JP7108504B2 - 混合正極活物質用オリビン型リチウム系酸化物一次粒子及びその製造方法 - Google Patents

混合正極活物質用オリビン型リチウム系酸化物一次粒子及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、優れたサイクル特性と安全性とを兼ね備えたリチウムイオン二次電池を得ることのできる混合正極活物質を形成するための、オリビン型リチウム系酸化物一次粒子及びその製造方法に関する。
層状型リチウム・ニッケル・コバルト・マンガン複合酸化物(NCM)や層状型リチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム複合酸化物(NCA)等の層状型リチウム複合酸化物(以後、「層状型酸化物粒子」と称する場合もある)は、高出力及び高容量のリチウムイオン二次電池を構成できる正極活物質として広く用いられてはいるものの、充電時における層状型リチウム複合酸化物を構成する遷移金属成分の電解液への溶出により、充放電サイクルを重ねるにつれて容量低下が生じ、特に長期間使用すると、電池の容量低下が著しくなるおそれがあることが懸念されている。
従来より、こうした懸念を払拭すべく、層状型リチウム複合酸化物からの遷移金属成分の溶出を抑制する技術が種々開発されている。例えば、特許文献1には、Ti、Zr、Nb等でドープされ得る特定のリチウム鉄マンガンリン酸塩化合物と、NCMやNCAのようなリチウム金属酸化物とを含む正電気活性材料が開示されており、また特許文献2には、LiFexMn1-x-yyPO4からなり、リチウムイオンの吸蔵・放出による体積変化率が特定の範囲内である電極活物質と、NCMやLMO(マンガン酸リチウム)等のリチウム含有金属酸化物からなる電極活物質とを含む混合物であるリチウムイオン二次電池用電極材料が開示されている。これらの材料は、層状型酸化物粒子とオリビン型リチウム系酸化物粒子(以後、「オリビン型酸化物粒子」と称する場合もある)との混合することにより得られる、いわゆる混合正極活物質と称されるものである。
一方、二次電池の正極活物質として活用するためのオリビン型酸化物粒子についても、従来より種々開発されており、例えば、特許文献3には、水熱反応により得られたオリビン型シリケート化合物を用いた技術が開示されており、電池特性の向上を試みている。
ところで、通常、二次電池の正極は、正極活物質とともにカーボンブラック等の導電助剤、ポリフッ化ビニリデン等の結着剤及びN-メチル-2-ピロリドン等の溶剤を混合して正極スラリーを調製し、これを集電体に塗工した後に乾燥させて活物質層を形成させることにより製造されるため、正極スラリーの塗工性の良し悪しが活物質層の均一性を左右し、電池特性に大きく影響を及ぼすこととなる。
特表2014-524133号公報 特開2018-56037号公報 特開2014-191873号公報
しかしながら、層状型酸化物粒子とオリビン型酸化物粒子との混合物である混合正極活物質として、上記特許文献1~2に記載の電極材料を用いたとしても、得られる正極活物質層では、用いる酸化物の種類毎に異なる体積変化も要因となって、二次電池の使用時間が増すにつれ、密実な充填構造を保持するのが困難となり、二次電池において優れたサイクル特性を充分に確保できないおそれがある。
また、こうした混合正極活物質を得ようとするにあたり、上記特許文献3に記載のオリビン型シリケート化合物の一次粒子又は二次粒子をオリビン型酸化物粒子として採用したとしても、かかるオリビン型酸化物粒子の凝集が生じて正極スラリーの粘性が過度に増大するため、不均一な厚さの正極活物質層が形成されて、二次電池の充放電特性の低下を生じさせるおそれもある。
したがって、本発明の課題は、調製される正極スラリーに良好な塗工性を付与することができ、得られるリチウムイオン二次電池に優れたサイクル特性を発現させることができる混合正極活物質を形成するための、オリビン型リチウム系酸化物一次粒子及びその製造方法を提供することである。
そこで本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の物性を有し、かつ表面に炭素が担持してなる大径のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子であれば、得られる混合正極活物質において、良好な塗工性を有する正極スラリーを調製することができ、さらにこれを用いて製造されるリチウムイオン二次電池において、優れたサイクル特性を発現させることができることを見出した。
したがって、本発明は、下記式(a)又は下記式(b):
LiaMnbFec1 dPO4 ・・・(a)
(式(a)中、M1はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b、c、及びdは、0<a≦1.2、0.3≦b≦1、0≦c≦0.7、及び0≦d≦0.3を満たし、かつa+(Mnの価数)×b+(Feの価数)×c+(M1の価数)×d=3を満たす数を示す。)
LieMnfCog2 hSiO4 ・・・(b)
(式(b)中、M2はFe、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Al、Zn、V又はGdを示す。e、f、g、及びhは、0<e≦2.4、0≦f≦1.2、0≦g≦1.2、0≦h≦1.2、及びf+g≠0を満たし、かつe+(Mnの価数)×f+(Coの価数)×g+(M2の価数)×h=4を満たす数を示す。)
で表される粒子であって、長径方向の平均粒子径が150nm~500nmであり、長径方向の平均粒子径の標準偏差が2.5nm~15.0nmであり、BET比表面積が1m2/g~6.5m2/gであり、かつ表面に炭素が担持してなる、混合正極活物質用オリビン型リチウム系酸化物一次粒子を提供するものである。
また、本発明は、次の工程(I)~(IV):
リチウム化合物、並びにリン酸化合物又はケイ酸化合物を混合して水溶液Aを得る工程(I)、
得られた水溶液A、並びに少なくともマンガン化合物又はコバルト化合物を含む金属塩を混合して混合液Bを得る工程(II)、
得られた混合液Bを、温度が200℃~300℃、圧力が1.6MPa~8.6MPaの水熱反応に3時間~15時間付して、水熱反応物Cを得る工程(III)、
得られた水熱反応物Cを焼成して、オリビン型リチウム系酸化物一次粒子を得る工程(IV)を備え、
工程(I)又は工程(II)において、炭素源を添加する工程を含む、上記混合正極活物質用オリビン型リチウム系酸化物一次粒子の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、良好な塗工性を有する正極スラリーを調製することができる混合正極活物質の形成が可能であり、優れたサイクル特性を有するリチウムイオン二次電池を実現することができる。
実施例1で得られたオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xa)のSEM写真である。 実施例2で得られたオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xb)のSEM写真である。 実施例3で得られたオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xc)のSEM写真である。 実施例4で得られたオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xd)のSEM写真である。 比較例1で得られたオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xf)のSEM写真である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の混合正極活物質用オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(以下、「オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)」とも称する)は、下記式(a)又は下記式(b):
LiaMnbFec1 dPO4 ・・・(a)
(式(a)中、M1はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b、c、及びdは、0<a≦1.2、0.3≦b≦1、0≦c≦0.7、及び0≦d≦0.3を満たし、かつa+(Mnの価数)×b+(Feの価数)×c+(M1の価数)×d=3を満たす数を示す。)
LieMnfCog2 hSiO4 ・・・(b)
(式(b)中、M2はFe、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Al、Zn、V又はGdを示す。e、f、g、及びhは、0<e≦2.4、0≦f≦1.2、0≦g≦1.2、0≦h≦1.2、及びf+g≠0を満たし、かつe+(Mnの価数)×f+(Coの価数)×g+(M2の価数)×h=4を満たす数を示す。)
で表される粒子であって、長径方向の平均粒子径が150nm~500nmであり、長径方向の平均粒子径の標準偏差が2.5nm~15.0nmであり、BET比表面積が1m2/g~6.5m2/gであり、かつ表面に炭素が担持してなる。
