JP7230489B2 - 親水性基材及び親水性基材作製方法 - Google Patents

親水性基材及び親水性基材作製方法 Download PDF

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Description

本発明は、基材表面上の親水性ポリマー層にアルコール処理が施された親水性基材、及びその作製方法に関する。
血液及び体液中の特定の細胞(血球細胞、血液・体液中に存在するがん細胞等)を捕捉するための器具を作製するために、基材表面を特殊な高分子でコーティングする技術が提案されている。
しかしながら、特殊な高分子の中には、コーティングで平滑な表面を作製し難いものがあり、表面の凹凸性は、特定細胞の捕捉性能に影響することから、がん細胞等の特定細胞の捕捉性能等に優れた凹凸性がコントロールされた表面が形成された基材の提供が望まれている(特許文献1等参照)。
特表2005-523981号公報
本発明は、前記課題を解決し、表面の凹凸性がコントロールされた親水性ポリマー層が形成された親水性基材、及びその作製方法を提供することを目的とする。
本発明は、基材表面上の親水性ポリマー層にアルコール処理が施された親水性基材に関する。
前記親水性基材において、前記アルコール処理はメタノール処理及び/又はエタノール処理であることが好ましい。
前記親水性基材において、前記アルコール処理は、アルコールと、水及び/又は前記アルコール以外の有機溶媒とを含む混合溶媒処理であることが好ましい。
前記親水性基材において、前記親水性ポリマー層は、親水性ポリマー溶液を用いて形成されたものであることが好ましい。
前記親水性基材において、前記親水性ポリマー層は、下記式(I)で表される親水性ポリマーで形成されていることが好ましい。
Figure 0007230489000001
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rはアルキル基を表す。mは1~5、nは繰り返し数を表す。)
前記親水性基材において、前記親水性ポリマー層の厚みが10~1000nmであることが好ましい。
本発明はまた、基材表面に親水性ポリマー層を形成した後、アルコール処理を施す親水性基材作製方法に関する。
前記親水性基材作製方法において、前記アルコール処理はメタノール処理及び/又はエタノール処理であることが好ましい。
前記親水性基材作製方法において、前記アルコール処理は、アルコールと、水及び/又は前記アルコール以外の有機溶媒とを含む混合溶媒処理であることが好ましい。
前記親水性基材作製方法において、前記親水性ポリマー層は親水性ポリマー溶液を用いて形成されたものであることが好ましい。
前記親水性基材作製方法において、前記親水性ポリマー層は、下記式(I)で表される親水性ポリマーで形成されていることが好ましい。
Figure 0007230489000002
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rはアルキル基を表す。mは1~5、nは繰り返し数を表す。)
前記親水性基材作製方法において、前記親水性ポリマー層の厚みが10~1000nmであることが好ましい。
本発明によれば、基材表面上の親水性ポリマー層にアルコール処理が施された親水性基材であるので、凹凸性がコントロールされた表面を有する親水性ポリマー層を形成した親水性基材を提供できる。従って、がん細胞等の特定細胞の捕捉性能の向上が期待できる。
実施例4及び比較例1で作製された親水性基材の写真図の一例である。
本発明の親水性基材は、基材表面上の親水性ポリマー層にアルコール処理が施されたものである。基材表面に親水性ポリマー層を形成し、更に該親水性ポリマー層の表面等にアルコールによる処理を施した層とすることにより、表面の凹凸性がコントロールされ、表面粗さが小さく、平滑性の高い親水性ポリマー層が被覆された親水性基材を提供できる。
