JP7023758B2 - 防黴性に優れた乳酸菌ならびにこれを用いた発酵液およびその製造方法 - Google Patents

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NPMD NITE P-02599
本発明は、防黴性に優れた乳酸菌、前記乳酸菌を培養した培地を含有する発酵液および前記乳酸菌を培養することを含む発酵液の製造方法に関する。
黴は殆どの食品に対する腐敗菌となり、食品にとって大敵であることから、食品分野においては可能な限りその増殖を抑制することが必要とされており、製品の防黴性能は品質異常に関わる重要な問題である。また、近年では、パン等の食品の消費期限を長くしたいという要望も強く、この点からも黴の増殖を抑制することは非常に重要である。
従来、例えば、パンでは、醸造酢、プロピオン酸、発酵液等を使用してパン中の有機酸濃度を上昇させることで、防黴性を持たせることが知られている。しかしながら、醸造酢は安価に防黴性を付与しうるものの、酸味、酸臭があることから、十分な防黴性を担保しようとすると、製品の味に強い影響が生じるという問題があり、プロピオン酸は合成添加物であることから、その使用が敬遠されているという問題がある。
これまでに、黴及び酵母の増殖を抑制する耐熱性の非有機酸物質である抗菌性物質を産生するラクトバチルス・サンフランシスエンシスを用いた発酵風味液(例えば、特許文献1参照)、製糖工場の工程汁から得られた乳酸生成菌(エンテロコッカス・フェカリス、ストレプトコッカス・サーモフィルス)を利用した、防黴性を有するサワーブレッド(例えば、特許文献2参照)、砂糖及び/又は砂糖製造工程汁をサイレージ由来乳酸菌とアルコール生成酵母の共培養にて発酵させ、菌体を除去した、保存性を高めることができる発酵風味液(例えば、特許文献3参照)、乳酸菌ラクトバチルス・ロイテリによって産生されたロイテリンと、乳酸菌由来のペプチドおよびタンパク質を除く天然の抗菌性物質とを含有する食品用保存剤(例えば、特許文献4参照)などが提案されている。
これらの提案の技術では、ある程度の防黴性が認められるものの、近年の消費期限の延長という要望に応えるためには、さらなる改良が求められているのが現状である。
したがって、防黴性に優れた乳酸菌ならびにこれを用いた発酵液およびその製造方法の速やかな提供が強く求められている。
特許第3277251号公報 特開2010-104305号公報 特開2014-79197号公報 特開平8-289770号公報
本発明は、このような要望に応え、現状を打破し、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、防黴性に優れた乳酸菌ならびにこれを用いた発酵液およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、培地中にロイテリンおよびペプチドではない防黴性物質を放出する乳酸菌ラクトバチルス・ロイテリを見出し、これを用いた発酵液により、食品に防黴性を付与し得ることを知見した。
本発明は、本発明者らの前記知見等に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 培地中に防黴性物質を放出する乳酸菌であって、前記乳酸菌がラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)であり、前記防黴性物質がロイテリンおよびペプチドではないことを特徴とする乳酸菌である。
<2> 前記乳酸菌が、ラクトバチルス・ロイテリL-015株(NITE P-02599)である前記<1>に記載の乳酸菌である。
<3> 前記<1>または<2>に記載の乳酸菌を培養した培地を含有することを特徴とする防黴性を有する発酵液である。
<4> 前記<1>または<2>に記載の乳酸菌を培養することを含むことを特徴とする防黴性を有する発酵液の製造方法である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、防黴性に優れた乳酸菌ならびにこれを用いた発酵液およびその製造方法を提供することができる。
図1は、試験例3の保存後の食パンの状態の一例を示す図である。 図2は、試験例4-1の発酵液のHPLCクロマトグラムである。 図3は、試験例4-2の評価2の結果を示すグラフである。 図4は、試験例4-3の保存後の食パンの状態の一例を示す図である。
(乳酸菌)
本発明の乳酸菌は、培地中に防黴性物質を放出するラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)であり、前記防黴性物質がロイテリンおよびペプチドではない乳酸菌である。
