JP7134065B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents
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Description
前記多孔質層の表面の、無機フィラーの投影像のアスペクト比が、1.4~4.0の範囲であり、
前記多孔質層の、広角X線回折法により測定した、互いに直交する任意の回折面(hkl)、(abc)のピーク強度:I(hkl)およびI(abc)が下式(1)を満たし、
下式(2)で算出されるピーク強度比の最大値の範囲が、1.5~300の範囲であり、
I(hkl) > I(abc)・・・(1)、
I(hkl) / I(abc)・・・(2)
前記非水電解液は、下記式(A)で表されるイオン電導度低下率Lが1.0%以上、6.0%以下である添加剤を0.5ppm以上、300ppm以下含有する。
(式(A)中、LAは、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを3:5:2の体積比で含む混合溶媒に、LiPF6をその濃度が1mol/Lとなるように溶解させた参照用電解液のイオン電導度(mS/cm)を表し、LBは、前記参照用電解液に、添加剤を1.0重量%溶解させた電解液のイオン電導度(mS/cm)を表す。)
また、本発明の態様2に係る非水電解液二次電池は、前記態様1において、前記多孔質層が、ポリオレフィン多孔質フィルムの片面または両面に積層している。
本発明の一実施形態における多孔質層は、無機フィラーと樹脂とを含む多孔質層であって、当該多孔質層の表面(以下、「多孔質層表面」と称する場合がある)の無機フィラーの投影像のアスペクト比が、1.4~4.0の範囲であり、前記多孔質層の、広角X線回折法により測定した、互いに直交する任意の回折面(hkl)、(abc)のピーク強度:I(hkl)およびI(abc)が下式(1)を満たし、下式(2)で算出されるピーク強度比の最大値の範囲が、1.5~300の範囲である事を特徴とする。
I(hkl) > I(abc) ・・・(1)、
I(hkl) / I(abc) ・・・(2)。
本発明の一実施形態における多孔質層は、当該多孔質層の表面の、無機フィラーの投影像のアスペクト比が、1.4~4.0の範囲であり、1.5~2.3の範囲であることが好ましい。ここで、前記アスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して、多孔質層の真上、すなわち鉛直上方から、その表面の電子顕微鏡写真であるSEM画像を撮影し、その写真から無機フィラーの投影像を作成し、当該無機フィラーの投影像の長軸の長さ/短軸の長さの比率を算出することによって求められる値である。なお、長軸の長さを長軸径、短軸の長さを短軸径とも称する。すなわち、前記アスペクト比とは、多孔質層の表面における無機フィラーを、多孔質層の真上方向から観測した場合に観測される当該無機フィラーの形状を示す。
(1)多孔質層を基材上に積層させてなる積層体において、当該積層体の多孔質側の真上から日本電子製 電界放出形走査電子顕微鏡JSM-7600Fを用いて加速電圧5kVでSEM表面観察(反射電子像)を行い、SEM画像を得る工程。
(2)工程(1)にて得られたSEM画像上にOHPフィルムを載せ、当該SEM画像に写っている無機フィラーの粒子の輪郭に沿って敷き写した投影像を作成し、該投影像をデジタルスチルカメラにより撮影する工程。
(3)工程(2)にて得られた写真のデータをコンピュータに取り込み、アメリカ国立衛生研究所(NIH:National Institues of Health)が発行する画像解析のフリーソフトIMAGEJを用いて、前記フィラー粒子100個の各々のアスペクト比を算出する工程。なお、ここで前記フィラー粒子を1粒子ずつ楕円形に近似させ、長軸径と短軸径を算出し、長軸径を短軸径で除した値をアスペクト比とする。
(4)工程(3)にて得られたそれぞれの粒子の投影像のアスペクト比の平均値を算出し、その値を多孔質層表面の無機フィラーの投影像のアスペクト比とする工程。
本発明の一実施形態における多孔質層は、広角X線回折法により測定した、当該多孔質層における互いに直交する任意の回折面(hkl)、(abc)のピーク強度:I(hkl)およびI(abc)が下式(1)を満たし、かつ、下式(2)で算出されるピーク強度比の最大値の範囲が、1.5~300の範囲であることが好ましく、1.5~250の範囲であることがより好ましい。
I(hkl) > I(abc)・・・(1)、
I(hkl) / I(abc)・・・(2)。
(1)多孔質層を基材上に積層させてなる積層体(積層多孔質フィルム)を2cm角に切り取り、測定用サンプルを作製する工程。
(2)工程(1)にて得られた測定用サンプルを、当該サンプルにおける多孔質層側を測定面として、Al製ホルダーに取り付け広角X線回折法(2θ―θスキャン法)でX線プロファイルを測定する工程。なお、前記X線プロファイルを測定する装置および測定条件は、特に限定されないが、例えば、装置として理学電機社製RU-200R(回転対陰極型)を使用し、X線源にCuKα線を用い、出力は50KV-200mA、スキャン速度2°/minにて測定する方法が挙げられる。
