本発明は、本発明の好ましい実施形態についての以下の詳細な説明、および本文書に含まれる実施例を参照することで、より容易く理解することができる。本文書で使用する術語は、詳細な実施形態について述べる目的のものに過ぎず、限定する意図はないと理解される。さらに、本文書において別段詳細に定義しない限り、本文書で使用する術語には、関連業界で知られているとおりのその伝統的な意味が当てられると理解される。
本文書で使用するとき、単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」、および「the(その)」は、別段指摘しない限り、複数の言及を包含する。たとえば、「a(1つの)」置換基は、1つまたは複数の置換基を含む。
本文書に記載する本発明は、本文書において詳細に開示しない要素なしで実施することができるのが適切である。したがって、たとえば、本文書における各場合において、用語「comprising(含む)」、「consisting essentially of(本質的に~からなる)」、および「consisting of(からなる)」はいずれも、他の2つの用語のいずれかで置き換えることができる。
「アルキル」とは、指定された数の炭素原子を有する直鎖および分鎖基を含めた、一価の脂肪族飽和炭化水素ラジカルを指す。アルキル置換基は、通常は、1~12個の炭素原子(「C1~C12アルキル」)、頻出する例では、1~8個の炭素原子(「C1~C8アルキル」)、またはより頻出する例では、1~6個の炭素原子(「C1~C6アルキル」)、1~5個の炭素原子(「C1~C5アルキル」)、1~4個の炭素原子(「C1~C4アルキル」)、もしくは1~2個の炭素原子(「C1~C2アルキル」)を含んでいる。アルキル基の例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどが含まれる。好ましいC1~C4アルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチルが挙げられる。好ましいC1~C6アルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、およびn-ヘキシルが挙げられる。
本文書において、置換されていてもよいと記載されたアルキル基は、本文書において請求項によってさらに規定される1つまたは複数の置換基で置換される場合がある。このような任意選択による置換基は、別段指摘しない限り、独立に選択される。置換基の合計数は、そのような置換が化学的道理にかなう程度に、アルキル部分上の水素原子の合計数に等しくなりうる。置換されていてもよいアルキル基は、1~6つの任意選択による置換基、時として、1~5つの任意選択による置換基、1~4つの任意選択による置換基、または好ましくは、1~3つの任意選択による置換基を通常は含んでいる。
本発明の一部の実施形態では、アルキルおよびフルオロアルキル基は、1つまたは複数の任意選択の置換基、好ましくは、1~4つ、1~3つ、または1~2つの任意選択の置換基で置換されていてもよい。
本文書で使用する「アルキレン」とは、他の2つの基を連結することのできる、指定された数の炭素原子を有する二価のヒドロカルビル基を指す。このような基は、たとえば、C1~C6アルキレン、C1~C4アルキレン、C1~C2アルキレンなどと呼ばれる場合がある。指定される場合では、アルキレンは、他の基で置換されていることもあり、1または複数の不飽和度(すなわち、アルケニレンまたはアルキニレン部分)または環を含む場合もある。アルキレンの空いた原子価は、鎖の両端にある必要はない。分岐アルキレン基には、-CH(Me)-を含めることができ、-CH2CH(Me)-および-C(Me)2-も、用語アルキレンの範囲内に含まれる。アルキレン基について置換されていてもよいと記載されている場合において、置換基には、本文書に記載するとおりのものが含まれる。たとえば、C1~C2アルキレンは、メチレンまたはエチレンである場合がある。
「シクロアルキル」とは、指定された数の炭素原子を含んでいる非芳香族飽和炭素環系を指し、シクロアルキル環の炭素原子を介して基礎分子に接続している、単環式、スピロ環式、架橋もしくは縮合二環式、または多環式環系になる場合がある。通常、本発明のシクロアルキル基は、3~8個の炭素原子(「C3~C8シクロアルキル」)、好ましくは、3~7個の炭素原子(「C3~C7シクロアルキル」)、または3~6個の炭素原子(「C3~C6シクロアルキル」)を含んでいる。シクロアルキル環の典型的な例には、たとえば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンなどが含まれる。シクロアルキル基は、置換されていてもよい、非置換である、または本文書に記載の基で置換されている場合がある。
用語「ヘテロシクリル」または「ヘテロ環式」は、N、O、およびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を環員として含んでおり、S環原子は、1個または2個のオキソ基で置換されていてもよく(すなわち、S(O)q(qは、0、1、または2である))、ヘテロ環式環は、CまたはNでよい環原子を介して基礎分子に接続している、指定された数の環原子を含んでいる非芳香族飽和環系を指すのに、区別なく使用される場合がある。詳細に示されている場合において、このようなヘテロ環式環は、部分的不飽和になることもある。ヘテロ環式環には、他の1つまたは複数のヘテロ環式または炭素環式環に対してスピロ環式である、架橋されている、または縮合している環が含まれ、そのようなスピロ環式、架橋、または縮合環それ自体は、不飽和または芳香族性が化学的道理にかなう程度に、飽和、部分的不飽和、または芳香族になる場合があるが、但し、基礎分子への結合点は、環系のヘテロ環式部分の原子である。好ましくは、ヘテロ環式環は、N、O、およびS(O)qから選択される1~4個のヘテロ原子、より好ましくは、1~2個の環ヘテロ原子を環員として含んでおり、但し、そのようなヘテロ環式環は、連続する2個の酸素原子を含んでいない。
ヘテロシクリル基は、非置換である、または本文書に記載するとおりの適切な置換基で置換されている。そのような置換基は、基礎分子に結合しているヘテロ環式環上に、またはそれに結合しているスピロ環式、架橋、もしくは縮合環上に存在する場合がある。加えて、N環原子は、アミンに適する基、たとえば、アルキル、アシル、カルバモイル、スルホニルなどで置換されていてもよい。
一部の実施形態では、ヘテロ環基は、炭素および非炭素ヘテロ原子両方を含めて、3~8個の環員、頻出する例では、4~7または4~6個の環員を含んでいる。ある特定の実施形態では、4~7員ヘテロ環を含む置換基は、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、およびチオモルホリニル環から選択され、これらはそれぞれ、化学的道理にかなう程度に、本文書に記載するとおりに置換されていてもよい。
オキソ基がSに結合してスルホニル基を形成する場合、またはトリアゾール、テトラゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアジンなどのある特定のヘテロ芳香族環の場合を除き、N、O、またはS原子は、通例、2個以下しか連続してつながらないと理解される。
「アリール」または「芳香族」とは、よく知られた芳香族性の特徴を有する、置換されていてもよい単環式または縮合二環式もしくは多環式環系を指し、少なくとも1つの環が、完全に共役したパイ電子系を含んでいる。通常、アリール基は、6~20個の炭素原子(「C6~C20アリール」)、好ましくは、6~14個の炭素原子(「C6~C14アリール」)、またはより好ましくは、6~12個の炭素原子(「C6~C12アリール」)を環員として含んでいる。縮合アリール基には、アリール環(たとえば、フェニル環)が、別のアリールもしくはヘテロアリール環に縮合した、または飽和もしくは部分的不飽和の炭素環式もしくはヘテロ環式環に縮合したものが含まれる場合があるが、但し、このような縮合環系における基礎分子への結合点は、環系の芳香族部分の原子である。限定はしない、アリール基の例には、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、インダニル、インデニル、およびテトラヒドロナフチルが含まれる。アリール基は、非置換である、または本文書においてさらに記載するとおりに置換されている。
同様に、「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」とは、上で「アリール」において定めたとおりの指定された数の環原子を含んでおり、N、O、およびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を芳香族環中に環員として含んでいる、よく知られた芳香族性の特徴を有する単環式または縮合二環式もしくは多環式環系を指す。ヘテロ原子が含まれると、6員環に加えて5員環でも芳香族性が可能になる。通常、ヘテロアリール基は、5~12個の環原子(「5~12員ヘテロアリール」)、より好ましくは、5~10個の環原子(「5~10員ヘテロアリール」)を含んでいる。ヘテロアリール環は、芳香族性が維持されるような、ヘテロ芳香族環の環原子を介して、基礎分子に結合している。したがって、6員ヘテロアリール環は、C環原子を介して基礎分子に結合することができ、5員ヘテロアリール環は、CまたはN環原子を介して基礎分子に結合することができる。ヘテロアリール基は、別のアリールもしくはヘテロアリール環に縮合している、または飽和もしくは部分的不飽和の炭素環式もしくはヘテロ環式環に縮合している場合もあるが、但し、このような縮合環系における基礎分子への結合点は、環系のヘテロ芳香族部分の原子である。非置換ヘテロアリール基の例には、限定はしないが、ピラゾール、トリアゾール、イソオキサゾール、オキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、ピリジン、ピラジン、インダゾール、およびベンゾイミダゾールが含まれる。追加のヘテロアリール基としては、ピロール、フラン、チオフェン、オキサジアゾール、テトラゾール、ピリダジン、ピリミジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、キノリン、イソキノリン、プリン、トリアジン、ナフトリイジン、およびカルバゾールが挙げられる。頻出する実施形態では、5または6員ヘテロアリール基は、ピラゾール、トリアゾール、イソオキサゾール、オキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、ピリジン、またはピラジン環である。ヘテロアリール基は、非置換である、または本文書においてさらに記載するとおりに置換されている。
本文書において置換されていてもよいと記載されたアリールおよびヘテロアリール部分は、別段指摘しない限り独立に選択される1つまたは複数の置換基で置換されている場合がある。置換基の合計数は、そのような置換が化学的道理にかない、アリールおよびヘテロアリール環の場合では芳香族性が維持される程度に、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル部分上の水素原子の合計数に等しくなりうる。置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール基は、本明細書に記載するとおりの、1~5つの任意選択の置換基、時として、1~4つの任意選択の置換基、好ましくは、1~3つの任意選択の置換基、またはより好ましくは、1~2つの任意選択の置換基を通常は含んでいる。
「ハロゲン」または「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨード(F、Cl、Br、I)を指す。好ましくは、ハロは、フルオロまたはクロロ(FまたはCl)を指す。
「optional(任意選択の)」または「optionally」とは、続いて記載される事象または状況が生じてもよいが、生じる必要はないことを意味し、この記載は、事象または状況が生じる事例およびそれが生じない事例を包含する。
用語「optionally substituted(置換されていてもよい)」および「substituted or unsubstituted(置換または非置換)」は、記載される特定の基が非水素置換基をもたない(すなわち、非置換である)場合もあれば、1つまたは複数の非水素置換基有する(すなわち、置換されている)場合もあることを示すのに、区別なく使用される。別段指定しない場合、存在しうる置換基の合計数は、記載される基の非置換形態上に存在するH原子の数に等しい。オキソ(=O)置換基などの、任意選択の置換基が二重結合を介して結合している場合では、その基によって、利用可能な2つの原子価が占有されるため、含まれる他の置換基の合計数が2つ減る。任意選択の置換基が選択肢のリストから独立に選択される場合において、選択される基は、同じまたは異なる。本開示全体にわたり、任意選択の置換基の数および種類は、そのような置換が化学的道理にかなう程度に限られると理解される。
頻出する例では、「1つまたは複数の」置換基で置換されていてもよいと本文書に記載された基は、そのような置換基1~4つで置換されていてもよい、好ましくは、1~3つで置換されていてもよい、より好ましくは、1~2つで置換されていてもよい。基が、任意選択の置換基のリストのうちの「1つまたは複数で置換されていてもよい」という本文書の記述は、そうした任意選択の置換基のうちの「1~4つで置換されていてもよい」、「1~3つで置換されていてもよい」、「1~2つで置換されていてもよい」、「1つ、2つ、3つ、または4つで置換されていてもよい」、「1つ、2つ、または3つで置換されていてもよい」、または「1つまたは2つで置換されていてもよい」に換言することができる。
式(I)の化合物は、シクロペンチル環の1位と3位にある置換基がsynの関係にあることを特徴とする。式(I)の化合物は、1位と3位におけるsyn相対配置を有する単一鏡像異性体(すなわち(1R,3S)もしくは(1S,3R))として、またはsyn鏡像異性体型の混合物、たとえば、(1R,3S)と(1S,3R)のラセミ混合物として存在する場合がある。
式(II)および(III)の化合物は、シクロペンチル環の1位と3位にある置換基間のsynの関係を維持するが、示された鏡像異性体として、鏡像異性体に関して実質的に純粋な形で存在する。
別の態様では、本発明は、実施例1~649(両端の番号を含む)において例示する化合物またはそれらの薬学的に許容できる塩からなる群から選択される化合物を提供する。
別の態様では、本発明は、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバメートまたは薬学的に許容できるその塩を提供する。
別の態様では、本発明は、遊離塩基の形態の(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバメートを提供する。
別の態様では、本発明は、薬学的に許容できる塩の形態の(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバメートを提供する。
一部の実施形態では、本発明は、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバメート一水和物(形態1)を提供する。こうした実施形態の一部において、一水和物(形態1)は、(a)表1にある°2θ±0.2°2θのピークからなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または5つを超えるピーク、(b)°2θ±0.2°2θで10.4、11.7、12.9、18.2、および24.2からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのピーク、(c)°2θ±0.2°2θで10.4、11.7、12.9、18.2、および24.2からなる群から選択されるいずれか2つのピーク、(d)°2θ±0.2°2θで10.4、11.7、12.9、18.2、および24.2からなる群から選択されるいずれか3つのピーク、(e)°2θ±0.2°2θで10.4、11.7、12.9、18.2、および24.2からなる群から選択されるいずれか4つのピーク、(f)°2θ±0.2°2θで10.4、11.7、12.9、18.2、および24.2の箇所にあるピーク、(g)°2θ±0.2°2θで、10.4の箇所にあるピーク、ならびに11.7、12.9、18.2、および24.2からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、または4つのピーク、(h)°2θ±0.2°2θで、11.7の箇所にあるピーク、ならびに10.4、12.9、18.2、および24.2からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、または4つのピーク、(i)°2θ±0.2°2θで、12.9の箇所にあるピーク、ならびに10.4、11.7、18.2、および24.2からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、または4つのピーク、(j)°2θ±0.2°2θで、18.2の箇所にあるピーク、ならびに10.4、11.7、12.9、および24.2からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、または4つのピーク、(k)°2θ±0.2°2θで、24.2の箇所にあるピーク、ならびに10.4、11.7、12.9、および18.2からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、または4つのピーク、または(l)図2に示すのと本質的に同じ2θ値の箇所にあるピークを含む粉末X線回折(PXRD)パターン(2θ)を特徴とする。
別の実施形態では、本発明は、(1R,3S)-3-(3-{[(3-メチル-1,2-オキサゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメートまたは薬学的に許容できるその塩を提供する。
別の一実施形態では、本発明は、遊離塩基の形態の(1R,3S)-3-(3-{[(3-メチル-1,2-オキサゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメートを提供する。
別の実施形態では、本発明は、薬学的に許容できる塩の形態の(1R,3S)-3-(3-{[(3-メチル-1,2-オキサゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメートを提供する。
好ましい実施形態では、本発明の化合物は、CDK2の選択的阻害薬である、すなわち、CDK2について、他の酵素標的に比べて低い阻害定数(たとえば、KiまたはIC50)を有する。明らかになりつつあるデータからは、GSK3β阻害が胃腸毒性につながりうることが示唆され、いくつかのCDK阻害薬で観察されている。GSK3βに対比してCDK2の選択的阻害薬である化合物は、安全性プロファイルの向上、(たとえば、用量減量または休薬の必要を少なくすることによる)投薬スケジュールの改善、および/またはより高度な投薬、継続的な投薬レジメンの使用、および/もしくは処置全体の期間の延長の可能性があることによる、全体としての有効性の向上をもたらしうる。同様に、CDK2の選択的阻害薬では、CDK6の阻害と関連付けられることが報告されている、ある特定の血液毒性のリスクも低減されうる。
一部の実施形態では、本発明の化合物は、CDK1に対比してCDK2に選択的である。こうした実施形態の一部において、化合物は、CDK1に対比してCDK2に少なくとも10倍の選択性を示す。他の実施形態では、化合物は、CDK1に対比してCDK2に少なくとも20倍の選択性を示す。詳細な実施形態では、化合物は、CDK1に対比してCDK2に少なくとも30倍の選択性を示す。
一部の実施形態では、本発明の化合物は、CDK4および/またはCDK6に対比してCDK2に選択的である。こうした実施形態の一部において、化合物は、CDK4および/またはCDK6に対比してCDK2に少なくとも10倍の選択性を示す。他の実施形態では、化合物は、CDK4および/またはCDK6に対比してCDK2に少なくとも20倍の選択性を示す。詳細な実施形態では、化合物は、CDK4および/またはCDK6に対比してCDK2に少なくとも30倍の選択性を示す。
一部の実施形態では、本発明の化合物は、GSK3βに対比してCDK2に選択的である。こうした実施形態の一部において、化合物は、GSK3βに対比してCDK2に少なくとも10倍の選択性を示す。他の実施形態では、化合物は、GSK3βに対比してCDK2に少なくとも20倍の選択性を示す。詳細な実施形態では、化合物は、GSK3βに対比してCDK2に少なくとも30倍の選択性を示す。
「医薬組成物」とは、活性成分としての1種または複数の本発明の化合物または薬学的に許容できるその塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグと、少なくとも1種の薬学的に許容できる担体または賦形剤の混合物を指す。一部の実施形態では、医薬組成物は、2種以上の薬学的に許容できる担体および/または賦形剤を含む。他の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1種の追加の抗がん治療薬をさらに含む。
一態様では、本発明は、本発明の化合物または薬学的に許容できるその塩と、薬学的に許容できる担体または賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物は、2種以上の薬学的に許容できる担体および/または賦形剤を含む。
一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1種の追加の抗がん治療薬をさらに含む。こうした実施形態の一部では、組合せによって、相加的、相加的を超える、または相乗的な抗がん効果が得られる。
用語「相加的」は、2種の化合物、成分、または標的化薬を組み合わせた結果が、各化合物、成分、または標的化薬個々の合計を超えないことを意味するのに使用される。
用語「相乗作用」または「相乗的」は、2種の化合物、成分、または標的化薬を組み合わせた結果が、各化合物、成分、または標的化薬個々の合計を超えることを意味するのに使用される。処置対象である疾患、状態、または障害のこの改善は、「相乗的」な効果である。「相乗的な量」とは、相乗的な効果をもたらす、2種の化合物、成分、または標的化薬の組合せの量であり、「相乗的」は、本文書において定義している。
1種または2種の成分間の相乗的な相互作用、効果を得るのに最適な範囲、および効果を得るための各成分の絶対用量範囲の決定は、処置を必要とする患者に、成分を、異なる用量範囲および/または用量比にかけて投与することにより、断定的に測定することができる。しかし、in vitroモデルまたはin vivoモデルにおける相乗作用の所見から、ヒトおよび他の種における効果を予測することができ、本文書に記載されるとき、相乗的な効果を測定するためのin vitroモデルまたはin vivoモデルが存在する。そのような研究の結果を使用して、たとえば、薬動学的および/または薬力学的方法の適用によって、有効な用量および血漿濃度比範囲ならびにヒトおよび他の種において必要となる絶対用量および血漿濃度も予測することができる。
別段指摘しない限り、本文書における本発明化合物への言及はすべて、その塩、溶媒和物、水和物、および錯体、ならびにその塩の溶媒和物、水和物、および錯体への言及を、その多形体、立体異性体、および同位体標識版を含めて包含する。
本発明の化合物は、本文書において示す式の1つである化合物の薬学的に許容できる塩、たとえば、酸付加塩や塩基付加塩などの形態で存在する場合がある。本文書で使用するとき、用語「薬学的に許容できる塩」とは、親化合物の生物学的有効性および特性を保持する、そうした塩を指す。本文書で使用する「薬学的に許容できる塩」という表現は、別段指摘しない限り、本文書で開示する式の化合物中に存在しうる酸性または塩基性基の塩を包含する。
たとえば、性質が塩基性である本発明の化合物は、種々の無機および有機酸と多種多様な塩を形成しうる。そのような塩は、動物に投与するには薬学的に許容できなければならないとはいえ、実際には、本発明の化合物を反応混合物から薬学的に許容できない塩として最初に単離し、次いで、後者をアルカリ試薬での処理によってもとの遊離塩基化合物に単純に変換し、引き続いて、後者の遊離塩基を薬学的に許容できる酸付加塩に変換することが望ましい場合が多い。本発明の塩基化合物の酸付加塩は、塩基化合物を、水性溶媒媒質またはメタノールやエタノールなどの適切な有機溶媒中にて、実質的に等価な量の選択された鉱酸または有機酸で処理することにより調製できる。溶媒を蒸発させると、所望の固体塩が得られる。所望の酸塩は、遊離塩基の有機溶媒溶液から、溶液に、適切な鉱酸または有機酸を加えることによって沈殿させてもよい。
そのような塩基性化合物の薬学的に許容できる酸付加塩の調製に使用することのできる酸は、非毒性の酸付加塩、すなわち、薬理学的に許容できるアニオンを含んでいる塩、たとえば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、および1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート)](すなわち、パモ酸塩)を形成するものである。
塩の例には、限定はしないが、酢酸塩、アクリル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩(クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩など)、炭酸水素塩、硫酸水素塩、亜硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、ブチン-1,4-二酸塩、カルシウムエデト酸塩、カムシル酸塩、炭酸塩、塩化物、カプロン酸塩、カプリル酸塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、デカン酸塩、二塩酸塩、リン酸二水素塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストール酸塩、エシル酸塩、エチルコハク酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキシン-1,6-二酸塩、ヘキシルレソルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、γ-ヒドロキシ酪酸塩、ヨウ化物、イソ酪酸塩、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル硫酸塩、リン酸一水素塩、粘液酸塩、ナプシル酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニル酪酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フタル酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロパンスルホン酸塩、プロピオン酸塩、プロピオル酸塩、ピロリン酸塩、ピロ硫酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、次酢酸塩、スベリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、亜硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド(triethiodide)、および吉草酸塩が含まれる。
