JP7221039B2 - 帯電ローラ、および帯電ローラの製造方法 - Google Patents
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Description
また、感光体(感光ドラム)の表面の帯電には、一般に帯電ローラが用いられており、具体的には、帯電ローラを感光体に当接させた際に形成される微小なギャップにおいて、電圧が印加された帯電ローラから感光体へ放電が起き、それにより感光体の表面が一様に帯電される。
前記表層は、本体粒子部と、当該本体粒子部の表面を被覆する、当該表層のバインダー樹脂と同じ樹脂種の樹脂を含む被膜と、を有する被膜粒子を含み、
前記被膜粒子の少なくとも一部の粒子は、当該粒子の一部分が前記表層の表面から突出するように存在していることを特徴とする。
本発明の帯電ローラによれば、帯電ローラの表層の樹脂と粒子との間の接着性を十分に向上させることができる。
前記表層を形成する工程の前に、前記被膜粒子を準備する工程を有し、
前記表層を形成する工程において、前記被膜粒子を、当該表層を形成するためのバインダー樹脂を含有する原料に配合し、得られた原料を用いて前記基層の径方向外側に当該表層を形成することを特徴とする。
本発明の帯電ローラの製造方法によれば、帯電ローラの表層の樹脂と粒子との間の接着性を十分に向上させることができる。
本実施形態の帯電ローラは、図1に示すような画像形成装置(例えばレーザープリンター)において用いることができ、図2の軸方向断面図に示すように、本実施形態の帯電ローラ1は、シャフト部材2と、当該シャフト部材2の径方向外側に位置する基層3と、当該基層3の径方向外側に位置し、帯電ローラ1の表面を形成する表層4とを備えている。
なお、本実施形態の帯電ローラ1は、シャフト部材2上に形成する層として基層3および表層4に限定されることはなく、基層3と表層4との間やシャフト部材2と基層3との間には、任意に、単層または複数層の他の層を形成することができる。
また、被膜粒子7は、1個以上の粒子からなる一定の分布を有するものである。また、「被膜粒子7の少なくとも一部の粒子は、当該粒子の一部分が表層4の表面から突出するように存在している」とは、被膜粒子7のうちの一部の粒子は、表層4の内部に完全に埋まった状態として存在することもあるが、被膜粒子7のうちの少なくとも一部の粒子は、表層4の内部に完全に埋まった状態として存在しないことを意味する。
また、被膜粒子7の被膜6は、上述のように、表層4のバインダー樹脂と同じ樹脂種であれば特に限定されないが、その中でも、バインダー樹脂として好適に用いることができる樹脂である、ウレタン樹脂を含むことが好ましい。
また、被膜粒子7の被膜6の厚さは、特に限定されないが、例えば0.01~3.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.05~1.0μmである。
さらに、被膜6には、表層4のバインダー樹脂とともに含有させることができる添加剤を配合させることができる。なお、被膜6は、表層4のバインダー樹脂と同じ樹脂種の樹脂を含む限り、被膜6中の当該樹脂以外の添加剤は表層4のバインダー樹脂以外の添加剤と同じであっても異なっていてもよい。ただし、被膜6は、樹脂としては、表層4のバインダー樹脂と同じ樹脂種の樹脂のみで形成されるのが好ましい。
また、被膜粒子7の本体粒子部5は、紙等の記録媒体にプリントした際の画質の観点から、アクリル樹脂より形成されることがより好ましい。
なお、粒子の平均粒径とは、レーザー回折・散乱法によって求められる体積平均粒径(Mv)を意味している。また、粒子の平均粒径は、表層4に含まれる粒子が複数種類の粒子の混合よりなる場合(表層に含まれる粒子の粒径分布曲線の形状が多峰性である場合)には、当該複数種類の粒子が混合された状態で測定された平均粒径である。
なお、表層4の表面の面積に対する、被膜粒子7のうち表層4の表面から突出する被膜粒子7の、帯電ローラ1の径方向から観た平面視での総面積の割合は、85%以下であることが好ましい。
また、表層4の表面の面積に対する、表層4の表面から突出する被膜粒子7の総面積の割合は、上記の方法で得た総面積を、写真(1000倍)の総撮影面積で除することにより得る。
なお、レーザー顕微鏡により撮影した写真(1000倍)で粒子として確認される部分とは、当該写真において、表層4の表面が平坦である部分よりも、突出して確認される部分である。また、被膜粒子7の被膜6も上記総面積に算出される。
y≦0.6/x+0.01 ・・・ (I)
(式中、xはポリオールの水酸基価(mgKOH/g)であり、yはポリオールの総不飽和度(meq/g)である)を満足する高純度ポリオールを、単独で、または、他のポリオールとともに用いて合成され、アクリロイルオキシ基(CH2=CHCOO-)を1つ以上有し、ウレタン結合(-NHCOO-)を複数有する化合物を用いることができる。
