JP7105425B2 - 金属cnt線の製造方法及び絶縁被覆金属cnt線の製造方法 - Google Patents

金属cnt線の製造方法及び絶縁被覆金属cnt線の製造方法 Download PDF

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本発明は、カーボンナノチューブ(以下「CNT」ともいう)ヤーンの内部にまで銅めっきを浸透させた金属CNT線とその製造方法、並びに絶縁被覆金属CNT線及び絶縁被覆金属CNT線の製造方法に関する。
従来の電線は金属を電子が伝わる導線として利用してきた。この原理は金属表面を自由電子が電圧差で拡散する伝導形態であり、その移動度は金属の種類によって抵抗差となって表れる。最も抵抗が低く電流が流れ易い金属は銀であるが、価格の観点や、酸化され難いこと、加工し易いこと等の理由から銅が最も良く利用されている。
しかしながら、表面を自由電子が拡散する原理を利用する導体は、自由電子が流れる事で、垂直方向に磁場が発生するため、必ず表皮効果が発生する。これはモーターなどのコイルにした場合、渦電流の発生や、ジュール熱の発生などを引き起こすため、エネルギー損失が起こる。
一方、炭素原子が共有結合するSP2結合の六角網目状のグラフェン構造を有するCNTについて見ると、夫々の電子は共有結合で拘束されているため原子間距離を越えて移動することはできないが、ある程度の存在確率の自由度があり、グラフェン自体はダイヤモンドのSP3結合のような3次元構造のようなものと異なり柔軟で、その電子は軌道範囲で動くことが出来る。このため、電子が受ける運動エネルギーは隣り合う電子に玉突き状態で運動を伝えることができ、グラフェンをチューブ状にしたCNTは軸方向に電子の運動をballisticに伝えることができ、金属の拡散的な伝導と異なる導体となる。
即ち、CNTからなる電線ができれば、これまでの電線による電子自体の移動による電気伝導とは異なり、六員環の共鳴のような状態変化で導通が起こるため、そのメカニズムが異なることから、エネルギー損失が少なく、伝達速度が速く、電子が移動する事で発生する垂直磁場の発生も起こり難く、高周波数の交番電流に因る表皮効果も低い。また、通常の金属の導体では電流密度の上昇でジュール熱により温度が上がり、電子の散乱が生じて、温度上昇に伴う抵抗の増加が起こるが、CNTヤーンでは温度による抵抗増加は起こり難いため抵抗の変化は生じ難い。
しかしながら、CNTはその1本の直径が数nm~数十nmと細く、長さは数μm~数百μmの長さであり、それを束ねたCNTヤーンでは、各CNTを接合する接合部の点数が多くなり、接合部では電子散乱が起こることから、CNTヤーン全体の総合抵抗は金属線の抵抗に比べて2ケタ抵抗が高くなり、CNT自体の特徴を生かせない事が課題であった。
一般に、炭素と金属は濡れ性が悪く接続し難いものであり、炭素のみからなり反応基を全く持たないCNTに金属を付着させることは難しいと考えられる。ところがCNTの微細構造に着目すると、無欠陥のCNTの合成は未だ出来ておらず、またCNTの先端部は奇数環で閉じられる構造になっていて、こうした欠陥部分や先端部分は、CNTの精製分離時に酸や分散エネルギーで壊れてカルボン酸類が生じている。そのため、この酸素によりこれらの部分は負の電荷が帯電しており、CNTを電気めっきの負極として作用させることでめっきが可能であり、この欠陥部分や先端部分に金属が付着すれば電子移動の阻害要因を低減する事になる。つまりCNTの表面がめっきされた導体は電子の運動の玉突き方式と金属の持つ自由電子の拡散方式の組み合わさった新しい伝導形態の導体となり、軽量で、表皮効果の少ない、熱の影響が少ない導体が実現できる。
こうしたことからCNTに金属を付着させる技術に対する研究は行われており、例えば特許第5896422号公報(特許文献1)や、特許第6112639号公報(特許文献2)等には、CNTにめっきを施した技術が記載されている。
特許第5896422号公報 特許第6112639号公報
しかしながら、CNTヤーンは、個々のCNTがファンデルワールス引力により強固に密着して線束を形成しており、上記公報にも言及されているように、その線束に対してめっきしたのではCNTヤーンの表面をめっきすることができてもCNTヤーンの内部にまではめっきが浸透することはなかった。
また、上記公報に記載された金属被覆CNT線は、線束の内部にまで金属が浸透しているように見えるが、CNTヤーンにめっきしたものではなく、基板上に配向した個々に分離したCNTに対してめっきしたものであって、CNTどうしの間に空間を備えるものであり、そのためにCNT間の距離が増加し、ファンデルワールス引力による結合力が低下するものであると考えられる。
