JP7131722B2 - 紙基材用又はプラスチック基材用コーティング剤、並びに該コーティング剤のコーティング層を有する紙基材、プラスチック基材、容器及び包装材 - Google Patents

紙基材用又はプラスチック基材用コーティング剤、並びに該コーティング剤のコーティング層を有する紙基材、プラスチック基材、容器及び包装材 Download PDF

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Description

本発明は、軟包装用グラビアインキやフレキソインキとして使用可能な紙基材又はプラスチック基材用コーティング剤に関する。
近年、様々な基材表面への機能性付与が求められており、プラスチック材料、成形品、紙基材、フィルム基材、包装材等の表面特性の改良に必要とされている。これらの機能を基材表面に付与する方法として、表面に各種機能を有する高分子フィルム等を貼り付けるという方法が、広く知られている。しかし、この方法は、フィルム張り付けに手間がかかり、基材との密着性、加工性も不充分な場合が多く、またコスト的にも高価であった。
一方、これらの基材表面への機能性付与として、コーティングによりこれらの機能を発現させる方法も知られている。コーティング法は成形や加工前の基材はもとより、成型後や加工後の基材へ、所望する部分のみへの付与も可能であることから利便性が高い、一方で
フィルムに比べて機能性、耐性が劣る場合も多い。
基材として、特に食品包装や生活コーティング消費材に多用されるポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリオレフィンフィルム等のフィルム基材は、撥水、撥油、防汚、帯電防止、反射防止、擦り傷防止等といった物理的機能性の他、最近では衛生的機能、例えば抗菌性、抗ウイルス性といった機能も所望され、特に新型インフルエンザやSARS(重症急性呼吸器症候群)、ノロウイルスなど、ウイルス感染対策として抗ウイルス性(ウイルス不活化性)対策は急務となっている。
抗ウイルス性能を有するコーティング剤としては、例えば銀、亜鉛及び銅から選ばれる一種以上の酸化物と、モリブデン酸化物の複塩を含有する抗ウイルス性コーティング剤が知られている(例えば特許文献1参照)。
抗ウイルス性を有する材料としては、例えば光触媒が知られており、例えば光触媒等の抗ウイルス性を有する材料を固着させた布帛が知られている(例えば特許文献1参照)。しかしながら光触媒を使用したコーティング剤はまだ知られていない。
特開2018-172306号公報 特開2017-155368号公報
本発明は、プラスチック材料、成形品、フィルム基材、包装材等の基材に容易に抗ウイルス性を付与可能な紙基材又はプラスチック基材用コーティング剤を提供することにある。
即ち本発明は、バインダー樹脂(A)、光触媒(B)、及び有機溶剤を含有し、前記光触媒(B)が、結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有し、前記結晶性ルチル型酸化チタンが、Cu-Kα線による回折角度2θに対する回折線強度をプロットしたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークの半値全幅が0.65度以下の酸化チタンであり、前記酸化チタン中における前記結晶性ルチル型酸化チタンの含有量が50モル%以上、アナターゼ型酸化チタンの含有量が50モル%未満である光触媒であり、コーティング剤固形分全量に対し、前記光触媒(B)0.5~80質量%含有する紙基材又はプラスチック基材用コーティング剤を提供する。
また本発明は、前記記載のコーティング剤を紙基材及びフィルムにコーティングした紙基材又はプラスチック基材を提供する。
また本発明は、前記記載の紙基材又はプラスチック基材を使用した容器、包装材を提供する。
本発明により、プラスチック材料、成形品、フィルム基材、紙基材、包装材等の基材に、コーティングによって容易に抗ウイルス性を付与できる。
(言葉の定義)
本発明において「部」とは全て「質量部」を示し、「コーティング剤全量」とは、有機溶剤等の揮発性成分をすべて含んだインキの全量を示し、「コーティング剤固形分全量」とは、揮発性成分を含まない、不揮発性成分のみの全量を示す。
(バインダー樹脂(A))
本発明の紙基材又はプラスチック基材用コーティング剤に使用するバインダー樹脂(A)としては、硝化綿、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)やセルロースアセテートブチロネート(CAB)などセルロース系樹脂等の繊維素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂などを挙げることができる。
(繊維素系樹脂)
繊維素系樹脂としては、例えばセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートその他のセルロースエステル樹脂、ニトロセルロース(硝化綿ともいう)、ヒドロキシアルキルセルロース、およびカルボキシアルキルセルロース等が挙げられる。セルロースエステル樹脂はアルキル基を有することが好ましく、当該アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、更にアルキル基が置換基を有していてもよい。
セルロース系樹脂としては、上記のうちセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、およびニトロセルロースが好ましい。特に好ましくはニトロセルロースである。分子量としては重量平均分子量で5,000~200,000のものが好ましく、10,000~50,000が更に好ましい。また、ガラス転移温度が120℃~180℃であるものが好ましい。本発明のポリウレタン樹脂(A)の併用では、耐ブロッキング性、耐擦傷性その他のインキ被膜物性が向上することが期待できる。
ニトロセルロース(硝化綿)は、天然セルロースと硝酸とを反応させて、天然セルロース中の無水グルコピラノース基の6員環中の3個の水酸基を、硝酸基に置換した硝酸エステルとして得られるものが好ましい。
ニトロセルロース(硝化綿)を使用する事で、顔料への高い分散性が得られる事から、特に表刷り用コーティング剤として使用すれば、印刷インキ塗膜の強度を向上させることができ好適である。前記ニトロセルロース(硝化綿)としては、窒素含有量が10~13質量%、平均重合度30~500が好ましく、より好ましくは窒素含有量が10~13質量%、平均重合度45~290である。
ニトロセルロース(硝化綿)の添加量としては、インキ全量に対し0.15~40質量%であることが好ましく、さらに好ましくは1.0~35質量%である。
(ポリアミド樹脂)
ポリアミド樹脂としては、例えば多塩基酸と多価アミンとを重縮合して得ることができる有機溶剤に可溶な熱可塑性ポリアミドである。特に、重合脂肪酸および/またはダイマー酸を含有する酸成分と、脂肪族および/または芳香族ポリアミンの反応物を含むポリアミド樹脂であることが好ましく、更には一級および二級モノアミンを一部含有するものが好ましい。
ポリアミド樹脂の原料で使用される多塩基酸としては、以下に限定されるものではないが、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、スベリン酸、グルタル酸、フマル酸、ピメリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、テレフタル酸、1、4-シクロヘキシルジカルボン酸、トリメリット酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸、重合脂肪酸などが挙げられ、その中でもダイマー酸あるいは重合脂肪酸に由来する構造を主成分(ポリアミド樹脂中に50質量%以上)含有するポリアミド樹脂が好ましい。ここで、重合脂肪酸とは、不飽和脂肪酸脂肪酸の環化反応等により得られるもので、一塩基性脂肪酸、二量化重合脂肪酸(ダイマー酸)、三量化重合脂肪酸等を含むものである。なお、ダイマー酸あるいは重合脂肪酸を構成する脂肪酸は大豆油由来、パーム油由来、米糠油由来など天然油に由来するものを好適に挙げることができ、オレイン酸およびリノール酸から得られるものが好ましい。
多塩基酸には、モノカルボン酸を併用することもできる。併用されるモノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。
多価アミンとしては、ポリアミン、一級または二級モノアミンなど挙げることができる。ポリアミド樹脂に使用されるポリアミンとしてはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルアミノプロピルアミン等の脂肪族ジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミンを挙げることができ、脂環族ポリアミンとしては、シクロヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン等を挙げることができる。また、芳香脂肪族ポリアミンとしてはキシリレンジアミン、芳香族ポリアミンとしてはフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等を挙げることができる。さらに、一級及び二級モノアミンとしては、n-ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミンなどを挙げることができる。
