JP7082322B2 - ハット形鋼矢板の製造方法および製造設備 - Google Patents

ハット形鋼矢板の製造方法および製造設備 Download PDF

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Description

本発明は、特に大断面のハット形鋼矢板の製造方法および製造設備に関する。
従来から、ハット形等の両端に継手を有する鋼矢板の製造は孔型圧延法によって行われている。この孔型圧延法の一般的な工程としては、先ず加熱炉において所定の温度に加熱した鋼素材(矩形材)を、孔型を備えた粗圧延機、中間圧延機および仕上圧延機によって順に圧延することが知られている。また、粗圧延機、中間圧延機および仕上圧延機による圧延をそれぞれ粗圧延、中間圧延および仕上圧延ともいい、これらの圧延を総称して造形圧延ともいう。
孔型圧延法として例えば特許文献1には、粗圧延、中間圧延および仕上圧延においてロールに複数の孔型を刻設し、それら各孔型において1~2パスずつ圧延を行ってハット形鋼矢板を製造する技術が開示されている。
また、特許文献2には、U形鋼矢板の製造においてウェブとフランジの延伸釣り合いが保たれるように孔型を構成し、同一孔型中で被圧延材を複数回往復させて圧延を行う技術が開示されている。
また、特許文献3には、フランジを有する鋼矢板の製造であって、粗圧延工程および中間圧延工程における被圧延材の圧延は、連続する複数の孔型における複数パス圧延によって行われ、複数の孔型での圧延において、連続する2つの孔型では、後段の孔型におけるフランジ総圧下率に比べて、圧延中立線近傍でのフランジ圧下率が小さくなるような所定の条件にてフランジ対応部のロール隙を構成し、圧延を行う技術が開示されている。
このように、ハット形鋼矢板の造形圧延では、各圧延機の圧延ロールに形成された孔型(カリバー)で素材を圧延することで素材の断面形状が目的とする製品形状にまで徐々に造形、成形されていくが、従来のハット形鋼矢板と比べ全高さが高くなる大断面ハット形鋼矢板では孔型の造形高さは一段と高くなる。
特開2006- 88176号公報 特開昭60- 44101号公報 特開2019- 38014号公報
しかしながら、上記従来の技術には、未だ解決すべき以下のような問題があった。
上記特許文献1に例示される従来の孔型圧延方法では、粗圧延、中間圧延工程~仕上圧延工程にて、フランジを製品とほぼ同じ角度の直線状態として1孔型で1~2パスの圧延を行うが、特にフランジ幅が大きく板厚が薄い場合には、リバース圧延を行うと断面内各部の延伸バランスが取れず、フランジ波が生じてしまう場合がある。
また、上記特許文献2に記載された技術では、ハット形鋼矢板のように、特に従来に比べフランジ幅が大きくフランジ厚が薄い大型鋼矢板に対して延伸を大きくとるような圧延を実施した場合に、上記特許文献2に記載された延伸の釣り合いを保ったとしても、フランジ波等の形状不良が発生し、安定した圧延・造形が難しく、製品形状不良が発生する恐れがある。また、圧延機の制約の中ではフランジ波等の形状不良の発生を抑制するのに適正な釣り合い条件を実現できない場合がある。
また、上記特許文献3に記載された技術は、フランジ波防止としては有効であるが大断面のハット形鋼矢板の場合にはフランジ引き伸ばしが軽減されない限り腕や継手部の肉量確保は難しく解決策とはならない課題があった。近年、経済性や施工性の観点から幅が大きく板厚の薄い大型断面の鋼矢板が求められており、このような大型鋼矢板の製造において更なる技術の向上が求められているのが実情である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、大断面のハット形鋼矢板のように、従来に比べフランジ幅が大きくフランジ厚の薄いハット形鋼矢板を製造する場合に、製造過程の造形圧延において、フランジ波や、腕や継手部の肉量不足といった形状不良が発生するのを抑制し、製品寸法精度や圧延の安定性の向上を図ることができるハット形鋼矢板の製造方法を提案することにあり、その方法に適した製造設備を提供することにある。
