以下、この発明を実施するための形態(以下、単に「実施の形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
[実施の形態1]
図1から図3は、実施の形態1に係る画像形成装置1を示すものである。図1はその画像形成装置1の全体構成を示し、図2はその画像形成装置1における作像装置の構成を示し、図3はその画像形成装置1における制御系の一部の構成を示している。
<画像形成装置の全体の構成>
画像形成装置1は、電子写真方式を採用して、文字、写真、図形等からなる画像情報に基づきトナーで構成される画像を最終的に記録媒体の一例である記録用紙9に形成するものである。画像形成装置1は、図1に示されるように、全体が箱状の外観からなる筐体10を有している。画像形成装置1は、筐体10の内部に、現像剤としてのトナーで構成されるトナー像を形成する画像形成手段の一例としての作像装置20と、作像装置20で形成されたトナー像を一次転写により保持した後に記録用紙9に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置30と、中間転写装置30の二次転写位置に供給する記録用紙9を収容するとともに供給する給紙装置40と、中間転写装置30で二次転写されたトナー像を記録用紙9に定着させる定着装置50等が配置されている。筐体10は、例えば、支持部材、外装材等の材料を用いて支持構造部や外装部が形成されている。図1に示す一点鎖線は、筐体10の内部における記録用紙9の主な搬送経路である。
また、画像形成装置1には、画像形成装置1の動作に関する指示、条件等を入力する入力部14aとその動作の条件、状態等の各種情報を表示する表示部14bを有する操作表示装置14や、画像形成装置1の全体(上記の各装置など)の動作を総括して制御する中央制御装置60等も配置されている。
この実施の形態1に係る画像形成装置1は、後述するように、少なくとも一部の部品に関する異常の予兆を知る機能を有している。また、画像形成装置1は、少なくとも一部の部品に関する異常の予兆を知る複数の情報を互いに識別可能とする機能をも有している。
作像装置20は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色の現像剤(トナー)像をそれぞれ個別に形成する4つの作像装置20Y,20M,20C,20Kを用いて構成されている。この作像装置20(Y,M,C,K)はいずれも、図1や図2に示されるように、矢印Aで示す方向に回転駆動される像保持手段の一例としての感光体ドラム21をそれぞれ備えている。各感光体ドラム21の周囲には、帯電手段の一例としての帯電装置22、静電潜像形成手段の一例としての露光装置23、現像手段の一例としての現像装置24、一次転写手段の一例としての一次転写装置25、ドラム清掃装置26、除電器27等がそれぞれ配置されている。
感光体ドラム21は、例えば、接地処理される円筒又は円柱状の導電性基材の周面に感光材料からなる光誘電層(感光体層)を有する像形成面(像形成可能範囲)を形成したドラム形態の感光体である。この感光体ドラム21は、図示しない回転駆動装置から動力を受けて矢印Aで示す方向に回転駆動するよう設けられている。
帯電装置22は、例えば、感光体ドラム21の像形成面に接触して従動回転する状態で配置されるとともにマイナス極性の所要の帯電バイアスが供給される帯電ロール221を備えた接触型の帯電装置である。帯電ロール221は、図2に示されるように、円柱形状の金属からなる回転軸223の外周に導電性を有する弾性体層224を被覆して構成されている。帯電ロール221は、図3に示されるように、回転軸223の軸方向に沿った両端部が所要の加圧力Fを受けて感光体ドラム21の表面に圧接された状態で従動回転が可能に支持されている。なお、帯電装置22としては、接触型の帯電装置に限定されるものではなく、スコロトロン等の非接触型の帯電装置を用いても良い。
露光装置23は、例えば、発光ダイオードと光学部品等を用いて構成される非走査型の露光装置か、あるいは、半導体レーザとポリゴンミラー等の光学部品を用いて構成される走査型の露光装置である。露光装置23には、通信手段、読み込み装置等を通して外部から入力された画像情報や内部の記憶部に格納されている画像情報が、図示しない画像処理装置で所要の処理をされた後に各色成分(Y,M,C,K)に分解された画像信号として入力される。露光装置23は、その入力される画像信号に応じた露光を行う。
現像装置24は、例えば、前記4色(Y,M,C,K)のいずれか1色のトナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤を利用する現像装置24(Y,M,C,K)である。また、現像装置24(Y,M,C,K)は、例えばトナーをマイナス極性に帯電させて反転現像を行うよう使用される。さらに、現像装置24(Y,M,C,K)は、図2に示されるように、筐体内に収容されている二成分現像剤を保持して感光体ドラム21と対向する現像領域に搬送するよう回転する現像剤保持体の一例としての現像ロール241等を備えている。現像ロール241には、感光体ドラム21との間に例えば直流成分に交流成分を重畳した現像バイアスが供給される。
一次転写装置25は、例えば、感光体ドラム21の一次転写位置とする像形成面部分に(後述の中間転写ベルト31を介した状態で)接触して従動回転するよう配置されるとともに所要の一次転写バイアスが供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。
ドラム清掃装置26は、筐体の清掃作業用開口において感光体ドラム21の少なくとも一次転写後の像形成面部分に接触するよう配置されて、その像形成面上にある残留トナー等の不要物を掻き取って除去する弾性板等の清掃部材等を備えている。
除電器27は、例えば、感光体ドラム21の像形成面を露光等により除電して表面電位をほぼゼロにするものである。
中間転写装置30は、4つの作像装置20(Y,M,C,K)の下方側になる位置に配置されている。この中間転写装置30は、作像装置20(Y,M,C,K)における感光体ドラム21の一次転写装置25と向き合う一次転写位置をそれぞれ通過しながら矢印Bで示す方向に回転するよう配置される中間転写手段の一例としての中間転写ベルト31を備えている。
中間転写ベルト31は、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の基材にカーボン等の抵抗調整剤を分散してなる材料を用いて所要の厚さ及び電気抵抗値からなる無端ベルト状に成形されたものである。
また、中間転写ベルト31は、複数の支持ロール32a~32eに掛けまわされて回転自在に支持されている。支持ロール32aは駆動ロールとして、支持ロール32bは駆動ロール32aと協働して一次転写面を保持する従動ロールとして、支持ロール32cは中間転写ベルト31に張力を付与するとともに中間転写ベルト31の蛇行を矯正する張力付与兼蛇行矯正ロールとして、支持ロール32dは二次転写バックアップロールとして、支持ロール32eは清掃バックアップロールとして、それぞれ構成されている。
また、中間転写装置30は、中間転写ベルト31上に転写されたトナー像を記録用紙9に二次転写させる二次転写手段の一例としての二次転写装置35と、中間転写ベルト31の外周面における像保持面に在留して付着するトナー等の不要物を除去して清掃するベルト清掃装置36等を備えている。
二次転写装置35は、例えば、中間転写ベルト31の二次転写バックアップロール32dに支持されている像保持面部分に接触して従動回転するよう配置される二次転写ロール等の接触部材を備えた接触型の転写装置が採用される。また、二次転写装置35は、二次転写ロール等の接触部材が接地処理されており、二次転写バックアップロール32dにトナーの帯電極性と同極性であるマイナス極性の所要の二次転写バイアスが供給される。
ベルト清掃装置36は、筐体の清掃作業用開口において中間転写ベルト31の少なくとも二次転写後の像保持面部分に接触するよう配置されて、その像保持面上にある残留トナー等の不要物を掻き取って清掃する弾性板等の清掃部材等を備えている。
給紙装置40は、中間転写装置30の下方側になる位置に配置されている。この給紙装置40は、筐体10に対して引き出し自在に取り付けられ、所望のサイズ、種類等の記録用紙9が図示しない積載板の上に積み重ねた状態で収容される収容体41と、その収容体41から記録用紙9を1枚ずつ給紙搬送路にむけて送り出す送出装置42を備えている。収容体41及び送出装置42の数は、必要に応じて増減される。また、給紙装置40は、筐体10の外側に開いた状態で使用される図示しない給紙トレイから記録用紙9を後述する供給搬送路(Rt1)の途中の部分に合流させるよう供給する手差し給紙機構を備えている。