本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)は、一次粒子であって凝集の生じにくい単一粒子である。通常、オリビン型リチウム系酸化物の一次粒子を用いて混合正極活物質を形成し、正極スラリーを調製した場合、オリビン型リチウム系酸化物の一次粒子の凝集が生じて、多数の粒子間空隙を有するオリビン型リチウム系酸化物粒子の凝集体が形成され、正極スラリー中の溶剤が当該粒子間空隙内に含まれて有効に機能する溶剤量が減じられてしまうために、正極スラリーの塗工性が低下する場合がある。
しかしながら、本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)であれば、後述するとおり大径かつ特定の一次粒子であり、凝集することなく、そのまま混合正極活物質を形成して正極スラリーを調製することができるため、オリビン型リチウム系酸化物粒子の凝集体の形成が有効に低減されて、用いた溶剤のほとんど全てが有効に機能し、正極スラリーの良好な塗工性を確保することが可能となる。
なお、本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)は、混合正極活物質(Z)を形成するための粒子、いわゆる混合正極活物質用の粒子であり、例えば後述する層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)とともに混合正極活物質(Z)を形成するための粒子であり、具体的には本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)と層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)とを混合して正極スラリーを調製し、これを集電体に塗工することによりリチウムイオン二次電池用の電極を製造することができる。
本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)が一次粒子であるのに対し、層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)は、一次粒子が凝集又は造粒してなる、いわゆる二次粒子を形成してなる。
本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)は、下記式(a)又は下記式(b)で表される粒子である。
LiaMnbFec1 dPO4 ・・・(a)
式(a)中、M1はCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b、c、及びdは、0<a≦1.2、好ましくは0.5≦a≦1.2であり、0.3≦b≦1、好ましくは0.5≦b≦0.9であり、0≦c≦0.7、好ましくは0.1≦c≦0.5であり、さらに0≦d≦0.3を満たし、かつa+(Mnの価数)×b+(Feの価数)×c+(M1の価数)×d=3を満たす数を示す。
式(a)で表されるオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)としては、具体的には、例えば、LiMn0.8Fe0.2PO4、LiMn0.7Fe0.3PO4、LiMn0.6Fe0.4PO4、LiMn0.7Fe0.2Co0.1PO4が挙げられ、LiMn0.7Fe0.3PO4、LiMn0.6Fe0.4PO4が好ましい。
LieMnfCog2 hSiO4 ・・・(b)
式(b)中、M2はFe、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Al、Zn、V又はGdを示す。e、f、g、及びhは、0<e≦2.4、0≦f≦1.2、0≦g≦1.2、0≦h≦1.2、及びf+g≠0を満たし、かつe+(Mnの価数)×f+(Coの価数)×g+(M2の価数)×h=4を満たす数を示す。
式(b)で表されるオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)としては、具体的には、例えば、Li2Mn0.75Co0.25SiO4、Li2Mn0.8Co0.2SiO4、Li2Mn0.75Co0.2Fe0.05SiO4が挙げられ、Li2Mn0.75Co0.25SiO4、Li2Mn0.8Co0.2SiO4が好ましい。
本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の長径方向の平均粒子径は、150nm~500nmであって、好ましくは170nm~500nmであり、より好ましくは180nm~500nmである。この平均粒子径は、後述する層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)の平均粒子径の1/10~1/50、好ましくは1/10~1/45、より好ましくは1/10~1/40の大きさであって、層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)と同程度の大きさであることから、かかる層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)と混合正極活物質(Z)を形成して正極スラリーを調製しても、過度に小径であることによるオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の凝集や、層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)との粒子径の大きな相違によるオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の偏在が生じにくいため、均一性を容易に高めることができる。
オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の長径方向の平均粒子径が上記下限値未満であると、正極スラリーの粘性が増大して塗工性が低下するおそれがある。また、オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の長径方向の平均粒子径が上記上限値を超えると、オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)内のリチウムイオンの伝導経路が延長されてしまい、得られるリチウムイオン二次電池においてレート特性の低下が生じるおそれがある。
なお、かかるオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の長径方向の平均粒子径は、SEM像において特定されるオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)において、ランダムに選択した30個の粒子の計測値の平均値である。
本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の長径方向の平均粒子径の標準偏差は、2.5nm~15.0nmであって、好ましくは2.5nm~14.0nmであり、より好ましくは2.5nm~12.5nmである。かかる標準偏差が上記範囲内であると、オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の大きさのばらつきが減じられ、上記平均粒子径の範囲外となる微細な粒子の存在割合も少なくなり、正極スラリーの粘性が不要に増大してしまうのを有効に抑制して、混合正極活物質用の粒子として良好な塗工性を確保することができる。
なお、かかるオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の長径方向の平均粒子径の標準偏差は、上記のとおりオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の長径方向の平均粒子径を1データとして求め、総データ数を30として求めた値である。
本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)のBET比表面積は、1m2/g~6.5m2/gであって、好ましくは1m2/g~6m2/gであり、より好ましくは1m2/g~5.5m2/gである。オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)のBET比表面積が上記下限値未満であると、オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の大きさが過大となって、得られるリチウムイオン二次電池においてレート特性の低下が生じるおそれがある。また、BET比表面積が上記上限値を超えると、正極スラリーの粘性が増大するおそれがある。
なお、BET比表面積とは、窒素ガスを用いて得られた吸着等温線をBETプロットに変換して得られた単分子層のガス吸着量と窒素ガスの分子の大きさから算出された比表面積を意味する。
