[警報システムの概要]
図1は階層構造の建物に配置した警報システムの実施形態を示した説明図である。図1に示すように、本実施形態の警報システムは、例えば民泊施設等の4階建ての建物11に設置されており、警戒エリアは1F~4Fの階別の警戒エリアであり、階別の警戒エリアの各々に、警報器として機能する例えば5台の無線連動型の連動型警報器10が設置されている。
ここで、1F~4Fに設置された5台ずつの連動型警報器10は、建物11の左側に示すように、グループG1,G2,G3,G4を構成しており、グループG1,G2,G3,G4の各々には、異なるチャンネル周波数f1,f2,f3,f4が割り当てられ、各グループG1~G5の連動型警報器10は、自己のグループに割り当てられたチャンネル周波数f1~f4を使用して信号の送受信を行う。
グループG1~G4に設けられた連動型警報器10は、火災を検出した場合に連動元を示す火災警報を出力すると共に、自己のグループ内の他の連動型警報器10に火災連動信号を送信して連動先を示す火災警報を出力させる。
建物11の階別の警戒エリアに対応したグループG1~G4の間には、グループ間移報装置12-12,12-23,12-34が設置される。グループ間移報装置12-12,12-23,12-34は、隣接した階のグループに設けられた両方の連動型警報器10との間で信号の送受信を可能とするため、例えば、各階を結ぶ階段の踊り場の壁面等に設置される。なお、以下の説明でグループ間移報装置12-12,12-23,12-34を区別する必要がない場合は、グループ間移報装置12という場合がある。
グループ間移報装置12-12,12-23,12-34には、第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16が組み込まれている。
例えば、1階のグループG1と2階のグループG2の間に設置されたグループ間移報装置12-12を例にとると、第1移報アダプタ14には1階のグループG1の連動型警報器10と同じチャンネル周波数f1が設定されており、1階に設置されたグループG1の連動型警報器10との間で火災連動信号を含む各種の信号の送受信を行う。
また、第2移報アダプタ16には、2階のグループG2の連動型警報器10と同じチャンネル周波数f2が設定されており、2階に設置されたグループG2の連動型警報器10との間で火災連動信号を含む各種の信号の送受信を行う。
グループ間移報装置12-12に組み込まれた第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16は伝送部を備え、内部配線として機能する伝送回線により接続している。
グループ間移報装置12-12に組み込まれた第1移報アダプタ14は、自己のグループG1に属する連動型警報器10からチャンネル周波数f1の火災連動信号を受信した場合に、第2移報アダプタ16に火災連動移報信号を出力する。第1移報アダプタ14からの火災移連動報信号を入力した第2移報アダプタ16は、チャンネル周波数f2の火災連動信号を自己のグループG2内の連動型警報器10に送信して連動先を示す火災警報を出力させる。
また、グループ間移報装置12-12に組み込まれた第2移報アダプタ16は、自己のグループG2に属する連動型警報器10からチャンネル周波数f2の火災連動信号を受信した場合に、第1移報アダプタ14に火災連動移報信号を出力する。第2移報アダプタ16からの火災連動移報信号を入力した第1移報アダプタ14は、チャンネル周波数f1の火災連動信号を自己のグループG1内の連動型警報器10に送信して連動先を示す火災警報を出力させる。
このような第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16の機能は、グループ間移報装置12-23,12-34についても、使用するチャンネル周波数が相違する以外は同じになる。
このため、グループ間移報装置12-23の第1移報アダプタ14にはグループG2のチャンネル周波数f2が設定され、第2移報アダプタ16にはグループG3のチャンネル周波数f3が設定される。
また、グループ間移報装置12-34の第1移報アダプタ14にはグループG3のチャンネル周波数f3が設定され、第2移報アダプタ16にはグループG4のチャンネル周波数f4が設定される。
ここで、グループG1~G4の間の火災連動信号の通信ルートは、例えばグループG1の連動型警報器10で火災を検出した場合を例にとると、グループG1の連動型警報器10、グループ間移報装置12-12、グループG2の連動型警報器10、グループ間移報装置12-23、グループG3の連動型警報器10、グループ間移報装置12-34及びグループG4の連動型警報器10となる第1ルートと、グループG1の連動型警報器10からグループ間移報装置12-12、12-23、12-34と送られ、グループ間移報装置12-12、12-23、12-34から各グループG2,G3,G4の連動型警報器10に送られる第2ルートがある。
図1に示すように、グループ間移報装置12-12、12-23、12-34が階段の踊り場等に配置され、隣接したもの同士での無線による信号の送受信が可能な場合は、第2ルートによる通信が行われる。これに対しグループ間移報装置12-12、12-23、12-34が互いに通信可能エリアから離れている場合には、第1ルートに従った通信となる。また、第1ルートと第2ルートは混在した通信も想定される。
また、グループ間移報装置12-12,12-23,12-34には、任意のグループ内の連動型警報器10からの火災連動信号の送信により火災警報を行うグループの連動段数を所定段数に規制する機能が設けられる。このグループ間移報装置12によるグループ連動段数を規制する制御の詳細は後の説明で明らかにされる。
更に、グループ間移報装置12-12,12-23,12-34には警報一斉鳴動スイッチが設けられており、警報一斉鳴動スイッチを操作すると、警報一斉鳴動信号が自己のグループの連動型警報装置10及び他のグループ間移報装置を経由してそれぞれのグループの連動型警報器10に送信され、各グループの連動型警報装置10から火災警報を一斉に出力させることができる。このグループ間移報装置12による火災警報の一斉鳴動の詳細も後の説明で明らかにされる。
[連動型警報器の機能構成]
図2は連動型警報器の機能構成を示したブロック図である。図2に示すように、連動型警報器10は、連動型警報器制御部18、アンテナ22を備えた通信部20、センサ部24、動作表示灯26、スピーカ28及びテストスイッチ30で構成され、図示しない電池電源で動作する。
連動型警報器制御部18は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成している。
通信部20は、初期設定等に基づく連動型警報器制御部18からの指示に基づき例えば400MHz帯の4つのチャンネル周波数f1,f2,f3,f4の内の1つ、例えばチャンネル周波数f1を設定し、同一グループに属する他の連動型警報器10との間で信号を無線により送受信できるようにしている。
