(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」について適宜言及する。これらの方向は、図1に示す車両1について設定された相対的な方向である。ここで、「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。尚、図1では、「上下方向」については図示されていないが、上下方向は、左右方向及び前後方向に直交する方向である。
最初に、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る車両用照明システム4(以下、単に「照明システム4」という。)について以下に説明する。図1は、照明システム4が搭載された車両1の平面図である。車両1は、自動運転モードで走行可能な車両(自動車)であって、照明システム4を備える。照明システム4は、照明ユニット42と、照明制御部43とを備える(図2参照)。照明ユニット42は、例えば、車両1の車体ルーフ110A上に配置されており、車両1の外部に向けて光パターン(特に、レーザ光によって路面上に形成される光パターン)を照射するように構成されている。
照明ユニット42は、例えば、レーザ光を出射するように構成されたレーザ光源と、レーザ光源から出射されたレーザ光を偏向するように構成された光偏向装置と、レンズ等の光学系とを備える。レーザ光源は、例えば、赤色レーザ光と、緑色レーザ光と、青色レーザ光をそれぞれ出射するように構成されたRGBレーザ光源である。光偏向装置は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー、ガルバノミラー、ポリゴンミラー等である。照明ユニット42は、後述するように、レーザ光を走査することで光パターン(例えば、図5に示す文字情報を示す光パターンM1や図6に示す図形情報を示す光パターンM2)を他車両(特に、対向車)に向けて視覚的に提示する。特に、照明ユニット42は、レーザ光を走査することで、光パターンを対向車の前方の路面上に視覚的に提示する。レーザ光源がRGBレーザ光源である場合、照明システム4は、様々な色の光パターンを道路上に描画することが可能となる。
尚、本実施形態では、単一の照明ユニット42が車体ルーフ110A上に配置されているが、照明ユニット42は、対象物に向けて光パターンを照射することが可能である限りにおいて、照明ユニット42の数、配置、形状等は特に限定されない。例えば、照明ユニット42の数が2つである場合、2つの照明ユニット42の一方が左側ヘッドランプ20Lに搭載されると共に、他方が右側ヘッドランプ20R内に搭載されてもよい。また、照明ユニット42の数が4つである場合、左側ヘッドランプ20L、右側ヘッドランプ20R、左側リアコンビネーションランプ30L及び右側リアコンビネーションランプ30R内に1つの照明ユニット42が搭載されてもよい。また、照明ユニット42の描画方式は、DLP(Digital Light Processing)方式又はLCOS(Liquid Crystal on Silicon)方式であってもよい。この場合、光源としてレーザの代わりにLEDが使用される。
次に、図2を参照して車両1の車両システム2について説明する。図2は、車両システム2のブロック図を示している。図2に示すように、車両システム2は、車両制御部3と、照明システム4と、センサ5と、カメラ6と、レーダ7と、HMI(Human Machine Interface)8と、GPS(Global Positioning System)9と、無線通信部10と、記憶装置11とを備える。さらに、車両システム2は、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備える。
車両制御部3は、車両1の走行を制御するように構成されている。車両制御部3は、例えば、少なくとも一つの電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステム(例えば、SoC(System on a Chip)等)と、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子から構成される電子回路を含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)及び/又はTPU(Tensor Processing Unit)である。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)を含む。ROMには、車両制御プログラムが記憶されてもよい。例えば、車両制御プログラムは、自動運転用の人工知能(AI)プログラムを含んでもよい。AIプログラムは、多層のニューラルネットワークを用いた教師有り又は教師なし機械学習(特に、ディープラーニング)によって構築されたプログラムである。RAMには、車両制御プログラム、車両制御データ及び/又は車両の周辺環境を示す周辺環境情報が一時的に記憶されてもよい。プロセッサは、ROMに記憶された各種車両制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。また、コンピュータシステムは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の非ノイマン型コンピュータによって構成されてもよい。さらに、コンピュータシステムは、ノイマン型コンピュータと非ノイマン型コンピュータの組み合わせによって構成されてもよい。
照明システム4は、車両1の外部(他車両等)に向けてレーザ光(光パターン)を照射するように構成されており、照明ユニット42と、照明制御部43とを備える。照明制御部43は、照明ユニット42の駆動を制御するように構成されており、電子制御ユニット(ECU)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステム(例えば、SoC等)と、照明ユニット42のレーザ光源の駆動を制御するように構成されたレーザ光源制御回路(アナログ処理回路)と、照明ユニット42の光偏向装置の駆動を制御するように構成された光偏向装置制御回路(アナログ処理回路)とを備える。プロセッサは、例えば、CPU、MPU、GPU及び/又はTPUである。メモリは、ROMと、RAMを含む。また、コンピュータシステムは、ASICやFPGA等の非ノイマン型コンピュータによって構成されてもよい。本実施形態では、車両制御部3と照明制御部43は、別個の構成として設けられているが、車両制御部3と照明制御部43は一体的に構成されてもよい。この点において、照明制御部43と車両制御部3は、単一の電子制御ユニットにより構成されていてもよい。
例えば、照明制御部43のコンピュータシステムは、車両制御部3から送信された指示信号に基づいて、車両1の外部に照射される光パターンを特定した上で、当該特定された光パターンを示す信号をレーザ光源制御回路及び光偏向装置制御回路に送信する。レーザ光源制御回路は、光パターンを示す信号に基づいて、レーザ光源の駆動を制御するための制御信号を生成した上で、当該生成された制御信号を照明ユニット42のレーザ光源に送信する。一方、光偏向装置制御回路は、光パターンを示す信号に基づいて、光偏向装置の駆動を制御するための制御信号を生成した上で、当該生成された制御信号を照明ユニット42の光偏向装置に送信する。このようにして、照明制御部43は、照明ユニット42の駆動を制御することができる。
センサ5は、加速度センサ、速度センサ及びジャイロセンサ等を備える。センサ5は、車両1の走行状態を検出して、走行状態情報を車両制御部3に出力するように構成されている。センサ5は、運転者が運転席に座っているかどうかを検出する着座センサ、運転者の顔の方向を検出する顔向きセンサ、外部天候状態を検出する外部天候センサ及び車内に人がいるかどうかを検出する人感センサ等をさらに備えてもよい。
カメラ6は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(相補型MOS)等の撮像素子を含むカメラである。カメラ6は、左側ヘッドランプ20L及び右側ヘッドランプ20R中に搭載されてもよい。例えば、図1に示すように、カメラ6は、左側ヘッドランプ20Lに搭載されると共に、車両1の前方領域を撮像するように構成された左前方カメラ60Lと、左側ヘッドランプ20Lに搭載されると共に、車両1の側方領域を撮像するように構成された左側方カメラ62Lとを備えてもよい。さらに、カメラ6は、右側ヘッドランプ20Rに搭載されると共に、車両1の前方領域を撮像するように構成された右前方カメラ60Rと、右側ヘッドランプ20Rに搭載されると共に、車両1の側方領域を撮像するように構成された右側方カメラ62Rとを備えてもよい。
レーダ7は、ミリ波レーダ、マイクロ波レーダ及び/又はレーザーレーダ(例えば、LiDAR)等である。カメラ6及び/又はレーダ7は、車両1の周辺環境(他車、歩行者、道路形状、交通標識、障害物等)を検出し、車両1の周辺環境を示す周辺環境情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
HMI8は、運転者からの入力操作を受付ける入力部と、走行情報等を運転者に向けて出力する出力部とから構成される。入力部は、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、車両1の運転モードを切替える運転モード切替スイッチ等を含む。出力部は、各種走行情報を表示するディスプレイである。GPS9は、車両1の現在位置情報を取得し、当該取得された現在位置情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
無線通信部10は、車両1の周囲にいる他車に関する情報(例えば、走行情報等)を他車から受信すると共に、車両1に関する情報(例えば、走行情報等)を他車に送信するように構成されている(車車間通信)。また、無線通信部10は、信号機や標識灯等のインフラ設備からインフラ情報を受信すると共に、車両1の走行情報をインフラ設備に送信するように構成されている(路車間通信)。また、無線通信部10は、歩行者が携帯する携帯型電子機器(スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス等)から歩行者に関する情報を受信すると共に、車両1の自車走行情報を携帯型電子機器に送信するように構成されている(歩車間通信)。車両1は、他車両、インフラ設備又は携帯型電子機器とアドホックモードにより直接通信してもよいし、アクセスポイントを介して通信してもよい。さらに、車両1は、図示しないインターネット等の通信ネットワークを介して他車両、インフラ設備又は携帯型電子機器と通信してもよい。無線通信規格は、例えば、Wi-Fi(登録商標),Bluetooth(登録商標),ZigBee(登録商標)、LPWA、DSRC(登録商標)又はLi-Fiである。また、車両1は、他車両、インフラ設備又は携帯型電子機器と第5世代移動通信システム(5G)を用いて通信してもよい。