本発明は、CNTを紡績して形成したCNTヤーンの内部にまで銅めっきが浸透した金属CNT線とその製造方法、及びこの金属CNT線に絶縁材を設けた絶縁被覆金属CNT線とその製造方法を提供するものである。
上記の課題を解決するために、本発明は次の構成を有する。
[1]CNTヤーンに銅めっきが付着した金属CNT線であって、
前記CNTヤーンの内部にまで銅めっきが浸透しておりCNTヤーンの表面に付着した銅めっきと連接している金属CNT線である。
[2]前記CNTヤーンの直径Rに対して、そのCNTヤーンの表面に付着した前記銅めっきの膜厚がR/15~R/3であり、前記CNTヤーンの真比重がQCであるときに、金属CNT線の真比重QPが以下式(1)
7QC>QP>1.78QC・・・式(1)
で表される金属CNT線である。
[3]前記CNTヤーンは、平均直径が5~50nm、平均長さが10~100μmであるCNTが配向した紡績糸からなり、線径が30~50μm、長さが1~100m、真比重が1.8~2.0g/cmである金属CNT線である。
[4]前記CNTヤーンは、ラマン分光法によるG/D比が0.5~10である金属CNT線である。
[5]CNTヤーンに銅めっきが付着した金属CNT線の製造方法であって、
前記CNTヤーンの表面に銅めっきが析出することを抑制する第1種添加剤と、前記CNTヤーンの内部に銅めっきが析出することを促進する第2種添加剤とを含有するめっき浴に前記CNTヤーンを浸漬してめっきを行い、前記CNTヤーンの内部にまでめっきを浸透させ、前記CNTヤーンの表面に付着した銅めっきと前記CNTヤーンの内部に浸透した銅めっきが連接している金属CNT線の製造方法である。
[6]前記第1種添加剤が、CNTヤーンの内部にまで銅めっきの浸透を促す浸透剤である金属CNT線の製造方法である。
[7]前記第1種添加剤が、めっき浴中においてカチオンとなり銅めっきが析出し易い部分への銅めっきの析出を抑制する阻害剤である金属CNT線の製造方法である。
[8]さらに、前記CNTヤーンを解きほぐそうとする緩和剤を第3種添加剤として含有する金属CNT線の製造方法である。
[9]上記何れかの金属CNT線を絶縁材で被覆した絶縁被覆金属CNT線であって、
前記CNTヤーンの内部にまで前記銅めっきが浸透している金属CNT線を樹脂でなる絶縁材で被覆した絶縁被覆金属CNT線である。
[10]上記何れかの金属CNT線の製造方法で製造した金属CNT線に、樹脂でなる絶縁材で被覆する工程と、
前記金属CNT線に付着した前記銅めっきを前記CNTヤーン及び前記絶縁材に密着させる工程と、を実行する絶縁被覆金属CNT線の製造方法である。
本発明によれば、金属CNT線の内部にまで銅めっきが浸透することで、内部まで浸透した銅めっきが機械的なアンカーとなり、CNTヤーン表面の銅めっきが剥離し難い金属CNT線とその製造方法を得ることができる。
また、本発明によれば、金属CNT線の内部にまで銅めっきが浸透することで、内部まで浸透した銅めっきが機械的なアンカーとなり、CNTヤーン表面の銅めっきが剥離し難い絶縁被覆金属CNT線とその製造方法を得ることができる
CNTヤーンの内部にまで銅めっきが浸透した状態を説明する模式図である。図中の領域Rは一部拡大図である。 CNTヤーンの内部には銅めっきが浸透せず、CNTヤーンの表面に銅めっきが付着した状態を説明する模式図である。 試料1及び試料2のめっき前の表面を示した電子顕微鏡写真図である。 試料1及び試料2のめっき前の断面を示した電子顕微鏡写真図である。 試料1のめっき後の表面を示した電子顕微鏡写真図である。 試料1のめっき後の断面を示した電子顕微鏡写真図である。 試料2のめっき後の表面を示した電子顕微鏡写真図である。 試料2のめっき後の断面を示した電子顕微鏡写真図である。
実施形態に基づいて本発明をさらに説明する。これらの各実施形態において共通する構成、材料、製造方法、効果等については重複説明を省略する。
<第1実施形態>:
本発明の第1実施形態としての金属CNT線について説明する。金属CNT線10は図1の模式図で示すように、CNTヤーン11に銅めっき12が付着したものであり、CNTヤーン11の内部にまで銅めっき12が浸透したものである。CNTヤーン11は複数のCNT13を紡績したものである。以下にこの金属CNT線10の構成について説明する。
CNTヤーン:
CNTはその直径が0.3~100nm程度であり、その長さも数μm~数百μmであるため、CNTの機械的、物理的な特徴を利用するためにはまとまった大きさにする必要があり、CNTを紡績してCNTヤーンとすることがその一つの利用形態である。