記録用紙9は、筐体10内における搬送路による搬送が可能であってトナー像の転写及び定着が可能な記録媒体であれば適用することができる。記録用紙9としては、例えば、所定のサイズに裁断された記録紙をはじめとし、はがき等の厚紙や、封筒等の特殊な媒体も使用することができる。
定着装置50は、中間転写装置30の下方側になる位置に配置されている。この定着装置50は、記録用紙9の導入口51a及び排出口51bが形成された筐体51の内部に、矢印で示す方向に回転するとともに表面温度が所定の温度に保持されるように加熱手段によって加熱されるロール形態又はベルト形態からなる加熱用回転体52と、この加熱用回転体52の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して従動回転するロール形態又はベルト形態からなる加圧用回転体53とを設置したものである。この定着装置50では、加熱用回転体52と加圧用回転体53とが接触する部分が、トナー像を保持する記録用紙9が導入されて定着処理(加熱及び加圧)される定着処理部として構成されている。
また、画像形成装置1には、筐体10の内部に主な用紙搬送路として、給紙装置40と中間転写装置30との間をつなぐ供給搬送路Rt1と、中間転写装置30の二次転写位置と定着装置50との間をつなぐ中継搬送路Rt2と、定着装置50と筐体10の用紙排出口11との間をつなぐ排出搬送路Rt3と、排出搬送路Rt3の途中から下方に分岐して記録用紙9の表裏を反転させる反転搬送路Rt4と、反転搬送路Rt4の上部から側方に分岐して表裏が反転された記録用紙9を供給搬送路Rt1へ搬送する両面搬送路Rt5とが設けられている。
供給搬送路Rt1は、給紙装置40から送り出される記録用紙9を中間転写装置30の二次転写位置まで搬送して供給する搬送路である。供給搬送路Rt1は、複数の用紙搬送ロール対45a~45d等と図示しない複数の用紙案内部材等で構成されている。中継搬送路Rt2は、二次転写後の記録用紙9を定着装置50まで搬送する搬送路である。中継搬送路Rt2は、例えば、吸気式のベルト搬送装置46で構成されている。排出搬送路Rt3は、定着後で画像が形成された記録用紙9を排出収容部12に排出するよう搬送する搬送路である。排出搬送路Rt3は、複数の排出ロール対47a,47b等と図示しない用紙案内部材で構成されている。反転搬送路Rt4は、回転方向が正転方向と逆転方向に切替可能な反転ロール対48と図示しない用紙案内部材で構成されている。反転搬送路Rt4は、図示しない切替部材によって排出搬送路Rt3から記録用紙9の搬送方向が切り替えられる搬送路である。両面搬送路Rt5は、複数の用紙搬送ロール対49等と図示しない複数の用紙案内部材等で構成されている。
<画像形成装置による基本的な画像形成動作>
この画像形成装置1では、以下に説明する基本的な画像形成動作が行われる。ここでは、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成する場合の動作を例にして説明する。
まず、画像形成装置1は、中央制御装置60が外部等から画像形成動作の要求指令を受けると、4つの作像装置20(Y,M,C,K)において、各感光体ドラム21が矢印Aで示す方向にそれぞれ回転させられ、各帯電装置22が帯電電流の供給を受けて接触放電を発生させる。これにより、各感光体ドラム21は、その像形成面が所要の極性(例えばマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させられる。
続いて、各露光装置23が、各感光体ドラム21の帯電後における像形成面に対して各色成分(Y,M,C,K)に分解された画像信号に応じた露光をそれぞれ行う。これにより、各感光体ドラム21の像形成面には、所定の電位からなる各色成分の静電潜像がそれぞれ形成される。
続いて、各現像装置24(Y,M,C,K)が、所定の極性(マイナス極性)に帯電された色(Y,M,C,K)のトナーを、現像ロール241から供給するとともに、現像バイアスの供給を受けて現像ロール241と感光体ドラム21との間に形成される現像電界により、感光体ドラム21の像形成面における各色成分の静電潜像の部分に静電的に付着させる。これにより、各感光体ドラム21の像形成面には、4色(Y,M,C,K)のうちの対応する色のトナー像が個別に形成される。
続いて、各一次転写装置25が一次転写電流の供給を受けて感光体ドラム21との間に一次転写電界を形成することにより、各感光体ドラム21上のトナー像を中間転写装置30における中間転写ベルト31の像保持面に対して順番(Y,M,C,Kの順)に一次転写させる。また、ドラム清掃装置26が、一次転写後等における各感光体ドラム21の像形成面を清掃する。さらに、除電器27が、一次転写後等における各感光体ドラム21の像形成面を除電して、各感光体ドラム21における次の作像動作に備える。
次いで、中間転写装置30において、中間転写ベルト31が矢印Bで示す方向に回転することにより、その像保持面に一次転写されて保持された未定着のトナー像を二次転写装置35と向き合う二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置40において、送出装置42が所要の記録用紙9を収容体41から供給搬送路Rt1に送り出した後、供給搬送路Rt1を経由させて中間転写装置30の二次転写位置に送り込むよう供給する。そして、二次転写位置においては、二次転写装置35が二次転写バイアスの供給を受けて中間転写ベルト31との間に二次転写電界を形成することにより、中間転写ベルト31上の4色のトナー像を記録用紙9の片面に対して二次転写させる。
次いで、未定着のトナー像が二次転写された記録用紙9が、中間転写ベルト31から剥離された後に中継搬送路Rt2を経由して定着装置50に送り込まれるよう搬送される。定着装置50では、その記録用紙9が加熱用回転体52と加圧用回転体53の接触部分である定着処理部に導入されて通過する際に加熱及び加圧される。これにより、トナー像を構成するトナーが加圧下で溶融されて、トナー像が記録用紙9に定着される。
続いて、トナー像が定着された後の記録用紙9が、定着装置50の筐体51内から排出された後に排出搬送路Rt3を経由して搬送され、最後に用紙排出口11から筐体10の外部に排出されて排出収容部12に収容される。
また、記録用紙9の両面に画像を形成する場合は、片面に画像が形成された記録用紙9を排出収容部12へ排出せずに、図示しない切替部材によって排出搬送路Rt3から反転搬送路Rt4へと搬送する。反転搬送路Rt4の反転ロール対48は、搬送されてきた記録用紙9の上端を挟持したままの状態で回転方向が正転方向から逆転方向に変更され、表裏を反転させた状態で記録用紙9を両面搬送路Rt5へと搬送する。両面搬送路Rt5へ搬送された記録用紙9は、供給搬送路Rt1を経由して裏面にトナー像が転写される。その後、記録用紙9は、中継搬送路Rt2を経由して定着装置50まで搬送され、定着装置50により定着処理(加熱及び加圧)を施され、排出搬送路Rt3を経由して排出収容部12に収容される。
以上の動作が行われることにより、フルカラー画像が片面又は両面に形成された1枚の記録用紙9が出力される。また、複数枚の画像形成動作の要求指令を受けた場合は、その枚数分だけ上記画像形成動作が同様に繰り返して行われる。
この他、画像形成装置1では、上記画像形成動作において、4つの作像装置20(Y,M,C,K)のいずれか1つを作動させることにより単色の画像を形成することや、4つの作像装置20(Y,M,C,K)の2つ又は3つを組み合わせて作動させることによりフルカラー画像以外のカラー画像を形成することもできる。
<画像形成装置の特徴部分の構成>
ところで、この実施の形態1に係る画像形成装置1は、少なくとも感光体ドラム21における画質保障範囲の端部が摩耗すること等の異常の予兆を知るための機能として、以下の構成を備えている。また、画像形成装置1は、少なくとも感光体ドラム21における画質保障範囲の端部が摩耗すること等の異常の予兆を知るための複数の情報を識別可能とする機能として、以下の構成を備えている。
感光体ドラム21は、図3に示されるように、画質保障範囲212を有している。ここで画質保障範囲212とは、画像形成装置1においてユーザーによって画像形成することが許容されている用紙のうち最大サイズの記録用紙9の幅(例えば、A3サイズの短手方向の幅)よりも広い幅を有する範囲をいい、画質保障範囲212は、ユーザーによって画像形成装置1に指示される通常の画像(縁なし画像を含む)を形成するために使用される領域である。また、感光体ドラム21は、画質保障範囲212の軸方向Dに沿った外側の両端部に位置する端部215,216を含めた範囲が像形成可能範囲210として構成されている。感光体ドラム21の端部215,216は、導電性基材の周面に感光材料からなる感光体層を有している。感光体ドラム21の像形成可能範囲210は、文字通り、像形成が可能な範囲である。ただし、感光体ドラム21の端部215,216には、通常の画像形成時、画像を形成しない。
