JP7056048B2 - 味質向上剤 - Google Patents
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即ち、本発明は以下の通りである。
[2](B)酢酸ベンジル、(C)p-トルアルデヒド、(D)フルフリルアルコール、(E)2,6-ジメチルピラジン及び(F)trans,trans-2,4-デカジエナールからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を更に含む、[1]記載の剤。
[3]畜肉エキス、油脂及び酸味成分からなる群より選択される少なくとも一つを含有する経口摂取物用である、[1]又は[2]記載の剤。
[4]味質向上が、常圧エキス感付与、油脂感増強及び酢カド抑制からなる群より選択される少なくとも一つである、[1]~[3]のいずれか一つに記載の剤。
[5](i)畜肉エキスを含有する経口摂取物用であり、かつ、味質向上が、常圧エキス感付与であるか、(ii)油脂を含有する経口摂取物用であり、かつ、味質向上が、油脂感増強であるか、あるいは、(iii)酸味成分を含有する経口摂取物用であり、かつ、味質向上が、酢カド抑制である、[1]~[4]のいずれか一つに記載の剤。
[6](A)の含有量が、0.0000001~99.9重量%である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の剤。
[7]経口摂取物が、飲食品又は調味料である、[3]~[6]のいずれか一つに記載の剤。
[8](A)β-カリオフィレンを添加することを含む、経口摂取物の製造方法。
[9](B)酢酸ベンジル、(C)p-トルアルデヒド、(D)フルフリルアルコール、(E)2,6-ジメチルピラジン及び(F)trans,trans-2,4-デカジエナールからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を添加することを更に含む、[8]記載の製造方法。
[10]経口摂取物が、畜肉エキス、油脂及び酸味成分からなる群より選択される少なくとも一つを含有する、[8]又は[9]記載の製造方法。
[11]経口摂取物が、味質向上がなされた経口摂取物である、[8]~[10]のいずれか一つに記載の製造方法。
[12]味質向上が、常圧エキス感付与、油脂感増強及び酢カド抑制からなる群より選択される少なくとも一つである、[11]記載の製造方法。
[13]経口摂取物が、(i)畜肉エキスを含有し、かつ、常圧エキス感が付与された経口摂取物であるか、(ii)油脂を含有し、かつ、油脂感が増強された経口摂取物であるか、あるいは、(iii)酸味成分を含有し、かつ、酢カドが抑制された経口摂取物である、[8]~[12]のいずれか一つに記載の製造方法。
[14](A)の添加量が、経口摂取物に対して0.00003~120重量ppmである、[8]~[13]のいずれか一つに記載の製造方法。
[15]経口摂取物が、飲食品又は調味料である、[8]~[14]のいずれか一つに記載の製造方法。
[16](A)β-カリオフィレンを添加することを含む、経口摂取物の味質向上方法。
[17](B)酢酸ベンジル、(C)p-トルアルデヒド、(D)フルフリルアルコール、(E)2,6-ジメチルピラジン及び(F)trans,trans-2,4-デカジエナールからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を添加することを更に含む、[16]記載の方法。
[18]経口摂取物が、畜肉エキス、油脂及び酸味成分からなる群より選択される少なくとも一つを含有する、[16]又は[17]記載の方法。
[19]味質向上が、常圧エキス感付与、油脂感増強及び酢カド抑制からなる群より選択される少なくとも一つである、[16]~[18]のいずれか一つに記載の方法。
[20](i)経口摂取物が、畜肉エキスを含有し、かつ、味質向上が、常圧エキス感付与であるか、(ii)経口摂取物が、油脂を含有し、かつ、味質向上が、油脂感増強であるか、あるいは、(iii)経口摂取物が、酸味成分を含有し、かつ、味質向上が、酢カド抑制である、[16]~[19]のいずれか一つに記載の方法。
[21](A)の添加量が、経口摂取物に対して0.00003~120重量ppmである、[16]~[20]のいずれか一つに記載の方法。
[22]経口摂取物が、飲食品又は調味料である、[16]~[21]のいずれか一つに記載の方法。
本発明によれば、味質向上がなされた経口摂取物を提供し得る。具体的には、一態様として、本発明によれば、常圧エキス感が付与された経口摂取物を提供し得る。別の一態様として、本発明によれば、油脂感が増強された経口摂取物を提供し得る。更に別の一態様として、本発明によれば、酢カドが抑制された経口摂取物を提供し得る。
本発明の味質向上剤(本明細書中、単に「本発明の剤」と称する場合がある)は、(A)β-カリオフィレン(本明細書中、単に「(A)」と称する場合がある)を有効成分とすることを、主たる特徴とする。
本発明の剤は、(A)に加えて、(B)~(F)の少なくとも二つの化合物を含むことがより好ましく、(B)~(F)の少なくとも三つの化合物を含むことが更に好ましく、(B)~(F)の少なくとも四つの化合物を含むことが特に好ましく、(B)~(F)の全ての化合物を含むことが最も好ましい。
本発明において用いられるp-トルアルデヒドは、芳香族アルデヒドの一種であり、そのCAS登録番号は104-87-0である。
本発明において用いられるフルフリルアルコールは、フラン類の一種であり、そのCAS登録番号は98-00-0である。