ポリアミド樹脂の添加量としては、インキ全量に対し、0.15~40質量%であることが好ましく、さらに好ましくは1.0~35質量%である。
(ウレタン樹脂)
ウレタン樹脂としては、ポリオールとポリイソシアネートを反応させて得たポリウレタン樹脂であれば特に限定されない。ポリオールとしては例えば、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知のポリオールを用いることができ、1種または2種以上を併用してもよい。例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2ブチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4-ブチンジオール、1,4―ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトールなどの飽和または不飽和の低分子ポリオール類(1)、これらの低分子ポリオール類(1)と、セバシン酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸あるいはこれらの無水物とを脱水縮合または重合させて得られるポリエステルポリオール類(2);環状エステル化合物、例えばポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)等のラクトン類、を開環重合して得られるポリエステルポリオール類(3);前記低分子ポリオール類(1)などと、例えばジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等との反応によって得られるポリカーボネートポリオール類(4);ポリブタジエングリコール類(5);ビスフェノールAに酸化エチレンまたは酸化プロピレンを付加して得られるグリコール類(6);1分子中に1個以上のヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロプル、アクリルヒドロキシブチル等、或いはこれらの対応するメタクリル酸誘導体等と、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はそのエステルとを共重合することによって得られるアクリルポリオール(7)などが挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、ポリウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。例えば、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、1-メチル-2,4-フェニレンジイソシアネート、1-メチル-2,6-フェニレンジイソシアネート、1-メチル-2,5-フェニレンジイソシアネート、1-メチル-2,6-フェニレンジイソシアネート、1-メチル-3,5-フェニレンジイソシアネート、1-エチル-2,4-フェニレンジイソシアネート、1-イソプロピル-2,4-フェニレンジイソシアネート、1,3-ジメチル-2,4-フェニレンジイソシアネート、1,3-ジメチル-4,6-フェニレンジイソシアネート、1,4-ジメチル-2,5-フェニレンジイソシアネート、ジエチルベンゼンジイソシアネート、ジイソプロピルベンゼンジイソシアネート、1-メチル-3,5-ジエチルベンゼンジイソシアネート、3-メチル-1,5-ジエチルベンゼン-2,4-ジイソシアネート、1,3,5-トリエチルベンゼン-2,4-ジイソシアネート、ナフタレン-1,4-ジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、1-メチル-ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、ナフタレン-2,6-ジイソシアネート、ナフタレン-2,7-ジイソシアネート、1,1-ジナフチル-2,2’-ジイソシアネート、ビフェニル-2,4’-ジイソシアネート、ビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、3-3’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4-ジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-シクロペンチレンジイソシアネート、1,3-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,3-ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、これらのジイソシアネート化合物は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
また鎖伸長剤を使用することもできる。鎖伸長剤としては例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミンなどの他、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
また、反応停止を目的とした末端封鎖剤として、一価の活性水素化合物を用いることもできる。かかる化合物としてはたとえば、ジ-n-ブチルアミン等のジアルキルアミン類やエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類があげられる。更に、特にポリウレタン樹脂中にカルボキシル基を導入したいときには、グリシン、L-アラニン等のアミノ酸を反応停止剤として用いることができる。これらの末端封鎖剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
ウレタン樹脂の重量平均分子量は10,000~100,000であることが好ましく、より好ましくは15,000~80,000の範囲である。
また、ウレタン樹脂の添加量としては、インキ全量に対し0.15~40質量%であることが好ましく、さらに好ましくは1.0~35質量%である。
(アクリル樹脂)
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする重合性モノマーが共重合したものであれば特段限定されない。重合性モノマーとしては例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、iso-オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、iso-ノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。重合法も特に限定なく公知の塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合法等で得たものを使用することができる。
アクリル樹脂の重量平均分子量は5,000~200,000であることが好ましく、より好ましくは10,000~100,000の範囲である。
また、アクリル樹脂の添加量としては、インキ全量に対し0.15~40質量%であることが好ましく、さらに好ましくは1.0~35質量%である。
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂としては、アルコールとカルボン酸とを公知のエステル化重合反応を用いて反応させてなるポリエステル樹脂であれば特段限定されない。
アルコールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2ブチル-1,3プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4-ブチンジオール、1,4-ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビド等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。中でも多官能アルコールが好ましい。
カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、オレイン酸、リノール酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。中でも多官能カルボン酸が好ましい。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量は500~6000であることが好ましい。さらに好ましくは1400~5500である
また、ポリエステル樹脂の添加量としては、インキ全量に対し0.15~40質量%であることが好ましく、さらに好ましくは1.0~35質量%である。
(塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂)
