JP7398299B2 - 3dプリンター用光硬化性組成物セット、それを用いた光造形品ならびにその製造方法 - Google Patents

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本発明は、3Dプリンター用光硬化性組成物セット、それを用いた光造形品ならびにその製造方法に関する。
近年、3Dプリンターでは、インクジェットノズルから吐出した液状の光硬化性組成物を硬化させ、積層して光造形するインクジェット方式による光造形法が提案されている。この光造形法を用いた3Dプリンター用インクは、UV等の光硬化により成型体を構成するモデル材用の光硬化性組成物と、モデル材を立体的に積み上げる際のサポート材用の光硬化性組成物とのセットになっている。サポート材の上にモデル材を積層することで、オーバーハング構造や中空構造を造形することが可能となる。
上記光造形法では、3Dプリンターでモデル材用光硬化性組成物とサポート材用光硬化性組成物を同時に吐出した後に1層毎に光硬化して硬化物とし、この硬化物の積層体からサポート材用光硬化性組成物の硬化物を除去することにより目的とする造形物を得る。造形物の造形精度を向上させるためには、同時に吐出されたモデル材用光硬化性組成物とサポート材用光硬化性組成物の相性が重要である。なぜならば、吐出した際にモデル材用光硬化性組成物とサポート材用光硬化性組成物の相性が悪いと、接触した界面において含有成分が析出したり白濁するためである。そこで、界面における相溶性を高めることが検討されてきた。
特許文献1には、インクジェット光造形法に用いられ、かつ、モデル材を造形するために使用されるモデル材用樹脂組成物(モデル材用光硬化性組成物)と、サポート材を造形するために使用されるサポート材用樹脂組成物(サポート材用光硬化性組成物)とを組み合わせてなる光造形用インクセットであって、前記モデル材用樹脂組成物の表面張力Mt(mN/m)が前記サポート材用樹脂組成物の表面張力St(mN/m)よりも大きく、かつ、前記表面張力Mt及び前記表面張力Stが0<Mt-St<5を満足する光造形用インクセットが記載されている。
国際公開2017/047692号公報
本発明者らは、上記光造形法に用いる3Dプリンター用光硬化性組成物セットおいて、同時に吐出されたモデル材用光硬化性組成物とサポート材用光硬化性組成物の界面において適度な相溶性を有することにより、造形性に優れた3Dプリンター用光硬化性組成物セットを提供できることを見出した。
従って、本発明の課題は、モデル材用光硬化性組成物とサポート材用光硬化性組成物が、界面において適度な相溶性を有することにより、造形性に優れた3Dプリンター用光硬化性組成物セットを提供すること、それを用いた成形性に優れた光造形品ならびにその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、3Dプリンター用光硬化性組成物セットにおいて、サポート材用光硬化性組成物とイソボルニルアクリレートとのハンセン溶解度パラメーター距離が所定の関係を満たすことにより、上記課題が解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の3Dプリンター用光硬化性組成物セットは、非水溶性単量体(A)と光重合開始剤(B)とを含むモデル材用光硬化性組成物、及び、水溶性単量体(C)と光重合開始剤(D)とを含むサポート材用光硬化性組成物を含み、該サポート材用光硬化性組成物とイソボルニルアクリレートとのハンセン溶解度パラメーター距離HSPDが12.9(MPa1/2)<HSPD<17.3(MPa1/2)である。上記HSPDがこのような範囲に含まれるとき、該モデル材用光硬化性組成物と該サポート材用光硬化性組成物との相溶性及び水溶解性に優れる。
また、本発明の光造形品は、上記3Dプリンター用光硬化性組成物セットを光硬化させてなる。
さらに、本発明の光造形品の製造方法は、上記3Dプリンター用光硬化性組成物セットを光硬化させて硬化物を得る工程(I)、及び、該硬化物から、上記サポート材用光硬化性組成物が光硬化された硬化物を除去する工程(II)を含んでいる。
本発明の3Dプリンター用光硬化性組成物セット、それを用いた光造形品ならびにその製造方法によれば、モデル材用光硬化性組成物とサポート材用光硬化性組成物が、界面において適度な相溶性を有することにより、造形性に優れた3Dプリンター用光硬化性組成物セット、ならびにそれを用いた成形性に優れた光造形品を提供できる。
図1は、サポート材用光硬化性組成物とイソボルニルアクリレートとのハンセン溶解度パラメーター距離HSPDと相溶性との関係を示したグラフである。
[3Dプリンター用光硬化性組成物セット]
本発明に係る3Dプリンター用光硬化性組成物セット(以下、単に組成物セットという場合がある)は、非水溶性単量体(A)と光重合開始剤(B)とを含むモデル材用光硬化性組成物、及び、水溶性単量体(C)と光重合開始剤(D)とを含むサポート材用光硬化性組成物を含んでいる。該サポート材用光硬化性組成物とイソボルニルアクリレートとのハンセン溶解度パラメーター距離HSPDが、12.9(MPa1/2)<HSPD<17.3(MPa1/2)の範囲に含まれるとき、該モデル材用光硬化性組成物と該サポート材用光硬化性組成物との相溶性及び水溶解性に優れる。
(モデル材用光硬化性組成物)
本発明に係る3Dプリンター用光硬化性組成物セットに含まれるモデル材用光硬化性組成物(以下、単にモデル材用組成物という場合がある)は、非水溶性単量体(A)と光重合開始剤(B)とを含む。
上記モデル材用光硬化性組成物は、非水溶性単量体(A)以外の単量体を含んでいても良い。
上記モデル材用光硬化性組成物に含まれる非水溶性単量体(A)としては、光硬化性を有する単量体で、非水溶性エチレン性不飽和単量体が好ましく、水溶解度(20℃)が20g/L未満の、単官能エチレン性不飽和単量体や多官能エチレン性不飽和単量体等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸等の直鎖または分岐のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-t-シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、等の脂環含有(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジオキソラン、アダマンチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル等の複素環含有(メタ)アクリレート;トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート等の直鎖または分岐のアルキレングリコール(メタ)アクリレート;炭素数が1~12のアルキル基を導入したN-アルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、メチルビニルエーテル、スチレン、N-ビニルカプロラクタム等のビニル化合物、アリルオキシメチルアクリル酸メチルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。またこれらの非水溶性単量体(A)は金属成分を含まない単量体であることが好ましい。
上記非水溶性単量体(A)の含有量は、モデル材用光硬化性組成物の硬化性を向上させる観点から、上記モデル材用光硬化性組成物全体100質量%に対して、15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。なお、上記非水溶性単量体(A)が2種以上含まれる場合、含有量は、各成分の含有量の合計である。