本発明において用いられる2,6-ジメチルピラジンは、ピラジン類の一種であり、そのCAS登録番号は108-50-9である。
本発明において用いられるtrans,trans-2,4-デカジエナールは、脂肪族高級アルデヒド類の一種であり、そのCAS登録番号は25152-84-5である。
また本発明の剤が(B)を含有する場合、本発明の剤における(B)の含有量は、本発明の剤に対し、好ましくは99.9重量%以下であり、より好ましくは99重量%以下であり、特に好ましくは95重量%以下である。
また本発明の剤が(B)を含有する場合、本発明の剤における(A)の含有量と(B)の含有量の重量比((A):(B))は、高い味質向上効果を発揮し得ることから、好ましくは1:0.01~100であり、より好ましくは1:0.5~50であり、特に好ましくは1:1~10である。
また本発明の剤が(C)を含有する場合、本発明の剤における(C)の含有量は、本発明の剤に対し、好ましくは99.9重量%以下であり、より好ましくは99重量%以下であり、特に好ましくは95重量%以下である。
また本発明の剤が(C)を含有する場合、本発明の剤における(A)の含有量と(C)の含有量の重量比((A):(C))は、高い味質向上効果を発揮し得ることから、好ましくは1:0.01~100であり、より好ましくは1:0.03~10であり、特に好ましくは1:0.05~5である。
また本発明の剤が(D)を含有する場合、本発明の剤における(D)の含有量は、本発明の剤に対し、好ましくは99.9重量%以下であり、より好ましくは99重量%以下であり、特に好ましくは95重量%以下である。
また本発明の剤が(D)を含有する場合、本発明の剤における(A)の含有量と(D)の含有量の重量比((A):(D))は、高い味質向上効果を発揮し得ることから、好ましくは1:0.01~100であり、より好ましくは1:0.5~50であり、特に好ましくは1:1~10である。
また本発明の剤が(E)を含有する場合、本発明の剤における(E)の含有量は、本発明の剤に対し、好ましくは99.9重量%以下であり、より好ましくは99重量%以下であり、特に好ましくは95重量%以下である。
また本発明の剤が(E)を含有する場合、本発明の剤における(A)の含有量と(E)の含有量の重量比((A):(E))は、高い味質向上効果を発揮し得ることから、好ましくは1:0.01~100であり、より好ましくは1:0.5~50であり、特に好ましくは1:1~10である。
また本発明の剤が(F)を含有する場合、本発明の剤における(F)の含有量は、本発明の剤に対し、好ましくは99.9重量%以下であり、より好ましくは99重量%以下であり、特に好ましくは95重量%以下である。
また本発明の剤が(F)を含有する場合、本発明の剤における(A)の含有量と(F)の含有量の重量比((A):(F))は、高い味質向上効果を発揮し得ることから、好ましくは1:0.01~100であり、より好ましくは1:0.5~50であり、特に好ましくは1:1~10である。
本発明の剤の形態が固体状の場合の基剤としては、例えば、澱粉、デキストリン、シクロデキストリン、スクロース及びグルコース等の各種糖類、蛋白質、ペプチド、食塩、固形脂、二酸化ケイ素、及びそれらの混合物、また酵母菌体や各種の粉末エキス類等が挙げられる。
畜肉エキスの具体例としては、チキンエキス(加圧チキンエキス、常圧チキンエキス)、ポークエキス(加圧ポークエキス、常圧ポークエキス)、ビーフエキス(加圧ビーフエキス、常圧ビーフエキス)等が挙げられ、好ましくは、チキンエキス(加圧チキンエキス、常圧チキンエキス)、ポークエキス(加圧ポークエキス、常圧ポークエキス)であり、より好ましくは加圧チキンエキス、加圧ポークエキスである。これらの畜肉エキスは、単独で用いられてよく、又は二種以上が併用されてもよい。
本発明において用いられる畜肉エキスの形態は特に制限されず、例えば、固体状(粉末状、顆粒状等を含む)、液体状(スラリー状等を含む)、ゲル状、ペースト状等であってよい。
油脂の具体例としては、コーン油、大豆油、ごま油、菜種油、こめ油、糠油、ベニバナ油、ヤシ油、パーム油、ひまわり油、荏油、エゴマ油、アマニ油、オリーブ油等の植物油脂;豚脂(ラード)、牛脂、鶏油、羊脂、馬脂、魚油、鯨油等の動物油脂;それらの硬化油等が挙げられる。これらの油脂は、単独で用いられてよく、又は二種以上が併用されてもよい。動物油脂は、食肉に含まれる形態で用いられてよい。
また本発明の剤は、別の一態様として、油脂を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)用であり、かつ、味質向上が、油脂感増強であってよく、すなわち本発明の剤は、油脂を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)用の油脂感増強剤であってよく、好ましくは、油脂を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)用の油脂感増強剤であってよい。
また本発明の剤は、更に別の一態様として、酸味成分(好ましくは、食酢)を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)用であり、かつ、味質向上が、酢カド抑制であってよく、すなわち本発明の剤は、酸味成分を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)用の酢カド抑制剤であってよく、好ましくは、食酢を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)用の酢カド抑制剤であってよい。
