JP6511662B2 - トナー用結着樹脂 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法において形成される潜像の現像に用いられるトナー用結着樹脂、及び該結着樹脂を含有する静電荷像現像用トナーに関する。
近年、環境調和や省エネルギーの観点から、ビスフェノールA系モノマーを含まないポリエステル樹脂の開発や、低温定着性に優れた結晶性ポリエステルを併用したトナーの開発が行われている。
例えば特許文献1には、低温定着性、耐オフセット性、高温高湿下での帯電安定性及び保存性のいずれにも優れるトナーを提供することを目的として、結着樹脂及び着色剤を含有してなるトナーであって、前記結着樹脂として、軟化点Tm(A)が120℃以上160℃未満のポリエステル(A)と、軟化点Tm(B)が80℃以上120℃未満のポリエステル(B)とを含有してなり、ポリエステル(A)及び/又は(B)が、1,2−プロパンジオールを2価のアルコール成分中65モル%以上含有した、実質的に脂肪族アルコールのみからなるアルコール成分と、カルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルであるトナーが開示されている。
また、特許文献2には、トナーの低温定着性、印字物の保存性の向上及びカールの発生の抑制を目的として、アルコール成分と、アルコール成分100モルに対して5〜25モルのアジピン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られる、数平均分子量が1000〜2400である非晶質ポリエステルと、炭素数6〜12の脂肪族ジオールを70〜100モル%含有するアルコール成分と炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸化合物を70〜100モル%含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られる結晶性ポリエステルとを含有してなる、トナー用結着樹脂が開示されている。
特許文献3には、トナーの低温定着性、着色剤の分散性及び加圧保存性に優れる、電子写真用トナー、該トナーに用いられるトナー用結着樹脂を提供することを目的として、炭素数8〜14のα,ω−脂肪族ジオールを70モル%以上含むアルコール成分とフマル酸化合物及び/又はマレイン酸化合物を70モル%以上含むカルボン酸成分を縮重合されて得られる結晶性ポリエステルと、炭素数2〜5の脂肪族ジオールを70モル%以上含有するアルコール成分とカルボン酸成分を縮重合させて得られる非晶質ポリエステルとを含有してなるトナー用結着樹脂、該結着樹脂を含有してなる電子写真用トナーが開示されている。
特開2007−155978号公報 特開2012−118395号公報 特開2012−058337号公報
電子写真法においては、幅広い非オフセット域を有し、より一層優れた低温定着性を有するトナーの開発が求められている。トナーの低温定着性を向上させるためには、一般に、トナーにワックスや結晶性ポリエステル等を含有させることで、トナーを低温で融解しやすくさせる方法が用いられる。しかし、融解しやすくなったトナーは、保存性に劣る。したがって、低温定着性と保存性とを両立するトナーが求められている。
本発明は、トナーの低温定着性及び保存性を両立できるトナー用結着樹脂及び該結着樹脂を含有する静電荷像現像用トナーに関する。
非晶質ポリエステル中で結晶性ポリエステルの結晶性を保持し、トナー定着温度においてトナー全体の急激な粘度低下のためには、結晶性ポリエステルを非晶質ポリエステル中に細かく微分散させる必要がある。本発明者らは鋭意検討の結果、低分子量モノマーを用いた特定の非晶質ポリエステルと特定の原料モノマーを用いて得られた結晶性ポリエステルを混合することで、結晶性ポリエステルの微分散が可能となり、得られるトナーに優れた低温定着性及び保存性を発現させることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の<1>〜<3>を提供する。
<1>非晶質樹脂及び結晶性樹脂を含有してなるトナー用結着樹脂であって、
前記非晶質樹脂が、炭素数2以上5以下の脂肪族ジオールを80モル%以上100モル%以下含むアルコールとテレフタル酸化合物を70モル%以上100モル%以下含むカルボン酸化合物との重縮合物であるポリエステルであり、
前記結晶性樹脂が、炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールを80モル%以上100モル%以下含むアルコールとコハク酸化合物を85モル%以上100モル%以下含むカルボン酸化合物との重縮合物であるポリエステルであり、
前記非晶質樹脂と前記結晶性樹脂との質量比(非晶質樹脂/結晶性樹脂)が80/20〜95/5である、トナー用結着樹脂。
<2>前記<1>に記載の結着樹脂を含有してなる、静電荷像現像用トナー。
<3>前記<1>に記載の結着樹脂を含有する混合物を80℃以上160℃以下の範囲内の温度で溶融混練する工程を含む、静電荷像現像用トナーの製造方法。
本発明のトナー用結着樹脂を含有する静電荷像現像用トナーは、低温定着性及び保存性に優れる。
[結着樹脂]
本発明のトナー用結着樹脂は、非晶質樹脂及び結晶性樹脂を含有してなるトナー用結着樹脂であって、前記非晶質樹脂が、炭素数2以上5以下の脂肪族ジオールを80モル%以上100モル%以下含むアルコールとテレフタル酸化合物を70モル%以上100モル%以下含むカルボン酸化合物との重縮合物であるポリエステルであり、前記結晶性樹脂が、炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールを80モル%以上100モル%以下含むアルコールとコハク酸化合物を85モル%以上100モル%以下含むカルボン酸化合物との重縮合物であるポリエステルであり、前記非晶質樹脂と前記結晶性樹脂との質量比(非晶質樹脂/結晶性樹脂)が80/20〜95/5である。
