JP6992407B2 - 音響センサ装置、音響センサ信号処理方法およびプログラム - Google Patents
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Description
この音響センサに関連して、特許文献1には、ラインアレイ送波器およびラインアレイ受波器が船底に設けられる海底地形表示装置が記載されている。特許文献1に記載の海底地形表示装置では、クロスファン方式の送受信ビームを用いて海底の地形情報を取得する。
また、特許文献3には、目標物からの反射音がドップラー付でも目標物の正確な位置を特定するためのソーナーシステムが記載されている。特許文献3に記載のソーナーシステムでは、送信波として周波数ホッピング信号を使用する。
引用文献2に記載の流速プロファイラでは、ある一点についての距離および相対速度情報のみを取得できる。
引用文献3に記載のソーナーシステムでは、送信波の送信が断続であり、目標物の情報の取得も断続的になる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る音響センサ装置の運用環境の例を示した図である。
図1において音響センサ装置111は航走体112に搭載され通信用ケーブル113により母機121内の情報表示装置122に接続されている。音響センサ装置111は音波を送受信し、目標101からの直接反射音および目標101により作られたウェーキ102からの反射音を取得する。
ここで航走体112は無人航走体であり、母機121は有人潜水艇であることを基本とするが、共に有人であっても良い。
また、以下では航走体112が水中航走体である場合を例に説明するが、航走体112が水上航走体である場合も、同様に本願発明を適用可能である。
図1を参照して説明したように、航走体112には音響センサ装置111が搭載されている。また、母機121には情報表示装置122が搭載されている。情報表示装置122は、音響センサ装置111と通信用ケーブル113で接続されている。図1を参照して説明したように、通信用ケーブル113は航走体112と母機121との間の通信を行うケーブルであり、光通信、電気通信等の通信方式は問わない。
音響センサ装置111内における送信音響信号204の送信処理では、送信制御部212が指令信号に基づき送信諸元を生成する。送信波形生成部213は、送信諸元に基づき送信波形のデジタルデータを生成する。DA変換部214は、送信波形のデジタルデータから小振幅のアナログ送信波形を生成する。増幅部215は、小振幅のアナログ信号から大振幅・大電力のアナログ送信波形に変換(増幅)する。送信用音響アレイ216は、電気音響変換された送信音響信号204を送信(航走体112の外部へ出力)する。
ここで、通信用ケーブル113が切断される等により母機121と航走体112の通信が断絶された場合についても、航走体112単体で航走体制御装置211の制御によりセンサ情報に基づいて自律した動作をすることができる。
図3において送信用音響アレイ216はラインアレイであり航走体112の進行方向に長軸が向く方向で配置される。受信用音響アレイ221はラインアレイであり送信用音響アレイに対して垂直方向に長軸が向く方向で配置される。
図4において、送信用音響アレイ216は受信用音響アレイ221と共に航走体112の上面に搭載されている。送信ビーム411および412は、送信用音響アレイ216が送信した音響ビーム(音響信号)である。送信用音響アレイ216は、進行方向に狭く横方向に広い扇型で、進行方向に対して異なる2つの方向に音響ビームを送信する。このように、送信用音響アレイ216は、ファンビームの音響ビームを送信する。
以後、進行方向に対して前側の送信ビームをTxFビーム、後側の送信ビームをTxRビームと称する。なお、TxFとTxRとでは、2つのビームのビームシフト角を比較しての前後関係を示している。2つのビームが共に鉛直方向より前方、または後方を中央とする指向性を有していても良い。
図5において送信波形601は、図4に示したTxRビームについての周波数変化を示す。送信波形602は、図4に示したTxFビームについての周波数変化を示してしている。これらの送信波形は共に繰り返し周期をもつ連続波である。
図5の例では、TxRとTxFとで、繰返し周期および繰り返し開始時刻が同一となっているが、これらの値は異なっていてもよい。また、図5の例ではTxRのほうがTxFよりも高い周波数となっているがこの関係は逆転してもよい。また、図5の例では、周波数掃引が単調増加する波形となっているが、単調減少する波形となっていてもよい。
