JP7134831B2 - 液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液体吐出ヘッドの製造方法に関する。
液体を吐出する液体吐出ヘッドの一例としては、インク小液滴を吐出し、それを紙等の被記録媒体に付着させるインクジェット・プリント方式に利用されるインクジェット記録ヘッドが挙げられる。
近年の記録技術の発達に伴い、インクジェット記録ヘッド等の液体吐出ヘッドに対して、液体を吐出する吐出口の配列密度を高密度化すること、また、吐出口およびそれに連通する流路の形状を高精細化することが求められている。
特許文献1には、予め吐出エネルギー発生素子が設けられたシリコン基板上に、フォトリソ技術によりパターニングが可能な樹脂でノズル層を形成するインクジェット記録ヘッドの製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、液体を供給する液体供給口をノズル層より先に形成し、その液体供給口の基板(基体)表面側をテープ等で塞いだ後に、該液体供給口内を充填剤で充填し、その後、ノズル層を形成する液体吐出ヘッドの製造方法が開示されている。
特開平6-286149号公報 特開2002-326363号公報
ここで、特許文献2に記載されたノズル層より先に液体供給口を形成する製造方法では、以下の現象が生じることがあった。即ち、液体供給口内に充填されている充填剤が乾燥し硬化収縮する際に、基板表面側に貼り付けられたテープと、充填剤との接着面等で剥離が生じることがあった。充填剤がテープ等から剥離した場合には、液体供給口内の基板表面側近傍に隙間が形成される。そして、その隙間が存在した状態で、流路の型となる型材を用いてノズル層を形成することから、この隙間に型材が入り込むことがあった。そして、隙間に型材が入り込んだ場合には、当該箇所を起点として型材形成やノズル層形成の膜厚分布に影響を与えることがあった。また、充填剤の剥離の程度が大きい場合には、型材が液体供給口内のこの剥離部分を通じて基板裏面側に回り込んでしまい、所望のノズル形成ができないことがあった。
従って、本発明は、液体供給口を形成した後に、充填剤を液体供給口内に充填させた状態でノズル層を形成する液体吐出ヘッドの製造方法において、以下のことを目的とする。即ち、本発明の目的は、ノズル層が形成される基板表面側の充填剤の剥離による隙間の発生を抑制し、所望の形状のノズル層を容易に形成可能な液体吐出ヘッドの製造方法を提供することにある。
本発明は、上記課題に鑑みて発案されたものであり、以下の特徴を有する。
即ち、液体を吐出する吐出口と、該吐出口に連通する流路とを有するノズル層と、前記吐出口から液体を吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、前記流路に連通し液体を供給する液体供給口とを有する素子基板と、前記ノズル層と前記素子基板との間に配される密着向上層と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
対向する第一の面及び第二の面を有しかつ前記エネルギー発生素子が配された基板の第一の面に、前記密着向上層を形成する工程と、前記第一の面から前記第二の面に貫通する前記液体供給口を形成する工程と、前記液体供給口の前記第一の面側の開口部をテープで覆う工程と、前記液体供給口内に前記第二の面側から充填剤を充填し、少なくとも該液体供給口の前記第一の面側の開口底部を該充填剤によって覆う工程と、前記テープを除去する工程と、前記充填剤が充填された基板の前記第一の面上に、前記ノズル層を形成する工程と、前記充填剤を除去して、前記ノズル層の前記流路および前記液体供給口を連通させる工程と、を有し、
前記密着向上層は、有機膜で構成され、前記第一の面において、前記液体供給口の開口端部から基板上に延伸して形成され、前記ノズル層と前記素子基板との接触部を少なくとも覆う第一の部分と、該液体供給口の開口端部から開口内の開口端部近傍の少なくとも一部を覆う位置に延伸して形成される第二の部分とを有することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法である。
また、本発明は、液体を吐出する吐出口と、該吐出口に連通する流路とを有するノズル層と、前記吐出口から液体を吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、前記流路に連通し液体を供給する液体供給口とを有する素子基板と、前記ノズル層と前記素子基板との間に配されかつ該ノズル層と該素子基板との接触部を少なくとも覆う密着向上層と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
対向する第一の面及び第二の面を有しかつ前記エネルギー発生素子が配された基板の第一の面に、該第一の面側に開口を有しかつ有機膜で構成される前記密着向上層を形成する工程と、前記密着向上層が形成された基板に、前記第一の面から前記第二の面に貫通する前記液体供給口を形成し、但し、形成された該液体供給口の該第一の面側の開口部内に、該密着向上層の開口端部分の少なくとも一部を露出させる、液体供給口形成工程と、前記液体供給口の前記第一の面側の開口部をテープで覆う工程と、前記液体供給口内に前記第二の面側から充填剤を充填し、少なくとも該液体供給口の前記第一の面側の開口底部を該充填剤によって覆う工程と、前記テープを除去する工程と、前記充填剤が充填された基板の前記第一の面上に、前記ノズル層を形成する工程と、前記充填剤を除去して、前記ノズル層の前記流路および前記液体供給口を連通させる工程と、を有する、ことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法である。
