JP7220846B2 - 湿式製錬の原料として使用されるニッケル酸化鉱石の前処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は湿式製錬の原料として使用されるニッケル酸化鉱石の前処理方法に関し、特に凝集剤の添加量によりスラリー濃度の調整を行うニッケル酸化鉱石の前処理方法に関する。
原料としてのニッケル酸化鉱石に対して高温高圧下で硫酸を用いて浸出処理を行うことで浸出液を生成するHPAL(High Pressure Acid Leach)プロセスとも称する高圧酸浸出工程を含んだ湿式製錬法が知られている。この湿式製錬法は、従来の一般的なニッケル酸化鉱石の製錬方法である乾式製錬法と異なり、リモナイト鉱石等に代表される低品位のニッケル酸化鉱石からニッケル品位を50~60質量%程度まで高められたニッケルとコバルトを含む混合硫化物(以下、ニッケルコバルト混合硫化物とも称する)を効率よく生成することができるうえ、還元及び乾燥工程を経ることなく一貫した湿式工程により処理が行われるので、エネルギー的及びコスト的に有利であるという利点を有している。
上記の高圧酸浸出工程を含む湿式製錬法は、ニッケル酸化鉱石を前処理して鉱石スラリーを調製する鉱石前処理工程と、該鉱石スラリーに高温高圧下で硫酸を添加することで、ニッケル、コバルト等の有価金属を浸出して浸出スラリーを得る浸出工程と、該浸出スラリーを多段洗浄しながらニッケル及びコバルトと共に不純物元素を含む浸出液を浸出残渣から分離する固液分離工程と、該浸出液のpHを調整すると共に、該浸出残渣の一部と凝結剤とを添加することで不純物元素から中和澱物を生成し、これを分離除去してニッケル及びコバルトを含む中和終液を得る中和工程と、該中和終液に硫化水素ガスを添加することにより亜鉛及び銅を含む混合硫化物を生成し、これを分離除去して脱亜鉛終液を得る脱亜鉛工程と、該脱亜鉛終液に硫化水素ガスを添加することによりニッケルコバルト混合硫化物を生成し、これを固液分離により回収するニッケル回収工程とから一般的に構成される。
上記鉱石前処理工程では、先ず原料としてのニッケル酸化鉱石に対して粉砕・解砕処理を行った後、水を加えて湿式分級することで、所定の粒度を有するニッケル酸化鉱石をスラリーの形態で篩下側に回収し、得られた低濃度鉱石スラリーに添加剤を添加して沈降濃縮を行っている。これにより、固形分濃度が調整された高濃度鉱石スラリーを作製することが行われている。この沈降濃縮には、一般的にシックナーが用いられている。シックナーは、中央部に向って徐々に深くなるように傾斜する底面を備えた円筒形の沈降分離槽と、該槽内の底部に沿って低速回転するレーキと、該槽内の中央部に鉱石スラリーを導入する円筒形状のフィードウェルとから主に構成され、該槽内において沈降分離により濃縮された高濃度鉱石スラリーがシックナーの底部中央から抜き出される。
上記構造のシックナーでは、例えば特許文献1に開示されているように、フィードウェル中を流れる鉱石スラリーに対して添加剤として凝集剤を添加してフロックを形成させ、これにより鉱石スラリーの沈降性を向上させる技術が開示されている。また特許文献2には、鉱石前処理工程において、粉砕・解砕及び湿式分級により得た鉱石スラリーに硫酸又は苛性ソーダ等の中和剤を添加することでpHを等電点近傍に調整し、これにより後段のシックナーにおける沈降分離性を高めて鉱石スラリーの固形分濃度を高める技術が開示されている。
更に、特許文献3には、シックナーの沈降分離槽内に形成される沈降濃縮部と上澄み液部との界面のレベル(ベッドレベルとも称する)を超音波式レベル測定装置で測定し、これにより沈降状態を連続的に監視することでシックナーの操業を管理する技術が開示されている。また、特許文献4には、2基のシックナーを直列に接続し、上流側のシックナーでスラリーを予備濃縮することで得られる濃縮スラリーを下流側のシックナーに導入することで、該下流側のシックナーでの沈降速度を高め、これにより固体物濃度の高い鉱石スラリーを効率的に得る技術が開示されている。
特開2012-153922号公報 特開2008-189999号公報 特開2013-154262号公報 特開2015-086457号公報