記憶装置11は、ハードディスクドライブ(HDD)やSSD(Solid State Drive)等の外部記憶装置である。記憶装置11には、2D又は3Dの地図情報及び/又は車両制御プログラムが記憶されてもよい。例えば、3Dの地図情報は、点群データによって構成されてもよい。記憶装置11は、車両制御部3からの要求に応じて、地図情報や車両制御プログラムを車両制御部3に出力するように構成されている。地図情報や車両制御プログラムは、無線通信部10とインターネット等の通信ネットワークを介して更新されてもよい。
車両1が自動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等に基づいて、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号のうち少なくとも一つを自動的に生成する。ステアリングアクチュエータ12は、ステアリング制御信号を車両制御部3から受信して、受信したステアリング制御信号に基づいてステアリング装置13を制御するように構成されている。ブレーキアクチュエータ14は、ブレーキ制御信号を車両制御部3から受信して、受信したブレーキ制御信号に基づいてブレーキ装置15を制御するように構成されている。アクセルアクチュエータ16は、アクセル制御信号を車両制御部3から受信して、受信したアクセル制御信号に基づいてアクセル装置17を制御するように構成されている。このように、自動運転モードでは、車両1の走行は車両システム2により自動制御される。
一方、車両1が手動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、アクセルペダル、ブレーキペダル及びステアリングホイールに対する運転者の手動操作に従って、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号を生成する。このように、手動運転モードでは、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号が運転者の手動操作によって生成されるので、車両1の走行は運転者により制御される。
次に、車両1の運転モードについて説明する。運転モードは、自動運転モードと手動運転モードとからなる。自動運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードとからなる。完全自動運転モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはない。高度運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはあるものの車両1を運転しない。運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御のうち一部の走行制御を自動的に行うと共に、車両システム2の運転支援の下で運転者が車両1を運転する。一方、手動運転モードでは、車両システム2が走行制御を自動的に行わないと共に、車両システム2の運転支援なしに運転者が車両1を運転する。
また、車両1の運転モードは、運転モード切替スイッチを操作することで切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、運転モード切替スイッチに対する運転者の操作に応じて、車両1の運転モードを4つの運転モード(完全自動運転モード、高度運転支援モード、運転支援モード、手動運転モード)の間で切り替える。また、車両1の運転モードは、自動運転車が走行可能である走行可能区間や自動運転車の走行が禁止されている走行禁止区間についての情報または外部天候状態についての情報に基づいて自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、これらの情報に基づいて車両1の運転モードを切り替える。さらに、車両1の運転モードは、着座センサや顔向きセンサ等を用いることで自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、着座センサや顔向きセンサからの出力信号に基づいて、車両1の運転モードを切り替える。
次に、図3及び図4を参照して本実施形態に係る照明システム4の制御方法の一例について以下に説明する。図3は、対向車1Aの停止を促すための情報を対向車1Aに向けて視覚的に提示するための処理の一例を説明するためのフローチャートである。図4は、狭い道路R上を走行している車両1(自車)と対向車1Aを示す図である。本説明では、車両1は、自動運転モードで走行中であるものとする。対向車1Aは、手動運転車であっても自動運転車であってもよい。
図3に示すように、最初に、車両1の車両制御部3は、カメラ6から取得された画像データ及び/又はレーダ7から取得された検出データ(例えば、点群データ等)に基づいて、車両1の前方領域に存在する対向車1Aを検出する(ステップS1)。次に、ステップS2において、車両制御部3は、カメラ6(特に、左前方カメラ60L、右前方カメラ60R)から取得された画像データ及び/又はレーダ7から取得された検出データに基づいて、対向車1Aの車幅w1(図4参照)を特定する。ここで、対向車1Aの車幅w1とは、対向車1Aの左端から右端までの距離として規定されてもよい。特に、対向車1Aがサイドミラーを備えている場合には、対向車1Aの車幅w1は、対向車1Aの左サイドミラーの端部から対向車1Aの右サイドミラーの端部までの距離として規定されてもよい。
次に、ステップS3において、車両制御部3は、カメラ6(特に、対向車側である右側方カメラ62R)から取得された画像データ及び/又はレーダ7から取得された検出データに基づいて、車両1(自車)の右側方領域における道路幅w2を特定する。ここで、右側方領域における道路幅w2とは、車両1の右端(車両1がサイドミラーを備えている場合には、右サイドミラーの端部)から右ガードレールG1までの距離として規定されてもよい。尚、道路R上にガードレールが設置されていない場合には、道路幅w2は、車両1の右端と障害物(例えば、民家の塀や電柱等)までの距離として規定されてもよい。
次に、ステップS4において、車両制御部3は、対向車1Aの車幅w1が車両1の右側方領域における道路幅w2以上であるかどうかを判定する。車両制御部3は、車幅w1が道路幅w2よりも小さいと判定した場合には(ステップS4でNO)、本処理を終了する。一方、車両制御部3は、車幅w1が道路幅w2以上であると判定した場合には(ステップS4でYES)、ステップS5の処理が実行される。
次に、ステップS5において、照明ユニット42は、レーザ光を対向車1Aに向けて照射することで、対向車1Aの停止を促すための情報(光パターン)を対向車1Aに向けて視覚的に提示する。特に、照明ユニット42は、レーザ光を対向車1Aの前方の路面上に向けて照射することで、対向車1Aの停止を促すための情報(光パターン)を対向車1Aの前方の路面上に描画する。対向車1Aの停止を促すための情報は、文字情報と図形情報のうちの少なくとも一つを含んでもよい。例えば、図5に示すように、照明ユニット42は、対向車1Aの停止を促すための情報として、文字情報「通行不可」を示す光パターンM1を対向車1Aの前方の路面上に描画してもよい。また、図6に示すように、照明ユニット42は、対向車1Aの停止を促すための情報として、停止線(図形情報の一例)を示す光パターンM2を対向車1Aの前方の路面上に描画してもよい。尚、対向車1Aの停止を促すための図形情報や文字情報は、図5及び図6に示した一例に限定されるものではない。
また、ステップS5の処理を具体的に説明すると、最初に、車両制御部3は、車幅w1が道路幅w2以上であると判定した場合に、対向車1Aの停止を促すための所定の光パターンの照射を指示する指示信号を生成した上で、当該指示信号と対向車1Aの位置情報を照明制御部43に送信する。次に、照明制御部43は、車両制御部3から受信した指示信号に従って、対向車1Aの停止を促すための所定の光パターンが対向車1Aの前方の路面上に描画されるように照明ユニット42を制御する。特に、照明ユニット42の光偏向装置は、レーザ光源から出射されたレーザ光を対向車1Aの前方の路面上に走査させる。この結果、所定の光パターンが対向車1Aの前方の路面上に描画される。
本実施形態によれば、車両1の前方の存在する対向車1Aの車幅w1と車両1の右側方領域における道路幅w2に基づいて、対向車1Aの走行支援に関連する情報として対向車1Aの停止を促すための情報が対向車1Aの前方の路面上に視覚的に提示される。このように、対向車1Aの乗員は、対向車1Aの停止を促すための情報を視覚的に認識することができるため、車車間のリッチな視覚的コミュニケーションを実現可能な照明システム4を提供することができる。
特に、本実施形態によれば、対向車1Aの車幅w1が道路幅w2以上である場合に、対向車1Aの停止を促すための情報が対向車1Aに向けて視覚的に提示される。このように、対向車1Aの乗員は、2つの車両がトラブル(2つの車両間の接触等)なしに互いにすれ違うために、対向車1Aが停止されるべきであることを認識することができる。従って、2つの車両のすれ違いが困難である状況において、車車間のリッチな視覚的コミュニケーションを実現することができる。
車両1は、対向車1Aの停止を促すための情報を対向車1Aに向けて視覚的に提示した後に、車両1の左端と左ガードレールG2との間隔を狭めることで、対向車1Aの車幅w1が道路幅w2よりも小さくなるように道路幅w2を増大させてもよい。その後、車両制御部3は、車幅w1が道路幅w2よりも小さくなったと判断した場合に、車両1は対向車1Aとすれ違ってもよい。一方、車両制御部3は、車両1の左端と左ガードレールG2との間隔を狭めることで道路幅w2を増大させても車両1と対向車1Aとのすれ違いが困難であると判断した場合、車両1を所定の退避場所まで後進させてもよい。
尚、本実施形態の説明では、ステップS4の処理は車両制御部3によって実行されているが、ステップS4の処理は照明制御部43によって実行されてもよい。この場合、車両制御部3は、対向車1Aの車幅w1に関する情報と道路幅w2に関する情報を照明制御部43に送信してもよい。さらに、ステップS4の処理では、対向車1Aの車幅w1が道路幅w2以上であるかどうかが判定されているが、本実施形態はこれには限定されない。例えば、車幅w1に所定のマージンαを加えることで得られる値(w1+α)が道路幅w2以上であるかどうかが判定されてもよい。ここで、マージンαは、道路環境、車種及び/又は自動運転モード等の条件に応じて適宜設定されてもよい。
