以下、図面を参照しながら、本開示に係る照明装置の実施形態の一例について詳細に説明する。図1は第1実施形態である照明装置10の斜視図、図2は照明装置10の分解斜視図、図3は照明装置10の断面図である。
図1~図3に例示するように、照明装置10は、少なくとも軸方向一端が開口した筒状の装置本体11と、装置本体11の内部に設けられる発光モジュール20とを備える。照明装置10は、装置本体11の開口を鉛直下方に向けた状態で天井の埋め込み孔に挿入される天井埋め込み型の照明装置である。照明装置10は、一般的にダウンライトと呼ばれる。本明細書では、説明の便宜上、照明装置10を水平な天井に取り付けた状態で、照明装置10の鉛直上方側を「上」、鉛直下方側を「下」とする。
照明装置10は、例えば住居の室内において水平な天井に取り付けられるが、水平方向および鉛直方向に対して傾斜した天井に取り付けることも可能である。また、照明装置10は住居の廊下、玄関などの天井、或いは図書館、駅等の公共施設、デパート等の商業施設、オフィス、店舗、工場などの天井に取り付けることもできる。照明装置10が取り付けられる天井は、建築空間の上方を区画する部位であればよく、例えば玄関ポーチ、テラスなどの天井であってもよい。なお、本開示に係る照明装置は、ダクトレール等に取り付けられてもよく、天井埋め込み以外の形態で天井に取り付けられてもよい。
照明装置10は、発光モジュール20の光を透過するレンズ40と、軸方向両端が開口した筒状の枠体50とを備える。枠体50は、レンズ40の光出射面41から出た光を上端開口(第1の開口)から下端開口(第2の開口)に導く筒状部材である。枠体50を設けることで、例えばレンズ40を装置の奥に配置でき、遮光角を大きくしてグレアを低減できる。また、照明装置10は、装置本体11に固定され、発光モジュール20を保持するホルダ30を備える。照明装置10は、装置本体11の下に枠体50が固定され、装置本体11の内部に、ホルダ30およびレンズ40が上から順に配置された構造を有する。
照明装置10には、複数の取付バネ19が設けられている。取付バネ19は、板バネ構造を有し、水平方向に延びている。照明装置10は、取付バネ19が天井裏空間において埋め込み孔の周囲に当接することで天井に固定される。本実施形態では、枠体50を構成する外筒51に取付バネ19が固定されている。一般的に、照明装置10は、発光モジュール20に電力を供給する電源ユニット(図示せず)を備える。電源ユニットは、装置本体11と一体化されていてもよい。
詳しくは後述するが、レンズ40は、光出射面41または光出射面41よりも枠体50の下端開口寄りに形成されたレンズ係合部を有する。枠体50は、レンズ係合部と係合する枠体係合部と、レンズ係合部から出る光を遮光する遮光部とを有する。本実施形態では、レンズ係合部として凹部44が、枠体係合部として凸部64がそれぞれ設けられ、枠体50の内筒61が凹部44から出る光を遮光する遮光部材として機能する(図4参照)。なお、遮光部は、レンズに形成されていてもよく、レンズおよび枠体に形成されていてもよい。
装置本体11は、筒壁12および天板13によって形成される筒状部を有する。当該筒状部は、軸方向一端(下端)が開口した有底円筒状に形成されている。装置本体11は、一般的にアルミニウム、または鉄を主成分とする金属材料で構成され、絞り加工、ダイカスト成形等により製造される。なお、装置本体11は、有底円筒状の筒状部を含む部材に限定されず、筒状部は軸方向に垂直な断面が矩形状を呈していてもよい。
装置本体11には、天板13上に立設した複数の放熱フィン14、および筒壁12の外面から径方向外側に張り出したブロック状の放熱フィン15が形成されている。なお、放熱フィンを有さない装置本体を用いてもよい。本実施形態では、ホルダ30がネジ13bを用いて装置本体11の天板13に固定される。このため、天板13には、ネジ13bと放熱フィン14が干渉しない位置に、ネジ挿通孔13aが複数形成されている(図2参照)。また、天板13には、リード線挿通孔13cが形成され、リード線(図示せず)とリード線挿通孔13cとの隙間を塞ぐシール部材13dが取り付けられる(図3参照)。
