JP7177008B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
本発明の空気入りタイヤは、トレッド踏面に、吸水孔を1つ以上有し、
前記吸水孔は、前記トレッド踏面側に位置する細径部と、孔底側に位置する、径が前記細径部の径より大きい拡径部と、を有し、
前記空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態において、前記吸水孔は、前記トレッド踏面の法線方向に対して傾斜して延びており、
前記基準状態において、前記細径部の該細径部の延在方向に垂直な断面での断面積の、前記細径部の延在長さにわたる平均値である平均断面積は、0.2~20mm2であり、且つ、前記拡径部の径は、前記細径部の該細径部の延在方向に垂直な断面での径の1.4倍以上であり、
前記基準状態における、前記トレッド踏面側から見た透過平面視において、前記細径部の前記トレッド踏面への開口部と前記拡径部とが、重なっていることを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤによれば、湿潤路面での排水性を向上させることができる。
後述の「トレッド端」とは、上記トレッド踏面のタイヤ幅方向両側の最外側点をいう。
また、上記「細径部の該細径部の延在方向に垂直な断面での径」は、該断面内で径が一定でない(断面が円形でない)場合には、該断面の面積を求め、該面積と同じ面積となる円の直径をいうものとする。
また、上記「拡径部の径」は、径が一定でない場合(拡径部が球でない場合)には、拡径部の体積を求め、該体積と同じ体積となる球の直径をいうものとする。
また、「重なっている」とは、接する場合も含まれる。
また、「規定内圧」とは、上記JATMA等に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)を指し、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、「規定内圧」は、タイヤを装着する車両毎に規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。
また、「最大負荷荷重」とは、上記最大負荷能力に対応する荷重をいうものとする。
この構成によれば、湿潤路面での排水性をより一層向上させ得る。
この構成によれば、拡径部に水が貯留しやすくなって、湿潤路面での排水性をより一層向上させ得る。
この構成によれば、吸水効果を向上させて、湿潤路面での排水性をより一層向上させ得る。
この構成によれば、コーナリング時に、湿潤路面での排水性をより一層向上させ得る。
この構成によれば、コーナリング時に、吸水効果を向上させて、湿潤路面での排水性をより一層向上させ得る。
この構成によれば、コーナリング時に、拡径部に水が貯留しやすくなって、湿潤路面での排水性をより一層向上させ得る。
この構成によれば、細径部での壁面粘性抵抗を低減して、湿潤路面での排水性をより一層向上させることができる。
この構成によれば、拡径部に水が貯留しやすくなって、湿潤路面での排水性をさらに向上させることができる。
なお、「球状」とは、球のみならず、例えば断面楕円形となるような断面を有するような場合も含まれる。
ここで、空気入りタイヤ(以下、単にタイヤとも称する)の内部構造等については、従来のものと同様の構造とすることができる。一例としては、該タイヤは、一対のビード部と、該一対のビード部に連なる一対のサイドウォール部と、該一対のサイドウォール部間に配置されたトレッド部とを有するものとすることができる。また、該タイヤは、一対のビード部間をトロイダル状に跨るカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置されたベルトと、を有するものとすることができる。
以下、特に断りのない限り、寸法等は、タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした状態(本明細書において、「基準状態」という)での寸法等を指す。
