JP7079624B2 - 繊維材料捺染又は染色用組成物、捺染又は染色用の処理層を有する繊維材料の製造方法、ならびに捺染又は染色された繊維材料の製造方法 - Google Patents
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Description
上記繊維材料捺染又は染色用組成物では、さらに光重合開始剤を含むことが好ましい。
また、本発明の捺染又は染色用の処理層を有する繊維材料の製造方法によれば、繊維材料への付与・重合処理後に、イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体由来の構成単位を有する硬化物を、水等による洗浄で容易に除去できる、捺染又は染色用の処理層を有する繊維材料を製造できる。
また、本発明の捺染又は染色された繊維材料の製造方法によれば、繊維材料への付与・重合処理後に、イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体由来の構成単位を有する硬化物が、水等による洗浄で容易に除去された、捺染又は染色された繊維材料を製造方法できる。
本発明に係る繊維材料の捺染又は染色時に使用する組成物(以下、単に捺染又は染色用組成物という場合がある)は、イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体を含む。イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体を含む捺染又は染色用組成物は、繊維材料への付与・重合処理後に、イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体由来の構成単位を有する硬化物を、水等による洗浄で容易に除去できる。また、好ましくは、後述のように粘度が低いため、繊維材料に塗布しやすく、また、繊維材料への浸透性にも優れている。また、好ましくは、繊維材料に塗布後に電子線を用いて重合硬化することにより処理層を形成するため、捺染又は染色時の滲みを抑制できる。
本発明の捺染又は染色用組成物に含まれる水溶性エチレン性不飽和単量体は、エチレン性不飽和基を分子内に1つ以上有する単量体であり、イオン性基と対イオンとを含有することにより、水溶性が高い単量体である。
対イオンとして、1価の対イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体と、多価の金属イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体とを併用した場合に、捺染又は染色用組成物を光硬化して得られる処理層の染料の滲み抑制性をより向上できる。また、これらに加えて、さらに後述の有機酸及び/又はその塩と併用することは本発明の好ましい形態である。多価金属イオンで好ましくは、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンである。
対イオンとして1価の金属イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体の含有量は、捺染又は染色用組成物100質量%中、上限としては、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。下限としては、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。
対イオンとして多価の金属イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体の含有量は、捺染又は染色用組成物100質量%中、上限としては好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、下限としては好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。
上記のようにした場合に捺染又は染色用組成物の重合処理後の溶解性をより向上できる。
中でも、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩等の1価塩が好ましく、より好ましくはナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩である。さらに好ましくはカリウム塩である。
カルボン酸の1価塩と多価金属塩を併用した場合に、捺染又は染色用組成物を光硬化して得られる処理層の染料の滲み抑制機能をより向上できる。また、これらに加えて、さらに後述の有機酸及び/又はその塩と併用することは本発明の好ましい形態である。カルボン酸多価金属塩で好ましくは、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩である。
カルボン酸の1価金属塩の含有量は、捺染又は染色用組成物100質量%中、上限としては、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。下限としては、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。
カルボン酸の多価金属塩の含有量は、捺染又は染色用組成物100質量%中、上限としては好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、下限としては好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。
上記のようにした場合に捺染又は染色用組成物の重合処理後の溶解性をより向上できる。
上記例示のイオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の捺染又は染色用組成物中に含まれるイオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、上記に加えて、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、またはネオジウム塩等のアクリル酸多価金属塩を含んでいてもよい。アクリル酸多価金属塩で好ましくは、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩である。