装置本体11は、上記筒状部の下端開口の周囲において径方向外側に張り出した本体フランジ16を有する。本体フランジ16は、枠体50の固定に利用される。本実施形態では、枠体50がネジ16bを用いて本体フランジ16に固定される。このため、本体フランジ16には、ネジ16bと筒壁52が干渉しない位置に、ネジ挿通孔16a(図2参照)が複数形成されている。また、本体フランジ16には、枠体50の外側凸部59と係合する凹部17が形成されている。凹部17は、本体フランジ16から枠体50側に延出した2本の突起の間に形成される。
装置本体11は、上記筒状部の内側に張り出し、レンズ40を上から押える張出部18を有する(図3参照)。張出部18は、例えば筒状部の周方向に間隔をあけて複数、好ましくは3個形成される。図3に示す例では、張出部18がシール部材45を介してレンズフランジ43を上から押えている。これにより、レンズ40の上下方向の動きが規制される。レンズ40は、装置本体11および枠体50によって挟持されていてもよい。シール部材45は、レンズフランジ43に装着される環状の部材であって、例えば装置本体11とレンズ40の隙間を塞ぐと共に、レンズ40を保護する緩衝材としても機能する。
発光モジュール20は、ホルダ30によって保持され、装置本体11の内部に設けられる。発光モジュール20は、例えば光源21と、光源21が配置される基板22とを有する。光源21を構成する発光素子は、LED(Light Emitting Diode)等の半導体発光素子が好ましい。発光素子は、蛍光体を含む封止層で封止されてもよい。この場合、蛍光体によって発光素子の青色光の一部がより長波長の光に変換され、青色光の残りの一部と混色されることで白色光が出射されてもよい。発光モジュール20は、光源21の熱を拡散させる放熱板を有していてもよい。発光モジュール20は、例えば基板22または放熱板が天板13の内面に接触した状態で装置本体11内に配置される。
ホルダ30は、軸方向両端が開口した筒状に形成されている。ホルダ30は、上端から下端に向かって次第に直径が大きくなった末広がりの筒壁31と、筒壁31の上部に形成された基板保持部32とを有する。基板保持部32は、筒壁31の上端開口の周囲において、発光モジュール20を構成する基板22の周りを囲むように形成されている。発光モジュール20は、ホルダ30の上端開口を通して光がレンズ40および枠体50側に出射されるように、光源21が実装された基板22の面を下に向けて配置される。
ホルダ30は、天板13の外側から装置本体11内に挿通されるネジ13bを用いて天板13の内面に固定される。筒壁31の外面には、ネジ13bが締結される複数のボス部33が立設している。ホルダ30は、一般的に樹脂材料で構成される。ホルダ30(筒壁31)のレンズ40側に向いた内面には、発光モジュール20の光を反射させる被膜が形成されていてもよい。或いは、酸化チタン等の白色顔料など、光の反射率が高いフィラーを含有する樹脂によってホルダ30が構成されていてもよい。ホルダ30の内面に形成される被膜としては、上記フィラーを含有する塗膜、蒸着、メッキ、スパッタリング等により成膜される金属層、無機化合物層などが例示できる。
以下、図4および図5を適宜参照しながら、レンズ40および枠体50について、さらに詳説する。図4はレンズ40の斜視図、図5は枠体50の分解斜視図である。
図2~図4に例示するように、レンズ40は、レンズ本体42と、レンズ本体42の下部に形成されたレンズフランジ43と、光出射面41に形成された凹部44(レンズ係合部)とを有する。光出射面41は、レンズ40に入射した発光モジュール20の光が主に出射される枠体50側に向いたレンズ40の下面である。本実施形態では、レンズフランジ43の下面からも光の一部が出射されるため、レンズフランジ43の下面も光出射面41と言える。光出射面41は、底面視真円形状を有する。
レンズ40は、発光モジュール20の光を発散または収束させる光学部材であって、レンズ本体42が光を発散または収束させる配光制御部として機能する。レンズフランジ43は、装置内におけるレンズ40の固定に使用される。レンズ40は、例えばガラス、またはアクリル系樹脂、ポリカーボネート等の透明性の高い樹脂で構成される。発光モジュール20の発熱量が多い場合は、ガラス製のレンズ40を用いることが好ましい。
レンズ本体42は、例えば光軸の回りに回転対称な形状を有し、枠体50側に向かって次第に拡径した末広がりの円筒状に形成される。レンズ本体42の外周面は、全反射面として機能する。レンズ本体42の中央部には発光モジュール20側に開口した凹部が形成され、また光出射面41の中央部は枠体50側に向かって膨出していてもよい。なお、レンズ本体42の形状は特に限定されず、目的とする配光状態等に応じて適宜変更できる。