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂としては、塩化ビニルと酢酸ビニルが共重合したものであれば、特段限定されない。分子量としては重量平均分子量で5,000~100,000のものが好ましく、10,000~70,000が更に好ましい。塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂の固形分100質量%中、酢酸ビニルモノマー由来の構造は1~30質量%が好ましく、塩化ビニルモノマー由来の構造は70~95質量%であることが好ましい。この場合有機溶剤への溶解性が向上、更に基材への密着性、被膜物性、耐擦傷性等が良好となる。
また有機溶剤への溶解性の観点からビニルアルコール構造由来の水酸基を含むものも好ましい。水酸基価としては20~200mgKOH/gであることが好ましい。また、ガラス転移温度は50℃~90℃であることが好ましい。
また塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂の添加量としては、インキ全量に対し0.15~40質量%であることが好ましく、さらに好ましくは1.0~35質量%である。
(ロジン系樹脂)
ロジン系樹脂は、ロジン骨格を有する樹脂であれば特に限定されないが、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジンエステル、ロジンフェノール、重合ロジンなどが好ましい。軟化点(環球法による)が90~200℃であることが好ましい。
中でも、繊維素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂が好ましい。特にバインダー樹脂を少なくとも二種の樹脂を含有することが好ましい。
好ましくは、ウレタン系樹脂/塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂/繊維素系樹脂、ポリアミド系樹脂/繊維素系樹脂、アクリル系樹脂/繊維素系樹脂から選ばれる組み合わせであり、バインダー樹脂(A)100質量%中、二種の樹脂が合計で80~100質量%含むことが好ましく、さらに好ましくは90~100質量%であることが最も好ましい。
更に、ウレタン系樹脂/塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂/繊維素系樹脂、ポリアミド系樹脂/繊維素系樹脂、アクリル系樹脂/繊維素系樹脂は、それぞれ質量比で95/5~20/80であることが好ましい。より好ましくは質量比で90/10~50/50である。この組み合わせにより、コーティング剤に所望される基本性能である耐摩擦性、耐ブロッキング性、耐熱性、耐油等に優れる。
(硬化剤)
また、バインダー樹脂(A)に硬化剤を併用してもよい。硬化剤としては有機溶剤系のグラビアインキで汎用の硬化剤を使用すればよいが、最もよく使用されるのはイソシアネート系の硬化剤である。
イソシアネート化合物の添加量としては、硬化効率の観点からリキッド印刷インキ固形分に対し0.3質量%~10.0質量%の範囲が好ましく、1.0質量%~7.0質量%であればより好ましい。
バインダー樹脂(A)は、本発明の紙基材用又はプラスチック基材用コーティング剤に対して0.15~50質量%の範囲であることが好ましく、1~40質量%の範囲で使用することが最も好ましい。
(光触媒(B))
光触媒(B)は、結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有する光触媒であって、前記結晶性ルチル型酸化チタンが、Cu-Kα線による回折角度2θに対する回折線強度をプロットしたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークの半値全幅が0.65度以下の酸化チタンであり、前記酸化チタン中における前記結晶性ルチル型酸化チタンの含有量が50モル%以上、アナターゼ型酸化チタンの含有量が50モル%未満である光触媒である。
ルチル型でありかつ結晶性の高い結晶性ルチル型酸化チタンと2価銅化合物とを組み合せて用いることにより、明所及び暗所における抗ウイルス性、明所における有機化合物分解性に優れる光触媒(可視光領域で抗ウイルス性等の光触媒活性を有する可視光応答型光触媒)を得ることができる。また、2価銅化合物は1価銅化合物のように酸化による変色のおそれが少ないため、経時的な変色も抑制することができる。
なお、本発明において、「明所」とは、可視光の存在する箇所のことをいい、「暗所」とは、光の存在しない箇所のことをいう。
ここで、光触媒活性とは、光誘起分解性及び光誘起親水化性から選ばれる少なくとも1種を意味する。光誘起分解性とは、酸化チタンで処理された表面に吸着している有機物を酸化分解する作用であり、光誘起親水化性とは、酸化チタンで処理された表面が水となじみ易い親水性になる作用である。この光誘起親水化性は、光励起によって生成し、拡散してきた正孔により、酸化チタン表面の水酸基が増加することによって起こると考えられる。
また、ウイルスとは、DNAウイルス及びRNAウイルスを意昧するが、細菌に感染するウイルスであるバクテリオファージ(以下、「ファージ」と略記することもある)も包含する。
次に、光触媒(B)の各成分について説明する。
(酸化チタン)
光触媒(B)に用いる酸化チタンは、結晶性ルチル型酸化チタンを含むものである。
本発明において、結晶性ルチル型酸化チタンとは、Cu-Kα線による回折角度2θに対する回折線強度をプロットしたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークの半値全幅が0.65度以下の酸化チタンのことを意味する。
半値全幅が0.65度よりも大きいと、結晶性が悪くなり、暗所における抗ウイルス性が十分に発現しなくなる。この観点から、半値全幅は、好ましくは0.6度以下であり、より好ましくは0.5度以下であり、更に好ましくは0.4度以下であり、より更に好ましくは0.35度である。
酸化チタン中における、結晶性ルチル型酸化チタンの含有量(以下、「ルチル化率」ということがある)は、50モル%以上である。含有量が50モル%以上であると、得られる光触媒の、明所及び暗所における抗ウイルス性が十分なものとなり、また、明所における有機化合物分解性や、特に可視光応答性も十分なものとなる。この観点から、ルチル化率は、好ましくは90モル%以上であり、さらに好ましくは94モル%以上である。このルチル化率は、後述するとおり、XRDによって測定した値である。
上記観点から、酸化チタン中におけるアナターゼ型酸化チタンの含有量(以下、「アナターゼ化率」ということがある)は少ないことが好ましく、アナターゼ化率は、50モル%未満であり、好ましくは10モル%未満であり、より好ましくは7モル%未満であり、更に好ましくは0モル%(すなわち、アナターゼ型酸化チタンを含まない)である。このアナターゼ化率もルチル化率と同様に、XRDによって測定した値である。
酸化チタンの比表面積は、好ましくは1~200m/gである。1m/g以上であると、比表面積が大きいためウイルス、菌及び有機化合物との接触頻度が大きくなり、得られる光触媒の、明所及び暗所における抗ウイルス性や、有機化合物分解性及び抗菌性が優れる。一方、200m/g以下であると、取扱性に優れている。これらの観点から、酸化チタンの比表面積は、より好ましくは3~100m/gであり、更に好ましくは4~70m/gであり、特に好ましくは8~50m/gである。ここで比表面積とは、窒素吸着によるBET法にて測定した値である。
酸化チタンには、気相法で製造されたものと液相法で製造されたものがあり、そのいずれを用いることもできるが、気相法で製造された酸化チタンがより好適である。
気相法は、四塩化チタンを原料として、酸素との気相反応により酸化チタンを得る方法である。気相法で得られた酸化チタンは、粒子径が均一であると同時に、製造時に高温プロセスを経由しているため、結晶性が高いものとなる。その結果、得られる光触媒の、明所及び暗所における抗ウイルス性や、有機化合物分解性及び抗菌性が良好なものとなる。
一方、液相法は、塩化チタン、硫酸チタニルなどの酸化チタン原料を溶解した液を、加水分解または中和して酸化チタンを得る方法である。液相法で製造された酸化チタンは、ルチルの結晶性が低く比表面積が大きくなる傾向にあり、この場合、焼成等を行って最適な結晶性及び比表面積を有する酸化チタンにすればよいが、手間がかかるため、気相法の方がより好適である。
酸化チタンとしては、市販されている酸化チタンをそのまま使用するほうが、触媒調製の工程を考えると有利である。
(2価銅化合物)
光触媒(B)は、2価銅化合物を含む。この2価銅化合物単独では、明所及び暗所における抗ウイルス性、明所における有機化合物分解性、可視光応答性を有しないが、前述した結晶性ルチル型酸化チタンと組み合わせることにより、明所及び暗所における抗ウイルス性、明所における有機化合物分解性、及び可視光応答性が十分に発現する。また、この2価銅化合物は、1価銅化合物と比べて酸化等による変色が少ないため、この2価銅化合物を用いた光触媒は、変色が抑制される。
2価銅化合物には、特に限定はなく、2価銅無機化合物及び2価銅有機化合物の1種又は2種が挙げられる。
