JP7168200B2 - 官能基化シクロオレフィンポリマー - Google Patents

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Description

本発明は、エポキシ基を有するシクロオレフィンポリマー及びエポキシ基を有するシクロオレフィンポリマーの製造方法に関するものである。
シクロオレフィンポリマーは、低収縮、低吸水性及び低複屈折等の性質を有しており、従来、カメラやプロジェクターのレンズ、ミラーの一部、ディスプレイの透明フィルム等の機能性透明材料として利用されている。
しかしながら、シクロオレフィンポリマーは非極性の高分子であり、かつ官能基を導入することが困難であることから、極性物質との相互作用が乏しく、他の素材との混合が困難である。このことから適用範囲が限定され、例えば、塗装性、接着性が得られないという問題点を有する。そこで、シクロオレフィンポリマーの適用範囲を広げるために、シクロオレフィンポリマーに極性基や官能基を導入する手法が試みられている。
極性基を導入することを目的としたシクロオレフィンポリマーとして、本発明者らはシクロオレフィンポリマーの精密熱分解により得られる二重結合含有シクロオレフィンポリマーを提案している(特許文献1)。
特許文献1の二重結合含有シクロオレフィンポリマーでは、反応性はあるが、他の素材との相互作用は期待できないため、化学反応による官能基の導入が不可欠である。しかし、二重結合含有シクロオレフィンポリマーは高分子であるために、化学反応による官能基の導入は容易ではない。
一方で、特許文献2は、シクロオレフィンポリマーの成形体表面をプラズマ処理することで親水性の付与や他の素材との相互作用を高めるものである。このような方法は一般にポリオレフィンの表面機能化のために用いられる方法であるが、表面の一部にのみ適用可能であるにすぎず、素材の内部改質は望めない。
特開2014-105280号公報 特開2017-226153号公報
上記事情に鑑み、本発明は、シクロオレフィンポリマーの適用範囲を広げるために、二重結合を有するシクロオレフィンポリマーの二重結合を、エポキシ基に変換した、新規な官能基化シクロオレフィンポリマー及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の構成の要旨は以下の通りである。
[1]下記一般式(1)、下記一般式(2)
Figure 0007168200000001
Figure 0007168200000002
(式中、R、Rは、それぞれ、独立に、水素若しくはC~Cのアルキル基であるか、または、R及びRが互いに架橋することによりシクロペンタン、シクロヘキサン若しくはノルボルナンを形成している。)、及び下記一般式(3)
Figure 0007168200000003
(式中、Rは、水素若しくはC~Cのアルキル基である。)からなる群から選択される少なくとも1種のエポキシ基を有する構造単位を含有する、エポキシ基を有するシクロオレフィンポリマー。
[2]下記一般式(4)、下記一般式(5)
Figure 0007168200000004
Figure 0007168200000005
(式中、R、Rは、それぞれ、独立に、水素若しくはC~Cのアルキル基であるか、または、R及びRが互いに架橋することによりシクロペンタン、シクロヘキサン若しくはノルボルナンを形成している。)、及び下記一般式(6)
Figure 0007168200000006
(式中、Rは、水素若しくはC~Cのアルキル基である。)からなる群から選択される少なくとも1種の二重結合を有する構造単位を含有する、二重結合を有するシクロオレフィンポリマーに、有機溶媒を添加して、シクロオレフィンポリマーの分散体を得る工程と、
前記シクロオレフィンポリマーの分散体に、過酸を添加する工程と、
を含む、下記一般式(1)、下記一般式(2)
Figure 0007168200000007
Figure 0007168200000008
(式中、R、Rは、それぞれ、独立に、水素若しくはC~Cのアルキル基であるか、または、R及びRが互いに架橋することによりシクロペンタン、シクロヘキサン若しくはノルボルナンを形成している。)、及び下記一般式(3)
Figure 0007168200000009