本発明のトナー用結着樹脂を含有する静電荷像現像用トナーが低温定着性及び保存性に優れる理由は定かではないが、本発明のトナー用結着樹脂において、非晶質ポリエステル中に結晶性ポリエステルが細かく分散しているためと推定される。非晶質ポリエステル中に結晶性ポリエステルが良好に分散するためには、結晶性ポリエステルが非晶質ポリエステルと親和性が高いことが必要であるが、親和性が高すぎて互いに相溶すると非晶質ポリエステルのガラス転移温度が下がり保存性に問題をきたす。すなわち、結晶性ポリエステルは非晶質ポリエステル中において微分散状態で結晶化している必要があると考えられる。そこで、本発明者らは、非晶質ポリエステル及び結晶性ポリエステルそれぞれのモノマー構造に着目した。
非晶質ポリエステルにアルコールとして炭素数2以上5以下の低分子量のモノマーを用いることによって、テレフタル酸化合物の質量比率の高いポリエステル樹脂が得られる。また、結晶性ポリエステルの酸モノマーに用いられるコハク酸は、モノマーの構造上、非晶質ポリエステルに用いられるテレフタル酸とエステル基間隔がほぼ等しくなるものと推定される。非晶質ポリエステルのテレフタル酸部分と結晶性ポリエステルのコハク酸部分のエステル基の相互作用から、結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとの親和性が高くなるものと考えられる。
また、非晶質ポリエステルのエステル基と結晶性ポリエステルのエステル基とが並ぶことによって、その部位を起点として結晶性ポリエステル同士のエステル基も並びやすくなり、結晶化されたと推測される。また、非晶質ポリエステルと結晶性ポリエステルに一部同一のモノマーを用いることで、さらに両者の親和性は高くなり、結晶性も良好になると考えられる。また、本発明においてはアニーリング等の工程を経ず、溶融混練によって結晶化できるという特徴を有している。
なお、本発明において、ポリエステルとは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルを含む。変性されたポリエステルとしては、例えば、ポリエステルがウレタン結合で変性されたウレタン変性ポリエステル、ポリエステルがエポキシ結合で変性されたエポキシ変性ポリエステル、及びポリエステル成分と付加重合系樹脂成分を含む2種以上の樹脂成分を有する複合樹脂等が挙げられる。
(樹脂の結晶性)
樹脂の結晶性は、軟化点と示差走査熱量計(DSC)による吸熱の最大ピーク温度との比、即ち、「軟化点/吸熱の最大ピーク温度」で定義される結晶性指数によって表される。一般に、この結晶性指数が1.4を超えると樹脂は非晶質であり、0.6未満では結晶性が低く非晶質部分が多い。本発明において、「結晶性樹脂」とは、結晶性指数が0.6〜1.4、好ましくは0.7〜1.2、更に好ましくは0.9〜1.2である樹脂をいい、「非晶質樹脂」とは、結晶性指数が1.4を超えるか、0.6未満の樹脂をいう。
上記の「吸熱の最大ピーク温度」とは、実施例に記載する測定方法の条件下で観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度のことを指す。最大ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば、最大ピーク温度を結晶性樹脂の融点とし、軟化点との差が20℃を超えるピークは非晶質樹脂のガラス転移に起因するピークとする。
樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。
(非晶質樹脂)
本発明に用いられる非晶質樹脂は、炭素数2以上5以下の脂肪族ジオールを80モル%以上100モル%以下含むアルコールとテレフタル酸化合物を70モル%以上100モル%以下含むカルボン酸化合物との重縮合物であるポリエステルである。以下、本発明に用いられる非晶質樹脂を非晶質ポリエステルともいう。
<非晶質樹脂のアルコール>
非晶質樹脂のアルコールは、トナーの低温定着性及び保存性を向上させる観点から、炭素数2以上5以下の脂肪族ジオールをアルコールに対して80モル%以上、好ましくは85モル%以上、より好ましくは90モル%以上含み、また、100モル%以下、好ましくは99モル%以下、より好ましくは97モル%以下含む。
炭素数2以上5以下の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール等が挙げられる。
非晶質樹脂の炭素数2以上5以下の脂肪族ジオールとしては、トナーの低温定着性及び保存性を向上させる観点から、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール及び1,4−ブタンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1つが好ましく、1,2−プロパンジオール及び1,4−ブタンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1つがより好ましい。
非晶質樹脂のアルコールとしては、本発明の効果を損なわない範囲内で、炭素数2以上5以下の脂肪族ジオール以外のアルコールを含んでもよい。そのようなアルコールとしては、炭素数6以上の脂肪族ジオール、芳香族アルコール、3価以上のアルコールが挙げられる。
炭素数6以上の脂肪族ジオールとしては、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられる。芳香族アルコールとしては、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物等が挙げられる。3価以上のアルコールとしては、グリセロール(グリセリンともいう)、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。これらの中でもグリセロールが好ましく用いられる。
非晶質樹脂のアルコールとしては、トナーの低温定着性及び保存性を向上させる観点から、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオール(a)及びα,ω−脂肪族ジオール(b)からなる群から選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオール(a)としては、1,2−プロパンジオールやグリセリンが挙げられる。脂肪族ジオール(a)と脂肪族ジオール(b)とのモル比((a)/(b))は、好ましくは100/0〜35/65、より好ましくは90/10〜40/60、更に好ましくは80/20〜55/45である。