レンズフランジ43は、光出射面41の周縁部に沿って環状に形成されている。レンズフランジ43は、レンズ40の径方向外側に張り出し、装置本体11によって上から押えられる。また、レンズフランジ43は、枠体50側に突出している。このため、光出射面41は、周縁部に段差が形成され、周縁部が一段高くなっている。換言すると、光出射面41のレンズフランジ43に囲まれた部分が窪んでいる。また、周縁部が一段高くなっていることにより、光出射面41に影響を与えず加工が可能となり、生産性向上と加工不良の低減が可能となる。
凹部44は、1個であってもよいが、光出射面41の周縁部に複数形成されることが好ましい。本実施形態では、レンズフランジ43の内周縁に凹部44が形成されている。凹部44の数は特に限定されないが、好ましくは3個~6個である。図4に示す例では、レンズフランジ43の内周縁に4個の凹部44が形成されている。凹部44は、レンズ40の径方向内側および枠体50側に開口した窪みであって、底面視略U字状に形成される。凹部44は、上方に向かって縮幅したテーパー形状を有していてもよい。なお、凹部44の形状は特に限定されず、枠体係合部である凸部64が嵌合可能な形状であればよい。
凹部44は、レンズフランジ43の一部に偏在することなく、当該フランジの周方向に離れた複数箇所に形成されることが好ましい。例えば、レンズフランジ43の周方向に略同じ間隔をあけて、換言するとレンズ40の光軸の回りに略同じ間隔をあけて複数の凹部44が形成される。この場合、レンズ40と枠体50の位置合わせが容易になり、良好な係合状態が得られ易い。
図4に示す例では、レンズ40の光軸の回りに約90°間隔で4個の凹部44が形成されている。凹部44が3個の場合は、例えばレンズ40の光軸の回りに約120°間隔で形成される。各凹部44は、互いに異なる形状、寸法を有していてもよいが、好ましくは互いに同じ形状、寸法を有する。
なお、光出射面41に凹部44を形成することにより、照明装置10の小型化を図りつつ、レンズ40と枠体50の良好な係合状態を確保できるが、この場合、凹部44に起因した輝線の発生が想定される。照明装置10では、凹部44から出る光を遮光する遮光部を設けることで、かかる輝線の発生が防止される。
図1~図3および図5に例示するように、枠体50は、外筒51と、外筒51の内部に配置される内筒61とを有する。また、枠体50は、内筒61の下端開口を塞ぐように配置される透光性のカバー70と、外筒51とカバー70の隙間を塞ぐ環状のシール部材72とを有する。カバー70は、略円板形状を呈し、円板の端部に形成されたカバー凸部71を有する。カバー凸部71は、1個または複数個形成され、外筒51との位置合わせに使用される。シール部材72には、例えばOリングが使用される。
外筒51および内筒61は、いずれも軸方向両端が開口した筒状体であって、略円筒状に形成された筒壁52,62をそれぞれ有する。外筒51および内筒61は、装置本体11と軸方向が一致するように配置される。例えば、装置本体11の上記筒状部、外筒51、および内筒61の中心軸が互いに略一致した状態で各部材が配置される。なお、外筒51および内筒61の形状は、円筒状に限定されず、軸方向に垂直な断面が矩形状であってもよい。
枠体50は、レンズ係合部である凹部44に嵌合する凸部64(枠体係合部)と、凹部44から出る光を遮光する遮光部とを有する。詳しくは後述するが、本実施形態では、内筒61が凸部64を有し、遮光部として機能する。内筒61は、レンズ40を支持するフランジ63を有し、フランジ63上に凸部64が形成されている。内筒61は、凹部44を覆うようにレンズ40の下方に配置され、凹部44に起因した輝線の発生を防止する。
外筒51は、装置本体11と同様に金属材料で構成され、絞り加工、ダイカスト成形等により製造される。外筒51の上部には、外筒51よりも一回り小さな内筒61を収容する内部空間60が形成されている。内筒61の上下方向長さは外筒51の上下方向長さより短く、内部空間60は外筒51の上端から上下方向中央部にわたって形成される。内部空間60の底部60bには、外筒51の上端開口および下端開口よりも小さな開口60aが形成されている。なお、枠体50を通過する光は、上端開口から枠体50内に入射し、開口60aを通って下端開口から出射される。外筒51の下部は、開口60aから下端開口に向かって次第に内径が大きくなった末広がり形状を有する。
