JP7151551B2 - カバーガラスの製造方法、カバーガラスおよび表示装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献1のカバーガラスは、「表側面取り部13aの表面粗さRaは、100nm超である。これにより、グラデーションの発生が抑制され、端部表示不良を抑制できる」とされている([0021])。
「粒度が粗い(例:番手が#600)面取り用ホイールを用いてガラス板を研磨して面取りを行ない、表側面取り部13aおよび裏側面取り部13bを形成する。その後、粒度が細かい(例:番手が#6000)面取り用ホイールを用いて、裏側面取り部13bのみ研磨する。こうして、表側面取り部13aの表面粗さRaが100nm超で、裏側面取り部13bの表面粗さRaが100nm以下であるカバーガラス12を得ることができる。」([0042])
すなわち、本発明は、以下の[1]~[11]を提供することを目的とする。
[1]ガラス板の両主面における対面する一部領域どうしをマスク材で被覆し、上記マスク材で被覆された上記ガラス板を、エッチング液を用いてエッチングして、両主面側に面取り部を有する小片ガラス板を得て、上記小片ガラス板の一方の主面側を更に面取り加工して、一方の主面側の面取り部の表面粗さRaと他方の主面側の面取り部の表面粗さRaとを異ならせる、カバーガラスの製造方法。
[2]上記小片ガラス板の側面部も面取り加工する、上記[1]に記載のカバーガラスの製造方法。
[3]上記ガラス板の主面方向に複数の上記マスク材を配置する、上記[1]または[2]に記載のカバーガラスの製造方法。
[4]上記ガラス板の主面方向に隣り合う上記マスク材どうしの間隔が、上記ガラス板の板厚以下である、上記[3]に記載のカバーガラスの製造方法。
[5]上記ガラス板の板厚が、0.5~2.5mmである、上記[1]~[4]のいずれかに記載のカバーガラスの製造方法。
[6]上記エッチング液が、フッ化水素を含有する水溶液であり、上記エッチング液における上記フッ化水素の含有量が、2~10質量%である、上記[1]~[5]のいずれかに記載のカバーガラスの製造方法。
[7]上記エッチング液の温度が、10~40℃である、上記[1]~[6]のいずれかに記載のカバーガラスの製造方法。
[8]上記マスク材で被覆される上記ガラス板が、アンチグレア処理が施されたガラス板である、上記[1]~[7]のいずれかに記載のカバーガラスの製造方法。
[9]上記面取り加工の後に、上記小片ガラス板に化学強化処理を施す、上記[1]~[8]のいずれかに記載のカバーガラスの製造方法。
[10]ガラス板の両主面における対面する一部領域どうしをマスク材で被覆し、上記マスク材で被覆された上記ガラス板を、エッチング液を用いてエッチングして、両主面側に面取り部を有する小片ガラス板を得て、上記小片ガラス板の一方の主面側を更に面取り加工して、一方の主面側の面取り部の表面粗さRaと他方の主面側の面取り部の表面粗さRaとを異ならせることにより得られるカバーガラス。
[11]上記[10]に記載のカバーガラスを有する、表示装置。
本発明の一実施形態のカバーガラスの製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」ともいう)は、ガラス板の両主面における対面する一部領域どうしをマスク材で被覆し、上記マスク材で被覆された上記ガラス板を、エッチング液を用いてエッチングして、両主面側に面取り部を有する小片ガラス板を得て、上記小片ガラス板の一方の主面側を更に面取り加工して、一方の主面側の面取り部の表面粗さRaと他方の主面側の面取り部の表面粗さRaとを異ならせる、カバーガラスの製造方法である。
従来、このようなカバーガラスを得る場合には、多段階的に砥石の粒度を上げて面取り加工するため(特許文献1の段落[0042])、煩雑である。
一方、本発明の製造方法によれば、面取り加工は一度で済むため、簡便である。
