JP7111485B2 - 接着構造体の製造方法 - Google Patents
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Description
前記粘接着剤層と接触して反応することにより前記粘接着剤層を硬化しうる硬化剤層を、前記粘接着剤層上に配置する工程(2)、および、
前記工程(2)の完了から5分超150分以下経過後に、第2被着体を前記第1被着体の前記粘接着剤層及び前記硬化剤層を配置した側に接触させる工程(3)
を備える、接着構造体の製造方法に関する。
なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、実際の製品のサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
以下、各工程について説明する。
工程(1)では、図1(A)に示すように、粘接着剤層1を第1被着体2に配置する。
粘接着剤層1は、硬化剤層3と接触して反応することにより、硬化する層(シート)であり、面方向(厚み方向に直交する方向)に沿って延び、平坦な表面と裏面とを有する略平板形状を有する。
粘接着剤組成物は、好ましくは、エポキシ樹脂を主成分として含有する。これによれば、第1被着体2と第2被着体4とを簡便かつ強固に接着することができるため好ましい。
エポキシ樹脂としては、好ましくは、ビスフェノール系エポキシ樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂は、単独で用いることができ、2種以上を併用することもできる。
また、液状のエポキシ樹脂の固形状のエポキシ樹脂に対する配合割合が、上記の上限以下であれば、タックのある層状の粘接着剤層を得ることができるため好ましい。
また、常温で固体のエポキシ樹脂がエポキシ樹脂全体に占める割合は、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下である。常温で固体のエポキシ樹脂がエポキシ樹脂全体に占める割合が60質量%以下であれば、粘接着剤組成物の粘度を低減させて、塗膜のムラの発生を防止して、均一な粘接着剤層1を得ることができるため好ましい。
(メタ)アクリレートは、アルキルメタアクリレートおよび/またはアルキルアクリレートであって、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレートなどの炭素数1~20のアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(メタ)アクリレートとして、好ましくは、炭素数2~14のアルキル(メタ)アクリレート、より好ましくは、炭素数4~9のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリレートは、単独で用いることができ、2種以上を併用することもできる。
共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有モノマーまたはその酸無水物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリロニトリル;N-(メタ)アクリロイルモルホリン;N-ビニル-2-ピロリドンなどが挙げられる。
共重合性モノマーとしては、好ましくはカルボキシル基含有モノマー、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート等が挙げられ、より好ましくは(メタ)アクリル酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの共重合性モノマーは、単独で用いることができ、2種以上を併用することもできる。好ましくは、カルボキシル基含有モノマーおよびヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの併用、より好ましくは、(メタ)アクリル酸および2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの併用が挙げられる。
溶液重合では、例えば、溶媒に、モノマー成分と、重合開始剤とを配合して、モノマー溶液を調製し、その後、モノマー溶液を加熱する。
また、アクリル系ポリマーの配合割合は、エポキシ樹脂100質量部に対して、例えば50質量部以上、好ましくは150質量部以上、より好ましくは200質量部以上であり、また、例えば300質量部以下、好ましくは250質量部以下である。
また、アクリル系ポリマーの配合割合が、上記の上限以下であれば、粘接着剤組成物を硬化させやすいため好ましい。
また、硬化剤が後述するイミダゾール化合物である場合には、その配合割合は、具体的には、エポキシ樹脂100質量部に対して、例えば0.05質量部以上、好ましくは0.15質量部以上であり、また、例えば5質量部以下、好ましくは3質量部以下である。
また、硬化剤が後述するアミン化合物などである場合には、その配合割合は、具体的には、エポキシ樹脂100質量部に対して、例えば30質量部以下、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
また、硬化剤の配合割合が、上記の上限以下であれば、粘接着剤層1が完全硬化することを抑制し、粘接着剤層1と硬化剤層3との反応性の低下を抑制でき、後述する硬化層5を確実に形成できるため好ましい。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、例えば、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、例えば、それらイソシアネートの変性物(具体的には、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物など)などが挙げられる。
架橋剤としては、好ましくは、イソシアネートの変性物が挙げられる。
