JP7056376B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
従来、例えば、特許文献1は、曲線突出部が形成されるサイドウォールを備える車両用タイヤが開示されている。この特許文献1では、サイドウォールに入る空気の流れは、サイドウォールを自然に通らず、車のホイールハウスの内側に移動し、タイヤのトレッド上端を押し下げるダウンフォースを発生させることが示されている。なお、ダウンフォースが発生すると、車両が上方に持ち上げられる力であるリフトが低減される。
特開2013-18474号公報
特許文献1に示されているように、サイドウォールに曲線突出部を形成することで、リフト低減効果が得られることが知られているが、車両の性能向上に伴い、さらなるリフト低減効果が望まれている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、リフト低減性能を向上することのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る空気入りタイヤは、タイヤサイド部のタイヤサイド面に沿ってタイヤ周方向およびタイヤ径方向に交差して延在し、タイヤ周方向に間隔を空けて設けられた複数の凸部を備え、正規リムに組み込んで、正規内圧を充填し、正規荷重を加えて水平面をなす路面に接地し、前記路面上を転動するとき、前記タイヤサイド部と前記路面との相対速度UをU[m/s]=V×r/Lであらわし、レイノルズ数ReをRe=U×L/νであらわし、Vが空気入りタイヤの転動方向に対向する主流速度[m/s]であり、rが前記路面から回転軸に向かう距離[m]であり、Lが前記路面から前記回転軸に至る距離[m]であり、νが空気の動粘性度[m/s]であって、主流速度V[m/s]が27.8の場合、前記レイノルズ数Reが、2000<Re<4×10の範囲となる位置に前記凸部が設けられている。
また、本発明の一態様に係る空気入りタイヤでは、前記レイノルズ数Reの範囲において、前記凸部の総体積Voが100[mm]≦Vo≦10000[mm]の範囲を満たすことが好ましい。
また、本発明の一態様に係る空気入りタイヤでは、前記レイノルズ数Reの範囲において、前記凸部の総体積Voが1000[mm]≦Vo≦50000[mm]の範囲を満たすことが好ましい。
また、本発明の一態様に係る空気入りタイヤでは、車両装着時の回転方向が指定され、前記レイノルズ数Reの範囲において、前記凸部の少なくとも1つは、回転方向に沿う始端から終端への延在方向がタイヤ径方向内側からタイヤ径方向外側に向けて傾斜していることが好ましい。
また、本発明の一態様に係る空気入りタイヤでは、前記タイヤサイド面は、前記凸部を設けた部分を除く部分が凹凸を有さない面で形成されていることが好ましい。
また、本発明の一態様に係る空気入りタイヤでは、トレッド面が、凹凸を有さない面で形成されていることが好ましい。
また、本発明の一態様に係る空気入りタイヤでは、前記凸部は、延在方向における中間部が前記タイヤサイド面からの突出高さの最大位置を含み、かつ前記中間部の延在方向の両端側に設けられた各先端部が前記タイヤサイド面からの突出高さの最小位置を含んでおり、前記中間部の突出高さの最大位置が面で形成され、前記先端部の頂部が尖って形成されていることが好ましい。
また、本発明の一態様に係る空気入りタイヤでは、前記凸部は、突出高さの最大位置が前記タイヤサイド面から2mm以上10mm以下であることが好ましい。
また、本発明の一態様に係る空気入りタイヤでは、タイヤ周方向に1degあたりの各前記凸部の突出高さのタイヤ周方向での変動量が1mm/deg以下であることが好ましい。
また、本発明の一態様に係る空気入りタイヤでは、タイヤ周方向に1degあたりの各前記凸部の質量のタイヤ周方向での変動量が0.1g/deg以下であることが好ましい。
また、本発明の一態様に係る空気入りタイヤでは、各前記凸部のタイヤ周方向における間隔が不均一であることが好ましい。
また、本発明の一態様に係る空気入りタイヤでは、タイヤ周方向で隣接する各前記凸部が、タイヤ周方向に対する傾斜角度の符号が異なることが好ましい。
また、本発明の一態様に係る空気入りタイヤでは、車両装着時での車両内外の向きが指定されており、少なくとも車両外側となるタイヤサイド部に前記凸部が形成されていることが好ましい。
本発明に係る空気入りタイヤによれば、車両の走行時に回転移動する凸部により、凸部の周辺の空気のガイド効果(排斥効果)が大きくなる。空気入りタイヤの回転時の接地部(レイノルズ数Reが、2000<Re<4×10の範囲となるような距離r[m]の位置)で、凸部による空気のガイド効果(排斥効果)が大きく、空気入りタイヤの接地部において前端からタイヤサイド部Sへ回り込む空気量が増え、路面と車両底面との空間の圧力が低下し、車両が上方に持ち上げられる力であるリフトが低減される。従って、リフト低減性能を向上することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの子午断面図である。 図2は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの他の例の子午断面図である。 図3は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの側面図である。 図4は、凸部を空気入りタイヤの側面から視た拡大図である。 図5は、凸部の側面図である。 図6は、従来の空気入りタイヤの作用の説明図である。 図7は、従来の空気入りタイヤの作用の説明図である。 図8は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの作用の説明図である。 図9は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの作用の説明図である。 図10は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの他の例の側面図である。 図11は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの他の例の側面図である。 