JP7102962B2 - 制御設定値決定装置、制御設定値決定方法、及びプログラム - Google Patents

制御設定値決定装置、制御設定値決定方法、及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、制御設定値決定装置、制御設定値決定方法、及びプログラムに関し、特に、製造プロセスにおける制御設定値を決定するために用いて好適なものである。
鉄鋼プロセスなど、多変数の制御が行われる製造プロセスでは、適切な制御設定を行うために、製造プロセスの入出力特性を表現するモデルを用いて、製品の品質などの製造プロセスによる製造の結果を評価する評価関数の値を最適値にする制御設定値を決定する、モデル予測制御などのモデルベース制御が適用されている。
多くの製造プロセスでは、製造プロセスの入出力特性を精度よく表現するために、製造プロセスの入出力特性が非線形の非線形モデルが必要になる。このような非線形モデルを用いて、評価関数の値を最適値にする制御設定値を決定するためには、非線形計画法による非線形最適化が必要になる。しかしながら、非線形計画法は、線形計画法及び二次計画法に比べ、解の収束性や計算時間の点で十分な性能が得られない場合がある。
このような課題に対応し、特許文献1には、プロセス値記憶部に記憶されたセンサの計測値の所定の過去から現在までの時系列データと、最適制御部により求められたアクチュエータの操作量指令値の所定の過去から所定の未来までの時系列データとを入力として、プロセスシミュレータにより模擬されたプロセス状態の時間的および空間的な挙動により得られるプロセスのプロセス状態の予測値に基づいて線形の制御用モデル(線形近似モデル)を同定し、同定した制御用モデルに基づいてアクチュエータの最適な操作量指令値を計算することが開示されている。
ここで、プロセスシミュレータとしては、物理法則あるいは化学法則を数式で表現した非線形システムである物理モデルあるいは化学モデルが用いられる。ただし、このような物理モデルあるいは化学モデルが得られない場合には、プロセスに関する固有の情報と、プロセス値記憶部に記憶されたセンサの計測値およびアクチュエータの操作量指令値に関する過去の時系列データとを用いて、非線形のニューラルネットワークなどによりプロセスシミュレータを構築することも可能である。
特開2001-249705号公報 特許第3875875号公報 特許第5604945号公報 特開2012-27683号公報 特開2008-24966号公報
日本鉄鋼協会共同研究会 圧延理論部会編、「板厚延の理論と実際」、社団法人日本鉄鋼協会、平成22年9月30日発行 芳谷直治著、「ベクトル型忘却係数を用いたパラメータ逐次推定とその実プラントへの適用」、計測・制御自動学会論文集、vol.25、No.5、579/585(1989年)
鉄鋼プロセスなどにおいては、物理法則や実験データに基づいて作成された物理モデルを用いた制御が行われる。しかしながら、実際の製造プロセスで発生する現象を全て物理モデルに表現することは困難である上、物理モデルに含まれるパラメータの同定が困難であったり、製造プロセスの変動にパラメータを追従させることが困難であったりする。このため、製品の品質の予測精度を必要な精度にするためには、過去のセンサの計測値やアクチュエータの操作量のデータを蓄積し、その蓄積したデータを用いた統計解析の結果に基づいて、製造プロセスの入出力の関係を表す関係式である統計モデルを構築し、構築した統計モデルを用いて、製品の品質の結果の予測を行ったり、物理モデルによる製品の品質の予測値の補正を行ったりすることが行われる。
しかしながら、特許文献1に示す方法では、モデル(プロセスシミュレータ)によって得られたデータから線形近似モデルを構築する。このため、当該線形近似モデルによる線形近似によって、制御性能は元のモデル(プロセスシミュレータ)が持つ精度よりも劣化する。特に、フィードバック制御が行われる場合には、その制御の繰り返しによって、精度の劣化が低減されていくことが期待できるが、製造設備のセットアップを行う場合には、当該セットアップのための制御設定値を一度の計算によって決定するため、線形近似による精度の劣化が制御設定値にそのまま影響する。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、非線形の統計モデルを用いて、製造プロセスにおける制御設定値の最適解を非線形計画法によらずに求めることを、統計モデルが持つ予測精度を可及的に低下させずに実現することを目的とする。
本発明の制御設定値決定装置は、製造プロセスにおいて製品を製造する際に用いられる製造設備を動作させるために当該製造設備に設定される制御設定値を決定する制御設定値決定装置であって、前記製造プロセスにおける前記制御設定値を表す変数、もしくは前記製造プロセスにおける前記制御設定値を決定するために必要十分な変数を決定変数とし、前記製造プロセスで製造される製品に関する製造条件データおよび製造結果データを用いて、前記製造条件データと前記製造結果データとの関係を表す関係式を構築する関係式構築手段と、前記関係式と、前記製造条件データに含まれる製造条件変数であって、前記決定変数もしくは前記決定変数に依存する変数から選択される変数である制御変数以外の製造条件変数の値とを用いて、前記製造条件データと前記製造結果データとの関係を、前記制御変数に関する線形式で表した式である線形モデルを作成する線形モデル作成手段と、前記製造プロセスにおいて前記製品を製造する際の制約を線形式で表した制約式と、前記製造プロセスに対する所定の評価指標を変数として含む線形式または二次式で表した評価関数を作成する制約式・評価関数作成手段と、前記制約式を満足する範囲で、前記評価関数が最小または最大になるときの、前記決定変数を、線形計画法または二次計画法を用いて導出する最適計算手段と、前記最適計算手段により導出された決定変数を用いて、前記制御設定値を導出する導出手段と、を有し、前記関係式は、局所関係式と活性度関数とを用いて表され、前記局所関係式は、各局所領域における、前記製造条件データと前記製造結果データとの関係を、前記制御変数と、前記製造条件データに含まれる製造条件変数のうち、前記制御変数以外の製造条件変数との双方を用いて表した式であり、前記局所領域は、前記製造条件データに含まれる製造条件変数のうち、前記制御変数以外の製造条件変数のみが値としてとる領域である全体領域を分割した領域であり、前記活性度関数は、前記各局所領域における前記局所関係式の値の重み付き線形和として前記全体領域における前記関係式の値を算出する際の重みを表す関数であって、前記製造条件データに含まれる製造条件変数のうち、前記制御変数以外の製造条件変数に依存し、前記制御変数には依存しない関数であり、前記線形モデルは、前記制約式と、前記評価関数との少なくとも何れか一方に含まれ、前記製造条件データに含まれる製造条件変数のうち、前記制御変数以外の製造条件変数は、前記最適計算手段による最適解の導出に対しては所与であることを特徴とする。
本発明の制御設定値決定方法は、製造プロセスにおいて製品を製造する際に用いられる製造設備を動作させるために当該製造設備に設定される制御設定値を決定する制御設定値決定方法であって、前記製造プロセスにおける前記制御設定値を表す変数、もしくは前記製造プロセスにおける前記制御設定値を決定するために必要十分な変数を決定変数とし、前記製造プロセスで製造される製品に関する製造条件データおよび製造結果データを用いて、前記製造条件データと前記製造結果データとの関係を表す関係式を構築する関係式構築工程と、前記関係式と、前記製造条件データに含まれる製造条件変数であって、前記決定変数もしくは前記決定変数に依存する変数から選択される変数である制御変数以外の製造条件変数の値とを用いて、前記製造条件データと前記製造結果データとの関係を、前記制御変数に関する線形式で表した式である線形モデルを作成する線形モデル作成工程と、前記製造プロセスにおいて前記製品を製造する際の制約を線形式で表した制約式と、前記製造プロセスに対する所定の評価指標を変数として含む線形式または二次式で表した評価関数を作成する制約式・評価関数作成工程と、前記制約式を満足する範囲で、前記評価関数が最小または最大になるときの、前記決定変数を、線形計画法または二次計画法を用いて導出する最適計算工程と、前記最適計算工程により導出された決定変数を用いて、前記制御設定値を導出する導出工程と、を有し、前記関係式は、局所関係式と活性度関数とを用いて表され、前記局所関係式は、各局所領域における、前記製造条件データと前記製造結果データとの関係を、前記制御変数と、前記製造条件データに含まれる製造条件変数のうち、前記制御変数以外の製造条件変数との双方を用いて表した式であり、前記局所領域は、前記製造条件データに含まれる製造条件変数のうち、前記制御変数以外の製造条件変数のみが値としてとる領域である全体領域を分割した領域であり、前記活性度関数は、前記各局所領域における前記局所関係式の値の重み付き線形和として前記全体領域における前記関係式の値を算出する際の重みを表す関数であって、前記製造条件データに含まれる製造条件変数のうち、前記制御変数以外の製造条件変数に依存し、前記制御変数には依存しない関数であり、前記線形モデルは、前記制約式と、前記評価関数との少なくとも何れか一方に含まれ、前記製造条件データに含まれる製造条件変数のうち、前記制御変数以外の製造条件変数は、前記最適計算工程による最適解の導出に対しては所与であることを特徴とする。
本発明のプログラムは、前記制御設定値決定装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
本発明によれば、非線形の統計モデルを用いて、製造プロセスにおける制御設定値の最適解を非線形計画法によらずに求めることを、統計モデルが持つ予測精度を可及的に低下させずに実現することができる。
製品の製造結果(製品の品質など)の予測値(目的変数)と、製造条件因子(説明変数)ベクトルとの関係を表す関係式の構成を示す図である。 制御設定値決定装置の機能的な構成の第1の例を示す図である。 制御設定値決定方法の第1の例を説明するフローチャートである。 制御設定値決定装置の機能的な構成の第2の例を示す図である。 制御設定値決定方法の第2の例を説明するフローチャートである。 係数更新部の機能的な構成の一例を示す図である。 未定係数更新方法の一例を説明するフローチャートである。 圧延プロセス(熱間圧延設備)の概略構成の一例を示す図である。 圧延スタンドに作用する圧延荷重と、ワークロールに付与するベンディング力の方向の一例を概念的に示す図である。 板クラウンと伸差率の一例を説明する図である。 最終圧延スタンドの出側における補正後の板クラウンの予測精度と、局所領域の分割数との関係の一例を示す図である。 クラウンスケジュールの一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、製品の品質を製造結果として最適化の対象とする場合を例に、本発明の実施形態を説明する。
(要旨)
まず、後述する実施形態の要旨について説明する。
特許文献2には、製造プロセスで製造される複数の製品に関する製造条件データおよび製造結果データを蓄積し、蓄積した製造条件データおよび製造結果データを統計解析し、製造条件データと製造結果データとの非線形な関係を表す非線形の統計モデルを構築する手法が開示されている。製造条件データとしては、センサの計測値やアクチュエータの操作量などが用いられる。尚、本発明において「製品」は、原材料に手が加えられた物を指し、市場に出回る最終製品等に限定されるものではない(いわゆる半製品も製品に含まれる)。
特許文献2に記載の技術では、以下のようにして非線形の統計モデルを構築する。