本発明によれば、充填剤を液体供給口内に充填させた状態でノズル層を形成する製造方法において、ノズル層が形成される基板表面側の充填剤の剥離による隙間の発生を抑制し、所望の形状のノズル層を容易に形成可能な液体吐出ヘッドの製造方法を提供できる。
本発明の一実施形態により得られる液体吐出ヘッドの模式的平面図(上面図)である。 本発明の一実施形態により得られる液体吐出ヘッドの模式的断面図であり、(a)は長手方向の断面図であり、(b)は短手方向の断面図である。 液体供給口内に充填された充填剤の状態を説明するための図であり、(a)は従来の方法に関する図であり、(b)は本発明の一実施形態に関する図である。 本発明の一実施形態における各工程を説明するための工程断面図である。 本発明の複数の実施形態における密着向上層の形状を説明するための図である。
上述したように、液体供給口を形成した後にノズル層を形成する従来の方法では、基板表面側に貼り付けられたテープから充填剤が剥離して隙間が生じることがあった。図3(a)に示すように、このような隙間6aは液体供給口5の開口端部において、顕著に見られる傾向があった。これは、液体供給口5の開口端部は他の箇所に比べて充填剤6が厚く塗布される傾向があるため、その分、充填剤6の硬化収縮が大きくなり、基板1及びテープ7との接着面(粘着面)から充填剤6が剥離し易いためと考えられる。
一方、本発明では、ノズル層と、液体供給口が形成された素子基板との間に特定の構造及び構成の密着向上層を配置することによって、上述した充填剤の剥離を抑制することができる。このため、充填剤の剥離による液体供給口内の基板表面側近傍の隙間の発生を抑えることができ、充填剤の剥離によるノズル層形成用材料(例えば、型材)の基板裏面への回り込みや、ノズル層の膜厚分布への影響を容易に回避することができる。
<液体吐出ヘッド>
本発明より得られる液体吐出ヘッドは、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、更には、各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に搭載可能である。以下の説明では、液体吐出ヘッドとしてインクジェット記録ヘッドに着目した記載が成されることがあるが、本発明はこの形態に限定されない。
以下に、本発明より得られる液体吐出ヘッドについて図を用いて詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態により得られる液体吐出ヘッドの模式的平面図(上面図)であり、ノズル層の記載は省略されている。また、図2は、図1に示される液体吐出ヘッドの模式的断面である。より詳しくは、図2(a)は長手方向、より具体的には、図1に示すA-A’線に沿ってヘッドを切断した際の断面図であり、図2(b)は短手方向、より具体的には、図1に示すB-B’線に沿ってヘッドを切断した際の断面図である。
これらの図に示すように、液体吐出ヘッド(例えば、インクジェット記録ヘッド)は、エネルギー発生素子2を有する基板(素子基板10)と、基板1上に配されるノズル層9と、素子基板10及びノズル層9の間に配される密着向上層3とを有する。
(素子基板)
素子基板10は、図2に示すように、(液体)吐出口11から液体(例えば、インク等の記録液)を吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子2と、(液体)流路12に連通し液体を供給する液体供給口(共通流路)5とを有する。液体供給口5は、基板1(チップ)の中心部分に形成されている。
素子基板10に用いる基板1としては、例えば、結晶方位(100)の単結晶シリコンからなるウェハ(シリコン基板)を用いることができる。基板1は対向する2つの面を有し、以降、ノズル層9が配される側の面を第一の面1aと称し、第一の面1aに対向する面を第二の面1bと称する。
第一の面1aに配されるエネルギー発生素子2としては、特に限定されず、例えば、液体を沸騰させる電気熱変換素子(発熱抵抗体素子、ヒータ素子)や、体積変化や振動により液体に圧力を与える素子(ピエゾ素子、圧電素子)などを用いることができる。エネルギー発生素子の数や配置は、作製する液体吐出ヘッドの構造に応じて適宜選択することができ、例えば、この素子を複数、所定のピッチで並べた素子列を液体供給口5の両側にそれぞれ設けることができる。
液体供給口5は、基板1(素子基板10)を、基板面に対して垂直な方向に、即ち、基板1の第一の面1aから第二の面1bに貫通しており、基板(素子基板)の対向する2つの面において開口している。液体供給口の形状は特に限定されないが、例えば、図2に示すように、第二の面1bから第一の面1aに向かって開口面積が小さくなるテーパー形状とすることができる。また、液体供給口の開口形状も特には限定されないが、例えば、図1に示すように、第一の面(及び第二の面)において、長手方向及び短手方向を有しかつ角部を有する矩形状(長方形)などの形状とすることができる。しかしながら、液体供給口の開口形状は、それ以外の形状、例えば、長方形の4つの角部が丸められていたり、面取りされていたりしていてもよい。
なお、液体供給口5は、例えば、貫通レーザー先導孔及び異方性エッチングを用いて形成することができる。基板1として、例えば、単結晶シリコンを用いた場合は、予め貫通レーザー先導孔が形成された基板に、アルカリ溶液を用いた異方性エッチングを行うことにより、液体供給口5を形成することができる。異方性エッチングでは、シリコンの結晶面に沿ってエッチングが進行することから、ほぼ矩形の開口形状が得られる。
