JP7119474B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
方向性電磁鋼板(「一方向性電磁鋼板」ともいう。)は、{110}<001>方位(以下、「Goss方位」ともいう。)に高配向集積した結晶粒により構成された、Siを7質量%以下含有する鋼板である。方向性電磁鋼板は、主に、変圧器の鉄芯材料として用いられる。方向性電磁鋼板を変圧器の鉄芯材料として用いる場合(すなわち、方向性電磁鋼板を鉄心として積層した場合)、層間(積層する鋼板間)の絶縁性を確保することが必須である。従って、絶縁性確保の観点で、方向性電磁鋼板の表面には、一次被膜(グラス被膜)と、二次被膜(張力付与絶縁被膜)と、を形成させる必要がある。
一般的な、方向性電磁鋼板の製造方法、及び、グラス被膜と張力付与絶縁被膜の形成方法は、以下の通りである。まず、ケイ素(Si)を7質量%以下含有する鋼片を熱延した後、1回もしくは中間焼鈍をはさむ2回の冷間圧延により、鋼板を所定の冷延後の板厚に仕上げる。その後、湿潤水素雰囲気中の焼鈍(脱炭焼鈍)により、脱炭及び一次再結晶処理を施して、脱炭焼鈍板とする。かかる脱炭焼鈍において、鋼板表面では、酸化膜(FeSiO及びSiO)が形成される。続いて、MgOを主体とする焼鈍分離剤を、脱炭焼鈍板に対して塗布・乾燥させた上で、仕上げ焼鈍を行う。かかる仕上げ焼鈍により、二次再結晶が起こり、鋼板の結晶粒組織が{110}<001>方位に集積する。同時に、鋼板表面においては、焼鈍分離剤中のMgOと脱炭焼鈍時に鋼板表面に形成される酸化膜(FeSiO及びSiO)とが反応して、グラス被膜が形成される。仕上焼鈍板の表面(すなわち、グラス被膜の表面)に対して、リン酸塩を主体とする塗布液を塗布して焼付けることで、張力付与絶縁被膜が形成される。
ここで、方向性電磁鋼板の製造課題の一つに、脱炭性の改善がある。
例えば、以下の特許文献1では、酸素ポテンシャルを高めることによる脱炭改善技術が提案されている。しかしながら、酸素ポテンシャルを高めるだけでは、脱炭性は改善するものの、Fe酸化物が多量に生成する。Fe酸化物は、二次再結晶を劣化させ、ひいては磁性劣化に繋がるため、生成を回避すべき物質である。
そこで、酸素ポテンシャル制御に加え、二次再結晶改善技術として、脱炭焼鈍における昇温速度の制御技術が考案されてきた。例えば、以下の特許文献2~8では、脱炭焼鈍時における酸素ポテンシャル及び加熱速度を制御することで、鋼板の結晶方位の集合組織を改善し、磁気特性の改善につなげる技術が提案されている。
特許3392669号公報 特開平07-278668号公報 特開2002-173715号公報 特開2003-003213号公報 特開2011-174138号公報 国際公開第2016/056501号 国際公開第2014/049770号 特許第6103281号
ここで、方向性電磁鋼板中に含まれる炭素は、二次再結晶改善により、磁束密度を向上させる効果があるが、脱炭が不十分である場合には、FeC(セメンタイト)が鋼中で析出し、磁気特性が低下してしまう可能性がある。特に、方向性電磁鋼板では、磁気特性の向上を意図して、Crを含有する場合があるが、かかる場合、脱炭性が低下してしまうという問題があった。上記特許文献2~8で提案されている方法は、酸素ポテンシャル制御と昇温速度の制御により二次再結晶改善に資する一方で、脱炭性の改善については、言及されていない。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、Crを含有した方向性電磁鋼板において、脱炭性を損なうことなく、より高い磁束密度を得ることが可能な、方向性電磁鋼板の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、脱炭性の低下は、CrがCr酸化膜を形成することに起因する旨を突き止めた。しかしながら、二次再結晶改善を目的とする脱炭焼鈍条件では、Cr酸化膜の生成は回避できず、結果、磁束密度と脱炭性の両立は困難である。そこで、本発明者らは、更なる検討を行った結果、Cr酸化膜の生成を回避する脱炭焼鈍サイクルを見出し、本発明を完成するに至った。
上記知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]質量%で、C:0.01~0.20%、Si:2.5~4.0%、Sol.Al:0.01~0.07%、Mn:0.01~0.50%、Cr:0.01~0.50%、N:0.02%以下、S:0.005~0.080%、Se:0~0.080%、Sb:0~0.50%、Bi:0~0.02%、Sn:0~0.50%、Cu:0~1.0%を含有し、残部がFe及び不純物からなる鋼片を加熱した後に熱間圧延し、熱延鋼板を得る熱間圧延工程と、前記熱延鋼板を焼鈍して、熱延焼鈍鋼板を得る熱延板焼鈍工程と、前記熱延焼鈍鋼板に対し、一回の冷間圧延、又は、中間焼鈍をはさむ複数の冷間圧延を施して、冷延鋼板を得る冷間圧延工程と、前記冷延鋼板に対して脱炭焼鈍を施して、脱炭焼鈍鋼板を得る脱炭焼鈍工程と、前記脱炭焼鈍鋼板に対して焼鈍分離剤を塗布した後に、仕上げ焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程と、仕上げ焼鈍後の鋼板表面に絶縁被膜を形成する絶縁被膜形成工程と、を含み、前記脱炭焼鈍工程は、前記冷延鋼板を、室温から下記式(1)を満足する温度T1(℃)まで、下記式(2)を満足する昇温速度H1(℃/秒)で昇温する第一昇温工程と、前記温度T1(℃)に到達した前記冷延鋼板を、一旦、下記式(3)を満足する温度T2(℃)まで、下記式(4)を満足する冷却速度C1(℃/秒)で冷却する途中冷却工程と、前記冷延鋼板を、前記温度T2(℃)から昇温する第二昇温工程と、昇温後の前記冷延鋼板を焼鈍する均熱工程と、を有しており、前記第一昇温工程及び前記途中冷却工程における酸素ポテンシャルP0が、下記式(5)を満足する、方向性電磁鋼板の製造方法。
200 ≦ T1 ≦ 500 ・・・式(1)
100 ≦ H1 ≦ 800 ・・・式(2)
T1-100 ≦ T2 ≦ T1-10 ・・・式(3)
-40 ≦ C1 < 0 ・・・式(4)
0.0001≦ P0 ≦ 0.5 ・・・式(5)
[2]前記脱炭焼鈍工程での前記第二昇温工程において、前記温度T2から脱炭焼鈍温度までの昇温速度S(℃/秒)は、下記式(6)を満足する、[1]に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
400 ≦ S ≦ 2000 ・・・式(6)
[3]前記脱炭焼鈍工程での前記均熱工程は、0.1以上1.0以下の酸素ポテンシャルP2の雰囲気中、700℃以上900℃以下の温度T3(℃)で10秒以上1000秒以下保持する第一均熱工程と、当該第一均熱工程に続いて実施され、下記式(7)を満足する酸素ポテンシャルP3の雰囲気中、下記式(8)を満足する温度T4(℃)で、5秒以上500秒以下保持する第二均熱工程と、を含む、[1]又は[2]に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
P3 < P2 ・・・式(7)
T3+50 ≦ T4 ≦ 1000 ・・・式(8)
[4]前記方向性電磁鋼板の板厚は、0.17mm以上0.22mm未満である、[1]~[3]の何れか1つに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
[5]前記鋼片は、Biを、0.001~0.020質量%含有する、[1]~[4]の何れか1つに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
[6]前記鋼片は、0.005~0.500質量%のSn、及び、0.01~1.00質量%のCuの少なくとも何れかを含有する、[1]~[5]の何れか1つに記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
以上説明したように本発明によれば、高い磁束密度を有する方向性電磁鋼板を、脱炭性を損なうことなく製造することが可能となる。
本発明の実施形態に係る方向性電磁鋼板の構造を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る方向性電磁鋼板の構造を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法の流れの一例を示した流れ図である。 同実施形態に係る脱炭焼鈍工程の流れの一例を示した流れ図である。 同実施形態に係る脱炭焼鈍工程の熱処理パターンの一例を示した説明図である。 同実施形態に係る脱炭焼鈍工程の熱処理パターンの一例を示した説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(本発明に至る経緯について)
