JP7075925B2 - 速度計測装置及び速度計測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、速度計測装置及び速度計測方法に関し、車両の速度を計測する速度計測装置及び速度計測方法に適用して好適なものである。
自動車や鉄道の列車等の車両の対地速度(以下の説明では、特段の記載がない限り「速度」と表記する)を計測する方法として、車両の車輪の回転数を計測して速度を求める方法が一般的である。しかし、この方法では、車輪のスリップ時には速度を計測できないこと、また、人や荷物の積載状況やタイヤからの空気の抜け等によって車輪の径が変化することによって計測誤差が生じることが知られている。
一方で、レーダ速度計を用いて車両の速度を計測する方法も知られている(例えば、特許文献1)。このような速度計測方法において、レーダ速度計はミリ波帯やマイクロ波帯のレーダモジュールを備えた速度計測装置であって、レーダモジュールから電磁波を走行路に向けて連続的に放射してその反射波を受信し、ドップラ効果による反射波の周波数の変化量を計測することによって速度を算出する。そしてこのような速度計測方法は、車輪のスリップ時でも速度が計測可能であり、車輪の径の変化による計測誤差も生じないという利点を有している。
特開2006-184144号公報
しかし、特許文献1に記載された速度計測方法では、走行路の状態によっては、レーダ速度計が受信する反射波の強度が弱くなる場合があり、このような場合には速度の算出が困難になるという課題があった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、レーダモジュールから放射された放射波に対する反射波の強度が弱い場合でも速度を算出することができる速度計測装置及び速度計測方法を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明においては、搭載されたシステムの速度を計測する速度計測装置であって、電磁波または音波による放射波を生成し、地面に放射する放射部と、前記放射部から放射された放射波の前記地面からの反射波を受信する受信部と、前記放射部で生成された放射波と前記受信部で受信された反射波との周波数差を表す周波数差信号を生成する信号生成部と、前記信号生成部で生成された周波数差信号の強度が所定値以上である場合に前記信号生成部で生成された周波数差信号の周波数差から前記地面を基準とする計測速度を算出する速度算出部と、停止状態の振幅閾値を走行状態の振幅閾値より大きな値として、前記所定値を、前記速度算出部によって算出された計測速度が所定速度以上である場合に前記走行状態の振幅閾値とし、前記速度算出部によって算出された計測速度が所定速度未満である場合に前記停止状態の振幅閾値とする閾値変更部と、を備えることを特徴とする速度計測装置が提供される。
また、かかる課題を解決するため本発明においては、搭載されたシステムの速度を計測する速度計測装置による速度計測方法において、電磁波または音波による放射波を生成し、地面に放射する放射ステップと、前記放射ステップで放射された放射波の前記地面からの反射波を受信する受信ステップと、前記放射ステップで生成された放射波と前記受信ステップで受信された反射波との周波数差を表す周波数差信号を生成する信号生成ステップと、前記信号生成ステップで生成された周波数差信号の強度が所定値以上である場合に前記信号生成ステップで生成された周波数差信号の周波数差から前記地面を基準とする計測速度を算出する速度算出ステップと、停止状態の振幅閾値を走行状態の振幅閾値より大きな値として、前記所定値を、前記速度算出ステップによって算出された計測速度が所定速度以上である場合に前記走行状態の閾値振幅とし、前記速度算出ステップによって算出された計測速度が所定速度未満である場合に前記停止状態の閾値振幅とする閾値変更ステップと、を含むことを特徴とする速度計測方法が提供される。
本発明によれば、レーダモジュールから放射された放射波に対する反射波の強度が弱い場合でも、速度を算出することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る速度計測装置を搭載した車両の一例を示す図である。 図1に示した速度計測装置の構成例を示す図である。 速度計測装置における計測速度の算出処理の手順例を示すフローチャートである。 車両が「停止状態」にあるときの振幅スペクトルの一例を説明するための図である。 車両が「走行状態」にあるときの振幅スペクトルの一例を説明するための図である。 車両が「走行状態」にあって、走行路の状態によって反射波の強度が弱い場合の振幅スペクトルの一例を説明するための図である。 境界速度と振幅閾値との関係を説明するための図(その1)である。 境界速度と振幅閾値との関係を説明するための図(その2)である。 第2の実施の形態における振幅閾値の決定処理の手順例を示すフローチャートである。 速度計測装置から放射された電磁波の照射範囲を説明するための図である。 FFT処理後の振幅スペクトルの一例を示す図である。 走行状態でジッタがある場合の振幅スペクトルの一例を説明するための図である。 停止状態でジッタの強度が強い場合の振幅スペクトルの一例を説明するための図である。 走行状態でジッタの強度が強い場合の振幅スペクトルの一例を説明するための図である。 第4の実施の形態に係る速度計測装置の構成例を示す図(その1)である。 第4の実施の形態に係る車両の一例を示す図(その1)である。 第4の実施の形態に係る車両の一例を示す図(その2)である。 第4の実施の形態に係る速度計測装置の構成例を示す図(その2)である。 第4の実施の形態に係る車両の一例を示す図(その3)である。 ピッチングの角度とドップラ周波数変化量との関係例を示した図である。 計測タイミングが不一致の場合における計測速度の算出値の関係を説明するための図である。 計測タイミングを一致させた場合における計測速度の算出値の関係を説明するための図である。 第4の実施の形態に係る車両の一例を示す図(その4)である。
以下、図面を参照して、本発明の各実施の形態に係る速度計測装置及び速度計測方法を説明する。
なお、以下の説明では、速度計測装置が搭載される車両の例として自動車や鉄道の列車などを取り上げる。車両が自動車の場合には、例えばアスファルト路面などの地面を走行路とすることができ、車両が鉄道の列車の場合には、例えば線路を走行路とすることができる。また、速度計測装置の例としてミリ波帯やマイクロ波帯におけるドップラ効果を利用した装置を取り上げて説明するが、本発明に係る速度計測装置は、超音波などの音波を利用したドップラ効果を利用した速度計測装置であってもよい。さらに、これらの速度計測装置は、路上に設置され、走行路を通過する車両の速度を計測する手段に用いてもよい。
(1)第1の実施の形態
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る速度計測装置を搭載した車両の一例を示す図である。図1には、走行路である地面Gを走行する車両1が示されている。車両1は、車両1の速度を算出する速度計測装置10、車両1における上位の制御システムである外部装置11、及び速度計測装置10と外部装置11との間を接続して信号通信が可能な通信路12を備えている。なお、図1では、車両1について速度計測装置10に関する構成を概略的に示しており、車両1のすべての構成を示しているわけではない。また、図1において、速度計測装置10は、放射する電磁波R1がxz平面内を伝播し、かつ地面Gに対して角度θで入射するように、車両1に配置されている。
速度計測装置10は、電磁波R1を走行路に向けて放射するとともにその反射波を受信し、周波数の変化量に基づいて車両1の速度を算出する。速度計測装置10で算出した速度を示す信号は、通信路12を経由して外部装置11に送信される。そして、外部装置11は、速度計測装置10から得られた速度情報に基づいて、車両1における所定の制御を実行することができる。外部装置11としては例えば、自動速度制御装置を想定することができる。
図2は、図1に示した速度計測装置の構成例を示す図である。図2に示したように、速度計測装置10は、ミリ波レーダモジュール110、レンズ120、IF信号用増幅器130、及び演算回路140を主に備えている。