(式中、Rは、水素若しくはC~Cのアルキル基である。)からなる群から選択される少なくとも1種のエポキシ基を有する構造単位を含有する、エポキシ基を有するシクロオレフィンポリマーの製造方法。
[3]前記有機溶媒が、芳香族系有機溶媒である[2]に記載の製造方法。
[4]前記過酸を、カルボン酸に酸化剤を添加して調製し、前記カルボン酸が、ギ酸及び酢酸からなる群から選択される[2]または[3]に記載の製造方法。
[5]前記酸化剤が、過酸化水素である[4]に記載の製造方法。
本発明によれば、分子鎖の一部にエポキシ基を有する新規なシクロオレフィンポリマーを提供することができる。分子鎖に存在するエポキシ基が反応性に富むことから、種々のポリマー組成物の改質および機能性ポリマー組成物の製造原料として使用することができる。
特に、シクロオレフィンポリマーの分子鎖に導入されたエポキシ基の機能により、例えば、塗装性や接着性に優れた組成物(すなわち、塗料や接着剤)の原料成分として使用することが期待できる。
(エポキシ基を有するシクロオレフィンポリマー)
本発明に係るエポキシ基を有するシクロオレフィンポリマーは、下記一般式(1)、下記一般式(2)
Figure 0007168200000010
Figure 0007168200000011
(式中、R、Rは、それぞれ、独立に、水素若しくはC~Cのアルキル基であるか、または、R及びRが互いに架橋することによりシクロペンタン、シクロヘキサン若しくはノルボルナンを形成している。)、及び下記一般式(3)
Figure 0007168200000012
(式中、Rは、水素若しくはC~Cのアルキル基である。)からなる群から選択される少なくとも1種のエポキシ基を有する構造単位を含有する。本発明のエポキシ基を有するシクロオレフィンポリマーは、一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)からなる群から選択される少なくとも1種のエポキシ基を有する構造単位をランダムに有する。本発明のエポキシ基を有するシクロオレフィンポリマーが、一般式(2)の構造を有する場合、末端にエポキシ基を有するシクロオレフィンポリマーとなる。
本発明のエポキシ基を有するシクロオレフィンポリマーは、エポキシ基を有する構造単位として、一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)のうち少なくとも1種を含むものであれば、その化学構造は、特に限定されない。また、本発明のエポキシ基を有するシクロオレフィンポリマーは、エポキシ基を有する構造単位として、一般式(1)と一般式(2)を有する化学構造、一般式(1)と一般式(3)を有する化学構造、一般式(2)と一般式(3)を有する化学構造でもよく、また、エポキシ基を有する構造単位として、一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)を有する化学構造でもよい。
一般式(1)、一般式(2)について、R、Rは、それぞれ、独立に、水素、Cのアルキル基、R及びRが互いに架橋することによりシクロペンタンを形成していることが好ましい。また、一般式(3)について、Rは、Cのアルキル基が好ましい。
本発明のエポキシ基を有するポリオレフィンの、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)による数平均分子量Mnは、特に限定されないが、1000~50000が好ましく、2000~30000が特に好ましい。また、本発明のエポキシ基を有するポリオレフィンの重量平均分子量Mwは、特に限定されないが、1000~1000000が好ましく、2000~500000が特に好ましい。
本発明のエポキシ基を有するポリオレフィンは、一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)のエポキシ基を有する構造単位の合計が、1分子あたり、平均0.1~10有することが好ましく、1.0~8.0有することが特に好ましい。
本発明のエポキシ基を有するシクロオレフィンポリマーでは、エポキシ基が反応性に富むことから、耐油性、耐薬品性に優れ、環境負荷も低減しつつ、種々のポリマー組成物の改質および機能性ポリマー組成物の製造原料として使用することができる。
特に、シクロオレフィンポリマーに導入されたエポキシ基の機能により、例えば、塗装性や接着性に優れた組成物(すなわち、塗料や接着剤)の原料成分として使用することが期待できる。