また、モデル材用光硬化性組成物に含まれる単量体総量に対する上記非水溶性単量体(A)の含有量は、モデル材用光硬化性組成物の硬化性を向上させる観点から、50~100質量%であることが好ましく、60~100質量%であることがより好ましい。なお、上記非水溶性単量体(A)が2種以上含まれる場合、含有量は、各成分の含有量の合計である。
上記モデル材用光硬化性組成物に含まれる光重合開始剤(B)としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-フェニルプロパン-1-オン、ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン等のアセトフェノン化合物;2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、2-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン等のアントラキノン化合物;2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、[3-(3,4-ジメチル-9-オキソチオキサンテン-2-イル)オキシ-2-ヒドロキシプロピル]-トリメチルアザニウムクロリド等のチオキサントン化合物;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール化合物;ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、4,4’-ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス-(2、6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド;およびこれらの混合物等が挙げられる。
上記光重合開始剤(B)の含有量としては、モデル材用光硬化性組成物100質量%中、好ましくは0.05~10.0質量%、より好ましくは0.1~9.0質量%、さらに好ましくは2.0~8.0質量%である。なお、上記光重合開始剤(B)が2種以上含まれる場合、含有量は、各成分の含有量の合計である。
上記モデル材用光硬化性組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要により、他の成分を含有させることができる。具体的には、例えば、光開始助剤、重合禁止剤、界面活性剤、着色剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、充填剤、重合性オリゴマー、水溶性単量体等が挙げられる。
光開始助剤としては、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ-p-安息香酸イソアミルエチルエステル、N,N-ジヒドロキシエチルアニリン、トリエチルアミンおよびN,N-ジメチルヘキシルアミン等の第3級アミン化合物が挙げられる。
重合禁止剤としては、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1-ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p-ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5-ジ-t-ブチル-p-ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ-p-ニトロフェニルメチル、N-(3-オキシアニリノ-1,3-ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o-イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム等が挙げられる。
界面活性剤としては、ノニルフェノールのエチレンオキサイド(以下EOと略記)1~40モル付加物、ステアリン酸EO1~40モル付加物等のPEG型非イオン界面活性剤;ソルビタンパルミチン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸トリエステル等の多価アルコール型非イオン界面活性剤;パーフルオロアルキルEO1~50モル付加物、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルベタイン等のフッ素含有界面活性剤;ポリエーテル変性シリコーンオイル、(メタ)アクリレート変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイル等が挙げられる。
着色剤としては、トルイジンレッド、パーマネントカーミンFB、ファストイエローG、ジスアゾイエローAAA、ジスアゾオレンジPMP、溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニンブルー、インダントロンブルー、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット、塩基性染料、酸性染料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、無機顔料としての金属酸化物、カーボンブラック等が挙げられる。
酸化防止剤としては、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート、トリフェニルホスファイト、オクチル化ジフェニルアミン、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)等が挙げられる。
連鎖移動剤としては、ヒドロキノン、ジエチルメチルアミン、ジフェニルアミン、ジエチルジスルフィド、ジ-1-オクチルジスルフィド、トルエン、キシレン、1-ブテン、1-ノネン、ジクロロメタン、四塩化炭素、メタノール、1-ブタノール、エチルチオール、1-オクチルチオール、アセトン、メチルエチルケトン、2-メチル-2-プロピルアルデヒド、1-ペンチルアルデヒド、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール等が挙げられる。
充填剤としては、アルミナ粉、シリカ粉、タルク、マイカ、クレー、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、アルミニウム粉、銅粉、炭素繊維、ガラス繊維、コットン繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、マイクロバルーン、カーボンブラック、金属硫化物、木粉等が挙げられる。
水溶性単量体としては、(メタ)アクリル酸;アクリロイルモルホリン;N-ビニルピロリドン;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド等のアクリルアミド、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート等が挙げられる。
上記添加物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記添加物の含有量としては、上記組成物100質量%中、好ましくは0.05~30質量%、より好ましくは0.05~20質量%である。
上記モデル材用光硬化性組成物は、上述した各種成分を用いて調製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、一般的な撹拌羽根や超音波ホモジナイザー、高速ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、遊星撹拌装置、3本ロール、ボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミル等の混合又は撹拌できる装置を用いて撹拌・混合する方法が挙げられる。溶液調製後に各種フィルターを用いてろ過をしてもよい。
