JP7172992B2 - 炭様の刺激的な風味を付与するための組成物 - Google Patents
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Description
また本発明は、加熱調理香(例えば、焼成感、油調感等)を食品に付与できる組成物、スパイス感、甘味を増強できる組成物、不快臭をマスキングできる組成物、加熱調理香(例えば、焼成感、油調感等)の付与方法、スパイス感、甘味の増強方法、不快臭のマスキング方法等の提供も目的とする。
さらに本発明者らは、当該特定の化合物の組み合わせが、加熱調理香(例えば、焼成感、油調感)を付与し得ること、スパイス感、甘味を増強し得ること、また不快臭をマスキングし得ることも見出した。
本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究を重ねることによって、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
(B1)6,7-ジヒドロ-5-メチル-5H-シクロペンタピラジン及び(B2)フルフリルアルコールからなる群より選択される少なくとも一つと、
(C)フルフリルメチルジスルフィドと
を含有する組成物。
[2]食品における(A)の濃度が0.0002~500重量ppmとなるように食品に添加される、[1]記載の組成物。
[3](B1)を含有し、食品における(B1)の濃度が0.0001~100重量ppmとなるように食品に添加される、[1]又は[2]記載の組成物。
[4](B2)を含有し、食品における(B2)の濃度が0.0005~200重量ppmとなるように食品に添加される、[1]~[3]のいずれか一つに記載の組成物。
[5]食品における(C)の濃度が0.00001~300重量ppmとなるように食品に添加される、[1]~[4]のいずれか一つに記載の組成物。
[6](B1)を含有し、(A)の含有量と(B1)の含有量の重量比(A:B1)が、1:0.00005~10000である、[1]~[5]のいずれか一つに記載の組成物。
[7](B2)を含有し、(A)の含有量と(B2)の含有量の重量比(A:B2)が、1:0.0001~20000である、[1]~[6]のいずれか一つに記載の組成物。
[8](A)の含有量と(C)の含有量の重量比(A:C)が、1:0.000005~1000である、[1]~[7]のいずれか一つに記載の組成物。
[9]炭様の刺激的な風味付与用である、[1]~[8]のいずれか一つに記載の組成物。
[10]加熱調理香付与用である、[1]~[8]のいずれか一つに記載の組成物。
[11]加熱調理香付与が、焼成感及び油調感からなる群より選択される少なくとも一つの付与である、[10]記載の組成物。
[12]スパイス感及び甘味からなる群より選択される少なくとも一つの増強用である、[1]~[8]のいずれか一つに記載の組成物。
[13]不快臭のマスキング用である、[1]~[8]のいずれか一つに記載の組成物。
[14][1]~[13]のいずれか一つに記載の組成物を含有する食品。
[15](A)2-アセチルフランと、
(B1)6,7-ジヒドロ-5-メチル-5H-シクロペンタピラジン及び(B2)フルフリルアルコールからなる群より選択される少なくとも一つと、
(C)フルフリルメチルジスルフィドと
を添加することを含む、食品の製造方法。
[16]食品における(A)の濃度が0.0002~500重量ppmとなるように(A)を添加する、[15]記載の方法。
[17]食品における(B1)の濃度が0.0001~100重量ppmとなるように(B1)を添加することを含む、[15]又は[16]記載の方法。
[18]食品における(B2)の濃度が0.0005~200重量ppmとなるように(B2)を添加することを含む、[15]~[17]のいずれか一つに記載の方法。
[19]食品における(C)の濃度が0.00001~300重量ppmとなるように(C)を添加する、[15]~[18]のいずれか一つに記載の方法。
[20](B1)を添加することを含み、(A)の添加量と(B1)の添加量の重量比(A:B1)が、1:0.00005~10000である、[15]~[19]のいずれか一つに記載の方法。
[21](B2)を添加することを含み、(A)の添加量と(B2)の添加量の重量比(A:B2)が、1:0.0001~20000である、[15]~[20]のいずれか一つに記載の方法。
[22](A)の添加量と(C)の添加量の重量比(A:C)が、1:0.000005~1000である、[15]~[21]のいずれか一つに記載の方法。