上記課題を解決し、上記の目的を実現するため開発した本発明にかかるハット形鋼矢板の製造方法は、被圧延材に粗圧延、中間圧延および仕上圧延を施し、ハット形の鋼矢板を製造する方法であって、
前記粗圧延工程、中間圧延工程および仕上圧延工程における被圧延材の圧延は、複数の孔型における複数パス圧延によって行われ、
前記複数の孔型での圧延において、少なくとも2つの孔型では、前段孔型は、フランジ対応部の圧延中立線近傍からウェブ肩近傍まで、および、圧延中立線近傍から腕付け根近傍までのフランジ厚を圧延中立線近傍よりも厚くし、
後段孔型は、フランジ厚を厚くした前記フランジ対応部を強圧下するように圧延することを特徴とする。
ここで、「圧延中立線近傍」とは、孔型における、中立線を横断するフランジ対応部分のことであり、以下、「圧延中立線近傍」と称する。
なお、本発明にかかるハット形鋼矢板の製造方法については、
a.前記後段孔型におけるウェブ肩近傍および腕付け根近傍のフランジ圧下率(%)を、圧延中立線近傍に比べ2%以上8%以下の強圧下とする、ここで、フランジ圧下率(%)とは、当該圧延における圧下前のフランジ厚みと圧下後のフランジ厚みの差を圧下前のフランジ厚みで除した百分率をいう、こと、
b.前記前段孔型におけるウェブ肩近傍のフランジの増厚は対向するフランジの外側に張り出して付加し、腕付け根近傍のフランジの増厚は対向するフランジの内側に張り出して付加すること、
がより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
上記課題を解決し、上記の目的を実現するため開発した本発明にかかるハット形鋼矢板の製造設備は、粗圧延機、中間圧延機および仕上圧延機を含む、ハット形の鋼矢板を製造するための製造設備であって、
それぞれの圧延機が孔型を有しており、被圧延材が前記孔型によって順次圧延されるように前記粗圧延機、前記中間圧延機および前記仕上圧延機が配置されており、
少なくとも2つの孔型では、前段孔型は、フランジ対応部の圧延中立線近傍からウェブ肩近傍まで、および、圧延中立線近傍から腕付け根近傍までのフランジ厚を圧延中立線近傍よりも厚くなるように構成されており、
後段孔型は、フランジ厚を厚くした前記フランジ対応部が圧延中立線近傍より強圧下されるように構成されていることを特徴とする。
本発明のハット形鋼矢板の製造方法によれば、複数の孔型における複数パス圧延によって行われる大断面のハット形鋼矢板の製造時に、前段孔型は、フランジ対応部の圧延中立線近傍からウェブ肩近傍まで、および、圧延中立線近傍から腕付け根近傍までのフランジ厚を圧延中立線近傍よりも厚くし、後段孔型は、フランジ厚を厚くした前記フランジ対応部を強圧下するようにしたので、圧下による幅広がりを発生させる事により孔型でのフランジ引き伸ばしを助ける作用を与え、腕部や継手部の肉量不足を解消することが可能となる。また、増厚したウェブ肩近傍および腕付け根近傍のフランジ部の圧下率を特定の範囲とすることで効率よく圧延することができる。加えて、ロール有効径を確保できるうえ、ロール強度の向上を図ることができる。
さらに、ウェブ肩近傍および腕付け根近傍のフランジの増厚位置を特定することで、ウェブの抑え込みにより、被圧延材のふらつきを抑制し、継ぎ手部の位置ずれを抑制できるようになり、圧延の安定性の向上を図ることができる。