なお、本実施の形態では、速度計測装置10に搭載されるレーダモジュールの一例として、77GHz帯の電磁波(ミリ波)を放射するミリ波レーダモジュール110を使って説明を行う。但し、本発明に係る速度計測装置10で利用可能なレーダモジュールは、ミリ波レーダモジュール110に限定されるものではなく、例えば、準ミリ波帯、ミリ波帯、またはマイクロ波帯の少なくとも何れかの電磁波を放射するレーダモジュールを用いることができる。
図2によれば、ミリ波レーダモジュール110は、放射電磁波用の高周波信号の生成や反射電磁波(反射波)の信号処理等を行うICチップ111と、電磁波の放射及び反射電磁波の受信を行うアンテナ112とを備え、アンテナ112とICチップ111(ポート113)との間が給電線114によって接続されている。より詳しい構成を示すと、ICチップ111は、ポート113のほかに、発振器115、送信用増幅器116、アイソレータ117、受信用増幅器118、及び混合器119を含んで構成される。
アイソレータ117にはポート113が接続されており、ポート113からアンテナ112を介して電磁波が放射され、レンズ120に入射される。また、混合器119では、アンテナ112によって受信された反射電磁波の信号と発振器115から出力された高周波信号とを混合することによってIF(Intermediate Frequency)信号が生成され、生成されたIF信号はIF信号用増幅器130に入射される。
レンズ120は、ミリ波レーダモジュール110のアンテナ112から放射された電磁波を集束して、電磁波R1として地面Gに入射させる役割のほか、地面Gで反射した電磁波(反射電磁波、反射波)を集束してアンテナ112に入射させる役割を持つ。
IF信号用増幅器130は、ミリ波レーダモジュール110の混合器119から入射されるIF信号を増幅し、演算回路140に入力する。
演算回路140は、IF信号用増幅器130から入力されたアナログのIF信号をデジタル信号に変換するAD変換器(ADC:Analog to Digital Converter)141と、ADC141によってデジタル信号に変換されたIF信号をサンプリングしたものに対して高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理及び計測速度の算出処理を行うCPU(Central Processing Unit)142とを備える。また、図2には不図示であるが、演算回路140は、ADC141やCPU142による処理で用いられるプログラムや各種データ(例えば、後述する数式(1)に則った演算を行うためのプログラムや、振幅閾値など)を保持するための記憶手段を備える。なお、このような記憶手段は、速度計測装置10に接続された外部装置11に少なくとも一部が備えられる構成であってもよい。
図2に示した速度計測装置10は、以下のようにして速度の大きさv(以後、「計測速度v」と表す)を算出する。
まず、発振器115が、77GHz帯の高周波信号を生成する。発振器115で生成された高周波信号は、送信用増幅器116で増幅された後、アイソレータ117及びポート113を介してアンテナ112に伝搬され、アンテナ112から空間へ電磁波として放射される(放射電磁波)。この放射電磁波は、レンズ120によって集束され、地面Gに入射して反射する。図1を参照して説明したように、車両1に搭載された速度計測装置10から放射された電磁波は電磁波R1であり、電磁波R1は、xz平面内を伝播し、かつ走行路である地面Gに対して角度θで入射する。
そして、地面Gに放射電磁波(電磁波R1)が入射すると、地面Gで反射し、反射した電磁波(反射電磁波)は、レンズ120によって集束された後、アンテナ112に入射する。ここで、反射電磁波は、一般に知られたドップラ効果によって、地面Gに対する車両1の速度に比例して周波数が変化している。
次いで、アンテナ112によって受信された反射電磁波の信号は、ポート113からアイソレータ117を介して受信用増幅器118に伝搬され、受信用増幅器118によって増幅された後、混合器119に入力される。なお、図2の回路構成にも示すように、混合器119には、発振器115から出力された77GHz帯の高周波信号も入力される。そして混合器119は、入力される両信号を混合することによって、IF信号を生成する。
ここで、混合器119で生成されるIF信号について詳しく説明する。このIF信号は、受信用増幅器118により増幅された信号(地面Gで反射した電磁波の信号)の周波数と、発振器115から出力された信号(地面Gに放射した電磁波の信号)の周波数との差を表す信号である。すなわち、IF信号の周波数は、ドップラ効果による周波数の変化量の絶対値である。
そして、ドップラ効果による周波数の変化量の大きさ、すなわち混合器119によって生成されるIF信号のピーク周波数(周波数f)は、以下の数式(1)で示されることが知られている。
Figure 0007075925000001
なお、数式(1)において、cは光速、fは発振器115から出力される信号の周波数、θは電磁波R1が地面Gへの入射時になす角度(図1を参照)、そしてvは図1に示すx方向の速度成分(図1では、x軸方向に車両1が走行すると仮定している)を表している。
数式(1)によれば、周波数fと角度θとを一意に定めることができれば、数式(1)の右辺の分数項((2f・cosθ)/c)は定数となるため、周波数fは速度vに比例する関係を有することが示される。
次に、混合器119で生成されたIF信号は、ミリ波レーダモジュール110に接続するIF信号用増幅器130に送られて増幅された後、演算回路140に入力される。演算回路140では、AD変換器(ADC)141が、IF信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、CPU142が、変換後のデジタル信号を用いて、高速フーリエ変換(FFT)処理及び計測速度(計測速度v)の算出処理を行う。
図3は、速度計測装置における計測速度の算出処理の手順例を示すフローチャートである。速度計測装置10では、演算回路140のCPU142が、例えば図3に示す処理を一定の時間ごとに行うことによって計測速度vを算出する。
まず、演算回路140のCPU142は、ADC141によってデジタル信号に変換されたIF信号を一定周期でサンプリングし、所定時間分の波形を得る(ステップS101)。次に、CPU142は、ステップS101で得られた波形に対し高速フーリエ変換(FFT)処理を行って、IF信号の振幅スペクトルを求める(ステップS102)。
次いで、CPU142は、ステップS102で求めた振幅スペクトルのピーク値を与える周波数を、IF信号の周波数fとして求める(ステップS103)。そして、ステップS104では、CPU142は、振幅スペクトルのピーク値が所定の振幅閾値以上であるか否かを判断する。
ステップS104において振幅スペクトルのピーク値が所定の振幅閾値以上であると判断した場合(ステップS104のYES)、CPU142は、数式(1)を逆算して周波数fから計測速度vを算出し(ステップS105)、処理を終了する。一方、ステップS104において振幅スペクトルのピーク値が所定の振幅閾値未満であると判断した場合(ステップS104のNO)、CPU142は、計測速度vを「0」として(ステップS106)、処理を終了する。
以上、ステップS101~S106の処理を行うことによって、CPU142は計測速度vを算出するが、本実施の形態に係る速度計測装置10は、上記の処理手順の派生例として、以下に例示する処理を行うようにしてもよい。
例えば、ステップS104においてCPU142が振幅スペクトルのピーク値と振幅閾値とを比較したとき、振幅スペクトルのピーク値のほうが大きい場合(ピーク値が振幅閾値以上の場合としてもよい)に、ステップS105に示した手順で計測速度vを算出するとともに、算出した計測速度vを速度計測装置10の外部(例えば外部装置11)に出力するようにしてもよい。