また、本実施形態では、照明システム4は、対向車1Aの停止を促すための情報を対向車1Aに向けて視覚的に提示しているが、対向車1Aの停止を促すための情報以外の対向車1Aの走行支援に関連する情報を対向車1Aに向けて視覚的に提示してもよい。例えば、照明システム4は、車両1と対向車1Aとのすれ違いの難易度を示す情報を対向車1Aに向けて提示してもよい。車両1と対向車1Aとのすれ違いの難易度を示す情報の一例としては、複数の星印を示す図形情報が路面上に描画されてもよい。例えば、すれ違いの難易度が最も高い場合には、5つの塗り潰しの星印が路面上に描画されてもよい。反対に、すれ違いの難易度が最も低い場合には、4つの白抜きの星印と1つの塗り潰しの星印が路面上に描画されてもよい。さらに、照明システム4は、対向車1Aの停止を促すための情報と共に対向車1Aの車幅w1を示す数値情報を路面上に描画してもよい。また、照明システム4は、対向車1Aの車幅w1に所定のマージンαを追加することで得られる数値情報(w1+α)を路面上に描画してもよい。
また、ステップS5において、照明制御部43は、GPS9から取得された車両1の現在位置に関する情報に基づいて、対向車1Aの走行支援に関連する文字情報(対向車1Aの停止を促すための文字情報を含む。)の表示言語を決定してもよい。その後、照明制御部43は、決定された表示言語で対向車1Aの走行支援に関連する文字情報が対向車1Aに向けて視覚的に提示されるように照明ユニット42を制御してもよい。例えば、車両1が日本国に位置する場合には、対向車1Aの停止を促すための文字情報として「通行不可」(日本語)を示す光パターンが路面上に描画されてもよい。さらに、車両1が英語圏に位置する場合には、「No traffic」(英語)を示す光パターンが路面上に描画されてもよい。また、車両1がフランス語圏に位置する場合には、「Pas de trafic」(フランス語)を示す光パターンが路面上に描画されてもよい。この場合、表示言語毎の対向車の停止を促すための文字情報を示す光パターンのレーザ描画データが照明制御部43のメモリに記憶されてもよい。
このように、車両1の現在位置に基づいて、対向車1Aの走行支援に関連する文字情報の表示言語が決定された上で、当該決定された表示言語で当該文字情報が対向車1Aに向けて視覚的に提示される。したがって、文字情報の表示言語が車両1の現在位置に関連付けられているため、対向車1Aの乗員が車両1によって視覚的に提示された文字情報を理解できる可能性を増大させることができる、このように、車車間のリッチな視覚的コミュニケーションを実現可能となる。
さらに、ステップS5では、照明ユニット42は、複数の表示言語で対向車1Aの走行支援に関連する文字情報を対向車1Aに向けて視覚的に提示してもよい。例えば、車両1が日本国に位置する場合には、照明ユニット42は、最初に、対向車1Aの停止を促すための文字情報として「通行不可」(日本語)を示す光パターンを路面上に描画する。その後、所定期間が経過した後に、照明ユニット42は、対向車1Aの停止を促すための文字情報として「No traffic」(英語)を示す光パターンを路面上に描画してもよい。また、複数の表示言語で示された文字情報が所定の周期で切り替えられてもよいし、複数の表示言語で示された文字情報が同時に路面上に表示されてもよい。
このように、複数の表示言語で対向車1Aの走行支援に関連する文字情報が対向車1Aに向けて視覚的に提示されるので、対向車1Aの乗員が対向車の走行支援に関連する文字情報を理解できる可能性を増大させることができる。特に、複数の言語が使用される地域の場合、対向車1Aの走行支援に関連する文字情報が複数の表示言語で視覚的に提示されることが好ましい。
また、対向車1Aが無線通信機能を備えている場合には、ステップS5において、照明制御部43又は車両制御部3は、無線通信部10を介して対向車1Aの走行支援に関連する情報(対向車1Aの停止を促すための情報を含む。)を対向車1Aに無線送信してもよい。この場合、車両1は、アドホックモードにより対向車1Aに直接的に当該情報を送信してもよいし、アクセスポイントを介して対向車1Aに当該情報を送信してもよい。また、車両1は、インターネット等の通信ネットワークを介して当該情報を通信ネットワーク上に存在するサーバに送信してもよい。この場合、対向車1Aは、当該サーバに定期的にアクセスすることで、車両1から送信された上記情報を取得してもよい。対向車1Aは、車両1から送信された情報を視覚的又は聴覚的に対向車1Aの乗員に提示してもよい。具体的には、対向車1Aの車内に設置された表示装置は、車両1から送信された情報を表示してもよい。また、対向車1Aの車内に設置された車内スピーカは、車両1から送信された情報を音声案内として出力してもよい。
このように、対向車1Aの走行支援に関連する情報が対向車1Aに向けて視覚的に提示されると共に、当該情報が対向車1Aに無線送信されるため、無線通信機能を備えた対向車1Aの乗員が当該情報を認識することができる可能性を増大させることができる。このため、車車間のリッチなコミュニケーションが実現可能となる。
また、本実施形態では、対向車1Aの走行支援に関連する情報(対向車1Aの停止を促すための情報を含む。)として光パターンが対向車1Aの前方の路面上に描画されているが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、光パターンが対向車1Aの車体の一部(例えば、フロントガラス等)に描画されてもよい。この場合、対向車1Aのフロントガラスは、HUD(Head-Up Display)用のフロントガラスであって、2枚のガラス板と、2枚のガラス板の間に設けられた蛍光体材料からなる発光層を含んでもよい。また、照明ユニット42のレーザ光源は、短波長帯(例えば、波長λ=350nm~410nm)のレーザ光を照射するように構成されてもよい。短波長帯のレーザ光が対向車1Aのフロントガラスに照射されることで、フロントガラスの発光層が発光し、所定の光パターンがフロントガラス上に形成される。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「上下方向」、「前後方向」について適宜言及する。これらの方向は、図7に示す車両100について設定された相対的な方向である。ここで、「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。前後方向は、図7では示されていないが、左右方向及び上下方向に直交する方向である。
最初に、図7及び図8を参照して、本実施形態に係る車両用照明システム104(以下、単に「照明システム104」という。)について以下に説明する。図7は、照明システム104が搭載された車両100の正面図である。図8は、照明システム104を有する車両システム102のブロック図である。車両100は、自動運転モードで走行可能な車両(自動車)であって、車両システム102を備える。
図7及び図8に示すように、照明システム104は、第1照明ユニット144と、第2照明ユニット142と、第1照明制御部147と、第2照明制御部145とを備える。第1照明ユニット144は、歩行者や他車両等の対象物と車両100との間の視覚的コミュニケーションを支援するためのランプであって、車両100の外部に向けて視覚的にメッセージを提示するように構成されている。第1照明ユニット144は、左側コミュニケーション支援ランプ140L(以下、単に「左側CSL140L」という。)と、右側コミュニケーション支援ランプ140R(以下、単に「右側CSL140R」という。)を備える。
左側CSL140Lは、車両100の外部に向けて光を出射するように構成されており、車両100の前方から視認可能なように車両100の左前側に搭載された左側ヘッドランプ120Lの灯室内に配置されている。左側ヘッドランプ120Lの灯室は、ランプハウジング(図示せず)と、当該ランプハウジングに接続された透光カバー(図示せず)により形成されている。左側CSL140Lは、車両100の左右方向に延びるように配置されており、6つの発光セグメント143Lを有する。6つの発光セグメント143Lは、車両100の左右方向に並んで配置される。特に、図9に示すように、各発光セグメント143Lは、赤色光を出射するように構成された赤色LED400aと、緑色光を出射するように構成された緑色LED400bと、青色光を出射するように構成された青色LED400cとを有する。以降では、説明の便宜上、赤色LED400aと、緑色LED400bと、青色LED400cを総称して単にLED400という場合がある。左側ヘッドランプ120Lは、ロービームを車両100の前方に向けて出射するように構成されたロービームランプ160Lと、ハイビームを車両100の前方に向けて出射するように構成されたハイビームランプ170Lとを有する。
右側CSL140Rは、車両100の外部に向けて光を出射するように構成されており、車両100の前方から視認可能なように車両100の右前側に搭載された右側ヘッドランプ120Rの灯室内に配置されている。右側ヘッドランプ120Rの灯室は、ランプハウジング(図示せず)と、当該ランプハウジングに接続された透光カバー(図示せず)により形成されている。右側CSL140Rは、車両100の左右方向に延びるように配置されており、6つの発光セグメント143Rを有する。6つの発光セグメント143Rは、車両100の左右方向に並んで配置される。各発光セグメント143Rは、赤色LED400aと、緑色LED400bと、青色LED400cを有する(図9参照)。右側ヘッドランプ120Rは、ロービームを車両100の前方に向けて出射するように構成されたロービームランプ160Rと、ハイビームを車両100の前方に向けて出射するように構成されたハイビームランプ170Rとを有する。
尚、左側CSL140Lと右側CSL140Rの配置場所は、車両100の前方から視認可能である限りにおいて、特に限定されない。例えば、左側CSL140Lは、左側ヘッドランプ120Lの外側の領域(例えば、左側ヘッドランプ120Lの付近)に配置されてもよいし、車両100のグリル140上に配置されてもよい。右側CSL140Rは、右側ヘッドランプ120Rの外側の領域(例えば、右側ヘッドランプ120Rの付近)に配置されてもよいし、グリル140上に配置されてもよい。また、本実施形態では、左側CSL140Lは、6つの発光セグメント143Lを有しているが、発光セグメント143Lの数は特に限定されるものではない。同様に、右側CSL140Rは、6つの発光セグメント143Rを有しているが、発光セグメント143Rの数は特に限定されるものではない。