図12は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの他の例の側面図である。 図13は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの他の例の側面図である。 図14は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの他の例の側面図である。 図15は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの他の例の側面図である。 図16は、凸部の短手方向の断面図である。 図17は、凸部の短手方向の断面図である。 図18は、凸部の短手方向の断面図である。 図19は、凸部の短手方向の断面図である。 図20は、凸部の短手方向の断面図である。 図21は、凸部の短手方向の断面図である。 図22は、凸部の短手方向の断面図である。 図23は、凸部の短手方向の断面図である。 図24は、凸部の短手方向の断面図である。 図25は、凸部の短手方向の断面図である。 図26は、凸部の短手方向の断面図である。 図27は、凸部の短手方向の断面図である。 図28は、頂部に平坦部が形成された凸部の斜視図である。 図29は、頂部に平坦部が形成された凸部の斜視図である。 図30は、頂部に平坦部が形成された凸部の斜視図である。 図31は、溝が形成された凸部を空気入りタイヤの側面から視た拡大図である。 図32は、図31におけるA-A断面図である。 図33は、溝が形成された凸部の他の例を空気入りタイヤの側面から視た拡大図である。 図34は、凹部が形成された凸部を空気入りタイヤの側面から視た拡大図である。 図35は、図34におけるB-B断面図である。 図36は、溝および凹部が形成された凸部を空気入りタイヤの側面から視た拡大図である。 図37は、本発明の実施例に係る空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、この実施形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
図1は、本実施形態に係る空気入りタイヤの子午断面図である。
以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸P(図3など参照)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸Pに向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸Pから離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、回転軸Pを中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、回転軸Pと平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ1の回転軸Pに直交するとともに、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面である。タイヤ幅は、タイヤ幅方向の外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に沿う線をいう。本実施形態では、タイヤ赤道線にタイヤ赤道面と同じ符号「CL」を付す。
空気入りタイヤ1は、図1に示すように、トレッド部2と、その両側のショルダー部3と、各ショルダー部3から順次連続するサイドウォール部4およびビード部5とを有している。また、この空気入りタイヤ1は、カーカス層6と、ベルト層7と、ベルト補強層8とを備えている。
トレッド部2は、ゴム材(トレッドゴム)からなり、空気入りタイヤ1のタイヤ径方向の最も外側で露出し、その表面が空気入りタイヤ1の輪郭となる。トレッド部2の外周表面、つまり、走行時に路面と接触する踏面には、トレッド面21が形成されている。トレッド面21は、タイヤ周方向に沿って延び、タイヤ赤道線CLと平行なストレート主溝である複数(本実施形態では4本)の主溝22が設けられている。そして、トレッド面21は、これら複数の主溝22により、タイヤ周方向に沿って延び、タイヤ赤道線CLと平行なリブ状の陸部23が複数形成されている。また、図には明示しないが、トレッド面21は、各陸部23において、主溝22に交差するラグ溝が設けられている。陸部23は、ラグ溝によってタイヤ周方向で複数に分割されている。また、ラグ溝は、トレッド部2のタイヤ幅方向最外側でタイヤ幅方向外側に開口して形成されている。なお、ラグ溝は、主溝22に連通している形態、または主溝22に連通していない形態の何れであってもよい。
ショルダー部3は、トレッド部2のタイヤ幅方向両外側の部位である。また、サイドウォール部4は、空気入りタイヤ1におけるタイヤ幅方向の最も外側に露出したものである。また、ビード部5は、ビードコア51とビードフィラー52とを有する。ビードコア51は、スチールワイヤであるビードワイヤをリング状に巻くことにより形成されている。ビードフィラー52は、カーカス層6のタイヤ幅方向端部がビードコア51の位置で折り返されることにより形成された空間に配置されるゴム材である。
カーカス層6は、各タイヤ幅方向端部が、一対のビードコア51でタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に折り返され、かつタイヤ周方向にトロイド状に掛け回されてタイヤの骨格を構成するものである。このカーカス層6は、タイヤ周方向に対する角度がタイヤ子午線方向に沿いつつタイヤ周方向にある角度を持って複数並設されたカーカスコード(図示せず)が、コートゴムで被覆されたものである。カーカスコードは、有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。このカーカス層6は、少なくとも1層で設けられている。