以下では、まず、本発明の実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法について説明するに先立ち、本発明者らが鋭意検討することで得られた知見と、かかる知見に基づく本発明に至る経緯について、簡単に説明する。
先だって言及したように、方向性電磁鋼板の製造課題の一つに、脱炭性の改善が挙げられる。本発明者らは、脱炭焼鈍工程における昇温サイクルに着目し、条件変更などの調査を実施した。その結果、室温から、200~500℃の温度域までの昇温において、かかる温度域の滞留時間が長い場合には、Cr系酸化膜が生成して脱炭性劣化の原因になること、及び、かかる温度域の滞留時間を短縮化することが、脱炭性の改善に有効であることを見出した。しかしながら、Cr系酸化膜は、脱炭阻害因子である一方で、二次再結晶改善効果を有するものであるため、上記のような着想に基づき脱炭性を改善したとしても、磁束密度が低下する可能性がある。そこで、本発明者らは、Cr系酸化膜の代替としてCr系酸化膜以外の他の酸化膜を生成させることが重要であること、及び、Cr系酸化膜以外の酸化膜としてAl系酸化膜を用いることが有用であること、をそれぞれ着想した。
本発明者らは、かかる着想に基づき更なる検討を行った結果、室温から、200~500℃の温度域までの昇温プロセスにおける酸素ポテンシャルを制御することで、Al酸化膜の生成を促進することが可能であることを見出した。また、脱炭焼鈍工程で生成したAl酸化膜は、次工程の仕上げ焼鈍工程を経て、MgAlとしてグラス被膜中に残存することが明らかとなった。
(方向性電磁鋼板について)
次に、本発明の実施形態に係る方向性電磁鋼板について、詳細に説明する。
<方向性電磁鋼板の主要な構成について>
まず、図1A及び図1Bを参照しながら、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の主要な構成について説明する。図1A及び図1Bは、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の構造を模式的に示した説明図である。
本実施形態に係る方向性電磁鋼板10は、図1Aに模式的に示したように、母材鋼板11と、母材鋼板11の表面に形成されたグラス被膜13と、グラス被膜13の表面に形成された絶縁被膜の一例である張力付与性絶縁被膜15と、を有している。なお、グラス被膜13及び張力付与性絶縁被膜15は、母材鋼板11の少なくとも一方の面に形成されていればよいが、通常、図1Bに模式的に示したように、母材鋼板11の両面に形成される。
以下では、本実施形態に係る方向性電磁鋼板10について、特徴的な構成を中心に説明する。なお、以下の説明において、公知の構成や、当業者が実施可能な一部の構成については、詳細な説明を省略しているところがある。
[母材鋼板11について]
母材鋼板11は、以下で詳述するような化学成分を含有することで、優れた磁気特性を示す。かかる母材鋼板11の化学成分については、以下で改めて詳述する。
[グラス被膜13について]
グラス被膜13は、母材鋼板11の表面に位置している、ケイ酸マグネシウムを主成分とする無機質の被膜である。グラス被膜は、一般には、仕上げ焼鈍において、母材鋼板の表面に塗布されたマグネシア(MgO)を含む焼鈍分離剤と、母材鋼板の表面の成分と、が反応することにより形成され、焼鈍分離剤及び母材鋼板の成分に由来する組成を有する。上述したように、本実施形態に係る方向性電磁鋼板10においては、グラス被膜13中に、MgAlが存在することになる。グラス被膜13中に、Cr系酸化物に換えて特定のAl系酸化物(MgAl)が存在することで、本実施形態に係る方向性電磁鋼板10では、母材鋼板11中にCrが含有されている場合であっても、優れた脱炭性を発現させることが可能となる。
なお、グラス被膜の付着量に対するMgAlの生成量は、グラス被膜表面のX線回折(X‐Ray Diffraction:XRD)分析から確認可能である。ここで、XRDとは、物質の結晶構造に対し、特定の回折角2θに現れる回折ピークの位置から、化合物を特定する結晶構造解析手法である。回折ピーク位置と物質との照合は、PDF(Powder Diffraction File、例えばJCPDSカード)と呼ばれる結晶構造のデータベースを活用することができる。
[張力付与性絶縁被膜15について]
張力付与性絶縁被膜15は、グラス被膜13の表面に位置しており、方向性電磁鋼板10に電気絶縁性を付与することで渦電流損を低減して、方向性電磁鋼板10の鉄損を向上させる。また、張力付与性絶縁被膜15は、上記のような電気絶縁性以外にも、耐蝕性、耐熱性、すべり性といった種々の特性を実現する。
更に、張力付与性絶縁被膜15は、方向性電磁鋼板10に張力を付与するという機能を有する。方向性電磁鋼板10に張力を付与して、方向性電磁鋼板10における磁壁移動を容易にすることで、方向性電磁鋼板10の鉄損を向上させることができる。
かかる張力付与性絶縁被膜15は、例えば、金属リン酸塩とシリカを主成分とするコーティング液をグラス被膜13の表面に塗布し、焼き付けることによって形成される。
<方向性電磁鋼板10の板厚について>
本実施形態に係る方向性電磁鋼板10の製品板厚(図1A及び図1Bにおける厚みt)は、特に限定されるものではなく、例えば0.17mm以上0.35mm以下とすることができる。また、本実施形態においては、冷延後の板厚が0.22mm未満と薄い材料(すなわち、薄手材)である場合に効果が顕著となり、脱炭性がより一層優れたものとなる。冷延後の板厚は、例えば、0.17mm以上0.20mm以下であることがより好ましい。
<母材鋼板11の化学成分について>
続いて、本実施形態に係る方向性電磁鋼板10の母材鋼板11の化学成分について、詳細に説明する。なお、以下では、特に断りのない限り、「%」との表記は「質量%」を表わすものとする。
本実施形態に係る方向性電磁鋼板10が有する母材鋼板11の化学成分は、質量%で、C:0.01~0.20%、Si:2.5~4.0%、Sol.Al:0.01~0.07%、Mn:0.01~0.50%、Cr:0.01~0.50%、N:0.02%以下、S:0.005~0.080%、Se:0~0.080%、Sb:0~0.50%、Bi:0~0.02%、Sn:0~0.50%、Cu:0~1.0%を含有し、残部がFe及び不純物からなる。
[C:0.01%以上0.20%以下]
C(炭素)は、磁束密度の改善効果を示す元素であるが、その含有量が0.20%を超える場合には、二次再結晶焼鈍(すなわち、仕上げ焼鈍)において鋼が相変態し、二次再結晶が十分に進行せず、良好な磁束密度と鉄損特性が得られない。そのため、本実施形態に係る母材鋼板11では、Cの含有量を0.20%以下とする。Cの含有量が少ないほど鉄損低減にとって好ましいため、鉄損低減の観点から、Cの含有量は、好ましくは0.15%以下であり、より好ましくは0.10%以下である。一方、磁束密度の観点から、Cの含有量は、0.01%以上とする。Cの含有量は、好ましくは0.04%以上であり、より好ましくは0.06%以上である。
[Si:2.5%以上4.0%以下]
Si(ケイ素)は、鋼の電気抵抗(比抵抗)を高めて鉄損の一部を構成する渦電流損失を低減するのに、極めて有効な元素である。Siの含有量が2.5%未満である場合には、二次再結晶焼鈍において鋼が相変態して、二次再結晶が十分に進行せず、良好な磁束密度と鉄損特性が得られな。そのため、本実施形態に係る母材鋼板11において、Siの含有量は2.5%以上とする。Siの含有量は、好ましくは3.0%以上であり、より好ましくは3.2%以上である。一方、Siの含有量が4.0%を超える場合には、鋼板が脆化し、製造工程での通板性が顕著に劣化する。そのため、本実施形態に係る母材鋼板11において、Siの含有量は4.0%以下とする。Siの含有量は、好ましくは3.8%以下であり、より好ましくは3.6%以下である。
[酸可溶性Al:0.01%以上0.07%以下]