一方、本発明の製造方法では、切断することなく、エッチングにより複数の小型ガラス板を一度に得ることができるため、この点でも簡便である。
図1は、マスク材5で被覆されたガラス板1を示す断面図である。
ガラス板1は、一方の主面1aおよび他方の主面1bを有する。まず、ガラス板1の両主面における対面する一部領域どうしを、マスク材5で被覆する。すなわち、ガラス板1の主面1aの一部領域と、これに対面する主面1bの一部領域とを、マスク材5で被覆する。対面する一部領域どうしは、互いに同形(同サイズ)であることが好ましい。
ガラス板1の主面(主面1aおよび主面1b)の大きさは、適宜設定される。
マスク材5としては、例えば、フィルム状のマスク材が挙げられ、その具体例としては、アクリル系の粘着剤が塗布された、耐酸性のPET(ポリエチレンテレフタレート)材が好適に挙げられる。
マスク材5は、硬化性樹脂を、バーコーター等を用いてガラス板1に塗布し、硬化させて形成してもよい。硬化性樹脂としては、例えば、UV硬化型樹脂および熱硬化型樹脂が挙げられる。UV硬化型樹脂としては、例えば、アクリレート系ラジカル重合樹脂およびエポキシ系カチオン重合樹脂が挙げられる。熱硬化型樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂およびアルキド樹脂が挙げられる。硬化速度が速く、タクトが短縮できるという観点からは、UV硬化樹脂が好ましい。
このとき、ガラス板1の主面方向に隣り合うマスク材5どうしの間隔(図1中、符号Gで表す)は、ガラス板1の板厚t以下(板厚tの1倍以下)が好ましく、板厚tの1/2以下がより好ましく、板厚tの1/3以下がさらに好ましく、一方、板厚tの1/10以上が好ましく、板厚tの1/8以上がより好ましい。
マスク材5どうしの間隔Gを上記範囲にすることにより、後述するように、エッチングにおいて、得られる小片ガラス板12の面取り部12c、側面部12eおよび面取り部12dが、凸状の曲線(曲面)を形成しやすい。
次に、マスク材5で被覆されたガラス板1を、エッチング液を用いてエッチングする。これにより、ガラス板1におけるマスク材5で被覆されていない部分の一部が、エッチング液により溶解して、ガラス板1よりも小型の小片ガラス板12が得られる。
すなわち、小片ガラス板12は、一方の主面12a側に面取り部12cを有し、かつ、他方の主面12b側に面取り部12dを有する。
小片ガラス板12は、更に、面取り部12cと面取り部12dとに接続する側面部12eを有する。
ここで、「凸状」とは、小片ガラス板12の板厚方向(図2中の上下方向)に平行な任意の直線と、小片ガラス板12の輪郭とが2点以下で交わるということを意味する。なお、凸状ではなく、2点より多い点で交わる凹状である場合、後述する面取り加工の際に、一方の面取り部12cだけを加工することが極めて難しくなる。
ガラス板1(図1参照)のマスク材5で被覆されていない領域において、両主面側から溶解が始まり、中心部に向かって徐々に溶解が進行する。このため、両主面側よりも中心部は溶け残りやすいことから、面取り部12c、側面部12eおよび面取り部12dは、凸状になる。
また、面取り部12c、側面部12eおよび面取り部12dは、砥石を用いた研磨などではなく、エッチング液を用いたエッチングにより形成されるから、滑らかな曲線(曲面)になる。このため、面取り部12c、側面部12eおよび面取り部12dの表面粗さRaは、非常に小さい。
この場合、エッチング液におけるフッ化水素の含有量は、2~10質量%が好ましい。
エッチング液におけるフッ化水素の含有量が2質量%以上である場合、エッチングによる加工時間が比較的短くなり、生産性良く加工しやすい。
一方、上記含有量が10質量%以下である場合、得られる各々の小片ガラス板12に対して、エッチングの速度のバラツキを抑制し、均一な加工を施しやすい。
