JP7234182B2 - ガラス母材の絞り加工方法 - Google Patents
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Description
ガラス母材は、線引き工程において、絞り形状部を加熱して引き落とすことにより線引きが開始されるため、絞り形状部の先端外径が細く、絞り形状部のテーパー長が短い方が、線引きに要する時間的ロスやガラス母材のロスが少なく、好ましい。例えば、図1のような形状においては、目標となる先端外径が得られる位置Aと、テーパー部が始まる位置Bの間の距離Cを、テーパー長とすることが多い。先端径としては、テーパー部先端の外径Dを用いることが一般的である。テーパー部が始まる位置Bは、一般に、ガラス母材の直胴部外径の98%の外径を有する位置とされるが、これらはガラス母材の形状や線引き方法などで適宜変わることが多い。当該絞り加工方法の一例が特許文献1に開示されている。
このような構成の下、引取ローラー12を回転させ、加熱されたガラス母材1の下部を引き下げることで、加熱部が細径化され、絞り加工を行うことができる。図示しないが、ヒーター6の温度は放射温度計などで測定される。
絞り加工装置には、図2に示すような絞り加工装置が用いられるが、図3では、絞り加工装置の、絞り加工がなされるガラス母材1の下部とヒーター6以外は図示が省略されている。
ガラス母材1は、母材として有効な有効部13と、有効部13に隣接する非有効部15とを備えている。非有効部15の端部は引取シャフト11に接続され、引取ローラー12を回転させることで引き下げられる。ガラス母材1は、有効部13と非有効部15との境界部14がヒーター6の高さ方向の略中間に来るように絞り加工装置にセットされる(図3(a)参照)。
このように加熱した後、引取ローラー12を回転させてガラス母材1の下端(非有効部15の端部)の引き下げが行われる(図3(c)参照)。その結果、境界部14は縮径しつつヒーター6の下部へ移動し、縮径した境界部14を絞り端とする絞り形状の絞り部が、境界部14の有効部13側に形成される(図3(d)参照)。一方、境界部14から非有効部15側は加熱溶断して除去される。
このため、顧客要望にかなう絞り部を形成するために、絞り加工装置での絞り加工後、更にガラス旋盤で追加の先端絞りを行うなどの追加工が行われている。この追加工のため、作業人員や装置、ガスなどの費用がかさむ上、近年出荷量が増加傾向にある外径150mm以上の大型プリフォームをガラス旋盤で追加工する場合は、プリフォームの落下による装置破損や人員の怪我などの危険を伴うため、コスト上昇の一因となっていた。
また本発明において、前記ガラス母材を引っ張る第一絞り工程において、前記ガラス母材を引っ張る距離は、前記ガラス母材の絞り加工目標位置の外径の0.5倍以上2.5倍以下とするのが好ましい。
また本発明は、前記第一加熱温度を2000℃以上とし、前記冷却温度を1800℃以下とし、前記第二加熱温度を1900℃以上とするのが好ましい。
さらに本発明は、前記第二絞り工程の後に続けて、追加で一ないしは複数の、追加冷却工程と追加絞り工程とを設けても良い。
絞り加工目的部のみを昇温するようにするためには、加熱範囲が広くならないようにヒーター部周辺の断熱材を減らすなどの方法が考えられるが、その場合は、熱効率が悪化してコストが上昇する上に、周辺装置への熱ダメージが大きくなる等の悪影響が生じる。
その後、ヒーター6により加熱を開始し、加熱温度が2000℃以上に昇温すると、ガラス母材1は昇温し、破線16、17間の領域が軟化し変形可能となる(図4(b)参照)。なお、破線16の位置が絞り加工を開始する絞り加工目標位置となる。
その後、2000℃以上の高い温度でヒーター加熱を行いながら絞る第一絞り工程(図4(c)参照)を行い、次いで、絞りを一旦止めてヒーターの温度を1800℃以下に下げる冷却工程(図4(d)参照)を行い、再度高い加熱温度でヒーターを加熱して絞る第二絞り工程(図4(e),4(f)参照)を行う。
