以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<画像形成装置の全体構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る駆動機構100を有する定着装置17を備えた画像形成装置200を正面から視た概略断面図である。なお、図1において、符号Xは、幅方向(奥行き方向)を示しており、符号Yは、幅方向Xに直交する左右方向Yを示しており、符号Zは、上下方向を示している。このことは、後述する図2から図16についても同様である。
図1に示す画像形成装置200は、画像読取装置90により読み取られた画像データ、又は、外部から伝達された画像データに応じて、記録用紙等のシートPに対して電子写真方式により多色及び単色の画像を形成するカラー画像形成装置である。なお、画像形成装置200は、モノクロ画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置200は、他の形態のカラー画像形成装置であってもよい。
画像形成装置200は、原稿送り装置208と、画像形成装置本体210とを備えており、画像形成装置本体210には、画像形成部202とシート搬送系203とが設けられている。
画像形成部202は、露光装置1、複数の現像装置2~2、複数の感光体ドラム3~3、複数の感光体クリーナー部4~4、複数の帯電器5~5、1次転写ベルト装置6、複数のトナーカートリッジ装置21~21及び定着装置17を備えている。また、シート搬送系203は、給紙トレイ81、手差し給紙トレイ82及び排出トレイ15を備えている。
画像形成装置本体210の上部には、原稿(図示省略)が載置される透明ガラスからなる原稿載置台92が設けられ、原稿載置台92の下部には原稿の画像を読み取るための画像読取装置90が設けられている。また、原稿載置台92の上側には原稿送り装置208が設けられている。画像読取装置90で読み取られた原稿の画像は、画像データとして画像形成装置本体210に送られ、画像形成装置本体210において画像データに基づき形成された画像がシートPに記録される。
画像形成装置200において扱われる画像データは、複数色(この例ではブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色)を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像装置2~2、感光体ドラム3~3、感光体クリーナー部4~4、帯電器5~5及びトナーカートリッジ装置21~21は、各色に応じた複数種類(この例では4種類)の画像を形成するようにそれぞれ複数個(この例では4個ずつ設けられ、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)に設定され、これらによって複数(この例では4つ)の画像ステーションが構成されている。
画像形成装置200では、画像形成を行うにあたり、給紙トレイ81又は手差し給紙トレイ82からシートPを供給し、シート搬送路Sに沿って設けられた搬送ローラ12a~12aによってレジストローラ13までシートPを搬送する。次に、シートPと1次転写ベルト装置6において周回方向Mに周回移動される1次転写ベルト61上のトナー像を整合するタイミングで2次転写ベルト装置10によってシートPを搬送し、シートP上にトナー像を転写する。その後、シートPを定着装置17における定着ローラ171と加圧ローラ172との間に通過させることによってシートP上の未定着トナーを熱で溶融、固着し、搬送ローラ12a及び排出ローラ部31を経て排出トレイ15上に排出する。また、画像形成装置200において、シートPの表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、シートPを排出ローラ部31から反転経路Srへ逆方向に搬送して、搬送ローラ12bを経てシートPの表裏を反転させてレジストローラ13へ再度導き、シートPの表面と同様にして、シートPの裏面にトナー像を定着させて排出トレイ15へ排出する。こうして、画像形成装置200は、一連の印刷動作を完了する。
なお、4つの画像形成ステーションのうち少なくとも一つを用いて、モノクロ画像を形成し、モノクロ画像を1次転写ベルト装置6の1次転写ベルト61に転写することも可能である。このモノクロ画像も、カラー画像と同様に、1次転写ベルト61からシートPに転写され、シートP上に定着される。
<定着装置>
次に、本実施の形態に係るベルト片寄補正装置300をベルト定着方式の定着装置17に適用した例について以下に説明する。
図2及び図3は、それぞれ、図1に示す定着装置17の概略構成を示す正面図及び平面図である。また、図4は、図1に示す定着装置17における駆動機構100、駆動伝達機構180及び回転駆動源190を示す概略正面図である。図4では加圧ローラ172の定着ローラ171への圧接解除状態を示している。なお、図2及び図3において、図4に示す駆動機構100の一部の構成要素等は、図示を省略している。また、図4において、他方側(この例では背面側)の構成については、後述するように、加圧ローラ172を揺動方向Wに揺動させる構成を除いて一方側(この例では正面側)の構成と実質的に同様の構成であり、ここでは、図示を省略している。このことは、後述する図5、図6、図8、図10から図16についても同様である。
本実施の形態では、駆動機構100は、図2から図4に示すように、第1ローラ(この例では定着ローラ171)と、第2ローラ(この例では加圧ローラ172)とを備えている。第2ローラは、第1ローラとの間に被搬送体(この例では定着ベルト173)を挟持する。
また、本実施の形態では、駆動機構100は、第3ローラ(この例では加熱ローラ174)をさらに備えている。被搬送体(この例では定着ベルト173)は、第1ローラ(この例では定着ローラ171)及び第3ローラ(この例では加熱ローラ174)に巻き掛けられる無端ベルトとされている。
詳しくは、定着装置17は、定着ローラ171を含む複数(この例では二つ)のローラ(この例では定着ローラ171及び加熱ローラ174)と、定着ローラ171及び加熱ローラ174に巻き掛けられた無端状の定着ベルト173とを備えている。
定着装置17は、さらに加圧ローラ172を備えており、定着ベルト173を間にして付勢部材175(この例では、コイルバネ等の圧接スプリング)によって定着ローラ171と加圧ローラ172とを相互に圧接した状態で、定着ベルト173と加圧ローラ172との間に定着ニップ域N(ニップ部の一例)を形成するようになっている。定着装置17は、駆動機構100をさらに備えている。駆動機構100は、後述するように、加圧ローラ172の定着ローラ171に対する圧接、圧力調整、圧接解除を行う手段として作用し、且つ、定着ベルト173の片寄りを補正する手段としても作用する。なお、駆動機構100については、のちほど詳しく説明する。
定着ローラ171は、定着ベルト173を介してシートP上における未定着のトナー像Tに対向するようになっており、加熱ローラ174は、定着ベルト173を加熱するようになっている。
具体的には、定着ローラ171は、回転軸171aが定着装置17の本体(具体的には本体フレームFL)に軸受け171b,171bを介して回転自在に設けられている。定着ローラ171は、加圧ローラ172と共に定着ベルト173を挟持した状態で定着ベルト173と加圧ローラ172との間のシートP上における未定着のトナー像Tに対向して未定着のトナー像Tを定着する。定着ローラ171は、弾性層171c(例えばシリコーンゴム等のゴム部材からなる弾性層)を有している。
加圧ローラ172は、回転軸172aが被動作部材110に軸受け110d,110dを介して回転自在に設けられている。加圧ローラ172は、弾性層172b(例えばシリコーンゴム等のゴム部材からなる弾性層)を有している。
定着ベルト173は、基材(図示せず)(例えばニッケル等の金属からなる基材)に弾性層(例えばシリコーンゴム等のゴム部材からなる弾性層)(図示せず)を設けたものである。
また、加熱ローラ174は、回転軸174aが定着装置17の本体(具体的には本体フレームFL)に軸受け174bを介して回転自在に設けられている。加熱ローラ174は、ハロゲンヒータ等の熱源178を備えており、熱源178によって加熱されることで加熱ローラ174を介して定着ベルト173を加熱する。加熱ローラ174は、筒状の芯金を備えている。加熱ローラ174の内側には、加熱ローラ174を加熱する熱源178が設けられている。これにより、加熱ローラ174が熱源178によって加熱され、加熱ローラ174の熱が定着ベルト173に伝導されて定着ベルト173が加熱される。加熱ローラ174は、金属製の素管174c(例えばアルミ素管)を有している。