ベルト層7は、少なくとも2層のベルト71,72を積層した多層構造をなし、トレッド部2においてカーカス層6の外周であるタイヤ径方向外側に配置され、カーカス層6をタイヤ周方向に覆うものである。ベルト71,72は、タイヤ周方向に対して所定の角度(例えば、20°~30°)で複数並設されたコード(図示せず)が、コートゴムで被覆されたものである。コードは、スチールまたは有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。また、重なり合うベルト71,72は、互いのコードが交差するように配置されている。
ベルト補強層8は、ベルト層7の外周であるタイヤ径方向外側に配置されてベルト層7をタイヤ周方向に覆うものである。ベルト補強層8は、タイヤ周方向に略平行(±5°)でタイヤ幅方向に複数並設されたコード(図示せず)がコートゴムで被覆されたものである。コードは、スチールまたは有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。図1で示すベルト補強層8は、ベルト層7のタイヤ幅方向端部を覆うように配置されている。ベルト補強層8の構成は、上記に限らず、図には明示しないが、ベルト層7全体を覆うように配置された構成、または、例えば2層の補強層を有し、タイヤ径方向内側の補強層がベルト層7よりもタイヤ幅方向で大きく形成されてベルト層7全体を覆うように配置され、タイヤ径方向外側の補強層がベルト層7のタイヤ幅方向端部のみを覆うように配置されている構成、あるいは、例えば2層の補強層を有し、各補強層がベルト層7のタイヤ幅方向端部のみを覆うように配置されている構成であってもよい。すなわち、ベルト補強層8は、ベルト層7の少なくともタイヤ幅方向端部に重なるものである。また、ベルト補強層8は、帯状(例えば幅10[mm])のストリップ材をタイヤ周方向に巻き付けて設けられている。
図2は、本実施形態に係る空気入りタイヤの他の例の子午断面図である。
図2に示す空気入りタイヤ1は、図1に示す空気入りタイヤ1と同様に、トレッド部2の外周表面、つまり、走行時に路面と接触する踏面には、トレッド面21が形成されている。トレッド面21は、溝が設けられておらず、全体が凹凸を有さない面で形成されている。このような図2に示す空気入りタイヤ1は、レース用空気入りタイヤとして用いられる。図2に示す空気入りタイヤ1のその他の構成については、図1に示す空気入りタイヤ1と同様である。
図3は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの側面図である。図4は、凸部を空気入りタイヤの側面から視た拡大図である。図5は、凸部の側面図である。図6および図7は、従来の空気入りタイヤの作用の説明図である。図8および図9は、本実施形態に係る空気入りタイヤの作用の説明図である。図10~図15は、本実施形態に係る空気入りタイヤの他の例の側面図である。図16~図27は、凸部の短手方向の断面図である。図28~図30は、頂部に平坦部が形成された凸部の斜視図である。図31は、溝が形成された凸部を空気入りタイヤの側面から視た拡大図である。図32は、図31におけるA-A断面図である。図33は、溝が形成された凸部の他の例を空気入りタイヤの側面から視た拡大図である。図34は、凹部が形成された凸部を空気入りタイヤの側面から視た拡大図である。図35は、図34におけるB-B断面図である。図36は、溝および凹部が形成された凸部を空気入りタイヤの側面から視た拡大図である。
以下の説明において、タイヤサイド部Sとは、図1および図2に示すように、トレッド部2の接地端Tからタイヤ幅方向外側であってリムチェックラインRからタイヤ径方向外側の範囲で一様に連続する面をいう。また、接地端Tとは、空気入りタイヤ1を正規リムにリム組みし、かつ正規内圧を充填するとともに正規荷重の70%をかけたとき、この空気入りタイヤ1のトレッド部2のトレッド面21が路面(水平面)と接地する領域において、タイヤ幅方向の両最外端をいい、タイヤ周方向に連続する。また、リムチェックラインRとは、タイヤのリム組みが正常に行われているか否かを確認するためのラインであり、一般には、ビード部5の表側面において、リムフランジよりもタイヤ径方向外側であってリムフランジ近傍となる部分に沿ってタイヤ周方向に連続する環状の凸線として示されている。
なお、正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、あるいは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。また、正規荷重とは、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
本実施形態の空気入りタイヤ1は、図3~図5に示すように、少なくとも一方のタイヤサイド部Sにおいて、当該タイヤサイド部Sの表面のプロファイルであるタイヤサイド面Saよりタイヤの外側に突出する凸部9が設けられている。凸部9は、ゴム材(タイヤサイド部Sを構成するゴム材であっても、当該ゴム材とは異なるゴム材であってもよい)からなり、タイヤサイド部Sのタイヤサイド面Saに沿ってタイヤ周方向およびタイヤ径方向に交差して延在する突条として形成されている。延在方向は、図4に示すように、各端9Dを結ぶ直線Lとする。なお、本実施形態において、各図に示す凸部9は、空気入りタイヤ1の側面視でC字状に湾曲して形成されている。凸部9は、湾曲に限らず、空気入りタイヤ1の側面視で直線状に形成されていても、くの字に屈曲して形成されていても、S字状に形成されていても、蛇行して構成されていても、ジグザグ状に形成されていてもよい。そして、どの構成においても延在方向は各端を結ぶ直線とする。
タイヤサイド部Sにおいて凸部9が設けられる範囲について説明する。図3において、正規リムに組み込んで、正規内圧を充填し、正規荷重を加えて水平面をなす路面Gに接地し(図3では荷重0(無負荷)の状態で示している)、路面G上を回転方向Yで回転して図3中の左方向に転動するとき、タイヤサイド部Sと路面Gとの相対速度UをU[m/s]=V×r/Lであらわし、レイノルズ数ReをRe=U×L/νであらわし、Vが空気入りタイヤ1の転動方向に対向する主流速度(車両走行速度に相当する)[m/s]であり、Lが路面Gから回転軸Pに至る距離[m]であり、rが路面Gから回転軸Pに向かう距離[m]であり、νが空気入りタイヤ1に接触する空気の動粘性度[m/s]であって、主流速度V[m/s]が27.8の場合、レイノルズ数Reが、2000<Re<4×10の範囲となる位置に凸部9が設けられている。