第一絞り工程で、一旦短い絞り加工を行った後、ヒーター温度を下げてガラス母材を冷却し、再度加熱することで、第二絞り工程においては、先に形成された絞り加工部のみが集中的に加熱されることにより、図4(g)に示すように、短く先端の細いテーパー部を形成することができる。
下記の実施形態は一例であって、特許請求の範囲に係る発明がこれらの実施例に限定されるものではなく、様々な態様が可能である。さらに、下記の実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせのすべてが課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。
ガラス母材1は接続部材2および吊り下げシャフト3を介して、昇降装置4に吊り下げられる。ガラス母材1の下部には引取りシャフト11が接続され、引取シャフト11は引取ローラー12によって把持される。このような構成の下、引取ローラー12を回転させ、ヒーター6で加熱されたガラスロッド1の下部を引き下げることで、絞り加工を行うことができる。
冷却工程の後、第二絞り工程として、ヒーター6による加熱を再度開始して加熱温度を2000℃まで昇温し、先の第一絞り工程で形成した縮径部が軟化したら、引取ローラー12を再度回転させてガラス母材1の下端を引き下げる。この場合、第二絞り工程におけるガラス母材1の下端引き下げ量は、引取りシャフト11とガラス母材1の下端の境目が引取ローラー12に迫り、引き取れなくなる限界付近まで引き下げてしまってよい。1000mm前後が目安となる。
このような絞り加工は、ガラス母材の延伸加工後に続けて行ってもよい。また、ガラス母材の下端ではなく、上端や中央部などで行っても同様の効果を発揮することができる。また、第一絞り工程と第二絞り工程では、ガラス母材の位置を変更してもよい。
また、本発明における第二絞り工程の引き下げを途中で停止し、冷却、再加熱することで、第三、第四などの追加絞り工程を行っても同様の効果を発揮することができ、テーパー長をより短くすることができる。
先ず、比較例1として、ヒーター6で2150℃まで昇温速度60℃/分で加熱した。2150℃に到達後、温度を保持してガラス母材1の下端を1000mm引き下げて絞り部を形成した。
実施例1においては、ヒーター6で2150℃まで昇温速度60℃/分で加熱した。2150℃に到達後、温度を保持してガラス母材1の下端を50mm引き下げた。その後、ヒーター6の温度保持を停止し、1650℃まで降温させた。再度、ヒーター6で2000℃まで昇温速度60℃/分で加熱した。2000℃に到達後、温度を保持してガラスロッド1の下端を1000mm引き下げて絞り部を形成した。
実施例2においては、ヒーター6で2150℃まで昇温速度60℃/分で加熱した。2150℃に到達後、温度を保持してガラス母材1の下端を400mm引き下げた。その後、ヒーター6の温度保持を停止し、1650℃まで降温させた。再度、ヒーター6で2000℃まで昇温速度60℃/分で加熱した。2000℃到達後、温度を保持してガラスロッド1の下端を1000mm引き下げて絞り部を形成した。
実施例3においては、ヒーター6で1950℃まで昇温速度60℃/分で加熱した。1950℃に到達後、温度を保持してガラス母材1の下端を200mm引き下げて絞り加工を行おうとしたが、ガラス母材1が軟化しておらず、引き下げることができなかった。
実施例4においては、ヒーター6で2150℃まで昇温速度60℃/分で加熱した。2150℃到達後、温度を保持してガラス母材1の下端を200mm引き下げた。その後、ヒーター6の温度保持を停止し、1750℃まで降温させた。再度、ヒーター6で2000℃まで昇温速度60℃/分で加熱した。2000℃に到達後、温度を保持してガラスロッド1の下端を1000mm引き下げて絞り部を形成した。