2価銅無機化合物としては、硫酸銅、硝酸銅、沃素酸銅、過塩素酸銅、シュウ酸銅、四ホウ酸銅、硫酸アンモニウム銅、アミド硫酸銅及び塩化アンモニウム銅、ピロリン酸銅、炭酸銅からなる2価銅の無機酸塩、塩化銅、フッ化銅及び臭化銅からなる2価銅のハロゲン化物、並びに酸化銅、硫化銅、アズライト、マラカイト及びアジ化銅からなる群から選択される1種又は2種以上が挙げられる。
2価銅有機化合物としては、2価銅のカルボン酸塩が挙げられる。この2価銅のカルボン酸塩としては、蟻酸銅、酢酸銅、プロピオン酸銅、酪酸銅、吉草酸銅、カプロン酸銅、エナント酸銅、カプリル酸銅、ペラルゴン酸銅、カプリン酸銅、ミスチン酸銅、パルミチン酸銅、マルガリン酸銅、ステアリン酸銅、オレイン酸銅、乳酸銅、リンゴ酸銅、クエン酸銅、安息香酸銅、フタル酸銅、イソフタル酸銅、テレフタル酸銅、サリチル酸銅、メリト酸銅、シュウ酸銅、マロン酸銅、コハク酸銅、グルタル酸銅、アジピン酸銅、フマル酸銅、グリコール酸銅、グリセリン酸銅、グルコン酸銅、酒石酸銅、アセチルアセトン銅、エチルアセト酢酸銅、イソ吉草酸銅、β‐レゾルシル酸銅、ジアセト酢酸銅、ホルミルコハク酸銅、サリチルアミン酸銅、ビス(2-エチルヘキサン酸)銅、セバシン酸銅及びナフテン酸銅からなる群から選択される1種又は2種以上が挙げられる。その他の2価銅有機化合物としては、オキシン銅、アセチルアセトン銅、エチルアセト酢酸銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅、フタロシアニン銅、銅エトキシド、銅イソプロポキシド、銅メトキシド、及びジメチルジチオカルバミン酸銅からなる群から選択される1種又は2種以上が挙げられる。
上記2価銅化合物のうち、好ましくは酸化銅、2価銅のハロゲン化物、2価銅の無機酸塩及び2価銅のカルボン酸塩の1種又は2種以上であり、例えば2価銅のハロゲン化物、2価銅の無機酸塩及び2価銅のカルボン酸塩の1種又は2種以上である。
また、2価銅化合物としては、下記一般式(1)で表される2価銅化合物が挙げられる。
Cu(OH)X (1)

一般式(1)において、Xは陰イオンであり、好ましくはCl、Br、I等のハロゲン、CHCOO等のカルボン酸の共役塩基、NO、(SO1/2等の無機酸の共役塩基、又はOHである。
これらの2価銅化合物のうち、より不純物が少なく、経済的な観点から、2価銅無機化合物がより好ましく、酸化銅が更に好ましい。また、上記一般式(1)で表される2価銅化合物も好ましい。2価銅化合物は、無水物であっても水和物であってもよい。
2価銅化合物の銅換算含有量は、前記酸化チタン100質量部に対して、好ましくは0.01~20質量部である。0.01質量部以上であると、明所及び暗所における抗ウイルス性、有機化合物分解性及び抗菌性が良好なものとなる。また、20質量部以下であると、酸化チタン表面が被覆されてしまうことが防止されて光触媒としての機能(有機化合物分解性、抗菌性等)が良好に発現すると共に、少量で抗ウイルス性能を向上することができて経済的である。この観点から、2価銅化合物の銅換算含有量は、酸化チタン100質量部に対して、より好ましくは0.1~20質量部であり、更に好ましくは0.1~15質量部であり、より更に好ましくは0.3~10質量部である。
ここで、この酸化チタン100質量部に対する2価銅化合物の銅換算含有量は、2価銅化合物の原料と酸化チタンの原料との仕込み量から算出することができる。また、この銅換算含有量は、後述するICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析により光触媒を測定することで特定することもできる。
光触媒(B)は、前述のとおり、必須成分として、結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有するが、本発明の目的を阻害しない範囲内において、他の任意成分を含有していてもよい。ただし、光触媒としての機能及び抗ウイルス性能の向上の観点から、光触媒(B)中における当該必須成分の含有量は、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上であり、更に好ましくは99質量%以上であり、更に好ましくは100質量%である。
光触媒(B)は、結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと、2価銅化合物原料とを混合する混合工程を実施することにより、製造することができる。また、この混合工程によって得られた混合物を熱処理する熱処理工程を更に実施して、光触媒を得てもよい。また、銅化合物の水溶液中に酸化チタンを懸濁させて、吸着させることによって、光触媒を得ることもできる。具体的には、光触媒(B)は、特許第5343176号公報に記載の方法により製造できる。
光触媒(B)の一次粒子径は概ね200~400nmの範囲、2次粒子径は概ね3~10μ程度であると、コーティング剤に分散でき且つ抗ウイルス性等の光触媒活性に優れることから好ましい。
なお1次粒子径の測定方法は、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で測定した値である。
光触媒(B)は、抗ウイルス性等の光触媒活性を発現するために、本発明の紙基材用又はプラスチック基材用コーティング剤固形分全量に対し、0.5質量%以上含有することが好ましく、1質量%以上含有することが好ましく、5質量%以上含有することが好ましく、10質量%以上含有することが好ましい。一方、密着性及び耐摩擦性の低下を防ぐために、光触媒(B)は本発明の紙基材用又はプラスチック基材用コーティング剤固形分全量に対し、80質量%以下含有することが好ましく、60質量%以下含有することが好ましく、55質量%以下含有することが好ましく、50質量%以下含有することが好ましく、30質量%以下含有することが好ましく、20質量%以下含有することが最も好ましい。
(有機溶剤(C))
本発明の紙基材用又はプラスチック基材用コーティング剤で使用する有機溶剤(C)としては、特に制限はないが、たとえばトルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150等の芳香族炭化水素系有機溶剤、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル系の各種有機溶剤が挙げられる。また水混和性有機溶剤としてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロハキサノン等のケトン系、エチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、エチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル等のグリコールエーテル系の各種有機溶剤が挙げられる。これらを単独または2種以上を混合しても用いることができる。
尚、印刷時の作業衛生性と包装材料の有害性の両面から、酢酸エチル、酢酸プロピル、イソプロパノール、ノルマルプロパノールなどを使用し、トルエン等の芳香族溶剤やメチルエチルケトン等のケトン系溶剤を使用しない事がより好ましい。
中でもポリウレタン樹脂、硝化綿への溶解性の観点から、イソプロピルアルコール/酢酸エチル/メトキシプロパノールの混合液がより好ましい。また、乾燥調整のためにインキ全量の10質量%未満であればグリコールエーテル類を添加する事も出来る。
本発明の紙基材用又はプラスチック基材用コーティング剤は、その他、コーティング剤に所望される基本物性を付与することを目的として、ワックス、キレート架橋剤、体質顔料、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤なども含むこともできる。
(紙基材用又はプラスチック基材用コーティング剤の製造方法)
本発明の紙基材用又はプラスチック基材用コーティング剤は、前記バインダー樹脂(A)や光触媒(B)等を有機溶剤中に溶解及び/又は分散することにより製造することができる。分散機としては、一般に使用される、例えば、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。
本発明の紙基材用又はプラスチック基材用コーティング剤は、一般的なコーティング方法によりプラスチック材料、成形品、フィルム基材、包装材等の基材にコーティング可能である、具体的には、グラビアロールコーティング(グラビアコーター)、フレキソロールコーティング(フレキソコーター)、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等が採用できる。中でも工業的観点から、グラビアロールコーティング(グラビアコーター)、フレキソロールコーティング(フレキソコーター)を使用することが好ましい。
また、基材を本発明のオーバーコーティング剤に含浸させることにより、基材上にコーティング層を設けてもよい。
本発明のコーティング剤を、グラビアコーターを用いてコーティングする場合、その粘度が離合社製ザーンカップ#3を使用し25℃にて12~30秒であればよく、より好ましくは15~20秒である。