CNTをCNTヤーンとするには、生成されたCNTを引き出す際に、引き出された方向に配向しながら個々のCNTどうしの引力で引き合い糸状となった連続体が得られるので、これを巻き取ることでCNTヤーンを得ることができる。
CNT:
さて、個々のCNTは、その構造上、単層CNT(SWCNT)や多層CNT(MWCNT)があり、多層CNTは3層以上のものも知られている。CNTヤーンとするには、これらの何れのCNTを用いることもできるが、導電率が高いCNT線にするには、金属型単層CNTを分離捕集したものが一般には好ましいと考えられる。しかしながら、この場合の単層CNTの密着密度は増すものの、単層CNT間の電気的な接合を銅めっきで改善することはできないため、抵抗が大きくなる。また、この構造では単層CNTが互いに接続する部分の内部にまでめっき液が入らないことが考えられる。そのため、単層CNTよりは多層CNTを用いた方が好ましい。
CNTヤーンを構成する個々のCNTは、上記の大きさを有するものであるが、平均直径では1~70nmが好ましく、5~50nmであることがより好ましい。CNTの長さは、上記長さが一般的だが、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。CNTの平均長さが5μmより短ければ、個々のCNTの端部どうしの数が増えるからである。また、CNTの平均長さが10μm以上であれば、こうした端部どうしをつなぐ金属からなる部分の数が減るからであり、100μm以下であれば利用が容易である。
CNTの平均直径や平均長さは、透過型電子顕微鏡を用いて任意に選択した複数のCNTの直径や長さを平均することで求められる。
複数のCNTの集合体としては、直線状のものだけでなく、曲線状、又は配向のない凝集体であることがあり得るが、本発明では配向性の全くないCNTの無定形なかたまりは除かれ、複数のCNTが一定の配向性をもって配置され線束を形成したものが用いられる。CNTヤーンでは、通常は複数のCNTどうしが配向状態でファンデルワールス引力によってまとまりを形成しているが、銅めっきの浸透を完全に阻害するものでなければ個々のCNTどうしの間に分散剤やバインダー等のCNTや金属以外の物質が含まれているものであっても良い。
個々のCNTの集合体としてのCNTヤーンは、その直径(線径)が20μm~70μm、好ましくは25μm~60μm、より好ましくは30~50μmである。20μmより細いと実用的な電線等として利用するためには何本もまとめて撚り線とする必要がありその手間がかかるからである。一方、70μmよりも大きくなると、内部への銅めっきの浸透が不十分になるおそれがあるからである。
CNTヤーンの長さは、所望の用途に応じて好ましい長さとすることができ、例えば、モーターなどに用いられるコイルとして使用する場合には、例えば1~100mとすることができるが、1mよりも短くすることはもちろん可能であり、また、必要であれば100mを超える長さとしても良い。
また、CNTヤーンの真比重は、1.8~2.0g/cmであることが好ましい。CNTヤーンの真比重が2.0g/cmを超えると、密度が高くなり銅めっきがCNTヤーン内部に浸透し難くなり、1.8g/cmよりも低いと抵抗値が高くなり易い。
CNTヤーンは、より細い複数のCNTヤーンを束ねたものであっても良いが単線の方が好ましい。より細い複数のCNTヤーンを束ねたものは通常、それらを撚り線としてまとめるためで、撚り線とすることにより銅めっきの浸透が妨げられるおそれがあるからである。
ところで、CNTヤーンに一般的なめっきを施したのでは図2の模式図で示すように、CNTヤーンの表面にめっき層を形成することはできてもCNTヤーンの内部にまでは銅めっきが浸透せず、CNTヤーンの内部にまで金属を付着することはできなかった。
その理由は次のとおりである。通常のめっきでは、尖った部分、即ち、表面に凹凸があれば凸部にめっきが付着する。そうした一方で凹部にはめっきが付き難い。そのため、CNTヤーンの表面には凸部があるからめっきが付き易いが、CNTヤーンの内部は凹部に相当するためめっきは入って行き難い。その結果、CNTヤーンの表面にはめっきができても、CNTヤーンの内部にまではめっきが浸透しなかった。
そこで、CNTヤーンの内部にまでめっきが付くように、電気銅めっきに用いるめっき浴について工夫し調製した。即ち、CNTヤーンの表面に銅めっきが析出することを抑制し、CNTヤーンの内部に銅めっきが析出することを促進するようにした。こうした作用を達成するためCNTヤーンの表面に銅めっきが析出することを抑制する第1種添加剤と、CNTヤーンの内部に銅めっきが析出することを促進する第2種添加剤とをめっき浴に加えている。