上記モデル材用光硬化性組成物は、インクジェットヘッドからの吐出性を良好にする観点から、吐出温度での粘度が20mPa・s以下であることが好ましい。なお、モデル材用光硬化性組成物の粘度測定は、JIS Z 8803に準拠し、R100型粘度計を用いて行われる。
(サポート材用光硬化性組成物)
本発明に係る3Dプリンター用光硬化性組成物セットに含まれるサポート材用光硬化性組成物(以下、単にサポート材用組成物という場合がある)は、水溶性単量体(C)と光重合開始剤(D)とを含んでいる。上記サポート材用光硬化性組成物は水溶性である。
上記サポート材用光硬化性組成物に含まれる水溶性単量体(C)としては、水溶解度(20℃)が20g/L以上の単量体であれば特に限定されず、イオン性基と対イオンとを含有するイオン性単量体でも、非イオン性単量体でもよい。中でも、イオン性基と対イオンとを含有するイオン性単量体が好ましく、また、エチレン性不飽和基を分子内に1つ以上有する単量体が好ましい。より好ましくはイオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体である。
上記イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体は、イオン性基と対イオンとを含有することにより、水溶性が高い。水溶解度(20℃)は100g/L以上であることが好ましく、200g/L以上であることがより好ましく、500g/L以上であることがさらに好ましい。
エチレン性不飽和基としては、エチレン基、プロペニル基、ブテニル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリル基、アリルエーテル基、ビニルエーテル基、マレイル基、マレイミド基、(メタ)アクリルアミド基、アセチルビニル基およびビニルアミド基などが挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」、「メタクリル」の双方又は何れかを意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」、「メタクリレート」の双方又は何れかを意味する。なかでも、(メタ)アクリル基、ビニルエーテル基および(メタ)アクリルアミド基が好ましく、(メタ)アクリル基がより好ましい。
上記イオン性基としては、カルボン酸、リン酸、スルホン酸等が挙げられる。中でもカルボン酸が好ましい。
上記対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン等の1価の対イオン;亜鉛イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、ネオジウムイオン等の多価の金属イオンなどが挙げられる。中でも、1価の対イオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、またはアンモニウムイオンがより好ましく用いられ、さらに好ましくはカリウムイオンが用いられる。1価の対イオンに加えて、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、またはネオジウムイオンなどの多価の金属イオンを用いることも好ましい。
対イオンとして、1価の対イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体と、多価の金属イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体とを併用した場合に、サポート材用光硬化性組成物を光硬化して得られる硬化物のサポート性をより向上できる。また、これらに加えて、さらに後述の有機酸及び/又はその塩と併用することは本発明の好ましい形態である。多価金属イオンで好ましくは、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンである。
上記サポート材用光硬化性組成物中に好ましくは含まれるイオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体の含有量としては、上記組成物100質量%中、上限としては好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、下限としては好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。このようにした場合に、サポート材用光硬化性組成物のサポート性をより向上できる。
また、上記サポート材用光硬化性組成物に含まれる単量体総量に対する上記イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体の含有量は、上記サポート材用光硬化性組成物の水溶性を向上させる観点から、60~100質量%であることが好ましく、70~100質量%であることがより好ましい。なお、上記イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体が2種以上含まれる場合、含有量は、各成分の含有量の合計である。
対イオンとして1価の対イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体と、対イオンとして多価の金属イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体と、の合計含有量としては、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、上限としては、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。下限としては、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。
対イオンとして1価の対イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体の含有量は、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、上限としては、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。下限としては、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。
対イオンとして多価の金属イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体の含有量は、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、上限としては好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、下限としては好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。
上記のようにした場合にサポート材用光硬化性組成物のサポート性とともに溶解性をより向上できる。
