JP4321911B2 - 熱硬化型接着剤とその接着シ―ト類 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品の固定用途などに用いられる熱硬化型接着剤と、そのシ―ト状やテ―プ状などの接着シ―ト類とに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子部品の固定用途などに、種々の接合材料が使用されている。この種の用途では、強接着性に加え、電子部品を基板に実装するときのハンダリフロ―に耐える高耐熱性が必要である。また、接着時の濡れ性を確保するため、通常、熱プレスで接着処理しているが、生産性の向上、熱接着時の部品の損傷の低減などの理由により、低圧、短時間の接着条件が求められている。
【0003】
この要望に対し、加熱処理により硬化する熱硬化型接着剤が提案されている。熱硬化性接着剤は、ガラス転移温度が室温以上のため、室温では粘着性がなく、熱プレスでの接着時に気泡の抱き込みなどがなく、良好に接着処理でき、耐熱性にもすぐれている。しかし、この熱硬化性接着剤は、未反応の低分子量分を多く含み、これが熱プレス時に流動して被着体に対する濡れを良くし、短時間接着を可能とする反面、その後の硬化反応時の収縮にて応力が残留し、長期の連続高温使用下で容易に剥離する問題があつた。また、この硬化収縮を回避するため、あらかじめ部分的に反応させる(Bステ―ジ化する)手法も考えられているが、この場合、プレス接着処理に長時間を要し、短時間処理に適さない。
【0004】
また、粘着テ―プなどでは、粘着剤のガラス転移温度が−50℃以下のため、常温で粘着性を有しており、なんの予備操作もなしに目的物に貼り付けでき、この貼り付けでただちに接着強度を発現できる。また、一般に未反応物を含んでいないため、常温保存が可能であり、特性の経時変化が少ないなどの利点がある。しかし、この種の粘着テ―プは、粘着性のために、熱プレス時に気泡の抱き込みなどが生じやすく、100℃以上の高温になると、抱き込んだ気泡の膨張により剥離や発泡などが起こる問題がある。しかも、接着強度や耐熱性が、熱硬化型接着剤に比べて、かなり劣るという問題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に照らし、常温で粘着性が低く、プレス接着時に気泡の抱き込みなどを生じず、低圧、短時間とくに数秒以内の加熱処理で強固に接着処理でき、高温での連続使用下でも接着力の大きな低下などの不都合がなく、ハンダリフロ―に耐える高耐熱性を発揮する、信頼性にすぐれた熱硬化型接着剤とその接着シ―ト類を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的に対する鋭意検討の過程において、まず、アクリル系重合体の合成に際し、粘着シ―ト類の作製に一般に用いられているアルキル基の炭素数が平均2〜14個の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これに粘着性をなくすためにポリマ―のガラス転移温度が高くなる単量体を加えて共重合させ、これにエポキシ樹脂などを加えた系で検討したところ、粘着性の低い接着シ―ト類の作製はできるが、接着性、耐熱性ともに満足できるものは得られなかつた。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、ポリマ―のガラス転移温度が−30℃以上となるようなアルキル基を持つた単量体を用い、上記同様に接着シ―ト類の作製を試みたが、非常にもろい接着シ―ト類となり、可撓性、柔軟性の点で満足できるものは得られなかつた。
【0007】
本発明者らは、上記の知見を踏まえて、さらに検討した結果、ホモポリマ―のガラス転移温度が−30℃以上となる特定の分子構造を持つ(メタ)アクリル酸エステルを使用し、これにエポキシ樹脂と架橋結合を起こさせるための官能基を持つモノエチレン性不飽和単量体を加えて共重合させ、得られる非粘着性重合物にさらに低圧、短時間のプレス接着を実現するための特定の流動性付与成分と、耐熱性向上成分としてのエポキシ樹脂を加えたものによれば、可撓性、柔軟性に富むシ―ト状物などを形成でき、このものは、常温での粘着性が低く、プレス接着時に気泡の抱き込みなどを生じず、低圧、短時間とくに数秒以内の加熱処理で強固に接着処理できるとともに、高温での連続使用下においても硬化収縮による残留応力に起因した接着力の大きな低下などがみられず、またハンダリフロ―に耐える高耐熱性を発揮する、信頼性に非常にすぐれた熱硬化型接着剤とその接着シ―ト類が得られることを知り、本発明を完成するに至つた。