すなわち、本実施形態の空気入りタイヤ1は、主流速度V[m/s]において、レイノルズ数Reが、2000<Re<4×10の範囲となるような距離r[m]の位置に凸部9が設けられている。
空気入りタイヤ1の作用について説明する。まず、凸部9を有さない従来の空気入りタイヤ11は、図6に示すように、リム50に組み込んで車両100に装着することで車両100のタイヤハウス101内に配置される。この状態において、空気入りタイヤ11が回転方向Y1で回転すると、車両100は方向Y2に向かって走行する。この車両100の走行時に、空気入りタイヤ11の周辺において空気の流れが変化する。すると、図7に示すように、この空気の流れより空気入りタイヤ11の接地部において前端からタイヤサイド部Sへ回り込む空気量が少なく、路面と車両底面との空間の圧力が増加し、車両100が上方に持ち上げられる力であるリフトが発生する。
このような現象に対し、本実施形態の空気入りタイヤ1は、図8に示すように、同様にリム50に組み込んで車両100に装着することで車両100のタイヤハウス101内に配置される。この状態において、空気入りタイヤ1が回転方向Y1で回転すると、車両100は方向Y2に向かって走行する。この車両100の走行時に、方向Y1に回転移動する凸部9により、凸部9の周辺の空気のガイド効果(排斥効果)が大きくなり、路面と車両底面との空間の圧力を低減する。具体的に、空気入りタイヤ1の回転時の下部である接地部(レイノルズ数Reが、2000<Re<4×10の範囲となるような距離r[m]の位置)では、凸部9による空気のガイド効果(排斥効果)が大きく、図9に示すように、空気入りタイヤ1の接地部において前端からタイヤサイド部Sへ回り込む空気量が増え、路面と車両底面との空間の圧力が低下し、車両100が上方に持ち上げられる力であるリフトが低減される。
リフトの低減(リフト低減性能)は、ダウンフォースを増加させることになり、空気入りタイヤ1の接地性を向上させ、車両100の走行性能である操縦安定性能の向上に寄与する。
なお、図2に示すようなレース用空気入りタイヤにおいては、主流速度V[m/s]が27.8の場合、レイノルズ数Reが、2000<Re<4×10の範囲となる位置に凸部9が設けられていることが好ましく、リフト低減性能および空気抵抗低減性能を発揮する。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、上述したレイノルズ数Reの範囲において、凸部9の総体積Voが100[mm]≦Vo≦10000[mm]の範囲を満たすことが好ましい。すなわち、上述したレイノルズ数Reの範囲における凸部9の総体積Voを規定することで、凸部9によるガイド効果(排斥効果)が大きくなり、空気入りタイヤ1の接地部において前端からタイヤサイド部Sへ回り込む空気量がより増えるため、路面と車両底面との空間の圧力がより低下し、リフトをより低減することができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、前記レイノルズ数Reの範囲において、前記凸部の総体積Voが1000[mm]≦Vo≦50000[mm]の範囲を満たすことが好ましい。すなわち、上述したレイノルズ数Reの範囲における凸部9の総体積Voをさらに規定することで、凸部9によるガイド効果(排斥効果)がより大きくなり、空気入りタイヤ1の接地部において前端からタイヤサイド部Sへ回り込む空気量がより増えるため、路面と車両底面との空間の圧力がより低下し、リフトをより低減することができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、車両装着時の回転方向が指定されており、上述したレイノルズ数Reの範囲において、図3に示すように、凸部9の少なくとも1つは、回転方向Yに沿う始端から終端への延在方向がタイヤ径方向内側からタイヤ径方向外側に向けて傾斜していることが好ましい。ここで、回転方向の指定は、図には明示しないが、例えば、トレッド部2のタイヤ幅方向外側であって、タイヤの側面にあらわれるサイドウォール部4に設けられた指標(例えば、車両前進時に向く矢印)により示される。すなわち、この構成により、空気入りタイヤ1の接地部において前端上方から下方に向けて空気を案内するため、凸部9によるガイド効果(排斥効果)が大きくなり、空気入りタイヤ1の接地部において前端からタイヤサイド部Sへ回り込む空気量がより増えるため、路面と車両底面との空間の圧力がより低下し、リフトをより低減することができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、タイヤサイド面Saは、凸部9を設けた部分を除く部分が凹凸を有さない平滑な面で形成されていることが好ましい。ここで、凹凸を有さないとは、タイヤ側面の文字・模様(ブランド・セレーションとも言う)などを有さないレース用空気入りタイヤであることを意味する。すなわち、本実施形態の空気入りタイヤ1は、タイヤサイド面Saの凸部9を設けた部分を除く部分が凹凸を有さない平滑な面で形成されていることで、空気入りタイヤ1の接地部において前端からの空気の流れが乱されることなく凸部9に衝突するため、凸部9によるガイド効果(排斥効果)が大きくなり、リフト低減効果が大きくなる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、トレッド面21が、凹凸を有さない平滑な面で形成されていることが好ましい。ここで、凹凸を有さないとは、図1における主溝22やラグ溝などの溝を有さないレース用空気入りタイヤであることを意味する。すなわち、本実施形態の空気入りタイヤ1は、トレッド面21が凹凸を有さない平滑な面で形成されていることで、空気入りタイヤ1の接地部において前端からのタイヤサイド部Sに流れ込む空気量が増えるため、凸部9によるガイド効果(排斥効果)が大きくなり、リフト低減効果が大きくなる。