図7において受信データ901は、受信用音響アレイ221が取得した音響データであり、受信用音響アレイ221を構成する各チャンネルが得た音響信号をAD変換した後の時系列の波形データである。受信データ901は、ch1からch mまでのm個の異なるデータで構成される。
情報算出処理904は、細かく周波数分離された指向性合成データから反射音を抽出し、目標101までの距離と目標101との相対速度を算出する処理である。情報算出処理については図8および図9を用いて以下で説明する。
図8において音響センサ装置111が搭載された航走体112が速度VUで移動しており、目標101は速度VTで移動している。航走体112と目標101は鉛直方向について距離dの間隔があるものとする。航走体112に搭載された音響センサ装置111が、送信ビームTxF1003および送信ビームTxR1004を送信している。これらTxF1003および送信ビームTxR1004は、図4におけるTxFおよびTxRと同じ音響ビームを示す。
信号1111は、送信ビームTxRを示している。また、目標101が音響センサ装置111の直近に位置し相対速度が0である場合に、目標101が送信ビームTxRを反射することにより、信号1111の受信信号を得られる。すなわち、この場合は送信信号と同じ周波数かつ同じ位相の受信信号を得られる。
受信信号1113は、音響センサ装置111から目標101までの距離が離れており、かつ相対速度がゼロでない場合に、目標101が送信ビームTxRを反射して得られる受信信号である。受信信号1113では、送信から受信までの時間差ΔtRに加えてドップラー現象によるΔfRの周波数差が発生している。
信号1102は、音響センサ装置111から離れた位置に静止中の目標101が送信ビームTxFを反射して得られる受信信号である。
受信信号1103は、音響センサ装置111から目標101までの距離が離れており、かつ相対速度がゼロでない場合に、目標101が送信ビームTxFを反射して得られる受信信号である。
図10は、ある瞬間の変調後受信信号の周波数スペクトルを示している。ゼロとなる周波数は変調時の局発信号すなわち送信波形の周波数を示す。
同様にスペクトル1201は送信ビームTxFの送信に対する変調後の受信信号のスペクトルであり、図9に示す受信信号1103を変調した後の信号である。ここで、この変調後周波数をmfFとする。
図8に示した航走体112と目標101の位置関係の場合、mf F は式(1)のように表される。
また、mf R は式(2)のように表される。
図7の情報算出処理904では、式(1)および式(2)、送信ビームシフト角θF、θR、周波数掃引の傾きSF、SRおよび水中音速cを既知の値として、目標101までの距離dと相対速度VU-VTを算出する。
送信用音響アレイ216が複数方向への音響信号を連続的に送信し、音響センサ装置111が連続的に信号処理を行うことで、音響センサ装置111は、時間的連続性を有した目標位置情報および相対速度情報を得られる。従って、音響センサ装置111によれば、目標101を継続的に追跡することができる。
なお、航走体112の速度VUが別の手法によって既知である場合は、目標101の速度VTの絶対値の算出が可能であり、目標101が静止状態であることが既知である場合は、航走体112の速度VUの絶対値を算出することができる。
図11(a)は、航走体112を上面から俯瞰した表示例を示す。図11(a)では、縦軸を進行方向、横軸を進行方向に直行する方向として航走体112の上部の状態を表示している。
図11(c)は、航走体112を背面より見たイメージの表示例を示す。図11(c)は、縦軸を航走体112からのレンジ、横軸を進行方向に直行する方向として航走体112の直上の状態を示している。
図11(d)は、航走体112の上部についての3次元表示の例を示している。
各セルの表示色について、受信レベルの大きさに応じて輝度を設定し、受信信号のドップラー効果に応じて色を設定することで、受信レベルとドップラー効果の情報を合わせて表示できる。
これらの表示は母機121の表示部233が行い、リアルタイムに表示を更新する。なお、航走体112が母機121と接続されずに単体で動作する場合は、この表示処理は実施されない。
ここで、航走体112が母機121と接続されずに単体で動作する場合は、母機121における表示処理は実施されないが、音響センサ装置111により出力された航走体112の周囲に関する情報は、航走体112自身の運動制御に利用される。
特に、送信用音響アレイ216が、複数の音響ビームを送信することで、位置情報および相対速度情報の両方を得られる。
また、送信用音響アレイ216がファンビームの音響ビームを送信することで、1点に限らずより広い範囲の位置情報および相対速度情報を得られる。