なお、図示例では、トレッド幅方向一方側の半部のトレッド端TEに隣接する陸部3aの幅方向溝4と、トレッド幅方向他方側の半部のトレッド端TEに隣接する陸部3dの幅方向溝4とが、トレッド幅方向に投影した際に互いに重なるように、トレッド周方向の位置を揃えて配置されているが、各陸部3間の幅方向溝4は、トレッド幅方向に投影した際に互いに重ならないように、トレッド周方向の位置をずらして配置することもできる。
なお、「サイプ」とは、上記基準状態におけるトレッド踏面への開口幅(平面視において、サイプの延在方向に対して垂直に測った開口幅)が2mm以下のものをいう。
あるいは、例えば、トレッド踏面1の一部又は全体に、吸水孔6を、(トレッド踏面1が有する陸部3が、リブ状の陸部であるかブロック状の陸部であるかを問わず)ランダムに配置することもできる。
なお、細径部6aと拡径部6bとは、細径部6aと拡径部6bとの境界縁を含む最小面積の面を境界面とするものとする。
また、上記平均断面積は、例えば、細径部6aの容積を該細径部6aの延在長さ(細径部6aの中心線の延在長さ)で除することにより求めることができる。
ここで、細径部6aの延在長さは、特には限定されないが、例えば乗用車用空気入りタイヤの場合には、一例としては、1.5~5.5mmとすることができる。また、拡径部6bの溝底は、特には限定されないが、例えば乗用車用空気入りタイヤの場合には、一例としては、周方向主溝2の溝底よりタイヤ径方向外側に0.5~1.5mmの位置であることが好ましい。また、細径部6aと拡径部6bとの接続位置は、特には限定されないが、例えば乗用車用空気入りタイヤの場合には、一例としては、周方向主溝2の溝底よりタイヤ径方向外側に2.5~3.5mmの位置であることが好ましい。ライトトラック用タイヤ、トラックバス用タイヤ等の場合には、例えば、乗用車用タイヤの場合の溝深さと上記形状との関係性を考慮して、類似な関係性を用いる等して、調整することができる。
図2に示す例では、吸水孔6は、トレッド踏面1側から孔底側に向かうに従い、タイヤ周方向に傾斜している。
なお、本例では、トレッド踏面1に設けた1つ以上の吸水孔6は、いずれも、トレッド踏面1の法線方向に対して同じ方向に(同じ傾斜角度で)傾斜して延びている。
なお、例えば、細径部6aの平均断面積が上記の範囲内にある場合、細径部6aの延在長さ、細径部6aのトレッド踏面1の法線方向に対する傾斜角度、及び拡径部6bの径のうち、いずれか1つ以上を調整することにより、細径部6aのトレッド踏面1への開口部と拡径部6bとを重ならせるように調整することができる。例えば、他の条件が同じである場合、細径部6aの延在長さをある程度短くすることで、細径部6aのトレッド踏面1への開口部と拡径部6bとを重ならせるように調整することができる。あるいは、他の条件が同じである場合、細径部6aのトレッド踏面1の法線方向に対する傾斜角度をある程度小さくすることで、細径部6aのトレッド踏面1への開口部と拡径部6bとを重ならせるように調整することができる。あるいは、他の条件が同じである場合、拡径部6bの径をある程度大きくすることで、細径部6aのトレッド踏面1への開口部と拡径部6bとを重ならせるように調整することができる。
以下、本実施形態の空気入りタイヤの作用効果について説明する。
また、本実施形態では、上記基準状態において、細径部6aの該細径部6aの延在方向に垂直な断面での断面積の、細径部6aの延在長さにわたる平均値である平均断面積は、0.2~20mm2であり、且つ、拡径部6bの径W2は、細径部6aの該細径部6aの延在方向に垂直な断面での径W1の1.4倍以上である。これにより、上記の吸水及び貯留の性能を十分に向上させることができる。すなわち、上記平均断面積が0.2mm2未満であると、細径部6aの壁面粘性抵抗の影響が相対的に大きくなって十分な吸水ができず、一方で、上記平均断面積が、20mm2超であると、タイヤの転動時の変形により細径部6aが閉塞して流路が潰れやすくなってしまい十分な吸水ができない。また、拡径部6bの径W2が、細径部6aの該細径部6aの延在方向に垂直な断面での径W1の1.4倍未満であると、細径部6aにより吸水した水を貯留する効果を十分に得られない。