[23]食品が、炭様の刺激的な風味が付与された食品である、[15]~[22]のいずれか一つに記載の方法。
[24]食品が、加熱調理香が付与された食品である、[15]~[22]のいずれか一つに記載の方法。
[25]加熱調理香が付与された食品が、焼成感及び油調感からなる群より選択される少なくとも一つが付与された食品である、[24]記載の方法。
[26]食品が、スパイス感及び甘味からなる群より選択される少なくとも一つが増強された食品である、[15]~[22]のいずれか一つに記載の方法。
[27]食品が、不快臭がマスキングされた食品である、[15]~[22]のいずれか一つに記載の方法。
[28](A)2-アセチルフランと、
(B1)6,7-ジヒドロ-5-メチル-5H-シクロペンタピラジン及び(B2)フルフリルアルコールからなる群より選択される少なくとも一つと、
(C)フルフリルメチルジスルフィドと
を添加することを含む、炭様の刺激的な風味の付与方法;加熱調理香の付与方法(好ましくは、焼成感及び油調感からなる群より選択される少なくとも一つの付与方法);スパイス感及び甘味からなる群より選択される少なくとも一つの増強方法;不快臭のマスキング方法。
[29]食品における(A)の濃度が0.0002~500重量ppmとなるように(A)を食品に添加する、[28]記載の方法。
[30]食品における(B1)の濃度が0.0001~100重量ppmとなるように(B1)を食品に添加することを含む、[28]又は[29]記載の方法。
[31]食品における(B2)の濃度が0.0005~200重量ppmとなるように(B1)を食品に添加することを含む、[28]~[30]のいずれか一つに記載の方法。
[32]食品における(C)の濃度が0.00001~300重量ppmとなるように(C)を食品に添加する、[28]~[31]のいずれか一つに記載の方法。
[33](B1)を添加することを含み、(A)の添加量と(B1)の添加量の重量比(A:B1)が、1:0.00005~10000である、[28]~[32]のいずれか一つに記載の方法。
[34](B2)を添加することを含み、(A)の添加量と(B2)の添加量の重量比(A:B2)が、1:0.0001~20000である、[28]~[33]のいずれか一つに記載の方法。
[35](A)の添加量と(C)の添加量の重量比(A:C)が、1:0.000005~1000である、[28]~[34]のいずれか一つに記載の方法。
本発明によれば、炭様の刺激的な風味が付与された食品の製造方法、並びに炭様の刺激的な風味の付与方法を提供できる。
また本発明によれば、炭様の刺激的な風味を食品に付与できるため、加熱調理により発現する風味(加熱調理香)を効果的に付与された食品を提供できる。
本発明によれば、焼成感及び油調感からなる群より選択される少なくとも一つが付与された食品を提供できる。
本発明によれば、スパイス感及び甘味からなる群より選択される少なくとも一つが増強された食品、不快臭がマスキングされた食品を提供できる。
本発明の組成物は、特定の化合物を混合することにより得られるため、当業者において一般に利用されている装置で製造でき、その製造条件も容易に制御できる。
さらに、本発明の組成物は特定の化合物を含有するものであり、食品の種類に応じて組成を調整する必要がないため、様々な食品に広く利用できる。
本発明の組成物は、(A)2-アセチルフラン(CAS登録番号:1192-62-7、本明細書において単に「(A)」と称する場合がある)と、(B1)6,7-ジヒドロ-5-メチル-5H-シクロペンタピラジン(CAS登録番号:23747-48-0、本明細書において単に「(B1)」と称する場合がある)及び(B2)フルフリルアルコール(CAS登録番号:98-00-0、本明細書において単に「(B2)」と称する場合がある)からなる群より選択される少なくとも一つと、(C)フルフリルメチルジスルフィド(CAS登録番号:57500-00-2、本明細書において単に「(C)」と称する場合がある)とを含有することを主たる特徴とする。
本明細書において、(B1)及び(B2)からなる群より選択される少なくとも一つを、「成分グループB」と称する場合がある。当該成分グループBは、一つの化合物のみから構成される場合があることは言うまでもない。
本発明の組成物の形態が固体状の場合の基剤としては、例えば、澱粉、デキストリン、シクロデキストリン、スクロースやグルコースなどの各種糖類、蛋白質、ペプチド、食塩、固形脂、二酸化ケイ素、およびそれらの混合物、また酵母菌体や各種の粉末エキス類等が挙げられる。