(エポキシ基を有するシクロオレフィンポリマーの製造方法)
本発明に係るエポキシ基を有するシクロオレフィンポリマーは、下記一般式(4)、下記一般式(5)
Figure 0007168200000013
Figure 0007168200000014
(式中、R、Rは、それぞれ、独立に、水素若しくはC~Cのアルキル基であるか、または、R及びRが互いに架橋することによりシクロペンタン、シクロヘキサン若しくはノルボルナンを形成している。)、及び下記一般式(6)
Figure 0007168200000015
(式中、Rは、水素若しくはC~Cのアルキル基である。)からなる群から選択される少なくとも1種の二重結合を有する構造単位を含有する二重結合を有するシクロオレフィンポリマーに分散媒として有機溶剤を添加して、シクロオレフィンポリマーの分散体を得、その後、カルボン酸と酸化剤とを添加することにより製造できる。
上記した二重結合を有するシクロオレフィンポリマーは、本発明者らが開発した精密熱分解(Macromolecules,28,7973(1995)参照。)によるシクロオレフィンポリマーの熱分解生成物として得られる。
精密熱分解法によって得られるシクロオレフィンポリマーの熱分解生成物は、数平均分子量Mnが1000~1000000、分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1.0~5.0、熱分解生成物1分子当たりの二重結合の平均数が、好ましくは0.1~10程度、特に好ましくは1.0~8.0程度である。精密熱分解法によって得られるシクロオレフィンポリマーの熱分解生成物は、分解前の原料シクロオレフィンポリマーの特性を有している。分解前の原料シクロオレフィンポリマーの数平均分子量Mnは、50000~10000000の範囲内、好ましくは200000~1000000の範囲内である。
二重結合を有するシクロオレフィンポリマーの調製に用いる熱分解装置は、特に限定されないが、回分式もしくは連続式装置が挙げられる。回分式装置の一例としては、Journal of Polymer Science:Polymer Chemistry Edition, 21, 703(1983)に開示された装置を用いることができる。パイレックス(登録商標)ガラス製熱分解装置の反応容器内に原料シクロオレフィンポリマーを入れて、減圧下、溶融ポリマー相を窒素ガスで激しくバブリングし、揮発性生成物を抜き出すことにより、2次反応を抑制しながら、所定温度で所定時間、熱分解反応させる。熱分解反応終了後、反応容器中の残存物を熱キシレンに溶解し、熱時濾過後、アルコールで再沈殿させて精製する。再沈物を濾過回収して、真空乾燥することにより二重結合を有するシクロオレフィンポリマーが得られる。
熱分解条件は、分解前の原料シクロオレフィンポリマーの分子量から二重結合を有するシクロオレフィンポリマーの分子量を予測し、予め実施した実験の結果を勘案して調整する。熱分解温度は300~450℃の範囲が好ましい。300℃より低い温度ではシクロオレフィンポリマーの熱分解反応が充分に進行しない恐れがあり、450℃より高い温度ではシクロオレフィンポリマーの劣化が進行する恐れがある。
上記のようにして得られた二重結合を有するシクロオレフィンポリマーに有機溶媒を添加して、二重結合を有するシクロオレフィンポリマーが有機溶媒に溶解した、シクロオレフィンポリマーの分散体を得る。シクロオレフィンポリマーの分散体の状態としては、溶液でもスラリー状でもよいが、有機溶剤の除去等を容易化して製造工程を簡略化する点から、スラリー状が好ましい。有機溶媒の添加量や温度を適宜調整することで、シクロオレフィンポリマーの分散体をスラリー状とすることができる。
有機溶剤としては、特に限定されないが、芳香族系有機溶媒が好ましい。芳香族系有機溶媒としては、芳香族炭化水素系の有機溶剤が挙げられ、具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等を挙げることができる。これらのうち、トルエンが好ましい。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
二重結合を有するシクロオレフィンポリマーに添加する有機溶剤量としては、特に限定されないが、二重結合を有するシクロオレフィンポリマー100質量部に対して、100質量部~1000質量部が好ましく、200質量部~600質量部が特に好ましい。