(3)工程(2)にて得られるX線プロファイルに基づき、多孔質層の広角X線回折測定における、お互いに直交する任意の回折面(hkl)、(abc)のピーク強度 I(hkl)およびI(abc)が前記式(1)を満たす場合に、前記式(2)で算出されるピーク強度比を算出し、そのピーク強度比の最大値、すなわち多孔質層の配向度を算出する工程。
本発明の一実施形態における多孔質層の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、基材上に、以下に示す工程(1)~(3)の何れかの1つの工程を用いて、前記無機フィラーと前記樹脂とを含む多孔質層を形成する方法を挙げることができる。以下に示す工程(2)および工程(3)の場合においては、前記樹脂を析出させた後にさらに乾燥させ、溶媒を除去することによって、製造され得る。工程(1)~(3)における塗工液は、前記無機フィラーが分散しており、かつ、前記樹脂が溶解している状態であってもよい。なお、前記溶媒は、樹脂を溶解させる溶媒であるとともに、樹脂または無機フィラーを分散させる分散媒であるとも言える。
本発明の一実施形態における非水電解液は、下記式(A)で表されるイオン電導度低下率Lが1.0%以上、6.0%以下である添加剤を0.5ppm~300ppm含有する。
L=(LA-LB)/LA・・・(A)
式(A)中、LAは、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを3:5:2の体積比で含む混合溶媒に、LiPF6をその濃度が1mol/Lとなるように溶解させた参照用電解液のイオン電導度(mS/cm)を表す。LBは、前記参照用電解液に、添加剤を1.0重量%溶解させた電解液のイオン電導度(mS/cm)を表す。
本発明の一実施形態における正極は、一般に非水電解液二次電池の正極として使用されるものであれば、特に限定されない。例えば、正極として、正極活物質および結着剤を含む活物質層が正極集電体上に成形された構造を備える正極シートを使用することができる。なお、前記活物質層は、更に導電剤を含んでもよい。
本発明の一実施形態における負極としては、一般に非水電解液二次電池の負極として使用されるものであれば、特に限定されない。例えば、負極として、負極活物質および結着剤を含む活物質層が負極集電体上に成形された構造を備える負極シートを使用することができる。なお、前記活物質層は、更に導電剤を含んでもよい。
本発明の一実施形態における非水電解液二次電池は、ポリオレフィン多孔質フィルムを備えていてもよい。以下では、ポリオレフィン多孔質フィルムを単に「多孔質フィルム」と称することがある。前記多孔質フィルムは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とし、その内部に連結した細孔を多数有しており、一方の面から他方の面に気体および液体を通過させることが可能となっている。前記多孔質フィルムは、単独で非水電解液二次電池用セパレータとなり得る。また、上述の多孔質層が積層された非水電解液二次電池用積層セパレータの基材ともなり得る。
前記ポリオレフィン多孔質フィルムの製造方法は特に限定されるものではない。例えば、ポリオレフィン系樹脂と、無機充填剤および可塑剤等の孔形成剤と、任意で酸化防止剤等を混練した後に押し出すことで、シート状のポリオレフィン樹脂組成物を作製する。適当な溶媒にて当該孔形成剤を当該シート状のポリオレフィン樹脂組成物から除去した後、当該孔形成剤が除去されたポリオレフィン樹脂組成物を延伸することで、ポリオレフィン多孔質フィルムを製造することができる。
(A)超高分子量ポリエチレンと、重量平均分子量1万以下の低分子量ポリエチレンと、炭酸カルシウムまたは可塑剤等の孔形成剤と、酸化防止剤とを混練してポリオレフィン樹脂組成物を得る工程、
(B)得られたポリオレフィン樹脂組成物を一対の圧延ローラで圧延し、速度比を変えた巻き取りローラで引っ張りながら段階的に冷却し、シートを成形する工程、
(C)得られたシートの中から適当な溶媒にて孔形成剤を除去する工程、
(D)孔形成剤が除去されたシートを適当な延伸倍率にて延伸する工程。
本発明の一実施形態における非水電解液二次電池用積層セパレータの製造方法としては、例えば、上述の「多孔質層の製造方法」において、前記塗工液を塗布する基材として、上述のポリオレフィン多孔質フィルムを使用する方法を挙げることができる。
本発明の一実施形態に係る非水二次電池の製造方法としては、従来公知の製造方法を採用することができる。例えば、正極、ポリオレフィン多孔質フィルムおよび負極をこの順で配置することにより非水電解液二次電池用部材を形成する。ここで、多孔質層は、ポリオレフィン多孔質フィルムと正極および負極の少なくとも一方との間に存在し得る。次いで、非水電解液二次電池の筐体となる容器に当該非水電解液二次電池用部材を入れる。当該容器内を前記非水電解液で満たした後、減圧しつつ密閉する。これにより、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池を製造することができる。
実施例および比較例にて製造された多孔質層、ポリオレフィン多孔質フィルムの物性等、並びに、非水電解液二次電池のハイレート放電後の充電容量を、以下の方法を用いて測定した。
ポリオレフィン多孔質フィルムおよび多孔質層の膜厚は、株式会社ミツトヨ製の高精度デジタル測長機(VL-50)を用いて測定した。多孔質層の膜厚は、各々の積層体において多孔質層が形成されている部分の膜厚から、多孔質層が形成されていない部分の膜厚を引いた値とした。