剥離フィルムとしては、好ましくは、ポリエステルフィルム、より好ましくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムが挙げられる。
粘接着剤層1の厚みは、硬化後の接着性を確保するためには、例えば1μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上である。また、粘接着剤層1の厚みは、硬化剤による硬化性を確保するためには、例えば1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下である。特に、良好な硬化性と、硬化後の高い接着性を両立するためには、粘接着剤層1の厚みは10~100μmであることが好ましい。
硬化剤層3は、粘接着剤層1と接触して反応することにより粘接着剤層1を硬化させることができる層であり、面方向(厚み方向に直交する方向)に沿って延び、平坦な表面と裏面とを有する略平板形状を有する。
硬化剤としては、層を形成することができる2液型接着剤の硬化剤であれば特に制限されず、粘接着剤組成物が、シリコーン化合物である場合は、シリコーン化合物などが挙げられ、粘接着剤組成物が、ポリオール化合物である場合は、イソシアネートなどが挙げられ、ウレタン樹脂である場合は、ウレタン樹脂硬化剤が挙げられ、エポキシ樹脂である場合は、例えば、イミダゾール化合物、アミン化合物などのエポキシ樹脂硬化剤が挙げられる。
硬化剤としては、好ましくは、イミダゾール化合物が挙げられる。イミダゾール化合物としては、常温で液状であってもよく、あるいは固体状であってもよい。なお、常温で固体状のイミダゾール化合物としては、溶媒に溶解できるものが好ましい。
硬化剤は、単独で用いることができ、2種以上を併用することもできる。
なお、硬化剤は、常温で液状であってもよく、固体状であってもよい。硬化剤が固形状であれば、必要により、溶媒で硬化剤を溶解して、ワニスを調製する。溶媒としては、粘接着剤組成物を溶解できるものであればよく、例えば、上記した溶媒が挙げられる。
すなわち、まず、硬化剤成分のワニスを剥離シート(図示せず)の表面に塗布し、必要により、乾燥させる。これにより、硬化剤層3を剥離シートの表面に形成する。その後、硬化剤層3を剥離シートから粘接着剤層1の表面に転写して貼り合わせる。
続いて、工程(3)として、工程(2)の完了から5分超150分以下の時間経過後に、例えば図1(C)に示すように、第2被着体4を第1被着体2の粘接着剤層1及び硬化剤層3を配置した側に接触させる。
すなわち、工程(2)の完了から5分超150分以下の時間経過後においては、硬化剤層3(硬化剤)が粘接着剤層1に適度に含浸し、かつ硬化が進行しすぎない状態であるため、粘接着剤層1単体よりも柔軟になり、その結果、第2被着体4を貼り合わせた際の密着性が向上し、より高い接着力で接着されると推察される。
また、第2被着体を第1被着体の粘接着剤層及び硬化剤層を配置した側に接触させる工程(3)は、工程(2)の完了から150分以下、好ましくは130分以下、より好ましくは120分以下経過したときに行う。
すなわち、工程(2)の完了後、第2被着体4を第1被着体2の粘接着剤層1及び硬化剤層3を配置した側に接触させるまでの間においては、硬化剤層3中の硬化剤成分の少なくとも一部が粘接着剤層1中に含浸するとともに、粘接着剤層1の硬化反応が部分的に進行する。したがって、第2被着体4を第1被着体2の粘接着剤層1及び硬化剤層3を配置した側に接触させる段階において、第1被着体2の粘接着剤層1及び硬化剤層3を配置した側の最表面(第2被着体を接触させる側の最表面)は、硬化剤層3の硬化剤成分が含浸し、硬化反応が一部進行した粘接着剤層(以下において、「反応層」ともいう)となっている場合がある。本実施形態の製造方法は、このようにして第1被着体2上に形成された反応層上に第2被着体4を接触させる態様をも包含するものである。
反応温度が常温であれば、粘接着剤層1と硬化剤層3とを反応させるための加熱を必要とせず、第1被着体2と第2被着体4とをより一層簡便に接着することができる。
すなわち、2枚の剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムに挟まれた粘接着剤層1から、一方のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、剥離された粘接着剤層1を第1のSS400鋼板に配置し、その後、他方のポリエチレンテレフタレートフィルムを粘接着剤層1から引き剥がす。その後、硬化剤層3を粘接着剤層1上に配置する。次いで、5分超150分以下という所定の時間経過後に、第2のSS400鋼板を第1のSS400鋼板の粘接着剤層1と硬化剤層3とを配置した側に接触させ、3日間放置して硬化層5を形成させる。その後、第1のSS400鋼板および第2のSS400鋼板を剪断方向に、速度5mm/分で引っ張り、2枚の第2のSS400鋼板が剥がれた際の強度を剪断接着力とする。
なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
また、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。
(粘接着剤層の製造)
液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「jER828」、三菱ケミカル社製)69部と、固形状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「jER1256」、三菱ケミカル社製)30部と、固形状のノボラック型多官能エポキシ樹脂(商品名「jER157S70」、三菱ケミカル社製)1部とを混合し、濃度(液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、固形状のビスフェノールA型エポキシ樹脂及び固形状のノボラック型多官能エポキシ樹脂の濃度)が65%になるようにメチルエチルケトンを加えて希釈し、ワニスを調製した。これを乾燥後の厚みが50μmになるように、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「ダイアホイルMRF#38」、三菱ケミカル社製)の剥離処理面に塗工し、80℃で3分、加熱して乾燥させ、粘接着剤層を得た。その後、粘接着剤層を、別のポリエチレンテレフタレートフィルムに、粘接着剤層が2枚のポリエチレンテレフタレートフィルムに挟まれるように、接触させた。