かかるウレタンアクリレートオリゴマーは、例えば、(i)高純度ポリオール単独または高純度ポリオールおよび他のポリオールの混合物と、ポリイソシアネートとから合成したウレタンプレポリマーに、水酸基を有するアクリレートを付加させたり、(ii)高純度ポリオール単独または高純度ポリオールおよび他のポリオールの混合物とポリイソシアネートとから合成したウレタンプレポリマーと、他のポリオールとポリイソシアネートとから合成したウレタンプレポリマーとの混合物に水酸基を有するアクリレートを付加させることで合成することができる。なお、ウレタンプレポリマーの合成に用いる高純度ポリオールは、例えば、ジエチル亜鉛、塩化鉄、金属ポルフィリン、複合金属シアン化物錯体、セシウム化合物等の触媒の存在下、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびこれらにアルキレンオキシドを反応させて得られる化合物等の多価アルコールに、プロピレンオキシドやエチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加させて合成することができ、不飽和末端等のモノオール副生物が少なく、従来のポリオールに比べて高純度である。
化合物が好ましい。これら触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記触媒の使用量は、上記ポリオール100質量部に対して0.001~2.0質量部の範囲が好ましい。
基層3の厚さとしては、1.0~5.0mmであることが好ましく、1.0~3.0mmであることがより好ましい。基層3の厚さを上記範囲とすることで、スパーク放電を防止することができる。
本実施形態の帯電ローラ1の製造方法は、シャフト部材2の径方向外側に基層3を形成する工程と、基層3の径方向外側に表層4を形成する工程とを有する、上記の帯電ローラを製造するための、帯電ローラの製造方法である。そして、本実施形態の帯電ローラ1の製造方法では、表層4を形成する工程の前に、被膜粒子7を準備する工程を有しており、上記の表層4を形成する工程では、準備した被膜粒子7を、表層4を形成するためのバインダー樹脂を含有する原料に配合し、それを用いて基層3の径方向外側に表層4を形成する。
本実施形態において、上記の工程で帯電ローラ1を製造することにより、帯電ローラ1の表層4の樹脂と被膜粒子7との間の接着性を十分に向上させることができる。
また、前述の層形成用原料により基層3を形成する場合、基層3を形成する工程では、シャフト部材2の外表面に上記層形成用原料を塗布した後、紫外線照射することにより基層3を形成することができる。また、表層4を形成する工程では、形成された基層3の表面に、被膜粒子7を配合させた前述の層形成用原料を塗布して、紫外線照射して表層4を形成することができる。
これら工程により、上述の実施形態の帯電ローラ1を容易に製造することができるので、大量の熱エネルギーを必要とせず、短時間で製造することが可能である。また、製造にキュアー炉等が不要であるため、多額の設備費用を必要としない。
なお、前述の層形成用原料をシャフト部材2の外表面または基層3の表面に塗布する方法としては、スプレー法、ロールコーター法、ディッピング法、ダイコート法等が挙げられる。また、紫外線照射に用いる光源としては、水銀灯、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が挙げられる。紫外線照射の条件は、層形成用原料に含まれる成分、組成および塗布量等に応じて適宜選択され、照射強度や積算光量等を適宜調整すればよい。
図示する画像形成装置は、静電潜像を保持する感光体10と、感光体10の近傍(図では上方)に位置して感光体10を帯電させるための帯電ローラ1と、トナー11を供給するためのトナー供給ローラ12と、トナー供給ローラ12と感光体10との間に配置された現像ローラ13と、現像ローラ13の近傍(図では上方)に設けられた成層ブレード14と、感光体10の近傍(図では下方)に位置する転写ローラ15と、感光体10に隣接して配置されたクリーニングローラ16とを備えている。なお、図示する画像形成装置は、さらに、画像形成装置に通常用いられる公知の部品(図示せず)を備えることができる。
(ウレタンアクリレートオリゴマー)
2官能で分子量4,000の高純度ポリオール(プレミノールS-X4004、旭硝子(株)製、PO鎖からなるポリオール、水酸基価=27.9mgKOH/g、総不飽和度=0.007meq/g、式(I)の右辺(0.6/x+0.01)=0.03)100質量部、イソホロンジイソシアネート8.29質量部(イソシアネート基/ポリオールの水酸基=3/2=1.50(モル比))、およびジブチルスズジラウレート0.01質量部を加温撹拌混合しながら、70℃で2時間反応させて、分子鎖の両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成した。さらに、このウレタンプレポリマー100質量部に2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)2.88質量部を撹拌混合し、70℃で2時間反応させて、分子量が9,000のウレタンアクリレートオリゴマーを合成した。得られたウレタンアクリレートオリゴマーは、B型粘度計で測定した25℃での粘度が80,000mPas/secであった。