さらに、本実施形態では、上記基準状態において、吸水孔6は、トレッド踏面1の法線方向に対して傾斜して延びている。これにより、拡径部6bが路面からの圧力により潰れやすくなるため、上記のようにスポイトにように吸水する効果を十分に得ることができる。
また、本実施形態では、上記基準状態において、トレッド踏面1側から見た透過平面視において、細径部6aのトレッド踏面1への開口部と拡径部6bとが、重なっている。これにより、上記の吸水及び貯留の効果を十分に得ることができる。例えば、細径部6aの延在長さを短くして、細径部6aのトレッド踏面1への開口部と拡径部6bとを重ならせた場合には、壁面粘性抵抗を受ける距離を短くして、上記の吸水及び貯留効果を十分に得ることができる。また、例えば、細径部6aのトレッド踏面1の法線方向に対する傾斜角度をある程度小さくして、細径部6aのトレッド踏面1への開口部と拡径部6bとを重ならせた場合には、細径部6aと拡径部6bとの接続位置が潰れることによる壁面粘性抵抗の増大を抑制して、上記の吸水及び貯留効果を十分に得ることができる。
以上のように、本実施形態の空気入りタイヤによれば、湿潤路面での排水性を向上させることができる。
例えば、吸水孔6が、トレッド踏面1側から孔底側に向かうに従い、空気入りタイヤの車両装着時の蹴り出し側に向かって傾斜していることが好ましい。この場合、接地時に拡径部6bが潰れるタイミングが遅くなるため、接地面の水を拡径部6bまで流しやすくなり、拡径部6bに水が貯留しやすくなって、湿潤路面での排水性をより一層向上させ得る。
また、例えば、吸水孔6は、トレッド踏面1側から孔底側に向かうに従い、空気入りタイヤの車両装着時の踏み込み側に向かって傾斜していることも好ましい。この場合、拡径部6bの潰れが開放されるタイミングが早まり、接地面の水を吸水する効果を向上させて、湿潤路面での排水性をより一層向上させ得る。
図3に示す他の例にかかる吸水孔6は、上記基準状態において、トレッド踏面1側から見た透過平面視において、細径部6aのトレッド踏面1への開口部と拡径部6bとが、重なっているが、重なり幅をもたずに接している(外接している)点で、図2に示した一例にかかる吸水孔6と異なっている。
トレッド踏面1に、図3に示したような吸水孔6を1つ以上有するタイヤにおいても、上記と同様の作用効果を得ることができる。
図4に示す別の例にかかる吸水孔6は、トレッド踏面1側から孔底側に向かうに従い、タイヤ幅方向に傾斜している。これにより、図2に示した例と同様の作用効果(周方向に傾斜していることの作用効果を除く)を得ることができると共に、コーナリング時に、湿潤路面での排水性をより一層向上させ得る。
例えば、吸水孔6は、トレッド踏面1側から孔底側に向かうに従い、空気入りタイヤの車両装着時の車両装着外側に向かって傾斜していることが好ましい。これによれば、接地する圧力が大きい車両装着外側に拡径部6bが位置するため、潰れが大きくなって、スポイト効果を高く発揮し吸水効果が向上する。よって、コーナリング時に、吸水効果を向上させて、湿潤路面での排水性をより一層向上させ得る。
また、例えば、吸水孔6は、トレッド踏面1側から孔底側に向かうに従い、空気入りタイヤの車両装着時の車両装着内側に向かって傾斜していることが好ましい。車両装着内側の方が、接地長が短いため、接地時に拡径部6bが潰れるタイミングが遅くなり、接地面の水を拡径部6bまで流しやすくなり、拡径部6bに水が貯留しやすくなって、湿潤路面での排水性をより一層向上させ得る。
図5に示すさらに別の例にかかる吸水孔6は、上記基準状態において、トレッド踏面1側から見た透過平面視において、細径部6aのトレッド踏面1への開口部と拡径部6bとが、重なっているが、重なり幅をもたずに接している(外接している)点で、図4に示した別の例にかかる吸水孔6と異なっている。
トレッド踏面1に、図5に示したような吸水孔6を1つ以上有するタイヤにおいても、上記図4の場合と同様の作用効果を得ることができる。
2:周方向主溝、
3:陸部、
4:幅方向溝、
5:ブロック、
6:吸水孔、
6a:細径部、
6b:拡径部、