本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の平均アスペクト比は、好ましくは1.0~6.0であり、より好ましくは1.0~5.5であり、特に好ましくは1.0~5.0である。オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の平均アスペクト比が6.0よりも大きい場合、通常、オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)が伸長しやすい結晶軸は、オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)内のリチウムイオンの伝導経路と一致することから、リチウムイオンの伝導経路が延長されて、得られるリチウムイオン二次電池においてレート特性の低下が生じるおそれがある。
なお、オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の平均アスペクト比とは、SEM像において特定される一粒子について、(最大長径(結晶軸の伸長方向の径)/最大長径に直交する短径)で定義される粒子の形状を表す比であり、ランダムに選択した30個の粒子の計測値の平均値である。
さらに、本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)は、その表面に炭素が担持されてなる。これにより、かかる粒子に電子伝導性が付与され、サイクル特性に優れる有用な混合正極活物質を得ることができる。オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の表面に担持されてなる炭素の炭素源としては、セルロースナノファイバー又は水溶性炭素材料が挙げられる。
炭素源となる上記セルロースナノファイバーとは、全ての植物細胞壁の約5割を占める骨格成分であって、かかる細胞壁を構成する植物繊維をナノサイズまで解繊等することにより得ることができる軽量高強度繊維であり、セルロースナノファイバー由来の炭素は、周期的構造を有する。かかるセルロースナノファイバーの繊維径は、1nm~100nmであり、水への良好な分散性も有している。また、セルロースナノファイバーを構成するセルロース分子鎖では、炭素による周期的構造が形成されていることから、これが炭化されつつ上記オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の表面に堅固に担持されることにより、かかる粒子に有効に電子伝導性を付与することができる。
また、炭素源となる上記水溶性炭素材料とは、25℃の水100gに、水溶性炭素材料の炭素原子換算量で0.4g以上、好ましくは1.0g以上、水中に沈降することなく溶解又は分散する炭素材料を意味する。かかる水溶性炭素材料としては、例えば、糖類、ポリオール、ポリエーテル、及び有機酸から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。より具体的には、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース等の単糖類;マルトース、スクロース、セロビオース等の二糖類;デンプン、デキストリン等の多糖類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオール、ポリビニルアルコール、グリセリン等のポリオールやポリエーテル;クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸等の有機酸が挙げられる。なかでも、溶剤への溶解性及び分散性を高めて炭素材料として効果的に機能させる観点から、グルコース、フルクトース、スクロース、デキストリンが好ましく、グルコースがより好ましい。
オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の表面に担持されてなる炭素の量(担持量)は、オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)100質量%中に、好ましくは0.4質量%~2.0質量%であり、より好ましくは0.5質量%~1.8質量%であり、特に好ましくは0.5質量%~1.5質量%である。
オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の表面に担持されてなる炭素の量が上記下限値未満であると、オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の電子伝導性が不十分となり、得られるリチウムイオン二次電池においてレート特性の低下が生じるおそれがある。また、かかる炭素の量が2.0質量%よりも大きい場合、BET比表面積が不要に増大して正極スラリーの粘性が増加するおそれがある。
本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)とともに混合正極活物質(Z)を形成することのできる層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)としては、具体的には、例えば下記式(c)又は下記式(d)で表される粒子が挙げられる。
LiNiiCojMnk3 l2・・・(c)
(式(c)中、M3はMg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Al、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。i、j、k、lは、0.3≦i<1、0<j≦0.7、0<k≦0.7、0≦l≦0.3、かつ3i+3j+3k+(M3の価数)×l=3を満たす数を示す。)
LiNimConAlo4 p2・・・(d)
(式(d)中、M4はMg、Ti、Nb、Fe、Cr、Si、Ga、V、Zn、Cu、Sr、Mo、Zr、Sn、Ta、W、La、Ce、Pb、Bi及びGeから選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。m、n、o、pは、0.4≦m<1、0<n≦0.6、0<o≦0.3、0≦p≦0.3、かつ3m+3n+3o+(M4の価数)×p=3を満たす数を示す。)
層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)の平均粒子径は、好ましくは3μm~20μmであり、より好ましくは3.5μm~17μmであり、特に好ましくは4μm~14μmである。なお、層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)の平均粒子径は、層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)の粒度分布における累積50%での平均粒子径(メジアン径、μm)であり、すなわちレーザー回折・散乱法に基づく体積基準の粒度分布を元に得られる値である。
層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)の平均粒子径が上記下限値未満であると、層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)の表面積が増大してしまい、遷移金属の溶出が生じやすくなるおそれがある。また、平均粒子径が上記上限値を超えると、正極スラリー内に粗粒の層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)が過度に存在して、均一な塗工が困難になるおそれがある。
本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)を用いて得られる混合正極活物質(Y)において、オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の含有量と層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)の含有量の質量比(X:Y)は、特に制限はされないが、オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の含有量を確保して層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)からの遷移金属の溶出を抑制する観点、及び放電容量に優れる層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)の含有量を確保する観点から、好ましくは1:99~45:55であり、より好ましくは5:95~40:60であり、特に好ましくは10:90~35:65である。
本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)は、次の工程(I)~(IV):
リチウム化合物、並びにリン酸化合物又はケイ酸化合物を混合して水溶液Aを得る工程(I)、
得られた水溶液A、並びに少なくともマンガン化合物又はコバルト化合物を含む金属塩を混合して混合液Bを得る工程(II)、
得られた混合液Bを、温度が200℃~300℃、圧力が1.6MPa~8.6MPaの水熱反応に3時間~15時間付して、水熱反応物Cを得る工程(III)、
得られた水熱反応物Cを焼成して、オリビン型リチウム系酸化物一次粒子を得る工程(IV)を備え、
工程(I)又は工程(II)において、炭素源を添加する工程を含む製造方法により得ることができる。