適切な塩の実例として、アミノ酸、たとえば、グリシンやアルギニン、アンモニア、第一級、第二級、および第三級アミン、環式アミン、たとえば、ピペリジン、モルホリン、ピペラジンから導かれる有機塩、ならびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、およびリチウムから導かれる無機塩が挙げられる。
別法として、性質が酸性である有用な化合物は、薬理学的に許容できる種々のカチオンと塩基塩を形成しうる場合がある。そのような塩の例には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、特に、ナトリウムおよびカリウム塩が含まれる。こうした塩は、すべて、従来の技術によって調製される。本発明の薬学的に許容できる塩基塩の調製に試薬として使用される化学塩基は、本文書における酸性化合物と非毒性の塩基塩を形成するものである。そうした塩は、適切ないずれかの方法、たとえば、遊離酸を、アミン(第一級、第二級、または第三級)、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物などの無機または有機塩基で処理することなどによって調製することができる。そうした塩は、対応する酸性化合物を、薬理学的に許容できる所望のカチオンを含有する水溶液で処理し、次いで、得られる溶液を、好ましくは減圧下で蒸発乾燥させることによって調製することもできる。別法として、酸性化合物の低級アルカノール溶液と所望のアルカリ金属アルコキシドを混ぜ合わせ、次いで、得られる溶液を、前と同じ要領で蒸発乾燥させることにより調製してもよい。いずれの場合でも、反応の完遂および所望の最終生成物の最大限の収率を確実にするために、化学量論量の試薬を用いることが好ましい。
性質が酸性である本発明の化合物の薬学的に許容できる塩基塩の調製に試薬として使用することのできる化学塩基は、そうした化合物と非毒性の塩基塩を形成するものである。そのような非毒性の塩基塩には、限定はしないが、アルカリ金属カチオン(たとえば、カリウム、ナトリウム)やアルカリ土類金属カチオン(たとえば、カルシウム、マグネシウム)などの薬理学的に許容できるカチオンから導かれる塩、N-メチルグルカミン-(メグルミン)や低級アルカノールアンモニウムなどのアンモニウムまたは水溶性アミン付加塩、および薬学的に許容できる有機アミンの他の塩基塩が含まれる。
適切な塩に関する総説については、StahlおよびWermuthによるHandbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use(Wiley-VCH、2002)を参照されたい。本発明の化合物の薬学的に許容できる塩の製造方法、および塩形態と遊離塩基形態を相互変換する方法は、当業者に知られている。
本発明の塩は、当業者に知られている方法に従って調製することができる。本発明化合物の薬学的に許容できる塩は、化合物の溶液と、状況に応じた所望の酸または塩基の溶液とを混ぜ合わせることによって容易に調製できる。塩は、溶液から沈殿する場合もあり、濾過によって収集することができ、または溶媒を蒸発させて回収してもよい。塩のイオン化の程度は、完全なイオン化からほとんどイオン化していない程度まで様々となりうる。
塩基性官能基を有する遊離塩基形態の本発明の化合物を、化学量論的に過剰な適切な酸で処理することによって酸付加塩に変換できることは、当業者の理解するところとなる。本発明の化合物の酸付加塩は、通常は水性溶媒の存在下、約0℃~100℃の間の温度において、化学量論的に過剰な塩基、たとえば、炭酸カリウムや水酸化ナトリウムで処理することによって、対応する遊離塩基に再変換することができる。遊離塩基形態は、従来の手段、たとえば、有機溶媒での抽出によって単離することができる。加えて、本発明の化合物の酸付加塩は、塩毎に異なる溶解度、揮発度、もしくは酸の酸度を利用する、または適切に装入されたイオン交換樹脂で処理することによって、相互変換することができる。相互変換は、たとえば、本発明の化合物の塩を、化学量論的にわずかに過剰な、pKが出発塩の酸成分より低い酸と反応させることによって実施される場合がある。この変換は、通常、約0℃から、媒質として手順に使用される溶媒の沸点の間の温度で実施される。同様に、塩基付加塩でも、通常は遊離塩基形態を間に挟んで、変換が可能である。
本発明の化合物は、溶媒和していない形態および溶媒和した形態の両方で存在しうる。溶媒または水がしっかりと結合しているとき、その錯体は、湿度と無関係に明確な化学量論性を有する。しかし、チャネル溶媒和物や吸湿性化合物のように、溶媒または水の結合が弱いとき、水/溶媒含有量は、湿度および乾燥条件に左右される。このような場合では、非化学量論性が標準となる。用語「溶媒和物」は、本文書において、本発明の化合物と、薬学的に許容できる1つまたは複数の溶媒分子、たとえば、エタノールとを含む分子錯体を述べるのに使用される。用語「水和物」は、溶媒が水であるときに用いられる。本発明による薬学的に許容できる溶媒和物には、結晶化の溶媒が同位体置換されている、たとえば、D2O、d6-アセトン、d6-DMSOである場合がある水和物および溶媒和物が含まれる。
本発明の範囲内には、前述の溶媒和物とは対照的に薬物とホストが化学量論量または非化学量論量で存在する薬物-ホスト包接錯体である、クラスレートなどの錯体も含まれる。また、化学量論量でも非化学量論量でもよい2種以上の有機および/または無機成分を含有する薬物の錯体も含まれる。結果として生じる錯体は、イオン化していても、部分的にイオン化していても、またはイオン化していなくてもよい。このような錯体の総説については、HaleblianによるJ Pharm Sci、64(8)、1269~1288(1975年8月)を参照されたく、この文献の開示を全体として参照により本文書に援用する。
本発明はまた、本文書において示す式の化合物のプロドラッグに関する。よって、それ自体は薬理活性をほとんどまたはまったくもたなくてもよい本発明の化合物のある特定の誘導体が、患者に投与されると、たとえば、加水分解による切断によって、本発明化合物に変換される場合がある。このような誘導体を「プロドラッグ」と呼ぶ。プロドラッグの使用についてのこれ以上の情報は、「Pro-drugs as Novel Delivery Systems」、第14巻、ACS Symposium Series(T.HiguchiおよびW.Stella)、ならびに「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Pergamon Press、1987(E.B.Roche、American Pharmaceutical Association編)において見ることができ、これらの開示の全体を参照により本文書に援用する。
本発明によるプロドラッグは、たとえば、その開示の全体が参照により本文書に援用される、H Bundgaardによる「Design of Prodrugs」(Elsevier、1985)に記載されているとおり、たとえば、本発明化合物中に存在する適切な官能基を、当業者に「プロ部分」として知られているある特定の部分で置き換えることにより製造することができる。
前述の例に従う置き換え基のさらなる例および他のプロドラッグタイプの例は、前述の参考文献において見ることができる。最後に、ある特定の発明化合物それ自体が、他の本発明化合物のプロドラッグとして働く場合もある。
対イオンが光学活性を有する、たとえば、d-乳酸もしくはl-リシン、またはラセミ体、たとえば、dl-酒石酸もしくはdl-アルギニンである、酸付加塩または塩基付加塩も含まれる。
ラセミ体が結晶するとき、異なる2タイプの結晶が考えられる。第1のタイプは、両方の鏡像異性体を等モル量で含有する同質の1つの形態の結晶が生じる、上で言及したラセミ化合物(真のラセミ体)である。第2のタイプは、それぞれが単一の鏡像異性体を含む2つの形態の結晶が等モル量で生じる、ラセミ混合物または集成体である。
本発明の化合物は、互変異性および構造異性の現象を示す場合もある。たとえば、化合物は、エノールおよびイミン型、ケトおよびエナミン型を始めとするいくつかの互変異性体型、幾何異性体、ならびにこれらの混合物として存在する場合がある。そうした互変異性体型はすべて、本発明の化合物の範囲内に含まれる。互変異性体は、溶液中に互変異性体組の混合物として存在する。固体形態では、一方の互変異性体が主体となるのが普通である。一方の互変異性体について記載する場合があるとしても、本発明は、示された式の化合物のすべての互変異性体を包含する。
加えて、本発明の化合物のあるものは、アトロプ異性体(たとえば、置換ビアリール)をなす場合もある。アトロプ異性体は、分子の他の部分との立体的相互作用の結果として、分子における単結合を軸とする回転が妨げられる、または大きく減速するときに生じ、単結合の両端における置換基が非対称である配座立体異性体である。アトロプ異性体の相互変換は、所定の条件下での分離および単離を可能にするに足る緩やかさである。熱ラセミ化に対するエネルギー障壁は、キラル軸をなす1つまたは複数の結合の自由な回転に対する立体障害によって決まりうる。
本発明の化合物がアルケニルまたはアルケニレン基を含んでいる場合では、シス/トランス(またはZ/E)幾何異性体が考えられる。シス/トランス異性体は、当業者によく知られている従来技術、たとえば、クロマトグラフィーおよび分別晶析法によって分離することができる。
個々の鏡像異性体を調製/単離するための従来技術には、光学的に純粋な適切な前駆体からのキラル合成、または、たとえば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)や超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を使用するラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割が含まれる。
別法として、ラセミ体(またはラセミ前駆体)を、光学活性のある適切な化合物、たとえばアルコール、または、化合物が酸性もしくは塩基性部分を含んでいる場合では、酒石酸もしくは1-フェニルエチルアミンなどの酸もしくは塩基と反応させてもよい。得られるジアステエレオマー混合物を、クロマトグラフィーおよび/または分別晶析法によって分離し、ジアステエレオマーの一方または両方を、当業者によく知られている手段によって、対応する純粋な鏡像異性体に変換することができる。
キラルな本発明の化合物(およびキラルなその前駆体)は、0~50%、通常は2~20%のイソプロパノール、および0~5%のアルキルアミン、通常は0.1%のジエチルアミンを含有する炭化水素、通常はヘプタンまたはヘキサンからなる移動相を用いた、不斉樹脂でのクロマトグラフィー、通常はHPLCを使用して、鏡像異性体富化された形で取得することができる。溶出液を濃縮すると、富化された混合物が得られる。
立体異性体集成体は、当業者に知られている従来技術によって分離することができ、たとえば、E L Elielによる「Stereochemistry of Organic Compounds」(Wiley、ニューヨーク、1994)を参照されたく、この文献の開示を全体として参照により本文書に援用する。
本文書に記載の化合物の鏡像異性体純度は、サンプルが、一方の鏡像異性体を他方より多い量で含有する度合いを示す鏡像体過剰率(ee)によって述べることができる。ラセミ混合物は、0%のeeを有し、完全に純粋な単一鏡像異性体は、100%のeeを有する。同様に、ジアステエレオマー純度は、ジアステエレオマー過剰率(de)によって述べることができる。本文書で使用するとき、「鏡像異性体に関して純粋」または「鏡像異性体に関して実質的に純粋」とは、化合物の一方の鏡像異性体を含み、化合物の相対する鏡像異性体を実質的に含まない化合物を意味する。典型的な、鏡像異性体に関して純粋な化合物は、化合物の一方の鏡像異性体を約95重量%より多く、化合物の相対する鏡像異性体を約5重量%未満、好ましくは、化合物の一方の鏡像異性体を約97重量%より多く、化合物の相対する鏡像異性体を約3重量%未満、より好ましくは、化合物の一方の鏡像異性体を約98重量%より多く、化合物の相対する鏡像異性体を約2重量%未満、より好ましくは、化合物の一方の鏡像異性体を約99重量%より多く、化合物の相対する鏡像異性体約1重量%未満含む。
本発明は、1個または複数の原子が、原子質量または質量数が自然界で通常見られる原子質量または質量数と異なっている原子で置き換えられている以外は、示された式の1つにおいて列挙されたものと同一である、同位体標識された化合物も包含する。
同位体標識された本発明の化合物は、一般に、適切な同位体標識された試薬を、そうでなく用いられている標識されていない試薬に代えて使用して、当業者に知られている従来技術によって、または本文書に記載の方法と類似した方法によって調製することができる。
医薬としての使用を目的とした本発明の化合物は、結晶性または非晶性の製品またはその混合物として投与される場合がある。製品は、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、または蒸発乾燥などの方法によって、たとえば、固体充填物、粉末、またはフィルムとして得ることができる。マイクロ波または高周波乾燥をこの目的のために使用してもよい。
一態様では、本発明は、それを必要とする対象において異常細胞増殖の処置を行う方法であって、対象に、治療有効量の本発明の化合物または薬学的に許容できるその塩を投与することを含む方法を提供する。
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象において、異常細胞増殖の処置を行う方法であって、対象に、ある量の本発明の化合物または薬学的に許容できるその塩を、ある量の追加の治療薬(たとえば、抗がん治療薬)と組み合わせて投与することを含み、これらの量は、合計して、前記異常細胞増殖の処置において有効である、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象における異常細胞増殖の処置において使用するための、本発明の化合物または薬学的に許容できるその塩と薬学的に許容できる担体または賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
さらに別の態様では、本発明は、対象において異常細胞増殖の処置を行うための医薬を製造するための、本発明の化合物または薬学的に許容できるその塩の使用を提供する。
本文書において提供する方法の頻出する実施形態では、異常細胞増殖は、がんである。本発明の化合物は、単一の薬剤として投与される場合もあり、または他の抗がん治療薬、特に、特定のがんに適した標準治療薬と組み合わせて投与される場合もある。
一部の実施形態では、提供される方法によって、次の効果、すなわち、(1)がん細胞増殖の阻害、(2)がん細胞浸潤性の抑制、(3)がん細胞のアポトーシスの誘導、(4)がん細胞転移の阻害、または(5)血管新生の阻害の1つまたは複数が実現される。
別の態様では、本発明は、対象においてCDK2が介在する障害の処置を行うための方法であって、対象に、本発明の化合物または薬学的に許容できるその塩を、前記障害、特に、がんの処置に有効である量で投与することを含む方法を提供する。
本文書に記載の化合物、組成物、方法、および使用のある特定の態様および実施形態において、本発明の化合物は、他のCDK、特にCDK1と比較して、CDK2に選択的である。一部の実施形態では、本発明の化合物は、CDK4および/またはCDK6と比較してCDK2に選択的である。他の態様および実施形態では、本発明の化合物は、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3ベータ(GSK3β)と比較してCDK2に選択的である。本発明の化合物には、本文書に記載の式のいずれかの化合物または薬学的に許容できるその塩が含まれる。
別の態様では、本発明は、対象においてがん細胞増殖を阻害する方法であって、対象に、本発明の化合物または薬学的に許容できるその塩を、細胞増殖の阻害に有効な量で投与することを含む方法を提供する。
別の態様では、本発明は、対象においてがん細胞浸潤性を抑制する方法であって、対象に、本発明の化合物または薬学的に許容できるその塩を、細胞浸潤性を抑制するのに有効な量で投与することを含む方法を提供する。
別の態様では、本発明は、対象においてがん細胞のアポトーシスを誘導する方法であって、対象に、本発明の化合物または薬学的に許容できるその塩を、アポトーシスを誘導するのに有効な量で投与することを含む方法を提供する。
別の態様では、本発明は、対象においてがん細胞転移を阻害する方法であって、対象に、本発明の化合物または薬学的に許容できるその塩を、細胞転移を阻害するのに有効な量で投与することを含む方法を提供する。
別の態様では、本発明は、対象において血管新生を阻害する方法であって、対象に、本発明の化合物または薬学的に許容できるその塩を、血管新生を阻害するのに有効な量で投与することを含む方法を提供する。
本文書において提供する方法の頻出する実施形態では、異常細胞増殖は、がんである。こうした実施形態の一部において、がんは、乳がん、卵巣がん、膀胱がん、子宮がん、前立腺がん、肺がん(NSCLC、SCLC、扁平上皮癌、または腺癌を含める)、食道がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、腎臓がん(RCCを含める)、肝臓がん(HCCを含める)、膵臓がん、胃(stomach)(すなわち、胃(gastric))がん、または甲状腺がんから選択される。本文書において提供する方法のさらなる実施形態では、がんは、乳がん、卵巣がん、膀胱がん、子宮がん、前立腺がん、肺がん、食道がん、肝臓がん、膵臓がん、または胃がんから選択される。
他の実施形態では、がんは、たとえば、ER陽性/HR陽性、HER2陰性乳がん;ER陽性/HR陽性、HER2陽性乳がん;三種陰性乳がん(TNBC);または炎症性乳がんを始めとする乳がんである。一部の実施形態では、乳がんは、内分泌療法耐性乳がん、トラスツズマブ耐性乳がん、またはCDK4/CDK6阻害に対して一次もしくは獲得耐性を示す乳がんである。一部の実施形態では、乳がんは、進行または転移乳がんである。前述のものそれぞれの一部の実施形態において、乳がんは、CCNE1および/またはCCNE2の増幅または過剰発現を特徴とする。
本文書において提供する方法の一部の実施形態では、異常細胞増殖は、CCNE1および/またはCCNE2の増幅または過剰発現を特徴とするがんである。本文書において提供する方法の一部の実施形態では、対象は、CCNE1および/またはCCNE2の増幅または過剰発現を特徴とするがんを有することが確認されている。
一部の実施形態では、がんは、乳がんおよび卵巣がんからなる群から選択される。こうした実施形態の一部において、がんは、CCNE1および/またはCCNE2の増幅または過剰発現を特徴とする乳がんまたは卵巣がんである。こうした実施形態の一部において、がんは、(a)乳がんまたは卵巣がんである、(b)サイクリンE1(CCNE1)またはサイクリンE2(CCNE2)の増幅または過剰発現を特徴とする、または(c)(a)と(b)の両方である。一部の実施形態では、がんは、卵巣がんである。
一部の実施形態では、本発明の化合物は、第一選択治療として投与される。他の実施形態では、本発明の化合物は、第二(またはより後)の選択治療として投与される。一部の実施形態では、本発明の化合物は、内分泌治療薬および/またはCDK4/CDK6阻害薬による処置に続いて、第二(またはより後)の選択治療として投与される。一部の実施形態では、本発明の化合物は、内分泌治療薬、たとえば、アロマターゼ阻害薬、SERM、SERDによる処置に続いて、第二(またはより後)の選択治療として投与される。一部の実施形態では、本発明の化合物は、CDK4/CDK6阻害薬による処置に続いて、第二(またはより後)の選択治療として投与される。一部の実施形態では、本発明の化合物は、たとえば、タキサンまたは白金剤を含む1つまたは複数の化学療法レジメンによる処置に続いて、第二(またはより後)の選択治療として投与される。一部の実施形態では、本発明の化合物は、HER2標的化薬、たとえば、トラスツズマブによる処置に続いて、第二(またはより後)の選択治療として投与される。
本文書で使用するとき、薬物、化合物、または医薬組成物の「有効投与量」または「有効量」とは、疾患の生化学的、組織学的、および/または行動的症状、その合併症、ならびに疾患になる間に現れる中間の病理学的表現型を始めとする、有益なまたは所望のいずれか1つまたは複数に影響を及ぼすのに十分な量である。治療的な使用について、「治療有効量」とは、処置対象である障害の症状の1つまたは複数をある程度解消する、投与される化合物の量を指す。がん処置に関して、治療有効量は、患者において、(1)腫瘍の大きさを縮小する、(2)腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度緩慢にする、好ましくは阻止する)、(3)腫瘍成長または腫瘍浸潤性をある程度抑制する(すなわち、ある程度緩慢にする、好ましくは阻止する)、(4)がんと関連する1つもしくは複数の徴候または症状をある程度解消する(または、好ましくは除去する)、(5)がん処置に必要な他の投薬の用量を減らす、(6)別の投薬の効果を高める、および/または(7)疾患の進行を遅らせるという効果を有する量を指す。
有効投与量は、1回または複数の投与で投与することができる。本発明の目的では、薬物、化合物、または医薬組成物の有効投与量は、予防的または治療的処置を直接または間接的に実現するのに十分な量である。臨床的な状況で理解されているとおり、薬物、化合物、または医薬組成物の有効投与量は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と合わせて実現される場合もあり、そうでない場合もある。
がんと診断された、またはがんを有する疑いのある対象に適用される「腫瘍」とは、悪性または悪性の可能性のある、いずれかの大きさの新生物または組織腫瘤を指し、原発腫瘍および続発性新生物を包含する。固形腫瘍は、通常は嚢胞または液体領域を含んでいない、組織の異常な成長または腫瘤である。固形腫瘍の例は、肉腫、癌腫、およびリンパ腫である。白血病(血液のがん)は、一般に固形腫瘍を形成しない(National Cancer Institute、Dictionary of Cancer Terms)。
「腫瘍負荷」または「腫瘍量」とは、身体全域に分布した腫瘍材料の総量をいう。腫瘍負荷は、リンパ節および骨髄を含めた、身体全域にわたる、がん細胞の合計数または腫瘍の合計サイズを指す。腫瘍負荷は、たとえば、キャリパスを使用する、または一方、身体内では、画像技術、たとえば、超音波、骨スキャン、コンピュータ断層撮影(CT)、もしくは磁気共鳴画像(MRI)スキャンを使用するなどの、当業界で知られている様々な方法によって求めることができる。
用語「腫瘍サイズ」とは、腫瘍の長さおよび幅として測定することのできる腫瘍全体の大きさを指す。腫瘍サイズは、たとえば、対象から取り出した後で、腫瘍の寸法を、たとえばキャリパスを使用して測定する、または一方、身体内では、画像技術、たとえば、骨スキャン、超音波、CRもしくはMRIスキャンを使用するなどの、当業界で知られている様々な方法によって求めることができる。
本文書で使用する、がんを「処置する(treatまたはtreating)」という用語は、がんを有する、またはがんと診断されている対象に、本発明の化合物を投与して、少なくとも1つのプラスの治療効果、たとえば、がん細胞数の減少、腫瘍サイズの縮小、がん細胞の周囲臓器への浸潤速度の減速、または腫瘍転移もしくは腫瘍成長速度の減速を実現して、こうした用語が適用される障害もしくは状態またはそうした障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状を後退させ、緩和し、その進行を阻止し、または予防することを意味する。本文書で使用する用語「治療」とは、別段指摘しない限り、治療する行為を指し、「治療する」は、直前で定義している。用語「処置する」は、対象の補助および術前補助処置も包含する。
本発明の目的では、有益なまたは所望の臨床結果には、限定はしないが、腫瘍性もしくはがん性細胞の増殖を減らす(もしくはそれを破壊する)こと、転移もしくは腫瘍性細胞を抑制すること、腫瘍サイズを小型化もしくは縮小すること、がんを寛解させること、がんの結果として生じる症状を軽減すること、がんに罹患している者の生活の質を向上させること、がん処置に必要な他の投薬の用量を減らすこと、がんの進行を遅らせること、がんを治癒させること、がんの1つまたは複数の耐性機序を克服すること、および/またはがん患者の生存を長引かせることの1つまたは複数が含まれる。がんにおけるプラスの治療効果は、いくつかの手段によって測定することができる(たとえば、W.A.Weber、Assessing tumor response to therapy、J.Nucl.Med.50増刊1:1S~10S(2009)を参照されたい)。たとえば、腫瘍成長阻害(T/C)に関して、National Cancer Institute(NCI)規格によれば、42%以下のT/Cが、最小レベルの抗腫瘍活性である。10%未満のT/Cは、高い抗腫瘍活性レベルとみなされ、T/C(%)=処置の腫瘍体積中央値/対照の腫瘍体積中央値×100である。
一部の実施形態では、本発明の化合物によって実現される処置は、部分応答(PR)、著効(CR)、奏効(OR)、無進行生存(PFS)、無病生存(DFS)、および全生存(OS)のいずれかへの言及によって定義される。「腫瘍無進行期間」とも呼ばれるPFSは、処置中および処置後の、がんが成長しない時間の長さを示し、患者がCRまたはPRを経験した時間量、ならびに患者が安定疾患(SD)を経験した時間量を含む。DFSとは、処置中および処置後の、患者が無疾患のままである時間の長さを指す。OSとは、無処置または未処置対象または患者と比べた余命の延長を指す。一部の実施形態では、本発明の組合せに対する応答は、固形癌効果判定基準(RECIST)1.1応答判定基準を使用して評価される、PR、CR、PFS、DFS、OR、またはOSのいずれかである。
がん患者の処置に有効である本発明の化合物の処置レジメンは、患者の病態、年齢、および体重、ならびに療法が対象において抗がん応答を誘発しうる能力などの要素に応じて様々となりうる。本発明の態様のいずれかの実施形態が、ことごとくの対象においてプラスの治療効果の実現に有効にはなりえないが、スチューデントt検定、カイ2検定、マン・ホイットニーのU検定、クラスカル・ワリス検定(H検定)、ヨンクヒール・タプストラ検定、ウィルコクソン検定などの、当業界で知られているいずれかの統計的検定によって判定される、統計的に有意な数の対象において有効となるはずである。
用語「処置レジメン」、「投薬プロトコール」、および「投薬レジメン」は、単独または別の治療薬と組み合わされた本発明の各化合物の投与の要領およびタイミングを指すのに区別なく使用する。
「回復させる」とは、本文書に記載の組合せで処置した後、組合せを投与しないのに比べて、1つまたは複数の症状が弱まるまたは改善することを意味する。「回復させる」は、症状の持続時間を短期化または短縮することも含む。
本文書で使用するとき、「異常細胞増殖」とは、別段指摘しない限り、正常な調節機序に左右されない細胞増殖を指す(たとえば、接触阻害の喪失)。異常細胞増殖は、良性である(がん性でない)、または悪性である(がん性である)場合がある。