<非晶質樹脂のカルボン酸化合物>
非晶質樹脂のカルボン酸化合物は、トナーの低温定着性及び保存性を向上させる観点から、テレフタル酸化合物をカルボン酸化合物に対して70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、より好ましくは97モル%以上、より好ましくは99モル%以上、より好ましくは100モル%含む。
テレフタル酸化合物としては、テレフタル酸並びにその無水物及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル等が挙げられ、テレフタル酸が好ましい。
非晶質樹脂のカルボン酸化合物は、本発明の効果を損なわない範囲内で、テレフタル酸化合物以外のカルボン酸化合物を含んでもよい。そのようなカルボン酸化合物としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸、並びにこれらの無水物及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等が挙げられる。脂環式ジカルボン酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。3価以上の多価カルボン酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等が挙げられる。また、これらの無水物及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル等を用いることができ、例えばトリメリット酸無水物を用いることができる。
また、その他のカルボン酸化合物として、ロジン;フマル酸、マレイン酸、アクリル酸等で変性されたロジン等も挙げられる。
<非晶質ポリエステルの製造方法>
本発明に用いられる非晶質ポリエステルは、炭素数2以上5以下の脂肪族ジオールを80モル%以上100モル%以下含むアルコールとテレフタル酸化合物を70モル%以上100モル%以下含むカルボン酸化合物とを重縮合させることで得られる。
アルコールとカルボン酸化合物との重縮合反応時の温度は、反応性の観点から190℃以上が好ましく、また、熱分解性の観点から250℃以下が好ましい。
重縮合反応は、必要に応じて、エステル化触媒、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下で行ってもよい。
エステル化触媒としては、スズ触媒、チタン触媒等が挙げられる。スズ触媒としては、酸化ジブチル錫、2−エチルヘキサン酸錫(II)等が挙げられるが、反応性、分子量調整及び樹脂の物性調整の観点から、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)等のSn−C結合を有していない錫(II)化合物が好ましい。チタン触媒としては、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコールとカルボン酸化合物との総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、また、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1.0質量部以下である。
エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化助触媒の使用量は、アルコールとカルボン酸化合物との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、また、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
<非晶質ポリエステルの物性>
非晶質ポリエステルの軟化点は、反応性を向上させる観点及びポリエステルの分子量を高め、トナーの保存性を向上させる観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上であり、また、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下、更に好ましくは140℃以下である。
非晶質ポリエステルのガラス転移温度は、トナーの保存性を向上させる観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、また、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下である。
非晶質ポリエステルの酸価は、トナーの保存性を向上させる観点から、好ましくは0mgKOH/g以上、より好ましくは5mgKOH/g以上であり、また、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下である。
(結晶性樹脂)
本発明に用いられる結晶性樹脂は、炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールを80モル%以上100モル%以下含むアルコールとコハク酸化合物を85モル%以上100モル%以下含むカルボン酸化合物との重縮合物であるポリエステルである。以下、本発明に用いられる結晶性樹脂を結晶性ポリエステルともいう。
<結晶性樹脂のアルコール>
結晶性樹脂のアルコールは、トナーの保存性を向上させる観点から、炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールをアルコールに対して80モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、より好ましくは97モル%以上、より好ましくは99モル%以上、より好ましくは100モル%含む。
炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
結晶性樹脂の炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールは、トナーの低温定着性を向上させる観点から、α,ω−直鎖アルカンジオールが好ましく、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1つがより好ましく、エチレングリコール又は1,4−ブタンジオールが更に好ましく、1,4−ブタンジオールがより更に好ましい。
結晶性樹脂のアルコールは、本発明の効果を損なわない範囲内で、炭素数2以上6以下の脂肪族ジオール以外のアルコールを含んでもよい。そのようなアルコールとしては、炭素数7以上の脂肪族ジオール、芳香族アルコール、3価以上のアルコールが挙げられる。
炭素数7以上の脂肪族ジオールとしては、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられる。芳香族アルコールとしては、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜10)付加物等が挙げられる。3価以上のアルコールとしては、グリセロール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
<結晶性樹脂のカルボン酸化合物>
結晶性樹脂のカルボン酸化合物は、トナーの低温定着性及び保存性を向上させる観点から、コハク酸化合物を85モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは97モル%以上、より好ましくは99モル%以上、より好ましくは100モル%含む。
コハク酸化合物としては、コハク酸並びにその無水物及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル等が挙げられ、コハク酸が好ましい。
結晶性樹脂のカルボン酸化合物としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、コハク酸化合物以外のカルボン酸化合物を含んでもよい。そのようなカルボン酸化合物としては、コハク酸以外の脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸、並びにこれらの無水物及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル等が挙げられる。これらの中では、脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
コハク酸以外の脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸等が挙げられる。脂環式ジカルボン酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。3価以上の多価カルボン酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等が挙げられる。また、これらの無水物及びアルキル(炭素数1以上3以下)エステル等を用いることができ、例えばトリメリット酸無水物を用いることができる。
<結晶性ポリエステルの製造方法>
本発明に用いられる結晶性樹脂は、炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールを80モル%以上100モル%以下含むアルコールとコハク酸化合物を80モル%以上100モル%以下含むカルボン酸化合物とを重縮合させることで得られる。
結晶性ポリエステルの製造における重縮合反応の反応条件は、非晶質ポリエステルの製造における重縮合反応の反応条件と同様である。
<結晶性ポリエステルの物性>
結晶性ポリエステルの軟化点は、反応性を向上させる観点及びポリエステルの分子量を高め、トナーの保存性を向上させる観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、また、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下である。
結晶性ポリエステルの融点は、トナーの保存性を向上させる観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、また、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下である。
結晶性ポリエステルの酸価は、トナーの保存性を向上させる観点から、好ましくは0mgKOH/g以上、より好ましくは2mgKOH/g以上であり、また、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下である。
(非晶質樹脂と結晶性樹脂との質量比)
本発明の結着樹脂において、非晶質樹脂と結晶性樹脂との質量比(非晶質樹脂/結晶性樹脂)は、トナーの保存性を向上させる観点から、80/20以上、好ましくは83/17以上、より好ましくは85/15以上であり、また、トナーの低温定着性及び保存性を向上させる観点から、95/5以下、より好ましくは94/6以下、より好ましくは93/7以下である。
[トナー]
本発明の静電荷像現像用トナーは、上記の結着樹脂を含有してなる。
本発明のトナーは、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の結着樹脂以外の樹脂を含有してもよいが、トナー中における上記の結着樹脂の含有量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは93質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、また、好ましくは100質量%である。
(添加剤)
本発明のトナーには、着色剤、離型剤、荷電制御剤、荷電制御樹脂、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が含有されていてもよく、着色剤、離型剤及び荷電制御剤が含有されることが好ましい。