このように、感光体ドラム21の像形成可能範囲210は、図3に示されるように、感光体ドラム21の軸方向Dにおける左右両端部(像形成不能部分)を除く範囲である。より具体的には、感光体ドラム21のうち感光体層が形成されている像形成面の部分であって帯電、露光(潜像形成)及び現像の工程による作像動作が可能な範囲である。現像ロール241に現像剤が保持されて現像が可能な範囲(現像可能範囲)は、感光体ドラム21の像形成可能範囲210と軸方向Dにおいてほぼ同じである。また、感光体ドラム21の像形成可能範囲210に形成される画像は、一次転写装置25によって中間転写ベルト31に転写されるとともに、二次転写装置35によって中間転写ベルト31から記録用紙9に二次転写可能となっている。
ところで、感光体ドラム21は、図3に示されるように、帯電装置22の帯電ロール221が接触することによって帯電される。帯電装置22は、上述したように、その帯電ロール221の回転軸223が軸方向Dの両端部に加圧力Fを受けた状態で支持されている。このような支持状態にある帯電ロール221は、その中央部では感光体ドラム21の外周面から離れる方向に向かい、その両端部では感光体ドラム21に接近する方向に向かうよう全体が上向きの凸形状に湾曲して撓んだ状態になる。このため、感光体ドラム21は、帯電ロール221の左右両端部が中央部に比較して相対的に強い圧力で接触し続ける状態におかれる。
この結果、感光体ドラム21は、図4(a)(b)に示されるように、帯電ロール221の左右両端部が強く接触する部分(通常、像形成可能範囲210の外側部分)のうち、局所的に圧接力が高くなった部分が、円周方向に延びるよう筋状に摩耗され始める(符号219が摩耗部分)。また、この感光体ドラム21は、その使用頻度が高まるにつれて、その筋状の摩耗部分219が、図4(c)、(d)に順次例示するように軸方向Dに沿う内側(中央部)に入り込むよう徐々に変位するようになり、偏摩耗されるようになる。
つまり、この感光体ドラム21に発生した摩耗部分219は、図4(c)に示されるように、像形成可能範囲210の画質保障範囲212の外側に位置する端部215,216に入り込むように成長する。その後、摩耗部分219は、図4(d)に示されるように、画質保障範囲212の左右端部の一方又は双方から内側に位置する画質保障範囲212に入り込むまで成長することになる。
この場合、摩耗部分219が画質保障範囲212の左右端部に入り込むようになった段階が、異常発生時である感光体ドラム21における端部摩耗が生じた状況になる。また、摩擦部分219の成長速度や拡がり具合は、感光体ドラム21の左右端部で均等に発生する場合もあるが左右端部で異なる場合もある。
感光体ドラム21は、接地処理された導電性基材の周面に感光体層を形成したものであり、感光体層の表面が帯電ロール221により帯電されて電荷が付与されるコンデンサとして機能する。感光体ドラム21の感光体層が摩耗して膜厚が減少すると、感光体ドラム21の導電性基材の周面と光誘電層の表面との距離が減少し、コンデンサとして機能する感光体ドラム21の静電容量C(=Q/V)が局所的に低下する。そのため、感光体ドラム21の少なくとも像形成可能範囲210に摩耗部分219が存在すると、感光体層の膜厚の減少に伴う静電容量Cの低下に起因して帯電ロール221により同一電荷Qを付与しても、感光体ドラム21の表面電位Vが現像装置24の現像ロール241と対向する現像位置へ移動するまでに低下する暗減衰のレベルが増大する。感光体ドラム21は、その暗減衰のレベルが増大する分に対応して感光体ドラム21の帯電電位:Vhが低下する割合も増えるようになる。これにより、摩耗部分219は、現像工程においてトナーが多めに付着するようになり、摩耗部分219以外の部分に比べて濃度が濃い部分として可視化される。
更に説明すると、画像形成装置1では、図5(a)に示されるように、通常の画像形成時、現像装置24の現像ロール241の現像電位Vd1が感光体ドラム21の帯電電位Vh1より低い値に設定され、画像露光により帯電電位がViに低下した画像領域が現像ロール241から供給されるトナーにより反転現像される。
これに対して、画像形成装置1では、図5(b)に示されるように、感光体ドラム21の摩耗部分219の有無を検知するため、現像装置24の現像ロール241に感光体ドラム21の帯電電位Vh1よりも高い現像電位Vd2を供給する。すると、感光体ドラム21の端部215,216に摩耗部分219が存在すると、上述したように、他の摩耗部分219が生じていない領域に比較して感光体ドラム21の帯電電位Vh1’が低下する。そのため、感光体ドラム21の摩耗部分219には、他の摩耗部分219が生じていない領域に比較して、感光体ドラム21の帯電電位Vh1’と現像ロール241の現像電位Vd2との電位差(Δα1)が大きくなり、摩耗部分219以外の部分に比べて濃度が濃い部分として可視化される。
画像形成装置1において、摩耗部分219が濃い目に現像された画像が筋状に見える濃度の濃い画像部分K1,K2は、図6に示されるように、画質保障範囲212の軸方向に沿った外側に現れる。そのため、感光体ドラム21の軸方向に沿った左右端部付近に筋状に見える濃度の濃い画像部分K1,K2を記録用紙9に転写して検出するためには、記録用紙9として通常使用されるA3サイズ等の定型の記録用紙9よりも感光体ドラム21の軸方向に沿った幅が広い特殊な記録用紙9Bを用いる必要がある。この特別な記録用紙9Bの左右端部は、感光体ドラム21における画質保障範囲外の端部215,216に相当する。なお、特別な記録用紙9Bとしては、感光体ドラム21における画質保障範囲外の端部215,216より更に幅が広い用紙を用いても良い。
画像形成装置1では、特別な記録用紙9Bに画像露光を行わない第1作像動作を実行することにより、感光体ドラム21における画質保障範囲の端部が摩耗すること等の異常の予兆を知ることが可能となる。この第1作像動作において、特別な記録用紙9Bの左右端部に筋状に見える濃度の濃い画像部分K1,K2が存在していた場合は、本来の端部摩耗に発展する手前の摩耗部分219が感光体ドラム21に発生していることを示すことになるので、その画像部分K1,K2の存在を端部摩耗という異常の予兆として捉えることができる。
このように、感光体ドラム21の画質保障範囲212に端部摩耗が発生すると、通常の画像を形成した際に、その端部摩耗に起因した筋状の画像欠陥が発生することとなる。しかし、第1作像動作を実行してその結果を調べることにより、その画像欠陥が発生する前に感光体ドラム21における端部摩耗という異常の予兆を知ることが可能になる。
そこで、この実施の形態1に係る画像形成装置1においては、図6に示されるように、この摩耗部分219が濃い目に現像された画像が、特別な記録用紙9Bの左右端部付近に筋状に見える濃度の濃い画像部分K1,K2として現れるように出力する第1作像動作を実行するよう構成されている。
すなわち、画像形成装置1は、図7に示されるように、感光体ドラム21の像形成可能範囲210のうち、少なくとも画質保障範囲212以外となる端部215,216を現像剤で現像する第1作像動作を実行する制御手段61と、その第1作像動作の結果に関する情報を出力する出力手段70を備えている。
制御手段61は、画像形成装置1の動作を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)61aと、CPU61aで実行されるプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)61bと、CPU61aで実行されるプログラムで使用されるパラメータ等を記憶するRAM(Random Access Memory)61cと、これらCPU61aやROM61b等を接続する図示しないバス等を有している。制御手段61は、ROM61bに記憶されたプログラムを実行することにより上述した第1作像動作を行うよう構成されている。制御手段61は、第1作像動作を実行するとともに、当該第1作像動作を実行した際の画像形成条件や第1作像動作の結果などをROM61bに順次記憶する動作をも実行する。また、制御手段61は、計時機能やカレンダー機能を有しており、第1作像動作を実行する毎に画像形成条件や第1作像動作の結果などに日時情報を付加して記憶するとともに、過去の第1作像動作の条件や結果などを適宜読み出して操作表示装置14の表示部14bに表示する機能をも備えている。なお、この制御手段61は、中央制御装置60の一部として構成されるが、独立した制御手段として構成してもよい。
制御手段61は、画像形成装置1内に設置された温度及び湿度の少なくとも一方を検知する図示しない環境センサなどの検知手段を備えていても良い。感光体ドラム21の特性が温度や湿度等の環境依存性を有している場合には、特に有効である。