通信部20としては、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD-30(小電力セキュリティシステム無線局無線設備標準規格)に準拠した構成を備える。もちろん通信部20としては、日本国内以外の場所については、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。
通信部20で送受信される火災連動信号の信号形式は、例えば、送信元符号、イベント符号、中継回数及びグループ連動段数が含まれている。送信元符号は、送信元を示す符号であり、例えば警報器のシリアル番号等を利用している。
イベント符号は、火災、警報停止、障害等のイベント内容を表す符号である。中継回数は、連動型警報器10が火災連動信号を中継する毎に1つずつ減少させる符号であり、例えば中継回数として3回が初期設定された場合、3回の中継で中継回数はゼロとなり、次の中継は行わないようにする。これにより火災連動信号が無限に中継されることを防止する。
グループ連動段数は、グループ間移報装置12-12,12-23,12-34により火災警報を連動させるグループの範囲を制御するために使用される。
センサ部24には検煙部が設けられ、火災による煙が所定濃度に達したときに火災を検出するようにしている。検煙部以外に、火災による温度を検出するサーミスタ等の温度検出素子や、火災に伴うその他の物理現象変化を検出する各種素子を設けても良い。
動作表示灯26は、連動型警報器制御部18の指示に基づきLEDの点滅や点灯、明滅などにより、火災などの異常を表示する。また、2色LEDや表示色の異なる2つのLEDを設け、連動元の表示と連動先の表示で表示色を異ならせても良い。スピーカ28は、連動型警報器制御部18の指示に基づき音声合成による音声メッセージや警報音を出力する。
テストスイッチ30は、警報停止スイッチ及び点検スイッチとしての機能を兼ねており、スピーカ28の警報音と動作表示灯26の警報表示を行っているときにのみ警報停止指示を入力することができ、通常状態でテストスイッチ30が操作されるとテスト用火災警報が低音量で出力される。
連動型警報器制御部18の制御機能はプログラムの実行により実現され、次の制御機能を備える。連動型警報器制御部18は、センサ部24に設けた検煙部から煙検出信号に基づいて火災を検出した場合、スピーカ28から連動元を示す警報音例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共に、動作表示灯26をたとえば点灯して連動元を示す警報を出力する制御を行う。
また、連動型警報器制御部18は、火災検出時に通信部20に指示し、グループ連動段数Nの初期値として例えばN=2を含む火災連動信号を通信部20からチャンネル周波数f1を使用して他の連動型警報器に向けて送信させる制御を行う。火災連動信号に含まれたグループ連動段数Nは、グループ間移報装置12内で火災連動移報信号として伝送される場合に1つずつ減算され、グループ連動段数NがN=0となった場合に、そのグループ間移報装置12からの火災連動信号の送信が禁止され、初期設定されたグループ連動段数N=2にグループ火災連動が規制される。
一方、本発明の別の実施形態では、連動型警報器制御部18は、火災検出時に通信部20に指示し、グループ連動段数Nの初期値としてN=0を含む火災連動信号を通信部20からチャンネル周波数f1を使用して他の連動型警報器に向けて送信させる制御を行う。火災連動信号に含まれたグループ連動段数N=0は、グループ間移報装置12内で火災連動移報信号として伝送される場合に1つずつ加算され、グループ連動段数Nが所定の連動段数閾値Nth、例えばNth=2となった場合に、そのグループ間移報装置12からの火災連動信号の送信が禁止され、連動段数閾値Nthに対応したグループ連動段数N=2にグループ火災連動が規制される。
また、連動型警報器制御部18は、他の連動型警報器からのチャンネル周波数f1の火災連動信号を通信部20で受信した場合、スピーカ28から連動先を示す警報音例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる警報音を繰り返し出力させ、同時に動作表示灯26をたとえば点滅して連動先を示す火災警報を出力させる制御を行う。
また、連動型警報器制御部18は、連動元を示す火災警報の出力中にテストスイッチ30の警報停止操作を検出した場合、スピーカ28からの警報音を停止させると共に動作表示灯26の表示を停止させると共に、警報停止連動信号を他の連動型警報器に送信して連動先を示す火災警報を停止させる制御を行う。
また、連動型警報器制御部18は、連動先を示す火災警報の出力中にテストスイッチ30の警報停止操作を検出した場合、スピーカ28からの警報音を停止させると共に動作表示灯26の表示を停止させる制御を行うが、警報停止連動信号を他の連動型警報器10に対する送信は行わない。これにより宿泊客等の一般利用者が火災発生場所以外で警報停止操作を行うことにより、火災中に火災警報が連動停止されてしまう問題を解消する。
また、連動型警報器制御部18は、通信テスト、電池電圧の低下監視、回路故障監視を行っており、通信エラー、電池電圧低下、又は、回路故障を検出すると、スピーカ28から所定の障害警報音を出力させると共に動作表示灯26を点滅して障害警報を出力させ、更に、障害連動信号を通信部20からチャンネル周波数f1を使用して他の連動型警報器10及びグループ間移報装置12に向けて送信させることで、全てのグループの連動型警報器10から障害警報を出力させる制御を行う。なお、連動先の障害警報は、混乱を回避するために、動作表示灯の作動による警報表示のみとする。
また、連動型警報器制御部18は、グループ間移報装置12に設けられた警報一斉鳴動スイッチの操作による警報一斉鳴動信号を受信すると、連動先を示す火災警報を出力させる制御を行う。
[グループ間移報装置]
(グループ間移報装置の機能構成)
図3はグループ間移報装置の機能構成を示したブロック図であり、図1の1FのグループG1と2FのグループG2の間に設置されたグループ間移報装置12-12を例にとっているが、他のグループ間移報装置12-23,12-34も同様となる。
図3に示すように、グループ間移報装置12-12は、1つの装置筐体内に、第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16が設けられている。第1移報アダプタ14にはグループG1のチャンネル周波数f1が設定され、第2移報アダプタ16にはグループG2のチャンネル周波数f2が設定されている点で相違するが、それ以外の構成及び機能は、基本的に同じになる。
第1移報アダプタ14は、アダプタ制御部32、アンテナ36が接続された通信部34、伝送部38、動作表示灯42、スピーカ44、テストスイッチ46及び図示しない電池電源で構成される。第2移報アダプタ16も同様の構成となる。
アダプタ制御部32は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成している。