また、送信用音響アレイ216が、ファンビームの音響ビームを連続的に送信することで、受信処理部224は、例えば位置情報および相対速度情報を連続的に取得するなど、より速い更新レートで取得することができる。
このように、送信用音響アレイ216が異なった角度で信号を出力することで、受信処理部224は、より多様な情報を得られる。これによって受信処理部224が位置情報および相対速度情報をより高精度に算出ることが期待される。
これにより、受信用音響アレイ221は、送信用音響アレイ216が送信した1つの音響ビームの反射信号を、ラインアレイにおける複数の要素それぞれで受信することができる。この点で、音響センサ装置111は、分解能の高い受信データを得られる。
第1実施形態では送信ビームを送信方向の異なる2本の音響ビームとしていたが、より多くの送信ビームを使用することができる。
図12は、第2実施形態に係る音響センサ装置の送信ビームの概要を示している。
図12における各部のうち、図4における各部に対応して同様の機能を有する部分には同一の符号(112、216、221)を示し、共通部分についての説明を省略する。
送信ビーム1411、1412および1413は、音響センサ装置111が送信した音響ビームである。音響センサ装置111は、進行方向に狭く横方向に広い扇型で、進行方向に対して異なる3つの方向に音響ビームを送信する。
以降に示す第3実施形態から第5実施形態においても、3本以上の送信ビームによる送受信処理が可能である。
第1実施形態では、音響アレイ(送信用音響アレイ216および受信用音響アレイ221)を航走体112の上部に設置し、音響ビームを航走体の上面に向けることで海面および海面付近の物体に関する情報を取得している。これに限らず、音響アレイを航走体112の下部に設置し音響ビームを航走体112の下面に向けることで、海底および海底付近の物体に関する情報を取得ことができる。
図13における各部のうち、図4における各部に対応して同様の機能を有する部分には同一の符号(112、216、221)を示し、共通部分についての説明を省略する。
送信ビーム1611および1612は、音響センサ装置111が送信した音響ビームである。音響センサ装置111は、進行方向に狭く横方向に広い扇型で、進行方向に対して異なる2つの方向、かつ、下向きに送信を行う。音響センサ装置111は、これら2本の送信ビームに対して音響アレイを上面に配置した場合と同様の受信処理を行うことで、海底側の情報を取得することができる。
第1実施形態および第3実施形態では、航走体112の上面および下面のうちいずれか1方向のみに音響アレイを設置し、単一方向のみ情報を取得している。これに対し、航走体の複数の面に音響センサ装置を設置することで、複数の方向の情報を取得することができる。
図14の航走体は、図4の航走体112に対応して同様の機能を有しているため、同一の符号112を付して共通部分についての説明を省略する。
第4実施形態では、音響アレイの数および配置(図14参照)が、第1実施形態の場合(図4w参照)と異なる。また、第4実施形態では、この相違点に伴って、音響センサ装置111(図2)が行う処理が、第1実施形態の場合と異なる。それ以外は、第1実施形態について図1から図11を参照して説明したのと同様である。
上面用送信用音響アレイ1701はラインアレイであり、航走体112の上面に進行方向に沿って長軸が向く方向に配置される。側面用送信用音響アレイ1702および1703、下面用送信用音響アレイ1704も同様にラインアレイであり、航走体側面および仮面に進行方向に沿って長軸が向く方向に配置される。受信用音響アレイ1705は円周状に配置されたラインアレイであり、送信用音響アレイに対して垂直の方向に長軸が向く方向で配置される。
図14では送信アレイを4つ配置しているが、より多くの送信アレイを配置することも可能である。
第1実施形態から第4実施形態では、送信用音響アレイと受信用音響アレイを共に航走体112の側面に配置している。これに対し、受信用音響アレイを航走体112の前面に配置しても側面に配置する場合と同様に航走体周囲の情報の取得をすることができる。
ここでいう側面は、航走体112の本体の円筒形部分の側面であり、第4実施形態の説明における上面、側面、および下面を含む。
図15における各部のうち、図14における各部に対応して同様の機能を有する部分には同一の符号(112、1701、1702、1703、1704)を付して説明を省略する。
第5実施形態では、受信用音響アレイ1811の配置(図15参照)が、第1実施形態の場合(図4参照)および第4実施形態の場合(図14参照)と異なる。それ以外の点は、第1実施形態について図1から11を参照して説明し、第4実施形態について図14を参照して説明したのと同様である。
