JP7097941B2 - 車両用携帯端末位置推定システム - Google Patents

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Description

本願は、車両用携帯端末位置推定システムに関する。
従来、電波を利用して携帯端末の車両に対する相対位置を推定し、これを利用してユーザへの利便性を高めるシステムとして、スマートエントリー・スマートスタートシステム(以下、スマートシステムという)がある。車載無線機は携帯端末へ100KHz前後のLF(Low Frequency)帯のチャレンジデータを送信し、携帯端末は、これに応答して車載無線機へ1GHz以下のUHF(Ultra High Frequency)帯によるレスポンス信号を返信する。この一連の認証通信が成立した場合に、ドアの施錠、解錠などの車両機器の制御が可能となる。このスマートシステムは、携帯端末をポケット又はカバンに入れておいても、ユーザが車両に近づく、あるいはドアノブに触れるだけでドアが解錠あるいは施錠し、車種によっては、車両から離れると自動的にドアを施錠する。また。ユーザが車室内に乗り込んだ場合は、従来のように鍵穴にキーを指すことなく、車室内に装備されたエンジンスタートボタンを押すことでエンジンが始動するシステムである。盗難及び安全上の問題から、車両ボディ端から約2m以上の車室外領域では解錠動作しないように、また車室内に携帯端末がある場合は施錠しないようになっている。また、エンジン始動については、携帯端末が車室内にある場合のみ許可する仕組みになっている。
特許文献1に記載の電子キーシステムは、車載無線機が送信したLF帯の信号を携帯端末が受信するという従来の方式をベースとしており、LF帯信号を送信する送信アンテナを、車室内に数か所、車室外のボディ周辺に数か所設置する。電波の受信強度と通信距離には一定の関係があるため、受信強度より通信距離が推定可能である。また、LF帯の電波の性質として、車両のボディの遮蔽効果により電波強度の減衰量が大きく、車室内から送信したLF帯信号の車室外への漏れが小さいことを利用して、携帯端末が車室内にあるか車室外にあるかの判定、及び車室外のどの領域にあるかを推定する。ただし、LF帯の電波の伝搬距離は数mと短く、得られる位置情報はLF帯電波を送信するアンテナ近傍の領域に存在するという存否情報である場合が多い。
特許文献2に記載の電子キー位置推定装置は、UHF帯の電波を利用して位置推定を行う。車載のUHFアンテナはアレイ形状をしており、電子キーが送信するUHF帯電波の到来角度(AOA:Angle Of Arrival)を計測する。複数アンテナの到来角度情報による入射方向を求め、複数の入射方向を示す複数の直線の交点から電子キーの位置を推定している。そして、推定した位置から、車室内エリアに存在するか、車室外エリアに存在するかを判定している。キーレスシステムのレスポンス信号で使用するUHF帯の電波を使用して電子キーの位置推定を行うため、特許文献1に記載の電子キーシステムのように、車両側にLF帯電波の送信回路、及び電子キー側にLF帯電波の受信回路を実装する必要がないため、システム全体を簡素化する効果が期待できる。また、LF帯電波にくらべ、UHF帯電波は通信距離が長いため、測位範囲がLF帯電波を利用する場合と比較して、広いエリア範囲を設定できる可能性がある。
特許文献3に記載の携帯端末キーシステムは、特許文献1及び特許文献2に記載の電子キーで利用しているLF帯及びUHF帯の電波と異なる周波数帯を用いて位置推定を行っている。電波としては、スマートフォン等の情報端末で標準的に利用されているGHz帯のBluetooth(登録商標)等を利用する。車両外壁に設置された車載アンテナと携帯端末が通信するときの電波の受信信号強度を測定し、車体の影響による減衰効果を考慮しながら車室内外判定を行っている。Bluetooth等の、標準化された電波を使用することで、スマートフォン等で広く普及している情報端末を電子キーとして利用する広がりを期待できる。
特許文献4に記載の車両用位置推定システムは、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3で利用している電波よりさらに周波数の高い電波を用いて位置推定を行っている。電波としては、スマートフォン等の情報端末で採用が進みつつあるGHz帯のUWB(Ultra Wide Band)を利用する。UWBはBluetoothよりさらに周波数が高く、帯域が500MHz以上と広いため、インパルス状の信号の送受信を行うことができる。そのため時間分解能が高く、伝搬時間(TOF:Time Of Flight)に基づく距離測定によって、高い精度が期待できる。3機以上の車載通信機を車両の異なる位置に取り付け、携帯端末との通信によって得られた複数の距離情報から、車両に対する空間位置を計算する。通信不良が起こり詳細な位置計算ができない場合は、携帯端末位置をアンテナ近傍のエリアに限定する。特許文献3に記載の携帯端末キーシステムと同様に、スマートフォン等で広く普及が進むUWBを利用することで情報端末を電子キーとして利用できる可能性の広がりを期待できる。また、信号受信強度は、端携帯端の機種によるばらつき、及びユーザの保持の仕方による影響が大きく、特許文献4のように伝搬時間に基づく距離情報を利用する測位のほうが精度的に有利であるといえる。
特許第4723415号 特開2018-199971号公報 特許第6321449号 国際公開第2020/158310号
車両に対する携帯端末の位置を無線で求めるシステムの代表例として、スマートシステムがある。スマートシステムでは、携帯端末が車室内にあるか車室外の近傍に存在するかを推定し、ユーザによるエンジン始動、ドアの施錠及び解錠を許可する制御を行う。この場合、安全面から、携帯端末が車室外にある場合は、エンジン始動を禁止しなければならず、携帯端末が、ボディ端から一定距離以上(約2m程度)離れた場合は、ドア制御を禁止しなければならない。
