JP7070425B2 - 積層基板および電子デバイスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層基板、および、この積層基板を用いる電子デバイスの製造方法に関する。
近年、太陽電池(PV)、液晶パネル(LCD)、有機ELパネル(OLED)などの電子デバイス(電子機器)の薄型化、軽量化が進行している。これに対応して、これらの電子デバイスに用いるガラス基板の薄板化が進行している。
一方、薄板化によりガラス基板の強度が不足すると、電子デバイスの製造工程において、ガラス基板のハンドリング性が低下する。
そこで、最近では、上記の課題に対応するため、ガラス基板を支持基材で支持した状態で、ガラス基板に電子デバイスを製造することが行われている。例えば、特許文献1には、支持基材(ガラス板)に、無機膜または樹脂膜からなる密着層(剥離膜)を形成してなる補強板を用い、この補強板の密着層にガラス基板を積層して密着した積層基板(積層体)を形成して、積層基板のガラス基板に電子デバイス用部材を形成した後、積層基板からガラス基板を剥離する、電子デバイスの製造方法が記載されている。
この方法によれば、ガラス基板が薄くてもハンドリング性を向上させ、適切な位置決め等を行ってガラス基板に配線等の電子デバイス用部材を形成することができ、さらに、所定の処理を終了した後に、ガラス基板から密着層および支持基材を剥離することで、薄板のガラス基板を用いて電子デバイスを製造できる。
日本国特開2014-114183号公報
ところで、より高精細な液晶ディスプレイ等が実現可能な薄膜トランジスタ(TFT(thin film transistor))として、低温ポリシリコンTFT(LTPS(low-temperature poly-silicon)-TFT)および酸化物TFTが知られている。
ここで、本発明者らの検討によれば、積層基板を用いてLTPS-TFTや酸化物TFTを作製すると、密着層にクラック(ひび、割れ)が生じてしまい、このクラックに起因して、適正な製品が製造できない場合が有る。
本発明者らは、この現象について鋭意検討を重ねた。その結果、以下の知見を得た。
図5(A)に、積層基板の端部の断面図を、図5(B)に、図5(A)の領域bの拡大図を、それぞれ概念的に示す。
前述のように、積層基板100は、支持基材102に密着層104を形成し、密着層104にガラス基板106を積層して密着した構成を有する。
特許文献1にも記載されるように、積層基板100は、通常、ガラス基板106の割れ等の損傷を防止するため、図5(A)に示すように、支持基材102、密着層104およびガラス基板106を積層した後に、端部の面取りが行われる。
積層基板100においては、通常、支持基材102に比べて、ガラス基板106は薄い。そのため、積層基板100の面取りを行うと、図5(B)に示すように、密着層104の端部に、ガラス基板106に覆われない、剥き出しの領域104aが生じる。
また、積層基板の面取りでは、図5(A)に示すように、積層基板100の端面全面を曲面状にするのではなく、図6(A)に断面図を概念的に示す積層基板110のように、積層基板10の端部の角部のみを面取りした形状にする場合も有る。
この場合でも、砥石の形状、砥石の硬さ、積層基板の研削量、および、積層基板100の形状等によっては、密着層104とガラス基板106との界面において、ガラス基板106の端部(あるいはさらに密着層104の端部)が研削されてしまい、図6(A)の領域bの拡大図である図6(B)に概念的に示すように、密着層104の端部に、ガラス基板106に覆われない、剥き出しの領域104aが生じる。
一方、従来より汎用されているアモルファスシリコンを用いたTFTの製造では、処理の最高温度は380℃程度である。これに対して、LTPS-TFTや酸化物TFTの製造では、プロセスの最高温度が550℃程度になる。そのため、LTPS-TFTや酸化物TFTの製造では、550℃程度にも耐えられる密着層104が利用される。
本発明者らは、鋭意検討の結果、積層基板100を用いるLTPS-TFTや酸化物TFTの製造においては、550℃程度という高温のプロセスでの行った後の降温時に、密着層104のガラス基板106に覆われていない剥き出しの領域104aにクラックが生じ、さらに、このクラックが、ガラス基板106で覆われている領域まで伸びてしまう場合があることを見出した。
密着層104に、このようなクラックが生じると、例えば、その後のウエットプロセスにおいて、薬液等がクラック内に進入して、次工程等に持ち込まれ、製品や処理機器等の汚染の原因となる。
また、密着層104のクラックは、製品等の検査の際にノイズとなって、異物や欠陥等と判断される場合も有る。
密着層104の膜厚を小さくすることでクラックの発生を抑制することができる。しかしながら、密着層104の膜厚を小さくすると、積層基板の製造工程で発生する塵や基板に付着した異物などを積層基板(支持基材102および/またはガラス基板106と、密着層104との間)が噛み込むことによって形成される気泡が発生しやすくなる。気泡の径が大きかったり、数が多かったりした場合、LTPS-TFT等の電子デバイスを形成する際の加熱工程で気泡が膨らみ、剥離が発生してしまう。以上の事から、積層基板に含まれる気泡の径や数は一定以下にする必要があり、密着層104の厚さは大きい方が製造の効率(製品歩留り)が良くなる。この点を考慮すると、密着層104の厚さは、500nm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。
本発明は、このような知見を得ることによりなされたものであって、LTPS-TFTや酸化物TFTの製造に用いた場合でも、密着層にクラックが生じることを防止できる積層基板を提供することを目的とする。
また、本発明は、この積層基板を用いた電子デバイスの製造方法を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
(1) 支持基材と、密着層と、基板と、をこの順で備え、
前記密着層は、前記基板側の面が、前記基板に接触している中央領域と、前記基板に接触していない端部領域とを有し、前記中央領域の厚さをT1、前記端部領域の厚さをT2とした際に、『T1×2/3>T2』を満たし、かつ、前記中央領域と端部領域との間に段差を有することを特徴とする積層基板。
(2) 前記密着層の中央領域T1の厚さが100μm以下である(1)に記載の積層基板。
(3) 端部が面取りされた形状を有する請求項(1)または(2)に記載の積層基板。
(4) 支持基材と、密着層と、基板と、をこの順で備え、
前記密着層の端面が凹状であることを特徴とする積層基板。
(5) 前記密着層は、前記基板側の面の全面が前記基板と接触している(4)に記載の積層基板。
(6) 端部が面取りされた形状を有する(4)または(5)に記載の積層基板。
(7) (1)~(3)のいずれか1項に記載の積層基板の前記基板に電子デバイス用部材を形成し、電子デバイス用部材付き積層基板を得る部材形成工程と、
前記電子デバイス用部材付き積層基板から前記支持基材および前記密着層を除去し、前記基板と前記電子デバイス用部材とを有する電子デバイスを得る分離工程と、を有する電子デバイスの製造方法。
(8) (4)~(6)に記載の積層基板の前記基板に電子デバイス用部材を形成し、電子デバイス用部材付き積層基板を得る部材形成工程と、
前記電子デバイス用部材付き積層基板から前記支持基材および前記密着層を除去し、前記基板と前記電子デバイス用部材とを有する電子デバイスを得る分離工程と、を有する電子デバイスの製造方法。
(9) 前記電子デバイス用部材が、低温ポリシリコン薄膜トランジスタまたは酸化物薄膜トランジスタである(7)または(8)に記載の電子デバイスの製造方法。
本発明によれば、550℃程度の高温のプロセスを行うLTPS-TFTや酸化物TFTの製造に用いられても、密着層にクラックが生じることを防止できる積層基板を提供できる。
また、本発明によれば、この積層基板を用いた電子デバイスの製造方法を提供することもできる。
図1(A)は、本発明の積層基板の第1の態様の一例を概念的に示す断面図、図1(B)は、図1(A)の領域bを概念的に示す拡大図である。 図2(A)は、本発明の積層基板の第2の態様の一例を概念的に示す断面図、図2(B)は、図2(A)の領域bを概念的に示す拡大図である。 図3は、本発明の積層基板の別の例の端部近傍を概念的に示す断面図である。 図4(A)~図4(C)は、本発明の積層基板の別の例の端部近傍を概念的に示す断面図である。 図5(A)は、従来の積層基板の一例を概念的に示す断面図、図5(B)は、図5(A)の領域bを概念的に示す拡大図である。 図6(A)は、従来の積層基板の別の例を概念的に示す断面図、図6(B)は、図6(A)の領域bを概念的に示す拡大図である。
以下、本発明の積層基板および電子デバイスの製造方法について、添付の図面に示される好適な実施形態を基に、詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、以下の実施形態に種々の変形および改良を行うことができる。
図1(A)に、本発明の積層基板の第1の態様の一例の断面図を概念的に示す。また、図1(B)に、図1(A)の領域bの拡大図を概念的に示す。