異常細胞増殖には、(1)CDK2の発現の増大を示す腫瘍細胞(腫瘍)、(2)異常性のCDK2活性化によって増殖する腫瘍、(3)CCNE1および/またはCCNE2の増幅または過剰発現を特徴とする腫瘍、および(4)内分泌療法、HER2拮抗薬、またはCDK4/6阻害に耐性のある腫瘍の異常な増殖が含まれる。
本文書で使用する用語「追加の抗がん治療薬」とは、がん処置において使用されるまたは使用することのできる、本発明の化合物以外のいずれか1つまたは複数の治療薬を意味する。一部の実施形態では、そのような追加の抗がん治療薬には、有糸***阻害薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬、抗腫瘍抗生物質、抗血管新生薬、トポイソメラーゼIおよびII阻害薬、植物アルカロイド、ホルモン薬および拮抗薬、成長因子阻害薬、放射線、シグナル伝達阻害薬、たとえば、タンパク質チロシンキナーゼおよび/またはセリン/スレオニンキナーゼの阻害薬、細胞周期阻害薬、生体応答修飾物質、酵素阻害薬、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体、細胞障害薬、免疫腫瘍学的薬剤などのクラスから派生する化合物が含まれる。
他の実施形態では、本発明の化合物は、標準治療薬と組み合わせて投与される場合がある。一部の実施形態では、本発明の化合物は、内分泌療法、たとえば、レトロゾール、フルベストラント、タモキシフェン、エキセメスタン、アナストロゾールなどの薬剤と組み合わせて投与される場合がある。一部の実施形態では、本発明の化合物は、化学療法薬、たとえば、ドセタキセル、パクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、カペシタビン、ゲムシタビン、ビノレルビンと組み合わせて投与される場合がある。他の実施形態では、本発明の化合物は、抗HER2薬、たとえば、トラスツズマブやペルツズマブと組み合わせて投与される場合がある。
一部の実施形態では、追加の抗がん薬は、たとえば、VEGF阻害薬、VEGFR阻害薬、TIE-2阻害薬、PDGFR阻害薬、アンジオポエチン阻害薬、PKCβ阻害薬、COX-2(シクロオキシゲナーゼII)阻害薬、インテグリン(アルファ-v/ベータ-3)、MMP-2(マトリックスメタロプロテイナーゼ2)阻害薬、およびMMP-9(マトリックスメタロプロテイナーゼ9)阻害薬を始めとする抗血管新生薬である。好ましい抗血管新生薬としては、スニチニブ(Sutent(商標))、ベバシズマブ(Avastin(商標))、アキシチニブ(AG13736)、SU14813(Pfizer)、およびAG13958(Pfizer)が挙げられる。さらなる抗血管新生薬として、バタラニブ(CGP79787)、ソラフェニブ(Nexavar(商標))、ペガプタニブ八ナトリウム(Macugen(商標))、バンデタニブ(Zactima(商標))、PF-0337210(Pfizer)、SU14843(Pfizer)、AZD2171(AstraZeneca)、ラニビズマブ(Lucentis(商標))、Neovastat(商標)(AE941)、テトラチオモリブデート(Coprexa(商標))、AMG706(Amgen)、VEGF Trap(AVE0005)、CEP7055(Sanofi-Aventis)、XL880(Exelixis)、テラチニブ(telatinib)(BAY57-9352)、およびCP-868,596(Pfizer)が挙げられる。他の抗血管新生薬として、エンザスタウリン(LY317615)、ミドスタウリン(CGP41251)、ペリホシン(KRX0401)、テプレノン(Selbex(商標))、およびUCN01(協和発酵)が挙げられる。抗血管新生薬の他の例には、セレコキシブ(Celebrex(商標))、パレコキシブ(Dynastat(商標))、デラコキシブ(SC59046)、ルミラコキシブ(Preige(商標))、バルデコキシブ(Bextra(商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(商標))、イグラチモド(Careram(商標))、IP751(Invedus)、SC-58125(Pharmacia)、およびエトリコキシブ(Arcoxia(商標))が含まれる。さらに別の抗血管新生薬として、エキシスリンド(Aptosyn(商標))、サルサラート(Amigesic(商標))、ジフルニサル(Dolobid(商標))、イブプロフェン(Motrin(商標))、ケトプロフェン(Orudis(商標))、ナブメトン(Relafen(商標))、ピロキシカム(Feldene(商標))、ナプロキセン(Aleve(商標)、Naprosyn(商標))、ジクロフェナク(Voltaren(商標))、インドメタシン(Indocin(商標))、スリンダク(Clinoril(商標))、トルメチン(Tolectin(商標))、エトドラク(Lodine(商標))、ケトロラク(Toradol(商標))、およびオキサプロジン(Daypro(商標))が挙げられる。さらに別の抗血管新生薬として、ABT510(Abbott)、アプラタスタット(apratastat)(TMI005)、AZD8955(AstraZeneca)、インサイクリニド(incyclinide)(Metastat(商標))、およびPCK3145(Procyon)が挙げられる。さらに別の抗血管新生薬として、アシトレチン(Neotigason(商標))、プリチデプシン(plitidepsin)(aplidine(商標))、シレングチド(cilengtide)(EMD121974)、コンブレタスタチンA4(CA4P)、フェンレチニド(4HPR)、ハロフジノン(Tempostatin(商標))、Panzem(商標)(2-メトキシエストラジオール)、PF-03446962(Pfizer)、レビマスタット(rebimastat)(BMS 275291)、カツマキソマブ(Removab(商標))、レナリドミド(Revlimid(商標))、スクアラミン(EVIZON(商標))、サリドマイド(Thalomid(商標))、Ukrain(商標)(NSC 631570)、Vitaxin(商標)(MEDI522)、およびゾレドロン酸(Zometa(商標))が挙げられる。
他の実施形態では、追加の抗がん薬は、(たとえば、細胞増殖、分化、および生存の根本過程を統治する調節分子が細胞内で伝達される手段を阻害する)いわゆるシグナル伝達阻害薬である。シグナル伝達阻害薬には、低分子、抗体、およびアンチセンス分子が含まれる。シグナル伝達阻害薬には、たとえば、キナーゼ阻害薬(たとえば、チロシンキナーゼ阻害薬やセリン/スレオニンキナーゼ阻害薬)および細胞周期阻害薬が含まれる。より詳細には、シグナル伝達阻害薬には、たとえば、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、EGF阻害薬、ErbB-1(EGFR)、ErbB-2、pan erb、IGF1R阻害薬、MEK、c-Kit阻害薬、FLT-3阻害薬、K-Ras阻害薬、PI3キナーゼ阻害薬、JAK阻害薬、STAT阻害薬、Rafキナーゼ阻害薬、Akt阻害薬、mTOR阻害薬、P70S6キナーゼ阻害薬、WNT経路の阻害薬、およびいわゆる多重標的化キナーゼ阻害薬が含まれる。本文書に記載の本発明の化合物および医薬組成物と併せて使用することのできるシグナル伝達阻害薬のさらなる例には、BMS214662(Bristol-Myers Squibb)、ロナファーニブ(Sarasar(商標))、ペリトレキソール(AG2037)、マツズマブ(EMD7200)、ニモツズマブ(TheraCIM h-R3(商標))、パニツムマブ(Vectibix(商標))、バンデタニブ(Zactima(商標))、パゾパニブ(SB786034)、ALT110(Alteris Therapeutics)、BIBW2992(Boehringer Ingelheim)、およびCervene(商標)(TP38)が含まれる。シグナル伝達阻害薬の他の例には、ゲフィチニブ(Iressa(商標))、セツキシマブ(Erbitux(商標))、エルロチニブ(Tarceva(商標))、トラスツズマブ(Herceptin(商標))、スニチニブ(Sutent(商標))、イマチニブ(Gleevec(商標))、クリゾチニブ(Pfizer)、ロルラチニブ(Pfizer)、ダコミチニブ(Pfizer)、ボスチニブ(Pfizer)、ゲダトリシブ(gedatolisib)(Pfizer)、カネルチニブ(CI 1033)、ペルツズマブ(Omnitarg(商標))、ラパチニブ(Tycerb(商標))、ペリチニブ(EKB569)、ミルテホシン(Miltefosin(商標))、BMS599626(Bristol-Myers Squibb)、ラプロイセルT(Lapuleucel-T)(Neuvenge(商標))、NeuVax(商標)(E75がんワクチン)、Osidem(商標)(IDM1)、ムブリチニブ(mubritinib)(TAK-165)、CP-724,714(Pfizer)、パニツムマブ(Vectibix(商標))、ARRY142886(Array Biopharm)、エベロリムス(Certican(商標))、ゾタロリムス(Endeavor(商標))、テムシロリムス(Torisel(商標))、AP23573(ARIAD)、VX680(Vertex)、XL647(Exelixis)、ソラフェニブ(Nexavar(商標))、LE-AON(Georgetown University)、およびGI-4000(Globelmmune)が含まれる。他のシグナル伝達阻害薬として、ABT751(Abbott)、アルボシジブ(alvocidib)(フラボピリドール)、BMS387032(Bristol Myers)、EM1421(Erimos)、インジスラム(E7070)、セリシクリブ(CYC200)、BIO112(Onc Bio)、BMS387032(Bristol-Myers Squibb)、パルボシクリブ(Pfizer)、およびAG024322(Pfizer)が挙げられる。
他の実施形態では、追加の抗がん薬は、いわゆる古典的抗悪性腫瘍薬である。古典的抗悪性腫瘍薬には、限定はしないが、ホルモン、抗ホルモン、アンドロゲン作動薬、アンドロゲン拮抗薬、抗エストロゲン治療薬などのホルモンモジュレーター、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害薬、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害薬、サイレンシング薬または遺伝子活性化薬、リボヌクレアーゼ、プロテオソーム薬(proteosomic)、トポイソメラーゼI阻害薬、カンプトテシン誘導体、トポイソメラーゼII阻害薬、アルキル化薬、代謝拮抗薬、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ1(PARP-1)阻害薬(たとえば、タラゾパリブ、オラパリブ(olapariv)、ルカパリブ、ニラパリブ、イニパリブ、ベリパリブなど)、マイクロチューブリン阻害薬、抗生物質、植物由来紡錘体阻害薬、白金配位化合物、遺伝子治療薬、アンチセンスオリゴヌクレオチド、血管標的薬(VTA)、およびスタチンが含まれる。場合により他の1種または複数の薬剤も加えた本発明の化合物との併用療法において使用される古典的抗悪性腫瘍薬の例には、限定はしないが、糖質コルチコイド、たとえば、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、およびプロゲスチン、たとえば、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール(Megace)、ミフェプリストン(RU-486)、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、たとえば、タモキシフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、アフィモキシフェン、アルゾキシフェン、バゼドキシフェン、フィスペミフェン(fispemifene)、オルメロキシフェン(ormeloxifene)、オスペミフェン、テスミリフェン、トレミフェン、トリロスタン、およびCHF4227(Cheisi)、選択的エストロゲン受容体下方調節薬(SERD)、たとえば、フルベストラント、エキセメスタン(Aromasin)、アナストロゾール(Arimidex)、アタメスタン、ファドロゾール、レトロゾール(Femara)、ホルメスタン;ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH;一般に、黄体形成ホルモン放出ホルモン[LHRH]とも呼ばれる)作動薬、ブセレリン(Suprefact)、ゴセレリン(Zoladex)、リュープロレリン(Lupron)、トリプトレリン(Trelstar)、アバレリックス(Plenaxis)、シプロテロン、フルタミド(Eulexin)、メゲストロール、ニルタミド(Nilandron)、オサテロン、デュタステリド、エプリステリド、フィナステリド、ノコギリヤシ(Serenoa repens)、PHL00801、アバレリックス、ゴセレリン、リュープロレリン、トリプトレリン、ビカルタミド;抗アンドロゲン薬、たとえば、エンザルタミド、酢酸アビラテロン、ビカルタミド(Casodex)、ならびにこれらの組合せが含まれる。本発明の化合物と組み合わせて使用される古典的抗悪性腫瘍薬の他の例には、限定はしないが、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA、Merck Inc./Aton Pharmaceuticals)、デプシペプチド(FR901228またはFK228)、G2M-777、MS-275、酪酸ピバロイルオキシメチル、PXD-101;Onconase(ランピルナーゼ)、PS-341(MLN-341)、Velcade(ボルテゾミブ)、9-アミノカンプトテシン、ベロテカン(belotecan)、BN-80915(Roche)、カンプトテシン、ジフロモテカン(diflomotecan)、エドテカリン、エキサテカン(第一)、ギマテカン、10-ヒドロキシカンプトテシン、イリノテカンHCl(Camptosar)、ルルトテカン(lurtotecan)、Orathecin(ルビテカン、Supergen)、SN-38、トポテカン、カンプトテシン、10-ヒドロキシカンプトテシン、9-アミノカンプトテシン、イリノテカン、SN-38、エドテカリン、トポテカン、アクラルビシン、アドリアマイシン、アモナフィド(amonafide)、アムルビシン、アンナマイシン(annamycin)、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エルサミトルシン(elsamitrucin)、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、ガラルビシン(galarubicin)、ヒドロキシカルバミド、ネモルビシン(nemorubicin)、novantrone(ミトキサントロン)、ピラルビシン、ピクサントロン、プロカルバジン、レベッカマイシン、ソブゾキサン、タフルポシド(tafluposide)、バルルビシン、Zinecard(デクスラゾキサン)、ナイトロジェンマスタードN-オキシド、シクロホスファミド、AMD-473、アルトレタミン、AP-5280、アパジコン、ブロスタリシン(brostallicin)、ベンダムスチン、ブスルファン、カルボコン、カルムスチン、クロラムブシル、ダカルバジン、エストラムスチン、ホテムスチン、グルホスフアミド(glufosfamide)、イホスファミド、KW-2170、ロムスチン、マホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、ミトブロニトール、ミトラクトール、マイトマイシンC、ミトキサトロン(mitoxatrone)、ニムスチン、ラニムスチン、テモゾロミド、チオテパ、および白金配位アルキル化化合物、たとえば、シスプラチン、Paraplatin(カルボプラチン)、エプタプラチン(eptaplatin)、ロバプラチン、ネダプラチン、Eloxatin(オキサリプラチン、Sanofi)、ストレプトゾシン、サトルプラチン(satrplatin)、ならびにこれらの組合せが含まれる。
さらに他の実施形態では、追加の抗がん薬は、いわゆるジヒドロ葉酸還元酵素阻害薬(たとえば、メトトレキセートやNeuTrexin(グルクロン酸トリメトレキサート))、プリン拮抗薬(たとえば、6-メルカプトプリンリボシド、メルカプトプリン、6-チオグアニン、クラドリビン、クロファラビン(Clolar)、フルダラビン、ネララビン、ラルチトレキセド)、ピリミジン拮抗薬(たとえば、5-フルオロウラシル(5-FU)、Alimta(ペメトレキセド二ナトリウム、LY231514、MTA)、カペシタビン(Xeloda(商標))、シトシンアラビノシド、Gemzar(商標)(ゲムシタビン、Eli Lilly)、テガフール(UFT OrzelまたはUforal、テガフール、ギメスタット、およびオトスタット(otostat)からなるTS-1組合せ薬を含める)、ドキシフルリジン、カルモフール、シタラビン(オクホスファート、ホスファートステアラート、持続放出、およびリポソーム形態を含める)、エノシタビン、5-アザシチジン(Vidaza)、デシタビン、エチニルシチジン)、および他の代謝拮抗薬、たとえば、エフロルニチン、ヒドロキシ尿素、ロイコボリン、ノラトレキセド(nolatrexed)(Thymitaq)、トリアピン(triapine)、トリメトレキセート、N-(5-[N-(3,4-ジヒドロ-2-メチル-4-オキソキナゾリン-6-イルメチル)-N-メチルアミノ]-2-テノイル)-L-グルタミン酸、AG-014699(Pfizer Inc.)、ABT-472(Abbott Laboratories)、INO-1001(Inotek Pharmaceuticals)、KU-0687(KuDOS Pharmaceuticals)、およびGPI18180(Guilford Pharm Inc)、ならびにこれらの組合せである。
古典的抗悪性腫瘍細胞障害薬の他の例には、限定はしないが、Abraxane(Abraxis BioScience、Inc.)、バタブリン(Batabulin)(Amgen)、EPO906(Novartis)、ビンフルニン(Bristol-Myers Squibb Company)、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ネオカルチノスタチン(Zinostatin)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン(Navelbine)、ドセタキセル(Taxotere)、オルタタキセル(Ortataxel)、パクリタキセル(DHA/パクリタキセルコンジュゲートであるTaxoprexinを含める)、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン(Eloxatin)、サトラプラチン、Camptosar、カペシタビン(Xeloda)、オキサリプラチン(Eloxatin)、Taxotereアリトレチノイン、カンホスファミド(Telcyta(商標))、DMXAA(Antisoma)、イバンドロン酸、L-アスパラギナーゼ、ペグアスパラガーゼ(Oncaspar(商標))、エファプロキシラル(Efaproxyn(商標)-放射線療法)、ベキサロテン(Targretin(商標))、テスミリフェン(Tesmilifene)(DPPE-細胞障害薬の有効性を高める)、Theratope(商標)(Biomira)、トレチノイン(Vesanoid(商標))、チラパザミン(Trizaone(商標))、モテクサフィンガドリニウム(Xcytrin(商標)) Cotara(商標)(mAb)、およびNBI-3001(Protox Therapeutics)、ポリグルタメート-パクリタキセル(Xyotax(商標))、ならびにこれらの組合せが含まれる。古典的抗悪性腫瘍薬のさらなる例には、限定はしないが、Advexin(ING201)、TNFerade(GeneVec、放射線療法に反応してTNFアルファを発現させる化合物)、RB94(Baylor College of Medicine)、Genasense(オブリメルセン、Genta)、コンブレタスタチンA4P(CA4P)、Oxi-4503、AVE-8062、ZD-6126、TZT-1027、アトルバスタチン(Lipitor、Pfizer Inc.)、プロバスタチン(Provastatin)(Pravachol、Bristol-Myers Squibb)、ロバスタチン(Mevacor、Merck Inc.)、シンバスタチン(Zocor、Merck Inc.)、フルバスタチン(Lescol、Novartis)、セリバスタチン(Baycol、Bayer)、ロスバスタチン(Crestor、AstraZeneca)、ロボスタチン(Lovostatin)、ナイアシン(Advicor、Kos Pharmaceuticals)、Caduet、Lipitor、トルセトラピブ、およびこれらの組合せが含まれる。
他の実施形態では、追加の抗がん薬は、EZH2、SMARCA4、PBRM1、ARID1A、ARID2、ARID1B、DNMT3A、TET2、MLL1/2/3、NSD1/2、SETD2、BRD4、DOT1L、HKMTsanti、PRMT1-9、LSD1、UTX、IDH1/2、またはBCL6のエピジェネティックモジュレーター、たとえば、阻害薬である。
さらなる実施形態では、追加の抗がん薬は、免疫調節薬、たとえば、CTLA-4、PD-1もしくはPD-L1(たとえば、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、アベルマブ)、LAG-3、TIM-3、TIGIT、4-1BB、OX40、GITR、CD40の阻害薬、またはCAR-T細胞療法である。
本文書で使用するとき、「がん」とは、異常細胞増殖によって引き起こされる、いずれかの悪性および/または浸潤性増殖または腫瘍を指す。がんには、それをなす細胞のタイプにちなんで名付けられた固形腫瘍、血液、骨髄、またはリンパ系のがんが含まれる。固形腫瘍の例には、肉腫および癌腫が含まれる。血液のがんには、限定はしないが、白血病、リンパ腫、および骨髄腫が含まれる。またがんには、身体の特定の部位に端を発する原発がん、がんが生じた場所から身体の他の部分に広がってしまった転移がん、寛解後の元の原発がんからの再発、および以前のがんが後のがんとは異なるタイプであるという病歴を有する者における新たな原発がんである、第2の原発がんが含まれる。
本文書において提供する方法の一部の実施形態では、がんは、乳がん、卵巣がん、膀胱がん、子宮がん、前立腺がん、肺がん(SCLCまたはNSCLCを含む)、食道がん、肝臓がん、膵臓がん、または胃がんである。そうした実施形態の一部において、がんは、CCNE1および/またはCCNE2の増幅または過剰発現を特徴とする。
投与レジメンは、所望される最適な応答が得られるように調整してよい。たとえば、単一のボーラスを投与してもよいし、数回に分けた用量を時間をかけて投与してもよいし、または治療状況の緊急性による必要に応じて用量を増減してもよい。非経口組成物を投与量単位形態にして製剤することは、投与が容易になり、投与量が均一になるため、特に有利である。本文書で使用する投与量単位剤形とは、処置を受ける哺乳動物対象のための単位式投与量として適した、物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要な医薬担体と共同で所望の治療効果を生じるように算出された、予め決められた量の活性化合物を含有する。本発明の投与量単位剤形についての明細は、(a)化学療法薬の特有の特徴、および実現しようとする特定の治療または予防効果、ならびに(b)個体における感受性の扱いに合わせてこのような活性化合物を調合する分野に固有の制約によって必然的に決まり、これらに直接左右される。
したがって、当業者には、用量および投薬レジメンは、本文書において提供する開示をもとに、治療学分野でよく知られている方法に従って調整されるものと理解される。すなわち、最大耐用量を容易に打ち立てることができ、検出可能な治療利益を患者にもたらす有効量も明らかにすることができ、各薬剤を投与して患者に検出可能な治療利益をもたらす時間的要件も明らかにすることができる。したがって、本文書ではある特定の用量および投与レジメンを例示しているが、そうした例によって、本発明を実施する際に患者に提供することのできる用量および投与レジメンは一切限定されない。
投与量の値は、緩和しようとする状態の種類および重症度によって様々となる場合があり、1回または複数回の用量を含む場合があることを留意されたい。さらに、特定のいずれかの対象について、詳細な投与レジメンは、個々の必要、および組成物の投与を管理または監督する者の専門的な判断に従って時間と共に調製すべきであること、ならびに本文書において明記する投与量範囲は、例示的なものにすぎず、請求項にかかる組成物の範囲または実用を限定するものでないことが理解される。たとえば、毒作用および/または臨床検査値などの臨床的影響を含みうる薬動学的または薬力学的パラメーターに基づき、用量が調整される場合がある。したがって、本発明は、当業者によって決定される患者内での用量漸増を包含する。化学療法薬の投与についての適切な投与量およびレジメンの決定は、関連業界でよく知られており、本文書において開示する教示を得れば当業者によって包含されると理解される。
本発明の化合物の投与量は、処置を受ける対象、障害または状態の重症度、投与速度、化合物の性質、および処方を出す医師の裁量に応じて決まる。しかし、有効投与量は、単一または分割用量として、体重1kgあたり1日約0.001~約100mg、好ましくは、約1~約35mg/kg/日の範囲にある。これは、70kgのヒトでは、約0.05~約7g/日、好ましくは、約0.1~約2.5g/日の量となる。ある場合では、前述の範囲の下限を下回る投与量レベルで十分すぎることもあり、他の場合では、最初にいくつかの少ない用量に分けて1日を通して投与するという条件で、有害な副作用を引き起こすことなく、さらに多い用量が用いられることもある。
薬学的に許容できる担体は、従来のいずれかの医薬担体または賦形剤を含むものでよい。担体および/または賦形剤の選択は、特定の投与方式、担体または賦形剤が溶解性および安定性に及ぼす影響、剤形の性質などの要素に応じて決まるところが大きい。
適切な医薬担体としては、不活性希釈剤または賦形剤、水および種々の有機溶媒(たとえば、水和物や溶媒和物)が挙げられる。医薬組成物は、所望であれば、着香剤、結合剤、賦形剤などの追加の成分を含有してもよい。したがって、経口投与については、クエン酸などの種々の賦形剤を含有する錠剤を、デンプン、アルギン酸、ある特定の複合シリケートなどの種々の崩壊剤、およびスクロース、ゼラチン、アカシアなどの結合剤と一緒に用いることができる。賦形剤の例としては、限定はせず、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々のタイプの糖およびデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、およびポリエチレングリコールが挙げられる。加えて、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルクなどの滑沢剤が、多くの場合、打錠の用途に有用である。同様のタイプの固体組成物を、軟および硬充填ゼラチンカプセルにも用いることができる。したがって、材料の非限定的な例には、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。経口投与に水性懸濁液またはエリキシルが所望されるとき、その中の活性化合物は、種々の甘味剤または着香剤、着色物質または色素、および、所望であれば、乳化剤または懸濁化剤、ならびに水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、またはこれらの組合せなどの希釈剤と組み合わせられる場合がある。