原料の低品位ニッケル酸化鉱石から高圧酸浸出工程を経てニッケルを回収する上記の湿式製錬法においては、原料に採用するニッケル酸化鉱石種によって該高圧酸浸出工程の前工程の鉱石前処理工程のシックナーにおける沈降挙動に差違が生じると考えられている。その結果、該シックナーの底部中央から抜き出される高濃度鉱石スラリーの固形分濃度が不安定になることがあるが、具体的にどのようなメカニズムでニッケル酸化鉱石種が沈降挙動に影響を及ぼすのかは解明されていないのが実情である。
そのため、従来、鉱石前処理工程のシックナーの操業では、沈降分離槽内のベッドレベルを測定装置により連続的に監視したり、ベッドレベルのレベル測定治具を用いてオペレータが定期的に測定したりすることで、シックナー内での凝集状態や沈降状態を確認して、沈降分離槽内のベッドレベルを適切な範囲内に管理することが行われていた。また、フィードウェルに流れ込む低濃度鉱石スラリーを定期的にサンプリングしてその粒子の大きさを目視等により確認し、その結果に基づいて凝集剤の添加量を調整することが行われていた。
上記のようなオペレータの経験に基づく運転管理では、シックナーの操業が不安定になりやすく、特に原料の鉱石種変更時は上記したように沈降挙動に変化が生じて凝集剤不足により凝集性が低下したり、逆に凝集剤の過剰添加によりスラリー粘度が過度に上昇したりすることがあった。本発明は、上記した従来の湿式製錬法が有する鉱石前処理工程が抱える問題点に鑑みてなされたものであり、原料として使用するニッケル酸化鉱石の鉱石種や鉱石品位が変化しても所定の固形分濃度を有する高濃度鉱石スラリーを安定的に調製することができる方法を提供することを目的としている。
本発明者は、上記した湿式製錬法の鉱石前処理工程について鋭意検討を重ねた結果、原料として使用するニッケル酸化鉱石のFe品位に基づいて鉱石前処理工程のシックナーの操業を管理することにより、該シックナーに導入される低濃度鉱石スラリーに含まれるニッケル酸化鉱石の種類が変化しても、安定した固形分濃度を有する高濃度スラリーを調製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のニッケル酸化鉱石の前処理方法は、湿式製錬法によりニッケルコバルト混合硫化物を生成する際の原料として用いるニッケル酸化鉱石の前処理方法であって、鉱石原料を粉砕及び/又は解砕した後に水を加えて湿式分級を行う選別工程と、該湿式分級の篩下側に回収される所定の粒度を有するニッケル酸化鉱石を含んだ低濃度鉱石スラリーを沈降濃縮することで高濃度鉱石スラリーを得る濃縮工程とからなり、前記ニッケル酸化鉱石のFe品位が50%未満の場合は該ニッケル酸化鉱石1トン当たり110~130gの凝集剤が該低濃度鉱石スラリーに添加されるように該凝集剤の添加量を調整し、該Fe品位が50%以上の場合は該ニッケル酸化鉱石1トン当たり160~170gの凝集剤が該低濃度鉱石スラリーに添加されるように該凝集剤の添加量を調整し、該凝集剤が分子量8×10 ~20×10 のポリアクリルアミドであることを特徴とする。
本発明によれば、湿式製錬法が有する鉱石前処理工程において処理される鉱石品位が変化しても、安定した固形分濃度を有する高濃度鉱石スラリーを得ることができる。
本発明のニッケル酸化鉱石の前処理方法の実施形態を含んだ湿式製錬法の工程フロー図である。 本発明の実施例のニッケル酸化鉱石の前処理方法においてニッケル酸化鉱石を凝集剤と共にシックナーに導入して沈降濃縮させた際の、該凝集剤の添加量と高濃度鉱石スラリーの固形分濃度との関係を表すグラフである。
1.湿式製錬法