(A)製造条件データに含まれる製造条件因子(変数)を基底ベクトルとする製造条件因子空間を複数の局所領域に分割することを複数の分割パターンで行う。
(B)各局所領域における局所関係式と活性度関数とを導出する。局所関係式は、各局所領域における製造条件データ(製造条件因子)と製造結果データ(製品の品質)との関係を表す式である。活性度関数は、各局所領域における局所関係式の値の重み付き線形和として、全体領域(全ての局所領域)における製造条件データと製造結果データとの関係を表す関係式の値(製品の品質の予測値)を算出する際の重みを表す非線形関数である。このように、各局所領域における局所関係式と活性度関数との積の総和(重ね合わせ)で、製造条件データと製造結果データとの関係を表す非線形数式モデルを導出する。このような非線形数式モデルの導出を、複数の分割パターンのそれぞれについて行う。
(C)これら複数の分割パターンのうち、非線形数式モデルの予測誤差が最小になる分割パターンを選択する。予測誤差は、例えば、非線形数式モデルに製造条件データを与えることにより算出される製品の品質の予測値と、当該製造条件データに対応する製造結果データが示す製品の品質との差の二乗総和で表される。
(D)前記最小の予測誤差と、予め設定された評価基準値との比較の結果に基づいて、前記最小の予測誤差が収束しているか否かを判定する。
(E)前記最小の予測誤差が収束していない場合、前記(C)で選択した分割パターンを基にして、製造条件因子空間を複数の局所領域に再分割する(即ち、前記(C)で選択した分割パターンよりも分割数を多くして製造条件因子空間を複数の局所領域に分割する)。そして、前記(B)~(E)の処理を、前記(D)において、前記最小の予測誤差が収束していると判定されるまで繰り返し行う。
前記(D)において、前記最小の予測誤差が収束していると判定された分割パターンで分割された各局所領域における局所関係式と活性度関数との積の総和により、製造条件データと製造結果データとの関係を表す非線形数式モデルを構築する。
特許文献2に記載の技術で構築される非線形数式モデルは、以下の(1)式および(2)式で表される。
Figure 0007102962000001
(1)式において、yは、製品の品質の予測値(目的変数)である。iは、局所領域を特定する変数であり、局所領域の数はMである。yi^は、局所領域iにおける品質の予測値である。尚、「yi^」の「^」は、(1)式および(2)式において、「y」の上に付されるものである。このことは、特に断りのない限り、各式における各変数において同じである。Φiは、局所領域iにおける活性度関数である。u_は、製造条件因子(説明変数)ベクトルであり、u_=(u1,u2,・・・,up)で表される。u1~upは、各製造条件因子(説明変数)の値である(製造条件因子の数をpとする)。尚、「u_」の「_」は、(1)式において、uの下に付されるものである。このことは、特に断りのない限り、各式における各変数において同じである。(1)式に示すように、局所領域iにおける製品の品質の予測値y^iと、局所領域iにおける活性度関数Φiは、製造条件因子(説明変数)ベクトルu_の関数である。また、(2)式では、局所関係式を線形多項式で表しており、wi,0~wi,pは、未定係数である。尚、特許文献2では、製造結果データを品質データと称し、製造条件データを操業データと称しているが、後述する実施形態において、製造結果データは、製造プロセスの入出力特性の出力のデータであれば、必ずしも、品質データでなくてもよく、同様に、製造条件データは、製造プロセスの入出力特性の入力のデータであれば、必ずしも操業データでなくてもよい。例えば、製造結果データは、製品の製造時間等であってもよい。
図1は、製品の製造結果(製品の品質など)の予測値(目的変数)yと、製造条件因子(説明変数)ベクトルu_との関係を表す関係式の構成を示す図である。
(1)式および(2)式から明らかなように、特許文献2では、製品の品質の予測値(目的変数)yと、製造条件因子(説明変数)ベクトルu_との関係を表す関係式は、図1(a)のように表される。
以上のような特許文献2に記載の非線形数式モデルを製造プロセスの入出力特性を表現するモデルとして用いて、製品の品質を評価する評価関数の値を最適値にする制御設定値を決定する、モデル予測制御などのモデルベース制御を適用するには、非線形計画法による非線形最適化計算を行う必要がある。そこで、本発明者らは、以下のようにして、特許文献2に記載の非線形数式モデルを、線形計画法または二次計画法による最適化計算に適用できるようにすることに想到した。
まず、製造条件因子である製造条件変数(説明変数)u_=(u1,u2,・・・,up)を、製造プロセスにおける制御装置で変更可能な制御変数と、制御変数以外の製造条件変数、すなわち、制御装置で変更不可能な製造条件変数とに分ける。前者は、製造プロセスの制御変数、つまり数理計画法による最適化問題の決定変数(独立変数)そのもの、および当該決定変数に依存する変数(従属変数)の少なくとも何れか一方であり、数理計画法による最適化計算において変更可能な変数である。一方、後者は、製造プロセスの操業条件(前提条件)であり、数理計画法による最適化計算に対しては所与の変数であり、数理計画法による最適化計算において変更不可能な変数である。以下の説明では、制御変数以外の製造条件変数をu1_=(u1,u2,・・・,up1)で表し、制御変数をu2_=(up1+1,up1+2,・・・,up1+p2)で表す。製造条件因子(説明変数)の数pは、制御変数以外の製造条件変数の数p1と制御変数の数p2との和になる(p=p1+p2)。
製造プロセスの制御のしやすさを考えると、製造プロセスの出力(製品の品質)に対し、制御変数は線形の関係を持っていることが望ましい。製品の品質に対する制御変数の関係が非線形である場合にも、何らかの関数または物理モデルによって、製品の品質に対する線形の関係を持つ変数に制御変数を変換することが可能な場合、或いは、許容される制御調整範囲内では、製品の品質に対して制御変数を線形とみなし得る場合がある。
このような場合には、数理計画法による最適化問題の決定変数および決定変数に依存する説明変数に関しては線形の統計モデルを用いても、製品の品質を比較的精度よく予測すること、あるいは物理モデルによる製品の品質の予測値を補正することが可能である。尚、物理モデルとは、製造プロセスにおける、製造条件データ(製造条件因子)と製造結果データ(製品の品質)との関係を表す関係式であって、物理法則に基づいて作成される関係式である。また、統計モデルとは、(1)式および(2)式に示すような、製造プロセスにおける、製造条件データ(製造条件因子)と製造結果データ(製造結果として得られる製造の品質)との関係を表す関係式であって、製造実績データに対する統計解析に基づいて作成される関係式である。
このように、数理計画法による最適化問題の決定変数および決定変数に依存する説明変数に関して線形の統計モデルを用いる場合、非線形数式モデルの活性度関数Φi(u_)は、制御変数以外の製造条件変数u1_のみの関数になり、制御変数u2_には依存しない関数になる。本発明者らは、このことに着目して、非線形数式モデルを以下の(3)式および(4)のように表現することに想到した。
Figure 0007102962000002
(3)式および(4)式から明らかなように、後述する実施形態では、製品の品質の予測値(目的変数)yと、製造条件因子(説明変数)ベクトルu_との関係を表す関係式は、図1(b)のように表される。
(3)式および(4)式の非線形数式モデルを展開すると、以下の(5)式が得られる。
Figure 0007102962000003
また、以下の(7)式、(8)式のように、変換変数w0~、wj~を定義すると、以下の(6)式のように、製品の品質の予測値(目的変数)yは、制御変数u2_(=(up1+1,up1+2,・・・,up1+p2))の線形式として表現される。尚、「w0~」、「wj~」の「~」は、それぞれ、(6)式~(8)式において、「w0」、「wj」の上に付されるものである。このことは、特に断りのない限り、各式における各変数において同じである。
Figure 0007102962000004
制御変数以外の製造条件変数u1_は所与、つまり一定として、数理計画法による最適化手法を用いて、制御変数u2_を決定する場合を考える。この場合、(6)式~(8)式において、製品の品質の予測値(目的変数)yは、制御変数u2_の線形式である(尚、以下の説明では、(6)式~(8)式を必要に応じて線形モデルと称する)。従って、数理計画法による最適化手法における制約条件と評価関数が、製品の品質の予測値(目的変数)y、および、制御変数u2_の線形式で表現される場合には、線形計画法が適用可能である。また、数理計画法による最適化手法における制約条件が、製品の品質の予測値(目的変数)y、および、制御変数u2_の線形式で表現され、且つ、評価関数が、製品の品質の予測値(目的変数)y、および、制御変数u2_の二次式で表現される場合には、二次計画法が適用可能である。これらの2つの場合については、一般の非線形計画法による非線形最適化問題を解く場合に比べて、高速に最適解を求めることができる。また、(3)式および(4)式の非線形数式モデルでは、(1)式および(2)式の非線形数式モデルの近似も行っていないので、非線形数式モデルの予測精度の劣化も生じない。
また、前述したように、蓄積した過去の製造条件データおよび製造結果データを用いて構築される非線形数式モデル((3)式および(4)式)および線形モデル((6)式~(8)式)は、それ単独で、製品の品質の予測値(目的変数)yを導出することが可能である。ただし、このようにせずに、(3)式~(8)式において、製品の品質の予測値yを、物理モデルにより導出される予測値に対する補正量yに置き換えることにより、物理モデルにより導出される予測値を補正して、物理モデルの予測精度を向上させるように構成することも可能である。
以上のことを前提とし、以下に本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態を説明する。
図2は、制御設定値決定装置200の機能的な構成の一例を示す図である。制御設定値決定装置200のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置、または、専用のハードウェアを用いることにより実現される。図3は、制御設定値決定装置200を用いた制御設定値決定方法の一例を説明するフローチャートである。
以下に、図2および図3を参照しながら、本実施形態の制御設定値決定装置200が有する機能の一例を説明する。
<プロセスデータ記憶部201>
プロセスデータ記憶部201は、プロセスデータを記憶する。プロセスデータには、製造プロセスで既に製造された製品についての、製造条件データおよび製造結果データが含まれている。それぞれの製品について、製造条件データと製造結果データとは相互に関連付けられている。複数の製品についての製造条件データおよび製造結果データが、プロセスデータに含まれる。
製造条件データには、複数の製造条件因子が含まれ、複数の製造条件因子には、制御変数となる製造条件因子と、制御変数以外の製造条件因子とが含まれる。前述したように制御変数は、製造プロセスにおける制御装置で変更可能な変数であり、後述する数理計画法による最適化問題の決定変数(独立変数)および当該決定変数に依存する変数(従属変数)の少なくとも何れか一方である。製造条件因子には、例えば、製造プロセスに配置されるセンサの計測値、および、製造プロセスにおける製造設備に備わるアクチュエータの操作量が含まれる。製品の品質は、製品に応じて定まる。後述する適用例のように、製造プロセスが、圧延プロセスである場合、製品は、熱延鋼板(コイル)であり、製品の品質は、例えば、板クラウンや形状(伸差率など)になる。