また本発明において炭様の刺激的な風味等の「付与」とは、例えば、炭様の刺激的な風味を有しない食品に、炭様の刺激的な風味を新たに付与することだけでなく、炭様の刺激的な風味を有する食品に、炭様の刺激的な風味を更に付与すること、すなわち炭様の刺激的な風味を増強することも含む概念である。
本発明において「加熱調理香」とは、食品を高温(例えば、90~700℃)で加熱調理した際に発現する香ばしい香りをいう。加熱調理香には、例えば、炒め、焼き、揚げ、焙焼、煮込み等により発生した香りが含まれる。加熱調理香の有無や程度は、専門パネルによる官能評価によって評価できる。
本発明においてスパイス感の「増強」とは、あたかもスパイス濃度を高めたかのように、スパイス特有の風味、辛味が強く感じられるようになることをいう。本発明におけるスパイスは、食品の風味付け、辛味付け等に一般に用いられ得るものであれば特に制限されないが、例えば、ナツメグ、メース、ガーリック、ローレル、タイム、コショー(例、ブラックペッパー、ホワイトペッパー等)、バジル、ジンジャー、ターメリック、フェンネル、キャラウェイ、チリペッパー、シナモン、マジョラム、ローズマリー、クミン、セロリ、コリアンダー、オニオン等が挙げられ、好ましくは、ナツメグ、メース、ガーリック、ローレル、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、バジル、ジンジャー、ターメリック、フェンネル、キャラウェイ、チリペッパー、シナモン、クミン、オニオンであり、より好ましくは、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、ガーリック、オニオンである。
本発明において甘味の「増強」とは、あたかも甘味成分の濃度を高めたかのように、甘味が強く感じられるようになることをいう。本発明において「甘味成分」とは、口腔内に含んだ際に甘味を呈し得る物質をいい、例えば、砂糖、でん粉糖(例、果糖、ブドウ糖、麦芽糖、異性化糖、水飴等)、糖アルコール(例、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール等)、フラクトオリゴ糖等の糖類;ステビア、グリチルリチン、ソーマチン、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム等の非糖質系甘味料等が挙げられる。
本発明において「不快臭」とは、主として各種畜肉原料、魚介原料、野菜原料、酵母原料等に起因する、不快感を惹起させ得る臭いの総称であり、具体例としては、獣臭さ、生臭さ、青臭さ、発酵臭等が挙げられる。また不快臭の「マスキング」とは、不快臭が部分的又は完全に感知されなくなることをいう。不快臭のマスキングの程度は、専門パネルによる官能評価(例えば、後述の実施例に示される官能評価等)によって評価できる。
本発明において「食品」とは、経口摂取し得るものを広く包含する概念であり、調味料、飲料等も含まれる。
また本明細書において「天然系調味料」とは、天然物を原料として、抽出、分解、加熱、発酵等の手法によって製造される調味料をいい、その具体例としては、鶏肉エキス、牛肉エキス、豚肉エキス、羊肉エキス等の各種畜肉エキス類;鶏がらエキス、牛骨エキス、豚骨エキス等の各種がらエキス類;鰹エキス、鯖エキス、ぐちエキス、帆立エキス、蟹エキス、蝦エキス、煮干エキス、干し貝柱エキス等の各種魚介エキス類;鰹節エキス、鯖節エキス、宗田節エキス等の各種節エキス類;オニオンエキス、白菜エキス、セロリエキス等の各種野菜エキス類;昆布エキス等の各種海藻エキス類;ガーリックエキス、唐辛子エキス、胡椒エキス、カカオエキス等の各種香辛料エキス類;酵母エキス類;各種タンパク加水分解物;醤油、魚醤、蝦醤、味噌等の各種発酵調味料等やその混合物、加工品等が挙げられる。
また本明細書において「風味調味料」とは、食品に風味原料の香気、風味、味を付与するために用いられる調味料をいい、例えば、天然系調味料に砂糖類、食塩等を加えること等によって製造できる。風味調味料の具体例としては、鶏風味調味料、牛風味調味料、豚風味調味料等の各種畜肉風味調味料;鰹風味調味料、煮干風味調味料、干し貝柱風味調味料、甲殻類風味調味料等の各種魚介風味調味料;各種香辛野菜風味調味料;昆布風味調味料等が挙げられる。
本明細書中、「食品における(A)の濃度」とは、食品に添加される(A)の重量の、添加後の食品全体の重量に対する割合をいい、例えば、食品に(A)を添加する前から該食品が予め(A)と同様の成分を含有する場合、食品が予め含有する成分の重量は、食品に添加される(A)の重量に含めない。当該説明は、以下に示す食品における(A)以外の成分の濃度(例えば、「食品における(B1)の濃度」等)についても準用される。