本発明の剤は、(A)に加えて、(B)~(F)の少なくとも一つの化合物を含む場合、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物における(A)の濃度が、0.000007重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが好ましく、0.00007重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることがより好ましく、0.0007重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることがより一層好ましく、0.007重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが更に好ましく、0.07重量ppm以上となるように経口摂取物に添加されることが特に好ましい。またこの場合、本発明の剤は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物における(A)の濃度が、5重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることが好ましく、3重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることがより好ましく、0.3重量ppm以下となるように経口摂取物に添加されることが特に好ましい。
本明細書中、経口摂取物における「(A)の濃度」とは、経口摂取物に添加される(A)の重量の、該経口摂取物の重量に対する割合をいい、例えば、経口摂取物に(A)を添加する前から該経口摂取物が予め(A)と同様の成分を含有する場合、経口摂取物が予め含有する成分の重量は、経口摂取物に添加される(A)の重量に含めない。また当該「(A)の濃度」は、経口摂取される際の経口摂取物の重量に対する割合である。これらの説明は、後述の経口摂取物における(A)以外の成分の濃度(例えば、「経口摂取物における(B)の濃度」等)についても準用されるものとする。
一態様として、本発明の剤によれば、例えば、常圧エキス感が付与された経口摂取物(好ましくは、畜肉エキスを含有し、かつ、常圧エキス感が付与された経口摂取物、より好ましくは、加圧エキスを含有し、かつ、常圧エキス感が付与された経口摂取物)を提供し得る。
別の一態様として、本発明の剤によれば、油脂感が増強された経口摂取物(好ましくは、油脂を含有し、かつ、油脂感が増強された経口摂取物)を提供し得る。
更に別の一態様として、本発明の剤によれば、酢カドが抑制された経口摂取物(好ましくは、酸味成分を含有し、かつ、酢カドが抑制された経口摂取物、より好ましくは、食酢を含有し、かつ、酢カドが抑制された経口摂取物)等を提供し得る。
本発明は、(A)β-カリオフィレンを添加することを含む、経口摂取物の製造方法(本明細書中、単に「本発明の製造方法」と称する場合がある)も提供する。本発明の製造方法は、(A)を添加することを含むことにより、味質向上がなされた経口摂取物を製造し得る。
本発明の製造方法は、(A)を添加することに加えて、(B)~(F)の少なくとも二つの化合物を添加することを含むことがより好ましく、(B)~(F)の少なくとも三つの化合物を添加することを含むことが更に好ましく、(B)~(F)の少なくとも四つの化合物を添加することを含むことが特に好ましく、(B)~(F)の全ての化合物を添加することを含むことが最も好ましい。
本発明の製造方法によって得られる経口摂取物が含有し得る畜肉エキス、油脂及び酸味成分は、本発明の剤に関して説明したものと同様であり、その具体例や、経口摂取物における含有量等も同様である。
また本発明の製造方法は、別の一態様として、油脂を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の製造方法であってよく、好ましくは、油脂を含有し、かつ、油脂感が増強された経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の製造方法であってよい。
また本発明の製造方法は、更に別の一態様として、酸味成分(好ましくは、食酢)を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の製造方法であってよく、より好ましくは、酸味成分を含有し、かつ、酢カドが抑制された経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の製造方法であってよく、特に好ましくは食酢を含有し、かつ、酢カドが抑制された経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の製造方法であってよい。
本発明の製造方法が、(A)を添加することに加えて、(B)~(F)の少なくとも一つの化合物を添加することを含む場合、(A)の添加量は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物に対し、好ましくは0.000007重量ppm以上であり、より好ましくは0.00007重量ppm以上であり、より一層好ましくは0.0007重量ppm以上であり、更に好ましくは0.007重量ppm以上であり、特に好ましくは0.07重量ppm以上である。また(A)の添加量は、より効果的に味質を向上し得ることから、経口摂取物に対し、好ましくは5重量ppm以下であり、より好ましくは3重量ppm以下であり、特に好ましくは0.3重量ppm以下である。