<モデル構築部202、S301>
モデル構築部202は、プロセスデータ記憶部201に記憶されたプロセスデータから、所定の選択条件に該当するプロセスデータを抽出する。所定の選択条件は、例えば、品質の予測対象の製品に関するプロセスデータについて、プロセスデータの取得期間(例えば、直近3ヶ月のプロセスデータ)を指定したり、抽出するプロセスデータの数を指定したりすることにより設定される。モデル構築部202は、抽出したプロセスデータに基づいて、(3)式および(4)式の非線形数式モデルを構築する。(3)式に示すように、製品の品質の予測値(目的変数)yは、制御変数以外の製造条件変数u1_に関しては非線形であり、制御変数u2_に関しては線形である。また、(4)式に示すように、局所関係式は、制御変数以外の製造条件変数u1_および制御変数u2_の関数である。
具体的にモデル構築部202は、(3)式における活性度関数Φiと(4)式における未定係数wi,0~wi,pを導出する。活性度関数Φiと未定係数wi,0~wi,pの導出は、特許文献2に記載の手法を用いることにより実現することができる(前述した(A)~(E))の説明を参照)。
(1)式では、活性度関数Φiは、製造条件因子u_(制御変数および制御変数以外の製造条件変数)の関数である。これに対し、(3)式では、活性度関数Φiは、制御変数以外の製造条件変数をu1_の関数である。従って、前述した(A)においては、製造条件データに含まれる製造条件因子(変数)のうち、制御変数以外の製造条件変数の全部または一部を基底ベクトルとする製造条件因子空間を複数の局所領域に分割することを複数の分割パターンで行うことになる。即ち、製造条件データに含まれる製造条件因子(変数)が値をとる領域ではなく、製造条件データに含まれる製造条件因子(変数)のうち、制御変数以外の製造条件変数の全部または一部が値としてとる領域を全体領域とし、当該全体領域を複数の局所領域に分割する。その他については、特許文献2に記載の手法を用いることにより実現することができる。尚、活性度関数Φiと未定係数wi,0~wi,pの導出の手法は、特許文献3、4にも記載されており、特許文献3、4に記載の手法を用いて活性度関数Φiと未定係数wi,0~wi,pを導出してもよい。このように、活性度関数Φiと未定係数wi,0~wi,pの導出の手法は、公知の技術で実現することができるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
<線形モデル作成部203、S302>
線形モデル作成部203は、モデル構築部202により構築された非線形数式モデル((3)式および(4)式の活性度関数Φiおよび未定係数wi,0~wi,p)と、現在の制御対象における制御変数以外の製造条件変数u1_とに基づいて、製品の品質の予測値(目的変数)yを、制御変数u2_の線形式で表現した線形モデル((6)式~(8)式)を作成する。具体的に線形モデル作成部203は、(6)式~(8)式の変換変数w0~、wj~を導出する。
後述する適用例の圧延プロセスのように、バッチ的に操業が行われる製造プロセスの製造設備のセットアップを行う場合、例えば、次のセットアップの対象となる材料(次のセットアップ後に当該セットアップがなされた製造設備に供給される材料)が制御対象になる。一方、連続的に操業が行われる製造プロセスのフィードバック制御を行う場合、例えば、当該製造プロセスに配置されるセンサの計測値やフィードバック制御における設定値(例えば目標値)の現在値が、制御対象になる。
<制約式・評価関数作成部204、S303>
制約式・評価関数作成部204は、線形モデル作成部203で作成された線形モデルに基づいて、制約式と評価関数を作成(設定)する。本実施形態では、制約式および評価関数の少なくとも何れか一方の変数に、(6)式のyが含まれる。
制約式は、製造プロセスにおいて製品を製造する際の制約を線形式で表現したものである。制約式は、製造プロセスに応じて、適宜決められる。例えば、決定変数(独立変数)、当該決定変数に依存する変数(従属変数)、および製品の品質の少なくとも何れか1つについて、所定の条件を満たす(例えば、上下限値以内に入る、下限値以上になる、または上限値以下になる)ことを線形式で表現したものを制約式とすることができる。
評価関数は、製造プロセスに対する所定の評価指標を変数として含む線形式または二次式で表現したものである。評価関数も、製造プロセスに応じて、適宜決められる。製造プロセスに対する所定の評価指標として、例えば、製造プロセスにおける製品の製造結果に基づく指標を採用することができる。例えば、製品の品質を評価指標とし、製品の品質の目標値との誤差が小さいほど評価が高いことを示す値となる線形式または二次式を評価関数とすることができる。また、製品の製造コストに関連する変数が小さいほど評価が高いことを示す値となる線形式または二次式を評価関数とすることができる。この他、製品の製造時間に関連する変数が小さいほど評価が高いことを示す値となる線形式または二次式を評価関数とすることができる。また、これらの評価指標(製品の品質、製造コスト、および製造時間)の少なくとも2つの重み付き線形和で評価関数を構成してもよい。
制約式・評価関数作成部204は、例えば、制約式および評価関数の変数のうち、数理計画法による最適化計算に対しては所与であり、数理計画法による最適化計算において変更不可能な変数の値を、制約式および評価関数に与えることにより、制約式および評価関数を設定する。
<最適計算部205、S304>
最適計算部205は、制約式を満足する範囲で、評価関数の値が最小または最大(最も評価が高い値)になるときの決定変数(独立変数)および当該決定変数に依存する変数(従属変数)を最適解として導出する。評価関数が線形式で表される場合には線形計画法が用いられ、評価関数が二次式で表される場合には二次計画法が用いられる。線形計画法および二次計画法による最適解の導出は、公知の技術で実現することができるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
<制御設定値作成部206、S305>
制御設定値作成部206は、最適計算部205により導出された最適解から、製造プロセスにおいて製品を製造する際に用いられる製造設備を動作させるために当該製造設備に設定される制御設定値を作成(導出)する。どのような情報を制御設定値とするのかは、製造プロセスに応じて適宜決められる。例えば、製造設備のセットアップの値や、フィードバック制御における目標値を、制御設定値とすることができる。
<出力部207、S306>
出力部207は、制御設定値作成部206により作成された制御設定値を出力する。出力の形態は、例えば、当該制御設定値の設定先である製造設備や当該製造設備を制御する制御装置等の外部装置への送信、コンピュータディスプレイへの表示、および制御設定値決定装置200の内部または外部の記憶媒体への記憶の少なくとも何れか1つを採用することができる。
(第2の実施形態)
次に、第1の実施形態と同様に、製品の品質を最適化の対象とする場合を例に、第2の実施形態を説明する。第1の実施形態では、非線形数式モデル((3)式および(4)式)および線形モデル((5)式~(7)式)が、それ単独で、製品の品質の予測値yを導出する場合について説明した。これに対し、本実施形態では、製品の品質の予測値yに替えて、物理モデルにより導出される製品の品質の予測値に対する補正値yを、非線形数式モデル((3)式および(4)式)および線形モデル((6)式~(8)式)が導出する場合について説明する。このように本実施形態と第1の実施形態とは、物理モデルが追加されることによる構成および処理が主として異なる。従って、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については詳細な説明を省略する。
図4は、制御設定値決定装置400の機能的な構成の一例を示す図である。制御設定値決定装置400のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置、または、専用のハードウェアを用いることにより実現される。図5は、制御設定値決定装置400を用いた制御設定値決定方法の一例を説明するフローチャートである。
以下に、図4および図5を参照しながら、本実施形態の制御設定値決定装置200が有する機能の一例を説明する。
<プロセスデータ記憶部401>
プロセスデータ記憶部401は、第1の実施形態のプロセスデータ記憶部201と同様にプロセスデータを記憶する。
<物理モデル部402、S501>
物理モデル部402は、プロセスデータ記憶部401に記憶されたプロセスデータと、物理モデルで使用する変数の値として現在の制御対象などから得られる値に基づいて、物理モデルを設定する。前述したように、物理モデルは、製造プロセスで製造される製品についての、製造条件データ(製造条件因子)と製造結果データ(製造の品質)との関係を表す関係式であって、物理法則に基づいて作成される関係式である。物理モデルは、物理・化学的知識や実験などに基づいて作成される。物理モデルの内容は、製造プロセスに応じて適宜決定される。
物理モデル部402は、物理モデルに含まれる変数のうち、数理計画法による最適化計算に対しては所与であり、数理計画法による最適化計算において変更不可能な変数の値を、物理モデルに与えることにより、物理モデルを設定する。このようにして変数が設定された物理モデルは、線形モデル作成部404に出力される。
<モデル構築部403、S502>
モデル構築部403は、プロセスデータ記憶部401に記憶されたプロセスデータに基づいて、(3)式および(4)式の非線形数式モデルを構築する。ただし、(3)式におけるyは、全体領域における製品の品質の予測値に対する補正値になり、(4)式におけるyi^は、局所領域iにおける製品の品質の予測値に対する補正値になる。また、非線形数式モデルにおける、制御変数以外の製造条件変数u1_および制御変数u2_の少なくとも何れか一方に、物理モデルで導出される製品の品質の予測値を含めることができる。
モデル構築部403は、第1の実施形態のモデル構築部202と同様に、(3)式における活性度関数Φiと(4)式における未定係数wi,0~wi,pを導出する。
<線形モデル作成部404、S503>
線形モデル作成部404は、物理モデル部402により設定された物理モデルと、モデル構築部202により構築された非線形数式モデル((3)式および(4)式の活性度関数Φiおよび未定係数wi,0~wi,p)と、現在の制御対象における製造条件変数であって、制御変数以外の製造条件変数u1_とに基づいて、線形モデル((6)式~(8)式)を作成する。ただし、(6)式におけるyは、製品の品質の予測値に対する補正値になる。また、制御変数以外の製造条件変数u1_および制御変数u2_の少なくとも何れか一方に、物理モデルで導出される製品の品質の予測値を含めることができる。
線形モデル作成部404は、第1の実施形態の線形モデル作成部203と同様に、(6)式~(8)式の変換変数w0~、wj~を導出する。
<制約式・評価関数作成部405、S504>
制約式・評価関数作成部405は、線形モデル作成部404で作成された線形モデルに基づいて、制約式と評価関数を作成(設定)する。本実施形態では、物理モデルにより導出される製品の品質の予測値と、(6)式~(8)式の線形モデルにより導出される製品の品質の予測値に対する補正値とに基づいて、補正後の製品の品質の予測値が導出される。制約式および評価関数の少なくとも何れか一方の変数に、(6)式のyが含まれる。尚、第1の実施形態で説明したように、制約式は、製造プロセスにおいて製品を製造する際の制約を線形式で表現したものであり、評価関数は、製造プロセスに対する所定の評価指標を変数として含む線形式または二次式である。
