本発明は、熱ラジカル重合開始剤とラジカル重合性樹脂とを含有する液晶滴下工法用シール剤である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、熱ラジカル重合開始剤とラジカル重合性樹脂とを含有するシール剤は、短時間の加熱処理を経ることで、ラジカル重合性樹脂を迅速に重合硬化させることができ、滴下工法による液晶表示素子の製造において、シール剤成分が液晶中に溶出して液晶汚染が生じることを好適に防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の液晶滴下工法用シール剤(以下、単に本発明のシール剤ともいう)は、熱ラジカル重合開始剤を含有する。
上記熱ラジカル重合開始剤としては、後述するラジカル重合性樹脂や、滴下工法において実際に適用する硬化条件等により適宜決定されるが、10時間半減期温度の下限が80℃、上限が150℃のものが好適に用いられる。10時間半減期温度が80℃未満であると、常温における本発明のシール剤の粘度の安定性が乏しくなることがあり、10時間半減期温度が150℃を超えると、本発明のシール剤の反応性が乏しくなり、短時間で迅速な硬化ができないことがある。より好ましい下限は100℃、より好ましい上限は130℃である。
なお、上記10時間半減期温度とは、下記式(1)により算出される、熱ラジカル重合開始剤の濃度が初期値の半分に減少する時間(半減期:t1/2)が10時間となる温度を意味する。
式(1)中、k
dは、熱ラジカル重合開始剤の熱分解速度定数を表す。
このような10時間半減期温度の条件を満たす熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物系化合物やアゾ化合物等が挙げられる。
上記有機過酸化物系化合物としては、具体的には、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド系化合物;1.1−ジ(t−ブチル−オキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール系化合物;t−ブチルパーオキシビバレート等のアルキルパーオキシエステル系化合物;ジラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド系化合物;(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネイト等のパーオキシジカーボネイト系化合物;t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネイト等のパーオキシカーボネイト系化合物;ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド系化合物;t−アミルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド系化合物等が挙げられる。
また、上記アゾ化合物としては、具体的には、例えば、2,2’−アゾビス[(2−イミダゾリン−2−エル)プロパン]ジサルフェイトジハイドレイト等の水溶性アゾ化合物;1,[(シアノ−1−メチル)アゾ]ホルママイド等の油溶性アゾ化合物;高分子アゾ化合物等が挙げられる。
上記熱ラジカル重合開始剤は、市販品を用いることもでき、有機過酸化物系化合物の市販品としては、例えば、パーメックD、パーメックH、パーメックN(いずれも日本油脂社製)、ルペロックスDDM(アルケマ吉富社製)等のケトンパーオキサイド系化合物;パーヘキサC、パーヘキサMC(いずれも日本油脂社製)、ルペロックス230(アルケマ吉富社製)等のパーオキシケタール系化合物;パーブチルE、パーヘキサ250、パーオクタO(いずれも日本油脂社製)等のアルキルパーオキシエステル系化合物;パーロイルL、パーロイルSA、パーロイルIB(いずれも日本油脂社製)等のジアシルパーオキサイド系化合物;パーロイルTCP、パーロイルOPP、パーロイルSBP(いずれも日本油脂社製)等のパーオキシジカーボネイト系化合物;カヤカルボンAIC−75(化薬アクゾ株式会社製)、ルペロックスTBEC(アルケマ吉富社製)等のパーオキシカーボネイト系化合物;ルペロックスDI(アルケマ吉富社製)、パーブチルD(日本油脂社製)等のジアルキルパーオキサイド系化合物;パーメンタH、パークルミP(いずれも日本油脂社製)、ルペロックスTAH(アルケマ吉富社製)等のハイドロパーオキサイド系化合物等が挙げられる。
また、アゾ化合物の市販品としては、例えば、VA−044、VA−060、VA−067(いずれも和光純薬工業社製)等の水溶性アゾ化合物;V−70、V−096、V−40(いずれも和光純薬工業社製)等の油溶性アゾ化合物;VPS−0501、VPS−1001(いずれも和光純薬工業社製)等の高分子アゾ重合化合物等が挙げられる。
本発明のシール剤において、上記熱ラジカル重合開始剤は、上記有機過酸化物系化合物、アゾ化合物のいずれであってもよく、両者を併用してもよいが、その開始反応において生成される副生成物が少ないことから、有機過酸化物系化合物であることが好ましい。
更に、上記熱ラジカル重合開始剤は、分子中に水酸基を有することが好ましい。熱ラジカル重合開始剤分子の極性を上げることとなり、本発明のシール剤を用いた滴下工法による液晶表示素子の製造において、未硬化の本発明のシール剤パターン中に滴下した液晶中への熱ラジカル重合開始剤の溶出性が著しく抑制され、液晶の汚染性が低下するからである。
上記分子中に水酸基を有する熱ラジカル重合開始剤としては、具体的には、例えば、上述したケトンパーオキサイド系化合物や、ハイドロパーオキサイド系化合物等が挙げられる。