この制御手段61は、図7に示されるように、帯電装置22の帯電ロール221に帯電バイアスを供給するとともに、現像装置24の現像ロール241に現像バイアスを供給し得る帯電電圧給電手段及び現像電圧給電手段の一例としての給電手段15、露光装置23を駆動させる露光駆動部16、上記第1作像動作等の結果を出力する出力手段70、操作表示装置14の表示部14b等に接続されており、それらに第1作像動作等の動作を行う際に必要な制御信号を送信する。また、この制御手段61は、外部機器等との間で情報の通信を行う通信部19、操作表示装置14の入力部14a等と接続されており、これにより制御動作に必要な情報を入手している。
そして、制御手段61は、上記第1作像動作を実行するときには、給電手段15から供給する帯電バイアス及び現像バイアスの少なくとも一方について、感光体ドラム21の画質保障範囲外となる端部215,216も現像装置24から供給する現像剤(トナー)で現像することができる電位差Δαを生成する条件に複数段階にわたり変更するよう構成されている。
このときの第1作像動作は、感光体ドラム21の像形成可能範囲210の全域に一様にトナーを付着させる現像動作である。この第1作像動作は、像形成可能範囲210の全域に一様にトナーを付着させる所謂かぶり現象による現像動作をも含む。また、この第1作像動作は、感光体ドラム21及び帯電装置22を備えた作像装置20が複数ある場合には、その複数ある作像装置20(Y,M,C,K)の1つずつを作動させながら順次行うことになる。また、異常が発生する虞れがある作像装置20(Y,M,C,K)が特定の作像装置、例えば、画像形成動作が他の作像装置に比較して頻繁に実行されるブラック(K)の作像装置20Kなどに限定される場合には、当該該当する作像装置20のみにおいて第1作像動作を実行するよう構成しても良い。
また、制御手段61は、第1作像動作を実行するときは、露光装置23による露光を行わず、静電潜像の形成を行わないように露光駆動部16の動作を制御する。
上記電位差Δαは、図5(b)に示されるように、端部215,216も現像できるときの、感光体ドラム21の帯電(表面)電位:Vhと現像バイアスの直流成分により生成される現像電位:Vdとの差(絶対値)になる(Δα=|Vh-Vd|)。
実際、この電位差Δαは、通常の画像を作像するときの帯電電位:Vh1(図5(a))を基準にして、通常の画像を作像するときの現像電位:Vd1を端部215,216での現像も可能になるときの特別な現像電位:Vd2(図5(b))に変更することで生成される。また、このときの特別な現像電位:Vd2としては、例えば図5(b)に示されるように、通常の画像を作像するときの帯電電位:Vh1を絶対値で超えた大きさの電位が採用される。この特別な現像電位:Vd2は、例えば、現像バイアス(実際には直流成分の電圧)を種々変更して上記現像を行うのに適した現像電位を調べる実験等を行うことによりあらかじめ求められる。
また、帯電電位:Vh1及び現像電位:Vd2は、第1作像動作を実行するときに制御手段61からの信号に基づいて給電手段15を制御することにより、少なくとも一方の電位が複数の値に変更可能となっている。
制御手段61は、図5(b)に示されるように、例えば、感光体ドラム21の帯電電位:Vhを一定とした場合に、現像バイアスの直流成分により生成される現像電位:Vdを複数段階にわたり大きな値に変更する。感光体ドラム21の帯電(表面)電位:Vhと現像バイアスの直流成分により生成される現像電位:Vdとの差(絶対値)Δα=|Vh-Vd|が小さいと、感光体ドラム21の摩耗部分219の摩耗量が少ない場合など、第1作像動作を実行しても、特別な記録用紙9Bの左右端部付近に筋状に見える濃度の濃い画像部分K1,K2が現れないことがある。この場合、感光体ドラム21の帯電(表面)電位:Vhと現像バイアスの直流成分により生成される現像電位:Vdとの差(絶対値)Δα=|Vh-Vd|を増加させることで、感光体ドラム21の摩耗部分219の摩耗量が少ない場合であっても、特別な記録用紙9Bに濃度の濃い画像部分K1,K2が現れるように現像することができる。
さらに、制御手段61による第1作像動作は、例えば、サービスエンジニア(サービスマン)が操作表示装置14における入力部14aから第1作像動作の実行モードを選択して指示したときに実行されるよう構成されている。サービスエンジニアは、操作表示装置14における入力部14aを操作することにより、帯電電位:Vh1及び現像電位:Vd2の少なくとも一方を所望の値に適宜設定することが可能となる。
この場合、第1作像動作の実行モードは、例えば、操作表示装置14における表示部14bに選択指示用の画面として表示される。また、このサービスエンジニアの指示による第1作像動作の実行は、例えば、画像形成枚数等の情報に基づく使用頻度の経過状況に応じて、定期的に行うようにすることが好ましい。
上記出力手段70は、例えば、第1作像動作により感光体ドラム21に形成された現像剤像(未定着のトナー像)を特殊な記録用紙9Bに転写形成(記録)して出力するよう構成されている。
この構成の出力手段70は、制御手段61により実行する第1作像動作について、現像バイアスを変更することと静電潜像を形成しないこと以外は、通常の画像を形成するときの画像形成動作における条件に従って行う制御内容に設定しておくことで実現される。このような構成の出力手段70では、第1作像動作の結果に関する情報が、記録用紙9に記録されて出力されることになる。
ただし、この出力手段70の出力時に使用する記録用紙9は、感光体ドラム21の画質保障範囲外の端部215,216に現像で形成されるトナー像の転写等を可能にする必要があることから、その送り幅が感光体ドラム21における像形成可能範囲210の軸方向の寸法とほぼ同じ寸法からなる例外扱いの特別な記録用紙(確認のための用紙)9Bを使用することになる(図6)。
この特別な記録用紙9Bは、給紙装置40における収容体41への収容と送出装置42の送り出しとが可能な場合には、給紙装置40から送り出して中間転写装置30の二次転写位置に供給される。一方、特別な記録用紙9Bは、給紙装置40からの供給ができない場合には、例えば図示しない手差し給紙機構における手差しトレイに収容してから供給搬送路Rt1の途中に合流させるよう送り出して中間転写装置30の二次転写位置に供給される。
第1作像動作は、制御手段61によって、帯電電位:Vh1及び現像電位:Vd2の少なくとも一方の値を異ならせて複数n回(n=4~5程度)実行される。画像形成装置1では、図8に示されるように、第1作像動作を実行することで複数枚の特別な記録用紙9B1、9B2~9Bnが出力される。
しかしながら、画像形成装置1から出力される複数枚の特別な記録用紙9B1、9B2~9Bnは、露光装置23による露光工程を実行せずに画像が形成される。そのため、条件を異ならせて出力される複数枚の特別な記録用紙9B1、9B2~9Bnには、互いに識別するための情報が付加されておらず、それ自体で互いに識別することができず、管理上の不都合がある。
そこで、この実施の形態1に係る画像形成装置1では、図9に示されるように、第1作像動作の結果に関する情報を識別する識別情報の一例としての識別符号100を特別な記録用紙9Bに付加する付加手段を備えるように構成されている。付加手段としては、出力手段70が用いられる。出力手段70は、例えば、4つの作像装置20(Y,M,C,K)のうちいずれか1つの作像装置から構成される。
この実施の形態に係る画像形成装置1では、例えば、第1作像動作を実行する作像装置20以外の作像装置において、制御手段61によって通常の画像形成動作を実行して複数枚の特別な記録用紙9Bを互いに識別する識別符号100の画像を作成して付加するよう構成されている。第1作像動作を実行する作像装置20がブラック(K)の作像装置20Kである場合、識別符号100を作成する作像装置は、ブラック(K)以外の作像装置、例えば、シアン(C)の作像装置20Cが選択される。また、第1作像動作を実行する作像装置20が中間転写ベルト31の移動方向に沿った最も上流側のイエロー(Y)の作像装置20Yである場合には、基本的に、当該イエロー(Y)の作像装置20Y以外の作像装置で識別符号100が作成される。ただし、イエロー(Y)以外の作像装置20(M,C,K)で形成された識別符号100は、記録用紙9の第1作像動作で形成された画像の下側に転写されるため判読が困難な場合がある。そこで、第1作像動作をイエロー(Y)の作像装置20Yで実行する場合には、図11(a)(b)に示されるように、記録用紙9の先端又は後端に余白101を形成するように第1作像動作の開始端又は終了端を制御することが望ましい。
制御手段61は、帯電電位:Vh1及び現像電位:Vd2の少なくとも一方の値を異ならせて第1作像動作を実行するときに、当該第1作像動作を実行しない作像装置20において、識別符号100の画像を作成して対応する特別な記録用紙9Bに形成する。識別符号100の画像情報は、制御手段61によって作成される。
