JP7068874B2 - 不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法 - Google Patents
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本発明は以上の課題を鑑みてなされたものであって、末端水酸基を炭素-炭素不飽和基へ変換する製造工程において、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体中のアルカリ性成分を効率的に除去し、精製工程を簡易化、安定化する製造方法を提供することを目的とする。
(1)ポリオキシアルキレンの末端の水酸基を金属アルコキシドによりアルコキシド化反応した後に、
ハロゲン化物を反応させて炭素-炭素不飽和基を導入する不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法において、
ハロゲン化物添加後に炭素数1~3のアルコールおよび水の中から選ばれる少なくとも一種の溶剤を添加した後、該添加溶剤を脱揮により除去し、その後精製工程を経ることを特徴とする、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法、
(2)ポリオキシアルキレンの末端の水酸基を金属アルコキシドによりアルコキシド化反応した後に、アリルグリシジルエーテルを反応させた後、ハロゲン化物を反応させることを特徴とする、(1)に記載の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法、
(3)ハロゲン化物添加後に炭素数1~3のアルコールを添加することを特徴とする、(1)または(2)のいずれか1に記載の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法、
(4)添加する炭素数1~3のアルコールの部数が0.05~20部であることを特徴とする、(1)から(3)のいずれか1に記載の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法、
(5)添加する炭素数1~3のアルコールの部数が0.1~10部であることを特徴とする、(1)から(4)のいずれか1に記載の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法、
(6)添加する炭素数1~3のアルコールがメタノールであることを特徴とする、(1)から(5)のいずれか1に記載の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法、
(7)アルコキシド化反応に用いる金属アルコキシドがナトリウムメトキシドであることを特徴とする、(1)から(6)のいずれか1に記載の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法、
(8)ハロゲン化物がアリルクロライドおよび/またはメタリルクロライドであることを特徴とする、(1)から(7)のいずれか1に記載の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法、
(9)得られた不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体のpHが10.0未満であることを特徴とする、(1)から(8)のいずれか1に記載の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法、
(10)ハロゲン化物を反応させて炭素-炭素不飽和基を導入した後、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体に含まれる水溶性化合物を水により抽出し除去する工程を含み、該工程が50℃以上の温度でポリマー相と水相とを分離する操作を少なくとも含む、(1)から(9)のいずれか1に記載の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法、
(11)抽出水がアスコルビン酸を含有することを特徴とする、(1)から(10)のいずれか1に記載の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法、
(12)水酸基を持つ化合物を金属アルコキシドによりアルコキシド化反応後、ハロゲン化物を反応させて炭化水素基を導入する上で、ハロゲン化物添加後に炭素数1~3のアルコールまたは水の中から選ばれる少なくとも一種を添加することを特徴とする、アルカリ成分除去方法、
(13)ハロゲン化物添加後に添加する溶剤は炭素数1~3のアルコールであることを特徴とする、(12)に記載のアルカリ成分除去方法、
(14)炭素数1~3のアルコールの部数が0.05~20部であることを特徴とする、(12)または(13)のいずれか1に記載のアルカリ成分除去方法、
、
(15)炭素数1~3のアルコールの部数が0.1~10部であることを特徴とする、(12)から(14)のいずれか1に記載のアルカリ成分除去方法、
(16)炭素数1~3のアルコールがメタノールであることを特徴とする、(12)から(15)のいずれか1に記載のアルカリ成分除去方法、
(17)水酸基を持つ化合物がポリオキシアルキレン系重合体であることを特徴とする、(12)から(16)のいずれか1に記載のアルカリ成分除去方法、
また、上記末端水酸基を炭素-炭素不飽和基へ変換する製造工程に限られず、水酸基を持つ化合物を金属アルコキシドによりアルコキシド化反応後、ハロゲン化物を反応させて炭化水素基を導入する場合においても、アルカリ性成分を効率的に除去することが可能となる。
不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法は、ポリオキシアルキレンの末端の水酸基を金属アルコキシドによりアルコキシド化反応した後に、ハロゲン化物を反応させて炭素-炭素不飽和基を導入する。
水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法は、特に限定されることはなく、公知の方法を用いることができる。
H(R3)C=C(R2)-R1-Y
(上記式中、R1は酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ハロゲン原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の2価の有機基であり、R2、R3は、水素原子、または炭素原子数1~10の炭化水素基であり、Yはハロゲン原子である。)
また、不飽和基含有ハロゲン化物は炭素―炭素三重結合を有していてもよく、炭素―炭素三重結合としてプロパルギル基が挙げられる。この時用いられるハロゲン化物としては特に限定されないが、塩化プロパルギル、臭化プロパルギル、ヨウ化プロパルギルなどが好ましい。
また、水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体に、金属アルコキシドを作用(アルコキシド化反応)させた後、炭素-炭素不飽和結合を有するエポキシ化合物と反応させ、さらに上記ハロゲン化物と反応(アリル化反応)させることで、不飽和基を1つの末端に1個より多く有する不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体を得ることもできる。炭素-炭素不飽和結合を有するエポキシ化合物としては、アリルグリシジルエーテルが好ましい。
金属不純物を含む不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の精製方法は特に限定されることはなく、公知の方法を用いることができるが、特許文献2に記載の精製方法が特に好ましい。この精製方法では、残存アルカリ性成分量が精製性により大きく影響するため、本発明の効果が大きくなる。
