本発明の一側面に係る光送信器は、それぞれ互いに異なる波長を有する複数の光信号の一部が多重化された第1の多重化光信号を生成する第1の光送信モジュールと、それぞれ互いに異なる波長を有する複数の光信号から一部を除いた残余が多重化された第2の多重化光信号を生成する第2の光送信モジュールと、第1の電圧に設定される第1の電源線と、第1の電源線に接続され、駆動電流を生成する第1の給電回路と、第1の給電回路から出力された駆動電流を受けて、第1の多重化光信号を増幅する第1の半導体光増幅器と、第1の半導体光増幅器から出力された駆動電流を受けて、第2の多重化光信号を増幅する第2の半導体光増幅器と、第1の電圧より低い第2の電圧に設定され、第2の半導体光増幅器から出力された駆動電流を受ける第2の電源線と、第1の半導体光増幅器によって増幅された第1の多重化光信号と、第2の半導体光増幅器によって増幅された第2の多重化光信号とを合波して出力する光合波器と、を備える。
かかる構成の光送信器によれば、第1の光送信モジュールから出力された第1の多重化光信号が第1の半導体光増幅器によって増幅され、第2の光送信モジュールから出力された第2の多重化光信号が第2の半導体光増幅器によって増幅され、第1の半導体光増幅器によって増幅された第1の多重化光信号と第2の半導体光増幅器によって増幅された第2の多重化光信号とが、光合波器によって合波されて出力される。ここで、第1の半導体光増幅器は、第1の電源線に接続された第1の給電回路から駆動電流を受け、第2の半導体光増幅器は、第1の半導体光増幅器からその駆動電流を受けて第2の電源線に出力する。このような接続構成によって、第1の半導体光増幅器及び第2の半導体光増幅器に駆動電流を供給するための電流源回路を一本化することができる。その結果、光送信器全体の消費電力を低減することができる。
上記光送信器においては、第3の電圧に設定される第3の電源線と、第3の電源線に接続され、第3の電圧に応じて第2の電源線に流入する分流電流を生成し、第1の半導体光増幅器から出力された駆動電流から分流電流を分流させる第2の給電回路と、をさらに備え、第2の半導体光増幅器は、第1の半導体光増幅器から出力された駆動電流から分流電流が差し引かれた電流を受け、第2の多重化光信号を増幅する、ことが好適である。かかる構成においては、第2の給電回路により、第3の電圧によって制御された分流電流を、第1の半導体光増幅器から第2の半導体光増幅器に向けて流れ込む駆動電流から分流させることができる。これにより、第1の半導体光増幅器に供給する駆動電流と第2の半導体光増幅器に供給する駆動電流との差分を調整することができる。その結果、第1の半導体光増幅器の増幅率と第2の半導体光増幅器の増幅率とを独立に制御することができる。
また、第4の電圧に設定される第4の電源線と、第4の電源線に接続され、第2の半導体光増幅器を駆動するための付加駆動電流を生成する第3の給電回路と、をさらに備え、第2の半導体光増幅器は、第1の半導体光増幅器から出力された駆動電流と、第3の給電回路から出力された付加駆動電流とを受けて、第2の多重化光信号を増幅する、ことも好適である。この場合、第3の給電回路により、第4の電圧によって制御された付加駆動電流を、第1の半導体光増幅器から第2の半導体光増幅器に向けて流れ込む駆動電流に付加することができる。これにより、第1の半導体光増幅器に供給する駆動電流と第2の半導体光増幅器に供給する駆動電流との差分を調整することができる。その結果、第1の半導体光増幅器の増幅率と第2の半導体光増幅器の増幅率とを独立に制御することができる。
また、第1の多重化光信号に含まれる複数の光信号のピーク波長の最小値は、第2の多重化光信号に含まれる複数の光信号のピーク波長の最大値よりも大きく設定されており、第1の半導体光増幅器に供給される電流は、第2の半導体光増幅器に供給される電流よりも大きくなるように構成されている、ことも好適である。一般に、半導体光増幅器において特定の増幅率の範囲で同一の増幅率を得るために必要な駆動電流は増幅対象の光信号のピーク波長が大きくなるほど大きくなるという性質を有する。従って、第1の半導体光増幅器に供給される電流を第2の半導体光増幅器に供給される電流よりも大きく設定することで、第1の半導体光増幅器の増幅率と第2の半導体光増幅器の増幅率との間でバランスを取ることが可能となる。