上記めっき浴の一例として、より具体的には、銅イオン供給源と硫酸等の酸成分を含んだ電気銅めっき浴に各種添加剤を含んだめっき浴が挙げられる。次にはこのめっき浴に含まれる成分について説明する。
銅イオン供給源:
銅イオン供給源としては水溶性銅塩が挙げられ、例えば硫酸銅や塩化銅、酸化銅、メタンスルホン酸銅、エタンスルホン酸銅、ピロリン酸銅、プロパン酸銅、イセチオン酸銅、炭酸銅、酢酸銅等の銅塩が挙げられる。これらの銅塩は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。めっき浴中における銅イオン供給源の濃度は、硫酸銅の場合で50~300g/L、好ましくは65~250g/Lである。
酸成分:
酸成分はめっき浴を酸性にする機能があり硫酸等の無機酸を用いることができる。硫酸であれば水に溶けることから、溶媒として水を使える点で好ましい。場合により、無機酸に限らず、アルカンスルホン酸やアルカノールスルホン酸等の有機酸を用いることもできる。酸成分を用いるめっき浴に対してアルカリ性のめっき浴を用いる場合は、成膜速度が遅く、まためっき膜に水酸化物が形成されることからめっき膜の特性が劣るという問題がある。酸成分の濃度は、10~400g/L程度とすることができ、好ましくは20~300g/L、より好ましくは30~220g/Lとすることができる。
第1種添加剤:
CNTヤーンの表面に銅めっきが析出することを抑制する第1種添加剤としては、CNTとの親和性に優れCNTヤーンの内部にまでめっきの浸透を促す浸透剤が挙げられる。
浸透剤には、ポリエチレングリコール(PEG)や、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリオキシアルキレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体等、各種のコポリマーや誘導体、界面活性剤等のポリエーテル化合物と、塩化ナトリウムや、塩化カリウム、塩酸等の塩化物イオン生成物と、を組合わせたものが挙げられる。
ポリエーテル化合物は、CNTとの親和性に優れCNTヤーンの内部にまで浸透し易いためCNTヤーンの内部に金属粒子を行き渡らせ易くなり、まためっきの核成長を抑制する効果もあると考えられる。なお、ポリエチレングリコールを用いる場合はその重量平均分子量が200~3000のものを用いることができ、それ以外のポリエーテル化合物も300~20000のものを用いることができ、500~10000が好ましく、500~5000、又は500~4000がより好ましい。こうしたポリエーテル化合物の濃度は、0.01~10g/L程度とすることができ、0.03~5g/Lとすることが好ましく、0.05~1g/Lとすることがより好ましい。
塩酸等の塩化物イオン生成物は、塩化物イオンをめっき浴中に生成することで銅イオンの生成数を抑制する。塩化物イオン生成物から発生する塩化物イオン濃度は、2~150mg/Lとすることができ、5~100mg/Lとすることが好ましく、20~80mg/Lとすることがより好ましい。塩化物イオン生成物から発生する塩化物イオン濃度が150mg/Lを超えると、アノード表面へ塩化銅が析出してアノードの不動態化が生じるおそれがある。2mg/Lより少ないと、部分的な抑制作用でめっきむらを生じるおそれがある。塩化物イオン濃度は、塩酸や塩化ナトリウム等を用いることで調整できる。
CNTヤーンの表面に銅めっきが析出することを抑制する第1種添加剤としては、上記のものに加えて、又は上記のものとは別に、めっき浴中においてカチオンとなりめっきが析出し易い角や先端部分に集中することでそうした部分への銅の析出を抑制する阻害剤が挙げられる。
上記阻害剤としては、ポリアルキレンイミン、ビニルピロリドン、ポリアクリル酸アミド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、ジエチレントリアミン、フェナジン化合物、Janus Green Bなどの染料等の含窒素有機化合物が挙げられる。これらのうち、Janus Green B等の染料は、単なる阻害剤としての機能だけでなく、めっき浴の撹拌作用とも関連し、3,3’ジチオビス(1-プロパンスルホン酸)二ナトリウム(SPS)等の硫黄化合物が行き渡るようにする機能も発揮する点で好ましい。
めっき浴中に含まれる阻害剤の濃度は、0.005~10000mg/Lとすることができ、0.01~5000mg/Lであることが好ましく、0.05~2000mg/Lであることがより好ましい。上記濃度が0.005mg/Lを下回るとCNTヤーン表面への過剰なめっき析出が生じ、CNTヤーン内部への銅めっきの浸透が図れない。また、10000mg/Lを超えるとCNTヤーン内部においても銅めっきの付着抑制効果が働きCNTヤーン内部への銅めっきの付着がはかれない。
