JP7129038B2 - トナー用結着樹脂組成物 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、中心金属が五配位構造又は六配位構造をとることのできる、金属フタロシアニン又は金属フタロシアニン誘導体と、前記金属フタロシアニン又は金属フタロシアニン誘導体の中心金属に配位可能なn-電子供与性化合物と、を少なくとも含有することを特徴とする顔料分散剤が記載されている。当該顔料分散剤によれば、顔料を分散媒中で容易に微分散させることができると記載されている。
その他、特許文献2には、広範囲の樹脂との相溶性に優れ、かつ優れた顔料分散能を有する微粒子粉末分散性化合物を提供するとして、特定構造のポリアリルアミン誘導体が記載されている。また、特許文献3には、顔料分散剤として、ポリアリルアミン誘導体が記載されている。
本発明は、トナーの優れた保存性、及び優れた顔料分散性を示す、トナー用結着樹脂組成物、当該結着樹脂組成物を含有する静電荷像現像用トナー、当該結着樹脂組成物の製造方法、及び当該トナーの製造方法等に関する。
〔1〕酸基を有する非晶性ポリエステル系樹脂(A)とポリアルキレンイミンとを縮合させて得られる樹脂組成物(A-P)を含有する、トナー用結着樹脂組成物。
〔2〕前記〔1〕に記載の結着樹脂組成物と着色剤とを含有する、静電荷像現像用トナー。
〔3〕工程1:酸基を有する非晶性ポリエステル系樹脂(A)とポリアルキレンイミンとを縮合させて樹脂組成物(A-P)を得る工程を含む、トナー用結着樹脂組成物の製造方法。
〔4〕工程A:〔3〕に記載の樹脂組成物の製造方法により得られた前記樹脂組成物(A-P)、及び着色剤を含むトナー原料を溶融混練する工程、を含む、静電荷像現像用トナーの製造方法。
本発明トナー用結着樹脂組成物(以下、単に「結着樹脂組成物」ともいう。)は、酸基を有する非晶性ポリエステル系樹脂(A)(以下、単に「樹脂(A)」ともいう。)とポリアルキレンイミンとを縮合させて得られる樹脂組成物(A-P)(以下、単に「樹脂組成物(A-P)」ともいう。)を含有する。
当該結着樹脂組成物によれば、優れた保存性を示すトナーが得られ、更には、優れた顔料分散性が示される。
樹脂組成物(A-P)は、その構造中にポリアルキレンイミンに由来する部分を含んでおり、着色剤の分散剤として働くことで、着色剤が結着樹脂組成物中で微分散化されたと考えられる。また、樹脂組成物(A-P)によって、着色剤が分散されるため、分散剤の添加による可塑化が進行せず、高い保存性が得られ、前述の高い分散性と両立できる。
上記の「吸熱の最大ピーク温度」とは、実施例に記載する測定方法の条件下で観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度のことを指す。
樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。
「ポリエステル系樹脂」とは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステル樹脂を含んでいてもよい。変性されたポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂がウレタン結合で変性されたウレタン変性ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂がエポキシ結合で変性されたエポキシ変性ポリエステル樹脂、及びポリエステル成分と付加重合系樹脂成分を有する複合樹脂が挙げられる。
「ビスフェノールA」は、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンを意味する。
「カルボン酸化合物」としては、例えば、カルボン酸、それらの無水物及び炭素数1以上3以下のアルキルエステルが挙げられる。
本発明で用いる樹脂組成物(A-P)は、酸基を有する非晶性ポリエステル系樹脂(A)とポリアルキレンイミンとを縮合させて得られる。前述のとおり、樹脂組成物(A-P)中には、例えば、樹脂(A)とポリアルキレンイミンとの反応物及びポリアルキレンイミン由来の副生成物、並びに未反応の樹脂(A)及び未反応の残存ポリアルキレンイミン等が含まれる。そして、前記樹脂(A)とポリアルキレンイミン及びポリアルキレンイミン由来の副生成物との反応物が、樹脂組成物(A-P)中で着色剤の分散剤として働くものと考えられる。
非晶性ポリエステル系樹脂(A)は、酸基を有する。
酸基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基が挙げられる。これらの中でも、カルボキシ基が好ましい。
非晶性ポリエステル系樹脂(A)としては、例えば、非晶性ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂セグメント及びビニル系樹脂セグメントを有する非晶性複合樹脂が挙げられる。これらの中でも、好ましくは非晶性ポリエステル樹脂である。
非晶性ポリエステル樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物である。以下非晶性ポリエステル樹脂に含まれるアルコール成分とカルボン酸成分について説明する。
アルコール成分は、好ましくは、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物(以下、「BPA-AO」ともいう。)及び炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、より好ましくはBPA-AOを含有する。BPA-AOとしては、好ましくは、式(I):
〔式(I)中、OR11及びR12Oは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基)であり、x及びyは、アルキレンオキサイドの平均付加モル数であって、それぞれ独立に正の数であり、x及びyの和の平均値は、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは4以下である。〕で表されるBPA-AOが挙げられる。
BPA-AOは、好ましくはビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(以下、「BPA-PO」ともいう。)、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(以下、「BPA-EO」ともいう。)、より好ましくはBPA-POである。これらのBPA-AOは、1種又は2種以上を用いてもよい。