アクリル酸の1価塩と多価金属塩を併用した場合に、捺染又は染色用組成物を光硬化して得られる処理層の染料の滲み抑制機能をより向上できる。アクリル酸の1価塩と多価金属塩を併用する組み合わせとしては、アクリル酸カリウムとアクリル酸亜鉛の組み合わせが好ましい。アクリル酸亜鉛を併用することにより硬化性が向上し、より高い染料の滲み抑制機能を有する処理層を得ることができる。
中でも、アクリル酸カリウムとアクリル酸亜鉛の合計含有量が、捺染又は染色用組成物100質量%中、10~30質量%であることが好ましい。このようにすることにより、組成物の粘度を低くすることができる。
また、アクリル酸の1価塩の含有量は、捺染又は染色用組成物100質量%中、上限としては、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。下限としては、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。
アクリル酸の多価金属塩の含有量は、捺染又は染色用組成物100質量%中、上限としては好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、下限としては好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。
上記のようにした場合に捺染又は染色用組成物の重合処理後の溶解性に加えて染料の滲み抑制機能をより向上できる。
本発明の捺染又は染色用組成物は、上記イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体以外の他の不飽和単量体を含んでいてもよい。上記他の不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、メチル=2-(ヒドロキシメチル)アクリレート、および2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;フェニルアリルエーテル、o-,m-,p-クレゾールモノアリルエーテル、ビフェニル-2-オールモノアリルエーテル、ビフェニル-4-オールモノアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル、およびシクロヘキサンメタノールモノアリルエーテル等のアリルエーテル;ブチルビニルエーテル、ブチルプロペニルエーテル、ブチルブテニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルエトキシビニルエーテル、アセチルエトキシエトキシビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、およびアダマンチルビニルエーテル等のビニルエーテル;フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、およびn-ヘキシルマレイミド等のマレイミド;ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ビス(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ビス(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのEO付加物ビス(メタ)アクリレート等の芳香族基を有するモノマーおよび脂環式基を有するモノマー;ポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレンジ(メタ)アクリレート;アクロロイルモルホリン;N-ビニルピロリドン;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド等のアクリルアミド等が挙げられる。
これらは1種で単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記他の不飽和単量体の含有量としては、上記組成物100質量%中、好ましくは20~50質量%、より好ましくは25~45質量%である。他の不飽和単量体の含有量が、上記組成物100質量%中、2質量%未満であることも好ましい。このようにした場合に、捺染又は染色用組成物の臭気をより抑制できる。
本発明の捺染又は染色用組成物は、有機酸及び/又はその塩を含んでいてもよい。有機酸及び/又はその塩は、上記水溶性エチレン性不飽和単量体、及び上記他の不飽和単量体以外の化合物である。
有機酸としては、例えば、p-トルエンスルホン酸などの有機スルホン酸、フェニルホスホン酸などの有機リン酸、有機カルボン酸、リン酸エステルなどが挙げられる。なかでも有機カルボン酸が好ましい。有機カルボン酸としては、例えば、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸が挙げられる。脂肪族カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、オクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、トリデカン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、安息香酸、グリシン、ポリアクリル酸、ポリ乳酸などが挙げられる。芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸、サリチル酸などが挙げられる。なかでも、脂肪族カルボン酸がより好ましく、乳酸、プロピオン酸、ポリアクリル酸がさらに好ましい。
有機酸の塩としては、例えば、金属カルボン酸塩が挙げられる。金属カルボン酸塩の金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属;亜鉛;ジルコニウムなどが挙げられる。なかでもカリウムなどのアルカリ金属が好ましい。有機酸の塩としては、乳酸カリウム、プロピオン酸カリウムが好ましい。