酸可溶性アルミニウム(sol.Al)は、方向性電磁鋼板において二次再結晶を左右するインヒビターと呼ばれる化合物のうち、主要なインヒビターの構成元素であり、本実施形態に係る母材鋼板11において、二次再結晶発現の観点から必須の元素である。sol.Alの含有量が0.01%未満である場合には、インヒビターとして機能するAlNが十分に生成せず、二次再結晶が不充分となって、鉄損特性が向上しない。そのため、本実施形態に係る母材鋼板11において、sol.Alの含有量は、0.01%以上とする。sol.Alの含有量は、好ましくは、0.015%以上であり、より好ましくは0.020%以上である。一方、sol.Alの含有量が0.07%を超える場合には、鋼板の脆化が顕著となる。そのため、本実施形態に係る母材鋼板11において、sol.Alの含有量は、0.07%以下とする。sol.Alの含有量は、好ましくは0.05%以下であり、より好ましくは0.030%以下である。
[Mn:0.01%以上0.50%以下]
Mn(マンガン)は、主要なインヒビターの一つであるMnSを形成する、重要な元素である。Mnの含有量が0.01%未満である場合には、二次再結晶を生じさせるのに必要なMnSの絶対量が不足する。そのため、本実施形態に係る母材鋼板11において、Mnの含有量は、0.01%以上とする。Mnの含有量は、好ましくは0.03%以上であり、より好ましくは0.06%以上である。一方、Mnの含有量が0.50%を超える場合には、二次再結晶焼鈍において鋼が相変態し、二次再結晶が十分に進行せず、良好な磁束密度と鉄損特性が得られない。そのため、本実施形態に係る母材鋼板11において、Mnの含有量は、0.50%以下とする。Mnの含有量は、好ましくは0.30%以下であり、より好ましくは0.10%以下である。
[Cr:0.01%以上0.50%以下]
Crは、磁気特性を向上させるとともに、グラス被膜の密着性を向上させる元素である。Crの含有量が0.01%未満である場合には、上記のような磁気特性の向上効果、及び、グラス被膜密着性の向上効果を得ることができない。そのため、本実施形態に係る母材鋼板11において、Crの含有量は、0.01%以上とする。Crの含有量は、好ましくは0.03%以上であり、より好ましくは0.05%以上である。一方、Crの含有量が0.50%を超える場合には、本実施形態に係る製造方法を適用したとしても脱炭性が低下する。そのため、本実施形態に係る母材鋼板11において、Crの含有量は、0.50%以下とする。Crの含有量は、好ましくは0.20%以下であり、より好ましくは0.10%以上である。
[N:0.02%以下]
N(窒素)は、上記の酸可溶性Alと反応してAlNを形成する元素である。Nの含有量が0.02%を超える場合には、冷間圧延時、鋼板中にブリスター(空孔)が生じるうえに、鋼板の強度が上昇し、製造時の通板性が悪化する。そのため、本実施形態に係る母材鋼板11では、Nの含有量を0.02%以下とする。Nの含有量は、好ましくは0.015%以下であり、より好ましくは0.010%以下である。一方、AlNをインヒビターとして活用しないのであれば、Nの含有量の下限値は0%を含みうる。しかしながら、化学分析の検出限界値が0.0001%であるため、実用鋼板において、実質的なNの含有量の下限値は、0.0001%である。一方、Alと結合して、インヒビターとして機能するAlNを形成するためには、Nの含有量は0.001%以上であることが好ましく、0.005%以上であることがより好ましい。
[S:0.005%以上0.080%以下]
S(硫黄)は、上記Mnと反応することで、インヒビターであるMnSを形成する重要な元素である。Sの含有量が0.005%未満である場合には、十分なインヒビター効果を得ることができない。そのため、本実施形態に係る母材鋼板11では、Sの含有量を、0.005%以上とする。Sの含有量は、好ましくは0.010%以上であり、より好ましくは0.020%以上である。一方、Sの含有量が0.080%を超える場合には、熱間脆性の原因となり、熱間圧延が著しく困難となる。そのため、本実施形態に係る母材鋼板11において、Sの含有量は、0.080%以下とする。Sの含有量は、好ましくは0.040%以下であり、より好ましくは0.030%以下である。
[Bi:0%以上0.02%以下]
Bi(ビスマス)は、本実施形態に係る母材鋼板11において、任意元素であるため、その含有量の下限値は、0%となる。一方、残部のFeの一部に替えてBiを含有させることで、後述するSn及びCuと同様に、グラス被膜密着性の向上促進に寄与し、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の特性を向上させる。かかるグラス被膜密着性の向上促進効果を得るためには、Biの含有量を、0.001%以上とすることが好ましい。一方、Biの含有量が0.02%を超える場合には、冷間圧延時の通板性が劣化する。そのため、Biの含有量は、0.02%以下とする。Biの含有量は、好ましくは0.01%以下であり、より好ましくは0.007%以下である。
本実施形態に係る母材鋼板11では、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の特性を向上させるために、上述した各種元素の他に、残部のFeの一部に換えて、Se、Sb、Sn及びCuの少なくとも一種を更に含有してもよい。Se、Sb、Sn及びCuは、本実施形態に係る母材鋼板11において、任意元素であるため、その含有量の下限値は、0%となる。
[Se:0%以上0.080%以下]
Se(セレン)は、磁性改善効果を有する元素であるため、選択的に含有することができる。しかしながら、0.080%を越えて添加すると、グラス被膜が著しく劣化する。よってSeの含有量の上限を0.080%とする。好ましくは0.050%以下とする。より好ましくは0.020%以下である。磁性と被膜密着性の両立を考慮すると、好ましくは0.003%以上、より好ましくは0.006%以上である。なお、Seは本実施形態に係る母材鋼板11において、任意元素であるため、その含有量の下限値は、0%となるが、選択的にSeを含有する場合は、磁性改善効果を良好に発揮するべく、含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
[Sb:0%以上0.50%以下]
Sb(アンチモン)は、Seと同様、磁性改善効果を有する元素であるため、選択的に含有させることができる。しかしながら、0.50%を越えてSbを含有させると、グラス被膜が顕著に劣化する。従って、Sbの含有量の上限を0.50%とする。Sbの含有量は、好ましくは0.30%以下であり、より好ましくは0.10%以下である。磁性と皮膜密着性の両立を考慮すると、Sbの含有量は、好ましくは0.01%以上であり、より好ましくは0.02%以上である。なお、Sbは、本実施形態に係る母材鋼板11において任意元素であるため、その含有量の下限値は、0%となるが、選択的にSbを含有させる場合は、磁性改善効果を良好に発揮するべく、含有量を0.005%以上とすることが好ましい。
[Sn:0%以上0.50%以下]
Sn(スズ)は、一次結晶組織制御を通じ、磁性改善に資する元素である。磁性改善効果を得るためには、Snの含有量を0.005%以上とすることが好ましい。Snの含有量は、より好ましくは0.009%以上である。一方、Snの含有量が0.50%を超える場合には、二次再結晶が不安定となり、磁気特性が劣化する。そのため、本実施形態に係る母材鋼板11において、Snの含有量は0.50%以下とする。Snの含有量は、好ましくは0.30%以下であり、より好ましくは0.15%以下である。
[Cu:0%以上1.0%以下]
Cu(銅)は、Bi、Crと同様に、グラス被膜密着性の向上に寄与する元素である。Cuによるグラス被膜密着性の向上効果を得るためには、Cuの含有量を0.01%以上とすることが好ましい。Cuの含有量は、より好ましくは0.03%以上である。一方、Cuの含有量が1.0%を超える場合には、熱間圧延中に鋼板が脆化する。そのため、本実施形態に係る母材鋼板11では、Cuの含有量を1.0%以下とする。Cuの含有量は、好ましくは0.50%以下であり、より好ましくは0.10%以下である。
本実施形態に係る母材鋼板11の化学成分の残部は、Fe及び不純物である。しかしながら、磁気特性の向上、強度、耐食性、疲労特性等といった構造部材に求められる特性の向上、鋳造性や通板性の向上、スクラップ等使用による生産性の向上を目的として、母材鋼板11は、残部のFeの一部に換えて、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、In(インジウム)、B(ホウ素)、Au(金)、Ag(銀)、Te(テルル)、Ce(セリウム)、V(バナジウム)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Ca(カルシウム)、Re(レニウム)、Os(オスミウム)、Nb(ニオブ)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、Ta(タンタル)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Cd(カドミウム)、Pb(鉛)、As(ヒ素)等から選択される1種又は2種以上を、を含有しても本発明の効果は失われるものではない。なお、これらの元素は、任意に含まれ得る元素であるため、これらの元素の合計含有量の下限値は、0%である。