通信部34は、図2の連動型警報器10に設けられた通信部20と同じであり、初期設定等に基づくグループG1に割り当てられたチャンネル周波数f1を設定し、同じグループG1に属する連動型警報器10との間で信号を無線により送受信できるようにしており、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD-30(小電力セキュリティシステム無線局無線設備標準規格)に準拠した構成を備える。
伝送部38はシリアル伝送機能又はパラレル伝送機能を備え、第2移報アダプタ16の伝送部38に伝送回線40により接続され、火災連動移報信号、警報一斉鳴動移報信号、障害連動移報信号等を含む各種の移報信号を送受信する。なお、伝送部38に代えて、移報信号の種別ごとに移報信号線により移報信号を入出力する移報回路としても良い。
動作表示灯42は、アダプタ制御部32の指示に基づきLEDの点滅や点灯、明滅などにより、火災移報警報、障害警報等を表示する。
第1移報アダプタ14の動作表示灯42と第2移報アダプタ16の動作表示灯42に対応して代表動作灯50が設けられている。代表動作灯50は、後の説明で明らかにするように、装置筐体に対し開閉自在に設けられたパネル扉に設けられており、それぞれの動作表示灯42に対する信号線から分岐された表示灯配線58が代表動作灯50に接続され、2つの表示信号の論理和(オア)をとることで、代表動作灯50を表示駆動させる。
スピーカ44は、アダプタ制御部32の指示に基づき音声合成による音声メッセージや警報音を出力する。テストスイッチ46は、警報停止、通信テスト、移報停止、移報停止解除等の操作を行う。
電池電源は例えばリチウム電池等の一次電池を使用しており、アダプタ回路の低消費電力化により、10年を超える電池寿命が保証されている。
第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32の制御機能はプログラムの実行により実現され、次の制御機能を備える。
(移報アダプタでグループ連動段数を規制するグループ間連動制御)
第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、自己のグループG1の連動型警報器10からチャンネル周波数f1の火災連動信号を受信した場合に、伝送部38に指示し、第2移報アダプタ16に火災連動移報信号を出力する制御を行う。
このとき第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、受信した火災連動信号に含まれているグループ連動段数Nから1を減算した(N-1)を、火災連動移報信号に含めて第2移報アダプタ16に送信する制御を行う。
第1移報アダプタ14からの火災連動移報信号の受信した第2移報アダプタ16のアダプタ制御部32は、受信した火災連動移報信号に含まれているグループ連動段数NがN=0か否か判別し、N=0でない場合は、受信した火災連動移報信号から得られたグループ連動段数Nを含む火災連動信号を生成し、通信部34に指示して、チャンネル周波数f2の火災連動信号を自己のグループG2内の連動型警報器10に送信して連動先を示す火災警報を出力させる制御を行う。
これに対し第2移報アダプタ16のアダプタ制御部32は、受信した火災連動移報信号に含まれているグループ連動段数NがN=0の場合は、自己のグループG2内の連動型警報器10に対する火災連動信号の送信を禁止し、グループ連動段数を火災連動信号に初期設定されたグループ連動段数の値に規制させる制御を行う。
また、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、第2移報アダプタ16からのグループ連動段数Nを含む火災連動移報信号の入力を検出すると、第2移報アダプタ16のアダプタ制御部32と同様に、受信した火災連動移報信号に含まれているグループ連動段数NがN=0でない場合は、受信した火災連動移報信号から得られたグループ連動段数Nを含む火災連動信号を生成し、通信部34に指示して、グループG1に設定されたチャンネル周波数f1の火災連動信号を自己のグループG1内の連動型警報器10に送信して連動先を示す火災警報を出力させ、グループ連動段数NがN=0の場合は、自己のグループG1内の連動型警報器10に対する火災連動信号の送信を禁止し、グループ連動段数を火災連動信号に初期設定されたグループ連動段数Nの値に規制させる制御を行う。
また、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、自己のグループG1内の連動型警報器10から火災連動信号を受信した場合に、スピーカ44から「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」となる警報音を繰り返し出力させ、同時に動作表示灯42及び代表動作灯50を例えば点滅して火災移報警報を出力させる制御を行う。なお、第1移報アダプタ14による火災移報警報は、警報音は出力せず、動作表示灯42及び代表動作灯50による火災移報警報の表示のみとしても良い。
また、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、自己のグループG1内の連動型警報器10で通信障害、故障、又は電池電圧の低下を検出して送信された障害連動信号を受信した場合に、スピーカ44から障害内容を示す音声メッセージを出力すると共に、動作表示灯42及び代表動作灯50を所定回数点滅する動作を所定時間置きに繰り返すことで障害警報を出力させる制御を行う。
また、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、回路故障、電池切れ、自動通信テスト異常等の障害を監視しており、障害を検出するとスピーカ44から所定の障害警報音を出力させると共に動作表示灯42及び図4に示す代表動作灯50を点滅して障害警報を出力させる制御を行う。
[火災警報の一斉鳴動制御]
図3に示すように、グループ間移報装置12-12には警報一斉鳴動スイッチ80が設けられている。警報一斉鳴動スイッチ80は、第1移報アダプタ14及び第2移報アダプタ16に信号線45により接続されており、スイッチ操作を行うとスイッチ信号が第1移報アダプタ14及び第2移報アダプタ16に入力される。
第1移報アダプタ14は、例えば、グループ火災連動による火災警報の出力が所定のグループ範囲に規制された状態で、警報一斉鳴動スイッチ80の操作によるスイッチ信号の入力を検出した場合に、通信部34に指示し、自己のグループG1内の連動型警報器10に警報一斉鳴動信号を送信して連動先を示す火災警報を出力させる制御を行う。
第2移報アダプタ16も第1移報アダプタ14と同様に、警報一斉鳴動スイッチ80の操作によるスイッチ信号の入力を検出した場合に、通信部34に指示し、自己のグループG2内の連動型警報器10に警報一斉鳴動信号を送信して火災警報を出力させる制御を行う。