医薬組成物は、たとえば、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉末、持効性製剤、溶液、懸濁液として経口投与に、滅菌溶液、懸濁液、もしくは乳濁液として非経口注射に、軟膏もしくはクリームとして局所投与に、または坐剤として直腸投与に適する形態にすることができる。
典型的な非経口投与形態としては、滅菌水溶液、たとえば、プロピレングリコールまたはデキストロース水溶液中の活性化合物の溶液または懸濁液が挙げられる。このような剤形は、所望であれば、適切に緩衝処理される場合もある。
本発明の化合物の送達に適する医薬組成物およびその調製方法は、当業者に容易に明白となる。そのような組成物およびその調製方法は、たとえば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第19版(Mack Publishing Company、1995)において見ることができ、この文献の開示を全体として参照により本文書に援用する。
本発明の化合物は、経口投与することができる。経口投与は、化合物が消化管に入るように嚥下するものでもよいし、または化合物が口から直接血流に入る頬側もしくは舌下投与を用いてもよい。
経口投与に適する製剤には、固体製剤、たとえば、錠剤;微粒子、液体、または粉末を含有するカプセル剤、口中錠(液体充填型を含める)、チュアブル剤(chew)、多重粒子およびナノ粒子、ゲル、固溶体、リポソーム、フィルム(粘膜付着性を含める)、腔坐剤、スプレー、ならびに液体製剤が含まれる。
液体製剤には、懸濁液、溶液、シロップ、およびエリキシルが含まれる。このような製剤は、軟または硬カプセルの中に充填剤として使用される場合もあり、通常、担体、たとえば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適切な油と、1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤とを含む。液体製剤は、たとえばサシェ剤から、固体の復元によって調製される場合もある。
本発明の化合物は、LiangおよびChenによるExpert Opinion in Therapeutic Patents、11(6)、981~986(2001)に記載のものなどの急速溶解急速崩壊型剤形にして使用してもよく、この文献の開示を全体として参照により本文書に援用する。
錠剤剤形については、用量に応じて、薬物が、剤形の1wt%~80wt%、より典型的な例では、剤形の5wt%~60wt%を占める場合がある。錠剤は、薬物に加えて、一般に崩壊剤を含有する。崩壊剤の例としては、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換されたヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプン、およびアルギン酸ナトリウムが挙げられる。一般に、崩壊剤は、剤形の1wt%~25wt%、好ましくは、5wt%~20wt%を占める。
結合剤は一般に、錠剤製剤に粘着性の性質を付与するのに使用される。適切な結合剤としては、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成のゴム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。錠剤は、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプン、リン酸水素カルシウム二水和物などの希釈剤を含有する場合もある。
錠剤は、ラウリル硫酸ナトリウムやポリソルベート80などの界面活性剤、および二酸化ケイ素やタルクなどの流動促進剤も場合により含んでよい。存在するとき、界面活性剤は通常、錠剤の0.2wt%~5wt%、流動促進剤は通常、錠剤の0.2wt%~1wt%の量になる。
錠剤は、一般に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウムのラウリル硫酸ナトリウムとの混合物などの滑沢剤も含有する。滑沢剤は、一般に、錠剤の0.25wt%~10wt%、好ましくは、0.5wt%~3wt%の量で存在する。
典型的な錠剤は、約80wt%までの薬物、約10wt%~約90wt%の結合剤、約0wt%~約85wt%の希釈剤、約2wt%~約10wt%の崩壊剤、および約0.25wt%~約10wt%の滑沢剤を含有する。
錠剤ブレンドは、直接またはローラーによって圧縮して錠剤にすることができる。別法として、錠剤ブレンドまたはブレンドの割当て分を、湿式、乾式、もしくは溶融造粒、溶融凝固、または押出しにかけた後で打錠してもよい。最終製剤は、1または複数の層を含む場合があり、コーティングされていてもされていなくてもよく、またはカプセル化されていてもよい。
錠剤の製剤は、H.LiebermanおよびL.Lachmanによる「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1」、Marcel Dekker、ニューヨーク州ニューヨーク、1980(ISBN 0-8247-6918-X)で詳細に論じられており、この文献の開示を全体として参照により本文書に援用する。
経口投与用の固体製剤は、即時および/または変更型放出がなされるように製剤してもよい。変更型放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、およびプログラム放出が含まれる。
適切な変更型放出製剤は、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散液や、浸透圧粒子および被覆粒子などの適切な他の放出技術の詳細は、Vermaら、Pharmaceutical Technology On-line、25(2)、1~14(2001)において見ることができる。制御放出を実現するためのチューインガムの使用は、WO00/35298に記載されている。こうした参考文献の開示は、その全体が参照により本文書に援用される。
本発明の化合物は、血流中、筋肉、または内臓に直接投与される場合もある。非経口投与に適する手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、および皮下が含まれる。非経口投与に適する装置には、(微細針を含めた)有針注射器、無針注射器、および注入技術が含まれる。
非経口製剤は、通常は、塩、炭水化物、緩衝剤(好ましくはpH3~9とする)などの賦形剤を含有しうる水溶液であるが、一部の用途については、非水性滅菌溶液として、または滅菌無パイロジェン水などの適切な媒体と合わせて使用される乾燥形態として、より適切に製剤される場合もある。
非経口投与用の製剤は、即時および/または変更型放出がなされるように製剤してもよい。変更型放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、およびプログラム放出が含まれる。したがって、本発明の化合物は、活性化合物の変更型放出をもたらす植込デポー剤として投与される固体、半固体、または揺変性液体として製剤される場合もある。そのような製剤の例として、薬物でコーティングされたステントおよびPGLAマイクロスフェアが挙げられる。
本発明の化合物は、皮膚または粘膜に局所的に、すなわち真皮に(dermally)または経皮的に(transdermally)投与される場合もある。この目的のための典型的な製剤としては、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、散粉剤、包帯剤、フォーム、フィルム、皮膚パッチ、ウェーハ、植込剤、スポンジ、繊維、絆創膏、およびマイクロエマルションが挙げられる。リポソームが使用される場合もある。典型的な担体としては、アルコール、水、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールが挙げられる。浸透性改善剤が混ぜられる場合もあり、たとえば、FinninおよびMorganによるJ Pharm Sci、88(10)、955~958(1999年10月)を参照されたい。他の局所投与手段には、電気穿孔法、イオン導入法、音波泳動法、超音波導入法、および微細針または無針(たとえば、Powderject(商標)、Bioject(商標)など)注射による送達が含まれる。こうした参考文献の開示は、その全体が参照により本文書に援用される。
局所投与用の製剤は、即時および/または変更型放出がなされるように製剤してもよい。変更型放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、およびプログラム放出が含まれる。
本発明の化合物は、乾燥粉末吸入器から、通常はドライパウダー(単独、またはたとえばラクトースとの乾燥ブレンドにした混合物として、またはたとえばホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合された混合型成分粒子として)の形で、または加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは、電気水力学を使用して微細な霧を生成するアトマイザー)、もしくはネブライザーから、エアロゾルスプレーとして、1,1,1,2-テトラフルオロエタンや1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤を使用し、または使用せずに、鼻腔内に、または吸入によって投与される場合もある。鼻腔内の使用について、粉末は、生体接着剤、たとえば、キトサンまたはシクロデキストリンを含んでもよい。
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーは、たとえば、エタノール、エタノール水溶液、または活性物を分散させ、可溶化し、もしくは放出を長引かせるのに適する別の薬剤、溶媒としての噴射剤、および任意選択の界面活性剤、たとえば、トリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、またはオリゴ乳酸を含む、本発明の化合物の溶液または懸濁液を含有する。
薬物製品は、乾燥粉末または懸濁液製剤への使用前に、吸入による送達に適する大きさ(通常は5ミクロン未満)に微粒子化される。これは、スパイラルジェット粉砕、流動床ジェット粉砕、ナノ粒子を生成するための超臨界流体処理、高圧均質化、噴霧乾燥などの適切ないずれかの微粉砕法によって実現することができる。
吸入器または注入器に入れて使用するカプセル(たとえば、ゼラチンまたはHPMC製)、ブリスター、およびカートリッジは、本発明の化合物と、ラクトースやデンプンなどの適切な粉末基剤と、l-ロイシン、マンニトール、ステアリン酸マグネシウムなどの性能改良剤とからなる粉末混合物を含有するように製剤することができる。ラクトースは、無水、またはラクトース一水和物の形態である場合があり、後者が好ましい。他の適切な賦形剤としては、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース、およびトレハロースが挙げられる。
電気水力学を使用して微細な霧を生成するアトマイザーへの使用に適する溶液製剤は、1作動あたり1μg~20mgの本発明の化合物を含有する場合があり、作動体積は、1μLから100μLまでで様々となりうる。典型的な製剤は、本発明の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノール、および塩化ナトリウムを含む。プロピレングリコールの代わりに使用することのできる別の溶媒としては、グリセロールおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
吸入/鼻腔内投与が企図されるこうした本発明の製剤に、適切な着香剤、たとえば、メントールやレボメントール、または甘味剤、たとえば、サッカリンやサッカリンナトリウムが加えられる場合もある。
吸入/鼻腔内投与用の製剤は、たとえばポリ(DL-乳酸-coグリコール酸(PGLA)を使用して、即時および/または変更型放出がなされるように製剤してもよい。変更型放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、およびプログラム放出が含まれる。
乾燥粉末吸入器およびエアロゾルの場合では、投与量単位は、計量された量を送達する弁によって決定される。本発明に従う単位は、通常、所望の量の本発明の化合物を含有する計量された量または「一吹き」が投与されるように整えられている。全日用量は、単一用量で、またはより普通には、1日を通して、分割された用量として投与される場合がある。
本発明の化合物は、たとえば、坐剤、膣坐剤、または浣腸の形で、直腸または経膣投与することができる。カカオ脂が伝統的な坐剤基剤であるが、適宜種々の代用品を使用してもよい。
直腸/経膣投与用の製剤は、即時および/または変更型放出がなされるように製剤してもよい。変更型放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、およびプログラム放出が含まれる。
本発明の化合物は、通常はpH調製された等張性滅菌食塩水中の微粒子化懸濁液または溶液の液滴の形で、眼または耳に直接投与することもできる。眼および耳への投与に適する他の製剤としては、軟膏、生分解性(たとえば、被吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(たとえば、シリコーン)植込錠、ウェーハ、レンズ、ならびに微粒子系またはベシクル系、たとえば、ニオソームやリポソームが挙げられる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー、たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、たとえばゲランガムなどのポリマーを、塩化ベンザルコニウムなどの保存剤と一緒に混ぜてもよい。このような製剤は、イオン導入法によって送達してもよい。
眼および耳に投与される製剤は、即時および/または変更型放出がなされるように製剤してもよい。変更型放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的化、またはプログラム放出が含まれる。
たとえば、薬物-シクロデキストリン錯体は、一般に、ほとんどの剤形および投与経路に有用であることがわかっている。包接および非包接両方の錯体を使用することができる。シクロデキストリンは、薬物との直接の錯形成に代わるものとして、補助添加剤として、すなわち、担体、希釈剤、または可溶化剤として使用することもできる。こうした目的に最も一般に使用されるのは、アルファ-、ベータ-、およびガンマ-シクロデキストリンであり、その例は、PCT公開WO91/11172号、WO94/02518号、およびWO98/55148号においてを見ることができ、これらの開示の全体を参照により本文書に援用する。
本発明のキットは、たとえば経口と非経口という異なる剤形を投与する、別個の組成物を異なる投与間隔で投与する、または別個の組成物の用量を互いに対して漸増するのに特に適する。服薬遵守を助けるために、キットは通常、投与に関する指示を含み、メモリーエイドを添えて提供される場合がある。
上で指摘したとおり、本発明の化合物は、1種または複数の追加の抗がん薬と組み合わせて使用することができる。ある特定の腫瘍における本発明の化合物の有効性は、他の承認されたまたは実験用のがん療法、たとえば、放射線、手術、化学療法薬、標的化療法、腫瘍において調節不全になっている他のシグナル伝達経路を阻害する薬剤、および他の免疫増強薬、たとえば、PD-1拮抗薬などと組み合わせることにより向上させることができる。
併用療法を使用するとき、1種または複数の追加の抗がん薬は、本発明の化合物と、順次または同時に投与される場合がある。一実施形態では、追加の抗がん薬は、本発明の化合物の投与より前に、哺乳動物(たとえば、ヒト)に投与される。別の実施形態では、追加の抗がん薬は、本発明の化合物の投与の後に、哺乳動物に投与される。別の実施形態では、追加の抗がん薬は、本発明の化合物の投与と同時に哺乳動物(たとえば、ヒト)に投与される。
本発明はまた、ヒトを始めとする哺乳動物における異常細胞増殖の処置のための医薬組成物であって、ある量の上で規定したとおりの本発明の化合物(前記化合物または薬学的に許容できるその塩の水和物、溶媒和物、および多形を含める)を、1種または複数(好ましくは1種~3種)の追加の抗がん治療薬と組み合わせて含む医薬組成物に関する。
合成中間体の調製
中間体1:ベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート、
中間体2:ベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1R,3S)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート
13℃の(±)-3-オキソシクロペンタンカルボン酸(CAS#98-78-2、900g、7.02mol)のメタノール(5L)溶液をそれぞれが含有する2つの相等しい反応液を、オルトギ酸トリメチル(4.47kg、42.15mol、4.62L)および4-トルエンスルホン酸一水和物(26.72g、140.5mmol)でそれぞれ処理した。混合物を13℃で25時間撹拌した。各バッチをNaHCO
3飽和水溶液(1L)で別々に失活させ、次いで、2つのバッチを合わせ、真空濃縮して、メタノールの大部分を除去した。残渣を酢酸エチル(4L)で希釈し、層を分離した。水層を酢酸エチル(2×1L)でさらに抽出した。合わせた有機層をNaCl飽和水溶液(3×1L)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空濃縮して、(±)-メチル3,3-ジメトキシシクロペンタンカルボキシレート(1a、2.5kg、13.28mol、94%)を淡黄色の油状物として得た。
1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ = 3.67 (s, 3H), 3.20 (s, 3H), 3.19 (s, 3H), 2.94-2.82 (m, 1H),
2.16-2.00 (m, 2H), 1.99-1.76 (m, 4H).
THF(3L)を含有する反応器に、-65℃で、n-ブチルリチウムの溶液(2.5Mヘキサン溶液3.44L、8.6mol)を加えた。無水アセトニトリル(453mL、353g、8.61mol)を、内部温度を-55℃未満に保つに足る緩やかさで滴下して加えた。混合物を-65℃でさらに1時間撹拌した。次いで、(±)-メチル3,3-ジメトキシシクロペンタンカルボキシレート(1a、810g、4.30mol)のTHF(1L)溶液を、内部温度を-50℃未満に保つに足る緩やかさで滴下して加えた。-65℃でもう1時間撹拌した後、水(4L)で反応を失活させ、HCl水溶液(1M)でpH7に中和し、酢酸エチル(3×3L)で抽出した。合わせた有機層をNaCl飽和水溶液(2×3L)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空濃縮して、粗(±)-3-(3,3-ジメトキシシクロペンチル)-3-オキソプロパンニトリル(1b、722g、3.66mol、85%)を赤色の油状物として得、これをそれ以上精製せずに使用した。
tert-ブチルヒドラジン塩酸塩(409.4g、3.29mol)のエタノール(3L)懸濁液に、16~25℃で、固体水酸化ナトリウム(合計131.4g、3.29mol)を少量ずつ加えた。撹拌を25℃で1時間継続した。粗(±)-3-(3,3-ジメトキシシクロペンチル)-3-オキソプロパンニトリル(1b、540g、2.74mol)のエタノール溶液を25℃で加え、次いで、混合物を内部温75℃に加熱し、30時間撹拌した。反応液を濾過し、濾液を真空濃縮して、粗生成物を赤色の油状物として得た。この生成物を、同一に調製したもう3回分のバッチからの粗生成物と合わせ(それぞれ540gの1bで出発、4バッチの合計で2.16kg、10.96mol)、(石油エーテル中0~35%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、(±)-1-tert-ブチル-3-(3,3-ジメトキシシクロペンチル)-1H-ピラゾール-5-アミン(1c、1.60kg、5.98mol、収率54%)を赤色の油状物として得た。1H NMR (クロロホルム-d) δ = 5.41 (s,
1H), 3.50 (br. s., 2H), 3.22 (s, 3H), 3.20 (s, 3H), 3.13 (tt, J=7.9, 9.6 Hz,
1H), 2.25 (dd, J=8.0, 13.3 Hz, 1H), 2.09-2.00 (m, 1H), 1.99-1.91 (m, 1H), 1.83
(dd, J=10.8, 12.8 Hz, 2H), 1.78-1.68 (m, 1H), 1.60 (s, 9H).
冷えた(0~5℃)(±)-1-tert-ブチル-3-(3,3-ジメトキシシクロペンチル)-1H-ピラゾール-5-アミン(1c、530g、1.98mol)のアセトニトリル(3.5L)溶液に、クロロギ酸ベンジル(563.6mL、676.3g、3.96mol)を加えた。混合物を23℃で2時間撹拌し、次いで、固体炭酸水素ナトリウム(532.9g、6.34mol)を少量ずつ加えた。撹拌を23℃で26時間継続した。得られる懸濁液を濾過し、濾液を真空濃縮して、粗(±)-ベンジル[1-tert-ブチル-3-(3,3-ジメトキシシクロペンチル)-1H-ピラゾール-5-イル]カルバメート(1d、980g、1.98mol最大量)を赤色の油状物として得、これをそれ以上精製せずに次のステップで使用した。
18℃の粗(±)-ベンジル[1-tert-ブチル-3-(3,3-ジメトキシシクロペンチル)-1H-ピラゾール-5-イル]カルバメート(1d、980g、1.98mol最大量)のアセトン(2L)および水(2L)溶液を、4-トルエンスルホン酸一水和物(48.75g、256.3mmol)で処理した。混合物を20時間内部温60℃に加熱した。真空濃縮してアセトンの大部分を除去した後、水性残渣をジクロロメタン(3×3L)で抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空濃縮して、赤色の粗油状物とした。この粗生成物を、同一に調製した他の2回分のバッチからの粗生成物と合わせ(それぞれ1.98molの1cから得たもの、3バッチの合計で5.94mol)、(石油エーテル中0~50%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、(±)-ベンジル[1-tert-ブチル-3-(3-オキソシクロペンチル)-1H-ピラゾール-5-イル]カルバメート(1e、1.6kg)を黄色の固体として得た。この固体を、10:1の石油エーテル/酢酸エチル(1.5L)中にて20℃で18時間撹拌した。得られる懸濁液を濾過し、濾過ケークを石油エーテル(2×500mL)で洗浄し、固体を真空乾燥して、(±)-ベンジル[1-tert-ブチル-3-(3-オキソシクロペンチル)-1H-ピラゾール-5-イル]カルバメート(1e、3バッチを合わせて1.4kg、3.9mol、66%)。1H NMR (DMSO--d6) δ = 9.12 (br. s., 1H), 7.56-7.13 (m, 5H),
6.03 (s, 1H), 5.12 (s, 2H), 3.41-3.27 (m, 1H), 2.48-2.39 (m, 1H), 2.34-2.10 (m,
4H), 1.98-1.81 (m, 1H), 1.48 (s, 9H).
(±)-ベンジル[1-tert-ブチル-3-(3-オキソシクロペンチル)-1H-ピラゾール-5-イル]カルバメート(1e、320g、0.900mol)のTHF(1.5L)溶液を、真空下で脱気し、乾燥窒素でパージし(3サイクル)、次いで、内部温-65℃に冷却した。水素化トリエチルホウ素リチウムの溶液(THF中1.0M、1.80L、1.80mol)を、内部温度を-55℃未満に保つ速度で滴下して加え、次いで、撹拌を-65℃で1.5時間継続した。反応混合物を、-40~-30℃のNaHCO3飽和水溶液(1.5L)で失活させた。内部温度を-10~0℃に保ちながら、混合物に、過酸化水素(30%水溶液、700g)を滴下して加えた。混合物を10℃で1時間撹拌し、次いで、酢酸エチル(3×2L)で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO3飽和水溶液(2×1L)およびNaCl飽和水溶液(2×1L)で洗浄した。有機分を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空濃縮して、黄色の粗油状物とした。このバッチからの粗生成物を、同一に調製した他の3回分のバッチと合わせて(それぞれ0.900molの1eから出発して合計3.60mol)、精製した。合わせた混合物は、クロマトグラフィー前には、NMRによっておよそ3.3:1のシス/トランス比を示した。合わせた粗生成物を、(ジクロロメタン中0~50%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって2回精製して、(±)-trans-ベンジル[1-tert-ブチル-3-(3-ヒドロキシシクロペンチル)-1H-ピラゾール-5-イル]カルバメート(1f、960g)を淡黄色の固体として得、これを、以下に記載するとおりに、摩砕によってさらに精製した。
1fの先行バッチを、合計120gの1e(0.34mol)から出発する、より小規模の反応から取得していた。このバッチからの、カラムにかけた生成物を、上記バッチからの、カラムにかけた生成物と合わせ(この生成物は、3.60molの1eから得ており、合わせたすべてのバッチには、合計3.94molの1eが使用された)、10:1のジクロロメタン/メタノール(1.5L)に懸濁させ、20℃で16時間撹拌した。懸濁液を濾過し、濾過ケークを石油エーテル(2×500mL)で洗浄した。固体を真空乾燥して、クリーンな(±)-trans-ベンジル[1-tert-ブチル-3-(3-ヒドロキシシクロペンチル)-1H-ピラゾール-5-イル]カルバメート(1f、840g、2.35mol、合わせたすべてのバッチの合計収率60%)を白色の固体として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 9.07 (br. s., 1H), 7.45-7.27 (m, 5H),
5.92 (s, 1H), 5.11 (s, 2H), 4.57 (d, J=4.5 Hz, 1H), 4.21-4.07 (m, 1H), 2.88 (五重線, J=8.6 Hz, 1H), 2.24-2.13 (m, 1H),
1.92-1.78 (m, 1H), 1.78-1.62 (m, 2H), 1.61-1.53 (m, 1H), 1.47 (s, 9H),
1.52-1.43 (m, 1H). MS: 358 [M+H]+.