上述の「食品における(A)の濃度」は、喫食時濃度であることが好ましい。本明細書中、「喫食時濃度」とは、食品を喫食する際における濃度をいう。本発明の組成物を添加し得る食品が、例えば、喫食に適した態様となるために水等で希釈することを必要とする濃縮物や、他の食品に添加して使用される調味料等である場合、食品における(A)の濃度は希釈倍率や添加量等に応じて適宜調整してよい。当該説明は、以下に示す食品における(A)以外の成分の濃度(例えば、「食品における(B1)の濃度」等)についても準用される。
本発明の食品における本発明の組成物の含有量は、本発明の食品における(A)、成分グループB及び(C)の各濃度が、上述の範囲内となるように適宜調整すればよく、特に制限されない。
本発明の食品の種類は特に制限されないが、加熱調理香が付与されることを所望されるもの、不快臭がマスキングされることを所望されるもの、スパイス感が増強されることを所望されるもの、甘味が増強されることを所望されるものが好ましく、例えば、本発明の組成物を添加し得る食品として例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明は、(A)と、(B1)及び(B2)からなる群より選択される少なくとも一つと、(C)とを添加することを含む、食品の製造方法(本明細書中、単に「本発明の製造方法」と称する場合がある)も提供する。
(A)、成分グループB及び(C)を個別に添加する場合、添加の順序及び間隔は特に制限されず、例えば(A)、成分グループB及び(C)の順序、あるいはその逆の順序等で添加してよい。また(A)、成分グループB及び(C)を同時に添加してもよい。
本発明の製造方法によれば、スパイス感及び甘味からなる群より選択される少なくとも一つが増強された食品、不快臭がマスキングされた食品を製造できる。
本発明は、(A)と、(B1)及び(B2)からなる群より選択される少なくとも一つと、(C)とを添加することを含む、炭様の刺激的な風味の付与方法(本明細書中、単に「本発明の付与方法」と称する場合がある)も提供する。
本発明の付与方法は、特に断りのない限り、本発明の製造方法と同様に実施し得、好ましい態様も同様である。
本発明は、(A)と、(B1)及び(B2)からなる群より選択される少なくとも一つと、(C)とを添加することを含む、スパイス感及び甘味からなる群より選択される少なくとも一つの増強方法(本明細書中、単に「本発明の増強方法」と称する場合がある)も提供する。
本発明の増強方法は、特に断りのない限り、本発明の製造方法、本発明の付与方法と同様に実施し得、好ましい態様も同様である。
本発明の増強方法によってスパイス感及び甘味からなる群より選択される少なくとも一つが増強され得る食品は特に制限されないが、スパイス感が増強されることを所望されるもの、甘味が増強されることを所望されるものが好ましく、例えば、本発明の組成物を添加し得る食品として例示したものと同様のものが挙げられる。
本発明は、(A)と、(B1)及び(B2)からなる群より選択される少なくとも一つと、(C)とを添加することを含む、不快臭のマスキング方法(本明細書中、単に「本発明のマスキング方法」と称する場合がある)も提供する。
本発明のマスキング方法は、特に断りのない限り、本発明の製造方法、本発明の付与方法と同様に実施し得、好ましい態様も同様である。
本発明のマスキング方法によって不快臭がマスキングされ得る食品は特に制限されないが、不快臭がマスキングされることを所望されるものが好ましく、例えば、本発明の組成物を添加し得る食品として例示したものと同様のものが挙げられる。
所定量の2-アセチルフラン、6,7-ジヒドロ-5-メチル-5H-シクロペンタピラジン、フルフリルアルコール及びフルフリルメチルジスルフィドをそれぞれエタノール(販売元:日本アルコール産業、商品名:特定アルコール トレーサブル95 1級)に溶解して、当該各成分の0.0001重量%~10重量%溶液(添加溶液)を調製した。使用した各成分の販売元は、表1に示す通りである。
市販の回鍋肉の素(製品名:CookDo(登録商標)「回鍋肉」、販売元:味の素株式会社)の調味液を、水で5倍希釈した後、当該希釈液に上記1.において調製した各成分の添加溶液を添加して全量を100gとし、十分に攪拌して混合することにより、評価サンプル(実施例1~30、比較例1~6)を調製した。使用した添加溶液中の各成分の濃度、添加溶液の添加量、各成分の評価サンプル中の濃度は、下記表2~9の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(mg)」、及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