BPA-AOの量は、アルコール成分中、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上、更に好ましくは98モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、更に好ましくは100モル%である。
直鎖又は分岐の脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3,3-ジメチル-1,2-ブタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオールが挙げられる。
脂環式ジオールとしては、例えば、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数2以上12以下)付加物が挙げられる。
3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ソルビタンが挙げられる。
なお、得られるポリエステルの分子量や軟化点を調整する観点から、アルコール成分は、1価のアルコールを含んでいてもよい。
これらアルコール成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
カルボン酸成分としては、例えば、ジカルボン酸化合物、3価以上の多価カルボン酸化合物が挙げられる。
ジカルボン酸化合物の炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられる。これらの中でも、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、ペンタン二酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アゼライン酸、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸が挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは8以上、より好ましくは9以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは14以下である。脂肪族炭化水素基は、直鎖及び分岐鎖のいずれであってもよく、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれであってもよい。炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸としては、例えば、オクテニルコハク酸、ノネニルコハク酸、デセニルコハク酸、ウンデセニルコハク酸、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、トリデセニルコハク酸、テトラデセニルコハク酸、テトラプロペニルコハク酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸化合物の量は、カルボン酸成分中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは65モル%以上、更に好ましくは70モル%以上であり、そして、100モル%以下である。
3価以上の多価カルボン酸の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、更に好ましくは1モル%以下であり、そして、0モル%である。
なお、樹脂の分子量や軟化点を調整する観点から、カルボン酸成分には、1価のカルボン酸が、適宜含有されていてもよい。
これらのカルボン酸成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
樹脂(A)の軟化点は、トナーの保存性をより向上させる観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、そして、トナーの低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下、更に好ましくは110℃以下である。
樹脂(A)は、例えば、アルコール成分及びカルボン酸成分による重縮合反応を行う工程Aを含む方法により製造してもよい。
工程Aにおいて、必要に応じて、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)、酸化ジブチル錫、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のエステル化触媒をアルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対し0.01質量部以上5質量部以下;没食子酸(3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸と同じ。)等のエステル化助触媒をアルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対し0.001質量部以上0.5質量部以下用いて重縮合してもよい。
また、重縮合反応にフマル酸等の不飽和結合を有するモノマーを使用する際には、必要に応じてアルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上0.5質量部以下のラジカル重合禁止剤を用いてもよい。ラジカル重合禁止剤としては、例えば、4-tert-ブチルカテコールが挙げられる。
重縮合反応の温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは260℃以下、より好ましくは240℃以下である。なお、重縮合は、不活性ガス雰囲気中にて行ってもよい。
ポリアルキレンイミンは、好ましくはアルキレン基の炭素数が1以上5以下のポリアルキレンイミンである。ポリアルキレンイミンは、樹脂(A)の酸基と縮合反応して、樹脂(A)の分子骨格中に取り込まれうる化合物である。
アルキレン基の炭素数が1以上5以下のポリアルキレンイミンは、好ましくはアルキレン基の炭素数が2以上4以下のポリアルキレンイミン、より好ましくはポリエチレンイミン又はポリプロピレンイミン、更に好ましくはポリエチレンイミンである。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。