図1(A)に示すように、この積層基板10は、支持基材12と、密着層14と、ガラス基板16とを、この順で有する。また、密着層14は、ガラス基板16側の面が、ガラス基板16と接触している中央領域14cと、ガラス基板16と接着していない面方向周辺部の端部領域14e(破線bで示す領域)とを有し、中央領域14cの厚さをT1、端部領域14eの厚さをT2とした際に、『T1×2/3>T2』を満たす。従って、積層基板10において、中央領域14cと端部領域14eとの間には、段差14sを有する。
本発明の第1の態様の積層基板10は、このような構成を有することにより、550℃程度という高温のプロセスを行うLTPS-TFTや酸化物TFTの製造に用いられても、密着層14にクラックが生じることを防止できる。
なお、図示例においては、電子デバイス用部品(電子デバイス)を形成される基板として、ガラス基板16を用いているが、本発明は、これに限定はされない。すなわち、本発明において、電子デバイスを形成される基板は、ガラス基板16以外にも、シリコン基板、ポリイミド基板などの樹脂基板等、電子デバイスにおいて電子デバイス用部品が形成される各種の基板が利用可能である。
図1(A)に示す積層基板10は、支持基材12、密着層14およびガラス基板16を積層し、必要に応じて所定の形状に切断した後、前述の図5(A)に示す例と同様に、端部(端面)の面取りを施されたものである。
なお、本発明の積層基板10は、通常、主面(最大面)は正方形もしくは長方形であり、端部の面取りは、通常、図示例のように4つの端面全てで行われる。しかしながら、本発明は、これに限定はされず、端部の面取りを、3つの端面のみ、あるいは、2つの端面のみ、あるいは、1つの端面のみに行ったものでもよく、さらに、端部の面取りを行わないものであってもよい。また、密着層14の端部の形状も、少なくとも1つの端面において、後述する段差を有する形状であればよい。しかしながら、本発明では、4つの端面の全てで端部の面取りを行い、かつ、密着層14の端部の形状も、4つの端面の全てで後述する段差を有する形状であるのが好ましい。
なお、本発明の積層基板において、主面の形状は、正方形および長方形に限定されず、例えば円形等、各種の形状が利用可能である。円形の積層基板を用いる場合には、端部の面取りは、1/4周、半周、2/3周などの一部であってもよいが、好ましくは、円周の全域で面取りを行う。
以上の点に関しては、後述する、密着層の端面が凹状である本発明の第2の態様の積層基板でも同様である。
積層基板10において、支持基材12および密着層14からなる2層部分は、LCDなどを構成する電子デバイス用部材を形成する部材形成工程において、ガラス基板16を補強する。
積層基板10は、後述する部材形成工程まで使用される。すなわち、積層基板10は、ガラス基板16の表面(密着層14と逆側の主面)に、電子デバイス用部材(電子デバイスを構成する部材)が形成されるまで使用される。その後、電子デバイス用部材が形成された積層基板10は、支持基材12および密着層14と、電子デバイス(電子デバイス用部材が形成されたガラス基板16)とに分離され、密着層14および支持基材12は電子デバイスを構成する部分とはならない。密着層14および支持基材12には、新たなガラス基板16が積層され、新たな積層基板10として再利用することができる。
密着層14は支持基材12上に固定されており、ガラス基板16は、密着層14に剥離可能に密着(積層)される。
本発明においては、固定と剥離可能な密着(積層)は剥離強度(剥離に要する応力)に違いがあり、固定は、密着に対し剥離強度が大きいことを意味する。つまり、密着層14と支持基材12との界面の剥離強度が、密着層14とガラス基板16との界面の剥離強度よりも大きくなる。言い換えると、剥離可能な密着とは、剥離可能であると同時に、固定されている面の剥離を生じさせることなく剥離可能であることも意味する。
具体的には、支持基材12と密着層14との界面は剥離強度(x)を有し、支持基材12と密着層14との界面に剥離強度(x)を越える引き剥がし方向の応力が加えられると、支持基材12と密着層14とが剥離する。また、密着層14とガラス基板16との界面は剥離強度(y)を有し、密着層14とガラス基板16との界面に剥離強度(y)を越える引き剥がし方向の応力が加えられると、密着層14とガラス基板16とが剥離する。
積層基板10(後述する電子デバイス用部材を形成した積層体も含む)においては、剥離強度(x)は、剥離強度(y)よりも高い。したがって、積層基板10に支持基材12とガラス基板16とを引き剥がす方向の応力が加えられると、積層基板10は、密着層14とガラス基板16との界面で剥離して、ガラス基板16と、密着層14を有する支持基材12とに分離する。
剥離強度(x)は、剥離強度(y)と比較して、充分高いのが好ましい。
支持基材12に対する密着層14の付着力を高める方法は特に制限されず、例えば、後述するように、所定の成分を含む硬化性樹脂を支持基材12上で硬化(架橋硬化)させて密着層14を形成する方法が挙げられる。硬化の際の接着力で、支持基材12に対して高い結合力で結合した密着層14を形成することができる。
一方、密着層14のガラス基板16に対する結合力は、硬化性樹脂の硬化時に生じる結合力よりも低いのが通例である。したがって、支持基材12上で硬化性樹脂の層に硬化処理(加熱処理)を施して密着層14を形成し、その後、密着層14の面にガラス基板16を積層することにより、所望の剥離関係を満たす積層基板10を製造できる。
前述のように、積層基板10は、支持基材12、密着層14およびガラス基板16を有する。
<支持基材>
支持基材12は、ガラス基板16を支持して補強し、後述する部材形成工程(電子デバイス用部材を製造する工程)において電子デバイス用部材の製造の際にガラス基板16の変形、傷付き、破損などを防止する。また、支持基材12は、薄板化によりガラス基板16の強度が不足することで、ガラス基板16自体のハンドリング性が低下しているが、支持基材12および密着層14とガラス基板16とを密着させることにより、このハンドリング性の低下の問題を解消している。
支持基材12としては、例えば、ガラス板、プラスチック板、金属板(例えば、SUS板)などが用いられる。通常、部材形成工程が熱処理を伴うため、支持基材12はガラス基板16との線膨張係数の差の小さい材料で形成されるのが好ましく、ガラス基板16と同一材料で形成されるのがより好ましく、支持基材12はガラス板であるのが好ましい。特に、支持基材12は、ガラス基板16と同じガラス材料からなるガラス板であるのが好ましい。
支持基材12の厚さは、ガラス基板16よりも厚くてもよいし、薄くてもよい。通常、支持基材12の厚さは、ガラス基板16よりも厚い。
好ましくは、ガラス基板16の厚さ、および、密着層14の厚さ、ならびに、積層基板10の厚さに基づいて、支持基材12の厚さが選択される。例えば、現行の部材形成工程が厚さ0.5mmの基板を処理するように設計されたものであって、ガラス基板16の厚さと密着層14の厚さとの和が0.1mmの場合、支持基材12の厚さを0.4mmとする。支持基材12の厚さは、通常の場合、0.1~5.0mmが好ましい。
ガラス基板16の反りを安定的に低減するには、支持基材12は、反りが小さく、剛性が高いほうが、積層基板10の反りを制御するという観点から好ましい。ガラス基板16の基板と支持基材12が同一材質の場合には、支持基材12は、ガラス基板16の基板と面対称な反り形状を有してもよい。
支持基材12がガラス板の場合、ガラス板の厚さは、扱いやすく、割れにくいなどの理由から、0.03mm以上が好ましい。また、ガラス板の厚さは、電子デバイス用部材形成後に剥離する際に、割れずに適度に撓むような剛性が望まれる理由から、1.0mm以下が好ましい。
支持基材12とガラス基板16との25~300℃における平均線膨張係数の差は、好ましくは10×10-7/℃以下であり、より好ましくは3×10-7/℃以下であり、さらに好ましくは1×10-7/℃以下である。
支持基材12とガラス基板16との平均線膨張係数の差が大き過ぎると、部材形成工程における加熱冷却時に、積層基板10が激しく反ったり、支持基材12とガラス基板16とが剥離したりする可能性がある。支持基材12の材料がガラス基板16の材料と同じ場合、このような問題が生じるのを抑制することができる。
<密着層>
密着層14は、支持基材12とガラス基板16とを分離する操作が行われるまでガラス基板16と支持基材12とを密着すると共に、ガラス基板16などが分離操作によって破損するのを防止する。密着層14のガラス基板16側の面(主面)は、ガラス基板16(その一方の主面)と剥離可能に密着(積層)する。上述したように、密着層14はガラス基板16に弱い結合力で結合しており、その界面の剥離強度(y)は、密着層14と支持基材12との間の界面の剥離強度(x)よりも低い。
すなわち、ガラス基板16と支持基材12とを分離する際には、ガラス基板16と密着層14との界面で剥離し、支持基材12と密着層14との界面では剥離し難い。このため、密着層14はガラス基板16と密着するが、ガラス基板16を容易に剥離することができる表面特性を有する。すなわち、密着層14は、ガラス基板16に対してある程度の結合力で結合して、ガラス基板16と支持基材12とを密着させると共に、ガラス基板16を剥離する際には、ガラス基板16を破壊することなく、容易に剥離できる程度の結合力で結合している。
本発明では、この密着層14表面の容易に剥離できる性質を剥離性という。すなわち、密着層14とガラス基板16とは、剥離性を有する状態で密着(結合)している。一方、密着層14の支持基材12側の面(主面)は、支持基材12(その一方の主面)に、相対的に剥離しがたい結合力で結合している。すなわち、支持基材12と密着層14とは、相対的に剥離しがたい結合力で結合している。