<着色剤>
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾイエロー等が用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、トナーの画像濃度及び低温定着性を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
<離型剤>
離型剤としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン−ポリエチレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物、カルナウバワックス、モンタンワックス、サゾールワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス、脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
離型剤の融点は、トナーの低温定着性及び耐オフセット性を向上させる観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上であり、また、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下である。
離型剤の含有量は、トナーの低温定着性及び耐オフセット性を向上させる観点並びに結着樹脂中への分散性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、更に好ましくは7質量部以下である。
<荷電制御剤>
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、スチレン−アクリル系樹脂等が挙げられる。
ニグロシン染料としては、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN−01」、「ボントロンN−04」、「ボントロンN−07」、「ボントロンN−09」、「ボントロンN−11」(以上、オリエント化学工業株式会社製)等が挙げられる。4級アンモニウム塩化合物としては、例えば「ボントロンP−51」(オリエント化学工業株式会社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等が挙げられる。ポリアミン樹脂としては、例えば「AFP−B」(オリエント化学工業株式会社製)等が挙げられる。イミダゾール誘導体としては、例えば「PLZ−2001」、「PLZ−8001」(以上、四国化成工業株式会社製)等が挙げられる。スチレン−アクリル系樹脂としては、例えば「FCA−701PT」(藤倉化成株式会社製)等が挙げられる。
また、負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、ベンジル酸化合物の金属化合物、サリチル酸化合物の金属化合物、銅フタロシアニン染料、4級アンモニウム塩、ニトロイミダゾール誘導体、有機金属化合物等が挙げられる。
含金属アゾ染料としては、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS−31」、「ボントロンS−32」、「ボントロンS−34」、「ボントロンS−36」(以上、オリエント化学工業株式会社製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T−77」(保土谷化学工業株式会社製)等が挙げられる。ベンジル酸化合物の金属化合物としては、例えば、「LR−147」、「LR−297」(以上、日本カーリット社製)等が挙げられる。サリチル酸化合物の金属化合物としては、例えば、「ボントロンE−81」、「ボントロンE−84」、「ボントロンE−88」、「ボントロンE−304」(以上、オリエント化学工業株式会社製)、「TN−105」(保土谷化学工業株式会社製)等が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)等が挙げられる、有機金属化合物としては、例えば「TN105」(保土谷化学工業株式会社製)等が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、トナーの帯電安定性を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、より更に好ましくは2質量部以下である。
(トナーの製造方法)
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法等の任意の方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。溶融混練法による粉砕トナーの場合、例えば、結晶性ポリエステル、非晶質複合樹脂等の結着樹脂、着色剤、荷電制御剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。
本発明のトナーの製造方法は、上記の結着樹脂を含有する混合物を80℃以上160℃以下の範囲内の温度で溶融混練する工程を含む。溶融混練温度は、好ましくは85℃以上、より好ましくは90℃以上であり、また、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下である。
本発明の結着樹脂は、非晶質ポリエステルと結晶性ポリエステルとの親和性は高いが互いに相溶することがなく、非晶質ポリエステル中に微分散状態で存在し得る結晶性ポリエステルの結晶性も良好であるため、アニーリング等の工程を経ずに、溶融混練によって結着樹脂を結晶化することができる。
(外添剤)
本発明のトナーには、転写性を向上させるために、外添剤を用いることが好ましく、外添剤としては、無機微粒子を用いることが好ましい。無機微粒子の例は、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛が挙げられ、シリカが好ましい。シリカとしては、トナーの転写性を向上させる観点から、疎水化処理された疎水性シリカが好ましい。