該分子量の値は、実施例に記載の方法により求められる。
樹脂組成物(A-P)の製造方法は、後述するトナー用結着樹脂組成物の製造方法と同様のため省略する。
トナー粒子中の樹脂組成物(A-P)の含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
結着樹脂組成物は、樹脂組成物(A-P)に加えて、好ましくは前述の樹脂(A)の軟化点と5℃以上異なる軟化点を有する非晶性ポリエステル系樹脂(A2)(以下、単に「樹脂(A2)」ともいう)を更に含有する。
非晶性ポリエステル系樹脂(A2)は、好ましくは、樹脂(A)の軟化点より、5℃以上高い軟化点を有する非晶性ポリエステル系樹脂(AH)である。
樹脂(A2)は、好ましくは非晶性ポリエステル樹脂である。
非晶性ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物である。
アルコール成分としては、BPA-AOが好ましい。
BPA-AOは、好ましくはBPA-PO及びBPA-EOである。
BPA-POとBPA-EOとのモル比〔BPA-PO/BPA-EO〕は、好ましくは10/90以上、より好ましくは20/80以上、更に好ましくは30/70以上であり、そして、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下、更に好ましくは70/30以下である。
カルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸化合物、脂肪族ジカルボン酸化合物、3価以上の多価カルボン酸化合物が好ましい。
芳香族ジカルボン酸化合物としては、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸化合物の量は、カルボン酸成分中、好ましくは40モル%以上、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは60モル%以上であり、そして、好ましくは98モル%以下、より好ましくは95モル%以下、更に好ましくは90モル%以下、更に好ましくは80モル%以下である。
脂肪族ジカルボン酸化合物としては、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸又はその無水物が好ましく、炭素数12の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸又はその無水物がより好ましく、ドデセニルコハク又はその無水物が更に好ましい。
脂肪族ジカルボン酸化合物の量は、カルボン酸成分中、好ましくは1モル%以上、より好ましくは2モル%以上、更に好ましくは3モル%以上であり、そして、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、更に好ましくは10モル%以下である。
3価以上の多価カルボン酸化合物としては、トリメリット酸又はその無水物が好ましい。
3価以上の多価カルボン酸化合物の量は、カルボン酸成分中、好ましくは1モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは20モル%以上であり、そして、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下、更に好ましくは30モル%以下である。
樹脂(A2)の軟化点は、トナーの保存性をより向上させる観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上、更に好ましくは110℃以上、更に好ましくは115℃以上、更に好ましくは120℃以上であり、そして、トナーの低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは170℃以下、より好ましくは160℃以下、更に好ましくは150℃以下、更に好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下である。
トナー粒子中、樹脂(A2)の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
結着樹脂組成物は、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは、結晶性ポリエステル系樹脂(C)(以下、単に「樹脂(C)」ともいう)を含有する。
結晶性ポリエステル系樹脂(C)は、好ましくは酸基を有する結晶性ポリエステル系樹脂である。
結晶性ポリエステル系樹脂(C)としては、後述する結晶性ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂セグメント及びビニル系樹脂セグメントを有する結晶性複合樹脂が好ましい。これらの中でも、結晶性ポリエステルが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物である。
以下、結晶性ポリエステル樹脂のアルコール成分とカルボン酸成分とについて説明する。
α,ω-脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは12以下である。
α,ω-脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオールが挙げられる。これらの中でも、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールが好ましく、1,6-ヘキサンジオールがより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸の炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上であり、そして、好ましくは14以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下である。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸が挙げられる。これらの中でも、フマル酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸の例は、先に例示したものと同様である。