(±)-trans-ベンジル[1-tert-ブチル-3-(3-ヒドロキシシクロペンチル)-1H-ピラゾール-5-イル]カルバメート(1f、700g、1.96mol)の鏡像異性体を、キラルSFCによって分離した。
第1の溶出鏡像異性体ピークからの生成物(固体310g)を、メタノール/石油エーテル(1:10、1L)に懸濁させ、25℃で1時間撹拌した。懸濁液を濾過し、フィルターパッドを石油エーテル(2×500mL)で洗浄し、固体を真空乾燥して、ベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート(中間体1、255g、713mmol、36%、>99%ee)を白色の固体として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 9.08 (br. s., 1H), 7.58-7.20 (m, 5H),
5.92 (s, 1H), 5.11 (s, 2H), 4.57 (d, J=4.4 Hz, 1H), 4.19-4.09 (m, 1H), 2.88 (五重線, J=8.6 Hz, 1H), 2.24-2.13 (m, 1H),
1.91-1.79 (m, 1H), 1.79-1.61 (m, 2H), 1.61-1.53 (m, 1H), 1.47 (s, 9H),
1.52-1.44 (m, 1H). MS: 358 [M+H]+.旋光[α]D+3.76(c 1.0,MeOH)。キラル純度:>99%ee、保持時間3.371分。キラルSFC分析は、40℃に加熱したChiralPak AD-3 150×4.6mmID、3μmカラムで実施し、CO2の移動相、および5.5分かけて0~40%のメタノール+0.05%DEA、次いで、3分間40%で保持の勾配を用い、2.5mL/分の流量で溶離させた。
第2の溶出鏡像異性体ピークからの生成物(固体300g)を、メタノール/石油エーテル(1:10、1L)に懸濁させ、25℃で1時間撹拌した。懸濁液を濾過し、フィルターパッドを石油エーテル(2×500mL)で洗浄し、固体を真空乾燥して、ベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1R,3S)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート(中間体2、255g、713mmol、36%、94%ee)を白色の固体として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 9.08 (br. s., 1H), 7.55-7.19 (m, 5H),
5.92 (s, 1H), 5.11 (s, 2H), 4.57 (d, J=4.4 Hz, 1H), 4.23-4.07 (m, 1H), 2.88 (五重線, J=8.7 Hz, 1H), 2.23-2.14 (m, 1H),
1.90-1.79 (m, 1H), 1.77-1.61 (m, 2H), 1.61-1.53 (m, 1H), 1.47 (s, 9H),
1.52-1.44 (m, 1H). MS: 358 [M+H]+.旋光[α]D-2.43(c1.0、MeOH)。キラル純度:94%ee、保持時間3.608分。キラルSFC分析は、40℃に加熱したChiralPak AD-3 150×4.6mmID、3μmカラムで実施し、CO2の移動相、および5.5分かけて0~40%のメタノール+0.05%DEA、次いで、3分間40%で保持の勾配を用い、2.5mL/分の流量で溶離させた。
[α]Dが-3.1(c1.1、MeOH)であり、96%eeである、先のバッチからの第2の溶出鏡像異性体のサンプルを、ジクロロエタン/ペンタンから結晶化した。低分子X線結晶構造解析によって結晶構造を取得し、(1R,3S)配置が示された。したがって、中間体2の絶対立体化学には、その匹敵する旋光および分析法における溶出の順序に基づき、(1R,3S)を割り当てた。それと共に、中間体2の鏡像異性体である中間体1には、(1S,3R)立体化学を割り当てた。
中間体3:(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)酢酸
15℃のプロパ-2-イル-1-アミン(25.0g、450mmol)のジクロロメタン(500mL)溶液を、トリエチルアミン(138g、1360mmol)およびDMAP(5.55g、45.4mmol)で処理した。混合物を0℃に冷却し、メチル3-クロロ-3-オキソプロパノエート(74.4g、545mmol)を30分かけて滴下して加えた。得られる溶液を15℃で16時間撹拌し、次いで、その温度で2日間静置した。得られる懸濁液を濾過し、濾液を真空濃縮し、残渣を、(60%のEtOAc/石油エーテルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、メチル3-オキソ-3-(プロパ-2-イン-1-イルアミノ)プロパノエート(3a、47g、67%、NMRによる純度90%)を淡黄色の油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 7.43 (br s, 1H), 4.09 (dd, J=2.6, 5.3 Hz, 2H), 3.76 (s, 3H), 3.36
(s, 2H), 2.25 (s, 1H).
2つの相等しいバッチを、次の手順に従って運行させた。メチル3-オキソ-3-(プロパ-2-イン-1-イルアミノ)プロパノエート(3a、23.5g、151mmol)のアセトニトリル(300mL)溶液を、室温(20℃)において三塩化金(2.50g、8.24mmol)で処理した。得られる混合物を、暗所において70℃で16時間加熱した。次いで、2つのバッチを合わせ、濾過して触媒を除去し、濾液を濃縮乾燥した。残渣を、(40%のEtOAc/石油エーテルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、メチル(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)アセテート(3b、26.5g、合わせたバッチについて56.5%)を淡黄色の油状物として得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 6.68 (d, J=1.0 Hz, 1H), 3.80 (s, 2H), 3.75 (s, 3H), 2.30 (d,
J=1.3 Hz, 3H).
メチル(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)アセテート(3b、26.5g、170.8mmol)のTHF(80mL)および水(20mL)溶液を、水酸化リチウム一水和物(7.17g、171mmol)で処理し、室温(25℃)で2時間撹拌した。混合物を濃縮して、THFの大部分を除去し、次いで、残渣を水(25mL)で希釈し、ジクロロメタン(2×30mL)で抽出した。水層を濃縮して、粗生成物(およそ26g)を得、これを、EtOAc/MeOH(v/v 10/1)での摩砕によってさらに精製して、リチウム(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)アセテート(中間体3、21.7g、90%)を淡黄色の固体として得た。1H NMR (400 MHz, 重水) δ = 6.63 (d, J=1.0 Hz, 1H), 3.59 (s, 2H), 2.22 (d, J=1.0 Hz, 3H).
中間体4:リチウム(5-メトキシピラジン-2-イル)アセテート
2,5-ジブロモピラジン(30.0g、126mmol)のTHF(252mL)溶液を0℃に冷却した。ナトリウムメトキシド(25wt%メタノール溶液、29.0mL、27.3g、126mmol)を18分かけて滴下して加えた。溶液を室温に温め、37時間撹拌した。懸濁液を濾過し、フラスコおよび濾過ケークを少量のTHFですすぎ、濾液を真空濃縮して、2-ブロモ-5-メトキシピラジン(4a、23.80g、100%)を固体として得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 8.20 (d, J=1.2 Hz, 1H), 8.03 (d, J=1.2 Hz, 1H), 3.97 (s, 3H).
窒素パージしたフラスコに、ヨウ化銅(I)(2.82g、14.8mmol)、2-ピコリン酸(3.65g、29.6mmol)、炭酸セシウム(36.2g、111mmol)、および2-ブロモ-5-メトキシピラジン(4a、7.00g、37.03mmol)を装入した。フラスコを再び窒素パージし、次いで、無水ジオキサン(250mL)およびマロン酸ジメチル(22mL、192mmol)をシリンジで導入した。溶液に窒素を10分間通気した。混合物を100℃で36時間加熱した。室温に冷却した後、懸濁液を濾過し、濾液を濃縮して油状物とした。濾過ケーク中に残存する固体を水(150mL)に懸濁させ、溶液を4M HCl(およそ17mL)でゆっくりと酸性化した。この溶液を酢酸エチル(2×150mL)で抽出した。酢酸エチル抽出物を、濾液から得た粗油状物と合わせ、すべてをNH4Cl飽和水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、(ヘプタン中0~50%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、ジメチル(5-メトキシピラジン-2-イル)プロパンジオエート(4b、5.94g、67%)を油状物として得たが、これを静置すると凝固する。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 8.23 (d, J=1.3 Hz, 1H), 8.18 (d, J=1.3 Hz, 1H), 4.90 (s, 1H),
3.97 (s, 3H), 3.79 (s, 6H).
ジメチル(5-メトキシピラジン-2-イル)プロパンジオエート(4b、7.30g、30.4mmol)のDMSO(51mL)および水(3.4mL)溶液を、0℃に冷却した。固体塩化リチウム(5.15g、122mmol)を加え、塩化物を17時間100℃に加熱した。濃赤色の溶液を酢酸エチル(150mL)と水(300mL)とに分配した。水層を酢酸エチル(3×50mL)でさらに抽出した。合わせた有機分を、NaCl半飽和水溶液およびNaCl飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を、(ヘプタン中0~60%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、メチル(5-メトキシピラジン-2-イル)アセテート(4c、3.86g、70%)を油状物として得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 8.18 (d, J=1.3 Hz, 1H), 8.06 (d, J=1.2 Hz, 1H), 3.96 (s, 3H),
3.79 (s, 2H), 3.73 (s, 3H).
メチル(5-メトキシピラジン-2-イル)アセテート(4c、3.86g、21.2mmol)および水酸化リチウム一水和物(889mg、21.2mmol)のTHF(42mL)および水(42mL)懸濁液を、25℃で14時間撹拌した。LCMSによると、未反応のエステルが依然として存在したため、追加の水酸化リチウム一水和物(50mg、1.2mmol)を加え、撹拌を25℃で6時間継続した。変換が依然として完了していなかったため、さらに多くの水酸化リチウム一水和物(110mg、2.62mmol;合計1.049g、25mmol)を加え、混合物を2時間30℃に加熱した。真空下でTHFを除去し、水性残渣を凍結乾燥して乾燥させると、リチウム(5-メトキシピラジン-2-イル)アセテート(中間体4、4.272g、理論質量3.71gの115%)が、水酸化リチウムとの混合物として残った。1H NMR (400MHz, 重水) δ = 8.14 (d, J=1.3 Hz, 1H), 8.01 (d, J=1.2 Hz, 1H), 3.93 (s, 3H),
3.64 (s, 2H).
中間体5:リチウム3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキシレート
ジクロロメタン(250mL)中のメチル3-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキシレート(CAS#1208081-25-7、15.0g、88.1mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(14.8g、115mmol)からなる冷却した(0℃)混合物に、塩化メタンスルホニル(11.32g、98.8mmol)のジクロロメタン(50mL)溶液を滴下して加えた。加え終えた後、混合物を0℃で45分間撹拌した。反応混合物をNH4Cl飽和水溶液で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、メチル1-メチル-3-{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}-1H-ピラゾール-5-カルボキシレート(5a、22.6g、>99%)を黄色の油状物として得、これをそれ以上精製せずに使用した。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 6.98 (s, 1H), 5.26 (s, 2H), 4.20 (s, 3H), 3.91 (s, 3H), 3.03 (s,
3H).
室温のメチル1-メチル-3-{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}-1H-ピラゾール-5-カルボキシレート(5a、22.6g、91.0mmol)のメタノール(200mL)溶液を、少量ずつの固体ナトリウムメトキシド(9.84g、182mmol)で処理した。反応液を30分間70℃に加熱した。TLCによって、エステルの部分的な加水分解が示唆されたため、エステル化し直すために、濁った混合物を酢酸エチル中4MのHCl(40mL、160mmol)で酸性化し、加熱を70℃で5時間継続した。混合物を濃縮乾燥すると、白色の固体が残った。この固体を、酢酸エチル/石油エーテル(1/3、3×200mL)で抽出した。合わせた抽出物を濃縮乾燥し、次いで、残った固体を酢酸エチル/石油エーテル(1/3、100mL)で抽出し直し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、メチル3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキシレート(5b、14.5g、86%、NMRによる純度80%)を淡黄色の液体として得たが、これを静置すると凝固した。主成分のみ:1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 6.83 (s, 1H), 4.45 (s, 2H), 4.16 (s, 3H), 3.88 (s, 3H), 3.39 (s,
3H).
メチル3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキシレート(5b、14.5g、78.7mmol)および水酸化リチウム一水和物(3.47g、82.7mmol)のTHF(150mL)および水(50mL)溶液を、室温で16時間撹拌した。真空下でTHFを除去し、残渣を水(100mL)に溶解させ、ジクロロメタン(3×30mL)で抽出した。有機層を捨てた。水層を濃縮し、真空乾燥して、リチウム3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキシレート(中間体5、12.85g、92%)を黄色の固体として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 6.37 (s, 1H), 4.24 (s, 2H), 4.01 (s,
3H), 3.20 (s, 3H). MS: 171 [M+H]+.
一般方法および代表的な実施例
方法A
(実施例1)
(1R,3S)-3-(3-{[(2-メトキシピリジン-4-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルプロピルカルバメート
室温のベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート(中間体1、5.00g、14.0mmol)およびクロロギ酸4-ニトロフェニル(4.23g、21.0mmol)の無水ジクロロメタン(50mL)溶液を、ピリジン(3.40mL、42.0mmol)および4-(ジメチルアミノ)ピリジン(170mg、1.4mmol)で処理した。室温で終夜撹拌した後、溶液を濃縮し、(n-ヘプタン中0~100%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、(1R,3S)-3-(5-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(1A、7.30g、100%)を固形泡沫として得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 8.24-8.14 (m, 2H), 7.36-7.22 (m, 7H), 6.21 (br. s., 1H), 6.06
(br. s., 1H), 5.25 - 5.15 (m, 1H), 5.12 (s, 2H), 3.15-2.97 (m, 1H), 2.58-2.47
(m, 1H), 2.09-1.78 (m, 5H), 1.51 (s, 9H). MS: 523 [M+H]+.
(1R,3S)-3-(5-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(1A、36g、69mmol)の2-メチルテトラヒドロフラン(300mL)溶液を10℃に冷却した。ジイソプロピルエチルアミン(26.7g、36mL、207mmol)およびプロパン-1-アミン(6.11g、8.52mL、103mmol)を加え、溶液を10℃で16時間撹拌した。濃縮乾燥した後、残渣を酢酸エチル(600mL)で希釈し、1M NaOH(4×200mL)、次いで、NaCl飽和水溶液(100mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗ベンジル(1-tert-ブチル-3-{(1S,3R)-3-[(プロピルカルバモイル)オキシ]シクロペンチル}-1H-ピラゾール-5-イル)カルバメート(1B、30g、98%)を得、これをそれ以上精製せずに使用した。
酢酸エチル(300mL)およびTHF(150mL)中のPd/C(50%H2O、8g)および粗ベンジル(1-tert-ブチル-3-{(1S,3R)-3-[(プロピルカルバモイル)オキシ]シクロペンチル}-1H-ピラゾール-5-イル)カルバメート(1B、30g、68mmol)からなる室温(20~25℃)の懸濁液を、脱気および水素パージし(3サイクル)、次いで、水素バルーンを用いながら室温で16時間撹拌した。懸濁液を濾過し、濾液を真空濃縮し、残渣を酢酸エチル(50mL)および石油エーテル(300mL)から結晶化すると、(1R,3S)-3-(5-アミノ-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチルプロピルカルバメート(1C、17.65g、84%)が白色の固体として得られた。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 7.00 (br t, J=5.6 Hz, 1H), 5.23 (s, 1H),
4.95 (br s, 1H), 4.82-4.58 (m, 2H), 2.91 (q, J=6.6 Hz, 2H), 2.85-2.73 (m, 1H),
2.37-2.21 (m, 1H), 1.92-1.76 (m, 2H), 1.72-1.52 (m, 3H), 1.48 (s, 9H),
1.44-1.32 (m, 2H), 0.82 (t, J=7.4 Hz, 3H). MS: 309 [M+H]+.]+.旋光[α]D-4.04(C 0.89,MeOH)。キラル純度:キラル分析SFCによれば98%ee。
ジクロロメタン(250mL)中の(1R,3S)-3-(5-アミノ-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチルプロピルカルバメート(1C、8.65g、28.05mmol)、(2-メトキシピリジン-4-イル)酢酸(CAS#464152-38-3、5.86g、33.7mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(14.7mL、84.1mmol)、およびプロピルホスホン酸無水物(T3P(登録商標)、50wt%のEtOAc溶液、53.5g、84.1mmol)からなる冷却した(10℃)混合物を、16時間撹拌した。反応をNa2CO3飽和水溶液(20mL)で失活させ、ジクロロメタン(100mL)で抽出した。有機層をさらに多くのNa2CO3飽和水溶液(2×200mL)およびNaCl飽和水溶液(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾燥した。精製については、このバッチを、1.0gおよび8.0gの1Cから得られた、同様に調製した他の2回分のバッチと合わせた(3バッチについての合計SM=17.65g、57.23mmolの1C)。(0~60%のEtOAc/石油エーテルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーにかけると、(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(2-メトキシピリジン-4-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチルプロピルカルバメート(1D、合わせたバッチについて25g、収率95%)が得られた。MS:458[M+H]+。
(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(2-メトキシピリジン-4-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチルプロピルカルバメート(1D、20.5g、44.8mmol)のギ酸(50mL)溶液を、75℃で20時間撹拌した。精製については、このバッチを、より小規模のバッチ(4.50g、9.84mmolの1Dから得て、合計25.0g、54.6mmolとしたもの)と合わせ、濃縮乾燥し、分取HPLC[Phenomenex Gemini C18 250×50mm×10μmカラム;ACN中の水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)の勾配で15分かけて溶離;110mL/分の流量]によって精製した。淡黄色の固体としての純粋な(1R,3S)-3-(3-{[(2-メトキシピリジン-4-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルプロピルカルバメート(実施例1、合わせたバッチについて16.61g、収率76%)。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 11.62-9.81 (m, 1H), 9.06 (br s, 1H), 8.06 (d, J=5.3 Hz, 1H), 6.79
(d, J=5.3 Hz, 1H), 6.66 (s, 1H), 6.50 (s, 1H), 5.24-4.94 (m, 2H), 3.88 (s, 3H),
3.58 (s, 2H), 3.19-2.83 (m, 3H), 2.54-2.28 (m, 1H), 2.04 (br s, 1H), 1.97-1.70
(m, 4H), 1.54-1.34 (m, 2H), 0.85 (br t, J=7.0 Hz, 3H). MS: 402 [M+H]+.旋光[α]D+17.1(c 1.06,MeOH)。キラル純度:キラル分析SFCによれば96%ee。
(実施例2)
(1R,3S)-3-(3-{[(2-メチル-1,3-チアゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルプロパン-2-イルカルバメート
(1R,3S)-3-(5-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(1A、2.00g、3.83mmol)、イソプロピルアミン(294mg、4.98mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(3.33mL、19.1mmol)のTHF(20mL)溶液を、10℃で4時間撹拌した。濃縮乾燥した後、残渣を酢酸エチル(100mL)で希釈し、溶液を1M水酸化ナトリウム(4×50mL)およびNaCl飽和水溶液(30mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗ベンジル(1-tert-ブチル-3-{(1S,3R)-3-[(プロパン-2-イルカルバモイル)オキシ]シクロペンチル}-1H-ピラゾール-5-イル)カルバメート(2A、1.8g、粗材料100%)を得た。
酢酸エチル(10mL)およびTHF(5mL)中の粗ベンジル(1-tert-ブチル-3-{(1S,3R)-3-[(プロパン-2-イルカルバモイル)オキシ]シクロペンチル}-1H-ピラゾール-5-イル)カルバメート(2A、1.8g、3.83mmol)およびPd/C(ウェット、200mg)からなる室温(10℃)の懸濁液を、脱気および水素パージし、次いで、水素バルーンを用いながら10℃で16時間撹拌した。濾過によって触媒を除去し、濾液を濃縮乾燥した。残渣を、アセトニトリル中25~45%の水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)を溶離液とするPhenomenex Gemini C18 250*50mm*10μmカラムでの分取HPLCによって精製した。生成物含有画分を凍結乾燥すると、(1R,3S)-3-(5-アミノ-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチルプロパン-2-イルカルバメート(2B、1.0g、85%)が黄色の油状物として得られた。MS:309[M+H]+。
冷却した(0℃)(1R,3S)-3-(5-アミノ-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチルプロパン-2-イルカルバメート(2B、80mg、0.26mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(92.7mg、0.718mmol)、および(2-メチル-1,3-チアゾール-5-イル)酢酸(CAS#52454-65-6、45.1mg、0.287mmol)のジクロロメタン(3mL)溶液に、プロピルホスホン酸無水物(T3P(登録商標)、50wt%のEtOAc溶液、457g、0.718mmol)を加えた。混合物を室温(10℃)で16時間撹拌し、次いで、ジクロロメタン(20mL)とNa2CO3飽和水溶液(10mL)とに分配した。有機層をNaCl飽和水溶液(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(2-メチル-1,3-チアゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチルプロパン-2-イルカルバメート(2C、120mg、粗材料100%)を黄色のゴム質として得た。
粗(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(2-メチル-1,3-チアゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチルプロパン-2-イルカルバメート(2C、120mg、0.26mmol)をギ酸(5mL)に溶解させ、75℃で20時間撹拌した。真空下で揮発性物質を除去し、残渣を、アセトニトリル中12~52%の水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)を溶離液とするXtimate C18 150*25mm*5μmカラムでの分取HPLCによって精製した。生成物含有画分を凍結乾燥すると、(1R,3S)-3-(3-{[(2-メチル-1,3-チアゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルプロパン-2-イルカルバメート(実施例2、60.35mg、58%)が白色の固体として得られた。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 12.10 (s, 1H), 10.58 (s, 1H), 7.41 (s,
1H), 6.95 (br d, J=6.3 Hz, 1H), 6.29 (s, 1H), 4.98 (br s, 1H), 3.81 (s, 2H),
3.57 (br d, J=6.5 Hz, 1H), 3.03 (br s, 1H), 2.59 (s, 3H), 2.45 (br s, 1H),
2.07-1.81 (m, 2H), 1.78-1.44 (m, 3H), 1.03 (br d, J=6.5 Hz, 6H). MS: 392 [M+H]+.キラル純度:キラル分析SFCによれば99%ee。
(実施例3)
(1R,3S)-3-(3-{[(1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルエチルカルバメート
(1R,3S)-3-(5-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(1A、2.5g、4.8mmol)およびエチルアミン(1.08g、23.9mmol)のTHF(20mL)溶液を、30℃で3時間撹拌し、濃縮乾燥し、残渣をジクロロメタン(30mL)に溶解させた。溶液を、有機層が無色になるまでNaOH水溶液で洗浄し(5×5mL)、次いで、水(5mL)およびNaCl飽和水溶液(5mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗ベンジル(1-tert-ブチル-3-{(1S,3R)-3-[(エチルカルバモイル)オキシ]シクロペンチル}-1H-ピラゾール-5-イル)カルバメート(3A、2.0g、97%、LCMSによる純度>80%)を無色の油状物として得た。MS:429[M+H]+、451[M+Na]+。
粗ベンジル(1-tert-ブチル-3-{(1S,3R)-3-[(エチルカルバモイル)オキシ]シクロペンチル}-1H-ピラゾール-5-イル)カルバメート(3A、2.0g、4.7mmol)を酢酸エチル(30mL)およびTHF(10mL)に溶解させ、溶液を脱気し、10%Pd/C触媒(ウェット、200mg)を加えた。懸濁液を、水素バルーンを用いながら室温(10℃)で2時間撹拌した。濾過によって触媒を除去し、濾液を濃縮乾燥し、残渣を、(石油エーテル中0~60%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、(1R,3S)-3-(5-アミノ-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチルエチルカルバメート(3B、1.15g、84%)を淡黄色のゴム質として得たが、これを静置すると凝固して、淡黄色の固体となった。MS: 295 [M+H]+. 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ = 5.43 (s, 1H), 5.13 (br s, 1H), 4.58 (br s, 1H), 3.50 (br s, 2H),
3.31-3.13 (m, 2H), 2.99 (五重線,
J=8.5 Hz, 1H), 2.53-2.39 (m, 1H), 2.04-1.96 (m, 1H), 1.95-1.87 (m, 1H),
1.87-1.68 (m, 3H), 1.62 (s, 9H), 1.14 (t, J=7.2 Hz, 3H).キラル純度:キラル分析SFCによれば>98%ee。
室温(10℃)の(1R,3S)-3-(5-アミノ-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチルエチルカルバメート(3B、80.0mg、0.272mmol)、2-(1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)酢酸(CAS#1176749-66-8、59.1mg、0.311mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(0.142mL、0.815mmol)のジクロロメタン(5mL)溶液に、プロピルホスホン酸無水物(T3P(登録商標)、50wt% EtOAc溶液、0.485mL、0.815mmol)を加えた。混合物を3時間撹拌し、次いで、ジクロロメタン(5mL)と水(3mL)とに分配した。有機層をNa2CO3飽和水溶液(2×3mL)、NH4Cl飽和水溶液(2×3mL)、水(2mL)、およびNaCl飽和水溶液(2mL)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウムで乾燥させた、濾過し、濃縮して、粗(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチルエチルカルバメート(3C、127mg、粗材料100%)を淡黄色のゴム質として得た。MS:489[M+Na]+。
粗(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチルエチルカルバメート(3C、127mg、0.272mmol)のギ酸(6mL)溶液を、75℃で18時間加熱した。反応混合物を濃縮乾燥し、次いで、アセトニトリル中24~44%の水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)を溶離液とするDuraShell 150*25mm*5μmカラムでの分取HPLCによって精製した。生成物含有画分を凍結乾燥した後、(1R,3S)-3-(3-{[(1-メチル-1H-インダゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルエチルカルバメート(実施例3、52.39mg、47%)を白色の固体として取得した。MS: 411 [M+H]+. 1H NMR (400MHz, DMSO-d6)
δ = 12.05 (br s, 1H), 10.51 (s,
1H), 8.06-7.95 (m, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.56 (d, J=8.5 Hz, 1H), 7.35 (dd, J=1.4,
8.7 Hz, 1H), 7.02 (br t, J=5.5 Hz, 1H), 6.27 (br s, 1H), 4.97 (br s, 1H),
4.04-3.95 (m, 3H), 3.66 (s, 2H), 3.10-2.85 (m, 3H), 2.43 (td, J=6.9, 14.0 Hz,
1H), 2.04-1.92 (m, 1H), 1.91-1.80 (m, 1H), 1.74-1.49 (m, 3H), 0.97 (t, J=7.2
Hz, 3H).キラル純度:キラル分析SFCによれば99%ee。
(実施例4)
(1R,3S)-3-(3-{[(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)カルボニル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバメート
(1R,3S)-3-(5-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(1A、22.0g、42.1mmol)、(S)-(+)-sec-ブチルアミン(4.00g、54.7mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(36.7mL、211mmol)のTHF(300mL)溶液を、10℃で16時間撹拌した。混合物を濃縮乾燥し、残渣を酢酸エチル(500mL)で希釈した。溶液を1M NaOH水溶液(4×200mL)およびNaCl飽和水溶液(100mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗ベンジル{3-[(1S,3R)-3-{[(2S)-ブタン-2-イルカルバモイル]オキシ}シクロペンチル]-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート(4A、18g、94%、LCMSによる純度およそ80%)を得た。MS:479[M+Na]+。
室温(10℃)の粗ベンジル{3-[(1S,3R)-3-{[(2S)-ブタン-2-イルカルバモイル]オキシ}シクロペンチル]-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート(4A、18g、39mmol)の酢酸エチル(200mL)およびTHF(100mL)溶液を脱気し、Pd/C触媒(ウェット、5g)で処理した。懸濁液を、水素バルーンを用いながら16時間撹拌した。混合物を濾過して触媒を除去し、濾液を濃縮乾燥した。精製については、このバッチを、20gの4Aから同じ方法によって得られた粗材料の第2のバッチと合わせ(両方のバッチの合計:38g、83mmol)、アセトニトリル中30~50%の水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)を溶離液とするPhenomenex Gemini C18 250*50mm*10μmカラムでの分取HPLCによって精製した。凍結乾燥後、(1R,3S)-3-(5-アミノ-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバメート(4B、20.1g、合わせたバッチについて75%)。MS: 323 [M+H]+. 1H NMR (400MHz, DMSO-d6)
δ = 6.86 (br d, J=8.3 Hz, 1H),
5.22 (s, 1H), 4.94 (br s, 1H), 4.82-4.49 (m, 2H), 3.46-3.36 (m, 1H), 2.90-2.71
(m, 1H), 2.38-2.24 (m, 1H), 1.91-1.75 (m, 2H), 1.74-1.53 (m, 3H), 1.52-1.46 (m,
9H), 1.43-1.27 (m, 2H), 1.01 (d, J=6.5 Hz, 3H), 0.81 (t, J=7.4 Hz, 3H).旋光[α]D+4.0(c1.3,MeOH)。キラル純度:キラル分析SFCによれば98%de。
冷却した(0℃)(1R,3S)-3-(5-アミノ-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバメート(4B、100mg、0.310mmol)、1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-カルボン酸(CAS#716361-91-0、59.1mg、0.465mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(120mg、0.93mmol)のジクロロメタン(5mL)溶液に、プロピルホスホン酸無水物(T3P(登録商標)、50wt% EtOAc溶液、592mg、0.93mmol)を加えた。混合物を10℃で18時間撹拌し、次いで、Na2CO3飽和水溶液およびNaCl飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)カルボニル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバメート(4C、130mg、97%)を黄色のゴム質として得た。MS:432[M+H]+、454[M+Na]+。
粗(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)カルボニル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバメート(4C、130mg、0.301mmol)のギ酸(3mL)溶液を、75℃で6日間撹拌した。混合物を濃縮乾燥し、残渣を、アセトニトリル中10~51%の水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)を溶離液とするDuraShell 150*25mm*5μmカラムでの分取HPLCによって精製した。凍結乾燥後、(1R,3S)-3-(3-{[(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)カルボニル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバメート(実施例4、27.67mg、24%)を淡黄色の固体として取得した。MS: 376 [M+H]+. 1H NMR (400MHz, DMSO-d6)
δ = 12.32 (br s, 1H), 11.14 (s,
1H), 8.46 (s, 1H), 6.90 (br d, J=8.0 Hz, 1H), 6.45 (br s, 1H), 5.00 (br d,
J=3.8 Hz, 1H), 4.25 (s, 3H), 3.36 (br s, 2H), 3.29-2.99 (m, 1H), 2.09-2.01 (m,
1H), 1.95-1.84 (m, 1H), 1.81-1.56 (m, 3H), 1.44-1.27 (m, 2H), 1.01 (br d, J=6.5
Hz, 3H), 0.80 (br t, J=7.4 Hz, 3H).キラル純度:キラル分析SFCによれば>98%de。
(実施例5)
(1R,3S)-3-(3-{[(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート
(1R,3S)-3-(5-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(1A、9.50g、18.2mmol)、1-メチルシクロプロパンアミン塩酸塩(2.93g、27.2mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(10.0mL、58.2mmol)のDMF(80mL)溶液を、60℃で2時間撹拌した。室温に冷却した後、混合物を酢酸エチル(300mL)と水(300mL)とに分配した。有機層を水(2×300mL)、2M Na2CO3水溶液(300mL)、およびNaCl飽和水溶液(300mL)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、(ヘプタン中0~100%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、ベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[(1-メチルシクロプロピル)-カルバモイル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート(5A、6.28g、76%)を固体として得た。MS: 455 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 7.45-7.30 (m, 5H), 6.30 (br. s., 1H), 6.10 (br. s., 1H), 5.20 (s,
2H), 5.15 (br. s., 1H), 5.06 (br. s., 1H), 3.08 (五重線, J=8.3 Hz, 1H), 2.44 (br. s., 1H), 2.12-1.97 (m, 1H), 1.96-1.75 (m,
4H), 1.58 (s, 9H), 1.35 (br. s., 3H), 0.74 (br. s., 2H), 0.58 (br. s., 2H).
