JP7189381B2 - 伝動用vベルト - Google Patents
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Description
本発明の伝動用Vベルトは、エチレン-α-オレフィンエラストマーを含むポリマー成分(A)と硫黄系架橋剤を含む架橋剤(B)と短繊維(C)とを含むゴム組成物(第1のゴム組成物)の硬化物を含む。
ポリマー成分(A)は、耐寒性、耐熱性、耐候性に優れる点から、エチレン-α-オレフィンエラストマー(第1のエチレン-α-オレフィンエラストマー)を含む。
架橋剤(B)は、硫黄系架橋剤(第1の硫黄系架橋剤)を含む。従来の周知技術では、エチレン-α-オレフィンエラストマーの架橋剤としては有機過酸化物が用いられていたが、本発明では、硫黄系架橋剤を用いてエチレン-α-オレフィンエラストマーを架橋することによって硬化物の耐屈曲疲労性(耐亀裂性)を向上できる。
短繊維(C)としては、例えば、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維など)、ポリアミド繊維(例えば、ポリアミド6繊維、ポリアミド66繊維、ポリアミド46繊維などの脂肪族ポリアミド繊維;アラミド繊維など)、ポリアルキレンアリレート系繊維[例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維などのポリC2-4アルキレンC6-14アリレート系繊維など]、ビニロン繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維などの合成繊維;綿、麻、羊毛などの天然繊維;炭素繊維などの無機繊維が汎用される。
ゴム組成物は、架橋促進剤(D)をさらに含んでいてもよい。また、硫黄系架橋剤との組み合わせにおいて架橋の促進効果が大きい点から、架橋促進剤(D)が硫黄含有架橋促進剤(第1の硫黄含有架橋促進剤)を含むことが好ましい。
ゴム組成物は、共架橋剤(E)をさらに含んでいてもよい。また、耐側圧性および耐摩耗性を向上できる点から、共架橋剤(E)がビスマレイミド化合物を含むことが好ましい。
ゴム組成物は、前記ポリマー成分(A)と繊維部材(前記短繊維(C)、後述する芯体、補強布など)との接着性を向上できる点から、接着性改善剤(F)をさらに含んでもよい。
ゴム組成物は、耐屈曲疲労性を向上できる点から、オイル類(油成分)としての軟化剤(G)をさらに含んでもよい。軟化剤(G)は、いわゆる可塑剤であってもよい。
ゴム組成物は、無機充填剤(H)をさらに含んでいてもよい。無機充填剤(H)としては、例えば、炭素質材料(カーボンブラック、グラファイトなど)、金属化合物または合成セラミックス(酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの金属酸化物;ケイ酸カルシウムやケイ酸アルミニウムなどの金属ケイ酸塩;炭化ケイ素や炭化タングステンなどの金属炭化物;窒化チタン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素などの金属窒化物;炭酸マグネシウムや炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩;硫酸カルシウムや硫酸バリウムなどの金属硫酸塩など)、鉱物質材料(ゼオライト、ケイソウ土、焼成珪藻土、活性白土、アルミナ、シリカ、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、ベントナイト、モンモリロナイト、スメクタイト、クレイなど)などが挙げられる。これらの無機充填剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
ゴム組成物は、他の成分(I)をさらに含んでいてもよい。他の成分(I)としては、ゴムに配合される慣用の添加剤、例えば、架橋遅延剤、老化防止剤(酸化防止剤、熱老化防止剤、屈曲き裂防止剤、オゾン劣化防止剤など)、着色剤、粘着付与剤、滑剤、カップリング剤(シランカップリング剤など)、安定剤(紫外線吸収剤、熱安定剤など)、難燃剤、帯電防止剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、老化防止剤(第1の老化防止剤)などが汎用される。