なお、結晶性ポリエステル樹脂の分子量や軟化点を調整する観点から、カルボン酸成分には、1価のカルボン酸が、適宜含有されていてもよい。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。
樹脂(C)の軟化点は、トナーの保存性をより向上させる観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは75℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下、更に好ましくは120℃以下である。
樹脂(C)と、樹脂組成物(A-P)及び樹脂(A2)の合計量との比[(C)/〔(A-P)+(A2)〕]は、好ましくは1/99以上、より好ましくは2/98以上、更に好ましくは3/97以上であり、そして、好ましくは30/70以下、より好ましくは20/80以下、更に好ましくは10/90以下である。
本発明のトナー用結着樹脂組成物の製造方法は、トナーの優れた保存性、及び、優れた顔料分散性を得る観点から、
工程1:酸基を有する非晶性ポリエステル系樹脂(A)とアルキレン基のポリアルキレンイミンとを縮合させて樹脂組成物(A-P)を得る工程、
を含む。
結着樹脂組成物の製造方法は、例えば、
工程2:前記樹脂組成物(A-P)と非晶性ポリエステル系樹脂(A2)とを混合する工程、
を含んでいてもよい。
工程2において、結晶性ポリエステル樹脂(C)を更に混合してもよい。
なお、製造方法に用いる樹脂(A)、ポリアルキレンイミン、樹脂組成物(A-P)、樹脂(A2)、及び樹脂(C)の例示及びそれらの好適な態様は、結着樹脂組成物について前述したものと同様であるため、説明は省略する。
工程2では、樹脂組成物(A-P)と樹脂(A)の質量比が前述の結着樹脂組成物で説明した範囲になるように混合することが好ましい。
工程2では、樹脂(C)を更に混合してもよい。樹脂組成物(A-P)及び樹脂(A)の合計量と、樹脂(C)との質量比がが前述の結着樹脂組成物で説明した範囲になるように混合することが好ましい。
樹脂組成物(A-P)と樹脂(A2)と、必要に応じて樹脂(C)を混合する方法は、特に制限はなく、例えば、ヘンシェルミキサー等を用いて均一に混合することができる。
また、後述する静電荷像現像用トナーの欄で説明する各種添加剤を添加する前にあらかじめ混合していてもよく、各種添加剤と同時に混合してもよい。
各種添加剤と同時に混合する場合、後述する静電荷像現像用トナーの製造方法で説明する混合方法と同様の方法を用いることができる。
トナーは、前述した結着樹脂組成物を含有する。
結着樹脂組成物は、好ましくは静電荷像現像用トナーの結着樹脂として用いられる。
結着樹脂組成物の含有量は、トナーの結着樹脂成分中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、そして、100質量%以下である。
トナーは、例えば、トナー粒子と外添剤とを含有する。
トナー粒子は、好ましくは、結着樹脂組成物を含む。
そして、トナー粒子は、例えば、着色剤、着色剤誘導体、離型剤、荷電制御剤、その他添加剤を含んでいてもよい。トナー粒子は、これらの中でも、好ましくは着色剤を含む。
着色剤は、顔料又は染料のいずれであってもよい。
顔料としては、例えば、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、縮合多環顔料、レーキ顔料が挙げられる。
アゾ顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド3等の不溶性アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド48:1等の溶性アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド144等の縮合アゾ顔料が挙げられる。
フタロシアニン顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15:3等の銅フタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン58等のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料が挙げられる。
縮合多環顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド177等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド123等のペリレン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ43等のペリノン系顔料、C.I.ピグメントレッド122等のキナクリドン系顔料、C.I.ピグメントレッド269等のナフトール系顔料、C.I.ピグメントバイオレット23等のジオキサジン系顔料、C.I.ピグメントイエロー139等のイソインドリノン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ66等のイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントイエロー138等のキノフタロン系顔料、C.I.ピグメントイエロー150等のニッケルアゾ錯体系顔料、C.I.ピグメントレッド88等のインジゴ系顔料、C.I.ピグメントグリーン8等の金属錯体顔料、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントオレンジ71等のジケトピロロピロール系顔料が挙げられる。
レーキ顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド57:1が挙げられる。
これらの中では、フタロシアニン顔料、キナクリドン系顔料、ナフトール系顔料、レーキ顔料が好ましく、フタロシアニン顔料、キナクリドン系顔料がより好ましい。
着色剤の色相は特に限定されず、イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、レッド、オレンジ、グリーン等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。