識別符号100としては、例えば、1次元バーコード、2次元バーコード、あるいは数字や文字等の目視によって判読可能な符号など、複数の特別な記録用紙9Bを互いに識別可能なものであれば種々のものを用いることができる。図示の実施の形態では、図10に示されるように、識別符号100として2次元バーコードを用いている。また、識別符号100としては、図11(c)に示されるように、2次元バーコードとともに、サンプル1やサンプル2などの数字や文字などからなる複数の符号を含んでいても良い。2次元バーコードの一例としてのQRコード(登録商標)は、数字のみで最大7,089文字、英数字で最大4,296文字、漢字・かな文字で最大1,817文字程度の情報量を有している。
識別符号100に形成される識別情報としては、特別な記録用紙9Bに画像を形成する感光体ドラム21の帯電電位:Vh1、及び現像装置24の現像電位:Vd2、一次転写電位、二次転写電位などの作像条件、画像形成装置1を個別に識別する識別番号、画像形成時における画像形成装置1内の温度及び湿度等の環境条件などが挙げられる。
また、識別符号100を形成する位置は、特別な記録用紙9Bの予め定められた特定領域に設定される。特定領域としては、第1作像動作によって画像を形成する面と同一面、又は第1作像動作によって画像を形成する面と異なる面が選択される。特定領域として第1作像動作によって画像を形成する面と同一面が選択される場合、特定領域は、例えば、検知したい筋状に見える濃度の濃い画像部分K1,K2が現れない箇所に設定される。筋状の濃度が濃い画像部分K1,K2は、感光体ドラム21の軸方向に沿った画質保障範囲212以外の両端部215,216に現れ易い。そのため、特定領域は、感光体ドラム21の画質保障範囲212内に設定することが望ましい。
また、制御手段61は、以前に第1作像動作を実行したときの結果に関する情報をROM61bに有している。そのため、制御手段61は、ROM61bに記憶された以前に第1作像動作を実行したときの結果に関する情報を参照することにより、濃度の濃い画像部分K1,K2の発生の有無、及び濃度の濃い画像部分K1,K2が発生した箇所の情報を取得することができる。制御手段61は、濃度の濃い画像部分K1,K2が発生した箇所の情報を取得することにより、画質保障範囲212以外であっても検知したい濃度の濃い画像部分K1,K2が現れていない箇所に識別符号100を形成する。
また、第1作像動作によって画像を形成する面と異なる面とは、図12に示されるように、第1作像動作によって画像を形成する面を第1面(表面)とした場合、特別な記録用紙9Bの第2面(裏面)である。識別符号100を形成する位置として、特別な記録用紙9Bの第2面(裏面)が選択された場合には、特別な記録用紙9Bの表面に第1作像動作によって画像を形成し、特別な記録用紙9Bの裏面に識別符号100の画像を形成することになる。この場合、特別な記録用紙9Bには、表裏両面に画像を形成することになる。第1作像動作によって画像を形成する面と異なる面に識別符号100を形成する場合、識別符号100を形成する作像装置は、第1作像動作を実行する作像装置以外の作像装置に限定されず、任意に選択することができる。識別符号100を形成する作像装置としては、第1作像動作を実行する作像装置と同一の作像装置を用いても良い。
識別符号100を形成する色は、上述したように、第1作像動作を実行する作像装置20によって決定される。
<画像形成装置の特徴部分の動作(第1作像動作)>
画像形成装置1においては、サービスエンジニアにより操作表示装置14の入力部14aから第1作像動作の実行モードが選択されて指示されると、制御手段61により以下の第1作像動作が実行される。
このときの第1作像動作は、例えば、4つの作像装置20(Y,M,C,K)を1つずつ作動させながら、各作像装置20(Y,M,C,K)において複数回実行される。ここでは、代表してブラック色Kの作像装置20Kを作動させて実行されるときの第1作像動作について説明する。
第1作像動作の実行時期になると、作像装置20Kでは、回転する感光体ドラム21の像形成可能範囲210が帯電装置22により通常の画像の形成時と同じ帯電電位:Vh1になるよう帯電された後、露光装置23の露光を受けることなく通過し、第1作像動作用の現像バイアスが供給された現像装置24Kを通過して現像が行われる。
この際、作像装置20Kにおける感光体ドラム21は、図5(b)に示されるように、その像形成可能範囲210がマイナス極性の帯電電位:Vh1になるよう帯電される一方で、第1作像動作用の現像バイアスが供給されて帯電電位:Vh1を超える大きさのマイナス極性からなる特別な現像電位:Vd2を示す現像装置24Kの現像ロール241と対峙することになる。
これにより、感光体ドラム21と現像ロール241との間は、感光体ドラム21の画質保障範囲外の端部215,216をも現像する電位差:Δα1(=Vd2-Vh1)が生成される。例えば、帯電電位:Vh1として「-550V」、特別な現像電位:Vd2として「-600」を適用した場合、その電位差:Δα1は絶対値で「50V」となる。
この結果、感光体ドラム21は、その画質保障範囲外の端部215,216を含む像形成可能範囲210の全域がマイナス極性に帯電した黒色のトナーが付着して現像される。
続いて、感光体ドラム21に形成された第1作像動作時の黒色トナー像は、中間転写装置30の中間転写ベルト31に一次転写されて搬送された後、二次転写位置で特別な記録用紙9Bに二次転写される。最後に、第1作像動作時の黒色トナー像は、定着装置50により特別な記録用紙9Bに定着された後、その特別な記録用紙9Bに記録された状態で排出収容部12に出力される。
以上により、作像装置20Kの作動による第1作像動作が終了する。この第1作像動作は、感光体ドラム21の帯電電位:Vh1及び特別な現像電位:Vd2の少なくとも一方を変化させて複数回実行される。
特別な現像電位としては、感光体ドラム21の画質保障範囲外となる端部215,216も現像することができる電位差を得られる限りにおいては、図5(b)に二点鎖線で例示するように、通常の画像形成時における帯電電位:Vh1を超える手前の電位となる現像電位:Vd3を適用することも可能である。このときの電位差は、Δα2となる。
このような特別な現像電位:Vd3は、感光体ドラム21における摩耗部分219の暗減衰のレベルが相対的に大きい場合に採用すると、その現像電位Vd3(電位差Δα2)でも摩耗部分219に対する現像がなされるので特に有効である。
また、実施の形態1においては、第1作像動作で感光体ドラム21の画質保障範囲外となる端部215,216も現像するため、給電手段15から供給する現像電流をその現像ができる電位差Δα1(Δα2)を生成するよう変更することで対応する構成例を示した。しかしながら、第1作像動作では、例えば、現像電流を通常の画像を形成するときの現像バイアスの値に保ったままで、給電手段15から供給する帯電バイアスを上記電位差Δα1(Δα2)が生成するよう変更して対応するように構成してもよい。この他にも、第1作像動作では、現像バイアスと帯電バイアスの双方を上記電位差Δα1(Δα2)が生成されるように変更(調整)して対応するように構成しても差し支えない。
さらに、この実施の形態1では、作像装置20Kによる第1作像動作に先立って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の少なくとも1つの作像装置20(Y,M,C)を用いて、特別な記録用紙9Bに第1作像動作の結果に関する情報を識別する識別情報の一例としての識別符号100が形成される。
また、第1作像動作は、このブラック色の作像装置20Kの作動による動作工程が終了した後、残りの色の作像装置20(Y,M,C)をそれぞれ単独で作動させながら順次同様に実行される。
そして、この第1作像動作を実行した場合は、最終的に出力された特別な記録用紙9Bにおける画像をサービスエンジニアが見て調べる。これにより、サービスエンジニアは、少なくとも感光体ドラム21における画質保障範囲の端部が摩耗すること(端部摩耗)等の異常の予兆があるか否かを知ることができる。
すなわち、出力された特別な記録用紙9Bには、図6及び図9に示されるように、その片面全域にほぼ一様にトナーが付着した状態の画像が形成されている。
この際、出力後の特別な記録用紙9Bの搬送方向Eとほぼ直交する幅方向Wの左右端部付近に、例えば、図6に例示するような搬送方向Eに沿って筋状に延びるように見える濃度の濃い画像部分K1,K2が存在していることが確認された場合は、感光体ドラム21の端部摩耗という異常が発生する予兆があることを知ることができる。
一方、出力後の特別な記録用紙9Bの当該左右端部付近に、上記筋状に見える濃度の濃い画像部分K1,K2の存在が確認されなかった場合は、感光体ドラム21の端部摩耗という異常が発生する予兆がないことを知ることができる。
また、第1作像動作によりサービスエンジニアが特別な記録用紙9Bの左右端部に筋状に見える濃度の濃い画像部分K1,K2の存在を確認したときは、サービスエンジニアが感光体ドラム21における端部摩耗という異常の予兆であると判断し、その画像部分K1,K2の存在が確認された感光体ドラム21を新品の感光体ドラムに交換するための手配を行うか、あるいは、新品の感光体ドラムの持ち合わせがあればその場で交換作業を行うことができる。