また、凸部9は、図4および図5に示すように、延在方向における中間部9A、および中間部9Aの延在方向の両側に連続して設けられた各先端部9Bで構成されている。中間部9Aは、凸部9の延在方向の長さLの中央9Cから延在方向の両側に長さLの25%の範囲の部分である。先端部9Bは、中間部9Aの延在方向の両側にさらに延在して設けられ、延在方向の各端9Dから凸部9の延在方向の長さLの5%を除く範囲の部分である。凸部9の延在方向の長さLは、凸部9の各端9D間の最短距離とする。
そして、中間部9Aは、タイヤサイド面Saからの突出高さhの最大位置hHを含む。また、先端部9Bは、タイヤサイド面Saからの突出高さhの最小位置hLを含む。図5では、凸部9の延在方向の突出高さhは、一方の端9Dから中央9Cに向かって徐々に高くなり、中央9Cから他方の端9Dに向かって徐々に低くなっている。この場合、突出高さhの最大位置hHは中央9Cに一致し、最小位置hLは端9Dから長さLの5%の位置であって先端部9Bの端に一致する。なお、図5において、凸部9の延在方向の突出高さhは、円弧状に変化して示しているが、この限りではなく、直線状に変化していてもよい。また、最大位置hHは、中間部9A全体であってもよく、この場合に先端部9Bは中間部9Aから徐々に突出高さhが低くなる。
このように、本実施形態の空気入りタイヤ1によれば、凸部9は、タイヤ周方向およびタイヤ径方向に交差する延在方向における中間部9Aがタイヤサイド面Saからの突出高さhの最大位置hHを含み、かつ中間部9Aの延在方向の両端側に設けられた各先端部9Bがタイヤサイド面Saからの突出高さhの最小位置hLを含んでいるため、先端部9Bにおいて凸部9の質量が少なくなる。この結果、凸部9の先端部9B付近においてタイヤサイド面Sa側との急激な質量変化が抑えられるので、凸部9の耐久性を向上することができ、かつタイヤ周方向の均一性が向上するため、ユニフォミティを向上することができる。
凸部9の配置について、図3および図11に示すように、各凸部9がタイヤ周方向で間隔をおいて設けられていてもよく、図10に示すように、タイヤ周方向で隣接する凸部9がタイヤ径方向で一部重複して設けられていてもよい。図10に示すような各凸部9がタイヤ径方向で一部重複して設けられている場合、重複部位は、中間部9Aを除く部位であって先端部9Bや先端部9Bの端(端9Dから長さLの5%の範囲)とする。また、凸部9の配置について、図12~図15に示すように、タイヤ周方向で隣接する凸部9がタイヤ周方向およびタイヤ径方向に対する延在方向の傾きが異なっていてもよい。このようにタイヤ周方向で隣接する凸部9がタイヤ周方向およびタイヤ径方向に対する延在方向の傾きが異なっている場合は、当該タイヤ周方向で隣接する凸部9がタイヤ径方向で一部重複せずタイヤ周方向で間隔をおいて設けられている。
凸部9の延在方向に直交する短手方向の断面形状について、図16に示す凸部9は、短手方向の断面形状が四角形状とされている。図17に示す凸部9は、短手方向の断面形状が三角形状とされている。図18に示す凸部9は、短手方向の断面形状が台形状とされている。
また、凸部9の短手方向の断面形状は、曲線を基にした外形であってもよい。図19に示す凸部9は、短手方向の断面形状が半円形状とされている。その他、図には明示しないが、凸部9の短手方向の断面形状は、例えば、半楕円形状であったり、半長円形状であったりする様々な円弧に基づく形状であってもよい。
また、凸部9の短手方向の断面形状は、直線および曲線を組み合わせた外形であってもよい。図20に示す凸部9は、短手方向の断面形状が四角形状の角を曲線とされている。図21に示す凸部9は、短手方向の断面形状が三角形状の角を曲線とされている。また、凸部9の短手方向の断面形状は、図20~図22に示すように、タイヤサイド部Sから突出する根元部分を曲線とした形状とされていてもよい。
また、凸部9の短手方向の断面形状は、様々な形状の組み合わせであってもよい。図23に示す凸部9は、四角形状の頂部が複数(図23では2つ)の三角形状でジグザグ状とされている。図24に示す凸部9は、四角形状の頂部が1つの三角形状で尖って形成されている。図25に示す凸部9は、四角形状の頂部が四角形状に凹んで形成されている。図26に示す凸部9は、四角形状の頂部が四角形に凹んで形成され、凹みの両側が突出高さhを変えて形成されている。図27に示す凸部9は、四角形状の台部9aがタイヤサイド部Sから突出形成され、その台部9aの上部に四角形状が複数(図27では2つ)突出形成されている。その他、図には明示しないが、凸部9の短手方向の断面形状は、四角形状の頂部が波形であったりする様々な形状であってもよい。
そして、上述したような凸部9の短手方向の断面形状において、本実施形態では、中間部9Aにおける突出高さhの最大位置hHで断面積が最も大きく、先端部9Bにおける突出高さhの最小位置hLで断面積が小さい。そして、短手方向の幅Wは、突出高さhの変化に合わせて最大位置hHで最も大きく、最小位置hLで小さくなるように変化しても、変化しなくてもよい。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、図28~図30に示すように、凸部9は、延在方向における中間部9Aがタイヤサイド面Saからの突出高さの最大位置を含み、かつ中間部9Aの延在方向の両端側に設けられた各先端部9Bがタイヤサイド面Saからの突出高さの最小位置を含んでおり、中間部9Aの突出高さの最大位置が面10で形成され、先端部9Bの頂部が尖って形成されていることが好ましい。
中間部9Aの突出高さの最大位置に形成された面10は、図28に示すように、金型のベントにより形成されたスピューの切断面として設けられている。また、中間部9Aの突出高さの最大位置に形成された面10は、図29に示すように、金型のスプリングベントにより形成された端面として設けられている。中間部9Aの突出高さの最大位置に形成された面10は、図30に示すように、金型により形成された平滑面として設けられている。