上記サポート材用光硬化性組成物に含まれる、イオン性基としてのカルボン酸と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、3-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-ビニル安息香酸、3-ビニル安息香酸、4-ビニル安息香酸、N-(メタ)アクリロイルアスパラギン酸、ω-(メタ)アクロイルアルカン-1,1ジカルボン酸類の、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩等の1価塩;亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、またはネオジウム塩等の多価塩などが挙げられる。
中でも、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩等の1価塩が好ましく、より好ましくはナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩である。さらに好ましくはカリウム塩である。
カルボン酸の1価塩と多価金属塩を併用した場合に、サポート材用光硬化性組成物を光硬化して得られる硬化物のサポート性をより向上できる。また、これらに加えて、さらに後述の有機酸及び/又はその塩と併用することは本発明の好ましい形態である。カルボン酸多価金属塩で好ましくは、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩である。
カルボン酸の1価塩と多価金属塩の合計含有量としては、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、上限としては、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。下限としては、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。
カルボン酸の1価塩の含有量は、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、上限としては、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。下限としては、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。
カルボン酸の多価金属塩の含有量は、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、上限としては好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、下限としては好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。
上記のようにした場合に、サポート材用光硬化性組成物のサポート性とともに溶解性をより向上できる。
イオン性基としてのカルボン酸と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、カルボン酸に含まれる炭素数が3~15のナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、及びカルシウム塩が好ましく、炭素数3~12のナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、及びカルシウム塩がより好ましい。上記炭素数としては、炭素数3~9がより好ましく、炭素数3~6がさらに好ましい。中でも、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸カルシウムが特に好ましい。炭素数が少ない単量体を用いることにより、分子中の疎水性部分を小さくすることができ、水溶性エチレン性不飽和単量体の水溶性をより高められる。
上記サポート材用光硬化性組成物に好ましくは含まれる、イオン性基としてのリン酸と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、例えば、モノ(2-アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジフェニル(2-アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、ジフェニル(2-メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、フェニル(2-アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、メタクロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシプロピレングリコールメタクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ-3-ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシ-3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルアシッドホスフェート、ならびにビニルリン酸、p-ビニルベンゼンリン酸等の分子内にホスホノ基を有する化合物の、ナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩が挙げられる。
上記サポート材用光硬化性組成物に好ましくは含まれる、イオン性基としてのスルホン酸と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体としては、例えば、アリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、3-(メタ)アクリルアミドプロピルスルホン酸、4-(メタ)アクリルアミドブチルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、p-ビニルベンゼンスルホン酸、およびビニルスルホン酸等の化合物の、ナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩が挙げられる。上記例示のイオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記サポート材用光硬化性組成物に好ましくは含まれる水溶性エチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸塩が好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等、アクリル酸の1価塩がより好ましく、さらに好ましくはアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、特に好ましくはナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩である。最も好ましくはカリウム塩である。
上記サポート材用光硬化性組成物に好ましくは含まれる水溶性エチレン性不飽和単量体としては、上記に加えて、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、またはネオジウム塩等のアクリル酸多価金属塩を含んでいてもよい。アクリル酸多価金属塩で好ましくは、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩である。
アクリル酸の1価塩と多価金属塩を併用した場合に、サポート材用光硬化性組成物を光硬化して得られる硬化物のサポート性をより向上できる。アクリル酸の1価塩と多価金属塩を併用する組み合わせとしては、アクリル酸カリウムとアクリル酸亜鉛の組み合わせが好ましい。アクリル酸亜鉛を併用することにより、より高い強度の硬化物を得ることができる。