<最適計算部406、S505>
最適計算部406は、第1の実施形態の最適計算部205と同様に、制約式を満足する範囲で、評価関数の値が最小または最大(最も評価が高い値)になるときの決定変数(独立変数)および当該決定変数に依存する変数(従属変数)を最適解として導出する。評価関数が線形式で表される場合には線形計画法が用いられ、評価関数が二次式で表される場合には二次計画法が用いられる。
<制御設定値作成部407、S506>
制御設定値作成部407は、第1の実施形態の制御設定値作成部206と同様に、最適計算部205により導出された最適解から、製造プロセスにおいて製品を製造する際に用いられる製造設備を動作させるために当該製造設備に設定される制御設定値を作成(導出)する。
<出力部408、S507>
出力部408は、第1の実施形態の出力部207と同様に、制御設定値作成部407により作成された制御設定値を出力する。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を説明する。第1、第2の実施形態では、局所関係式(未定係数wi,0~wi,p)を固定値とする場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、局所関係式(未定係数wi,0~wi,p)を更新(オンライン学習)し、更新後の局所関係式(未定係数wi,0~wi,p)を用いて、制御設定値を導出する。このように、本実施形態では、第1、第2の実施形態に対し、局所関係式(未定係数wi,0~wi,p)を更新する処理が加わる。従って、本実施形態の説明において、第1、第2の実施形態と同一の部分については詳細な説明を省略する。
まず、本実施形態の概要を説明する。
製造プロセスでは、最適計算部205、406により導出された最適解に基づいて制御設定値作成部206、407により作成される制御設定値に基づいて、製品が製造される。当該製品の製造により当該製品に対するプロセスデータ(製造条件データおよび製造結果データの組)が得られる。従って、当該製品に対する製造結果データに含まれる当該製品の品質の値と、当該製品に対する製品の品質の予測値との差である予測誤差が得られる。また、当該製品に対する製造条件データが得られると、各局所関係式の重みを導出することができる。各局所関係式の重みは、各局所領域iにおける活性度関数Φiの値である。本実施形態では、これらの予測誤差および各局所関係式の重みを用いて、未定係数wi,0~wi,pの値を更新する。
尚、第1の実施形態においては、製品の品質の予測値をyとし、第2の実施形態においては、製品の品質の予測値に対する補正値をyとする。第2の実施形態の<制約式・評価関数作成部405、S504>の項で説明したように、物理モデルにより導出される製品の品質の予測値と、(2)式の局所関係式により導出される製品の品質の予測値に対する補正値とに基づいて、補正後の製品の品質の予測値が得られる。本実施形態の手法は、第1の実施形態および第2の実施形態の何れに対しても適用することができるが、本実施形態を第2の実施形態に適用する場合、本実施形態の以下の説明において、製品の品質の予測値は、補正後の製品の品質の予測値を指すものとする。また、本実施形態では、未定係数wi,0~wi,pの値を更新する手法が、特許文献4に記載の手法を基にした手法である場合を例に挙げて説明する。
図6は、係数更新部600の機能的な構成の一例を示す図である。本実施形態では、係数更新部600が、制御設定値決定装置200、400に含まれる場合を例に挙げて説明する。図7は、未定係数wi,0~wi,pを更新する際の係数更新部600の処理(未定係数更新方法)の一例を説明するフローチャートである。
<製造条件データ入力部601、S701>
製造条件データ入力部601は、製造プロセス610から収集された製品の製造条件データを入力する。製造条件データ入力部601は、制御設定値決定装置200、400のユーザインターフェースによる操作に従って、製造条件データを入力したり、外部装置から送信される製造条件データを受信することによって、製造条件データを入力したりすることができる。(要旨)の項で説明したように、製造条件データとしては、センサの計測値やアクチュエータの操作量などが用いられる。製造条件入力部601に入力された製造条件データは、活性度関数演算部603および局所関係式演算部604へ出力される。
<活性度関数記憶部602>
活性度関数記憶部602は、活性度関数Φiを算出するために必要な情報を記憶する。即ち、活性度関数記憶部602には、(要旨)の項で説明した分割パターンに関する情報が記憶されている((A)~(E)を参照)。
活性度関数Φiとしては、以下の(9)式で表現される正規条件を満たす任意の関数を用いることができる。
Figure 0007102962000005
例えば、以下の(10)式で表現される局所領域の重心に中心を持つ正規分布関数μiに基づいて、以下の(11)式で定義される正規メンバシップ関数を、活性度関数Φiとして用いることができる。
Figure 0007102962000006
ここで、cijは、局所領域iの中心点である。σijは、正規分布関数の標準偏差を表す。(11)式で表される活性度関数Φiを用いる場合、活性度関数記憶部220は、活性度関数Φiを算出するために必要な情報として、局所領域の中心点cijおよび正規分布関数の標準偏差σijの集合を記憶する。
<活性度関数演算部603、S702>
活性度関数演算部603は、局所関係式の重み付き線形和である製品の品質の予測値yを算出する際の局所関係式の重みを算出する。活性度関数演算部603は、製造条件データ入力部601から入力された製造条件データと、活性度関数記憶部602に記憶されている情報とを用いて、当該製造条件データに対応する局所関係式の重みを算出する。活性度関数Φiとして(11)式で定義される関数式を用いる場合、活性度関数演算部603は、製造条件データ入力部601から入力された製造条件データu1,u2,・・・,upと活性度関数記憶部602に記憶されている局所領域の中心点cijおよび正規分布関数の標準偏差σijの集合とを用いて(10)式および(11)式の演算を行うことで、局所関係式の重みを算出する。尚、前述したように局所関係式の重みは、活性度関数Φiの値である。そして、活性度関数演算部603は、局所関係式の重みを品質予測値算出部605および局所関係式更新部607へ出力する。
<局所関係式算出部604、S703>
局所関係式演算部604は、製造条件データ入力部601からから入力された製造条件データに基づいて、局所関係式を算出する。
p個の製造条件因子u1~upとバイアス項とを含むp+1個の要素からなる列ベクトルv_を以下の(12)式のように表す。以下の説明では、この列ベクトルv_を必要に応じて製造条件因子列ベクトルv_と称する。
Figure 0007102962000007
そうすると、局所関係式yi^は、製造条件因子列ベクトルv_の関数として、以下の(13)式のように表現される。以下の(14)式に示すように、wi_は、未定係数wi,0~wi,pを要素とする列ベクトルである。
Figure 0007102962000008
局所関係式演算部604は、未定係数wi,0~wi,pの値と、製造条件データ入力部601から入力された製造条件データに含まれる製造条件因子u1~upとを(13)式に当てはめて、局所関係式の演算処理を行う。未定係数wi,0~wi,pの初期値は、第1、第2の実施形態で使用される未定係数wi,0~wi,pの値である。局所関係式演算部604は、局所関係式更新部607により未定係数wi,0~wi,pが更新されると、更新後の最新の未定係数wi,0~wi,pの値を用いて局所関係式の演算処理を行う。局所関係式演算部604は、局所領域iごとに算出された局所関係式の演算結果を品質予測値算出部605へ出力する。
<品質予測値算出部605、S704>
品質予測値算出部605は、活性度関数演算部603から入力された局所関係式の重みと、局所関係式演算部604から入力された局所領域iごとの局所関係式の演算結果とに基づいて、製造条件データと製造結果データとの関係式に基づく製品の品質の予測値を算出する。品質予測値算出部605は、局所関係式の重みと局所関係式の演算結果との積を算出し、さらに、全ての局所領域iについて算出されたこれらの積の和をとることにより、製品の品質の予測値を算出する。そして、品質予測値算出部605は、製品の品質の予測値を局所関係式更新部606へ出力する。
<製造結果データ入力部606、S705>
製造結果データ入力部606は、製造プロセス610から抽出された、製品の品質が測定された時点における製造結果データを入力する。前述のとおり、製造結果データは製品の品質である。製造結果データ入力部606は、制御設定値決定装置200、400のユーザインターフェースによる操作に従って、製造結果データを入力したり、外部装置から送信される製造結果データを受信することによって、製造結果データを入力したりすることができる。製造結果データ入力部606は、製造結果データを局所関係式更新部607へ出力する。
<局所関係式更新部607、S706、S707>
局所関係式更新部607は、局所関係式演算部604で用いる未定係数wi,0~wi,pを更新する。局所関係式更新部607は、各局所領域iについて、製造結果データ入力部606により入力される製品の製造結果データに含まれる品質の値と、品質予測値算出部605で算出される当該製品の品質の予測値との差である予測誤差を算出する。局所関係式更新部607は、この予測誤差と、当該製品の製造条件データに対する各局所関係式の重みとに基づいて、未定係数wi,0~wi,pの値を更新する。
(13)式の線形多項式を局所関係式に用いる場合、未定係数wi,0~wi,pの更新は、例えば、以下のようにして行われる。
Tを、更新後の未定係数wi,0~wi,pもしくは更新に使用する製品であることを示す添字とする。更新に使用する製品とは、製造条件データ入力部601により入力される製造条件データおよび製造結果データ入力部606により入力される製造結果データの抽出対象の製品である。また、T-1を、現在(更新前の)の未定係数wi,0~wi,pであることを示す添字とする。また、局所領域iにおける更新前の未定係数wi,0~wi,pからなる列ベクトルをwi_(T-1)と表す((14)式を参照)。また、製造結果データ入力部606より入力される、更新に使用する製品の製造結果データをy´(T)とする。そうすると、局所領域iにおける更新後の未定係数wi,0~wi,pからなる列ベクトルwi_(T)は、以下の(15)式で更新される。
Figure 0007102962000009
ここで、ki_(T)は、更新後の未定係数wi,0~wi,pについての局所領域iにおける更新率ベクトルであり、以下の(16)式により算出される列ベクトルである。Φi(T)は、更新に使用する製品の製造条件データ(製造条件データ入力部601により入力される製造条件データ)を用いて活性度関数演算部603で算出される各局所領域iにおける局所関係式の重みである。Pi(T-1)は、現在(更新前の)の未定係数wi,0~wi,pについての各局所領域iにおける適応ゲイン行列である。v_は、製造条件因子列ベクトルv_である((12)式を参照)。
Figure 0007102962000010
(15)および(16)式は、例えば、非特許文献2に記載された逐次最小二乗法の更新と同様の効果を、本実施形態における線形多項式の局所関係式でも実現するための更新式である。(15)式は、その右辺第2項の括弧内で算出される局所関係式の誤差に、更新率ベクトルki(T)を乗じて得られるベクトルを修正量として、局所領域iにおける更新前の未定係数wi,0~wi,pからなる列ベクトルwi_(T-1)に加算することで、局所領域iにおける更新後の未定係数wi,0~wi,pからなる列ベクトルwi_(T)を算出するものである。