工程(I)は、リチウム化合物、並びにリン酸化合物又はケイ酸化合物を混合して水溶液Aを得る工程である。
リチウム化合物としては、水酸化物(例えばLiOH・H2O)、炭酸化物、硫酸化物、酢酸化物が挙げられる。なかでも、水酸化物が好ましい。
リン酸化合物としては、オルトリン酸(H3PO4、リン酸)、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム等が挙げられる。なかでもリン酸を用いるのが好ましく、70質量%~90質量%濃度の水溶液として用いるのが好ましい。
ケイ酸化合物としては、反応性のあるシリカ化合物であれば特に限定されず、非晶質シリカ、ナトリウム塩(例えばメタケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)、Na4SiO4・H2O)等が挙げられる。
工程(I)は、リチウム化合物を含むスラリー水aに、リン酸化合物又はケイ酸化合物を添加して混合液Aを得る工程(I)であるのが好ましい。スラリー水aにおけるリチウム化合物の含有量は、水100質量部に対し、好ましくは5質量部~50質量部であり、より好ましくは7質量部~45質量部である。より具体的には、工程(I)においてリン酸化合物を用いた場合、スラリー水aにおけるリチウム化合物の含有量は、水100質量部に対し、好ましくは5質量部~50質量部であり、より好ましくは10質量部~45質量部である。また、工程(I)においてケイ酸化合物を用いた場合、スラリー水aにおけるリチウム化合物の含有量は、水100質量部に対し、好ましくは5質量部~40質量部であり、より好ましくは7質量部~35質量部である。
スラリー水aにリン酸化合物又はケイ酸化合物を添加する前に、予めスラリー水aを撹拌しておくのが好ましい。かかるスラリー水aの撹拌時間は、好ましくは1分間~15分間であり、より好ましくは3分間~10分間である。また、スラリー水aの温度は、好ましくは20℃~90℃であり、より好ましくは20℃~70℃である。
工程(I)において、リン酸化合物として水溶液であるリン酸を用いる場合、スラリー水aにリン酸を添加するにあたり、スラリー水を撹拌しながらリン酸を滴下するのが好ましい。スラリー水aにリン酸を滴下して少量ずつ加えることで、スラリー水a中において良好に反応が進行して、後述する工程(III)で得られる水熱反応物Cの前駆体がスラリー水中で均一に分散しつつ生成され、得られる水熱反応物Cが不要に凝集するのをも効果的に抑制することができる。
リン酸の上記スラリー水aへの滴下速度は、スラリー水aの4Lあたり、好ましくは15mL/分~50mL/分であり、より好ましくは20mL/分~45mL/分であり、さらに好ましくは28mL/分~40mL/分である。また、リン酸を滴下しながらのスラリー水aの撹拌時間は、好ましくは0.5時間~24時間であり、より好ましくは3時間~12時間である。さらに、リン酸を滴下しながらのスラリー水aの撹拌速度は、好ましくは200rpm~700rpmであり、より好ましくは250rpm~600rpmであり、さらに好ましくは300rpm~500rpmである。
なお、スラリー水aを撹拌する際、さらにスラリー水aの沸点温度以下に冷却するのが好ましい。具体的には、80℃以下に冷却するのが好ましく、20℃~60℃に冷却するのがより好ましい。
工程(I)において、リン酸化合物又はケイ酸化合物を添加した後の水溶液Aは、リン酸又はケイ酸1モルに対し、リチウムを2.0モル~4.0モル含有するのが好ましく、2.0モル~3.1モル含有するのがより好ましく、このような量となるよう、上記リチウム化合物と、リン酸化合物又はケイ酸化合物を用いればよい。より具体的には、工程(I)においてリン酸化合物を用いた場合、リン酸化合物を添加した後の水溶液Aは、リン酸1モルに対し、リチウムを2.7モル~3.3モル含有するのが好ましく、2.8モル~3.1モル含有するのがより好ましく、工程(I)においてケイ酸化合物を用いた場合、ケイ酸化合物を添加した後の水溶液Aは、ケイ酸1モルに対し、リチウムを2.0モル~4.0モル含有するのが好ましく、2.0モル~3.0モル含有するのがより好ましい。
リン酸化合物又はケイ酸化合物を添加した後の水溶液Aに対して窒素をパージすることにより、かかる水溶液A中での反応を完了させて、水熱反応物Cの前駆体aをスラリーとして得る。窒素がパージされると、水溶液A中の溶存酸素濃度が低減された状態で反応を進行させることができ、また得られる前駆体aを含有するスラリーの溶存酸素濃度も効果的に低減されるため、次いで工程(II)において添加する金属塩の酸化を抑制することができる。かかる水熱反応物Cの前駆体aは、スラリー中において微細な分散粒子として存在する。かかる前駆体aは、例えば上記式(a)で表されるオリビン型リチウム系酸化物一次粒子の場合はリン酸三リチウム(Li3PO4)であり、後述するように、工程(I)においてさらにセルロースナノファイバーを用いた場合には、リン酸三リチウム(Li3PO4)とセルロースナノファイバーの水熱反応物として得られる。
窒素をパージする際における圧力は、好ましくは0.1MPa~0.2MPaであり、より好ましくは0.1MPa~0.15MPaである。また、リン酸化合物又はケイ酸化合物を添加した後の水溶液Aの温度は、好ましくは20℃~80℃であり、より好ましくは20℃~60℃である。例えば上記式(a)で表されるオリビン型リチウム系酸化物一次粒子の場合、反応時間は、好ましくは5分間~60分間であり、より好ましくは15分間~45分間である。
また、窒素をパージする際、反応を良好に進行させる観点から、リン酸化合物又はケイ酸化合物を添加した後の水溶液Aを撹拌するのが好ましい。このときの撹拌速度は、好ましくは200rpm~700rpmであり、より好ましくは250rpm~600rpmである。
また、より効果的に前駆体aの分散粒子表面における酸化を抑制し、分散粒子の微細化を図る観点から、リン酸化合物又はケイ酸化合物を添加した後の水溶液A中における溶存酸素濃度を0.5mg/L以下とするのが好ましく、0.2mg/L以下とするのがより好ましい。
工程(II)は、工程(I)で得られた水溶液A、並びに少なくともマンガン化合物又はコバルト化合物を含む金属塩を混合して混合液Bを得る工程である。
少なくともマンガン化合物又はコバルト化合物を含む金属塩は、さらに鉄化合物を含んでいてもよく、またさらにマンガン化合物及び鉄化合物以外の金属(M1)塩、或いはマンガン化合物及びコバルト化合物以外の金属(M2)塩を含んでいてもよい。マンガン化合物としては、酢酸マンガン、硝酸マンガン、硫酸マンガン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸マンガンが好ましい。また、コバルト化合物としては、酢酸コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸コバルトが好ましい。さらに、鉄化合物としては、酢酸鉄、硝酸鉄、硫酸鉄等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸鉄が好ましい。
金属塩として、マンガン化合物及び鉄化合物を用いる場合、その使用モル比(マンガン化合物:鉄化合物)は、好ましくは99:1~51:49であり、より好ましくは95:5~55:45であり、さらに好ましくは90:10~60:40である。
また、金属塩として、マンガン化合物及びコバルト化合物を用いる場合、その使用モル比(マンガン化合物:コバルト化合物)は、好ましくは99:1~51:49であり、より好ましくは95:5~60:40であり、さらに好ましくは90:10~70:30である。
マンガン化合物及び鉄化合物以外の金属(M1)塩、或いはマンガン化合物及びコバルト化合物以外の金属(M2)塩を用いてもよい。金属(M1又はM2)塩におけるM1及びM2は、上記式(a)又は(b)中のM1及びM2と同義であり、かかる金属塩として、硫酸塩、ハロゲン化合物、有機酸塩、及びこれらの水和物等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。なかでも、電池特性を高める観点から、硫酸塩を用いるのがより好ましい。
これら金属塩の合計添加量は、水溶液A中に含有されるリン酸イオン又はケイ酸イオン1モルに対し、好ましくは0.99モル~1.01モルであり、より好ましくは0.995モル~1.005モルである。また、マンガン化合物及び鉄化合物以外の金属(M1)塩、或いはマンガン化合物及びコバルト化合物以外の金属(M2)塩を用いる場合、マンガン化合物、鉄化合物、及び金属(M1)塩、若しくはマンガン化合物、コバルト化合物、及び金属(M2)塩の合計添加量は、得られた混合液B中のリン酸又はケイ酸1モルに対し、好ましくは0.99モル~1.01モルであり、より好ましくは0.995モル~1.005モルである。