また、不純物は、添加の意図に関係なく、母材鋼板11中に存在するものであり、得られる方向性電磁鋼板において、本来存在する必要のない成分である。「不純物」なる用語は、鋼材料を工業的に製造する際に原料としての鉱石、スクラップ又は製造環境などから混入する不純物を含む概念である。このような不純物は、本発明の効果に悪影響を与えない量で含まれ得る。
以上、本実施形態に係る母材鋼板11の化学成分について、詳細に説明した。
なお、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の示す各種の磁気特性は、JIS C2550に規定されたエプスタイン法や、JIS C2556に規定された単板磁気特性測定法(Single Sheet Tester:SST)に則して、測定することが可能である。
(方向性電磁鋼板の製造方法について)
次に、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法について、図2~図5を参照しながら詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法の流れの一例を示した流れ図である。図3は、本実施形態に係る脱炭焼鈍工程の流れの一例を示した流れ図である。図4及び図5は、本実施形態に係る脱炭焼鈍工程の熱処理パターンの一例を示した説明図である。
<方向性電磁鋼板の製造方法の全体的な流れ>
以下では、図2を参照しながら、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法の全体的な流れを説明する。
本実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法の全体的な流れは、以下の通りである。
まず、上記のような化学成分を有する鋼片(スラブ)を熱間圧延した後、焼鈍を実施して、熱延焼鈍工程を得る。次に、得られた熱延焼鈍鋼板に対して、酸洗後、1回、又は、中間焼鈍をはさむ2回の冷間圧延を実施して、最終板厚まで冷延された冷延鋼板を得る。その後、得られた冷延鋼板について、湿潤水素雰囲気中の焼鈍(脱炭焼鈍)により、脱炭及び一次再結晶を行って、脱炭焼鈍鋼板とする。かかる脱炭焼鈍において、鋼板の表面には、所定のMn系酸化膜が形成される。続いて、MgOを主体とする焼鈍分離剤を脱炭焼鈍鋼板の表面に塗布した後乾燥させて、仕上げ焼鈍を行う。かかる仕上げ焼鈍により、二次再結晶が起こり、鋼板の結晶粒組織が{110}<001>方位に集積する。同時に、鋼板表面においては、焼鈍分離剤中のMgOと脱炭焼鈍時に鋼板表面に形成される酸化膜(FeSiO及びSiO)とが反応して、グラス被膜が形成される。仕上焼鈍板を水洗又は酸洗により除粉した後、リン酸塩を主体とする塗布液を塗布して焼付けることで、張力付与絶縁被膜が形成される。
すなわち、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法では、図2に示したように、上記のような化学成分を有する鋼片を所定の温度で熱間圧延して、熱延鋼板を得る熱間圧延工程(ステップS101)と、得られた熱延鋼板を焼鈍して熱延焼鈍鋼板を得る熱延板焼鈍工程(ステップS103)と、得られた熱延焼鈍鋼板に対し、一回の冷間圧延、又は、中間焼鈍をはさむ複数の冷間圧延を施して、冷延鋼板を得る冷間圧延工程(ステップS105)と、得られた冷延鋼板に対して脱炭焼鈍を施して、脱炭焼鈍鋼板を得る脱炭焼鈍工程(ステップS107)と、得られた脱炭焼鈍鋼板に対して焼鈍分離剤を塗布した後に、仕上げ焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程(ステップS109)と、仕上げ焼鈍後の鋼板表面に絶縁被膜(より詳細には、張力付与性絶縁被膜)を形成する絶縁被膜形成工程(ステップS111)と、を含む。
以下、これら工程について、詳細に説明する。なお、以下の説明において、各工程における何らかの条件が記載されていない場合には、公知の条件を適宜適応して各工程を行うことが可能である。
<熱間圧延工程>
熱間圧延工程(ステップS101)は、所定の化学成分を有する鋼片(例えば、スラブ等の鋼塊)を熱間圧延して、熱延鋼板とする工程である。鋼片の成分としては、上述したような母材鋼板11の成分と同様とする。かかる熱間圧延工程において、上述のような化学成分を有するケイ素鋼の鋼片は、まず、加熱処理される。ここで、加熱温度は、1100~1450℃の範囲内とすることが好ましい。加熱温度は、より好ましくは1300℃以上1400℃以下である。次いで、上記のような温度まで加熱された鋼片は、引き続く熱間圧延により、熱延鋼板へと加工される。加工された熱延鋼板の板厚は、例えば、2.0mm以上3.0mm以下の範囲内であることが好ましい。
<熱延板焼鈍工程>
熱延板焼鈍工程(ステップS103)は、熱間圧延工程を経て製造された熱延鋼板を焼鈍して、熱延焼鈍鋼板とする工程である。このような焼鈍処理を施すことで、鋼板組織に再結晶が生じ、良好な磁気特性を実現することが可能となる。
本実施形態に係る熱延板焼鈍工程では、公知の方法に従い、熱間圧延工程を経て製造された熱延鋼板を焼鈍して、熱延焼鈍鋼板とすればよい。焼鈍に際して熱延鋼板を加熱する手段については、特に限定されるものではなく、公知の加熱方式を採用することが可能である。また、焼鈍条件についても、特に限定されるものではないが、例えば、熱延鋼板に対して、900~1200℃の温度域で10秒~5分間の焼鈍を行うことができる。
なお、かかる熱延板焼鈍工程は、必要に応じて省略することが可能である。
また、かかる熱延板焼鈍工程後、以下で詳述する冷間圧延工程の前に、熱延鋼板の表面に対して酸洗を施してもよい。
<冷間圧延工程>
冷間圧延工程(ステップS105)は、熱延焼鈍鋼板に対して、一回又は中間焼鈍を挟む二回以上の冷間圧延を実施して、冷延鋼板とする工程である。また、上記のような熱延板焼鈍を施した場合、鋼板形状が良好になるため、1回目の圧延における鋼板破断の可能性を軽減することができる。また、冷間圧延は、3回以上に分けて実施してもよいが、製造コストが増大するため、1回又は2回とすることが好ましい。
本実施形態に係る冷間圧延工程では、公知の方法に従い、熱延板焼鈍工程を経て製造された熱延焼鈍鋼板を冷間圧延し、冷延鋼板とすればよい。例えば、最終冷延圧下率は、80%以上95%以下の範囲内とすることができる。最終圧下率が80%未満である場合には、{110}<001>方位が圧延方向に高い集積度をもつGoss核を得ることができない可能性が高くなり、好ましくない。一方、最終圧下率が95%を超える場合には、後段の仕上げ焼鈍工程において、二次再結晶が不安定となる可能性が高くなるため、好ましくない。最終冷延圧下率を上記範囲内とすることにより、{110}<001>方位が圧延方向に高い集積度をもつGoss核を得るとともに、二次再結晶の不安定化を抑制することができる。
また、中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を実施する場合、一回目の冷間圧延は、圧下率を5~50%程度とし、950℃~1200℃の温度で30秒~30分程度の中間焼鈍を実施することが好ましい。
ここで、冷間圧延が施された冷延鋼板の板厚(冷延後の板厚)は、通常、最終的に製造される方向性電磁鋼板の板厚(張力付与性絶縁被膜の厚みを含めた製品板厚)と異なる。方向性電磁鋼板の製品板厚については、先だって言及した通りである。
上記のような冷間圧延工程に際して、磁気特性をより一層向上させるために、エージング処理を与えることも可能である。冷間圧延中に複数回のパスにより各板厚段階を経るが、少なくとも一回以上の途中板厚段階において、鋼板に対し100℃以上の温度範囲で1分以上の時間保持する熱効果を与えることが好ましい。かかる熱効果により、後段の脱炭焼鈍工程において、より優れた一次再結晶集合組織を形成させることが可能となり、ひいては、後段の仕上げ焼鈍工程において、{110}<001>方位が圧延方向に揃った良好な二次再結晶を十分に発達させることが可能となる。
<脱炭焼鈍工程>