メタノール(200mL)中のベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[(1-メチルシクロプロピル)-カルバモイル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート(5A、6.28g、13.8mmol)および10%Pd/C(620mg)からなる混合物を、水素バルーンを用いながら室温(20℃)で18時間撹拌した。懸濁液をCeliteパッドで濾過して、触媒を除去した。フラスコおよびフィルターパッドを追加のメタノールですすぎ、次いで、合わせた濾液を濃縮して、(1R,3S)-3-(5-アミノ-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート(5B、4.42g、粗材料100%)を泡沫様固体として得た。MS: 321 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ = 5.06 (br. s., 1H), 3.14-2.97 (m, 1H),
2.58-2.37 (m, 1H), 2.14-2.00 (m, 1H), 2.00-1.69 (m, 4H), 1.69-1.54 (m, 10H),
1.31 (s, 3H), 0.74-0.66 (m, 2H), 0.60- 0.53 (m, 2H).
(1R,3S)-3-(5-アミノ-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート(5B、4.00g、12.5mmol)、リチウム(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)アセテート(中間体3、3.52g、24.9mmol)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU、14.2g、37.3mmol)、およびトリエチルアミン(5.30mL0、38.0mmol)のDMF(100mL)溶液を、60℃で2時間撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物を酢酸エチル(300mL)と水(300mL)とに分配した。有機相を水(2×200mL)およびNaCl飽和水溶液(200mL)でさらに洗浄した。合わせた水層を酢酸エチル(200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、(ヘプタン中10~100%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、不純な生成物(5.50gの固体)を得た。この不純な材料を、(100%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し直して、純粋な(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート(5C、4.22g、76%)を固体として得た。MS: 444 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ = 9.78 (s, 1H), 7.32 (br. s.,
1H), 6.78 (d, J=1.1 Hz, 1H), 5.93 (s, 1H), 4.97 (br. s., 1H), 3.83 (s, 2H),
3.03-2.88 (m, 1H), 2.42-2.30 (m, 1H), 2.27 (d, J=1.1 Hz, 3H), 1.98-1.88 (m,
1H), 1.87-1.77 (m, 1H), 1.73-1.58 (m, 3H), 1.49 (s, 9H), 1.23 (s, 3H),
0.63-0.56 (m, 2H), 0.50-0.44 (m, 2H).
(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート(5C、4.20g、9.47mmol)のギ酸(50mL)溶液を、100℃で1時間撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物を濃縮して、ギ酸の大部分を除去した。残渣を酢酸エチル(200mL)と炭酸水素ナトリウム(200mL)とに分配した。水層をさらなる酢酸エチル(200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾燥した。固体残渣をエチルエーテル(30mL)で2回摩砕して、(1R,3S)-3-(3-{[(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート(実施例5、1.93g、53%)を固体として得た。MS: 388 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ = 12.08 (br. s., 1H), 10.59
(br. s., 1H), 7.32 (br. s., 1H), 6.74 (d, J=1.0 Hz, 1H), 6.27 (br. s., 1H),
4.97 (br. s., 1H), 3.79 (s, 2H), 3.14-2.93 (m, 1H), 2.44 (dd, J=14.1, 7.0 Hz,
1H), 2.26 (d, J=0.7 Hz, 3H), 1.99 (t, J=3.4 Hz, 1H), 1.93-1.81 (m, 1H), 1.68
(d, J=8.2 Hz, 2H), 1.60-1.46 (m, 1H), 1.22 (s, 3H), 0.58 (br. s., 2H), 0.49-
0.42 (m, 2H).
(実施例6)
(1R,3S)-3-(3-{[(5-メトキシピラジン-2-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート
(1R,3S)-3-(5-アミノ-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート(5B、150.0mg、0.468mmol)、リチウム(5-メトキシ-ピラジン-2-イル)アセテート(中間体4、118mg、0.702mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(182mg、1.40mmol)、およびプロピルホスホン酸無水物(T3P(登録商標)、50wt% EtOAc溶液、447mg、0.702mmol)のジクロロメタン(10.0mL)溶液を、40℃で30時間撹拌した。反応をNaHCO3飽和水溶液(8mL)で失活させ、ジクロロメタン(3×8mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNaCl飽和水溶液(15mL)で洗浄し、濃縮し、(石油エーテル中50%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(5-メトキシピラジン-2-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート(6A、100mg、45%、LCMSによる純度81%)を淡黄色のゴム質として得た。MS:471[M+H]+。
(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(5-メトキシピラジン-2-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート(6A、100mg、0.213mmol)をギ酸(5mL)に溶解させ、75℃で16時間撹拌した。溶液を真空濃縮し、残渣を、アセトニトリル中26~46%の水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)を溶離液とするDuraShell 150*25mm*5μmカラムでの分取HPLCによって精製した。凍結乾燥後、(1R,3S)-3-(3-{[(5-メトキシピラジン-2-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート(実施例6、15.55mg、18%)を白色の固体として取得した。MS: 415 [M+H]+. 1H NMR (400MHz, DMSO-d6)
δ = 12.07 (br s, 1H), 10.54 (s,
1H), 8.23 (d, J=1.3 Hz, 1H), 8.16 (s, 1H), 7.35 (br s, 1H), 6.26 (br s, 1H),
4.96 (br s, 1H), 3.89 (s, 3H), 3.77 (s, 2H), 3.02 (br d, J=8.5 Hz, 1H),
2.47-2.39 (m, 1H), 1.97 (br d, J=9.3 Hz, 1H), 1.90-1.80 (m, 1H), 1.72-1.59 (m,
2H), 1.58-1.45 (m, 1H), 1.21 (s, 3H), 0.57 (br s, 2H), 0.48-0.40 (m, 2H).キラル純度:キラル分析SFCによれば99%ee。
(実施例7)
(1R,3S)-3-(3-{[(5-メチル-1,2-オキサゾール-3-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート
(1R,3S)-3-(5-アミノ-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート(5B、78mg、0.24mmol)、(5-メチル-1,2-オキサゾール-3-イル)酢酸(CAS#57612-87-0、51.5mg、0.365mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.130mL、0.730mmol)、およびプロピルホスホン酸無水物(T3P(登録商標)、50wt% EtOAc溶液、0.435mL、0.730mmol)のジクロロメタン(5.0mL)溶液を、30~35℃で18時間撹拌した。溶液をNaHCO
3飽和水溶液(5mL)およびNaCl飽和水溶液(5mL)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(5-メチル-1,2-オキサゾール-3-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート(7A、95mg、88%)をゴム質として得た。MS:444[M+H]
+。
粗(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(5-メチル-1,2-オキサゾール-3-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート(7A、95mg、0.21mmol)をギ酸(5.0mL)に溶解させ、15時間75℃に加熱した。サンプルを濃縮乾燥し、残渣を酢酸エチル(30mL)に溶解させ、NaHCO3飽和水溶液(10mL)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を、アセトニトリル中18~58%の水(0.05%水酸化アンモニウム含有)を溶離液とするAgela Durashell C18 150*25mm 5μカラムでの分取HPLCによって精製して、(1R,3S)-3-(3-{[(5-メチル-1,2-オキサゾール-3-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート(実施例7、39.71mg、50%)をベージュ色の固体として得た。MS: 388 [M+H]+. 1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 12.08 (br s, 1H), 10.59 (s, 1H), 7.34
(br s, 1H), 6.36-6.03 (m, 2H), 4.97 (br s, 1H), 3.64 (s, 2H), 3.15-2.87 (m,
1H), 2.46-2.40 (m, 1H), 2.37 (s, 3H), 1.98 (br d, J=9.0 Hz, 1H), 1.90-1.81 (m,
1H), 1.77-1.59 (m, 2H), 1.54 (br d, J=8.0 Hz, 1H), 1.22 (s, 3H), 0.58 (br s,
2H), 0.49-0.43 (m, 2H).キラル純度:キラル分析SFCによれば>99%ee。
(実施例8)
(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート
(1R,3S)-3-(5-アミノ-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート(5B、5.47g、17.1mmol)および3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(中間体5、4.36g、25.6mmol)の酢酸エチル(80mL)溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(9.00mL、52.4mmol)およびプロピルホスホン酸無水物(T3P(登録商標)、50wt% EtOAc溶液、10.9g、10.0mL、31.4mmol)で処理し、室温で終夜撹拌した。LCMSによって、反応が完了していないことが示されたため、混合物を3時間50℃に加熱したが、LCMSは、依然として不完全な変換を示した。室温に冷却した後、溶液を酢酸エチル(100mL)と脱イオン水(200mL)とに分配した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を酢酸エチル(80mL)に溶解させた。追加の3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(中間体5、2.90g、17.1mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(9.00mL、52.4mmol)、およびT3P (10.0mL、33.6mmol)を加え、反応液を室温で4時間撹拌した。溶液を酢酸エチル(100mL)で希釈し、水(200mL)、NaHCO
3飽和水溶液(200mL)、およびNaCl飽和水溶液(200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、(ヘプタン中0~100%の酢酸エチルの勾配を溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、(1R,3S)-3-[1-tert-ブチル-5-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-3-イル]シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート(8A、4.83g、60%)を泡沫様固体として得た。MS: 473 [M+H]
+.
1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ = 7.71 (br. s., 1 H), 6.68 (br. s., 1 H), 6.23 (br. s., 1 H), 5.12
(br. s., 2 H), 4.47 (s, 2 H), 4.18 (s, 3 H), 3.43 (s, 3 H), 3.03-3.16 (m, 1 H),
2.41 (br. s., 1 H), 1.97-2.11 (m, 1 H), 1.87 (m, J=5.9 Hz, 4 H), 1.63 (s, 9 H),
1.33 (s, 3 H), 0.73 (br. s., 2 H), 0.52-0.61 (m, 2 H).
(1R,3S)-3-[1-tert-ブチル-5-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-3-イル]シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート(8A、4.77g、10.1mmol)のギ酸(50mL)溶液を、100℃で2時間撹拌した。室温に冷却した後、真空下でギ酸の大部分を除去し、残渣を酢酸エチル(200mL)とNaHCO3飽和水溶液(200mL)とに分配した。水層を酢酸エチル(200mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、(酢酸エチル中0~10%のメタノールを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、白色の固体(3.15g)を得た。この固体を酢酸エチル/ヘプタンから再結晶させて、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート(実施例8、2.90g、69%)を結晶性固体として得た。MS: 417 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 12.20 (br. s., 1 H), 10.69 (s, 1 H),
7.33 (br. s., 1 H), 7.11 (s, 1 H), 6.41 (br. s., 1 H), 4.99 (br. s., 1 H), 4.33
(s, 2 H), 4.05 (s, 3 H), 3.27 (s, 3 H), 3.00-3.13 (m, 1 H), 2.41-2.49 (m, 1 H),
1.97-2.10 (m, 1 H), 1.83-1.95 (m, 1 H), 1.72 (br. s., 2 H), 1.59 (br. s., 1 H),
1.24 (s, 3 H), 0.60 (br. s., 2 H), 0.47 (br. s., 2 H)
(実施例9)
(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル[(2ξ)-4,4,4-トリフルオロブタン-2-イル]カルバメート -異性体A
(実施例10)
(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル[(2ξ)-4,4,4-トリフルオロブタン-2-イル]カルバメート -異性体B
(1R,3S)-3-(5-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(1A、2.5g、4.8mmol)、4,4,4-トリフルオロブタン-2-アミン(CAS#37143-52-5、900mg、5.5mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(4.17mL、23.9mmol)の2-メチルテトラヒドロフラン(40mL)およびジクロロメタン(20mL)溶液を、40~50℃で15時間撹拌した。真空下で溶媒を除去し、残渣を酢酸エチル(150mL)と1N水酸化ナトリウム水溶液(2×50m)とに分配した。有機層をNaCl飽和水溶液(60mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、(石油エーテル中15~30%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、ベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[(4,4,4-トリフルオロブタン-2-イル)カルバモイル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート(9A、ジアステエレオマーの混合物、2.0g、82%、LCMSによる純度79%)を黄色の油状物として得た。MS:511[M+H]
+。
ベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[(4,4,4-トリフルオロブタン-2-イル)カルバモイル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート混合物(9A、2.0g、3.9mmol)を酢酸エチル(20mL)およびTHF(20mL)に溶解させ、10%Pd/C触媒(50%ウェット、650mg)を加えた。懸濁液を脱気し、バルーンからの水素で満たし、水素バルーンを用いながら20~25℃で16時間撹拌した。濾過によって触媒を除去し、濾液を濃縮して、粗(1R,3S)-3-(5-アミノ-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル(4,4,4-トリフルオロブタン-2-イル)カルバメート(9B、ジアステエレオマーの混合物、1.4g、95%、LCMSによる純度76%)を黄色の油状物として得た。MS:377[M+H]+。
冷却した(0℃)粗(1R,3S)-3-(5-アミノ-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル(4,4,4-トリフルオロブタン-2-イル)カルバメート(9B、225mg、0.598mmol)、3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキシレート(中間体5、173mg、0.897mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(232mg、1.79mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液を、プロピルホスホン酸無水物(T3P(登録商標)、50wt% EtOAc溶液、1.14g、1.79mmol)で処理した。混合物を20℃に加温し、36時間撹拌し、次いで、90時間40℃に加温した。混合物をジクロロメタンと半飽和Na2CO3とに分配した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗(1R,3S)-3-[1-tert-ブチル-5-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-3-イル]シクロペンチル(4,4,4-トリフルオロブタン-2-イル)カルバメート(9C、ジアステエレオマーの混合物、300mg、95%)を黄色のゴム質として得た。MS:529[M+H]+。
粗(1R,3S)-3-[1-tert-ブチル-5-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-3-イル]シクロペンチル(4,4,4-トリフルオロブタン-2-イル)カルバメート(9C、300mg、0.57mmol)のギ酸(10mL)溶液を、80℃で2時間撹拌した。混合物を濃縮乾燥し、残渣を、アセトニトリル中32%の水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)を溶離液とするDuraShell 150*25mm*5μmカラムでの分取HPLCによって精製した。凍結乾燥後、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル(4,4,4-トリフルオロブタン-2-イル)カルバメート(9D、ジアステエレオマーの混合物、45mg、17%)を白色の固体として取得した。MS:473[M+H]+。
ジアステエレオマー混合物9Dを、CO2中40%のエタノール(+0.1%NH3H2O)で溶離させるPhenomenex-Amylose-1 250mm*30mm 5μmカラムでのキラル分取SFCによって分離すると、実施例9(ピーク1、12.26mg、27%、99%de)および実施例10(ピーク2、11.53mg、26%、98%de)が白色の固体として得られた。各分子の4,4,4-トリフルオロブタン-2-イル]カルバメートにおけるキラル中心の絶対立体化学は求めなかった。
(実施例9)(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル[(2ξ)-4,4,4-トリフルオロブタン-2-イル]カルバメート -異性体A。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 12.25 (br s, 1H), 10.74 (s, 1H), 7.22
(br d, J=8.4 Hz, 1H), 7.12 (s, 1H), 6.43 (br s, 1H), 5.10-4.96 (m, 1H), 4.34
(s, 2H), 4.05 (s, 3H), 3.92-3.79 (m, 1H), 3.27 (s, 3H), 3.17-3.03 (m, 1H), 2.46
(br d, J=6.1 Hz, 1H), 2.43-2.31 (m, 2H), 2.12-1.85 (m, 2H), 1.80-1.57 (m, 3H),
1.13 (d, J=6.7 Hz, 3H). 19F NMR (377MHz, DMSO-d6) δ = -62.57 (s, 3F). MS: 473 [M+H]+.旋光[α]D-2(c0.1,MeOH)。キラル純度:99%de。キラルSFC/MS分析を、ChiralpakAD-3(内径150×4.6mm、3μm)カラムにおいて、圧力を1500psiに設定し、35℃で、流量を2.5mL/分として、CO2中40%のエタノール(+0.05%DEA)で溶離させて実施した。こうした条件下において、このピークは、保持時間が3.372分であった。
(実施例10)(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル[(2ξ)-4,4,4-トリフルオロブタン-2-イル]カルバメート -異性体B。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 12.25 (br s, 1H), 10.74 (s, 1H), 7.24
(br d, J=8.3 Hz, 1H), 7.12 (s, 1H), 6.42 (br s, 1H), 5.16-4.91 (m, 1H), 4.34
(s, 2H), 4.05 (s, 3H), 3.84 (td, J=7.0, 13.8 Hz, 1H), 3.27 (s, 3H), 3.16-3.01
(m, 1H), 2.50-2.46 (m, 1H), 2.45-2.29 (m, 2H), 2.12-1.99 (m, 1H), 1.95-1.85 (m,
1H), 1.80-1.53 (m, 3H), 1.13 (d, J=6.7 Hz, 3H). 19F NMR (377MHz,
DMSO-d6) δ = -62.56 (s, 3F).