ここで、(15)式によれば、製造条件データに対して、局所領域iにおける局所関係式の重みΦi(T)が0(ゼロ)に近い局所領域iの場合(Φi(T)≒0の場合)、ki(T)≒0となることが分かる。従って、局所領域iにおける局所関係式の重みが0(ゼロ)に近い場合(Φi(T)≒0の場合)には、局所関係式の誤差が大きい場合でも、修正量((15)式の右辺第2項)は殆ど0(ゼロ)となり、局所領域iにおける更新後の未定係数wi,0~wi,pからなる列ベクトルwi_(T)は殆ど更新されない。即ち、操業条件データに対して、局所関係式の重みが0(ゼロ)に近い値となる未定係数wi,0~wi,pは、殆ど更新されない。
尚、(16)式における局所領域iの適応ゲイン行列Pi(T-1)は、次回の列ベクトルwi_(T+1)の更新に備えて、以下の(17)式で更新される。
Figure 0007102962000011
ここで、Iは単位行列であり、Λiは、局所関係式y^iのp+1個の未定係数wi,0~wi,pのそれぞれに対応した忘却係数λi,k(k=0、1、・・・、p)の逆数を対角成分とする以下の(18)式の行列である。忘却係数λi,kは、未定係数wi,0~wi,pを更新する際の修正量を算出するに際して、最新の製造条件データおよび最新の製造結果データによる修正を、どの程度まで修正量に反映させるかを設定するための係数であり、例えば、以下の(19)式により算出される。
Figure 0007102962000012
忘却係数λi,kは、0~1の範囲を取り、値が小さいほど忘却効果が大きく、(15)式の更新率ベクトルki(T)が大きく評価される。逆にλi,k=1の場合、忘却効果は0(ゼロ)であって、予測誤差の大きさに係わらず未定係数wi,0~wi,pの更新は行われない。(19)式によれば、右辺の根号内の第2項を見ると、予測誤差が大きい場合にλi,k→0となり忘却効果が大きくなるが、製造条件データに対して、局所関係式の重みが0(ゼロ)に近くなるような局所領域i(Φi(T)≒0となるような局所領域i)の場合には、(19)式の右辺の根号内の第2項は殆ど0(ゼロ)となり、忘却効果は作用しないことが分かる。即ち、製造条件データに対して、局所関係式の重みが0(ゼロ)(または0(ゼロ)に近い値)になる局所領域iの局所関係式y^iに対しては、忘却効果が作用しない。尚、(19)式における係数gi,kは、局所領域iにおいて製造条件因子u1~up毎に忘却効果を個別に設定するための調整係数である。係数gi,kは、各局所領域iにおける製造条件因子u1~upに対する物理的な知識から経験的に設定しても、実操業を行いながら、品質の予測精度が改善するように調整してもよい。
局所関係式更新部607は、以上のようにして未定係数wi,0~wi,pを更新すると、更新後の未定係数wi,0~wi,p(更新後の未定係数ベクトルwi_)を局所関係式演算部604へ出力する。また、局所関係式更新部607は、更新後の未定係数wi,0~wi,p(更新後の未定係数ベクトルwi_)をモデル構築部202または403へ出力する。モデル構築部202、403は、局所関係式更新部607から出力された更新後の未定係数wi,0~wi,pを用いて、非線形数式モデルを構築する((3)式および(4)式を参照)。
尚、局所関係式に(13)式の線形多項式以外の関数を用いる場合は、採用した局所関係式の関数に対応した更新式を用いて、前記と同様の手順で演算を行い、未定係数の更新を行えばよい。
本実施形態では、製造プロセス610から、同一の製品についての製造条件データおよび製造結果データが得られるたびに図7のフローチャートによる処理が実行される。このように、図7のフローチャートによる処理を繰り返すことにより、製造プロセス610における製品の品質の予測値を的確に評価することができる。ここで、未定係数wi,0~wi,pの更新は、最新の製造条件データおよび最新の製造結果データと、最新の製造条件データを用いて品質予測値算出部605で算出された製品の品質の予測値とに基づいて更新するのが好ましい。
以上のように本実施形態では、未定係数wi,0~wi,pを更新するので、製造条件データと製造結果データとの関係が変化した場合でも、局所関係式の係数を迅速に更新することができる。従って、製品の品質の予測精度が改善されるまでに要する時間を大幅に短縮することが可能となる。
(適用例)
次に、前述した実施形態の制御設定値決定装置200、400の適用例を説明する。ここでは、第2の実施形態の制御設定値決定装置400を例に挙げて説明する。
<熱間圧延設備の概略構成>
図8は、第2の制御設定値決定装置400を適用する製造プロセスの一例として、圧延プロセス(熱間圧延設備)の概略構成の一例を示す図である。
図8において、熱間圧延設備は、粗圧延機10と、仕上圧延機20と、ランアウトテーブル30と、と、コイル巻き取り装置40と、を有する。
粗圧延機10は、図示しない加熱炉により加熱され、熱間圧延ラインに供給されたスラブAを粗圧延し、被圧延材であるシートバーBを形成するためのものである。
仕上圧延機20は、複数の圧延スタンド(図8に示す例では7台の圧延スタンドF1~F7)によりシートバーBを連続的に仕上げ圧延し、ストリップCを形成するためのものである。
タンデム圧延機を構成する各圧延スタンドF1~F7には、ロードセル21a~21gと、油圧圧下機構22a~22gと、ロールベンダ23a~23gとが設けられている。
ロードセル21a~21gは、シートバーBが圧延スタンドF1~F7の上下のワークロールの間を通過して圧延されるときに生じる圧延荷重を測定する。
油圧圧下機構22a~22gは、圧延スタンドF1~F7により圧延される際のシートバーBの圧下位置を調整する。
尚、図8では、圧延スタンドF1~F7の上側にロードセル21a~21gが配置され、圧延スタンドF1~F7の下側に油圧圧下機構22a~22gが配置されている場合を例に挙げて示す。しかしながら、ロードセル21a~21gと油圧圧下機構22a~22gの配置は図8に示すものに限定されない。例えば、圧延スタンドF1~F7の下側にロードセル21a~21gが配置され、圧延スタンドF1~F7の上側に油圧圧下機構22a~22gが配置されてもよい。また、圧延スタンドF1~F7の上側と下側の双方にロードセル21a~21gが配置されていてもよい。
ロールベンダ23a~23gは、ワークロールの端部の軸受(チョック)に対して、油圧シリンダによってベンディング力(ベンダ力、ベンダ圧ともいう)を付与し、ワークロールに生じているたわみを矯正する。本実施形態では、ロールベンダ23a~23gがクラウン・形状制御端の一例である。
図9は、圧延スタンドF1~F7に作用する圧延荷重と、ワークロールに付与するベンディング力の方向の一例を概念的に示す図である。
図9に示す白抜きの矢印線で示す方向が、圧延スタンドF1~F7に作用する圧延荷重の方向である。また、黒両矢印線で示す方向が、ワークロールに付与するベンディング力の方向である。図9に示すように、ベンディング力は、ワークロールの両端のそれぞれにおいて付与される。このように、ワークロールの両端部のうち、図8に示すロールベンダ23a~23gが設けられている側の端部とは反対側の端部にもロールベンダが設けられている。
ロールベンダ23a~23gは、例えば、インクリーズベンダとディグリーズベンダとを有する。インクリーズベンダは、上下のワークロールの軸受間の距離を広げる方向にベンディング力(曲げ力)を付与する。ディクリーズベンダは、上下のワークロールの軸受間を狭める方向にベンディング力(曲げ力)を付与する。
この他、各圧延スタンドF1~F7には、ロードリレーがそれぞれ設けられている。圧延スタンドF1~F7に備わっているロードリレーは、シートバーBの先端が圧延スタンドF1~F7に噛み込むとオンし、シートバーBの尾端が圧延スタンドF1~F7から抜けるとオフする。
また、仕上圧延機20の各圧延スタンドF1~F7のワークロールに近接する位置には、ワークロールを冷却する不図示の冷却スプレーが設けられている。
ランアウトテーブル30は、仕上圧延機20により仕上げ圧延されたストリップCを冷却するためのものである。
コイル巻き取り装置40は、一般にコイラーと称されるものであり、ランアウトテーブル30により冷却されたストリップCを巻き取るためのものである。
<プロセスデータ記憶部401>
プロセスデータ記憶部401には、製造結果データとして、各圧延スタンドFiの出側における板クラウンCiが記憶される。また、プロセスデータ記憶部401には、製造条件データとして、各圧延スタンドFiにおける板幅方向の中央における出側板厚hi、各圧延スタンドFiにおける板クラウン制御量zi、および各圧延スタンドFiの出側における伸差率ξiを含むデータが記憶される。尚、プロセスデータ記憶部401には、後述する圧延モデルおよび物理モデルで使用する製造条件データも記憶されるものとする。
<物理モデル部402>
次に、本適用例で使用する物理モデルについて説明する。
圧延機による板厚延による板クラウンCi・伸差率εiは、以下の(20)式~(22)式のモデル式で表現される。
Figure 0007102962000013
ここで、Ci、Ci-1は、それぞれ圧延スタンドFi、Fi-1の出側における板クラウンである。C0i、C0i-1、それぞれ圧延スタンドFi、Fi-1の出側における基準板クラウンC0iである。ηiは、圧延スタンドFiにおけるクラウン比率遺伝係数である。hi、hi-1は、それぞれ圧延スタンドFi、Fi-1における板幅方向の中央における出側板厚である。ziは、基準板クラウンC0iに対しクラウン・形状制御端(ロールベンダ23a~23g)の操作によって変更させる板クラウン量である。以下の説明では、この板クラウン量を必要に応じて板クラウン制御量と称する。
εi、εi-1は、それぞれ圧延スタンドFi、Fi-1の出側における伸差率である。ε0i-1は、圧延スタンドFi-1の出側における基準伸差率ε0i-1である。ξiは、圧延スタンドFiにおける形状変化係数である。λiは、圧延スタンドFiの出側における急峻度である。急峻度は、伸び差によって被圧延材に発生する波の高さをその波のピッチで割った値である。
図10は、板クラウンCi(図10(a))と伸差率εi(図10(b))の一例を説明する図である。
図10(a)は、被圧延材(シートバーB)を、その板厚方向に沿って切った断面を示す。
図10(a)において、板クラウンCiは板幅方向の中央における板厚hiから、クラウン定義点1001における板厚diを減算した値(=hi-di)である。板クラウンCiを板幅方向の中央における板厚hiで割った値(=Ci/hi)が板クラウン比率になる。クラウン定義点501は、板幅方向(x軸方向)の板端側の位置(板幅方向の端部からXmmの位置(Xは0以上の値))である。
図10(b)は、被圧延材(シートバーB)を仮想的に板の長手方向(y軸方向)に基準長さLだけ切り出したものを、y軸に沿って細く裁断し(図10(b)の点線)、z軸方向に表れる板波をx-y平面上に伸ばしたイメージを描いたものである。被圧延材(シートバーB)の板形状は板長さが板幅方向で異なることに起因するので、図10(b)では板形状が長手方向(y軸方向)の伸び差Δlとして表現され、伸差率εiは、伸び差Δlを基準長さLで割った値(=Δl/L)である。図10(b)に示すように被圧延材(シートバーB)が耳波である場合、クラウン定義点1001における板長さは、被圧延材(シートバーB)の板幅方向の中央の位置における板長さより長く、伸び差Δlはその差である。一方、被圧延材(シートバーB)が中伸びである場合、クラウン定義点801における板長さは、被圧延材(シートバーB)の板幅方向の中央の位置における板長さより短く、伸び差Δlはその差である。尚、図10(b)に示すように被圧延材(シートバーB)が耳波である場合、伸び差Δlは正の値を示す。一方、被圧延材(シートバーB)が中伸びである場合、伸び差Δlは負の値を示す。基準長さLを計測する板幅方向(x軸方向)の位置は、被圧延材(シートバーB)の板長さが最も短くなる位置であるが、実際の伸び差Δlは基準長さLに比べて十分小さいので、伸差率εiには基準長さLを計測する幅方向の位置はほとんど影響しない。