本発明のハット形鋼矢板の製造設備によれば、粗圧延機、中間圧延機および仕上圧延機を含む、ハット形の鋼矢板を製造するための製造設備であって、それぞれの圧延機が孔型を有しており、被圧延材が前記孔型によって順次圧延されるように前記粗圧延機、前記中間圧延機および前記仕上圧延機が配置されており、少なくとも2つの孔型では、前段孔型は、フランジ対応部の圧延中立線近傍からウェブ肩近傍まで、および、圧延中立線近傍から腕付け根近傍までのフランジ厚を圧延中立線近傍よりも厚くなるように構成されており、後段孔型は、フランジ厚を厚くした前記フランジ対応部が圧延中立線近傍より強圧下されるように構成されているので、圧下による幅広がりを発生させる事により孔型でのフランジ引き伸ばしを助ける作用を与え、腕部や継手部の肉量不足を解消することが可能となる。
ハット形鋼矢板の製造設備を示す概略説明図である。 (a)および(b)は従来のハット形鋼矢板の概略断面図でそれぞれ10Hおよび25Hの規格を表し、(c)および(d)は大断面のハット形鋼矢板の概略断面図でそれぞれ45Hおよび50Hの規格を表す。 本発明に係る一実施形態の方法を説明する前段の孔型形状の概略断面図である。 上記実施形態にかかるフランジ部対応部位の部分拡大図である。 (a)は従来法の孔型設計思想を説明する断面図であり、(b)は上記実施形態に係る孔型設計思想を説明する断面図である。 (a)は上記実施形態において、被圧延材が後段孔型に噛み込んだ状態を示す側面模式図であり、(b)は、そのD-D’視断面図である。 (a)は従来法による後段孔型圧延時の継ぎ手部充満状況を示す断面模式図であり、(b)は上記実施形態にかかる後段孔型圧延時の継ぎ手部充満状況を示す断面模式図である。 従来法での継ぎ手部肉量不足対策の概念を示す断面模式図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本実施の形態において略ハット形鋼矢板形状の圧延材はウェブがフランジより上方に位置する姿勢(いわゆる逆U姿勢)で圧延されるものとして説明するが、当然本発明の適用範囲はその他の姿勢(例えばU姿勢)での圧延にも及ぶ。
また、以下に記載の素材または被圧延材Sは、ハット形鋼矢板製品を製造する場合に圧延される長尺の鋼材を示しており、圧延ラインL上を通材される鋼材を総称して被圧延材Sと呼称し、それぞれの圧延機において圧下された状態の被圧延材Sについては必要に応じて別途異なる呼称で記載する。この被圧延材Sは略ハット形形状であり、略水平部であるウェブ対応部6と、ウェブ対応部6の両端に所定の角度でもって連結しているフランジ対応部7、7’と、各フランジ対応部7、7’においてウェブ対応部6との連結側とは異なる端部に連結している腕対応部8、8’と、腕対応部8、8’の先端に連結される継手対応部9、9’から構成されている。なお、継手対応部9、9’の端部はそれぞれ爪部10、10’と呼称される。
まず、ハット形鋼矢板を製造する製造設備1として基本的な構成である圧延ラインLの概略について説明する。図1はハット形鋼矢板の圧延フロー図である。図1において、圧延ラインLの圧延進行方向、つまり、被圧延材Sの搬送方向は矢印で示す方向である。加熱炉2で加熱された素材Sである鋼スラブ等は、粗圧延機3、中間圧延機4および仕上圧延機5で順次圧延される。また、粗圧延機3、中間圧延機4及び仕上圧延機5による圧延を粗圧延、中間圧延、仕上圧延ともいい、これらの圧延を総称して造形圧延ともいう。図示しないが、粗圧延2段(8K、7K)、中間圧延4段(6K、5K、4K、3K)および仕上圧延2段(2K、1K)が例示される。
