JP7007196B2 - 液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子 - Google Patents
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Description
滴下工法では、まず、2枚の電極付き透明基板の一方に、ディスペンスにより長方形状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤が未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下し、すぐに他方の透明基板を重ね合わせ、シール部に紫外線等の光を照射して仮硬化を行う。その後、液晶アニール時に加熱して本硬化を行い、液晶表示素子を作製する。基板の貼り合わせを減圧下で行うようにすれば、極めて高い効率で液晶表示素子を製造することができ、現在この滴下工法が液晶表示素子の製造方法の主流となっている。
以下に本発明を詳述する。
そこで本発明者は更に鋭意検討した結果、該特定の範囲の分子量を有する化合物の含有量を特定の割合としつつ、硬化性樹脂に加えてマレイミド化合物を用いることにより、硬化性と減圧下での安定性とを両立できる液晶表示素子用シール剤を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
上記硬化性樹脂は、分子量が500~1500の化合物を含有する。上記分子量が500~1500の化合物を用いることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤は、減圧下での安定性に優れるものとなる。
上記分子量が500~1500の化合物の分子量の好ましい下限は600、好ましい上限は1300、より好ましい下限は700、より好ましい上限は1000である。
なお、本明細書において、上記「分子量」は、分子構造が特定される化合物については、構造式から求められる分子量であるが、重合度の分布が広い化合物及び変性部位が不特定な化合物については、重量平均分子量を用いて表す場合がある。本明細書において、上記「重量平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定する際に用いるカラムとしては、例えば、Shodex LF-804(昭和電工社製)等が挙げられる。
また、後述するように、本発明においてマレイミド化合物は、上記硬化性樹脂には含まない。
上記分子量が500~1500の(メタ)アクリル化合物としては、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させることにより得られる分子量が500~1500のエポキシ(メタ)アクリレートが好ましい。また、上記分子量が500~1500の(メタ)アクリル化合物は、反応性の高さから1分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有するものが好ましい。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、上記「(メタ)アクリル化合物」とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基(以下、「(メタ)アクリロイル基」ともいう)を有する化合物を意味する。また、上記「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。更に、上記「エポキシ(メタ)アクリレート」とは、エポキシ化合物中の全てのエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させた化合物のことを表す。
上記分子量が500未満の(メタ)アクリル化合物としては、例えば、分子量が500未満の(メタ)アクリル酸エステル化合物、分子量が500未満のエポキシ(メタ)アクリレート、分子量が500未満のウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、分子量が500未満のエポキシ(メタ)アクリレートが好ましい。また、上記分子量が500未満の(メタ)アクリル化合物は、反応性の高さから1分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有するものが好ましい。
上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記二価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール等が挙げられる。
なお、本明細書において上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂とは、1分子中にエポキシ基と(メタ)アクリロイル基とをそれぞれ1つ以上有する化合物を意味し、例えば、2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物の一部分のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得ることができる。
なお、本発明において上記マレイミド化合物は、硬化性樹脂にもラジカル重合開始剤にも含まない。
また、反応性の観点から、上記マレイミド化合物の分子量の好ましい上限は1500、より好ましい上限は1000である。
上記式(2)で表される化合物としては、具体的には例えば、1,20-ビスマレイミド-10,11-ジオクチル-エイコサン(下記式(3-1)で表される化合物)、1-ヘプチレンマレイミド-2-オクチレンマレイミド-4-オクチル-5-ヘプチルシクロヘキサン(下記式(3-2)で表される化合物)、1,2-ジオクチレンマレイミド-3-オクチル-4-ヘキシルシクロヘキサン(下記式(3-3)で表される化合物)等が挙げられる。これらの化合物は、米国特許第5973166号明細書に記載の方法等によって合成することができる。
上記ラジカル重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤や熱ラジカル重合開始剤を用いることができる。なかでも、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
また、上述したように、本発明においてマレイミド化合物は、上記ラジカル重合開始剤には含まない。
なお、本明細書において上記「高分子アゾ化合物」とは、アゾ基を有し、熱によって(メタ)アクリロイルオキシ基を硬化させることができるラジカルを生成する、数平均分子量が300以上の化合物を意味する。
なお、本明細書において、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による数平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex LF-804(昭和電工社製)等が挙げられる。
上記アゾ基を介してポリアルキレンオキサイド等のユニットが複数結合した構造を有する高分子アゾ化合物としては、ポリエチレンオキサイド構造を有するものが好ましい。このような高分子アゾ化合物としては、例えば、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)とポリアルキレングリコールの重縮合物や、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)と末端アミノ基を有するポリジメチルシロキサンの重縮合物等が挙げられる。
上記高分子アゾ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、VPE-0201、VPE-0401、VPE-0601、VPS-0501、VPS-1001(いずれも和光純薬工業社製)等が挙げられる。
また、高分子ではないアゾ化合物としては、例えば、V-65、V-501(いずれも和光純薬工業社製)等が挙げられる。
上記熱硬化剤としては、例えば、有機酸ヒドラジド、イミダゾール誘導体、アミン化合物、多価フェノール系化合物、酸無水物等が挙げられる。なかでも、有機酸ヒドラジドが好適に用いられる。