以上説明した定着装置17では、画像形成装置本体210に装着された状態において、画像形成装置本体210側のギヤ等の駆動機構(図示せず)が定着ローラ171の回転軸171aに設けられたギヤ(図示せず)に噛合され、画像形成装置本体210側の駆動機構からの回転駆動力がギヤを介して定着ローラ171の回転軸171aに伝達されて、定着ローラ171が所定の回転方向E1に回転駆動される。定着ローラ171の回転に伴い、定着ベルト173が定着ローラ171の回転方向E1と同じ周回りの周回方向Eに周回移動して加熱ローラ174が回転方向E1に回転し、さらに加圧ローラ172が定着ローラ171の回転方向E1とは逆方向E2に従動回転する。そして、未定着のトナー像Tが形成されてシート搬送方向Hに搬送されるシートPを受け取り、シートPを定着ベルト173と加圧ローラ172との間に挟み込んで搬送し、定着ニップ域Nで加熱及び加圧する。こうして、シートP上における未定着のトナー像Tを溶融、混合、圧接されて熱定着する。
なお、定着装置17は、定着ベルト173の内側又は外側に配置され、且つ、定着ベルト173の張り力を付与するように定着ベルト173に対して外側又は内側へ押圧するテンションローラを備えていてもよい。定着装置17は、テンションローラに代えて或いは加えて、加熱ローラ174の回転軸174aにおける両端部に対して定着ローラ171とは反対側へ付勢力を付与する付勢部材(例えばコイルバネ)を備えていてもよい。また、定着ローラ171及び/又は加圧ローラ172に、熱源178が設けられていてもよい。また、テンションローラが設けられる場合、テンションローラに熱源178が設けられていてもよい。また、定着ベルト173がさらに他のローラに巻き掛けられる場合、他のローラの少なくとも一つに熱源178が設けられていてもよい。
<ベルト片寄補正装置>
定着装置17は、複数のローラ(この例では定着ローラ171及び加熱ローラ174)と、無端ベルト(この例では定着ベルト173)とを備えている。定着ベルト173は、定着ローラ171及び加熱ローラ174に巻き掛けられている。定着ベルト173は、加熱ローラ174から定着ローラ171へ熱伝達できるようになっている。定着装置17は、押圧ローラ(この例では、加圧ローラ172)をさらに備えている。加圧ローラ172は、定着ローラ171及び加熱ローラ174に巻き掛けられた定着ベルト173の外側から押圧される。この例では、定着装置17は、加圧ローラ172が定着ベルト173を介して定着ローラ171に押圧される。また、定着ベルト173は、加熱ローラ174の内側に設けられた熱源178によって加熱され、温度検知部177(具体的にはサーミスタ等の温度センサ)からの信号に基づき所定の定着温度に維持されるようになっている。
そして、加圧ローラ172は、定着ローラ171及び加熱ローラ174に対して傾斜するように揺動する構成とされている。定着装置17は、加圧ローラ172を揺動させることにより、定着ベルト173の定着ローラ171及び加熱ローラ174の回転軸線β1方向における片寄りを補正する。
本実施の形態によれば、定着ベルト173のベルト片寄りを補正するために、定着ベルト173の外側から押圧される加圧ローラ172を揺動させる。従って、ベルト片寄りを補正するための部材の構成を簡素化することができる。これにより、装置の小型化を実現させることができる。
<駆動機構>
駆動機構は、互いに異なる複数の被動作部を駆動するものである。ところで、互いに異なる複数の被動作部を駆動する駆動機構は、従来から知られている(例えば特開2014-115585号公報参照)。
詳しくは、特開2014-115585号公報は、移動用カムモータにより移動用カムシャフトを介して移動用カムを移動用カム貫通穴内で回転させて移動用カムプレートを介して押し付け用カム機構部を加圧ローラ側に移動させることで、加圧ローラの押し付け荷重全体を調整すると共に、押し付け用カムモータにより蛇行量検出器からの検出信号に基づいて位相の異なる一対の押し付け用カムを回転させてアーム部材を介して加熱ローラに対する加圧ローラの押し付け荷重の左右のバランスを調整することで、被記録媒体の蛇行(片寄り)補正を行う構成を開示している。
すなわち、特開2014-115585号公報に記載の構成は、2つの駆動源(すなわち押し付け用カムモータ及び移動用カムモータ)により、それぞれ、一対の押し付け用カムを回転させてアーム部材(押し付け用の被動作部)を動作させると共に、移動用カムを回転させて移動用カムプレート(移動用の被動作部)を動作させるようになっている。
しかしながら、特開2014-115585号公報に記載のような従来の駆動機構では、複数の被動作部に対して個々に駆動源が設けられていることから、駆動機能の小型化が困難となる。しかも、複数の被動作部を個別に動作させるための制御構成が複雑化する。
そこで、互いに異なる複数の被動作部を駆動する駆動機構であって、当該駆動機能の小型化を実現しつつ、複数の被動作部を個別に動作させるための制御構成を簡素化させることが望まれる。
この点、本実施の形態において、駆動機構100は、加圧ローラ172を揺動させるために互いに異なる複数の被動作部〔この例では第1係合部111(一の被動作部材の一例)及び第2係合部112(他の被動作部の一例)〕を駆動するものである。
駆動機構100は、単一の駆動部(この例では回転駆動軸120)と、複数の動作部〔この例では第1カム131(一のカムの一例)及び第2カム132(他のカムの一例)〕とを備えている。
単一の駆動部(この例では回転駆動軸120)は、単一の駆動源(この例では回転駆動源190)から駆動力が伝達される。
複数の動作部(この例では第1カム131及び第2カム132)は、複数の被動作部(この例では第1係合部111及び第2係合部112)のうち一の被動作部(この例では第1係合部111)及び他の被動作部(この例では第2係合部112)を単一の駆動部(この例では回転駆動軸120)からの駆動力によりそれぞれ動作させるにあって一の被動作部(この例では第1係合部111)への一の動作(この例ではローラ圧接動作)と他の被動作部(この例では第2係合部112)への他の動作(この例ではベルト片寄補正動作)とが相互に影響を受けないように単一の駆動部(この例では回転駆動軸120)に設けられている。
本実施の形態によれば、単一の駆動源(この例では回転駆動源190)を用いて複数の動作部(この例では第1カム131及び第2カム132)を駆動するので、単一の駆動源(この例では回転駆動源190)を設けるスペースを削減することができ、従って、駆動機構100の小型化を実現させることができる。しかも、駆動機構100の低コスト化を実現させることができる。さらに、複数の被動作部(この例では第1係合部111及び第2係合部112)のうち一の被動作部(この例では第1係合部111)及び他の被動作部(この例では第2係合部112)を単一の駆動部(この例では回転駆動軸120)からの駆動力によりそれぞれ動作させるにあって一の被動作部(この例では第1係合部111)への一の動作(この例ではローラ圧接動作)と他の被動作部(この例では第2係合部112)への他の動作(この例ではベルト片寄補正動作)とが相互に影響を受けないように構成されているので、複数の動作部(この例では第1カム131及び第2カム132)のうち一の動作部(この例では第1カム131)により一の被動作部(この例では第1係合部111)を動作させる一の動作(この例ではローラ圧接動作)と他の動作部(この例では第2カム132)により他の被動作部(この例では第2係合部112)を動作させる他の動作(この例ではベルト片寄補正動作)とが相互に影響を受けないようにすることができる。従って、単一の駆動源(この例では回転駆動源190)を制御するだけで、一の動作部(この例では第1カム131)による一の被動作部(この例では第1係合部111)への一の動作(この例ではローラ圧接動作)と他の動作部(この例では第2カム132)による他の被動作部(この例では第2係合部112)への他の動作(この例ではベルト片寄補正動作)とが相互に影響を受けないようにすることができ、これにより、複数の被動作部(この例では第1係合部111及び第2係合部112)を個別に動作させるための制御構成を簡素化させることができる。
[第1実施形態から第12実施形態]
次に、第1実施形態から第12実施形態について、図1から図4に加えて、図5から図17を参照しながら以下に説明する。
図5は、図4に示す駆動機構100における第1カム131及び第1係合部111部分を拡大して示す概略断面図である。図6は、図4に示す駆動機構100における第2カム132及び第2係合部112部分を拡大して示す概略断面図である。図7は、図4に示す駆動機構100を他方側(この例では背面側)に向けて斜め上方から視た概略斜視図である。図8は、図4に示す駆動機構100の幅方向Xにおける一方側(この例では正面側)の部分を一方側(この例では正面側)に向けて斜め上方から視た概略斜視図である。
図9は、図4に示す駆動機構100における被動作部材110を構成する着脱部材110bを示す図である。図9(a)及び図9(b)は、それぞれ、被動作部材110を構成する着脱部材110bの概略正面図及び概略背面図である。
図10は、図4に示す駆動機構100の一方側(正面側)において回転駆動軸120に設けられた第1カム131及び第2カム132を一方側(この例では正面側)に向けて斜め上方から視た概略斜視図である。