[評価基準]
±:炭様の刺激的な風味を付与する効果がない
+:炭様の刺激的な風味を付与する効果がわずかにある
++:炭様の刺激的な風味を付与する効果がややある
+++:炭様の刺激的な風味を付与する効果が適度にある
++++:炭様の刺激的な風味を付与する効果がかなりある
+++++:炭様の刺激的な風味を付与する効果が非常にある
一方、表3に示される結果から明らかなように、(A)、成分グループB及び(C)のいずれかを単独で添加した場合(比較例1~3)には、炭様の刺激的な風味を付与できなかった。また、(A)及び成分グループBのみ添加し、(C)は添加しなかった場合(比較例4)、(A)及び(C)のみ添加し、成分グループBは添加しなかった場合(比較例5)、成分グループB及び(C)のみ添加し、(A)は添加しなかった場合(比較例6)にも、炭様の刺激的な風味を付与できなかった。
2-アセチルフラン、6,7-ジヒドロ-5-メチル-5H-シクロペンタピラジン、フルフリルアルコール及びフルフリルメチルジスルフィドを、表10に示す割合で混合し、香料組成物を調製した。
(1)炊飯米(350g)、チャーシュー(70g)、長ねぎ(40g)及び卵(2個)を用いて常法により作製した炒飯に、上記3.において調製した香料組成物を、当該炒飯における香料組成物の喫食時濃度が21.89重量ppmとなるように添加した後、3名の専門パネルにより、加熱調理香の有無や程度を確認した。その結果、当該炒飯に加熱調理香(詳細には、高温で加熱した様な風味)が付与されたことが確認された。
(2)市販の中華丼の具(冷凍食品、販売元:味の素冷凍食品株式会社)に、上記3.において調製した香料組成物を、当該中華丼の具における香料組成物の喫食時濃度が21.89重量ppmとなるように添加した後、3名の専門パネルにより、加熱調理香の有無や程度を確認した。その結果、当該中華丼の具に加熱調理香(詳細には、高温で加熱した様な風味)が付与されたことが確認された。
(3)市販の焼き鳥丼の具(冷凍食品、販売元:味の素冷凍食品株式会社)に、上記3.において調製した香料組成物を、当該中華丼の具における香料組成物の喫食時濃度が41.04重量ppmとなるように添加した後、3名の専門パネルにより、加熱調理香の有無や程度を確認した。その結果、当該焼き鳥丼の具に加熱調理香(詳細には、炭火で焼いた様な風味)が付与されたことが確認された。
上記(1)~(3)の結果から、(A)と、(B1)及び(B2)からなる群より選択される少なくとも一つと、(C)とを添加することによって、食品に加熱調理香を付与できることが確認された。
評価サンプルとして、下記1)~6)の手順でクッキーを作製した(実施例31)。使用した添加溶液中の各成分の濃度、添加溶液の添加量、各成分の評価サンプル中の濃度は、下記表11の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(mg)」、及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
[クッキーの作製方法]
1)フードプロセッサーに、薄力粉25g、強力粉25g、砂糖15g及び食塩0.26gを入れて混合した(2000rpm、10秒間×2回)。
2)上記1)で得られた混合物に、発酵バター3.1g及びショートニング22.5gを加えて混合した(2000rpm、10秒間×4回)。
3)上記2)で得られた混合物に、卵8g及び上記1.において調製した各成分の添加溶液を添加し、更に水を加えて全量を100gとした後、均一になるまで混合した(2000rpm、10秒間×2回)。
4)上記3)で得られた混合物をチャック付ポリ袋に入れ、麺棒で平ら(厚さ5mm程度)に伸ばした。
5)上記4)で得られたクッキー生地を-20℃で30分間、冷凍保存した。
6)冷凍保存後のクッキー生地を所定の形状に型ぬきした後、オーブンにて180℃で12分間焼成した。
[評価基準]
-:無添加品よりも焼成感が弱い
±:無添加品と焼成感に差がない
+:無添加品よりもわずかに焼成感が上昇している
++:無添加品よりもやや焼成感が上昇している
+++:無添加品よりも適度に焼成感が上昇している
++++:無添加品よりもかなり焼成感が上昇している
+++++:無添加品よりも非常に焼成感が上昇している