脱炭焼鈍工程(ステップS107)は、得られた冷延鋼板に対して脱炭焼鈍を行って、脱炭焼鈍鋼板とする工程である。本実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法では、かかる脱炭焼鈍工程において鋼板中に特定のAl系酸化膜を形成させることで、脱炭性の向上を図る。
本実施形態に係る脱炭焼鈍工程において、特定のAl系酸化物を有するAl系酸化膜を形成させるために、本実施形態に係る脱炭焼鈍工程は、図3に示したように、第一昇温工程(ステップS131)と、途中冷却工程(ステップS133)と、第二昇温工程(ステップS135)と、均熱工程(ステップS137)という、4つの工程で構成される。
第一昇温工程(ステップS131)は、冷間圧延工程にて得られた冷延鋼板を、室温から下記式(101)を満足する温度T1(℃)まで、下記式(102)を満足する昇温速度H1(℃/秒)で昇温する工程である。ここで、かかる第一昇温工程における酸素ポテンシャルP0は、下記式(105)を満足する。
途中冷却工程(ステップS133)は、第一昇温工程を経て温度T1(℃)に到達した冷延鋼板を、一旦、下記式(103)を満足する温度T2(℃)まで、下記式(104)を満足する冷却速度C1(℃/秒)で冷却する工程である。また、かかる途中冷却工程における酸素ポテンシャルP0もまた、下記式(105)を満足する。
第二昇温工程(ステップS135)は、途中冷却工程を経た冷延鋼板を、温度T2(℃)から昇温する工程である。
均熱工程(ステップS137)は、第二昇温工程を経た冷延鋼板を、所定の条件で焼鈍する工程である。
200 ≦ T1 ≦ 500 ・・・式(101)
100 ≦ H1 ≦ 800 ・・・式(102)
T1-100 ≦ T2 ≦ T1-10 ・・・式(103)
-40 ≦ C1 < 0 ・・・式(104)
0.0001 ≦ P0 ≦ 0.5 ・・・式(105)
以下、これらの工程について、図4及び図5を参照しながら詳細に説明する。
なお、図4及び図5に示した熱処理パターンの説明図において、縦軸及び横軸の目盛間隔は正確なものとはなっておらず、図4及び図5に示した熱処理パターンは、あくまでも模式的なものである。
[第一昇温工程]
先だって言及しているように、方向性電磁鋼板の課題の一つに、脱炭性の改善が挙げられる。本発明者らは、脱炭焼鈍工程における昇温サイクルに着目し、条件変更などの各種の検証を行った。その結果、室温からの昇温において、200~500℃という低温領域での滞留時間の短縮化が、脱炭性改善に有効であることを見出した。200~500℃の低温領域での滞留時間が長い場合には、Cr系酸化膜が生成してしまい、脱炭性劣化の原因になると考えられる。しかしながら、Cr系酸化膜は、脱炭阻害因子である一方で、磁性改善効果を有する酸化膜でもあるため、上記のような方針で脱炭性を改善したとしても、磁束密度が低下する可能性がある。そこで、本発明者らは、室温から、200~500℃という低温領域までの昇温プロセスにおける酸素ポテンシャルを制御することで、Cr系酸化膜の代替として特定のAl系酸化膜(MgAlOを主成分とする酸化膜)の生成を促進させることを見出した。これにより、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法では、Cr系酸化膜が形成されずにAl系酸化膜が生成されるようになり、脱炭性の改善を実現する。
そのため、本実施形態に係る第一昇温工程(ステップS131)では、図4に示したように、室温から、上記式(101)で規定される温度T1(℃)の温度域まで、昇温速度H1が上記式(102)を満足するように制御して、温度T1まで加熱する。ここで、温度T1が200℃未満である場合、及び、500℃を超える場合には、下記のように酸素ポテンシャルP0を制御した場合であっても、特定のAl系酸化物(MgAl)を生成させることができない。また昇温速度H1が100℃/秒未満である場合には、Fe系酸化膜が生成しやすい温度域での滞留時間が長くなり、特定のAl系酸化物(MgAl)の生成量が減少するため、好ましくない。一方、昇温速度H1が800℃/秒を超える場合には、オーバーシュートしてしまう可能性があるため、好ましくない。
なお、温度T1(℃)は、好ましくは200~400℃であり、より好ましくは250~350である。また、昇温速度H1(℃/秒)は、好ましくは200~600℃/秒であり、より好ましくは300~500℃/秒である。
また、本実施形態に係る第一昇温工程では、酸素ポテンシャル(雰囲気中の水蒸気分圧PH2Oと水素分圧PH2との比、すなわちPH2O/PH2)P0が、上記式(105)を満足するように制御する。これにより、脱炭性にとって有利な特定のAl系酸化物(MgAl)の生成を促進させることができる。酸素ポテンシャルP0の値が、0.0001未満である場合、及び、0.5を超える場合には、Al系酸化物(MgAl)の生成を促進させることができない。第一昇温工程における酸素ポテンシャルP0は、好ましくは0.0001~0.03であり、より好ましくは0.0001~0.01である。
[途中冷却工程]
本実施形態に係る途中冷却工程(ステップS133)では、脱炭性にとって有利なAl系酸化物が生成する。具体的には、本実施形態に係る途中冷却工程では、T1~T2℃の温度範囲の滞留時間を確保するために、T1℃からT2℃までを徐冷却する。ここで、図4に示したような、温度T1から温度T2までの徐冷却の冷却速度C1は、上記式(104)を満たすような冷却速度とする。冷却速度C1が-40℃/秒未満である場合(換言すれば、冷却速度C1の絶対値が、40よりも大きい場合)には、T1~T2℃の温度範囲の滞留時間を十分に確保することができず、脱炭性にとって有利なAl系酸化物(MgAl)を十分に生成させることができない。冷却速度C1は、好ましくは、-40~-5℃/秒であり、より好ましくは-30~-5℃/秒であり、更に好ましくは-15~-10℃/秒である。また、温度T2は、(T1-75)℃以上(T1-10)℃以下であることが好ましく、(T1-50)℃以上(T1-10)℃以下であることがより好ましい。
また、本実施形態に係る途中冷却工程では、酸素ポテンシャル(雰囲気中の水蒸気分圧PH2Oと水素分圧PH2との比、すなわちPH2O/PH2)P0が、上記式(105)を満足するように制御する。これにより、脱炭性にとって有利な特定のAl系酸化物(MgAl)の生成を促進させることができる。酸素ポテンシャルP0の値が、0.0001未満である場合、及び、0.5を超える場合には、Al系酸化物(MgAl)の生成を促進させることができない。途中冷却工程における酸素ポテンシャルP0は、好ましくは0.0001~0.1であり、より好ましくは0.0001~0.05である。なお、第一昇温工程での酸素ポテンシャルP0と途中冷却工程での酸素ポテンシャルP0は、必ずしも同一の値とする必要はなく、0.0001~0.5の範囲内でそれぞれ好ましい値とする等、異なった値としてもよい。
[第二昇温工程]
第二昇温工程(ステップS135)は、途中冷却工程を経た冷延鋼板を、温度T2(℃)から昇温する工程である。かかる第二昇温工程については、特に限定されるものではなく、適宜昇温条件を設定すればよいが、温度T2から脱炭焼鈍温度までの昇温速度Sを、下記式(106)を満足するように制御することが好ましい。下記式(106)を満足するような昇温速度Sで冷延鋼板を昇温させることで、第一昇温工程及び途中冷却工程で生成させた特定のAl系酸化物(MgAl)を残存させながら、脱炭焼鈍温度まで素早く昇温させることが可能となる。昇温速度Sは、好ましくは700~2000℃/秒であり、より好ましくは1000~2000℃/秒である。詳細な理由は未だ不明であるが、昇温速度を上げることで磁性改善の効果も確認されている。恐らくは、再結晶集合組織が二次再結晶にとって良好な状態に制御されているからと推測される。
400 ≦ S ≦ 2000 ・・・式(106)
また、本実施形態に係る第二昇温工程において、温度T2から脱炭焼鈍温度までの温度域の酸素ポテンシャルの値については、特に限定するものではなく、適宜、適切な値に制御することが可能である。例えば、温度T2から脱炭焼鈍温度までの温度域の酸素ポテンシャルは、第一昇温工程での酸素ポテンシャルP0と同様に、0.0001~0.5とすることが好ましい。特に、第一昇温工程と第二昇温工程を同じ雰囲気にしておくことで、工程ごとの炉内雰囲気制御が不要となり、煩雑な設備構成を避けられるというメリットがある。
[均熱工程]
本実施形態に係る均熱工程は、上記のような第一昇温工程、途中冷却工程及び第二昇温工程の各条件を満足していれば、特に限定されるものではなく、例えば、700℃以上1000℃以下の温度域を、10秒以上10分以下保持する工程である。