【0008】
すなわち、本発明は、a)つぎの式(1);
(式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 はメチレン基、エチレン基またはプロピレン基、n=1〜3の整数、φはフエニル基、モノアルキル置換フエニル基またはジアルキル置換フエニル基である)
で表される、ホモポリマ―のガラス転移温度(以下、Tgという)が−30℃以上である(メタ)アクリル酸エステル70〜99重量%と、これと共重合可能でエポキシ樹脂と反応する官能基を持つモノエチレン性不飽和単量体30〜1重量%とからなる単量体混合物の非粘着性重合物100重量部に、b)軟化点が80〜200℃である流動性付与樹脂3〜30重量部と、c)エポキシ樹脂5〜30重量部とを含ませてなり、かつ上記c成分のエポキシ樹脂の硬化剤を実質的に含まないことを特徴とする熱硬化型接着剤(請求項1)に係るものであり、とくに、上記a成分の非粘着性重合物が紫外線などの放射線の照射による重合物である上記構成の熱硬化型接着剤(請求項2)に係るものである。また、本発明は、基材の片面または両面に上記構成の熱硬化型接着剤からなる層を有することを特徴とする接着シ―ト類(請求項3)に係るものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における単量体混合物は、式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルと、これと共重合可能でエポキシ樹脂と反応する官能基を持つモノエチレン性不飽和単量体との混合物である。前者の(メタ)アクリル酸エステルは、その30重量%までを、アクリル系粘着剤の改質用単量体として知られる酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルなどのエポキシ樹脂と反応する官能基を持たないビニル系単量体に置換してもよいが、共重合物のTgが低下して粘着性を示すことのないように、各単量体の種類に応じてその置換量が決められる。
【0010】
式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルは、ホモポリマ―のTgが−30℃以上、好ましくは−10℃以上となるものであり、代表的なものとして、フエノキシエチル(メタ)アクリレ―ト、フエノキシプロピル(メタ)アクリレ―ト、ノニルフエノキシエチル(メタ)アクリレ―ト、ノニルフエノキシプロピル(メタ)アクリレ―トなどがある。また、フエノ―ル、クレゾ―ルノニルフエノ―ルなどのエチレンオキシド付加物、プロピレンオキシド付加物など(付加モル数3まで)と(メタ)アクリル酸とのエステルなども好ましく用いられる。これらのエステルは、1種または2種以上用いられる。
【0011】
上記エステルと共重合可能でエポキシ樹脂と反応する官能基を持つモノエチレン性不飽和単量体は、上記エステルとの共重合により生成する非粘着性重合物とエポキシ樹脂との間で架橋結合を起こさせ、これにより耐熱性や接着性を改善、改質する目的で用いられる。このような単量体には、エポキシ樹脂と反応する官能基としてカルボキシル基を持つカルボキシル基含有単量体、同官能基として水酸基を持つ水酸基含有単量体がある。カルボキシル基含有単量体にはアクリル酸、メタクリル酸、カプロラクトン変性アクリレ―トなどがあり、水酸基含有単量体には2−ヒドロキシ−3−フエノキシプロピルアクリレ―トなどがある。これらは、必要により1種または2種以上用いられる。なお、エポキシ樹脂と反応する官能基としてアミノ基を持つアミノ基含有単量体は、エポキシ樹脂との反応性が強すぎて、貯蔵安定性が低下するため、好ましくない。
【0012】