血中循環腫瘍細胞(数個~数百個/血液1mL)等の体液中にでてきた腫瘍細胞(がん細胞等)は、非常に数が少なく、検査に供するには、採取した体液中に存在する腫瘍細胞をできる限り多く捕捉することが重要と考えられる。本発明は、基材表面に形成された親水性ポリマーを含む層に更にアルコールによる処理を施すことで、表面の凹凸性がコントロールされ、表面粗さが小さく、平滑性の高い親水性ポリマー層が形成される。そして、親水性ポリマー層の凹凸性はがん細胞等の特定細胞の捕捉性に影響を与え、表面の凹凸性をコントロールし、平滑性を高くすることで、優れた特定細胞の捕捉性能を奏することが期待される。従って、親水性基材のアルコール処理済親水性ポリマー層に捕捉された腫瘍細胞の数を測定することで、体液中の腫瘍細胞数が判り、がん治療効果の確認等を期待できる。また、捕捉した腫瘍細胞を培養し、その培養した細胞で抗がん剤等の効き目を確認することで、抗がん剤等の投与前に、体の外で、抗がん剤等の効き目を確認できると同時に、抗がん剤等の選定にも役立つ。
親水性ポリマー層が形成されている基材としては、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のアクリル樹脂(ポリアクリル樹脂)、シクロオレフィン樹脂(ポリシクロオレフィン)、カーボネート樹脂(ポリカーボネート)、スチレン樹脂(ポリスチレン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリジメチルシロキサン、ソーダ石灰ガラス、ほうケイ酸ガラス等のガラス、等が挙げられる。
前記基材(基材表面)は、親水化処理済の基材(基材表面)であることが好ましい。予め親水化処理を施した基材の表面に親水性ポリマー層を形成することで、表面の凹凸性が好適にコントロールされる。
前記親水化処理済の基材(基材表面)は、基材の表面に親水化処理を施すことにより作製できる。親水化処理としては、基材表面の親水化処理が可能な任意の方法を使用でき、例えば、アルカリ溶液処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、イオン照射処理、プラズマ処理等が挙げられる。なかでも、親水性ポリマー層の凹凸性のコントロールの観点から、アルカリ溶液処理、紫外線照射処理が好ましい。
アルカリ溶液処理(アルカリ溶液による表面処理)に用いるアルカリ化合物としては、例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニア水等の無機アルカリ化合物、テトラメチルアンモニウムオキサイド等の有機アルカリ化合物が挙げられる。なかでも、親水性ポリマー層の凹凸性のコントロールの観点から、無機アルカリ化合物が好ましく、アルカリ金属水酸化物がより好ましい。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等、アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が列挙される。アルカリ化合物は、単独又は2種以上を併用してもよい。
アルカリ溶液(アルカリ化合物を溶解した液)としては、アルカリ化合物の水溶液、有機溶液等が挙げられる。なかでも、アルカリ化合物の水溶液(アルカリ水溶液)が好ましい。アルカリ溶液の濃度は、処理効率、親水性ポリマー層の凹凸性等を考慮して適宜設定すればよく、例えば、0.01~5M(モル/L)の溶液を使用できる。下限は、好ましくは0.05M以上、より好ましくは0.10M以上である。上限は、好ましくは4M以下、より好ましくは3M以下である。
アルカリ溶液による表面処理の方法は、アルカリ溶液と基材表面が接触可能な方法を適宜使用でき、例えば、アルカリ溶液への浸漬方法、刷毛等による塗布方法、スプレー法等が挙げられる。アルカリ溶液処理の処理温度及び処理時間は、親水性ポリマー層の凹凸性、処理効率等を考慮して適宜設定すればよく、例えば、処理温度は5~80℃、処理時間は1秒~6時間が適当である。
アルカリ溶液処理は、親水性ポリマー層の凹凸性の観点から、アルカリ溶液を攪拌、振とう等をしながら、実施することが好ましい。アルカリ溶液処理は、1回でも複数回でも良く、親水性ポリマー層の凹凸性等を考慮して適宜設定すればよい。
アルカリ溶液処理の後、必要に応じて、水によるリンス洗浄、高圧洗浄、スクラブ洗浄等より基板表面からアルカリ溶液を除去し、乾燥処理等を行う。
紫外線照射処理としては、公知の紫外線照射装置を用いて実施できる。該装置としては、光源、灯具、電源、冷却装置、搬送装置等を備えたものが挙げられる。光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、カリウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプなどが挙げられる。光源の波長や、紫外線照射の条件は、特に制限はなく、適宜選択すればよい。