また、本発明のコーティング剤を、フレキソコーターを用いてコーティングする場合、その粘度が離合社製ザーンカップ#4を使用し25℃にて7~40秒であればよく、より好ましくは10~20秒である。
本発明のコーティング層の厚みは、用途や基材の材質により適宜調整できるが、例えば0.1μm~5μmの範囲が好ましく、0.3μm~3μmの範囲が好ましく、0.5~2μmの範囲が好ましい。
本発明の紙基材用又はプラスチック基材用コーティング剤は分散性に優れていることから、該コーティング剤を用いて形成されたコーティング層において、光触媒(B)の一部が露出される構造となりやすい。そのため、本発明におけるコーティング層は抗ウイルス機能を最大限に発揮することができる。
(本発明の紙基材用又はプラスチック基材用コーティング剤)
本発明で使用する基材は、紙基材またはプラスチック基材である。
(紙基材)
紙基材は、木材パルプ等の製紙用天然繊維を用いて公知の抄紙機にて製造されるが、その抄紙条件は特に規定されるものではない。製紙用天然繊維としては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ等の木材パルプ、マニラ麻パルプ、サイザル麻パルプ、亜麻パルプ等の非木材パルプ、およびそれらのパルプに化学変性を施したパルプ等が挙げられる。パルプの種類としては、硫酸塩蒸解法、酸性・中性・アルカリ性亜硫酸塩蒸解法、ソーダ塩蒸解法等による化学パルプ、グランドパルプ、ケミグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ等を使用することができる。
また、市販の各種上質紙やコート紙、裏打ち紙、含浸紙、ボール紙や板紙などを用いることもできる。
(プラスチック基材)
プラスチック基材は、プラスチック材料、成形品、フィルム基材、包装材等の基材に使用される基材であればよいが、特に、グラビアロールコーティング(グラビアコーター)、フレキソロールコーティング(フレキソコーター)を使用する場合には、グラビア・フレキソ印刷分野で通常使用されているフィルム基材をそのまま使用できる。
具体的には例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと称する場合がある)、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ乳酸等のポリヒドロキシカルボン酸、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)等の脂肪族ポリエステル系樹脂などの生分解性樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂又はそれらの混合物等の熱可塑性樹脂よりなるフィルムやこれらの積層体が挙げられるが、中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンからなるフィルムが好適に使用できる。これらの基材フィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよく、その製法も限定されるものではない。また、基材フィルムの厚さも特に限定されるものではないが、通常は1~500μmの範囲であればよい。また基材フィルムにはコロナ放電処理がされていることが好ましく、アルミ、シリカ、アルミナ等が蒸着されていてもよい。
また基材は、前記紙基材やフィルム基材をドライラミネート法や無溶剤ラミネート法、あるいは押出ラミネート法により積層させた積層構造を有する積層体(積層フィルムと称される場合もある)であっても構わない。また該積層体の構成に、金属箔、金属蒸着膜層、無機蒸着膜層、酸素吸収層、アンカーコート層、印刷層、ニス層等があっても構わない。このような積層体は用途に応じて多種存在するが、現在食品包装用や生活用品に最も多く使用される構成は、紙基材やフィルム基材を(F)と表現し、印刷やニス層を(P)と表現し、金属箔や蒸着膜層の金属あるいは無機層を(M)と表現し、接着剤層を(AD)、ホットメルト接着剤やヒートシール剤やコールドシール剤を(AD2)と表現すると、積層フィルムの具体的態様として以下の構成が考えられるが、もちろんこれに限定されることはない。
(F)/(P)/(F)
(F)/(P)/(AD)/(F)、
(F)/(P)/(AD)/(F)/(AD)/(F)、
(F)/(P)/(AD)/(M)/(AD)/(F)、
(F)/(P)/(AD)/(M)、
(F)/(P)/(AD)/(F)/(AD)/(M)/(AD)/(F)、
(F)/(P)/(AD)/(M)/(AD)/(F)/(AD)/(F)、
(M)/(P)/(AD)/(M)、
(M)/(P)/(AD)/(F)/(AD)/(M)、
(P)/(F)
(P)/(F)/(P)
(P)/(F)/(AD)/(F)、
(P)/(F)/(AD)/(F)/(AD)/(F)
(F)/(P)/(F)/(AD2)
(F)/(P)/(AD2)
(F)/(P)/(AD)/(M)/(AD2)
前記単層の紙基材あるいはフィルム基材、積層構造を有する積層体は、業界や使用方法等により、機能性フィルム、軟包装フィルム、シュリンクフィルム、生活用品包装用フィルム、医薬品包装用フィルム、食品包装用フィルム、、カートン、ポスター、チラシ、CDジャケット、ダイレクトメール、パンフレット、化粧品や飲料、医薬品、おもちゃ、機器等のパッケージ等に用いられる上質紙、コート紙、アート紙、模造紙、薄紙、厚紙等の紙、各種合成紙等様々な表現がなされているが、本発明の紙基材又はプラスチック基材用コーティング剤は特に限定なく使用することができる。この際本発明の紙基材又はプラスチック基材用コーティング剤は、これらを使用した容器や包装材とした際に最表層となる面にコーティングされることが好ましい。
前述の通り、積層構造を有する積層体として、紙基材やフィルム基材には印刷層が施された印刷層を有する積層体も多いが、本発明の紙基材用又はプラスチック基材用コーティング剤は、該印刷インキ層を有する基材上にコーティングすることももちろんでき好ましい。
印刷インキ層に使用される印刷インキには特に限定はなく、オフセット平版インキ、グラビア印刷インキ、フレキソ印刷インキ、インクジェット印刷インキ等の印刷層上にコーティングは可能である。特に、コーティング方法つぃてグラビアロールコーティング(グラビアコーター)、フレキソロールコーティング(フレキソコーター)を使用する場合には、インライン印刷が可能であることからグラビア印刷インキやフレキソ印刷インキと組み合わせることが、工業的に好ましい。
グラビア印刷インキやフレキソ印刷インキ(以後リキッド印刷インキと称する)は、バインダー樹脂、顔料、溶剤、必要に応じて添加剤からなる印刷インキから形成される。
(リキッド印刷インキ)
グラビア印刷インキやフレキソ印刷インキとして使用されるリキッド印刷インキは、有機溶剤を主溶媒とする有機溶剤型リキッド印刷インキと、水を主溶媒とする水性リキッド印刷インキとに大別される。
(有機溶剤型リキッド印刷インキ)
有機溶剤型リキッド印刷インキは、本発明で使用する変性顔料の他、後述のバインダー樹脂、有機溶剤媒体、分散剤、消泡剤等を添加した混合物を分散機で分散し、顔料分散体を得る。得られた顔料分散体に樹脂、水性媒体、必要に応じてレベリング剤等の添加剤を加え、撹拌混合することで得られる。分散機としてはグラビア、フレキソ印刷インキの製造に一般的に使用されているビーズミル、アイガーミル、サンドミル、ガンマミル、アトライター等を用いて製造される。
有機溶剤型リキッド印刷インキのインキ粘度は、グラビアインキとして使用する場合であっても、フレキソインキとして使用する場合であっても、顔料の沈降を防ぎ、適度に分散させる観点から10mPa・s以上、インキ製造時や印刷時の作業性効率の観点から1000mPa・s以下の範囲であることが好ましい。尚、上記粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定された粘度である。
インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、バインダー樹脂、顔料、有機溶剤などを適宜選択することにより調整することができる。また、インキ中の顔料の粒度および粒度分布を調節することによりインキの粘度を調整することもできる。
(印刷物の作成)
有機溶剤型リキッド印刷インキは、各種の基材と密着性に優れ、紙、合成紙、熱可塑性樹脂フィルム、プラスチック製品、鋼板等への印刷に使用することができるものであり、電子彫刻凹版等によるグラビア印刷版を用いたグラビア印刷用、又は樹脂版等によるフレキソ印刷版を用いたフレキソ印刷用のインキとして有用である。
本発明の有機溶剤型リキッド印刷インキを用いてグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式から形成される印刷インキの膜厚は、例えば10μm以下、好ましくは5μm以下である。
(バインダー樹脂)
有機溶剤型リキッド印刷インキ用のバインダー樹脂としては特に限定なく、一般の特に限定なく一般のリキッド印刷インキに使用される、ポリウレタン系樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレン樹脂、ダンマル樹脂、スチレン-マレイン酸共重合樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、ポリアセタール樹脂、石油樹脂、およびこれらの変性樹脂などを挙げることができる。これらの樹脂は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