また、基板1上には、エネルギー発生素子2を液体から保護する保護膜(不図示)や、駆動回路(不図示)等を有することもできる。
(ノズル層)
ノズル層9は、紙等の被記録媒体に画像を記録するための液体を吐出する吐出口11と、該吐出口に連通する流路12とを有する。吐出口11は、液体を吐出するためのものであり、例えば、図2(b)に示すように、エネルギー発生素子2の上方(図の上方)部分に形成することができる。なお、吐出口の数や配置も適宜設定することができ、図1に示す液体吐出ヘッドでは、ヘッドの長手方向(図の上下方向)に沿って吐出口11を等間隔に配置することにより形成した吐出口列が液体供給口5の両側に1列ずつ配置されている。
流路12は、素子基板10、ノズル層9及び密着向上層3で囲まれる空間部分であることができ、この空間部分に液体を保持する液室として利用することができる。
ノズル層9は、感光性樹脂等を用いたフォトリソ技術により形成することができ、1層から構成されていてもよいし、例えば、吐出口を有するオリフィスプレートと、流路を有する流路壁部材とを含む複数層から構成されていてもよい。
(密着向上層)
密着向上層3は、図2に示すように、ノズル層9と素子基板10との間に配される。また、密着向上層3は、有機膜で構成され、密着向上層(有機膜)を形成する材料は、用いる充填剤やテープ、基板の材料に応じて適宜設定することができ、特に限定されない。しかしながら、後述する充填剤6と密着性が確保できる材料、少なくとも使用するテープ7よりも充填剤6に対する密着性が優れる材料から適宜選択することが好ましい。例えば、樹脂(熱可塑性樹脂)等を含む樹脂組成物や、感光性レジスト等を含む感光性を有する樹脂組成物を用いて密着向上層を形成することができる。
密着向上層は例えば使用する液体(インク溶剤)の耐性によって選択すればよく、上記樹脂としては、例えば、商品名:HL-1200CH及びHPC-5020(いずれも日立化成株式会社製)等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、感光性レジストとしては、例えば、商品名:PR-1000D1及びSU-8(いずれも日本化薬株式会社製)等を用いることができる。
密着向上層を形成する際には、まず、密着向上層形成用材料を、スピンコート法やスリット法等で基板1の第一の面に塗布し、塗布膜を形成する。次いで、当該塗布膜上に、フォトリソ技術を用いてパターニングされたフォトレジストパターンを作製し、このパターンをマスクとして、該塗布膜をドライエッチングすることにより、所望の形状の密着向上層を形成することができる。なお、密着向上層の形成用材料自体が感光性を有する場合は、この材料による塗布膜を、直接フォトリソ技術を用いてパターニングすることにより、密着向上層を形成することができる。
密着向上層3の厚みは適宜設定することができるが、基板1上の保護膜等の段差吸収性の観点から1.0μm以上、ノズル層9の平坦性の観点から3.0μm以下とすることが好ましい。
また、密着向上層3は、図1及び図2に示すように、第一の面1aにおいて、第一の部分3aと、第二の部分3bとを含む。
第一の部分3aは、液体供給口5の開口端部から基板上に延伸して形成され、ノズル層9と素子基板10との接触部を少なくとも覆う部分である。
また、第二の部分3bは、液体供給口の開口端部から開口内の開口端部近傍の少なくとも一部を覆う位置に延伸して形成される部分である。
このように、本発明より得られる液体吐出ヘッドでは、図3(b)に示すように、液体供給口の開口端部の開口内近傍を覆う位置に密着向上層3を有する。このため、図3(a)に示す従来の液体吐出ヘッドと比較して、充填剤6の基板1やテープ7からの剥離を容易に抑制できる。従って、液体供給口内に充填剤を充填させた状態でノズル層を形成する際に、第一の面側の充填剤の剥離による隙間の発生を抑制し、所望の形状のノズル層を容易に形成することができる。なお、図3は、液体供給口内に充填された充填剤の状態を説明するための図であり、(a)は従来の方法に関する図であり、(b)は本発明の一実施形態に関する図である。
ここで、図1及び図2に示す、本発明の第一の実施形態より得られる液体吐出ヘッドでは、密着向上層3の第一の部分3aは、ノズル層9と、素子基板10との接触部を覆う部分に形成されている。また、第二の部分3bは、第一の面1aにおいて長方形の開口形状を有する液体供給口5の長手方向の開口端部から開口内の開口端部近傍を覆う部分に形成されている。液体供給口の第一の面における開口形状が長手方向及び短手方向を有する形状(例えば、長方形)の場合、短手方向の開口端部と比較して、長手方向の開口端部近傍に充填される充填剤の方がより剥離し易い。このため、長手方向の開口端部近傍を覆う位置に密着向上層(第二の部分3b)を形成することにより、充填剤の剥離を効率的に抑制することができる。
なお、この第二の部分によって覆われる長手方向の開口端部からの距離は特に限定されず、充填剤の充填量や収縮量に応じて適宜設定することができる。しかしながら、この距離は200μm以下であることが好ましい。液体供給口の長手方向の開口端部からの距離が200μm以下の部分が密着向上層によって覆われることにより、充填剤と密着向上層とをより密着させることができ、充填剤の剥離を容易に抑制することができる。また、この距離は、充填剤との密着性の観点から、50μm以上であることが好ましく、印字品位の観点から、150μm以下であることがより好ましい。