前記ゴム組成物の硬化物は、ゴム硬度およびモジュラスが大きいにも拘わらず、伝動用Vベルトに必要な破断伸びも有している。すなわち、前記硬化物は、トレードオフの関係にあるゴム硬度およびモジュラスの向上と、耐屈曲疲労性とを両立できる。例えば、特許文献1では、硬度が高い例は破断伸びが小さく、破断伸びが大きい例は硬度が低くなっており、これらの物性を両立できていない。これに対して、本発明では、これらの物性を両立することで、耐側圧性、耐摩耗性、耐屈曲疲労性を同時に高めることができ、伝動用Vベルトの耐久性を向上できる。
本発明の伝動用Vベルトは、ラップドVベルト、ローエッジタイプVベルトのいずれであってもよいが、耐側圧性を確保しつつ、耐屈曲疲労性を向上できる点から、ローエッジタイプVベルトが好ましい。
本発明のローエッジタイプVベルトは、接着ゴム層を含んでいなくてもよいが、芯体と圧縮ゴム層、芯体と伸張ゴム層(または伸張ゴム層本体)の接着力を高めて、芯体と前記層との剥離を抑制できる点から、接着ゴム層を含むのが好ましい。接着ゴム層は、エチレン-α-オレフィンエラストマーを含むポリマー成分(a)および硫黄系架橋剤を含む架橋剤(b)を含むゴム組成物(第2のゴム組成物)で形成されていてもよい。
エチレン-α-オレフィンエラストマー(第2のエチレン-α-オレフィンエラストマー)は、好ましい態様(ジエン含量以外の態様)も含めて、前記ポリマー成分(A)の項で例示されたエチレン-α-オレフィンエラストマーから選択できる。
硫黄系架橋剤(第2の硫黄系架橋剤)は、好ましい態様も含めて、前記架橋剤(B)の項で例示された硫黄系架橋剤から選択できる。
第2のゴム組成物は、短繊維(c)をさらに含んでいてもよい。短繊維(c)は、好ましい態様(割合以外の態様)も含めて、前記短繊維(C)の項で例示された短繊維から選択できる。
第2のゴム組成物は、架橋促進剤(d)をさらに含んでいてもよい。架橋促進剤(d)は、好ましい態様(割合以外の態様)も含めて、前記架橋促進剤(D)の項で例示された架橋促進剤から選択できる。
第2のゴム組成物は、共架橋剤(e)をさらに含んでいてもよい。共架橋剤(e)は、好ましい態様(割合以外の態様)も含めて、前記共架橋剤(E)の項で例示された共架橋剤から選択できる。
第2のゴム組成物は、接着性改善剤(f)をさらに含んでいてもよい。接着性改善剤(f)は、前記接着性改善剤(F)の項で例示された接着性改善剤から選択できる。
第2のゴム組成物は、軟化剤(g)をさらに含んでいてもよい。軟化剤(g)は、前記軟化剤(G)の項で例示された軟化剤から選択できる。前記軟化剤のうち、軟化剤(g)としては、パラフィン系オイルなどの石油系軟化剤が好ましい。
第2のゴム組成物は、無機充填剤(h)をさらに含んでいてもよい。無機充填剤(h)は、前記無機充填剤(H)の項で例示された無機充填剤から選択できる。
第2のゴム組成物は、他の成分(i)をさらに含んでいてもよい。他の成分(i)は、前記他の成分(I)の項で例示された他の成分から選択できる。
芯体としては、特に限定されないが、通常、ベルト幅方向に所定間隔で配列した心線(撚りコード)を使用できる。心線は、ベルトの長手方向に延びて配設され、通常、ベルトの長手方向に平行に所定のピッチで並列的に延びて配設されている。心線は、少なくともその一部が接着ゴム層と接していればよく、接着ゴム層が心線を埋設する形態、接着ゴム層と伸張ゴム層との間に心線を埋設する形態、接着ゴム層と圧縮ゴム層との間に心線を埋設する形態のいずれの形態であってもよい。これらのうち、耐久性を向上できる点から、接着ゴム層が心線を埋設する形態が好ましい。なお、接着ゴム層を有しないVベルトの場合、伸張ゴム層と圧縮ゴム層との間に心線を埋設する形態であってもよい。
本発明のローエッジタイプVベルトが補強布を含む場合、例えば、圧縮ゴム層および伸張ゴム層(コグが圧縮ゴム層と一体に形成されている場合にはコグ)の双方(圧縮ゴム層の内周面および伸張ゴム層の外周面)に補強布が積層される形態、圧縮ゴム層および伸張ゴム層のうちいずれか一方のゴム層の表面に補強布を積層する形態、圧縮ゴム層および/または伸張ゴム層に補強層を埋設する形態(例えば、特開2010-230146号公報に記載の形態など)などが挙げられる。補強布を、圧縮ゴム層および伸張ゴム層のうち少なくとも一方のゴム層の表面(圧縮ゴム層の内周面および伸張ゴム層の外周面)に積層する形態、例えば、圧縮ゴム層の内周面(下面)および伸張ゴム層の外周面(上面)の双方に積層する形態である場合が多い。