密着層14は特に制限されない。すなわち、密着層14は、電子デバイスの製造に利用される積層基板(ガラス積層体)において、支持基材12とガラス基板16とを密着する公知の密着層(吸着層、貼着層、接着層、粘着層)が、各種、利用可能である。
従って、密着層14は、樹脂などで構成される有機層でも、無機層でもよい。以下、それぞれの場合について詳述する。
[有機層]
有機層としては、所定の樹脂を含む樹脂層であるのが好ましい。樹脂層を形成する樹脂の種類は特に制限されず、例えば、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、またはフッ素系樹脂が挙げられる。いくつかの種類の樹脂を混合して用いることもできる。なかでも、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素系樹脂が好ましい。
シリコーン樹脂とは、所定のオルガノシロキシ単位を含む樹脂であり、通常、硬化性シリコーンを硬化させて得られる。硬化性シリコーンは、その硬化機構により付加反応型シリコーン、縮合反応型シリコーン、紫外線硬化型シリコーンおよび電子線硬化型シリコーンに分類されるが、いずれも使用できる。これらのなかでも付加反応型シリコーンまたは縮合反応型シリコーンが好ましい。
付加反応型シリコーンとしては、主剤および架橋剤を含み、白金系触媒などの触媒の存在下で硬化する硬化性の組成物が好適に使用できる。付加反応型シリコーンの硬化は、加熱処理により促進される。付加反応型シリコーン中の主剤は、ケイ素原子に結合したアルケニル基(ビニル基など)を有するオルガノポリシロキサン(すなわち、オルガノアルケニルポリシロキサン。なお、直鎖状が好ましい)であるのが好ましく、アルケニル基などが架橋点となる。付加反応型シリコーン中の架橋剤は、ケイ素原子に結合した水素原子(ハイドロシリル基)を有するオルガノポリシロキサン(すなわち、オルガノハイドロジェンポリシロキサン。なお、直鎖状が好ましい)であるのが好ましく、ハイドロシリル基などが架橋点となる。
付加反応型シリコーンは、主剤と架橋剤の架橋点が付加反応をすることにより硬化する。なお、架橋構造に由来する耐熱性がより優れる点で、オルガノアルケニルポリシロキサンのアルケニル基に対する、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子に結合した水素原子のモル比が0.5~2であるのが好ましい。
付加反応型シリコーンを用いる場合、必要に応じて、触媒(特に、白金族金属系触媒)を用いてもよい。
白金族金属系触媒(ヒドロシリル化用白金族金属触媒)は、上記オルガノアルケニルポリシロキサン中のアルケニル基と、上記オルガノハイドロジェンポリシロキサン中の水素原子とのヒドロシリル化反応を、進行・促進させるための触媒である。白金族金属系触媒としては、白金系、パラジウム系、ロジウム系などの触媒が挙げられ、特に白金系触媒を用いることが経済性、反応性の点から好ましい。
縮合反応型シリコーンとしては、モノマーである加水分解性オルガノシラン化合物若しくはその混合物(モノマー混合物)、または、モノマーまたはモノマー混合物を部分加水分解縮合反応させて得られる部分加水分解縮合物(オルガノポリシロキサン)を好適に用いることができる。
この縮合反応型シリコーンを用いて、加水分解・縮合反応(ゾルゲル反応)を進行させることにより、シリコーン樹脂を形成することができる。
ポリイミド樹脂とは、イミド構造を有する樹脂であり、テトラカルボン酸類とジアミン類とを反応させて得られる樹脂である。
ポリイミド樹脂の構造は特に制限されないが、下記式(1)で表される、テトラカルボン酸類の残基(X)とジアミン類の残基(A)とを有する繰り返し単位からなることが好ましい。
Figure 0007070425000001
式(1)中、Xはテトラカルボン酸類からカルボキシ基を除いたテトラカルボン酸残基を、Aはジアミン類からアミノ基を除いたジアミン残基を表す。
式(1)中、Xはテトラカルボン酸類からカルボキシ基を除いたテトラカルボン酸残基を表し、以下の式(X1)~(X4)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基からなるのが好ましい。なかでも、ポリイミド樹脂の耐熱性が優れる点で、Xの総数の50モル%以上(好ましくは、80~100モル%)が以下の式(X1)~(X4)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基からなるのがより好ましい。Xの総数の実質的に全数(100モル%)が以下の式(X1)~(X4)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基からなるのがさらに好ましい。
また、Aはジアミン類からアミノ基を除いたジアミン残基を表し、以下の式(A1)~(A8)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基からなるのが好ましい。なかでも、ポリイミド樹脂の耐熱性が優れる点で、Aの総数の50モル%以上(好ましくは、80~100モル%)が以下の式(A1)~(A8)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基からなるのとがより好ましい。Aの総数の実質的に全数(100モル%)が以下の式(A1)~(A8)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基からなるのがさらに好ましい。
Figure 0007070425000002
有機層の厚さは特に制限されないが、0.5~100μmが好ましく、2~30μmがより好ましく、4~20μmがさらに好ましい。有機層の厚さがこのような範囲であると、有機層とガラス基板16との密着が十分になる。
また、有機層の平坦性を向上させるため、有機層にはレベリング剤が含まれていてもよい。レベリング剤の種類は特に限定されないが、代表的なものとして、フッ素系レベリング剤などが挙げられる。
[無機層]
無機層を構成する材料は特に制限されないが、例えば、酸化物、窒化物、酸窒化物、炭化物、炭窒化物、珪化物および弗化物からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むのが好ましい。中でも、ガラス基板16の剥離性がより優れる点で、酸化物を含むのが好ましい。
酸化物(好ましくは、金属酸化物)、窒化物(好ましくは、金属窒化物)、酸窒化物(好ましくは、金属酸窒化物)としては、例えば、Si、Hf、Zr、Ta、Ti、Y、Nb、Na、Co、Al、Zn、Pb、Mg、Bi、La、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Dy、Er、Sr、Sn、InおよびBaから選ばれる1種類以上の元素の酸化物、窒化物、酸窒化物が挙げられる。より具体的には、窒化酸化珪素(SiN)、酸化チタン(TiO2)、酸化インジウム(In23)、インジウムセリウムオキサイド(ICO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ガリウム(Ga23)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛スズ(ZTO)、ガリウム添加酸化亜鉛(GZO)などが挙げられる。
炭化物(好ましくは、金属炭化物)、炭窒化物(好ましくは、金属炭窒化物)としては、例えば、Ti、W、Si、Zr、および、Nbから選ばれる1種以上の元素の炭化物、炭窒化物、炭酸化物が挙げられる。例えば、炭化酸化珪素(SiCO)などが挙げられる。
なお、炭化物としては、いわゆるカーボン材料であってもよく、例えば、フェノール樹脂などの樹脂成分を焼結して得られる炭化物であってもよい。
珪化物(好ましくは、金属珪化物)としては、例えば、Mo、W、および、Crから選ばれる1種以上の元素の珪化物が挙げられる。
弗化物(好ましくは、金属弗化物)としては、例えば、Mg、Y、La、および、Baから選ばれる1種以上の元素の弗化物が挙げられる。例えば、弗化マグネシウム(MgF2)などが挙げられる。
無機層の厚さは特に制限されないが、5~5000nmが好ましく、10~500nmがより好ましい。
無機層のガラス基板16に接する面の表面粗さRa(算術平均粗さRa)は2.0nm以下であるのが好ましく、1.0nm以下であるのがより好ましい。下限値は特に制限されないが、0が最も好ましい。上記範囲であれば、ガラス基板16との密着性がより良好となり、ガラス基板16単独の場合に生じる吸着不良などをより抑制することができると共に、ガラス基板16の剥離性にも優れる。
表面粗さRaは、JIS B 0601(2001年改正)に従って測定される。
密着層14は、プラズマ重合膜であってもよい。
密着層14がプラズマ重合膜である場合、プラズマ重合膜を形成する材料は、CF4、CHF3、C26、C36、C22、CH3F、C48等のフルオロカーボンモノマー、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、アセチレン、ベンゼン、トルエン等のハイドロカーボンモノマー、水素、SF6等が挙げられる。特に、フルオロカーボンモノマーまたはハイドロカーボンモノマーからなるプラズマ重合膜が好ましい。これらは、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