一口大にカットした鶏もも肉90gに、市販のから揚げ粉(製品名:から揚げ粉 揚げない調理タイプ、販売元:日清製粉株式会社)10gをまぶした後、電子レンジにて加熱(600W、2分50秒間)し、から揚げを作製した。当該から揚げ(100g)に、上記1.において調製した各成分の添加溶液を添加して、評価サンプル(実施例32)を調製した。使用した添加溶液中の各成分の濃度、添加溶液の添加量、各成分の評価サンプル中の濃度は、下記表12の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(mg)」、及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
[評価基準]
-:無添加品よりも油調感が弱い
±:無添加品と油調感に差がない
+:無添加品よりもわずかに油調感が上昇している
++:無添加品よりもやや油調感が上昇している
+++:無添加品よりも適度に油調感が上昇している
++++:無添加品よりもかなり油調感が上昇している
+++++:無添加品よりも非常に油調感が上昇している
一口大に切った小松菜120g及び市販の調味料(製品名:CookDo(登録商標)鶏ガラ、ネギ油、こがしにんにくの油香味ペースト、販売元:味の素株式会社)3gに、水10gを加え、よく混合した後、電子レンジにて加熱(600W、2分間)し、野菜炒めを作製した。当該野菜炒め100gに対し、上記1.において調製した各成分の添加溶液を添加して、評価サンプル(実施例33~35)を調製した。使用した添加溶液中の各成分の濃度、添加溶液の添加量、各成分の評価サンプル中の濃度は、下記表13の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(mg)」、及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
[評価基準]
-:無添加品よりもマスキング強度が弱い
±:無添加品とマスキング強度に差がない
+:無添加品よりもわずかにマスキング強度が上昇している
++:無添加品よりもやや塩味強度が上昇している
+++:無添加品よりも適度にマスキング強度が上昇している
++++:無添加品よりもかなりマスキング強度が上昇している
+++++:無添加品よりも非常にマスキング強度が上昇している
市販のみたらしだんご(製品名:焦がし醤油風味の串団子、販売元:山崎製パン株式会社)に、上記1.において調製した各成分の添加溶液を添加して、評価サンプル(実施例36~39)を調製した。使用した添加溶液中の各成分の濃度、みたらしだんご100g当たりの添加溶液の添加量、各成分の評価サンプル中の濃度は、下記表14の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(mg)」、及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
[評価基準]
-:無添加品よりも甘味強度が弱い
±:無添加品と甘味強度に差がない
+:無添加品よりもわずかに甘味強度が上昇している
++:無添加品よりもやや甘味強度が上昇している
+++:無添加品よりも適度に甘味強度が上昇している
++++:無添加品よりもかなり甘味強度が上昇している
+++++:無添加品よりも非常に甘味強度が上昇している
市販のコショー(製品名:GABAN(登録商標)「コショー」、販売元:ハウス食品株式会社)0.1gを水100gに加え、コショー水溶液を調製した。当該コショー水溶液(100g)に、上記1.において調製した各成分の添加溶液を添加して、評価サンプル(実施例40~44)を調製した。使用した添加溶液中の各成分の濃度、添加溶液の添加量、各成分の評価サンプル中の濃度は、下記表15の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(mg)」、及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
[評価基準]
-:無添加品よりもスパイス強度が弱い
±:無添加品とスパイス強度に差がない
+:無添加品よりもわずかにスパイス強度が上昇している
++:無添加品よりもややスパイス強度が上昇している
+++:無添加品よりも適度にスパイス強度が上昇している
++++:無添加品よりもかなりスパイス強度が上昇している
+++++:無添加品よりも非常にスパイス強度が上昇している