(20)式~(22)式のモデル式の式変形を行うと、以下の(23)式~(26)式に示すように、板クラウンCi・伸差率εiは、板クラウン制御量ziに関する線形式で表現される。
Figure 0007102962000014
αi,j(αi,k)は、圧延スタンドFj(Fk)における板クラウン制御量zj(zk)の、圧延スタンドFiの出側における板クラウンに対する影響係数である。すなわち、αi,j(αi,k)は、圧延スタンドFj(Fk)の板クラウン・形状制御端(ロールベンダ)に対する操作が、圧延スタンドFiの出側における板クラウンにどの程度影響を与えるかを示す係数である。
また、βi,j(βi,k)は、圧延スタンドFj(Fk)における板クラウン制御量zj(zk)の、圧延スタンドFiの出側における伸差率に対する影響係数である。すなわち、βi,j(βi,k)は、圧延スタンドFj(Fk)の板クラウン・形状制御端(ロールベンダ)に対する操作が、圧延スタンドFiの出側における伸差率にどの程度影響を与えるかを示す係数である。
圧延スタンドFiが圧延スタンドFjよりも上流側にある場合、圧延スタンドFjの板クラウン・形状制御端(ロールベンダ)を操作しても、圧延スタンドFiの出側における板クラウン・伸差率には影響を与えない。従って、(25)式、(26)式に示すように、i<jのとき、αi,j、βi,jは0(ゼロ)になる。また、圧延スタンドFiの出側における板クラウン制御量ziは、そのまま圧延スタンドFiに適用される。従って、(25)式、(26)式に示すように、i=jのとき、αi,jは1になり、βi,jはξi/hiになる。
(23)式は、圧延スタンドFiの出側における板クラウンCiは、圧延スタンドFiの出側における基準板クラウンC0iと、各圧延スタンドFjの板クラウン・形状制御端の操作に起因して圧延スタンドFiの出側において生じる板クラウンの変化量とを加算した値であることを示す。
(24)式は、圧延スタンドFiの出側における伸差率εiは、圧延スタンドFiの出側における基準伸差率ε0iと、各圧延スタンドFjの板クラウン・形状制御端の操作に起因して圧延スタンドFiの出側において得られる伸差率の変化量とを加算した値であることを示す。
(23)式~(26)式において、圧延スタンドFiの出側における基準板クラウンC0i、圧延スタンドFiの出側における基準伸差率ε0i、クラウン比率遺伝係数ηi、および形状変化係数ξiは、本適用例で説明する物理モデルとは別の圧延モデルにより別途求められる。かかる圧延モデルは、例えば、非特許文献1に記載の技術を用いることにより構築することができるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
物理モデル部402は、(23)式~(26)式において、プロセスデータ記憶部401に記憶された出側板厚hi、hi-1と、圧延モデルにより得られる基準板クラウンC0i、基準伸差率ε0i、クラウン比率遺伝係数ηi、および形状変化係数ξiとを、(23)式~(26)式に設定した物理モデルを、線形モデル作成部404に出力する。
<モデル構築部403>
本適用例で使用する非線形数式モデルについて説明する。
前述した物理モデルにおいて、板クラウンCiや形状(伸差率ξi)を精度よく求めるには、前述した圧延モデルなどのパラメータを適切に調節する必要がある。しかしながら、操業条件の変更や圧延スタンドFiの経時変化、被圧延材のばらつきなどによって、数多くあるパラメータを適切に調整し、維持するのは容易ではない。
そこで、本適用例では、物理モデルで導出される最終圧延スタンド(最下流の圧延スタンド)Fnの出側における板クラウンCnを補正することで、物理モデルの予測精度を向上させる。具体的には、以下の(27)式~(29)式に示すように、板クラウンCnを補正する統計モデルCL(非線形数式モデル)を導出する。板クラウンCnを補正する統計モデルCLは、過去のプロセスデータを用いて、物理モデルで導出される最終圧延スタンドの出側における板クラウンCnに対する補正値を導出する非線形の統計モデルである。
Figure 0007102962000015
本適用例では、制御変数u2_として、各圧延スタンドFiの出側における板クラウンCi(物理モデルに従い(23)式を用いて計算される)を用いる。ただし、各圧延スタンドFiにおける板クラウン制御量ziまたは各圧延スタンドFiにおける板クラウン制御量ziの線形式で表される物理量(各圧延スタンドFiの出側における伸差率ξi等)であれば、どのようなものを制御変数u2_としてもよい。また、制御変数以外の製造条件変数u1_としては、各圧延スタンドFiの出側における板クラウンCiの予測値に影響を与える変数(板クラウン被圧延材の形状(幅や板厚)や温度等)を用いる。
<線形モデル作成部404>
本適用例で使用する線形モデルについて説明する。
(28)式および(29)式に示す板クラウンCnを補正する統計モデルCLは、以下の(30)式~(32)式のように変形することができる。
Figure 0007102962000016
制御変数u2_として、各圧延スタンドFiの出側における板クラウンCiを用いると(即ち、u2_=(C1,C2,・・・,Cn)とすると)、(30)式~(32)式に示す板クラウンCnを補正する統計モデルCLを式変形することにより、以下の(33)式が得られる。
Figure 0007102962000017
(23)式および(33)式より、物理モデルで導出される最終圧延スタンドの出側における板クラウンCnを、板クラウンCnを補正する統計モデルCLで補正した、最終圧延スタンドの出側における補正後の板クラウンC´nは、以下の(34)式のようになる。
Figure 0007102962000018
以下の(35)式~(37)式のように、C0´n、α´n,kを定義すれば明らかなように、最終圧延スタンドの出側における補正後の板クラウンC´nも、補正前の板クラウンCnと同様に、板クラウン制御量ziの線形式になる。本適用例では、(35)式~(37)式が線形モデルになる。
Figure 0007102962000019
<制約式・評価関数作成部405>
<<制約式>>
本適用例では、以下の制約式を使用する。
まず、圧延スタンドFiのクラウン・形状制御端(ロールベンダ)の制御能力に関する制約式を使用する。この制約式は、板クラウン制御量ziの値の範囲として、以下の(38)式のように表現される。
Figure 0007102962000020
圧延スタンドFiにおける板クラウン制御量ziの上限値zmax,iおよび下限値zmin,iは、圧延スタンドFiのクラウン・形状制御端(ロールベンダ)の制御能力に基づいて圧延モデルによって得ることができる。ここで用いる圧延モデルも、例えば、非特許文献1に記載の技術を用いることにより構築することができるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。圧延スタンドFiにおける板クラウン制御量ziの上限値zmax,iおよび下限値zmin,iについて過去の知見等が得られている場合には、その値を用いてもよい。
また、操業上求められる形状(伸差率)に関する制約式を使用する。この制約式は、以下の(39)式のように表現される。
Figure 0007102962000021
圧延スタンドFiの出側における伸差率εiの上限値εmax,iおよび下限値εmin,iは、被圧延材の材質やサイズ毎の伸差率の調査等による過去の知見等に基づいて得ることができる。
圧延スタンドFiの出側における伸差率εiは、(24)式により得られるものである。
また、最終圧延スタンドの出側における補正後の板クラウンC´nに関する制約式を使用する。この制約式は、以下の(40)式または(41)式のように表現される。
Figure 0007102962000022
(40)式は、最終圧延スタンドの出側における補正後の板クラウンC´nに対して、その目標値Caim,nが与えられている場合の制約式である。(41)式は、最終圧延スタンドの出側における補正後の板クラウンC´nに対して、その許容範囲(上限値Cmax,nおよび下限値Cmin,n)が与えられている場合の制約式である。
最終圧延スタンドの出側における補正後の板クラウンC´nは、(35)式により得られるものである。
<<評価関数>>
本適用例では、以下の評価関数を使用する。
各圧延スタンドFkの出側における伸差率εkが、その目標値εk,aimに近いほど値が小さくなる(評価が高いことを示す)評価関数を使用する。この評価関数の一例は、以下の(42)式のように表現される。即ち、各圧延スタンドFkの出側における伸差率εkと、その目標値εk,aimとの差の二乗の重み付き線形和を評価関数とする。
Figure 0007102962000023
各圧延スタンドFkの出側における伸差率の目標値εaim,kは、過去の経験に基づく望ましい伸差率を表し、各圧延スタンドFkに対してそれぞれ個別に設定される。例えば、各圧延スタンドFkの出側における伸差率の下限値と上限値の平均(=(εmin,k+εmax,k)÷2)を、各圧延スタンドFkの出側における伸差率の目標値εaim,kとすることができる。この他、被圧延材の材質およびサイズにより過去の経験などから、各圧延スタンドFkの出側における伸差率の目標値εaim,kを別途与えることもできる。
また、Wε,kは、各圧延スタンドFkの出側における伸差率εkの目標値εaim,kからのずれに対する重みであり、各圧延スタンドFkに対してそれぞれ個別に設定される。例えば、各圧延スタンドFkの出側における伸差率の上限値から下限値を引いた値(=εmax,k-εmin,k)を重みWε,kとすることができる。この他、被圧延材の材質およびサイズにより過去の経験などから、重みWε,kを別途与えることもできる。
<最適計算部406>
(35)式~(37)式に示したように、最終圧延スタンドの出側における補正後の板クラウンC´nは、補正前の板クラウンCnと同様に、板クラウン制御量ziの線形式になる。従って、制約式は、板クラウン制御量ziの線形式である。また、評価関数は、板クラウン制御量ziの二次式である。従って、本適用例では、二次計画法を用いて、制約式(「(38)式~(40)式」または「(38)式、(39)式、および(41)式」)を満たす範囲で評価関数((42)式)の値が最小になるときの板クラウン制御量ziを導出する。
各圧延スタンドFkの出側における伸差率εkが、その目標値εk,aimに近いほど値が小さくなる(評価が高いことを示す)評価関数として、(42)式に替えて、以下の(43)式の評価関数を用いてもよい。即ち、各圧延スタンドFkの出側における伸差率εkと、その目標値εk,aimとの差の絶対値の重み付き線形和を評価関数としてもよい。
Figure 0007102962000024
この場合、(43)式を数理計画法で解くため、変数Δεkを用いて、(43)式を、以下の(44)式の線形の制約式と、以下の(45)式の評価関数J´に変換する必要がある。
Figure 0007102962000025
(44)式および(45)式を用いる場合には、線形計画法を用いて、制約式(「(38)式~(40)式および(44)式」または「(38)式、(39)式、(41)式、および(44)式」)を満たす範囲で評価関数((45)式)の値が最小になるときの板クラウン制御量ziを導出する。