本明細書中、経口摂取物に対する「(A)の添加量」とは、経口摂取物に添加される(A)の重量の、該経口摂取物の重量に対する割合をいい、例えば、経口摂取物に(A)を添加する前から該経口摂取物が予め(A)と同様の成分を含有する場合、経口摂取物が予め含有する成分の重量は、経口摂取物に添加される(A)の重量に含めない。また当該「(A)の添加量」は、経口摂取される際の経口摂取物の重量に対する割合である。これらの説明は、後述の(A)以外の成分の添加量(例えば、経口摂取物に対する「(B)の添加量」等)についても準用されるものとする。
本発明の製造方法が、(A)を添加することに加えて、少なくとも(B)を添加することを含む場合、(A)の添加量と(B)の添加量の重量比は、上述の本発明の剤における(A)の含有量と(B)の含有量の重量比と同様に設定し得る。
本発明の製造方法が、(A)を添加することに加えて、少なくとも(C)を添加することを含む場合、(A)の添加量と(C)の添加量の重量比は、上述の本発明の剤における(A)の含有量と(C)の含有量の重量比と同様に設定し得る。
本発明の製造方法が、(A)を添加することに加えて、少なくとも(D)を添加することを含む場合、(A)の添加量と(D)の添加量の重量比は、上述の本発明の剤における(A)の含有量と(D)の含有量の重量比と同様に設定し得る。
本発明の製造方法が、(A)を添加することに加えて、少なくとも(E)を添加することを含む場合、(A)の添加量と(E)の添加量の重量比は、上述の本発明の剤における(A)の含有量と(E)の含有量の重量比と同様に設定し得る。
本発明の製造方法が、(A)を添加することに加えて、少なくとも(F)を添加することを含む場合、(A)の添加量と(F)の添加量の重量比は、上述の本発明の剤における(A)の含有量と(F)の含有量の重量比と同様に設定し得る。
一態様として、本発明の製造方法によれば、例えば、常圧エキス感が付与された経口摂取物(好ましくは、畜肉エキスを含有し、かつ、常圧エキス感が付与された経口摂取物、より好ましくは、加圧エキスを含有し、かつ、常圧エキス感が付与された経口摂取物)等を製造し得る。
別の一態様として、本発明の製造方法によれば、例えば、油脂感が増強された経口摂取物(好ましくは、油脂を含有し、油脂感が増強された経口摂取物)等を製造し得る。
更に別の一態様として、本発明の製造方法によれば、例えば、酢カドが抑制された経口摂取物(好ましくは、酸味成分を含有し、かつ、酢カドが抑制された経口摂取物、より好ましくは、食酢を含有し、かつ、酢カドが抑制された経口摂取物)等を製造し得る。
本発明は、(A)β-カリオフィレンを添加することを含む、経口摂取物の味質向上方法(本明細書中、単に「本発明の方法」と称する場合がある)も提供する。
本発明の方法は、特に断りのない限り、本発明の製造方法と同様に実施し得、好ましい態様も同様である。
本発明の方法により味質向上がなされる経口摂取物が含有し得る畜肉エキス、油脂及び酸味成分は、本発明の剤に関して説明したものと同様のものをいい、その具体例や、経口摂取物における含有量等も同様である。
また本発明の方法は、別の一態様として、味質向上が、油脂感増強であってよく、すなわち本発明の方法は、経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の油脂感増強方法であってよく、好ましくは、油脂を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の油脂感増強方法であってよい。
また本発明の方法は、更に別の一態様として、経口摂取物が、酸味成分(好ましくは、食酢)を含有し、かつ、味質向上が、酢カド抑制であってよく、すなわち本発明の方法は、酸味成分を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の酢カド抑制方法であってよく、好ましくは、食酢を含有する経口摂取物(例、飲食品、調味料等)の酢カド抑制方法であってよい。
一態様として、本発明の方法によれば、畜肉エキスを含有する経口摂取物に常圧エキス感を付与すること(好ましくは、加圧エキスを含有する経口摂取物に常圧エキス感を付与すること)ができる。
別の一態様として、本発明の方法によれば、経口摂取物の油脂感を増強すること(好ましくは、油脂を含有する経口摂取物の油脂感を増強すること)ができる。
更に別の一態様として、本発明の方法によれば、酸味成分を含有する経口摂取物の酢カドを抑制すること(好ましくは、食酢を含有する経口摂取物の酢カドを抑制すること)ができる。
<評価サンプルの調製>
β-カリオフィレン(販売元:シグマアルドリッチ社)を、表1に示す濃度で市販の加圧ポークエキス(製造元:司食品社、商品名:ポークスープBS)の10%熱水溶液(60℃)に添加し、評価サンプル(実施例1~8)を調製した。表1に示す濃度は、添加したβ-カリオフィレンの重量の、加圧チキンエキスの10%熱水溶液の重量に対する割合である。
実施例1~8の評価サンプルにおける常圧エキス感付与効果の評価は、官能評価によって行った。
官能評価は、3名の専門パネルが実施例1~8の評価サンプルを喫食し、「ゼラチン感」及び「ふくらみ」については、ポジティブコントロールとして市販の常圧チキンエキス(製造元:司食品社、商品名:ポークスープ30)の10%熱水溶液(60℃)を5点、ネガティブコントロールとして市販の加圧ポークエキス(製造元:司食品社、商品名:ポークスープBS)の10%熱水溶液(60℃)を0点とする評価基準に則り、0.5点刻みで評点付けして実施した。また「異風味」については、非常に強い場合を5点、許容限界である場合を3点、感じない場合を0点とする評価基準に則り、0.5点刻みで評点付けすることにより評価した。「ゼラチン感」及び「ふくらみ」は、1点以上で有用と判断し、「異風味」は、3点以下で有用と判断した。