第2照明ユニット142は、例えば、車両100の車体ルーフ160上に配置されており、車両100の外部(特に、車両100の外部に存在する対象物)に向けて光パターン(特に、レーザ光によって路面上に形成される光パターン)を照射するように構成されている。第2照明ユニット142は、例えば、レーザ光を出射するように構成されたレーザ光源と、レーザ光源から出射されたレーザ光を偏向するように構成された光偏向装置と、レンズ等の光学系部材とを備える。レーザ光源は、例えば、赤色レーザ光と、緑色レーザ光と、青色レーザ光をそれぞれ出射するように構成されたRGBレーザ光源である。光偏向装置は、例えば、MEMSミラー、ガルバノミラー、ポリゴンミラー等である。第2照明ユニット142は、後述するように、レーザ光を走査することで光パターンを対象物に向けて視覚的に提示する。特に、第2照明ユニット142は、レーザ光を走査することで、光パターンを対象物の周辺の路面上に描画する。レーザ光源がRGBレーザ光源である場合、第2照明ユニット142は、様々な色の光パターンを道路上に描画することが可能となる。
尚、本実施形態では、単一の第2照明ユニット142が車体ルーフ160上に配置されているが、第2照明ユニット142が対象物に向けて光パターンを照射することが可能である限りにおいて、第2照明ユニット142の数、配置、形状等は特に限定されない。例えば、第2照明ユニット142の数が2つである場合、2つの第2照明ユニット142の一方が左側ヘッドランプ120L内に搭載されると共に、他方が右側ヘッドランプ120R内に搭載されてもよい。また、第2照明ユニット142の数が4つである場合、左側ヘッドランプ120L、右側ヘッドランプ120R、左側リアコンビネーションランプ(図示せず)及び右側リアコンビネーションランプ(図示せず)内に1つの第2照明ユニット142が搭載されてもよい。また、第2照明ユニット142の描画方式は、DLP方式又はLCOS方式であってもよい。この場合、光源としてレーザの代わりにLEDが使用される。
次に、図8を参照して車両100の車両システム102について説明する。図8は、車両システム102のブロック図を示している。図8に示すように、車両システム102は、車両制御部103と、照明システム104と、センサ5と、カメラ6と、レーダ7と、HMI8と、GPS9と、無線通信部10と、記憶装置11とを備える。さらに、車両システム102は、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備える。
車両制御部103は、車両100の走行を制御するように構成されている。車両制御部103は、例えば、少なくとも一つの電子制御ユニット(ECU)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステム(例えば、SoC等)と、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子から構成される電子回路を含む。プロセッサは、例えば、CPU、MPU、GPU及び/又はTPUである。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。メモリは、ROMと、RAMを含む。ROMには、車両制御プログラムが記憶されてもよい。例えば、車両制御プログラムは、自動運転用の人工知能(AI)プログラムを含んでもよい。AIプログラムは、多層のニューラルネットワークを用いた教師有り又は教師なし機械学習(特に、ディープラーニング)によって構築されたプログラムである。RAMには、車両制御プログラム、車両制御データ及び/又は車両の周辺環境を示す周辺環境情報が一時的に記憶されてもよい。プロセッサは、ROMに記憶された各種車両制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。また、コンピュータシステムは、ASICやFPGA等の非ノイマン型コンピュータによって構成されてもよい。さらに、コンピュータシステムは、ノイマン型コンピュータと非ノイマン型コンピュータの組み合わせによって構成されてもよい。
照明システム104は、既に説明したように、第1照明ユニット144と、第2照明ユニット142と、第1照明制御部147と、第2照明制御部145とを備える。第1照明制御部147は、第1照明ユニット144(特に、左側CSL140Lと右側CSL140R)を制御するように構成されている。特に、第1照明制御部147は、左側CSL140Lと右側CSL140Rの照明状態(例えば、照明色、照明強度、点滅周期、照明箇所、照明面積等)を変化させるように構成されている。
第1照明制御部147は、電子制御ユニット(ECU)により構成されており、図示しない電源に電気的に接続されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステム(例えば、SoC等)と、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子から構成されるアナログ処理回路とを含む。プロセッサは、例えば、CPU、MPU、GPU及び/又はTPUである。メモリは、ROMと、RAMを含む。また、コンピュータシステムは、ASICやFPGA等の非ノイマン型コンピュータによって構成されてもよい。アナログ処理回路は、左側CSL140Lと右側CSL140Rの駆動を制御するように構成されたランプ駆動回路(例えば、LEDドライバ等)を備える。
例えば、第1照明制御部147は、各発光セグメント143L,143Rの各LED400(図9参照)に電気的に接続されている。例えば、6つの発光セグメント143Lのうちの一つが赤色光を出射する場合、第1照明制御部147は当該一の発光セグメント143Lに属する赤色LED400aに電気信号(例えば、PWM信号)を供給する。その後、当該赤色LED400aは、第1照明制御部147から供給された電気信号に応じて、赤色光を出射する。このようにして、当該発光セグメント143Lから赤色光が出射される。また、6つの発光セグメント143Lの全てが白色光を出射する場合、第1照明制御部147は、各発光セグメント143Lに属する赤色LED400aと、緑色LED400bと、青色LED400cに電気信号を供給する。その後、赤色LED400aから出射された赤色光と、緑色LED400bから出射された緑色光と、青色LED400cから出射された青色光とを合成することで白色光が生成される。このようにして、6つの発光セグメント143Lの全てから白色光が出射される。また、第1照明制御部147は、各LED400に供給される電気信号を調整することで、各発光セグメント143Lから様々な色の光を出射させることが可能である。
このように、第1照明制御部147は、各発光セグメント143Lに属する各LED400を個別に点灯制御することで(つまり、各LED400に個別に電気信号を供給することで)、各発光セグメント143Lの照明状態(例えば、照明色、照明強度、点滅周期等)を変化させることができる。
第2照明制御部145は、第2照明ユニット142を制御するように構成されている。特に、第2照明制御部145は、第1照明ユニット144が車両100の外部に向けて視覚的にメッセージを提示する場合に、第2照明ユニット142が対象物に向けて光パターンを出射するように第1照明ユニット144を制御するように構成されている。
第2照明制御部145は、第2照明ユニット142の駆動を制御するように構成されており、電子制御ユニット(ECU)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステム(例えば、SoC等)と、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子から構成されるアナログ処理回路とを含む。プロセッサは、例えば、CPU、MPU、GPU及び/又はTPUである。メモリは、ROMと、RAMを含む。また、コンピュータシステムは、ASICやFPGA等の非ノイマン型コンピュータによって構成されてもよい。アナログ処理回路は、第2照明ユニット142のレーザ光源の駆動を制御するように構成されたレーザ光源制御回路と、第2照明ユニット142の光偏向装置の駆動を制御するように構成された光偏向装置制御回路とを備える。
例えば、第2照明制御部145のコンピュータシステムは、車両制御部103から送信された指示信号に基づいて、車両100の外部に照射される光パターンを特定した上で、当該特定された光パターンを示す信号をレーザ光源制御回路及び光偏向装置制御回路に送信する。レーザ光源制御回路は、光パターンを示す信号に基づいて、レーザ光源の駆動を制御するための制御信号を生成した上で、当該生成された制御信号をレーザ光源に送信する。一方、光偏向装置制御回路は、光パターンを示す信号に基づいて、光偏向装置の駆動を制御するための制御信号を生成した上で、当該生成された制御信号を光偏向装置に送信する。このようにして、第2照明制御部145は、第2照明ユニット142の駆動を制御することができる。
本実施形態では、第1照明制御部147と第2照明制御部145は、別個の構成として設けられているが、第1照明制御部147と第2照明制御部145は一体的に構成されてもよい。この点において、第1照明制御部147と第2照明制御部145は、単一の電子制御ユニットとして構成されていてもよい。さらに、車両制御部103と、第1照明制御部147と、第2照明制御部145が単一の電子制御ユニットとして構成されてもよい。
次に、図10から図13Bを参照して、照明システム104の動作フローの一例について以下に説明する。図10は、本実施形態に係る照明システム104の動作フローの一例を示すフローチャートである。図11は、車両100と歩行者Pとの間の距離DがD1のときの車両100が横断歩道Cの付近に存在する歩行者Pに向けて光パターンL1を出射する様子を示す図である。図12は、車両100と歩行者Pとの間の距離DがD2(<D1)のときの車両100が歩行者Pに向けて光パターンL1を出射する様子を示す図である。図13Aは、横断歩道Cの手前で停止した車両100と歩行者Pを示す図である。図13Bは、図13Aに示す状況における左側CSL140Lと右側CSL140Rの照明状態を示す図である。尚、以下では、説明の便宜上、交差点の周辺には対象物として歩行者Pのみが存在するものとする。
図10及び図11に示すように、最初に、車両制御部103は、車両100の前方の横断歩道Cの付近に歩行者Pが存在するかどうかを判定する(ステップS10)。特に、車両制御部103は、カメラ6及び/又はレーダ7によって取得された車両100の周辺環境を示す検出データに基づいて、横断歩道Cの付近に歩行者Pが存在するかどうかを判定する。ステップS10の判定結果がYESの場合、本処理はステップS12に進む。一方、ステップS10の判定結果がNOの場合、本処理を終了する。
次に、ステップS12において、車両制御部103は、カメラ6及び/レーダ7によって取得された検出データに基づいて、歩行者Pの位置情報を取得する。ここで、歩行者Pの位置情報は、車両100に対する歩行者Pの相対的な位置に関する情報である。