実施例および比較例にて製造されたポリオレフィン多孔質フィルムと多孔質層とからなる積層体の多孔質層側から、日本電子製 電界放出形走査電子顕微鏡JSM-7600Fを用い、加速電圧5kVでSEM表面観察(反射電子像)を行い、電子顕微鏡写真(SEM画像)を得た。
実施例および比較例にて製造されたポリオレフィン多孔質フィルムと多孔質層とからなる積層体を2cm角に切り取り、測定用サンプルを得た。得られた測定用サンプルを、当該サンプルにおける多孔質層を測定面として、Al製ホルダーに取り付け広角X線回折法(2θ―θスキャン法)でX線プロファイルを測定した。装置として理学電機社製RU-200R(回転対陰極型)を使用し、X線源にCuKα線を用い、出力は50KV-200mA、スキャン速度2°/minにて測定した。得られたX線プロファイルに基づき、多孔質層の広角X線回折測定における、直交する任意の回折面(hkl)および(abc)のピーク強度 I(hkl)およびI(abc)が下式(1)を満たす場合の、I(hkl)/I(abc)で算出されるピーク強度比を算出し、そのピーク強度比の最大値を算出した。
I(hkl)> I(abc)・・・(1)。
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを3:5:2の体積比で混合してなる混合溶媒に、LiPF6をその濃度が1mol/Lとなるように溶解することにより、参照用電解液を得た。当該参照用電解液に、各添加剤を1%となるように添加して溶解した後、イオン電導度(mS/cm)を測定した。イオン電導度は株式会社堀場製作所製の電気伝導率計(ES-71)を用いて測定した。
イオン電導度低下率は、下記式(A)で表される。
L:イオン電導度低下率(%)、
LA:添加する前のイオン電導度(mS/cm)、
LB:添加後のイオン電導度(mS/cm)。
後述のようにして組み立てた非水電解液二次電池を、25℃で電圧範囲;4.1~2.7V、充電電流値;0.2CのCC-CV充電(終止電流条件0.02C)、放電電流値0.2CのCC放電を1サイクルとして、4サイクルの初期充放電を25℃にて実施した。
[非水電解液二次電池用セパレータの製造]
ポリエチレンを用いて非水電解液二次電池用セパレータを作製した。具体的には、超高分子量ポリエチレン粉末(340M、三井化学株式会社製)70重量部と、重量平均分子量1000のポリエチレンワックス(FNP-0115、日本精鑞株式会社製)30重量部とを混合して混合ポリエチレンを得た。得られた混合ポリエチレン100重量部に対して、酸化防止剤(Irg1010、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)0.4重量部、酸化防止剤(P168、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)0.1重量部、およびステアリン酸ナトリウム1.3重量部を加え、さらに、全体積に占める割合が38体積%となるように、平均粒子径0.1μmの炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製)を加えた。この組成物を粉末のまま、ヘンシェルミキサーで混合した後、二軸混練機で溶融混練することにより、ポリエチレン樹脂組成物を得た。次いで、このポリエチレン樹脂組成物を、表面温度が150℃に設定された一対のローラにて圧延することにより、シートを作製した。このシートを、4mol/Lの塩酸に0.5重量%の非イオン系界面活性剤を配合して調製した塩酸水溶液に浸漬させることで炭酸カルシウムを溶解して除去した。続いて、当該シートを105℃で6倍に延伸することにより、ポリオレフィン多孔質フィルムを作製した。ポリオレフィン多孔質フィルムの空隙率53%、目付7g/m2、膜厚16μmであった。このポリオレフィン多孔質フィルムを、非水電解液二次電池用セパレータ1とした。
(塗工液の製造)
無機フィラーの原料として、αアルミナ(住友化学株式会社製、商品名:AKP3000)および六角板状酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、商品名:XZ-100F)を用い、無機フィラーとして、αアルミナ99重量部と、六角板状酸化亜鉛1重量部とを、乳鉢で混合した混合物(酸素原子質量百分率47%)を用いた。
得られた前記塗工液を、前記非水電解液二次電池用セパレータ1の片面にドクターブレード法により、塗工せん断速度39.4(1/s)にて塗工し、前記非水電解液二次電池用セパレータ1の片面に塗膜を形成した。その後、前記塗膜を、65℃にて20分間かけて乾燥することで、前記非水電解液二次電池用セパレータ1の片面に多孔質層1を形成した。これにより非水電解液二次電池用セパレータ1と多孔質層1とを備えた積層体1を得た。多孔質層1の目付は7g/m2であり、厚みは4μmであった。得られた積層体1を用いて、多孔質層表面の無機フィラーの投影像のアスペクト比およびピーク強度比(I(hkl)/I(abc))の最大値を測定した。その結果を表1に示す。
(正極の作製)
LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2/導電剤/PVDF(重量比92/5/3)をアルミニウム箔に塗布することにより製造された市販の正極を用いた。前記市販の正極を、正極活物質層が形成された部分の大きさが40mm×35mmであり、かつその外周に幅13mmで正極活物質層が形成されていない部分が残るように、アルミニウム箔を切り取って正極とした。正極活物質層の厚さは58μm、密度は2.50g/cm3であった。
黒鉛/スチレン-1,3-ブタジエン共重合体/カルボキシメチルセルロースナトリウム(重量比98/1/1)を銅箔に塗布することにより製造された市販の負極を用いた。前記市販の負極を、負極活物質層が形成された部分の大きさが50mm×40mmであり、かつその外周に幅13mmで負極活物質層が形成されていない部分が残るように、銅箔を切り取って負極とした。負極活物質層の厚さは49μm、の密度は1.40g/cm3であった。
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートを3:5:2の体積比で混合した混合溶媒に、LiPF6をその濃度が1mol/Lとなるように溶解して、電解液原液1とした。この電解液原液1はLi+イオンを含む非プロトン性極性溶媒電解液である。
前記正極、前記負極および積層体1および非水電解液1を使用して、以下に示す方法にて非水電解液二次電池を製造した。製造した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池1とした。
[非水電解液二次電池の作製]
(非水電解液の作製)
エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートを3:7の体積比で混合した混合溶媒に、LiPF6をその濃度が1mol/Lとなるように溶解して、電解液原液2とした。
非水電解液1の代わりに、非水電解液2を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池2とした。
[非水電解液二次電池用セパレータと多孔質層とを備えた積層体の製造]
以下に示すこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池用セパレータ1と多孔質層2とを備えた積層体2を得た。
・無機フィラーとして、酸素原子質量百分率が20%である六角板状酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、商品名:XZ-100F)を用いたこと。
・無機フィラー90重量部に対して、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体を10重量部混合した後、得られる混合液における、無機フィラーおよびフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる固形分の濃度が37重量%となるように溶媒を混合して混合液を作製したこと。
・塗工液を塗工せん断速度3.9(1/s)にて塗工することにより、多孔質層1の代わりに多孔質層2を形成したこと。
(非水電解液の作製)
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートを4:4:2の体積比で混合してなる混合溶媒に、LiPF6をその濃度が1mol/Lとなるように溶解して、電解液原液3とした。
積層体1の代わりに、積層体2を使用して、非水電解液1の代わりに、非水電解液3を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池3とした。
[非水電解液二次電池用セパレータと多孔質層とからなる積層体の製造]
以下に示すこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池用セパレータ1と多孔質層3とを備えた積層体3を得た。
・球状アルミナ(住友化学株式会社製、商品名AA03)50重量部と、合成雲母(株式会社和光純薬製、商品名:非膨潤性合成雲母)50重量部とを、乳鉢で混合して得た酸素原子質量百分率45%の混合物を無機フィラーとして用いたこと。
・無機フィラー90重量部に対して、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体を10重量部混合した後、得られる混合液における、無機フィラーおよびフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる固形分の濃度が30重量%となるように溶媒を混合して混合液を作製したこと。
・塗工液を塗工せん断速度7.9(1/s)にて塗工することにより、多孔質層1の代わりに多孔質層3を形成したこと。
(非水電解液の作製)
90μLの添加液4と1910μLの電解液原液1とを混合し、非水電解液4とした。非水電解液4における前記添加剤の含有量を表2に示す。
積層体1の代わりに積層体3を使用したこと、および非水電解液1の代わりに非水電解液4を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池4とした。
[非水電解液二次電池用セパレータと多孔質層とを備えた積層体の製造]
以下に示すこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池用セパレータ1と多孔質層4とを備えた積層体4を得た。