上記熱ラジカル重合開始剤の含有量としては特に限定されないが、好ましい下限は0.01重量%、好ましい上限は10重量%である。0.01重量%未満であると、上記熱ラジカル重合開始剤から発せられるラジカル量が不充分であり、本発明のシール剤を充分に硬化させることができない場合があり、10重量%を超えると、本発明のシール剤を用いて滴下工法により液晶表示素子を製造した際に、液晶中へ溶出して液晶汚染を引き起こすことがある。より好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は1重量%である。
本発明のシール剤は、ラジカル重合性樹脂を含有する。
上記ラジカル重合性樹脂としては、分子中に熱ラジカル反応性官能基を有する樹脂であれば特に限定されないが、不飽和二重結合を有する樹脂が好適であり、特に反応性の面から(メタ)アクリロイルオキシ基を有する樹脂が好適である。なお、本明細書において、(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を意味する。
上記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、及び、反応性の官能基を変性して(メタ)アクリロイル基を分子中に保有するもの等が挙げられる。なかでも、加熱されることで上記熱ラジカル重合開始剤から発生した活性ラジカルで速やかに重合又は架橋が進行する点から(メタ)アクリル酸エステルが好適である。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸に水酸基を有する化合物を反応させることにより得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させることにより得られるエポキシ(メタ)アクリレート、イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸に水酸基を有する化合物を反応させることにより得られるエステル化合物としては特に限定されず、単官能のものとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2,2,2,−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H,−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
また、2官能のものとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエンルジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、3官能以上のものとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させることにより得られるエポキシ(メタ)アクリレートとしては特に限定されず、例えば、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応することにより得られるものが挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートを合成するための原料となるエポキシ化合物としては特に限定されず、市販されているものとしては、例えば、エピコート828EL、エピコート1004(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;エピコート806、エピコート4004(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;エピクロンEXA1514(大日本インキ社製)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;RE−810NM(日本化薬社製)等の2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂;エピクロンEXA7015(大日本インキ社製)等の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂;EP−4000S(旭電化社製)等のプロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂;EX−201(ナガセケムテックス社製)等のレゾルシノール型エポキシ樹脂;エピコートYX−4000H(ジャパンエポキシレジン社製)等のビフェニル型エポキシ樹脂;YSLV−50TE(東都化成社製)等のスルフィド型エポキシ樹脂;YSLV−80DE(東都化成社製)等のエーテル型エポキシ樹脂;EP−4088S(旭電化社製)等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;エピクロンHP4032、エピクロンEXA−4700(いずれも大日本インキ社製)等のナフタレン型エポキシ樹脂;エピクロンN−770(大日本インキ社製)等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂;エピクロンN−670−EXP−S(大日本インキ社製)等のオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂;エピクロンHP7200(大日本インキ社製)等のジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂;NC−3000P(日本化薬社製)等のビフェニルノボラック型エポキシ樹脂;ESN−165S(東都化成社製)等のナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂;エピコート630(ジャパンエポキシレジン社製)、エピクロン430(大日本インキ社製)、TETRAD−X(三菱ガス化学社製)等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ZX−1542(東都化成社製)、エピクロン726(大日本インキ社製)、エポライト80MFA(共栄社化学社製)、デナコールEX−611、(ナガセケムテックス社製)等のアルキルポリオール型エポキシ樹脂;YR−450、YR−207(いずれも東都化成社製)、エポリードPB(ダイセル化学社製)等のゴム変性型エポキシ樹脂;デナコールEX−147(ナガセケムテックス社製)等のグリシジルエステル化合物;エピコートYL−7000(ジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂;その他YDC−1312、YSLV−80XY、YSLV−90CR(いずれも東都化成社製)、XAC4151(旭化成社製)、エピコート1031、エピコート1032(いずれもジャパンエポキシレジン社製)、EXA−7120(大日本インキ社製)、TEPIC(日産化学社製)等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させることにより得られるエポキシ(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、レゾルシノール型エポキシ樹脂(EX−201、ナガセケムテックス社製)360重量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール2重量部、反応触媒としてトリエチルアミン2重量部、アクリル酸210重量部を空気を送り込みながら、90℃で還流攪拌しながら5時間反応させることによって得ることができる。
また、上記エポキシ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、エベクリル3700、エベクリル3600、エベクリル3701、エベクリル3703、エベクリル3200、エベクリル3201、エベクリル3600、エベクリル3702、エベクリル3412、エベクリル860、エベクリルRDX63182、エベクリル6040、エベクリル3800(いずれもダイセルサイテック社製)、EA−1020、EA−1010、EA−5520、EA−5323、EA−CHD、EMA−1020(いずれも新中村化学工業社製)、エポキシエステルM−600A、エポキシエステル40EM、エポキシエステル70PA、エポキシエステル200PA、エポキシエステル80MFA、エポキシエステル3002M、エポキシエステル3002A、エポキシエステル1600A、エポキシエステル3000M、エポキシエステル3000A、エポキシエステル200EA、エポキシエステル400EA(いずれも共栄社化学社製)、デナコールアクリレートDA−141、デナコールアクリレートDA−314、デナコールアクリレートDA−911(いずれもナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、2つのイソシアネート基を有する化合物1当量に対して水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体2当量を、触媒量のスズ系化合物存在下で反応させることによって得ることができる。
上記イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレートの原料となるイソシアネートとしては特に限定されず、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイオシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6,10−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
また、上記イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレートの原料となるイソシアネートとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、(ポリ)プロピレングリコール、カーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等のポリオールと過剰のイソシアネートとの反応により得られる鎖延長されたイソシアネート化合物も使用することができる。
上記イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレートの原料となる、水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体としては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の市販品やエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール等の二価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等の三価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA変性エポキシアクリレート等のエポキシアクリレート等が挙げられる。