電子線照射処理は、電子を照射する処理の全般であり、アーク放電、コロナ放電等の放電現象、γ線照射処理等が挙げられる。加速電圧は、基材へのダメージ等を考慮して適宜選択すればよい。
イオン照射処理としては、水素イオン照射、アルゴンイオン照射等の公知の方法が挙げられる。プラズマ処理としては、水素プラズマ照射、アルゴンプラズマ照射等の公知の方法が挙げられる。照射条件は、基材へのダメージ等を考慮して適宜選択すればよい。
親水性ポリマー層を構成する親水性ポリマーとしては、親水性を有するものを適宜選択できる。例えば、1種又は2種以上の親水性モノマーの単独重合体及び共重合体、1種又は2種以上の親水性モノマーと他のモノマーとの共重合体等が挙げられる。親水性ポリマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記親水性モノマーの単独重合体及び共重合体としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロイルモルホリン、ポリメタクリロイルモルホリン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアルコキシアルキルアクリレート、ポリアルコキシアルキルメタクリレート等が挙げられる。
前記親水性モノマーと他のモノマーとの共重合体における親水性モノマーとしては、親水性基を有する各種モノマーを使用できる。親水性基は、例えば、アミド基、硫酸基、スルホン酸基、カルボン酸基、水酸基、アミノ基、アミド基、オキシエチレン基等、公知の親水性基が挙げられる。
親水性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリルアミド、環状基を有する(メタ)アクリルアミド誘導体((メタ)アクリロイルモルホリン等)、などが挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリンが好ましく、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、2-メトキシエチルアクリレートが特に好ましい。
前記親水性モノマーと他のモノマーとの共重合体における他のモノマーは、親水性ポリマーの作用効果を阻害しない範囲内で適宜選択すれば良い。例えば、スチレン等の芳香族モノマー、酢酸ビニル、温度応答性を付与できるN-イソプロピルアクリルアミドなどが挙げられる。
なかでも、親水性ポリマーとしては、下記式(I)で表されるポリマー及びポリ(メタ)アクリロイルモルホリンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
Figure 0007230489000003
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rはアルキル基を表す。mは1~5、nは繰り返し数を表す。)
のアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~5がより好ましい。なかでも、Rは、メチル基又はエチル基が特に好ましい。mは、1~3が好ましい。n(繰り返し単位数)は、70~2500が好ましく、90~1500がより好ましい。
また、親水性ポリマーとして、下記式(I-1)で表される化合物及び(メタ)アクリロイルモルホリンからなる群より選択される少なくとも1種の親水性モノマーと、前記他のモノマーとの共重合体も好適に使用できる。
Figure 0007230489000004
(式中、R、R、mは前記と同様。)
前述の親水性ポリマーのなかでも、親水性ポリマー層の凹凸性等の観点から、前記式(I)で表される親水性ポリマーが特に好適である。
親水性ポリマー層(親水性ポリマーにより形成される層、アルコール処理済親水性ポリマー層)の膜厚は、好ましくは10~1000nm、より好ましくは30~700nm、更に好ましくは50~350nmである。上記範囲内に調整することで、良好なタンパク質や細胞に対する低吸着性、がん細胞に対する選択的捕捉性を期待できる。