ハット形鋼矢板の造形圧延では、各圧延機の圧延ロールに形成された孔型(カリバー)で素材Sを圧延する事で素材の断面形状が目的とする製品形状にまで徐々に造形、成形されていく。図2に示す通り従来のハット形鋼矢板である10H(a)や25H(b)と比べ全高さが高くなる大断面ハット形鋼矢板45H(c)や50H(d)では孔型の造形高さは一段と高くなる。
発明者らの検討によれば、大断面のハット形鋼矢板を製造する場合、素材や前段孔型仕上り材からの造形圧延において、上孔型ロール11側では腕対応部8、8’を押し下げ、下孔型ロール12側ではウェブ対応部6を突き上げることによるフランジ対応部7、7’の曲げ込みや引き伸ばしを生じ、腕対応部8、8’および継手対応部9、9’に被圧延材の引き込みが発生し継手部肉量の不足や変動が発生しやすい状態になる。
特に、各孔型圧延の初期には変形が大きくなり、圧延荷重が過大となりやすく、圧延機やロール有効径、強度等の設備制約があって、孔型高さを深くすることが困難となる場合があり、次工程の孔型でフランジ対応部7、7’の引き伸ばし量を、従来の量より多くせざるを得なくなることになる。
また、実際の圧延においては、造形高さが大きくなることも加わり、フランジ板厚は設計上の基準通りの全体的に均一な板厚になるのではなく、ウェブ対応部6や腕対応部8、8’との連結部近傍のフランジ対応部7、7’の厚さは引き伸ばしにより薄くなり、一方、圧延中立線O近傍のフランジ対応部7、7’の厚さは圧延によるスプリングバック(復厚)により設計上の基準よりも厚く仕上がる現象が起きる。
上記のようにフランジ対応部7、7’の引き延ばし量が大きい場合には、腕対応部8、8’のみならず、継手対応部8、8’がフランジ対応部7、7’方向に引き込まれ、必要な肉量が確保できないばかりか圧延メタル(肉)の変動も大きくなりやすいことになる。
また、フランジ対応部7、7’の引き伸ばしによりウェブ対応部6や腕対応部8、8’との連結部近傍のフランジ対応部7、7’の厚さは薄くなっても、圧延中立線O近傍のフランジ対応部7、7’の厚さは復厚により厚くなるため、後段孔型による圧下バランスとしても圧延中立線O近傍のフランジ対応部7、7’が強圧下傾向となりフランジ波を起こしやすくなる。この対応として特許文献3では、圧延中立線近傍でのフランジ圧下率が小さくなるような所定の条件にてフランジ対応部のロール隙を構成することが示されており、フランジ波防止としては有効であるがフランジ対応部7、7’の引き伸ばし量が軽減されない限り、腕対応部8、8’や継手対応部9、9’の肉量確保は難しく解決策とはならない。
そこで、本発明では、まず、前段孔型において、圧延中立線O近傍からウェブ対応部6に連結する肩近傍まで、および、圧延中立線O近傍から腕対応部8、8’に連結する付け根近傍までのフランジ対応部7、7’の厚さを圧延中立線O近傍のフランジ対応部7、7’の厚さよりも厚くする。とくに、圧延中立線O近傍から離れていくにしたがって、フランジ対応部7、7’の増厚量を多くしていくことが好ましい。また、直線状のフランジ対応部7、7’がウェブ対応部6や腕対応部8、8’に向かって変曲する直前に最大の増厚を配することが好ましい。次に、後段孔型において、前段孔型でフランジ対応部7、7’の厚さを厚くした、フランジ対応部7、7’の圧延中立線O近傍からウェブ対応部6に連結する肩近傍まで、および、圧延中立線O近傍から腕対応部8、8’に連結する付け根近傍までを強圧下することで、腕対応部8、8’や継手対応部9、9’の肉量確保を図るものである。なお、上記した前段孔型と後段孔型は連続していることが好ましいが、間にフランジ対応部の圧下率を均等とした孔型を1または2以上配置してもよい。