MS: 473 [M+H]+.旋光:[α]D+10(c0.1,MeOH)。キラル純度:98%de。キラルSFC/MS分析を、ChiralpakAD-3(内径150×4.6mm、3μm)カラムにおいて、圧力を1500psiに設定し、35℃で、流量を2.5mL/分として、CO2中40%のエタノール(+0.05%DEA)で溶離させて実施した。こうした条件下において、このピークは、保持時間が4.123分であった。
方法B
(実施例11)
(1R,3S)-3-(3-{[(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルtert-ブチルカルバメート。
ベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート(中間体1、20g、56mmol)およびイミダゾール(5.71g、83.9mmol)を、音波処理しながらDMF(200mL)に溶解させた。溶液を室温としながら、tert-ブチルジメチルシリルクロリド(11.0g、72.7mmol)を少量ずつ加えた。加え終えた後、透明な溶液を25℃で1時間撹拌した。真空下で溶媒を除去し、残渣を酢酸エチル(500mL)とNaCl飽和水溶液(200mL)とに分配した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗ベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]-オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート(11A、26g、99%)を無色の油状物として得た。MS:472[M+H]
+。
粗ベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]-オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート(11A、26g、55mmol)を酢酸エチル(100mL)およびTHF(100mL)に溶解させた。Pd/C(50%ウェット、4g)を加え、溶液を脱気し、水素バルーンを用いながら25℃で2時間撹拌した。次いで、混合物を濾過し、濾液を真空濃縮して、粗1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[tert-ブチル(ジメチル)-シリル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-アミン(11B、19g、>99%)を淡黄色の油状物として得た。MS:338[M+H]+。
室温(25℃)の粗1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[tert-ブチル(ジメチル)-シリル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-アミン(11B、5.00g、14.8mmol)、リチウム(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)アセテート(中間体3、3.14g、21.3mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(5.74g、44.4mmol)のDMF(150mL)溶液に、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(HATU、8.45g、22.2mmol)を加えた。混合物を1時間40℃に加熱し、次いで、酢酸エチル(300mL)で希釈し、水(150mL)およびNaCl飽和水溶液で順次洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、(石油エーテル中30%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、N-{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}-2-(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)アセトアミド(11C、5.5g、81%、LCMSによる純度77%)を黄色の油状物として得た。MS:461[M+H]+。
N-{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}-2-(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)アセトアミド(11C、5.5g、11.9mmol)のギ酸(50mL)溶液を、25℃で14時間撹拌した。溶液を濃縮乾燥し、淡黄色の油性残渣をメタノール(20mL)に溶解させた。これに、水酸化リチウム一水和物(2.50g、59.7mmol)の水(10mL)溶液を加え、混合物を25℃で30分間撹拌した。溶液を濃縮乾燥した。残渣をジクロロメタン(30mL)に溶解させ、水(10mL)およびNaCl飽和水溶液(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、(ジクロロメタン中3%のメタノールを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、N-{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}-2-(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)アセトアミド(11D、3.8g、92%、LCMSによる純度79%)を淡黄色の油状物として得た。MS:347[M+H]+。
N-{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}-2-(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)アセトアミド(11D、3.8g、11mmol)、DMAP(134mg、1.10mmol)、ピリジン(2.60g、32.9mmol)、およびクロロギ酸4-ニトロフェニル(4.42g、21.9mmol)のジクロロメタン(40mL)およびTHF(40mL)懸濁液を、25℃で2時間撹拌した。真空下で溶媒を除去した。残渣を酢酸エチル(200mL)に溶解させ、NH4Cl飽和水溶液(100mL)およびNaCl飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、(石油エーテル中50%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(11E、5.0g、89%、LCMSによる純度89%)を黄色の油状物として得た。MS:512[M+H]+。
(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(11E、5.0g、9.8mmol)のギ酸(30mL)溶液を、75℃で16時間撹拌した。混合物を濃縮してギ酸の大部分を除去し、次いで、残渣をジクロロメタン(30mL)に溶解させ、NaHCO3飽和水溶液(2×15mL)、水(15mL)、およびNaCl飽和水溶液(15mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、(石油エーテル中80%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、(1R,3S)-3-(3-{[(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(11F、1.7g、38%)を淡黄色の固体として得た。MS:456[M+H]+。
(1R,3S)-3-(3-{[(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(11F、4.00g、8.78mmol)およびtert-ブチルアミン(6.42g、87.8mmol)のTHF(30mL)溶液を、25℃で1時間撹拌した。混合物を濃縮乾燥し、残渣をジクロロメタン(80mL)に溶解させ、1M NaOH(2×20mL)およびNaCl飽和水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、(ジクロロメタン中3%のメタノールを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、不純な(1R,3S)-3-(3-{[(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルtert-ブチルカルバメート(実施例11、2.3g、67%、HPLCによる純度73%)を得た。第2のバッチの(1R,3S)-3-(3-{[(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(11F、1.50g、3.29mmol)をtert-ブチルアミン(10mL)に溶解させ、40℃で1時間撹拌した。その反応混合物を濃縮乾燥し、そうして得られた粗生成物を、上記第1のバッチからの不純な生成物2.3gと合わせ(両方のバッチにおいて合計12.08mmolの11Fが消費された)、ACN中3~45%水(+0.05%NH4OH)を溶離液とするPhenomenex Gemimi C18 250×50mm、10μmカラムでの分取HPLCによってさらに精製した。純粋な(1R,3S)-3-(3-{[(5-メチル-1,3-オキサゾール-2-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルtert-ブチルカルバメート(実施例11、2.23g、合わせたバッチについて47%)が白色の固体として得られた。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 12.10 (s, 1H), 10.62 (s, 1H), 6.87-6.63
(m, 2H), 6.29 (d, J=1.8 Hz, 1H), 4.96 (br s, 1H), 3.79 (s, 2H), 3.03 (五重線, J=8.6 Hz, 1H), 2.48-2.40 (m, 1H), 2.25
(d, J=1.1 Hz, 3H), 2.04-1.94 (m, 1H), 1.92-1.80 (m, 1H), 1.75-1.63 (m, 2H),
1.55 (br s, 1H), 1.19 (s, 9H). MS: 390 [M+H]+.旋光[α]D+3.5(c0.8,MeOH)。キラル純度:キラル分析SFCによれば98%ee。
(実施例12)
(1R,3S)-3-(3-{[(3-メチル-1,2-オキサゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル2,2-ジメチルアゼチジン-1-カルボキシレート
冷却した(0℃)1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-アミン(11B、780mg、2.31mmol)、3-メチル-5-イソオキサゾール酢酸(CAS#19668-85-0、489mg、3.47mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(1.23mL、6.93mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に、プロピルホスホン酸無水物(T3P(登録商標)、50wt% EtOAc溶液、4.41g、6.93mmol)を加えた。混合物を30℃で1時間撹拌し、次いで、ジクロロメタンと半飽和Na2CO3とに分配した。有機層をNaCl飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、(石油エーテル中10~50%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、N-{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}-2-(3-メチル-1,2-オキサゾール-5-イル)アセトアミド(12A、1.1g)を無色の油状物として得た。MS:461[M+H]+。
N-{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}-2-(3-メチル-1,2-オキサゾール-5-イル)アセトアミド(12A、1.1g)のギ酸(15mL)溶液を、45℃で1時間撹拌し、次いで、室温で終夜静置した。混合物を濃縮乾燥し、残渣をメタノール(30mL)およびNH4OH水溶液(10mL)に溶解させ、溶液を20℃で1時間撹拌した。混合物を濃縮し、(1/10のメタノール/ジクロロメタンを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、N-{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}-2-(3-メチル-1,2-オキサゾール-5-イル)アセトアミド(12B、1.0g)を黄色の油状物として得た。MS:347[M+H]+。
N-{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}-2-(3-メチル-1,2-オキサゾール-5-イル)アセトアミド(12B、1.0g)のジクロロメタン(30mL)およびTHF(30mL)溶液を、DMAP(70.5mg、0.577mmol)、ピリジン(1.14g、14.4mmol)、およびクロロギ酸4-ニトロフェニル(1.16g、5.77mmol)で処理した。得られる懸濁液を20℃で12時間撹拌した。真空下で溶媒を除去し、残渣をジクロロメタン(30mL)に溶解させ、溶液を、NH4Cl飽和水溶液(15mL)およびNaCl飽和水溶液(15mL)で順次洗浄した。有機層を乾燥させ、濃縮し、(石油エーテル中50%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(3-メチル-1,2-オキサゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(12C、1.3g)を得た。MS:512[M+H]+。
(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(3-メチル-1,2-オキサゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(12C、1.3g)のギ酸(20mL)溶液を、75℃で16時間加熱した。真空下でギ酸の大部分を除去し、残渣をジクロロメタン(30mL)に溶解させ、溶液を、NaHCO3飽和水溶液(2×15mL)、水(15mL)、およびNaCl飽和水溶液(15mL)で順次洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、(石油エーテル中80%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、(1R,3S)-3-(3-{[(3-メチル-1,2-オキサゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(12D、850mg、11Bを基点とした5ステップで81%)を白色の固体として得た。MS:456[M+H]+。
(1R,3S)-3-(3-{[(3-メチル-1,2-オキサゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(12D、60mg、0.13mmol)、2,2-ジメチルアゼチジン(CAS#1086266-55-8、13.5mg、0.158mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(102mg、0.79mmol)のジクロロメタン(1mL)および2-メチルテトラヒドロフラン(1mL)溶液を、15℃で1時間撹拌し、次いで、濃縮し、残渣を、(Xbridge 150*30mm*10μmカラムにおいて、アセトニトリル中17~57%の水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)を溶離液とする)分取HPLCによって精製した。凍結乾燥後、(1R,3S)-3-(3-{[(3-メチル-1,2-オキサゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル2,2-ジメチルアゼチジン-1-カルボキシレート(実施例12、28.21mg、53%)を白色の固体として取得した。MS: 402 [M+H]+. 1H NMR (400MHz, DMSO-d6)
δ = 12.13 (br d, J=8.2 Hz, 1H),
10.62 (br s, 1H), 6.29 (s, 1H), 6.21 (s, 1H), 5.03-4.91 (m, 1H), 3.82 (s, 2H),
3.71 (br t, J=8.4 Hz, 1H), 3.64 (t, J=7.5 Hz, 1H), 3.12-3.01 (m, 1H), 2.41 (dt,
J=6.7, 15.5 Hz, 1H), 2.19 (s, 3H), 2.04-1.97 (m, 1H), 1.96-1.89 (m, 2H),
1.87-1.79 (m, 1H), 1.77-1.57 (m, 3H), 1.37-1.27 (m, 6H).キラル純度:キラル分析SFCによれば99%ee。
(実施例13)
(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバメート
室温(26℃)の1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-アミン(11B、8.90g、26.4mmol)、リチウム3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキシレート(中間体5、5.83g、34.3mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(10.2g、79.1mmol)の2-メチルテトラヒドロフラン(100.0mL)溶液に、プロピルホスホン酸無水物(T3P(登録商標)、50wt% EtOAc溶液、50.3g、79.1mmol)を加えた。得られる混合物をこの温度で18時間撹拌した。混合物を濃縮乾燥した後、残渣をジクロロメタン(150mL)に溶解させ、溶液を、水(2×30mL)、NaHCO
3飽和水溶液(2×30mL)、およびNaCl飽和水溶液(30mL)で順次洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗N-{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}-3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(13A、12.9g、100%)を油状物として得た。MS:490[M+H]
+。
粗N-{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}-3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(13A、12.9g、26.3mmol)をギ酸(80mL)に溶解させ、室温(27℃)で30分間撹拌した。混合物を濃縮乾燥し、残渣をメタノール(80mL)に溶解させた。水酸化リチウム一水和物(3.43g、81.8mmol)の水(15mL)溶液を加え、混合物を室温(27℃)で1時間撹拌した。混合物を濃縮乾燥し、残渣を、(石油エーテル中0~80%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、N-{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}-3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(13B、8.0g、78%)を黄色のゴム質として得た。MS:376[M+H]+。
N-{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}-3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(13B、8.0g、21mmol)のジクロロメタン(80mL)およびTHF(80mL)溶液を、DMAP(260mg、2.13mmol)、ピリジン(5.06g、63.9mmol)、およびクロロギ酸4-ニトロフェニル(8.59g、42.6mmol)で処理した。得られる黄色の懸濁液を室温で18時間撹拌した。反応混合物を濃縮乾燥し、(石油エーテル中0~45%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、(1R,3S)-3-[1-tert-ブチル-5-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-3-イル]シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(13C、10.6g、92%)を淡褐色のゴム質として得た。MS:541[M+H]+。
(1R,3S)-3-[1-tert-ブチル-5-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-3-イル]シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(13C、10.6g、19.6mmol)のギ酸(80mL)溶液を、70℃で18時間撹拌した。溶液を濃縮乾燥した。残渣をジクロロメタン(150mL)に溶解させ、溶液をNaHCO3飽和水溶液で中和した。有機層を水(30mL)およびNaCl飽和水溶液(30mL)で洗浄し、炭酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(13D、8.5g、90%、LCMSによる純度86%)を淡黄色のガラスとして得た。MS:485[M+H]+。
室温(27℃)の粗(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(13D、1.7g、3.5mmol)および2-プロピルアミン(1.04g、17.5mmol)のTHF(30mL)溶液を、6時間撹拌した。溶液を濃縮乾燥し、残渣を、1.7g、3.5mmolの13Dから得られた第2のバッチからの残渣と合わせて(合わせた2回分のバッチについて合計6.27mmolの13Dが消費された)、3.2gの粗生成物を得た。この生成物を、アセトニトリル中15~45%の水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)を溶離液とするPhenomenex Gemini C18 250*50mm*10μmカラムでの分取HPLCによって精製した。凍結乾燥後、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバメート(実施例13、2.06g、78%)を、元素分析に基づき一水和物(形態1)であることが判明した白色の結晶性固体として取得した。MS: 405 [M+H]+. 1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 12.23 (br s, 1H), 10.73 (br s, 1H), 7.11
(s, 1H), 6.96 (br d, J=7.0 Hz, 1H), 6.41 (br s, 1H), 5.00 (br s, 1H), 4.33 (s,
2H), 4.04 (s, 3H), 3.57 (qd, J=6.6, 13.4 Hz, 1H), 3.26 (s, 3H), 3.17-2.96 (m,
1H), 2.48-2.39 (m, 1H), 2.03 (br d, J=6.8 Hz, 1H), 1.95-1.83 (m, 1H), 1.73 (br
d, J=8.5 Hz, 2H), 1.61 (br s, 1H), 1.03 (br d, J=6.3 Hz, 6H).旋光[α]D+4.8(c1.0,MeOH)。キラル純度:キラル分析SFCによれば>99%ee。C19H28N6O4-H2Oの分析計算値:C,54.02;H,7.16;N,19.89。実測値:C,53.94;H,7.22;N,19
.81。上記からの白色の結晶性固体(500mg)を、溶解するまで加熱し、次いで、得られる溶液を室温で18時間静置しておくことにより、9:1のH2O/CH3CN(2mL)から再結晶させた。18時間の間に、一水和物(形態1)のより大型の結晶が生成した。この材料から選択された結晶の単結晶X線回折によって、図1にある構造が得られた。
上で一水和物(形態1)として調製された結晶性固体を、粉末X線回折(PXRD)によってさらに特徴付けた。
粉末X線回折計測:
Cu放射線源を備えたBruker AXS D8 Advance回折計を使用して、粉末X線回折分析を行った。回折された放射線を、電動式スリットを備えたLYNXEYE_EX検出器によって検出した。一次および二次の両方が、2.5ソーラースリットを備えていた。X線管電圧およびアンペア数は、それぞれ40kVおよび40mAに設定した。データは、シータ-シータゴニオメーターにおいて、1ステップあたり1.0秒の走査スピードを使用し、3.0~40.0度2シータを、0.01度刻みで漸増しながら、CuKアルファ波長でロックドカップル(locked couple)走査して収集した。サンプルを低バックグラウンドケイ素サンプルに入れて準備した。Bruker DIFFRAC Plusソフトウェアを使用してデータを収集および解析した。PXRDデータファイルは、ピーク検索より前には加工しなかった。EVAソフトウェアにおけるピーク検索アルゴリズムを適用して、閾値1を使用する予備的なピーク割当てを行った。確実性を確かなものにするために、調整は手作業で行っており、自動割当ての出力を目視によってチェックし、ピーク位置をピーク最大値に合わせた。一般に、相対強度が3%以上であるピークを選択した。分解されなかった、またはノイズと一致したピークは、選択しなかった。USPに記載されているPXRDからのピーク位置と対応付けた典型的な誤差は、+/-0.2°2シータまでである(USP-941)。
実施例13形態1一水和物のPXRDパターンを図2に示す。実施例13形態1一水和物の化合物についてのPXRDピーク一覧および相対強度データ(2シータ°)を以下で表1に示す。
(実施例14)
(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}-アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバメート
粗(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(13D、5.5g、11mmol)、(S)-(+)-sec-ブチルアミン(1.49g、13.6mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(4.40g、34.1mmol)のTHF(100mL)溶液を、室温(30℃)で18時間撹拌した。反応混合物を濃縮乾燥し、残渣を、アセトニトリル中25~45%の水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)を溶離液とするPhenomenex Gemini C18 250
*50mm
*10μmカラムでの分取HPLCによって精製して、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバメート(実施例14、3.50g、74%)を淡黄色の固体として得た。MS: 419 [M+H]
+.
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 12.23 (br s, 1H), 10.72 (s, 1H), 7.11
(s, 1H), 6.90 (br d, J=8.2 Hz, 1H), 6.42 (br s, 1H), 5.00 (br s, 1H), 4.33 (s,
2H), 4.04 (s, 3H), 3.43-3.37 (m, 1H), 3.26 (s, 3H), 3.14-2.98 (m, 1H), 2.45 (br
s, 1H), 2.08-1.97 (m, 1H), 1.95-1.82 (m, 1H), 1.80-1.68 (m, 2H), 1.67-1.52 (m,
1H), 1.42-1.26 (m, 2H), 1.00 (d, J=6.5 Hz, 3H), 0.80 (t, J=7.4 Hz, 3H).旋光[α]
D+16.6(c2.05,MeOH)。キラル純度:キラル分析SFCによれば>99%ee。
(実施例15)
(1R,3S)-3-(3-{[(3-メチル-1,2-オキサゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート
(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(3-メチル-1,2-オキサゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(12C、1.64g、3.2mmol)のDMF(10.7mL)溶液を、1-メチルシクロプロパン-1-アミン塩酸塩(516mg、4.8mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(1.7mL、9.6mmol)で処理した。混合物を窒素中にて60℃で2時間、次いで室温で終夜撹拌した。酢酸エチル(150mL)で希釈した後、溶液を、脱イオン水(20mL)、2M Na
2CO
3水溶液(20mL)、およびNaCl飽和水溶液(20mL)で洗浄した。合わせた水層を酢酸エチル(30mL)で再び抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、(ヘプタン中0~100%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(3-メチル-1,2-オキサゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル(1-メチル-シクロプロピル)カルバメート(15A、1.58g、82%)を油状物として得た。
(1R,3S)-3-(1-tert-ブチル-5-{[(3-メチル-1,2-オキサゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル(1-メチル-シクロプロピル)カルバメート(15A、1.50g、3.4mmol)のギ酸(10mL)溶液を、100℃の油浴において1時間加熱した。真空下でギ酸の大部分を除去した。残渣をNaHCO3飽和水溶液(30mL)で処理し、次いで、酢酸エチル(150mL、次いで50mL)で抽出した。合わせた有機分を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、(ヘプタン中0~40%のイソプロパノールを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、白色の固体(960mg)を得た。この固体をアセトニトリル(20mL)および水(10mL)に溶解させ、溶液を終夜凍結乾燥して、白色の固体(796mg)を得た。凍結乾燥された材料を酢酸エチル(28mL)に懸濁させ、60℃の油浴において1時間撹拌し、撹拌しながらもう3時間かけて室温に冷ました。濾過によって固体を収集し、乾燥させて(50℃、10mmHg)、(1R,3S)-3-(3-{[(3-メチル-1,2-オキサゾール-5-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロプロピル)カルバメート(実施例15 565mg、41%)を白色の固体として得た。MS: 388 [M+H]+. 1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 12.10 (br s, 1H), 10.61 (s, 1H), 7.34
(br s, 1H), 6.28 (br s, 1H), 6.21 (s, 1H), 4.97 (br s, 1H), 3.82 (s, 2H),
3.14-2.94 (m, 1H), 2.48-2.39 (m, 1H), 2.20 (s, 3H), 1.99 (s, 1H), 1.93-1.80 (m,
1H), 1.78-1.60 (m, 2H), 1.54 (br s, 1H), 1.22 (s, 3H), 0.58 (br s, 2H),
0.49-0.42 (m, 2H).旋光[α]D+10.0°(c0.2,MeOH)。
方法C
(実施例16)
(1R,3S)-3-{3-[(1,2-オキサゾール-5-イルアセチル)アミノ]-1H-ピラゾール-5-イル}シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバメート
ベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-ヒドロキシシクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート(中間体1、5.97g、16.7mmol)の無水アセトニトリル(50mL)懸濁液に、トリエチルアミン(4.7mL、33.4mmol)を加えた。溶液を0℃に冷却し、次いで、N,N’-ジスクシンイミジルカルボネート(8.56g、33.4mmol)を加えた。0℃で10分間撹拌した後、冷却浴を取り外し、混合物を室温(23℃)で24時間撹拌した。LCMSによって、未反応の出発アルコールが依然として存在することが示されたため、追加のN,N’-ジスクシンイミジルカルボネート(2.36g;合計10.92g、42.63mmol)およびトリエチルアミン((2.8mL;合計7.5mL、54mmol)を加え、撹拌を室温でもう5時間継続した。真空下で溶媒を除去し、残渣を酢酸エチル(150mL)および脱イオン水(100mL)で希釈した。得られるエマルションを吸引濾過して、白色の固体を除去した。濾液の層を分離した。濾過ケークを酢酸エチル(2×100mL)ですすぎ、すすぎがなされたものを使用して、水層をさらに抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、(ヘプタン中20~70%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製すると、ベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-({[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]カルボニル}オキシ)シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート(16A、4.5g、54%)が固体として得られた。
1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ = 7.42-7.34 (m, 5H), 6.24 (br. s., 1H), 6.13 (br. s., 1H),
5.30-5.22 (m, 1H), 5.20 (s, 2H), 3.21-3.12 (m, 1H), 2.82 (s, 4H), 2.57 (ddd,
J=6.7, 8.4, 14.8 Hz, 1H), 2.15-2.05 (m, 2H), 2.04-1.87 (m, 3H), 1.59 (s, 9H).
MS: 499 [M+H]
+.
ベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-({[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]カルボニル}オキシ)シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート(16A、3.5g、7.0mmol)および10%Pd/C(1.2g)の酢酸エチル(150mL)溶液を、水素バルーンを用いながら室温(23℃)で終夜撹拌した。混合物をCeliteパッドで濾過し、フィルターパッドを酢酸エチル(3×30mL)ですすぎ、合わせた濾液を濃縮して、粗1-[({[(1R,3S)-3-(5-アミノ-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル]オキシ}-カルボニル)オキシ]ピロリジン-2,5-ジオン(16B)を得、これを直ちに次のステップで使用した。MS:365[M+H]+。
粗1-[({[(1R,3S)-3-(5-アミノ-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル]オキシ}-カルボニル)オキシ]ピロリジン-2,5-ジオン(16B、7.0mmol最大量)をDMF(20mL)に溶解させ、1,2-オキサゾール-5-イル酢酸(CAS#4992-21-6、1.4g、11mmol)およびプロピルホスホン酸無水物(T3P(登録商標)、50wt% EtOAc溶液11mL、14mmol)を加え、溶液を窒素中で0℃に冷却した。トリエチルアミン(3.5ml、25mmol)を、内部温度を20℃未満に保つに足る緩やかさで、10分かけて滴下して加えた。冷却浴を取り外し、混合物を室温で1時間撹拌した。反応をNaHCO3飽和水溶液で失活させ、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機層を、NaHCO3飽和水溶液(2×)およびNaCl飽和水溶液(1×)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、(ヘプタン中30~100%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製すると、N-(1-tert-ブチル-3-{(1S,3R)-3-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]シクロペンチル}-1H-ピラゾール-5-イル)-2-(1,2-オキサゾール-5-イル)アセトアミド(16C、2.46g、74%)が白色の泡沫として得られた。1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ = 8.35 (d, J=1.7 Hz, 1H), 6.42-6.37 (m,
1H), 6.05 (s, 1H), 5.33-5.23 (m, 1H), 3.98 (s, 2H), 3.16 (td, J=8.8, 17.2 Hz,
1H), 2.82 (s, 4H), 2.63-2.51 (m, 1H), 2.16-2.02 (m, 3H), 2.00-1.80 (m, 3H),
1.56 (s, 9H). MS: 474 [M+H]+.