また例えば、速度計測装置10(より詳細には演算回路140やCPU142)が、ステップS105やステップS106でCPU142が算出した計測速度vとともに、振幅スペクトルのピーク値などの情報を外部装置11に送信するようにしてもよい。さらに、外部装置11が、振幅閾値を記憶するとともに、車両1の速度に基づいた情報(例えば走行/停止状態など)を判断して振幅閾値を変更する手段を備えるようにして、状況に適応した振幅閾値が設定されるようにしてもよい。また、このような構成を備えるときに、速度計測装置10(例えばCPU142)が、ステップS104に例示したように振幅スペクトルのピーク値と振幅閾値とを比較し、振幅スペクトルのピーク値のほうが大きい場合(ピーク値が振幅閾値以上の場合としてもよい)に計測速度vを採用し、振幅スペクトルのピーク値が振幅閾値以下の場合(振幅閾値よりも小さい場合としてもよい)には計測速度を「0」とするようにしてもよい。
ところで、図3のフローチャートでは、計測速度vを算出するにあたって、ステップS104の比較判断において振幅スペクトルのピーク値が振幅閾値以上であることを条件としているが、このような場合、考慮すべき以下の課題がある。
[第1の課題]
走行路(地面G)の状態によって反射波の強度が弱い場合には、振幅スペクトルのピーク値が低下して所定の振幅閾値未満となるケースが想定され、このような状況でステップS104の比較判定が行われると、ステップS106の処理に進み、計測速度vが「0」と判断されてしまう。
[第2の課題]
混合器119に入力される信号成分には、発振器115で生成された周波数信号が混合器119に直接入力される経路による信号成分と、アイソレータ117を経由してアンテナ112の不整合によって反射して再度アイソレータ117を経由して混合器119に入力される経路による信号成分とがあるが、この2つの信号成分が入力されるまでの経路は長さに差があるため、2つの信号成分が混合器119に入力される時間(タイミング)に差異が生じるおそれがある。発振器115で生成された周波数信号にはジッタ(時間軸方向に発生する変動成分)があるため、上記2つの信号成分の入力タイミングの時間差によって、混合器119に入力される信号成分の周波数は厳密には同一とならないことから、この2つの信号成分の差、つまりジッタの成分が混合器119から出力される。そしてこのようなジッタの成分がFFT処理後の振幅スペクトル上に現れ、振幅スペクトルのピーク値が所定の振幅閾値以上となってしまうことがある。このような場合でも、図3によればステップS104からステップS105の処理が行われるため、計測速度vが誤って算出されてしまう。
[第3の課題]
例えばIF信号用増幅器130に外来電磁波のノイズが入射されることがあり、FFT処理後において、このノイズ成分が振幅スペクトル上に現れ、振幅スペクトルのピーク値が所定の振幅閾値以上となってしまうことがある。このような場合でも、図3によればステップS104からステップS105の処理が行われるため、計測速度vが誤って算出されてしまう。
そこで、上記の課題に対応するため、本実施の形態に係る速度計測装置10では、車両1の走行状態や走行路(地面G)の状態に応じて振幅閾値を変動させることにより、適切な計測速度vを算出可能にする。以下では、演算回路140においてCPU142がFFT処理を行うことによって求められるIF信号の振幅スペクトル(図3のステップS102参照)の一例を図4~図6に示し、これらの図を参照しながら振幅閾値の変動を伴う計測速度vの算出方法について具体的に説明する。
図4は、車両が「停止状態」にあるときの振幅スペクトルの一例を説明するための図である。図4において、横軸には周波数が示され、縦軸には各周波数に対応する振幅値が示されている。なお、図4の横軸において、振幅スペクトルのピーク値を与える周波数はIF信号の周波数fであることから、数式(1)を参照すれば、横軸は計測速度の軸と等価とみなすこともできる。このような図の表示方法は、後述する同様の図(例えば図5や図6等)にも適用されるが、以後は説明を省略する。
図4によれば、振幅スペクトルは周波数fにおいてピーク値Aとなっており、車両1が「停止状態」にあるときの振幅閾値として振幅閾値A(停止状態の振幅閾値A)が示されている。ここで、車両1の走行状態に関して「停止状態」とは、車両1が完全に停止している状態(速度0km/h)だけでなく、所定の境界速度(具体的には例えば2km/h)以下のごく低速な状態を含むものとする。したがって、完全に停止していた車両1が走行を開始した直後は「停止状態」とみなされる。なお、車両1が「停止状態」にあるときにノイズの混入等によって計測速度vが誤って算出されることは特に好ましくないため、停止状態の振幅閾値Aは後述する他の振幅閾値よりも大きめの値が設定されることが好ましい。
また、図4に示された周波数fは、上記所定の境界速度に由来する周波数であり、具体的には例えば、数式(1)においてvを当該境界速度とすることで算出できる。以後、このような境界速度に由来する周波数を「境界速度に相当する周波数」と呼ぶ。そして、図4の振幅スペクトルの場合、ピーク値Aを与える周波数fは境界速度に相当する周波数fよりも小さいことから、車両1の速度が境界速度よりも低速の停止状態であることが示される。
そして図4の場合、振幅スペクトルのピーク値Aは停止状態の振幅閾値A以上であることから、CPU142は、図3のステップS105で説明したように数式(1)を用いて、ピーク値Aを与える周波数fから計測速度vを算出する。
図5は、車両が「走行状態」にあるときの振幅スペクトルの一例を説明するための図である。なお、車両1に関して「走行状態」とは、車両1が、図4に例示した「停止状態(走行開始直後を含む)」の後、加速してその速度が所定の境界速度(例えば2km/h)を超えた状況を意味する。図5に例示した振幅スペクトルの場合、ピーク値Aを与える周波数fは境界速度に相当する周波数fよりも大きいことから、車両1の速度が境界速度を超えた走行状態であると推測される。
図5の場合、振幅スペクトルのピーク値Aは停止状態の振幅閾値A以上であることから、まずCPU142は、図3のステップS105で説明したように数式(1)を用いて計測速度vを算出する。
さらに、図5の場合、CPU142によって算出された計測速度vが境界速度以上であると判定されることによって、次回の速度計測タイミングにおける振幅閾値を変更する。具体的には、図5に例示したように「停止状態の振幅閾値A」から「走行状態の振幅閾値A」に変更し、このとき振幅閾値は小さくなる。また逆に、車両1が走行状態であるとして「走行状態の振幅閾値A」が選択されているときに、CPU142が算出した計測速度vが境界速度未満であると判定された場合には、車両1は停止状態に移行したと推測されるため、CPU142は次回の速度計測タイミングにおける振幅閾値を「走行状態の振幅閾値A」から「停止状態の振幅閾値A」に変更すればよく、このとき振幅閾値は大きくなる。
図6は、車両が「走行状態」にあって、走行路の状態によって反射波の強度が弱い場合の振幅スペクトルの一例を説明するための図である。走行路(地面G)の状態が悪い場合、速度計測装置10から放射した電磁波R1の反射波の強度が通常よりも弱くなる場合があり、図6はそのような場合に得られるIF信号の振幅スペクトルの一例が示されている。
図6に例示した振幅スペクトルによれば、振幅スペクトルのピーク値Aは、図5に例示した振幅スペクトルのピーク値Aよりも小さくなっているが、走行状態の振幅閾値Aよりは大きい値となっている。
ここで、図3のステップS104における比較判断において、図5のように振幅スペクトルのピーク値Aと停止状態の振幅閾値Aとが比較されてしまうとすれば、計測速度vは「0」となってしまい、適切な速度算出ができないおそれがある。しかし図5を参照して上述した通り、走行状態で計測速度vが算出された後のタイミングであれば、振幅閾値は走行状態の振幅閾値Aに変更されるので、CPU142は、ピーク値Aを与える周波数fから計測速度vを算出することができる。
以上のように、本実施の形態に係る速度計測装置10は、ジッタや外来電磁波ノイズの影響による計測速度vの誤検出を防ぎつつ、走行路の状態やシステム(速度計測装置10が搭載された車両1)の状態によって反射波の強度が弱い場合でも、計測速度vを算出することができる。なお、走行路の状態が悪い場合は、走行路の状態に起因してシステムで検出される反射波の強度が弱くなり、速度計測装置10による計測速度の算出可能性等が悪くなることから、広義の「システムの状態」には「走行路の状態」を含まれると解釈できる。また、車両1の走行中に速度計測装置10が測定を開始した場合(例えば、走行中に速度計測装置10に電源が供給された場合)、ジッタや外来電磁波ノイズの影響による計測速度vの誤検出を除去して、適切な計測速度vを算出することができる。