シリカ粒子の表面を疎水化するための疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、メチルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらの中ではヘキサメチルジシラザンが好ましい。
外添剤の体積平均粒子径は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上であり、また、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、更に好ましくは90nm以下である。
外添剤の含有量は、保存安定性の観点から、外添剤で処理する前のトナー100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上であり、また、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
(トナーの物性)
本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、また、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。また、トナーを外添剤で処理している場合には、外添剤で処理する前のトナー粒子の体積中位粒径をトナーの体積中位粒径とする。
本発明のトナーは、一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT−500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコーインスツル株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した。次に試料を昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度及び融点〕
示差走査熱量計「Q−100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温から降温速度10℃/分で0℃まで冷却しそのまま1分間維持した。その後、昇温速度50℃/分で測定した。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの頂点の温度を吸熱の最高ピーク温度とした。結晶性ポリエステルにおいては、吸熱の最高ピーク温度を融点とした。
〔樹脂の酸価〕
樹脂の酸価については、JIS K0070の方法に基づき測定した。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルとの混合溶媒から、アセトンとトルエンとの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコーインスツル株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した。次に試料を昇温速度10℃/分で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を離型剤の融点とした。
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:「コールターマルチサイザーIII」(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:「マルチサイザーIII バージョン 3.51」(ベックマンコールター社製)
電解液:「アイソトンII」(ベックマンコールター社製)
分散液:「エマルゲン109P」(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、花王株式会社製、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させさせて、試料分散液を調製した。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように前記分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求めた。
〔樹脂の製造〕
製造例1、3、4及び6
(非晶質ポリエステルA1、A3、A4及びA6の製造)
表1に示すアルコール、カルボン酸化合物、エステル化触媒及び助触媒を、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、210℃まで5時間かけて昇温を行った。その後、220℃まで昇温し、8.0kPaにて表1に示す軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステルA1、A3、A4及びA6を得た。
製造例2、5、7及び8
(非晶質ポリエステルA2、A5、A7及びA8の製造)
表1に示すアルコール、トリメリット酸無水物以外のカルボン酸化合物、エステル化触媒及び助触媒を、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、210℃まで5時間かけて昇温を行った。その後、トリメリット酸無水物を投入し、220℃まで昇温し、8.0kPaにて表1に示す軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステルA2、A5、A7及びA8を得た。
製造例9〜14
(結晶性ポリエステルB1〜B6の製造)
表2に示すアルコール、カルボン酸化合物及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、140℃まで昇温した後、200℃まで8時間かけて昇温を行った。その後、8.0kPaにて表2に示す軟化点に達するまで反応を行い、結晶性ポリエステルB1〜B6を得た。
実施例1
(結着樹脂及び静電荷像現像用トナーの製造)
