JP7138435B2 - 固形筆記体及びそれを用いた固形筆記体セット - Google Patents
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また、着色材として可逆熱変色性組成物を内包する熱変色性マイクロカプセル顔料を用いた場合であっても、重ね塗り時の摩擦熱による消色や色変化を生じることなく、筆跡の積層量による濃淡の形成や、高濃度の筆跡形成が可能な固形筆記体を提供するものである。
更に、前記ポリプロピレンの軟化点が80~125℃の範囲にあることを要件とする。
更に、摩擦部材を更に具備してなることを要件とする。
更には、前記いずれかの固形筆記体と、摩擦体とからなる固形筆記体セットを要件とする。
また、着色材として熱変色性マイクロカプセル顔料を用いた場合であっても、重ね塗り時の摩擦熱による消色や色変化を生じることなく、筆跡の積層量による濃淡の形成や、高濃度の筆跡形成が可能な固形筆記体となる。
また、本発明においては、高速で重ね塗りをした場合にも、摩擦熱を発生し難いため、熱変色性顔料等の摩擦熱により変色する着色材を適用することが可能である。
加熱変色する着色材としては、例えば、特開2012-219160号公報、特開2014-5422号公報等に開示される可逆タイプや、特開2010-229332号公報等に開示される不可逆タイプのものが適用可能である。
特に、前記筆跡の変化は、熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させることで、組成変化を生じることなく長期間安定して発現できるものとなるため好適である。前記マイクロカプセルに内包される熱変色性組成物としては、繰り返しの使用性、温度変化の正確性等の点から、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物が好適である。
更に、特公平4-17154号公報、特開平7-179777号公報、特開平7-33997号公報、特開平8-39936号公報等に記載されている比較的大きなヒステリシス特性(ΔH=8~50℃)を示すものや、特開2006-137886号公報、特開2006-188660号公報、特開2008-45062号公報、特開2008-280523号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度以上の高温域での消色状態が、特定温度域で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させ加熱消色型のマイクロカプセル顔料も適用できる。
尚、本発明に適用される、前記色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物として具体的には、完全発色温度を冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち-50~0℃、好ましくは-40~-5℃、より好ましくは-30~-10℃、且つ、完全消色温度を摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち50~95℃、好ましくは50~90℃、より好ましくは60~80℃の範囲に特定し、ΔH値を40~100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
前記マイクロカプセル顔料は、平均粒子径が0.01~8.0μm、好ましくは0.1~5.0μm、より好ましくは0.3~3.0μmの範囲のものが筆記性能と筆跡濃度の点から好適である。
尚、平均粒子径は、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー」を用いて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定した値である。また、全ての粒子或いは大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合は、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製、製品名:Multisizer 4e)を用いてコールター法により等体積球相当の粒子の平均粒子径として平均粒子径を測定することも可能である。
前記賦形材のうち、特に、ポリオレフィンワックス、ショ糖脂肪酸エステルまたはデキストリン脂肪酸エステルの少なくとも一種を含有していることが好ましい。具体的なポリオレフィンワックスとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、αオレフィン重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体等のワックスなどが挙げられる。
尚、前記ポリオレフィンワックスの軟化点、針入度の測定方法は、JIS K2207に規格化されており、針入度の値は、0.1mmを針入度1と表す。従って、数字が小さいほど硬く、大きいほど柔らかい固形筆記体である。
前記バインダー樹脂の添加量としては、固形筆記体全量中0.5~5質量%の範囲であることが好ましい。