これに加え第2移報アダプタ16からの警報一斉鳴動信号は、他のグループ間移報装置12-23にも送信されてグループG3内の連動型警報器10から火災警報を出力させ、更に、グループ間移報装置12-23からグループ間移報装置12-34に警報一斉鳴動信号が送信されてグループG4内の連動型警報器10から火災警報を出力させ、この結果、グループ間移報装置12-12に設けられた警報一斉鳴動スイッチ80の操作により全グループG1~G4の連動型警報器10の全てから火災警報を一斉に出力させる制御が行われる。
[グループ間移報装置の構造]
(グループ間移報装置の外観)
図4はグループ間移報装置の外観を示した説明図である。図4に示すように、グループ間移報装置12は、前面に開口した箱形の装置筐体の前面にパネル扉60が例えば下側のヒンジ66により上下方向に開閉自在に設けられており、上側のロックねじ68により閉鎖状態に保持されている。パネル扉60の中央には代表動作灯50が配置され、その両側に音響穴64が形成されている。音響穴64は移報アダプタの音響穴47に対応する位置に備えられている。
グループ間移報装置12のサイズは、横150ミリメートル、高さ150ミリメートル、奥行50ミリメートル程度であり、手持ちにより簡単に運んで、建物内の必要な場所の壁面等に壁掛け設置できる。
また、パネル扉60の右下には小扉82が想像線で示す小扉82aのように開閉自在に設けられ、小扉82の上側の開口縁には、小扉82に指をかけて開くための円弧上の窪み84が設けられている。小扉82の内側となる装置筐体内には、点線で示すように警報一斉鳴動スイッチ80が設けられている。
このように警報一斉鳴動スイッチ80は装置筐体内に配置されて外部からは分からないため、これを知っている権限のある管理者のみの操作を可能としている。
(グループ間移報装置の内部構造)
図5はグループ間移報装置のパネル扉を開いて内部構造を示した説明図、図6はグループ間移報装置に組み込む既存の移報アダプタを示した説明図である。
図5に示すように、パネル扉60を開いた装置筐体62の内部には、第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16が横に並べて組込み固定されており、下側の配線口から引き出されたコネクタケーブル41により装置筐体62内で配線接続されており、また、パネル扉60の裏面に配置した代表動作灯50を設けた表示灯基板70に表示灯配線58が接続されており、LEDを使用した代表動作灯50にダイオードオア回路を介して接続されている。
更に、装置筐体62の右下には警報一斉鳴動スイッチ80が配置されており、警報一斉鳴動スイッチ80の前面にはパネル扉60を閉じた状態で、小扉82が開閉自在に位置する。
第1移報アダプタ14及び第2移報アダプタ16は、図6に示す既存の移報アダプタ100を利用している。既存の移報アダプタ100は、アダプタ筐体100bの前面にカバー100aが着脱自在に設けられており、カバー100aには動作表示灯102が設けられ、その左側に音響穴104が設けられ、更にアダプタ筐体100bの上部にダルマ穴を備えた取付金具106が設けられている。移報アダプタ100のサイズは、例えば、横70ミリメートル、高さ120ミリメートル、奥行30ミリメートル程度となる。
図5のグループ間移報装置12にあっては、図6に示した既存の移報アダプタ100の2台を、取付金具106を外した状態で、第1移報アダプタ14及び第2移報アダプタ16として横に並べて組込み固定しており、第1移報アダプタ14及び第2移報アダプタ16のカバーには、動作表示灯42が設けられ、また、音響穴47が形成されている。
(第1移報アダプタと移報第2アダプタの内部配線による接続)
図7はグループ間移報装置のパネル扉を開き、第1移報アダプタと第2移報アダプタの外カバーを外して内部構造を示した説明図である。
図7に示すように、カバーを取り外した第1移報アダプタ14及び第2移報アダプタ16のアダプタ筐体14b、16b内には、回路基板が組み込まれており、回路基板には、LEDを使用した動作表示灯42、音響穴の背後のスピーカ44、移報コネクタ72、端子台74が配置されている。また、装置筐体62内に配置された警報一斉鳴動スイッチ80からの信号線45が第1移報アダプタ14及び第2移報アダプタ16の端子台74に接続されている。
このうち、移報コネクタ72及び端子台74は、図6の既存の移報アダプタ100にはない部材であり、移報信号の伝送、代表動作灯50及び警報一斉鳴動スイッチ80に対応して新たに追加している。それ以外の構造は、図6の既存の移報アダプタ100と同じものとなり、その変更を最小限に抑えている。
また、第1移報アダプタ14及び第2移報アダプタ16の移報コネクタ72を接続するコネクタケーブル41は、装置筐体62内の内部配線になることから、筐体の外部配線による接続で必要とされている断線監視機能を設ける必要がなく、その分、製造が容易でコストを低減可能とする。
[連動型警報器の制御動作]
図8は連動型警報器の制御動作を示したフローチャートであり、図2に示した連動型警報器制御部18による制御動作となる。
図8に示すように、連動型警報器10に設けられた連動型警報器制御部18はステップS1で火災監視を行っており、ステップS2でセンサ部24からの例えば煙濃度検出信号が所定閾値を超えることで火災を判別するとステップS3に進み、スピーカ28から例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共に、動作表示灯26を例えば点灯して連動元を示す火災警報を出力させる。
続いて連動型警報器制御部18は、ステップS4に進み、グループ連動段数Nを所定の連動段数、例えばN=2に初期設定し、このグループ連動段数Nを含む火災連動信号を生成し、通信部20に指示して、自己のグループ内の他の連動型警報器に送信させ、他の連動型警報器から連動先を示す火災警報を出力させる。
また、連動型警報器制御部18は、ステップS5で同一グループ内の他の連動型警報器からの火災連動信号の受信を判別すると、ステップS6に進んでスピーカ28から例えば「ウーウー 他の火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共に、動作表示灯26を例えば点滅し、連動先を示す火災警報を出力させる。
続いて連動型警報器制御部18はステップS7でテストスイッチ30による警報停止操作を判別するとステップS8に進み、警報中にあることを判別するとステップS9に進んで火災警報の出力を停止する。
また、連動型警報器制御部18は、テストスイッチ30による警報停止操作を判別してステップS8に進み、警報中でないことを判別した場合はステップS10に進んでテスト用の火災警報を出力させる。ステップS10で出力されるテスト用の火災警報は、例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を低音量で1回出力させ、連動型警報器10が正常に動作していることを知らせる。
また、連動型警報器制御部18はステップS11で通信部20を介してグループ間移報装置12からの警報一斉鳴動信号の受信を判別するとステップS12に進み、火災警報を出力させる一斉鳴動のための制御を行う。
[アダプタ間移報装置の制御動作]