先ず、本発明の実施形態に係るニッケル酸化鉱石スラリーの前処理方法を含む湿式製錬法について、図1に示す高圧酸浸出工程を含んだ湿式製錬法を例に挙げて説明する。この図1に示す湿式製錬法は、原料としてのニッケル酸化鉱石を前処理することで所定の粒度を有するニッケル酸化鉱石を含んだ鉱石スラリーの調製を行う鉱石前処理工程S0と、該鉱石スラリーに硫酸を添加して高温高圧下で浸出処理を施すことで浸出スラリーを生成する浸出工程S1と、該浸出スラリーにpH調整剤を添加してpHを所定範囲内に調整する予備中和工程S2と、該pH調整された浸出スラリーを多段洗浄することでニッケル及びコバルトと共に不純物元素を含む浸出液を浸出残渣から分離する固液分離工程S3と、該浸出液に中和剤を添加することで不純物元素を含む中和澱物を生成し、これを分離除去してニッケル及びコバルトと共に亜鉛を含む中和終液を得る中和工程S4と、該中和終液に硫化剤を添加することで亜鉛硫化物を生成し、これを分離除去してニッケル及びコバルトを含むニッケル回収用母液を得る脱亜鉛工程S5と、該ニッケル回収用母液に硫化剤として硫化水素と水流化ナトリウムを添加することでニッケル及びコバルトを含むNiCo混合硫化物を生成した後、固液分離により該NiCo混合硫化物を回収するニッケル回収工程S6と、該ニッケル回収工程S6の固液分離により液相側に排出されるニッケル回収終液に酸化性スラリーを所定量添加して硫化剤の分解処理を行う硫化剤除去工程S7と、該分解処理により排出される貧液を上記固液分離工程S3から排出される浸出残渣と共に無害化処理する最終中和工程S8とを有している。本発明の実施形態の調製方法は、上記の鉱石前処理工程S0から最終中和工程S8までの一連の工程を含む湿式製錬法のうち、鉱石前処理工程S0に関するものである。以下、この鉱石前処理工程S0について詳細に説明する。
2.鉱石前処理工程
鉱石前処理工程S0では、原料としてのニッケル酸化鉱石を粉砕・解砕した後、水を加えて湿式分級する選別工程S0と、該湿式分級の篩下側に回収した低濃度鉱石スラリーを沈降濃縮することで高濃度鉱石スラリーを得る濃縮工程S0とから構成される。具体的には、先ず原料として用意したニッケル酸化鉱石に対して、例えば蛍光X線分析装置を用いてNi品位、Fe品位等を定量分析し、原料として適切な鉱石を選別する。これにより、Niをほとんど含まない鉱石や、不純物品位が規定値よりも高い鉱石が除外される。上記の不適切な鉱石が除去された後の適切な鉱石を一旦ホッパーに投入して貯留した後、該ホッパーの底部から一定量を抜き出しながら目開き100mm程度の固定篩を用いて先ず大塊を除外し、最終的に目開き1mm程度の湿式篩で篩別するまで必要に応じて固定篩や振動篩を数段経由させる。これにより、該湿式篩の篩下側に、所定の粒度を有するニッケル酸化鉱石を含む固形分濃度10~20質量%程度の低濃度鉱石スラリーが回収される。
次に、得られた低濃度鉱石スラリーの比重と固形分濃度をそれぞれ測定すると共に、蛍光X線分析装置を用いて該低濃度鉱石スラリーのNi品位とFe品位を定量分析し、必要に応じてその他の不純物品位も定量分析する。その後、該低濃度鉱石スラリーをスラリーポンプを介してシックナーのフィードウェルに導入して沈降濃縮させる。この低濃度鉱石スラリーには、水で希釈することで濃度調整された凝集剤を凝集剤ポンプを用いて添加する。その際、所定の設定流量で凝集剤が供給されるように、上記凝集剤ポンプの吸込側又は吐出側に設けた流量計で流量を測定しながら添加する。
上記凝集剤と共に導入された低濃度鉱石スラリーは、シックナーの沈降分離槽内において重力沈降により濃縮され、レーキにより中央部にかき集められて濃縮した高濃度鉱石スラリーとして底部中央から排出される。一方、この高濃度鉱石スラリーから分離された上澄み液は、該沈降分離槽の上端部からオーバーフローにより排出される。このようにして底部中央から抜き出される高濃度鉱石スラリーは、定期的に又は必要に応じてサンプリングされ、その比重と固形分濃度がそれぞれ測定される。
上記の測定結果から把握されるシックナーにおける沈降濃縮の運転状態に基づいて、凝集剤の添加量の上記設定流量の変更を行う。例えば低濃度鉱石スラリーの固形分濃度に変動がないにも変わらず高濃度鉱石スラリーの固形分濃度が低下する傾向にある場合は、凝集剤の流量設定値を高めに変更することで管理する。なお、上記の蛍光X線分析装置による定量分析で得たNi品位、Fe品位、その他の不純物品位の結果に基づいて後工程の浸出工程S1における高圧酸浸出処理の際に添加する硫酸量が定められる。
上記凝集剤には分子量が8×10~20×10程度のポリアクリルアミドを使用するのが好ましい。この凝集剤の分子量が8×10未満では、凝集の効果が低くなってシックナー内で重力沈降に時間がかかりすぎるおそれがある。逆にこの分子量が20×10を超えると、凝集による濃縮の効果が高くなりすぎて、適切な粘度範囲に収まらなくなるおそれがある。