CL:タイヤ赤道面、
TE:トレッド端
Claims (6)
- トレッド踏面に、吸水孔を1つ以上有する空気入りタイヤであって、
前記吸水孔は、前記トレッド踏面側に位置する細径部と、孔底側に位置する、径が前記細径部の径より大きい拡径部と、を有し、
前記空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態において、前記吸水孔は、前記トレッド踏面の法線方向に対して傾斜して延びており、
前記基準状態において、前記細径部の該細径部の延在方向に垂直な断面での断面積の、前記細径部の延在長さにわたる平均値である平均断面積は、0.2~20mm2であり、
且つ、前記拡径部の径は、前記細径部の該細径部の延在方向に垂直な断面での径の1.4倍以上であり、
前記基準状態における、前記トレッド踏面側から見た透過平面視において、前記細径部の前記トレッド踏面への開口部と前記拡径部とが、重なっており、
前記吸水孔は、前記トレッド踏面側から前記孔底側に向かうに従い、タイヤ周方向に傾斜しており、
前記吸水孔は、前記トレッド踏面側から前記孔底側に向かうに従い、前記空気入りタイヤの車両装着時の踏み込み側に向かって傾斜していることを特徴とする、空気入りタイヤ。 - トレッド踏面に、吸水孔を1つ以上有する空気入りタイヤであって、
前記吸水孔は、前記トレッド踏面側に位置する細径部と、孔底側に位置する、径が前記細径部の径より大きい拡径部と、を有し、
前記空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態において、前記吸水孔は、前記トレッド踏面の法線方向に対して傾斜して延びており、
前記基準状態において、前記細径部の該細径部の延在方向に垂直な断面での断面積の、前記細径部の延在長さにわたる平均値である平均断面積は、0.2~20mm2であり、
且つ、前記拡径部の径は、前記細径部の該細径部の延在方向に垂直な断面での径の1.4倍以上であり、
前記基準状態における、前記トレッド踏面側から見た透過平面視において、前記細径部の前記トレッド踏面への開口部と前記拡径部とが、重なっており、
前記吸水孔は、前記トレッド踏面側から前記孔底側に向かうに従い、タイヤ幅方向に傾斜していることを特徴とする、空気入りタイヤ。 - 前記吸水孔は、前記トレッド踏面側から前記孔底側に向かうに従い、前記空気入りタイヤの車両装着時の車両装着外側に向かって傾斜している、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記吸水孔は、前記トレッド踏面側から前記孔底側に向かうに従い、前記空気入りタイヤの車両装着時の車両装着内側に向かって傾斜している、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- トレッド踏面に、吸水孔を1つ以上有する空気入りタイヤであって、
前記吸水孔は、前記トレッド踏面側に位置する細径部と、孔底側に位置する、径が前記細径部の径より大きい拡径部と、を有し、
前記空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態において、前記吸水孔は、前記トレッド踏面の法線方向に対して傾斜して延びており、
前記基準状態において、前記細径部の該細径部の延在方向に垂直な断面での断面積の、前記細径部の延在長さにわたる平均値である平均断面積は、0.2~20mm2であり、
且つ、前記拡径部の径は、前記細径部の該細径部の延在方向に垂直な断面での径の1.4倍以上であり、
前記基準状態における、前記トレッド踏面側から見た透過平面視において、前記細径部の前記トレッド踏面への開口部と前記拡径部とが、重なっており、
前記細径部は、柱状であり、該細径部の延在方向に垂直な断面が、円形又は楕円形であることを特徴とする、空気入りタイヤ。 - 前記拡径部は、球状である、請求項1~5のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
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