第4実施形態における音響アレイの配置の場合、送信信号は、他の実施形態の場合と同様に航走体112の進行方向に対して異なるビームシフトをさせた複数の音響ビームによって構成される。受信信号は、前面に配置された平面アレイ(受信用音響アレイ1811)が受信する複数の音響ビームによって構成される。他の実施形態の場合と同様の受信信号処理を行うことで、航走体周囲の情報を取得することができる。
航走体112の前面に、他の用途で利用するための受信用音響アレイが設けられている場合、上面用送信用音響アレイ1701と、側面用送信用音響アレイ1702および1703と、下面用送信用音響アレイ1704とを追加設置することで、他の実施形態の場合と同様に情報を取得できる。この場合、受信用音響アレイ1811を別途設ける必要がない。
図16は、本発明に係る音響センサ装置の最小構成の例を示す図である。図16に示す音響センサ装置10は、送信用音響アレイ11と、受信用音響アレイ12と、送信制御部13と、受信処理部14とを備える。
かかる構成にて、送信用音響アレイ11は、複数のファンビームの音響ビームにて連続信号を送信する。受信用音響アレイ12は、送信用音響アレイ11が送信した複数の音響ビームの反射波を受信する。送信制御部13は、送信用音響アレイ11を制御して音響ビームを送信させる。受信処理部14は、複数の音響ビームを反射した反射体までの距離、および、反射体との相対速度を、受信用音響アレイ12が受信した反射波に基づいて算出する。音響センサ装置10は、水中航走体または水上航走体に設置可能である。
特に、送信用音響アレイ11が、複数の音響ビームを送信することで、位置情報および相対速度情報の両方を得られる。
また、送信用音響アレイ11がファンビームの音響ビームを送信することで、1点に限らずより広い範囲の位置情報および相対速度情報を得られる。
また、送信用音響アレイ11が、ファンビームの音響ビームを連続的に送信することで、受信処理部14は、例えば位置情報および相対速度情報を連続的に取得するなど、より速い更新レートで取得することができる。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
11、216 送信用音響アレイ
12、221 受信用音響アレイ
13、212 送信制御部
14、224 受信処理部
101 目標
102 ウェーキ
112 航走体
113 通信用ケーブル
121 母機
122 情報表示装置
210 通信装置
211 航走体制御装置
213 送信波形生成部
214 DA変換部
215 増幅部
222 増幅部
223 AD変換部
225 目標検出部
316 受信制御部
Claims (5)
- 音響センサ装置が設置されている航走体の進行方向に対して複数の固定の方位それぞれに向けて、異なる周波数かつ周波数が変化するファンビームの音響ビームにて連続信号を送信する送信用音響アレイと、
前記送信用音響アレイが送信した前記複数の音響ビームの反射波を受信する受信用音響アレイと、
前記送信用音響アレイを制御して前記音響ビームを送信させる送信制御部と、
前記複数の音響ビームを反射した反射体までの距離、および、前記反射体との相対速度を、前記受信用音響アレイが受信した反射波に基づいて算出する受信処理部と、
を備え、水中航走体または水上航走体に設置されている音響センサ装置。 - 前記送信用音響アレイは、前記音響センサ装置を搭載した航走体の進行方向を長軸方向として配置されるラインアレイであり、
前記受信用音響アレイは、前記送信用音響アレイに直行して配置されるラインアレイである、
請求項1に記載の音響センサ装置。 - 前記送信用音響アレイは、前記音響センサ装置を搭載した航走体の進行方向を長軸方向として配置されるラインアレイであり、
前記受信用音響アレイは、前記航走体の前面に配置される平面アレイである、
請求項1または請求項2に記載の音響センサ装置。 - 音響センサ装置が設置されている航走体の進行方向に対して複数の固定の方位それぞれに向けて、異なる周波数かつ周波数が変化するファンビームの音響ビームにて連続信号を送信することと、
送信した前記複数の音響ビームの反射波を受信することと、
前記複数の音響ビームを反射した反射体までの距離、および、前記反射体との相対速度を、受信した前記反射波に基づいて算出することと、
を含む、
音響センサ信号処理方法。 - コンピュータに、
音響センサ装置が設置されている航走体の進行方向に対して複数の固定の方位それぞれに向けて、異なる周波数かつ周波数が変化するファンビームの音響ビームにて送信された連続信号を反射した反射体までの距離、および、前記反射体との相対速度を、前記反射体による反射波に基づいて算出させるためのプログラム。
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