これらの効果により優れるという理由から、エッチング液におけるフッ化水素の含有量は、4~8質量%がより好ましい。
エッチング液への浸漬時間(エッチング時間)は、ガラス板1の板厚に応じて適宜変更されるが、ガラス板1が厚くなるほど長くなる。
例えば、ガラス板1の板厚が0.5~2.5mmである場合、エッチング時間は、20分以上が好ましく、30分以上がより好ましく、一方、600分以下が好ましく、300分以下がより好ましい。
次に、エッチングにより得られた小片ガラス板12の一方の主面側を更に面取り加工する。具体的には、例えば、小片ガラス板12の一方の主面12a側の面取り部12cに対して、面取り用ホイール(砥石)を用いた研磨などにより、面取り加工を施す。
面取り用ホイール(砥石)を用いた研磨などにより形成される面取り部13cは、エッチングにより形成された元々の面取り部12cよりも、面が粗くなる。
こうして、面取り加工を経た小片ガラス板12においては、一方の主面12a側の面取り部13cの表面粗さRaと、他方の主面12b側の面取り部12dの表面粗さRaとが異なる。
側面部12eに対して面取り加工を施す場合、形成される新たな側面部13eの形状を、例えば、小片ガラス板12の板厚方向に略平行な直線とする。これにより、小片ガラス板12を、カバーガラスとして表示装置に組み付けする際に、組み付けがしやすくなり、好ましい。
面取り加工では、工程数が過剰に増えて作業が煩雑にならない範囲で、まず粒度が粗い砥石を用いて粗加工し、その後、粒度が細かい砥石を用いて仕上げ加工してもよい。
本発明の製造方法は、上述した面取り加工の後に、小片ガラス板12に化学強化処理を施してもよい。化学強化処理を施しても、通常、表面粗さRaの値は変化しない。
化学強化処理を施す場合、ガラス種として、化学強化用ガラスを用いる。
化学強化処理の方法としては、典型的には、ガラスをKNO3溶融塩に浸漬し、イオン交換処理した後、室温付近まで冷却する方法が挙げられる。KNO3溶融塩の温度や浸漬時間などの処理条件は、圧縮応力層の表面圧縮応力(CS)および圧縮応力層の厚さ(DOL)が所望の値となるように設定すればよい。
圧縮応力層の表面圧縮応力(CS)は、500MPa以上が好ましく、650MPa以上がより好ましく、750MPa以上が更に好ましく、一方、1200MPa以下が好ましい。
圧縮応力層の厚さ(DOL)は、10μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましく、25μm以上が更に好ましく、30μm以上が特に好ましい。
一方、化学強化処理しない場合は、面取り加工後であって化学強化処理前の小片ガラス板12が、カバーガラス12(後述)となる。
以下、図3に基づいて、カバーガラス12を説明する。以下の説明において、面取り加工後の小片ガラス板12と同一の(または対応する)部分には、同一の符号を用いる。
更に、カバーガラス12は、表面12a側の面取り部である表側面取り部13cと、裏面12b側の面取り部である裏側面取り部12dと、表側面取り部13cと裏側面取り部12dとに接続する側面部13eと、を有する。
カバーガラス12の外形の形状および大きさは、用途に応じて適宜決定され、例えば、外形は矩形である。
カバーガラス12の大きさの一例としては、例えば、矩形の場合、長手方向:100~900mm、短手方向:40~500mmが挙げられ、長手方向:100~800mm、短手方向:40~300mmが好ましい。
カバーガラス12の表面12aまたは裏面12bのサイズは、例えば、5~20インチが好ましい。
もっとも、表側面取り部13cに反射防止膜が形成されると、表側面取り部13cにグラデーションが発生し得る場合がある。そして、グラデーションの発生は、外観不良(端部外観不良)として認識される場合がある。