<制御設定値作成部407>
以上のようにして導出された各圧延スタンドFi(i=1~n)における板クラウン制御量ziと、ベンディング力の変更による板クラウンへの影響の程度を示す影響係数とに基づいて、各圧延スタンドF1~Fnにおけるベンディング力が導出される。このベンディング力が、各圧延スタンドのベンディング力の制御装置に対する制御設定値として出力される。この制御設定値に基づいて、各圧延スタンドのベンディング力の制御装置は、セットアップされる。
本適用例では、決定変数である各圧延スタンドFiにおける板クラウン制御量ziと、制御設定値である当該圧延スタンドFiにおけるベンディング力が一対一に対応して導出される。しかし、本発明は決定変数と制御設定値が一対一に対応する場合に限定されない。つまり、制御設定値を表す変数をそのまま決定変数としてもよいし、制御設定値を導出するために必要十分な変数を決定変数とすれば、複数の決定変数から複数の制御設定値を導出するようにしてもよい。例えば、複数の決定変数の値をベクトルとして、それを線形変換したベクトルを複数の制御設定値の値とするようにしてもよい。
<実施例>
次に、実施例を説明する。本実施例では、7スタンドから構成される実際の圧延プロセスのデータを用いた。
まず、板クラウンCnを補正する統計モデルCLの構築にあたり、制御変数u2_を局所関係式のみに用いた場合と、制御変数u2_を全く用いなかった場合と、制御変数以外の製造条件変数u1_と制御変数u2_との双方を製造条件因子空間の分割に用いた場合(つまり、活性度関数Φiを、制御変数以外の製造条件変数u1_と制御変数u2_との双方の関数とした場合)の予測精度を比較した。その結果を図11に示す。図11は、最終圧延スタンドFn(F7)の出側における補正後の板クラウンC´n(=C´7)の予測精度(の標準偏差σ)と、局所領域の分割数(領域分割数)との関係の一例を示す図である。
図11に示すように、制御変数u2_を全く用いなければ、制御変数以外の製造条件変数u1_と制御変数u2_との双方を製造条件因子空間の分割に用いた場合と比較して、最終圧延スタンドFn(F7)の出側における補正後の板クラウンC´n(C´7)の予測精度(の標準偏差σ)は大きく低下する(図11のu2_不使用を参照)。一方で、制御変数u2_を局所関係式のみに用いた場合と、制御変数以外の製造条件変数u1_と制御変数u2_との双方を製造条件因子空間の分割に用いた場合とでは、最終圧延スタンドFn(F7)の出側における補正後の板クラウンC´n(C´7)の予測精度(の標準偏差σ)はほとんど変わらない(図11のu2_領域分割なし、u2_領域分割ありを参照)。即ち、制御変数u2_を局所関係式のみに用いれば、板クラウンの予測を高精度に行うことができ、制御変数以外の製造条件変数u1_と制御変数u2_との双方を製造条件因子空間の分割に用いても、最終圧延スタンドFnの出側における補正後の板クラウンC´n(C´7)の予測精度の改善はほとんどない。このように、制御変数u2_に関しては線形の統計モデル(線形モデル)を用いても、最終圧延スタンドFn(F7)の出側における板クラウンを精度よく補正することができることが分かる。
以下の表1において、物理モデルにより導出された、最終圧延スタンドFn(F7)の出側における板クラウンCn(C7)の予測誤差の標準偏差を比較例として示す。また、物理モデルにより導出された、最終圧延スタンドFn(F7)の出側における板クラウンCn(C7)を統計モデルCLで補正した場合の予測誤差の標準偏差を発明例として示す。尚、予測誤差とは、最終圧延スタンドFn(F7)の出側における板クラウンの実績値に対する予測値の誤差である。
Figure 0007102962000026
表1に示すように、物理モデルにより導出された、最終圧延スタンドFn(F7)の出側における板クラウンCn(C7)を統計モデルCLで補正することにより、最終圧延スタンドFn(F7)の出側における板クラウンの予測精度を大きく改善することができる。
図12は、クラウンスケジュール(各圧延スタンドF1~F7の出側における板クラウンの計算値)の一例を示す図である。
図12(a)に、統計モデルCLを用いずに導出したクラウンスケジュールを比較例として示す。即ち、図12(a)は、(40)式のC´nをCnとした上で、(23)式~(26)式を使って、(38)式~(40)式の制約式を満たす範囲で(42)式の評価関数の値が最小になる板クラウン制御量ziを導出し、当該板クラウン制御量ziから、各圧延スタンドF1~F7の出側における板クラウンC1~C7を導出した結果を示す。
図12(b)に、統計モデルCLを用いて導出したクラウンスケジュールを発明例として示す。即ち、図12(b)は、(23)式~(26)式と(35)式~(37)式とを使って、(38)式~(40)式の制約式を満たす範囲で(42)式の評価関数の値が最小になる板クラウン制御量ziを導出し、当該板クラウン制御量ziから、各圧延スタンドF1~F7の出側における板クラウンC1~C7を導出した結果を示す。
また、表2に、図12(a)、図12(b)に示すそれぞれの場合の、最終圧延スタンドFn(F7)の出側における板クラウンの予測値を示す。
Figure 0007102962000027
本計算例では、板クラウンの上限を70μmとした。図12(a)に示すように、板クラウンCn(C7)を補正する統計モデルCLを用いないと、最終圧延スタンドFnの出側における板クラウンCn(C7)が、その上限値よりも小さくなっている。このことは、本来であれば、各圧延スタンドFkの出側における伸差率εkを、その目標値εk,aimにもっと近づけられるはずであるのに、近づけることができていないことを表す。
一方、図12(b)に示すように、板クラウンCn(C7)を補正する統計モデルCLを用いると、最終圧延スタンドFn(F7)の出側における補正後の板クラウンC´n(C´7)が、ちょうどその上限値に収まるようなクラウンスケジュールを求めることができる。このことは、板クラウンC´n(C´7)を上限値ぎりぎりまで大きくすることにより、(42)式において、各圧延スタンドFkの出側における伸差率εkを、その目標値εk,aimに近づけられていることを表す。
次に、(27)式~(29)式に示す非線形の統計モデルにおける未定係数wi,0~wi,pを更新しない場合と更新する場合とを比較した。即ち、局所関係式(未定係数wi,0~wi,p)を固定値とする第2の実施形態と、第2の実施形態について局所関係式(未定係数wi,0~wi,p)を更新する第3の実施形態とを比較した。表3は、物理モデルにより導出された最終圧延スタンドFn(F7)の出側における板クラウンCn(C7)を統計モデルCLで補正した場合の予測誤差の標準偏差を、未定係数wi,0~wi,pを更新しない場合(第2の実施形態)および更新する場合(第3の実施形態)のそれぞれについて導出した結果を示す。前述したように予測誤差とは、最終圧延スタンドFn(F7)の出側における板クラウンの実績値に対する予測値の誤差である。尚、表3は、表1および表2に示した計算例とは異なる被圧延材のデータを用いて評価した結果である。
Figure 0007102962000028
表3に示すように、局所関係式(未定係数wi,0~wi,p)の更新を行うことにより、最終圧延スタンドFn(F7)の出側における板クラウンの予測精度を更に改善することができる。
(まとめ)
以上のように、各局所領域における局所関係式yi^と活性度関数Φiとの積の総和で、製品の品質の予測値(または物理モデルで導出される製品の品質の予測値に対する補正値)を表す際に、局所関係式yi^は、制御変数以外の製造条件変数u1_、および、制御変数u2_の関数とし、活性度関数Φ_iは、制御変数以外の製造条件変数u1_のみの関数とし、制御変数u2_には依存しないようにする。このようにすることによって、製品の品質の予測値(または物理モデルで導出される製品の品質の予測値に対する補正値)を、制御変数u2_の線形式で表現する線形モデルを得る。評価関数および制約式の少なくとも何れか一方の変数に、この線形モデルを含め、線形計画法または二次計画法により、制御変数u2_の最適解を導出する。従って、非線形の統計モデルを用いて、製造プロセスにおける制御設定値の最適解を非線形計画法によらずに予測することを、統計モデルが持つ予測精度を可及的に低下させずに実現することができる。
(その他の適用例)
制御設定値決定装置200、400が適用される製造プロセスは、適用例で示した圧延プロセスでなくても、製造プロセスの出力すなわち製造プロセスによる製造の結果(製品の品質など)に対し、制御変数u2_が線形の関係を持つという条件と、何らかの関数あるいは物理モデルによって、制御変数u2_を、製造プロセスの出力(製品の品質)に対し線形の関係を持つ変数に変換することが可能であるという条件と、許容される制御調整範囲内では、製造プロセスの出力(製品の品質)に対し、制御変数u2_が線形とみなし得るという条件と、の少なくとも何れか1つを満たす製造プロセスであればどのような製造プロセスであってもよい。
製造プロセスの制御変数u2_が、これらの条件を満たしているかどうかは、例えば、実施例(図11)に示したように、制御変数u2_を局所関係式のみに用いた場合(つまり、活性度関数を、制御変数以外の製造条件変数u1_のみの関数とした場合)と、制御変数も製造条件因子空間の分割に用いた場合(つまり、活性度関数を、制御変数u2_と制御変数以外の製造条件変数u1_との双方の関数とした場合)とのそれぞれにおける統計モデルによる製品の品質の予測誤差を比較することで判断することができ、それらの予測誤差の差の絶対値が予め設定された値よりも小さい場合には、当該製造プロセスに、制御設定値決定装置200、400を適用することができる。
例えば、前述した適用例で示した熱間圧延設備の前段に設けられる加熱炉(加熱プロセス)に制御設定値決定装置200、400を適用してもよい。この場合、制御変数u2_として、例えば、各燃焼帯の炉温設定値を用いることができる。炉温設定値の被加熱材の温度への影響は非線形であるが、各燃焼帯の炉温は急激には変化しないため、一度に許容される炉温設定値の変更範囲は小さく、その制御範囲では、各燃焼帯の炉温設定値は、当該燃焼帯内の被加熱材の温度に対して線形とみなすことが可能である。
この場合、製品は、加熱された被加熱材であり、製品の品質は、例えば、各燃焼帯における被加熱材の温度になる。
また、制御変数以外の製造条件変数u1_として、各被加熱材のサイズ、装入温度(加熱炉に装入されるときの温度)、目標抽出温度(加熱炉から抽出されるときの目標温度)、および装入ピッチ(先行する被加熱材が加熱炉に装入されてからその次に当該加熱炉に装入される被加熱材が当該加熱炉に装入されるまでの時間隔)を採用することができる。また、制約式および評価関数は、線形計画法または二次計画法により、決定変数である炉温設定値の最適解を導出するものであれば、どのようなものであってもよいが、例えば、特許文献5の記載を参照して構成することができる。
(その他の変形例)
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
(請求項との関係)
以下に、請求項の記載と、実施形態の記載との関係の一例を示す。尚、請求項の記載が実施形態の記載に限定されないことは、前述した変形例等に記載した通りである。
関係式構築手段は、例えば、モデル構築部202、403を用いることにより実現される。関係式は、例えば、(3)式および(4)式により実現される。尚、請求項1に記載の関係式(前記製造条件データと前記製造結果データとの関係を表す関係式)を構築することは、例えば、第1の実施形態に対応し、請求項4に記載の関係式(前記製造条件データと、物理モデルにより導出される製造結果データに対する補正値との関係を表す関係式)を構築することは、例えば、第2の実施形態に対応する。また、物理モデルは、例えば、(23)式~(26)式により実現される。