N-(1-tert-ブチル-3-{(1S,3R)-3-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]シクロペンチル}-1H-ピラゾール-5-イル)-2-(1,2-オキサゾール-5-イル)アセトアミド(16C、158mg、0.334mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.15mL、0.91mmol)、および(S)-(+)-sec-ブチルアミン(50μL、0.50mmol)のジクロロメタン(3.5mL)溶液を、20℃で3時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタン(10mL)で希釈し、NaHCO3飽和水溶液(2×3mL)、脱イオン水(3mL)、NH4Cl飽和水溶液(3mL)、およびNaCl飽和水溶液(3mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾燥すると、粗(1R,3S)-3-{1-tert-ブチル-5-[(1,2-オキサゾール-5-イルアセチル)アミノ]-1H-ピラゾール-3-イル}シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバメート(16D、115.0mg、80%)が黄色のゲルとして残った。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 9.79 (s, 1H), 8.50 (d, J=1.7 Hz, 1H),
6.85 (d, J=8.1 Hz, 1H), 6.40 (d, J=1.6 Hz, 1H), 5.93 (s, 1H), 4.97 (br. s.,
1H), 3.95 (s, 2H), 3.43-3.33 (m, 1H), 2.95 (五重線, J=8.5 Hz, 1H), 2.40-2.31 (m, 1H), 1.99-1.77 (m, 2H), 1.76-1.57 (m,
3H), 1.47 (s, 9H), 1.39-1.30 (m, 2H), 1.00 (d, J=6.6 Hz, 3H), 0.79 (t, J=7.4
Hz, 3H). MS: 432 [M+H]+.
粗(1R,3S)-3-{1-tert-ブチル-5-[(1,2-オキサゾール-5-イルアセチル)アミノ]-1H-ピラゾール-3-イル}シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバメート(16D、115.0mg、0.2665mmol)をギ酸(6.0mL)およびトリエチルシラン(1.5mL)に溶解させ、70℃で18時間撹拌した。得られる二相性混合物の層を分離した。上方のトリエチルシラン層を捨てた。下方の酸層を濃縮乾燥し、アセトニトリルに溶解させ、再び濃縮乾燥した。残渣をさらに真空乾燥して、粗生成物を褐色の蝋質固体(109.9mg)として取得した。アセトニトリル(5mL)を加え、懸濁液を室温で1時間撹拌した。得られる沈殿を吸引濾過によって収集し、風乾して、(1R,3S)-3-{3-[(1,2-オキサゾール-5-イルアセチル)アミノ]-1H-ピラゾール-5-イル}シクロペンチル(2S)-ブタン-2-イルカルバメート(実施例16、42.1mg、42%)をオフホワイト色の固体として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 12.11 (br. s., 1H), 10.65 (s, 1H), 8.48
(d, J=1.7 Hz, 1H), 6.87 (d, J=8.1 Hz, 1H), 6.37 (d, J=1.5 Hz, 1H), 6.29 (br.
s., 1H), 4.98 (br. s., 1H), 3.91 (s, 2H), 3.43-3.33 (m, 1H), 3.11-2.97 (m, 1H),
2.48-2.38 (m, 1H), 2.05-1.94 (m, 1H), 1.94-1.81 (m, 1H), 1.78-1.62 (m, 2H),
1.61-1.50 (m, 1H), 1.41-1.27 (m, 2H), 0.99 (d, J=6.6 Hz, 3H), 0.79 (t, J=7.4
Hz, 3H). MS: 376 [M+H]+.
方法D
(実施例17)
(1R,3S)-3-{3-[(1,2-オキサゾール-3-イルアセチル)アミノ]-1H-ピラゾール-5-イル}シクロペンチルtert-ブチルカルバメート
(1R,3S)-3-(5-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-1-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(1A、5.00g、9.57mmol)のギ酸(30mL)溶液を、75℃で20時間撹拌した。混合物を濃縮乾燥し、残渣を、(石油エーテル中50~70%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、(1R,3S)-3-(5-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(17A、3.6g、81%、LCMSによる純度82%)を淡黄色の固体として得た。MS:467[M+H]+。
THF(40mL)中の(1R,3S)-3-(5-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-1H-ピラゾール-3-イル)シクロペンチル4-ニトロフェニルカルボネート(17A、2.2g、4.7mmol)およびtert-ブチルアミン(1.38g、18.9mmol)からなる混合物を、室温(29℃)で18時間撹拌した。真空下で溶媒を除去し、残渣を、(石油エーテル中0~90%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、ベンジル(3-{(1S,3R)-3-[(tert-ブチルカルバモイル)オキシ]シクロペンチル}-1H-ピラゾール-5-イル)カルバメート(17B、1.5g、79%)を淡黄色のガラスとして得た。MS:401[M+H]+。
室温(29℃)のベンジル(3-{(1S,3R)-3-[(tert-ブチルカルバモイル)オキシ]-シクロペンチル}-1H-ピラゾール-5-イル)カルバメート(17B、1.50g、3.75mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(1.45g、11.2mmol)のジクロロメタン(30mL)溶液に、クロロギ酸エチル(970mg、8.94mmol)を少量ずつ加え、次いで、混合物を室温で18時間撹拌した。溶液をNH4Cl飽和水溶液(3×5mL)およびNaCl飽和水溶液(5mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗エチル5-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-3-{(1S,3R)-3-[(tert-ブチルカルバモイル)オキシ]-シクロペンチル}-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート(17C、2.0g、>99%)を淡黄色のゴム質として得、これをそれ以上精製せずに使用した。MS:473[M+H]+。
粗エチル5-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-3-{(1S,3R)-3-[(tert-ブチルカルバモイル)オキシ]シクロペンチル}-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート(17C、2.0g、純粋なら4.2mmol)を酢酸エチル(15mL)およびTHF(15mL)に溶解させた。10%Pd/C触媒(200mg)を加え、脱気し、水素バルーンを用いながら室温(29℃)で1.5時間撹拌した。懸濁液を濾過して触媒を除去し、濾液を濃縮乾燥し、残渣を、(石油エーテル中0~100%の酢酸エチル、次いで、ジクロロメタン中0~30%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、エチル5-アミノ-3-{(1S,3R)-3-[(tert-ブチルカルバモイル)オキシ]-シクロペンチル}-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート(17D、900mg、63%、17Aから56%)を淡黄色のゴム質として得た。MS:339[M+H]+。
室温(29℃)のエチル5-アミノ-3-{(1S,3R)-3-[(tert-ブチルカルバモイル)オキシ]シクロペンチル}-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート(17D、250mg、0.739mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(286mg、2.22mmol)、および1,2-オキサゾール-3-イル酢酸(CAS#57612-86-9、113mg、0.887mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液を、プロピルホスホン酸無水物(T3P(登録商標)、50wt% EtOAc溶液、1.41g、2.22mmol)で処理し、次いで、室温で6時間撹拌した。溶液をジクロロメタン(10mL)で希釈し、次いで、水(5mL)、NaHCO3飽和水溶液(2×5mL)、NH4Cl飽和水溶液(5mL)、およびNaCl飽和水溶液(5mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗エチル3-{(1S,3R)-3-[(tert-ブチルカルバモイル)オキシ]-シクロペンチル}-5-[(1,2-オキサゾール-3-イルアセチル)アミノ]-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート(17E、331mg、100%)を褐色のゴム質として得た。MS:448[M+H]+。
この粗エチル3-{(1S,3R)-3-[(tert-ブチルカルバモイル)オキシ]-シクロペンチル}-5-[(1,2-オキサゾール-3-イルアセチル)アミノ]-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート(17E、331mg、0.739mmol)をメタノール(5mL)に溶解させ、水酸化リチウム一水和物(93.1mg、2.22mmol)の水(1mL)溶液を加え、混合物を室温(30℃)で1時間撹拌した。混合物を終夜静置し、次いで、濃縮乾燥した。残渣をメタノール(3mL)に溶解させ、濾過し、濾液を、アセトニトリル中20~50%の水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)を溶離液とするYMC-Actus Triart C18 150*30 5μカラムでの分取HPLCによって精製した。生成物含有画分を凍結乾燥した後、(1R,3S)-3-{3-[(1,2-オキサゾール-3-イルアセチル)アミノ]-1H-ピラゾール-5-イル}シクロペンチルtert-ブチルカルバメート(実施例17、74.84mg、27%、キラル分析SFCによれば99%ee)を白色の固体として取得した。1H NMR (500MHz, DMSO-d6) δ = 12.09 (br s, 1H), 10.63 (s, 1H), 8.83
(s, 1H), 6.76 (br s, 1H), 6.53 (s, 1H), 6.29 (s, 1H), 4.96 (br s, 1H), 3.75 (s,
2H), 3.02 (五重線, J=8.7 Hz, 1H),
2.47-2.41 (m, 1H), 2.04-1.93 (m, 1H), 1.92-1.79 (m, 1H), 1.78-1.61 (m, 2H),
1.55 (br s, 1H), 1.19 (s, 9H). MS: 376 [M+H]+.
方法E
(実施例18)
(1R,3S)-3-(3-{[(5-メチル-1,3,4-チアジアゾール-2-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロブチル)カルバメート
ベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-({[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]カルボニル}オキシ)シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート(16A、1.20g、2.41mmol)、1-メチルシクロブチルアミン塩酸塩(CAS#174886-05-6、439mg、3.61mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(1.56g、12.0mmol)のTHF(15mL)溶液を、室温(32℃)で18時間撹拌した。混合物を真空濃縮し、残渣をジクロロメタン(25mL)に溶解させた。溶液を、水(2×5mL)、NH
4Cl飽和水溶液(5mL)、およびNaCl飽和水溶液(5mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を、(石油エーテル中0~30%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、ベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[(1-メチルシクロブチル)カルバモイル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート(18A、920mg、82%)を淡黄色のゴム質として得た。MS:469[M+H]
+。
ベンジル{1-tert-ブチル-3-[(1S,3R)-3-{[(1-メチルシクロブチル)カルバモイル]-オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート(18A、920mg、1.96mmol)を75℃のギ酸(10mL)中で18時間撹拌した。真空下で揮発性物質を除去し、残渣をジクロロメタン(20mL)とNaHCO3飽和水溶液とに分配した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、(石油エーテル中0~80%の酢酸エチルを溶離液とする)シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、ベンジル{3-[(1S,3R)-3-{[(1-メチルシクロブチル)カルバモイル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート(18B、500mg、62%)を淡黄色のゴム質として得た。MS:435[M+Na]+。
ベンジル{3-[(1S,3R)-3-{[(1-メチルシクロブチル)カルバモイル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-5-イル}カルバメート(18B、500mg、1.21mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(470mg、3.64mmol)のジクロロメタン(15mL)溶液に、クロロギ酸エチル(197mg、1.82mmol)を少量ずつ加えた。混合物を室温(35℃)で4時間撹拌し、次いで、NH4Cl飽和水溶液(2×5mL)およびNaCl飽和水溶液(5mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗エチル5-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-3-[(1S,3R)-3-{[(1-メチルシクロブチル)カルバモイル]-オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート(18C、560mg、95%、NMRによる純度80%)を淡黄色のガラスとして得た。1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ = 9.50 (s, 1H), 7.44-7.32 (m, 5H), 7.33-7.32 (m, 1H), 6.62 (br. s.,
1H), 5.22 (s, 2H), 5.17 (br. s., 1H), 4.51 (q, J=7.0 Hz, 2H), 3.25-3.13 (m,
1H), 2.51-2.30 (m, 2H), 2.14-2.03 (m, 1H), 2.00-1.73 (m, 8H), 1.47 (t, J=7.2
Hz, 4H), 1.44 (s, 3H). MS: 485 [M+H]+; 507 [M+Na]+.
粗エチル5-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}-3-[(1S,3R)-3-{[(1-メチルシクロブチル)カルバモイル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート(18C、560mg、1.16mmol)およびPd/C触媒(ウェット、50wt%、150mg)の酢酸エチル(10mL)およびTHF(10mL)懸濁液を脱気し、水素で満たし直し、次いで、水素バルーンを用いながら室温で1時間撹拌した。濾過によって触媒を除去し、濾液を濃縮して、粗エチル5-アミノ-3-[(1S,3R)-3-{[(1-メチルシクロブチル)-カルバモイル]オキシ}シクロペンチル]-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート(18D、430mg、粗材料100%)を淡黄色のゴム質として得た。MS:351[M+H]+;373[M+Na]+。
粗エチル5-アミノ-3-[(1S,3R)-3-{[(1-メチルシクロブチル)カルバモイル]オキシ}-シクロペンチル]-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート(18D、100.0mg、0.285mmol)およびナトリウム2-(5-メチル-1,3,4-チアジアゾール-2-イル)アセテート(CAS#1909316-87-5、77.6mg、0.428mmol)を、室温(35℃)でジクロロメタン(10mL)に懸濁させた。ジイソプロピルエチルアミン(184mg、1.43mmol)およびプロピルホスホン酸無水物(T3P(登録商標)、50wt% EtOAc溶液、545mg、0.856mmol)を加え、得られる溶液を35℃で3時間撹拌した。反応混合物を、水(3mL)、NH4Cl飽和水溶液(2×3mL)、およびNaCl飽和水溶液(3mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗エチル3-[(1S,3R)-3-{[(1-メチルシクロブチル)カルバモイル]オキシ}-シクロペンチル]-5-{[(5-メチル-1,3,4-チアジアゾール-2-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート(18E、140mg、粗材料100%)を淡黄色のゴム質として得た。MS:513[M+Na]+。
メタノール(5mL)および水(1mL)中の粗エチル3-[(1S,3R)-3-{[(1-メチルシクロブチル)カルバモイル]オキシ}-シクロペンチル]-5-{[(5-メチル-1,3,4-チアジアゾール-2-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート(18E、140mg、0.285mmol)および水酸化リチウム一水和物(35.9mg、0.856mmol)からなる混合物を、室温(35℃)で30分間撹拌し、次いで、終夜静置した。懸濁液をおよそ3mLに濃縮し、濾過によって固体を除去し、濾液を、アセトニトリル中27~47%の水(0.05%水酸化アンモニウムv/v)を溶離液とするDuraShell 150*25mm*5μmカラムでの分取HPLCによって精製した。生成物含有画分を凍結乾燥した後、(1R,3S)-3-(3-{[(5-メチル-1,3,4-チアジアゾール-2-イル)アセチル]アミノ}-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチル(1-メチルシクロブチル)カルバメート(実施例18、30.89mg、26%、キラル分析SFCによれば>99%ee)を白色の固体として取得した。1H NMR (500MHz, DMSO-d6) δ = 12.14 (br s, 1H), 10.78 (s, 1H), 7.18
(br s, 1H), 6.30 (br s, 1H), 4.97 (br s, 1H), 4.19 (s, 2H), 3.13-2.95 (m, 1H),
2.69 (s, 3H), 2.48-2.40 (m, 1H), 2.21 (br s, 2H), 1.99 (br d, J=8.9 Hz, 1H),
1.92-1.83 (m, 1H), 1.82-1.75 (m, 2H), 1.74-1.63 (m, 4H), 1.57 (br s, 1H),
1.34-1.23 (m, 3H). MS: 419 [M+H]+.
本文書において例示する方法を変更することにより、追加の本発明の化合物を調製した。キラル出発反応物が入手可能となったときは、その構造に関する(R)および(S)表示によって示されるとおりの既知の絶対立体配置を有する単一立体異性体として化合物を調製および単離した。ラセミ出発反応物を使用したとき、化合物は、ジアステエレオマーの混合物として合成を経、次いで、特徴付けおよび試験の前に、適切なキラル分取HPLCまたはSFC法によって単一立体異性体へと分離した。こうした場合において、既知の立体中心は、くさび形の結合で描かれ、(R)および(S)表示による注記が付けられており、未知の立体中心は星印を付した単調な結合として描かれ、表2に説明を含めている。絶対でなく相対立体化学が既知である場合では、構造は、(R)および/または(S)表示なしの、星印を付したくさび形の結合で描かれ、表2に説明を含めている。
選択された化合物およびその対応する特徴付けデータを以下で表2に示す。
本文書において例示する方法を変更することにより、追加の本発明の化合物を調製しており、表3に示す。
生化学アッセイ
CDK2/サイクリンE1全長移動度シフトアッセイ
CDK2/サイクリンE1アッセイの目的は、低分子阻害薬による阻害(阻害%、KiappおよびKi値)を、蛍光を基盤とした微少流体移動度シフトアッセイを使用することによって評価することである。CDK2/サイクリンE1全長は、基質ペプチドであるFL-ペプチド-18(5-FAM-QSPKKG-CONH2、CPC Scientific、カリフォルニア州サニーヴェール)へのリン酸転移を伴う、ATPからのADPの産生を触媒する(配列番号1)。移動度シフトアッセイでは、キナーゼ反応の後、蛍光標識されたペプチド(基質およびリン酸化産物)が電気泳動によって分離される。LabChip EZ Readerによって、基質および産物の両方が測定され、これらの値の比が、基質の産物への変換%の生成に使用される。野生型CDK2/野生型全長サイクリンE1酵素複合体を社内で生成し(バキュロウイルス発現、LJIC-2080/LJIC-2103)、10mMのMgCl2および5mMのATPの存在下で、CDK7/サイクリンH1/Mat1酵素複合体によって、CDK2:CDK7比を50:1(濃度mg/mL)として、室温で1時間かけてリン酸化した。典型的な反応溶液(50μLの最終反応体積)は、pH7.15の25mMのHEPES緩衝液中に、2%のDMSO(±阻害薬)、4mMのMgCl2、1mMのDTT、150μMのATP(ATP Km=67.4μM)、0.005%のTween-20、3μMのFL-ペプチド-18、および0.36nMの(触媒適格活性部位)リン酸化野生型全長CDK2/サイクリンE1酵素複合体を含有した。アッセイは、反応混合物の中で酵素および阻害薬を室温で15分間予めインキュベートした後、ATPを加えて開始した。室温で45分経過後、50μLの80mM EDTAを加えて反応を停止させた。Ki値は、酵素濃度を変数として、データをMorrisonの強結合競合阻害式に当てはめて求めた。1、2
GSK3ベータ(GSK3β)移動度シフトアッセイ
GSK3βアッセイの目的は、低分子阻害薬による阻害(阻害%、KiappおよびKi値)を、蛍光を基盤とした微少流体移動度シフトアッセイを使用することによって評価することである。GSK3βは、基質ペプチドであるFL-ペプチド-15(5-FAM-KRREILSRRPpSYR-COOH、CPC Scientific、カリフォルニア州サニーヴェール)へのリン酸転移を伴う、ATPからのADPの産生を触媒する(配列番号2)。移動度シフトアッセイでは、キナーゼ反応の後、蛍光標識されたペプチド(基質およびリン酸化産物)が電気泳動によって分離される。LabChip EZ Readerによって、基質および産物の両方が測定され、これらの値の比が、基質の産物への変換%の生成に使用される。活性GSK3β(H350L)は、Upstate/Milliporeから購入した。典型的な反応溶液(50μLの最終反応体積)は、pH7.5の25mMのHEPES緩衝液中に、2%のDMSO(±阻害薬)、4mMのMgCl2、1mMのDTT、40μMのATP(ATP Km=9.43μM)、0.005%のTween-20、2μMのFL-ペプチド-15、および0.6nMのGSK3βを含有した。アッセイは、反応混合物中で酵素および阻害薬を室温で15分間予めインキュベートした後、ATPを加えて開始した。室温で30分経過後、50μLの80mM EDTAを加えて反応を停止させた。Ki値は、酵素濃度を変数として、データをMorrisonの強結合競合阻害式に当てはめて求めた。Morrison,J.F.(1969) Kinetics of the reversible inhibition of enzyme-catalysed reactions by tight-binding inhibitors、Biochimica et biophysica acta 185、269~286;Murphy,D.J.(2004) Determination of accurate KI values for tight-binding enzyme inhibitors:an in silico study of experimental error and assay design、Analytical biochemistry 327、61~67を参照されたい。
CDK4/サイクリンD1移動度シフトアッセイ
CDK4/サイクリンD1アッセイの目的は、低分子阻害薬存在下での阻害(阻害%、KiappおよびKi値)を、蛍光を基盤とした微少流体移動度シフトアッセイを使用することによって評価することである。CDK4/サイクリンD3は、基質ペプチドである5-FAM-Dyrktide(5-FAM-RRRFRPASPLRGPPK)へのリン酸転移を伴う、ATPからのADPの産生を触媒する(配列番号3)。移動度シフトアッセイでは、キナーゼ反応の後、蛍光標識されたペプチド(基質およびリン酸化産物)が電気泳動によって分離される。LabChip EZ Readerによって、基質および産物の両方が測定され、これらの値の比が、基質の産物への変換%の生成に使用される。典型的な反応溶液は、pH7.5の40mMのHEPES緩衝液中に、2%のDMSO(±阻害薬)、10mMのMgCl2、1mMのDTT、3.5mMのATP、0.005%のTW-20、3μMの5-FAM-Dyrktide、3nMの(活性部位)活性化型CDK4/サイクリンD1を含有した。
活性化型CDK4/サイクリンD1(2007E1/2008+PO4)についての阻害薬Ki定量は、反応混合物中で酵素および阻害薬を22℃で18分間予めインキュベートした後、ATP(最終反応体積50μL)を加えて開始した。195分後、50μLの30mM EDTAを加えて反応を停止させた。Ki決定は、酵素濃度を変数としてMorrisonの式に適合させた阻害薬濃度に対する分数速度のプロットから行った。
CDK6/サイクリンD3移動度シフトアッセイ
CDK6/サイクリンD3アッセイの目的は、低分子阻害薬存在下での阻害(阻害%、KiappおよびKi値)を、蛍光を基盤とした微少流体移動度シフトアッセイを使用することによって評価することである。CDK6/サイクリンD3は、基質ペプチドである5-FAM-Dyrktide(5-FAM-RRRFRPASPLRGPPK)へのリン酸転移を伴う、ATPからのADPの産生を触媒する(配列番号3)。移動度シフトアッセイでは、キナーゼ反応の後、蛍光標識されたペプチド(基質およびリン酸化産物)が電気泳動によって分離される。LabChip EZ Readerによって、基質および産物の両方が測定され、これらの値の比が、基質の産物への変換%の生成に使用される。典型的な反応溶液は、pH7.5の40mMのHEPES緩衝液中に、2%のDMSO(±阻害薬)、2%のグリセロール、10mMのMgCl2、1mMのDTT、3.5mMのATP、0.005%のTween20(TW-20)、3μMの5-FAM-Dyrktide、4nMの(活性部位)活性化型CDK6/サイクリンD3を含有した。
活性化型CDK6/サイクリンD3(LJIC-2009G1/2010+PO4)についての阻害薬Ki定量は、反応混合物中で酵素および阻害薬を22℃で18分間予めインキュベートした後、ATP(最終反応体積50μL)を加えて開始した。95分後、50μLの30mM EDTAを加えて反応を停止させた。Ki決定は、酵素濃度を変数としてMorrisonの式に適合させた阻害薬濃度に対する分数速度のプロットから行った。
CDK4およびCDK6移動度シフトアッセイによって発生した強結合阻害薬データの適合については、Morrison,J.F.(1969) Kinetics of the reversible inhibition of enzyme-catalysed reactions by tight-binding inhibitors、Biochimica et biophysica acta 185、269~286;およびMurphy,D.J.(2004) Determination of accurate Ki values for tight-binding enzyme inhibitors:an in silico study of experimental error and assay design、Analytical biochemistry 327、61~67から、式および原理が得られる。
生物活性データ
代表的な本発明の化合物についての生物活性データを、以下に表4として提供する。
選択された化合物についての付加的な生物活性データを、以下に表5として提供する。
本明細書で引用したすべての公表文献および特許出願は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。添付の請求項の真意または範囲から逸脱することなく、ある特定の変化および変更をそれに添えてもよいことは、当業者に明白となる。