上記イソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、トリメチロールプロパン134重量部、重合禁止剤としてBHT0.2重量部、反応触媒としてジブチル錫ジラウリレート0.01重量部、イソホロンジイソシアネート666重量部を加え、60℃で還流攪拌しながら2時間反応させ、次に、2−ヒドロキシエチルアクリレート51重量部を加え、空気を送り込みながら90℃で還流攪拌しながら2時間反応させることにより得ることができる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートで市販されているものとしては、例えば、M−1100、M−1200、M−1210、M−1600(いずれも東亞合成社製)、エベクリル230、エベクリル270、エベクリル4858、エベクリル8402、エベクリル8804、エベクリル8803、エベクリル8807、エベクリル9260、エベクリル1290、エベクリル5129、エベクリル4842、エベクリル210、エベクリル4827、エベクリル6700、エベクリル220、エベクリル2220(いずれもダイセルユーシービー社製)、アートレジンUN−9000H、アートレジンUN−9000A、アートレジンUN−7100、アートレジンUN−1255、アートレジンUN−330、アートレジンUN−3320HB、アートレジンUN−1200TPK、アートレジンSH−500B(いずれも根上工業社製)、U−122P、U−108A、U−340P、U−4HA、U−6HA、U−324A、U−15HA、UA−5201P、UA−W2A、U−1084A、U−6LPA、U−2HA、U−2PHA、UA−4100、UA−7100、UA−4200、UA−4400、UA−340P、U−3HA、UA−7200、U−2061BA、U−10H、U−122A、U−340A、U−108、U−6H、UA−4000(いずれも新中村化学工業社製)、AH−600、AT−600、UA−306H、AI−600、UA−101T、UA−101I、UA−306T、UA−306I等が挙げられる。
本発明のシール剤において、上記ラジカル重合性樹脂は、上述したエポキシ(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。エポキシ(メタ)アクリレートは、極性が高く液晶へ溶出し難いため、滴下工法による液晶表示素子の製造において、液晶に対する汚染性が低くなり、製造する液晶表示素子の表示品質や信頼性の面で優れたものとなるからである。
このとき、上記エポキシ(メタ)アクリレートの含有量としては、上述したラジカル重合性樹脂及び後述するエポキシ樹脂等の硬化性樹脂のような、本発明のシール剤に含まれる全硬化性樹脂成分中、好ましい下限が50重量%、好ましい上限が90重量%であり、より好ましい下限は60重量%、より好ましい上限は80重量%である。
また、本発明のシール剤において、上記ラジカル重合性樹脂は、1分子中における熱ラジカル反応性官能基数の好ましい下限は2個、好ましい上限は5個である。2個未満であると、硬化後に充分な架橋構造が形成されず、若干の未硬化成分が液晶中に溶出することがあり、5個を超えると、硬化後の収縮が大きくなり、液晶表示素子基板への充分な密着性が得られないことがある。
また、本発明のシール剤において、上記ラジカル重合性樹脂は、例えば、1分子中に熱ラジカル反応性官能基と異なる官能基(ここではエポキシ基)とを有する樹脂であってもよい。このような樹脂としては、例えば、エポキシ基と(メタ)アクリロイルオキシ基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有する樹脂が挙げられる。
上記1分子中にエポキシ基と(メタ)アクリロイルオキシ基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有する樹脂としては、例えば、2つ以上のエポキシ基を有する化合物の一部分のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得られる樹脂や、2官能以上のイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体、及び、グリシドールを反応させることにより得られる樹脂等が挙げられる。
上記2つ以上のエポキシ基を有する化合物の一部分のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得られる樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応することにより得られる。
上記2つ以上のエポキシ基を有する化合物の一部分のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得られる樹脂の原料となるエポキシ樹脂としては、例えば、エピコート828EL、エピコート1004(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;エピコート806、エピコート4004(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;エピクロンEXA1514(大日本インキ社製)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;RE−810NM(日本化薬社製)等の2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピクロンEXA7015(大日本インキ社製