なお、図1に示すように、液体供給口5の短手方向の両側に配される吐出口11のうち、密着向上層の第二の部分3bが配置されている部分には、液体を吐出しないダミーノズル(ダミー吐出口)13が複数配置されている。ダミーノズルを配置することにより、ノズル層の平坦性をより向上させることができる。
また、図5(a)~(c)に、本発明の複数の実施形態より得られる液体吐出ヘッドの模式的部分平面図を示す。なお、これらの図において、ノズル層9の記載は省略されており、密着向上層3の第一の部分3aは、上述した第一の実施形態の場合と同様の位置に形成されている。
図5(a)に示す、本発明の第二の実施形態より得られる液体吐出ヘッドでは、第二の部分3bが、第一の面の開口形状が長方形である液体供給口の長手方向の角部の開口内近傍を覆うように形成されている。このように、充填剤の充填量が多くなり易い液体供給口の角部近傍(のみ)に第二の部分3bを配置することにより、密着向上層が液体供給口を覆う面積をより縮小した状態で充填剤の剥離を効率的に抑制することができる。これにより、リフィル性の向上などノズル設計の自由度を高めることがさらに可能となる。
なお、この際、液体供給のバランスの観点から、液体供給口の短手方向の中心部から左右均等となるように液体供給口の角部の頂点からの距離が50μm以下の部分が覆われるように第二の部分を形成することが好ましい。図5(a)では、短手方向に隣り合う液体供給口の各角部に対して、第一の面での液体供給口の短手方向の長さの半分の長さを底辺とし、図1に示す第一の実施形態と同様の長手方向の開口端からの長さを高さとする直角三角形の第二の部分3bが形成されている。また、第二の部分3bの形状は、液体供給口の角部近傍に配置されることができる形状であれば良く、特に限定されない。例えば、この第二の部分3bで覆われない液体供給口の長手方向の端部近傍の開口形状(図5(a)はV字型)が、U字型やY字型であってもよい。
また、図5(b)に示す、本発明の第三の実施形態より得られる液体吐出ヘッドでは、第一の実施形態と同様の部分に配置された第二の部分3bに、微小の異物捕集孔14が形成されている。この異物捕集孔14によって、液体供給口に供給される液体内に含まれる異物を捕集することができる。この異物捕集孔の形状や配置は適宜設定することができる。異物捕集孔14は、密着向上層3を貫通する(例えば円形の)孔とすることができる。また、その配置は、例えば、第二の部分にランダムに配置してもよいし、等間隔で配置してもよい。図5(b)では、液体供給口の短手方向の開口端部の開口内近傍を覆う密着向上層に異物捕集孔14を複数配置した例が記載されている。なお、異物捕集の観点から、異物捕集孔14の(平均)孔径は、吐出口11の孔径以下であることが好ましい。
図5(c)に示す、本発明の第四の実施形態より得られる液体吐出ヘッドでは、第一の実施形態と同様、液体供給口の長手方向の開口端部の開口内近傍を覆う部分に第二の部分を形成している。これと共に、液体供給口の短手方向の開口端部の開口内近傍を覆う部分にも第二の部分を形成している。言い換えると、この第四の実施形態では、第二の部分が、液体供給口の開口端部から開口内の開口端部近傍全周に形成されている。これにより、液体供給口の開口端部全周、図5(c)では、長手方向及び短手方向の両方向の開口端部近傍において、充填剤の剥離を抑制することができる。なお、第二の部分3bにおける液体供給口の短手方向の開口端部からの距離は、第一の面における液体供給口の短手方向の(開口)長さのうち14%の部分を第二の部分によって覆うことが好ましい。
<液体吐出ヘッドの製造方法>
本発明の液体吐出ヘッドの製造方法は、以下の工程を有する。
・対向する第一の面1a及び第二の面1bを有しかつエネルギー発生素子2が配された基板の第一の面1aに、上述した密着向上層3を形成する工程(密着向上層形成工程)。
・第一の面1aから第二の面1bに貫通する液体供給口5を形成する工程(液体供給口形成工程)。
・液体供給口5の第一の面側の開口部をテープ7で覆う工程(被覆工程)。
・液体供給口内に第二の面側から充填剤6を充填し、少なくとも液体供給口5の第一の面側の開口底部を該充填剤6によって覆う工程(充填工程)。
・テープ7を除去する工程(テープ除去工程)。
・充填剤6が充填された基板1の第一の面上に、ノズル層を形成する工程(ノズル形成工程)。
・充填剤6を(液体供給口内から)除去して、ノズル層の流路12及び液体供給口5を連通させる工程(充填剤除去工程)。
これらの工程の順序は特に限定されず、順次行ってもよいし、複数の工程(例えば、ノズル形成工程及び充填剤除去工程)を並行して行ってもよい。また、充填工程と、テープ除去工程との間に、充填剤を硬化する工程(硬化工程)を設けてもよい。
以下に、各工程について、図4を用いて詳しく説明する。なお、図4は、本発明の第一の実施形態における各工程を説明するための工程断面図である。図4では、各工程における基板(ヘッド)について、図の右側に図1に示すA-A’線で切断した際の断面図を示し、図の左側に図1に示すB-B’線で切断した際の断面図で示す。
<<第一の実施形態>>
(密着向上層形成工程)
まず、第一の面1aにエネルギー発生素子2が配された基板を用意する。例えば、通常の半導体デバイスと同じように、基板(例えば、シリコン基板)1上に、エネルギー発生素子(例えばヒータ素子)2、この素子を保護する保護膜(不図示)や駆動回路(不図示)等を形成する。これらの形成は、例えば、フォトリソ技術を用いた多層配線技術によって形成することができる。
続いて、図4(a)に示すように、この基板の第一の面1aに、第一の面側に開口を有しかつ有機膜で構成される密着向上層3を形成する。第一の実施形態では、図1、図2及び図4(g)に示すように、密着向上層は、ノズル層と素子基板との接触部を覆う第一の部分と、液体供給口の長手方向の開口端部から開口内の開口端部近傍を覆う位置に配される第二の部分とを含む。なお、図4(a)では、エネルギー発生素子2の(図の上側の)表面には、密着向上層3は形成されていない。
具体的には、上述したように、スピンコート法やスリット法等で密着向上層形成用材料(樹脂組成物)を基板1上に塗布し、塗布膜を形成する。次いで、通常のポジ型レジスト等を用いて、塗布膜上にレジストパターンを作製し、このパターンをエッチングマスクとして、ドライエッチングにより、上述した特定の部分を覆う密着向上層3を形成する。なお、上述したように、密着向上層形成用材料が感光性を有する場合は上記塗布膜を直接パターニングして密着向上層3を形成してもよい。
(液体供給口形成工程)
次に、図4(b)及び(c)に示すように、密着向上層3が形成された基板に、基板1を(第一の面から第二の面に)貫通する液体供給口5を形成する。この際、形成された液体供給口の第一の面側の開口部内に、密着向上層3の開口端部分の少なくとも一部を露出させる。ここでは、第一の面における開口形状が長手方向および短手方向を有する長方形の液体供給口を形成しており、この液体供給口の長手方向の開口端部の開口内部分に、密着向上層の開口端部分(及びその近傍)を露出させる。
なお、液体供給口の形成方法は特に限定されず、液体吐出ヘッドの分野で公知の方法を適宜用いることができる。しかしながら、コストおよび処理時間(タクト)の観点から、(貫通レーザー)先導孔及び異方性エッチングを用いて液体供給口を形成することが好ましい。
具体的には、図4(b)に示すように、基板1に対してレーザーを照射し、基板1を貫通する貫通レーザー先導孔4を形成する。先導孔4の個数や形状、配置等は、作製する液体供給口の形状や用いた基板1の材質等に応じて適宜設定することができる。
続いて、図4(c)に示すように、基板の第二の面1bに形成したエッチングパターン(不図示)をマスクとして、アルカリ溶液(例えばテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)溶液)等を用いた異方性エッチングを行い、液体供給口5を形成する。この際、上記エッチングパターンは、金属やアルカリ耐性を有する樹脂を用いて作製することができる。
(被覆工程)
続いて、液体供給口5の第一の面側の開口部をテープ7で覆う。基板上、具体的には、基板1の第一の面及び密着向上層3の表面等にテープ7を貼り付けることにより、後の工程で液体供給口内に充填される充填剤6が、ノズル層を形成する部分に侵入することを防ぐことができる。テープ7は、原則、充填剤6を充填する前に貼り付け、充填した後に剥離する。テープ7の材質は、特に限定されないが、例えば、熱硬化型または紫外線照射硬化型の半導体工業用テープを使用することができる。なお、テープ7の貼り付けには、気泡の抱き込みを抑制する観点から、真空状態で貼り付けを行うことが好ましい。
(充填工程)
続いて、図4(d)に示すように、テープ7により第一の面側の開口部が被覆された液体供給口5内に、第二の面1b側から充填剤を充填する。充填剤の充填量は特に限定されないが、ノズル層形成時に、型材形成用材料やノズル層形成用材料が、液体供給口内に侵入しないように、少なくとも液体供給口5の第一の面1a側の開口底部を充填剤6によって覆うことができるようにする。強度の観点から、液体供給口の(第一の面から第二の面までの)厚みのうちの2~8%の厚みで充填剤を第一の面側に充填させることが好ましい。
充填剤6は、特に限定されないが、後工程で除去が必要であることから耐溶剤性がある一方、容易に除去可能な材料が好ましく、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)を用いることができる。なお、充填剤6は、第二の面1bから、スクリーン印刷方式やディスペンス方式により、液体供給口内に充填することができる。
(硬化工程)
テープ7を貼り付けた液体供給口内に充填された充填剤6を、硬化(安定化)させるために、充填剤が充填された基板を、ホットプレートなどを使用してベークすることができる。この際、上述したように、図3(a)に示す従来の構成の液体供給口の(特に長手方向の)開口端部近傍の充填剤6は、他の箇所に比べて膜厚が厚く塗布されていることから硬化収縮が大きく、基板1及びテープ7との粘着面から剥離してしまうことがある。
一方、図3(b)に示す本発明の構成の密着向上層3は、液体供給口5の(例えば、長手方向の)開口端部近傍を覆うように配置されている。これにより、充填剤6と密着向上層3の密着力を向上させ、充填剤6の硬化収縮による剥離を抑制することが可能となる。
(テープ除去工程)
次に、テープ7を基板上から剥離する。剥離方法は、用いたテープの種類に応じて適宜選択でき、例えば、テープに紫外線を照射したり、熱を加えたりすることにより、基板上から当該テープを剥離することができる。
(ノズル形成工程及び充填剤除去工程)
続いて、充填剤6が充填された基板の第一の面1a上にノズル層を形成する。
まず、図4(e)に示すように、充填剤6で穴埋めされた液体供給口5と密着向上層3との上方(図の上方)に、(発泡室を含む)流路12の型となる型材8を形成する。具体的には、感光性樹脂材料等の型材形成用材料を基板上にスピンコート法等により塗布した後、フォトリソ技術を用いてパターニングを行い、型材8を形成する。型材8に用いる樹脂としては、例えば、ポジ型Deep-UVレジストODUR(商品名、東京応化工業(株)製)を用いることができる。