親水性ポリマー層(アルコール処理済親水性ポリマー層)の表面(前記親水性基材における親水性ポリマー層の表面)の少なくとも一部(一部又は全部)は、水の接触角が70度以下であることが好ましく、60度以下であることがより好ましい。下限は特に限定されず、小さいほど良好である。
本明細書において、水の接触角は、後述の実施例に記載の方法で測定可能である。
親水性ポリマー層(アルコール処理済親水性ポリマー層)の表面(前記親水性基材における親水性ポリマー層の表面)は、表面粗さRaが0.50以下であることが好ましく、より好ましくは0.35以下、更に好ましくは0.28以下、特に好ましくは0.20以下である。下限は特に限定されず、小さいほど良好である。
なお、本明細書において、表面粗さRaは、JIS B0601-2001で規定される中心線表面粗さRaである。
親水性ポリマー層は、(1)親水性ポリマーを各種溶剤に溶解・分散した親水性ポリマー溶液・分散液を、基材表面(基材凹部)に注入し、所定時間保持、乾燥する方法、(2)該親水性ポリマー溶液・分散液を基材表面に塗工(噴霧)する方法、等、公知の手法により、基材表面の全部又は一部に親水性ポリマー溶液・分散液をコーティングすることで、親水性ポリマーにより形成されるポリマー層が形成される。
溶剤、注入方法、塗工(噴霧)方法などは、従来公知の材料及び方法を適用できる。
(1)、(2)の保持、乾燥時間は、基材の大きさ、導入する液種、等により適宜設定すれば良い。保持時間は、10秒~10時間が好ましく、1分~5時間がより好ましく、5分~2時間が更に好ましい。乾燥は、室温(約23℃)から80℃で行うことが好ましく、室温から40℃で行うことがより好ましい。また、減圧して乾燥しても良い。更に、保持して一定時間後、適宜、余分な親水性ポリマー溶液・分散液を排出し、乾燥してもよい。
溶剤としては、親水性ポリマーの溶解が可能なものであれば特に限定されず、使用する親水性ポリマーに応じて適宜選択すれば良い。例えば、水、有機溶媒、これらの混合溶媒が挙げられ、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が列挙される。
前記親水性基材は、例えば、前述の方法等で作製される被覆物(基材表面上に親水性ポリマー層が被覆された被覆物)における親水性ポリマー層の表面及び/又は層内の一部又は全部に、更にアルコール処理剤で処理を施すことにより作製できる。親水性ポリマー層を更にアルコール処理剤で処理することで、表面の凹凸性がコントロールされた層が形成される。
アルコール処理に用いるアルコール処理剤としては、例えば、各種アルコールを含む処理剤を使用できる。各種アルコールとしては、1価のアルコール、多価アルコール等が挙げられ、なかでも、1価のアルコールが好適である。アルコールは、非環式アルコール(直鎖状、分岐状のアルコール)、環状アルコールのいずれでもよいが、非環式アルコールの方が好ましい。アルコールは、飽和、不飽和のいずれでもよいが、飽和アルコールの方が好ましい。アルコールは、炭化水素鎖中にエーテル結合を含むもの、水酸基以外の各種置換基を含むものでもよい。アルコールは、常温(25℃)で液体状態のものが好ましい。アルコールは、1種又は2種以上を併用してもよい。
1価のアルコールの炭素数は、1~8が好ましく、1~4がより好ましく、1~2が更に好ましい。1価のアルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、(n-,iso-)プロピルアルコール、(n-,sec-,tert-)ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール等の脂肪族アルコール等が挙げられる。なかでも、メタノール、エタノールを用いたメタノール処理、エタノール処理が好ましい。
多価アルコールの炭素数は、2~8が好ましく、2~4がより好ましい。多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール等の2価の脂肪族アルコール;グリセリン等の3価の脂肪族アルコール;等が挙げられる。