図11は、図4に示す駆動機構100における加圧ローラ172の定着ローラ171への圧接状態において加圧ローラ172の一方側(この例では正面側)が揺動方向Wにおける一方向W1に移動するように傾斜している状態を示す図である。図11(a)は、第1カム131及び第1係合部111部分の概略正面図であり、図11(b)は、第2カム132及び第2係合部112部分の概略断面図である。図12は、図11に示す駆動機構100の動作状態を示す拡大図である。図12(a)は、図11(a)に示す第1カム131及び第1係合部111部分を拡大して示す概略正面図であり、図12(b)は、図11(b)に示す第2カム132及び第2係合部112部分を拡大して示す概略断面図である。
図13は、図4に示す駆動機構100における加圧ローラ172の定着ローラ171への圧接状態において加圧ローラ172の一方側(この例では正面側)が揺動方向Wにおける他方向W2に移動するように傾斜している状態を示す図である。図13(a)は、第1カム131及び第1係合部111部分の概略正面図であり、図13(b)は、第2カム132及び第2係合部112部分の概略断面図である。図14は、図13に示す駆動機構100の動作状態を示す拡大図である。図14(a)は、図13(a)に示す第1カム131及び第1係合部111部分を拡大して示す概略正面図であり、図14(b)は、図13(b)に示す第2カム132及び第2係合部112部分を拡大して示す概略断面図である。
図15は、図4に示す駆動機構100における加圧ローラ172の定着ローラ171への圧接状態において加圧ローラ172が定着ローラ171に対して平行になっている状態を示す図である。図15(a)は、第1カム131及び第1係合部111部分の概略正面図であり、図15(b)は、第2カム132及び第2係合部112部分の概略断面図である。図16は、図15に示す駆動機構100の動作状態を示す拡大図である。図16(a)は、図15(a)に示す第1カム131及び第1係合部111部分を拡大して示す概略正面図であり、図16(b)は、図15(b)に示す第2カム132及び第2係合部112部分を拡大して示す概略断面図である。
なお、図11(b)、図13(b)及び図15(b)において、定着ローラ171、加圧ローラ172及び定着ベルト173等は図示を省略している。
また、図17は、本実施の形態に係る画像形成装置200における制御系の概略構成を示すシステムブロック図である。
<第1実施形態>
本実施の形態において、複数の動作部(この例では第1カム131及び第2カム132)のうち、一の動作部(この例では第1カム131)は、対応する一の被動作部(この例では第1係合部111)の動作状態を維持する動作状態維持領域γ1aを有し、他の動作部(この例では第2カム132)は、対応する他の被動作部(この例では第2係合部112)の動作状態を変化させる動作状態変化領域γ2bを有している。そして、一の動作部(この例では第1カム131)の動作状態維持領域γ1aで一の被動作部(この例では第1係合部111)への一の動作(この例ではローラ圧接動作)の動作状態を維持するときに、他の動作部(この例では第2カム132)の動作状態変化領域γ2bで他の被動作部(この例では第2係合部112)への他の動作(この例ではベルト片寄補正動作)の動作状態を変化させる構成とされている。
こうすることで、一の被動作部(この例では第1係合部111)及び他の被動作部(この例では第2係合部112)をそれぞれ動作させるにあたり、一の動作部(この例では第1カム131)の動作状態維持領域γ1aで一の被動作部(この例では第1係合部111)への一の動作(この例ではローラ圧接動作)の動作状態を維持した状態で、他の動作部(この例では第2カム132)の動作状態変化領域γ2bで他の被動作部(この例では第2係合部112)への他の動作(この例ではベルト片寄補正動作)の動作状態を変化させることができる。これにより、一の動作部(この例では第1カム131)が動作状態維持領域γ1aを有し、他の動作部(この例では第2カム132)が動作状態変化領域γ2bを有するといった簡単な構成でありながら、一の動作(この例ではローラ圧接動作)と他の動作(この例ではベルト片寄補正動作)とが相互に影響を受けないようにすることができる。
なお、本実施の形態に係る駆動機構100において、前記した構成に加えて、複数の動作部(この例では第1カム131及び第2カム132)のうち、一の動作部(この例では第1カム131)は、対応する一の被動作部(この例では第1係合部111)の動作状態を変化させる動作状態変化領域γ1bを有し、他の動作部(この例では第2カム132)は、対応する他の被動作部(この例では第2係合部112)の動作状態を維持する動作状態維持領域γ2aを有し、他の動作部(この例では第2カム132)の動作状態維持領域γ2aで他の被動作部(この例では第2係合部112)への他の動作(この例ではベルト片寄補正動作)の動作状態を維持するときに、一の動作部(この例では第1カム131)の動作状態変化領域γ1bで一の被動作部(この例では第1係合部111)への一の動作(この例ではローラ圧接動作)の動作状態を変化させる構成とされていてもよい。
こうすることで、一の被動作部(この例では第1係合部111)及び他の被動作部(この例では第2係合部112)をそれぞれ動作させるにあたり、他の動作部(この例では第2カム132)の動作状態維持領域γ2aで他の被動作部(この例では第2係合部112)への他の動作(この例ではベルト片寄補正動作)の動作状態を維持した状態で、一の動作部(この例では第1カム131)の動作状態変化領域γ1bで一の被動作部(この例では第1係合部111)への一の動作(この例ではローラ圧接動作)の動作状態を変化させることができる。これにより、一の動作部(この例では第1カム131)が動作状態変化領域γ1bを有し、他の動作部(この例では第2カム132)が動作状態維持領域γ2aを有するといった簡単な構成でありながら、他の動作(この例ではベルト片寄補正動作)と一の動作(この例ではローラ圧接動作)とが相互に影響を受けないようにすることができる。
従って、一の動作部(この例では第1カム131)の一の被動作部(この例では第1係合部111)への一の動作(この例ではローラ圧接動作)と、他の動作部(この例では第2カム132)の他の被動作部(この例では第2係合部112)への他の動作(この例ではベルト片寄補正動作)とを交互に行うことができる。すなわち、一の動作状態を維持するときに、他の動作状態を変化させ、換言すれば、他の動作状態を変化させるときに、一の動作状態を維持することができると共に、他の動作状態を維持するときに、一の動作状態を変化させ、換言すれば、一の動作状態を変化させるときに、他の動作状態を維持することができる。
<第2実施形態>
本実施の形態において、一の動作部(この例では第1カム131)の動作状態変化領域γ1bで一の被動作部(この例では第1係合部111)への一の動作(この例ではローラ圧接動作)の動作状態を変化させるときに、他の動作部(この例では第2カム132)による他の被動作部(この例では第2係合部112)への他の動作(この例ではベルト片寄補正動作)を行わない構成とされている。
こうすることで、一の動作部(この例では第1カム131)の一の被動作部(この例では第1係合部111)への一の動作(この例ではローラ圧接動作)の動作状態を変化させた状態で他の動作部(この例では第2カム132)による他の被動作部(この例では第2係合部112)への他の動作(この例ではベルト片寄補正動作)を行わないようにすることができる。これにより、一の動作部(この例では第1カム131)が動作状態変化領域γ1bを有するといった簡単な構成でありながら、他の動作(この例ではベルト片寄補正動作)と一の動作(この例ではローラ圧接動作)とが相互に影響を受けないようにすることができる。
従って、この場合も、一の動作部(この例では第1カム131)の一の被動作部(この例では第1係合部111)への一の動作(この例ではローラ圧接動作)と、他の動作部(この例では第2カム132)の他の被動作部(この例では第2係合部112)への他の動作(この例ではベルト片寄補正動作)とを交互に行うことができる。すなわち、一の動作状態を維持するときに、他の動作状態を変化させ、換言すれば、他の動作状態を変化させるときに、一の動作状態を維持することができると共に、他の動作状態を維持するときに、一の動作状態を変化させ、換言すれば、一の動作状態を変化させるときに、他の動作状態を維持することができる。
<第3実施形態>
本実施の形態において、単一の駆動源は、回転駆動力を出力する回転駆動源190であり、単一の駆動部は、回転駆動源190からの回転駆動力が伝達される回転駆動軸120である。