)等の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂;EP−4000S(旭電化社製)等のプロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂;EX−201(ナガセケムテックス社製)等のレゾルシノール型エポキシ樹脂;エピコートYX−4000H(ジャパンエポキシレジン社製)等のビフェニル型エポキシ樹脂;YSLV−50TE(東都化成社製)等のスルフィド型エポキシ樹脂;YSLV−80DE(東都化成社製)等のエーテル型エポキシ樹脂;EP−4088S(旭電化社製)等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;エピクロンHP4032、エピクロンEXA−4700(いずれも大日本インキ社製)等のナフタレン型エポキシ樹脂;エピクロンN−770(大日本インキ社製)等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂;エピクロンN−670−EXP−S(大日本インキ社製)等のオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂;エピクロンHP7200(大日本インキ社製)等のジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂;NC−3000P(日本化薬社製)等のビフェニルノボラック型エポキシ樹脂;ESN−165S(東都化成社製)等のナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂;エピコート630(ジャパンエポキシレジン社製)、エピクロン430(大日本インキ社製)、TETRAD−X(三菱ガス化学社製)等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ZX−1542(東都化成社製)、エピクロン726(大日本インキ社製)、エポライト80MFA(共栄社化学社製)、デナコールEX−611、(ナガセケムテックス社製)等のアルキルポリオール型エポキシ樹脂;YR−450、YR−207(いずれも東都化成社製)、エポリードPB(ダイセル化学社製)等のゴム変性型エポキシ樹脂;デナコールEX−147(ナガセケムテックス社製)等のグリシジルエステル化合物;エピコートYL−7000(ジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂;その他YDC−1312、YSLV−80XY、YSLV−90CR(いずれも東都化成社製)、XAC4151(旭化成社製)、エピコート1031、エピコート1032(いずれもジャパンエポキシレジン社製)、EXA−7120(大日本インキ社製)、TEPIC(日産化学社製)等が挙げられる。
上記2つ以上のエポキシ基を有する化合物の一部分のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得られる樹脂としては、具体的には、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(N−770、大日本インキ社製)190gをトルエン500mLに溶解させ、この溶液にトリフェニルホスフィン0.1gを加えて均一な溶液とし、この溶液にアクリル酸35gを還流撹拌下2時間かけて滴下後、更に還流撹拌を6時間行い、次に、トルエンを除去することによって50mol%のエポキシ基が(メタ)アクリル酸と反応したノボラック型固形変性エポキシ樹脂を得ることができる(この場合50%部分アクリル化されている)。
上記2つ以上のエポキシ基を有する化合物の一部分のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得られる樹脂のうち、市販品としては、例えば、エベクリル1561(ダイセルユーシービー社製)が挙げられる。
上記2官能以上のイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体及びグリシドールを反応させることにより得られる樹脂は、例えば、2つのイソシアネート基を有する化合物1当量に対して水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体及びグリシドールそれぞれ1当量を、触媒量のスズ系化合物存在下で反応させることによって得ることができる。
上記2官能以上のイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体及びグリシドールを反応させることにより得られる樹脂の原料となる2官能以上のイソシアネートとしては特に限定されず、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイオシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6,10−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
また、上記イソシアネートとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、(ポリ)プロピレングリコール、カーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等のポリオールと過剰のイソシアネートとの反応により得られる鎖延長されたイソシアネート化合物も使用することができる。