図9はグループ間移報装置に設けられた第1移報アダプタの制御動作を示したフローチャートであり、図3の第1移報アダプタ14に示したアダプタ制御部32による制御となる。なお、第2移報アダプタ16の制御動作も同様となる。
図9に示すように、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、ステップS21で同一グループ内の連動型警報器10又は他のグループ間移報装置からの火災連動信号の受信を判別するとステップS22に進み、受信した火災連動信号に含まれていたグループ連動段数Nを取り出し、その変数Nを1つ減算してN=N-1とする。ここで、図8のフローチャートに示した連動型警報器10が送信した火災連動信号に含まれているグループ連動段数NがN=2であったとすると、ステップS22の処理によりグループ連動段数の変数Nは、N=2-1=1となる。
続いて、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32はステップS23に進み、ステップS22で求めたグループ連動段数N=1を含む火災連動移報信号を生成し、伝送部38に指示して第2移報アダプタ16に送信する。第1移報アダプタ14からの火災連動移報信号を受信した第2移報アダプタ16のアダプタ制御部32は、受信した火災連動移報信号に含まれたグループ連動段数NはN=1であり、N=0となっていないことから、N=1のグループ連動段数Nを含む火災連動信号を生成し、通信部34に指示して自己のグループ内の連動型警報器10に送信して連動先を示す火災警報を出力させる。
一方、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、ステップS24で第2移報アダプタ16から送信された火災連動移報信号の受信を判別するとステップS25に進み、受信された火災連動移報信号に含まれたグループ連動段数NがN=0でない場合は、ステップS26に進み、火災連動移報信号から得たグループ連動段数Nを含む火災連動信号を生成し、通信部34に指示して自己のグループ内の連動型警報器10に送信して連動先を示す火災警報を出力させる。
これに対し第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、受信された火災連動移報信号に含まれたグループ連動段数NがN=0となったことをステップS25で判別した場合はステップS27に進み、自己のグループ内の連動型警報装置に対する火災連動信号の送信を禁止し、火災警報のグループ連動段数を規制する。
このようなグループ連動段数の規制を図1の警報システムについて説明すると次のようになる。例えば1階のグループG1の連動型警報器10の何れかが火災を検出してグループ連動段数N=2を含む火災連動信号を送信したとすると、この火災連動信号はグループ間移報装置12-12の第1移報アダプタ14で受信され、火災連動移報信号が第2移報アダプタ16に送信され、このときグループ連動段数Nは、N=2-1=1に変化する。
続いて、グループ間移報装置12-12の第2移報アダプタ16がグループ連動段数N=1を含む火災連動信号を自己のグループG2内の連動型警報器10に送信して火災警報を出力させる。このグループ連動段数N=1を含む火災連動信号は、グループG2内の連動型警報器10の中継送信を経由するか又は直接にグループ間移報装置12-23の第1移報アダプタ14で受信され、火災連動移報信号が第2移報アダプタ16に送信され、このときグループ連動段数NはN=1-1=0に変化する。
グループ間移報装置12-23の第2移報アダプタ16は第1移報アダプタ14から受信した火災連動移報信号のグループ連動段数NがN=0であることから、自己のグループG3の連動型警報器10に対する火災連動信号の送信を禁止する。
この結果、グループG1の連動型警報器10の火災検出による火災警報のグループ連動は、隣接するグループG2までとなり、グループG3,G4への連動が規制される。また、グループG2の連動型警報器10の火災検出による火災警報のグループ連動は、隣接するグループG1,G3までとなり、グループG4への連動が規制される。また、グループG3の連動型警報器10の火災検出による火災警報のグループ連動は、隣接するグループG2,G4までとなり、グループG1への連動が規制される。更に、グループG4の連動型警報器10の火災検出による火災警報のグループ連動は、隣接するグループG3までとなり、グループG1,G2への連動が規制される。
再び図9を参照するに、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、ステップS28で警報一斉鳴動スイッチ80のスイッチ操作を検出するとステップS29に進み、通信部34に指示して警報一斉鳴動信号を自己のグループ内の連動型警報器10に送信して火災警報を出力させる。
続いて、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32はステップS30に進み、通信部34を介して自己のグループ内の連動型警報器10から中継送信されるか、他のグループ間移報装置から送信された警報一斉鳴動信号の受信を判別するとステップS31に進み、伝送部38を介して第2移報アダプタ16に警報一斉鳴動移報信号を送信する。
更に、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32はステップS32に進み、伝送部38を介して第2移報アダプタ16から送信された警報一斉鳴動移報信号の受信を判別するとステップS33に進み、通信部34に指示して警報一斉鳴動信号を自己のグループ内の連動型警報器10に送信して火災警報を出力させる。
このようなステップS28~S33の処理を通じて、任意のグループ間移報装置12に設けている警報一斉鳴動スイッチ80を操作すると、全てのグループの連動型警報器10から火災警報を出力させる警報一斉鳴動を行うことができる。
[グループ連動段数の加算によるグループ間火災連動制御]
図3に示したグループ間移報装置によるグループ連動段数を規制するグループ間火災連動制御の他の実施形態を説明すると次のようになる。
本実施形態において、図2に示した連動型警報器10は、火災を検出して火災連動信号を送信する場合に、グループ連動段数NをN=0に初期設定し、グループ連動段数N=0を含む火災連動信号を送信する。
図3に示した第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、自己のグループ内の連動型警報器10からグループ連動段数N=0を含む火災連動信号を受信した場合、火災連動信号から取得されたグループ連動段数Nに1を加え、N=0+1=1とし、このグループ連動段数N=1を含む火災連動移報信号を生成し、伝送部38に指示して第2移報アダプタ16に送信する。
第2移報アダプタ16は、第1移報アダプタ14から受信した火災連動移報信号のグループ連動段数NはN=1であり、例えば所定の連動閾値段数Nth=2に一致しないことから、通信部34に指示して、自己のグループ内の連動型警報器10に火災連動信号を送信して火災警報を出力させる。