グラデーションの発生が抑制されて端部外観不良を抑制できるという理由から、表側面取り部13cの表面粗さRaは、100nm超が好ましく、140nm以上がより好ましく、170nm以上が更に好ましく、210nm以上が特に好ましく、一方、500nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましい。
カバーガラス12の端部に乗員の頭部が衝突した場合、裏側面取り部12dに大きな応力が発生する。発生した応力によって、裏側面取り部12dの傷(加工時等に付いた傷)を起点として、カバーガラス12に割れが生じ得る。
カバーガラス12の割れが抑制できて端部耐衝撃性に優れるという理由から、裏側面取り部12dの表面粗さRaは、100nm以下が好ましく、70nm以下がより好ましく、30nm以下が更に好ましく、10nm以下が特に好ましく、一方、0.1nm以上が好ましい。
また、マイクロクラック以外に、裏側面取り部12dの特徴を把握するため、種々の装置を用いて多数の測定を繰り返し、何らかの指標を見出すことは、著しく多くの試行錯誤を重ねることが必要であり、実際的ではない。
車載表示装置は、例えば、カーナビゲーション装置、または、リアシートの乗員が映像等を視聴するためのリアシートエンタテインメント(RSE)装置である。
カーナビゲーション装置は、ダッシュボードの外部に立設された状態またはダッシュボードに埋め込まれた状態で使用されることが多い。
RSE装置は、フロントシートの背面側に取り付けられて使用されることが多い。
ただし、表示装置としては、車載表示装置に限定されない。
図4は、車載表示装置100を示す断面図である。
車載表示装置100は、各部を収納する筐体106を有する。筐体106の底板である筐体底板107上には、バックライトユニット102が載置され、バックライトユニット102上に、表示パネル104が載置されている。表示パネル104は、一例として、液晶パネルである。筐体106には開口部が形成されている。
バックライトユニット102および表示パネル104の構成は、特に限定されず、公知の構成を採用できる。筐体106(筐体底板107を含む)の材質等も、特に限定されない。
車載表示装置100は、例えば、有機ELパネル、PDP、電子インク型パネル等を有するものであってもよい。タッチパネル等を有していてもよい。
カバーガラス12が、粘着層14によって、表示パネル104に貼合されている。カバーガラス12は、表示パネル104の保護部材として機能する。
粘着層14はカバーガラス12と同じく透明であって、カバーガラス12と粘着層14との屈折率差は小さいことが好ましい。粘着層14としては、例えば、液状の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる透明樹脂からなる層が挙げられるほか、OCA(Optical Clear Adhesive)フィルムまたはテープであってもよい。粘着層14の厚さは、例えば、5~400μmであり、50~200μmが好ましい。
図1~図3に基づいて説明した本発明の製造方法に従って、例1~例4のカバーガラス12を製造した。例1~例4はいずれも実施例である。
まず、ガラス板1として、AG処理が施された化学強化用ガラス(AGC社製「ドラゴントレイル」)を準備した。ガラス板1の板厚tは、下記表1に示すように、例1~例4で異なる板厚とした。
次に、図1に示すようにして、ガラス板1の主面1aおよび主面1bにマスク材5を配置した。マスク材5としては、アクリル系の粘着剤が塗布されたPET材のフィルム(耐酸性)を用いた。マスク材5どうしの間隔Gは、ガラス板1の板厚tの1/2にした。
マスク材5で被覆されたガラス板1を、エッチング液に浸漬させてエッチングし、小型の小片ガラス板12を得た。
得られた小片ガラス板12は、図2に示すように、凸状の曲線(曲面)を形成する面取り部12c、側面部12eおよび面取り部12dを有していた。