数平均分子量300のポリプロピレントリオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの開環重合を行い、触媒および/またはその残渣である金属化合物を不純物をして含む、数平均分子量約15000の水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体を得た。
数平均分子量3000のポリプロピレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの開環重合を行い、触媒および/またはその残渣である金属化合物を不純物をして含む、数平均分子量約27000の水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体を得た。
数平均分子量3000のポリプロピレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの開環重合を行い、触媒および/またはその残渣である金属化合物を不純物をして含む、数平均分子量約18000の水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体を得た。
合成例1で得られた水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体の水酸基に対して1.0倍当量のナトリウムメトキシドの30%メタノール溶液を添加してメタノールを留去した後、水酸基に対して1.8倍当量のアリルクロライドを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。アリルクロライド添加後1時間後にメタノール0.5部を添加し、さらに3時間攪拌した後、アリルクロライドとメタノールを留去し、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体(a1)を得た。不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体(a1)のpHを測定したところ、8.4であった。
合成例1で得られた水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体の水酸基に対して1.0倍当量のナトリウムメトキシドの30%メタノール溶液を添加してメタノールを留去した後、水酸基に対して1.8倍当量のアリルクロライドを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。アリルクロライド添加後1時間後にエタノール3部を添加し、さらに3時間攪拌した後、アリルクロライドとエタノールを留去し、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体(a2)を得た。不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体(a2)のpHを測定したところ、8.0であった。
合成例1で得られた水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体の水酸基に対して1.0倍当量のナトリウムメトキシドを30%メタノール溶液として添加してメタノールを留去した後、水酸基に対して1.8倍当量のアリルクロライドを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。アリルクロライド添加後4時間攪拌した後にアリルクロライドを留去し、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体(a3)を得た。不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体(a3)のpHを測定したところ、10.0であった。
合成例1で得られた水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体の水酸基に対して1.0倍当量のナトリウムメトキシドを30%メタノール溶液として添加してメタノールを留去した後、水酸基に対して1.8倍当量のアリルクロライドを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。アリルクロライド添加後1時間後にtert-ブチルアルコール3部を添加し、さらに3時間攪拌した後、アリルクロライドとtert-ブチルアルコールを留去し、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体(a4)を得た。不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体(a4)のpHを測定したところ、10.3であった。
合成例2で得られた水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体の水酸基に対して1.7倍当量のナトリウムメトキシドを30%メタノール溶液として添加してメタノールを留去した後、水酸基に対して4.0倍当量のメタリルクロライドを添加して末端の水酸基をメタリル基に変換した。メタリルクロライド添加後1時間後にメタノール3部を添加し、さらに3時間攪拌した後、メタリルクロライドとメタノールを留去し、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体(a5)を得た。不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体(a5)のpHを測定したところ、8.3であった。
合成例3で得られた水酸基末端ポリオキシアルキレン系重合体の水酸基に対して1.28倍当量のナトリウムメトキシドを30%メタノール溶液として添加してメタノールを留去した後、水酸基に対して0.3倍当量のアリルグリシジルエーテルを添加して反応させた後、水酸基に対して4.1倍当量のアリルクロライドを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。アリルクロライド添加後1時間後にメタノール3部を添加し、さらに3時間攪拌した後、アリルクロライドとメタノールを留去し、不飽和基を1つの末端に1個より多く有する不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体(a6)を得た。不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体(a6)のpHを測定したところ、8.0であった。
合成例4で得られた不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体(a1)687gを攪拌槽に入れ90℃に加熱し、イオン交換水344gを添加した後5分間静置して分離させた。混合溶液を700rpmで1時間、続けて50rpmで15分間攪拌した後、25分間静置することにより分離させた。その結果、混合溶液は不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体相と水相とに分離し、中間相の発生もなかった。水を下部から抜き出した後、精製された不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体を抜き出し、含水率、濁度(A660)を測定した。結果を表2に示す。