本発明の伝動用Vベルトの製造方法は、特に限定されず、慣用の方法を利用できる。ローエッジコグドVベルトの場合、例えば、補強布(下布)と圧縮ゴム層用シート(未架橋ゴムシート)からなる積層体を、前記補強布を下にして歯部と溝部とを交互に配した平坦なコグ付き型に設置し、温度60~100℃(特に70~80℃)程度でプレス加圧することによってコグ部を型付けしたコグパッド(完全には架橋しておらず、半架橋状態にあるパッド)を作製した後、このコグパッドの両端をコグ山部の頂部から垂直に切断してもよい。さらに、円筒状の金型に歯部と溝部とを交互に配した内母型(架橋ゴムで形成された型)を被せ、この歯部と溝部に係合させてコグパッドを巻き付けてコグ山部の頂部でジョイントし、この巻き付けたコグパッドの上に第1の接着ゴム層用シート(下接着ゴム:未架橋ゴムシート)を積層した後、芯体を形成する心線(撚りコード)を螺旋状にスピニングし、この上に第2の接着ゴム層用シート(上接着ゴム:前記接着ゴム層用シートと同じ)、伸張ゴム層用シート(未架橋ゴムシート)、補強布(上布)を順次巻き付けて成形体を作製してもよい。その後、ジャケット(架橋ゴムで形成されたジャケット)を被せて金型を加硫缶に設置し、温度120~200℃(特に150~180℃)で架橋してベルトスリーブを調製する架橋工程を経た後、カッターなどを用いて、V字状断面となるように切断加工して圧縮ゴム層を形成するカット工程を経てもよい。
(ポリマー成分)
EPDM1:JSR(株)製「EP93」、エチレン含量55質量%、ジエン含量2.7質量%
EPDM2:JSR(株)製「EP24」、エチレン含量54質量%、ジエン含量4.5質量%。
硫黄:美源化学社製「粉末硫黄」
有機過酸化物:日油(株)製「P-40MB(K)]
架橋促進剤A:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーTT」
架橋促進剤B:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーCZ」
架橋促進剤C:大内新興化学工業(株)製「バルノックR」
共架橋剤A(ビスマレイミド):大内新興化学工業(株)製「バルノックPM」
共架橋剤B(メタクリル酸亜鉛):三新化学工業(株)製「サンエステルSK-30」。
パラ系アラミド短繊維:帝人(株)製、トワロンカット糸、平均繊維長3mm
ナイロン短繊維:旭化成(株)製、レオナカット糸、平均繊維長3mm
心線:繊度1,680dtexのアラミド繊維のマルチフィラメントの束2本を引き揃えて下撚りして下撚り糸を作製し、作製した下撚り糸を3本合わせて下撚りとは反対方向に上撚りした総繊度10,080dtexの諸撚りコード
補強布:構成2/2綾織りのナイロン帆布(厚み0.50mm)。
カーボンブラックA(HAF):キャボット・ジャパン(株)製「N330」
カーボンブラックB(FEF):キャボット・ジャパン(株)製「N550」
シリカ:エボニック・デグサ・ジャパン(株)製「ウルトラシルVN3」、BET比表面積175m2/g
パラフィン系オイル:出光興産(株)製「ダイアナプロセスオイルPW90」
老化防止剤A:大内新興化学工業(株)製「ノクラックCD」
老化防止剤B:精工化学(株)製「ノンフレックスOD3」
酸化亜鉛:堺化学工業(株)製「酸化亜鉛2種」
ステアリン酸:日油(株)製「ステアリン酸つばき」
酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製「キョーワマグ150」
接着性改善剤A(レゾルシノール-ホルムアルデヒド樹脂):Singh Plasticisers & Resins Pvt.Ltd.社製「POWERPLAST PP-1860」
接着性改善剤B(ヘキサメトキシメチルメラミン):Singh Plasticisers & Resins Pvt.Ltd.社製「POWERPLAST PP-1890S」。
[ゴム硬度]
表1に示す組成を有する未架橋のゴムシートを温度170℃、圧力2MPa、時間20分でプレス架橋し、架橋ゴムシート(100mm×100mm×2mm厚み)を作製した。ゴム硬度は、JIS K 6253(2012)に準拠し、架橋ゴムシートを3枚重ね合わせた積層物を試料とし、デュロメータA形硬さ試験機を用いて測定した。マトリクスゴム硬度は、前記の配合から短繊維を除くことにより、短繊維を含まない架橋ゴムシートを作製すること以外は同様にして測定した。結果を表3に示す。