続いて、図4(f)に示すように、ノズル層形成用材料を型材8が形成された基板上に、スピンコート法等を用いて塗布した後、露光及び現像を行うことで、吐出口11を形成する。ノズル層形成用材料には、例えば、ネガ型レジストである、SU-8(商品名、日本化薬株式会社製)及びEHPE-3150(商品名、株式会社ダイセル製)等を用いることができる。
次に、図4(g)に示すように、液体供給口内に充填された充填剤6と、型材8とをそれぞれ除去し、流路12を形成するとともに流路12及び液体供給口5を連通させる。これらの除去方法は特に限定されず、用いた材料に応じて適宜設定することができる。
以上より、密着向上層によって、液体供給口の長手方向の開口端部から開口内の開口端部近傍が覆われた液体吐出ヘッドを得ることができる。この第一の実施形態では、特に剥離しやすい長手方向における充填剤の剥離を抑制できることから、所望の形状のノズル層を有する液体吐出ヘッドを容易に作製することができる。
<<第二の実施形態>>
本発明の第二の実施形態では、図5(a)に示すように、密着向上層3の第二の部分3bが、液体供給口5の角部の開口内近傍を覆う構成とする。言い換えると、液体供給口形成工程において、第一の面における開口形状が長手方向及び短手方向を有する長方形の液体供給口を形成し、この液体供給口の長手方向端部の角部の開口内部分に、密着向上層3の開口端部分(及びその近傍)を露出させる。これにより、充填剤6の塗布量が多い当該角部近傍に選択的に密着向上層3を配置することができる。このため、密着向上層3が液体供給口5を覆う面積を最小限に抑えることができ、リフィル性の向上などノズル設計自由度を高めることが可能となる。
<<第三の実施形態>>
本発明の第三の実施形態では、図5(b)に示すように、密着向上層3の第二の部分3bが、液体供給口の長手方向の開口端部の開口内近傍を覆いながら、微小の異物捕集孔14を有する構成とする。言い換えると、液体供給口形成工程において、液体供給口の第一の面側の開口部内に露出した密着向上層に、微小の異物捕集孔を形成している。これにより、剥離しやすい長手方向の開口端部近傍における充填剤の剥離を抑制するとともに、異物捕集孔14によって、液体供給口内の液体中に含まれる異物を捕集することが可能となる。
<<第四の実施形態>>
本発明の第四の実施形態では、図5(c)に示すように、密着向上層3の第二の部分が、液体供給口の開口端部から開口内の開口端部近傍全周を覆う構成とする。言い換えると、液体供給口形成工程において、形成された液体供給口の第一の面側の開口端部全周の開口内部分に、密着向上層の開口端部分(及びその近傍)を露出させる。これにより、液体供給口の長手方向及び短手方向の両方向の開口端部において、充填剤6の剥離を抑制することが可能となる。
[実施例1]
まず、エネルギー発生素子2であるヒーター素子と、駆動回路(不図示)とが形成された、直径が200mm、厚みが725μmのシリコンウェハを基板1として用意した。
次に、スピンコート法で、密着向上層形成用材料を基板の第一の面上に塗布し、塗布膜を形成した。その際、スピン回転数を調整して、乾燥膜厚(基板の第一の面1aからの厚み)が2μmの塗布膜を形成した。なお、密着向上層形成用材料は、熱可塑性樹脂として、商品名:HL-1200CH(日立化成株式会社製)を使用した。
続いて、塗布膜を乾燥硬化させた後、エッチングマスクとなるポジ型の感光性レジストを塗布膜上に形成した。さらに所定の形状に感光性レジストを露光現像してエッチングマスクを形成した。ポジ型の感光性レジストとして、商品名:THMR-iP5700(東京応化工業(株)製)を使用した。この塗布膜に対して、エッチングマスクを介して、フルオロカーボン系ガスCFを用いてドライエッチングにより、所定の形状となるようにパターニングを行い、図4(a)に示す密着向上層3を形成した。この密着向上層3は、図1及び図2に示すように、ノズル層9と素子基板10との接触部となる位置を覆うとともに、液体供給口5の長手方向の開口端部の開口内近傍を覆うように形成された。
次に、図4(b)に示すように、液体供給口形成用貫通パターンとして、レーザーを照射し、基板1を貫通する複数の先導孔4を形成した。
その後、図4(c)に示すように、基板1の第二の面1bに形成されたエッチングマスク(不図示)を介して、エッチング液を用いた異方性エッチングを行った。この際、エッチングマスクとしては、酸化膜を用い、エッチング液としては、液温80℃の質量濃度25%のTMAH溶液を用い、エッチング処理時間は3時間であった。これにより、第一の面及び第二の面における開口形状が長方形であり、基板の第二の面から第一の面に向かって開口面積が小さくなるテーパー形状の液体供給口5を形成した。密着向上層3は、作製した液体供給口の長手方向の開口端部からの距離が200μm以下の部分を覆うように形成されていた。
次に、基板1の第一の面上に、テープ7を貼り付け、液体供給口5の第一の面側の開口部をテープにより覆った。テープ(の粘着剤)としては、紫外線照射硬化型の半導体工業用テープを使用し、90Pa程度の真空雰囲気で貼り付けた。
続いて、図4(d)に示すように、テープを貼り付けた基板1の液体供給口内に充填剤6を第二の面側からディスペンス法により充填し、液体供給口の第一の面の開口底部を充填剤によって覆った。充填剤6としては、粘度が1000CP(1Pa・s)であるPVA水溶液を用いた。その後60℃で5分間ベークを行った。また、充填剤の充填量を測定したところ、液体供給口内の第一の面1aからの深さ50μmの部分が充填剤によって埋められていた。なお、上述したように、密着向上層3が液体供給口の長手方向の開口端部の開口内近傍にも配置されているため、上記充填剤が硬化収縮する際にも、この長手方向の開口端部において充填剤が剥離することがなかった。また、当該実施例では、短手方向の開口端部における充填剤の剥離も発生しなかった。