1-イソブチル-2-メチルイミダゾール(常温液体、商品名「IBMI12」、三菱ケミカル社製)40部とエタノール60部を配合することにより、硬化剤を調製した。
上記のように作製した粘接着剤層を幅20mm×長さ10mmのサイズにカットし、その後、一方のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、露出された粘接着剤層に幅20mm×長さ80mm×厚み2.3mmの第1のSS400鋼板の先端を配置した。次いで、他方のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した。
その後、これを引張圧縮試験機(装置名「AG-X」、島津製作所社製)にて、剪断方向(長さ方向)に、剥離速度5mm/分で2つのSS400鋼板を引っ張り、2つのSS400鋼板のうち一方が剥がれた際の試験力を測定した。剪断接着力は以下の式により算出した。
剪断接着力(MPa)= 試験力(N)/200mm2 (1)
その結果を表1に示す。
ここで、剪断接着力が7.0MPa以上であれば、2枚のSS400鋼板が強固に接着されていると評価できる。
以下のようにして、硬化層の100℃での引張貯蔵弾性率を測定した。
粘着剤層に硬化剤層を配置し、3日間放置した。このようにして得られた硬化層を幅10mm×長さ50mmに切り出した。これを、動的粘弾性測定装置(装置名「RSA-G2」、TA Instruments社製)を用いて、ギャップ間距離15mm、昇温速度5℃/分で測定を行った。
硬化層の100℃における引張貯蔵弾性率の測定結果を表1に示す。
粘接着剤層の製造条件、粘接着剤層の厚み、硬化剤の組成および硬化剤塗布後に第2のSS400鋼板を貼付するまでの経過時間を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、接着接合体を製造した。
得られた接着接合体について、実施例1と同様の手法で剪断接着力を測定した。また、実施例1と同様の手法によって、硬化層の100℃での引張貯蔵弾性率を測定した。
その結果を表1に示す。
・jER828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、常温(25℃)液体、粘度(25℃)120Pa・s~150Pa・s、三菱ケミカル社製
・jER1256:高分子量ビスフェノールA型エポキシ樹脂、常温(25℃)固形、軟化点85℃、三菱ケミカル社製
・jER157S70:ノボラック型多官能エポキシ樹脂、常温(25℃)固形、25℃ジオキサン50%溶液の粘度:0.65~0.85dPa・s、三菱ケミカル社製
・jER806:ビスフェノールF型エポキシ樹脂、常温(25℃)液体、粘度(25℃)15~25dPa・s、三菱ケミカル社製
・jER4010P:ビスフェノールF型エポキシ樹脂、常温(25℃)固形、ブチルカルビトール40%溶液ガードナー形泡粘度計法:Z4~Z6、三菱ケミカル社製
・jER152:クレゾールノボラック型多官能エポキシ樹脂、常温(25℃)液体、粘度(52℃)14~18dPa・s、三菱ケミカル社製
・IBMI12:1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、常温液体、粘度(25℃)4~12mPa.s、三菱ケミカル社製
・RX300-5:シリカ、日本アエロジル社製
・MEK:メチルエチルケトン
・EtOH:エタノール
2 第1被着体
3 硬化剤層
4 第2被着体
5 硬化層
6 接着構造体
Claims (8)
- 感圧接着性を有する粘接着剤層を剥離フィルムから第1被着体上に転写して配置する工程(1)、
前記粘接着剤層と接触して反応することにより前記粘接着剤層を硬化しうる硬化剤層を、前記粘接着剤層上に配置する工程(2)、および、
前記工程(2)の完了から5分超150分以下経過後に、第2被着体を前記第1被着体の前記粘接着剤層及び前記硬化剤層を配置した側に接触させる工程(3)
を備える、接着構造体の製造方法。 - 前記工程(2)において、前記粘着剤層上に硬化剤を塗布することにより前記硬化剤層を配置する、請求項1に記載の製造方法。
- 前記工程(2)において、前記粘着剤層上に前記硬化剤層を貼り合わせることにより前記硬化剤層を配置する、請求項1に記載の製造方法。
- 前記粘接着剤層と前記硬化剤層との反応により形成される硬化層の剪断接着力が7.0MPa以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記粘接着剤層がエポキシ樹脂を主成分として含有し、前記エポキシ樹脂全体の20質量%以上が50℃未満で固体のエポキシ樹脂である、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記粘接着剤層の厚みが10~100μmである、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記粘接着剤層は多官能エポキシ樹脂を0.5質量%以上含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記硬化剤層は、硬化剤としてイミダゾール化合物を含有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
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