表1に示す組成を有する未架橋のゴムシートを温度170℃、圧力2MPa、時間20分でプレス架橋し、架橋ゴムシート(100mm×100mm×2mm厚み)を作製した。この架橋ゴムシートを(株)ダンベル製のスーパーダンベルカッターで打抜いて、ダンベル状3号形の試験片を作製した。作製した試験片を用いて、JIS K 6251(2017)に準拠し、破断伸びを測定した。引張速度は500mm/min、試験温度は23℃とした。なお、測定は試験片の長手方向と列理(短繊維の長手方向)とが直角となる方向(列理直角方向)で行った。結果を表3に示す。
表1に示す組成を有する未架橋のゴム組成物を温度170℃、圧力2MPa、時間20分でプレス架橋し、架橋ゴム成形体(60mm×25mm×6.5mm厚み)を作製した。短繊維は架橋ゴム成形体の長手方向と平行に配向させた。図3に示すように、この架橋ゴム成形体21を、20mmの間隔を空けて回転可能な一対のロール(直径6mm)22a,22b上に置いて支持し、架橋ゴム成形体21の上面中央部において幅方向(短繊維の配向方向と直交する方向)に金属製の押さえ部材23を載せた。押さえ部材23の先端部は、直径10mmの半円状の形状を有しており、その先端部で架橋ゴム成形体21をスムーズに押圧可能である。また、押圧時には架橋ゴム成形体21の圧縮変形に伴って、架橋ゴム成形体21の下面とロール22a,22bとの間に摩擦力が作用するが、ロール22a,22bを回転可能とすることにより、摩擦による影響を小さくしている。押さえ部材23の先端部が架橋ゴム成形体21の上面に接触し、かつ押圧していない状態を初期位置とし、この状態から押さえ部材23を下方に100mm/分の速度で架橋ゴム成形体21の上面を押圧し、曲げ歪が8%となったときの応力を曲げ応力として測定した。短繊維の配向方向に対して直交する方向の曲げ応力を測定することで、曲げ応力が高くなるとベルト走行中のディッシングと呼ばれる座屈変形に対する抵抗力が高いと判断でき、高負荷伝動及び高耐久性の指標とすることができる。なお、測定温度は走行中のベルト温度を想定し、120℃とした。
厚み2mmのシート状に圧延した未架橋ゴム組成物を25℃で14日間静置し、ゴム表面を目視観察してブルーム(架橋剤などの添加剤のシート表面への析出)の有無を確認した。一般的にはブルームが発生してもゴム物性に大きな変化はないが、タック性が低下することによりベルトを成形する際の作業性が低下する虞があるため、ブルームは発生しない方が好ましい。
モールドに装着したコグ形状のついた架橋ゴム製の内母型の表面に、予め表1に示す組成を有する所定厚みの圧縮ゴム層用シートと補強布を積層した積層体にコグ部を型付け成形したシート状のコグパッドを巻き付けてジョイントした後、表2に示す組成を有する下部接着ゴム用シート、心線、表2に示す組成を有する上部接着ゴム用シート、そして表1に示す組成を有する平坦な伸張ゴム層用シートを順次巻き付けて成形体を作製した。続いて、成形体の表面に、コグ形状のついた架橋ゴム製の外母型とジャケットを被せてモールドを加硫缶に設置し、温度170℃、時間40分、0.9MPaで架橋してベルトスリーブを得た。尚、架橋条件は未架橋の接着ゴム層用シート、圧縮ゴム層用シート及び伸張ゴム層用シートの架橋に類似する条件を選択した。このスリーブをカッターによってV状に切断して変速ベルトに仕上げた。すなわち、図4に示す構造のローエッジダブルコグドVベルトを作製した(補強布は図示せず)。詳しくは、心線12を埋設した接着ゴム層11の両面に、それぞれ圧縮ゴム層13及び伸張ゴム層14が形成されたローエッジダブルコグドVベルトにおいて、圧縮ゴム層13及び伸張ゴム層14のいずれにも、それぞれコグ部16,17が形成されているベルト(サイズ:上幅20mm、厚さ10mm、外周長817mm)を作製した。得られたローエッジダブルコグドVベルトについて、以下の評価試験を行った結果を表3に示す。
2軸耐久走行試験は、図5に示すように、直径50mmの駆動(Dr.)プーリと、直径125mmの従動(Dn.)プーリとを含む2軸走行試験機を用いて行った。各プーリにローエッジコグドVベルトを掛架し、駆動プーリの回転数を5,600rpm、従動プーリの負荷を22.8N・mとし、雰囲気温度80℃にてベルトを72時間走行させた。走行後のローエッジダブルコグドVベルトの側面(プーリと接する面)を目視観察して、心線と接着ゴム層の間の剥離の有無を調べた。また、走行試験前後のローエッジダブルコグドVベルトの上幅の変化量(走行試験前の上幅-走行試験後の上幅)を求めた。上幅の変化量が小さい程、耐摩耗性が優れていると判断できる。