また、本実施形態に係る均熱工程は、複数の工程を有していてもよい。例えば、図5に示すように、均熱工程が二つの工程から構成されていてもよい。
すなわち、図5に熱処理パターンを示したように、本実施形態に係る均熱工程は、所定の酸素ポテンシャルP2の雰囲気中、700℃以上900℃以下の温度T3(℃)で10秒以上1000秒以下保持する第一均熱工程と、第一均熱工程に続いて実施され、下記式(107)を満足する酸素ポテンシャルP3の雰囲気中、下記式(108)を満足する温度T4(℃)で、5秒以上500秒以下保持する第二均熱工程と、を含んでもよい。以下、このような均熱工程を複数含む焼鈍処理を多段階焼鈍ともいう。
P3 < P2 ・・・式(107)
T3+50 ≦ T4 ≦ 1000 ・・・式(108)
このような二段階焼鈍を実施する際には、一段階目と二段階目の焼鈍温度及び保持時間の制御が重要となる。
脱炭改善の観点から、例えば、第一均熱工程では、焼鈍温度T3(板温)は、700℃以上900℃以下であることが好ましい。また、焼鈍温度T3の保持時間は、10秒以上1000秒以下であることが好ましい。焼鈍温度T3が700℃未満である場合には、脱炭が進行せずに脱炭不良となるため、好ましくない。一方、焼鈍温度T3が900℃を超える場合には、粒組織が粗大化し、二次再結晶不良(磁性不良)を引き起こすため、好ましくない。また、保持時間が10秒未満である場合であっても、脱炭が進行せずに脱炭不良となるため、好ましくない。なお、保持時間が長時間化すること自体は、脱炭の観点からは問題ないが、生産性の観点から、保持時間は1000秒以下とすることが好ましい。焼鈍温度T3は、より好ましくは、780℃以上860℃以下である。また、保持時間は、実用鋼板の製造においては、より好ましくは、50秒以上300秒以下である。
Al系酸化物の形成量を確保するという観点から、第一均熱工程における焼鈍時の酸素ポテンシャルP2は、途中冷却工程における酸素ポテンシャルP0と比較して、高くすることが好ましい。十分な酸素ポテンシャルが得られることで、脱炭反応を十分に進行させることができる。ただし、第一均熱工程における焼鈍時の酸素ポテンシャルP2が大きすぎると、Al系酸化物(MgAl)はFeSiOに置換されてしまう場合があり、FeSiOは、磁気特性を劣化させる。従って、第一均熱工程における焼鈍時の酸素ポテンシャルP2を、0.1以上1.0以下の範囲内に制御することが好ましい。第一均熱工程における焼鈍時の酸素ポテンシャルP2は、より好ましくは、0.2以上0.8以下である。
上記のような制御を行ったとしても、第一均熱工程においてFeSiOの生成を完全に抑制することはできない。そのため、第一均熱工程に続いて実施される第二均熱工程では、焼鈍温度T4(板温)を、上記式(108)で規定される範囲内とすることが好ましい。焼鈍温度T4を上記式(108)で規定される範囲内とすることで、第一均熱工程においてFeSiOが生成されたとしても、生成されたFeSiOが被膜密着性にとって無害なSiOに還元されるからである。MgAlは、第二均熱工程では別の酸化物に変化せずに、残留し続ける。なお、より好ましい焼鈍温度T4の温度範囲は、(T2+100)℃以上1000℃以下である。
また、第二均熱工程における上記焼鈍温度T4の保持時間は、5秒以上500秒以下とする。保持時間が5秒未満である場合には、焼鈍温度を上記のような範囲内とした場合であっても、第一均熱工程において生成したFeSiOをSiOへと還元できない可能性がある。一方、保持時間が500秒を超える場合には、鋼板の粒成長が進み、磁性不良を引き起こす可能性がある。第二均熱工程における上記焼鈍温度T4の保持時間は、より好ましくは、10秒以上100秒以下である。
なお、第二均熱工程を還元雰囲気とするために、第二均熱工程の酸素ポテンシャルP3を、上記式(107)に示したように、第一均熱工程の酸素ポテンシャルP2よりも小さく設定することが好ましい。例えば、第二均熱工程の酸素ポテンシャルP3を0.00001以上0.1以下に制御することで、より良好な脱炭性及び磁気特性を得ることができる。
なお、第一均熱工程と第二均熱工程との間の時間間隔は、特に規定するものではないが、なるべく短くすることが好ましく、第一均熱工程と第二均熱工程を連続して実施することが好ましい。第一均熱工程と第二均熱工程とを連続して実施する場合には、各均熱工程の条件となるように制御された連続焼鈍炉を2つ連続させて設ければよい。
<仕上げ焼鈍工程>
再び図3に戻って、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法における仕上げ焼鈍工程について説明する。
仕上げ焼鈍工程(ステップS109)は、脱炭焼鈍工程で得られた脱炭焼鈍鋼板に対して所定の焼鈍分離剤を塗布した後に、仕上げ焼鈍を施す工程である。ここで、仕上げ焼鈍は、一般に、鋼板をコイル状に巻いた状態において、長時間行われる。従って、仕上焼鈍に先立ち、鋼板の巻きの内と外との焼付きの防止を目的として、焼鈍分離剤を脱炭焼鈍鋼板に塗布し、乾燥させる。焼鈍分離剤としては、例えば、マグネシア(MgO)を主成分として含有する焼鈍分離剤を用いることができる。
仕上げ焼鈍における熱処理条件は、特に限定されるものではなく、公知の条件を適宜採用することができる。例えば、1100℃以上1300℃以下の温度域で、10時間以上60時間以下保持することにより、仕上げ焼鈍を行うことができる。また、仕上げ焼鈍時の雰囲気は、例えば、窒素雰囲気又は窒素と水素の混合雰囲気とすることができる。また、窒素と水素の混合雰囲気とする場合には、雰囲気の酸素ポテンシャルを0.5以下とすることが好ましい。
上記のような仕上げ焼鈍中に、二次再結晶が{110}<001>方位に集積し、圧延方向に磁化容易軸の揃った粗大な結晶粒が生成する。その結果、優れた磁気特性が実現される。同時に、鋼板表面においては、焼鈍分離剤中のMgOと脱炭焼鈍で生成した酸化物とが反応して、グラス被膜が形成される。
<絶縁被膜形成工程>
絶縁被膜形成工程(ステップS111)は、仕上げ焼鈍工程後の冷延鋼板の両面に対し、張力付与性絶縁被膜を形成する工程である。ここで、絶縁被膜形成工程については、特に限定されるものではなく、下記のような公知の絶縁被膜処理液を用いて、公知の方法により処理液の塗布及び乾燥を行えばよい。鋼板表面に張力付与性絶縁被膜を更に形成することで、方向性電磁鋼板の磁気特性を更に向上させることが可能となる。
なお、絶縁被膜が形成される鋼板の表面は、処理液を塗布する前に、アルカリなどによる脱脂処理や、塩酸、硫酸、リン酸などによる酸洗処理など、任意の前処理を施してもよいし、これら前処理を施さずに仕上焼鈍後のままの表面であってもよい。
ここで、鋼板の表面に形成される絶縁被膜は、方向性電磁鋼板の絶縁被膜として用いられるものであれば、特に限定されるものではなく、公知の絶縁被膜を用いることが可能である。このような絶縁被膜として、例えば、無機物を主体とし、更に有機物を含んだ複合絶縁被膜を挙げることができる。ここで、複合絶縁被膜とは、例えば、クロム酸金属塩、リン酸金属塩又はコロイダルシリカ、Zr化合物、Ti化合物等の無機物の少なくとも何れかを主体とし、微細な有機樹脂の粒子が分散している絶縁被膜である。特に、近年ニーズの高まっている製造時の環境負荷低減の観点からは、リン酸金属塩やZrあるいはTiのカップリング剤、又は、これらの炭酸塩やアンモニウム塩を出発物質として用いた絶縁被膜が好ましく用いられる。
また、上記のような絶縁被膜形成工程に続いて、形状矯正のための平坦化焼鈍を施しても良い。鋼板に対して平坦化焼鈍を行うことで、更に鉄損を低減させることが可能となる。
以上説明したような工程を経ることで、本実施形態に係る方向性電磁鋼板を製造することができる。以上説明した製造方法によって製造された方向性電磁鋼板は、MnSがグラス被膜中に生成している。更に、上述した製造方法は、従来の製造方法と比較して、特段磁気特性を損なうものではない。すなわち、得られた方向性電磁鋼板は、十分に優れた磁気特性を有したものとなる。
以上、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法について、詳細に説明した
以下では、実施例及び比較例を示しながら、本発明の技術的内容について、更に説明する。なお、以下に示す実施例の条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。また、本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実験例1)