非晶質ポリエステルA3 90質量部、結晶性ポリエステルB1 10質量部、着色剤「Mogul L」(カーボンブラック、キャボット・スペシャリティ・ケミカルズ・インク社製)4質量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン E−81」(オリエント化学工業株式会社製)0.85質量部、及び離型剤「三井ハイワックス NP056」(ポリプロピレンワックス、三井化学株式会社製、融点124℃)2質量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度100℃で溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が8μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に、疎水性シリカ「NAX−50」(日本アエロジル株式会社製、疎水化処理剤:HMDS、体積平均粒子径:30nm)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、トナーを得た。
実施例2〜10、比較例1〜6
非晶質ポリエステル及び結晶性ポリエステルの種類又は使用量をそれぞれ表3−1〜表3−4に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。
(トナーの評価)
得られたトナーについて、以下の方法によりトナーの低温定着性及び保存性の評価を行った。結果を表3−1〜表3−4に示す。
〔トナーの低温定着性〕
複写機「AR−505」(シャープ株式会社製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置にトナーを実装し、シャープ株式会社製の紙[CopyBond SF−70NA(75g/m2)]上に、未定着の状態で印刷物を得た。総定着圧が40kgfになるように調整した定着機(定着速度390mm/sec)を用い、定着ローラーの温度を100℃から200℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、各温度で前記未定着状態の印刷物の定着試験を行った。定着した画像にセロハン粘着テープ「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆株式会社製、幅:18mm、JIS Z1522)を貼り付け、30℃に設定した定着ローラーに通過させた後、テープを剥がした。テープを貼る前と剥がした後の光学反射密度を反射濃度計「RD−915」(グレタグマクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(剥離後/貼付前×100)が最初に90%を越える定着ローラーの温度を最低定着温度とした。最低定着温度が低いほどトナーの低温定着性が良好である。
〔トナーの保存性〕
トナー4gを温度50℃、湿度60%の環境下で72時間放置した。放置後、トナー凝集の発生程度を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、トナーの保存性を評価した。
<評価基準>
A:72時間後も凝集は全く認められない。
B:48時間後に凝集は認められないが72時間後ではわずかに凝集が認められる。
C:24時間後に凝集は認められないが48時間後ではわずかに凝集が認められる。
D:24時間以内で既に凝集が認められる。

以上の結果より、実施例のトナーは、比較例のトナーに比べて、いずれも低温定着性及び保存性に優れることがわかる。
本発明の結着樹脂を含有する静電荷像現像用トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられる。

Claims (5)

  1. 非晶質樹脂及び結晶性樹脂を含有してなるトナー用結着樹脂であって、
    前記非晶質樹脂が、炭素数2以上5以下の脂肪族ジオールを80モル%以上100モル%以下含むアルコールとテレフタル酸化合物を70モル%以上100モル%以下含むカルボン酸化合物との重縮合物であるポリエステルであり、
    前記結晶性樹脂が、炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールを80モル%以上100モル%以下含むアルコールとコハク酸化合物を85モル%以上100モル%以下含むカルボン酸化合物との重縮合物であるポリエステルであり、
    前記非晶質樹脂と前記結晶性樹脂との質量比(非晶質樹脂/結晶性樹脂)が80/20〜95/5であり、
    前記非晶質樹脂のアルコールが、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオール(a)及びα,ω−脂肪族ジオール(b)からなる群から選ばれる少なくとも1つを含有し、かつ、前記の脂肪族ジオール(a)と脂肪族ジオール(b)とのモル比((a)/(b))が100/0〜35/65である、トナー用結着樹脂。
  2. 前記の非晶質樹脂の炭素数2以上5以下の脂肪族ジオールが、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール及び1,4−ブタンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1に記載のトナー用結着樹脂。
  3. 前記結晶性樹脂の炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールが、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1又は2に記載のトナー用結着樹脂。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の結着樹脂を含有してなる、静電荷像現像用トナー。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の結着樹脂を含有する混合物を80℃以上160℃以下の範囲内の温度で溶融混練する工程を含む、静電荷像現像用トナーの製造方法。
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