外筒51の下部において、その内面はレンズ40から出射した光を反射する反射面として機能してもよい。この場合、外筒51の内面には、白色顔料等のフィラーを含有する塗膜、蒸着、メッキ、スパッタリング等により成膜される金属層、無機化合物層などが形成されていてもよい。また、外筒51の内面は鏡面仕上げされていてもよく、或いはバッフル形状を有していてもよい。
筒壁52は、上端面が平坦であり、装置本体11の本体フランジ16および内筒61のフランジ63を安定に載置可能である。筒壁52には、取付バネ19が挿し込まれるバネ固定部55が複数形成されている。外筒51は、ネジ16bを用いて装置本体11の本体フランジ16に固定される。このため、外筒51には、ネジ16bが締結される複数のボス部54が形成されている。
筒壁52の下端部には、環状のフランジ53が形成されている。フランジ53は、照明装置10が天井に取り付けられた状態、即ち装置本体11および枠体50のフランジ53を除く部分が埋め込み孔から天井裏空間に挿入された状態で、天井面の埋め込み孔の周縁に沿って配置される。
内筒61が収容される外筒51の内部空間60には、シール部材72が収容される環状の溝56、およびカバー凸部71が嵌合する凹部57が形成されている。溝56は、内部空間60の底部60bにおいて開口60aの周縁部に形成される。凹部57は、底部60bにおいて溝56よりも外筒51の径方向外側に1個または複数個形成される。また、内部空間60には、内筒61との位置合わせに使用される内側凸部58が形成されている。内側凸部58は、外筒51の内面が内側に張り出した内筒61との係合部であって、1個または複数個形成される。
外筒51の外面には、装置本体11との位置合わせに使用される外側凸部59が形成されている。外側凸部59は、外筒51の外面が外側に張り出した装置本体11との係合部であって、1個または複数個形成される。本実施形態では、装置本体11の本体フランジ16に形成された凹部17に外側凸部59が嵌合することで、装置本体11と外筒51が係合する。
内筒61は、上述のように、レンズ40の凹部44に嵌合する凸部64を有する。内筒61のレンズ40側に位置する上部には、筒壁62の径方向外側に張り出したフランジ63が形成され、凸部64は内筒61の上端開口の周縁部においてフランジ63上に複数形成される。本実施形態では、フランジ63が筒壁62の上端よりやや下方に形成され、筒壁62の上端部がフランジ63の上面(レンズ40側に向いた面)よりもレンズ40側に突出している。凸部64は、筒壁62の上端部の外周面から径方向外側に突出し、フランジ63の上面から筒壁62の上端にわたる高さで形成されている。
内筒61は、上記遮光部として機能する限りにおいて、金属および樹脂のいずれで構成されてもよい。内筒61(筒壁62)の内面は、黒色であることが好ましい。なお、内筒61の表面全体を黒色としてもよい。ここで、黒色とは、黒色および実質的に黒色と認められる色を意味する。筒壁62の内面は、例えば波長400nm~780nmの可視光の反射率が10%未満、好ましくは5%未満である。また、筒壁62は、レンズ40側に配置される上端から開口60a側に配置される下端に向かって内径が縮小するテーパー状に形成されていてもよい。
筒壁62の内面を反射率の低い低反射面とした場合、光の利用効率は低下するものの、筒壁62の内面に当たる光を吸収してカットできるので、レンズ40から出た光を絞ることができ、グレアの低減機能が向上する。筒壁62の内面には、カーボンブラック等の黒色顔料など、可視光吸収率の高いフィラーを含有する塗膜が形成されていてもよい。また、蒸着、メッキ、スパッタリング等により光を吸収する金属層、無機化合物層などが形成されていてもよい。或いは、内筒61が光吸収率の高い材料で構成されていてもよい。
フランジ63は、その上面にレンズ40を配置でき、かつ外筒51の外側に張り出さない大きさで形成されることが好ましい。フランジ63は、外筒51の上端面に載せられてもよく、装置本体11の本体フランジ16および外筒51によって挟持されていてもよい。本体フランジ16には、フランジ63が嵌合する凹部16cが形成されている。フランジ63は、筒壁62の径方向外側に向かって一様に張り出していてもよいが、図5に示す例では、径方向に沿った一の方向に大きく張り出している。