プラズマ重合膜の厚さとしては、耐擦傷性の観点からは、1~100nmが好ましく、1~50nmがより好ましく、1~10nmがさらに好ましい。
なお、本発明の第1の態様の積層基板10において、密着層14は、ガラス基板16側の面が、ガラス基板16に接触する中央領域14cと、中央領域14cよりも薄く、ガラス基板16に接触しない周辺部の端部領域14eとを有し、中央領域14cと端部領域14eとの間には、段差14sを有する。
この点に関しては、後に詳述する。
<ガラス基板>
ガラス基板16には、特に制限されず、LCD、OLEDおよび太陽電池等の電子デバイスに用いられる公知のガラス基板が、全て利用可能である。
従って、ガラス基板16は、一般的なものであってよい。例えば、LCD、OLEDといった表示装置用のガラス基板としては、無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板、旭硝子社製商品名「AN100」などが挙げられる。ガラス基板16は耐薬品性、耐透湿性に優れ、かつ、熱収縮率が低いものが好ましい。熱収縮率の指標としては、JIS R 3102(1995年改正)に規定されている線膨張係数が用いられる。
ガラス基板16の製造方法は特に制限されず、通常、ガラス原料を溶融し、溶融ガラスを板状に成形して得られる。このような成形方法は、一般的なものであってよく、例えば、フロート法、フュージョン法、スロットダウンドロー法などが用いられる。
ガラス基板16のガラスの種類は特に制限されないが、無アルカリホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、高シリカガラス、その他の酸化ケイ素を主な成分とする酸化物系ガラスが好ましい。酸化物系ガラスとしては、酸化物換算による酸化ケイ素の含有量が40~90質量%のガラスが好ましい。
ガラス基板16のガラスとしては、電子デバイス用部材の種類やその製造工程に適したガラスが利用される。例えば、液晶パネル用のガラス基板は、アルカリ金属成分の溶出が液晶に影響を与えやすいことから、アルカリ金属成分を実質的に含まないガラス(無アルカリガラス)からなる(ただし、通常アルカリ土類金属成分は含まれる)。このように、ガラス基板16のガラスは、適用されるデバイスの種類およびその製造工程に基づいて適宜選択される。
LCDなど、電子デバイスの製造において、ガラス基板16の主面(密着層14と逆側の主面)と、別の基板とを接着する場合には、その基板と、ガラス基板16の25~300℃における平均線膨張係数の差は、好ましくは10×10-7/℃以下であり、より好ましくは3×10-7/℃以下であり、さらに好ましくは1×10-7/℃以下である。差が大き過ぎると、部材形成工程における加熱冷却時に、積層基板10が激しく反ったり、支持基材12とガラス基板16とが剥離したりする可能性がある。支持基材12の材料がガラス基板16の材料と同じ場合、このような問題が生じるのを抑制することができる。なお、これらの基板の間には接着層など異なる層が存在してもよい。
ガラス基板16の厚さは、薄型化および/または軽量化の観点から、0.5mm以下が好ましく、0.4mm以下がより好ましく、0.2mm以下がさらに好ましく、は0.10mm以下が特に好ましい。
ガラス基板16の厚さを0.5mm以下とすることにより、ガラス基板16に良好なフレキシブル性を与えることが可能である。ガラス基板16の厚さが0.2mm以下の場合、ガラス基板16をロール状に巻き取ることが可能である。
また、ガラス基板16の厚さは、ガラス基板16の製造が容易であること、ガラス基板16の取り扱いが容易であるなどの理由から、0.03mm以上が好ましい。
さらに、ガラス基板16の面積(主面の面積)は特に制限されないが、電子デバイスの生産性の点から、300cm2以上が好ましい。
なお、ガラス基板16は2層以上からなっていてもよく、この場合、各々の層を形成する材料は同種材料であってもよいし、異種材料であってもよい。また、この場合、「ガラス基板16の厚さ」は全ての層の合計の厚さを意味する。
前述のように、本発明の第1の態様の積層基板10において、密着層14は、ガラス基板16と接触している中央領域14cと、ガラス基板16と接着していない面方向周辺部の端部領域14e(破線b)とを有し、中央領域14cの厚さをT1、端部領域14eの厚さをT2とした際に、『T1×2/3>T2』を満たす。さらに、本発明の第1の態様の積層基板10において、中央領域14cと端部領域14eとの間には、段差14sを有する。
本発明の積層基板10は、このような構成を有することにより、550℃程度という高温のプロセスを行うLTPS-TFTや酸化物TFTの製造に用いられても、密着層14にクラックが生じることを防止できる。
先に図5(A)を例示して説明したように、支持基材102と、密着層104と、ガラス基板106とを有する積層基板100は、ガラス基板106の割れ等の損傷を防止するために、端部の面取りを行う。
積層基板100の端部の面取りを行うと、図5(B)に示すように、密着層104の端部にガラス基板106に覆われない、剥き出しの領域104aが形成される。
本発明者らは、鋭意検討の結果、このような、密着層104がガラス基板106に覆われていない剥き出しの領域104aを有する積層基板100を用いて、550℃程度という高温でのプロセスが必要なLTPS-TFTや酸化物TFTを製造した場合には、高温でのプロセスを行った後の冷却時に、剥き出しの領域104aにクラックが生じ、このクラックが密着層104のガラス基板106に覆われている領域まで伸びてしまうことを見出したのは、前述のとおりである。
本発明者らは、さらに、このようなクラックを防止する方法について、鋭意検討を重ねた。その結果、図1(B)に示すように、ガラス基板16と接触している中央領域14cの厚さに対して、面方向周辺部のガラス基板16と接触していない、すなわち、ガラス基板16に覆われていない剥き出しの端部領域14eの厚さを薄くすることにより、高温でのプロセスを行った後に密着層14にクラックが入ることを防止できることを見出した。 具体的には、前述のように、中央領域14cと端部領域14eとの間で段差14sを有する明らかな厚さの変更位置を設けて、端部領域14eの厚さT2を、中央領域14cの厚さT1の2/3未満(『T1×2/3>T2』を満たす)にする。これにより、支持基材12と密着層14の端部領域14eの熱膨張係数の差に起因して、加熱後の冷却の際に端部領域14eに掛かる応力の影響を低減して、積層基板10が高温でのプロセスを行われた後に、密着層14にクラックが入ることを防止できる。
本発明の第1の態様において、端部領域14eの厚さT2が、中央領域14cの厚さT1の2/3以上であると(『T1×2/3≦T2』であると)、積層基板10が高温でのプロセスを行われた後に生じるクラックを十分に抑制できない。
好ましくは、端部領域14eの厚さT2は、中央領域14cの厚さT1の1/2以下であり、より好ましくは、1/10以下である。
なお、端部領域14eの厚さは、全域で『T1×2/3>T2』を満たすものであれば、厚さが異なる領域が混在してもよい。
積層基板10の面方向における端部領域14eの長さ、すなわち、図1(B)において破線bで示す領域の長さは、積層基板10の面取りの形状や、中央領域14cの厚さT1に応じて、様々の長さを取り得るものであり、特に制限はない。
また、密着層14の厚さすなわち中央領域14cの厚さT1は、密着層14が有機層である場合には1~100μmが好ましく、密着層14が無機層である場合には5~5000nmが好ましく、密着層14がプラズマ重合膜である場合には1~100nmが好ましいのは、前述の通りである。
なお、積層基板10に生じる気泡に起因する製造の効率(歩留り)の低下を防止できる点では、密着層14の厚さは、500nm以上が好ましく、2μm以上がより好ましいのは、前述のとおりである。本発明の積層基板10によれば、密着層14をこのような厚さにした場合でも、LTPS-TFTや酸化物TFTの製造における高温でのプロセスを行われた後に生じる密着層14のクラックを抑制できる。
特に、密着層14が有機層である場合には、中央領域14cの厚さT1は100μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。
<積層基板の製造方法>
積層基板10の製造方法は特に制限されず、公知の方法が利用可能である。
一例として、支持基材12上に密着層14を形成する密着層形成工程と、密着層14上にガラス基板16を積層して積層基板を得る積層工程と、積層基板の端部の面取りを行う面取り工程と、端部領域14eを加工する端部加工工程と、を行って、積層基板10を製造する。
[密着層形成工程]
密着層形成工程は、支持基材12上に密着層14を形成する工程である。密着層14を形成する方法は特に制限されず、公知の方法を利用でき、密着層14を構成する材料の種類によって異なる。
例えば、密着層14が有機層である場合、有機層を作製する方法としては、例えば、硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物を支持基材12上に塗布して、硬化性樹脂組成物を硬化して支持基材12上に固定された密着層14を形成する方法(塗布法)や、フィルム状の密着層14を支持基材12の表面に固定する方法(貼り付け法)などが挙げられる。中でも、密着層14の支持基材12に対する接着強度がより優れる点で、塗布法が好ましい。塗布法において、支持基材12の表面に硬化性樹脂組成物層を形成する方法としては、例えば、硬化性樹脂組成物を支持基材12表面上にコートする方法が挙げられる。コートする方法としては、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、スクリーン印刷法、グラビアコート法などが挙げられる。