単量体混合物において、式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルと、これと共重合可能でエポキシ樹脂と反応する官能基を持つモノエチレン性不飽和単量体との使用割合としては、前者の(メタ)アクリル酸エステルが70〜99重量%、好ましくは85〜95重量%で、後者の共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体が30〜1重量%、好ましくは15〜5重量%となるようにするのがよい。このような使用割合とすることにより、熱硬化型接着剤としての耐熱性や接着性などのバランスをうまくとることができる。
【0013】
本発明では、上記の単量体混合物を重合させて、a成分である非粘着性重合物を得る。重合は、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法など適宜の重合方式を採用できるが、紫外線や電子線などの放射線の照射による塊状重合法が好ましい。これによれば、有機溶剤の残存による電子部品の腐食、高温での気化膨張による膨れ、剥がれ、ずれ、乳化剤のブリ―ドによる汚染、接着不良、耐湿性低下などの心配がなく、また比較的弱い強度の紫外線などを照射することで重合物の分子量を高くでき、高い架橋度と大きな凝集力を有する耐熱性にとくにすぐれた非粘着性重合物が得られる。重合には、重合触媒として、熱重合開始剤や光重合開始剤が用いられ、また過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などや、これらと還元剤とからなるレドツクス系開始剤なども使用できる。
【0014】
本発明の熱硬化型接着剤は、上記のようにして得られるa成分である非粘着性重合物とともに、b成分である軟化点が80〜200℃である流動性付与樹脂とc成分であるエポキシ樹脂を必須成分としたものである。これらb成分およびc成分は、非粘着性重合物を得たのちに配合してもよいし、得る前の単量体混合物中に配合してもよい。とくに、単量体混合物の重合を紫外線などの放射線の照射により行う場合は、単量体混合物中に上記b成分およびc成分を混合した状態で紫外線などの放射線を照射して重合させるのが望ましい。
【0015】
b成分としての流動性付与樹脂は、軟化点(または融点)が80〜200℃、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜150℃のものであり、ロジン系、テルペン系、合成石油系、フエノ―ル系、キシレン系など、一般に、粘着付与樹脂として知られる各種の樹脂をいずれも使用できる。このような流動性付与樹脂を配合することにより、熱硬化型接着剤に適度の流動性が付与されて低圧、短時間とくに数秒以内の加熱処理て強固に接着させることができる。この流動性付与樹脂の軟化点が80℃より低いと、低圧、短時間の接着には有利であるが、耐熱性が不十分となり、200℃を超えると、プレス接着時に流動性付与成分として機能しなくなり、短時間での接着が困難となる。
【0016】
このような流動性付与樹脂の使用量としては、非粘着性重合物100重量部あたり、3〜30重量部の範囲内、好ましくは5〜15重量部の範囲内で、その種類や非粘着性重合物の種類に応じて、適宜決められる。上記の使用量が3重量部より少ないと、プレス接着時に流動性付与成分として機能しなくなり、低圧、短時間での接着が困難となり、30重量部よりも多くなると、低圧、短時間での接着には有利であるが、耐熱性が不十分となる。
【0017】
c成分としてのエポキシ樹脂は、分子内に2個以上のエポキシ基を含有する化合物であり、たとえば、ビスフエノ―ルエポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、フエノリツクエポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフエノ―ルエポキシ樹脂などを挙げることができ、これらの中から、その1種または2種以上が用いられる。なお、単量体混合物中にエポキシ樹脂を混合した状態で放射線重合する場合は、分子内に放射線重合基を持たないエポキシ樹脂が用いられる。
【0018】