複数の動作部のうち少なくとも2つの動作部は、カム(この例では第1カム131及び第2カム132)で構成されている。少なくとも2つのカムのうち、一のカム(この例では第1カム131)及び他のカム(この例では第2カム132)は、一のカム(この例では第1カム131)により一の被動作部(この例では第1係合部111)を動作させる一の動作(この例ではローラ圧接動作)と他のカム(この例では第2カム132)により他の被動作部(この例では第2係合部112)を動作させる他の動作(この例ではベルト片寄補正動作)とが相互に影響を受けないように回転駆動軸120上に設けられている。
こうすることで、一の被動作部(この例では第1係合部111)及び他の被動作部(この例では第2係合部112)をそれぞれ動作させるにあたり、回転駆動源190からの回転駆動力により一のカム(この例では第1カム131)及び他のカム(この例では第2カム132)を一のカム(この例では第1カム131)による一の動作(この例ではローラ圧接動作)と他のカム(この例では第2カム132)による他の動作(この例ではベルト片寄補正動作)とが相互に影響を受けない状態で回転駆動軸120の回転軸線回りに回転駆動することができる。これにより、回転駆動軸120上に設けられた一のカム(この例では第1カム131)及び他のカム(この例では第2カム132)を用いるといった簡単な構成でありながら、一の動作(この例ではローラ圧接動作)と他の動作(この例ではベルト片寄補正動作)とが相互に影響を受けないようにすることができる。
<第4実施形態>
本実施の形態において、一のカム(この例では第1カム131)及び他のカム(この例では第2カム132)は、一のカム(この例では第1カム131)の径r1が変位する位相と他のカム(この例では第2カム132)の径(半径r2)が変位する位相とが一致しない(ずれる)ように、回転駆動軸120上に設けられている。
こうすることで、一の被動作部(この例では第1係合部111)及び他の被動作部(この例では第2係合部112)をそれぞれ動作させるにあたり、一のカム(この例では第1カム131)の径r1が変位する位相と他のカム(この例では第2カム132)の径(半径r2)が変位する位相とが一致しないようすることができる。これにより、一のカム(この例では第1カム131)により一の被動作部(この例では第1係合部111)を動作させる一の動作(この例ではローラ圧接動作)と他のカム(この例では第2カム132)により他の被動作部(この例では第2係合部112)を動作させる他の動作(この例ではベルト片寄補正動作)とが相互に影響を受けない構成を容易に実現させることができる。
具体的には、一のカム(この例では第1カム131)と他のカム(この例では第2カム132)との位相とが互い違いになるように、所定角度(例えば180度)ずれるように、一のカム(この例では第1カム131)及び他のカム(この例では第2カム132)を回転駆動軸120上に設けることができる。
<第5実施形態>
本実施の形態において、一の被動作部(この例では第1係合部111)及び他の被動作部(この例では第2係合部112)が設けられる被動作部材110(具体的には支持部材、この例では加圧レバー)をさらに備えている。一のカム(この例では第1カム131)は、被動作部材110を一の被動作部(この例では第1係合部111)で一の往復移動方向(この例では回動方向V)に往復移動させる。他のカム(この例では第2カム132)は、被動作部材110を他の被動作部(この例では第2係合部112)で一の往復移動方向(この例では回動方向V)とは異なる他の往復移動方向(この例では揺動方向W)に往復移動させる。
こうすることで、一のカム(この例では第1カム131)により被動作部材110を一の被動作部(この例では第1係合部111)で一の往復移動方向(この例では回動方向V)に往復移動させ、他のカム(この例では第2カム132)により被動作部材110を他の被動作部(この例では第2係合部112)で他の往復移動方向(この例では揺動方向W)に往復移動させることができる。これにより、被動作部材110に設けられた一の被動作部(この例では第1係合部111)及び他の被動作部(この例では第2係合部112)を用いて被動作部材110を容易に動作させることができる。
<第6実施形態>
本実施の形態において、一の往復移動方向は、回転駆動軸120の回転軸線β3方向(この例では幅方向X)と平行又は略平行な回動軸線β4回りに回動する回動方向Vを含んでいる。他の往復移動方向は、回動軸線β4と交差(具体的には直交又は略直交)する揺動軸線β5回りに揺動する揺動方向Wを含んでいる。そして、被動作部材110は、回動方向Vに回動自在、且つ、揺動方向Wに揺動自在となるように構成されている。
こうすることで、被動作部材110を回動方向Vに回動させ、且つ、揺動方向Wに揺動させることができる。これにより、被動作部材110を互いに異なる複数方向に移動させることができる。
<第7実施形態>
本実施の形態において、被動作部材110は、一の被動作部(この例では第1係合部111)が設けられる本体部材110aと、本体部材110aに着脱可能に設けられて他の被動作部(この例では第2係合部112)が設けられる着脱部材110b(この例では揺動ガイド)とを備えている。
こうすることで、他の被動作部(この例では第2係合部112)が設けられる着脱部材110bを一の被動作部(この例では第1係合部111)が設けられる本体部材110aに着脱可能に設けることができる。これにより、一のカム(この例では第1カム131)及び他のカム(この例では第2カム132)が設けられる回転駆動軸120と、一の被動作部(この例では第1係合部111)及び他の被動作部(この例では第2係合部112)が設けられる被動作部材110との取り付け作業性を向上させることができる。
<第8実施形態>
本実施の形態において、被動作部材110は、回転駆動軸120の回転軸線β3方向における両側に位置する一対の被動作部材110,110とされている。
ところで、被動作部材110は、回転駆動軸120の回転軸線β3方向における両側に位置する一対の被動作部材110,110である場合において、一のカムとして単一のカムを用いると、一対の被動作部材110,110をそれぞれ一の往復移動方向(この例では回動方向V)における同じ方向に確実に往復移動させることが困難となる。
この点、本実施の形態では、一のカム(この例では第1カム131)は、回転駆動軸120の回転軸線β3方向における両側に設けられた一対の第1カム(この例では一対の第1カム131,131)であり、回転駆動軸120を回転軸線β3回りに回転駆動させるときに一対の被動作部材110,110をそれぞれ一の往復移動方向(この例では回動方向V)における同じ方向に往復移動させる構成とされている。
こうすることで、一のカムとして回転駆動軸120の回転軸線β3方向における両側に設けられた一対の第1カム131,131により回転駆動軸120を回転軸線β3回りに回転駆動させるときに一対の被動作部材110,110をそれぞれ一の往復移動方向(この例では回動方向V)における同じ方向に確実に往復移動させることができる。これにより、一対の被動作部材110,110における一の被動作部(この例では第1係合部111,111)を回転駆動軸120の回転軸線β3方向における両側で一の往復移動方向(この例では回動方向V)における同じ方向に確実に動作させることができる。この場合、一対の被動作部材110,110において一の被動作部(この例では第1係合部111,111)と少なくとも当接する部分を同一又は略同一形状とし、一対の第1カム131,131を同一又は略同一形状とし、一対の第1カム131,131の径r1,r1が変位する位相を何れも同一又は略同一の位相とすることができる。
<第9実施形態>
ところで、被動作部材110は、回転駆動軸120の回転軸線β3方向における両側に位置する一対の被動作部材110,110である場合において、他のカムとして、単一のカムを用いてもよいし、一対のカムを用いてもよい。
本実施の形態において、他のカムは、回転駆動軸120の回転軸線β3方向における何れか片側(この例では正面側)に設けられた単一の第2カム132である。一対の被動作部材110,110のうち単一の第2カム132が設けられる側(この例では正面側)の被動作部材110を他の往復移動方向(この例では揺動方向W)に往復移動させる構成とされている。
こうすることで、他のカムとして回転駆動軸120の回転軸線β3方向における何れか片側(この例では正面側)に設けられた単一の第2カム132を用いても、単一の第2カム132により一対の被動作部材110,110のうち単一の第2カム132が設けられる側(この例では正面側)の被動作部材110を他の往復移動方向(この例では揺動方向W)に確実に往復移動させることができ、これにより、被動作部材110における他の被動作部(この例では第2係合部112)を回転駆動軸120の回転軸線β3方向における片側(この例では正面側)で他の往復移動方向(この例では揺動方向W)に支障なく動作させることができる。
<第10実施形態>