図3に本発明の一実施形態にかかる孔型設計の概念を断面図で示し、その右フランジ対応部7周辺を拡大して図4に示す。ここでは、従来の孔型曲線を二点鎖線で示し、本発明に係る孔型曲線を実線で示す。図4に示すように、ウェブ対応部6に連結する肩近傍のフランジ対応部7の厚さAや腕対応部8に連結する付け根近傍までのフランジ対応部7の厚さCは、圧延中立線O近傍のフランジ対応部7の厚さBより、増厚されており厚くなっている。また、図4の例では、圧延中立線O近傍からウェブ対応部6に連結する肩近傍まで、および、圧延中立線O近傍から腕対応部8に連結する付け根近傍までのフランジ対応部7の厚さを圧延中立線O近傍のフランジ対応部7の厚さBよりも徐々に厚くしている。なお、対向するフランジ対応部7’も同様である。
図4の例では、フランジ対応部7の増厚は、圧延中立線O近傍からウェブ対応部6に連結する肩近傍までは、フランジ対応部7の外側に張り出して付加されており、上孔型ロール11側の隙が広くなっている。また、圧延中立線O近傍から腕対応部8に連結する付け根近傍までは、対向するフランジ対応部7の内側に張り出して付加されており、下孔型ロール12側の隙が広くなっている。
なお、粗圧延での第一造形孔型(8K)は、素材Sである断面矩形の鋼スラブ等からの変形を行うことから、上記設計思想に基づくフランジ対応部7、7’の増厚を行わないことが好ましく、次造形となる孔型(7K)からフランジ対応部7、7’の増厚を付加することが好ましい。また、最終仕上げ圧延となる孔型(1K)は、当然、増厚はなく、最終製品形状を造形することとなる。
ウェブ対応部6に連結する肩近傍のフランジ対応部7の増厚量および腕対応部8に連結する付け根近傍フランジ対応部7の増厚量がフランジ対応部7の長手方向で最大の増厚量となり、その増厚量の圧延中立線O近傍のフランジ対応部7の厚さに対する比率を百分率で表し、δt(%)=(A-B)/B×100=(C-B)/B×100を増厚率と定義する。なお、上記フランジ対応部7の増厚率δtは、粗圧延孔型(7K)から仕上圧延孔型(2K)にかけて、徐々に減少させていくことがさらに好ましく、最終仕上直前の圧延孔型(2K)において、2%以上とすることが好ましい。
図5(a)に従来法の孔型設計の概念を、前段孔型を二点鎖線で、後段孔型を実線で示す。ここでは、連続する前後の2つの孔型を例にして、両孔型の圧延中立線を一致させている。従来法では、ウェブ対応部6に連結する肩近傍のフランジ対応部7、7’の圧下率σA、圧延中立線O近傍のフランジ対応部7、7’の圧下率σBおよび腕対応部8、8’に連結する付け根近傍フランジ対応部7、7’の圧下率σCは、同じ、つまりσA=σB=σCに設計していた。後段の孔型(実線)ではフランジ対応部7、7’が引き延ばされるため、腕対応部8、8’ひいては継手対応部9、9’が内側に引き込まれることになっていた。そのため、腕対応部8、8’ひいては継手対応部9、9’の肉不足を生じていた。ここで、フランジ対応部の圧下率σ(%)とは、当該圧延における圧下前のフランジ厚みと圧下後のフランジ厚みの差を圧下前のフランジ厚みで除した百分率をいう。
図5(b)に上記実施形態にかかる孔型設計の概念を、前段孔型を二点鎖線で、後段孔型を実線で示す。図5(a)と同様、連続する前後の2つの孔型を例にして、両孔型の圧延中立線を一致させている。本実施形態では、ウェブ対応部6に連結する肩近傍のフランジ対応部7の圧下率σA’および腕対応部8に連結する付け根近傍フランジ対応部7の圧下率σC’は、圧延中立線O近傍のフランジ対応部7の圧下率σBより大きくして、つまり、σA’>σB、σC’>σBとした。上記したようにフランジ厚を増肉した部分を相対的に強圧下するようにした。それにより、腕対応部8、8’や継手対応部9、9’がフランジ対応部7、7’側に引き込まれるのを防止することができる。