ここで「異風味」とは、試料に本来備わっていない異質な風味をいい、試験例1及び2では、常圧エキス及び加圧エキスのいずれにおいても感じられない風味である。
尚、実施例7、8の評価サンプルのゼラチン感及びふくらみの評点が、実施例6の評価サンプルに比べて若干、低値であるが、これはβ-カリオフィレンの濃度が高くなるにつれて異風味が強く感じられるようになる傾向があり、そのような異風味により、ゼラチン感及びふくらみを感知しにくくなったことによるものと考えられる。
<評価サンプルの調製>
β-カリオフィレン(販売元:シグマアルドリッチ社)を、表2に示す濃度で市販の加圧チキンエキス(製造元:司食品社、商品名:チキンエキスBS)の10%熱水溶液(60℃)に添加し、評価サンプル(実施例9~17)を調製した。表2に示す濃度は、添加したβ-カリオフィレンの重量の、加圧チキンエキスの10%熱水溶液の重量に対する割合である。
実施例9~17の評価サンプルにおける常圧エキス感付与効果の評価は、官能評価によって行った。
官能評価は、3名の専門パネルが実施例9~17の評価サンプルを喫食し、「ゼラチン感」及び「ふくらみ」については、ポジティブコントロールとして市販の常圧チキンエキス(製造元:司食品社、商品名:チキンエキス30)の10%熱水溶液(60℃)を5点、ネガティブコントロールとして市販の加圧チキンエキス(製造元:司食品社、商品名:チキンエキスBS)の10%熱水溶液(60℃)を0点とする評価基準に則り、0.5点刻みで評点付けして実施した。また「異風味」については、試験例1と同様に評価した。「ゼラチン感」及び「ふくらみ」は、1点以上で有用と判断し、「異風味」は、3点以下で有用と判断した。
尚、実施例15~17の評価サンプルのゼラチン感及びふくらみの評点が、実施例14の評価サンプルに比べて若干、低値であるが、これはβ-カリオフィレンの濃度が高くなるにつれて異風味が強く感じられるようになる傾向があり、そのような異風味により、ゼラチン感及びふくらみを感知しにくくなったことによるものと考えられる。
<添加溶液の調製>
所定量のβ-カリオフィレン(販売元:シグマアルドリッチ社)をパーム油(製造元:Lam Soon Edible Oil社)に溶解した後、パーム油で段階的に希釈し、β-カリオフィレンを0.000005重量%~10重量%の範囲で含有する溶液(以下において「(A)単独添加溶液」とも称する)を調製した。
所定量のβ-カリオフィレン、酢酸ベンジル、p-トルアルデヒド、フルフリルアルコール、2,6-ジメチルピラジン及びtrans,trans-2,4-デカジエナール(販売元:いずれもシグマアルドリッチ社)をパーム油(製造元:Lam Soon Edible Oil社)に溶解した後、パーム油で段階的に希釈し、これらの6化合物を合計で、0.00001重量%~1重量%の範囲で含有する溶液(以下において「(A)~(F)混合添加溶液」とも称する)を調製した。当該(A)~(F)混合添加溶液に含有される(A)~(F)の重量比を下表3に示す。
市販のマヨネーズ(販売元:味の素社、商品名:ピュアセレクト(登録商標)マヨネーズ、油脂(植物油脂)の含有量:73重量%)に、上記において調製した(A)単独添加溶液を添加して全量を50gとし、十分に攪拌して混合することにより、評価サンプル(実施例18~24)を調製した。尚、実施例24の評価サンプルは、調製に使用した(A)単独添加溶液に含まれるパーム油の量が、他の評価サンプルに比べて少なく、これを補うため、別途パーム油を添加されて調製された。
(A)単独添加溶液中のβ-カリオフィレンの濃度、(A)単独添加溶液の添加量、パーム油の添加量及び評価サンプル中のβ-カリオフィレンの濃度は、それぞれ下記表4の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(g)」、「パーム油(g)」及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
また市販のマヨネーズ(販売元:味の素社、商品名:ピュアセレクト(登録商標)マヨネーズ)に、上記において調製した(A)~(F)混合添加溶液を添加して全量を50gとし、十分に攪拌して混合することにより、評価サンプル(実施例25~30)を調製した。
(A)~(F)混合添加溶液中の(A)~(F)の合計の濃度、(A)~(F)混合添加溶液の添加量、パーム油の添加量及び評価サンプル中の(A)~(F)のそれぞれの濃度は、下記表5の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(g)」、「パーム油(g)」及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
実施例18~30の評価サンプルにおける油脂感増強効果の評価は、官能評価によって行った。
官能評価は、2名の専門パネルにより、各評価サンプルをパーム油添加品(いずれの添加溶液も添加せず、代わりにパーム油のみを添加した市販のマヨネーズ)と比較して、油脂感増強効果の有無や程度を確認し、下記の評価基準で実施した。
[評価基準]
±:油脂感を増強する効果がない
+:油脂感を増強する効果がわずかにある
++:油脂感を増強する効果がややある
+++:油脂感を増強する効果が適度にある
++++:油脂感を増強する効果がかなりある