アルコール処理は、1種又は2種以上のアルコールのみを含む処理剤による処理、1種又は2種以上のアルコールと水及び/又は該アルコール以外の有機溶媒とを含む混合処理剤による処理(混合溶媒処理)のいずれでもよい。アルコール以外の有機溶媒は、アルコールとの相溶性が良好なものが好ましく、例えば、前述の有機溶媒のうち、アルコール以外で相溶性に優れた化合物が挙げられる。アルコールと水及び/又は該アルコール以外の有機溶媒とを含む混合処理剤において、アルコール含有率は適宜選択すれば良いが、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
アルコール処理剤による処理の方法は、アルコール処理剤と親水性ポリマー層が接触可能な方法を適宜使用でき、例えば、アルコール処理剤への浸漬方法、刷毛等による塗布方法、スプレー法、親水性ポリマー層が形成されたスライドチャンバー等の容器へのアルコール処理剤の注入等が挙げられる。アルコール処理剤の処理温度は、処理効率、親水性ポリマー層の凹凸性等を考慮して適宜設定すればよく、例えば、5~80℃で実施可能である。処理時間は適宜選択すればよい。アルコール処理剤と親水性ポリマー層を各種方法で接触させた後、必要に応じて、乾燥(自然乾燥等)する。
前述の方法等により、親水性ポリマー層にアルコール処理を施した親水性基材(親水性ポリマーからなる親水性ポリマー層が基材表面に形成され、更にアルコール処理が施された親水性基材)を製造できる。そして、このような親水性基材に、必要に応じて他の部品を追加することで、特定細胞の捕捉、培養、検査等が可能な装置を製造できる。
本発明の親水性基材作製方法は、基材表面に親水性ポリマー層を形成した後、アルコール処理を施す方法である。前述のように、基材表面に親水性ポリマーを含む層を形成し、次いで、該層にアルコールによる処理を施すことにより、表面の凹凸性がコントロールされ、表面粗さが小さく、平滑性の高いアルコール処理済親水性ポリマー層を形成できる。
例えば、試料(血液又は体液)を、基材表面に親水性ポリマー層が形成され、かつアルコール処理が施された親水性基材に接触させることで、特定細胞の捕捉が期待できる。そして、捕捉した特定細胞の数を測定することで、採取した血液又は体液中の特定細胞数が判り、がん治療効果の確認等が期待される。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
(親水性ポリマーの作製)
AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)12.5mg/mlトルエン溶液を用いて、2-メトキシエチルアクリレート(25wt%トルエン)を60℃で7時間熱重合し、ポリ2-メトキシエチルアクリレート(PMEA)を作製した。
(実施例1)
未処理のスライドチャンバーに作製したPMEAの0.25%メタノール溶液を注入した。その後、直ぐに40℃のオーブン中で5分間真空乾燥させた。
その後、メタノールを注入して(処理温度:室温)、自然乾燥し、アルコール処理基材を作製した。
(実施例2)
未処理のスライドチャンバーに作製したPMEAの0.35%メタノール溶液を注入した。その後、直ぐに40℃のオーブン中で5分間真空乾燥させた。
その後、メタノールを注入して(処理温度:室温)、自然乾燥し、アルコール処理基材を作製した。
(実施例3)
1N NaOH水溶液をスライドチャンバー(底面:ソーダ石灰ガラス製)に加え、1時間放置した。その後、チャンバー表面を水で洗浄して自然乾燥した。
作製したPMEAの0.25%メタノール溶液を前記親水化処理をしたスライドチャンバーに注入した。その後、直ぐに40℃のオーブン中で5分間真空乾燥させた。
その後、メタノールを注入して(処理温度:室温)、自然乾燥し、アルコール処理基材を作製した。
(実施例4)
1N NaOH水溶液をスライドチャンバー(底面:ソーダ石灰ガラス製)に加え、1時間放置した。その後、チャンバー表面を水で洗浄して自然乾燥した。
作製したPMEAの0.35%メタノール溶液を前記親水化処理をしたスライドチャンバーに注入した。その後、直ぐに40℃のオーブン中で5分間真空乾燥させた。
その後、メタノールを注入して(処理温度:室温)、自然乾燥し、アルコール処理基材を作製した。
(実施例5)
1N NaOH水溶液をスライドチャンバー(底面:ソーダ石灰ガラス製)に加え、1時間放置した。その後、チャンバー表面を水で洗浄して自然乾燥した。