ここで、図示を省略したが、本実施の形態において、他のカムは、回転駆動軸120の回転軸線β3方向における両側に設けられた一対の第2カム132,132であり、回転駆動軸120を回転軸線β3回りに回転駆動させるときに一対の被動作部材110,110をそれぞれ他の往復移動方向(この例では揺動方向W)における相反する方向W1,W2に往復移動させる構成とされていてもよい。換言すれば、一対の第2カム132,132のうち、一方の第2カム132が一対の被動作部材110,110のうちの一方の被動作部材110を他の往復移動方向(この例では揺動方向W)における一方向W1に移動させ、且つ、他方の第2カム132が一対の被動作部材110,110のうちの他方の被動作部材110を他の往復移動方向(この例では揺動方向W)における他方向W2に移動させる一方、一方の第2カム132が一方の被動作部材110を他の往復移動方向(この例では揺動方向W)における他方向W2に移動させ、且つ、他方の第2カム132が他方の被動作部材110を他の往復移動方向(この例では揺動方向W)における一方向W1に移動させる。
こうすることで、他のカムとして回転駆動軸120の回転軸線β3方向における両側に設けられた一対の第2カム132,132により回転駆動軸120を回転軸線β3回りに回転駆動させるときに一対の被動作部材110,110をそれぞれ他の往復移動方向(この例では揺動方向W)における相反する方向W1,W2に確実に往復移動させることができる。これにより、一対の被動作部材110,110における他の被動作部(この例では第2係合部112)を回転駆動軸120の回転軸線β3方向における両側で他の往復移動方向(この例では揺動方向W)における相反する方向W1,W2に確実に動作させることができる。この場合、一対の被動作部材110,110において他の被動作部(この例では第2係合部112)と少なくとも当接する部分を同一形状とし、一対の第2カム132,132を同一又は略同一形状とし、一対の第2カム132,132の径が変位する位相を互いに異なる位相とすることができる。
<第11実施形態>
本実施形態において、複数の動作部(この例では第1カム131及び第2カム132)のうち、一の動作部(この例では第1カム131)により第1ローラ(この例では定着ローラ171)に対して第2ローラ(この例では加圧ローラ172)を圧接するローラ圧接動作を行い、他の動作部(この例では第2カム132)により被搬送体(この例では定着ベルト173)の片寄りを補正する被搬送体片寄補正動作(この例ではベルト片寄補正動作)を行うように構成されている。
こうすることで、一の動作として第1ローラ(この例では定着ローラ171)に対して第2ローラ(この例では加圧ローラ172)を圧接するローラ圧接動作と、他の動作として被搬送体(この例では定着ベルト173)の片寄りを補正する片寄補正動作(この例ではベルト片寄補正動作)とが相互に影響を受けないようにすることができる。これにより、単一の駆動源(この例では回転駆動源190)を制御するだけで、一の動作としてのローラ圧接動作と、他の動作としての片寄補正動作とを両立させることができる。
<第12実施形態>
本実施の形態において、被搬送体は、第1ローラ(この例では定着ローラ171)及び第3ローラ(この例では加熱ローラ174)に巻き掛けられる無端ベルトである。
こうすることで、ローラ圧接動作と、無端ベルト(この例では定着ベルト173)の片寄補正とを好適に行うことができる。
<駆動機構の詳細な構成>
次に、本実施の形態に係る駆動機構100の詳細な構成について以下に具体的に説明する。
駆動機構100は、互いに対向する定着ローラ171及び加圧ローラ172を圧接した状態で互いに回転しつつ定着ベルト173を挟持搬送する構成とされている。
駆動機構100は、定着ローラ171及び加圧ローラ172のうち、何れか一方のローラ(この例では定着ローラ171)に対して、何れか他方のローラ(この例では加圧ローラ172)を軸線回り回転自在に、且つ、定着ローラ171及び加圧ローラ172の回転軸線β1,β2を遠ざける一方向V1及び近づける他方向V2に移動自在に支持する被動作部材110を備えている。
被動作部材110は、一方のローラ(この例では定着ローラ171)に対して、他のローラ(この例では加圧ローラ172)の回転軸線β2と平行又は略平行な回動軸線β4回りに回動自在に支持されている。
この例では、被動作部材110は、加圧ローラ172が定着ローラ171に対して一方向V1及び他方向V2に回動するように加圧ローラ172を支持する。駆動機構100は、被動作部材110を介して加圧ローラ172を付勢部材175により定着ローラ171に向けて圧接し、圧力調整し、さらに、定着ローラ171に対して被動作部材110を介して加圧ローラ172の圧接を解除する構成とされている。
被動作部材110は、加圧ローラ172の回転軸172aを回転自在に支持し、且つ、加圧ローラ172の回転軸172aと平行又は略平行な回動支軸113(具体的には回動ピン)の回動軸線β4回りに回動自在に設けられている。
被動作部材110は、加圧ローラ172の幅方向Xにおける両端部の外方において加圧ローラ172の回転軸172aに直交又は略直交する方向に沿って設けられた一対の被動作部材110,110(この例では、被動作板、具体的には支持板)とされている。
一対の被動作部材110,110は、加圧ローラ172の両回転軸172a,172aと対向する側に凹部110c,110cを有しており、凹部110c,110cに軸受け110d,110dを介してそれぞれ加圧ローラ172の両回転軸172a,172aを回転自在に支持している。
一対の被動作部材110,110において定着ローラ171の回転軸線β1と加圧ローラ172の回転軸線β2との間の加圧ローラ172の周辺部(図4に示す例では加圧ローラ172の左斜め下側)には、回動軸線β4方向に沿って貫通した貫通長孔110e,110eが設けられている。
貫通長孔110e,110eは、揺動方向W又は略揺動方向Wに延びている。回動支軸113は、定着装置17の本体(具体的には本体フレームFL)に回転自在に支持されている。貫通長孔110e,110eは、回動支軸113に揺動方向Wに沿って移動自在に係止される。これにより、一対の被動作部材110,110を回動方向Vに回動自在、且つ、揺動方向Wに揺動自在となるように構成することができる。
ここで、揺動方向Wは、回動軸線β4と直交又は略直交する揺動軸線β5回りの方向であるが、この例では、揺動軸線β5は、回動軸線β4と直交又は略直交し、且つ、定着ローラ171の回転軸線β1又はその近傍と加圧ローラ172の回転軸線β2又はその近傍とを通る軸線〔より具体的には加圧ローラ172の回転軸線β2における片側端部又は中央若しくは略中央(この例では背面側端部)に位置する軸線〕とされている。こうすることで、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して捻れ方向に揺動させることができる。なお、揺動方向Wは、回転軸線β2又はその近傍を通り、且つ、前記した揺動軸線β5及び回転軸線β2に双方に直交又は略直交する揺動軸線(より具体的には加圧ローラ172の回転軸線β2における片側端部又は中央若しくは略中央に位置する軸線)回りに揺動する方向であってもよい。この場合、加圧ローラ172は、定着ローラ171に対して回転軸線β2における一方側(この例では正面側)と他方側(この例では背面側)とで定着圧力が異なるように揺動するが、加圧ローラ172の傾斜量は微量であるため、定着性の悪化は許容できるレベルとすることができる。また、何れにしても、定着ローラ171は、回転軸線β1における片側端部(この例では背面側端部)から駆動を受けるために定着ローラ171の回転軸線β1における片側端部に駆動伝達機構180が設けられるという観点から、揺動軸線β5は、加圧ローラ172の駆動伝達機構180が設けられる側端部(この例では背面側端部)に位置することが有効である。
また、貫通長孔110e,110eは、外方(この例では下方)に開放した開放部110e1をさらに有している。これにより、一対の被動作部材110,110を回動支軸113に簡単に且つ容易に着脱することができ、一対の被動作部材110,110の回動支軸113への取り付け作業性を向上させることができる。
具体的には、貫通長孔110e,110eは、加圧ローラ172側とは反対側の端部が開放したU字状(この例では正面視U字状)の形状とされている。回動支軸113は、貫通長孔110e,110eに対応した形状(この例では小判型の形状)とされている。
一対の被動作部材110,110(この例では本体部材110a及び着脱部材110b)において回転駆動軸120に対応する位置には、回転軸線β3方向に沿って貫通した貫通長孔110f,110fが設けられている。
貫通長孔110f,110fは、回動方向Vに又は略回動方向Vに延びている。貫通長孔110f,110fは、回転駆動軸120を挿通する。これにより、回転駆動軸120を回動方向Vに又は略回動方向Vに往復移動させることができる。
また、貫通長孔110f,110fは、外方(この例では上方)に開放した開放部110f1をさらに有している。これにより、回転駆動軸120を貫通長孔110f,110fに簡単に且つ容易に着脱することができ、回転駆動軸120の貫通長孔110f,110fへの取り付け作業性を向上させることができる。