次に、上記のようにして得られた二重結合を有するシクロオレフィンポリマーの分散体を加熱した状態で、過酸を添加する。シクロオレフィンポリマーの分散体の加熱温度は、例えば、40℃~80℃を挙げることができる。過酸は過酸そのものを添加してもよく、カルボン酸と酸化剤をそれぞれ添加してもよい。加熱されているシクロオレフィンポリマーの分散体に過酸を添加後、所定時間(例えば、1~10時間)撹拌して、シクロオレフィンポリマーを酸化処理する。
精密熱分解法によって得られた二重結合を有するシクロオレフィンポリマーに過酸を添加することにより、前記二重結合を有するシクロオレフィンポリマーが酸化される。前記二重結合を有するシクロオレフィンポリマーが酸化されることにより、二重結合がエポキシ基に変換されて、一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)からなる群から選択される少なくとも1種のエポキシ基を有する構造単位を含有する、エポキシ基を有するシクロオレフィンポリマーを製造することができる。
過酸に用いるカルボン酸としては、例えば、モノカルボン酸類を挙げることができる。モノカルボン酸類としては、例えば、下記一般式(7)
-COOH (7)
(式中、Rは、H、CH、C、C、CR 、C 及びC からなる群から選択され、Rは、H、F、Cl及びBrからなる群から選択され、且つ少なくとも1つのRはF、ClまたはBrである。)で表されるモノカルボン酸及びハロゲン化されたモノカルボン酸が挙げられる。
これらのうち、モノカルボン酸としては、ギ酸、酢酸が好ましく、ハロゲン化されたモノカルボン酸としては、クロロ酢酸、フルオロ酢酸が好ましい。このうち、過酸に用いるカルボン酸として、ギ酸、酢酸が特に好ましい。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
カルボン酸の使用量としては、特に限定されないが、カルボン酸のカルボキシル基のmol数は、二重結合を有するシクロオレフィンポリマーの二重結合のmol数よりも多いことが好ましい。具体的には、例えば、二重結合を有するシクロオレフィンポリマー1.0molに対して、カルボン酸のカルボキシル基が3.0~200mol添加されることが好ましく、5.0~100mol添加されることがより好ましく、10~50mol添加されることが特に好ましい。
過酸の調製方法は特に限定されないが、例えば、カルボン酸を空気や酸素等の酸素を含有する雰囲気下で加圧して調製する方法や、カルボン酸に酸化剤を加えて調製する方法などが挙げられる。酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、過硫酸、過硫酸塩、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、ヨウ素酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、臭素酸、臭素酸塩、過酸化水素等が挙げられる。これらの酸化剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記した各種酸化剤のうち、過酸化水素が特に好ましい。過酸化水素は、過酸化水素水溶液の態様で使用することができる。
酸化剤の使用量としては、特に限定されないが、酸化剤のmol数は、二重結合を有するシクロオレフィンポリマーの二重結合のmol数よりも多いことが好ましい。具体的には、例えば、二重結合を有するシクロオレフィンポリマー1.0molに対して、酸化剤が3.0~100mol添加されることが好ましく、4.0~50mol添加されることがより好ましく、5.0~25mol添加されることが特に好ましい。
また、カルボン酸と酸化剤の添加割合は、特に限定されず、製造条件に応じて適宜調整可能であるが、例えば、カルボン酸のカルボキシル基1.0molに対して、酸化剤が0.10~1.0mol添加されるのが好ましく、0.30~0.70添加されるのが特に好ましい。
二重結合を有するシクロオレフィンポリマーの酸化処理終了後、生成物をろ過等により回収後、過剰量のアルコール(例えば、メタノール)で精製し、沈殿をろ過等により回収して乾燥することで、エポキシ基を有するシクロオレフィンポリマーを精製された状態で得ることができる。