硬化方法は特に制限されず、使用される樹脂によって最適な硬化条件が選択される。通常、硬化方法としては、加熱処理が利用される。
また、密着層14が無機層である場合、無機層の製造方法としては、公知の方法を利用することができる。例えば、蒸着法、スパッタリング法およびCVD法等の気相成膜法により、支持基材12上に所定の成分からなる無機層を設ける方法が挙げられる。気相成膜法によって得られた無機層は支持基材12上に固定されると共に、その無機層の表面はガラス基板16を剥離可能に密着できる。
なお、炭化物(カーボン材料)からなる無機層を作製する方法としては、例えば、フェノール樹脂などの樹脂成分を含む樹脂組成物を支持基材12上に塗布して、焼結処理を施して炭化させる方法も挙げられる。
製造条件は、使用される材料に応じて、適宜最適な条件が選択される。
[積層工程]
積層工程は、密着層形成工程で得られた形成した密着層14の面上にガラス基板16を積層し、支持基材12と密着層14とガラス基板16とをこの順で備える積層基板を得る工程である(図5(A)参照)。
ガラス基板16を密着層14上に積層する方法は特に制限されず、公知の方法を利用できる。
例えば、常圧環境下で密着層14の表面上にガラス基板16を重ねる方法が挙げられる。なお、必要に応じて、密着層14の表面上にガラス基板16を重ねた後、ロールやプレスを用いて密着層14にガラス基板16を圧着させてもよい。ロールまたはプレスによる圧着により、密着層14とガラス基板16の層との間に混入している気泡が比較的容易に除去されるので好ましい。
ガラス基板16と密着層14とを真空ラミネート法や真空プレス法により圧着すると、気泡の混入の抑制や良好な密着の確保が行われるのでより好ましい。真空下で圧着することにより、微小な気泡が残存した場合でも、加熱により気泡が成長することがなく、ガラス基板16のゆがみ欠陥につながりにくいという利点もある。
ガラス基板16を積層する際には、密着層14に接触するガラス基板16の表面を十分に洗浄し、クリーン度の高い環境で積層することが好ましい。クリーン度が高いほど、ガラス基板16の平坦性は良好となるので好ましい。
なお、ガラス基板16を積層した後、必要に応じて、プレアニール処理(加熱処理)を行ってもよい。プレアニール処理を行うことにより、積層されたガラス基板16の密着層14に対する密着性が向上し、適切な剥離強度(y)とすることができ、電子デバイスの生産性が向上する。
また、ガラス基板16を積層した後、必要に応じて、積層基板を所定のサイズに切断する切断工程を行ってもよい。
[面取り工程]
面取り工程は、ガラス基板16を積層した積層基板の端部の面取りを行う工程である(図5(A)参照)。
積層基板の端部の面取り方法は、特に制限されず、ガラス基板用の面取り機を用いる方法等、公知の方法を利用できる。
[端部加工工程]
前述のように、ガラス基板16を積層した積層基板の端部の面取りを行うことにより、密着層14の端部(面方向の端部)には、ガラス基板16に覆われない、剥き出しの領域を生じる(図5(B)参照)。
端部加工工程は、剥き出しになっている密着層14の端部を加工して、中央領域14cと端部領域14eとの間で段差14sを有する状態で、端部領域14eの厚さT2を、中央領域14cの厚さT1の2/3未満(『T1×2/3>T2』を満たす厚さ)にし、本発明の積層基板10とする工程である。
密着層14のガラス基板16に覆われない端部の剥き出しの領域を加工して、段差を有する中央領域14cと端部領域14eとを形成する方法は特に制限されず、公知の方法を利用できる。一例として、研削機等を用いる機械的な加工による方法、エッチングガスを用いる異方性エッチングによる加工方法等が例示される。
また、砥石の形状の調節、研削位置の調節等によって、面取り工程と同時に、端部加工工程を行ってもよい。
あるいは、特に密着層14を無機層で形成する場合には、密着層形成工程において、まず、蒸着法等によって支持基材12の全面に端部領域14eの厚さT2の厚さの密着層を形成し、次いで、端部領域14eをマスキングして、中央領域14cのみに密着層14の形成を行うことにより、予め、段差14sを有し、かつ、端部領域14eの厚さT2を、中央領域14cの厚さT1の2/3未満とした密着層14を形成することで、密着層形成工程と端部加工工程とを同時に行ってもよい。この方法は、後述する図4(A)および図4(C)に示す積層基板等の製造において、有効である。
図2(A)に、本発明の積層基板の第2の態様の一例の断面図を概念的に示す。また、図2(B)に、図2(A)の領域bの拡大図を概念的に示す。
なお、図2(A)および図2(B)に示す積層基板20は、密着層の形状が異なる以外は、図1(A)等に示す前述の積層基板10と、基本的に同じ構成を有するので、同じ部材には同じ符号を付し、以下の説明は、異なる部位を主に行う。
図2(A)に示すように、この積層基板20も、支持基材12と、密着層24と、ガラス基板16とを、この順で有する。また、密着層24は、面方向の端面24aが凹状(凹面状)である。
本発明の第2の態様の積層基板20は、このような構成を有することにより、前述の第1の態様の積層基板10と同様、550℃程度という高温のプロセスを行うLTPS-TFTや酸化物TFTの製造に用いられても、密着層14にクラックが生じることを防止できる。
積層基板20においては、前述のように、支持基材12およびガラス基板16は、図1(A)等に示す前述の積層基板10と同様である。
また、密着層24も、端面の形状が異なる以外は、形成材料や厚さ等は、前述の積層基板10の密着層14と同様である。
ここで、本発明の第2の態様の積層基板20は、図2(B)に示すように、密着層24は、面方向の端面の形状が、凹状(凹面状)になっている。また、図示例の密着層24は、好ましい態様として、ガラス基板16側の面の全面(図中上側の面の全面)がガラス基板16に接触している。
積層基板20は、密着層24の端面が凹状であることにより、前述の積層基板10と同様、支持基材12と密着層14との熱膨張係数の差に起因して、加熱後の冷却の際に密着層14の剥き出しになっている領域に掛かる応力の影響を低減して、積層基板10が高温でのプロセスを行われた後に、密着層14にクラックが入ることを防止できる。
密着層24の端面24aの形状は、凹状であれば、各種の形状が利用可能である。従って、端面24aは、曲面状の凹状でも、多角形状の凹状でも、曲面と多角形とを組み合わせた凹状でもよい。また、凹状の端面24aを形成する曲面は、部分的に曲率が異なってもよく、同じく多角形は正多角形でも頂角が互いに異なる多角形でもよい。
また、密着層24の端面24aは、厚さ方向の全域に渡って凹状であるのが好ましい。
このような積層基板20は、密着層24の剥き出しの領域を加工する端部加工工程が異なる以外は、前述の積層基板10と同様に製造できる。
積層基板20の端部加工工程は、面取り工程で生じた、端部(面方向の端部)のガラス基板16に覆われない剥き出しの領域(図5(B)参照)を有する密着層を、端面24aが凹状の密着層24とする、公知の方法が利用できる。
一例として、エッチング液を用いるウエットエッチングによって、ガラス基板16に覆われない剥き出しの領域を加工して、密着層の端部を加工して、端面24aが凹状の密着層24を形成する方法が例示される。また、密着層が熱分解する材料で形成されている場合には、面取り加工を行ったのち、積層基板を熱処理することで、密着層の端部を加工して、端面24aが凹状の密着層24を形成する方法が例示される。さらに、砥石の形状の調節、研削位置の調節等によって、面取り工程と同時に、端部加工工程を行って、端面24aが凹状の密着層24を形成してもよい。
本発明の積層基板は、以上の例に限定はされず、ガラス基板に接触する中央領域とガラス基板に接触しない端部領域とを有し、中央領域と端部領域との間に段差を有し、かつ、中央領域の厚さT1と端部領域の厚さT2とが『T1×2/3>T2』を満たす構成、および、密着層の端面が凹状である構成、の少なくとも一方の構成を満たすものであれば、各種の構成が利用可能である。
図3に、その一例を示す。なお、図3は、図1(B)等と同様の、積層基板の端部の断面図を拡大して概念的に示す図である。この点に関しては、後述する図4(A)~図4(C)も同様である。
図3に示す積層基板は、凹状の端面26aを有し、かつ、ガラス基板16に接触する中央領域26cとガラス基板16に接触しない端部領域26eとを有し、さらに、中央領域26cに比して端部領域26eの厚さが大幅に薄い密着層26を有する積層基板である。すなわち、本発明は、図1(B)に示される密着層14と、図2(B)に示される密着層24とを組み合わせたような密着層を有する構成も、利用可能である。
この場合においても、中央領域26cの厚さT1と端部領域26eの厚さT2とが『T1×2/3>T2』を満たすのが好ましい。
図1(A)および図1(B)、図2(A)および図2(B)ならびに図3に示す例は、積層基板の端面全面を曲面状に面取りした端面の形状を有する例であるが、これらの密着層の構成は、図6(A)等に示す、端部の角部のみを面取りした積層基板でも、利用可能である。