また、携帯端末の位置を推定するシステムの他の例として、リモートパーキングコントロールシステム(以下、RPCシステムという)がある。RPCシステムでは、ユーザが携帯端末によって車両の駐車移動を制御する。RPCシステムにおいても、安全面から、携帯端末が車両から一定距離以上離れている場合に、制御を禁止する。RPCシステムを構築するにあたっては、利便性も考慮し、最大6m程度のエリアで携帯端末位置を推定できることが望ましいとされる。
より長い距離、広いエリアによる携帯端末位置を推定するシステムとして、ウェルカムシステム、及びリレーアタック防止システムがある。ウェルカムシステムは、車両から一定距離内にユーザが近づくと、ライトなどを点灯するサービス機能を提供する。リレーアタックとは、キーレスシステムによる車両と携帯端末の認証通信を不正に中継して、遠方にある携帯端末をあたかも車両近傍にあるように偽装して車両にアクセスすることであり、これを防止することが重要となっている。ウェルカムシステム又はリレーアタック防止システムを構築するにあたっては、携帯端末と車両との距離を数m~100m程度推定する技術が必要となる。以上のように、車室内外判定から長距離測定まで携帯端末の位置推定を必要とする様々なシステムがあるが、これに係る通信方式は同一であることが、システムの簡素化、小型化、低コスト化にとって望ましいといえる。
従来、携帯端末は、専用の端末として構成されることが一般的であった。しかしながら、ユーザによる制御内容の多様化と、ヒューマンインタフェースの高度化への要求の高まりと、カーシェアリングで利用する電子キーの普及とに伴い、専用の携帯端末ではなく、一般的なスマートフォン等の携帯情報端末を利用する動きが活発化してきている。そこで、一般的な携帯情報端末に実装できる程度に通信機が小型化できること、さらには位置推定に使用する電波は情報端末に実装されている通信方式そのものを採用することが望ましいと考えられる。
特許文献1に記載の電子キーシステムで用いているLF帯電波は、波長が長く車両のボディによる減衰量が大きいため、受信強度によって携帯端末の存在位置が車室内か、あるいは車室外かを判定するための通信方式には適している。しかしながら、距離による減衰量が大きく、通信可能領域が車室外近傍に限られるという課題がある。さらには、波長が長いことから携帯端末に実装する受信アンテナのサイズが大きく、小型化の制約となっている。スマートフォン等の携帯情報端末に実装する場合は、アンテナを新設する必要があるが、サイズ面から内挿することは困難な状況となっている。
特許文献2に記載の電子キー位置推定装置では、UHF帯電波を利用して携帯端末の位置を推定する。LF帯電波にくらべ、通信距離が長く、位置推定が可能な領域をLF帯電波に比べ広く設定することが可能となる。電波の到来角度をアレイアンテナで測定し、車室内の複数個所に設置されたアレイアンテナが測定した到来角度を基に、電波方向を示す直線の交点から携帯端末位置を推定している。しかしながら、UHF帯以上の周波数の高い(波長が短い)電波では、障害物、窓枠形状、座席シート配置、乗員の有無及び動き等の影響を強く受ける傾向があり、見通しの悪い(NLOS:No Line Of Sight)エリアでは、反射、屈折が複雑に生じ、正しく角度情報を得ることができない。車室内環境の変化が逐次起こるような状況においては、角度情報も時々刻々と変化するため、特許文献2に記載のようなアンテナレイアウト、及び角度情報を利用した位置推定処理では、車室内外判定、及び車室外位置の推定に大きなばらつきが生じると考えられる。また、スマートフォン等へ実装する場合、特許文献1に記載の電子キーシステムと同様にUHF帯電波は新設となるため、ハードウェアの追加変更が必要となる。
特許文献3に記載の携帯端末キーシステムでは、GHz帯のBluetoothを利用する。Bluetoothは周波数が高く、波長が短いことからアンテナを小型化でき、スマートフォン等の携帯情報端末には標準的に実装されている。このことからハードウェアを追加する必要がない利点がある。特許文献3では、車両に設置されたアンテナで受信される電波の受信強度を演算して得られた情報から、受信電波が直接波であるか静止物体による反射波との合成波か否かを判定し、その判定結果を利用しながら車室内外判定を行う。しかしながら、受信強度は、携帯情報端末の出力レベルにより変動するが、この出力レベルは、携帯情報端末の機種に依存し、且つ、携帯情報端末の保持の仕方に依存する。また、周囲の通信環境は、時々刻々と変化するため、受信強度で車室内外判定を行うことは容易でないと考えられる。また、この方式は、車室内外判定のみを対象としているため、車室外位置を推定することはできない。
特許文献4に記載の車両用位置推定システムでは、GHz帯のUWBを利用する。UWBは周波数が高く、波長が短いことからアンテナは小型化でき、スマートフォン等の携帯情報端末への搭載が広がりつつある。UWBのインパルス波形を使った伝搬時間による距離測定方式では、直接波による計測が可能なため、特許文献3のように受信電波の強度による方式で問題となる直接波及び反射波による合成波、すなわちマルチパスの影響を受けにくいという利点がある。しかしながら、NLOSエリアにある携帯端末は、直接波が届かず、複雑な反射を経由してアンテナに到達するため、測定した距離は実際の距離より大きい場合が多々ある。そのため、見通しの良い位置に車載通信機のアンテナを設置する必要かあり、アンテナのレイアウトが難しくなる。また、乗車人員の配置及び移動によって、通信経路が変化し、距離誤差及びばらつきが発生して、車室内外判定を誤るケースが頻発することが考えられる。
そこで、本願は、車室内で反射した反射波により携帯端末の車室内の存否の推定誤差が生じにくい車両用携帯端末位置推定システムを提供することを目的とする。
本願に係る車両用携帯端末位置推定システムは、