上記の中でも、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン-マレイン酸共重合樹脂、ダンマル樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂および環化ゴムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含むバインダー樹脂が好ましい。
バインダー樹脂の含有量は、本発明の水性リキッド印刷インキの固形分換算で固形分換算で1~50質量%の範囲であり、更に好ましくは2~40質量%である。
(有機溶剤)
有機溶剤型リキッド印刷インキ用の有機溶剤としては、特に制限はないが、たとえばトルエン、キシレン、ソルベッソ#100、ソルベッソ#150等の芳香族炭化水素系有機溶剤、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ギ酸エチル、プロピオン酸ブチル等のエステル系の各種有機溶剤が挙げられる。また水混和性有機溶剤としてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロハキサノン等のケトン系、エチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、エチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、モノブチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、ジエチレングリコール(モノ,ジ)エチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール(モノ,ジ)メチルエーテル等のグリコールエーテル系の各種有機溶剤が挙げられる。これらを単独または2種以上を混合しても用いることができる。
有機溶剤型リキッド印刷インキでは更に必要に応じて、ワックス、キレート系架橋剤、体質顔料、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤なども含むこともできる。
(着色剤)
有機溶剤型リキッド印刷インキは、着色剤として前記変性顔料を使用するが、そのほかに、一般のインキ、塗料、及び記録剤などに使用されている有機顔料及び/または無機顔料を併用してもよい。
有機顔料としては、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系、カーボンブラック系などの顔料が挙げられる。また、例えば、カーミン6B、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、カーミンFB、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、インダンスロンブルー、ピリミジンイエロー、チオインジゴボルドー、チオインジゴマゼンタ、ペリレンレッド、ペリノンオレンジ、イソインドリノンイエロー、アニリンブラック、ジケトピロロピロールレッド、昼光蛍光顔料等が挙げられる。また未酸性処理顔料、酸性処理顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、リトボン、アンチモンホワイト、石膏などの白色無機顔料が挙げられる。無機顔料の中では酸化チタンの使用が特に好ましい。酸化チタンは白色を呈し、着色力、隠ぺい力、耐薬品性、耐候性の点から好ましく、印刷性能の観点から該酸化チタンはシリカおよび/またはアルミナ処理を施されているものが好ましい。
白色以外の無機顔料としては、例えば、アルミニウム粒子、マイカ(雲母)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、ジルコンが挙げられ、アルミニウムは粉末またはペースト状であるが、取扱い性および安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィングまたはノンリーフィングを使用するかは輝度感および濃度の点から適宜選択される。
前記顔料の平均粒子径は、10~200nmの範囲にあるものが好ましくより好ましくは50~150nm程度のものである。
前記顔料は、水性リキッド印刷インキの濃度・着色力を確保するのに充分な量、すなわちインキの総質量に対して1~60質量%、インキ中の固形分質量比では10~90質量%の割合で含まれることが好ましい。また、これらの顔料は単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
(水性リキッド印刷インキ)
水性リキッド印刷インキは、本発明で使用する変性顔料の他、後述のバインダー樹脂、水性媒体、分散剤、消泡剤等を添加した混合物を分散機で分散し、顔料分散体を得る。得られた顔料分散体に樹脂、水性媒体、必要に応じてレベリング剤等の添加剤を加え、撹拌混合することで得られる。分散機としてはグラビア、フレキソ印刷インキの製造に一般的に使用されているビーズミル、アイガーミル、サンドミル、ガンマミル、アトライター等を用いて製造される
水性リキッド印刷インキを、フレキソインキとして使用する場合、その粘度が離合社製ザーンカップ#4を使用し25℃にて7~25秒であればよく、より好ましくは10~20秒である。また、得られたフレキソインキの25℃における表面張力は、25~50mN/mが好ましく、33~43mN/mであればより好ましい。インキの表面張力が低いほどフィルム等の基材へのインキの濡れ性は向上するが、表面張力が25mN/mを下回るとインキの濡れ広がりにより、中間調の網点部分で隣り合う網点どうしが繋がり易い傾向にあり、ドットブリッジと呼ばれる印刷面の汚れの原因と成りやすい。一方、表面張力が50mN/mを上回るとフィルム等の基材へのインキの濡れ性が低下し、ハジキの原因と成り易い。
一方で水性リキッド印刷インキを、グラビアインキとして使用する場合、その粘度が離合社製ザーンカップ#3を使用し25℃にて7~25秒であればよく、より好ましくは10~20秒である。また、得られたグラビアインキの25℃における表面張力は、フレキソインキと同様に25~50mN/mが好ましく、33~43mN/mであればより好ましい。インキの表面張力が低いほどフィルム等の基材へのインキの濡れ性は向上するが、表面張力が25mN/mを下回るとインキの濡れ広がりにより、中間調の網点部分で隣り合う網点どうしが繋がり易い傾向にあり、ドットブリッジと呼ばれる印刷面の汚れの原因と成りやすい。一方、表面張力が50mN/mを上回るとフィルム等の基材へのインキの濡れ性が低下し、ハジキの原因と成り易い。
(印刷物の作成)
水性リキッド印刷インキは、各種の基材と密着性に優れ、紙、合成紙、熱可塑性樹脂フィルム、プラスチック製品、鋼板等への印刷に使用することができるものであり、電子彫刻凹版等によるグラビア印刷版を用いたグラビア印刷用、又は樹脂版等によるフレキソ印刷版を用いたフレキソ印刷用のインキとして有用である。
本発明の水性リキッドインキを用いてグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式から形成される印刷インキの膜厚は、例えば10μm以下、好ましくは5μm以下である。
(バインダー樹脂)
水性リキッド印刷インキ用のバインダー樹脂としては特に限定なく、一般の水性リキッド印刷インキに使用される、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸-アクリロニトリル共重合体、アクリル酸カリウム-アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル系重合体エマルジョン、ポリエステル系ウレタンディスパージョン、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体などのアクリル共重合体;スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-α-メチルスチレン-アクリル酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体などのスチレン-アクリル酸樹脂;スチレン-マレイン酸;スチレン-無水マレイン酸;ビニルナフタレン-アクリル酸共重合体;ビニルナフタレン-マレイン酸共重合体;酢酸ビニル-エチレン共重合体、酢酸ビニル-脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル-マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル-クロトン酸共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びこれらの塩を使用することができる。これらのバインダ―樹脂は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