実施例5においては、ヒーター6で2150℃まで昇温速度60℃/分で加熱した。2150℃到達後、温度を保持してガラス母材1の下端を200mm引き下げた。その後、ヒーター6の温度保持を停止し、1650℃まで降温させた。再度、ヒーター6で1880℃まで昇温速度60℃/分で加熱した。1880℃に到達後、温度を保持してガラスロッド1の下端を1000mm引き下げて絞り加工を行おうとしたが、ガラス母材1が軟化しておらず、引き下げることができなかった。
実施例6においては、ヒーター6で2150℃まで昇温速度60℃/分で加熱した。2150℃に到達後、温度を保持してガラス母材1の下端を200mm引き下げた。その後、ヒーター6の温度保持を停止し、1650℃まで降温させた。再度、ヒーター6で2000℃まで昇温速度60℃/分で加熱した。2000℃に到達後、温度を保持してガラスロッド1の下端を1000mm引き下げて絞り部を形成した。
実施例7においては、ヒーター6で2150℃まで昇温速度60℃/分で加熱した。2150℃に到達後、温度を保持してガラス母材1の下端を200mm引き下げた。その後、ヒーター6の温度保持を停止し、1650℃まで降温させた。再度、ヒーター6で2000℃まで昇温速度60℃/分で加熱した。2000℃に到達後、温度を保持してガラスロッド1の下端を200mm引き下げた。その後、ヒーター6の温度保持を停止し、1650℃まで降温させた。更に、ヒーター6で2000℃まで昇温速度60℃/分で加熱した。2000℃到達後、温度を保持してガラスロッド1の下端を1000mm引き下げて絞り部を形成した。
実施例1と実施例2のテーパー長は、順に445mm、413mmと比較例1よりは短くなったが、やや長いものであった。いずれも第一絞り工程を行った後、冷却工程を経て、第二絞り工程を行っているが、第一絞り工程における絞り距離が実施例1の50mmでは短すぎ、実施例2の400mmでは長すぎるため、本発明の効果が十分に発揮されなかった。よって、第一絞り工程における絞り距離は、ガラス母材の絞り加工目標位置の外径の0.5倍以上2.5倍以下とするのが好ましく、これによりテーパー長を短くすることができる。
実施例7は、第一絞り工程、冷却工程、第二絞り工程の後に、更に追加の冷却工程と追加の絞り工程(第三絞り工程)を行ったものであり、実施例6の285mmよりも短い280mmと更にテーパー長を短くすることができた。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変形、改良など自在に行うことができる。
B:テーパー部が始まる位置、
C:テーパー長、
D:テーパー部先端の外径、
1:ガラス母材、
2:接続部材、
3:シャフト、
4:昇降装置、
5:加熱炉、
6:ヒーター、
7:断熱材、
8:チャンバー、
9:上部ガスシール、
10:下部ガスシール、
11:引取シャフト、
12:引取ローラー、
13:有効部、
14:境界部、
15:非有効部、
16,17:破線。
Claims (4)
- ガラス母材をヒーターで加熱しつつ該ガラス母材を引っ張ることにより、加熱部に絞り形状を形成するガラス母材の絞り加工方法であって、前記ガラス母材を前記ヒーターで第一加熱温度にて加熱しながら前記ガラス母材を引っ張る第一絞り工程と、引っ張りを停止して前記ヒーターの温度を所定の冷却温度まで下げる冷却工程と、再度前記ヒーターを第二加熱温度で加熱して前記ガラス母材を引っ張る第二絞り工程とを有することを特徴とするガラス母材の絞り加工方法。
- 前記ガラス母材を引っ張る第一絞り工程において、前記ガラス母材を引っ張る距離が、前記ガラス母材の絞り加工目標位置の外径の0.5倍以上2.5倍以下とする請求項1に記載のガラス母材の絞り加工方法。
- 前記第一加熱温度が2000℃以上であり、前記冷却温度が1800℃以下であり、前記第二加熱温度が1900℃以上である請求項1に記載のガラス母材の絞り加工方法。
- 前記第二絞り工程の後に続けて、追加で一ないしは複数の、追加冷却工程と追加絞り工程とを有する請求項1に記載のガラス母材の絞り加工方法
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