車両のユーザが所持する携帯端末から送信された電波を受信する、車両に取り付けられた複数のアンテナと、
複数の前記アンテナのそれぞれについて、前記アンテナが受信した電波信号を処理して、受信電波が到来した到来角度の情報を出力する無線通信部と、
複数の前記アンテナの前記到来角度の情報に基づいて、前記携帯端末が車室内に存在するか、車室外に存在するかを判定する携帯位置推定部と、を備え、
複数の前記アンテナのそれぞれは、車室内と車室外とを隔て、電波が透過可能な複数の境界面のそれぞれに、それぞれの前記境界面の法線方向に隣接して配置され
前記携帯位置推定部は、複数の前記アンテナのそれぞれについて、前記到来角度の情報と判定閾値とを比較し、受信電波が、前記アンテナが隣接配置された前記境界面を、車室内から車室外に透過したか、車室外から車室内に透過したかを判定し、
複数の前記アンテナの透過方向の判定結果に基づいて、前記携帯端末が車室内に存在するか、車室外に存在するかを判定するものである。


本願に係る車両用携帯端末位置推定システムによれば、各アンテナは、電波が透過可能な各透過境界面に隣接して配置されているので、受信電波が、車室内で反射した反射波であるか、直接波であるかにかかわらず、各アンテナの到来角度の情報に基づいて、アンテナが受信した電波が、透過境界面を車室外から車室内に透過する電波であるか、透過境界面を車室内から車室外に透過する電波であるかを、精度よく検出することができる。よって、直接波及び反射波にかかわらず、携帯端末が車室内に存在するか、車室外に存在するかを精度度よく判定することができる。
実施の形態1に係る車両用携帯端末位置推定システムの概略構成図である。 比較例に係る課題を説明する図である。 比較例に係る課題を説明する図である。 実施の形態1に係るアンテナの構成を説明する図である。 実施の形態1に係る到来角度の算出を説明する図である。 実施の形態1に係る到来角度による判定を説明する図である。 実施の形態1に係る車室内外判定を説明する図である。 実施の形態1に係る車室内外判定を説明する図である。 実施の形態1に係る車室及びアンテナ配置の例を説明する図である。 実施の形態1に係る車室及びアンテナ配置の例を説明する図である。 実施の形態1に係る車室及びアンテナ配置の例を説明する図である。 実施の形態2に係る距離の算出を説明する図である。 実施の形態2に係る到来角度及び距離による判定を説明する図である。 実施の形態2に係る携帯端末の位置推定を説明する図である。 実施の形態3に係る車両用携帯端末位置推定システムの概略構成図である。
1.実施の形態1
実施の形態1に係る車両用携帯端末位置推定システム(以下、位置推定システムと称す)について図面を参照して説明する。図1は、位置推定システムの概略構成図である。位置推定システムは、車両1のユーザが所有する携帯端末50と通信する複数のアンテナ10と、複数のアンテナ10の受信信号を処理する無線通信部20と、無線通信部20が処理した情報に基づいて、携帯端末50の位置を推定する携帯位置推定部30と、を備えている。なお、位置推定システムは、車両に搭載されている。
1-1.基本構成
<携帯端末50>
携帯端末50は、車両のユーザが所持する携帯端末である。携帯端末50は、携帯アンテナ51と携帯無線通信部52とを備えている。携帯無線通信部52は、携帯アンテナ51から電波を送信させる。また、携帯無線通信部52は、位置推定システムのアンテナ10等から送信され、携帯アンテナ51で受信した電波信号を処理する。携帯無線通信部52は、携帯アンテナ51を介して電波を送受信する送受信回路、送受信回路を制御すると共に送受信回路が送受信する信号を処理する制御回路などから構成される。
本実施の形態では、携帯アンテナ51及び携帯無線通信部52は、Bluetooth (登録商標) Low Energy、又はUltra Wide Bandの通信方式の電波を送受信する。携帯端末50は、スマートフォンを含む携帯情報端末である。携帯アンテナ51及び携帯無線通信部52は、携帯情報端末に標準装備されているアンテナ及び無線通信部が用いられる。よって、位置推定システム専用の携帯端末を用意することなく、ユーザが所持しているスマートフォン等の携帯情報端末を流用することができる。
<複数のアンテナ10>
複数のアンテナ10は、車両1のユーザが所持する携帯端末50から送信された電波を受信するアンテナであり、車両に取り付けられている。本実施の形態では、4つのアンテナ10a、10b、10c、10dが設けられている。なお、アンテナ10は、2つ以上設けられればよい。
<無線通信部20>
無線通信部20は、複数のアンテナ10のそれぞれについて、アンテナ10が受信した電波信号を処理して、受信電波が到来した到来角度の情報を出力する。処理内容の詳細については後述する。
本実施の形態では、各アンテナ10に1つずつ、合計4つの無線通信部20a、20b、20c、20dが設けられている。各無線通信部20は、アンテナ10を介して電波を送受信する送受信回路、送受信回路を制御すると共に送受信回路が送受信する信号を処理する制御回路、携帯位置推定部30等とデータ通信を行う通信装置などから構成される。制御回路は、演算処理装置等により構成される。演算処理装置として、CUP(Central Processing Unit)及び記憶装置、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの情報処理回路などが用いられる。CPU及び記憶装置が用いられる場合は、CPUが、フラッシュメモリ等の記憶装置に記憶されたプログラムを実行し、各機能が実現される。
アンテナ10及び無線通信部20は、Bluetooth (登録商標) Low Energy、又はUltra Wide Bandの通信方式の電波を送受信する。
<携帯位置推定部30>
携帯位置推定部30は、複数のアンテナ10の到来角度の情報に基づいて、携帯端末50が車室内に存在するか、車室外に存在するかを判定する。処理内容の詳細については後述する。