アクリル酸の1価塩と多価金属塩の合計含有量としては、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、上限としては、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。下限としては、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。
中でも、アクリル酸カリウムとアクリル酸亜鉛の合計含有量が、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、20~50質量%であることが好ましく、31~40質量%であることがより好ましい。このようにすることにより、組成物の粘度を低くすることができ、またアクリル酸塩の使用量を抑制することによりコストも低くできる。
また、アクリル酸の1価塩の含有量は、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、上限としては、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。下限としては、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。
アクリル酸の多価金属塩の含有量は、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、上限としては好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、下限としては好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。
上記のようにした場合にサポート材用光硬化性組成物のサポート性とともに溶解性をより向上できる。
上記イオン性基と対イオンとを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体以外の水溶性エチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸;アクリロイルモルホリン;N-ビニルピロリドン;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド等のアクリルアミド、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート等が挙げられる。
上記サポート材用光硬化性組成物中に含まれる水溶性単量体(C)の合計含有量としては、上記組成物100質量%中、上限としては好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、下限としては好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、特に好ましくは20質量%超である。
上記サポート材用光硬化性組成物は、上記水溶性単量体(C)以外の他の不飽和単量体(例えば、水溶解度(20℃)が20g/L未満)を含んでいてもよい。上記他の不飽和単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、メチル=2-(ヒドロキシメチル)アクリレート、および2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;フェニルアリルエーテル、o-,m-,p-クレゾールモノアリルエーテル、ビフェニル-2-オールモノアリルエーテル、ビフェニル-4-オールモノアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル、およびシクロヘキサンメタノールモノアリルエーテル等のアリルエーテル;ブチルビニルエーテル、ブチルプロペニルエーテル、ブチルブテニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルエトキシビニルエーテル、アセチルエトキシエトキシビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、およびアダマンチルビニルエーテル等のビニルエーテル;フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、およびn-ヘキシルマレイミド等のマレイミド;ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ビス(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ビス(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのEO付加物ビス(メタ)アクリレート等の芳香族基を有するモノマーおよび脂環式基を有するモノマー;ポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレンジ(メタ)アクリレート;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは1種で単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記他の不飽和単量体の含有量としては、上記組成物100質量%中、50質量%以下であることが好ましい。より好ましくは40質量%以下である。また、他の不飽和単量体の含有量が、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、2質量%未満であることも好ましい。このようにした場合に、サポート材用光硬化性組成物の臭気をより抑制できる。
また、サポート材用光硬化性組成物の水溶性を向上させる観点から、上記他の不飽和単量体の含有量としては、0質量%以上50質量%未満であることが好ましく、0質量%以上40質量%未満であることがより好ましい。なお、非水溶性単量体が2種以上含まれる場合、含有量は、各成分の含有量の合計である。
上記サポート材用光硬化性組成物は、有機酸及び/又はその塩を含んでいてもよい。有機酸及び/又はその塩は、上記水溶性単量体(C)、及び上記他の不飽和単量体以外の化合物である。
有機酸としては、例えば、p-トルエンスルホン酸などの有機スルホン酸、フェニルホスホン酸などの有機リン酸、有機カルボン酸、リン酸エステルなどが挙げられる。なかでも有機カルボン酸が好ましい。有機カルボン酸としては、例えば、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸が挙げられる。脂肪族カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、オクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、トリデカン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、安息香酸、グリシン、ポリアクリル酸、ポリ乳酸などが挙げられる。芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸、サリチル酸などが挙げられる。なかでも、脂肪族カルボン酸がより好ましく、乳酸、プロピオン酸、ポリアクリル酸がさらに好ましい。
有機酸の塩としては、例えば、金属カルボン酸塩が挙げられる。金属カルボン酸塩の金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属;亜鉛;ジルコニウムなどが挙げられる。なかでもカリウムなどのアルカリ金属が好ましい。有機酸の塩としては、乳酸カリウム、プロピオン酸カリウムが好ましい。
上記サポート材用光硬化性組成物は、有機酸及び/又はその塩を含んでいる場合に、貯蔵安定性がより向上する。