また、本発明の積層基板は、図1(A)および図1(B)、図2(A)および図2(B)ならびに図3に示す積層基板のように、端部の面取りをした構成に限定はされず、端部の面取りをしない積層基板にも、利用可能である。
一例として、図4(A)に端部の断面図を概念的に示す積層基板のように、ガラス基板16が支持基材12よりも小さく、密着層30が、ガラス基板16に接触する中央領域30cと、ガラス基板16に接触しない剥き出しの端部領域30eとを有し、かつ、中央領域30cと端部領域30eとの間に段差30sを有し、かつ、中央領域30cの厚さT1と端部領域30eの厚さT2とが『T1×2/3>T2』を満たす構成が例示される。
別の例として、図4(B)に端部の断面図を概念的に示す積層基板のように、ガラス基板16が支持基材12よりも小さく、密着層30がガラス基板16側の面の全面がガラス基板16と接触しており、かつ、密着層30の端面32aが、厚さ方向の全域に渡って凹状となっている構成も、利用可能である。
さらに、別の例として、図4(C)に端部の断面図を概念的に示す積層基板のように、ガラス基板16と支持基材12との大きさが同じで、密着層34が、ガラス基板16に接触する中央領域34cと、ガラス基板16に接触しないガラス基板16に覆われた端部領域34eとを有し、かつ、中央領域34cと端部領域34eとの間に段差34sを有し、かつ、中央領域34cの厚さT1と端部領域34eの厚さT2とが『T1×2/3>T2』を満たす構成も、利用可能である。
これらの積層基板も、公知の方法を利用して製造できる。一例として、前述の図1(A)等および図2(A)等に示す積層基板に準じる方法で製造すればよい。
このような本発明の積層基板は、種々の用途に使用することができる。一例として、表示装置用パネル、PV、薄膜2次電池、表面に回路が形成された半導体ウェハ等の電子デバイスを製造する用途などが挙げられる。
ここで、表示装置用パネルとは、LCD、OLED、電子ペーパー、プラズマディスプレイパネル、フィールドエミッションパネル、量子ドットLEDパネル、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)シャッターパネル等が含まれる。LCDとしては、TN型、STN型、FE型、TFT型、MIM型、IPS型、VA型等を含む。本発明は、基本的に、パッシブ駆動型およびアクティブ駆動型のいずれの表示装置の場合でも利用できる。
本発明の電子デバイスの製造方法は、本発明の積層基板を用いて、ガラス基板と電子デバイス用部材とを含む電子デバイスを製造するものである。
具体的には、積層基板のガラス基板に電子デバイス用部材を形成して電子デバイス用部材付き積層基板を製造し、得られた電子デバイス用部材付き積層基板から密着層のガラス基板側の界面を剥離面としてガラス基板を剥離することで、電子デバイスと、密着層を有する支持基材とに分離する。
積層基板のガラス基板上に電子デバイス用部材を形成して、電子デバイス用部材付き積層基板を製造する工程は、本発明の製造方法における部材形成工程である。
また、電子デバイス用部材付き積層基板から、密着層のガラス基板側の界面を剥離面としてガラス基板を剥離して、電子デバイスと、密着層および支持基材とに分離する工程は、本発明の製造方法における分離工程である。
以下に、積層基板10を用いた場合を例に、本発明の電子デバイスの製造方法の一例を説明する。
<部材形成工程>
部材形成工程は、積層基板10のガラス基板16(ガラス基板16の密着層14と反対の表面(ガラス基板16の上))に電子デバイス用部材を形成する工程である。
電子デバイス用部材は、積層基板10のガラス基板16に形成され電子デバイスの少なくとも一部を構成する部材である。
具体的には、電子デバイス用部材としては、表示装置用パネル、太陽電池、薄膜2次電池、または、表面に回路が形成された半導体ウェハ等の電子部品などに用いられる部材(例えば、表示装置用部材、太陽電池用部材、薄膜2次電池用部材、電子部品用回路)が挙げられる。
電子デバイス用部材は、製造する電子デバイスに応じた公知の部材が利用可能である。 例えば、太陽電池用部材としては、薄膜シリコン型では、正極の酸化スズなど透明電極、p層/i層/n層で表されるシリコン層、および負極の金属等が挙げられ、その他に、化合物型、色素増感型、量子ドット型などに対応する各種部材等を挙げることができる。また、薄膜2次電池用部材としては、リチウムイオン型では、正極および負極の金属または金属酸化物等の透明電極、電解質層のリチウム化合物、集電層の金属、封止層としての樹脂等が挙げられ、その他に、ニッケル水素型、ポリマー型、セラミックス電解質型などに対応する各種部材等を挙げることができる。
また、電子部品用回路用部材としては、CCDやCMOSなどの固体撮像素子では、導電部の金属、絶縁部の酸化ケイ素や窒化珪素等が挙げられる。
また、表示装置用部材としては、OLEDやTFT-LCDを構成する各種の部材を上げることができる。これらについては、後に詳述する。
その他、圧力センサ・加速度センサなど各種センサやリジッドプリント基板、フレキシブルプリント基板、リジッドフレキシブルプリント基板などに対応する各種部材等を挙げることができる。
本発明の部材形成工程において、電子デバイス用部材の形成方法は特に制限されず、形成する電子デバイス用部材に応じた公知の方法で、積層基板10のガラス基板16に、電子デバイス用部材を形成すればよい。
例えば、OLEDを製造する場合には、部材形成工程は、積層基板10のガラス基板16に有機EL構造体を形成するために、透明電極を形成する工程、透明電極を形成した面上にホール注入層・ホール輸送層・発光層・電子輸送層等を蒸着する工程、裏面電極を形成する工程、および、封止板を用いて封止する工程等、各種の層の形成工程や処理工程を有する。
これらの層の形成工程や処理工程は、具体的には、例えば、成膜処理、蒸着処理、封止板の接着処理等を利用して行えばよい。
また、例えば、TFT-LCDを製造する場合は、部材形成工程は、TFT形成工程と、CF形成工程と、貼り合わせ工程とを有する。
TFT形成工程は、積層基板10のガラス基板16の上に、レジスト液を用いて、CVD法およびスパッタ法など、一般的な成膜法により形成される金属膜および金属酸化膜等にパターン形成して薄膜トランジスタ(TFT)を形成する工程である。CF形成工程は、TFT形成工程とは別の積層基板10のガラス基板16の上に、レジスト液をパターン形成に用いてカラーフィルタ(CF)を形成する工程である。貼り合わせ工程は、TFT形成工程で得られた電子デバイス用部材付き積層基板であるTFT付き積層基板10と、CF形成工程で得られた電子デバイス用部材付き積層基板であるCF付き積層基板10とを積層して貼り合わる工程である。
ここで、本発明においては、積層基板10は、密着層14が、ガラス基板16に接触する中央領域14cと、ガラス基板16に接触しない端部領域14eとを有し、かつ、中央領域14cと端部領域14eとの間に段差を有し、かつ、中央領域14cの厚さT1と端部領域14eの厚さT2とが『T1×2/3>T2』を満たすものであり550℃程度の高温でのプロセスを経ても、密着層14にクラックが生じることを防止できる。
そのため、TFT形成工程で形成するTFTとしては、プロセスの最高温度が550℃程度となるLTPS-TFTおよび酸化物TFTが好適に例示される。この点に関しては、OLEDの製造において、スイッチング素子としてにTFTを形成する場合も同様である。さらに、以上の点に関しては、密着層の端面が凹状である本発明の第2の態様の積層基板を用いて、本発明の製造方法で電子デバイスを製造する場合も、同様である。
TFT形成工程およびCF形成工程では、公知のフォトリソグラフィ技術やエッチング技術等を用いて、ガラス基板16にTFTやCFを形成すればよい。この際、パターン形成用のコーティング液としてレジスト液が用いられる。
なお、TFT-LCDを製造する場合には、部材形成工程では、TFTやCFを形成する前に、必要に応じて、ガラス基板16を洗浄してもよい。洗浄方法としては、周知のドライ洗浄やウェット洗浄を用いることができる。
貼り合わせ工程では、TFT付き積層基板10のTFT形成面と、CF付き積層基板10のCFカラーフィルタ形成面とを対向させて、シール剤(例えば、セル形成用紫外線硬化型シール剤)を用いて貼り合わせる。その後、TFT付き積層基板10とCF付き積層基板10とで形成されたセル内に、液晶材を注入する。液晶材を注入する方法としては、例えば、減圧注入法および滴下注入法がある。
<分離工程>
分離工程は、部材形成工程で得られた電子デバイス用部材付き積層基板から、密着層14とガラス基板16との界面を剥離面として、電子デバイス用部材付き積層基板から、ガラス基板16(電子デバイス)と、密着層14および支持基材12とに分離して、電子デバイスを得る工程である。
ガラス基板16と密着層14およ支持基材12とを剥離する方法は、特に制限されない。
一例としてガラス基板16と密着層14との界面に鋭利な刃物状のものを差し込み、剥離のきっかけを与えた上で、水と圧縮空気との混合流体を吹き付け、剥離する方法が例示される。
好ましくは、電子デバイス用部材付き積層基板の支持基材12が上側、ガラス基板16(電子デバイス用部材)側が下側となるように定盤上に配置し、ガラス基板16側を定盤上に真空吸着し(両面に支持基材が積層されている場合は順次行う)、この状態で、まず、刃物をガラス基板16と密着層14との界面に侵入させる。その後、支持基材12側を複数の真空吸着パッドで吸着し、刃物を差し込んだ箇所付近から順に真空吸着パッドを上昇させる。そうすると密着層14とガラス基板16との界面や密着層14の凝集破壊面へ空気層が形成され、その空気層が界面や凝集破壊面の全面に広がり、支持基材12を容易に剥離することができる。