このように、中間部9Aの突出高さの最大位置に面10を設けることで、空気入りタイヤ1の物流時における摩滅を防止することができる。また、先端部9Bの頂部が尖っていることで、空気抵抗の増加を抑制することができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、凸部9は、中間部9Aの突出高さh(突出高さhの最大位置)が2mm以上10mm以下であることが好ましい。
中間部9Aの突出高さhが2mm未満であると、周辺の空気を案内する作用が得難くなる。一方、中間部9Aの突出高さhが10mmを超えると、凸部9に衝突する空気の流れが増加することで空気抵抗が増加する傾向となる。このため、中間部9Aの突出高さhを2mm以上10mm以下とすることが好ましい。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、図3に示すように、回転軸Pからタイヤ径方向に切断したタイヤ周方向に1degあたりの各凸部9の突出高さhのタイヤ周方向での変動量が1mm/deg以下であることが好ましい。
この空気入りタイヤ1によれば、凸部9のタイヤ周方向での突出高さhの変動を規定することで凸部9の形状変動によって発生する風切音を抑制することができ、この風切音により凸部9から発生する騒音を低減することができる。しかも、この空気入りタイヤ1によれば、凸部9を含むタイヤ周方向での突出高さhの変動を規定することでタイヤ周方向の均一性が向上するため、ユニフォミティを向上する効果を顕著に得ることができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、図3に示すように、回転軸Pからタイヤ径方向に切断したタイヤ周方向に1degあたりの凸部9の質量のタイヤ周方向での変動量が0.1g/deg以下であることが好ましい。
この空気入りタイヤ1によれば、凸部9のタイヤ周方向での質量変動を規定することで凸部9の質量変動を抑え、空気入りタイヤ1の回転に伴う振動を抑制することができ、この振動により凸部9から発生する騒音を低減することができる。しかも、この空気入りタイヤ1によれば、凸部9を含むタイヤ周方向での質量の変動を規定することでタイヤ周方向の均一性が向上するため、ユニフォミティを向上する効果を顕著に得ることができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、図3に示すように、凸部9は、タイヤ径方向内側端を基点としたタイヤ径方向に対するタイヤ径方向外側での角度αが15°以上85°以下であることが好ましい。
この空気入りタイヤ1によれば、角度αが15°以上であることで、タイヤ軸からみて右側または左側に位置する凸部9に発生する空気抵抗の向きをタイヤ進行方向から逸らすことができるため、空気抵抗を低減できる。一方、角度αが85°以下であることで、タイヤ軸からみて上側または下側に位置する凸部9に発生する空気抵抗の向きをタイヤ進行方向から逸らすことができるため、空気抵抗を低減できる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、図31~図33に示すように、凸部9の表面に溝9Eを形成することが好ましい。
この空気入りタイヤ1によれば、溝9Eが形成されていることにより、凸部9の剛性が低下するため、凸部9によりタイヤサイド部Sが剛構造となることによる乗り心地性の低下を抑えることができる。しかも、溝9Eが形成されていることにより、凸部9の質量が低下するため、凸部9によりタイヤサイド部Sの質量増加によるユニフォミティの低下を抑えることができる。
なお、溝9Eは、図31に示すように、凸部9の延在方向に交差するように長さLに対して所定間隔で複数設けられている。また、溝9Eは、凸部9の延在方向に対して交差する角度βは特に規定がないが、各溝9Eで同じくすることが、凸部9の延在方向での極度の質量変化を抑える上で好ましい。また、溝9Eは、図33に示すように、凸部9の短手方向の中央を通過する中心線SLの接線GLに対して同じ角度θ(例えば、θ=90°)とすることが、凸部9の延在方向での極度の質量変化を抑える上で好ましい。また、溝9Eは、溝幅が2mm以下とされていることが、空力的な影響、すなわち、周辺の空気を案内して、空気入りタイヤ1の接地部において前端からのタイヤサイド部Sに流れ込む空気量が増加し、凸部9によるガイド効果(排斥効果)を大きくし、リフト低減効果を増大させるうえで好ましい。また、溝9Eは、図32に示すように、溝深さd1が、凸部9の突出高さh以下であることが、凸部9を途中で分断せずに、周辺の空気を案内して、空気入りタイヤ1の接地部において前端からのタイヤサイド部Sに流れ込む空気量が増加し、凸部9によるガイド効果(排斥効果)を大きくし、リフト低減効果を増大させるうえで好ましい。溝9Eの溝深さd1は、例えば、凸部9の突出高さhの90%以下であることが好ましい。なお、図32における凸部9の短手方向の断面の三角形状は一例である。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、図34および図35に示すように、凸部9の表面に凹部9Fを形成することが好ましい。
この空気入りタイヤ1によれば、凹部9Fが形成されていることにより、凸部9の剛性が低下するため、凸部9によりタイヤサイド部Sが剛構造となることによる乗り心地性の低下を抑えることができる。しかも、凹部9Fが形成されていることにより、凸部9の質量が低下するため、凸部9によりタイヤサイド部Sの質量増加によるユニフォミティの低下を抑えることができる。