本発明の製造方法では、反応系に水分が含まれてもよく、製造工程において厳密に水分を除去する必要がないので、簡便である。また、本発明の製造方法では、使用する試薬は入手しやすく、また安価であり、さらに、1段階の反応工程で二重結合をエポキシ基に変換できるため、コスト面においても優れている。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明の趣旨を超えない限り、本発明は、実施例に限定されるものではない。
シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製)を精密熱分解法によるシクロオレフィンポリマーの熱分解をすることにより、二重結合を有するシクロオレフィンポリマーを得た。得られた二重結合を有するポリプロピレンは、ペレット状であり、数平均分子量Mnは27000、分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が2.1であった。
得られた二重結合を有するシクロオレフィンポリマー粉末100g(3.7mmol)を2Lのガラスフラスコに入れ、トルエン450mLを添加してスラリー状態とした。スラリー状態のシクロオレフィンポリマー分散体に、20mLのギ酸(ギ酸:133mmol)と30質量%過酸化水素水溶液を80mL(過酸化水素:75mmol)添加して5時間撹拌した。反応終了後、沈殿をメタノールで洗浄して生成物(エポキシ基を有するシクロオレフィンポリマー)Aを得た。
得られた生成物Aは、1H-NMRスペクトル(日本電子株式会社製JNM-GX400で測定、以下同じ。)から、シクロオレフィンポリマーの二重結合がエポキシ基に変換された、エポキシ基を有するシクロオレフィンポリマーであることを確認した。
上記のようにして得られた二重結合を有するシクロオレフィンポリマー粉末100g(3.7mmol)を2Lのガラスフラスコに入れ、トルエン450mLを添加してスラリー状態とした。スラリー状態のシクロオレフィンポリマー分散体に、20mLのギ酸と30質量%過酸化水素水溶液80mLを添加して60℃で5時間撹拌した。反応終了後、沈殿をメタノールで洗浄して生成物(エポキシ基を有するシクロオレフィンポリマー)Bを得た。
得られた生成物Bは、1H-NMRスペクトルから、シクロオレフィンポリマーの二重結合がエポキシ基に変換された、エポキシ基を有するシクロオレフィンポリマーであることを確認した。
上記のようにして得られた二重結合を有するシクロオレフィンポリマー粉末100g(3.7mmol)を2Lのガラスフラスコに入れ、トルエン450mLを添加してスラリー状態とした。スラリー状態のシクロオレフィンポリマー分散体に、20mLの酢酸と30質量%過酸化水素水溶液80mLを添加して80℃で5時間撹拌した。反応終了後、沈殿をメタノールで洗浄して生成物(エポキシ基を有するシクロオレフィンポリマー)Cを得た。
得られた生成物Cは、1H-NMRスペクトルから、シクロオレフィンポリマーの二重結合がエポキシ基に変換された、エポキシ基を有するシクロオレフィンポリマーであることを確認した。
上記のようにして得られた二重結合を有するシクロオレフィンポリマー粉末100g(3.7mmol)を2Lのガラスフラスコに入れ、トルエン450mLを添加してスラリー状態とした。スラリー状態のシクロオレフィンポリマー分散体に、20mLのトリフルオロ酢酸と30質量%過酸化水素水溶液80mLを添加して60℃で5時間撹拌した。反応終了後、沈殿をメタノールで洗浄して生成物(エポキシ基を有するシクロオレフィンポリマー)Dを得た。
得られた生成物Dは、1H-NMRスペクトルから、シクロオレフィンポリマーの二重結合がエポキシ基に変換された、エポキシ基を有するシクロオレフィンポリマーであることを確認した。
上記のようにして得られた二重結合を有するシクロオレフィンポリマー粉末100g(3.7mmol)を2Lのガラスフラスコに入れ、トルエン450mLを添加してスラリー状態とした。スラリー状態のシクロオレフィンポリマー分散体に、20mLのトリフルオロ酢酸と30質量%過酸化水素水溶液80mLを添加して5時間撹拌した。反応終了後、沈殿をメタノールで洗浄して生成物(エポキシ基を有するシクロオレフィンポリマー)Eを得た。
得られた生成物Eは、1H-NMRスペクトルから、シクロオレフィンポリマーの二重結合がエポキシ基に変換された、エポキシ基を有するシクロオレフィンポリマーであることを確認した。