有機酸及び/又はその塩の含有量は、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、水の含有量が好ましくは10質量%以下となる範囲で、上限としては好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、下限としては好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。このようにした場合にサポート材用光硬化性組成物のサポート性・溶解性とともに貯蔵安定性をより向上できる。
上記サポート材用光硬化性組成物は、光重合開始剤(D)を含んでいる。光重合開始剤(D)としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-フェニルプロパン-1-オン、ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン等のアセトフェノン化合物;2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、2-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン等のアントラキノン化合物;2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、[3-(3,4-ジメチル-9-オキソチオキサンテン-2-イル)オキシ-2-ヒドロキシプロピル]-トリメチルアザニウムクロリド等のチオキサントン化合物;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール化合物;ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、4,4’-ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス-(2、6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド;およびこれらの混合物等が挙げられる。
これらは1種で単独使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤(D)の含有量としては、上記組成物100質量%中、好ましくは0.05~10.0質量%、より好ましくは0.1~7.0質量%、さらに好ましくは0.2~5.0質量%である。
上記サポート材用光硬化性組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で溶媒を含んでいてもよい。上記溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール等の1価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ポリオキシプロピレングリコールなどのオキシプロピレン基を含むアルキレンオキサイド付加物等のグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコールエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルアセテートなどが挙げられる。上記溶剤は1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記溶媒は、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、水の含有量が10質量%以下となるように使用することが好ましい。上記溶媒としては、炭素数3~9のグリコール、グリコールエーテル、グリコールエーテルアセテートが好ましい。
上記組成物100質量%中、上記溶媒の含有量は、下限としては、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、上限としては、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。
上記炭素数3~9のグリコール、グリコールエーテル、グリコールエーテルアセテートは合計で、上記組成物100質量%中、30~90質量%含まれていることが好ましく、40~90質量%含まれていることがより好ましい。
中でも、上記組成物100質量%中、プロピレングリコールの含有量が、30~90質量%であることが好ましく、35~80質量%であることがより好ましい。
上記サポート材用光硬化性組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要によりその他の添加剤を含有させることができる。具体的には、例えば、光開始助剤、重合禁止剤、界面活性剤、着色剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、充填剤等が挙げられる。これらの具体例としては、上記モデル材用光硬化性組成物のところで例示したのと同様である。
上記サポート材用光硬化性組成物では、外観が均一であり、さらに透明であることが好ましい。また、臭気が抑制されていることが好ましい。具体的には、モノマーによる刺激臭が僅かであることが好ましく、モノマーによる刺激臭がないことがより好ましい。上記サポート材用光硬化性組成物では、水溶性単量体(C)以外の他の不飽和単量体の含有量を、好ましくは、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、2質量%未満とすることにより、上記臭気をより効果的に抑制できる。
上記サポート材用光硬化性組成物は、硬化性に優れていることが好ましい。硬化性としては、100~3000mJ/cmの光を照射することにより硬化することが好ましく、100~2000mJ/cmの光を照射することにより硬化することがより好ましく、100~1000mJ/cmの光を照射することにより硬化することがさらに好ましい。ここで、硬化するとは、液状でなくなり、流動性がなくなることをいう。
上記サポート材用光硬化性組成物は、硬化後の硬化物がサポート材として使用されるため、サポート材の必須要件として、硬化物の水溶性が優れている。水溶性は、例えば、硬化物0.5g(表面積4cm)を金網の上に置き、常温(例えば25℃前後)の水10ml中に浸漬した場合に、1時間以内に溶解することが好ましく、30分以内にほとんど溶解することがより好ましく、15分以内に溶解して不溶物が目視で観察されないことがさらに好ましい。
上記サポート材用光硬化性組成物における水の含有量は、サポート材用光硬化性組成物100質量%中、10質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%未満、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。水の含有量の下限は、好ましくは0質量%である。このような範囲とすることにより、硬化性により優れ、硬化後の硬化物の硬度が十分であり、サポート性を向上でき、且つ、溶媒への溶解性により優れるものとすることができる。サポート材用光硬化性組成物中の水の含有量は、仕込んだ各化合物の水の含有量から計算で求めることができる。また、カールフィッシャー測定法で求めることもできる。サポート性(サポート力)とは、サポート材用光硬化性組成物の硬化物がモデル材の硬化物を支える性能であり、後述する方法で測定される、サポート材の硬化物の硬度(ショワE)で表すことができる。
(ハンセン溶解度パラメーター距離HSPD)
本発明の3Dプリンター用光硬化性組成物セットでは、上記サポート材用光硬化性組成物とイソボルニルアクリレートとのハンセン溶解度パラメーター距離HSPDが12.9(MPa1/2)<HSPD<17.3(MPa1/2)の範囲に含まれるとき、上記モデル材用光硬化性組成物と上記サポート材用光硬化性組成物との相溶性及び水溶解性に優れる。