+++++:油脂感を増強する効果が非常にある
また「異風味」とは、上述の通り、試料に本来備わっていない異質な風味をいい、試験例3~7では、パーム油添加品に感じられない風味である。
尚、実施例24の評価サンプルの油脂感が、実施例22、23の評価サンプルに比べて若干、低評価であるが、これはβ-カリオフィレンの濃度が高くなるにつれて異風味が強く感じられるようになる傾向があり、そのような異風味により、油脂感を感知しにくくなったことによるものと考えられる。
また表5に示される結果から、β-カリオフィレンに加えて、酢酸ベンジル、p-トルアルデヒド、フルフリルアルコール、2,6-ジメチルピラジン及びtrans,trans-2,4-デカジエナールを添加することにより、より少量のβ-カリオフィレンで、効果的にマヨネーズに油脂感が増強されたことが確認された。
<評価サンプルの調製>
下表6に示す食材及び上記試験例3において調製した(A)単独添加溶液を用いて、常法により野菜炒め(全量150g)を作製し、これを評価サンプル(実施例31~36)とした。尚、(A)単独添加溶液は、野菜炒めの作製前に、予め風味調味料に添加し、当該風味調味料と他の食材とを用いて野菜炒めの作製を行った。
(A)単独添加溶液中のβ-カリオフィレンの濃度、(A)単独添加溶液の添加量、パーム油の添加量及び評価サンプル中のβ-カリオフィレンの濃度は、それぞれ下記表7の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(g)」、「パーム油(g)」及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
また下表6に示す食材及び上記試験例3において調製した(A)~(F)混合添加溶液を用いて、常法により野菜炒め(全量150g)を作製し、これを評価サンプル(実施例37~41)とした。尚、(A)~(F)混合添加溶液は、野菜炒めの作製前に、予め風味調味料に添加し、当該風味調味料と他の食材とを用いて野菜炒めの作製を行った。
(A)~(F)混合添加溶液中の(A)~(F)の合計の濃度、(A)~(F)混合添加溶液の添加量、パーム油の添加量及び評価サンプル中の(A)~(F)のそれぞれの濃度は、下記表8の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(g)」、「パーム油(g)」及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
実施例31~41の評価サンプルにおける油脂感増強効果の評価は、官能評価によって行った。
官能評価は、2名の専門パネルにより、各評価サンプルをパーム油添加品(いずれの添加溶液も用いず、代わりにパーム油を使用して作製した野菜炒め)と比較して、油脂感増強効果の有無や程度を確認し、試験例3と同様の評価基準で実施した。
尚、実施例36の評価サンプルの油脂感が、実施例34、35の評価サンプルに比べて若干、低評価であるが、これはβ-カリオフィレンの濃度が高くなるにつれて異風味が強く感じられるようになる傾向があり、そのような異風味により、油脂感を感知しにくくなったことによるものと考えられる。
また表8に示される結果から、β-カリオフィレンに加えて、酢酸ベンジル、p-トルアルデヒド、フルフリルアルコール、2,6-ジメチルピラジン及びtrans,trans-2,4-デカジエナールを添加することにより、より少量のβ-カリオフィレンで、効果的に野菜炒めに油脂感が増強されたことが確認された。
尚、実施例40、41の評価サンプルの油脂感が、実施例39の評価サンプルに比べて若干、低評価であるが、これはβ-カリオフィレン、酢酸ベンジル、p-トルアルデヒド、フルフリルアルコール、2,6-ジメチルピラジン及びtrans,trans-2,4-デカジエナールの濃度が高くなるにつれて各成分由来の異風味が強く感じられるようになる傾向があり、そのような異風味により、油脂感を感知しにくくなったことによるものと考えられる。
<評価サンプルの調製>
下表9に示す食材を用いて、常法によりスープを作製した。作製したスープは加熱調理中の水分の蒸発により濃縮されていることから、当該スープにおける風味調味料の濃度が1.3重量%となるよう、調理後のスープに60℃の熱水を加えて調整した後、上記試験例3において調製した(A)単独添加溶液を添加して全量を100gとし、十分に攪拌して混合することにより、評価サンプル(実施例42~47)を調製した。
(A)単独添加溶液中のβ-カリオフィレンの濃度、(A)単独添加溶液の添加量、パーム油の添加量及び評価サンプル中のβ-カリオフィレンの濃度は、それぞれ下記表10の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(g)」、「パーム油(g)」及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
また下表9に示す食材を用いて、常法によりスープを作製した。作製したスープは、加熱調理中の水分の蒸発により濃縮されていることから、当該スープにおける風味調味料の濃度が1.3重量%となるよう、調理後のスープに60℃の熱水を加えて調整した後、上記試験例3において調製した(A)~(F)混合添加溶液を添加して全量を100gとし、十分に攪拌して混合することにより、評価サンプル(実施例48~52)を調製した。