IRGACURE 819(BASFジャパン(株)製)
・導電剤(i):カリウム金属イオン
・導電剤(ii):ケッチェンブラック(花王(株)製)
(実施例および比較例)
外径6.0mmの金属シャフト上の外表面に、上記のウレタンアクリレートオリゴマー100質量部に対し、光重合開始剤3質量部と、上記の導電剤(i)3質量部とを配合して得られた層形成用原料をダイコーターにより厚さ1500μmで塗布し、塗布しながらスポットUV照射により硬化して、基層を形成した。このようにして得られた基層形成済みローラに対し、さらに、窒素雰囲気下で回転させながら、UV照射強度700mW/cm2で5秒間UV照射した。
次いで、上記のウレタンアクリレートオリゴマー100質量部に対し、上記の光重合開始剤3質量部と、上記の導電剤(ii)3質量部と、表1に示す、予め準備した種類・含有量の粒子と、を配合して層形成用原料を得、そして、得られた層形成用原料を上記で得た基層形成済みローラの表面にロールコーターにて塗布し、UV照射して、厚さ15μmにて表層を形成し、各実施例および比較例の供試ローラを得た。各供試ローラについて、以下に従い評価を行った結果を、下記の表1に示す。
(接着性)
各供試ローラの表層の樹脂と粒子との間の接着性を次の方法で測定した。各供試ローラを温度35℃、湿度80%の環境下に24時間放置後、電子写真装置に帯電ローラとして組み込んだ。1万枚印字した後のローラの、軸方向中央の表面と、両端部から25mm位置の表面の3か所をレーザー顕微鏡(1000倍)にて、粒子の脱落有無を観察し、下記の基準で評価した。
得られた結果について、下記の基準に従い、接着性の評価を行った。結果を表1に示す。
○:脱落無
×:脱落有(一か所でも脱落あれば×)
各供試ローラを帯電ローラとしてカートリッジに取付けて、それを温度35℃湿度80%の環境下で24時間放置した。その後、カートリッジを実機に組み込んで、同様の環境条件で印刷を実施し、下記の基準に従い、マイクロジッター(横すじ)について評価を行った。結果を表1に示す。
○:マイクロジッター(横すじ)無
△:一部分に確認される
×:印字領域全域に確認される
5:本体粒子部、 6:被膜、 7:被膜粒子、 10:感光体、 11:トナー、
12:トナー供給ローラ、 13:現像ローラ、 14:成層ブレード、
15:転写ローラ、 16:クリーニングローラ
Claims (5)
- シャフト部材と、当該シャフト部材の径方向外側に位置する基層と、当該基層の径方向外側に位置し、表面を形成する表層とを備える、帯電ローラであって、
前記表層は、本体粒子部と、当該本体粒子部の表面を被覆する、当該表層のバインダー樹脂と同じ樹脂種の樹脂を含む被膜と、を有する被膜粒子を含み、
前記被膜粒子の少なくとも一部の粒子は、当該粒子の一部分が前記表層の表面から突出するように存在し、
前記表層の表面の面積に対する、前記被膜粒子のうち前記表層の表面から突出する被膜粒子の、前記帯電ローラの径方向から観た平面視での総面積の割合が、60%超であり、
前記表層のバインダー樹脂と、前記被膜が含む樹脂は、ウレタン樹脂であることを特徴とする、帯電ローラ。 - 前記被膜粒子の前記本体粒子部は、アクリル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂およびフッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種類の樹脂より形成されている、請求項1に記載の帯電ローラ。
- 前記表層の厚さは、5~30μmである、請求項1または2に記載の帯電ローラ。
- 前記被膜粒子の平均粒径は、3~20μmである、請求項1~3のいずれかに記載の帯電ローラ。
- 前記シャフト部材の径方向外側に前記基層を形成する工程と、当該基層の径方向外側に前記表層を形成する工程とを有する、請求項1~4のいずれかに記載の帯電ローラを製造するための、帯電ローラの製造方法であって、
前記表層を形成する工程の前に、前記被膜粒子を準備する工程を有し、
前記表層を形成する工程において、前記被膜粒子を、当該表層を形成するためのバインダー樹脂を含有する原料に配合し、得られた原料を用いて前記基層の径方向外側に当該表層を形成することを特徴とする、帯電ローラの製造方法。
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