携帯位置推定部30は、情報処理を行う演算処理装置、及び無線通信部20等の外部の装置とデータ通信を行う通信装置などを備えている。演算処理装置として、CPU及び記憶装置、ASIC、FPGAなどの情報処理回路などを備えている。CPU及び記憶装置が用いられる場合は、CPUが、フラッシュメモリ等の記憶装置に記憶されたプログラムを実行し、各機能が実現される。
携帯位置推定部30により判定された携帯端末50の車室内の存否の判定結果、及び携帯端末50の推定位置は、車両の制御装置に伝達される。そして、車両の制御装置は、携帯位置推定部30から伝達された情報に基づいて、ユーザによるエンジン始動の許可、ドアの施錠又は解錠の許可、リモートパーキングの許可などの各種の車両の制御を行う。
1-2.反射波による推定誤差の抑制
<反射波による課題>
図2に、車室3を直方体でモデル化した図を示す。車室3の4つの側面は、ガラスなどの透過面であり、上面と下面は、鉄板などの非透過面であり、電波を反射する。ここでは、比較例として、従来方法で使用されることの多い、距離を用いた多辺測量法に基づく、車室内の存否の推定方法を説明する。比較例では、各アンテナは、単一アンテナ素子により構成されており、携帯端末50との距離を測定する。4つのアンテナ15a、15b、15c、15dが、上面の四隅に設置されている。各アンテナにより検出された、アンテナと携帯端末との距離に基づいて、携帯端末50の位置2Pが推定される。このとき、携帯端末50が、全てのアンテナに対して見通しのよいLOS(Line Of Sight)環境にある場合は、携帯端末と各アンテナとの間を直接波が届き、携帯端末の位置が精度よく推定できると考えられる。しかし、車室内の通信環境は、携帯端末の位置、乗員の位置、座席シートの配置、荷物の位置などによって変化する。状況によっては、携帯端末が、1つ又は複数のアンテナに対して直接波が届かないNLOS(No Line Of Sight)環境になり、携帯端末とアンテナとの間を反射波が届く。図2の例では、第2アンテナ15bと携帯端末との間を、下面を反射した電波が届いており、直接波の場合よりも計測距離が長くなる。
図3に、第2アンテナ15bに直接波が届く場合と、反射波が届く場合の、多辺測量法による携帯端末50の位置の推定結果を示している。図3には、第2アンテナ15bに直接波が届く場合(LOS)に測定された距離を半径とする円を点線で示し、第2アンテナ15bに反射波が届く場合(NLOS)に測定された距離を半径とする円を破線で示している。直接波が届く場合は、携帯端末の推定位置は、車室内になり、推定誤差は生じないが、反射波が届く場合は、携帯端末の推定位置2Pは、車室外になり、推定誤差が生じている。このように、距離測定により位置を推定する比較例では、反射波により車室内の存否の推定誤差が頻発する。
また、図には示していないが、特許文献2の技術のように、各アンテナへの電波の到来方向の情報を用いる場合であっても、反射波の到来方向の情報が用いられると、同様に携帯端末の位置の推定誤差が生じる。そこで、車室内で反射した反射波により携帯端末の車室内の存否の推定誤差が生じにくい位置推定システムが求められる。
<アンテナ10の透過境界面12への隣接配置>
そこで、図1に示すように、複数のアンテナ10のそれぞれは、車室内と車室外とを隔て、電波が透過可能な複数の境界面12(以下、透過境界面12と称す)のそれぞれに隣接して配置されている。そして、上述したように、無線通信部20は、複数のアンテナ10のそれぞれについて、アンテナ10が受信した電波信号を処理して、受信電波が到来した到来角度の情報を出力する。携帯位置推定部30は、複数のアンテナ10の到来角度の情報に基づいて、携帯端末50が車室内に存在するか、車室外に存在するかを判定する。
本実施の形態では、透過境界面12は、車室内と車室外とを隔てる窓ガラスである。アンテナ10は、窓ガラス12の車室内側に配置されている。第1アンテナ10aは、車室3の前面に設けられたフロントガラス12aの車室内側に、フロントガラス12aに隣接して配置されている。第2アンテナ10bは、車室3の右面に設けられた右側ガラス12bの車室内側に、右側ガラス12bに隣接して配置されている。第3アンテナ10cは、車室3の左面に設けられた左側ガラス12cの車室内側に、左側ガラス12cに隣接して配置されている。第4アンテナ10dは、車室3の後面に設けられたリアガラス12dの車室内側に、リアガラス12dに隣接して配置されている。なお、車室3の上面、車室3の下面など窓ガラスが設けられてない他の境界面は、鉄板で覆われており、電波が透過しない面となっている。
各アンテナ10と各透過境界面12とは、隣り合って配置されていればよく、各アンテナ10と各透過境界面12との間に、隙間が生じていても、隙間が生じていなくてもよい。隙間は、通常の使用において、携帯端末50が、アンテナ10と透過境界面12との間に挿入されない程度に設定されればよく、例えば、1cm以下に設定されるとよい。なお、各アンテナ10は、透過境界面12の車室外側に、透過境界面12に隣接して配置されてもよい。
このように、各アンテナ10は、各透過境界面12に隣接して配置されているので、受信電波が、車室内で反射した反射波であるか、直接波であるかにかかわらず、各アンテナ10の到来角度の情報に基づいて、アンテナ10が受信した電波が、透過境界面12を車室外から車室内に透過する電波か、透過境界面12を車室内から車室外に透過する電波かを精度よく検出することができる。よって、直接波及び反射波にかかわらず、携帯端末50が車室内に存在するか、車室外に存在するかを精度度よく判定することができる。
<アンテナ10の詳細構成>