以下の表1に示した成分を含有する鋼片を作製し、1350℃に加熱して熱間圧延に供し、板厚2.3mmの熱延鋼板とした。その後、かかる熱延鋼板に対し、900~1200℃で熱延板焼鈍を施し、その後、冷間圧延を施して、板厚0.19~0.22mmの冷延鋼板とした。上記冷延鋼板に脱炭焼鈍を施し、その後、マグネシア(MgO)を主体とする焼鈍分離剤を塗布して、1200℃で仕上げ焼鈍を施し、仕上げ焼鈍板を製造した。なお、各鋼片について、表1中に記載される成分以外の残部は、Fe及び不純物である。
Figure 0007119474000001
ここで、本実験例の脱炭焼鈍工程における第一昇温工程及び途中冷却工程では、温度T1=320℃、昇温速度H1=350℃/秒、温度T2=280℃、及び、冷却速度C1=-20℃/秒とした。また、本実験例の脱炭焼鈍工程における第二昇温工程では、昇温速度S=500℃/秒とした。また、脱炭焼鈍工程における第一昇温工程の酸素ポテンシャル(PH2O/PH2)P0を、P0=0.01とし、脱炭焼鈍工程における途中冷却工程の酸素ポテンシャル(PH2O/PH2)P0を、P0=0.04とし、脱炭焼鈍工程における均熱工程では、酸素ポテンシャルを0.4の湿潤水素雰囲気とし、830℃の焼鈍温度で150秒間の保持を行った。これらの条件は、いずれも本発明の範囲内となるものである。
その後、鋼板表面に、リン酸金属塩を主体とする絶縁被膜形成用塗布液を塗布して焼き付け、張力付与性絶縁被膜を形成して、方向性電磁鋼板とした。
それぞれの方向性電磁鋼板について、脱炭性及び磁気特性(磁束密度)を評価した。
<磁束密度>
磁束密度は、B8を用いて評価した。B8は、磁界の強さ800A/mにおける磁束密度であり、二次再結晶の良否の判断基準となる。B8=1.89T以上を、二次再結晶したものと判断して、合格とし、B8=1.89T未満を、二次再結晶しなかったものと判断して、不合格とした。なお、熱間圧延工程又は冷間圧延工程において破断が生じたものについては、磁気特性(磁束密度)は、未評価とした(以下に示す表2では、「-」と表記している。)。
<脱炭性>
脱炭性の評価は、磁気時効試験後の鉄損測定により行った。脱炭が不十分な場合、磁気時効処理後に、鉄損が悪値を示すはずである。得られた各方向性電磁鋼板に対して、窒化雰囲気下において150℃で100時間保持、という条件により磁気時効試験を実施した後、SSTにより、鉄損W17/50を測定した。鉄損W17/50は、最大磁束密度が1.7Tであり、周波数が50Hzのときに発生する鉄損を表している。得られた鉄損W17/50の値に応じて、以下の評価基準のように評価を行った。
[評価基準]
EX(Excellent)、特に良好な効果が認められる:0.85未満
VG(Very Good)、良好な効果が認められる:0.85以上0.90未満
G(Good)、比較的良好な効果が認められる:0.90以上0.95未満
F(Fine)、効果が認められる:0.95以上1.00未満
B(Bad)、効果が認められない:1.00以上
また、上記鉄損W17/50の測定とあわせて、残留炭素量の分析も行った。残留炭素量は、炭素硫黄同時分析装置(Leco,CS600)にて測定した。サンプル調整方法はJIS G 0417に準じた方法で行った。この際、残留炭素量が20ppm以下のものを、「A:合格」と判定し、残留炭素量が20ppmを超えたものを、「B:不合格」と判定した。
なお、圧延中に破断したもの、及び、二次再結晶不良のものについては、脱炭性は未評価とした(以下に示す表2では、「-」と表記している。)。
得られた結果を、以下の表2にまとめて示した。
Figure 0007119474000002
上記表2から明らかなように、発明鋼B1~32は、何れも優れた脱炭性及び磁気特性を示した。また、発明鋼B17~B32は、最終板厚が0.19mmと脱炭性にとって好ましい条件を有しており、また、いくつかの鋼種については、鋼片の化学成分として選択元素を含むため、発明鋼B1~B16と比較して、より良好な脱炭性を示した。一方で、いずれかの必須元素の含有量が本発明の範囲外である比較鋼b1~b11においては、十分な磁気特性が得られないか、又は、圧延中に破断が生じた。
(実験例2)
上記表1に示した化学組成を有する鋼片を、1350℃に加熱して熱間圧延に供し、板厚2.3mmの熱延鋼板とした。かかる熱延鋼板に対し、900~1200℃で熱延板焼鈍を施し、その後、冷間圧延を施して、板厚0.19~0.22mmの冷延鋼板とした。
上記冷延鋼板に対し、以下の表3に示す条件で脱炭焼鈍を施した。なお、脱炭焼鈍工程における第一昇温工程及び途中冷却工程は、表3に示す条件で実施した。また、脱炭焼鈍工程の第二昇温工程においては、S=1500℃/sとし、脱炭焼鈍工程の均熱工程においては、酸素ポテンシャル=0.4の湿潤水素雰囲気にて、焼鈍温度830℃で150秒間の保持を行った。その後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布して、1200℃で仕上げ焼鈍を施し、仕上げ焼鈍板を製造した。次いで、仕上げ焼鈍板の表面に、リン酸金属塩を主体とする絶縁被膜形成用塗布液を塗布して焼き付け、張力付与性絶縁被膜を形成して、方向性電磁鋼板とした。
それぞれの方向性電磁鋼板について、脱炭性及び磁気特性(磁束密度)を評価した。評価内容及び評価方法は、実験例1と同様である。得られた結果を、以下の表3にまとめて示した。
Figure 0007119474000003
上記表3から明らかなように、発明鋼C9~C24は、脱炭焼鈍工程における第一昇温工程及び途中冷却工程が、本発明の範囲内となる好ましい条件に制御されており、発明鋼C1~C8と比較して、時効処理後の鉄損評価結果は、より良好な「G」を示した。比較鋼c1~c10は、第一昇温工程及び途中冷却工程が本発明の範囲外となる条件であったため、時効処理後の鉄損評価結果は、いずれも「B」となった。
(実験例3)
上記表1に示した化学組成を有する鋼片を、1350℃に加熱して熱間圧延に供し、板厚2.3mmの熱延鋼板とした。かかる熱延鋼板に対し、900~1200℃で熱延板焼鈍を施し、その後、冷間圧延を施して、板厚0.19~0.22mmの冷延鋼板とした。
上記冷延鋼板に対し、以下の表4に示す条件で脱炭焼鈍を施した。なお、脱炭焼鈍工程における均熱工程では、酸素ポテンシャル0.5の湿潤水素雰囲気にて、焼鈍温度810℃で160秒間の保持を行った。その後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布して、1200℃で仕上げ焼鈍を施し、仕上げ焼鈍板を製造した。次いで、仕上げ焼鈍板の表面に、リン酸金属塩を主体とする絶縁被膜形成用塗布液を塗布して焼き付け、張力付与性絶縁被膜を形成して、方向性電磁鋼板とした。
それぞれの方向性電磁鋼板について、脱炭性及び磁気特性(磁束密度)を評価した。評価内容及び評価方法は、実験例1と同様である。得られた結果を、以下の表4にまとめて示した。
Figure 0007119474000004
発明鋼D8~29は、脱炭焼鈍工程における第一昇温工程及び途中冷却工程が好ましい条件に制御されており、かつ、脱炭焼鈍工程における第二昇温工程が本発明の範囲内に制御されているため、発明鋼D1~D7と比較して、良好な磁気特性を示した。とりわけ、D14~D29は、脱炭焼鈍工程における第一昇温工程及び途中冷却工程がより好ましい条件に制御されているため、磁気特性は「EX」と、非常に良好な結果を示した。発明鋼D31~D33は、脱炭焼鈍工程における第一昇温工程及び途中冷却工程は好ましい範囲に制御されているものの、脱炭焼鈍工程における第二昇温工程の観点から、時効処理後の鉄損評価結果は、「G」にとどまった。
(実験例4)
上記表1に示した化学組成を有する鋼片を、1350℃に加熱して熱間圧延に供し、板厚2.3mmの熱延鋼板とした。かかる熱延鋼板に対し、900~1200℃で熱延板焼鈍を施し、その後、冷間圧延を施して、板厚0.19~0.22mmの冷延鋼板とした。上記冷延鋼板に、脱炭焼鈍を施し、その後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布して、1200℃で仕上げ焼鈍を施し、仕上げ焼鈍板を製造した。
ここで、本実験例の脱炭焼鈍工程における第一昇温工程及び途中冷却工程では、温度T1=320℃、昇温速度H1=340℃/秒、温度T2=280℃、及び、冷却速度C1=-20℃/秒、酸素ポテンシャルP0=0.01とした。これらの条件は、いずれも本発明の範囲内となるものである。また、脱炭焼鈍工程における昇温工程、及び、均熱工程の諸条件は、表5に示した通りである。
次いで、仕上げ焼鈍板の表面に、リン酸金属塩を主体とする絶縁被膜形成用塗布液を塗布して焼き付け、張力付与性絶縁被膜を形成して、方向性電磁鋼板とした。