なお、上述の説明において、速度計測装置10は、計測速度vが境界速度よりも高くなった場合に次回の速度計測タイミングにおける振幅閾値を変更するとしたが(図5参照)、本実施の形態に係る速度計測装置10は、車両1が走行状態から停止状態に移行する場合、すなわち計測速度vが境界速度よりも低くなった場合に、次回の速度計測タイミングにおける振幅閾値を変更するようにしてもよく(具体的には例えば、走行状態の振幅閾値Aから停止状態の振幅閾値Aに変更する)、さらにこれらを組み合わせて実装してもよい。
また、図4~図6では境界速度を1つとしたが、本実施の形態に係る速度計測装置10では、複数の境界速度を設けたり、連続的な境界速度を設けたりして、計測速度vの算出に用いるようにしてもよい。このようにすることで、図3のステップS104における比較判断において、走行路の状態等に応じた、より細かい判断を行うことが可能となり、適切な計測速度vの算出に期待することができる。以下、図7,図8を参照しながら、このような境界速度の設定例について具体的に説明する。
図7は、境界速度と振幅閾値との関係を説明するための図(その1)である。図7には、2つの境界速度(境界速度V,V)が設けられる場合の一関係例が示されている。
具体的には図7によれば、車両1の速度がゼロから境界速度Vの間であれば、次回の速度計測タイミングにおける振幅閾値として「停止状態の振幅閾値A」を採用する。そして、車両1の速度が境界速度Vから境界速度Vの間であれば、次回の速度計測タイミングにおける振幅閾値として「低速状態の振幅閾値A」を採用する。また、車両1の速度が境界速度V以上であれば、次回の速度計測タイミングにおける振幅閾値として「高速状態の振幅閾値A」を採用する。このようにすることで、車両1の速度の増加に伴って振幅閾値を多段階で小さくして計測速度vを算出することができる。
図8は、境界速度と振幅閾値との関係を説明するための図(その2)である。図8には、連続的な境界速度が設けられる場合の一関係例が示されている。
具体的には図8によれば、車両1の速度がゼロから境界速度Vまでの間は、次回の速度タイミングにおける振幅閾値として「停止状態の振幅閾値A」から「高速状態の振幅閾値A」の間を連続的に低減する値を採用する。ただし、車両1の速度が境界速度V以上であれば、次回の速度計測タイミングにおける振幅閾値として「高速状態の振幅閾値A」を採用する。このようにすることで、車両1の速度が所定の水準(ゼロから境界速度Vまで)に達するまでの間、次第に小さくなる動的な振幅閾値を採用して計測速度vを算出できるとともに、車両1の速度が所定の水準に達した以降は、静的な振幅閾値Aを採用することで、最終的に振幅閾値が「0」になってしまうことを回避しながら計測速度vを算出することができる。
以上、振幅閾値の変更基準となる境界速度を2以上設けた場合、本実施の形態に係る速度計測装置10は、図4~図6で説明した方法よりも細やかに、車両1の速度に応じて適切に、ジッタや外来電磁波ノイズの影響による計測速度の誤検出を除去して、計測速度vを算出することができる。
また、本実施の形態に係る速度計測装置10は、以下の派生構成を備えるようにしてもよい。この派生構成を備える場合も、速度計測装置10は、上記と同様の効果を得ることができる。
[派生構成1]
速度計測装置10は、IF信号の振幅と振幅閾値とを比較し計測速度を算出するかどうか判断し、かつ、車両1の走行状態/停止状態などの速度に基づいた状態を判断して振幅閾値を変更する手段を備える。
[派生構成2]
速度計測装置10は、振幅閾値を変更する処理に替えて、ミリ波の送信から受信、または波形処理のいずれかの過程において、車両1の走行状態/停止状態などの速度に基づいた係数、例えば、上記した振幅閾値の逆数に相当する係数を乗じる手段を備える。
上記手段をより具体的に例示すると、第1例として、発振器115で生成した信号の放射強度を変更する手段が考えられる。これは例えば、図2に示した送信用増幅器116の増幅率を変更することによって実現できる。
また第2例として、地面Gからの反射波の信号の増幅率を変更する手段が考えられる。これは例えば、図2に示した受信用増幅器118の増幅率を変更することによって実現できる。
また第3例として、IF信号の増幅率を変更する手段が考えられる。これは例えば、IF信号用増幅器130の増幅率を変更することによっても実現できるし、演算回路140のCPU142においてデジタル信号に変換されたIF信号をサンプリングして得られた波形や、その波形に対しFFT処理を行なって得られた振幅スペクトルに対し係数を乗じること等によっても実現できる。
(2)第2の実施の形態
本発明の第2の実施の形態に係る速度計測装置について説明する。
第2の実施の形態に係る速度計測装置は、IF信号の振幅スペクトルのピーク値との大小の比較判定で用いられる振幅閾値について、第1の実施の形態の速度計測装置とは異なる決定処理(振幅閾値の決定処理)を行うことを特徴とする。したがって振幅閾値の決定処理以外の処理(具体的には、図3に示した計測速度vの算出処理)については、第1の実施の形態と同様に実行されるものとして、詳細な説明を省略する。また、第2の実施の形態に係る速度計測装置の物理的構成は第1の実施の形態で用いた速度計測装置10を流用可能であるため、速度計測装置10を使って第2の実施の形態を説明する。
図9は、第2の実施の形態における振幅閾値の決定処理の手順例を示すフローチャートである。図9に示す一連の処理はCPU142によって実行される処理であって、図3に示した計測速度vの算出処理の処理完了後に毎回実行される。
図9において、N,NはステップS201の判定処理(詳細は後述する)における判定結果ごとの繰り返し数を示すための変数であって、ともに初期値は「0」とする。より具体的には、Nは、計測速度vが境界速度以上であった場合の繰り返し数と境界速度未満であった場合の繰り返し数を示し、Nは、計測速度vが境界速度未満であった場合の繰り返し数を示す。
また、図9に示す処理の初回開始時に与えられる初期条件の計測速度vは、計測速度の算出処理(図3)によって算出されるが、当該算出処理のステップS104では、IF信号の振幅スペクトルのピーク値Aと「停止状態の振幅閾値(例えば図4に例示した振幅閾値Aに相当)」との大小が比較されたとする。したがって、図9に示す処理の初回開始時に選択されている振幅閾値は停止状態の振幅閾値Aとする。そして、図9に示す処理を経て振幅閾値が変更された場合は、当該変更された振幅閾値を用いて、次回の計測速度の算出処理(図3)が行われる。
図9に例示した振幅閾値の決定処理を詳しく説明すると、まず、CPU142は、計測速度の算出処理を経て算出された計測速度vが境界速度以上であるか否かを判定する(ステップS201)。この計測速度vが境界速度以上であると判定した場合は(ステップS201のYES)、ステップS202の処理に進み、この計測速度vが境界速度未満であると判定した場合は(ステップS201のNO)、ステップS205の処理に進む。なお、本例では境界速度を1つの所定値として説明するが、第1の実施の形態で説明したように変更可能な多段階の境界速度が用意されている場合には、当該時点で選択されている境界速度を用いればよい。
ステップS201からステップS202の処理に進んだ場合、CPU142は、Nを「1」加算し、Nをゼロクリアする。次いで、CPU142は、ステップS202で加算されたNが所定値に達したか否か、すなわち所定値以上であるか否かを判定する(ステップS203)。
ステップS203においてNが所定値以上であると判定した場合(ステップS203のYES)、CPU142は、振幅閾値を「走行状態の振幅閾値(例えば図5に例示した振幅閾値Aに相当)」に変更し(ステップS204)、処理を終了する。ステップS203においてNが所定値未満であると判定した場合(ステップS203のNO)、CPU142はそのまま処理を終了する。