第1種添加剤のうち、浸透剤と阻害剤は共に第1種添加剤としての目的で用いることからその何れか一方を用いることができるが、両者の機能が異なることから、どちらか一方だけを用いるよりは両者ともに用いることが好ましい。
第2種添加剤:
CNTヤーンの内部に銅めっきが析出することを促進させる第2種添加剤は、銅めっきの成長核を好適に発生させるもので、第1種添加剤がCNTヤーンの表面へのめっき付着を制限し、CNTヤーン内部へのめっき液の浸透を促進させながら、第2種添加剤がCNTヤーン内部で効果的に機能することで、CNTヤーン内部への十分なめっきの浸透が起こるものと考えられる。
こうした第2種添加剤には、3,3’ジチオビス(1-プロパンスルホン酸)二ナトリウム(SPS)、3-メルカプトプロパンスルホン酸やその塩、bis(3-sulfopropyl)disulfideやその塩、N,N-ジメチルジチオカルバミン酸(3-スルホプロピル)エステルやその塩等の硫黄化合物を挙げることができる。
めっき浴中の第2種添加剤の濃度としては、0.01~200mg/Lとすることができ、0.05~100mg/Lとすることが好ましく、0.1~30mg/Lとすることがより好ましい。
第3種添加剤:
上記めっき浴には、CNTヤーンを解きほぐそうとする機能を有する緩和剤を含めることができる。緩和剤の添加によりCNTヤーンを解きほぐすことはできずとも銅めっきがCNTヤーンの内部にまで浸透しようとする作用を助ける。
緩和剤としては、デオキシコール酸ナトリウム(DOC)やドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)、ポリアクリル酸(PAA)、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド(STAC)、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤が例示できる。めっき浴中に含まれる緩和剤の濃度は、1×10-4~50×10-4mol/dmとすることが好ましい。
カチオン系界面活性剤としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルポリグルコシド、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
めっき液には、本発明の効果を損なわない範囲で、銅以外の金属イオン発生源、溶解補助剤、界面活性剤、光沢剤、負極用結着材等の上記以外の成分を含有させることができる。
めっき処理の条件:
めっき処理の条件としては次の条件を挙げることができる。めっき処理の通電量は、CNTヤーンの太さや長さ、CNTヤーンの種類に応じて適宜調整するが、陰極電流密度としては0.05~5A/dmとすることができ、0.2~4A/dmとすることが好ましく、0.5~3A/dmとすることがより好ましい。また、直流めっき法に限らず、電流反転めっき法やパルスめっき法を用いることができる。陽極には銅板等の可溶性アノードに限られず、不溶性アノードとしても良い。めっき浴の攪拌については、エアレーション法や噴流法等の空気攪拌法、スターラーや、カソードロッカーによる機械攪拌法を用いることができる。めっき温度は15~35℃とすることができ、20~30℃とすることが好ましく、22~28℃とすることがより好ましい。
前処理:
めっき処理の前処理については、CNTヤーン以外の通常の電気めっきの被着体に施す前処理を行うことができ、めっき液へのCNTヤーンの事前浸漬等のめっき液のCNTヤーンへの浸透性向上処理や、界面活性剤系処理液へのCNTヤーンの浸漬等のCNTヤーンの濡れ性向上処理、アルコール等による汚れ除去処理、トリクロロエチレン等による脱脂処理を行うことは好ましい。
めっき処理の方法:
めっき処理の一方法として次のようにめっき処理装置を構成できる。CNTヤーンを陰極とし、銅板等の純銅材又は含燐銅材等を陽極としてめっき浴中に浸漬する。陽極となる銅板等は陰極となるCNTヤーンの両側に置くことでCNTヤーンの両側からCNTヤーンにめっきを付着させることができる。また、CNTヤーンの周囲に複数の銅板等を配置するようにすれば、CNTヤーン表面のあらゆる方向からめっきを付着させることができるのでより好ましい。
