JP7007694B1 - クローラユニットとそれを使用した悪路用運搬台車 - Google Patents
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Abstract
Description
この文献1の段落番号[0039]で、駆動機構34は、バッテリ5から供給される電力により駆動される電動式のモータ51と、駆動側スプロケット32の軸部32bに同軸に固定されたプーリ52と、モータ51の軸部51aとプーリ52との間に掛け回されるベルト53とを有している。モータ51が駆動されると、その駆動力がベルト53を介してプーリ52に伝達されることにより、駆動側スプロケット32がプーリ52と一体に回転駆動される。また、駆動側スプロケット32により送り駆動される履帯30を介して、従動側スプロケット33が同期して回転駆動される旨記載されている。
そして、この文献2の段落番号[0020]で、両端に突出するサイド部24、24の間隔は、クローラユニット5の本体に取付けられたプーリー6が納まり、回転するに十分な幅寸Wに設定され、プーリー6の側面を前記サイド部24、24が囲んでいるので、アウターアタッチメント2(履帯1)が、プーリー6の側面を囲んで循回し、旋回する時に横方向へ力が掛かったとしても履帯1をプーリー6から外れ難くして、プーリー6が、前記アウターアタッチメント2のサイド部24近傍の基部20の外側凹部25に接触して回転するようになっている旨記載されている。
さらに、履帯を循回させるために、履帯のベルトのテンションを張ることが前提となり、搬送負荷が高く、履帯の循回が悪くなり、台車での走行が重くなる、といった問題点があることから、手動のクローラには採用が難しい。
本出願人に係る特許文献2では、両端のプーリー6の間隔を履帯1より広げぎみにして、履帯1にテンションをかけているが、更に走行性能を良くするため、履帯に掛けるテンションを下げられたら、より一層スムーズに軽く履帯が循回するので、走行性能が更に向上したクローラユニットを開発することが出来、それが課題とされていた。
(1)本体フレームの接地部のみにレール(鍔部)を設け、履帯(インナーアタッチメント)側にはそのレールが通る受けの部分(鍔部)を設ける。
(2)レールと受けの鍔部には空間(クリアランス)をつくり、接地時はレールとインナーアタッチメントとが触れず、抵抗が発生しないようにする。
(3)持ち上げた際や、履帯が横にずれる、めくれるような力が掛かった際にだけ、レールとインナーアタッチメントとが干渉するようにする。すなわち、普段の走行は邪魔をせず、砂などの異物が入った際も挟まらない隙間(クリアランス)に構成し、外れが起きる時のみ干渉が起こり外れない形状にする。
(4)また、砂や雪などの異物が入ると履帯が外側に押され、少し膨らむことが起きるが、レールが直線であるとその状態でインナーアタッチメントがレールに入ろうとする際に干渉が起き易い。そのため、レールの両端近傍(入り口)は地面側に少し開いており、スムーズに入り込む形状にする。
(5)レールで履帯が規制されて循回させ、今までよりテンションを下げても、履帯が外れなくなるようにする。
(6)履帯を構成するアウターアタッチメントやインナーアタッチメントの外表面にシボ模様を施し、表面の撥水性を上げて、水滴が着いても極力流れてしまうようにして、履帯の氷つきが起こり難く、濡れた場合に早く乾くようにする。
上記課題を解決する構成の高品質なクローラユニットや、それに好適な悪路用運搬台車を提供することにある。
前記履帯1は、フレーム9側内部に複数のインナーアタッチメント3を設けて帯状に構成され、前記フレーム9の外周に備えたレール7(7’)の左右方向に突き出すレール7(7’)の鍔部70(70’)と、前記インナーアタッチメント3(3’)の左右方向に突き出すインナーアタッチメント3(3’)の鍔部34(34’)とが設けられ、どちらかの一方のお互いが向き合う前記鍔部34又は70’の間で囲まれる空間K又はK’に他方の前記鍔部70又は34’が入り込み、かつ、その一方と他方の前記鍔部34と70(34’と70’)同士が上下間で相互に重なりが生じる位置関係に設定され、前記インナーアタッチメント3(3’)が前記レール7(7’)に沿って規制を受けつつ履帯1がプーリー6、60を循回する構成であることを特徴とする。