前記乳酸菌の具体例としては、後述する試験例に記載のラクトバチルス・ロイテリL-015株が好適に挙げられる。前記L-015株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に寄託申請し、NITE P-02599として、2017年12月22日に受託されている。
本発明の乳酸菌が培地中に放出する防黴性物質の詳細は不明だが、後述する試験例に示すように、従来防黴活性物質として知られているロイテリンやペプチドではない。
前記乳酸菌の製造方法としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、後述する試験例で示すように、カビの生育を指標として用い、乳酸菌の培養上清におけるカビの生育が遅れる乳酸菌を選抜したり、前記乳酸菌の発酵液を食品に添加し、該食品におけるカビの生育遅れる乳酸菌を選抜したり、これらを組み合わせたりして製造する方法などが挙げられる。
前記乳酸菌は優れた防黴性を有するので、後述する発酵液およびその製造方法に好適に用いることができる。
(発酵液およびその製造方法)
本発明の防黴性を有する発酵液(以下、「発酵液」と称することがある。)は、本発明の乳酸菌を培養した培地を少なくとも含み、必要に応じてさらにその他の成分を含む。前記発酵液は、本発明の発酵液の製造方法により好適に製造することができる。以下、本発明の発酵液の製造方法の説明と併せて、本発明の発酵液についても説明する。
<発酵液の製造方法>
本発明の発酵液の製造方法は、本発明の乳酸菌を培養する培養工程を少なくとも含み、必要に応じてさらにその他の工程を含む。
<培養工程>
前記培養工程は、本発明の乳酸菌を培養する限り、特に制限はなく、公知の培養方法を適宜選択することができる。
前記培養における培地としては、特に制限はなく、通常乳酸菌の培養に用いられる培地の中から適宜選択することができる。また、前記培地に添加される成分としても、特に制限はなく、通常、乳酸菌の発酵の際に培地に添加され得る成分を適宜選択することができ、例えば、アミノ酸源、炭素源、各種無機塩、ビタミン類、穀粉類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記培養の温度としては、特に制限はなく、通常乳酸菌の培養に用いられる温度を適宜選択することができ、例えば、20~40℃とするなどが挙げられる。
前記培養の時間としては、特に制限はなく、通常乳酸菌の培養に用いられる時間を適宜選択することができ、例えば、12~40時間とするなどが挙げられる。
前記培養の態様、乳酸菌の接種量等のその他の培養条件としても、特に制限はなく、通常乳酸菌の培養に用いられる態様、条件を適宜選択することができる。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、遠心分離等により菌体残渣等を除去する除去工程、得られた発酵液を加熱殺菌する加熱殺菌工程などが挙げられる。
本発明の発酵液の製造方法によれば、優れた防黴性を有する発酵液を簡易に効率良く製造することができる。
本発明の発酵液は、上記した乳酸菌を培養した培地を含む限り特に制限はなく、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。
本発明の発酵液の用途としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、食品などに好適に用いることができる。前記食品の種類としては、防黴性を付与することが有用な食品であれば特に限定はされないが、パン類を好適に例示することができる。
前記発酵液は、単独で使用してもよいし、例えば、日持向上製剤などのその他の成分と組み合わせて使用してもよい。
前記発酵液の使用方法としては、特に制限はなく、食品の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、パン類では生地の原料に添加して用いることができる。また、前記発酵液の使用量としても、特に制限はなく、食品の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、パン類では、用いる穀粉類に対し、例えば、0.5~20質量%とするなどが挙げられる。
本発明の発酵液は、例えばパン類等の食品に防黴性を付与することができ、かつ、従来の酢酸を用いた場合の問題であった酸味、酸臭といった悪影響を食品に及ぼすこともない優れたものである。したがって、本発明は、本発明の発酵液を用いる食品への防黴性付与方法にも関する。
以下、試験例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらの試験例に何ら限定されるものではない。
(試験例1:乳酸菌の選抜)
出願人が保有する乳酸菌のライブラリーを用い、防黴性を有する乳酸菌のスクリーニングを以下のようにして行った。