このようなエポキシ樹脂の使用量としては、非粘着性重合物100重量部あたり、5〜30重量部の範囲内、好ましくは5〜20重量部の範囲内で、その種類や非粘着性重合物の種類に応じて、適宜決められる。上記の使用量が5重量部より少ないと、非粘着性重合物とエポキシ樹脂との架橋反応が十分に進行しないため、耐熱性が不十分となる。また、上記の使用量が30重量部より多くなると、高温での連続使用において、接着剤硬化物の過剰な架橋に起因して、接着強度の低下が起こりやすくなり、信頼性を損なう結果となる。
【0019】
本発明の熱硬化型接着剤には、接着剤としての保持特性を向上させるため、交叉結合剤として、イソシアネ―ト系化合物、エポキシ系化合物などの公知の架橋剤や、光重合を行う場合などには、トリメチロ―ルプロパントリ(メタ)アクリレ―ト、ペンタエリスリト―ルテトラ(メタ)アクリレ―ト、1,2−エチレングリコ―ルジ(メタ)アクリレ―ト、1,6−ヘキサンジオ―ルジ(メタ)アクリレ―トなどの多官能(メタ)アクリレ―トを含有させるのが望ましい。
【0020】
上記の架橋剤や多官能(メタ)アクリレ―トからなる交叉結合剤の使用量は、単量体混合物100重量部に対し、通常0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部の範囲とするのがよい。多官能(メタ)アクリレ―トを用いる場合、上記範囲内で2官能の場合は多く、3官能やそれ以上の多官能の場合は少なくするのがよい。上記使用量が少なすぎると、重合後の架橋度を十分に高くできず、保持特性の低下を招きやすく、逆に多すぎると、熱硬化型接着剤の弾性率が極端に高くなり、接着不良などの接着性の低下を引き起こしやすい。
【0021】
本発明の熱硬化型接着剤には、任意成分として、可塑剤、軟化剤、充填剤、顔料、染料、老化防止剤などの従来公知の各種の添加剤を、接着剤の諸特性を低下させない程度に添加することができる。しかし、任意成分のひとつとして、エポキシ樹脂の硬化剤として知られるイミダゾ―ル、ジシアンジアミド、ポリアミンなどの一般の硬化剤を添加することはできない。ただし、これら硬化剤が存在しても、エポキシ樹脂との硬化反応が加熱処理を施す前に実質的に進行せず、貯蔵安定性を大きく損なうおそれのないときは、その限りではない。本発明において“実質的に含まない”とは、このような意味である。
【0022】
本発明の熱硬化型接着シ―ト類は、基材の片面または両面に、上記のa〜c三成分を必須とした熱硬化型接着剤からなる層を設けて、シ―ト状やテ―プ状などの形態としたものである。上記の層は、あらかじめ適宜の重合法でa成分である非粘着性重合物を得、これにb成分の流動性付与樹脂、c成分のエポキシ樹脂および架橋剤などを加えて熱硬化型接着剤を調製し、これを基材上に塗工し、必要に応じ加熱などにより架橋処理する方式で形成できる。また、より好ましくは、重合前の単量体混合物またはその部分重合物にb成分の流動性付与樹脂、c成分のエポキシ樹脂および多官能(メタ)アクリレ―トなどを加えた放射線重合性組成物を調製し、これを基材上に塗工し紫外線などの放射線を照射して重合させ、a成分である非粘着性重合物の合成と同時に層形成するのがよい。この方法によれば、接着剤の耐熱性により好結果を得ることができる。
【0023】
基材としては、ポリエステルフイルムなどの合成樹脂フイルムや繊維基材などの非剥離性基材のほか、剥離紙などの剥離性基材を使用できる。剥離性基材の場合、この上に形成した熱硬化型接着剤からなる層を最終的に非剥離性基材の上に転写してもよい。本発明の接着シ―ト類には、基材としてこのような非剥離性基材を用いたものと剥離性基材を用いたものとの両方が含まれる。
【0024】
本発明の熱硬化型接着シ―ト類は、上記した特定の非粘着性重合物に耐熱性を低下させない程度の少量の流動性付与樹脂と上記重合物と架橋反応させる少量のエポキシ樹脂を含ませたことにより、常温での粘着性が低くて、プレス接着時に気泡の抱き込みなどを生じず、低圧、短時間とくに数秒以内の加熱処理で強固な接着性を発現でき、しかも80℃以上の高温での連続使用下においても硬化収縮による残留応力に起因した接着力の大きな低下や剥離などの不都合がなく、かつハンダリフロ―に耐える高耐熱性を発揮し、また加熱処理を施す前の状態では架橋反応などがほとんど進行せず、貯蔵安定性の面でもすぐれている。このため、電子部品の固定用途などとして、また耐熱フイルムや金属板などの接合材料として、その他上記特徴を生かした幅広い用途に使用できる。