具体的には、貫通長孔110f,110fは、第1係合部111側とは反対側の端部が開放したU字状(この例では正面視U字状)の形状とされている。
また、一対の被動作部材110,110において加圧ローラ172を間にして回動支軸113とは反対側の端部(図4に示す例では加圧ローラ172の右斜め上側)には係止部110g,110g(具体的には取り付けボス)が設けられている。一対の付勢部材175,175は、一端部175a,175aが係止部110g,110gに係止される一方、他端部175b,175bが定着装置17の本体(具体的には本体フレームFL,FL)の係止部FLa,FLaに係止される。
一対の被動作部材110,110のうち一方側(この例では正面側)に設けられた着脱部材110bは、回転軸線β3方向において、本体部材110aの両内側にビス等の固定部材SC,SCにより固定されている。
(第1カム及び第1係合部)
一対の第1カム131,131は、回転駆動軸120の回転軸線β3方向における両端部に設けられている。一対の第1カム131,131における動作状態維持領域γ1a,γ1aは、一対の第1カム131,131の周方向において、径r1が一定又は略一定となる領域である。一対の第1カム131,131における動作状態変化領域γ1b,γ1bは、一対の第1カム131,131の周方向において、径r1が次第に大きく又は小さくなる領域である。
第1係合部111,111は、それぞれ、一対の第1カム131,131と当接する当接部111aを有する。この例では、第1係合部111,111は、円柱形状(この例では正面視で円形状)のものとされている。第1係合部111,111は、円柱形状の外周面の当接部111aで一対の第1カム131,131と当接する。
具体的には、一対の第1カム131,131は、回転駆動軸120とは別体のものとされており、回転駆動軸120に固定されている。第1係合部111,111は、外輪111b,111bが回転駆動軸120の回転軸線β3方向と平行又は略平行な回転軸線β6回りに回転するボールベアリングを構成している。
第1係合部111,111は、一対の被動作部材110,110における本体部材110a,110aにおいて、それぞれ、一対の第1カム131,131における動作状態維持領域γ1a,γ1aの第1係合部111,111を動作させる位置で加圧ローラ172が定着ローラ171に対して圧接状態となる位置に設けられている。ここで、圧接状態とは、基準となる基準定着圧力の状態(この例では標準紙等の標準的なシートを定着する最大定格圧力の状態)である。加えて、第1係合部111,111は、一対の被動作部材110,110における本体部材110a,110aにおいて、それぞれ、一対の第1カム131,131における動作状態変化領域γ1b,γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置で加圧ローラ172が定着ローラ171に対して圧力調整状態及び/又は圧接解除状態となる位置に設けられている。ここで、圧力調整状態とは、基準定着圧力より低くなるように調整した低定着圧力の状態(この例では封筒や厚紙等の厚手のシートを定着する最小定格圧力の状態)であり、圧接解除状態とは、付勢部材175による加圧ローラ172から定着ローラ171に向けて圧力が加わっていない状態である。
なお、駆動機構100は、定着ローラ171及び/又は加圧ローラ172の変形等の不都合を回避する観点から、工場出荷時や画像形成を行っていない時に圧接解除状態にしている。
第1カム131は、動作状態維持領域γ1a,γ1aの第1係合部111,111を動作させる位置において、定着ローラ171に対する加圧ローラ172の定着圧力を基準定着圧力にする構成とされている。
具体的には、一対の第1カム131,131における動作状態維持領域γ1a,γ1aの第1係合部111,111を動作させる位置では、一対の第1カム131,131を回転方向Rにおける一方向R1及び他方向R2に回転させても、第1係合部111,111の一対の第1カム131,131との当接部111aと回転駆動軸120の回転軸線β3との距離dを所定の第1一定距離(例えば最小距離)に維持する構成とされている。これにより、加圧ローラ172の定着ローラ171への圧接状態を維持することができる。
また、第1カム131は、動作状態変化領域γ1b,γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置において、定着ローラ171に対する加圧ローラ172の定着圧力を調整する構成とされている。
具体的には、一対の第1カム131,131における動作状態維持領域γ1a,γ1aの第1係合部111,111を動作させる位置から動作状態変化領域γ1b,γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置に向けて一対の第1カム131,131を回転方向Rにおける一方向R1に回転させて、第1係合部111,111の一対の第1カム131,131との当接部111aと回転駆動軸120の回転軸線β3との距離dを可変距離(例えば最小距離よりも大きい且つ最大距離よりも小さい距離)にする構成とされている。これにより、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して圧力調整状態にすることができる。
また、第1カム131は、動作状態変化領域γ1b,γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置において、定着ローラ171に対する加圧ローラ172の定着圧力を解除する構成とされている。
具体的には、一対の第1カム131,131における動作状態維持領域γ1a,γ1aの第1係合部111,111を動作させる位置から動作状態変化領域γ1b,γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置に向けて一対の第1カム131,131を回転方向Rにおける一方向R1に回転させて、第1係合部111,111の一対の第1カム131,131との当接部111aと回転駆動軸120の回転軸線β3との距離dを第1一定距離よりも大きい所定の第2一定距離(例えば最大距離)にする構成とされている。これにより、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して圧接解除状態にすることができる。
この例では、第1カム131は、定着ローラ171に対する加圧ローラ172の定着圧力を無段階の設定圧力に調整するようになっている。但し、それに限定されるものではなく、第1カム131は、定着ローラ171に対する加圧ローラ172の間の定着圧力を1又は複数段階の設定圧力に調整するようになってもよい。
(第2カム及び第2係合部)
第2カム132は、回転駆動軸120の回転軸線β3方向における片側(この例では正面側)の端部に設けられている。第2カム132における動作状態変化領域γ2bは、第2カム132の周方向において、径(半径r2)が次第に大きく又は小さくなる領域である。第2カム132における動作状態維持領域γ2aは、第2カム132の周方向において、径(半径r2)が一定又は略一定となる領域である。
第2係合部112は、第2カム132と当接する当接部112a,112aを有する。この例では、第2係合部112は、第2カム132の周方向に沿って略半周に亘って湾曲する湾曲部112b(具体的には正面視でU字状の溝部)を有している。第2係合部112は、湾曲部112bの内周面の当接部112aで第2カム132と当接する。第2係合部112の対向する当接部112a,112a間のサイズは、第2カム132の直径より若干大きいサイズ(第2カム132を円滑に挿通できる程度のサイズ)となっている。
当接部112aは、回動方向V又は略回動方向Vに沿って延びる延設部112a1を有している。これにより、第2係合部112は、当接部112aで第2カム132を確実に当接させることができる。
また、第2係合部112は、湾曲部112bの底部とは反対側の端部が開放した開放部112cをさらに有している。これにより、第2カム132を被動作部材110に簡単に且つ容易に着脱することができる。
具体的には、第2カム132は、回転駆動軸120の径よりも小さい径で偏芯している。第2カム132は、回転駆動軸120に対して所定の加工を施した(具体的には切削加工した)ものであり、回転駆動軸120と一体形成されている。
第2係合部112は、一対の被動作部材110,110のうち一方側(この例では正面側)の被動作部材110における着脱部材110bにおいて、第2カム132における動作状態変化領域γ2bの第2係合部112を動作させる位置で加圧ローラ172が定着ローラ171に対して、一方側(この例では正面側)が揺動方向Wにおける一方向W1又は他方向W2に移動する(この例では高くなる又は低くなる)傾斜状態、或いは、平行状態となる位置に設けられている。
なお、加圧ローラ172の定着ローラ171に対する傾斜量としては、それには限定されないが、例えば、A4縦サイズの構成(具体的には300mm程度)で±0.5mm程度(傾斜角度で±0.09度程度)を挙げることができる。