このように対処した場合は、感光体ドラム21における端部摩耗に起因した画像欠陥の発生を未然に防ぐことができる。また、この端部摩耗に起因した画像欠陥の発生を未然に防ぐことにより、その画像欠陥の発生原因の特定や修復をする作業を行う間、画像形成装置1が使用できなくなるという使用不可時間(ダウンタイム)の発生を防ぐこともできる。
この実施の形態1では、図9に示されるように、第1作像動作によって出力される複数枚の特別な記録用紙9B1 ,9B2 ,・・・9Bnにそれぞれ対応した識別符号100が付加される。そのため、サービスエンジニアは、「サンプル1」等の文字情報などからなる識別符号100を目視で判読するか、2次元バーコードからなる識別符号100をバーコードリーダーにより読み取ることにより、複数枚の特別な記録用紙9B1 ,9B2 ,・・・9Bnを互いに識別することができる。バーコードリーダーとしては、サービスエンジニアが所持しているバーコードの読取機能を備えたスマートフォンなどを用いても良い。
識別符号100により識別される情報としては、感光体ドラム21の識別情報、感光体ドラム21の帯電電位:Vh1の値、現像装置24の現像電位:Vd2の値、第1作像動作を実行したときの画像形成装置1内の温度及び湿度等の環境条件などを知ることができ、出力された複数枚の特別な記録用紙9B1 ,9B2 ,・・・9Bnを互いに識別して管理することが可能となる。
[実施の形態2]
図13は、実施の形態2に係る画像形成装置における第2作像動作の構成及び状態を示している。実施の形態2に係る画像形成装置は、少なくとも一部の部品に関する異常の予兆を知る機能として制御手段61により第2作像動作を実行し得る構成が付加された以外は実施の形態1に係る画像形成装置1と同じ構成からなるものである。
<部品の異常の予兆を知る機能>
実施の形態2に係る画像形成装置1は、少なくとも感光体ドラム21における画質保障範囲212の端部が摩耗すること等の異常の予兆を知るための機能として、第1作像動作に関する構成に加えて、以下の構成を備えている。また、画像形成装置1は、少なくとも感光体ドラム21における画質保障範囲212の端部が摩耗すること等の異常の予兆を知るための複数の情報を識別可能とする機能を備えている。
すなわち、この画像形成装置では、実施の形態1における制御手段61が、図3や図13に示されるように、感光体ドラム21の像形成可能範囲210を帯電装置22で帯電させて現像剤で現像する動作と感光体ドラム21の像形成可能範囲210を帯電装置22で帯電させずに現像剤で現像する動作を含む第2作像動作を実行し得るよう構成されている。また、この画像形成装置では、実施の形態1における出力手段70が、図14に示されるように、その第2作像動作の結果に関する情報を出力し得るよう構成されている。なお、第2作像動作における上記前者の動作(感光体ドラム21の像形成可能範囲210を帯電装置22で帯電させて現像剤で現像する動作)は、第1作像動作に相当する動作であるとして扱うことができる。
制御手段61は、第2作像動作(上記前者及び後者の動作)を実行するときは、給電手段15からの帯電バイアスの供給をするか否か(供給又は不供給)を切り替えるとともに、給電手段15から供給する現像バイアスを感光体ドラム21の像形成可能範囲210が現像剤で現像できる電位差(Δα)を生成できるよう変更するよう構成されている。また、制御手段61は、第2作像動作を実行するときは、露光装置23による露光を行わず、静電潜像の形成を行わないように露光駆動部16の動作を制御する。
まず、第2作像動作の上記前者の動作(実際は第1作像動作)を実行するときは、制御手段61は、実施の形態1における第1作像動作の場合と同様に、給電手段15から供給する現像バイアスについて、図13(a)に示されるように、感光体ドラム21の画質保障範囲外となる端部215,216も現像装置24から供給される現像剤で現像することができる電位差Δαを生成する条件に変更するよう構成されている。
このときの現像バイアスは、図13(a)に例示するように、変更した現像バイアスを供給したときに生成される特別な現像電位:Vd2が、通常の画像を作像するときの帯電電位:Vh1を絶対値で超えた大きさの電位になるような電流を採用している。また、このときの電位差Δαは、上記帯電電位:Vh1と特別な現像電位:Vd2との差(絶対値)である電位差Δα1になる。
次に、第2作像動作の上記後者の動作を実行するときには、制御手段61は、図13(b)に例示するように、給電手段15からの帯電バイアスの供給を停止(不供給)させて感光体ドラム21の像形成可能範囲210を帯電させず(帯電電位:Vh2=0)、一方、現像バイアスを感光体ドラム21の像形成可能範囲210での現像が可能な電位差:Δα3が得られる電流に変更する。このときの特別な現像電位:Vd4としては、上記電位差Δα3が第1作像動作のときの上記電位差Δα1とほぼ同じになる値が採用される。
また、制御手段61による第2作像動作は、第1作像動作の場合と同様に、サービスエンジニアが操作表示装置14における入力部14aから第2作像動作の実行モードを選択して指示したときに実行されるよう構成されている。
この場合、第2作像動作の実行モードは、例えば、操作表示装置14における表示部14bに選択指示用の画面として表示される。実施の形態2では、第2作像動作の実行モードに関する選択指示用の画面は、例えば、第1作像動作の実行モードを選択して指示した場合であって、しかもその第1作像動作が終了した後に、はじめて表示されるように構成されている。また、制御手段61は、第1作像動作を実行した後に第2作像動作を実行するよう制御する構成になっている。ちなみに、第2作像動作は、第1作像動作の実行後に第2作像動作の実行モードを選択して指示する操作を行わない限り行われることがない。
出力手段70は、例えば、実施の形態1における第1作像動作に対する出力手段70の場合と同様に、第2作像動作により感光体ドラム21に形成された現像剤像(未定着のトナー像)を記録用紙9に転写形成して出力するよう構成されている。ただし、この出力に使用する記録用紙9は、第1作像動作の結果を出力する場合と同様に、その送り幅が感光体ドラム21における像形成可能範囲210の軸方向の寸法とほぼ同じ寸法からなる例外扱いの特別な記録用紙9Bを使用することになる(図14)。
<第2作像動作>
画像形成装置1においては、サービスエンジニアにより操作表示装置14の入力部14aから第1作像動作及び第2作像動作の実行モードが選択されて指示されると、制御手段61により以下の第1作像動作及び第2作像動作が実行される。なお、このときの第1作像動作は、前述したとおり第2作像動作における上記前者の動作になる。
また、第2作像動作についても、第1作像動作の場合と同様に、4つの作像装置20(Y,M,C,K)を1つずつ作動させながら計4回行われる。ここでも、代表してブラック色Kの作像装置20Kを作動させて実行されるときの第1作像動作について説明する。
まず、第2作像動作における上記前者の動作でもある第1作像動作の実行時になると、作像装置20Kでは、前述した実施の形態1に係る第1作像動作の場合と同様に、回転する感光体ドラム21の像形成可能範囲210が帯電装置22により通常の画像形成時と同じ帯電電位:Vh1になるよう帯電された後、露光装置23の露光を受けることなく通過し、第1作像動作用の現像電流が供給された現像装置24Kを通過して現像が行われる。
この際、作像装置20Kにおける感光体ドラム21は、その像形成可能範囲210がマイナス極性の帯電電位:Vh1になるよう帯電される一方で、第1作像動作用の現像電流が供給されて帯電電位:Vh1を超える大きさのマイナス極性からなる特別な現像電位:Vd2を示す現像装置24Kの現像ロール241と対峙することになる。
これにより、感光体ドラム21の像形成可能範囲210の帯電電位:Vh1と現像ロール241に生成される特別な現像電位:Vd2との間には、図13(a)に示されるように、感光体ドラム21の画質保障範囲外の端部215,216をも現像する電位差:Δα1が生成される。この結果、感光体ドラム21は、その画質保障範囲外の端部215,216を含む像形成可能範囲210の全域がマイナス極性に帯電した黒色のトナーで現像される。
続いて、感光体ドラム21に形成された第1作像動作時の黒色トナー像は、中間転写装置30の中間転写ベルト31に一次転写されて搬送された後、二次転写位置で特別な記録用紙9Bに二次転写される。最後に、第1作像動作時の黒色トナー像は、定着装置50により特別な記録用紙9Bに定着された後、その特別な記録用紙9Bに記録された状態で排出収容部12に出力される。