上記ハンセン溶解度パラメーター距離HSPD(MPa1/2)は、サポート材用光硬化性組成物のハンセン溶解度パラメーターとイソボルニルアクリレートとの間の2点間距離である。ハンセン溶解度パラメーターは、溶解性を多次元のベクトルで表したものであり、このベクトルは[δD:分散項(ファンデルワールスの力)、δP:極性項(ダイポール・モーメントの力)、δH:水素結合項]の3つのパラメーターで表される。すなわち、サポート材用光硬化性組成物のベクトルの座標[δDs、δPs、δHs]とイソボルニルアクリレートのベクトルの座標[δDm、δPm、δHm]との間の2点間距離が、ハンセン溶解度パラメーター距離HSPD(MPa1/2)である。
ハンセン溶解度パラメーター距離HSPDは、下記式で表される。
Figure 0007398299000001
また、混合物のハンセン溶解度パラメーターは、各組成のハンセン溶解度パラメーターの体積比で混成する決まりである。たとえば、
組成A([δD、δP、δH]、密度d(g/mL)、重量割合w(wt%))
組成B([δD、δP、δH]、密度d(g/mL)、重量割合w(wt%))
から成る混合物1のハンセン溶解度パラメーター[δD、δP、δH]は下記式で表される。
Figure 0007398299000002
ハンセン溶解度パラメーター距離HSPD(MPa1/2)は、市販のハンセン溶解度パラメーター計算ソフトウェアを用いて求めることができる。
本発明に係る組成物セットでは、上記サポート材用光硬化性組成物とイソボルニルアクリレートのベクトルの座標[δDm、δPm、δHm]とのハンセン溶解度パラメーター距離HSPDが12.9(MPa1/2)<HSPD<17.3(MPa1/2)の範囲に含まれるとき、上記モデル材用光硬化性組成物と上記サポート材用光硬化性組成物との相溶性及び水溶解性に優れることにより、造形性に優れた組成物セットとなる。
上記サポート材用光硬化性組成物とイソボルニルアクリレートのベクトルの座標[δDm、δPm、δHm]とのハンセン溶解度パラメーター距離HSPDが12.9MPa1/2より小さいと、上記サポート材用光硬化性組成物ならびにその硬化物の水溶性が低くなる。また、上記サポート材用光硬化性組成物とイソボルニルアクリレートのベクトルの座標[δDm、δPm、δHm]とのハンセン溶解度パラメーター距離HSPDが17.3MPa1/2より大きいと、モデル材用光硬化性組成物とサポート材用光硬化性組成物との界面における相溶性が低くなり、界面状態が悪化する。モデル材用光硬化性組成物とサポート材用光硬化性組成物との界面は、白濁しないことが好ましい。
上記サポート材用光硬化性組成物とイソボルニルアクリレートのベクトルの座標[δDm、δPm、δHm]とのハンセン溶解度パラメーター距離HSPDを12.9(MPa1/2)<HSPD<17.3(MPa1/2)とするには、上記サポート材用光硬化性組成物の組成を変更することで調整できる。上記サポート材用光硬化性組成物に適宜の溶剤を添加しても良い。
本発明の3Dプリンター用光硬化性組成物セットでは、上記モデル材用光硬化性組成物と上記サポート材用光硬化性組成物とを、同時に吐出した場合においても上記2つの光硬化性組成物の界面において適度な相溶性を有することにより、造形性に優れ、且つ、上記サポート材用光硬化性組成物ならびにその硬化物が好ましくは水溶性に優れ、成形性に優れた光造形品を提供できる。
上記モデル材用光硬化性組成物または上記サポート材用光硬化性組成物(以下、これらをまとめて組成物という場合がある)は、媒体で希釈されていてもよい。上記媒体としては、親水性媒体が好ましい。この場合にも、各組成物100質量%中、水の含有量が10質量%以下となることが好ましい。
上記組成物は必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含んでいてもよい。その他の添加剤としては、例えば、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、キレート剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、着色剤、褪色防止剤、比抵抗調整剤、皮膜調整剤、酸化防止剤、及び界面活性剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、たとえば組成物に直接添加できる。
上記組成物では、25℃における粘度は5~300mPa・sが好ましい。また、表面張力は25~70mN/mが好ましい。
本発明の3Dプリンター用光硬化性組成物セットは、インクジェット光造形用であることが好ましく、インクジェット3Dプリンター用インクに好適である。
[インクジェット3Dプリンター用カートリッジ]
インクジェット3Dプリンター用カートリッジでは、上記組成物をそれぞれ充填している。インクジェット3Dプリンター用カートリッジは、上記組成物が充填されていればよく、インクジェット3Dプリンター用カートリッジの形態としては公知のものが使用できる。
[光造形品]
本発明の光造形品は、上記の3Dプリンター用光硬化性組成物セットを光硬化させてなる。本発明の光造形品では、上記の本発明の3Dプリンター用光硬化性組成物セットを使用するため、上記モデル材用光硬化性組成物と上記サポート材用光硬化性組成物とを、同時に吐出した場合においても上記2つの光硬化性組成物の界面において適度な相溶性を有することにより、造形性に優れた光造形品を提供できる。
[光造形品の製造方法]
本発明の光造形品の製造方法は、上記の本発明の3Dプリンター用光硬化性組成物セットを光硬化させて硬化物を得る工程(I)、及び、該硬化物から、サポート材用光硬化性組成物が光硬化された硬化物を除去する工程(II)を含んでいる。
本発明の3Dプリンター用光硬化性組成物セットに含まれるモデル材用光硬化性組成物、及びサポート材用光硬化性組成物は、それぞれ、上述した各種成分を用いて調製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、一般的な撹拌羽根や超音波ホモジナイザー、高速ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、遊星撹拌装置、3本ロール、ボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミル等の混合又は撹拌できる装置を用いて撹拌・混合する方法が挙げられる。溶液調製後に各種フィルターを用いてろ過をしてもよい。
上記工程(I)では、好ましくはインクジェット光造形法により、上記の本発明の3Dプリンター用光硬化性組成物セットを光硬化させて硬化物を得る。上記工程(I)では、上記モデル材用光硬化性組成物と上記サポート材用光硬化性組成物とを用いる他は、公知の方法が使用できる。具体的には、本発明の3Dプリンター用光硬化性組成物セットに含まれるモデル材用光硬化性組成物とサポート材用光硬化性組成物とを、各ノズルから噴射、印刷等にて造形後、100~3000mJ/cm程度の紫外線を照射して光硬化させて硬化物を得る等の公知の方法が使用できる。紫外線照射としては、より好ましくは100~2000mJ/cmの光、さらに好ましくは100~1000mJ/cmの光である。
3Dプリンター光造形法では、サポート材用光硬化性組成物の硬化物により、モデル材用光硬化性組成物の外形を支えて造形するため、両者は接して界面を形成する。モデル材用光硬化性組成物とサポート材用光硬化性組成物とを、各ノズルから噴射、印刷等するのは、同時であってもよい。