したがって、腕対応部8、8’ひいては継手対応部9、9’にも十分に充満することができた。フランジ対応部の増厚率δtと圧下率σの関係を示すと、たとえば、K2圧延後のフランジ対応部のウェブ肩部近傍のフランジ厚みをA2、圧延中立線近傍のフランジ厚みをB2とし、K2圧延後の増厚率をδt2とし、K1圧延後のフランジ厚みをそれぞれA1=B1とすれば、フランジ対応部のウェブ肩部近傍のフランジ圧下率σA1=(A2-A1)/A2×100=(B2+δt2/100-B1)/(B2+δt2/100)×100となり、圧延中立線近傍のフランジ圧下率σB1=(B2-B1)/B2×100となり、フランジ圧下率の差(σA1-σB1)=δt2・(B1/A2)となる。A2>B1であるので、フランジ圧下率の差は、増厚率より少し小さな値となる。
ウェブ対応部6に連結する肩近傍のフランジ対応部7の圧下率σA’および腕対応部8に連結する付け根近傍フランジ対応部7の圧下率σC’は、圧延中立線O近傍のフランジ対応部7の圧下率σBより2%以上8%以下の強圧下とするとすることが好ましい。上限超えでは、後段孔型における変形、つまり、ウェブ対応部6の圧縮変形や腕対応部の押し出し変形により、圧延での出方不良、例えば、上下反り悪化等を生じやすくなるおそれがある。一方、下限未満ではフランジ部7の引き延ばしによる腕対応部や継手対応部の引き込み抑制効果がほとんど見られなかった。
図6(a)には、本実施形態において、被圧延材が後段孔型に噛み込んだ状態を側面模式図で示す。図6(b)には、図6(a)のD-D’視断面図であって、被圧延部材Sのウェブ対応部6天部を後段上孔型ロール31に押し付けた状態を示している。図6(b)からわかるように、本実施形態における被圧延部材Sのウェブ対応部6の肩部(実線)は、従来材のウェブ対応部6の肩部(二点鎖線)より外に張り出しており(α)、後段上孔型ロール31のウェブ対応部6の肩部(破線)にしっかり拘束されて左右へのがたつきが生じないようになっている。一方、従来材では、ウェブの圧延時に外に広がるため、ウェブ対応部6の左右の肩部に被圧延材Sと後段上孔型ロールとのすき間を生じ、左右にずれて噛み込むおそれがある。また、本実施形態における被圧延部材Sのフランジ対応部7、7’の腕部8、8’近傍の付け根(実線)は、従来材のそれ(二点鎖線)より内側に張り出しており(γ)、被圧延材Sと後段下孔型ロール32(破線)との隙が小さくなって、被圧延材のふらつきを抑制しやすくなることで、圧延の安定性に貢献している。
図7は、後段孔型ロール31、32での被圧延材の造形圧延の様子を模式的に断面図で示したものである。図7(a)は、従来法に従いフランジ対応部7、7’の圧下率をウェブ対応部6に連結する肩部から腕対応部8、8’近傍の付け根まで均等(σA=σB=σC)とした場合を示す。大断面ハット形鋼矢板の継手対応部9、9’、とくに被圧延材Sの爪部10、10’先端が孔型との隙が生じており、フランジ対応部7、7’の引き延ばしに伴う腕対応部8、8’の引き込みにより、継手対応部9、9’の肉量が不足していることを表している。
図7(b)は、本実施形態にかかる方法により、ウェブ対応部6に連結する肩近傍のフランジ対応部7の圧下率σA’および腕対応部8に連結する付け根近傍フランジ対応部7の圧下率σC’を、圧延中立線O近傍のフランジ対応部7の圧下率σBより大きくした場合(σA’>σB、σC’>σB)を示す。これにより、フランジ対応部7、7’の引き延ばしによっても、腕対応部8、8’の引き込みがなくなり、継手対応部9、9’に被圧延材Sが充満していることがわかる。