一方、ステップS201からステップS205の処理に進んだ場合、CPU142は、Nを「1」加算し、Nをゼロクリアする。次いで、CPU142は、ステップS205で加算されたNが所定値に達したか否か、すなわち所定値以上であるか否かを判定する(ステップS206)。
ステップS206においてNが所定値以上であると判定した場合(ステップS206のYES)、CPU142は、振幅閾値を「停止状態の振幅閾値(例えば振幅閾値A)」に変更し(ステップS207)、処理を終了する。ステップS206においてNが所定値未満であると判定した場合(ステップS206のNO)、CPU142はそのまま処理を終了する。
以上、図9に示した振幅閾値の決定処理を行うことによって、本実施の形態に係る速度計測装置10は、振幅閾値の変更に対しヒステリシス特性を持たせることができる。かくして、このような速度計測装置10によれば、車両1の停止時に強度の高いジッタや外来電磁波ノイズの影響によってIF信号の振幅スペクトルのピーク値が振幅閾値よりも高くなって計測速度vの誤検出が発生したとしても、その直後に振幅閾値を小さく変更されないように抑制するため(図9においてステップS201のYESからS203のNOに至るまでの処理を参照)、連続して誤検出が発生する可能性を低くすることができる。また、車両1の停止直前の境界速度以下の条件において振幅閾値を即座に高く変更することはしないため(図9においてステップS201のNOからステップ206のNOに至るまでの処理を参照)、停止直前に計測速度vを算出できる可能性を高めることができる。
(3)第3の実施の形態
本発明の第3の実施の形態に係る速度計測装置について説明する。
第3の実施の形態に係る速度計測装置は、ジッタ成分の混入や速度計測装置(または速度計測装置が搭載された車両など)の走行速度を考慮して、IF信号の振幅スペクトルのピーク値との大小の比較判定で用いられる振幅閾値を変更することを特徴とする。第3の実施の形態に係る速度計測装置の物理的構成は第1の実施の形態で用いた速度計測装置10を流用可能であるため、速度計測装置10を使って第3の実施の形態を説明する。
速度計測装置10において、演算回路140のADC141によるFFT処理を経て得られるIF信号の振幅スペクトルは、速度計測装置10の走行速度(すなわち、速度計測装置10が搭載された車両1の走行速度)が速くなると、周波数軸上に広がり、ピーク値が下がるという性質がある。まずはこのような性質となる背景について説明する。
図10は、速度計測装置から放射された電磁波の照射範囲を説明するための図である。図10では、速度計測装置10から放射される電磁波(図1における電磁波R1)について、地面Gに対して角度θで入射する中心軸方向の電磁波成分を電磁波R1aとしている。ここで、図10に例示したように、速度計測装置10から放射される電磁波による地面Gの照射範囲には幅があり、中心軸方向からのずれ角度の最大値をΦとすると、地面Gに対して入射角(θ-Φ)から入射角(θ+Φ)の間が照射範囲となる。入射角(θ-Φ)で地面Gに入射する電磁波成分を電磁波R1bとし、入射角(θ+Φ)で地面Gに入射する電磁波成分を電磁波R1cとする。
速度計測装置10から放射される電磁波R1の強度は、中心軸方向(電磁波R1a)が最も強くなり、中心軸方向から離れていくにしたがって低くなる(電磁波R1b,R1c)。そして、電磁波R1b,R1cについて混合器119によって生成されるIF信号のピーク周波数(周波数f θ-Φ,周波数f θ+Φ)は、数式(1)の入射角を置き換えることによって、以下の数式(2),(3)で示される。
Figure 0007075925000002
Figure 0007075925000003
すなわち、電磁波R1の放射について、FFT処理後の振幅スペクトルは、周波数f θ(上付き文字は角度θ方向のIF信号の周波数であることを意味する)を中心に、周波数f θ-Φから周波数f θ+Φの範囲に広がることになる。
ここで、地面Gからの電磁波R1の反射強度が場所(走行路の状態)や場所によらず一定とすると、振幅スペクトルのエネルギーの総和(つまり面積)は速度によらず一定となる。すなわち、速度が速いと振幅スペクトルは周波数軸上に広がり、ピーク値が下がることになる。
図11は、FFT処理後の振幅スペクトルの一例を示す図である。図11には、異なる計測速度v,v,v(v<v<v)について、FFT処理後の振幅スペクトルが例示されており、前段落で述べたように、計測速度vが速くなるほど、振幅スペクトルのピーク値を与える周波数f θが(及び周波数f θ-Φ,f θ+Φ)が高くなるとともに、ピーク値が下がることが示されている。
図12は、走行状態でジッタがある場合の振幅スペクトルの一例を説明するための図である。図12にはジッタ成分を含む振幅スペクトルが例示されている。ジッタは低周波成分が多く含まれ、ジッタに由来する振幅スペクトルは時間により変動する傾向があるため、図12に示したようにジッタに由来する振幅スペクトルのピーク値が、速度に由来するドップラ信号の振幅スペクトルのピーク値よりも高くなることがある。
上記の場合、計測速度vを算出するための振幅スペクトルのピーク値としてジッタに由来する振幅スペクトルのピーク値が採用されると、適切な速度が算出されないおそれがある。したがって、図12の例では、所定の境界周波数を設け、境界周波数の低周波側では振幅閾値を比較的高くする(例えば振幅閾値A)一方で、境界周波数の高周波側では振幅閾値を比較的低くする(例えば振幅閾値A)ようにしている。
そして本実施形態に係る速度計測装置10は、図12のように振幅閾値を境界周波数で変更することによって、特に車両1の速度が高い場合において、速度の成分に由来する振幅スペクトルのピーク値のみが振幅閾値以上と判断することができ、計測速度vを適切に算出することが可能となる。
次に、図13は、停止状態でジッタの強度が強い場合の振幅スペクトルの一例を説明するための図である。図13には複数の振幅スペクトルが例示されているが、これらは、時間によって変動するジッタ成分の変動を模したものである。また、図13には、走行状態における振幅閾値として、高周波時の振幅閾値Aと低周波時の振幅閾値Aとが示されているが、これらは図12で説明した通りである。
そして図13では、走行状態における2種類の振幅閾値に加えて、停止状態における2種類の振幅閾値(振幅閾値A,振幅閾値A)が示されている。振幅閾値Aは停止状態において所定の境界周波数の高周波側での振幅閾値であり、振幅閾値Aは停止状態において所定の境界周波数の低周波側での振幅閾値である。
図13において最もピーク値が高い振幅スペクトルをみると、そのピーク値を与える周波数は境界周波数の低周波側にあるが、そのピーク値は走行状態における低周波側の振幅閾値Aよりも高くなっている。このような場合、境界周波数に基づいて変更可能な振幅閾値が走行状態向けにしか用意されていなければ、ジッタ成分の影響によってピーク値が嵩上げされた周波数に基づいて計測速度vが算出されてしまうことになり、適切な速度算出とならないおそれがある。そこで、図13に示したように、境界周波数に基づいて変更可能な振幅閾値を停止状態向けにも用意することによって、ジッタを速度として誤って算出することを防止できる。具体的には図13の場合、振幅スペクトルのピーク値は、停止状態における低周波側の振幅閾値Aを超えておらず、このとき、計測速度vは「0」と決定される(図3のステップS106参照)。
次に、図14は、走行状態でジッタの強度が強い場合の振幅スペクトルの一例を説明するための図である。図14には、図12で説明したのと同様に、走行状態において境界周波数に基づいて変更可能な振幅閾値(振幅閾値A,振幅閾値A)が示されている。図14に例示した振幅スペクトルの場合、ジッタ成分のピーク値と速度に由来するドップラ信号のピーク値の双方が、それぞれ対応する振幅閾値よりも大きくなっている。このような場合、計測速度vの算出処理のための比較判断にいずれのピーク値を用いるかは、CPU142によって判定するようしてよい。具体的には、CPU142は、高周波成分をピーク値として選択し、当該採用したピーク値を与える周波数を用いて計測速度vを算出することが好ましい。CPU142が高周波成分のピーク値を選択することによって、ジッタ成分のピーク値に基づいて誤った速度が算出されることを防止することができる。