次に、ステップS13において、照明システム104の第2照明ユニット142は、図11に示すように、歩行者Pに向けて光パターンL1を出射する。特に、第2照明ユニット142は、レーザ光を歩行者Pの前方の路面上に向けて照射することで、歩行者Pの前方の路面上に光パターンL1を描画する。尚、本実施形態では、光パターンL1は、ライン状の光パターンであるが、光パターンの形状は特に限定されるものではない。例えば、光パターンは、サークル状の光パターンであってもよい。
ステップS13の処理を具体的に説明すると、最初に、車両制御部103は、光パターンL1の照射を指示する指示信号を生成した上で、当該指示信号と歩行者Pの位置情報を第2照明制御部145に送信する。次に、第2照明制御部145は、車両制御部103から受信した指示信号と歩行者Pの位置情報に従って、光パターンL1が歩行者Pの前方の路面上に描画されるように第2照明ユニット142を制御する。特に、第2照明ユニット142の光偏向装置は、レーザ光源から出射されたレーザ光を歩行者Pの前方の路面上に走査させる。この結果、光パターンL1が歩行者Pの前方の路面上に描画される。
尚、第2照明制御部145は、車両100が走行している路面の状態に応じて、光パターンL1を歩行者Pの周辺の路面に照射するか又は歩行者Pに直接照射するかを決定してもよい。例えば、路面が濡れていない場合には、第2照明ユニット142は、歩行者Pの周辺の路面上に光パターンL1を照射してもよい。一方、路面が濡れている場合には、第2照明ユニット142は、歩行者P(特に、歩行者Pの足元)に光パターンL1を直接照射してもよい。
次に、ステップS14において、車両制御部103は、センサ5によって取得された車両100の速度情報に基づいて、車両100が横断歩道Cの手前で停止したかどうかを判定する。車両制御部103は、車両100が横断歩道Cの手前で停止していないと判定した場合に(ステップS14でNO)、本処理はステップS12に戻る。このように、車両100の停止が判定されるまでステップS12からS14までの処理が繰り返し実行される。例えば、図11及び図12に示すように、車両100が横断歩道Cの手前で停止するまで、第2照明ユニット142は、歩行者Pの手前の路面上に光パターンL1を照射し続けてもよい。この場合、時間経過に伴い車両100に対する歩行者Pの相対的な位置(歩行者Pの位置情報)が変化するため、所定の周期で歩行者Pの位置情報が更新されると共に、更新された歩行者Pの位置情報が所定の周期で第2照明制御部145に送信されてもよい。
次に、車両制御部103は、車両100が横断歩道Cの手前で停止したと判定した場合に(ステップS14でYES)、歩行者Pが横断歩道Cを渡る方向(以下、進行方向という。)に従って、左側CSL140Lの6つの発光セグメント143Lと右側CSL140Rの6つの発光セグメント143Rのうち、点灯すべき発光セグメントを進行方向に沿って順次変化させる(ステップS15)。
具体的には、車両制御部103は、歩行者Pが車両100に対して左側に位置しているか又は右側に位置しているかを判定した上で、歩行者Pの進行方向を特定する。例えば、図13Aに示すように、歩行者Pが車両100に対して左側に位置している場合、車両制御部103は、歩行者Pの進行方向は車両100から見て右方向であると判定する。これとは反対に、歩行者Pが車両100に対して右側に位置している場合、車両制御部103は、歩行者Pの進行方向は車両100から見て左方向であると判定する。
次に、車両制御部103は、発光セグメントの順次点灯を指示する照明制御信号を生成した上、当該照明制御信号を第1照明制御部147に送信する。第1照明制御部147は、送信された照明制御信号に基づいて、6つの発光セグメント143L,143Rのうち、点灯すべき発光セグメントを歩行者Pの進行方向に沿って順次変化させる。
例えば、図13Aに示す状況では、車両制御部103は、右方向に発光セグメントを順次点灯することを指示する照明制御信号を第1照明制御部147に送信する。その後、第1照明制御部147は、送信された照明制御信号に基づいて、点灯すべき発光セグメントを右方向に順次変化させる。図13Bでは、最も左側に位置する発光セグメント143Lと、左側CSL140Lの左端から4番目に位置する発光セグメント143Lと、右側CSL140Rの左端から4番目に位置する発光セグメント143Rのそれぞれが点灯している。しかし、実際には、最も左側に位置する発光セグメント143L(以下、発光セグメント143Lmという。)と最も右側に位置する発光セグメント143R(以下、発光セグメント143Rmという。)の間において1つの発光セグメントが順次点灯してもよいし、2以上の発光セグメントが順次点灯してもよい。尚、発光セグメントの順次点灯とは、発光セグメント143Lmと発光セグメント143Rmの間において、発光セグメントを1つずつ点灯することだけでなく、発光セグメントを1つおきに(又は2以上おきに)点灯することも含む。
このように、左側CSL140Lと右側CSL140Rから構成される第1照明ユニット144は、発光セグメントを順次点灯させることで、対象物に所定のアクションを行うように促すための誘導メッセージ(本実施形態では、歩行者Pに横断歩道Cを渡るように促す誘導メッセージ)を視覚的に提示することができる。
次に、ステップS16において、車両制御部103は、カメラ6及び/又はレーダ7によって取得された検出データに基づいて、歩行者Pが横断歩道Cを渡り終えたかどうかを判定する。車両制御部103は、歩行者Pが横断歩道Cを渡り終えたと判定した場合、車両100を発進させる(ステップS17)。具体的には、車両制御部103は、アクセル制御信号をアクセルアクチュエータ16に送信する。次に、アクセルアクチュエータ16は、送信されたアクセル制御信号に基づいて、アクセル装置17を制御する。このようにして、車両100が発進する。尚、歩行者Pが横断歩道Cを全て渡り終える前に、車両100が発進してもよい。一方、ステップS16の判定結果がNOである場合、ステップS15の処理が繰り返し実行される。
尚、車両100が発進するときに、第1照明制御部147は、車両100が発進することを示すメッセージを歩行者Pに向けて提示するために、左側CSL140Lと右側CSL140Rの照明状態を変化させてもよい。例えば、第1照明制御部147は、車両100が発進することを示すメッセージを歩行者Pに向けて提示するために、全ての発光セグメント143L,143Rを所定回数(例えば、3回)だけ点滅させてもよい。
本実施形態によれば、6つの発光セグメント143L,143Rのうち点灯すべき発光セグメントを歩行者Pの進行方向に沿って順次点灯させることで、左側CSL140Lと右側CSL140Rの照明状態が変化する。このように、横断歩道Cの付近にいる歩行者Pは、左側CSL140Lと右側CSL140Rの照明状態の変化(横断歩道を渡るように誘導する誘導メッセージ)を見ることで、車両100が歩行者Pを認識していることが把握でき、安心して横断歩道Cを渡ることができる。この結果、誘導メッセージによって、歩行者Pは横断歩道Cを渡るように誘導される。
また、本実施形態によれば、第1照明ユニット144が車両100の外部に向けて視覚的にメッセージを提示する場合に、第2照明ユニット142が歩行者Pに向けて光パターンL1を出射している。このため、車両100の外部に存在する歩行者Pは、第2照明ユニット142から自身に向けて出射された光パターンL1によって、第1照明ユニット144によって視覚的に提示された誘導メッセージの存在に気付くことができると共に、当該誘導メッセージが車両100から自身に向けて提示されたメッセージであることを認識することができる。このように、車両100と歩行者P等の対象物との間のリッチな視覚的コミュニケーションを実現可能な照明システム104を提供することができる。
また、図14に示すように、第2照明ユニット142は、ライン状の光パターンL1に代えて、車両100から歩行者Pに向かって延びるライン状の光パターンL2を路面上に描画してもよい。この場合、歩行者Pと車両100とが光パターンL2によって視覚的に関連付けられるため、歩行者Pは、光パターンL2を見ることで、車両100が歩行者Pを意識していることを明確に把握することが可能となる。このため、歩行者Pは、第1照明ユニット144によって視覚的に提示された誘導メッセージの存在に容易に気付くことができると共に、当該誘導メッセージが車両100から自身に向けて提示されたメッセージであることを直感的に認識することができる。
また、本実施形態の説明では、車両100が横断歩道Cの手前で停止した後に、第1照明ユニット144は、誘導メッセージを歩行者Pに向けて提示している。換言すれば、第2照明ユニット142が歩行者Pに向けて光パターンを出射した後に、第1照明ユニット144は、誘導メッセージを歩行者Pに向けて提示している。しかしながら、本実施形態はこれには限定されない。例えば、車両100が横断歩道Cの手前で停止する前に、第1照明ユニット144は、誘導メッセージを歩行者Pに向けて提示してもよい。この点において、第1照明ユニット144が誘導メッセージを提示している間に、第2照明ユニット142は、歩行者Pに向けて光パターンを出射してもよい。特に、第1照明ユニット144が誘導メッセージの提示を開始した後に、第2照明ユニット142は、歩行者Pに向けて光パターンを出射してもよい。この場合でも同様に、車両100の外部に存在する歩行者Pは、第2照明ユニット142から自身に向けて出射された光パターンによって、第1照明ユニット144によって提示された誘導メッセージの存在に気付くことができると共に、当該誘導メッセージが車両100から自身に向けて提示されたメッセージであることを認識することができる。
次に、図15及び図16を参照して第2実施形態の変形例に係る第1照明ユニット144Aを搭載した車両100Aについて説明する。図15は、第2実施形態の変形例に係る第1照明ユニット144Aから歩行者Pに向けて視覚的に提示される停止予告メッセージM1(文字情報)を示す図である。図16は、第1照明ユニット144Aから歩行者Pに向けて視覚的に提示される誘導メッセージM2(文字情報)を示す図である。車両100Aは、第1照明ユニット144の代わりに第1照明ユニット144Aを搭載している点で本実施形態に係る車両100とは相違する。以降では、第1照明ユニット144Aについて詳しく説明する。
図15及び図16に示すように、第1照明ユニット144Aは、車両100Aの外部に向けて所定のメッセージを視覚的に提示するように構成されている。特に、第1照明ユニット144Aは、車両100Aのフロントガラス120F上に停止予告メッセージM1(「停止します」)又は横断歩道を渡るように誘導する誘導メッセージM2(「横断歩道を渡ってください」)を表示するように構成されている。本例では、文字情報としてメッセージM1,M2がフロントガラス120F上に表示されているが、図形情報としてメッセージがフロントガラス120F上に表示されてもよい。