なかでも、前記バインダー樹脂としては、アクリル樹脂またはウレタン樹脂を使用することが、入手しやすく好ましく、特にアクリル酸エステル系重合体エマルジョン、ポリエステル系ウレタンディスパージョンが好ましい。
前記バインダー樹脂は、本発明の水性リキッド印刷インキの固形分換算で5~50質量%であることが好ましい。5質量%以上であれば、インキ塗膜強度が低下することもなく、基材密着性、耐水摩擦性等も良好に保たれる。反対に50質量%を以下であれば、着色力が低下する事が抑制でき、また高粘度となる事が避けられ、作業性が低下することもない。中でも5~40質量%であることがなお好ましく、5~20質量%であることが最も好ましい。
(水性媒体)
水性リキッド印刷インキ用の水性媒体としては、例えば、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール及びイソプロパノール等のアルコール溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム溶剤などが挙げられる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。また、水性媒体としては、安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、または、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみが特に好ましい。
水性リキッド印刷インキは、その他、前述の着色剤、体質顔料、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤なども含むこともできる。中でも耐摩擦性、滑り性等を付与するためのオレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等の脂肪酸アミド類及び印刷時の発泡を抑制するためのシリコン系、非シリコン系消泡剤及び顔料の濡れを向上させる各種分散剤等が有用である。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。以下、「部」及び「%」は、いずれも質量基準によるものとする。
なお、本発明におけるGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による重量平均分子量(ポリスチレン換算)の測定は東ソー(株)社製HLC8220システムを用い以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR-Nを4本使用。
カラム温度:40℃。
移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。
流速:1.0ml/分。
試料濃度:0.4質量%。
試料注入量:100マイクロリットル。
検出器:示差屈折計。
粘度はトキメック社製B型粘度計で25℃において測定した。
ワックスの酸価は、ワックス固形分1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数を示すものであり、各々乾燥させた樹脂ワックスを、JISK2501に準じた水酸化カリウム・エタノール溶液による電位差滴定から算出した。
(ニトロセルロース樹脂溶液Nの調整)
工業用硝化綿L1/8(ニトロセルロース、固形分30%、JIS K-6703により溶液濃度25.0%における粘度1.6~2.9%品 太平化学製品株式会社製)37.5部に、イソプロピルアルコール/酢酸エチル/酢酸ノルマルプロピル/メチルシクロヘキサン(重量比で25/25/13/10の比率)の混合液を62.5部加え、充分混合しニトロセルロース樹脂溶液Nを作製した。
(セルロースエステル樹脂溶液C1の調整)
セルロースアセテートプロピオネートCAP482-0.5(Eastman Chemical社製)20部に、イソプロピルアルコール/酢酸エチル/酢酸ノルマルプロピル/メチルシクロヘキサン(重量比で25/25/13/10の比率)の混合液を80部加え、充分混合しセルロースエステル樹脂溶液C1を作製した。
(セルロースエステル樹脂溶液C2の調整)
セルロースアセテートブチロネートCAB381-0.5(Eastman Chemical社製)20部に、イソプロピルアルコール/酢酸エチル/酢酸ノルマルプロピル/メチルシクロヘキサン(重量比で25/25/13/10の比率)の混合液を80部加え、充分混合しセルロースエステル樹脂溶液C2を作製した。
(ダイマー酸変性ポリアミド樹脂溶液Paの調製)
攪拌機、温度計、環流冷却器および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、ダイマー酸(ハリダイマー270S;ハリマ化成(株)製)100部、トール油脂肪酸(ハートールFA-1;ハリマ化成(株)製)1部、セバシン酸5部、エチレンジアミン10部、ヘキサメチレンジアミン5部、及びトリフェニルホスフィン0.24部を入れ、系内を窒素雰囲気とし、さらに、窒素気流下均一化の攪拌しながら200℃までゆっくりと昇温する。続いて攪拌しながら200℃にて5時間脱水縮合を行い、固形分20%、軟化点123℃、アミン価2、酸価8、数平均分子量10,000のトール脂肪酸由来のダイマー酸変性ポリアミド樹脂溶液Paを得た。
(ポリウレタン樹脂溶液Puの調製)
攪拌機、温度計、還流冷却器および窒素ガス導入管を備えた四つロフラスコにアジピン酸とネオペンチルグリコールから得られるMn2,000のポリエステルポリオール(DIC製:ポリライトOD-X-2044)162.58部とポリプロピレングリコール(三井化学製:アクトコールD-1000)40.65部、イソホロンジイソシアネート66.23部、酢酸エチル50部、DICNATE 425(DIC製)0.03部を仕込み、窒素気流下に75℃で3時間反応させた。その後、数平均分子量(Mn)160.3の2-ブチル-2-エチルプロパンジオール2.17部を加え、更に75℃で3時間反応させた。反応終了後、酢酸ノルマルプロピル200部を加え、反応溶液を希釈した。反応液を45℃以下に冷却した後、イソプロピルアルコール200部を加えた。反応液を約35~40℃に保ち、イソホロンジアミン23.53部を酢酸エチル100部に溶解して滴下し、攪枠下に50℃で3時間反応させた。その後、シクロヘキシルアミン4.84部を添加し、攪枠下に50℃で30分反応させた。最後に酢酸エチル150部を加え、不揮発分30.0%、ガードナー粘度V(25℃)、Mw40,000のポリウレタン樹脂溶液(Pu)を得た。
(アクリル系樹脂溶液Acの調整)
固形アクリル樹脂(三菱ケミカル(株)製ダイヤナールBR-90)を酢酸エチルにて攪拌溶解して30%溶液とし、これをアクリル系樹脂溶液Acとした。
(塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂溶液Evの調整)
水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(樹脂モノマー組成が質量%で塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=92/3/5、水酸基価(mgKOH)=64)を酢酸エチルで25%溶液とし、これを塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂溶液Evとした。
<光触媒の調製>
まず、使用する酸化チタン原料(昭和電工セラミックス株式会社製)について、次のとおり性状を測定した。
(BET比表面積)
酸化チタン原料のBET比表面積は、株式会社マウンテック製の全自動BET比表面積測定装置「Macsorb,HM model-1208」を用いて測定した。
(酸化チタン原料中のルチル含有量(ルチル化率)及び結晶性(半値全幅))
酸化チタン原料中におけるルチル型酸化チタンの含有量(ルチル化率)及び結晶性(半値全幅)は、粉末X線回折法により測定した。
すなわち、乾燥させた酸化チタン原料について、測定装置としてPANalytical社製「X’pertPRO」を用い、銅ターゲットを用い、Cu-Kα1線を用いて、管電圧45kV、管電流40mA、測定範囲2θ=20~100deg、サンプリング幅0.0167deg、走査速度3.3deg/minの条件でX線回折測定を行った。
ルチル型結晶に対応するピーク高さ(Hr)、ブルッカイト型結晶に対応するピーク高さ(Hb)、及びアナターゼ型結晶に対応するピーク高さ(Ha)を求め、以下の計算式により、酸化チタン中におけるルチル型酸化チタンの含有量(ルチル化率)を求めた。
ルチル化率(モル%)={Hr/(Ha+Hb+Hr)}×100
また、酸化チタン中における、アナターゼ型酸化チタンの含有量(アナターゼ化率)及びブルッカイト型酸化チタンの含有量(ブルッカイト化率)を、それぞれ以下の計算式により求めた。
アナターゼ化率(モル%)={Ha/(Ha+Hb+Hr)}×100
ブルッカイト化率(モル%)={Hb/(Ha+Hb+Hr)}×100
上記X線回折測定によって得られたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークを選択し、半値全幅を測定した。