作製したPMEAの0.35%メタノール溶液を前記親水化処理をしたスライドチャンバーに注入した。その後、直ぐに40℃のオーブン中で5分間真空乾燥させた。
その後、エタノールを注入して(処理温度:室温)、自然乾燥し、アルコール処理基材を作製した。
(比較例1)
未処理のスライドチャンバーに作製したPMEAの0.25%メタノール溶液を注入した。その後、直ぐに40℃のオーブン中で5分間真空乾燥させた。
〔水の接触角〕
作製されたアルコール処理基材の表面(親水性基材におけるアルコール処理済親水性ポリマー層の表面)に蒸留水2μlを滴下し、30秒後の接触角をθ/2法(室温)で測定した。
〔親水性ポリマー層(コーティング層)の膜厚〕
親水性基材の親水性ポリマー層(アルコール処理済親水性ポリマー層)の膜厚は、親水性ポリマー層の断面を、TEMを使用し、加速電圧15kV、1000倍で測定(撮影)した。
〔表面粗さRa〕
レーザー顕微鏡を用いて、非接触で表面粗さを1つの親水性基材(アルコール処理済親水性ポリマー層)で4箇所(第1ピーク)測定し、そのRaの4点の平均を表面粗さRaとした(JIS B 0601-2001で規定される中心線表面粗さRaの平均)。
Figure 0007230489000005
実施例1~5、比較例1で作製した親水性基材のうち、実施例4及び比較例1の親水性基材の写真図を図1に示す。
比較例1では、周囲が薄く白く曇った。この白い曇りは、比較例1と同様な方法で何回かポリ2-メトキシエチルアクリレートを作製したときは、斑に白く曇るときもあるが、常に白く曇った部分が出来た。
これに対して、親水性ポリマーのコーティング後、更にアルコールを注入した実施例1~5では、曇りも全体に少なくなり又は無くなり(PMEAの溶液濃度の高い0.35%メタノール溶液で処理したものは、ほとんどなくなった。)、表面の凹凸性がコントロールされたコーティング膜が形成された。曇りの部分は、ポリ2-メトキシエチルアクリレートの凝集状態及び表面凹凸を反映しており、その部分では、他の平滑部とは異なる特定細胞の捕捉性能を示すことが容易に想像でき、捕捉性能のバラツキの原因になる。このため、曇りの無い凹凸性がコントロールされた面(Ra0.3以下)の方が、バラツキの少ない捕捉性能を示すことが期待できた。

Claims (10)

  1. 基材表面上の親水性ポリマー層にアルコール処理が施され、
    前記基材がガラスであり、
    前記親水性ポリマー層は、下記式(I)で表される親水性ポリマーで形成されている親水性基材。
    Figure 0007230489000006
    (式中、R は水素原子又はメチル基、R はアルキル基を表す。mは1~5、nは繰り返し数を表す。)
  2. 前記アルコール処理は、メタノール処理及び/又はエタノール処理である請求項1記載の親水性基材。
  3. 前記アルコール処理は、アルコールと、水及び/又は前記アルコール以外の有機溶媒とを含む混合溶媒処理である請求項1記載の親水性基材。
  4. 前記親水性ポリマー層は、親水性ポリマー溶液を用いて形成されたものである請求項1~3のいずれかに記載の親水性基材。
  5. 前記親水性ポリマー層の厚みが10~1000nmである請求項1~のいずれかに記載の親水性基材。
  6. 基材表面に親水性ポリマー層を形成した後、アルコール処理を施し、
    前記基材がガラスであり、
    前記親水性ポリマー層は、下記式(I)で表される親水性ポリマーで形成されている親水性基材作製方法。
    Figure 0007230489000007
    (式中、R は水素原子又はメチル基、R はアルキル基を表す。mは1~5、nは繰り返し数を表す。)
  7. 前記アルコール処理は、メタノール処理及び/又はエタノール処理である請求項記載の親水性基材作製方法。
  8. 前記アルコール処理は、アルコールと、水及び/又は前記アルコール以外の有機溶媒とを含む混合溶媒処理である請求項記載の親水性基材作製方法。
  9. 前記親水性ポリマー層は、親水性ポリマー溶液を用いて形成されたものである請求項のいずれかに記載の親水性基材作製方法。
  10. 前記親水性ポリマー層の厚みが10~1000nmである請求項のいずれかに記載の親水性基材作製方法。
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