なお、マンガン化合物、鉄化合物、及び金属(M1)塩、或いはマンガン化合物、コバルト化合物、及び金属(M2)塩の添加順序は特に制限されない。また、これらの金属(M1又はM2)塩を添加するとともに、必要に応じて酸化防止剤を添加してもよい。かかる酸化防止剤としては、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)、ハイドロサルファイトナトリウム(Na224)、アンモニア水等を使用することができる。酸化防止剤の添加量は、過剰に添加されることにより上記式(a)又は(b)で表される水熱反応物Cの生成が抑制されるのを防止する観点から、マンガン化合物、鉄化合物、及び必要に応じて用いる金属(M1)塩の合計1モル、若しくはマンガン化合物、コバルト化合物、及び必要に応じて用いる金属(M2)塩の合計1モルに対し、好ましくは0.01モル~1モルであり、より好ましくは0.03モル~0.5モルである。
なお、本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の製造方法では、より優れた電池特性を発現する観点から、上記工程(I)において、さらに、セルロースナノファイバー又は水溶性炭素材料を添加する工程を含む。これにより、後に工程(IV)を経て焼成されることでセルロースナノファイバー又は水溶性炭素材料が炭化され、水熱反応物Cの表面にセルロースナノファイバー又は水溶性炭素材料由来の炭素を担持させることができる。
かかるセルロースナノファイバー又は水溶性炭素材料の炭素原子換算量は、本発明で得られるオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)中に、好ましくは0.4質量%~2.0質量%であり、より好ましくは0.5質量%~1.8質量%であり、特に好ましくは0.5質量%~1.5質量%である。オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)中に存在するセルロースナノファイバー又は水溶性炭素材料由来の炭素量(炭素の担持量)は、炭素・硫黄分析装置を用いた測定により、求めることができる。
さらに、本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の製造方法では、上記工程(I)又は工程(II)において、アニオン界面活性剤であるアルキルエーテルカルボン酸塩を添加する工程を含んでもよい。これにより、後に工程(III)を経る際に、かかるアニオン界面活性剤が有効に作用するため、水熱反応物Cにおけるアスペクト比を効果的に増大させつつ、得られる水熱反応物Cを有効に大径化させることが可能となる。
上記アニオン界面活性剤は、アルキルエーテルカルボン酸塩であればよく、かかるアルキルエーテルカルボン酸塩を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。アニオン界面活性剤であるアルキルエーテルカルボン酸塩としては、水熱反応物Cのアスペクト比を有効に増大させる観点から、25℃での10質量%水溶液(アニオン界面活性剤の含有量=10質量%の水溶液)において、pH3~6を示すものであるのが好ましい。
上記アルキルエーテルカルボン酸塩としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルヒドロキシエーテルカルボン酸塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、具体的には、かかるアルキルエーテルカルボン酸塩が有するアルキル基の炭素数が、好ましくは7~15であり、より好ましくは9~13である。塩としては、ナトリウム、カリウムが挙げられ、ナトリウムが好ましい。
より具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウムが好ましく、アルキルヒドロキシエーテルカルボン酸塩としては、ドデカン-1,2-ジオール酢酸エーテルナトリウムが好ましい。
上記工程(I)において上記アニオン界面活性剤を添加する工程を含む場合、かかる工程(I)は、リチウム化合物とともにアニオン界面活性剤を添加し、混合して水溶液A1を得る工程であればよい。また、上記工程(II)において上記アニオン界面活性剤を添加する工程を含む場合、かかる工程(II)は、上記金属塩とともにアニオン界面活性剤を添加し、混合して混合液B1を得る工程であればよい。
上記アニオン界面活性剤の添加量は、工程(II)で得られる混合液B中の含有量で、好ましくは0.01質量%~5質量%であり、より好ましくは0.02質量%~1質量%であり、さらに好ましくは0.05質量%~0.5質量%である。すなわち、上記工程(I)又は工程(II)のいずれにおいても、混合液B中におけるアニオン界面活性剤の含有量がこのような量となるよう、アニオン界面活性剤を添加すればよい。
工程(III)は、上記工程(II)で得られた混合液Bを、温度が200℃~300℃、圧力が1.6MPa~8.6MPaの水熱反応に3時間~15時間付して、水熱反応物Cを得る工程である。上記工程(II)により得られた混合液Bをそのまま、水熱反応物Cの前駆体として用いるため、工程の簡略化を図ることが可能である。
水熱反応に付する際に用いる水の使用量は、金属塩の溶解性、撹拌の容易性、及び合成の効率等の観点から、混合液B中に含有されるリン酸又はケイ酸イオン1モルに対し、好ましくは10モル~50モルであり、より好ましくは12.5モル~45モルである。より具体的には、混合液B中に含有されるイオンがリン酸イオンの場合、水熱反応に付する際に用いる水の使用量は、好ましくは10モル~30モルであり、より好ましくは12.5モル~25モルである。また、混合液B中に含有されるイオンがケイ酸イオンの場合、水熱反応に付する際に用いる水の使用量は、好ましくは10モル~50モルであり、より好ましくは12.5モル~45モルである。
水熱反応の温度は、200℃~300℃であって、210℃~300℃が好ましく、215℃~300℃がより好ましい。水熱反応は耐圧容器中で行うのが好ましく、200℃~300℃で反応を行うには、圧力は1.6MPa~8.6MPaであって、210℃~300℃で反応を行う場合の圧力は1.9MPa~8.6MPaであるのが好ましく、215℃~300℃で反応を行う場合の圧力は2.0MPa~8.6MPaであるのが好ましい。水熱反応時間は2時間~14時間が好ましく、さらに3時間~14時間が好ましい。このような水熱反応条件とすることで、大径であって所定のアスペクト比を有する水熱反応物Cを得ることができる。
得られた水熱反応物Cは、ろ過後、水で洗浄し、乾燥することによりこれを単離する。乾燥手段は、凍結乾燥、真空乾燥が用いられる。
工程(IV)は、上記工程(III)で得られた水熱反応物Cを焼成してオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)を得る工程である。水熱反応物Cの表面に吸着しているセルロースナノファイバー又は水溶性炭素材料を有効に炭化させて、炭化物として水熱反応物Cの表面に担持させる観点から、工程(IV)における焼成は、還元雰囲気又は不活性雰囲気下で行うのが好ましく、その焼成温度は500℃~800℃、焼成時間は10分間~3時間とすればよい。
本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)とともに正極活物質(Z)を形成する層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)の製造方法は、特に制限されず、公知の方法、例えば、固相法、共沈法、ゾル・ゲル法等を用いることができるが、上記平均粒子径を満足するものが簡便に得られるという観点から、粉砕処理を組み入れた固相法を用いた製造方法であるのが好ましい。
オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)と層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)は、オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)の含有量と層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)の混合は、特に制限されず、上記含有量の質量比(X:Y)となるよう添加量を調整して混合すればよい。例えば、これらの粒子のみを直接混合して混合正極活物質(Z)を得たのち、その他導電助剤や結着剤及び溶剤等の正極合材構成材料を添加・混合することにより、正極スラリーを調製してもよく、或いはこれらの粒子を混合正極活物質(Z)の構成材料として用いるとともに、その他の正極合材構成材料も用い、これらの構成材料を一括混合又は順次混合することにより、正極スラリーを調製してもよい。こうして得られる正極スラリーには、混合正極活物質(Z)として、本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)と層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)が含有されてなる。
具体的には、例えば、オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)と層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)を含有する混合正極活物質(Z)、カーボンブラック等の導電助剤、及びポリフッ化ビニリデン等の結着剤(バインダー)に、N-メチル-2-ピロリドン等の溶剤を加え、充分に混練して正極スラリーを得ればよい。その後、アルミニウム箔等の集電体上に正極スラリーを塗工し、次いでローラープレス等による圧密して乾燥することにより、リチウムイオン二次電池の正極を得ることができる。