着色剤誘導体は、例えば、酸性基又は塩基性基が導入された着色剤又はその塩が挙げられる。
着色剤誘導体は、スルホ基が導入された着色剤又はその塩が好ましい。
着色剤として、C.I.ピグメントブルー15:3を用いた場合の組合せとしては、スルホ基が導入された銅フタロシアニン化合物又はその塩が好ましい。
塩としては、例えば、ハロゲン化物塩、アミン塩、4級アンモニウム塩が挙げられる。
着色剤誘導体としては、銅フタロシアニンのスルホン化物又はその塩が好ましい。
トナーは、離型剤を含有してもよい。
離型剤としては、例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス;マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス等の炭化水素系ワックス又はそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス又はそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。
離型剤の融点は、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは75℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下、更に好ましくは100℃以下である。
トナーは、荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤は、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロン(登録商標)N-01」、「ボントロン(登録商標)N-04」、「ボントロン(登録商標)N-07」、「ボントロン(登録商標)N-09」、「ボントロン(登録商標)N-11」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロン(登録商標)P-51」(オリヱント化学工業株式会社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリヱント化学工業株式会社製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成工業株式会社製)等;スチレン-アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」(藤倉化成株式会社製)等が挙げられる。
トナー粒子は、その他添加剤として、更に、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を適宜含有してもよい。
トナーには、流動性を向上させるために、更に外添剤を含有させてもよい。外添剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、酸化亜鉛等の無機材料の微粒子や、メラミン系樹脂微粒子、ポリテトラフルオロエチレン樹脂微粒子等の樹脂粒子等の有機微粒子が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。これらの外添剤の中では、シリカが好ましく、疎水化処理剤で処理された疎水性シリカであることがより好ましい。
トナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法、乳化凝集法等の公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。
工程A:樹脂組成物(A-P)、及び着色剤を含むトナー原料を溶融混練する工程、及び
工程B:工程Aで得られた溶融混合物を粉砕、分級しトナー粒子を得る工程
を含む。
溶融混練の温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは95℃以上であり、そして、好ましくは160℃以下、より好ましくは130℃以下である。
工程Aの溶融混練には、密閉式ニーダー、一軸押出機、又は二軸押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができる。結晶を溶融混合する観点から、高温条件に設定することのできる二軸押出機が好ましい。
工程Aで得られた溶融混合物を、粉砕が可能な程度に冷却した後、続く工程Bに供する。
粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、例えば、ハンマーミル、アトマイザー、ロートプレックスが挙げられる。微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、例えば、流動層式ジェットミル、衝突板式ジェットミル、回転型機械式ミルが挙げられる。粉砕効率の観点から、流動層式ジェットミル、及び衝突板式ジェットミルを用いることが好ましく、衝突板式ジェットミルを用いることがより好ましい。
〔樹脂の酸価及び水酸基価〕
樹脂の酸価及び水酸基価は、JIS K0070:1992の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070:1992規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、非晶ポリエステル系樹脂の場合はアセトンとトルエンの混合溶媒〔アセトン:トルエン=1:1(容量比)〕に、結晶性ポリエステル樹脂の場合はクロロホルムの溶媒に変更する。
以下の方法により得られる、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量及び重量平均分子量を求める。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料を、テトラヒドロフラン(非晶性ポリエステル系樹脂の場合)又はクロロホルム(結晶性ポリエステル樹脂の場合)に、25℃で溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「DISMIC-25JP」(ADVANTEC製)を用いて濾過して不溶解分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフラン(非晶性ポリエステル系樹脂)又はクロロホルム(結晶性ポリエステル樹脂)を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン「A-500」(5.0×102)、「A-1000」(1.01×103)、「A-2500」(2.63×103)、「A-5000」(5.97×103)、「F-1」(1.02×103)、「F-2」(1.81×104)、「F-4」(3.97×104)、「F-10」(9.64×104)、「F-20」(1.90×105)、「F-40」(4.27×105)、「F-80」(7.06×105)、「F-128」(1.09×106)(以上、東ソー株式会社製)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:「HLC-8220CPC」(東ソー株式会社製)