続いて、上記工程(II)では、上記硬化物から、サポート材用光硬化性組成物が光硬化した硬化物を除去する。本発明の3Dプリンター用光硬化性組成物セットに含まれるモデル材用光硬化性組成物とサポート材用光硬化性組成物とを光硬化させて得られた硬化物では、サポート材用光硬化性組成物を光硬化させて得られた部分の硬化物が水溶性に優れているため、この部分の硬化物を水等の極性溶媒にて容易に除去できる。除去方法としては、安全面やコスト面から、硬化物を水中に静置してサポート材用組成物を除去する方法が好ましい。
本発明の光造形物の製造方法では、上記モデル材用光硬化性組成物と上記サポート材用光硬化性組成物とを用い、モデル材用光硬化性組成物とサポート材用光硬化性組成物との界面において適度な相溶性を有することにより、造形性に優れ、且つ、上記サポート材用光硬化性組成物の硬化物が好ましくは水溶性に優れているため、成形性に優れた光造形品を容易に製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
<モデル材用光硬化性組成物>
表1に示す成分を、表1に示す量(質量部)を使用して、混合撹拌装置を用いて均一に混合して、No.1~9の標準的なモデル材用光硬化性組成物を調製した。
Figure 0007398299000003
<サポート材用光硬化性組成物>
表2~4に示す水溶性単量体ならびに溶剤を、表2~4に示す量(質量部)を使用して、混合撹拌装置を用いて均一に混合して、実施例と比較例の各サポート材用光硬化性組成物を調製した。
<ハンセン溶解度パラメーター>
サポート材用光硬化性組成物とイソボルニルアクリレートのベクトルの座標[δDm、δPm、δHm]とのハンセン溶解度パラメーターは、ハンセン溶解度パラメーターが既知の溶媒に対する溶解実験を行い、実測結果を市販のソフトウェアHSPiP5.1.03に入力し、Sphere機能により決定した。
イソボルニルアクリレートのハンセン溶解度パラメーターは以下の数値であった。
ハンセン溶解度パラメーター
δD:17.0MPa1/2
δP: 3.1MPa1/2
δH: 3.7MPa1/2
<ハンセン溶解度パラメーター距離HSPD(MPa1/2)>
サポート材用光硬化性組成物とイソボルニルアクリレートのベクトルの座標[δDm、δPm、δHm]とのハンセン溶解度パラメーター距離HSPD(MPa1/2)を、市販のソフトウェアHSPiP5.1.03を用いてそれぞれ求めた。
各サポート材用光硬化性組成物とイソボルニルアクリレートとのハンセン溶解度パラメーター距離HSPD(MPa1/2)を表2~4に示す。
<相溶性試験>
得られた各サポート材用光硬化性組成物と各モデル材用光硬化性組成物No.1~9を、質量比1:1となるようにスクリュー管に秤取り、100rpmで30秒間撹拌後の混合物の外観を目視によりそれぞれ確認した。評価基準は、次の通りである。結果を表2~4に示す。
○:サポート材用光硬化性組成物と各モデル材用光硬化性組成物No.1~9との各2液が、全て白濁することなく混ざっている。
×:サポート材用光硬化性組成物と各モデル材用光硬化性組成物No.1~9との各2液のうち、いずれかの2液の混合液が白濁する。
<水溶性試験>
得られた各サポート材用光硬化性組成物を硬化した硬化物片3.0gを10mLスクリュー管に入れ、水2.7gを加え水溶解性を評価した。評価基準は、次の通りである。結果を表2~4に示す。
○:硬化物が残存せず、溶解する。
×:硬化物が残存する。
上記ハンセン溶解度パラメーター距離HSPD(MPa1/2)と相溶性の関係を図1に示す。図1の横軸において、No.1~7は比較例1~7、No.8~29は実施例1~22、No.30~31は比較例8~9に対応する。
表2~4、図1に示すように、サポート材用光硬化性組成物とイソボルニルアクリレートのハンセン溶解度パラメーター距離HSPDが12.9(MPa1/2)<HSPD<17.3(MPa1/2)の範囲に含まれるとき、モデル材用光硬化性組成物とサポート材用光硬化性組成物との2液がほとんど白濁することなく混ざり、界面において適度な相溶性を有していた。そして、サポート材用光硬化性組成物の水溶性にも優れていた。これにより、造形性に優れた3Dプリンター用光硬化性組成物セットを提供できる。
Figure 0007398299000004
Figure 0007398299000005
Figure 0007398299000006
表1~4における化合物名は、以下のとおりである。
IBOA:イソボルニルアクリレート(日本触媒社製)
ACMO:アクリロイルモルホリン(東京化成工業社製)
DCP-A:ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学社製)
CN968:脂肪族ウレタンアクリレート(Sartomer社製)
MEHQ:4-メトキシフェノール(富士フィルム和光純薬社製)
AAK:アクリル酸カリウム(日本触媒社製)
AAZn:アクリル酸亜鉛(日本触媒社製)
PEGA:メトキシポリエチレングリコール#400アクリレート(新中村化学工業社製)
NVP:N-ビニルピロリドン(日本触媒社製)
HEAA:2-ヒドロキシエチルアクリルアミド(東京化成工業社製)
NIPAM:N-イソプロピルアクリルアミド(富士フィルム和光純薬社製)
PG:プロピレングリコール(富士フィルム和光純薬社製)
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル(東京化成工業社製)
DPGME:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(関東化学社製)
DPGMPE:ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(関東化学社製)
PGMPE:プロピレングリコールモノプロピルエーテル(東京化成工業社製)
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(東京化成工業社製)
GLMA:グリセロールメタクリレート(日油社製)
LA:乳酸(富士フィルム和光純薬社製)
DPG:ジプロピレングリコール(富士フィルム和光純薬社製)
DG:ジエチレングリコール(富士フィルム和光純薬社製)
PEG200:ポリエチレングリコール200(和光純薬工業社製)

Claims (3)

  1. 非水溶性単量体(A)と光重合開始剤(B)とを含むモデル材用光硬化性組成物、及び、
    水溶性単量体(C)と光重合開始剤(D)とを含むサポート材用光硬化性組成物を含み、
    該非水溶性単量体(A)として非水溶性エチレン性不飽和単量体を、該モデル材用光硬化性組成物に含まれる単量体総量に対して50~100質量%含有し、
    該水溶性単量体(C)として、1価の対イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体と、多価の金属イオンを含有する水溶性エチレン性不飽和単量体とを、合計含有量として、該サポート材用光硬化性組成物100質量%中、5質量%以上60質量%以下含有し、
    該サポート材用光硬化性組成物とイソボルニルアクリレートとのハンセン溶解度パラメーター距離HSPDが12.9(MPa1/2)<HSPD<17.3(MPa1/2)の範囲内である、3Dプリンター用光硬化性組成物セット。
  2. 請求項1記載の3Dプリンター用光硬化性組成物セットを光硬化させてなる、光造形品。
  3. 請求項1記載の3Dプリンター用光硬化性組成物セットを光硬化させて硬化物を得る工程(I)、及び
    該硬化物から、前記サポート材用光硬化性組成物が光硬化された硬化物を除去する工程(II)
    を含む、光造形品の製造方法。
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