本発明の捺染又は染色用組成物は、有機酸及び/又はその塩を含んでいる場合に、貯蔵安定性がより向上する。
有機酸及び/又はその塩の含有量は、捺染又は染色用組成物100質量%中、上限としては好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、下限としては好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上である。このようにした場合に捺染又は染色用組成物の貯蔵安定性をより向上できる。
本発明の捺染又は染色用組成物は、溶剤を含んでいてもよい。上記溶剤としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール等の1価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ポリオキシプロピレングリコールなどのオキシプロピレン基を含むアルキレンオキサイド付加物等のグリコールが挙げられる。上記溶媒は1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の捺染又は染色用組成物は、光重合開始剤を含むことが好ましい。上記光重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-フェニルプロパン-1-オン、ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン等のアセトフェノン化合物;2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、2-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン等のアントラキノン化合物;2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、[3-(3,4-ジメチル-9-オキソチオキサンテン-2-イル)オキシ-2-ヒドロキシプロピル]-トリメチルアザニウムクロリド等のチオキサントン化合物;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール化合物;ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、4,4’-ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス-(2、6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド;およびこれらの混合物等が挙げられる。
これらは1種で単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記光重合開始剤の含有量としては、上記組成物100質量%中、好ましくは0.05~10.0質量%、より好ましくは0.1~7.0質量%、さらに好ましくは0.3~5.0質量%である。
本発明の捺染又は染色用組成物には、染料または顔料もしくはその両方が添加されていてもよい。染料としては、トルイジンレッド、パーマネントカーミンFB、ファストイエローG、ジスアゾイエローAAA、ジスアゾオレンジPMP、溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニンブルー、インダントロンブルー、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット、塩基性染料、酸性染料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、無機顔料としての金属酸化物、カーボンブラック等が挙げられる。
本発明の捺染又は染色用組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要によりその他の添加剤を含有させることができる。具体的には、例えば、光開始助剤、重合禁止剤、界面活性剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、充填剤等が挙げられる。
上記添加物の含有量としては、上記組成物100質量%中、好ましくは0.05~30質量%、より好ましくは0.05~20質量%である。
本発明の捺染又は染色用組成物は、繊維材料に付与後、電子線で硬化し、処理層を形成する。該硬化としては、100~2000mJ/cm2の光を照射することが好ましく、100~1000mJ/cm2の光を照射することがより好ましく、100~600mJ/cm2の光を照射することがさらに好ましい。
本発明の捺染又は染色用組成物は、繊維材料への付与・重合処理後の温水等による洗浄で、イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体由来の構成単位を有する硬化物を容易に除去できる。温水等による洗浄では、上記処理層を有する繊維材料を50℃の温水を用いて温水に浸漬させる方法で洗浄した場合に、10分程度で洗浄され、より好ましくは5分程度で洗浄される。
本発明の捺染又は染色用組成物による上記処理層を有する繊維材料では、染料の滲み抑制機能に優れている。本発明の捺染又は染色用組成物による上記処理層を有する繊維材料に、インクでフェザリング処理した場合に、インクにほとんど滲みが生じない。
本発明の捺染又は染色用の処理層を有する繊維材料の製造方法では、上記何れかの繊維材料捺染又は染色用組成物を含む処理剤を繊維材料に付与する処理工程と;上記処理工程で繊維材料に付与された上記処理剤を電子線で硬化して処理層を形成する重合工程と;を含む。
上記繊維材料捺染又は染色用組成物が染料を含む場合には、処理層は印刷層であってもよい。
本発明の捺染又は染色された繊維材料の製造方法では、上記何れかの繊維材料捺染又は染色用組成物を含む処理剤を繊維材料に付与する処理工程と、