MRS培地を0.3mLずつ分注した96ウェルプレートに乳酸菌を植菌し、30℃で1日間培養した。遠心(2,000rpm、5分間)した後、上清を捨て、50mMリン酸バッファー(2質量%グリセロール、0.5質量%炭酸カルシウム含有)0.3mLを添加し、37℃で4時間培養した。遠心(2,000rpm、5分間)した後、上清0.1mLを別のウェルに添加し、カビ液を植菌(黒カビ(IAM-2020、Aspergillus niger)、30個/50μL)し、30℃で40時間培養した。
上記培養により、黒カビの生育が遅れる乳酸菌をスクリーニングし、黒カビの菌糸が生育しない、或いは生育が遅れることが確認された以下の乳酸菌A~Dの4株が選抜された。
・ 乳酸菌A株 ・・・ ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)L-015株
・ 乳酸菌B株 ・・・ ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)L-011株
・ 乳酸菌C株 ・・・ ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)L-021株
・ 乳酸菌D株 ・・・ ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentsaceus)Mees 1934 P-007株
(試験例2:発酵液の製造と製パン試験による防黴性の評価)
試験例1で選抜された乳酸菌4株について、発酵液を製造し、製パン試験による防黴性の評価を行った。
<発酵液の製造>
小麦粉400gに水道水1,100gを加えよく撹拌した後ポリ容器に移し、上記乳酸菌を約10CFU/g添加し、乳酸菌Aの場合は37℃、乳酸菌B~Dの場合は30℃で20時間、インキュベーター中で静置培養した。20時間の培養後、炭酸カルシウム7.5gを加えよく撹拌した後、24%NaOHでpH6.5に調整し、乳酸菌Aの場合は37℃、乳酸菌B~Dの場合は30℃で4時間培養した。得られた発酵液を65℃で30分間加熱殺菌した。
<製パン試験>
上記で製造した発酵液を用い、中種法により食パンを製造した。配合及び工程は、以下のとおりである。なお、発酵液を用いなかった以外は同様にして製造した食パンを対照(以下、「無添加」と称することがある。)とした。
[配合]
中種 本捏
・ 小麦粉 70質量部 30質量部
・ パン品質改良剤 0.1質量部 -
・ イースト 2質量部 -
・ 砂糖 - 5質量部
・ 脱脂粉乳 - 2質量部
・ 食塩 - 2質量部
・ 発酵液 - 5質量部
・ 油脂 - 5質量部
・ 水 40質量部 30質量部
[工程]
中種 本捏
・ ミキシング L2分M2分 L2分M5分↓M4分H2分
・ 捏上温度 24℃ 27℃
・ 発酵(フロア)時間 4時間 20分
・ 分割重量 - 220g×6
・ ベンチ時間 - 17分
・ ホイロ条件 - 38℃、相対湿度85%
・ 焼成条件 - 210℃、35分
・ 放冷 - 室温、90分
なお、上記工程において、Lは低速、Mは中速、Hは高速を表し、↓は油脂の添加を表す。
-評価-
得られた食パンのクラム部分に黒カビを2個/スポット植菌し、28℃で96時間保存してカビの生育を確認し、カビの生育度合いを「+」の数で評価した。具体的には、カビの生育が多いものほど「+」の数を多くした。食パンのpH、乳酸含量および酢酸含量と併せて、結果を表1に示す。
Figure 0007023758000001
試験例2の結果から、試験例1で選抜された乳酸菌A~Dの4株を培養した培地を含む発酵液を添加したパンでは、パン中でも防黴性を有することが確認された。中でも、乳酸菌A株が最も強い防黴効果を有することが確認された。
前記前記乳酸菌A株(ラクトバチルス・ロイテリL-015株)は、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に寄託申請し、NITE P-02599として、2017年12月22日に受託された。
(試験例3)
<発酵液の製造>
乳酸菌として前記A株を用い、加熱殺菌の温度を65℃又は80℃とした以外は、試験例2と同様にして発酵液を製造した。
<製パン試験>
上記で製造した発酵液を用い、試験例2と同様にして食パンを製造した。なお、発酵液を用いなかった以外は同様にして製造した食パンを対照とした。
-評価-
試験例2と同様にして、食パンにおけるカビの生育度合いを評価した。食パンのpH、乳酸含量および酢酸含量と併せて、結果を表2に示す。また、保存後の食パンの状態の一例を図1に示す。
Figure 0007023758000002
試験例3の結果から、80℃の殺菌条件で処理した発酵液を用いた場合でも防黴性が認められた。そのため、防黴性を示す活性物質は、バクテリオシンのようなタンパク質性の化合物ではないと考えられた。