なお、凹部9Fは、図34に示すように、凸部9の延在方向に沿って所定間隔で複数設けられている。また、凹部9Fは、凸部9の幅Wが延在方向で変化する場合、幅Wの変化に応じて大きさを変化することが、凸部9の延在方向での極度の質量変化を抑える上で好ましい。また、凹部9Fは、開口径が2mm以下とされていることが、空力的な影響、すなわち、周辺の空気を案内して、空気入りタイヤ1の接地部において前端からのタイヤサイド部Sに流れ込む空気量が増加し、凸部9によるガイド効果(排斥効果)を大きくし、リフト低減効果を増大させるうえで好ましい。また、凹部9Fは、図35に示すように、溝深さd2が、凸部9の突出高さh以下であることが、凸部9を途中で分断せずに、周辺の空気を案内して、空気入りタイヤ1の接地部において前端からのタイヤサイド部Sに流れ込む空気量が増加し、凸部9によるガイド効果(排斥効果)を大きくし、リフト低減効果を増大させるうえで好ましい。凹部9Fの溝深さd2は、例えば、凸部9の突出高さhの90%以下であることが好ましい。なお、図35における凸部9の短手方向の断面の三角形状は一例である。また、凹部9Fを設ける位置は、凸部9の頂部に限らず側部であってもよい。また、凹部9Fの開口形状や深さ形状は、円形状に限らず、様々な形状であってもよい。ただし、円弧で開口縁や底部が形成されているほうが、凸部9へのクラックの発生する要素を除くことができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、図36に示すように、凸部9の表面に溝9Eおよび凹部9Fを形成することが好ましい。
この空気入りタイヤ1によれば、溝9Eおよび凹部9Fが形成されていることにより、凸部9の剛性が低下するため、凸部9によりタイヤサイド部Sが剛構造となることによる乗り心地性の低下を抑えることができる。しかも、溝9Eおよび凹部9Fが形成されていることにより、凸部9の質量が低下するため、凸部9によりタイヤサイド部Sの質量増加によるユニフォミティの低下を抑えることができる。
なお、溝9Eおよび凹部9Fは、図36において凸部9の延在方向に沿って交互に設けられているが、これに限らず、適宜混在して配置してもよい。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、各凸部9のタイヤ周方向における間隔が不均一であることが好ましい。
この空気入りタイヤ1によれば、タイヤサイド部Sのタイヤサイド面Saに沿う空気流に対して各凸部9のタイヤ周方向の周期性を打ち消すことから、各凸部9から発生する音圧が周波数の違いにより互いに分散されたり打ち消されたりするため、空気入りタイヤ1が生じる騒音(音圧レベル)を低減することができる。
なお、凸部9の間隔とは、空気入りタイヤ1の側面視において、凸部9の端9Dからタイヤ径方向に補助線(図示せず)を引き、各凸部9での補助線間の回転軸Pを中心とする角度として示される。そして、各凸部9の間隔を不均一にするには、凸部9の形状(突出高さhや、幅Wや、延在方向の長さL)やタイヤ周方向やタイヤ径方向に交差する傾きを同じくしてタイヤ周方向のピッチを変えること、形状(突出高さhや、幅Wや、延在方向の長さL)を変えること、タイヤ周方向やタイヤ径方向に交差する傾きを変えること、などにより実施することができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、図12~図15に示すように、タイヤ周方向で隣接する各凸部9が、タイヤ周方向に対する傾斜角度の符号が異なることが好ましい。
凸部9のタイヤ周方向に対する傾斜角度は、凸部9の延在方向(L)とタイヤ周方向の接線とのなす角度であり、タイヤ周方向で隣接する各凸部9の傾斜角度が正逆の関係にある。この構成により、車両に装着する際の回転方向性をなくすことで利便性を向上することができる。
また、本実施形態の空気入りタイヤ1では、車両装着時での車両内外の向きが指定されており、少なくとも車両外側となるタイヤサイド部Sに凸部9が形成されていることが好ましい。
すなわち、本実施形態の空気入りタイヤ1は、車両100(図8参照)に装着した場合、タイヤ幅方向において、車両100の内側および外側に対する向きが指定されている。向きの指定は、図には明示しないが、例えば、サイドウォール部4に設けられた指標により示される。このため、車両100に装着した場合に車両100の内側に向く側が車両内側となり、車両100の外側に向く側が車両外側となる。なお、車両内側および車両外側の指定は、車両100に装着した場合に限らない。例えば、リム組みした場合に、タイヤ幅方向において、車両100の内側および外側に対するリム50(図8参照)の向きが決まっている。このため、空気入りタイヤ1は、リム組みした場合、タイヤ幅方向において、車両内側および車両外側に対する向きが指定される。
車両外側のタイヤサイド部Sは、車両100への装着時にタイヤハウス101から外側に現れるため、この車両外側のタイヤサイド部Sに凸部9を設けることで、空気の流れを車両外側に押し出すことができるので、空気入りタイヤ1の進行方向の後側において、タイヤハウス101から発生する渦流を細分化する作用を顕著に得ることができる。
なお、上述した実施形態の空気入りタイヤ1において、凸部9の短手方向の幅Wは、0.5mm以上10.0mm以下とされていることが好ましい。凸部9の短手方向の幅Wが上記範囲未満であると、凸部9が空気の流れに接触する範囲が小さいことから、凸部9による周辺の空気を案内する効果が得難くなる。一方、凸部9の短手方向の幅Wが上記範囲を超えると、凸部9が空気の流れに接触する範囲が大きいことから、凸部9が空気抵抗の増加の原因となったり、タイヤ重量の増加の原因になったりし得る。従って、凸部9の短手方向の幅Wを適正化することで、凸部9による周辺の空気を案内する効果を顕著に得ることができる。
また、凸部9は、タイヤ周方向でのピッチが、トレッド部2のラグ溝のタイヤ周方向でのピッチに対して等ピッチでも、異なるピッチでもよい。凸部9のタイヤ周方向でのピッチを、トレッド部2のラグ溝のタイヤ周方向でのピッチに対して異ならせると、凸部9から発生する音圧と、ラグ溝による音圧とが周波数の違いにより互いに分散や打ち消しされるため、ラグ溝により発生するパターンノイズを低減することができる。なお、凸部9のタイヤ周方向でのピッチを異ならせるラグ溝は、複数の主溝22によりタイヤ幅方向に複数区画形成されたリブ状の陸部23における全てのラグ溝を含む。ただし、ラグ溝により発生するパターンノイズを低減する効果を顕著に得るには、凸部9に最も近くに配置されるタイヤ幅方向最外側のラグ溝のピッチに対して凸部9のタイヤ周方向でのピッチを異ならせることが好ましい。
本実施例では、条件が異なる複数種類の空気入りタイヤについて、リフト低減性能、および空気抵抗低減性能に関する試験が行われた(図37参照)。