さらに、テープ7に対して、紫外線照射を200mJ/mmで行うことによりテープ7を基板1上から剥離した。
次に、図4(e)に示すように、型材形成用材料をスピンコート法により基板上に塗布した後、フォトリソ法でパターニングを行い、流路の型となる型材8を形成した。上述したように、液体供給口の開口端部における充填剤の剥離が発生しなかったため、上記型材形成用材料が液体供給口内などに浸入することがなく、所望の形状の型材8を形成することができた。
なお、型材形成用材料には、東京応化工業(株)製のポジ型Deep-UVレジストODUR(商品名)を用いた。また、その際、型材形成用材料の塗布後の膜厚(基板の第一の面からの最大厚み)が15μmとなるように、スピン回転数を調整し、塗布後のベーク温度は120℃、ベーク時間は3分とした。
次に、図4(f)に示すように、ノズル層形成用材料をスピンコート法により基板上に塗布した後、フォトリソ法でパターニングを行い、吐出口11を形成した。なお、ノズル層形成用材料には、EHPE-3150(商品名、株式会社ダイセル製)を用いた。スピンコート法によりノズル層形成用材料を塗布する際の回転数は、作製するノズル層の厚みが基板の第一の面より30μmとなるよう調整し、塗布後のベーク温度は150℃、ベーク時間は60分とした。
次に、図4(g)に示すように、液体供給口内に充填した充填剤6と、発泡室を含む流路の型として形成した型材8とをそれぞれ除去した。なお、充填剤6の材料であるPVAは水溶性のため、温水を用いた水洗により充填剤6は除去した。また、型材8は、洗浄液(商品名:ラックリーンMC、林純薬工業製)に基板を浸漬させることにより、型材8を溶解させて除去した。
このように、充填剤6及び型材8をそれぞれ除去することで、流路12と液体供給口5を連通させ、本発明の第一の実施形態に係る液体吐出ヘッド(ノズルチップ)を完成させた。
実施例1では、液体供給口の開口端部における充填剤の剥離が発生しなかったため、所望の形状のノズル層を形成することができた。
なお、充填剤の剥離の確認はSEM (Scanning Electron Microscope)(日本電子株式会社製)を使用して切断面を観察することで行った。
[実施例2]
図5(a)に示すように、密着向上層の第二の部分3bが、液体供給口5の長手方向端部の角部の開口内近傍を覆う構成とした以外は実施例1と同様にして、本発明の第二の実施形態に係る液体吐出ヘッドを作製した。この際、密着向上層の第二の部分3bは、液体供給口の長手方向端部の角部の頂点から距離50μm以下の部分が少なくとも覆うように形成されていた。実施例2では、充填剤6の塗布量が多くなる液体供給口5の角部の開口内近傍に密着向上層を配置するため、密着向上層が液体供給口内を覆う面積を縮小することができ、リフィル性の向上などノズル設計の自由度を高めることができた。
[実施例3]
図5(b)に示すように、密着向上層の第二の部分3bに微小の異物捕集孔14を設けた以外は、実施例1と同様にして、本発明の第三の実施形態に係る液体吐出ヘッドを作製した。なお、異物捕集孔の(平均)孔径は10μmにて形成し、液体供給口の短手方向の開口両端部の開口内近傍にそれぞれ複数配置させた。
この異物捕集孔14によって、液体供給口内の液体中に含まれる異物を捕集することができた。
[実施例4]
図5(c)に示すように、密着向上層の第二の部分3bが、液体供給口の開口端部の開口内近傍全周を覆う構成とした以外は、実施例1と同様にして、本発明の第四の実施形態に係る液体吐出ヘッドを作製した。なお、密着向上層は、液体供給口の長手方向の開口端部から距離150μm以下の部分と、短手方向の開口端部から距離18μm以下の部分を覆うように形成されていた。このため、液体供給口5の開口端部近傍全体において、充填剤の剥離を容易に抑制することができた。
1・・・基板
1a・・第一の面
1b・・第二の面
2・・・エネルギー発生素子
3・・・密着向上層
3a・・第一の部分
3b・・第二の部分
4・・・(貫通レーザー)先導孔
5・・・液体供給口
6・・・充填剤
7・・・テープ
9・・・ノズル層
10・・素子基板
11・・(液体)吐出口
12・・(液体)流路
14・・異物捕集孔

Claims (15)

  1. 液体を吐出する吐出口と、該吐出口に連通する流路とを有するノズル層と、
    前記吐出口から液体を吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、前記流路に連通し液体を供給する液体供給口とを有する素子基板と、
    前記ノズル層と前記素子基板との間に配される密着向上層と、
    を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    対向する第一の面及び第二の面を有しかつ前記エネルギー発生素子が配された基板の第一の面に、前記密着向上層を形成する工程と、
    前記第一の面から前記第二の面に貫通する前記液体供給口を形成する工程と、
    前記液体供給口の前記第一の面側の開口部をテープで覆う工程と、
    前記液体供給口内に前記第二の面側から充填剤を充填し、少なくとも該液体供給口の前記第一の面側の開口底部を該充填剤によって覆う工程と、
    前記テープを除去する工程と、
    前記充填剤が充填された基板の前記第一の面上に、前記ノズル層を形成する工程と、
    前記充填剤を除去して、前記ノズル層の前記流路および前記液体供給口を連通させる工程と、
    を有し、