各種食品に、(A)と、(B1)及び(B2)からなる群より選択される少なくとも一つと、(C)とを添加し、スパイス感増強効果、不快臭のマスキング効果、甘味増強効果の評価を行った。
下記表18に示す各種食品に、上記1.において調製した各成分の添加溶液を添加して、評価サンプル(実施例45~48)を調製した。使用した添加溶液中の各成分の濃度、食品100g当たりの添加溶液の添加量、各成分の評価サンプル中の濃度は、下記表18の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(mg)」、及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
評価サンプルの調製に使用した各種食品は、それぞれ下記の手順で作製、準備した。
(から揚げ)
一口大にカットした鶏もも肉に、市販のから揚げ粉(製品名:Sajiku(登録商標)、販売元:インドネシア味の素社)をまぶし、常法によりから揚げを作製した。
(大豆ハンバーグ)
下記表16に示す材料を用い、特許第6160131号公報に記載の方法に従って、大豆ハンバーグを作製した。
(ぶり大根)
下記表17に示す材料を用い、特許第6160131号公報に記載の方法に従って、ぶり大根を作製した。ぶり大根の作製は、具体的には下記1)~4)の手順で行った。
[ぶり大根の作製方法]
1)ぶりを一口大に切り、酒及び生姜に1分間漬けた。
2)大根を1cm幅に輪切りした後、4等分にいちょう切りしたものを容器に入れ、市販の風味調味料(製品名:ほんだし(登録商標)煮物上手(登録商標)、販売元:味の素株式会社)及び水を加え、電子レンジで加熱した(600W、3分間)。
3)上記2)の加熱後の大根に、上記1)のぶり切り身を加え、電子レンジで加熱した(600W、3分30秒間)。
4)加熱したぶり大根を、電子レンジから出し、5分間以上蒸らした。
(プリン)
市販のプリン(製品名:プッチンプリン、販売元:グリコ乳業株式会社)をそのまま使用した。
実施例45(から揚げ)の評価サンプルは、スパイス感増強効果の評価を、実施例46(大豆ハンバーグ)及び実施例47(ぶり大根)の各評価サンプルは、不快臭(具体的には、大豆に起因する青臭さ、ぶりに起因する生臭さ)のマスキング効果の評価を、実施例48(プリン)の評価サンプルは、甘味増強効果の評価を、それぞれ行った。
結果を下記表18に示す。
本発明によれば、炭様の刺激的な風味が付与された食品の製造方法、並びに炭様の刺激的な風味の付与方法を提供できる。
また本発明によれば、炭様の刺激的な風味を食品に付与できるため、加熱調理により発現する風味(加熱調理香)を効果的に付与された食品を提供できる。
本発明によれば、焼成感及び油調感からなる群より選択される少なくとも一つが付与された食品を提供できる。
本発明によれば、スパイス感及び甘味からなる群より選択される少なくとも一つが増強された食品、不快臭がマスキングされた食品を提供できる。
本発明の組成物は、特定の化合物を混合することにより得られるため、当業者において一般に利用されている装置で製造でき、その製造条件も容易に制御できる。
さらに、本発明の組成物は特定の化合物を含有するものであり、食品の種類に応じて組成を調整する必要はないため、様々な食品に広く利用できる。
Claims (30)
- (A)2-アセチルフランと、
(B1)6,7-ジヒドロ-5-メチル-5H-シクロペンタピラジンと、
(C)フルフリルメチルジスルフィドと
を含有する組成物(但し、焙煎ごま油、焙煎コーヒー又は焙煎パーム核油を含有するものを除く)。 - (B2)フルフリルアルコールを更に含有する、請求項1記載の組成物。
- 食品における(A)の濃度が0.0002~500重量ppmとなるように食品に添加される、請求項1又は2記載の組成物。
- 食品における(C)の濃度が0.00001~300重量ppmとなるように食品に添加される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
- (A)の含有量と(C)の含有量の重量比(A:C)が、1:0.000005~1000である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
- 炭様の刺激的な風味付与用である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
- 加熱調理香付与用である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
- 加熱調理香付与が、焼成感及び油調感からなる群より選択される少なくとも一つの付与である、請求項7記載の組成物。