前記低分子量ポリプロピレンは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC法)による重量平均分子量(Mw)が20万以下のものであり、好ましくは5000以上のものが適用される。中でも、分子量分布(Mw/Mn:GPC法により測定)が4以下であるものが重ね塗り性に最も優れている。
製造方法としては特に限定されないが、メタロセン系触媒やチーグラー型重合触媒、その他、遷移金属化合物や有機ホウ素化合物やアルミノキサンを重合用触媒とする公知の方法で重合したもの、高分子量ポリプロピレンを熱分解または酸化分解して低分子化するもの、更には高分子量のポリプロピレンを製造した際の副生成物を、溶剤抽出等で分離したもの等、すべてを対象とすることができる。また、後処理により分子中にアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のα,β-不飽和カルボン酸又はその無水物の酸基を導入させたものであってもよい。
前記外殻には、各種機能を付与する目的などで、必要に応じて、各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、着色剤、防黴剤、防腐剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、香料などが挙げられる。これらの添加剤は、任意のものを用いることができる。
また、芯鞘構造とする場合には、内芯の太さおよび外殻の厚さも任意に選択することができるが、外殻の厚さが厚いと耐衝撃性が優れる傾向にあり、一方で外殻の厚さが薄いと内芯の露出量が多くなるため、使い勝手に優れる傾向にある。内芯の半径長さに対する外殻の厚さが10~100%であることが好ましく、20~50%であることがより好ましい。尚、本発明による固形筆記体は、鉛筆以外の用途、例えばメカニカルペンシルの芯、クレヨンなどにも利用可能であり、太さや長さは用途に応じて適切に調整できる。
尚、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC法)による測定値であり、メルトフローレート(MFR)はASTM D1238に準拠し、230℃、荷重2.16kgの条件で測定した値である。
(イ)成分として2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン5質量部、(ロ)成分として2,2-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5質量部、4,4’-(2-メチルプロピリデン)ビスフェノール3.0質量部、(ハ)成分としてラウリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50質量部からなるからなる可逆熱変色性組成物を加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30.0質量部、助溶剤40.0質量部を混合した溶液を、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5質量部を加え、更に攪拌を続けて可逆熱変色性マイクロカプセル懸濁液を得た。前記懸濁液を遠心分離して可逆熱変色性マイクロカプセルを単離した。なお、前記マイクロカプセルの平均粒子径は2.3μmであり、t1:-8℃、t2:-1℃、t3:52℃、t4:65℃のヒステリシス特性を有する挙動を示し、黒色から無色、無色から黒色へ可逆的に色変化した。
(イ)成分として3-(4-ジエチルアミノ-2-ヘキシルオキシフェニル)-3-(1)-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド2.0質量部、(ロ)成分として1,1-ビス(4‘―ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン4.0質量部、1,1-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)n-デカン4.0質量部、(ハ)成分としてカプリル酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル(融点57℃)50.0質量部からなる感温変色性色彩記憶組成物とした以外は、マイクロカプセル顔料Aと同じ方法で、マイクロカプセル顔料を得た。尚、前記マイクロカプセル顔料の平均粒子径は3.0μmであり、t1:-24℃、t2:-10℃、t3:42℃、t4:55℃のヒステリシス特性を有する挙動を示し、青色から無色、無色から青色へ可逆的に色変化した。
(イ)成分として9-エチル(3-メチルブチル)アミノ-スピロ[12H-ベンゾ(α)キサンテン-12,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン5.0質量部、(ロ)成分として4,4′-(2-エチルヘキサン-1、1-ジイル)ジフェノール3.0質量部、2,2-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)-ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてカプリン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0質量部からなる感温変色性色彩記憶組成物を加温溶解し、壁膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマー30.0質量部、助溶剤40.0質量部を混合した溶液を、8%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5質量部を加え、更に攪拌を続けて熱変色マイクロカプセル懸濁液を得た。前記懸濁液を遠心分離して熱変色マイクロカプセルを単離した。