一方、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、第2移報アダプタ16から伝送回線40を介して受信した火災連動移報信号に含まれるグループ連動段数NがN=2であることを判別した場合、自己のグループ内の連動型警報器に対する火災連動信号の送信を禁止し、火災警報を連動させるグループの連動段数を規制する。
このようにグループ連動段数を加算してグループ連動段数を規制する警報システムの制御動作を図1の警報システムについて説明すると次のようになる。
例えば1階のグループG1の連動型警報器10の何れかが火災を検出してグループ連動段数N=0を含む火災連動信号を送信したとすると、この火災連動信号はグループ間移報装置12-12の第1移報アダプタ14で受信され、火災連動移報信号が第2移報アダプタ16に送信され、このときグループ連動段数Nは、N=0+1=1に変化する。
続いて、グループ間移報装置12-12の第2移報アダプタ16がグループ連動段数N=1を含む火災連動信号を受信し、火災連動移報信号のグループ連動段数N=1は連動閾値段数Nth=2に一致しないことから、自己のグループG2内の連動型警報器10に送信して火災警報を出力させる。
このグループ連動段数N=1を含む火災連動信号は、グループG2内の連動型警報器10の中継送信を経由するか又は直接にグループ間移報装置12-23の第1移報アダプタ14で受信され、火災連動移報信号が第2移報アダプタ16に送信され、このときグループ連動段数NはN=1+1=2に変化する。
グループ間移報装置12-23の第2移報アダプタ16は第1移報アダプタ14から受信した火災連動移報信号のグループ連動段数NがN=2であることから、連動閾値段数Nth=2に一致することを判別し、自己のグループG3の連動型警報器10に対する火災連動信号の送信を禁止する。
この結果、グループG1の連動型警報器10の火災検出による火災警報のグループ連動は、これに隣接した位置するグループG2までとなり、グループG3,G4への連動が規制される。
また、グループG2の連動型警報器10の火災検出による火災警報のグループ連動は、隣接するグループG1,G3までとなり、グループG4への連動が規制される。また、グループG3の連動型警報器10の火災検出による火災警報のグループ連動は、隣接するグループG2,G4までとなり、グループG1への連動が規制される。更に、グループG4の連動型警報器10の火災検出による火災警報のグループ連動は、隣接するグループG3までとなり、グループG1,G2への連動が規制される。
このようにグループ連動段数の加算によるグループ間火災連動制御では、警報器側の設定が不要で、移報アダプタ側のみで段数設定が可能である。
[方向性をもったグループ連動段数の規制]
(連動型警報器とグループ間移報装置の機能構成)
図3に示したグループ間移報装置について、方向性をもってグループ連動段数を規制するグループ間連動制御の他の実施形態を説明すると次のようになる。
本実施形態において、図1に示したように、グループG1~G4内の連動型警報器10は、火災を検出して火災連動信号を送信する場合に、所定のグループ連動段数に加え、自己のグループ番号を含めた火災連動信号を送信する。ここで、グループG1~G4に対応してグループ番号は1番から4番までと順番に設定されている。
図3に示した第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、自己のグループ内の連動型警報器10から火災連動信号を受信した場合、受信した火災連動信号から取得したグループ番号Giを含む火災連動移報信号を生成し、伝送部38に指示して、第2移報アダプタ16に送信する制御を行う。なお、第2移報アダプタ16に送信する火災連動移報信号には、受信したグループ連動段数Nを1つ変化(減算又は加算)して含ませるが、この点は、前述したグループ連動段数を規制する制御と同じになることから、その説明は省略する。
第1移報アダプタ14から火災連動移報信号を受信した第2移報アダプタ16のアダプタ制御部32は、受信した火災連動移報信号から取得したグループ番号Giと自己のグループ番号Gselfを比較し、所定の大小関係に基づき、自己のグループ内の連動型警報器10に対する火災連動信号の送信と送信禁止を判断する。この場合の大小関係の設定は、昇順又は降順の何れかとする。
また、図3に示した第2移報アダプタ16のアダプタ制御部32は、自己のグループ内の連動型警報器10から火災連動信号を受信した場合、受信した火災連動信号から取得したグループ番号Giを含む火災連動移報信号を生成し、伝送部38に指示して、第1移報アダプタ14に送信する制御を行う。
第2移報アダプタ16から火災連動移報信号を受信した第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、受信した火災連動移報信号から取得したグループ番号Giと自己のグループ番号Gselfを比較し、所定の大小関係に基づき、自己のグループ内の連動型警報器10に対する火災連動信号の送信と送信禁止を判断する。この場合の大小関係の設定も、昇順又は降順の何れかとする。
ここで、第1移報アダプタ14及び第2移報アダプタ16のアダプタ制御部32は、大小関係として昇順を設定していた場合、受信したグループ番号Giと自己のグループ番号Gselfとの間に、(Gself)>(Gi)の大小関係(昇順)を判別した場合は火災連動信号の送信を許容し、(Gself)<(Gi)の大小関係(降順)を判別した場合は火災連動信号の送信を禁止する。このため火災連動信号はグループ間移報装置12を介してグループ番号の昇順方向に移報される。
また、アダプタ制御部32は、大小関係として降順を設定していた場合、受信したグループ番号Giと自己のグループ番号Gselfとの間に、(Gself)<(Gi)の大小関係(降順)を判別した場合は火災連動信号の送信を許容し、(Gself)>(Gi)の大小関係(昇順)を判別した場合は火災連動信号の送信を禁止する。このため火災連動信号はグループ間移報装置12を介してグループ番号の降順方向に移報される。
(昇順方向にグループ連動させる火災連動の制御動作)
このような連動方向を規制するグループ間の火災連動制御を図1の警報システムについて説明すると、次のようになる。
図1において、グループ間移報装置12-12~12-34の第1移報アダプタ14及び第2移報アダプタ16に、グループ間連動の方向を決めるグループ番号の大小関係とし昇順を設定していたとする。
例えば、グループG1内の何れかの連動型警報器10で火災が検出されたとすると、グループ番号Gi=1を含む火災連動信号が送信され、グループ間移報装置12-12の第1移報アダプタ14で受信され、同じグループ番号Gi=1を含む火災連動移報信号が第2移報アダプタ16に送信される。
グループ間移報装置12-12の第2移報アダプタ16は、受信したグループ番号Gi=1と自己のグループ番号Gself=2とを比較し、この場合、Gself>Giとなる昇順の大小関係が成立していることから、これを判定して自己グループG2内の連動型警報器10に、受信したグループ番号Gi=1を含む火災連動信号を送信して火災警報を出力させる。