さらに、第1の多重化光信号に含まれる複数の光信号のピーク波長の最大値は、第2の多重化光信号に含まれる複数の光信号のピーク波長の最小値よりも小さく設定されており、第1の半導体光増幅器に供給される電流は、第2の半導体光増幅器に供給される電流よりも小さくなるように構成されている、ことも好適である。一般に、半導体光増幅器において特定の増幅率の範囲で同一の増幅率を得るために必要な駆動電流は増幅対象の光信号のピーク波長が小さくなるほど小さくなるという性質を有する。従って、第1の半導体光増幅器に供給される電流を第2の半導体光増幅器に供給される電流よりも小さく設定することで、第1の半導体光増幅器の増幅率と第2の半導体光増幅器の増幅率との間でバランスを取ることが可能となる。
以下、添付図面を参照しながら本発明による光送信器の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[光トランシーバの構成]
最初に、本発明の実施形態にかかる光送信器である光トランシーバの構成について説明する。
図1は、本発明の好適な一実施形態にかかる光トランシーバ1の構成を示すブロック図である。光トランシーバ1は、光送信モジュールであるTOSA(TOSA: Transmitter Optical Sub-Assembly)と、光受信モジュールであるROSA(ROSA: ReceiverOptical Sub-Assembly)とを備える。図1には、ROSAの図示は省略している。光トランシーバ1には、2つのTOSA3A,3Bと、TOSA(第1の光送信モジュール)3Aの出力に光学的に接続された半導体光増幅器(SOA、第1の半導体光増幅器)9Aと、TOSA(第2の光送信モジュール)3Bの出力に光学的に接続された半導体光増幅器(第2の半導体光増幅器)9Bと、半導体光増幅器9A,9Bの出力に光学的に接続された光合波器(O−MUX:Optical Multiplexer)11と、半導体光増幅器9A,9Bに電気的に接続されており、半導体光増幅器9A,9Bを駆動する給電回路(第1の給電回路)13とが内蔵されている。図1においては、光学的な接続が実線で図示されており、電気的な接続が点線で図示されている。
TOSA3Aは、4つのLD5a,5b,5c,5dと光合波器(O−MUX)7Aとを含んでおり、TOSA3Bは、4つのLD5e,5f,5g,5hと光合波器(O−MUX)7Bとを含んでいる。LD5a〜5hは、それぞれ互いに異なる波長(ピーク波長)の光信号を生成して出力する。LD5a〜5hは、例えばそれぞれが出力する光信号の周波数(光信号の伝搬する速さをピーク波長で割ったもの)が互いに独立な周波数範囲内に収まるように動作条件が設定される。
光合波器7Aは、4つの入力端子と1つの出力端子を有し、4つの入力端子のそれぞれが光ファイバ等の光伝送線15a,15b,15c,15dを介してLD5a,5b,5c,5dの出力に光学的に接続(結合)されている。このような接続構成の光合波器7Aは、LD5a,5b,5c,5dから出力された複数の波長の光信号を多重化(合波)して多重化光信号(第1の多重化光信号)を生成し、生成した多重化光信号を出力端子から出力する。なお、LD5a,5b,5c,5dは、例えばそれぞれの出力する光信号が光学レンズによってコリメート光に変換されて、光ファイバではなく空間を伝播して光合波器7Aに入力されるように光学的に結合されていてもよい。その場合、光合波器7Aは、誘電体多層膜フィルタやミラー等を使用して、入力されたコリメート光を合波してもよい。
光合波器7Bは、4つの入力端子と1つの出力端子を有し、4つの入力端子のそれぞれが光ファイバ等の光伝送線15e,15f,15g,15hを介してLD5e,5f,5g,5hの出力に光学的に接続されている。このような接続構成の光合波器7Bは、LD5e,5f,5g,5hから出力された複数の波長の光信号を多重化(合波)して多重化光信号(第2の多重化光信号)を生成し、生成した多重化光信号を出力端子から出力する。なお、LD5e,5f,5g,5hは、例えばそれぞれの出力する信号光が光学レンズによってコリメート光に変換されて、光ファイバではなく空間を伝播して光合波器7Bに入力されるように光学的に結合されていてもよい。その場合、光合波器7Bは、誘電体多層膜フィルタやミラー等を使用して、入力されたコリメート光を合波してもよい。
これらの光合波器7A,7Bのそれぞれの出力端子がTOSA3A,3Bの出力に光学的に接続されており、TOSA3A,3Bは、それぞれ、互いに異なる4つの波長(ピーク波長)を有する光信号が多重化された多重化光信号(第1及び第2の多重化光信号)を出力する。すなわち、TOSA3Aは、光トランシーバ1が最終的に出力する多重化光信号に多重化された複数の光信号の一部を多重化し、TOSA3Bは、光トランシーバ1が最終的に出力する多重化光信号に多重化された複数の光信号から一部を除いた残余を多重化する。