・無機フィラーとして、酸素原子質量百分率41%であるワラストナイト(林化成株式会社製、商品名:ワラストナイト VM-8N)を用いたこと。
・無機フィラー90重量部に対して、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体を10重量部混合した後、得られる混合液における、無機フィラーおよびフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる固形分の濃度が40重量%となるように溶媒を混合して混合液を作製したこと。
・塗工液を塗工せん断速度7.9(1/s)にて塗工することにより、多孔質層1の代わりに多孔質層4を形成したこと。
(非水電解液の作製)
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートを2:5:3の体積比で混合してなる混合溶媒に、LiPF6をその濃度が1mol/Lとなるように溶解して、電解液原液4とした。90μLの添加液4と1910μLの電解液原液4を混合し、非水電解液5とした。非水電解液5における前記添加剤の含有量を表2に示す。
積層体1の代わりに積層体4を使用したこと、および非水電解液1の代わりに非水電解液5を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池5とした。
[非水電解液二次電池の作製]
(非水電解液の作製)
トリス-(4-t-ブチル-2,6-ジ-メチル-3-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレイト(Cyanox1790、イオン電導度低下率:6.1%)9.7mgにジエチルカーボネートを加えて溶かして5mLとし、添加液5とした。90μLの添加液5と1910μLの電解液原液1を混合し、非水電解液6とした。非水電解液6における前記添加剤の含有量を表2に示す。
非水電解液1の代わりに非水電解液6を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池6とした。
[非水電解液二次電池用セパレータと多孔質層とを備えた積層体の製造]
以下に示すこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池用セパレータ1と多孔質層5とを備えた積層体5を得た。
・無機フィラーとして、酸素原子質量百分率71%であるホウ砂(和光純薬製)を用いたこと。
・無機フィラー90重量部に対して、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体を10重量部混合した後、得られる混合液における無機フィラーおよびフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる固形分の濃度が40重量%となるように溶媒を混合して混合液を作製したこと。
・塗工液を塗工せん断速度7.9(1/s)にて塗工することにより、多孔質層1の代わりに多孔質層5を形成したこと。
(非水電解液二次電池の組み立て)
積層体1の代わりに積層体5を使用したこと、および非水電解液1の代わりに非水電解液4を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池7とした。
[非水電解液二次電池用セパレータと多孔質層とを備えた積層体の製造]
以下に示すこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池用セパレータ1と多孔質層6とを備えた積層体6を得た。
・無機フィラーとして、酸素原子質量百分率が20%である六角板状酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、商品名:XZ-100F)を用いたこと。
・無機フィラー90重量部に対して、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体を10重量部混合した後、得られる混合液における、無機フィラーおよびフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる固形分の濃度が37重量%となるように溶媒を混合して混合液を作製したこと。
・塗工液を塗工せん断速度0.4(1/s)で塗工することにより、多孔質層1の代わりに多孔質層6を形成したこと。
(非水電解液二次電池の組み立て)
積層体1の代わりに積層体6を使用したこと、および非水電解液1の代わりに非水電解液4を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池8とした。
[非水電解液二次電池用セパレータと多孔質層とを備えた積層体の製造]
以下に示すこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池用セパレータ1と多孔質層7とを備えた積層体7を得た。
・無機フィラーとして、酸素原子質量百分率48%であるアタパルジャイト(林化成株式会社製、商品名:ATTAGEL#50)を用いたこと。
・無機フィラー90重量部に対して、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体を10重量部混合した後、得られる混合液における、無機フィラーおよびフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる固形分の濃度が17重量%となるように溶媒を混合して混合液を作製したこと。