なお、正極スラリーの調製に用いる装置、器具、及び各正極合材構成材料の混合する順序などは、特に制限されないが、オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)と層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)を均一性の高い混合状態にするのが望ましい。例えば、層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)が崩壊しない程度のせん断力をかけながら混合すると、オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)と層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)を均一性の高い混合状態とすることができる。
本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)と層状型リチウム複合酸化物粒子(Y)の混合状態の均一性は、混合正極活物質(Z)を含む正極スラリーによりリチウムイオン二次電池の正極活物質層を形成した際、かかる正極活物質層における粒子間空隙の分布状態から評価することができる。具体的には、正極活物質層の積層状態のSEM写真(後方散乱電子像)を特定のグレイレベルで二値化して粒子間空隙を可視化し、かかる粒子間空隙の分布状態が均一か否かを目視により判断して評価すればよい。
本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)を含む混合正極活物質(Z)を用いて得られる正極活物質層を適用できるリチウムイオン二次電池としては、正極と負極と電解液とセパレータを必須の構成部材とするものであれば特に制限されない。
リチウムイオン二次電池の負極については、リチウムイオンを充電時には吸蔵し、かつ放電時には放出することができれば、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知の材料構成のものを用いることができる。
電解液は、有機溶媒に支持塩を溶解させたものである。有機溶媒は、リチウムイオン二次電池の電解液の用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。
支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、リチウムイオン二次電池の場合、LiPF6、LiBF4、LiClO4及びLiAsF6から選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、LiSO3CF3、LiC(SO3CF32及びLiN(SO3CF32、LiN(SO2252及びLiN(SO2CF3)(SO249)から選ばれる有機塩、並びに該有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
セパレータは、正極及び負極を電気的に絶縁し、電解液を保持する役割を果たすものである。たとえば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いればよい。
上記の構成を有するリチウムイオン二次電池の形状としては、特に制限を受けるものではなく、コイン型、円筒型,角型等種々の形状や、ラミネート外装体に封入した不定形状であってもよい。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、粒子の各物性値については、以下の測定方法を用いて求めた。
《オリビン型リチウム系酸化物一次粒子の長径方向の平均粒子径及びその標準偏差》
長径方向の平均粒子径とその標準偏差は、SEM像においてランダムに選択した30個の粒子を用いて算出した。
《オリビン型リチウム系酸化物一次粒子の平均アスペクト比》
SEM像においてランダムに選択した上記30個の粒子について、各々長径方向の大きさと短径方向(長径に直行する径)の大きさを計測して、アスペクト比(長径方向の平均粒子径/短径方向の平均粒子径)を求め、その平均値とした。
《層状型リチウム複合酸化物粒子の平均粒子径》
レーザー回折・散乱方式粒度分布測定装置 MT3300EXII(マイクロトラック・ベル(株)製)を用いて測定した値とした。
《BET比表面積》
DesorbIII((株)島津製作所製)を用いて測定した値とした。
《オリビン型リチウム系酸化物一次粒子の炭素担持量》
炭素・硫黄分析装置EMIA-220V2((株)堀場製作所製)を用いて測定した値とした。
[製造例1:層状型リチウム複合酸化物粒子(NMC-Ya)の製造]
Ni:Co:Mnのモル比が1:1:1となるように、硫酸ニッケル六水和物 263g、硫酸コバルト七水和物 281g、硫酸マンガン五水和物 241g、及び水 3Lを混合した後、かかる混合液に25%アンモニア水を、滴下速度300ml/分で滴下して、pHが11の金属複合水酸化物を含むスラリーa1を得た。
次いで、スラリーa1をろ過、乾燥して、金属複合水酸化物の混合物b1を得た後、かかる混合物b1に炭酸リチウム37gをボールミルで混合して粉末混合物c1を得た。
得られた粉末混合物c1を、空気雰囲気下で800℃×4時間仮焼成して解砕した後、本焼成として空気雰囲気下で800℃×12時間焼成し、層状型リチウム複合酸化物粒子(NMC-Ya)(LiNi0.33Co0.33Mn0.342、平均粒子径:12.8μm)を得た。
[実施例1:オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xa)の製造]
LiOH・H2O 1272g、及び水4Lを混合してスラリーa2を得た。次いで、得られたスラリーa2を、25℃の温度に保持しながら3分間撹拌しつつ85%のリン酸水溶液1153gを35mL/分で滴下し、続いてセルロースナノファイバー(セリッシュKY-100G、ダイセルファインケム(株)製、繊維径4nm~100nm)4419gを添加して、速度400rpmで12時間撹拌して、Li3PO4を含むスラリーb2を得た。
得られたスラリーb2に窒素パージして、スラリーb2の溶存酸素濃度を0.5mg/Lとした後、スラリーb2全量に対し、MnSO4・5H2O 1688g、FeSO4・7H2O 834gを添加してスラリーc2を得た。添加したMnSO4とFeSO4のモル比(マンガン化合物:鉄化合物)は、70:30であった。
次いで、得られたスラリーc2をオートクレーブに投入し、220℃で6時間水熱反応を行った。オートクレーブ内の圧力は2.3MPaであった。水熱反応後、生成した結晶をろ過し、次いで結晶1質量部に対し12質量部の水により洗浄した。洗浄した結晶を-50℃で12時間凍結乾燥して水熱反応物d2を得た。
得られた水熱反応物d2を、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、700℃で1時間焼成して、0.8質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xa)(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の担持量=0.8質量%、長径方向の平均粒子径:200nm、長径方向の平均粒子径の標準偏差:5.4nm、平均アスペクト比:1.0、BET比表面積:4.8m2/g)を得た。
得られたオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xa)のSEM写真を図1に示す。
[実施例2:オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xb)の製造]
スラリーc2を220℃(オートクレーブ内の圧力:2.3MPa)で12時間水熱反応を行った以外、実施例1と同様にして、0.8質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xb)(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の担持量=0.8質量%、長径方向の平均粒子径:310nm、長径方向の平均粒子径の標準偏差:5.3nm、平均アスペクト比:1.0、BET比表面積:3.1m2/g)を得た。
得られたオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xb)のSEM写真を図2に示す。
[実施例3:オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xc)の製造]
スラリーa2に、添加するセルロースナノファイバー(同上)の添加量を5892gとし、220℃(オートクレーブ内の圧力:2.3MPa)で12時間水熱反応を行った以外、実施例1と同様にして、1.2質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xc)(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の担持量=1.2質量%、長径方向の平均粒子径:280nm、長径方向の平均粒子径の標準偏差:5.6nm、平均アスペクト比:1.0、BET比表面積:5.0m2/g)を得た。
得られたオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xc)のSEM写真を図3に示す。
[実施例4:オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xd)の製造]
スラリーa2に、アニオン界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム(ビューライトLCA-25N、三洋化成(株)製)47.1gを添加し、220℃(オートクレーブ内の圧力:2.3MPa)で12時間水熱反応を行った以外、実施例1と同様にして、0.8質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xd)(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の担持量=0.8質量%、長径方向の平均粒子径:340nm、長径方向の平均粒子径の標準偏差:9.3nm、平均アスペクト比:3.1、BET比表面積:2.9m2/g)を得た。
得られたオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xd)のSEM写真を図4に示す。
[実施例5:オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xe)の製造]
スラリーa2に、添加するセルロースナノファイバー(同上)の添加量を2946gとし、アニオン界面活性剤であるドデカン-1,2-ジオール酢酸エーテルナトリウム(ビューライトSHAA、三洋化成(株)製)47.1gを添加し、250℃(オートクレーブ内の圧力:4.0MPa)で4時間水熱反応を行った以外、実施例1と同様にして、0.5質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xe)(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の担持量=0.5質量%、長径方向の平均粒子径:390nm、長径方向の平均粒子径の標準偏差:12.5nm、平均アスペクト比:4.7、BET比表面積:1.1m2/g)を得た。
[比較例1:オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xf)の製造]
スラリーa2に、添加するセルロースナノファイバー(同上)の添加量を5892gとし、170℃(オートクレーブ内の圧力:0.8MPa)で1時間水熱反応を行った以外、実施例1と同様にして、1.2質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xf)(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の担持量=1.2質量%、長径方向の平均粒子径:100nm、長径方向の平均粒子径の標準偏差:5.5nm、平均アスペクト比:1.0、BET比表面積:18.8m2/g)を得た。
得られたオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xf)のSEM写真を図5に示す。
[比較例2:オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xg)の製造]
LiCO3 1120g、及び水3Lを混合してスラリーa8を得た。次いで、得られたスラリーa8を、25℃の温度に保持しながら3分間撹拌しつつクエン酸57.7gを滴下し、さらに3分間撹拌しつつ85%のリン酸水溶液1153gを35mL/分で滴下し、続いてセルロースナノファイバー(同上)4419gを添加して、速度400rpmで12時間撹拌して、Li3PO4を含むスラリーb8を得た。
得られたスラリーb8に窒素パージして、スラリーb8の溶存酸素濃度を0.5mg/Lとした後、スラリーb8全量に対し、MnSO4・5H2O 1688g、FeSO4・7H2O 834gを添加してスラリーc8を得た。添加したMnSO4とFeSO4のモル比(マンガン化合物:鉄化合物)は、70:30であった。
次いで、得られたスラリーc8をオートクレーブに投入し、170℃(オートクレーブ内の圧力:0.8MPa)で1時間水熱反応を行った。オートクレーブ内の圧力は0.8MPaであった。水熱反応後、生成した結晶をろ過し、次いで結晶1質量部に対し12質量部の水により洗浄した。洗浄した結晶を-50℃で12時間凍結乾燥して水熱反応物d8を得た。
得られた水熱反応物d8をろ過し、水熱反応物d8の1質量部に対し12質量部の水により洗浄した後、-50℃で12時間凍結乾燥して複合体f8を得た。
得られた複合体f8を、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、700℃で1時間焼成して、0.8質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xg)(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の担持量=0.8質量%、長径方向の平均粒子径:80nm、長径方向の平均粒子径の標準偏差:42.2nm、平均アスペクト比:5.0、BET比表面積:12.0m2/g)を得た。
[比較例3:オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xh)の製造]
Li2CO3 369g、Mn(CH3CO2)2・4H2O 1716g、FeC24・2H2O 540g、NH42PO4 1150gに少量の2-プロパノールを加え、直径1cmのジルコニアボールを入れたボールミル容器で2時間混合粉砕して原料混合物a9を得た。得られた原料混合物a9をアルミナ製容器に移し、大気雰囲気下、700℃で2時間焼成して、焼成物b9を得た。得られた焼成物b9にセルロースナノファイバー(同上)4419gを加え、微粉砕機((株)アイシンナノテクノロジーズ製、NJ-200)で粉砕・混合し、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、700℃で1時間焼成して、焼成物c9を得た。得られた焼成物c9を、分級機((株)ホソカワミクロン製、ATP-NG)で分級して、0.8質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMP-Xh)(LiMn0.7Fe0.3PO4、炭素の量=0.8質量%、長径方向の平均粒子径:300nm、長径方向の平均粒子径の標準偏差:16.7nm、アスペクト比:1.0、BET比表面積:5.6m2/g)を得た。
[実施例6:オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMS-Xa)の製造]
LiOH・H2O 428g、Na4SiO4・nH2O 1397g、セルロースナノファイバー(Wma-10002、(株)スギノマシン製、繊維径4nm~20nm)2210g及び水3.75Lを混合してスラリーa9を得た。次いで、得られたスラリーa9に、MnSO4・5H2O 900g及びCoSO4・7H2O 177gを添加してスラリーb9を得た。添加したMnSO4とCoSO4のモル比(マンガン化合物:コバルト化合物)は、75:25であった。
次いで、得られたスラリーb9をオートクレーブに投入し、220℃(オートクレーブ内の圧力:2.3MPa)で6時間水熱反応を行った。オートクレーブ内の圧力は2.3MPaであった。水熱反応後、生成した結晶をろ過し、次いで結晶1質量部に対し12質量部の水により洗浄した。洗浄した結晶を-50℃で12時間凍結乾燥して水熱反応物c9を得た。
得られた水熱反応物c9を、アルゴン水素雰囲気下(水素濃度3%)、700℃で1時間焼成して、0.8質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMS-Xa)(Li2Mn0.75Co0.25SiO4、炭素の担持量=0.8質量%、長径方向の平均粒子径:200nm、長径方向の平均粒子径の標準偏差:5.2nm、平均アスペクト比:1.0、BET比表面積:5.0m2/g)を得た。
[実施例7:オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMS-Xb)の製造]
スラリーa9に、添加するセルロースナノファイバー(Wma-10002、(株)スギノマシン製、繊維径4nm~20nm)の添加量を1473gとし、250℃(オートクレーブ内の圧力:4.0MPa)で4時間水熱反応を行った以外、実施例6と同様にして、0.5質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMS-Xb)(Li2Mn0.75Co0.25SiO4、炭素の担持量=0.5質量%、長径方向の平均粒子径:400nm、長径方向の平均粒子径の標準偏差:5.4nm、平均アスペクト比:1.0、BET比表面積:1.2m2/g)を得た。