以上、ジッタ成分の混入や速度計測装置(または速度計測装置が搭載された車両など)の走行速度を考慮して振幅閾値を変更するという第3の実施の形態の特徴について、周波数に基づいて振幅閾値を変更する方法を図10~図14を参照しながら説明したが、本実施の形態に係る速度計測装置10は、振幅閾値を周波数に基づいて変更することに代えて、演算回路140に入力される前にIF信号に対して高域通過フィルタを適用する方法や、振幅スペクトルで得られる各周波数に対する振幅の各々に対し係数を乗じる(具体的には例えば振幅閾値の逆数に相当する係数を乗じる等、低周波成分に対し高周波成分と比較して小さな係数を乗じる)方法を採用してもよい。このようにIF信号の波形自体を補正することによっても、振幅閾値を変更する方法と同様の効果を得ることができる。
また、図10において地面Gへの電磁波R1の照射範囲(照射面積)を広くするためには、角度φを大きくするか、角度θを小さくすればよい。ただし、図11を参照すればわかるように、φを大きくすると振幅スペクトルが周波数軸方向に広がってピーク値が小さくなるため、地面Gへの電磁波R1の照射範囲(照射面積)を広くしようとするときは、角度θを小さくするほうが好ましい。ただし、角度θを過剰に小さくすると、電磁波の伝搬距離が長くなる(例えばθ=0の場合は、伝搬距離は無限大となってしまう)ことを考慮すると、角度θの下限値は30度程度にすることが好ましい。
(4)第4の実施の形態
本発明の第4の実施の形態について説明する。以下の説明において、第1の実施の形態に係る速度計測装置10と同一または共通する要素については、その符号を流用し説明を省略する。
上述の第1~第3の実施の形態では、振幅閾値を変更する判定に用いられる条件は、1台の速度計測装置10が算出した計測速度vを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。
第4の実施の形態では、振幅閾値を変更する判定に用いられる条件としての計測速度について、複数の速度測定手段によって算出または検出された計測速度を用いることを特徴としており、以下にいくつかの実施例を具体的に示して説明する。なお、特段の記載がある場合を除き、振幅閾値の変更に関する以外の処理(例えば図3に示した計測速度の算出処理など)は、上述の実施の形態における処理を流用するものとする。
[第1の実施例]
図15は、第4の実施の形態に係る速度計測装置の構成例を示す図(その1)である。図15に示した速度計測装置21は、図2に示した速度計測装置10の各構成に、加速度検出手段(具体的には加速度センサ22)が追加された構成となっている。加速度センサ22は、速度計測装置21の加速度を計測する装置であって、一般的な加速度センサを利用することができる。加速度センサ22が計測した加速度は、演算回路140に入力される。
速度計測装置21では、例えば速度計測装置21が搭載された車両が停止状態であると判断されているとき、加速度センサ22が計測した加速度に変化がある場合には、CPU142は、速度計測装置21が搭載された車両が走行を開始したと判断し、振幅閾値を走行状態用の振幅閾値に変更する。このような加速度センサ22(加速度検出手段)を備えることによって、速度計測装置21が搭載された車両の走行状態をより確実に把握して、速度計測装置21は車両の走行状態に基づいた適切な速度計測を行うことができる。
[第2の実施例]
図16は、第4の実施の形態に係る車両の一例を示す図(その1)である。図16に示した車両23は、図1に示した車両1の各構成に加えて、車両23のタイヤの回転速度を検出する回転速度検出手段(例えば回転速度検出センサ24)が追加されている。回転速度検出センサ24と速度計測装置10との間は通信路25で接続されており、回転速度検出センサ24が検出した回転速度を表す信号が通信路25を介して速度計測装置10に伝達される。
このような車両23において、速度計測装置10のCPU142が、回転速度検出センサ24(回転速度検出手段)によって検出された速度に基づいて振幅閾値を変更するようにすることで、速度計測装置10は車両の走行状態に基づいた適切な速度計測を行うことができる。
[第3の実施例]
図17は、第4の実施の形態に係る車両の一例を示す図(その2)である。図17に示した車両26の構成は、図16に示した車両23と比較すると、回転速度検出センサ24と外部装置11との間が通信路25で接続され、回転速度検出センサ24が検出した回転速度を表す信号が通信路25を介して外部装置11に伝達される点で異なっている。
車両26では例えば次のような処理が行われる。まず、回転速度検出センサ24で検出された車両26のタイヤの回転速度を表す信号を受信すると、外部装置11が、当該回転速度(または、当該回転速度から導かれる車両26の速度)に基づいて、車両26が走行状態か停止状態かを判断する。次いで、外部装置11は、当該判断の結果を通信路12を介して速度計測装置10に送信する。そして、速度計測装置10では、外部装置11による車両26の走行状態に関する判断の結果に基づいて、CPU142が振幅閾値を変更する。
このような車両26によれば、回転速度検出センサ24(回転速度検出手段)によって検出された速度に基づいて外部装置11が車両26の走行状態を判断し、当該判断に従って速度計測装置10のCPU142が振幅閾値を変更することで、速度計測装置10が車両の走行状態に基づいた適切な速度計測を行うことができる。
[第4の実施例]
図18は、第4の実施の形態に係る速度計測装置の構成例を示す図(その2)である。図18に示した速度計測装置30は、図2に示したミリ波レーダモジュール110、レンズ120及びIF信号用増幅器130を2個ずつ備えている点を特徴とする。
具体的には、速度計測装置30は、ミリ波レーダモジュール310A,310Bと、ミリ波レーダモジュール310A,310Bにそれぞれ対応するレンズ320A,320Bと、ミリ波レーダモジュール310A,310Bで生成されたIF信号を増幅するIF信号用増幅器330A,330Bと、IF信号用増幅器330A,330Bで増幅されたIF信号が入力される演算回路340とを備えている。なお、ミリ波レーダモジュール310A,310Bの構成(例えば図18に示すICチップ311A,311B、アンテナ312A,312B)及び機能は、図2に示したミリ波レーダモジュール110と共通する部品である。同様に、レンズ320A,320Bは図2に示したレンズ120と共通する部品であり、IF信号用増幅器330A,330Bは図2に示したIF信号用増幅器130と共通する部品である。したがってこれらの構成については再度の説明を省略する。
速度計測装置30において、演算回路340は、ミリ波レーダモジュール310A,310BのそれぞれからIF信号用増幅器330A,330Bを経由して出力されるIF信号を処理できるように、AD変換器(ADC)341A,341BとCPU342とを備えている。AD変換器(ADC)341A,341Bはそれぞれに入力されたアナログのIF信号をデジタル信号に変換するもので、図2に示したADC141と共通する部品を用いることができる。CPU342は、2つのADC341A,341Bでデジタル信号に変換されたそれぞれのIF信号をサンプリングしたものに対して高速フーリエ変換(FFT)処理を行った後に、FFT処理後のIF信号の振幅スペクトルを用いて計測速度の算出処理を行う。
このように構成された速度計測装置30では、ミリ波レーダモジュール310A及びミリ波レーダモジュール310Bがそれぞれ放射する電磁波の地面Gに対する照射位置の違いにより、反射波の強度に差が生じることがあり、そのような場合に、ミリ波レーダモジュール310A,310Bのいずれかが得たIF信号のみから計測速度が算出されることがある。
具体的には例えば、ミリ波レーダモジュール310AのIF信号からCPU342が計測速度vを算出できた一方で、ミリ波レーダモジュール310BのIF信号は地面Gからの反射波の強度が弱かったためにCPU342が計測速度vを算出できなかった(計測速度vが「0」とされた)場合を仮定する。