各アンテナ10は、直線軸11c上に間隔を空けて配置された複数のアンテナ素子を有している。本実施の形態では、図4に示すように、各アンテナ10は、直線軸11c上に間隔Dを空けて配置された2つのアンテナ素子11a、11bを有している。直線軸11cが、アンテナ10が隣接配置された透過境界面12の法線方向13に沿って延びるように、車両に取り付けられている。理想的には、直線軸11cは、法線方向13に平行であるとよい。しかし、透過境界面12に接近して携帯端末50が位置することは稀であるため、例えば、直線軸11cは、法線方向13に対して0度から10度の範囲内で傾いてもよい。2つのアンテナ素子11a、11bの間隔Dは、受信対象電波の波長λ/2以下に設定されている。
このように各アンテナ10を構成及び配置すれば、直線軸11cに対する受信電波の到来角度θを算出することで、受信電波が、透過境界面12を介して、車室外から車室内に到来した電波か、車室内から車室外に到来した電波かを精度よく判定することができる。
<到来角度θの算出方法>
無線通信部20は、1つのアンテナ10に設けられた複数のアンテナ素子が受信した電波信号の間の位相差又は時間差に基づいて、直線軸11cに対する受信電波の到来角度θを算出する。図5に示すように、電波が、直線軸11cに対して角度θを有して到来する場合、電波の送信源である携帯端末50から、各アンテナ素子11a、11bに電波が伝搬する距離の間に距離差Pが生じる。この距離差Pは、第1アンテナ素子11aと第2アンテナ素子11bにおいて同時刻で受信する電波の位相差Δφとして観測される。無線通信部20は、受信電波の波形からこの位相差Δφを計測する。位相差Δφと到来角度θとの間には、式(1)の関係が成り立つ。
P=D・cosθ=Δφ・λ/(2π) ・・・(1)
従って、無線通信部20は、式(2)を用いて、到来角度θを算出する。なお、式(2)からわかるように、位相差Δφから到来角度θへのマッピングが、0からπ(180度)に、1対1になるように、D<λ/2に設定されている。
θ=cos-1{Δφ・λ/(2πD)} ・・・(2)
或いは、無線通信部20は、第1アンテナ素子11aにより受信した電波と、第2アンテナ素子11bにより受信した電波との時間差ΔTを計測する。第1アンテナ素子11aの受信電波の位相と第2アンテナ素子11bの受信電波の位相とが同じになる時間差ΔTが計測される。時間差ΔTと到来角度θとの間には、式(3)の関係が成り立つ。ここで、Cは、光速度である。
P=D・cosθ=ΔT・C ・・・(3)
従って、無線通信部20は、式(4)を用いて、到来角度θを算出してもよい。
θ=cos-1(ΔT・C/D) ・・・(4)
<到来角度θに基づく、車室内又は車室外の判定>
携帯位置推定部30は、複数のアンテナ10のそれぞれについて、到来角度の情報と判定閾値とを比較し、受信電波が、アンテナ10が隣接配置された透過境界面12を、車室内から車室外に透過したか、車室外から車室内に透過したかを判定する。
本実施の形態では、図6に示すように、到来角度θは、直線軸11cに対する角度であり、受信電波が到来した方向は、アンテナ10の位置を頂点14aとし、直線軸11cを回転軸14bとし、回転軸14bとの角度が到来角度θである母線14cから形成される円錐の側面14dの範囲になる。そして、直線軸11cは、透過境界面12の法線方向13に沿って車室内側に延びるよう配置されている。よって、到来角度θが、0度から90度の範囲にある場合は、透過境界面12に対して円錐が車室内側に存在し、到来角度θが、90度から180度の範囲にある場合は、円錐が車室外側に存在する。
携帯位置推定部30は、複数のアンテナ10のそれぞれについて、到来角度θが0度から90度の範囲にあるか、90度から180度の範囲にあるかに基づいて、受信電波が、アンテナ10が隣接配置された透過境界面12を、車室内から車室外に透過したか、車室外から車室内に透過したかを判定する。なお、直線軸11cを車室外に向かうと定義すれば、車室外に対応する角度範囲と、車室内に対応する角度範囲とが逆になる。
この構成によれば、2つのアンテナ素子を設けただけの簡素なアンテナ10を、透過境界面12に隣接して配置し、直線軸11cを、透過境界面12の法線方向13に沿って延びるように配置し、算出した到来角度θが、0度から90度の範囲、又は90度から180度の範囲にあるかを判定することにより、受信電波の透過方向を精度よく判定することができる。
そして、携帯位置推定部30は、複数のアンテナの透過方向の判定結果に基づいて、携帯端末50が車室内に存在するか、車室外に存在するかを判定する。
本実施の形態では、携帯位置推定部30は、複数のアンテナの全てについて、車室内から車室外に透過したと判定した場合は、携帯端末50が車室内に存在すると判定し、1つ以上のアンテナについて、車室外から車室内に透過したと判定した場合は、携帯端末50が車室外に存在すると判定する。
図7に示すように、携帯端末50が車室内にある場合は、各アンテナの受信電波は、直接波であるか反射波であるかにかかわらず、各アンテナ10が設けられた透過境界面12を車室内から車室外に透過する。よって、全てのアンテナについて、車室内から車室外に透過したと判定される場合は、携帯端末50が車室内に存在すると精度よく判定することができる。実際には、NLOSにより通信できない(電波が届かない)アンテナが存在するため、電波を受信した全てのアンテナについて、判定される。
一方、図8に示すように、携帯端末50が車室外にある場合は、携帯端末50の送信電波は、携帯端末50に近い特定の透過境界面12を車室外から車室内に透過した後、直接波又は車室内で反射した反射波が、他の透過境界面12を車室内から車室外に透過する。従って、携帯端末50が車室外にある場合は、1つ以上のアンテナの受信電波は、透過境界面12を車室外から車室内に透過する。一方、携帯端末50が車室外にある場合であっても、残りのアンテナの受信電波は、透過境界面12を車室内から車室外に透過する。よって、1つ以上のアンテナについて、車室外から車室内に透過したと判定した場合は、携帯端末50が車室外に存在すると精度よく判定することができる。