グループ間移報装置12-12の第2移報アダプタ16から送信された火災連動信号は、グループG2,G3の間に配置されたグループ間連動装置12-23の第1移報アダプタ14で受信され、火災連動移報信号が第2移報アダプタ16に送信される。
グループ間移報装置12-23の第2移報アダプタ16は、受信したグループ番号Gi=1と自己のグループ番号Gself=3とを比較し、この場合、Gself>Giとなる昇順の大小関係が成立していることから、これを判定して自己グループG3内の連動型警報器10に、受信したグループ番号Gi=1を含む火災連動信号を送信して火災警報を出力させる。
グループ間移報装置12-23の第2移報アダプタ16から送信された火災連動信号は、グループG3,G4の間に配置されたグループ間連動装置12-34の第1移報アダプタ14で受信され、火災連動移報信号が第2移報アダプタ16に送信される。
グループ間移報装置12-34の第2移報アダプタ16は、受信したグループ番号Gi=1と自己のグループ番号Gself=4とを比較し、この場合、Gself>Giとなる昇順の大小関係が成立していることから、これを判定して自己グループG4内の連動型警報器10に、受信したグループ番号Gi=1を含む火災連動信号を送信して火災警報を出力させる。
この結果、グループG1で火災が検出された場合、グループG1、G2,G3,G4となるグループ番号の昇順方向に火災連動信号が移報されるグループ間の火災連動制御が行われる。また、降順方向のグループ連動段数は、前述した火災連動信号に含まれたグループ連動段数により規制さることになる。
このような連動方向とグループ連動段数の設定により、例えば、火災発生時に火災による危険度の高い火災発生グループとその直上階グループを連動されるグループ間火災連動制御を行うことを可能とする。
(降順方向のグループ連動を禁止させる制御動作)
また、グループG2内の何れかの連動型警報器10で火災が検出された場合には、グループ番号Gi=2を含む火災連動信号が送信され、グループ間移報装置12-23、12-34の第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16は、前述したように昇順方向となるグループG3,G4へは火災連動信号を移報させるが、グループ間移報装置12-12にあっては、降順方向となるグループG1への火災連動信号の移報は禁止される。
グループ間移報装置12-12は、グループG2内の連動型警報器10からの火災連動信号を第2移報アダプタ16で受信して第1移報アダプタ14に火災連動移報信号を送信した場合、第1移報アダプタ14で火災連動移報信号のグループ番号Gi=2と自己のグループ番号Gself=1とを比較すると、この場合、Gself<Giとなる降順の大小関係が成立しており、第1移報アダプタ14はこれを判定して自己グループG1内の連動型警報器10に対する火災連動信号の送信を禁止させ、降順方向への火災連動信号の移報が規制される。
(降順方向にグループ連動させる制御動作)
また、グループ間移報装置12-12~12-34の第1移報アダプタ14及び第2移報アダプタ16に、グループ間連動の方向を決めるグループ番号の大小関係とし降順を設定した場合には、火災連動信号はグループ番号が降順となる方向にのみ移報され、グループ番号が昇順となる方向の移報が禁止される。
なお、グループ間の連動方向を規制したグループ間連動による特定のグループの火災警報中に、任意のグループ間移報装置12に設けられた警報一斉鳴動スイッチ80を操作すると、全てのグループ間移報装置を経由して全てのグループ内の連動型警報器に警報一斉鳴動信号が送信され、火災警報を一斉鳴動させることができる。
[警報グループを指定する実施形態]
本発明の他の実施形態にあっては、特定のグループや特定の範囲内のグループを任意に連動先に指定してした警報動作を可能とする。
(警報器で連動先を指定)
まず警報器で連動先を指定する場合について記述する。連動型警報器10は、火災を検出した場合、火災連動信号に連動元を示す自己の連動元グループ番号を含めると共に連動先となる全てのグループの各々に対応した連動先指定情報を含めて送信する。
例えば、警戒区域がグループG1~G6に分けられている場合、グループG1の連動型警報器10は、火災連動信号に連動元を示す自己のグループ番号G1と、連動先となる全てのグループG1~G6の各々に対応した連動先の有効・無効を示す連動先指定情報として機能する連動先指定ビットを含めて送信する。
ここで、階層構造の建物でグループ番号G1~G6が直線的に配置できず、1階にグループG1とグループG2があり、2階にグループG3とグループG4があり、3階にグループG5とグループG6があり、グループG3の直上がグループG5で直下がグループG1のような場合には、グループG3の連動型警報器はグループG1、グループG4、グループG5について連動先が有効となるよう指定する信号を送信する。以上のように、警報器で連動先グループを指定する。
(グループ間移報装置で連動先を指定)
次に、グループ間移報装置で連動先を指定する場合について記述する。連動型警報器10は、火災を検出した場合、火災連動信号に連動元を示す自己の連動元グループ番号を含めると共に初期化された連動先指定情報を含めて送信する。ここで、初期化された連動先指定情報は、全てのグループG1~G6に対応した連動先指定ビットが例えば無効ビット0とされるか、または有効ビット1とされている。なお、連動型警報器では火災連動信号に連動先指定情報を含めず、グループ間移報装置で火災連動信号に連動先指定情報を含めるようにしても良い。
グループG1~G6における隣接したグループの間に配置されたグループ間移報装置12は、自己のグループ番号に対応して連動先を示す1又は複数の連動先グループ番号を設定したテーブル情報を予め登録している。
ここで、階層構造の建物でグループ番号G1~G6が直線的に配置できず、1階にグループG1とグループG2があり、2階にグループG3とグループG4があり、3階にグループG5とグループG6があり、グループG3の直上がグループG5で直下がグループG1のような場合には、次のようにテーブル情報が登録される。
例えば、グループG3を連動元とすると、グループG3,G1間のグループ間移報装置12-13には、グループG3を連動元とし、連動先をグループG1とする連動先指定情報がテーブル情報として登録される。
また、グループG3,G5間のグループ間移報装置12-35には、グループG3を連動元とし、連動先をグループG5とする連動先指定情報がテーブル情報として登録される。
更に、グループG3,G4間のグループ間移報装置12-34には、グループG3を連動元とし、連動先をグループG4とする連動先指定情報がテーブル情報として登録される。