このとき、速度計測装置30では、CPU342が、ミリ波レーダモジュール310AのIF信号から計測速度vが算出できたという情報を得ることで、速度計測装置30が搭載された車両が走行中であることを推定できるので、ミリ波レーダモジュール310BのIF信号に基づく計測速度vの算出処理に用いる振幅閾値をより小さいものに変更する。そして、このように振幅閾値を小さく変更した後でCPU342がミリ波レーダモジュール310BのIF信号に基づく計測速度vの算出処理を行うようにすれば、IF信号の振幅スペクトルのピーク値と振幅閾値との比較判断(図3のステップS104)において、当該ピーク値が変更後の振幅閾値以上となる可能性が高まり、計測速度vも算出可能となることに期待できる。
なお、CPU342が片方のIF信号から計測速度を算出できた情報に基づいて他方のIF信号による計測速度の算出処理で用いる振幅閾値を変更するとき、当該変更された振幅閾値を用いた計測速度の算出処理が行われるタイミングは特に限定されない。例えば上記例のようにミリ波レーダモジュール310AのIF信号から計測速度vが算出できた一方でミリ波レーダモジュール310BのIF信号からは計測速度vが算出できなかった場合に、振幅閾値を小さく変更した後で計測速度vの算出処理を再実行するようにしてもよいし、次回の計測速度vの算出処理から小さくした振幅閾値を用いるようにしてもよい。
また、本例の速度計測装置30は、3個以上のミリ波レーダモジュールと各々のミリ波レーダモジュールに対応する構成とを備えるようにしてもよい。このように構成される場合、CPU342が、各々のミリ波レーダモジュールで得られるIF信号から計測速度を算出できたか否か(「0」以外の計測速度が得られたか否か)に関する情報に基づいて、各々のミリ波レーダモジュールのIF信号を用いた計測速度の算出処理で用いる振幅閾値を適宜変更すればよい。
いずれにしても、以上のような速度計測装置30によれば、複数のミリ波レーダモジュールでそれぞれ得られたIF信号に基づいて計測速度を算出するとともに、反射波の強度が弱いという理由で計測速度を算出できないIF信号が一部に存在した場合には、当該IF信号による計測速度の算出処理で用いる振幅閾値を小さく変更するという特徴を備えることにより、複数のミリ波レーダモジュールで得られたIF信号のそれぞれから計測速度を算出できる可能性を高めることができる。かくして、本例の速度計測装置30によれば、複数のミリ波レーダモジュールによる計測速度が算出できることによって、算出された計測速度の総合的な信頼度を高める効果に期待できる。
[第5の実施例]
図19は、第4の実施の形態に係る車両の一例を示す図(その3)である。図19に示す車両4は、走行路である地面Gを走行する車両であって、外部装置41と電磁波の透過窓44を有する外装筐体45とを備えている。外装筐体45は車両4の床面Fに固定され、外装筐体45の内部では、速度計測装置40A,40Bがそれぞれ固定金具43A,43Bによって固定され、速度計測装置40A,40Bと外部装置41との間は通信路42を介して接続される。なお、速度計測装置40A,40Bのそれぞれの内部構成は、図2に例示した速度計測装置10と同様の構成と考えてよく、説明を省略する。
図19に示すように、車両4では、速度計測装置40Aから電磁波R1が放射され、速度計測装置40Bから電磁波R2が放射されるが、それぞれの電磁波による走行路(地面G)の放射位置が異なることを特徴としている。
このように速度計測装置40A,40Bから放射される電磁波R1,R2による走行路の放射位置が異なる場合、各々の放射波に対する反射波の強度に差が生じることが想定され、このとき、いずれかの速度計測装置で得られたIF信号からしか計測速度vが算出されない(何れかの速度計測装置ではIF信号から計測速度vが「0」と算出される)ことがある。
具体的には例えば、速度計測装置40Aでは得られたIF信号から計測速度vを算出できた一方で、速度計測装置40Bでは地面Gからの反射波の強度が弱かったために、得られたIF信号から計測速度vを算出できなかった(計測速度vが「0」とされた)場合を仮定する。
このとき、速度計測装置40Bは、通信路42を介して、速度計測装置40Aで計測速度vが算出できたという情報を得ることで、車両4が走行中であることを推定できるので、速度計測装置40Bにおける計測速度の算出処理で用いられる振幅閾値をより小さいものに変更してもよい。これは、前述した第4の実施例における処理と類似する処理であり、速度計測装置40B側の振幅閾値を小さく変更したことによって、計測速度vも算出可能となることに期待できる。
また、車両4では、外部装置41が、速度計測装置40A,40Bのそれぞれにおいて計測速度v,vを算出できたか否かの情報を集める構成であってもよい。このような構成下では、上記例のように計測速度vが算出できて計測速度vが算出できなかった場合に、外部装置41が速度計測装置40Bに、速度計測装置40Aで計測速度vが算出できたという情報を伝達し、当該情報に基づいて速度計測装置40Bが振幅閾値を小さく変更するようにしてもよい。なお、この場合、速度計測装置40Aと外部装置41の間と、速度計測装置40Bと外部装置41の間とを、それぞれ別の通信路42で接続して、1対1接続となるような構成にしてもよい。
なお、図19に例示した車両4では、放射した電磁波R1と電磁波R2とが交差するように速度計測装置40A,40Bを配置するとともに、電磁波R1,R2が交差する箇所に電磁波の透過窓44を配置している。このような配置にすることで、電磁波R1を透過させるための透過窓と電磁波R2を透過させるための透過窓とを透過窓44で共通化することができるため、外装筐体45のx方向の長さを短くすることができ、外装筐体45の省サイズ化に貢献することができる。
ところで、図19では、地面Gと外装筐体45との間にピッチングが発生して、地面Gと車両4の床面F(外装筐体45の底面)とが平行ではない様子が示されている。図19に示したように、ピッチングの仰角をδとしたとき、電磁波R1の地面Gへの入射角はθ+δで表され、電磁波R2の地面Gへの入射角はθ-δで表される。ピッチングの発生によって電磁波の地面Gへの入射角がθでなくなることにより、ドップラ効果による周波数(ドップラ周波数)の変化が生じる。具体的には、数式(1)において入射角θが(θ+δ)や(θ-δ)となることによって、IF信号のピーク周波数fに変化が生じるものであり、以下、この変化量をドップラ周波数変化量と呼ぶ。
図20は、ピッチングの角度とドップラ周波数変化量との関係例を示した図である。図20は、入射角θを45°とした場合のピッチングの仰角δと当該仰角によるドップラ周波数変化量との関係を示している。図20によれば、角度θの近傍においてピッチングの変化に対するドップラ周波数の変化が比例関係にあるとみなせる。したがって、図19に示したように電磁波R1,R2を互いに逆方向の角度θで放射することによって、ピッチングによるドップラ周波数変化量を相殺することができ、ピッチングによる計測速度の算出値の誤さを低減(ほぼ「0」にする)ことができる。
但し、上述したようなピッチングの発生によるドップラ周波数の変化量の相殺は、速度計測装置40A,40Bによる計測タイミングが一致する場合に限り適用できるものであり、計測タイミングが不一致の場合は、ピッチングによる誤差を低減できない可能性が残されている。
図21は、計測タイミングが不一致の場合における計測速度の算出値の関係を説明するための図である。ピッチングが発生している場合には、速度計測装置40A,40Bにおける計測タイミング(例えば反射波の入射タイミング等)が一致しないことから、算出された計測速度が異なる可能性がある。より詳しくは、計測タイミングが異なると、ピッチングによって各電磁波R1,R2の地面Gに対する入射角が異なってしまうおそれがあり、その結果、各速度計測装置40A,40Bで得られるIF信号の振幅スペクトルのピーク値fの値が異なるものとなり(数式(1)参照)、計測速度の算出値も異なるものとなる。そして、図21にも例示したように、異なるタイミングで算出された計測速度の平均をとったとしても、ピッチングによる影響を除去した適切な速度(図21における「真の速度」)が得られるとは言い難い。