それぞれの方向性電磁鋼板について、脱炭性及び磁気特性(磁束密度)を評価した。評価内容及び評価方法は、実験例1と同様である。得られた結果を、以下の表5にまとめて示した。
Figure 0007119474000005
上記表5から明らかなように、発明鋼E11~18は、脱炭焼鈍工程の第二昇温工程についてはより好ましい条件ではなかったものの、第一昇温工程及び途中冷却工程が本発明の範囲内に制御されているため、時効後の鉄損評価は「G」と、良好な結果が得られた。発明鋼E19~E22は、脱炭焼鈍工程における第二昇温工程、及び、脱炭焼鈍工程の均熱工程において実施した二段階焼鈍の条件の双方が、好ましい範囲、又は、より好ましい範囲に制御されているため、時効後の鉄損評価が「EX」と、とりわけ良好な磁気特性を示した。発明鋼E23~E26は、均熱工程における二段階焼鈍の条件がいずれも好ましい範囲に制御されているが、脱炭焼鈍工程における第二昇温工程の観点で、時効後の鉄損評価は「VG」にとどまった。
(実験例5)
上記表1に示した化学組成を有する鋼片を、1350℃に加熱して熱間圧延に供し、板厚2.3mmの熱延鋼板とした。かかる熱延鋼板に対し、900~1200℃で熱延板焼鈍を施し、その後、冷間圧延を施して、板厚0.19~0.22mmの冷延鋼板とした。上記冷延鋼板に、脱炭焼鈍を施し、その後、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布して、1200℃で仕上げ焼鈍を施し、仕上げ焼鈍板を製造した。
ここで、本実験例の脱炭焼鈍工程における第一昇温工程及び途中冷却工程では、温度T1=330℃、昇温速度H1=370℃/秒、温度T2=300℃、及び、冷却速度C1=-20℃/秒、酸素ポテンシャルP0=0.005とした。これらの条件は、いずれも本発明の範囲内となるものである。また、脱炭焼鈍工程における第二昇温工程、及び、均熱工程の諸条件は、表6に示した通りである。
次いで、仕上げ焼鈍板の表面に、リン酸金属塩を主体とする絶縁被膜形成用塗布液を塗布して焼き付け、張力付与性絶縁被膜を形成して、方向性電磁鋼板とした。
それぞれの方向性電磁鋼板について、脱炭性及び磁気特性(磁束密度)を評価した。評価内容及び評価方法は、実験例1と同様である。得られた結果を、以下の表6にまとめて示した。
Figure 0007119474000006
上記表6から明らかなように、発明鋼F2、F7、F12、F17、F22、F27、F32、F37、F42は、脱炭焼鈍工程における均熱工程において、二段階焼鈍を実施しており、その制御範囲が好ましい発明範囲に含まれるものの、脱炭焼鈍工程における第二昇温工程の観点から、時効後の鉄損評価は、「G」にとどまった。
発明鋼F4、F9、F14、F19、F24、F29、F34、F39、F44は、脱炭焼鈍工程の第二昇温工程については、本発明の好ましい範囲内となっている。しかしながら、均熱工程において二段階焼鈍を実施しておらず、時効後の鉄損評価は、「G」にとどまった。
発明鋼F1、F6、F11、F16、F21、F26、F31、F36、F41は、脱炭焼鈍工程における途中冷却条件(H1、T2、C1)は、好ましい範囲に制御されているものの、脱炭焼鈍工程における第二昇温工程については、好ましい範囲ではなく、均熱工程において二段階焼鈍を実施していない。ただし、発明鋼F11、F26、F41は、最終板厚が0.19mmであったため、発明鋼F1、F6、F16、F21、F31、F36における時効後の鉄損評価「F」と比較して、良好な評価結果である「G」が得られた。
発明鋼F3、F5、F8、F10、F13、F15、F18、F20、F23、F25、F28、F30、F33、F35、F38、F40、F43、F45は、脱炭焼鈍工程における第二昇温工程は、本発明の好ましい範囲内となっており、続く均熱工程では、二段階焼鈍を実施しているため、他の発明鋼と比較して、時効後の鉄損評価は、良好な結果が得られた。とりわけ、発明鋼F5、F10、F15、F20、F25、F30、F35、F40、F45は、脱炭焼鈍工程における第二昇温工程がより好ましい範囲に制御されていたため、時効後の鉄損評価は「EX」と、非常に良好だった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 方向性電磁鋼板
11 母材鋼板
13 グラス被膜
15 張力付与性絶縁被膜

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C:0.01~0.20%
    Si:2.5~4.0%
    Sol.Al:0.01~0.07%
    Mn:0.01~0.50%
    Cr:0.01~0.50%
    N:0.02%以下
    S:0.005~0.080%
    Se:0~0.080%
    Sb:0~0.50%
    Bi:0~0.02%
    Sn:0~0.50%
    Cu:0~1.0%
    を含有し、残部がFe及び不純物からなる鋼片を加熱した後に熱間圧延し、熱延鋼板を得る熱間圧延工程と、
    前記熱延鋼板を焼鈍して、熱延焼鈍鋼板を得る熱延板焼鈍工程と、
    前記熱延焼鈍鋼板に対し、一回の冷間圧延、又は、中間焼鈍をはさむ複数の冷間圧延を施して、冷延鋼板を得る冷間圧延工程と、
    前記冷延鋼板に対して脱炭焼鈍を施して、脱炭焼鈍鋼板を得る脱炭焼鈍工程と、
    前記脱炭焼鈍鋼板に対して焼鈍分離剤を塗布した後に、仕上げ焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程と、
    仕上げ焼鈍後の鋼板表面に絶縁被膜を形成する絶縁被膜形成工程と、
    を含み、
    前記脱炭焼鈍工程は、
    前記冷延鋼板を、室温から下記式(1)を満足する温度T1(℃)まで、下記式(2)を満足する昇温速度H1(℃/秒)で昇温する第一昇温工程と、
    前記温度T1(℃)に到達した前記冷延鋼板を、一旦、下記式(3)を満足する温度T2(℃)まで、下記式(4)を満足する冷却速度C1(℃/秒)で冷却する途中冷却工程と、
    前記冷延鋼板を、前記温度T2(℃)から昇温する第二昇温工程と、
    昇温後の前記冷延鋼板を焼鈍する均熱工程と、
    を有しており、
    前記第一昇温工程及び前記途中冷却工程における酸素ポテンシャルP0が、下記式(5)を満足する、方向性電磁鋼板の製造方法。
    200 ≦ T1 ≦ 500 ・・・式(1)
    100 ≦ H1 ≦ 800 ・・・式(2)
    T1-100 ≦ T2 ≦ T1-10 ・・・式(3)
    -40 ≦ C1 < 0 ・・・式(4)
    0.0001≦ P0 ≦ 0.5 ・・・式(5)
  2. 前記脱炭焼鈍工程での前記第二昇温工程において、前記温度T2から脱炭焼鈍温度までの昇温速度S(℃/秒)は、下記式(6)を満足する、請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
    400 ≦ S ≦ 2000 ・・・式(6)
  3. 前記脱炭焼鈍工程での前記均熱工程は、
    0.1以上1.0以下の酸素ポテンシャルP2の雰囲気中、700℃以上900℃以下の温度T3(℃)で10秒以上1000秒以下保持する第一均熱工程と、
    当該第一均熱工程に続いて実施され、下記式(7)を満足する酸素ポテンシャルP3の雰囲気中、下記式(8)を満足する温度T4(℃)で、5秒以上500秒以下保持する第二均熱工程と、を含む、請求項1又は2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
    P3 < P2 ・・・式(7)
    T3+50 ≦ T4 ≦ 1000 ・・・式(8)
  4. 前記方向性電磁鋼板の板厚は、0.17mm以上0.22mm未満である、請求項1~3の何れか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 前記鋼片は、Biを、0.001~0.020質量%含有する、請求項1~4の何れか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  6. 前記鋼片は、0.005~0.500質量%のSn、及び、0.01~1.00質量%のCuの少なくとも何れかを含有する、請求項1~5の何れか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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