[比較例4:オリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMS-Xc)の製造]
スラリーa9に、添加するセルロースナノファイバー(Wma-10002、(株)スギノマシン製、繊維径4nm~20nm)の添加量を2946gとし、170℃(オートクレーブ内の圧力:0.8MPa)で1時間水熱反応を行った以外、実施例6と同様にして、1.2質量%のセルロースナノファイバー由来の炭素が担持されてなるオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(LMS-Xc)(Li2Mn0.75Co0.25SiO4、炭素の担持量=1.2質量%、長径方向の平均粒子径:100nm、長径方向の平均粒子径の標準偏差:5.3nm、平均アスペクト比:1.0、BET比表面積:18.5m2/g)を得た。
《正極の製造》
実施例及び比較例のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子(X)と、製造例1の層状型リチウム複合酸化物粒子(NMC-Ya)(Y)を、X:Y=2:8(質量比)となるように混合して混合正極活物質を形成した後、かかる混合正極活物質(18g):アセチレンブラック(2g):ポリフッ化ビニリデン(2g)=90:5:5(質量比)の配合割合となるよう正極スラリーを調製した。
より具体的には、自転・公転式ミキサー(ARE-310、(株)シンキー製)を用い、まずアセチレンブラックとポリフッ化ビニリデンを回転数2000rpmで10分間混練した後、層状型リチウム複合酸化物粒子(NMC-Ya)を添加して回転数2000rpmで5分間混練し、その後、任意のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子を添加して、さらに回転数2000rpmで5分間混練した。その後、混練直後の粘度が、回転数100rpmでのB型粘度計(デジタル粘度計DV-E、ブルックフィールド社製)の測定値で3500(mPa・s)前後となるように、N-メチル-2-ピロリドンを適量加えて、回転数2000rpmで5分間混練して正極スラリーを得た。
ブレード間隔250μmのドクターブレードを用い、上記正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔からなる集電体に塗工した後、80℃で12時間の真空乾燥を行った。その後、φ14mmの円盤状に打ち抜き、ハンドプレスを用いて16MPaで2分間プレスして正極とした。
《正極スラリーの塗工性(密着強度)の評価》
正極スラリーの塗工性を、電極合材層と集電体との密着強度(ピール強度)を指標として評価した。これは、正極スラリーの塗工性が良好なほど、電極合材層と集電体が強固に結着されて、密着強度の値が増大することに基づくものである。
具体的には、円盤状に打ち抜かないまま16MPaで2分間プレスして得られた正極を、幅1.0cm×長さ10cmの長方形に切り出した。次いで、正極合材層側を上にして試験台に固定した後、正極合材層の表面にセロハンテープ(JIS Z 1522「セロハン粘着テープ」準拠品)を貼り付けた後、かかるセロハンテープを50mm/分の速度で引き剥がしたときの応力を測定した。かかる測定を10回繰返して、その平均値を密着強度(N/m)とした。
密着強度の測定結果を表1に示す。
《正極断面のSEM観察》
得られた正極について、その断面のSEM写真(後方散乱電子像、使用装置:JSM-7001F、日本電子(株)製)を画像解析して、粒子間空隙の量、平均空隙径(円面積相当径)、当該平均空隙径の標準偏差、及び粒子間空隙の分布状態を評価した。このSEM写真を用いた画像解析では、任意に選択した集電体周辺の50μm×50μmの範囲を対象にした。SEM観察用の正極断面試料は、切断、粗研磨後の正極断面をダイヤモンドペーストで研磨した後、Arイオンビームを用いてクロスセクションポリッシャを行うことにより作製した。画像解析結果を表1に示す。
なお、表1に示す粒子間空隙の分布状態は、SEM写真を目視により評価した結果である。具体的には、粒子間空隙の分布をSEM写真全体で観察し、空隙が均一に分散していると判断した場合を「○」、集電体近傍に大径の空隙が偏在している等、空隙が均一に分散していないと判断した場合を「×」と評価した。
Figure 0007108504000001
《レート特性の評価》
得られた二次電池を用い、レート特性を評価した。具体的には、30℃環境下における0.2C(34mAh/g)及び3C(510mAh/g)の初期放電容量を、放電容量測定装置(HJ-1001SD8、北斗電工(株)製)を用いて測定した。
レート特性の測定結果を表2に示す。
《サイクル特性の評価》
得られた二次電池を用い、サイクル特性を評価した。具体的には、電流密度85mA/g、電圧4.25Vの定電流充電後に、電流密度85mA/g、終止電圧3.0Vの定電流放電を行い、放電容量測定装置(同上)を用い、気温30℃環境での、0.5C(85mAh/g)における放電容量を測定した。また、上記充放電サイクルを1000サイクル繰返し、下記式(X)により容量保持率(%)を求めた。
サイクル特性の測定結果を表2に示す。
容量保持率(%)=(1000サイクル後の放電容量)/
(1サイクル後の放電容量)×100 ・・・(X)
Figure 0007108504000002
表2より、本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子を用いて得られた混合活物質より製造したリチウムイオン二次電池は、比較例1~3と比して、レート特性は同等レベルでありつつ、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を得ることができた。これは、表1に示すとおり、本発明のオリビン型リチウム系酸化物一次粒子を用いて調製した正極スラリーは、良好な塗工性を有するため、正極層の空隙量が有効に低減されるとともに大径の空隙の発生及び偏在を回避し、適度に存在する小径の空隙が均一に分布した空隙構造を有していることによるものと考えられる。

Claims (6)

  1. 下記式(a)又は下記式(b):
    LiMnFe PO ・・・(a)
    (式(a)中、MはCo、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd又はGdを示す。a、b、c、及びdは、0<a≦1.2、0.3≦b≦1、0≦c≦0.7、及び0≦d≦0.3を満たし、かつa+(Mnの価数)×b+(Feの価数)×c+(Mの価数)×d=3を満たす数を示す。)
    LiMnCo SiO ・・・(b)
    (式(b)中、MはFe、Ni、Ca、Sr、Y、Zr、Mo、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Nd、Al、Zn、V又はGdを示す。e、f、g、及びhは、0<e≦2.4、0≦f≦1.2、0≦g≦1.2、0≦h≦1.2、及びf+g≠0を満たし、かつe+(Mnの価数)×f+(Coの価数)×g+(Mの価数)×h=4を満たす数を示す。)
    で表される粒子であって、長径方向の平均粒子径が150nm~500nmであり、長径方向の粒子径の標準偏差が2.5nm~15.0nmであり、BET比表面積が1m/g~6.5m/gであり、かつ表面に炭素が担持してなる、混合正極活物質用オリビン型リチウム系酸化物一次粒子。
  2. 平均アスペクト比が1.0~6.0である、請求項1に記載の混合正極活物質用オリビン型リチウム系酸化物一次粒子。
  3. 表面に担持してなる炭素が、セルロースナノファイバー由来の炭素である、請求項1又は2に記載の混合正極活物質用オリビン型リチウム系酸化物一次粒子。
  4. オリビン型リチウム系酸化物一次粒子と層状型リチウム複合酸化物粒子との混合物である混合正極活物質を形成するための、請求項1~3のいずれか1項に記載の混合正極活物質用オリビン型リチウム系酸化物一次粒子。
  5. 次の工程(I)~(IV):
    リチウム化合物、並びにリン酸化合物又はケイ酸化合物を混合して水溶液Aを得る工程(I)、
    得られた水溶液A、並びに少なくともマンガン化合物又はコバルト化合物を含む金属塩を混合して混合液Bを得る工程(II)、
    得られた混合液Bを、温度が200℃~300℃、圧力が1.6MPa~8.6MPaの水熱反応に3時間~15時間付して、水熱反応物Cを得る工程(III)、
    得られた水熱反応物Cを焼成して、オリビン型リチウム系酸化物一次粒子を得る工程(IV)を備え、
    工程(I)又は工程(II)において、炭素源を添加する工程を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の混合正極活物質用オリビン型リチウム系酸化物一次粒子の製造方法。
  6. 炭素源が、セルロースナノファイバーである、請求項5に記載の混合正極活物質用オリビン型リチウム系酸化物一次粒子の製造方法。
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