(イ)フレーム外周に備えたレールの左右方向に突き出すレールの鍔部と、インナーアタッチメントの左右方向に突き出すインナーアタッチメントの鍔部とが、どちらかの一方のお互いが向き合う鍔部の間で囲まれる空間に他方の鍔部が入り込んだ状態で、履帯がレールで規制されてプーリーを循回するので、外れ防止のために今まで強いテンションが必要であった履帯もテンションを下げることが可能となり、履帯の回転負荷が減少することで搬送負荷が少なくなって、走行性能が上がった。
(ロ)また、クローラユニット(台車)は手動で旋回する場合、台車の取っ手位置から力が加わり、戦車のような超信地旋回(スピンターン)にはならず、横向きに引きずれられるような力が掛かる。その際、多少の路面の凹凸に引っかかると履帯が外れてしまうが、本発明により、上記の外れが起きなくなった。
(ハ)加えて、クリアランスを考えたレールとインナーアタッチメントの構造としたので、砂のような異物が噛んで履帯の回転が停止・妨害されることも無い。
(ニ)しかも、アウターアタッチメントやインナーアタッチメントの外表面にシボ模様を施したので、撥水性が上がり、水滴が流れ落ち易くなって、履帯の氷つきが減少したし、乾きやすくなって利便性が向上した。
本実施形態のクローラユニット5は、帯状の履帯1をなすインナーアタッチメント3に合体される複数のアウターアタッチメント2の隣り合う前後面20b、20b’の一方には規制凹部20d等、他方には規制突起20c等が設けられ、前記規制凹部20d等に前記規制突起20c等が入り込んで、アウターアタッチメント2、2同士の位置が規制され上下方向にはズレないようにして、嵌合と不嵌合を繰り返しながらスムーズにプーリー6、60を循回する構成である。
例えば、図1と図2に示したように、フレーム9に回転自在に取付けられて成る複数の大小のプーリー6、60を循回する帯状の履帯1が設けられ、フレーム9に備え付けた平坦面を有する取付板8を介して、図14に示したような悪路用運搬台車A等に好適に使用されるものである。なお、本実施例では両端のプーリー6、6間に、小型のプーリー60をたくさん設けているが、プーリー60、60間にアウターアタッチメント2が入り込まない間隔にすればよく、振動及び騒音が許せる範囲で実施例よりも少ないプーリー数とすることも可能である。
そして、床に接地した履帯1の循回時には、一方と他方の前記鍔部34、70同士には、適切なクリアランスが確保されているから干渉が起こらず、持ち上げた時や旋回時の履帯1に左右方向に横ズレするような力が掛かった時等には、その一方と他方の前記鍔部34、70同士が干渉を起こし、履帯1が外れない構成を実現した。従って、従来のクローラユニットでは、テンションを強く掛けて緩みのないように張って外れを防止していたが、履帯1がフレーム9から外れる恐れがなくなったので、履帯1のテンションを今までより下げる事が出来、履帯1の循回がスムーズになって走行性能が上げられた。
なお、上記フレーム9の底辺部にのみ形成されたレール7の両端近傍は、図4に示したように、下方向に若干開いて湾曲状に形成された湾曲状端部71に形成されている。これは、砂などの異物が入って履帯1が外側に膨らんでも、インナーアタッチメント3の左右のインナー鍔部34、34間の中にレール7のレール鍔部70が入りやすいようにしたためである。
また、当該アウターアタッチメント2とインナーアタッチメント3は、いろんな地面に接地することが考えられるから、摩擦係数が比較的低く、かつ削ずれ難いように高い硬度を備え、機械的強度に優れたエンジアリングプラスチックを選定し、PA樹脂やガラス入りPA樹脂、PBT樹脂、ガラス入りPBT樹脂、POM樹脂、ガラス入りPOM樹脂のいずれかの成形品である。
なお、本実施形態では、アウターアタッチメント2を備えているが、アウターアタッチメント2と一体型のインナーアタッチメント3のみの実施態様も採用可能である(詳細説明は省略)。
前記ベルト4は、常に張力が掛かっているから、伸びが出難く寸法安定性に優れた曲がりやすい織物平ベルト等で構成され、帯状の長いベルトからクローラ全長に回し掛けられる長さに切断し、その両端を固定して無端ベルトに構成をしており、よって所望のクローラユニット5の大きさに合わせられる柔軟性を備え、実施例では25mmの所定間隔おきに、2つずつ並列して開けられた貫通孔40が、全体に亘って複数設けられている。但し、貫通孔40は、前記所定間隔おきに1つずつ開けて実施する形態でも採用可能である(図示は省略)。
図5~図8に示したように、本実施形態のインナーアタッチメント3は、平面方向視形状がH型であって、上述したフレーム9のレール7の鍔部70と干渉し合う鍔部34と、プーリー6、60が上面で回転する左右のサイド片31、31が設けられている点が特徴的である。