なお、無線通信部20は、各アンテナについて、直接波及び反射波の複数の受信電波を受信できる場合は、複数の受信電波の内、最も受信強度が強い受信電波の到来角度を算出する。1つのアンテナが、直接波及び反射波の複数の電波を同時受信する場合、UWBの場合は、パルス状信号のため、受信信号から最初に到達した信号を分離することで、直接波のみが処理される。Bluetooth Low Energyの場合は、直接波と反射波の伝搬距離の差が短いと、複数電波が合成されて誤差となる。そのため、マルチパス環境においては、UWBのほうが有利である。
<アンテナ配置のバリエーション>
図9から図11に、車室3及びアンテナ配置のバリエーションを示す。いずれも、車室3を、平面で構成された立体でモデル化しており、ハッチングしている平面は、電波を遮断する非透過境界面であり、ハッチングしていない平面は、透過境界面である。図9は、1つの平面の一部が遮蔽されている場合であり、図10と図11は、一部の平面が傾斜している例である。図10は、1つの側面が、非透過境界面であり、アンテナが設けられておらず、合計3つのアンテナが設けられている。図10は、フロントガラスのように平面が傾斜している場合である。これらの図に示すように、各透過境界面に、1つのアンテナ10が隣接して配置されている。そして、各アンテナ10の直線軸11cは、アンテナ10が隣接配置された透過境界面12の法線方向13に沿って延びるように、車両に取り付けられている。
2.実施の形態2
次に、実施の形態2に係る位置推定システムについて説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る位置推定システムの基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、到来角度の情報に加えて、携帯端末とアンテナとの距離Rの情報も用いて、携帯端末50の位置を推定する点が実施の形態1と異なる。
<距離Rの算出>
無線通信部20は、複数のアンテナ10のそれぞれについて、アンテナ10が受信した電波信号を処理して、携帯端末50とアンテナ10との距離Rの情報を出力する。
携帯端末50とアンテナ10との間の距離Rを、通信による伝搬時間TOF(Time Of Flight)に基づいて計算する方法の一例を説明する。無線通信部20は、複数のアンテナ10のそれぞれについて、アンテナ10と携帯端末のアンテナ51との間で送受信した電波信号を処理して、携帯端末50とアンテナ10との距離Rの情報を出力する。図12のシーケンス図に示すように、無線通信部20は、アンテナ10から電波を送信する。この送信電波に、返信電波を送信させる指令が含まれてもよい。携帯端末50の携帯無線通信部52は、携帯アンテナ51により、アンテナ10から送信された電波を受信し、受信処理した後、携帯アンテナ51から返信電波を送信する。このとき、携帯無線通信部52は、返信電波に、携帯無線通信部52の受信処理に要した時間TB(携帯処理時間TBと称す)の情報を追加する。無線通信部20は、アンテナ10により、携帯アンテナ51から送信された電波を受信し、受信処理する。無線通信部20は、アンテナ10から電波を送信してから、返信電波を受信するまでの時間TA(遅延時間TAと称す)を計測する。また、無線通信部20は、返信電波に含まれている携帯処理時間TBの情報を取得する。そして、無線通信部20は、式(5)及び式(6)に示すように、遅延時間TAから携帯処理時間TBを減算した時間を2で除算して、伝搬時間TOFを算出し、伝搬時間TOFに光速Cを乗算して、距離Rを算出する。なお、アンテナ10と無線通信部20との間の遅延時間、携帯アンテナ51と携帯無線通信部52との間の遅延時間は、予め計測されており、遅延時間TA及び携帯処理時間TBに反映される。
TOF=(TA-TB)/2 ・・・(5)
R=TOF×C ・・・(6)
各アンテナ10の2つのアンテナ素子のいずれかにより計測した距離、もしくは2つのアンテナ素子により計測した距離の平均値が用いられる。
<携帯端末50の位置推定>
携帯位置推定部30は、複数のアンテナの到来角度の情報及び距離の情報に基づいて、携帯端末50の位置を推定する。この構成によれば、携帯端末50が車室内又は車室外に存在するかだけでなく、携帯端末50の詳細な位置も判定することができる。
図13に示すように、携帯端末50は、アンテナ10の位置を頂点14aとし、直線軸11cを回転軸14bとし、回転軸14bとの角度が到来角度θであり、長さが距離Rである母線14cから形成される円錐の底面14eの外周円14f上のいずれかに位置する。
そこで、携帯位置推定部30は、車室3の立体形状と各アンテナ10の位置及び直線軸11cの方向とが予め設定された3次元空間において、複数のアンテナ10のそれぞれについて、アンテナ10の位置を頂点とし、直線軸11cを回転軸14bとし、回転軸14bとの角度が到来角度θであり、長さが距離Rである母線14cから形成される円錐の底面14eの外周円14fを算出する。そして、携帯位置推定部30は、複数のアンテナ10の外周円14fに近い位置を、携帯端末50の位置として算出する。
この構成によれば、各アンテナ10の到来角度θ及び距離Rに基づいて、円錐の底面の外周円14fを算出し、各アンテナ10の外周円14fに基づいて、携帯端末50の位置を推定することができる。各アンテナ10の距離Rの情報だけでなく、到来角度θの情報も用いているので、推定精度を向上することができる。
図14に、推定例を示す。図14の左上の図は、車両を上側から見た模式的な上面図であり、車両の前側は紙面の上側になっている。図14の右上の図は、車両を右側から見た側面図であり、図14の左下の図は、車両を後ろ側から見た側面図である。携帯端末50は、車両の右側の斜め後方に位置している。図14には、右側の第2アンテナ10bの検出情報により算出された円錐の外周円14fb、及び後側の第4アンテナ10dの検出情報により算出された円錐の外周円14fdを示している。そして、携帯位置推定部30は、2つの外周円14fb、14fdと近くなる位置2Pを、携帯端末50の位置として推定している。なお、左側の第3アンテナ10cの検出情報により算出された円錐の外周円、及び前側の第1アンテナ10aの検出情報により算出された円錐の外周円も位置推定に用いられてもよい。