また、上記の凝集剤の水での希釈による濃度調整では、凝集剤の濃度が0.010~0.050質量%となるように濃度調整するのが好ましい。この濃度が0.010質量%未満では、シックナーの沈降分離槽に装入される総液量(低濃度鉱石スラリー+水で希釈された凝集剤)の量が多くなりすぎ、十分な滞留時間が得られなくなるおそれがある。逆に、この濃度が0.050質量%より高くなると、低濃度鉱石スラリー中に含まれるニッケル酸化鉱石粒子と凝集剤とが出会う機会が減少するので好ましくない。
上記の低濃度鉱石スラリーに含まれるニッケル酸化鉱石のFe品位は、一般的には48%以上53%以下の範囲内で推移している。そこで、本発明の実施形態の鉱石前処理工程S0においては、該ニッケル酸化鉱石のFe品位が50%未満の場合は該ニッケル酸化鉱石1トン当たり凝集剤を110~130g添加し、該Fe品位が50%以上の場合は該ニッケル酸化鉱石1トン当たり凝集剤を160~170g添加するように凝集剤の添加量を調整するのが好ましい。これにより、シックナーの沈降分離槽の底部中央から抜き出される高濃度鉱石スラリーの固形分濃度をより安定させることが可能になる。
上記の凝集剤の添加量が170g/t-Ni酸化鉱石を超える場合、濃縮後の高濃度鉱石スラリーの粘度が上昇して例えば降伏応力が100Pa以上になり、沈降分離槽の底部中央から抜き出される高濃度鉱石スラリーをスラリーポンプで良好に送液できなくなったり、該沈降分離槽の底部中央のスラリー抜出配管において閉塞しやすくなったりする等の弊害が生じるおそれがある。なお、上記のように低濃度鉱石スラリーに含まれるニッケル酸化鉱石粒子のFe品位の高低に応じてその凝集性に差違が生じる理由としては、Fe品位が高いと、より微細な鉱石が含まれる割合が高くなるためと発明者は考えている。
3.浸出工程
上記したように、鉱石前処理工程S0の濃縮工程S0において沈降分離槽の底部中央から抜き出される高濃度鉱石スラリーはスラリーポンプで昇圧され、オートクレーブと称する圧力容器に硫酸と共に装入され、後工程の浸出工程S1が施される。具体的には、オートクレーブ内において攪拌されながら3~4.5MPaG程度、220~280℃程度の高温高圧条件下で高圧酸浸出処理が施され、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーが生成される。この浸出工程S1によって得られた浸出スラリーに対して、前述したように、予備中和工程S2からニッケル回収工程S6までの一連の湿式処理を施すことで、ニッケルコバルト混合硫化物が生成される。
上記のように、湿式製錬法によるニッケルコバルト混合硫化物の生成では、鉱石前処理工程S0において調製される高濃度鉱石スラリーの固形分濃度は、ニッケルコバルト混合硫化物の生産性及び製造コストを左右するので重要な要件のうちの1つである。すなわち、高濃度鉱石スラリーの固形分濃度が高ければ高いほど、浸出工程S1においてオートクレーブに装入するNi量を増やすことができるので、ニッケルコバルト混合硫化物の生産性を高めることができる。
一般的には、浸出工程S1において、鉱石スラリー中の遊離酸濃度を比較的高めの例えば30~60g/L程度に設定するのが好ましく、これによりニッケル等の有価金属を効率よく浸出させることができる。この場合、上記した高濃度鉱石スラリーの固形分濃度が高ければ、オートクレーブ内における滞留時間を長時間確保することができるので、遊離酸濃度が比較的低い場合であってもニッケルの浸出率を向上させることができる。但し、高濃度鉱石スラリーの固形分濃度が高すぎると、オートクレーブに装入する該高濃度鉱石スラリーをスラリーポンプで送液するのが困難になるおそれがある。従って、一般的には高濃度鉱石スラリーの固形分濃度は、40~50質量%の範囲内にあるのが好ましい。
なお、この浸出工程S1における高圧酸浸出処理では、浸出反応と高温熱加水分解反応が生じ、ニッケル酸化鉱石からのニッケル、コバルト等の金属元素の硫酸塩としての浸出と、浸出された硫酸鉄のヘマタイトとしての固定化が行われる。その際、鉄イオンの固定化は完全には進行しないため、通常、得られる浸出スラリーの液相部分には、ニッケル、コバルト等のほかに2価と3価の鉄イオンが含まれる。