以上により、作像装置20Kの作動による第1作像動作が終了する。また、この第1作像動作は、ブラック色以外の色の作像装置20(Y,M,C)がそれぞれ単独で順次作動することにより同様に実行される。
この第1作像動作(第2作像動作における上記前者の動作)の実行により、その作像動作の結果が記録された4色(Y,M,C)分の特別な記録用紙9Bを入手することができる(図14)。
この時点では、実施の形態1における第1作像動作について説明した場合と同様に、その出力された特別な記録用紙9Bにおける画像をサービスエンジニアが見て調べることにより、少なくとも感光体ドラム21における端部摩耗という異常の予兆があるか否かを知ることができる。つまり、出力後の特別な記録用紙9Bの搬送方向Eとほぼ直交する幅方向Wの左右端部付近に、図14に例示するような搬送方向Eに沿って筋状に延びるように見える濃度の濃い画像部分K1,K2が存在していた場合は、感光体ドラム21の端部摩耗という異常が発生する予兆があることを知ることができる。
しかし、この第1作像動作の実行により出力された特別な記録用紙9Bの画質保障範囲と対応する部分に、図14に例示するように、画像部分K1,K2とは異なる別の濃度の濃い画像部分K3が存在する場合が生じることもある。
この場合は、その画像部分K3の存在のみをもって感光体ドラム21における端部摩耗以外の別の異常の予兆があると判断することは困難である。特にその画像部分K3が特別な記録用紙9Bの搬送方向Eに沿ってほぼ同じ間隔で周期的に存在するものである場合には、その画像部分K3が、画像部分K1,K2と異なる部位に存在する異なる構成の画像結果であることから、少なくとも感光体ドラム21の端部摩耗という異常が発生する予兆であると判断することができない。第2作像動作(上記後者の動作)は、このような場合に実行すると有効になる。
次に、第2作像動作における後者の動作の実行時になると、作像装置20Kでは、回転する感光体ドラム21の像形成可能範囲210が帯電装置22による帯電がなされず、次の露光装置23の露光を受けることなく通過した後、第2作像動作用の現像電流が供給された現像装置24Kを通過して現像が行われる。
この際、作像装置20Kの感光体ドラム21は、図13(b)に示されるように、その像形成可能範囲210が帯電されず帯電電位:Vh2=0の状態になり、その一方で第2作像動作用の現像電流が供給されて帯電電位:Vh2=0よりは大きいマイナス極性からなる特別な現像電位:Vd3を示す現像装置24Kの現像ロール241と対峙する。
これにより、感光体ドラム21の像形成可能範囲210の帯電電位:Vh2=0と現像ロール241に生成される特別な現像電位:Vd4との間には、感光体ドラム21の画質保障範囲外の端部215,216をも現像できる電位差:Δα3が生成される。例えば、帯電電位:Vh2=0に対して、特別な現像電位:Vd4として「-50」を適用した場合、その電位差Δα3は絶対値で「50V」となる。この電位差Δα3は、第1作像動作時に適用した電位差Δα1と同じである。この結果、感光体ドラム21は、その画質保障範囲外の端部215,216を含む像形成可能範囲210の全域がマイナス極性に帯電した黒色のトナーが付着して現像される。
続いて、感光体ドラム21に形成された第2作像動作時の黒色トナー像は、中間転写装置30の中間転写ベルト31に一次転写されて搬送された後、二次転写位置で特別な記録用紙9Bに二次転写される。最後に、第2作像動作時の黒色トナー像は、定着装置50により特別な記録用紙9Bに定着された後、その特別な記録用紙9Bに記録された状態で排出収容部12に出力される。
以上により、作像装置20Kの作動による第2作像動作における上記後者の動作が終了する。この第2作像動作における上記後記の動作は、ブラック色以外の色の作像装置20(Y,M,C)がそれぞれ単独で順次作動することにより同様に実行される。
そして、この第2作像動作における上記後者の動作が実行された場合も、最終的に特別な記録用紙9Bが出力されて入手できる。このときもサービスエンジニアが特別な記録用紙9Bにおける画像を見て調べることにより、感光体ドラム21における端部摩耗という異常の予兆の他に、別の異常の予兆があるか否かを知ることもできる。
すなわち、この際、図15に例示するように、特別な記録用紙9Bに第1作像動作の終了時に存在していた濃度の濃い画像部分K3が存在しなかった場合は、その画像部分K3が帯電装置22による帯電を行わなかったことで消失したものとみなし、帯電ロール221の一部に画像部分K3を形成させるような損傷や機能劣化という異常の予兆があることを知ることができる。
これは、帯電ロール221の一部に帯電不良を起こすような損傷や機能劣化した部分が存在した場合、その損傷や機能劣化した部分で帯電された感光体ドラム21の像形成可能範囲210にある部分の帯電電位:Vhが、それ以外の部分に比べて低い電位となり、現像電位:Vdとの電位差も相対的に大きくなる。この結果、その感光体ドラム21の帯電電位の低下した部分が現像されやすくなって多くのトナーが付着することになり、その部分に対応して画像部分K3が形成されて可視化されることに関係している。
またこの際、画像部分K3の周期(間隔)が帯電ロール221の外周の長さ(円周)と対応する寸法であった場合は、その画像部分K3は帯電ロール221の一部に上記損傷や機能劣化という異常の予兆を示す情報である可能性が更に高まる。したがって、このような結果が得られたときは、サービスエンジニアが、該当する帯電装置22(帯電ロール221)の新品への交換を早急に行うよう対処することができる。
一方、このとき出力された特別な記録用紙9B(図15)に、第1作像動作の終了時に存在していた濃度の濃い画像部分K3(図14)が同様に存在していた場合は、感光体ドラム21の画質保障範囲内に損傷や機能劣化した部分が周方向にほぼ同じ間隔で発生していることが推測できる。この場合は、感光体ドラム21の損傷や機能劣化した部分では正常な帯電電位が得られず、それに起因した画像欠陥が発生する可能性が高くなる。したがって、このような結果が得られたときは、サービスエンジニアが、該当する感光体ドラム21の新品への交換を早急に行うよう対処することができる。
なお、第2作像動作における上記後者の動作を行った場合でも、その出力された特別な記録用紙9Bには、図15に示されるように、感光体ドラム21における端部摩耗という異常の予兆を示す画像部分K1,K2が第1作像動作の出力結果の場合(図14)と同様に現れる。また、上記画像部分K3は、特別な記録用紙9Bのうち感光体ドラム21の画質保障範囲外の端部215,216に対応する部分に現れることもあり得る。
さらに、第1作像動作を実行したときに出力された特別な記録用紙9Bに、図14に例示されるように、上記画像部分K3よりも搬送方向Eに沿う間隔が広い別の画像部分K4が現れることもあり得る。
この場合は、その画像部分K4どうしの間隔が帯電ロール221の円周からは発生しない可能性のある寸法であれば、その画像部分K4は感光体ドラム21の画質保障範囲内において周方向にほぼ同じ間隔で発生している損傷や機能劣化した部分により得られている結果であると推測することもできる。
しかし、この場合であっても、第1作像動作に続けて第2作像動作における上記後者の動作を実行したときに出力された特別な記録用紙9Bに、図15に例示するように、画像部分K4が依然として現れることを確認することができれば、感光体ドラム21の画質保障範囲内の一部に損傷や機能劣化という異常の予兆があることを更に確信をもって知ることができる。
[実施の形態3]
図16はこの発明の実施の形態3に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
前記実施の形態1と同一部分には同一の符号を付して説明すると、この画像形成装置1は、図16に示されるように、筐体10の内部に前記実施の形態1と異なり1つの作像装置20のみを備えたモノクロの画像形成装置である。
画像形成装置1では、通常の画像形成時、図17(a)に示されるように、感光体ドラム21の周面が帯電装置22によって所要の電位Vhに帯電されるとともに、現像装置24の現像ロール241に所要の現像バイアス電位Vdが印加される。感光体ドラム21の周面に画像露光されて形成された電位Viの露光部は、現像ロール241の現像バイアス電位Vdとの電位差(Vd-Vi)である現像電位に応じて反転現像されるトナーによって顕像化される。
また、制御手段61は、第2作像動作時、図17(b)に示されるように、例えば、帯電装置22の帯電ロール221に帯電バイアスを印加せずに感光体ドラム21の帯電電位を0Vとするとともに、現像装置24の現像ロール241に-50V程度の現像バイアスVd5を供給するよう制御する。感光体ドラム21の周面は、当該感光体ドラム21の回転に伴って現像装置24の現像ロール241と対向する現像領域に移動する。このとき、感光体ドラム21の電位は0Vであるのに対して、現像装置24の現像ロール241に供給されると現像バイアスは、-50V程度と感光体ドラム21の電位に対して相対的に低い電位である。そのため、現像ロール241の表面に保持されたマイナス極性に帯電されたトナーは、感光体ドラム21と現像装置24の現像ロール241の電位差に応じて感光体ドラム21側に移動し、感光体ドラム21の周面にトナーが略一様に付着してバイアス現像される。感光体ドラム21の周面に現像されたトナー像は、図18(a)に示されるように、転写装置25によって特殊な記録用紙9Bに転写されて定着装置50により定着された後に、排出収容部12に収容される。