なお、この図14の例のように、携帯位置推定部30は、携帯端末50が車室外に存在すると判定している場合は、受信電波が透過境界面を車室外から車室内に透過したと判定された単数又は複数のアンテナのみの到来角度θ及び距離Rに基づいて、携帯端末50の位置を推定してもよい。このように構成すると、車室内で反射した反射波が用いられることを防止し、推定精度を向上させることができる。
3.実施の形態3
次に、実施の形態3に係る位置推定システムについて説明する。上記の実施の形態2と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る位置推定システムの基本的な構成は実施の形態2と同様であるが、位置推定システムは、到来角度θを算出可能でなく、距離を算出可能である単数又は複数の距離用アンテナ16を更に備えている点が実施の形態2と異なる。
図15に、本実施の形態に係るアンテナ配置の例を示す。この例では、2つの距離用アンテナ16a、16bが設けられている。2つの距離用アンテナ16a、16bは、車室外に設けられており、透過境界面に隣接して配置されていない、第1距離用アンテナ16aは、車両の前端部に配置されており、第2距離用アンテナ16bは、車両の後端部に配置されている。なお、距離用アンテナ16は、車室内に配置されてもよい。また、車室3の後面12dが、遮蔽面であり、アンテナ10が設けられていない。車室3の前面12a、右面12b、及び左面12cは、透過面であり、それぞれに、到来角度及び距離を算出可能なアンテナ10が隣接配置されている。
なお、距離用アンテナ16は、1つのアンテナ素子しか備えておらず、距離を算出可能であるが、到来角度θを算出可能でない。無線通信部20は、各距離用アンテナ16について、距離用アンテナ16が受信した電波信号を処理して、携帯端末50と距離用アンテナ16との距離を出力する。距離は、実施の形態2と同様に、伝搬時間TOFに基づいて算出されるので、説明を省略する。本実施の形態では、各距離用アンテナ16に1つずつ、無線通信部20d、20eが設けられている。
実施の形態1と同様に、携帯位置推定部30は、到来角度を算出可能な複数のアンテナ10の到来角度の情報に基づいて、携帯端末50が車室内に存在するか、車室外に存在するかを判定する。
また、実施の形態2と同様に、携帯位置推定部30は、3次元空間において、到来角度及び距離を算出可能な複数のアンテナ10のそれぞれについて、アンテナ10の位置を頂点とし、直線軸を回転軸とし、回転軸との角度が到来角度であり、長さが距離である母線から形成される円錐の底面の外周円を算出する。
携帯位置推定部30は、車室3の立体形状と各距離用アンテナ16の位置とが予め設定された3次元空間において、単数又は複数の距離用アンテナ16のそれぞれについて、距離用アンテナ16の位置を中心とし、距離を半径とした球面を算出する。
そして、携帯位置推定部30は、複数の外周円、及び単数又は複数の球面に近い位置を、携帯端末50の位置として算出する。この構成によれば、簡素な距離用アンテナ16を追加することで、容易に、携帯端末50の位置推定精度を向上させることができる。また、アンテナ10において、到来角度の情報に関し、誤差が大きいと判断した場合は、距離の情報のみを利用する。この場合、アンテナ10の位置を中心とし、距離Rを半径とした球面を位置推定に用いる。これにより位置推定の誤差の混入を抑制することができる。
<転用例>
上記の各実施の形態では、通信方式として、Bluetooth (登録商標) Low Energy、又はUltra Wide Bandの通信方式が用いられる場合を例として説明した。しかし、通信方式として、到来角度を算出可能な他の通信方式が用いられてもよい。
上記の各実施の形態では、携帯端末50は、スマートフォンを含む携帯情報端末である場合を例として説明した。しかし、携帯端末50は、車両のユーザが所持し、通信可能なであれば、任意の携帯端末であってもよい。
上記の各実施の形態では、アンテナ10は、2つのアンテナ素子を備えている場合を例として説明した。しかし、アンテナ10は、受信電波の到来角度を検出可能であれば、任意の構成のアンテナであってもよい。
上記の各実施の形態では、複数の無線通信部20と、携帯位置推定部30とが、別体である場合を例として説明した。しかし、複数の無線通信部20と携帯位置推定部30とが一体的な装置である、或いは、複数の無線通信部20が一体的な装置であり、携帯位置推定部30とは別体であるなど、任意の組み合わせで構成されてもよい。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
θ 到来角度、1 車両、3 車室、10 アンテナ、11c 直線軸、12 透過境界面(境界面)、13 法線方向、14a 頂点、14b 回転軸、14c 母線、14e 底面、14f 外周円、16 距離用アンテナ、20 無線通信部、30 携帯位置推定部、50 携帯端末、R 距離

Claims (11)

  1. 車両のユーザが所持する携帯端末から送信された電波を受信する、車両に取り付けられた複数のアンテナと、
    複数の前記アンテナのそれぞれについて、前記アンテナが受信した電波信号を処理して、受信電波が到来した到来角度の情報を出力する無線通信部と、
    複数の前記アンテナの前記到来角度の情報に基づいて、前記携帯端末が車室内に存在するか、車室外に存在するかを判定する携帯位置推定部と、を備え、
    複数の前記アンテナのそれぞれは、車室内と車室外とを隔て、電波が透過可能な複数の境界面のそれぞれに、それぞれの前記境界面の法線方向に隣接して配置され