(A)~(F)混合添加溶液中の(A)~(F)の合計の濃度、(A)~(F)混合添加溶液の添加量、パーム油の添加量及び評価サンプル中の(A)~(F)のそれぞれの濃度は、下記表11の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(g)」、「パーム油(g)」及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
実施例42~52の評価サンプルにおける油脂感増強効果の評価は、官能評価によって行った。
官能評価は、2名の専門パネルにより、各評価サンプルをパーム油添加品(いずれの添加溶液も添加せず、代わりにパーム油を添加したスープ)と比較して、油脂感増強効果の有無や程度を確認し、試験例3と同様の評価基準で実施した。
尚、実施例47の評価サンプルの油脂感が、実施例44~46の評価サンプルに比べて若干、低評価であるが、これはβ-カリオフィレンの濃度が高くなるにつれて異風味が強く感じられるようになる傾向があり、そのような異風味により、油脂感を感知しにくくなったことによるものと考えられる。
また表11に示される結果から、β-カリオフィレンに加えて、酢酸ベンジル、p-トルアルデヒド、フルフリルアルコール、2,6-ジメチルピラジン及びtrans,trans-2,4-デカジエナールを添加することにより、より少量のβ-カリオフィレンで、効果的にスープに油脂感が増強されたことが確認された。
尚、実施例51、52の評価サンプルの油脂感が、実施例50の評価サンプルに比べて若干、低評価であるが、これはβ-カリオフィレン、酢酸ベンジル、p-トルアルデヒド、フルフリルアルコール、2,6-ジメチルピラジン及びtrans,trans-2,4-デカジエナールの濃度が高くなるにつれて各成分由来の異風味が強く感じられるようになる傾向があり、そのような異風味により、油脂感を感知しにくくなったことによるものと考えられる。
<評価サンプルの調製>
市販のウスターソース(販売元:ブルドックソース社、商品名:ブルドック ウスターソース)を水で2倍希釈した後、上記試験例3において調製した(A)単独添加溶液を添加して全量を100gとし、十分に攪拌して混合することにより、評価サンプル(実施例53~59)を調製した。尚、実施例59の評価サンプルは、調製に使用した(A)単独添加溶液に含まれるパーム油の量が、他の評価サンプルに比べて少なく、これを補うため、別途パーム油を添加されて調製された。
(A)単独添加溶液中のβ-カリオフィレンの濃度、(A)単独添加溶液の添加量、パーム油の添加量及び評価サンプル中のβ-カリオフィレンの濃度は、下記表12の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(g)」、「パーム油(g)」及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
また市販のウスターソース(販売元:ブルドックソース社、商品名:ブルドック ウスターソース)を水で2倍希釈した後、上記試験例3において調製した(A)~(F)混合添加溶液を添加して全量を100gとし、十分に攪拌して混合することにより、評価サンプル(実施例60~65)を調製した。尚、実施例65の評価サンプルは、調製に使用した(A)~(F)混合添加溶液に含まれるパーム油の量が、他の評価サンプルに比べて少なく、これを補うため、別途パーム油を添加されて調製された。
(A)~(F)混合添加溶液中の(A)~(F)の合計の濃度、(A)~(F)混合添加溶液の添加量、パーム油の添加量及び評価サンプル中の(A)~(F)のそれぞれ濃度は、下記表13の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(g)」、「パーム油(g)」及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
実施例53~65の評価サンプルにおける酢カド抑制効果の評価は、官能評価によって行った。
官能評価は、2名の専門パネルにより、各評価サンプルをパーム油添加品(いずれの添加溶液も添加せず、代わりにパーム油のみを添加した、水で2倍希釈した市販のウスターソース)と比較して、酢カド抑制効果の有無や程度を確認し、下記の評価基準で実施した。
[評価基準]
±:酢カドを抑制する効果がない
+:酢カドを抑制する効果がわずかにある
++:酢カドを抑制する効果がややある
+++:酢カドを抑制する効果が適度にある
++++:酢カドを抑制する効果がかなりある
+++++:酢カドを抑制する効果が非常にある
尚、実施例59の評価サンプルの酢カドが、実施例57、58の評価サンプルに比べて若干、低評価であるが、これはβ-カリオフィレンの濃度が高くなるにつれて異風味が強く感じられるようになり、そのような異風味により、酢カドが抑制されているか認識しにくくなったことによるものと考えられる。
また表13に示される結果から、β-カリオフィレンに加えて、酢酸ベンジル、p-トルアルデヒド、フルフリルアルコール、2,6-ジメチルピラジン及びtrans,trans-2,4-デカジエナールを添加することにより、より少量のβ-カリオフィレンで、効果的にウスターソースの酢カドが抑制されたことが確認された。
尚、実施例65の評価サンプルの油脂感が、実施例61~64の評価サンプルに比べて若干、低評価であるが、これはβ-カリオフィレン、酢酸ベンジル、p-トルアルデヒド、フルフリルアルコール、2,6-ジメチルピラジン及びtrans,trans-2,4-デカジエナールの濃度が高くなるにつれて各成分由来の異風味が強く感じられるようになる傾向があり、そのような異風味により、油脂感を感知しにくくなったことによるものと考えられる。
<評価サンプルの調製>