逆曲げ耐久走行試験は、図6に示すように、直径97.6mmの駆動(Dr.)プーリと、直径77.9mmの従動(Dn.)プーリと、直径79.4mmの背面アイドラ(Id.)プーリを含む3軸走行試験機を用いて行った。各プーリにローエッジダブルコグドVベルトを掛架し、駆動プーリに40kgfの錘を垂下することによりベルトに張りを与えた上で、背面アイドラプーリにおける接触角(ベルトとプーリが接触している円弧に対する中心角)が15°となるように調節した。駆動プーリの回転数は3,600rpm、従動プーリおよび背面アイドラプーリは無負荷、雰囲気温度120℃にてベルトを寿命まで走行させた。なお、ローエッジダブルコグドVベルトのコグ谷の亀裂の深さ(ベルト厚み方向の長さ)が2mm以上となった際に寿命と判断した。寿命となるまでの走行時間が長い程、耐屈曲疲労性に優れていると判断できる。
逆曲げ亀裂試験は、図7に示すように、ベルトの内周面と外周面とを反転させた状態のローエッジコグドVベルト30を上下2枚の平行な平板で挟み、2枚の平板の間の距離を50mm/minの速度で徐々に狭めていき、ローエッジダブルコグドVベルトのコグ谷に亀裂が発生した際の板間距離を測定した。亀裂が発生した際の板間距離が短い程、耐屈曲疲労性(耐亀裂性)に優れていると判断できる。
2,6…補強布
3…伸張ゴム層
4…接着ゴム層
4a…芯体
5…圧縮ゴム層
Claims (12)
- 第1のゴム組成物の硬化物を含み、かつ少なくとも内周面側にコグを有するローエッジコグドVベルトであって、
前記第1のゴム組成物が、エチレン-α-オレフィンエラストマーを含むポリマー成分(A)、硫黄系架橋剤を含む架橋剤(B)および短繊維(C)を含み、
前記硫黄系架橋剤の割合が、前記ポリマー成分(A)100質量部に対して1.2質量部以上であり、
前記短繊維(C)がベルト幅方向に配向しており、
前記硬化物のゴム硬度(JIS-A)が91度以上であり、かつ
前記硬化物のベルト長手方向における破断伸びが101~180%である、ローエッジコグドVベルト。 - 前記第1のゴム組成物から前記短繊維(C)を除いたゴム組成物の硬化物のマトリクスゴム硬度(JIS-A)が83度以上である、請求項1記載のローエッジコグドVベルト。
- 前記第1のゴム組成物が架橋促進剤(D)をさらに含み、かつ前記架橋促進剤(D)が硫黄含有架橋促進剤を含む、請求項1または2記載のローエッジコグドVベルト。
- 前記硫黄含有架橋促進剤が、酸素および窒素含有複素環を有する硫黄含有架橋促進剤を含む、請求項3記載のローエッジコグドVベルト。
- 前記第1のゴム組成物が共架橋剤(E)をさらに含み、かつ前記共架橋剤(E)がビスマレイミド化合物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のローエッジコグドVベルト。
- 前記第1のゴム組成物が接着性改善剤(F)をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のローエッジコグドVベルト。
- 前記第1のゴム組成物が軟化剤(G)をさらに含み、かつ前記軟化剤(G)の割合が、前記ポリマー成分(A)100質量部に対して0.1~10質量部である、請求項1~6のいずれか一項に記載のローエッジコグドVベルト。
- 前記第1のゴム組成物の硬化物で形成された圧縮ゴム層および/または伸張ゴム層を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のローエッジコグドVベルト。
- 第2のゴム組成物の硬化物で形成された接着ゴム層をさらに備え、
前記第2のゴム組成物が、エチレン-α-オレフィンエラストマーを含むポリマー成分(a)および硫黄系架橋剤を含む架橋剤(b)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のローエッジコグドVベルト。 - 変速ベルトである、請求項1~9のいずれか一項に記載のローエッジコグドVベルト。
- ベルト全体の平均厚みが19.8~36mmである、請求項1~10のいずれか一項に記載のローエッジコグドVベルト。
- 逆曲げを含むレイアウトで使用されるローエッジコグドVベルトである、請求項1~9のいずれか一項に記載のローエッジコグドVベルト。
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