一対の垂下する係止片32、32を両端に有し、その係止片32、32間は前記ベルト4を上方から覆うのに十分な幅寸に突設されている。この係止片32は、後述するように、上方から波形の外縁にくり抜いて形成したアウターアタッチメント2のサイド部24の係止穴22に挿入され、しっかりと係止される構成である。前記係止片32、32間の内部には、ベルト4の穴40に挿通される下向きの2つの突起30が設けられている。また、このインナーアタッチメント3の前後方向の幅W1は、図9に示したように、アウターアタッチメント2の幅W2以上に設けるべく、前記係止片32、32の直近内部の左右に在って、前後方向に伸びる直線状の平坦面として設けられた各サイド片31、31には、前後方向の両端部に当接側面部31a、31aを設け、この各左右のサイド片31、31の上面を踏んでプーリー6、60が回転をして履帯1が循回をするので、前後に隣り合う前記インナーアタッチメント3、3同士の間に隙間Sが空くと、プーリー6、60がその隙間Sに落ちて衝突が生じ、ガタガタして騒音が発生する原因になる。そこで、前記インナーアタッチメント3の方を先に当接させて、サイド片31間に隙間Sのない連続した上面を形成させ、隙間のない上面をプーリー6、60が踏むようにしたので騒音の発生が抑えられた。よって、前記アウターアタッチメント2が、前記インナーアタッチメント3と同じ幅W1にすれば、前記アウターアタッチメント2同士は当接し、前記インナーアタッチメント3の幅W1より小さい幅W2にすれば、隣り合う前記アウターアタッチメント2同士には、隙間Sが空き、後述するアウターアタッチメント2の規制凹部に水や砂等が溜まり難い構造となって更に良い。
つまり、図13Aに示したように、このインナーアタッチメント3’は、中央部で起立する1本の太い本体の上端に、左右の外側方向に突き出す鍔部34’、34’が設けられている。一方、レール7’の下端の先端は、左右の内側方向にそれぞれ突き出したレール7’の鍔部70’、70’に形成され、その鍔部70’、70’間に空間K’が形成されている(図13B参照)。よって、レール7’の向き合う前記鍔部70’、70’の間で囲まれる空間K’に、このインナーアタッチメント3’の鍔部34’、34’が入り込み、かつ、その一方と他方の前記鍔部70’、34’同士が上下間で相互に重なりが生じる位置関係に設定され、前記インナーアタッチメント3’が前記レール7’に沿って規制を受けつつ履帯1がプーリー6、60を循回するように構成されている。
このアウターアタッチメント2は、全体形状が船形状で、その大部分をなす基部20と、同基部20の両端に突出したサイド部24、24とより成る。サイド部24は、隣接するアウターアタッチメント2同士に空間が空くように軽量化を兼ねて各コーナーを削り落としたコーナー部24aに形成され、平面方向視でサイド部24が台形状に形成されている。前記基部20の中央部には、前記ベルト4の並列配置の2つの貫通孔40、40に対応する位置の2つの内側係止穴21、21が設けられている。
そして、前記基部20には、いわゆる肉盗みの肉抜き部26が形成されている。軽量化を図るために、強度(剛性)に影響を与えない程度に基部20を上面からくり抜いて形成している。すなわち、上述したH型のインナーアタッチメント3の内方の2つの突起30、30が嵌り合う前記2つの内側係止穴21、21を避ける形で、基部20を上方から6つの区域で各々深くくり抜いて形成しており、ベルト4の当接面が接する面積を少なくし、圧力を高める構成とされている。
さらに、基部20の内側係止穴21とサイド部24の間に上面突出部23が形成され、その上面突出部23は、サイド部24方向に傾斜して、外側凹部25へ繋がっている。かつ、前記上面突出部23のサイド部24側と、サイド部24の傾斜部とでH型インナーアタッチメント3のサイド片31が嵌るように凹ませた前記外側凹部25が形成されている。
また、当該アウターアタッチメント2の地面との接地面27は、その中央が下方に若干膨らんだ湾曲状に形成されていて(図10、図13B参照)、手押しの悪路用運搬台車Aに取付けた場合に、接地抵抗を減らして旋回性能が上がる工夫もなされている。
よって、隣接するアウターアタッチメント2、2の一方の規制凹部20d(20d’)に、他方の規制突起20c(20c’)が入り込んで、アウターアタッチメント2、2同士のお互いの上下のズレが規制され、走行時におけるインナーアタッチメント3の離脱が防止される。勿論、規制突起20c(20c’)と規制凹部20d(20d’)の左右方向にも当接するような大きさと位置関係にして、上下方向と一緒に左右方向のズレを規制しても差し支えがない(図12の規制突起20c’と規制凹部20d’の関係を参照)。