エッチング液としては、6質量%のフッ化水素の水溶液を用いた。エッチング液の温度は、25℃とした。エッチング時間は、ガラス板1の板厚tに応じて、下記表1に示すように変化させた。
エッチング後、マスク材5を除去した。
エッチングにより得られた小片ガラス板12に、面取り加工を施した。
より詳細には、小片ガラス板12の一方の主面12a側の面取り部12cおよび側面部12eに対して、面取り用ホイール(砥石)を用いて研磨した。これにより、図3に示すように、小片ガラス板12には、曲線的な面取り部12cおよび側面部12eよりも面が粗い新たな面取り部13cおよび側面部13eが形成された。
面取り加工では、具体的には、まず、粒度が粗い面取り用ホイール(砥石)を用いて、粗加工(砥石番手:#325、加工速度:1200mm/分、研削量:0.4mm)をした。その後、粒度が細かい面取り用ホイール(砥石)を用いて、仕上げ加工(砥石番手:#600、加工速度:800mm/分、研削量:0.1mm)をした。
面取り加工した小片ガラス板12に化学強化処理を施した。化学強化処理は、圧縮応力層の厚さ(DOL):35μm、圧縮応力層における表面圧縮応力(CS):750MPaとなるように、ガラス板全体をKNO3溶融塩中に浸漬することにより行なった。
例1~例4のカバーガラス12における、表側面取り部13cの表面粗さRaおよび裏側面取り部12dの表面粗さRaの値を、下記表1に示す。
表面粗さRaは、JIS B 0601:2001に準拠して、キーエンス社製のレーザ顕微鏡「VK-9500」を用いて測定し、カットオフ値λcは0.25mmとした。
剛体模型を衝突させる試験(「ヘッドインパクト試験」ともいう)を行なうため、例1~例4のカバーガラス12を用いて、車載表示装置の試験体200を作製した。
図5~図7に基づいて試験体200を説明する。図5~図7においては、図4の車載表示装置100と同一の(または対応する)部分は同じ符号を用い、説明を省略する場合がある。
断面L字状の板状部材である固定部301について、図5中にL1~L4で示すサイズは、L1:20mm、L2:50mm、L3:100mm、L4:20mmとした。
・粘着層14…OCA(日栄化工社製「MHM-FWD」、厚さ:150μm)
・表示パネル104…ソーダライムガラス(板厚1.1mm、サイズ:173mm×120mm)の両面に偏光板(材質:TAC)を貼合した代替品を用いた。
・バックライトユニット102…板状体102a(材質:PC、板厚:4mm、サイズ:117mm×170mm)の底面および4つの側面を凹状体102b(材質:アルミニウム、板厚:1mm)で覆った代替品を用いた。
・両面テープ207…材質:PET、テープ幅:5mm、テープ厚:0.5mm
・L字部材208…材質:PVC、板厚:1mm、L字1辺の長さ:5mm
・筐体枠109…材質:ABS、板厚:2mm
・筐体端枠110…材質:ABS、板厚:2.5mm、板幅:5mm
・両面テープ115…材質:PET、テープ厚:0.5mm
・固定部301…材質:鉄(SS400)、板厚:1.0mm
・ボルト311…材質:鉄
・クッション材321…ケー・シー・シー商会社製「CF45」(厚さ:25.4mm)を2枚重ねたもの
・支持板215…材質:鉄、板厚:9mm
・筐体底板107および筐体突出部111…材質:鉄、板厚:1.15mm
作製した試験体200を用いて、ヘッドインパクト試験を行ない、カバーガラス12の端部耐衝撃性を評価した。
すなわち、試験体200を用いたヘッドインパクト試験では、衝突時のエネルギーが「基準」と同等になるようにした。
剛体模型の減速度に関しては、3ms(ミリ秒)以上連続して784m/s2(80G)を超えないことが規定されているが、今回行なった試験においては、全てこの規定を満たしていたことを確認している。
試験の結果、カバーガラス12が割れなかった場合には「○」を、カバーガラス12が割れた場合には「×」を、下記表1に記載した。「○」であれば、端部耐衝撃性に優れるものとして評価できる。