また、制御手段61は、現像装置24の現像ロール241に供給する現像バイアスの値を複数回変化させて、特殊な記録用紙9Bを複数枚出力する。
この実施の形態3に係る画像形成装置1では、図17(c)に示されるように、第2作像動作を実行する際に、制御手段61によって特殊な記録用紙9Bの後端部において現像ロール241に供給する現像バイアスVd5を識別情報に応じてON/OFFするか異なる値Vd6に変化させ、特殊な記録用紙9Bの後端部に第2作像動作の画像と濃度が異なる識別符号100を付加するように構成されている。
その結果、特殊な記録用紙9Bの後端部には、図18(b)に示されるように、第2作像動作の実行条件等を示す一次元バーコードからなる識別符号100が形成される。ここで、識別符号100としては規格上の一次元バーコードに限定されるものではなく、画像の濃淡を一次元に配列して互いに識別可能なものであれば、濃淡画像の間隔や幅などは自由に設定することができることは勿論である。
一次元バーコードからなる識別符号100は、間隔及び線幅を記録用紙9の搬送方向に沿って異ならせた複数の一次元の直線状画像から構成されている。一次元バーコードの情報は、直線状画像の間隔と線幅で表現される。一次元バーコードの配列方向に沿った両端部には、例えば、直線状画像が形成されない空白領域又は所要幅の一様な濃度領域がそれぞれ設けられる。そして、一次元バーコードの配列方向に沿った両端部に位置する一対の空白領域又は所要幅の一様な濃度領域の間に識別情報が記録される。また、隣接する直線状画像の間隔は、バーコードの最も細い直線状画像の幅の7倍以上に設定される。バーコード内の他の直線状画像の幅は、最も細い直線状画像の幅に対する比率が予め定められた2:1、3:1、5:1など所要の値に設定される。一次元バーコードからなる識別符号100では、例えば、8~13桁程度の数字を表現することが可能である。
制御手段61は、表現したい識別情報に応じて直線状画像の間隔と線幅に対応した現像バイアスの値及び印加時期を制御する。
この実施の形態3は、作像装置20を1つのみしか備えていないため、単一の作像装置20で識別符号100を形成する必要がある。ただし、上述した実施の形態1と同様に、記録用紙9の両面に画像を形成することが可能であるため、記録用紙9の一方の面に第2作像動作による画像を形成し、記録用紙9の他方の面に通常の画像形成動作によって二次元バーコードを含む文字情報などを形成することも可能である。また、上述した実施の形態1と同様に、記録用紙9の片面の一部領域にのみ第1作像動作による画像を形成し、記録用紙9の他の領域に通常の画像形成動作によって二次元バーコードを含む文字情報などを形成することも可能である。
また、前記実施の形態1では、サービスエンジニアが操作表示装置14の入力部14aを操作して特殊モードにおいて第1作像動作を実行する場合について説明したが、この実施の形態3では、制御手段61が記録用紙9の総プリント枚数に応じて第1作像動作を自動的に実行するように構成しても良い。
このとき、第1作像動作では、ユーザーが通常使用する記録用紙9と異なる特殊な記録用紙9を使用する必要があるが、制御手段61が操作表示装置14の表示部に第1作像動作を実行する旨、及びユーザーに特殊な記録用紙9を収容部に収容するように促すことで実行することが可能である。
この実施の形態3では、感光体ドラム21の周面を帯電させずに、現像装置24の現像バイアスを切り替えて識別符号100を形成する場合について説明したが、実施の形態1において説明したように、感光体ドラム21の帯電させた電位Vhに対する現像バイアスVbを制御するバイアス現像の場合には、露光装置23による露光によって識別符号100の画像を形成するように構成しても良い。この場合には、現像電位が通常の画像形成時と同様に高い値となり過ぎて第1作像動作等に伴う画像濃度が過剰とならなるように、露光装置23による露光量を通常の画像形成時より低下させるか、現像バイアスVbを制御することが望ましい。
この実施の形態3では、現像装置24の現像バイアスを切り替えて識別符号100を形成する場合について説明したが、転写装置25の一次転写バイアス、或いは実施の形態1における二次転写装置35の二次転写バイアスを、図17(c)に示されるように制御手段61によって制御することで、識別符号100を形成するように構成しても良い。
[他の実施の形態]
実施の形態1,2においては、出力手段70として、例えば以下に示す他の構成の出力手段70を適用してもよい。その出力手段70としては、第1作像動作又は第2作像動作を実行したときに中間転写ベルト31に転写されるトナー像を読み取る読取手段72と、読取手段72で読み取った画像の情報を出力する出力部75とで構成されるものである。
読取手段72としては、例えば、中間転写ベルト31の幅方向の全域にわたって読取面を有するとともに4色のトナー像を個々に読み取ることができるライン型の濃度センサを適用する。この読取手段72は、図1に例示するように、中間転写ベルト31の作像装置20(Y,M,C,K)のすべてを通過して二次転写位置に至るまでの像保持面(外周面)部分と向き合う位置に、好ましくは支持ロール32b等に支持されている像保持面部分と向き合う位置に配置される。
出力部75は、読み取った情報を一旦記憶させた後か又は即座に、その情報を確認することが可能な機器に出力するものである。このような出力部75としては、例えば、操作表示装置14の表示部14bに出力して読み取った情報を表示させるものを適用することができる。この場合、表示部14bには、例えば、中間転写ベルト31に二次転写されたトナー像の位置や濃淡などが画面表示されることになる。
この読取手段72及び出力部75にて構成される出力手段70を採用した場合は、第1作像動作や第2作像動作を実行したときの結果について、サービスエンジニアが操作表示装置14の表示部14bに表示される内容を見ることで簡便に確認することができる。この場合も、表示画像のなかに上記画像部分K1,K2の有無や他の画像部分K3,K4等の有無などを見て、少なくとも感光体ドラム21における端部摩耗等の異常の予兆があるか否かを知ることができる。
ちなみに、この読み取った情報を出力する場合は、中間転写ベルト31上に転写されたトナー像は記録用紙9等に二次転写させずベルト清掃装置36にて除去すればよい。また、このように第1作像動作や第2作像動作の結果を表示部14bに表示して出力する場合は、前述した特別な記録用紙9Bを使用する必要がなくなる。さらに、この出力手段70は、前述した特別な記録用紙9Bに第1作像動作や第2作像動作の結果を記録して出力する機能を兼備するよう構成してもよい。出力部75については、読み取った情報を画像形成装置1以外の外部の機器に出力(送信を含む)するように構成したものであってもよい。
また、実施の形態1,2においては、第1作像動作や第2作像動作を実行する際に、制御手段61が、給電手段15から供給する現像電流及び帯電電流について電位差Δαを増減させるように変更して供給するよう制御する構成を採用してもよい。この構成を採用した場合には、第1作像動作や第2作像動作の実行で得られる画像の濃度差を調節して、異常の予兆を示す画像部分(K1,K2など)を識別しやすくすることができる。
また、実施の形態2においては、第2作像動作における上記前者の動作を実行する際、図13(a)に二点鎖線で例示するように、帯電した感光体ドラム21に露光装置23による露光を行って画質保障範囲内に静電潜像を形成するよう構成してもよい。この場合、静電潜像としては、例えば、スクリーンを用いたハーフトーン(中間濃度)画像の潜像が適用できる。このように静電潜像を形成する場合は、この第2作像動作における上記前者の動作は第1作像動作(静電潜像の形成をしない場合)と異なる構成の構成になる。
さらに、画像形成装置については、感光体、接触型の帯電装置、現像装置を備えた画像形成装置であれば、実施の形態1,2で例示した中間転写方式を採用した画像形成装置1に限らず、他の形式の画像形成装置であっても構わない。
中間転写方式を採用しない画像形成装置を適用した場合は、上記出力手段70における読取手段72は第1作像動作や第2作像動作の実行時に感光体に形成されたトナー像を読み取ることになる。
なお、前記実施の形態では、主に帯電装置として接触型の帯電装置について説明したが、感光体の偏摩耗は感光体の表面を清掃する清掃ブレード等によっても発生するものであり、接触型の帯電装置に限定されるものではないことは勿論である。