剥離のきっかけ形成や剥離にレーザーを使用してもよい。
また、ガラス基板16から剥離した密着層14および支持基材12は、新たなガラス基板16と積層して、本発明の積層基板10を製造することができる。
なお、電子デバイス用部材付き積層基板から、電子デバイス用部材を形成したガラス基板16を分離する際においては、イオナイザによる吹き付けや湿度を制御することにより、密着層14の欠片が電子デバイスに静電吸着することを抑制できる。
本発明の製造方法において、部材形成工程において形成する電子デバイス用部材は、ガラス基板16に最終的に形成される全ての部材(以下、「全部材」という)であってもよく、全部材の一部(以下、「部分部材」という)であってもよい。
部材形成工程において全部材を形成する場合には、一例として、ガラス基板16に全部材を形成した積層基板10を作製して、その後、ガラス基板16に全部材を形成した積層基板10から、密着層14および支持基材12を剥離して、電子デバイスを製造する。また、ガラス基板16に全部材を形成した積層基板10を、2枚、組み合わせて、その後、2枚の積層基板10から密着層14および支持基材12を剥離して、電子デバイス用部材を形成したガラス基板16としてもよい。さらに、密着層14から剥離された、全部材が形成されたガラス基板16には、その剥離面(密着層14に接触していた面)に他の電子デバイス用部材が形成されてもよい。
他方、部材形成工程において部分部材を形成する際には、一例として、ガラス基板16に部分部材を形成した積層基板10を作製して、その後、ガラス基板16に部分部材を形成した積層基板10から、密着層14および支持基材12を剥離して、部分部材が形成されたガラス基板16とする。この部分部材が形成されたガラス基板16を、その後の工程で全部材が形成されたガラス基板16としてもよい。
なお、上述の電子デバイスの製造方法は、本発明の積層基板の第1の態様である積層基板10を用いた例であるが、本発明の積層基板の第2の態様である積層基板20等を用いた場合でも、同様にして、電子デバイスを製造できる。
以上、本発明の積層基板および電子デバイスの製造方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下に、実施例等により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって制限されるものではない。
<実施例1>
[樹脂の合成]
1リットルのフラスコに、トリエトキシメチルシラン179g、トルエン300g、酢酸を5g加えて25℃で20分撹拌した後、60℃に加熱して12時間反応させた。
25℃に冷却した後、水を300g加えて反応粗液を3回洗浄した。反応粗液からトルエンを減圧留去しスラリー状態にした後、真空乾燥機で終夜乾燥することで、白色のオルガノポリシロキサン化合物である樹脂1を得た。
[塗布溶液の調製]
樹脂1を20g、硬化触媒としてアルミニウム(III)アセチルアセトナート(東京化成工業株式会社製)を0.6g、溶媒としてプロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート(関東化学株式会社製)30gを混合した後、孔径0.45μmのシリンジフィルターでろ過して、塗布溶液1を得た。
[積層基板の作製]
支持基材として、200×200mm、厚さ0.5mmのガラス板(旭硝子株式会社製、AN100)を用意した。
塗布溶液1を、支持基材の一面にスピンコート法で塗布して、ホットプレートを用いて100℃で10分加熱した。その後、オーブンを用いて、大気下において、250℃で30分間加熱し、支持基材12の一面に、膜厚6μmのシリコーン樹脂層からなる密着層を形成した(密着層形成工程)。
一方で、ガラス基板として、200×200mm、厚さ0.2mmのガラス板(旭硝子株式会社製、AN100)を用意した。
このガラス基板を密着層(シリコーン樹脂層)上に置き、貼合装置で貼り合わせ、積層基板を作製した(積層工程)。
得られた積層基板の4辺を基板端から20mmずつ切り落とした後、ガラス基板用面取り機を用いて端部を面取り加工した(面取り工程、図5(A)参照)。面取り加工した積層基板の端部の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、図5(B)に示すような、端部において、密着層がガラス基板と接触しない部分(剥き出しの領域104a)を有する積層基板が得られた。
[密着層端部の加工]
作製した積層基板の端部をフッ酸系エッチング液に浸し、積層基板の端部の密着層(シリコーン樹脂層)をエッチングして(端部加工工程)、積層基板を製造した。
基板端部の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、密着層がエッチングされて、密着層の端面が図2(B)に示すように凹状の形状になっていた。
<実施例2>
[樹脂の合成]
1リットルのフラスコに、トリエトキシメチルシラン150g、ジエトキシジメチルシラン21g、トルエン250g、酢酸を7g加えて25℃で20分撹拌した後、100℃に加熱して12時間反応させた。
25℃に冷却した後、水を300g加えて反応粗液を3回洗浄した。反応粗液からトルエンを減圧留去しスラリー状態にした後、真空乾燥機で終夜乾燥することで白色のオルガノポリシロキサン化合物である樹脂2を得た。樹脂2は、T単位の個数:D単位の個数=86:14(モル比)であった。
[塗布溶液の調整]
樹脂2を用いた以外は、実施例1と同様にして塗布溶液(塗布溶液2)を調製した。
[積層基板の作製]
塗布溶液2を用いた以外は、実施例1と同様に、密着層の形成、ガラス基板の積層、および、面取りを行って、積層基板を作製した。なお、密着層としてのシリコーン樹脂層の厚さは6μmとした。
面取り加工した積層基板の端部の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、図5(B)に示すような、端部において、密着層がガラス基板と接触しない部分(剥き出しの領域104a)を有する積層基板が得られた。
[密着層端部の加工]
作製した積層基板の端部をシリコーン溶解剤KSR-2(関東化学株式会社製)に浸し、積層基板の端部の密着層(シリコーン樹脂層)をウェットエッチングして、積層基板を製造した。
基板端部の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、密着層がエッチングされて、密着層の端面が図2(B)に示すように凹型の形状になっていた。
<実施例3>
[樹脂の合成]
1リットルのフラスコに、トリエトキシメチルシラン179g、トルエン300g,酢酸を5g加えて25℃で20分撹拌した後60℃に加熱して12時間反応させた。
25℃に冷却した後、水を300g加えて反応粗液を3回洗浄した。反応粗液にクロロトリメチルシラン70gを加えて25℃で20分撹拌した後、50℃に加熱して12時間反応させた。25℃に冷却した後、水を300g加えて反応粗液を3回洗浄した。反応粗液からトルエンを減圧留去しスラリー状態にした後、真空乾燥機で終夜乾燥することで白色のオルガノポリシロキサン化合物である樹脂3が得られた。樹脂3は、T単位の個数:M単位の個数=87:13(モル比)であった。
[塗布溶液の調整]
樹脂3を用いた以外は、実施例1と同様にして塗布溶液(塗布溶液3)を調整した。
[積層基板の作製]
塗布溶液3を用いた以外は、実施例1と同様にして密着層の形成、ガラス基板の積層、および、面取りを行って積層基板を作製した。なお、密着層としてのシリコーン樹脂層の厚さは10μmとした。
面取り加工した積層基板の端部の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、図5(B)に示すような、端部において、密着層がガラス基板と接触しない部分(剥き出しの領域104a)を有する積層基板が得られた。
[密着層端部の加工]
オーブンを用いて、作製した積層基板を、大気下において400℃で60分間加熱し、端部の密着層(シリコーン樹脂層)を熱分解させて、積層基板を製造した。
基板端部の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、積層基板の端部の密着層が熱分解されて、密着の端面が図2(B)に示すように凹型の形状になっていた。
<実施例4>
[積層基板の作製]
支持基材として、100×100mm、厚さ0.5mmのガラス板(旭硝子株式会社製、AN100)を用意した。
この支持基材の一面に、マグネトロンスパッタリング法を用いて膜厚500nmのITO層からなる密着層を形成した。
一方、ガラス基板として、100×100mm、厚さ0.2mmのガラス板(旭硝子株式会社製、AN100)を用意した。
このガラス基板を密着層(ITO層)の上に置き、貼合装置で貼り合わせて、積層基板を作製した。
得られた積層基板の4辺を基板端から10mmずつ切り落とした後、ガラス基板用面取り機を用いて端部を面取り加工した。
面取り加工した積層基板の端部の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、図5(B)に示すような、端部において、密着層がガラス基板と接触しない部分(剥き出しの領域104a)を有する積層基板が得られた。
[密着層端部の加工]