従来法において、上記の継手対応部の肉量不足を解消するためには、前段孔型ロールにおいて、より高いフランジ対応部を設計する必要がある。この概念を模式的断面図で図8に示す。改善前の前段上孔型ロールおよび前段下孔型ロールのプロフィールをそれぞれc1およびc2で示す。一方、腕対応部の引き込み防止対策としてフランジ高さを増加させた前段上孔型ロールおよび前段下孔型ロールのプロフィールをそれぞれd1およびd2に示す。従来法で設計した場合には、孔型高さが増加するため、ロール利用面で有効径が小さくなるうえ、ロール強度としても劣ることになる。本実施形態では、孔型高さを変えることなく、フランジ対応部の肉厚増加と、強圧下で対応するので上記のような問題が発生しない。
本発明は、複数の孔型ロールを用いた造形圧延において、後段孔型におけるフランジ対応部引き延ばしに伴い連結する部位を引き込むことにより当該部位の肉量が不足する状況に適用して好適である。
1 製造設備
2 加熱炉
3 粗圧延機
4 中間圧延機
5 仕上圧延機
6 ウェブ対応部
7、7’ フランジ対応部
8、8’ 腕対応部
9、9’ 継手対応部
10、10’ 爪部
11 上孔型ロール
12 下孔型ロール
21 前段上孔型ロール
22 前段下孔型ロール
31 後段上孔型ロール
32 後段下孔型ロール
L 圧延ライン
S 素材および被圧延材
O 中立線

Claims (3)

  1. 被圧延材に粗圧延、中間圧延および仕上圧延を施し、ハット形の鋼矢板を製造する方法であって、
    前記粗圧延工程、中間圧延工程および仕上圧延工程における被圧延材の圧延は、複数の孔型における複数パス圧延によって行われ、
    前記複数の孔型での圧延において、少なくとも2つの孔型では、前段孔型は、フランジ対応部の圧延中立線近傍からウェブ肩近傍まで、および、圧延中立線近傍から腕付け根近傍までのフランジ厚を圧延中立線近傍よりも厚くし、前記前段孔型におけるウェブ肩近傍のフランジの増厚は対向するフランジの外側に張り出して付加し、前記前段孔型における腕付け根近傍のフランジの増厚は対向するフランジの内側に張り出して付加し、
    後段孔型は、フランジ厚を厚くした前記フランジ対応部を強圧下するように圧延することを特徴とするハット形鋼矢板の製造方法。
  2. 前記後段孔型におけるウェブ肩近傍および腕付け根近傍のフランジ圧下率(%)を、圧延中立線近傍に比べ2%以上8%以下の強圧下とする、ここで、フランジ圧下率(%)とは、当該圧延における圧下前のフランジ厚みと圧下後のフランジ厚みの差を圧下前のフランジ厚みで除した百分率をいう、ことを特徴とする請求項1に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
  3. 粗圧延機、中間圧延機および仕上圧延機を含む、ハット形の鋼矢板を製造するための製造設備であって、
    それぞれの圧延機が孔型を有しており、被圧延材が前記孔型によって順次圧延されるように前記粗圧延機、前記中間圧延機および前記仕上圧延機が配置されており、
    少なくとも2つの孔型では、前段孔型は、フランジ対応部の圧延中立線近傍からウェブ肩近傍まで、および、圧延中立線近傍から腕付け根近傍までのフランジ厚圧延中立線近傍よりも厚くなり、前記前段孔型におけるウェブ肩近傍のフランジの増厚が対向するフランジの外側に張り出して付加され、前記前段孔型における腕付け根近傍のフランジの増厚が対向するフランジの内側に張り出して付加されるように構成されており、
    後段孔型は、フランジ厚を厚くした前記フランジ対応部が圧延中立線近傍より強圧下されるように構成されていることを特徴とするハット形鋼矢板の製造設備。
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