(試験例4)
ラクトバチルス・ロイテリの中には、防黴活性に寄与するロイテリンを生産する株が存在することが報告されている。そこで、本発明における防黴活性に寄与する物質がロイテリンであるかどうかを以下のようにして検討した。また、本発明の発酵液と醸造酢との比較も併せて行った。
<試験例4-1>
乳酸菌として前記A株を用いて、下記のようにして製造した発酵液について、HPLCクロマトグラフィーを用いて検討を行った。なお、検出条件は以下のとおりである。
-発酵液の製造-
小麦粉400gに水道水1,100gを加えよく撹拌した後ポリ容器に移し、乳酸菌Aを約10CFU/g添加し、37℃で20時間、インキュベーター中で静置培養した。20時間の培養後、炭酸カルシウム7.5gを加えよく撹拌した後、24%NaOHでpH6.5に調整し、150gのグリセリンを添加した後、37℃4時間培養した。得られた発酵液を65℃で30分間加熱殺菌した。
[検出条件]
・ カラム : SCR-101N(φ7.9×300mm)
・ 溶媒 : 水
・ 流速 : 0.8mL/分間、55℃
・ 検出 : 示差屈折率検出器(RID)
図2にHPLCクロマトグラムを示す。図2に示されるように、保持時間11.5分にグリセリンのピーク(図2中の(1))が認められ、保持時間12.6分にはロイテリンと示唆されるピーク(図2中の(2))が認められた。しかしながら、発酵液中のグリセリンはほとんど消費されておらず、また、従来防黴効果が認められているロイテリン濃度を考慮すると、ロイテリンと示唆されるピーク面積も非常に小さく、本発明の発酵液の防黴性は、ロイテリンに起因するものではないことが示唆された。
<試験例4-2>
ロイテリンは、カビだけではなく、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)やバチルス・サブチリス(Bacillus subtilisi)にも抗菌活性を有することが報告されている。
そこで、本発明の発酵液の一例として、乳酸菌として前記A株を用いて試験例2と同様にして製造した発酵液を用いて食パンを製造し、本発明の発酵液における防黴活性成分がロイテリンであるかどうかを検討した。
なお、食パンは、以下の3種類を製造した。
(A)発酵液を用いた食パン
乳酸菌として前記A株を用いて試験例2と同様にして製造した発酵液を用い、試験例2の製パン試験と同様にして食パンを製造した。
(B)発酵液を用いなかった食パン
発酵液を用いなかった以外は、上記(A)と同様にして食パンを製造した。
(C)醸造酢を用いた食パン
発酵液を用いず、本捏において、醸造酢を1.1質量部加え、水を28質量部に変えた以外は、上記(A)と同様にして食パンを製造した。
-評価1-
食パンの製造において、発酵液を用いた上記(A)の場合と、発酵液を用いなかった上記(B)の場合とで、ホイロ時間を比較したところ、両者は同等であった。そのため、本発明の発酵液の酵母に対する影響は確認されず、本発明の乳酸菌が放出する防黴性物質は、ロイテリンではないと考えられた。
-評価2-
製造した各食パンを半分に切り、バチルス属菌を2個植菌し、密閉して30℃で保管した。保管3日目にパンを水抽出し、菌数を測定した。結果を図3に示す。
図3に示したように、本発明の発酵液を用いた上記(A)の場合はバチルス属菌の生育抑制効果は認められなかった。したがって、この結果からも、本発明の乳酸菌が放出する防黴性物質は、ロイテリンではないと考えられた。
<試験例4-3>
試験例4-2で製造した各食パンに黒カビまたは青カビを2個/スポット植菌し、試験例2と同様にして、食パンにおけるカビの生育度合いを評価した。食パンのpH、乳酸含量および酢酸含量と併せて、結果を表3に示す。また、保存後の食パンの状態の一例を図4に示す。
Figure 0007023758000003
表3及び図4の結果から、本発明の発酵液を用いた場合は、醸造酢を添加した場合と同様に、カビの生育を抑制していることが確認された。また、醸造酢を添加した食パンは、酸味、酸臭が強く製品としては適さないものであったのに対し、本発明の発酵液を添加した場合は、酸味、酸臭が感じられず、優れたものであることも確認された。
NITE P-02599

Claims (3)

  1. ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)L-015株(NITE P-02599)であることを特徴とする乳酸菌。
  2. 請求項1に記載の乳酸菌を培養した培地を含有することを特徴とする防黴性を有する発酵液。
  3. 請求項1に記載の乳酸菌を培養することを含むことを特徴とする防黴性を有する発酵液の製造方法。
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