上記のようにして得られた二重結合を有するシクロオレフィンポリマー粉末100g(3.7mmol)を2Lのガラスフラスコに入れ、トルエン450mLを添加してスラリー状態とした。スラリー状態のシクロオレフィンポリマー分散体に、100gのm-クロロ過安息香酸と80mLの純水を添加して5時間撹拌した。反応終了後、沈殿をメタノールで洗浄して生成物(エポキシ基を有するシクロオレフィンポリマー)Fを得た。
得られた生成物Fは、1H-NMRスペクトルから、シクロオレフィンポリマーの二重結合がエポキシ基に変換された、エポキシ基を有するシクロオレフィンポリマーであることを確認した。
本発明は、シクロオレフィンポリマーに反応性に富むエポキシ基が導入され、このエポキシ基の機能により、従来のシクロオレフィンポリマーとは異なる適用範囲、例えば、塗装性や接着性に優れた組成物(すなわち、塗料や接着剤)の原料成分として適用することが期待できる。例えば、両末端にハロゲン原子を導入して原子移動ラジカル重合の開始剤として利用することが可能である。また、水酸基を利用してシクロオレフィンポリマーと異素材との相溶性を改善することも可能である。異素材としては一般的な充填剤であるタルク、ガラス繊維の他、ポリエステルやポリカーボネートなどの樹脂、炭素繊維やセルロースナノファイバーといった次世代型素材が挙げられる。さらに金属やガラスとの接合にも有効である。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)、下記一般式(2)
    Figure 0007168200000016
    Figure 0007168200000017
    (式中、R、Rは、それぞれ、独立に、水素若しくはC~Cのアルキル基であるか、または、R及びRが互いに架橋することによりシクロペンタン、シクロヘキサン若しくはノルボルナンを形成している。)
    、及び下記一般式(3)
    Figure 0007168200000018
    (式中、Rは、水素若しくはC~Cのアルキル基である。)からなる群から選択される少なくとも1種のエポキシ基を有する構造単位を含有する、エポキシ基を有するシクロオレフィンポリマー。
  2. 下記一般式(4)、下記一般式(5)
    Figure 0007168200000019
    Figure 0007168200000020
    (式中、R、Rは、それぞれ、独立に、水素若しくはC~Cのアルキル基であるか、または、R及びRが互いに架橋することによりシクロペンタン、シクロヘキサン若しくはノルボルナンを形成している。)
    、及び下記一般式(6)
    Figure 0007168200000021
    (式中、Rは、水素若しくはC~Cのアルキル基である。)からなる群から選択される少なくとも1種の二重結合を有する構造単位を含有する、二重結合を有するシクロオレフィンポリマーに、有機溶媒を添加して、シクロオレフィンポリマーの分散体を得る工程と、
    前記シクロオレフィンポリマーの分散体に、過酸を添加する工程と、
    を含む、下記一般式(1)、下記一般式(2)
    Figure 0007168200000022
    Figure 0007168200000023
    (式中、R、Rは、それぞれ、独立に、水素若しくはC~Cのアルキル基であるか、または、R及びRが互いに架橋することによりシクロペンタン、シクロヘキサン若しくはノルボルナンを形成している。)
    、及び下記一般式(3)
    Figure 0007168200000024
    (式中、Rは、水素若しくはC~Cのアルキル基である。)からなる群から選択される少なくとも1種のエポキシ基を有する構造単位を含有する、エポキシ基を有するシクロオレフィンポリマーの製造方法。
  3. 前記有機溶媒が、芳香族系有機溶媒である請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記過酸を、カルボン酸に酸化剤を添加して調製し、前記カルボン酸が、ギ酸及び酢酸からなる群から選択される請求項2または3に記載の製造方法。
  5. 前記酸化剤が、過酸化水素である請求項4に記載の製造方法。
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