分析カラム:「GMHXL」+「G3000HXL」(東ソー株式会社製)
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
示差走査熱量計「Q-20」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、室温(20℃)から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料をそのままの温度で1分間維持し、その後、昇温速度10℃/分で180℃まで昇温しながら測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も大きいピークの温度を吸熱の最大ピーク温度とする。
示差走査熱量計「Q-20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、室温から降温速度10℃/minで-10℃まで冷却し、1分間温度を保持する。次に試料を昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで-30℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピーク温度を融点とする。
以下に示す、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量を求める。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.2g/100mLになるように、ポリアルキレンイミンを、0.15モル/LでNa2SO4を1質量%酢酸水溶液に溶解させた溶液に溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業株式会社製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液として0.15モル/LでNa2SO4を1質量%酢酸水溶液に溶解させた溶液を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに、試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の標準プルラン「P-5」(5.9×103)、「P-50」(4.73×104)、「P-200」(2.12×105)、「P-200」(2.12×105)、「P-800」(7.08×105)(以上昭和電工株式会社製)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:「HLC-8320GPC」(東ソー株式会社製)
分析カラム:α+α-M+α-M(東ソー株式会社製)
示差走査熱量計「Q100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温した後、200℃から降温速度10℃/分で0℃まで冷却する。次いで、試料を昇温速度10℃/分で昇温し、熱量を測定する。得られた吸熱の最大ピーク温度を融点とする。
トナー粒子の体積中位粒径(D50)は、次のとおり測定する。
・測定装置:「コールターマルチサイザー(登録商標)III」(ベックマン・コールター株式会社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:「コールターマルチサイザー(登録商標)IIIバージョン 3.51」(ベックマン・コールター株式会社製)
・電解液:「アイソトン(登録商標)II」(ベックマン・コールター株式会社製)
・分散液:「エマルゲン(登録商標)109P」〔ポリオキシエチレンラウリルエーテル、花王株式会社製、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance、グリフィン法)=13.6〕を前記電解液に溶解させ、濃度5質量%の分散液を得る。
・分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
・測定条件:ビーカー内で、前記試料分散液を、前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、得られた粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
製造例AL1,AL2(樹脂AL-1、AL-2の製造)
表1に示すアルコール成分とテレフタル酸、及びエステル化触媒及び助触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、分留塔、脱水管、冷却管、及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで昇温し、常圧で7時間反応を行った。その後、235℃、8kPaにて所望の酸価と軟化点まで減圧反応を行い、樹脂AL-1及びAL-2を得た。各種物性を測定し表1に示した。
表1に示すアルコール成分とテレフタル酸及びドデセニル無水コハク酸、及びエステル化触媒及び助触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、分留塔、脱水管、冷却管、及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで昇温し、常圧で2.5時間反応を行った後、8kPaにて1時間減圧で反応を行った。その後、常圧で190℃まで冷却し、トリメリット酸無水物を添加したあと、210℃まで10℃/hの速度で段階的に昇温した。その後、8kPaにて所望の軟化点まで反応を行い、樹脂AH-1を得た。各種物性を測定し表1に示した。