グループG3の連動型警報器10が火災を検出して連動元グループ番号G3とグループG1~G6に対応した連動先指定ビットを含む火災連動信号を送信する。この火災連動信号はグループ間移報装置12-31,12-35,12-34の各々で受信され、グループ間移報装置12-31は火災連動信号のグループG1に対応した連動先指定ビットを有効ビット1に設定し、また、グループ間移報装置12-35は火災連動信号のグループG5に対応した連動先指定ビットを有効ビット1に設定し、更に、グループ間移報装置12-34は火災連動信号のグループG4に対応した連動先指定ビットを有効ビット1に設定し、それ以外の連動先指定ビットは無効ビット0に設定する。以上のように、グループ間移報装置で連動先グループを指定する。
グループ間移報装置12-31,12-35,12-34の各々は、有効ビット1に設定された連動先指定ビットに基づき、グループG1,G5,G4に警報動作を行わせる内容を含む火災連動信号を送信し、これによりグループG1,G5,G4に設けられた連動型警報器10の警報動作が行われる。
即ち、火災が発生したクループG3に対しグループG5は直上階連動警報となり、グループG1は直下階連動警報となり、更に、グループG4は連接階連動警報となる。
(非警報グループをスキップする警報連動)
このような実施形態によれば、離れたグループを任意に連動制御の警報グループに指定することもできる。例えば、いずれのグループの火災検出においても地下階のグループを連動対象とし、例えば3階で火災検出をしたときに地下1階と3階だけを火災警報を行う連動制御が可能となる。
例えば建物の地下階がグループG0、1~3階がクループG1~G3とした場合、グループG0、G1間に設置されたグループ間移報装置12-01には、1階のグループG1を連動元とし連動先を地下階のグループG0とする連動先指定情報がテーブル情報として登録され、グループG1、G2間に設置されたグループ間移報装置12-12には、2階のグループG2を連動元とし連動先を地下階のグループG0とする連動先指定情報がテーブル情報として登録され、更に、グループG2、G3間に設置されたグループ間移報装置12-23には、3階のグループG3を連動元とし連動先を地下階のグループG0とする連動先指定情報がテーブル情報として登録される。
いま3階のグループG3の連動型警報器10が火災を検出して連動元グループ番号G3とグループG0~G3に対応した連動先指定ビットを含む火災連動信号を送信する。この火災連動信号はグループ間移報装置12-23で受信され、グループ間移報装置12-23は火災連動信号の連動元グループG3に対応して登録された連動先となる地下階のグループG0に対応した連動先指定ビットを有効ビット1に設定する。
グループ間移報装置12-23は隣接するグループG2に火災連動信号を送信するが、このときグループG2に対応した連動先指定ビットは無効ビット0に設定されているため、グループG2の連動型警報器10に警報動作を行わせない内容を含む火災連動信号を送信する。
このためグループG2の連動型警報器10は、グループ間警報装置12-23から火災連動信号を受信しても警報動作がスキップされる。次のグループG1についても同様に警報動作がスキップされ、グループ間移報装置12-01から地下階のグループG0に送信される火災連動信号は、グループG0に対応した連動先指定ビットは有効ビット1に設定されているため、警報動作を行わせる内容を含み、警報動作を行わせることができる。
[本発明の変形例]
上記の実施形態では、グループ間連動段数や連動方向を規制するため、グループ間移報装置に、グループ連動段数の閾値や大小関係を予め設定しているが、例えば、連動段数と連動方向の組み合わせ(昇順方向2グループ連動、昇順方向3グループ連動等)を複数準備し、これをノブやスイッチ等により必要に応じて最適な組み合わせを権限のある管理者が必要に応じて選択するようにしても良い。
(チャンネルへの非依存)
上記の実施形態では、グループ毎にチャンネル周波数を異ならせていたが、グループ毎にチャンネル周波数が異ならないようにしても良い。
(連動警報の停止について)
上記の実施形態に加え、警報器の停止操作・火災復旧に基づき警報動作を変化させるようにしても良い。
火災を検出した警報器で停止操作が行われたときは、全ての火災警報器の発報音を停止し警報表示のみを行い、火災を検出した警報器が火災復旧したときには、全ての警報器が警報動作を停止するようにしても良い。これにより、非火災時に火災検出した際に手動で停止するような場合には、警報表示だけ行い、真に火災であった場合の保険として警報動作を行えるようにすることができる。また、火災が復旧して火災の危険がなくなったような場合には、警報動作を停止して復旧状態に戻る。
火災を検出した警報器以外で停止操作が行われたときは、当該警報器は発報音を停止し警報表示のみを行い、同グループ及び、他グループの警報器は警報を継続してもよい。これにより、当該警報器だけ状況を認識したうえで警報音を停止することができ、状況を確認できていない他の警報器近傍の人物が状況を確認するまで警報することができる。
特に、民泊等に本システムを用いる場合、警報器はそれぞれ独立した空間に設けられることが想定されるため、警報器の警報動作はそれぞれによって停止されることが望ましい。また、警報表示のみの場合であっても、一定時間の経過等で一斉鳴動が行われたときには火災警報を再開するようにしても良い。上記の警報動作の変化は一例であり、適宜の形をとることができる。
(グループ間移報装置による連動指定)
上記の実施形態では、グループ間移報装置を直近のグループ全てをつなぐように配置していたが、グループの移報について分岐後の合流が行われないようにしても良い。グループ間の移報が周回しないようになり、移報信号が無限に回り続けることを防止することができる。
例えば、1階のグループG1とグループG2があり、2階にグループG3とグループG4があり、3階にグループG5とグループG6があり、グループG3の直上がグループG5で直下がグループG1のような場合、グループG1とグループG2間のグループ間移報装置12-12、グループG2とグループG4間のグループ間移報装置12-24、グループG4とグループG3間のグループ間移報装置12-43、グループG3とグループG5間のグループ間移報装置12-35、グループG5とグループG6間のグループ間移報装置12-56のように一筆書きのように配置し、その中で連動先を任意に指定して連動警報を行わせることができる。
また、上記の実施形態に示したグループ間移報装置の筐体構造は一例であり、第1移報アダプタと第2移報アダプタが組み込み可能で、代表動作灯が設けられれば、適宜の筐体構造とすることを妨げない。
また、上記の実施形態は親機/子機の区別無くそれぞれの警報器が相互に通信するものであるが、各チャンネルグループに親機と子機を設け、隣接するグループの親機に入出力接続した2台の移報アダプタをグループ間移報装置に組み込んで内部配線により移報を入出力接続するようにしても良い。
また、上記の実施形態は火災を検出して警報する連動型警報器を例にとるものであったが、ガス漏れ警報器、CO警報器、各種の防犯用警報器を配置した警報システムについても同様に適用できる。
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。