【0025】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味するものとする。
【0026】
実施例1
冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌機を備えた反応容器に、酢酸エチル210部を溶媒として、フエノキシエチルアクリレ―ト(ホモポリマ―のTg:−10℃)95部、アクリル酸5部、過酸化ベンゾイル0.3部を入れ、窒素気流中で重合処理して、固形分が約30重量%の非粘着性重合物の溶液を得た。この溶液に、その固形分100部あたり、フエノ―ル樹脂〔三井東圧化学(株)製の商品名「XL−225L」、軟化点:85℃〕5部、エポキシ樹脂(油化シエルエポキシ社製の商品名「エピコ―ト828」)15部、多官能イソシアネ―ト系架橋剤1部を、均一に混合して、熱硬化型接着剤溶液を調製した。つぎに、この熱硬化型接着剤溶液を剥離性基材上に塗布し、130℃で5分間乾燥処理して、厚さが100μmの熱硬化型接着剤層を形成し、接着シ―トを作製した。
【0027】
実施例2
四つ口フラスコに、フエノキシエチルアクリレ―ト90部、アクリロイルモルフオリン5部、アクリル酸5部、2,2−ジメトキシ−2−フエニルアセトフエノン0.05部を投入し、窒素雰囲気下紫外線を照射して部分的に光重合させ、粘度が約30ポイズのシロツプを得た。この部分重合したシロツプ100部に、フエノ―ル樹脂〔三井東圧化学(株)製の商品名「XL−225L」、軟化点:85℃〕5部、エポキシ樹脂(油化シエルエポキシ社製の商品名「エピコ―ト828」)15部、交叉結合剤としての1,6−ヘキサンジオ―ルジアクリレ―ト0.3部を、均一に混合し、光重合性組成物を調製した。つぎに、この光重合性組成物を剥離性基材上に塗布し、900mj/cm2 の紫外線を照射して光重合させ、厚さが100μmの熱硬化型接着剤層を形成し、接着シ―トを作製した。
【0028】
実施例3
フエノキシエチルアクリレ―ト90部の代わりに、クレゾ―ルのエチレンオキシド付加物(付加モル数1)とアクリル酸とのエステル(ホモポリマ―のTg:−20℃)90部を使用した以外は、実施例2と同様にして、光重合性組成物を調製し、これを用いて、実施例2と同様にして、厚さが100μmの熱硬化型接着剤層を形成し、接着シ―トを作製した。
【0029】
実施例4
四つ口フラスコに、ノニルフエノ―ルのエチレンオキシド付加物(付加モル数1)とアクリル酸とのエステル(ホモポリマ―のTg:−25℃)95部、2−ヒドロキシ−3−フエノキシプロピルアクリレ―ト5部、2,2−ジメトキシ−2−フエニルアセトフエノン0.05部を投入し、窒素雰囲気下で紫外線を照射して部分的に光重合させ、粘度が約30ポイズのシロツプを得た。この部分重合したシロツプ100部に、テルペンフエノ―ル樹脂(住友デユレス社製の商品名「スミライトレジンPR−12603」、軟化点:133℃)10部、エポキシ樹脂(油化シエルエポキシ社製の商品名「エピコ―ト815」)10部、交叉結合剤としてのトリメチロ―ルプロパントリアクリレ―ト0.2部を、均一に混合して、光重合性組成物を調製した。つぎに、この光重合性組成物を剥離性基材上に塗布し、900mj/cm2 の紫外線を照射して光重合させ、厚さが100μmの熱硬化型接着剤層を形成し、接着シ―トを作製した。
【0030】
比較例1
冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌機を備えた反応容器に、酢酸エチル210部を溶媒として、ブチルアクリレ―ト(ホモポリマ―のTg<−30℃)60部、アクリロニトリル35部、アクリル酸5部、過酸化ベンゾイル0.3部を入れ窒素気流中で重合処理して、固形分が約30重量%の重合物の溶液を得た。この溶液に、その固形分100部あたり、フエノ―ル樹脂〔三井東圧化学(株)製の商品名「XL−225L」、軟化点:85℃〕5部、エポキシ樹脂(油化シエルエポキシ社製の商品名「エピコ―ト828」)15部、多官能イソシアネ―ト系架橋剤1部を、均一に混合して、熱硬化型接着剤溶液を調製した。つぎに、この熱硬化型接着剤溶液を剥離性基材上に塗布し、130℃で5分間乾燥処理して、厚さが100μmの熱硬化型接着剤層を形成し、接着シ―トを作製した。