CNTヤーンの長さは長く、通常のバッチ処理とすることもできるが連続処理を行うことが好ましい。めっき浴内で、陽極と対向させてCNTヤーンが配置されるようにして、CNTヤーン及び陽極の長さ方向にCNTヤーンを移動するようにしてめっきを施す。めっきを施す部位が陽極と対向し始めてから対向状態を脱するまでをめっき処理時間として、そのめっき処理時間を10~40分とすることで連続処理が可能となる。そして、こうした連続めっき処理を行うには、陽極の長さとCNTヤーンの移動速度(送り速度又は引張速度)が関係し、陽極の長さを40~500cmとして、CNTヤーンの移動速度を1~50cm/分とすることが好ましい。
得られた金属CNT線の特徴:
得られた金属CNT線は、その表面状態を観察すると、第1種添加剤が表面での銅めっきの成長を抑制するためか銅めっきが大きく析出した箇所はなく、その表面が緻密であり細かな凹凸があるように見える。
また、その真比重は、CNTヤーンの直径Rに対して表面に付着した銅めっきの膜厚がR/15~R/3である場合に、CNTヤーンの真比重をQCとすると、金属CNT線の真比重QPは以下の式(1)の範囲にある。
7QC>QP>1.78QC・・・式(1)
銅の比重はCNTヤーンの真比重の4.5~4.7倍であり、CNTヤーンの直径Rに対して銅めっきの膜厚がR/15のときに、CNTヤーン内に浸透する銅めっきがないとすれば、その金属CNT線の真比重はCNTヤーンの少なくとも1.78倍となる。一方で、金属CNT線の真比重はその全部が銅から構成されると仮定した場合の真比重を超えることはない。そこで、QPは、1.78QCより大きく、7QCより小さくなる。
CNTの特性の一側面はラマン分光分析によるG/D比で特定することができる。G/D比は、1560cm-1~1620cm-1範囲内に見られるGバンドと、1300cm-1~1400cm-1範囲内に見られるDバンドの高さ比を表したものである。Gバンドは、グラファイトに由来し、Dバンドは、アモルファスカーボンやグラファイトの欠陥に由来するといわれ、G/D比が高いほどグラファイト化度が高く、高品質であるとされている。一般に市販のCNTのG/D比は、ラマン分光法で使用できるレーザー波長のうち532nmを利用したときに10~20とされており、高品質なCNTでは100以上というものも存在する。しかしながら、本発明で取り扱うめっき方法では高品質なCNTヤーンを選択する必要なく、G/D比で10~20となるCNTヤーンはもちろんのこと、G/D比が0.5~10、又は0.8~9、あるいはまた0.8~1.2という低い値を示すCNTヤーンであっても用いることができる。その理由は、CNTの欠陥部分や先端部分は、CNTの精製分離時に酸や分散エネルギーで壊れてカルボン酸類が生じ負の電荷が帯電しているため、これに銅めっきが付着し易いと考えられるからである。
<第2実施形態>:
絶縁被覆金属CNT線:
上記金属CNT線は、さらにその外周を絶縁材で被覆した絶縁被覆金属CNT線とすることができる。
絶縁材は絶縁性の樹脂から構成することができ、これらの樹脂には、低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、ポリビニルホルマール、エポキシ、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、オレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素樹脂等を利用できる。
絶縁材による被覆は液状樹脂を金属CNT線に塗布することにより行うが、通常は液状樹脂の中に金属CNT線を浸漬させる方法で被覆できる。液状樹脂の固化過程で収縮しガスが抜けるため乾燥被膜にピンホールが生じ易いため、塗布工程は複数回繰り返すことにより樹脂被膜が何層にも重なるように成膜することが好ましい。また、複数回塗布工程を繰り返す場合には、始めは液状樹脂の濃度を薄くし、後では液状樹脂の濃度を濃くすることが好ましい。始めに濃度を薄くするのは金属CNT線の表面に均一に樹脂を被覆させるためであり、後で濃度を濃くするのは樹脂層が既に形成されていることからむらなく厚盛りすることができるからである。なお、液状樹脂とは樹脂を溶媒に溶解又は分散させた場合や樹脂自体を溶融させた場合の何れのものであっても良い。
絶縁被覆金属CNT線については、めっきにより付着した銅が硬銅であるため、焼鈍を行うことで軟銅に変化させることが好ましい。この焼鈍工程をさらに含ませることで電線としてのフレキシブル性が高まり、またCNTと銅との密着性が高まる。焼鈍は還元雰囲気で300~800℃、好ましくは400~500℃の温度で、5~30分置くことにより行うことができる。
しかしながら、700℃を超える温度で焼鈍を行うことは銅の溶体化処理として組織を整える意味があり、また不純物を除去する場合に効果的ではあるが、炭素の損傷を抑えるため、不活性ガス雰囲気にしなければならないことと、軟銅構造組織にするだけであれば、前述の500℃までの処理であれば、特別な装置や雰囲気は不要となるので、400~500℃での処理が好ましい。