第2カム132における動作状態変化領域γ2bの第2係合部112を動作させる位置では、第2カム132を回転方向Rにおける一方向R1に回転させると、第2係合部112を揺動方向Wにおける一方向W1に移動させることができる。これにより、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して一方側(この例では正面側)が揺動方向Wにおける一方向W1に移動するように(この例では高くなるように)傾斜させることができる。また、第2カム132における動作状態変化領域γ2bの第2係合部112を動作させる位置では、第2カム132を回転方向Rにおける他方向R2に回転させると、第2係合部112を揺動方向Wにおける他方向W2に移動させることができる。これにより、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して一方側(この例では正面側)が揺動方向Wにおける他方向W2に移動するように(この例では低くなるように)傾斜させることができる。さらに、第2カム132における動作状態変化領域γ2bの第2係合部112を動作させる位置では、第2カム132を回転方向Rにおける一方向R1又は他方向R2から戻すと、第2係合部112を揺動方向Wにおける一方向W1又は他方向W2から戻すことができる。これにより、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して平行又は略平行にすることができる。
ところで、定着ローラ171と加圧ローラ172との間の定着圧力が所定圧力以上又は所定圧力よりも大きいときに定着ベルト173が仮に一方側(正面側)又は他方側(背面側)に片寄って、定着ベルト173に近接する各種の部材(例えば定着ローラ171や加熱ローラ174のフランジ174d)に接触すると、定着ベルト173が破損し易い。一方、定着ローラ171と加圧ローラ172との間の定着圧力が所定圧力よりも小さい又は所定圧力以下ときに定着ベルト173が一方側(正面側)又は他方側(背面側)に片寄って、定着ベルト173に近接する各種の部材(例えば定着ローラ171や加熱ローラ174のフランジ174d)にたとえ接触しても、定着ベルト173の破損を回避することができる。
この点、本実施の形態では、一対の第1カム131,131は、動作状態変化領域γ1b,γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置において、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して圧力調整状態及び/又は圧接解除状態にするときには、第2カム132は、第2係合部112へのベルト片寄補正動作を行わない。
詳しくは、一対の第1カム131,131は、動作状態変化領域γ1b,γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置において、一対の第1カム131,131により第2カム132を第2係合部112から退避させる。この例では、一対の被動作部材110,110のうち一方(この例では正面側)の被動作部材110(この例では着脱部材110b)には、第2係合部112に加えて、第2係合部112の回転方向Rにおける両端に連設された回転駆動軸退避部114,114が設けられている。一対の第1カム131,131は、動作状態変化領域γ1b,γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置において、第2カム132及び第2カム132に隣接する回転駆動軸120の部分のうち少なくとも回転駆動軸120の部分(この例では双方)を回転駆動軸退避部114,114に退避させる。
回転駆動軸退避部114,114は、この例では、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して平行又は略平行にする構成とされている。具体的には、回転駆動軸退避部114,114は、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して平行又は略平行にする位置で回転駆動軸120を回動方向Vに往復移動可能に挿通する挿通部とされている。回転駆動軸退避部114,114は、第1カム131の動作状態変化領域γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置において、回転駆動軸120が回動方向Vに往復移動するように被動作部材110(この例では着脱部材110b)に設けられている。回転駆動軸退避部114,114間のサイズは、回転駆動軸120の直径より若干大きいサイズ(回転駆動軸120を円滑に挿通できる程度のサイズ)となっている。これにより、第1カム131の動作状態変化領域γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置で第1係合部111の動作状態を変化させるときに、第2カム132による第2係合部112への動作を行わないように構成することができると共に、回転駆動軸120を回転駆動軸退避部114,114に挿通させて加圧ローラ172を定着ローラ171に対して平行又は略平行にすることができる。
このように、第1カム131の動作状態変化領域γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置で第1係合部111の動作状態を変化させるときに(具体的には加圧ローラ172の定着ローラ171への圧力調整状態のときに)、第2カム132による第2係合部112への動作(具体的にはベルト片寄補正動作)を行わないように構成しても、定着ローラ171と加圧ローラ172との間の定着圧力が所定圧力よりも小さい又は所定圧力以下ときに定着ベルト173がたとえ片寄って定着ベルト173に近接する各種の部材(例えば定着ローラ171や加熱ローラ174のフランジ174d)に接触したとしても、定着ベルト173の破損を回避することができる。
また、第1カム131の動作状態変化領域γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置で第1係合部111の動作状態を変化させるときに(具体的には加圧ローラ172の定着ローラ171への圧力調整状態のときに)、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して平行又は略平行にすることができ、これにより、定着ベルト173の片寄りを極力発生させないようにすることができる。
また、この例では、回転駆動軸退避部114,114と当接部112a,112aとの間には、回転駆動軸退避部114,114に位置する第2カム132を当接部112a,112aに案内する案内部115,115が設けられている。詳しくは、案内部115,115は、対向する案内部115,115間のサイズが回転駆動軸退避部114,114から当接部112a,112aに行くに従って次第に小さくなるように形成されている。
(駆動伝達機構)
本実施の形態において、定着装置17は、回転駆動力を回転駆動軸120に伝達する駆動伝達手段として作用する駆動伝達機構180と、駆動伝達機構180を介して回転駆動軸120を回転駆動する駆動手段として作用する回転駆動源190とをさらに備えている。
駆動伝達機構180は、回転駆動源190からの第1回転方向A1への回転駆動力及び第2回転方向A2への回転駆動力を回転駆動軸120に伝達する構成とされている。
詳しくは、駆動伝達機構180は、複数のギヤを含むギヤ列とされている。具体的には、駆動伝達機構180は、回転駆動源190の回転軸191に連結される第1ギヤ181と、回転駆動軸120に連結される第2ギヤ182と、第1ギヤ181からの回転駆動力を第2ギヤ182に伝達する中継ギヤ群180aとを備えている。
中継ギヤ群180aは、互いに外径(歯数)の異なるギヤを同軸上に結合した複数(この例では3つ)の結合ギヤ(この例では第1結合ギヤ183、第2結合ギヤ184及び第3結合ギヤ185)を備えている。第1結合ギヤ183は、大径のギヤが第1ギヤ181と噛合する一方、小径のギヤが第2結合ギヤ184の大径のギヤと噛合する。第2結合ギヤ184は、大径のギヤが第1結合ギヤ183の小径のギヤと噛合する一方、小径のギヤが第3結合ギヤ185の大径のギヤと噛合する。第3結合ギヤ185は、大径のギヤが第2結合ギヤ184の小径のギヤと噛合する一方、小径のギヤが第2ギヤ182と噛合する。
第1結合ギヤ183、第2結合ギヤ184及び第3結合ギヤ185は、それぞれの回転軸183a,184a,185aが画像形成装置本体210(具体的には図示しない本体フレーム)に対して回転自在に固定されて支持されている。
(制御部)
図17に示すように、画像形成装置200は、画像形成装置200全体の制御を司る制御部220をさらに備えている。なお、制御部220は定着装置17や駆動機構100に備えられていてもよい。