第1照明ユニット144Aは、所定のメッセージをフロントガラス120F上に投影するプロジェクタ装置として構成されてもよい。また、第1照明ユニット144Aは、レーザ光をフロントガラス120F上に照射することで、所定のメッセージをフロントガラス120F上に描画してもよい。この場合、車両100Aのフロントガラス120Fは、HUD(Head-Up Display)用のフロントガラスであって、2枚のガラス板と、2枚のガラス板の間に設けられた蛍光体材料からなる発光層を含んでもよい。また、第1照明ユニット144Aのレーザ光源は、短波長帯(例えば、波長λ=350nm~410nm)のレーザ光を照射するように構成されてもよい。短波長帯のレーザ光がフロントガラス120Fに照射されることで、フロントガラス120Fの発光層が発光し、所定のメッセージがフロントガラス120F上に表示される。
また、車両100Aと横断歩道Cの周辺に存在する歩行者Pとの間の距離Dが所定の距離Dth以下となった場合に、第1照明ユニット144Aは、図15に示す停止予告メッセージM1を歩行者Pに向けて提示してもよい。この場合、第1照明ユニット144Aが停止予告メッセージM1を提示している間に、第2照明ユニット142は、歩行者Pに向けて光パターンL1を出射してもよい。特に、第1照明ユニット144がメッセージM1の表示を開始した後に、第2照明ユニット142は、歩行者Pに向けて光パターンL1を出射してもよい。歩行者Pは、光パターンL1によって、第1照明ユニット144Aによって視覚的に提示された停止予告メッセージM1の存在に気付くことができると共に、停止予告メッセージM1が車両100から自身に向けて提示されたメッセージであることを認識することができる。また、歩行者Pは、停止予告メッセージM1を見ることで、車両100が停止することを把握することができ、安心して横断歩道Cを渡ることができる。
また、第1照明ユニット144Aは、車両100Aが横断歩道Cの手前で停止した後に、図16に示す誘導メッセージM2を歩行者Pに向けて提示してもよい。この場合、横断歩道Cの付近にいる歩行者Pは、誘導メッセージM2を見ることで、車両100Aが歩行者Pを認識していることが把握でき、安心して横断歩道Cを渡ることができる。この結果、歩行者Pは横断歩道Cを渡るように誘導される。
次に、図17及び図18を参照して、車両100Aが光パターンL2を他車両100Cに向けて出射すると共に誘導メッセージM3を他車両100Cに向けて視覚的に提示する状況について説明する。図17は、車両100Aが右折しようとする他車両100Cに向けて光パターンL2を出射する様子を示す図である。図18は、第1照明ユニット144Aから他車両100Cに向けて提示される誘導メッセージM3を示す図である。
最初に、車両100Aの車両制御部103は、カメラ6及び/又はレーダ7によって取得された検出データに基づいて、交差点付近に存在する右折しようとする他車両100Cの存在を検出する。例えば、車両制御部103は、検出データに基づいて、他車両100Cの右側ターンシグナルランプが点滅していることを特定した場合に、他車両100Cは右折しようとする車両であると判定する。次に、車両制御部103は、検出データに基づいて他車両100Cの位置情報を取得する。その後、図17に示すように、第2照明ユニット142は、車両100Aから他車両100Cに向かって延びるライン状の光パターンL2を路面上に描画する。特に、第2照明制御部145は、車両制御部103から受信した指示信号及び他車両100Cの位置情報に基づいて、光パターンL2が車両100Aから他車両100Cに向かって描画されるように、第2照明ユニット142を制御する。その後、第1照明制御部147は、第1照明ユニット144Aが図18に示す誘導メッセージM3(「右折して下さい」)をフロントガラス120F上に表示するように第1照明ユニット144Aを制御する。ここで、第2照明ユニット142が光パターンL2を出射している間に、第1照明ユニット144Aは、誘導メッセージM3をフロントガラス120F上に表示してもよい。
このように、他車両100Cの運転者は、光パターンL2によって、第1照明ユニット144Aによって提示された誘導メッセージM3の存在に気付くことができると共に、誘導メッセージM3が車両100Aから自身に向けて提示されたメッセージであることを直感的に認識することができる。さらに、他車両100Cの運転者は、誘導メッセージM3を見ることで、安心して交差点を右折することができる。このように、車両100Aと他車両100Cとの間のリッチな視覚的コミュニケーションを実現することが可能となる。
尚、本例では、第2照明ユニット142が歩行者Pに向けて光パターンL2を出射した後に、第1照明ユニット144Aは、誘導メッセージM3を他車両100Cに向けて提示している。しかしながら、本例はこれには限定されない。例えば、第1照明ユニット144Aが誘導メッセージM3の提示を開始した後に、第2照明ユニット142は、歩行者Pに向けて光パターンL2を出射してもよい。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「上下方向」、「前後方向」について適宜言及する。これらの方向は、図19A,19Bに示す車両200について設定された相対的な方向である。ここで、「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。前後方向は、図19A,19Bでは示されていないが、左右方向及び上下方向に直交する方向である。
最初に、図19A,19B及び図20を参照して、本実施形態に係る車両システム202について以下に説明する。図19Aは、車両システム202が搭載された車両200の正面図である。図19Bは、車両200の背面図である。図20は、車両システム202のブロック図である。車両200は、自動運転モードで走行可能な車両(自動車)である。
図20に示すように、車両システム202は、車両制御部203と、車両用照明システム204(以下、単に「照明システム204」という。)と、光通信システム250F,250Rと、センサ5と、カメラ6と、レーダ7とを備える。さらに、車両システム202は、HMI8と、GPS9と、無線通信部10と、記憶装置11と、車内スピーカシステム280を備える。さらに、車両システム202は、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備える。
車両制御部203は、車両200の走行を制御するように構成されている。車両制御部203は、例えば、少なくとも一つの電子制御ユニット(ECU)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステム(例えば、SoC等)と、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子から構成される電子回路を含む。プロセッサは、例えば、CPU、MPU、GPU及び/又はTPUである。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。メモリは、ROMと、RAMを含む。ROMには、車両制御プログラムが記憶されてもよい。例えば、車両制御プログラムは、自動運転用の人工知能(AI)プログラムを含んでもよい。AIプログラムは、多層のニューラルネットワークを用いた教師有り又は教師なし機械学習(特に、ディープラーニング)によって構築されたプログラムである。RAMには、車両制御プログラム、車両制御データ及び/又は車両の周辺環境を示す周辺環境情報が一時的に記憶されてもよい。プロセッサは、ROMに記憶された各種車両制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。また、コンピュータシステムは、ASICやFPGA等の非ノイマン型コンピュータによって構成されてもよい。さらに、コンピュータシステムは、ノイマン型コンピュータと非ノイマン型コンピュータの組み合わせによって構成されてもよい。
照明システム204は、照明ユニット242と、照明制御部243とを有する。照明ユニット242は、レーザ光を用いて路面上に光パターンを描画することで、車両200の外部に向けて視覚的にメッセージを提示するように構成されている。図19に示すように、照明ユニット242は、例えば、車両200の車体ルーフ210A上に配置される。
照明ユニット242は、例えば、レーザ光を出射するように構成されたレーザ光源と、レーザ光源から出射されたレーザ光を偏向するように構成された光偏向装置と、レンズ等の光学系部材とを備える。レーザ光源は、例えば、赤色レーザ光と、緑色レーザ光と、青色レーザ光をそれぞれ出射するように構成されたRGBレーザ光源である。光偏向装置は、例えば、MEMSミラー、ガルバノミラー、ポリゴンミラー等である。照明ユニット242は、後述するように、レーザ光を走査することで光パターンL10(図22参照)を路面上に描画するように構成されている。レーザ光源がRGBレーザ光源である場合、照明ユニット242は、様々な色の光パターンを道路上に描画することが可能となる。
尚、本実施形態では、単一の照明ユニット242が車体ルーフ210A上に配置されているが、照明ユニット242が路面上に光パターンを描画することが可能である限りにおいて、照明ユニット242の数、配置、形状等は特に限定されない。例えば、照明ユニット242の数が2つである場合、2つの照明ユニット242の一方が左側ヘッドランプ220Lに搭載されると共に、他方が右側ヘッドランプ220R内に搭載されてもよい。また、照明ユニット242の数が4つである場合、左側ヘッドランプ220L、右側ヘッドランプ220R、左側リアコンビネーションランプ230L及び右側リアコンビネーションランプ230R内に1つの照明ユニット242が搭載されてもよい。また、本実施形態の説明では、照明ユニット242の描画方式は、ラスタースキャン方式を採用しているが、本実施形態はこれには限定されない。例えば、照明ユニット242の描画方式は、DLP方式又はLCOS方式であってもよい。この場合、光源としてレーザの代わりにLEDが使用される。
照明制御部243は、照明ユニット242の駆動を制御するように構成されており、電子制御ユニット(ECU)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステム(例えば、SoC等)と、照明ユニット242のレーザ光源の駆動を制御するように構成されたレーザ光源制御回路(アナログ処理回路)と、照明ユニット242の光偏向装置の駆動を制御するように構成された光偏向装置制御回路(アナログ処理回路)とを備える。プロセッサは、例えば、CPU、MPU、GPU及び/又はTPUである。メモリは、ROMと、RAMを含む。また、コンピュータシステムは、ASICやFPGA等の非ノイマン型コンピュータによって構成されてもよい。本実施形態では、車両制御部203と照明制御部243は、別個の構成として設けられているが、車両制御部203と照明制御部243は一体的に構成されてもよい。この点において、照明制御部243と車両制御部203は、単一の電子制御ユニットにより構成されていてもよい。