尚、前記マイクロカプセルの平均粒子径は2.3μmであり、t1:-20℃、t2:-10℃、t3:48℃、t4:58℃のヒステリシス特性を有する挙動を示し、ピンク色から無色、無色からピンク色へ可逆的に色変化した。
(1)三洋化成工業(株)製、商品名:サンワックス171-P
(2)豊国製油(株)製、商品名:HSクリスタ4100
(3)三井化学(株)製、商品名:ハイワックス2203A
(4)第一工業製薬(株)製、商品名:シュガーワックスF-10
(5)富士タルク工業(株)製、商品名:FH-105
(6)クラリアント社製、商品名:LicocenePP1502(重量平均分子量:15,500、軟化点:85℃)
(7)クラリアント社製、商品名:LicocenePP1302(重量平均分子量:6,400、軟化点:90℃)
(8)出光興産(株)製、商品名:L-MODU S400(重量平均分子量:45,000、軟化点:93℃、MFR:2000)
(9)出光興産(株)製、商品名:L-MODU S901(重量平均分子量:130,000、軟化点:120℃、MFR:50)
(10)日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックPP MA3(重量平均分子量:397,000、軟化点:165℃、MFR:11)
(11)BASF社製、商品名:TINUVIN770DF
前記各配合物をニーダーにて混練し、得られた混練物をプレスにて外径φ3mm、長さ60mmに設定して圧縮成形を行い、-20℃まで冷却し、常温に戻すことで固形筆記体(鉛筆芯)を得た。
<曲げ強度測定方法>
JIS S6006-2007に規定されている強度試験(支点間40mm、10mm/min)で(株)レオテック製(FUDOH RHEO METER RT-1003A-D PSO)を用いて三点曲げ試験により鉛筆芯の曲げ強度を測定した。各数値は10本測定した平均値である。
<磨耗量の試験方法>
JIS S 6006-2007に規定されている濃度試験(但し、筆記角度75°、荷重400gf、筆記距離6m)で筆記した際の芯の重量変化(mg/m)を測定した。各数値は3本測定した平均値である。
<濃度の測定方法>
JIS S 6006-2007に規定されている濃度試験(但し、筆記角度75°、荷重400gf、筆記距離6m)で筆記した鉛筆芯の描画(筆記用紙)を目視で確認するとともに、描画をコニカミノルタ社製の蛍光分光濃度計(FD-7)で筆跡の色相に合わせたフィルターを用いて測定した。各数値は10本測定した平均値である。
試験の結果を以下に示す。
濃度の目視結果
○:均一で濃い筆跡が得られる。
×:筆跡が薄い、またはまだらな筆跡が得られる。
実施例1~6を用いて得られた固形筆記体を用いて、丸形外軸(木軸)内に収納成形することで6本の鉛筆を得た。
前記鉛筆を用いて紙面上に筆記すると、黒色、ピンク色、青色、赤色、群青色の筆跡を形成することができた。
前記実施例1~4の芯を用いた鉛筆により形成される筆跡は、SEBS樹脂からなる摩擦体を用いて摩擦することにより消色(消去)された。
前記実施例1~4の芯を用いた鉛筆の後端に、金属製の連結部材を介してSEBS樹脂からなる円柱状摩擦体を固着して摩擦体付鉛筆を得た。
前記摩擦体付鉛筆を用いて紙面上に形成される筆跡は、後端に設けた摩擦体を用いて摩擦することにより消色し、携帯性に優れた利便性に富む摩擦体付鉛筆を得ることができた。
前記実施例1~4の芯を用いた鉛筆と、SEBS樹脂からなる直方体形状の摩擦体とを組み合わせて固形筆記体セットを得た。
前記鉛筆を用いて紙面上に形成される筆跡は、摩擦体を用いて摩擦することにより消色し、筆記と消去が簡単にできるより利便性の高いセットを得ることができた。
Claims (4)
- (イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させたマイクロカプセル顔料と、賦形材と、フィラーと、バインダー樹脂と、重量平均分子量が20万以下であるとともにASTM D 1238:230℃、荷重2.16kgで測定されたメルトフローレート(MFR)が50~2500g/10minであるポリプロピレンとを含んでなり、前記ポリプロピレンの含有量が、全質量中5質量%以下である固形筆記体。
- 前記ポリプロピレンの軟化点が80~125℃の範囲にある請求項1記載の固形筆記体。
- 摩擦部材を更に具備してなる、請求項1または2に記載の固形筆記体。
- 前記請求項1~3のいずれか1項に記載の固形筆記体と、摩擦体とからなることを特徴とする固形筆記体セット。
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