例1~例4のそれぞれのカバーガラス12の表面12aに、スパッタリングによって、膜厚243nmの反射防止膜を形成した。このとき、表側面取り部13cにも反射防止膜が形成されていることを確認した。
反射防止膜は、具体的には、カバーガラス12側から順に、酸化ニオブと酸化ケイ素とが合計4層積層された反射防止膜であり、特開2016-029474号公報の段落[0105]~[0106]に記載された手法によって形成した。
1:カバーガラスを地面に対して垂直に立てて80cmだけ離れた距離から観察する。
2:カバーガラスの垂直面から上下に最大45°の範囲で観察する。
3:室内照度を1500lx(ルクス)にした条件で観察する。
その結果、グラデーションが確認されなかった場合には「○」を、グラデーションが確認された場合には「×」を、下記表1に記載した。「○」であれば、端部外観不良が抑制できたものとして評価できる。
上記表1に示す結果から明らかなように、例1~例4のカバーガラス12を用いた場合は、端部耐衝撃性が優れ、かつ、端部外観不良が抑制されていた。
1a ガラス板の一方の主面
1b ガラス板の他方の主面
5 マスク材
12 小片ガラス板(カバーガラス)
12a 小片ガラス板の一方の主面(カバーガラスの表面)
12b 小片ガラス板の他方の主面(カバーガラスの裏面)
12c 小片ガラス板の一方の主面側の面取り部
12d 小片ガラス板の他方の主面側の面取り部(カバーガラスの裏側面取り部)
12e 小片ガラス板の側面部
13c 小片ガラス板の一方の主面側の面取り部(カバーガラスの表側面取り部)
13e 小片ガラス板の側面部(カバーガラスの側面部)
14 粘着層
100 車載表示装置
102 バックライトユニット
104 表示パネル
106 筐体
107 筐体底板
109 筐体枠
110 筐体端枠
111 筐体突出部
115 両面テープ
200 試験体
207 両面テープ
208 L字部材
215 支持板
301 固定部
311 ボルト
321 クッション材
G マスク材どうしの間隔
P 衝突位置
t ガラス板の板厚
Claims (9)
- ガラス板の両主面における対面する一部領域どうしをマスク材で被覆し、
前記マスク材で被覆された前記ガラス板を、エッチング液を用いてエッチングして、両主面側に面取り部を有する小片ガラス板を得て、
前記小片ガラス板の一方の主面側を更に面取り加工して、一方の主面側の面取り部の表面粗さRaと他方の主面側の面取り部の表面粗さRaとを異ならせる、カバーガラスの製造方法。 - 前記小片ガラス板の側面部も面取り加工する、請求項1に記載のカバーガラスの製造方法。
- 前記ガラス板の主面方向に複数の前記マスク材を配置する、請求項1または2に記載のカバーガラスの製造方法。
- 前記ガラス板の主面方向に隣り合う前記マスク材どうしの間隔が、前記ガラス板の板厚以下である、請求項3に記載のカバーガラスの製造方法。
- 前記ガラス板の板厚が、0.5~2.5mmである、請求項1~4のいずれか1項に記載のカバーガラスの製造方法。
- 前記エッチング液が、フッ化水素を含有する水溶液であり、
前記エッチング液における前記フッ化水素の含有量が、2~10質量%である、請求項1~5のいずれか1項に記載のカバーガラスの製造方法。 - 前記エッチング液の温度が、10~40℃である、請求項1~6のいずれか1項に記載のカバーガラスの製造方法。
- 前記マスク材で被覆される前記ガラス板が、アンチグレア処理が施されたガラス板である、請求項1~7のいずれか1項に記載のカバーガラスの製造方法。
- 前記面取り加工の後に、前記小片ガラス板に化学強化処理を施す、請求項1~8のいずれか1項に記載のカバーガラスの製造方法。
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