こうした絶縁被覆金属CNT線は、周波数変動による抵抗値の変動が少ないことからリッツ線に用いることができ、焼付線等の各種ワイヤー、コイルとして用いることができる。
上記実施形態は本発明の一例であり、こうした形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に反しない限度において、公知の方法の採用、公知組成物の添加等を行い得るものである。
以下実験例に基づいて本発明を更に説明する。
<金属CNT線の製造>:
実験例1(試料1;図3~図6):
0.85mol/dmのCuSO・5HOと、0.55mol/dmのHSOから成るめっき浴を基本浴として、これにポリエチレングリコール(分子量2000)を100ppm、HClを50ppm、(bis(3-sulfopropyl)disulfide)を2ppm、Janus Green Bを2ppm添加しためっき浴を用いてCNTヤーンA(個々の多層CNTの平均直径が10nm、平均長さが100μmであり、それらを束ねてなるCNTヤーンの直径が40μmである単線からなるCNTヤーン、真比重1.9g/cm、TPR社製)に電気めっきを行った。
アノードには純銅板を用い、カソードをCNTヤーンAとして、室温エアレーション攪拌下、電流0.377mAで1.282Cの電気めっきを30分間行い、CNTヤーンAの長さ方向に3cm長さのめっきを付着させた。得られた金属CNTヤーンAを試料1とした。めっき処理前後のCNTヤーンAの表面および断面を電子顕微鏡で観察した。得られた顕微鏡写真のうち、めっき前の表面と断面の状態写真をそれぞれ図3と図4に示し、めっき後の表面と断面の状態写真をそれぞれ図5と図6に示した。
実験例2(試料2;図7~図8):
実験例1に対する対照として、0.85mol/dmのCuSO・5HOと0.55mol/dmのHSOから成るめっき浴(基本浴)を用いて実験例1と同様にCNTヤーンAを用い、同様の条件で電気めっきを行った。得られた金属CNTヤーンAを試料2とした。めっき処理後のCNTヤーンAの表面および断面を電子顕微鏡で観察し、得られたSEM像を図7及び図8に示した。
実験例3(試料3):
上記CNTヤーンAに代えて、CNTヤーンB(個々の単層CNTの平均直径が2nm、平均長さが50μmであり、それらを束ねた1本の単線からなるCNTヤーンの直径が40μmであり、このCNTヤーンの3本を撚り線としたCNTヤーン、名城カーボン社製)を用いた以外は実験例1と同様のめっき浴、条件でめっき処理を行った。得られた金属CNTヤーンBを試料3とした。
実験例4(試料4、試料5):
電気めっきを行った時間とCNTヤーンAの直径を変える以外は実験例1と同様にしてCNTヤーンAの表面に析出した銅の膜厚が5μmとなる試料4を製造した。また、電気めっきを行った時間とCNTヤーンAの直径を変える以外は実験例2と同様にして、CNTヤーンAの表面に析出した銅の膜厚が5μmとなる試料5を製造した。
実験例5(試料6):
Janus Green Bを添加しなかった以外は実験例1と同様にしてCNTヤーンAの表面に銅めっきを付着させた試料6を製造した。
実験例6(試料7):
実験例1のめっき浴にさらにトリメチルステアリルアンモニウムクロリドを5×10-4Mを添加して実験例1と同様にしてCNTヤーンAの表面に銅めっきを付着させた試料7を製造した。
<金属CNT線の特性>:
銅めっきのCNTヤーン内部への浸透:
上記試料1及び試料2について、それぞれの顕微鏡写真から銅めっきの浸透状態を比較した。図6からわかるように、第1種添加剤と第2種添加剤を加えてめっきした試料1となる金属CNT線では、その表面のみならず内部にまで銅が析出した。一方、図8でわかるように、第1種添加剤と第2種添加剤を加えずにめっきした試料2となる金属CNT線では、銅はCNTヤーンAの表面のみに析出しただけで、CNTヤーンAの内部にまでは銅が析出しなかった。
また、めっき浴を変更し、第1種添加剤の浸透剤と阻害剤のうち、阻害剤としてのJanus Green Bを加えずにめっきした試料6もCNTヤーンAの内部にまで銅めっきは浸透したが、試料1ほどには浸透しなかった。
そしてまた、めっき浴を変更してさらに緩和剤を加えた試料7も試料1と同程度にCNTヤーンAの内部にまで銅めっきが浸透した。
さらにまた、実験例3でCNTヤーンBにめっきした試料3では銅はCNTヤーンBの表面のみに析出しただけで、CNTヤーンBの内部にまでは銅が析出しなかった。
めっき後のCNTヤーン表面状態:
上記試料1及び試料2について、それぞれの顕微鏡写真から外形を比較した。