- スパイス感及び甘味からなる群より選択される少なくとも一つの増強用である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
- 不快臭のマスキング用である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
- 請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物を含有する食品。
- (A)2-アセチルフランと、
(B1)6,7-ジヒドロ-5-メチル-5H-シクロペンタピラジンと、
(C)フルフリルメチルジスルフィドと
を添加すること(但し、焙煎ごま油、焙煎コーヒー又は焙煎パーム核油を添加することを除く)を含む、食品の製造方法。 - (B2)フルフリルアルコールを添加することを更に含む、請求項12記載の方法。
- 食品における(A)の濃度が0.0002~500重量ppmとなるように(A)を添加する、請求項12又は13記載の方法。
- 食品における(C)の濃度が0.00001~300重量ppmとなるように(C)を添加する、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
- (A)の添加量と(C)の添加量の重量比(A:C)が、1:0.000005~1000である、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
- 食品が、炭様の刺激的な風味が付与された食品である、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
- 食品が、加熱調理香が付与された食品である、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
- 加熱調理香が付与された食品が、焼成感及び油調感からなる群より選択される少なくとも一つが付与された食品である、請求項18記載の方法。
- 食品が、スパイス感及び甘味からなる群より選択される少なくとも一つが増強された食品である、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
- 食品が、不快臭がマスキングされた食品である、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
- (A)2-アセチルフランと、
(B1)6,7-ジヒドロ-5-メチル-5H-シクロペンタピラジンと、
(C)フルフリルメチルジスルフィドと
を添加すること(但し、焙煎ごま油、焙煎コーヒー又は焙煎パーム核油を添加することを除く)を含む、炭様の刺激的な風味の付与方法。 - (A)2-アセチルフランと、
(B1)6,7-ジヒドロ-5-メチル-5H-シクロペンタピラジンと、
(C)フルフリルメチルジスルフィドと
を添加すること(但し、焙煎ごま油、焙煎コーヒー又は焙煎パーム核油を添加することを除く)を含む、加熱調理香の付与方法。 - 加熱調理香の付与が、焼成感及び油調感からなる群より選択される少なくとも一つの付与である、請求項23記載の方法。
- (A)2-アセチルフランと、
(B1)6,7-ジヒドロ-5-メチル-5H-シクロペンタピラジンと、
(C)フルフリルメチルジスルフィドと
を添加すること(但し、焙煎ごま油、焙煎コーヒー又は焙煎パーム核油を添加することを除く)を含む、スパイス感及び甘味からなる群より選択される少なくとも一つの増強方法。 - (A)2-アセチルフランと、
(B1)6,7-ジヒドロ-5-メチル-5H-シクロペンタピラジンと、
(C)フルフリルメチルジスルフィドと
を添加すること(但し、焙煎ごま油、焙煎コーヒー又は焙煎パーム核油を添加することを除く)を含む、不快臭のマスキング方法。 - (B2)フルフリルアルコールを添加することを更に含む、請求項22~26のいずれか一項に記載の方法。
- 食品における(A)の濃度が0.0002~500重量ppmとなるように(A)を食品に添加する、請求項22~27のいずれか一項に記載の方法。
- 食品における(C)の濃度が0.00001~300重量ppmとなるように(C)を食品に添加する、請求項22~28のいずれか一項に記載の方法。
- (A)の添加量と(C)の添加量の重量比(A:C)が、1:0.000005~1000である、請求項22~29のいずれか一項に記載の方法。
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