    前記携帯位置推定部は、複数の前記アンテナのそれぞれについて、前記到来角度の情報と判定閾値とを比較し、受信電波が、前記アンテナが隣接配置された前記境界面を、車室内から車室外に透過したか、車室外から車室内に透過したかを判定し、
    複数の前記アンテナの透過方向の判定結果に基づいて、前記携帯端末が車室内に存在するか、車室外に存在するかを判定する車両用携帯端末位置推定システム。
  2. 前記携帯位置推定部は、複数の前記アンテナの全てについて、車室内から車室外に透過したと判定した場合は、前記携帯端末が車室内に存在すると判定し、1つ以上の前記アンテナについて、車室外から車室内に透過したと判定した場合は、前記携帯端末が車室外に存在すると判定する請求項に記載の車両用携帯端末位置推定システム。
  3. 車両のユーザが所持する携帯端末から送信された電波を受信する、車両に取り付けられた複数のアンテナと、
    複数の前記アンテナのそれぞれについて、前記アンテナが受信した電波信号を処理して、受信電波が到来した到来角度の情報を出力する無線通信部と、
    複数の前記アンテナの前記到来角度の情報に基づいて、前記携帯端末が車室内に存在するか、車室外に存在するかを判定する携帯位置推定部と、を備え、
    複数の前記アンテナのそれぞれは、車室内と車室外とを隔て、電波が透過可能な複数の境界面のそれぞれに、それぞれの前記境界面の法線方向に隣接して配置され、
    複数の前記アンテナのそれぞれは、直線軸上に間隔を空けて配置された複数のアンテナ素子を有し、前記直線軸が、前記アンテナが隣接配置された前記境界面の法線方向に沿って延びるように、車両に取り付けられている車両用携帯端末位置推定システム。
  4. 前記アンテナの前記複数のアンテナ素子は、2個のアンテナ素子である請求項に記載の車両用携帯端末位置推定システム。
  5. 前記無線通信部は、複数の前記アンテナのそれぞれについて、前記複数のアンテナ素子が受信した電波信号の間の位相差又は時間差に基づいて、車室内に向かう前記直線軸に対する受信電波の到来角度を算出し、
    前記携帯位置推定部は、複数の前記アンテナのそれぞれについて、前記到来角度が0度から90度の範囲にあるか、90度から180度の範囲にあるかに基づいて、受信電波が、前記アンテナが隣接配置された前記境界面を、車室内から車室外に透過したか、車室外から車室内に透過したかを判定し、
    複数の前記アンテナの透過方向の判定結果に基づいて、前記携帯端末が車室内に存在するか、車室外に存在するかを判定する請求項又はに記載の車両用携帯端末位置推定システム。
  6. 前記無線通信部は、複数の前記アンテナのそれぞれについて、前記アンテナが受信した電波信号を処理して、前記携帯端末と前記アンテナとの距離の情報を出力し、
    前記携帯位置推定部は、複数の前記アンテナの前記到来角度の情報及び前記距離の情報に基づいて、前記携帯端末の位置を推定する請求項1からのいずれか一項に記載の車両用携帯端末位置推定システム。
  7. 車両のユーザが所持する携帯端末から送信された電波を受信する、車両に取り付けられた複数のアンテナと、
    複数の前記アンテナのそれぞれについて、前記アンテナが受信した電波信号を処理して、受信電波が到来した到来角度の情報を出力する無線通信部と、
    複数の前記アンテナの前記到来角度の情報に基づいて、前記携帯端末が車室内に存在するか、車室外に存在するかを判定する携帯位置推定部と、を備え、
    複数の前記アンテナのそれぞれは、車室内と車室外とを隔て、電波が透過可能な複数の境界面のそれぞれに、それぞれの前記境界面の法線方向に隣接して配置され、
    複数の前記アンテナのそれぞれは、直線軸上に間隔を空けて配置された複数のアンテナ素子を有し、前記直線軸が、前記アンテナが隣接配置された前記境界面の法線方向に沿って延びるように、車両に取り付けられ、
    前記無線通信部は、複数の前記アンテナのそれぞれについて、前記複数のアンテナ素子が受信した電波信号の間の位相差又は時間差に基づいて、前記直線軸に対する受信電波の到来角度を算出し、
    複数の前記アンテナのそれぞれについて、前記アンテナが受信した電波信号を処理して、前記携帯端末と前記アンテナとの距離を出力し、
    前記携帯位置推定部は、複数の前記アンテナのそれぞれについて、前記アンテナの位置を頂点とし、前記直線軸を回転軸とし、前記回転軸との角度が前記到来角度であり、長さが前記距離である母線から形成される円錐の底面の外周円を算出し、
    複数の前記アンテナの前記外周円に近い位置を、前記携帯端末の位置として算出する車両用携帯端末位置推定システム。
  8. 前記到来角度を算出可能でなく、前記距離を算出可能である単数又は複数の距離用アンテナを更に備え、
    前記携帯位置推定部は、前記到来角度及び前記距離を算出可能な複数の前記アンテナのそれぞれについて、前記円錐の底面の前記外周円を算出し、単数又は複数の前記距離用アンテナのそれぞれについて、前記距離用アンテナの位置を中心とし、前記距離を半径とした球面を算出し、
    複数の前記外周円、及び単数又は複数の前記球面に近い位置を、前記携帯端末の位置として算出する請求項に記載の車両用携帯端末位置推定システム。
  9. 前記境界面は、車室内と車室外とを隔てる窓ガラスであり、前記アンテナは、前記窓ガラスの車室内側に配置されている請求項1からのいずれか一項に記載の車両用携帯端末位置推定システム。
  10. 前記携帯端末と複数の前記アンテナとの通信方式は、Bluetooth (登録商標) Low Energy、又はUltra Wide Bandの通信方式である請求項1からのいずれか一項に記載の車両用携帯端末位置推定システム。
  11. 前記携帯端末は、スマートフォンを含む携帯情報端末である請求項1から1のいずれか一項に記載の車両用携帯端末位置推定システム。
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