【0031】
比較例2
四つ口フラスコに、イソオクチルアクリレ―ト(ホモポリマ―のTg<−30℃)80部、アクリル酸20部、2,2−ジメトキシ−2−フエニルアセトフエノン0.05部を投入し、窒素雰囲気下紫外線を照射して部分的に光重合させ、粘度が約30ポイズのシロツプを得た。この部分重合したシロツプ100部に、フエノ―ル樹脂〔三井東圧化学(株)製の商品名「XL−225L」、軟化点:85℃)5部、エポキシ樹脂(油化シエルエポキシ社製の商品名「エピコ―ト828」)10部、交叉結合剤としての1,6−ヘキサンジオ―ルジアクリレ―ト0.3部を均一に混合して、光重合性組成物を調製した。つぎに、この光重合性組成物を剥離性基材上に塗布し、900mj/cm2 の紫外線を照射して光重合させ、厚さが100μmの熱硬化型接着剤層を形成し、接着シ―トを作製した。
【0032】
比較例3
四つ口フラスコに、エチルアクリレ―ト(ホモポリマ―のTg<−30℃)80部、アクリロイルモルフオリン15部、アクリル酸5部、2,2−ジメトキシ−2−フエニルアセトフエノン0.05部を投入し、窒素雰囲気下紫外線を照射して部分的に光重合させ、粘度が約30ポイズのシロツプを得た。この部分重合したシロツプ100部に、フエノ―ル樹脂〔三井東圧化学(株)製の商品名「XL−225L」、軟化点:85℃〕5部、エポキシ樹脂(油化シエルエポキシ社製の商品名「エピコ―ト815」)10部、交叉結合剤としての1,6−ヘキサンジオ―ルジアクリレ―ト0.3部を均一に混合して、光重合性組成物を調製した。つぎに、この光重合性組成物を剥離性基材上に塗布し、900mj/cm2 の紫外線を照射して光重合させ、厚さが100μmの熱硬化型接着剤層を形成し、接着シ―トを作製した。
【0033】
比較例4
フエノ―ル樹脂〔三井東圧化学(株)製の商品名「XL−225L」、軟化点:85℃)5部を使用しなかつた以外は、実施例2と同様にして、厚さが100μmの熱硬化型接着剤層を形成し、接着シ―トを作製した。
【0034】
比較例5
四つ口フラスコに、フエノキシエチルアクリレ―ト100部、2,2−ジメトキシ−2−フエニルアセトフエノン0.05部を投入し、窒素雰囲気下紫外線を照射して部分的に光重合させ、粘度が約30ポイズのシロツプを得た。この部分重合したシロツプ100部に、テルペンフエノ―ル樹脂(住友デユレス社製の商品名「スミライトレジンPR−12603」、軟化点:133℃)10部、エポキシ樹脂(油化シエルエポキシ社製の商品名「エピコ―ト828」)50部、変性ポリアミン(エポキシ樹脂の硬化剤、エ―・シ―・ア―ル社製の商品名「ACRハ―ドナ―X−3615」)7部、交叉結合剤としての1,6−ヘキサンジオ―ルジアクリレ―ト0.3部を、均一に混合して、光重合性組成物を調製した。つぎに、この光重合性組成物を剥離性基材上に塗布し、900mj/cm2 の紫外線を照射して光重合させ、厚さが100μmの熱硬化型接着剤層を形成し、接着シ―トを作製した。
【0035】
上記の実施例1〜4および比較例1〜5の各接着シ―トについて、下記の方法により、プレス接着後の外観、接着力およびハンダ耐熱性を調べた。これらの結果は、表1に示されるとおりであつた。
【0036】
<プレス接着後の外観>
30mm角に切断した接着シ―トを、常温でラミネ―タ(圧力:5kg/cm2 、速度:2m/分)によりSUS304に貼り合わせ、これを厚さが75μmのポリイミドフイルムにプレス機(温度150℃、時間1秒、圧力5kg/cm2 )で貼り合わせた。そのときの貼り合わせ面の状態を目視にて観察し、○:気泡の抱き込みや未接着部分がほとんどみられない、×:気泡の抱き込みや未接着部分が明らかにみられる、と評価した。
【0037】
<接着力>
幅10mm、長さ50mmに切断した接着シ―トを、厚さが75μmのポリイミドフイルムにラミネ―タ(温度:100℃、圧力:5kg/cm2 、速度:2m/分)により貼り合わせ、これをSUS304にプレス機(温度:150℃、時間:1秒、圧力:5kg/cm2 )で貼り合わせた。このサンプルを、150℃で1時間の加熱処理により硬化させたのち、初期(常温で30分放置後)および高温放置後(100℃で100時間放置後)に、引張り速度50mm/分の条件で、90°方向に引張り、その中心値を90°剥離接着強度として、接着力を求めた。