このような課題に対して、車両4に搭載された速度計測装置40A,40Bは、互いの計測タイミングを一致させ、各自が算出した計測速度の平均値を計算することで、ピッチングによる誤差を相殺して「真の速度」を得ることができる。具体的なイメージを図22に示す。
図22は、計測タイミングを一致させた場合における計測速度の算出値の関係を説明するための図である。図22によれば、速度計測装置40A,40Bの計測タイミングを一致させることによって、ピッチングによる誤差は絶対値が同じで符号が逆のものとなることが分かる。したがって、速度計測装置40A,40Bで算出した計測速度の平均値を計算することによって、ピッチングによる影響を除去した真の速度を得ることができる。
なお、上記のように計測タイミングを一致させるための方法としては、例えば、一方の速度計測装置(例えば速度計測装置40A)から送信された信号を他方の速度計測装置(速度計測装置40B)が受信することによって、速度計測装置40Bによる速度計測の開始タイミングを速度計測装置40Aと同期させる方法が挙げられる。また例えば、外部装置41から送信された信号を速度計測装置40A,40Bが同時受信することによって、速度計測の開始タイミングを当該信号に同期させる方法等で実現してもよい。
[第6の実施例]
図23は、第4の実施の形態に係る車両の一例を示す図(その4)である。図23は車両5を上方から見た概略図であり、車両5は、2つの速度計測装置50A,50Bが通信路52を介して外部装置51に接続された構成となっている。速度計測装置50A,50Bのそれぞれの内部構成は、図2に例示した速度計測装置10と同様の構成と考えてよく、説明を省略する。
ここで、図23に示す車両5と図19に示した車両4とを比較すると、外部装置に接続された2つの速度計測装置を備える点では類似しているが、以下の点で異なる。すなわち、図19に示した車両4では、速度計測装置40Aから放射される電磁波R1と速度計測装置40Bから放射される電磁波R2とが走行路である地面G上の同一経路をとるのに対して、図23に示した車両5では、速度計測装置50Aから放射される電磁波R1と速度計測装置50Bから放射される電磁波R2とが異なる経路をとる。
ここで、走行路の状態等を原因として、経路によって反射波の強度に差が生じることがある。このような場合に電磁波が放射される経路が1通りであると、十分に計測速度を算出できない事態が起こり得る。これに対して車両5は、図23に示したように、異なる経路に電磁波R1,R2を放射することによって、経路によって地面Gからの電磁波の反射率に差が生じるような場合であっても、いずれか一方の速度計測装置が計測速度を算出できたという情報を、他方の速度計測装置に送信することで、他方の速度計測装置における計測速度の算出処理に用いる振幅閾値を変更することができる。かくして、車両5では、両方の速度計測装置で計測速度が算出可能となりやすくすることができる。
なお、速度計測装置50Aと速度計測装置50Bとが直接情報をやり取りするのではなく、外部装置51が情報を中継または集積して、速度計測装置50A,50Bに現状を伝達するようにしてもよい。
また、車両5に搭載する速度計測装置は3台以上であってもよい。例えば3台の速度計測装置を搭載する場合、2台の速度計測装置で計測速度を算出できたときには、計測速度を算出できなかった(計測速度が「0」とされた)残りの1台の速度計測装置は、振幅閾値を小さく変更するように構成してもよい。また、2台の速度計測装置が計測速度を算出できなかったときには、計測速度を算出できた残りの1台の速度計測装置は、振幅閾値を大きく変更するように構成してもよい。
以上、本発明の各実施の形態について説明してきたが、本発明に係る速度計測装置(または速度計測装置を搭載した車両)では、上述してきた具体例の他にも、様々な「システムの状態」を用いて振幅閾値を変更する判定が可能である。例えば自動車においては、エンジン回転数などの車両の状態を示す情報や、アクセルやブレーキ等の車両の操作状態を示す情報を「システムの状態」としてよく、鉄道車両においては、速度発電機で計測した速度情報等を「システムの状態」としてよく、あるいは、路上設置の速度計測装置においては、走行路を走行する車両の検知情報等を「システムの状態」としてよい。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例を含む。例えば、上記の実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。
また、各図面において、制御線や信号線は説明上必要と考えられるものを記載しており、必ずしも製品として必要な全ての制御線や信号線を記載しているとは限らない。
さらに、図2に記載した構成による速度計測装置10は、発振器115によって生成される周波数を変調し、受信波を信号処理することによって、目標物との距離計測が可能となる。したがって上記した各実施の形態は、目標物との距離を計測する装置においても、目標物の検出/未検出の条件によって振幅閾値を変更する構成に適用することができる。
1 車両
10 速度計測装置
11 外部装置
12 通信路
110 ミリ波レーダモジュール
111 ICチップ
112 アンテナ
113 ポート
114 給電線
115 発振器
116 送信用増幅器
117 アイソレータ
118 受信用増幅器
119 混合器
120 レンズ
130 IF信号用増幅器
140 演算回路
141 ADC
142 CPU
21 速度計測装置
22 加速度センサ
23,26 車両
24 回転速度検出センサ
310A,310B ミリ波レーダモジュール
311A,311B ICチップ
312A,312B アンテナ
320A,320B レンズ
330A,330B IF信号用増幅器
340 演算回路
341A,341B ADC
342 CPU
4 車両
40A,40B 速度計測装置
41 外部装置
42 通信路
43A,43B 固定金具
44 透過窓
45 外装筐体

Claims (3)

  1. 搭載されたシステムの速度を計測する速度計測装置であって、
    電磁波または音波による放射波を生成し、地面に放射する放射部と、
    前記放射部から放射された放射波の前記地面からの反射波を受信する受信部と、
    前記放射部で生成された放射波と前記受信部で受信された反射波との周波数差を表す周波数差信号を生成する信号生成部と、
    前記信号生成部で生成された周波数差信号の強度が所定値以上である場合に前記信号生成部で生成された周波数差信号の周波数差から前記地面を基準とする計測速度を算出する速度算出部と、
    停止状態の振幅閾値を走行状態の振幅閾値より大きな値として、
    前記所定値を、前記速度算出部によって算出された計測速度が所定速度以上である場合に前記走行状態の振幅閾値とし、前記速度算出部によって算出された計測速度が所定速度未満である場合に前記停止状態の振幅閾値とする閾値変更部と、を備えることを特徴とする速度計測装置。
  2. 前記システムは車両であることを特徴とする請求項1に記載の速度計測装置。
  3. 搭載されたシステムの速度を計測する速度計測装置による速度計測方法において、
    電磁波または音波による放射波を生成し、地面に放射する放射ステップと、
    前記放射ステップで放射された放射波の前記地面からの反射波を受信する受信ステップと、
    前記放射ステップで生成された放射波と前記受信ステップで受信された反射波との周波数差を表す周波数差信号を生成する信号生成ステップと、
    前記信号生成ステップで生成された周波数差信号の強度が所定値以上である場合に前記信号生成ステップで生成された周波数差信号の周波数差から前記地面を基準とする計測速度を算出する速度算出ステップと、
    停止状態の振幅閾値を走行状態の振幅閾値より大きな値として、
    前記所定値を、前記速度算出ステップによって算出された計測速度が所定速度以上である場合に前記走行状態の閾値振幅とし、前記速度算出ステップによって算出された計測速度が所定速度未満である場合に前記停止状態の閾値振幅とする閾値変更ステップと、
    含むことを特徴とする速度計測方法。
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