例えば、照明制御部243のコンピュータシステムは、車両制御部203から送信された指示信号に基づいて、車両200の外部に照射される光パターンを特定した上で、当該特定された光パターンを示す信号をレーザ光源制御回路及び光偏向装置制御回路に送信する。レーザ光源制御回路は、光パターンを示す信号に基づいて、レーザ光源の駆動を制御するための制御信号を生成した上で、当該生成された制御信号を照明ユニット242のレーザ光源に送信する。一方、光偏向装置制御回路は、光パターンを示す信号に基づいて、光偏向装置の駆動を制御するための制御信号を生成した上で、当該生成された制御信号を照明ユニット242の光偏向装置に送信する。このようにして、照明制御部243は、照明ユニット242の駆動を制御することができる。
図19に示すように、光通信システム250Fは、車両200の前面側に配置されている。光通信システム250Fは、例えば、グリル230の直下のバンパーに配置されてもよい。光通信システム250Rは、車両200の後面側に配置されている。光通信システム250Fは、例えば、後側ナンバープレート240の直下のバンパーに配置されてもよい。尚、以降の説明では、光通信システム250F,250Rを総称して単に光通信システム250という場合がある。
光通信システム250F,250Rの各々は、光送信部252と、光送信制御部253と、光受信部254と、光受信制御部255とを有する。光送信部252は、車両200の外部に存在する他車両に搭載された光受信部254に向けて、所定の聴覚的メッセージに関連付けられた波長帯の光を出射するように構成されている。光送信部252は、様々な波長の光を出射するように構成された波長可変光源(例えば、波長可変レーザ)と、波長可変光源から出射された光(例えば、レーザ光)を偏向するように構成された光偏向装置と、レンズ等の光学系部材を備える。波長可変光源は、可視光又は非可視光を出射するように構成されており、波長可変光源から出射される光の波長域は特に限定されるものではない。
光送信制御部253は、光送信部252の駆動を制御するように構成されている。特に、光送信制御部253は、異なる波長帯の複数の異なる光の中から光送信部252から出射される光を決定すると共に、光送信部252が他車両に搭載されている光受信部254に向けて光を出射するように光送信部252を制御する。例えば、光送信制御部253は、照明ユニット242によって描画された光パターン(視覚的メッセージ)に対応する聴覚的メッセージを決定した上で、決定された聴覚的メッセージに対応する波長帯Δλ1(若しくは中心波長λc1)を決定するように構成されている。さらに、光送信制御部253は、決定された波長帯Δλ1の光が光送信部252から出射されるように光送信部252を制御するように構成されている。
光送信制御部253は、電子制御ユニット(ECU)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサ(例えば、CPUやMPU等)と1以上のメモリ(例えば、ROMやRAM等)を含むコンピュータシステムと、光送信部252の波長可変光源の駆動を制御するように構成された光源制御回路(アナログ処理回路)と、光送信部252の光偏向装置の駆動を制御するように構成された光偏向装置制御回路(アナログ処理回路)とを備えてもよい。メモリには、照明ユニット242によって提示される視覚的メッセージと聴覚的メッセージとの間の関係を示すテーブル(メッセージ変換テーブル)や聴覚的メッセージと光送信部252から出射される光の波長帯との関係を示すテーブル(波長変換テーブル)が保存されていてもよい。この場合、光送信制御部253は、メッセージ変換テーブルを参照することで、視覚的メッセージに対応する聴覚的メッセージを決定してもよい。さらに、光送信制御部253は、波長変換テーブルを参照することで、聴覚的メッセージに対応する光送信部252から出射される光の波長帯を決定した上で、当該決定された波長帯の光が光送信部252から出射されるように光送信部252の駆動を制御してもよい。本実施形態では、車両制御部203と光送信制御部253は、別個の構成として設けられているが、車両制御部203と光送信制御部253は一体的に構成されてもよい。
光受信部254は、他車両の光送信部252から出射された光(例えば、レーザ光)を受信するように構成されている。光受信部254は、例えば、受信した光の電磁波スペクトルを測定するように構成された光分光器として構成されてもよい。光分光器は、受信した光を分散させるように構成された分散素子(例えば、回折格子やプリズム等)と、光信号を電気信号に変換するように構成された光検出器とを有する。光受信制御部255は、光受信部254から出力された信号に基づいて、光送信部252から出射された光の波長帯を特定すると共に、特定された光の波長帯に対応する聴覚的メッセージを特定するように構成されている。さらに、光受信制御部255は、車両制御部203を介して特定された聴覚的メッセージを車内スピーカシステム280に送信するように構成されている。
光受信制御部255は、電子制御ユニット(ECU)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサ(例えば、CPUやMPU等)と1以上のメモリ(例えば、ROMやRAM等)を含むコンピュータシステムと、光受信部254から出力された電気信号を処理するように構成されたアナログ処理回路とを有してもよい。メモリには、光受信部254によって受信された光の波長帯と聴覚的メッセージとの関係を示すテーブル(波長変換テーブル)が保存されていてもよい。この点において、光受信制御部255のメモリに保存された波長変換テーブルが示す光の波長帯と聴覚的メッセージとの間の関係は、光送信制御部253のメモリに保存された波長変換テーブルが示す光の波長帯と聴覚的メッセージとの間の関係に一致していることが好ましい。例えば、光送信制御部253において、波長帯Δλ1と聴覚的メッセージA1が互いに関連付けられている場合には、光受信制御部255においても、波長帯Δλ1と聴覚的メッセージA1が互いに関連付けられていることが好ましい。光受信制御部255は、波長変換テーブルを参照することで、光受信部254によって受信された光の波長帯に対応する聴覚的メッセージを特定してもよい。本実施形態では、車両制御部203と光受信制御部255は、別個の構成として設けられているが、車両制御部203と光受信制御部255は一体的に構成されてもよい。
車内スピーカシステム280は、車内スピーカ制御部282と、車内スピーカ283とを備える。車内スピーカ283は、車両200の乗員に向けて音声を出力するように構成されており、車両200の室内の所定箇所に配置されている。車内スピーカ283は、例えば、従来構造のスピーカである。車内スピーカ制御部282は、車内スピーカ283を制御するように構成されている。車内スピーカ制御部282は、電子制御ユニット(ECU)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサ(例えば、CPUやMPU等)と1以上のメモリ(例えば、ROMやRAM等)を含むコンピュータシステムと、その他電子回路(例えば、増幅回路やDA変換器等)とを含む。
次に、図21及び図22を参照して、本実施形態に係る車車間通信システムの動作の一例について以下に説明する。図21は、本実施形態に係る車車間通信システムの動作の一例を説明するためのシーケンス図である。図22は、駐車区画P10に対応する路面R10上に光パターンL10を描画している車両200A(送信側車両)と、駐車場を走行中の車両200B(受信側車両)とを示す図である。本実施形態に係る車車間通信システムは、車両200Aと車両200Bによって構成される。本説明では、車両200A,200Bは、駐車場内に存在しているものとする。また、車両200A,200Bは、図20に示す車両システム202を搭載しているものとする。
図21に示すように、ステップS21において、車両200Aの車両制御部203は、駐車すべき駐車区画P10を決定する。具体的には、車両制御部203は、カメラ6及び/又はレーダ7によって取得された車両200の周辺環境を示す検出データに基づいて、車両200Aの周辺の空き駐車区画を特定する。その後、車両制御部203は、一以上の空き駐車区画の中から駐車区画P10を決定する。
次に、車両200Aの照明ユニット242は、図22に示すように、駐車区画P10に対応する路面R10上に向けてレーザ光を照射することで、駐車区画P10に対応する路面R10上に光パターンL10を描画する。このように、照明ユニット242が路面R10上に光パターンL10を描画することで、車両200Aの外部に向けて視覚的メッセージを提示することができる。つまり、車両200Bの乗員は、車両200Aから出射された光パターンL10(視覚的メッセージ)を視認することで、車両200Aが駐車区画P10に駐車する予定であること及び車両200Aが後退する予定であることを把握することができる。本実施形態では、光パターンL10は、車両200Aの外形寸法に対応する矩形状の光パターンL10が描画されているが、光パターンの形状はこれに限定されるものではない。例えば、光パターンは、直線状又はサークル状の光パターンであってもよい。
また、ステップS22の処理について具体的に説明すると、最初に、車両制御部203は、光パターンL10を指示する指示信号を生成した上で、当該指示信号と駐車区画P10の位置情報を照明制御部243に送信する。次に、照明制御部243は、車両制御部203から受信した指示信号に応じて、光パターンL10が路面R10上に描画されるように照明ユニット242を制御する。特に、照明ユニット242の光偏向装置は、レーザ光源から出射されたレーザ光を路面R10上に走査させる。
次に、車両制御部203は、カメラ6及び/又はレーダ7によって取得された検出データに基づいて、車両200Aの後方に他車両(本例では、車両200B)が存在するかどうかを判定する(ステップS23)。ステップS23の判定結果がYESの場合、本処理はステップS24に進む。一方、ステップS23の判定結果がNOである場合、車両制御部203は、車両200Aの後方に他車両が存在するまで待機する。
次に、ステップS24において、車両制御部203は、カメラ6及び/又はレーダ7によって取得された検出データに基づいて、車両200Bの位置を特定した上で、車両200Bの位置情報を車両200の光送信制御部253に送信する。次に、ステップS25において、車両200Aの光送信制御部253は、車両200Bに提示する聴覚的メッセージを決定する。具体的には、車両制御部203は、照明ユニット242から出射される光パターンL10(視覚的メッセージ)に関するメッセージ情報を光送信制御部253に送信する。その後、光送信制御部253は、光パターン(視覚的メッセージ)と聴覚的メッセージとの間の関係を示すメッセージ変換テーブルを参照することで、光パターンL10に対応する聴覚的メッセージを決定する。光パターンL10に対応する聴覚的メッセージの一例は、「前方車両は後退します」や「前方車両は駐車します」である。