上記2官能以上のイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体及びグリシドールを反応させることにより得られる樹脂の原料となる、水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体としては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の市販品や、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール等の二価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等の三価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA変性エポキシアクリレート等のエポキシアクリレート等が挙げられる。
上記2官能以上のイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体及びグリシドールを反応させることにより得られる樹脂としては、具体的には、例えば、トリメチロールプロパン134重量部、重合開始剤としてBHT0.2重量部、反応触媒としてジブチル錫ジラウリレート0.01重量部、イソホロンジイソシアネート666重量部を加え、60℃で還流攪拌しながら2時間反応させ、次に、2−ヒドロキシエチルアクリレート25.5重量部及びグリシドール111重量部を加え、空気を送り込みながら90℃で還流攪拌しながら2時間反応させることにより得ることができる。
本発明のシール剤では、上述したラジカル重合性樹脂以外に、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含有していてもよい。
上記エポキシ樹脂としては特に限定されず、例えば、エピクロロヒドリン誘導体、環式脂肪族エポキシ樹脂、イソシアネートとグリシドールとの反応から得られる化合物等が挙げられる。
上記エピクロロヒドリン誘導体としては、例えば、エピコート828EL、エピコート1004(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;エピコート806、エピコート4004(いずれもジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;エピクロンEXA1514(大日本インキ社製)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;RE−810NM(日本化薬社製)等の2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂;エピクロンEXA7015(大日本インキ社製)等の水添ビスフェノール型エポキシ樹脂;EP−4000S(旭電化社製)等のプロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂;EX−201(ナガセケムテックス社製)等のレゾルシノール型エポキシ樹脂;エピコートYX−4000H(ジャパンエポキシレジン社製)等のビフェニル型エポキシ樹脂;YSLV−50TE(東都化成社製)等のスルフィド型エポキシ樹脂;YSLV−80DE(東都化成社製)等のエーテル型エポキシ樹脂;EP−4088S(旭電化社製)等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;エピクロンHP4032、エピクロンEXA−4700(いずれも大日本インキ社製)等のナフタレン型エポキシ樹脂;エピクロンN−770(大日本インキ社製)等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂;エピクロンN−670−EXP−S(大日本インキ社製)等のオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂;エピクロンHP7200(大日本インキ社製)等のジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂;NC−3000P(日本化薬社製)等のビフェニルノボラック型エポキシ樹脂;ESN−165S(東都化成社製)等のナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂;エピコート630(ジャパンエポキシレジン社製)、エピクロン430(大日本インキ社製)、TETRAD−X(三菱ガス化学社製)等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ZX−1542(東都化成社製)、エピクロン726(大日本インキ社製)、エポライト80MFA(共栄社化学社製)、デナコールEX−611(ナガセケムテックス社製)等のアルキルポリオール型エポキシ樹脂、YR−450、YR−207(いずれも東都化成社製)、エポリードPB(ダイセル化学社製)等のゴム変性型エポキシ樹脂、デナコールEX−147(ナガセケムテックス社製)等のグリシジルエステル化合物;エピコートYL−7000(ジャパンエポキシレジン社製)等のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂;その他YDC−1312、YSLV−80XY、YSLV−90CR(いずれも東都化成社製)、XAC4151(旭化成社製)、エピコート1031、エピコート1032(いずれもジャパンエポキシレジン社製)、EXA−7120(大日本インキ社製)、TEPIC(日産化学社製)等が挙げられる。