上記処理工程で繊維材料に付与された上記処理剤を電子線で硬化して、上記イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体由来の構成単位を有する硬化物を含む処理層を形成し、処理層を有する繊維材料を製造する重合工程と、
上記重合工程で形成した上記処理層を有する繊維材料に、さらに、染料を用いて捺染又は染色して、捺染又は染色処理した繊維材料を得る印刷工程と、
上記印刷工程で得られた上記捺染又は染色処理した繊維材料から、上記イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体由来の構成単位を有する硬化物を除去する除去工程と
を含む。
捺染又は染色の定着条件は、例えば、セルロース系の繊維材料では、95~105℃にて飽和蒸気付近で、4~12分間程度処理するのが好ましい。また、絹や羊毛等のアミド系の繊維材料では、95~105℃にて、飽和蒸気付近で、20~40分間程度処理するのが好ましい。
上記処理層を除去する方法としての上記高熱又は高熱の蒸気での処理は、捺染又は染色の定着処理と同時に行うことも可能である。
下処理剤を繊維材料に付与する方法、繊維材料に付与された上記下処理剤を電子線で硬化して処理層を形成する方法としては、上記と同様である。
捺染又は染色用組成物に染料が添加されている場合、上記印刷工程は省略できる。
上記処理工程で繊維材料に付与された上記処理剤を電子線で硬化して、上記染料もしくは顔料またはその両方、および上記イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体由来の構成単位を有する硬化物を含む処理層を形成し、該処理層を有する繊維材料を製造する重合工程と、
上記重合工程で得られた上記処理層を有する繊維材料から、上記イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体由来の構成単位を有する硬化物を除去する除去工程と
を含んでいてもよい。
水50質量部に、水溶性エチレン性不飽和単量体としてアクリル酸カリウム[(株)日本触媒製]10質量部とアクリル酸亜鉛[(株)日本触媒製]10質量部、ポリエチレングリコール[PEG200、和光純薬工業(株)製]30質量部、光重合開始剤としてルシリンTPO[BASFジャパン(株)製]0.3質量部を加えて撹拌混合し、捺染又は染色用組成物を得た。
この捺染又は染色用組成物0.5gを、コットン製の布(5cm×5cm)に塗布・乾燥後、400mJ/cm2の光を照射して、処理層を有する布を作成した。
得られた処理層を有する布に、マッキー極細油性ペン[ゼブラ(株)社製]を用いて線を引いた。線を引いた布の写真を図1に示す。
実施例2~9のそれぞれについて、下記表1に記載された配合(質量部)に変更した以外は実施例1と同様にして、捺染又は染色用組成物ならびに処理層を有する布を作成した。なお、表1において、AA(アクリル酸)、MEA(メトキシエチルアクリレート)は(株)日本触媒製、乳酸は和光純薬工業(株)製、プロピオン酸、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールは(株)日本触媒製、イルガキュア184、イルガキュア2959はBASFジャパン(株)製から、他は上記と同様の市販のものを使用した。
得られた処理層を有する布に、実施例1と同様に線を引いた。
無処理の、コットン製の布(5cm×5cm)に、実施例1と同様に線を引いた。
下記表1に記載された配合(質量部)に変更した以外は実施例1と同様にして、捺染又は染色用組成物ならびに処理層を有する布を作成した。なお、表1において、ACMO(アクリロイルモルフォリン)は東京化成工業(株)製から、他は上記と同様の市販のものを使用した。
得られた処理層を有する布に、実施例1と同様に線を引いた。線を引いた布の写真を図2に示す。
実施例1~9、比較例1、2で作成した線を引いた布について、目視観察して、下記の基準に従ってフェザリングを評価した。結果を表1に示す。
○:インクにじみがない
△:多少ぼやけている
×:にじんでいる
実施例1~9、比較例1、2で作成した線を引いた布について、50℃の温水を用いて温水に浸漬させる方法で洗浄性を評価した。評価基準は、次の通りである。結果を表1に示す。
○:5分以内でインクが落ちる
△:5分超10分以内でインクが落ちる
×:インクを落とすのに10分超かかる
Claims (4)
- 繊維材料の捺染又は染色時に使用する組成物であって、
イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体を含み、
該水溶性エチレン性不飽和単量体がアクリル酸の1価塩を含む、
繊維材料捺染又は染色用組成物。 - さらに光重合開始剤を含む
請求項1に記載の繊維材料捺染又は染色用組成物。 - 請求項1または2に記載の繊維材料捺染又は染色用組成物を含む処理剤を繊維材料に付与する処理工程と、
前記処理工程で繊維材料に付与された前記処理剤を電子線で硬化して処理層を形成する重合工程と、
を含む、
捺染又は染色用の処理層を有する繊維材料の製造方法。 - 請求項1または2に記載の繊維材料捺染又は染色用組成物を含む処理剤を繊維材料に付与する処理工程と、
前記処理工程で繊維材料に付与された前記処理剤を電子線で硬化して、前記イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体由来の構成単位を有する硬化物を含む処理層を形成し、処理層を有する繊維材料を製造する重合工程と、
前記重合工程で形成した前記処理層を有する繊維材料に、さらに、染料を用いて捺染又は染色して、捺染又は染色処理した繊維材料を得る印刷工程と、
前記印刷工程で得られた前記捺染又は染色処理した繊維材料から、前記イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体由来の構成単位を有する硬化物を除去する除去工程と
を含む、
捺染又は染色された繊維材料の製造方法。
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