・非水電解液二次電池用セパレータの片面にドクターブレード法により塗工せん断速度を1.3(1/s)で塗工液を塗工することにより、多孔質層1の代わりに多孔質層7を形成したこと。
(非水電解液二次電池の組み立て)
積層体1の代わりに積層体7を使用したこと、および非水電解液1の代わりに非水電解液4を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池9とした。
[非水電解液二次電池用セパレータと多孔質層とを備えた積層体の製造]
以下に示すこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池用セパレータ1と多孔質層8とを備えた積層体8を得た。
・無機フィラーとして、酸素原子質量百分率44%であるマイカ(和光純薬製、商品名:非膨潤性雲母)を用いたこと。
・無機フィラー90重量部に対して、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体を10重量部混合した後、得られる混合液における、無機フィラーおよびフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる固形分の濃度が20重量%となるように溶媒を混合した混合液を作製したこと。
・非水電解液二次電池用セパレータの片面にドクターブレード法により塗工せん断速度0.4(1/s)で塗工液を塗工することにより、多孔質層1の代わりに多孔質層8を形成したこと。
(非水電解液二次電池の組み立て)
積層体1の代わりに積層体8を使用したこと、および非水電解液1の代わりに非水電解液4を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池10とした。
[非水電解液二次電池の作製]
(非水電解液二次電池の組み立て)
非水電解液1の代わりに、電解液原液1を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池11とした。
Claims (6)
- 無機フィラーと樹脂とを含む多孔質層、非水電解液、正極および負極を備え、
前記多孔質層の表面の、無機フィラーの投影像のアスペクト比が、1.4~4.0の範囲であり、
前記多孔質層の、広角X線回折法により測定した、互いに直交する任意の回折面(hkl)、(abc)のピーク強度:I(hkl)およびI(abc)が下式(1)を満たし、
下式(2)で算出されるピーク強度比の最大値の範囲が、1.5~300の範囲であり、
I(hkl) > I(abc)・・・(1)、
I(hkl) / I(abc)・・・(2)
前記非水電解液は、下記式(A)で表されるイオン電導度低下率Lが1.0%以上、6.0%以下である添加剤を0.5ppm以上、300ppm以下含有し、
前記非水電解液は、電解質と有機溶媒とを含み、
前記有機溶媒は、環状化合物と、鎖状化合物とを、2:8~4:6の体積比にて混合してなる混合溶媒であり、
前記添加剤は、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、トリエチルフォスフェイト、ビニレンカーボネート、プロパンサルトン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、6-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-t-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレートおよびジブチルヒドロキシトルエンからなる群から選択される、非水電解液二次電池。
L=(LA-LB)/LA・・・(A)
(式(A)中、LAは、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを3:5:2の体積比で含む混合溶媒に、LiPF6をその濃度が1mol/Lとなるように溶解させた参照用電解液のイオン電導度(mS/cm)を表し、
LBは、前記参照用電解液に、添加剤を1.0重量%溶解させた電解液のイオン電導度(mS/cm)を表す。) - 前記多孔質層が、ポリオレフィン多孔質フィルムの片面または両面に積層されている、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
- 前記多孔質層が、ポリオレフィン、(メタ)アクリレート系樹脂、含フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂および水溶性ポリマーからなる群より1種以上選択される樹脂を含む、請求項1または2に記載の非水電解液二次電池。
- 上記ポリアミド系樹脂がアラミド樹脂である、請求項3に記載の非水電解液二次電池。
- 前記非水電解液が、リチウムを含有している電解質を含む、請求項1~4の何れか1項に記載の非水電解液二次電池。
- 前記非水電解液が、非プロトン性極性溶媒を含む、請求項1~5の何れか1項に記載の非水電解液二次電池。
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