また、上記環式脂肪族エポキシ樹脂としては、例えば、セロキサイド2021、セロキサイド2080、セロキサイド3000、エポリードGT300、EHPE(いずれもダイセル化学社製)等が挙げられる。
また、上記イソシアネートとグリシドールとの反応から得られる化合物としては、例えば、2つのイソシアネート基を有する化合物に対して2当量のグリシドールを触媒量のスズ系化合物存在下で反応させることによって得ることができる。
上記イソシアネートとしては例えばイソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイオシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,6,10−ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
また、上記イソシアネートとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、(ポリ)プロピレングリコール、カーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等のポリオールと過剰のイソシアネートとの反応により得られる鎖延長されたイソシアネート化合物も使用することができる。
上記イソシアネートとグリシドールとの反応から得られる化合物の具体的な合成法としては、具体的には、例えば、トリメチロールプロパン134重量部、反応触媒としてジブチル錫ジラウリレート0.01重量部、イソホロンジイソシアネート666重量部を加え、60℃で還流攪拌しながら2時間反応させ、次に、グリシドール222重量部を加え、空気を送り込みながら90℃で還流攪拌しながら2時間反応させることにより得ることができる。
上記ラジカル重合性樹脂が、上述した1分子中に熱ラジカル性官能基と別の異なる官能基(ここではエポキシ基)とを有する樹脂である場合や、上記熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を含有する場合、本発明のシール剤は、熱硬化剤を含有していてもよい。
上記熱硬化剤としては特に限定されないが、固形の有機酸ヒドラジドが好適に用いられる。
上記固形の有機酸ヒドラジドとしては特に限定されず、例えば、セバチン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、その他アミキュアVDH、アミキュアUDH(いずれも、味の素ファインテクノ社製)、2MZA−PW(四国化成社製)、ADH(大塚化学社製)等が挙げられる。
本発明のシール剤には、上記固形の有機酸ヒドラジド以外の熱硬化剤が含有されていてもよく、例えば、熱硬化剤として、アミン化合物、多価フェノール系化合物、酸無水物等が含有されていてもよい。
本発明のシール剤が上記熱硬化剤を含有する場合、その含有量としては特に限定されないが、上記熱硬化性樹脂(ここではエポキシ樹脂)100重量部に対して、好ましい下限は1重量部、好ましい上限は50重量部である。1重量部未満であると、熱硬化剤を含有させる効果がほとんど得られず、50重量部を超えると、本発明のシール剤の粘度が高くなり、ハンドリング性を損ねる場合がある。より好ましい上限は30重量部である。
本発明のシール剤は、光重合開始剤を含有してもよい。
上記光重合開始剤を含有することで、本発明のシール剤を光硬化と熱硬化との併用型とすることができる。そのため、滴下工法による液晶表示素子の製造において、基板上に形成した本発明のシール剤からなるシール剤パターン中に液晶を滴下塗布した後、光照射により該シール剤パターンを仮硬化させることができ、液晶汚染の発生をより好適に防止することができる。
ここで、滴下工法による液晶表示素子の製造において、紫外線等の光を照射することで光硬化させる際に、ブラックマトリックス(BM)等で光の照射が遮蔽される部分(以下、遮光部分ともいう)が存在する場合であっても、本発明のシール剤は、続く熱硬化を迅速に行うことができるため、該遮光部分を含むシール剤全体を迅速かつ充分に硬化させることができ、液晶を汚染することなく、表示品質及び信頼性に優れる液晶表示素子を製造することができる。
上記光重合開始剤としては特に限定されず、例えば、紫外線等の光が照射されることでラジカルを生成する重合開始剤が挙げられる。
このような光が照射されることでラジカルを生成する重合開始剤として市販されているものとしては、例えば、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア819、イルガキュア651、イルガキュア369、イルガキュア379(いずれもチバ・スペシャリティーケミカルズ社製)、ベンソインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ルシリンTPO(BASF Japan社製)等が挙げられる。なかでも吸収波長域が広い点で、イルガキュア907、イルガキュア651、BIPE及びルシリンTPOが好適である。
上記光重合開始剤の配合量としては特に限定されないが、本発明のシール剤に含まれる硬化性樹脂成分100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が10重量部である。0.1重量部未満であると、本発明のシール剤を充分に硬化させることができないことがあり、10重量部を超えると、本発明のシール剤に光を照射したときに、シール剤の表面が先に硬化してしまい、内部を充分に硬化させることができず、また、貯蔵安定性が低下することがある。
本発明のシール剤は、更に、シランカップリング剤を含有することが好ましい。