製造例C1〔樹脂C-1の製造〕
表2に示すアルコール成分とカルボン酸成分、及びエステル化触媒及び重合禁止剤を、温度計、ステンレス製攪拌棒、分留塔、脱水管、冷却管、及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、140℃まで昇温し、5時間反応を行った後、200℃まで10℃/hの速度で段階的に昇温を行った。その後8kPaにて所望の軟化点まで反応を行い、樹脂C-1を得た。各種物性を測定し表2に示した。
製造例AP1,AP2,AP3〔樹脂組成物AP-1,AP-2,AP-3の製造〕
表3に示す樹脂とポリアルキレンイミンを、温度計、ステンレス製攪拌棒、分留塔、脱水管、冷却管、及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、150℃まで昇温し、常圧で3時間反応を行い、樹脂組成物AP-1,AP-2,AP-3を得た。
実施例1~4、比較例1~3〔トナー1~4,81~83〕
表4に示す配合比の結着樹脂を100質量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロンE-81」(オリヱント化学工業株式会社製)1質量部、表4に示す種類及び量の着色剤、及び離型剤としてパラフィンワックス「HNP-9」(日本精蝋株式会社製、融点:80℃)1質量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度100℃で溶融混練した。混合物の供給速度は20kg/h、平均滞留時間は約18秒であった。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が8μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に、外添剤として疎水性シリカ「AEROSIL NAX 50」(日本アエロジル株式会社製、疎水化処理剤:HMDS、平均粒子径:約30nm)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、トナー1~4,81~83を得た。
表4に示す配合比の結着樹脂を100質量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロンE-81」(オリエント化学工業株式会社製)1質量部、着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:3「シアニンブルー4927」(大日精化工業株式会社製)15質量部、着色剤誘導体として「SOLSPERSE 5000s」(日本ルーブリゾール株式会社製)1質量部、及び離型剤としてパラフィンワックス「HNP-9」(日本精蝋株式会社製、融点:80℃)1質量部をヘンシェルミキサーで十分混合したこと以外、実施例1と同様の方法で、トナー5~8,84~85を得た。
分散剤「アジスパーPB821」(味の素ファインテクノ株式会社製)を添加した以外は、比較例4と同様にしてトナー86,87を得た。
〔保存性〕
20mL容の容器(直径約3cm)にトナー4gを入れ、温度55℃、相対湿度60%の環境下で48時間放置した。6時間毎に72時間までトナー凝集の発生程度を目視にて観察した。凝集の発生が認められた時点の時間の値が大きいほど高温高湿下での保存性が良好である。結果を表4に示す。なお、表4中「>72」は72時間後も凝集は認められないことを示す。
トナー濃度が1質量%になるように、20mL容の容器(直径約3cm)にトナー0.1gを計量し、クロロホルムで合計10gになるように希釈した。次に容器をキャップで密閉したあと、試験管ミキサー(アズワン株式会社製)で攪拌混合し、クロロホルム中にトナーを溶融分散させた。得られた試料は、石英キュベットセル(四面透過)にセルの底面から10mm以上まで入れ、ナノ粒子解析装置「SZ-100」(株式会社堀場製作所製)にセットした。試料の屈折率及び分散媒の屈折率及び粘度を入力したあと、測定モード(標準モード)、演算条件(スタンダード)及び分布形態(多分散、スタンダード)を選択し、25℃で顔料粒径を測定した。結果を表4に示す。なお、表4中「≧1000」は顔料粒径が1000nm以上であったことを示す。
Claims (8)
- 工程1:酸基を有する非晶性ポリエステル系樹脂(A)とポリアルキレンイミンとを縮合させて樹脂組成物(A-P)を得る工程、
工程A:前記樹脂組成物(A-P)、及び着色剤を含むトナー原料を溶融混練する工程、
工程B:前記工程Aで得られた溶融混合物を粉砕、分級しトナー粒子を得る工程、を含む、静電荷像現像用トナーの製造方法。 - 前記非晶性ポリエステル系樹脂(A)が、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記非晶性ポリエステル系樹脂(A)の軟化点が、80℃以上120℃以下である、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 工程2:前記樹脂組成物(A-P)と、前記非晶性ポリエステル系樹脂(A)の軟化点と5℃以上異なる軟化点を有する、非晶性ポリエステル系樹脂(A2)とを混合する工程を、工程1と工程Aとの間に更に含む、請求項3に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記非晶性ポリエステル系樹脂(A2)が、110℃以上170℃以下の軟化点を有する、請求項4に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記工程2において、結晶性ポリエステル系樹脂(C)を、更に混合する、請求項4又は5に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記工程Aにおいて、更に、着色剤誘導体を含有する、請求項1~6に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記着色剤誘導体が、銅フタロシアニンのスルホン化物又はその塩である、請求項7に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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