合成例4で得られた不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体(a1)687gを攪拌槽に入れ90℃に加熱し、アスコルビン酸0.069g(ポリオキシアルキレン系重合体(a1)に対し100ppm)を溶かしたイオン交換水344gを添加した後5分間静置して分離させた。混合溶液を700rpmで1時間、50rpmで15分間攪拌した後、25分間静置することにより分離させた。その結果、混合溶液は不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体相と水相とに分離し、中間相の発生もなかった。水を下部から抜き出した後、精製された不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体を抜き出し、金属含有量、含水率、濁度(A660)を測定した。結果を表2に示す。
合成例5で得られた不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体(a2)を用いて、実施例2と同様の操作を実施した。結果を表2に示す。
合成例6で得られた不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体(a3)を用いて、実施例1と同様の操作を実施した。結果を表2に示す。
合成例7で得られた不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体(a4)を用いて、実施例1と同様の操作を実施した。結果を表2に示す。
合成例6で得られた不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体(a3)を用いて、実施例2と同様の操作を実施した。結果を表2に示す。
合成例7で得られた不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体(a4)を用いて、実施例2と同様の操作を実施した。結果を表2に示す。
不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体のpHはJIS Z 8802(pH測定方法)に記載の方法で測定した。
不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体のpHは、合成例2~4がそれぞれ8.4、10.0、10.3であり、メタノール0.5部の添加によって、pHの低下が促進しており、アルカリ性成分の消費速度が速くなっていることが分かる。一方、tert-ブチルアルコールの添加ではpH低下促進の効果は確認できなかった。
また、合成例9の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体のpHは8.0であったことから、アルコキシド化反応後、アリル化反応前にアリルグリシジルエーテルを反応させ、不飽和基を1つの末端に1個より多く有する不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体を得る場合でも、ハロゲン化物添加後にメタノールを添加することによって、アルカリ性成分を効率的に除去できることが分かった。
表1に合成例4~9の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体のpHを纏める。ハロゲン化物添加後にメタノールもしくはエタノールを添加した場合にのみpHが10.0を下回っていることが分かる。
不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体に含まれる金属(Co、Zn)含有量はエネルギー分散型蛍光X線分析装置により測定した。
精製後、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体をエバポレーターで脱水し、脱水前後の重量から、含水率を以下のように計算した。
含水率 = {(脱水前の重量 - 脱水後の重量)/ 脱水前の重量 }×100(%)
精製後、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体をエバポレーターで脱水し、分光光度計でA660(660nmの吸光度)を測定した。
Claims (14)
- ポリオキシアルキレンの末端の水酸基を金属アルコキシドによりアルコキシド化反応した後に、
ハロゲン化物を反応させて炭素-炭素不飽和基を導入する不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法において、
ハロゲン化物添加後に炭素数1~3のアルコールの中から選ばれる少なくとも一種の溶剤を添加した後、該添加溶剤を脱揮により除去し、その後精製工程を経ることを特徴とする、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法。 - ポリオキシアルキレンの末端の水酸基を金属アルコキシドによりアルコキシド化反応した後に、アリルグリシジルエーテルを反応させた後、ハロゲン化物を反応させることを特徴とする、請求項1に記載の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法。
- 炭素数1~3のアルコールを0.05~20部添加することを特徴とする、請求項1又は2に記載の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法。
- 炭素数1~3のアルコールを0.1~10部添加することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法。
- 炭素数1~3のアルコールがメタノールであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法。
- 金属アルコキシドがナトリウムメトキシドであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法。
- ハロゲン化物がアリルクロライド、および/またはメタリルクロライドであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法。
- 得られた不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体のpHが10.0未満であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法。
- ハロゲン化物を反応させて炭素-炭素不飽和基を導入した後、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体に含まれる水溶性化合物を水により抽出し除去する工程を含み、該工程が50℃以上の温度でポリマー相と水相とを分離する操作を少なくとも含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法。
- 前記水がアスコルビン酸を含有することを特徴とする、請求項9に記載の不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法。
- 水酸基を持つポリオキシアルキレン系重合体を金属アルコキシドによりアルコキシド化反応後、ハロゲン化物を反応させて炭化水素基を導入する上で、ハロゲン化物添加後に炭素数1~3のアルコールの中から選ばれる少なくとも一種を添加することを特徴とする、アルカリ成分除去方法。
- 炭素数1~3のアルコールを0.05~20部添加することを特徴とする、請求項11に記載のアルカリ成分除去方法。
- 炭素数1~3のアルコールを0.1~10部添加することを特徴とする、請求項11又は12に記載のアルカリ成分除去方法。
- 炭素数1~3のアルコールがメタノールであることを特徴とする、請求項11~13のいずれか1項に記載のアルカリ成分除去方法。
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