上記有機酸ヒドラジドのうち市販されているものとしては、例えば、SDH、ADH(いずれも大塚化学社製)、アミキュアVDH、アミキュアVDH-J、アミキュアUDH、アミキュアUDH-J(いずれも味の素ファインテクノ社製)等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル粒子は、原料となる単量体を公知の方法により重合させることで得ることができる。具体的には例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で単量体を懸濁重合する方法、ラジカル重合開始剤の存在下で非架橋の種粒子に単量体を吸収させることにより種粒子を膨潤させてシード重合する方法等が挙げられる。
上記アルキル(メタ)アクリレート類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記酸素原子含有(メタ)アクリレート類としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ニトリル含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
上記トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なかでも、単独重合体のTgが低く、1g荷重を加えたときの変形量を大きくすることができることから、アルキル(メタ)アクリレート類が好ましい。
上記スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、トリメトキシシリルスチレン等が挙げられる。
上記ビニルエーテル類としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等が挙げられる。
上記カルボン酸ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が挙げられる。
上記不飽和炭化水素としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等が挙げられる。
上記ハロゲン含有単量体としては、例えば、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等が挙げられる。
上記コアシェル(メタ)アクリレート共重合体微粒子のうち市販されているものとしては、例えば、F351(ゼオン化成社製)等が挙げられる。
なお、本明細書において、上記柔軟粒子の平均粒子径は、シール剤に配合する前の粒子について、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することにより得られる値を意味する。上記レーザー回折式粒度分布測定装置としては、マスターサイザー2000(マルバーン社製)等を用いることができる。
なお、本明細書において上記柔軟粒子の硬度は、JIS K 6253に準拠した方法により測定されるデュロメータA硬さを意味する。
上記無機充填剤としては、例えば、シリカ、タルク、ガラスビーズ、石綿、石膏、珪藻土、スメクタイト、ベントナイト、モンモリロナイト、セリサイト、活性白土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、硫酸バリウム、珪酸カルシウム等が挙げられる。
また、遮光剤として上記チタンブラックを含有する本発明の液晶表示素子用シール剤を用いて製造した液晶表示素子は、充分な遮光性を有するため、光の漏れ出しがなく高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有する液晶表示素子を実現することができる。
また、上記チタンブラックの体積抵抗の好ましい下限は0.5Ω・cm、好ましい上限は3Ω・cmであり、より好ましい下限は1Ω・cm、より好ましい上限は2.5Ω・cmである。
なお、上記遮光剤の一次粒子径は、NICOMP 380ZLS(PARTICLE SIZING SYSTEMS社製)を用いて、上記遮光剤を溶媒(水、有機溶媒等)に分散させて測定することができる。
まず、ITO薄膜等の電極付きのガラス基板やポリエチレンテレフタレート基板等の2枚の基板の一方に、本発明の液晶表示素子用シール剤を、スクリーン印刷、ディスペンサー塗布等により塗布して枠状のシールパターンを形成する工程を行う。次いで、本発明の液晶表示素子用シール剤が未硬化の状態で液晶の微小滴を基板のシールパターンの枠内に滴下塗布し、真空下で別の基板を重ね合わせる工程を行う。その後、本発明の液晶表示素子用シール剤のシールパターン部分に紫外線等の光を照射してシール剤を光硬化させる工程を行う方法により、液晶表示素子を得ることができる。また、上記シール剤を光硬化させる工程に加えて、シール剤を加熱して熱硬化させる工程を行ってもよい。
表1、2に記載された配合比に従い、各材料を遊星式撹拌機(シンキー社製、「あわとり練太郎」)を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合することにより実施例1~8、参考例9、及び、比較例1~6の液晶表示素子用シール剤を調製した。
なお、マレイミド化合物として表中に記載したポリテトラメチレンエーテルグリコールのジマレイミド酢酸エステル(DIC社製、「LUMICURE MIA200」)は、上記式(1)で表される化合物である。
実施例、参考例、及び、比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤について以下の評価を行った。結果を表1、2に示した。
実施例、参考例、及び、比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤を、ディスペンス用のシリンジ(武蔵エンジニアリング社製、「PSY-10E」)に充填し、脱泡処理を行った。次いで、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング社製、「SHOTMASTER300」)を用いてガラス基板上に長方形の枠を描く様にシール剤を塗布し、真空貼り合わせ装置内にて0.1Paの減圧下にて5分間保持した後、別のガラス基板を貼り合わせてセルを得た。真空貼り合わせ装置内を大気圧に戻してセルを取り出し、セル内のシール部の形状(シール剤の直線性)を顕微鏡にて観察した。
シール幅の最大値に対するシール幅の最小値が90%以上であった場合を「○」、80%以上90%未満であった場合を「△」、80%未満であった場合を「×」として減圧下での安定性(真空安定性)を評価した。
実施例、参考例、及び、比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤をガラス基板上に約5μm塗布した後、同サイズのガラス基板を重ね合わせた。次いで、メタルハライドランプを波長365nmの紫外線を3000mJ/cm2照射した。赤外分光装置(BIORAD社製、「FTS3000」)を用い、(メタ)アクリロイル基由来ピークの光照射前後での変化量(減少率)を測定した。
光照射後の(メタ)アクリロイル基由来のピークの減少率が95%以上であった場合を「◎」、85%以上95%未満であった場合を「○」、75%以上85%未満であった場合を「△」、75%未満であった場合を「×」として硬化性を評価した。
Claims (5)
- 硬化性樹脂とマレイミド化合物とラジカル重合開始剤とを含有し、
前記硬化性樹脂は、分子量が600~1500のエポキシ(メタ)アクリレートを含有し、
前記硬化性樹脂100重量部中における前記分子量が600~1500のエポキシ(メタ)アクリレートの含有量が10~50重量部である
ことを特徴とする液晶表示素子用シール剤。 - マレイミド化合物は、1分子中に2個以上のマレイミド基を有する多官能マレイミド化合物であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子用シール剤。
- マレイミド化合物は、分子量が400以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示素子用シール剤。
- 請求項1、2又は3記載の液晶表示素子用シール剤と導電性微粒子とを含有することを特徴とする上下導通材料。
- 請求項1、2若しくは3記載の液晶表示素子用シール剤又は請求項4記載の上下導通材料を用いてなることを特徴とする液晶表示素子。
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