内筒61は、フランジ63によって凹部44が形成されたレンズフランジ43の下面が覆われるようにレンズ40の下に配置される。本実施形態では、光出射面41のレンズフランジ43に囲まれた部分が窪んでおり、また筒壁62の上端部がフランジ63の上面よりもレンズ40側に突出しているので、光出射面41の当該窪みに筒壁62の上端部が挿し込まれる。つまり、内筒61のフランジ63によってレンズフランジ43の下面が覆われ、筒壁62の上端部によってレンズフランジ43の内周面が覆われる。このため、凹部44を含むレンズフランジ43から出た光は、内筒61によって遮光され、照明装置10の下端開口から出射されない。
凸部64は、1個であってもよいが、内筒61の上端開口の周縁部に複数形成されることが好ましい。凸部64は、レンズ40の凹部44の数より少数であってもよいが、一般的には凹部44と同数形成される。図5に示す例では、内筒61の上端開口の周縁部に4個の凸部64が形成されている。凸部64は、凹部44に対応する形状、寸法で形成される。各凸部64は、互いに異なる形状、寸法を有していてもよいが、好ましくは互いに同じ形状、寸法を有する。
凸部64は、凹部44に対応する位置に形成され、筒壁62の周方向に離れた複数箇所に形成されている。例えば、筒壁62の周方向に略同じ間隔をあけて、換言すると筒壁62の中心軸の回りに略同じ間隔をあけて複数の凸部64が形成される。この場合、レンズ40と内筒61の位置合わせが容易になり、良好な係合状態が得られ易い。図5に示す例では、筒壁62の中心軸の回りに約90°間隔で4個の凸部64が形成されている。
内筒61は、筒壁62の外側において、フランジ63の下面から延出したガイド片65を有する。ガイド片65は、外筒51の内面に対応する形状を有し、外筒51の内面に沿って配置される。また、ガイド片65には、外筒51の内側凸部58が嵌合するガイド溝を有することが好ましい。ガイド片65を設けることにより、外筒51の内部空間60への内筒61の挿入が容易になる。
なお、レンズ係合部および枠体係合部は、凹部44および凸部64に限定されない。図6および図7は、第1実施形態の変形例を示す図であって、第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を用いて重複する説明を省略する(以下の実施形態についても同様)。
図6に例示するレンズ40xは、レンズ係合部として凸部44xを有する。この場合、図7に例示する内筒61xには、枠体係合部として凸部44xが嵌合する凹部64xが形成される。図6および図7に例示するレンズ40xおよび内筒61xを用いた場合も、凸部44xが形成されたレンズフランジ43xが内筒61xのフランジ63x上に配置され、レンズフランジ43xの内側に筒壁62xの上端部が挿し込まれる。このため、レンズフランジ43xの下面および内周面が内筒61xで覆われ、凸部44xから出る光が遮光される。
以下、図8および図9を参照しながら、第2実施形態である照明装置100について説明する。図8は照明装置100の断面図、図9は照明装置100を構成するレンズ140および枠体150の分解斜視図である。なお、図9ではカバー70およびシール部材72の図示を省略している。
図8および図9に例示するように、照明装置100は、遮光部材である内筒61の代わりに、遮光部として機能する筒部145が形成されたレンズ140を備える点で、照明装置10と異なる。レンズ140は、レンズ40と同様に、光出射面41の周縁部に形成され、レンズ140の径方向外側に張り出したレンズフランジ143を有する。レンズフランジ143は、シール部材45を介して装置本体11の張出部18によって上から押えられる。レンズ140は、光出射面41の一部を構成するレンズフランジ143の下面から枠体150側に延びた凸部144を有する。
凸部144は、枠体150との位置合わせに使用されるレンズ係合部であって、枠体150の筒壁152に形成された枠体係合部である凹部158に嵌合する。なお、枠体150の上部には、レンズ140の下部に形成された筒部145を収容する内部空間60が形成されている。凹部158は、枠体150の内側およびレンズ140側に向かって開口した溝状に形成されているので、凸部144と凹部158の位置を合わせてレンズ140の下部を内部空間60に挿し込むことで、凸部144が凹部158に嵌合する。
