み部63とは反対側の箇所で本体周縁縫製部38に交差される。
上記変形例における本体布部34,35、本体周縁縫製部38及び本体膨張部39は、特許請求の範囲における布部、周縁縫製部及び膨張部にそれぞれ該当する。
この変形例によると、エアバッグ本体31の本体膨張部39内の膨張用ガスを安定して排出させることができる。
なお、上記変形例におけるエアバッグ本体31内に、上記実施形態と同様のインナバッグ50が設けられてもよい。その場合、上記エアバッグの排気構造が、上記実施形態と同様にインナバッグ50に適用されてもよいし、適用されなくてもよい。
・上記エアバッグの排気構造は、厚み方向に重ねられた一対の布部の周縁部同士を周縁縫製部で縫合することにより形成され、かつ膨張用ガスにより膨張する膨張部を有するものであることを条件に、サイドエアバッグ装置とは異なるタイプのエアバッグ装置にも適用可能である。
この場合、上記エアバッグの排気構造は、車両10の前席に限らず後席に装備されたエアバッグ装置にも適用可能である。この場合の車両10には、自家用車に限らず各種産業車両も含まれる。
さらに、上記エアバッグの排気構造は、車両10以外の乗物、例えば航空機、船舶等における乗物用シートに装備されるエアバッグ装置にも適用可能である。
<その他>
・制御装置76は、車両10の側壁部11に対し、側方からの衝撃が加わることを予測した場合に、インフレータ21に作動信号を出力する仕様に変更されてもよい。
30…エアバッグ、34,35…本体布部(布部)、38…本体周縁縫製部(周縁縫製部)、39…本体膨張部(膨張部)、50…インナバッグ(膨張部)、53,54…インナ布部(布部)、61…インナ周縁縫製部(周縁縫製部)、62…端末部、63…切込み部、64…排気補強縫製部、ES…排気構造。

Claims (4)

  1. 厚み方向に重ねられた一対の布部の周縁部同士を周縁縫製部で縫合することにより形成され、かつ膨張用ガスにより膨張する膨張部を有するエアバッグに適用される排気構造であって、
    一対の前記布部のそれぞれでは、前記周縁部に沿って帯状の補強布が重ねられて、補強縫製部により、重ねられた前記布部とともに縫合されており、
    前記周縁縫製部は、前記補強布が重ねられた位置で、一対の前記布部と一対の前記補強布とを縫合しており、
    前記周縁縫製部が一部の領域において縫合を解除されることにより、互いに離間した一対の端末部が前記周縁縫製部に形成され、
    各布部の周縁部の一部には、両端末部間を通って、前記周縁縫製部により囲まれた領域の内側へ入り込む切込み部が形成されており、
    前記補強布は、前記切込み部の周縁部分にも重ねられており、
    各布部及び各補強布には、同布部及び同補強布における前記切込み部の周辺部分の少なくとも一部を補強する排気補強縫製部が設けられ、
    記排気補強縫製部は、各端末部を挟んで前記切込み部とは反対側の箇所で前記周縁縫製部に交差しているエアバッグの排気構造。
  2. 前記布部毎の前記排気補強縫製部は線状をなし、前記切込み部を取り囲んでおり、
    前記布部毎の前記排気補強縫製部は、同排気補強縫製部の両端部において前記周縁縫製部に交差している請求項1に記載のエアバッグの排気構造。
  3. 前記布部毎の前記排気補強縫製部は、前記切込み部の形状に沿って設けられている請求項2に記載のエアバッグの排気構造。
  4. 前記布部毎の前記切込み部は半円形をなしている請求項1~3のいずれか1項に記載のエアバッグの排気構造。
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