以上、本発明のニッケル酸化鉱石の前処理方法について実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更例や代替例を含みうるものである。すなわち、本発明の権利範囲は特許請求の範囲及びその均等の範囲に及ぶものである。次に、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
図1に示す湿式製錬法の工程フローのうち、鉱石前処理工程の工程フローに沿って、様々な組成のニッケル酸化鉱石を前処理して高濃度鉱石スラリーを調製した。具体的には、原料のニッケル酸化鉱石を解砕した後、水を加えて湿式分級により篩下側に回収した低濃度鉱石スラリーと凝集剤とをシックナーに導入し、沈降濃縮を行った。その際、凝集剤の添加量も様々に変えながら添加した。なお、凝集剤には、分子量8×10~20×10を持つ高分子凝集剤を、水で0.2~0.3 質量%程度に希釈したものを用いた。また、該低濃度鉱石スラリー中の固形分を構成するニッケル酸化鉱石のFe品位は、蛍光X線分析装置で測定した。
上記のように様々な条件で前処理した際の、凝集剤と高濃度鉱石スラリーの固形分濃度の関係を図1に示す。この図1から、ニッケル酸化鉱石のFe品位が50%未満の場合は、シックナーに導入したニッケル酸化鉱石1トン当たり凝集剤を110~130g添加したときに高濃度鉱石スラリーの固形分濃度が最大となることが分かる。また、該ニッケル酸化鉱石1トン当たり130gを超えて凝集剤を添加しても、高濃度鉱石スラリーの固形分濃度はほとんど上昇しないことが分かる。
一方、ニッケル酸化鉱石のFe品位が50%以上の場合は、シックナーに導入したニッケル酸化鉱石1トン当たり凝集剤の添加量を160~170gまで上昇させると、高濃度鉱石スラリーの固形分濃度を高めることができることが分かる。上述のように、使用する鉱石原料のFe品位に応じて凝集剤の添加量を変更することで、高い固形分濃度を有する高濃度鉱石スラリーを安定的に得ることが可能となる。
S0 選別工程
S0 濃縮工程
S0 鉱石前処理工程
S1 浸出工程
S2 予備中和工程
S3 固液分離工程
S4 中和工程
S5 脱亜鉛工程
S6 ニッケル回収工程
S7 化剤除去工程
S8 最終中和工程

Claims (4)

  1. 湿式製錬法によりニッケルコバルト混合硫化物を生成する際の原料として用いるニッケル酸化鉱石の前処理方法であって、鉱石原料を粉砕及び/又は解砕した後に水を加えて湿式分級を行う選別工程と、該湿式分級の篩下側に回収される所定の粒度を有するニッケル酸化鉱石を含んだ低濃度鉱石スラリーを沈降濃縮することで高濃度鉱石スラリーを得る濃縮工程とからなり、前記ニッケル酸化鉱石のFe品位が50%未満の場合は該ニッケル酸化鉱石1トン当たり110~130gの凝集剤が該低濃度鉱石スラリーに添加されるように該凝集剤の添加量を調整し、該Fe品位が50%以上の場合は該ニッケル酸化鉱石1トン当たり160~170gの凝集剤が該低濃度鉱石スラリーに添加されるように該凝集剤の添加量を調整し、該凝集剤が分子量8×10 ~20×10 のポリアクリルアミドであることを特徴とするニッケル酸化鉱石の前処理方法。
  2. 前記湿式製錬法は、前記高濃度鉱石スラリーに対して高圧酸浸出処理を施し、得られた浸出液に硫化水素を添加することでニッケルコバルト混合硫化物を生成するものであることを特徴とする、請求項に記載のニッケル酸化鉱石の前処理方法。
  3. 前記低濃度鉱石スラリーの固形分濃度が10~20質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のニッケル酸化鉱石の前処理方法。
  4. 前記凝集剤は、水で0.010~0.050質量%に濃度調整されたものであることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のニッケル酸化鉱石の前処理方法。
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