(一次粒子径)
平均1次粒子径(DBET)(nm)は、BET1点法により、酸化チタンの比表面積S(m/g)を測定し、下式
DBET=6000/(S×ρ)
より算出した。ここでρは酸化チタンの密度(g/cm)を示す。
使用した酸化チタン原料の測定結果を表1に示す。
Figure 0007131722000001
(製造例1)
蒸留水100mLに6g(100質量部)の酸化チタン原料(昭和電工セラミックス株式会社製)を懸濁させ、0.0805g(銅換算で0.5質量部)のCuCl・2HO(関東化学株式会社製)を添加して、10分攪拌した。pHが10になるように、1mol/Lの水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製)水溶液を添加し、30分間攪拌混合を行ってスラリーを得た。このスラリーをろ過し、得られた粉体を純水で洗浄し、80℃で乾燥し、ミキサーで解砕し、試料(光触媒)を得た。
得られた試料(光触媒)をフッ酸溶液中で加熱して全溶解し、抽出液をICP発光分光分析により定量した。その結果、酸化チタン100質量部に対して、銅イオンが0.5質量部であった。すなわち、仕込みの銅イオン(CuCl・2HO由来)の全量が酸化チタン表面に担持されていた。
製造例1により得られた試料(光触媒)を以下の方法により分析した。
(ルチル型酸化チタンの含有量(ルチル化率)及び結晶性(半値全幅))
製造例1により得られた試料(光触媒)について、酸化チタン中におけるルチル型酸化チタンの含有量(ルチル化率)及び結晶性(半値全幅)を、粉末X線回折法により測定した。
すなわち、乾燥させた光触媒を、乳鉢で擦り潰した粉末を試料とした。この試料について、測定装置としてPANalytical社製「X’pertPRO」を用い、銅ターゲットを用い、Cu-Kα1線を用いて、管電圧45kV、管電流40mA、測定範囲2θ=20~100deg、サンプリング幅0.0167deg、走査速度3.3deg/minの条件でX線回折測定を行った。
ルチル型結晶に対応するピーク高さ(Hr)、ブルッカイト型結晶に対応するピーク高さ(Hb)、及びアナターゼ型結晶に対応するピーク高さ(Ha)を求め、以下の計算式により、酸化チタン中におけるルチル型酸化チタンの含有量(ルチル化率)を求めた。
ルチル化率(モル%)={Hr/(Ha+Hb+Hr)}×100
上記X線回折測定によって得られたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークを選択し、半値全幅を測定した。
(2価銅化合物の同定)
製造例1により得られた試料(光触媒)中に存在する2価銅化合物を、上記の測定装置及び測定条件にて、X線回折測定で同定した。結果を表2に示した。
Figure 0007131722000002
〔実施例及び比較例〕
表3に示す配合に従い、バインダー樹脂、光触媒、及び有機溶剤をビーズミルにて均一に混合しコーティング剤組成物を得た。
<コーティング層を有する積層体の作製>
〔グラビアコーティング作成〕
得られた実施例及び比較例のコーティング剤の粘度を、表 に記載の混合溶剤A~Dのいずれかによりザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、版深35μmグラビア版を備えたグラビア校正機により、実施例1~4は2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)に、実施例5~9はポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)に、実施例10~ はコートボール紙に印刷した積層体を1日放置し、評価用積層体とした。
〔フレキソコーティング作成〕
得られた実施例及び比較例のコーティング剤の粘度を表3に記載の混合溶剤A~Dのいずれかによりザーンカップ#3(離合社製)で20秒(25℃)に調整し、120線/cmアニロックスロールを備えたフレキソ校正機により、コートボール紙及びPETフィルムへ印刷した積層体を1日放置し、評価用積層体とした。
Figure 0007131722000003
表3中、数字は部である。
得られた積層体(コーティング層を有する基材)を用い、密着性、耐摩擦性、抗ウイルス性の評価を行った。
〔評価項目1:密着性〕
印刷面にセロハンテープ(ニチバン製12mm幅)を貼り付け、これを急速に剥がした
ときの印刷皮膜の外観の状態を次の5段階で目視判定した。
コートボール紙へ印刷した場合
5:紙が剥け、コート剤層間の剥離がない
4:紙が剥け、コート剤層間の剥離が25未満
3:紙が剥け、コート剤層間の剥離が25-75%
2:紙が剥け、コート剤層間の剥離が75%以上
1:紙が剥けない
フィルムへ印刷した場合
5:フィルムからコート剤が剥離しない
4:コート剤剥離が25%未満
3:コート剤剥離が25-50%
2:コート剤剥離が50-75%
1:コート剤剥離が75-100%
〔評価項目2:耐摩擦性〕
作製した印刷物を堅牢型学振試験機を用いて耐摩擦性を評価した。摩擦子はコピー用紙を使用し、500gの荷重、100往復させたあとの印刷物表面の状態を次の5段階で目視判定した。
5:印刷表面が変化していない
4:印刷物表面の傷が少ない
3:印刷物表面の傷が多い
2:コート剤の一部が剥がれ、基材が見えている
1:コート剤が剥がれ、基材のみになっている
(評価項目3 抗ウイルス性の評価)
上記で得られた評価用印刷物について、抗ファージウイルス試験(JIS R1756を参照)を実施した。
1)光照射条件は、白色蛍光灯の光をN113フィルターによって紫外線をカットし、照度1000ルクスとした。
2)5cm×5cmの評価用印刷物に濃度既知の100μLのQβファージ溶液を垂らした後、5cm×5cmのガラス板で挟んだ。
3)2時間光照射したサンプルを、SCDLP液で回収し、適度に希釈したものを大腸菌と感染させ、寒天培地に塗布し、培養後のコロニー数をカウントすることで評価した。抗ウイルス性はQβファージの不活化度で評価し、不活化度-2~-5を抗ウイルス性有と評価した。
不活化度が-1が90%、不活化度が-2が99%、不活化度が-3が99.9%不活化していることになり、抗ウイルス性が高いことを示す。検出限界は不活化度-5である。
実施例及び比較例の組成物を用いた積層体の評価結果を表4~表6に示す。
なお空欄は未配合を表す。
Figure 0007131722000004
Figure 0007131722000005
Figure 0007131722000006
表中の原料名は次の通りである。
塩素化ポリオレフィン溶液Ep:スーパークロン 360T(日本製紙株式会社製)
疎水性シリカ:サイリシア 350D(富士シリシア化学株式会社製)
ワックス1:三井ハイワックス 220MP(三井化学株式会社製)
ワックス2:アマイドAP-1(三菱化学株式会社製)
可塑剤1:エポサイザー W-100EL(DIC株式会社製)
可塑剤2:ATBC
キレート剤:オルガチックス TC-100(マツモトファインケミカル株式会社製)
ポリエステル:バーノックD-50-75(DIC株式会社製)
以上の結果から、本発明のコーティング剤は、簡便な方法により、すなわち、紙基材又はプラスチック基材に塗布するだけで、これら基材に良好な抗ウイルス性を付与することができ、抗ウイルス性基材、包装材、容器等を提供できることが明らかとなった。また、本発明のコーティング剤は、密着性及び耐摩耗性を保持しつつ、十分な抗ウイルス性を発現することができる。

Claims (4)

  1. バインダー樹脂(A)、光触媒(B)、及び有機溶剤を含有し、
    前記光触媒(B)が、結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有し、
    前記結晶性ルチル型酸化チタンが、Cu-Kα線による回折角度2θに対する回折線強度をプロットしたX線回折パターンにおいて、ルチル型酸化チタンに対応する最も強い回折ピークの半値全幅が0.65度以下の酸化チタンであり、
    前記酸化チタン中における前記結晶性ルチル型酸化チタンの含有量が50モル%以上、アナターゼ型酸化チタンの含有量が50モル%未満である光触媒であり、
    コーティング剤固形分全量に対し、前記光触媒(B)0.5~80質量%含有し、
    前記バインダー樹脂(A)が、ウレタン系樹脂/塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂/セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂/セルロース系樹脂、アクリル系樹脂/セルロース系樹脂から選ばれる組み合わせである
    ことを特徴とする、紙基材又はプラスチック基材用コーティング剤。
  2. 請求項1に記載のコーティング剤を紙基材及びフィルムにコーティングした紙基材又はプラスチック基材。
  3. 前記紙基材又はプラスチック基材が、印刷インキ層を更に有する請求項2に記載の紙基材又はプラスチック基材。
  4. 請求項2又は3に記載の紙基材又はプラスチック基材を使用した容器、包装材。
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