次に、ステップS26において、光送信制御部253は、車両200Bの光受信部254に向けて出射される光の波長帯を決定する。具体的には、光送信制御部253は、聴覚的メッセージと光の波長帯との関係を示す波長変換テーブルを参照することで、決定された聴覚的メッセージに対応する光送信部252から出射される光の波長帯(第1の波長帯)を決定する。波長変換テーブルでは、複数の聴覚的メッセージの各々が複数の波長帯の一つに関連付けられている。
次に、ステップS27において、光送信制御部253は、車両制御部203から送信された車両200Bの位置情報に基づいて、決定された波長帯の光(以降、「第1の光」という。)が光送信部252から車両200Bの光受信部254に向けて出射されるように、光送信部252の駆動を制御する。この点において、光受信部254が車両200Bの前側のバンパーに搭載されている場合、光送信部252は、第1の光を車両200Bの前側のバンパーに向けて出射する。
次に、ステップS28において、車両200Bの光受信部254は、車両200Aから第1の光を受信する。次に、車両200Bの光受信制御部255は、第1の光の波長帯に関連付けられた聴覚的メッセージを特定する(ステップS29)。具体的には、最初に、光受信制御部255は、光受信部254から出力された電気信号に基づいて、第1の光の波長帯を特定する。次に、光受信制御部255は、第1の光の波長帯と聴覚的メッセージとの間の関係を示す波長変換テーブルを参照することで、第1の光の波長帯に対応する聴覚的メッセージを特定する。ここで、光パターンL10に対応する聴覚的メッセージが「前方車両は駐車します」である場合、ステップS29で特定される聴覚的メッセージも「前方車両は駐車します」となる。
次に、車両200Bの車内スピーカ制御部282は、特定された聴覚的メッセージを車内スピーカ283から出力させる(ステップS30)。具体的には、光受信制御部255は、車両制御部203を介して、聴覚的メッセージに関する情報(音声データ)を車内スピーカ制御部282に送信する。その後、車内スピーカ制御部282は、音声情報として、聴覚的メッセージを車内スピーカ283から出力させる。このように、車両200Bの乗員は、車内スピーカ283を通じて、車両200Aによって提示された聴覚的メッセージを聴覚的に認識することができる。
本実施形態によれば、車両200Aの照明ユニット242が車両200Aの外部に向けて光パターンL10を提示する場合に、第1の光が車両200Bに搭載された光受信部254に向けて出射される。さらに、光受信部254が第1の光を受信することで、第1の光の波長帯に関連付けられた聴覚的メッセージが車両200Bの車内スピーカ283から車両200Bの乗員に向けて出力される。このため、車両200Bの乗員は、車両200Aからの光パターンL10を視覚的に認識することができると共に、車両200Aからの聴覚的メッセージを聴覚的に認識することができる。つまり、車両200Bの乗員は、車両200Aの意図を視覚的及び聴覚的に認識することができる。したがって、視覚及び聴覚を通じた車車間におけるリッチなコミュニケーションを実現可能な車車間通信システム及び車両システム202を提供することができる。
本実施形態では、照明ユニット242が車両200Aの外部に向けて光パターンL10を提示する場合に、車両200Aの光送信部252が車両200Bの光受信部254に向けて第1の光を出射する。この点において、照明ユニット242が車両200Aの外部に向けて光パターンL10を提示している間に、車両200Aの光送信部252が車両200Bの光受信部254に向けて第1の光を出射することが好ましい。一方、照明ユニット242が車両200Aの外部に向けて光パターンL10を提示する前に、車両200Aの光送信部252が車両200Bの光受信部254に向けて第1の光を出射してもよい。
(第1変形例)
次に、図23及び図24を参照して、第3実施形態の第1変形例に係る照明ユニット242Cを搭載した車両200Cについて以下に説明する。図23は、車両200C(送信側車両)と、駐車区画P10から出ようとしている車両200B(受信側車両)とを示す図である。図24は、第3実施形態の第1変形例に係る照明ユニット242Cを搭載した車両200Cの正面図である。車両200Cは、照明ユニット242A(図19参照)の代わりに照明ユニット242Cを搭載している点で本実施形態に係る車両200Aとは相違する。以降では、照明ユニット242Cについて詳しく説明する。
図23及び図24に示すように、車両200Cの前方に存在する車両200Bが駐車区画P10から出ようとする場合に、車両200Cの照明ユニット242Cは、車両200Cの外部に向けてメッセージM1(「お先にどうぞ」)を提示するように構成されている。特に、照明ユニット242Cは、車両200Cのフロントガラス220上にメッセージM1を表示するように構成されている。本例では、文字情報としてのメッセージM1がフロントガラス220上に表示されているが、図形情報としてのメッセージがフロントガラス220上に表示されてもよい。
照明ユニット242Cは、所定のメッセージをフロントガラス上に投影するプロジェクタ装置として構成されてもよい。また、照明ユニット242Cは、レーザ光をフロントガラス220上に照射することで、所定のメッセージをフロントガラス220上に描画してもよい。この場合、車両200Cのフロントガラス220は、HUD用のフロントガラスであって、2枚のガラス板と、2枚のガラス板の間に設けられた蛍光体材料からなる発光層を含んでもよい。また、照明ユニット242Cのレーザ光源は、短波長帯(例えば、波長λ=350nm~410nm)のレーザ光を照射するように構成されてもよい。短波長帯のレーザ光がフロントガラス220に照射されることで、フロントガラス220の発光層が発光し、所定のメッセージがフロントガラス220上に表示される。
駐車区画P10を出ようとする車両200Bの乗員は、後方車両である車両200Cに搭載された照明ユニット242Cによって提示されたメッセージM1を視覚的に認識することで、車両200Cが車両200Bに道を譲ることを把握することができる。その後、車両200Cの光送信部252から出射された第1の光が車両200Bに搭載された光受信部254に向けて出射される。次に、車両200Bの光受信部254が第1の光を受信することで、第1の光の波長帯に関連付けられた聴覚的メッセージ(例えば、「お先にどうぞ」等)が車両200Bの車内スピーカ283から車両200Bの乗員に向けて出力される。このため、車両200Bの乗員は、車両200CからのメッセージM1を視覚的に認識することができると共に、車両200Cからの聴覚的メッセージを聴覚的に認識することができる。つまり、車両200Bの乗員は、車両200Cの意図を視覚的及び聴覚的に認識することができる。したがって、視覚及び聴覚を通じた車車間におけるリッチなコミュニケーションを実現可能な車車間通信システム及び車両システム202を提供することができる。
(第2変形例)
次に、図25を参照して、第3実施形態の第2変形例に係る照明ユニット242L,242Rを搭載した車両200Dについて以下に説明する。図25は、第2変形例に係る照明ユニット242L,242Rを搭載した車両200Dの正面図である。車両200Dは、照明ユニット242A(図19参照)の代わりに照明ユニット242L,242Rを搭載している点で本実施形態に係る車両200Aとは相違する。以降では、照明ユニット242L,242Rについて詳しく説明する。
照明ユニット242L,242Rの各々は、LEDやLD等の1以上の発光素子と、レンズ等の光学系部材を備えている。照明ユニット242L,242Rは、照明ユニット242L,242Rの視覚的態様(点消灯、点滅、照明色等)を変化させることで、車両200Dの外部に向けて視覚的メッセージを提示するように構成されている。例えば、車両200Dが車両200Bに道を譲る場合に、照明ユニット242L,242Rは点滅してもよい。この場合、駐車区画P10を出ようとする車両200Bの乗員は、後方車両である車両200Dに搭載された照明ユニット242L,242Rの点滅を視覚的に認識することで、車両200Dが車両200Bに道を譲ることを把握することができる。
その後、車両200Dの光送信部252から出射された第1の光が車両200Bに搭載された光受信部254に向けて出射される。次に、車両200Bの光受信部254が第1の光を受信することで、第1の光の波長帯に関連付けられた聴覚的メッセージ(例えば、「お先にどうぞ」等)が車両200Bの車内スピーカ283から車両200Bの乗員に向けて出力される。このため、車両200Bの乗員は、車両200Dの照明ユニット242L,242Rの視覚的態様の変化を視認することができると共に、車両200Dからの聴覚的メッセージを聴覚的に認識することができる。つまり、車両200Bの乗員は、車両200Dの意図を視覚的及び聴覚的に認識することができる。したがって、視覚及び聴覚を通じた車車間におけるリッチなコミュニケーションを実現可能な車車間通信システム及び車両システム202を提供することができる。
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
本実施形態では、車両の運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードと、手動運転モードとを含むものとして説明したが、車両の運転モードは、これら4つのモードに限定されるべきではない。車両の運転モードの区分は、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って適宜変更されてもよい。同様に、本実施形態の説明で記載された「完全自動運転モード」、「高度運転支援モード」、「運転支援モード」のそれぞれの定義はあくまでも一例であって、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って、これらの定義は適宜変更されてもよい。
また、本実施形態では、車両が左側を通行するため、ステップS3において、車両1の右側方領域における道路幅が特定されているが、車両が右側を通行する場合には、車両1の左側方領域における道路幅が特定される。
本出願は、2017年12月28日に出願された日本国特許出願(特願2017-254315号)に開示された内容と、2017年12月28日に出願された日本国特許出願(特願2017-254313号)に開示された内容と、2018年1月12日に出願された日本国特許出願(特願2018-003693号)に開示された内容を適宜援用する。