上記シランカップリング剤は、主にシール剤と液晶表示素子基板とを良好に接着するための接着助剤としての役割を有する。
上記シランカップリング剤としては特に限定されないが、ガラス基板等との接着性向上効果に優れ、上述した硬化性樹脂成分と化学結合することにより液晶中への流出を防止するとができることから、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等や、スペーサー基を介してイミダゾール骨格とアルコキシシリル基とが結合した構造を有するイミダゾールシラン化合物からなるもの等が好適に用いられる。これらのシランカップリング剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のシール剤は、応力分散効果による接着性の改善、線膨張率の改善等の目的にフィラーを含有してもよい。
上記フィラーとしては特に限定されず、例えば、タルク、石綿、シリカ、珪藻土、スメクタイト、ベントナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、モンモリロナイト、珪藻土、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ガラスビーズ、窒化珪素、硫酸バリウム、石膏、珪酸カルシウム、タルク、ガラスビーズ、セリサイト活性白土、ベントナイト、窒化アルミニウム等の無機フィラーや、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ビニル重合体微粒子、アクリル重合体微粒子等の有機フィラーが挙げられる。
本発明のシール剤は、更に、必要に応じて、粘度調整の為の反応性希釈剤、チクソ性を調整する揺変剤、パネルギャップ調整の為のポリマービーズ等のスペーサー、3−P−クロロフェニル−1,1−ジメチル尿素等の硬化促進剤、消泡剤、レベリング剤、重合禁止剤、その他添加剤等を含有してもよい。
本発明のシール剤を製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記ラジカル重合性樹脂、熱ラジカル重合開始剤、及び、必要に応じて配合される熱硬化性樹脂、熱硬化剤、光重合開始剤、各種添加剤等を、従来公知の方法により混合する方法等が挙げられる。このとき、イオン性の不純物を除去するために層状珪酸塩鉱物等のイオン吸着性固体と接触させてもよい。
本発明のシール剤は、加熱されることで、含有する熱ラジカル重合開始剤を反応させ、ラジカル重合性樹脂を硬化させ得る熱ラジカルを発するため、短時間の加熱処理によりラジカル重合性樹脂を硬化させることができる。具体的には、本発明のシール剤は、80〜150℃の温度範囲で10〜60分間加熱したときのラジカル重合性樹脂の硬化率の好ましい下限が80%である。硬化率が80%未満であると、本発明のシール剤を充分に硬化させることができず、滴下工法により液晶表示素子を製造したときに、液晶汚染を引き起こすことがあり、硬化ムラが生じることもある。なお、上記硬化率とは、ラジカル重合性樹脂と熱ラジカルとの反応率を示すものであり、(ラジカル重合性樹脂の仕込み官能基数−ラジカル重合性樹脂の未反応官能基数)/(ラジカル重合性樹脂の仕込み官能基数)により求めることができる。
このような本発明のシール剤によると、滴下工法により液晶表示素子を製造する際に、未硬化の本発明のシール剤と液晶とが直に接する時間を短時間とすることができる。更に、本発明のシール剤が光硬化と熱硬化との併用型である場合であって、滴下工法による液晶表示素子の製造において、基板上に形成した本発明のシール剤からなるシール剤パターンに、BM等で紫外線等の光が遮蔽される部分が存在していても、未硬化樹脂を残存させることなく迅速に硬化させることができる。
従って、本発明のシール剤によると、滴下工法により製造した液晶表示素子に液晶汚染を引き起こすことがなく、表示品質及び信頼性に優れた液晶表示素子とすることができる。
このような本発明のシール剤に、導電性微粒子を配合することにより、上下導通材料を製造することができる。このような上下導通材料を用いれば、例えば、紫外線等の光が直接照射されない部分が存在しても、電極間を充分に導電接続することができる。
本発明の液晶表示素子用シール剤と、導電性微粒子とを含有する上下導通材料もまた、本発明の1つである。
上記導電性微粒子としては特に限定されず、金属ボール、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したもの等を用いることができる。なかでも、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したものは、樹脂微粒子の優れた弾性により、透明基板等を損傷することなく導電接続が可能であることから好適である。
本発明のシール剤及び/又は本発明の上下導通材料を用いて液晶表示素子を製造する方法としては特に限定されず、例えば、以下の方法により製造することができる。
まず、ITO薄膜等の2枚の電極付き透明基板の一方に、本発明のシール剤及び/又は本発明の上下導通材料をスクリーン印刷、ディスペンサー塗布等により長方形状のシールパターンを形成する。
次いで、シール剤未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下塗布し、すぐに他方の透明基板を重ねあわせる。このとき、本発明のシール剤が光硬化及び熱硬化の併用型である場合、シール部に紫外線を照射して硬化させる。
その後、更に80〜200℃のオーブン中で1時間加熱硬化させて硬化を完了させ、液晶表示素子を製造する。
本発明のシール剤及び/又は本発明の上下導通材料を用いてなる液晶表示素子もまた、本発明の1つである。