制御部220は、CPU等のマイクロコンピュータからなる処理部221と、ROM等の不揮発性メモリ、RAM等の揮発性メモリを含む記憶部222とを有している。制御部220は、処理部221が記憶部222のROMに予め格納された制御プログラムを記憶部222のRAM上にロードして実行することにより、各種構成要素の作動制御を行うようになっている。記憶部222のRAMは、それぞれ、処理部221に対して作業用のワークエリア及び画像データを格納する画像メモリとしての領域を提供する。
-ローラ圧接検知-
第2ギヤ182の周縁部の一部には、被検知部182aが設けられている(図4参照)。被検知部182aは、回転駆動軸120の回転位置を検知する回転位置検知部186に検知される。
被検知部182aは、この例では、幅方向Xにおける外方に突出した突起部とされている。回転位置検知部186は、この例では、外力により押圧されたときにオンとなる一方、外力により押圧されていないときにはオフとなる可動部186aを備えている。回転位置検知部186は、可動部186aが被検知部182aにより押圧されることでオンする一方、被検知部182aによる可動部186aの押圧が解除されることでオフするセンサとされている。
回転位置検知部186は、制御部220の入力系に電気的に接続されている。これにより、制御部220は、被検知部182aによる可動部186aの押圧時にオン信号を回転位置検知部186から受け取ることで、回転駆動軸120のホームポジション(原点位置)を認識することができる。
回転駆動源190(この例ではステッピングモータ)は、回転軸191が回転軸線β3方向に向くように画像形成装置本体210(具体的には図示しない本体フレーム)に固定されて設けられている。回転駆動源190は、制御部220の出力系に電気的に接続されている。
-ローラ圧接動作-
制御部220は、回転位置検知部186によって得られた回転駆動軸120のホームポジション(原点位置)を基準として回転駆動軸120の回転位置(回転角度)を示す作動信号(具体的にはパルス信号)を回転駆動源190に出力し、一対の第1カム131,131の回転の開始及び停止が制御するようになっている。これにより、制御部220は、回転駆動源190により駆動伝達機構180及び回転駆動軸120を介して一対の第1カム131,131を回転させることにより加圧ローラ172を定着ローラ171に対して圧接、圧力調整、圧接解除を行うことができる。
-ベルト片寄検知-
定着装置17は、定着ベルト173の回転軸線β1方向における位置を検知するベルト位置検知部187を備えている。制御部220は、ベルト位置検知部187の検知結果に基づいて加圧ローラ172を揺動させることにより、定着ベルト173の片寄りを補正する。こうすることで、定着ベルト173の片寄りを確実に補正することができる。
詳しくは、ベルト位置検知部187は、定着ベルト173の幅方向Xにおける一方側(この例では正面側)の外側に設けられている。ベルト位置検知部187は、定着ベルト173の回転軸線β1方向への定着ベルト173の片寄りを検知する。
ベルト位置検知部187は、この例では、透過型光センサ187aと、可動部187b(具体的にはアクチュエータ)とを備えている(図8参照)。
透過型光センサ187aは、光を出射する光出射部187a1と、光出射部187a1からの光を受光する受光部187a2とを有している。
可動部187bは、透光位置と遮光位置との間で回動軸187cの軸線回りの回動方向Qに回動自在に回動軸187cに支持されている。可動部187bは、回動軸187cに回動自在に設けられた本体部187b1と、本体部187b1に設けられた被検知部187b2と、本体部187b1に被検知部187b2と周方向における異なる角度で設けられた当接部187b3とを有している。
本体部187b1は、円筒状の部材とされており、回動軸187cに設けられた一対の規制部材187c1,187c1により軸線方向の移動が規制されている。
被検知部187b2は、回動方向Qにおける一方向Q1又は他方向Q2に旋回することで、透過型光センサ187aにおける光出射部187a1から受光部187a2への光を遮る遮光位置と、光出射部187a1から受光部187a2へ光を透過させる回動方向Qの透光位置とをとる。
当接部187b3は、定着ベルト173の幅方向Xにおける一方側(この例では正面側)の端部に当接する。
可動部187bは、付勢部材187d(具体的には巻バネ)により当接部187b3が定着ベルト173に当接する方向(この例では回動方向Qにおける一方向Q1)に付勢されている。
そして、可動部187bは、定着ベルト173が定着ローラ171の回転軸線β1方向における基準位置(例えば定着ローラ171の回転軸線β1方向における中央位置)となるときに、被検知部187b2が遮光位置に位置し、定着ベルト173が定着ローラ171の回転軸線β1方向の一方側(この例では正面側)又は他方側(この例では背面側)に片寄るときに、被検知部187b2が回動方向Qにおける一方向Q1又は他方向Q2の透光位置に位置するように構成されている。
ベルト位置検知部187(具体的には透過型光センサ187a)は、制御部220の入力系に電気的に接続されている。これにより、制御部220は、被検知部187b2の遮光位置又は透光位置での受光部187a2にオフ信号又はオン信号をベルト位置検知部187から受け取ることで、定着ベルト173の片寄りの有無を認識することができる。
-ベルト片寄補正動作-
制御部220は、一対の第1カム131,131における動作状態維持領域γ1a,γ1aの第1係合部111,111を動作させる位置において、ベルト位置検知部187によって得られた定着ベルト173の片寄りの有無に基づいて回転駆動軸120の回転位置(回転角度)を示す作動信号(具体的にはパルス信号)を回転駆動源190に出力し、第2カム132の回転の開始及び停止が制御するようになっている。
詳しくは、制御部220は、ベルト位置検知部187により定着ベルト173が片寄っていることを検出したときには、先ず、一対の第1カム131,131における動作状態維持領域γ1a,γ1aの第1係合部111,111を動作させる位置において、第2カム132を回転方向Rにおける一方向R1に回転させて第2係合部112を揺動方向Wにおける一方向W1に移動させ、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して一方側(この例では正面側)が揺動方向Wにおける一方向W1に移動するように(この例では高くなるように)傾斜させる。
次に、制御部220は、所定時間経過してもベルト位置検知部187により定着ベルト173が基準位置に戻ったことを検出しないときには、一対の第1カム131,131における動作状態維持領域γ1a,γ1aの第1係合部111,111を動作させる位置において、第2カム132を回転方向Rにおける他方向R2に回転させて第2係合部112を揺動方向Wにおける他方向W2に移動させ、加圧ローラ172を定着ローラ171に対して一方側(この例では正面側)が揺動方向Wにおける他方向W2に移動するように(この例では低くなるように)傾斜させる。
そして、制御部220は、ベルト位置検知部187により定着ベルト173が基準位置に戻ったことを検出すると、一対の第1カム131,131における動作状態維持領域γ1a,γ1aの第1係合部111,111を動作させる位置において、第2カム132の回転を停止する。
これにより、制御部220は、一対の第1カム131,131における動作状態維持領域γ1a,γ1aの第1係合部111,111を動作させる位置において回転駆動源190により駆動伝達機構180及び回転駆動軸120を介して第2カム132を回転させることにより定着ベルト173の片寄りを補正することができる。
また、制御部220は、一対の第1カム131,131における動作状態変化領域γ1b,γ1bの第1係合部111,111を動作させる位置(具体的には加圧ローラ172が定着ローラ171に対して圧力調整状態及び/又は圧接解除状態となる位置)において、第2カム132へのベルト片寄補正動作の制御を行わないようになっている。
なお、ベルト位置検知部187において定着ベルト173の片寄り方向を検知するようにし、制御部220にて定着ベルト173の片寄り方向を認識してベルト片寄補正動作を行うようにしてもよい。
(その他の実施の形態)
なお、本実施の形態では、ベルト片寄補正装置300をベルト方式の定着装置17に適用したが、ベルト方式の搬送装置(例えば1次転写ベルト装置6や2次転写ベルト装置10等)に適用してもよい。
また、本実施の形態では、複数の被動作部及び複数の動作部を2つのものとしたが、3以上のものであってもよい。
また、本実施の形態では、被搬送体を無端ベルトとして無端ベルトの片寄りを補正したが、被搬送体をシートとしてシートの片寄りを補正するようにしてもよい。
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、かかる実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。