市販のマヨネーズ(販売元:味の素社、商品名:ピュアセレクト(登録商標)マヨネーズ)に、上記試験例3において調製した(A)単独添加溶液を添加して全量を50gとし、十分に攪拌して混合することにより、評価サンプル(実施例66~72)を調製した。尚、実施例72の評価サンプルは、調製に使用した(A)単独添加溶液に含まれるパーム油の量が、他の評価サンプルに比べて少なく、これを補うため、別途パーム油を添加されて調製された。
(A)単独添加溶液中のβ-カリオフィレンの濃度、(A)単独添加溶液の添加量、パーム油の添加量及び評価サンプル中のβ-カリオフィレンの濃度は、下記表14の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(g)」、「パーム油(g)」及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
また市販のマヨネーズ(販売元:味の素社、商品名:ピュアセレクト(登録商標)マヨネーズ)に、上記試験例3において調製した(A)~(F)混合添加溶液を添加して全量を50gとし、十分に攪拌して混合することにより、評価サンプル(実施例73~78)を調製した。
(A)~(F)混合添加溶液中の(A)~(F)の合計の濃度、(A)~(F)混合添加溶液の添加量、パーム油の添加量及び評価サンプル中の(A)~(F)のそれぞれの濃度は、下記表15の「添加溶液濃度(%)」、「添加量(g)」、「パーム油(g)」及び「サンプル中濃度(ppm)」に示す通りである。
実施例66~78の評価サンプルにおける酢カド抑制効果の評価は、官能評価によって行った。
官能評価は、2名の専門パネルにより、各評価サンプルをパーム油添加品(いずれの添加溶液を添加せず、代わりにパーム油のみを添加した市販のウスターソース)と比較して、酢カド抑制効果の有無や程度を確認し、試験例6と同様の評価基準で実施した。
尚、実施例72の評価サンプルの酢カドが、実施例67~71の評価サンプルに比べて若干、低評価であるが、これはβ-カリオフィレンの濃度が高くなるにつれて異風味が強く感じられるようになり、そのような異風味により、酢カドが抑制されているか感知しにくくなったことによるものと考えられる。
また表15に示される結果から、β-カリオフィレンに加えて、酢酸ベンジル、p-トルアルデヒド、フルフリルアルコール、2,6-ジメチルピラジン及びtrans,trans-2,4-デカジエナールを添加することにより、より少量のβ-カリオフィレンで、効果的にマヨネーズの酢カドが抑制されたことが確認された。
尚、実施例78の評価サンプルの油脂感が、実施例76、77の評価サンプルに比べて若干、低評価であるが、これはβ-カリオフィレン、酢酸ベンジル、p-トルアルデヒド、フルフリルアルコール、2,6-ジメチルピラジン及びtrans,trans-2,4-デカジエナールの濃度が高くなるにつれて各成分由来の異風味が強く感じられるようになる傾向があり、そのような異風味により、油脂感を感知しにくくなったことによるものと考えられる。
本発明によれば、味質向上がなされた経口摂取物を提供し得る。具体的には、一態様として、本発明によれば、常圧エキス感が付与された経口摂取物を提供し得る。別の一態様として、本発明によれば、油脂感が増強された経口摂取物を提供し得る。更に別の一態様として、本発明によれば、酢カドが抑制された経口摂取物を提供し得る。
Claims (12)
- (A)β-カリオフィレンを有効成分とする、加圧エキスを含有する経口摂取物用の常圧エキス感付与剤。
- (B)酢酸ベンジル、(C)p-トルアルデヒド、(D)フルフリルアルコール、(E)2,6-ジメチルピラジン及び(F)trans,trans-2,4-デカジエナールからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を更に含む、請求項1記載の剤。
- (A)の含有量が、0.0000001~99.9重量%である、請求項1又は2記載の剤。
- 経口摂取物が、飲食品又は調味料である、請求項1~3のいずれか一項に記載の剤。
- (A)β-カリオフィレンを添加することを含む、加圧エキスを含有し、かつ、常圧エキス感が付与された経口摂取物の製造方法。
- (B)酢酸ベンジル、(C)p-トルアルデヒド、(D)フルフリルアルコール、(E)2,6-ジメチルピラジン及び(F)trans,trans-2,4-デカジエナールからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を添加することを更に含む、請求項5記載の製造方法。
- (A)の添加量が、経口摂取物に対して0.00003~120重量ppmである、請求項5又は6記載の製造方法。
- 経口摂取物が、飲食品又は調味料である、請求項5~7のいずれか一項に記載の製造方法。
- (A)β-カリオフィレンを添加することを含む、加圧エキスを含有する経口摂取物の常圧エキス感付与方法。
- (B)酢酸ベンジル、(C)p-トルアルデヒド、(D)フルフリルアルコール、(E)2,6-ジメチルピラジン及び(F)trans,trans-2,4-デカジエナールからなる群より選択される少なくとも一つの化合物を添加することを更に含む、請求項9記載の方法。
- (A)の添加量が、経口摂取物に対して0.00003~120重量ppmである、請求項9又は10記載の方法。
- 経口摂取物が、飲食品又は調味料である、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
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