    前記密着向上層は、有機膜で構成され、前記第一の面において、前記液体供給口の開口端部から基板上に延伸して形成され、前記ノズル層と前記素子基板との接触部を少なくとも覆う第一の部分と、該液体供給口の開口端部から開口内の開口端部近傍の少なくとも一部を覆う位置に延伸して形成される第二の部分とを有することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  2. 前記第一の面における前記液体供給口の開口形状が、長手方向および短手方向を有し、
    前記第二の部分が、前記液体供給口の長手方向の開口端部から開口内の開口端部近傍を覆う位置に延伸して形成される、請求項1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  3. 前記第二の部分が、前記長手方向の開口端部からの距離が200μm以下の部分を覆うように形成されている、請求項2に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  4. 前記第一の面における前記液体供給口の開口形状が、長手方向及び短手方向を有しかつ角部を有する形状であり、
    前記第二の部分が、前記液体供給口の長手方向端部の角部の開口内近傍を覆うように形成されている、請求項1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  5. 前記第二の部分が、前記液体供給口の開口端部から開口内の開口端部近傍全周を覆うように形成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  6. 前記第二の部分が、微小の異物捕集孔を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  7. 前記密着向上層が、熱可塑性樹脂を含む材料で構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  8. 前記密着向上層が、感光性を有する材料で構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  9. 前記充填剤が、ポリビニルアルコールを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  10. 前記液体供給口が、貫通レーザー先導孔および異方性エッチングを用いて形成される、請求項1~9のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  11. 液体を吐出する吐出口と、該吐出口に連通する流路とを有するノズル層と、
    前記吐出口から液体を吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、前記流路に連通し液体を供給する液体供給口とを有する素子基板と、
    前記ノズル層と前記素子基板との間に配されかつ該ノズル層と該素子基板との接触部を少なくとも覆う密着向上層と、
    を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    対向する第一の面及び第二の面を有しかつ前記エネルギー発生素子が配された基板の第一の面に、該第一の面側に開口を有しかつ有機膜で構成される前記密着向上層を形成する工程と、
    前記密着向上層が形成された基板に、前記第一の面から前記第二の面に貫通する前記液体供給口を形成し、但し、形成された該液体供給口の該第一の面側の開口部内に、該密着向上層の開口端部分の少なくとも一部を露出させる、液体供給口形成工程と、
    前記液体供給口の前記第一の面側の開口部をテープで覆う工程と、
    前記液体供給口内に前記第二の面側から充填剤を充填し、少なくとも該液体供給口の前記第一の面側の開口底部を該充填剤によって覆う工程と、
    前記テープを除去する工程と、
    前記充填剤が充填された基板の前記第一の面上に、前記ノズル層を形成する工程と、
    前記充填剤を除去して、前記ノズル層の前記流路および前記液体供給口を連通させる工程と、
    を有する、ことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  12. 前記液体供給口形成工程において、前記第一の面における開口形状が長手方向および短手方向を有する液体供給口を形成し、該液体供給口の長手方向の開口端部の開口内部分に、前記密着向上層の開口端部分を露出させる、請求項11に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  13. 前記液体供給口形成工程において、前記第一の面における開口形状が長手方向および短手方向を有しかつ角部を有する液体供給口を形成し、該液体供給口の長手方向端部の角部の開口内部分に、前記密着向上層の開口端部分を露出させる、請求項11に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  14. 前記液体供給口形成工程において、形成された前記液体供給口の前記第一の面側の開口端部全周の開口内部分に、前記密着向上層の開口端部分を露出させる、請求項11~13のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  15. 前記液体供給口の前記第一の面側の開口部内に露出した前記密着向上層に、微小の異物捕集孔が形成されている、請求項11~14のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
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