線形モデル作成手段は、例えば、線形モデル作成部203、404を用いることにより実現される。線形モデルは、例えば、(6)式~(8)式により実現される。
制約式・評価関数設定手段は、例えば、制約式・評価関数作成部204、405を用いることにより実現される。
最適計算手段は、例えば、最適計算部205、406を用いることにより実現される。
制御設定値導出手段は、例えば、制御設定値作成部206、407を用いることにより実現される。
データ入力手段は、例えば、製造条件データ入力部601および製造結果データ入力部606を用いることにより実現される。
活性度関数導出手段は、例えば、活性度関数演算部603を用いることにより実現される。
局所関係式導出手段は、例えば、局所関係式演算部604を用いることにより実現される。
製造結果予測手段は、例えば、品質予測値算出部605を用いることにより実現される。
局所関係式更新手段は、例えば、局所関係式更新部607を用いることにより実現される。
200、400:制御設定値決定装置、201、401:プロセスデータ記憶部、202、403:モデル構築部、203、404:線形モデル作成部、204、405:制約式・評価関数作成部、205、406:最適計算部、206、407:制御設定値作成部、207、408:出力部、402:物理モデル部

Claims (7)

  1. 製造プロセスにおいて製品を製造する際に用いられる製造設備を動作させるために当該製造設備に設定される制御設定値を決定する制御設定値決定装置であって、
    前記製造プロセスにおける前記制御設定値を表す変数、もしくは前記製造プロセスにおける前記制御設定値を決定するために必要十分な変数を決定変数とし、
    前記製造プロセスで製造される製品に関する製造条件データおよび製造結果データを用いて、前記製造条件データと前記製造結果データとの関係を表す関係式を構築する関係式構築手段と、
    前記関係式と、前記製造条件データに含まれる製造条件変数であって、前記決定変数もしくは前記決定変数に依存する変数から選択される変数である制御変数以外の製造条件変数の値とを用いて、前記製造条件データと前記製造結果データとの関係を、前記制御変数に関する線形式で表した式である線形モデルを作成する線形モデル作成手段と、
    前記製造プロセスにおいて前記製品を製造する際の制約を線形式で表した制約式と、前記製造プロセスに対する所定の評価指標を変数として含む線形式または二次式で表した評価関数を作成する制約式・評価関数作成手段と、
    前記制約式を満足する範囲で、前記評価関数が最小または最大になるときの、前記決定変数を、線形計画法または二次計画法を用いて導出する最適計算手段と、
    前記最適計算手段により導出された決定変数を用いて、前記制御設定値を導出する制御設定値導出手段と、を有し、
    前記関係式は、局所関係式と活性度関数とを用いて表され、
    前記局所関係式は、各局所領域における、前記製造条件データと前記製造結果データとの関係を、前記制御変数と、前記製造条件データに含まれる製造条件変数のうち、前記制御変数以外の製造条件変数との双方を用いて表した式であり、
    前記局所領域は、前記製造条件データに含まれる製造条件変数のうち、前記制御変数以外の製造条件変数のみが値としてとる領域である全体領域を分割した領域であり、
    前記活性度関数は、前記各局所領域における前記局所関係式の値の重み付き線形和として前記全体領域における前記関係式の値を算出する際の重みを表す関数であって、前記製造条件データに含まれる製造条件変数のうち、前記制御変数以外の製造条件変数に依存し、前記制御変数には依存しない関数であり、
    前記線形モデルは、前記制約式と、前記評価関数との少なくとも何れか一方に含まれ、
    前記製造条件データに含まれる製造条件変数のうち、前記制御変数以外の製造条件変数は、前記最適計算手段による最適解の導出に対しては所与であることを特徴とする制御設定値決定装置。
  2. 前記制御設定値に基づいて製造された前記製品に関する前記製造条件データおよび前記製造結果データを入力するデータ入力手段と、
    前記制御設定値に基づいて製造された前記製品に関する前記製造条件データを用いて、前記各局所領域における前記製造条件データに対応する前記重みを導出する活性度関数導出手段と、
    前記制御設定値に基づいて製造された前記製品に関する前記製造条件データを用いて、前記各局所領域における前記局所関係式の値を導出する局所関係式導出手段と、
    前記局所関係式導出手段により導出された、前記各局所領域における前記局所関係式の値と、前記活性度関数導出手段により導出された、前記各局所領域における前記重みとの前記局所領域ごとの積の和に基づいて、前記制御設定値に基づいて製造された前記製品に関する前記製造結果データの予測値を導出する製造結果予測手段と、
    前記製造結果予測手段により導出された、前記制御設定値に基づいて製造された前記製品に関する前記製造結果データの予測値と、前記データ入力手段により入力された、前記制御設定値に基づいて製造された前記製品に関する前記製造結果データとを用いて、前記局所関係式の係数を更新する局所関係式更新手段と、を更に有し、
    前記局所関係式の係数は、前記局所関係式に用いられる前記制御変数および当該制御変数以外の前記製造条件変数のそれぞれに掛かる係数を含み、
    前記関係式構築手段は、前記関係式を構築する際に、前記局所関係式更新手段により更新された前記局所関係式の係数を用いることを特徴とする請求項1に記載の制御設定値決定装置。
  3. 前記局所関係式更新手段は、以下の(A)式および(B)式により、更新後の前記局所関係式の係数を要素として含む列ベクトルwi_(T)を導出することを特徴とする請求項2に記載の制御設定値決定装置。
    Figure 0007102962000029
    ここで、Tは、更新後の前記局所関係式の係数であること、もしくは前記制御設定値に基づいて製造された前記製品であることを示す添字である。T-1は、更新前の前記局所関係式の係数であることを示す添え字である。wi_(T-1)は、更新前の前記局所関係式の係数を要素として含む列ベクトルである。ki_(T)は、更新後の前記局所関係式の係数についての局所領域iにおける更新率ベクトルである。y´(T)は、前記製造結果予測手段により導出される、前記制御設定値に基づいて製造された前記製品に関する前記製造結果データの予測値である。v_(T)は、前記制御設定値に基づいて製造された前記製品に関する前記製造条件変数の値を要素として含む列ベクトルである製造条件因子列ベクトルである。Pi(T-1)は、更新前の前記局所関係式の係数についての各局所領域iの適応ゲイン行列である。Φi(T)は、前記制御設定値に基づいて製造された前記製品について前記活性度関数導出手段により導出される、各局所領域iにおける前記重みである。
  4. 前記関係式構築手段は、製造プロセスで製造される製品に関する製造条件データおよび製造結果データを用いて、前記製造条件データと前記製造結果データとの関係を表す関係式に替えて、前記製造条件データと、物理モデルにより導出される製造結果データに対する補正値との関係を表す関係式を構築し、
    前記線形モデル作成手段は、前記関係式と、前記製造条件データに含まれる製造条件変数であって、前記決定変数もしくは前記決定変数に依存する変数から選択される変数である制御変数以外の製造条件変数の値とを用いて、前記製造条件データと前記製造結果データとの関係を、前記制御変数に関する線形式で表した式である線形モデルに替えて、前記製造条件データと、物理モデルにより導出される製造結果データに対する補正値との関係を、前記制御変数に関する線形式で表した式である線形モデルを作成し、
    前記物理モデルは、前記製造プロセスにおける、前記製造条件データと前記製造結果データとの関係を、物理法則に基づいて表した式であることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の制御設定値決定装置。
  5. 前記製造プロセスは、複数の圧延スタンドを用いて被圧延材に対して熱間圧延を行うことで熱延鋼板を製造する圧延プロセスであり、
    前記制御変数は、前記複数の圧延スタンドの出側における板クラウンを含み、
    前記決定変数は、前記圧延スタンドに配置されるクラウン・形状制御端の操作によって、基準板クラウンに対し変更させる板クラウン量である板クラウン制御量であることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の制御設定値決定装置。
  6. 製造プロセスにおいて製品を製造する際に用いられる製造設備を動作させるために当該製造設備に設定される制御設定値を決定する制御設定値決定方法であって、
    前記製造プロセスにおける前記制御設定値を表す変数、もしくは前記製造プロセスにおける前記制御設定値を決定するために必要十分な変数を決定変数とし、
    前記製造プロセスで製造される製品に関する製造条件データおよび製造結果データを用いて、前記製造条件データと前記製造結果データとの関係を表す関係式を構築する関係式構築工程と、
    前記関係式と、前記製造条件データに含まれる製造条件変数であって、前記決定変数もしくは前記決定変数に依存する変数から選択される変数である制御変数以外の製造条件変数の値とを用いて、前記製造条件データと前記製造結果データとの関係を、前記制御変数に関する線形式で表した式である線形モデルを作成する線形モデル作成工程と、
    前記製造プロセスにおいて前記製品を製造する際の制約を線形式で表した制約式と、前記製造プロセスに対する所定の評価指標を変数として含む線形式または二次式で表した評価関数を作成する制約式・評価関数作成工程と、
    前記制約式を満足する範囲で、前記評価関数が最小または最大になるときの、前記決定変数を、線形計画法または二次計画法を用いて導出する最適計算工程と、
    前記最適計算工程により導出された決定変数を用いて、前記制御設定値を導出する制御設定値導出工程と、を有し、
    前記関係式は、局所関係式と活性度関数とを用いて表され、
    前記局所関係式は、各局所領域における、前記製造条件データと前記製造結果データとの関係を、前記制御変数と、前記製造条件データに含まれる製造条件変数のうち、前記制御変数以外の製造条件変数との双方を用いて表した式であり、
    前記局所領域は、前記製造条件データに含まれる製造条件変数のうち、前記制御変数以外の製造条件変数のみが値としてとる領域である全体領域を分割した領域であり、
    前記活性度関数は、前記各局所領域における前記局所関係式の値の重み付き線形和として前記全体領域における前記関係式の値を算出する際の重みを表す関数であって、前記製造条件データに含まれる製造条件変数のうち、前記制御変数以外の製造条件変数に依存し、前記制御変数には依存しない関数であり、
    前記線形モデルは、前記制約式と、前記評価関数との少なくとも何れか一方に含まれ、
    前記製造条件データに含まれる製造条件変数のうち、前記制御変数以外の製造条件変数は、前記最適計算工程による最適解の導出に対しては所与であることを特徴とする制御設定値決定方法。
  7. 請求項1~5の何れか1項に記載の制御設定値決定装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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