つまり、基部20の後面20b又は前面20b’の規制凹部20d(20d’)に規制突起20c(20c’)が入り込んで、その前後面20b、20b’の各上下面で接触し、隣接するアウターアタッチメント2、2同士の上下の動きを規制したので、接地時には、水平方向に連なった直線状態全体として曲がらない剛直な履帯1になるが(図1、図9参照)、図11や図12に示したようにプーリー6の外周に沿って曲がる時には、開く方向に動くので入り込まないで規制がなくなり曲がる履帯1になっている。
また、隣接する前面20b’の規制凹部に後面20bの規制突起が入り込んだ時に作られるアウターアタッチメント2同士の底面の隙間T(図9、図11参照)により、使用時に規制凹部に入り込んだ砂等が溜まらないような工夫もされている。
2 アウターアタッチメント
20 基部
20b 後面
20b’ 前面
20c 規制突起(内側)
20c’ 規制突起(外側)
20d 規制凹部(内側)
20d’ 規制凹部(外側)
21 内側係止穴
22 係止穴
23 上面突出部
24 サイド部
24a コーナー部
25 外側凹部
26 肉抜き部
27 接地面
3、3’ インナーアタッチメント
30 突起
31 サイド片
31a 当接側面部
32 係止片
34、34’ 鍔部
4 ベルト
40 貫通孔
5 クローラユニット
6 プーリー(両端)
60 プーリー(小型)
61 車軸
62 ナット
63 貫通孔
7、7’ レール
70、70’ 鍔部
71 湾曲状端部
8 取付板
9 フレーム
P シボ模様
K、K’ 空間
S 隙間
W1、W2 幅
A 悪路用運搬台車
Claims (7)
- フレームに回転自在に取付けられて成る複数のプーリーを循回する履帯が設けられたクローラユニットにおいて、
前記履帯は、フレーム側内部に複数のインナーアタッチメントを設けて帯状に構成され、前記フレームの外周に備えたレールの左右方向に突き出すレールの鍔部と、前記インナーアタッチメントの左右方向に突き出すインナーアタッチメントの鍔部とが設けられ、どちらかの一方のお互いが向き合う前記鍔部の間で囲まれる空間に他方の前記鍔部が入り込み、かつ、その一方と他方の前記鍔部同士が上下間で相互に重なりが生じる位置関係に設定され、前記インナーアタッチメントが前記レールに沿って規制を受けつつ履帯がプーリーを循回する構成であることを特徴とする、クローラユニット。 - 前記履帯に、所定位置に貫通孔を設けたベルト及びアウターアタッチメントが設けられ、前記アウターアタッチメントと前記インナーアタッチメントとが前記貫通孔を介してベルトを挟むように合体して、フレーム側内部に複数のインナーアタッチメントを帯状に設けた履帯に構成したことを特徴とする、請求項1に記載したクローラユニット。
- 前記複数のアウターアタッチメントの隣り合う前後面の一方には規制凹部、他方には規制突起が設けられ、前記規制凹部に前記規制突起が入り込んで、前記アウターアタッチメント同士が位置決め規制されることを特徴とする、請求項2に記載したクローラユニット。
- 前記履帯を構成するアウターアタッチメント及び/又はインナーアタッチメントの外表面には、シボ模様が施されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載したクローラユニット。
- アウターアタッチメントと合体して帯状の履帯を構成する前記インナーアタッチメントの前後方向の幅は、前記アウターアタッチメントの幅以上に設け、前後に隣り合う前記インナーアタッチメント同士が当接することにより、隣り合う前記アウターアタッチメント同士は、当接する又は隙間が設けられることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載したクローラユニット。
- 前記レールは、フレーム外周の底辺部のみに設けられ、前記レールの両端近傍は、下方向に開いて湾曲状に形成されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載したクローラユニット。
- 請求項1~6に記載のいずれかのクローラユニットを使用して構成されていることを特徴とする悪路用運搬台車。
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