凸部144は、1個であってもよいが、光出射面41の周縁部に複数形成されることが好ましい。本実施形態では、光出射面41の周縁部に4個の凸部144が形成されている。凸部144は、レンズフランジ143の下面から筒部145の外面に沿って枠体150側に延びている。換言すると、凸部144は、筒部145の外面から外側に張り出している。凸部144は、レンズフランジ143の周方向に離れた複数箇所に形成されることが好ましく、例えばレンズ140の光軸の回りに略同じ間隔をあけて複数形成される。なお、凸部144は、レンズフランジ143の下面から離れた筒部145の外面に形成されていてもよい。
各凸部144は、互いに異なる形状、寸法を有していてもよいが、好ましくは互いに同じ形状、寸法を有する。凹部158は、筒壁152の内面において凸部144が嵌合可能な位置に、凸部144に対応する形状、寸法で形成される。また、凹部158は、凸部144と同数形成されることが好ましい。
筒部145は、レンズフランジ143の内周縁から枠体150側に延出し、凸部144から出る光を遮光する遮光部として機能する。筒部145は可視光を透過しない材料で構成されてもよいが、好ましくは筒部145の内面に可視光を実質的に透過しない遮光層を設ける。遮光層は、例えば波長400nm~780nmの可視光の透過率が5%未満の層であって、一例として、カーボンブラック等の黒色顔料など、可視光吸収率の高いフィラーを含有する塗膜が挙げられる。また、蒸着、メッキ、スパッタリング等により遮光層が形成されてもよい。
筒部145は、円筒状に形成され、内部空間60の底部60bに略当接している。本実施形態では、凸部144の内側に筒部145が存在するので、例えば凸部144から出る光は筒部145の内部に進入しない。また、凸部144から出た光が開口60aから漏れないように、凸部144の下方は筒部145および枠体150(内部空間60の底部60b)によって塞がれている。なお、枠体150は、開口60aを塞ぐ透光性のカバー70と、枠体150とカバー70の隙間を塞ぐ環状のシール部材72とを有する。
以下、図10~図12を参照しながら、第3実施形態である照明装置200について説明する。図10は照明装置200の斜視図、図11は照明装置200の断面図、図12は照明装置100を構成するレンズ40および枠体250の分解斜視図である。
図10~図12に例示するように、照明装置200は、内筒61および筒部145を有さず、レンズ40の略全体が枠体250の内部空間60に収容されている点で、上述の実施形態と異なる。また、ホルダ30の下部も内部空間60に収容されている。このため、照明装置200は、高さの低い薄型の装置本体211を備える。なお、装置本体211は、装置本体11と同様に、筒壁212、天板213、および本体フランジ16を有する有底円筒状の部材であって、装置本体211にはホルダ30および枠体250がネジ止めされる。
枠体250は、内部空間60の底部60bに形成された開口60aの周縁部に、レンズ40の凹部44に嵌合する凸部258(枠体係合部)を有する。内部空間60の底部60bには、開口60aの周縁に沿ってレンズ40側に突出した環状凸部257が形成され、凸部258は環状凸部257の外周面から外側に突出している。凸部258は、凹部44に嵌合可能な位置に、凹部44に対応する形状、寸法で形成される。また、凸部258は、凹部44と同数形成されることが好ましい。
照明装置200では、レンズフランジ43が内部空間60の底部60b上に配置されると共に、レンズフランジ43の内側に環状凸部257が挿し込まれる。このため、凹部44が形成されたレンズフランジ43の下面および内周面が枠体250で覆われ、凹部44から出る光が遮光される。本実施形態では、環状凸部257および凸部258が形成された内部空間60の底部60bが遮光部として機能する。
以上のように、上記構成を備えた照明装置10,100,200によれば、レンズ係合部によって枠体との良好な係合状態を容易に確保できると共に、照明装置の小型化を図りつつ、レンズ係合部に起因した輝線の発生を十分に抑制できる。
なお、上述の実施形態は、本開示の目的を損なわない範囲で適宜設計変更できる。例えば、上述の実施形態ではフランジを有するレンズを例示したが、レンズはフランジを有していなくてもよい。レンズは、ホルダおよび枠体によって挟持されていてもよい。また、上述の実施形態ではレンズの光出射面につながったレンズ係合部を例示したが、レンズ係合部は光出射面から離れて枠体の第2の開口寄りに形成されていてもよい。上述の各実施形態の構成要素を選択的に組み合わせてもよく、或いは構成要素の一部を取り除いてもよい。