図4及び図5を比較すると、第1種添加剤と第2種添加剤を加えてめっきした試料1では、その表面が緻密であり細かな凹凸があるように見える一方で、第1種添加剤も第2種添加剤も加えずにめっきした試料2では、その表面に大きな鱗片状又は塊状のめっき粒子が付着しており、大きな凹凸があるように見える。
ラマンスペクトル:
実験に用いた原料となるCNTヤーンについてラマン分光法によりG/D比を求めた。その結果、上記CNTヤーンA(TPR社製)のG/D比は0.8~1.2であった。
抵抗値の測定:
上記試料4及び試料5について、24℃、50%RHの環境下で、周波数を0.012Hz、1Hz、5Hz、10Hz、20Hz、50Hz、100Hz、200Hzにそれぞれ変化させたときの抵抗値をデジタル・マルチメータを用いて測定した。得られた結果を次の表1で示す。
Figure 0007105425000001
表1で示すように、試料4と試料5の金属CNT線を比較すると、双方ともめっき厚は5μmと同じであるのにその電気抵抗値は大きく異なり、第1種添加剤と第2種添加剤を加えてめっきした試料4が、これらの添加剤を加えずにめっきした試料5よりも抵抗値が大幅に低下することがわかった。
また、試料4と試料5の何れも周波数差による抵抗値変化の影響は少なく、金属CNT線の抵抗値は、ほとんど周波数に依存しないことがわかった。
10 金属CNT線
11 CNTヤーン
12 銅めっき
13 CNT
R 領域

Claims (10)

  1. CNTヤーンの表面が銅めっきにより被覆され前記CNTヤーンの内部にまで銅めっきが浸透した金属CNT線の製造方法であって、
    前記CNTヤーンとして多層CNTを束ねた単線を用い、前記CNTヤーンの表面に銅めっきが析出することを抑制する第1種添加剤と、前記CNTヤーンの内部に銅めっきが析出することを促進する第2種添加剤とを含有するめっき浴に前記CNTヤーンを浸漬してめっきを行う金属CNT線の製造方法。
  2. 前記CNTヤーンは、ラマン分光法によるG/D比が0.5~10である請求項1記載の金属CNT線の製造方法。
  3. 前記CNTヤーンは、ラマン分光法による G/D比が0.8~1.2である請求項1記載の金属CNT線の製造方法。
  4. 前記CNTヤーンは、平均直径が5~50nm、平均長さが10~100μmであるCNTが配向した紡績糸からなり、線径が30~50μm、長さが1~100mである請求項1~請求項3何れか1項記載の金属CNT線の製造方法。
  5. 前記CNTヤーンは、真比重が1.8~2.0g/cmである請求項1~請求項4何れか1項記載の金属CNT線の製造方法。
  6. 前記CNTヤーンの直径Rに対して、そのCNTヤーンの表面に付着した前記銅めっきの膜厚がR/15~R/3であり、前記CNTヤーンの真比重がQCであるときに、金属CNT線の真比重QPが以下式(1)
    7QC>QP>1.78QC・・・式(1)
    で表される請求項1~請求項5何れか1項記載の金属CNT線の製造方法。
  7. 前記第1種添加剤が、ポリエーテル化合物に塩化物イオン生成物を組み合わせてなりCNTヤーンの内部にまで銅めっきの浸透を促す浸透剤と、前記めっき浴中においてカチオンとなり銅めっきが析出し易い部分への銅めっきの析出を抑制する含窒素有機化合物である阻害剤の少なくとも何れかであり、前記第2種添加剤が硫黄化合物である請求項1~請求項6何れか1項記載の金属CNT線の製造方法。
  8. さらに、デオキシコール酸ナトリウム(DOC)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)、ポリアクリル酸(PAA)、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド(STAC)、カチオン系界面活性剤の少なくとも何れかから選択され、前記CNTヤーンを解きほぐそうとする緩和剤を第3種添加剤として含有する請求項1~請求項7何れか1項記載の金属CNT線の製造方法。
  9. 前記めっき浴内で前記CNTヤーンの周囲に陽極として複数の銅板を配置して、前記CNTヤーンを陰極としてその長さ方向に前記CNTヤーンを移動させる連続処理により電気銅めっきを行う請求項1~請求項8何れか1項記載の金属CNT線の製造方法。
  10. 請求項1~請求項9何れか1項記載の金属CNT線の製造方法で製造した金属CNT線に、樹脂でなる絶縁材で被覆する工程と、
    前記金属CNT線に付着した前記銅めっきを前記CNTヤーン及び前記絶縁材に密着させる工程と、を実行する絶縁被覆金属CNT線の製造方法。
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