【0038】
<ハンダ耐熱性>
幅10mm、長さ50mmに切断した接着シ―トを、厚さが75μmのポリイミドフイルムにラミネ―タ(温度:100℃、圧力:5kg/cm2 、速度:2m/分)により貼り合わせ、これを30mm角のSUS304にプレス機(温度:150℃、時間:1秒、圧力:5kg/cm2 )で貼り合わせた。このサンプルを150℃で1時間の加熱処理により硬化させたのち、SUS304面を上にして、240℃に溶融したハンダ浴に浮かせた状態で60秒間処理した。処理後のシ―トの貼り合わせ状態を目視により観察し、○:接着剤の発泡や接着異常(浮き、しわ、剥がれ、ずれ)がほとんどみられない、×:上記発泡や接着異常が明らかにみられる、と評価した。
【0039】
【0040】
上記の表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜4の各接着シ―トは、プレス接着時に気泡の抱き込みや接着不良がみられず、大きな接着力を示しており、また高温連続放置後においても上記接着力の低下が少なく、ハンダ耐熱性もすぐれていることがわかる。これに対し、比較例1〜3の各接着シ―トは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これと高いTgを付与する単量体とを共重合させることにより、重合物の粘着性が低くなり、プレス接着時に気泡の抱き込みや接着不良を引き起こすことはないが、接着力に乏しくなり、ましてやハンダ耐熱性を満足させることはできない。
【0041】
また、比較例4の粘着シ―トは、流動性付与樹脂を含ませなかつたため、プレス接着時に未接触部分が残り、それが機転となつてハンダ耐熱時の浮きの原因となり、ハンダ耐熱性を満足させることができない。さらに、比較例5の粘着シ―トは、エポキシ樹脂を過剰に含ませるとともに、このエポキシ樹脂の硬化剤を含ませたため、高温連続放置後に硬化が徐々に進行して架橋密度が密になりすぎ、接着力が大幅な低下して、使用に供し得なくなる。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明においては、ホモポリマ―のTgが−30℃以上となる特定の分子構造を持つ(メタ)アクリル酸エステルと、エポキシ樹脂と反応する官能基を持つモノエチレン性不飽和単量体とを共重合させてなる非粘着性重合物を使用し、これに特定の軟化点を有する流動性付与樹脂およびエポキシ樹脂を含ませる構成としたことにより、常温で粘着性が低くて、プレス接着時に気泡の抱き込みなどを生じず、低圧、短時間とくに数秒以内の加熱処理で強固に接着処理できるとともに、高温での連続使用下でも硬化収縮などでの残留応力に起因した接着力の大きな低下などがみられず、しかもハンダリフロ―に耐える高耐熱性を発揮する、また貯蔵安定性も満足する、信頼性に非常にすぐれた熱硬化型接着剤とその接着シ―ト類を提供することができる。
Claims (3)
- a)つぎの式(1);
(式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 はメチレン基、エチレン基またはプロピレン基、n=1〜3の整数、φはフエニル基、モノアルキル置換フエニル基またはジアルキル置換フエニル基である)
で表される、ホモポリマ―のガラス転移温度が−30℃以上である(メタ)アクリル酸エステル70〜99重量%と、これと共重合可能でエポキシ樹脂と反応する官能基を持つモノエチレン性不飽和単量体30〜1重量%とからなる単量体混合物の非粘着性重合物100重量部に、b)軟化点が80〜200℃である流動性付与樹脂3〜30重量部と、c)エポキシ樹脂5〜30重量部とを含ませてなり、かつ上記c成分のエポキシ樹脂の硬化剤を実質的に含まないことを特徴とする熱硬化型接着剤。 - a成分の非粘着性重合物が紫外線などの放射線の照射による重合物である請求項1に記載の熱硬化型接着剤。
- 基材の片面または両面に請求項1または2に記載の熱硬化型接着剤からなる層を有することを特徴とする接着シ―ト類。
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