リフト低減性能および空気抵抗低減性能の試験は、モータアシスト付き乗用車のボディモデルに195/65R15のタイヤサイズのタイヤモデルを装着した車両モデルのシミュレーションにおいて、走行速度100km/h相当で走行した場合の風洞試験を行い、その空力抵抗係数により格子ボルツマン法による流体解析ソフトウェアを用いて空力特性(リフト低減性能および空気抵抗低減性能)を算出し、算出結果に基づいて、従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。これらの指数評価は、数値が大きいほどリフト低減性能、および空気抵抗低減性能が優れていることを示している。
図37において、従来例の空気入りタイヤは、タイヤサイド部のタイヤサイド面に凸部を有しているが、その配置が、規定のレイノルズ数Reの範囲外である。一方、実施例1~実施例17の空気入りタイヤは、タイヤサイド部のタイヤサイド面に凸部を有し、その配置が、規定のレイノルズ数Reの範囲内である。また、実施例2~実施例17の空気入りタイヤは、その他の規定を満たしている。
そして、図37の試験結果に示すように、各実施例の空気入りタイヤは、リフト低減性能および空気抵抗低減性能が改善していることが分かる。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
9 凸部
9A 中間部
9B 先端部
9C 中央
9D 端
9E 溝
9F 凹部
9a 台部
10 面
S タイヤサイド部
Sa タイヤサイド面

Claims (12)

  1. タイヤサイド部のタイヤサイド面に沿ってタイヤ周方向およびタイヤ径方向に交差して延在し、タイヤ周方向に間隔を空けて設けられた複数の凸部を備え、
    正規リムに組み込んで、正規内圧を充填し、正規荷重を加えて水平面をなす路面に接地し、前記路面上を転動するとき、前記タイヤサイド部と前記路面との相対速度UをU[m/s]=V×r/Lであらわし、レイノルズ数ReをRe=U×L/νであらわし、Vが空気入りタイヤの転動方向に対向する主流速度[m/s]であり、rが前記路面から回転軸に向かう距離[m]であり、Lが前記路面から前記回転軸に至る距離[m]であり、νが空気の動粘性度[m/s]であって、主流速度V[m/s]が27.8の場合、前記レイノルズ数Reが、2000<Re<4×10の範囲となる位置に前記凸部が設けられ、前記タイヤサイド面は、前記凸部を設けた部分を除く部分が凹凸を有さない面で形成されている空気入りタイヤ。
  2. タイヤサイド部のタイヤサイド面に沿ってタイヤ周方向およびタイヤ径方向に交差して延在し、タイヤ周方向に間隔を空けて設けられた複数の凸部を備え、
    正規リムに組み込んで、正規内圧を充填し、正規荷重を加えて水平面をなす路面に接地し、前記路面上を転動するとき、前記タイヤサイド部と前記路面との相対速度UをU[m/s]=V×r/Lであらわし、レイノルズ数ReをRe=U×L/νであらわし、Vが空気入りタイヤの転動方向に対向する主流速度[m/s]であり、rが前記路面から回転軸に向かう距離[m]であり、Lが前記路面から前記回転軸に至る距離[m]であり、νが空気の動粘性度[m/s]であって、主流速度V[m/s]が27.8の場合、前記レイノルズ数Reが、2000<Re<4×10の範囲となる位置に前記凸部が設けられ、トレッド面が、凹凸を有さない面で形成されている空気入りタイヤ。
  3. 前記レイノルズ数Reの範囲において、前記凸部の総体積Voが100[mm]≦Vo≦10000[mm]の範囲を満たす請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記レイノルズ数Reの範囲において、前記凸部の総体積Voが1000[mm]≦Vo≦50000[mm]の範囲を満たす請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  5. 車両装着時の回転方向が指定され、前記レイノルズ数Reの範囲において、前記凸部の少なくとも1つは、回転方向に沿う始端から終端への延在方向がタイヤ径方向内側からタイヤ径方向外側に向けて傾斜している請求項1~のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記凸部は、延在方向における中間部が前記タイヤサイド面からの突出高さの最大位置を含み、かつ前記中間部の延在方向の両端側に設けられた各先端部が前記タイヤサイド面からの突出高さの最小位置を含んでおり、前記中間部の突出高さの最大位置が面で形成され、前記先端部の頂部が尖って形成されている請求項1~のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記凸部は、突出高さの最大位置が前記タイヤサイド面から2mm以上10mm以下である請求項1~のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  8. タイヤ周方向に1degあたりの各前記凸部の突出高さのタイヤ周方向での変動量が1mm/deg以下である請求項1~のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  9. タイヤ周方向に1degあたりの各前記凸部の質量のタイヤ周方向での変動量が0.1g/deg以下である請求項1~のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  10. 各前記凸部のタイヤ周方向における間隔が不均一である請求項1~のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  11. タイヤ周方向で隣接する各前記凸部が、タイヤ周方向に対する傾斜角度の符号が異なる請求項1~10のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  12. 車両装着時での車両内外の向きが指定されており、少なくとも車両外側となるタイヤサイド部に前記凸部が形成されている請求項1~11のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
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