作製した積層基板の端部を塩酸と塩化第二鉄からなるエッチング液に浸し、積層基板の端部の密着層(ITO層)をエッチングして、積層基板を製造した。
基板端部の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、積層基板の端部の密着層がエッチングされて、密着層の端面が図2(B)に示すように凹型の形状になっていた。
<実施例5>
[積層基板の作製]
実施例4と同様に、支持基材(ガラス板)、密着層(ITO層)およびガラス基板(ガラス板)を積層して、ITO層を接着層とした積層基板を作製して、基板端部を面取り加工した。
面取り加工した積層基板の端部の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、図5(B)に示すような、端部において、密着層がガラス基板と接触しない部分(剥き出しの領域104a)を有する積層基板が得られた。
[密着層端部の加工]
作製した積層基板をドライエッチング装置に入れ、アルゴンと四フッ化炭素を用いて積層基板の端部の密着層(ITO層)をエッチングして、積層基板を作製した。
積層基板端部の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、ガラス基板と接触していない密着層がエッチングされており、密着層の端部は図1(B)に示されるような段差を有する形状になっていた。エッチングされた領域(端部領域)の膜厚は50nmだった。
<実施例6>
[積層基板の作製]
支持基材として、100×100mm、厚さ0.5mmのガラス板(旭硝子株式会社製、AN100)を用意した。
この支持基材の一面に、マグネトロンスパッタリング法を用いて膜厚500nmのICO層からなる密着層を形成した。なお、このマグネトロンスパッタ法においては、ターゲット材料として酸化インジウムおよび酸化セリウムを混合・焼結したものを用い、それぞれの含有量は酸化インジウムおよび酸化セリウムの合計質量に対して、酸化インジウムが80質量%であり、酸化セリウムが20質量%であった。得られた無機層中におけるセリウム元素の含有量は、無機層中の全金属元素に対して、12at%であった。
一方、ガラス基板として、100×100mm、厚さ0.2mmのガラス板(旭硝子株式会社製、AN100)を用意した。
このガラス基板を密着層(ICO層)上に置き、貼合装置で貼り合わせ、積層基板を作製した。得られた積層基板の4辺を基板端から10mmずつ切り落とした後、ガラス基板用面取り機を用いて端部を面取り加工した。
面取り加工した積層基板の端部の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、図5(B)に示すような、端部において、密着層がガラス基板と接触しない部分(剥き出しの領域104a)を有する積層基板が得られた。
[密着層端部の加工]
作製した積層基板をドライエッチング装置に入れ、アルゴンと四フッ化炭素を用いて積層基板の端部の密着層(ITO層)をエッチングして、積層基板を作製した。
積層基板端部の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、ガラス基板と接触していない密着層がエッチングされており、密着層の端部は図1(B)に示されるような段差を有する形状になっていた。エッチングされた領域(端部領域)の膜厚は50nmだった。
<比較例1>
実施例1の積層基板において、密着層端部の加工(ウエットエッチング)を行わないものを比較例1とした。なお、この積層基板の密着層は、シリコーン樹脂層である。
すなわち、この積層基板は、密着層の端部にガラス基板と接触しない部分(剥き出しの領域104a)が存在する、図5(B)に示すような端部を有する積層基板である。
<比較例2>
実施例2の積層基板において、密着層端部の加工(ウエットエッチング)を行わないものを比較例2とした。なお、この積層基板の密着層は、シリコーン樹脂層である。
すなわち、この積層基板は、密着層の端部にガラス基板と接触しない部分(剥き出しの領域104a)が存在する、図5(B)に示すような端部を有する積層基板である。
<比較例3>
実施例3の積層基板において、密着層端部の加工(熱分解処理)を行わないものを比較例3とした。なお、この積層基板の密着層は、シリコーン樹脂層である。
すなわち、この積層基板は、密着層の端部にガラス基板と接触しない部分(剥き出しの領域104a)が存在する、図5(B)に示すような端部を有する積層基板である。
<比較例4>
実施例4の積層基板において、密着層端部の加工(ウエットエッチング)を行わないものを比較例4とした。なお、この積層基板の密着層は、ITO層である。
すなわち、この積層基板は、密着層の端部にガラス基板と接触しない部分(剥き出しの領域104a)が存在する、図5(B)に示すような端部を有する積層基板である。
<比較例5>
実施例6の積層基板において、密着層端部の加工(トライエッチング)を行わないものを比較例5とした。なお、この積層基板の密着層は、ICO層である。
すなわち、この積層基板は、密着層の端部にガラス基板と接触しない部分(剥き出しの領域104a)が存在する、図5(B)に示すような端部を有する積層基板である。
<耐熱性評価>
作製した実施例1~6、および、比較例1~5の積層基板を、窒素下において、550℃程度で10分加熱した。加熱後、室温まで冷却し、室温で1週間静置した。
その後、光学顕微鏡を用いて密着層のクラック発生の有無を確認した。
その結果、実施例1~6の積層基板では、密着層に長さ1mm以上のクラックは発生していなかった。
これに対して、比較例1~5の積層基板では、密着層に長さ1mm以上のクラックが発生していた。
結果を、下記の表に示す。なお、下記の表において、耐熱性評価の結果は、密着層に長さ1mm以上のクラックは発生していなかった場合を『OK』、密着層に長さ1mm以上のクラックが発生した場合を『NG』と示す。
Figure 0007070425000003
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
本出願は、2016年11月15日に日本国特許庁に出願した特願2016-222077号に基づく優先権を主張するものであり、特願2016-222077号の全内容を本出願に援用する。
10,20,100 積層基板
12,102 支持基材
14,24,30,32,34,104 密着層
14c,26c,30c,34c 中央領域
14e,26e,30e,34e 端部領域
14s,30s,34s 段差
16,106 ガラス基板
24a,26a,32a 端面
104a 剥き出しの領域

Claims (7)

  1. 支持基材と、密着層と、ガラス基板と、をこの順で備え、
    前記密着層は、前記基板側の面が、前記基板に接触している中央領域と、前記基板に接触していない端部領域とを有し、前記中央領域の厚さをT1、前記端部領域の厚さをT2とした際に、『T1×2/3>T2』を満たし、かつ、前記中央領域と端部領域との間に段差を有し、
    前記密着層は、硬化性シリコーンを硬化して得られるシリコーン樹脂層であり、かつ、前記中央領域の厚さT1が1~100μmであり、
    さらに、前記硬化性シリコーンは、付加反応型シリコーン、縮合反応型シリコーン、紫外線硬化型シリコーン、および電子線硬化型シリコーンから選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする積層基板。
  2. 前記付加反応型シリコーンは、オルガノアルケニルポリシロキサンである主剤と、オルガノハイドロジェンポリシロキサンである架橋剤とを含む請求項に記載の積層基板。
  3. 支持基材と、密着層と、ガラス基板と、をこの順で備え、
    前記密着層は、窒化酸化珪素(SiNxy)、酸化チタン(TiO2)、酸化インジウム(In23)、インジウムセリウムオキサイド(ICO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ガリウム(Ga23)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛スズ(ZTO)、およびガリウム添加酸化亜鉛(GZO)から選ばれる無機層であり、
    前記無機層の厚さは5~5000nmであり、
    前記密着層の端面が凹状であることを特徴とする積層基板。
  4. 前記密着層は、前記基板側の面の全面が前記基板と接触している請求項に記載の積層基板。
  5. 請求項1または2に記載の積層基板の前記基板に電子デバイス用部材を形成し、電子デバイス用部材付き積層基板を得る部材形成工程と、
    前記電子デバイス用部材付き積層基板から前記支持基材および前記密着層を除去し、前記基板と前記電子デバイス用部材とを有する電子デバイスを得る分離工程と、を有する電子デバイスの製造方法。
  6. 請求項3または4に記載の積層基板の前記基板に電子デバイス用部材を形成し、電子デバイス用部材付き積層基板を得る部材形成工程と、
    前記電子デバイス用部材付き積層基板から前記支持基材および前記密着層を除去し、前記基板と前記電子デバイス用部材とを有する電子デバイスを得る分離工程と、を有する電子デバイスの製造方法。
  7. 前記電子デバイス用部材が、低温ポリシリコン薄膜トランジスタまたは酸化物薄膜トランジスタである請求項5または6に記載の電子デバイスの製造方法。
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