半導体光増幅器9Aは、光入力端子17A、光出力端子19A、電流入力端子21A、及び電流出力端子23Aを有し、給電回路13から、電流入力端子21Aより電流出力端子23Aに向けて流れる電流の供給を受けて、TOSA3Aから光入力端子17Aに入力される多重化光信号(LD5a,5b,5c,5dから出力される光信号が4:1(「光合波器の入力の数:光合波器の出力の数」を表す)に多重化された光信号)を増幅して光出力端子19Aから出力する半導体素子である。この半導体光増幅器9Aの光入力端子17Aは、TOSA3Aの光合波器7Aの出力端子に光学的に接続(結合)される。
半導体光増幅器9Bは、光入力端子17B、光出力端子19B、電流入力端子21B、及び電流出力端子23Bを有し、給電回路13から、電流入力端子21Bより電流出力端子23Bに向けて流れる電流の供給を受けて、TOSA3Bから光入力端子17Bに入力される多重化光信号(LD5e,5f,5g,5hから出力される光信号が4:1に多重化された光信号)を増幅して光出力端子19Bから出力する半導体素子である。この半導体光増幅器9Bの光入力端子17Bは、TOSA3Bの光合波器7Bの出力端子に光学的に接続(結合)される。
光合波器11は、2つの入力端子と1つの出力端子を有し、2つの入力端子のそれぞれが光ファイバ等の光伝送線25A,25Bを介して半導体光増幅器9A,9Bの光出力端子19A,19Bに光学的に接続され、出力端子が光ファイバ等の光伝送線27に光学的に接続されている。この光伝送線27が光トランシーバ1の出力に光学的に接続されている。この光合波器11は、半導体光増幅器9Aによって増幅された多重化光信号と、半導体光増幅器9Bによって増幅された多重化光信号とを2:1に多重化(合波)して多重化光信号を生成し、その多重化光信号を光トランシーバ1の出力信号として出力する。このように、光トランシーバ1は、光合波器7A、7Bによってそれぞれ4:1に多重化された2つの光信号を、さらに光合波器11によって2:1に多重化することで最終的に8:1に多重化された多重化光信号を生成する。
次に、図2を参照して、光トランシーバ1内における半導体光増幅器9A,9Bと給電回路(第1の給電回路)13との接続構成について説明する。
図2を参照して、給電回路13は、入力端子29及び出力端子31を有し、入力端子29には電圧V1(例えば、3.3V)に設定される電源線L1が電気的に接続され、出力端子31には半導体光増幅器9Aの電流入力端子21Aが電気的に接続されている。給電回路13は、半導体光増幅器9Aを駆動するための駆動電流ISOAを生成して出力端子31から出力する。さらに、半導体光増幅器9Aの電流出力端子23Aは半導体光増幅器9Bの電流入力端子21Bに電気的に接続され、半導体光増幅器9Bの電流出力端子23Bは、電圧V1より低い電圧V2(例えば、グラウンド電圧)に設定される電源線L2が電気的に接続されている。すなわち、給電回路13には、2つの半導体光増幅器9A,9Bが直列に接続されている。
このような接続構成により、給電回路13によって生成された駆動電流ISOAは、2つの半導体光増幅器9A,9Bによって、それらの半導体光増幅器9A,9Bを駆動する駆動電流として共通に使用される。すなわち、半導体光増幅器9Aは、給電回路13から出力された駆動電流ISOAを受けて入力された光信号の増幅を行い、光信号の増幅に使用した駆動電流ISOAを出力する。また、半導体光増幅器9Bは、半導体光増幅器9Aから出力された駆動電流ISOAを受けて光信号の増幅を行い、光信号の増幅に使用した駆動電流ISOAを出力する。ここで、半導体光増幅器9A,9Bに入力される光信号は、上述したように多重化光信号となっている。半導体光増幅器9A,9Bの利得(光信号の増幅率)は、駆動電流ISOAの大きさによって変化する。従って、例えば、半導体光増幅器9A,9Bのぞれぞれに入力される多重化光信号の強度と、それぞれから出力される多重化光信号の強度と、光合波器11の挿入損失と、光トランシーバ1が出力すべき多重化光信号の強度等に応じて、半導体光増幅器9A,9Bの利得が設定され、それらの利得が得られるように駆動電流ISOAの大きさが設定される。
図3には、給電回路13の回路構成の一例を示している。給電回路13は、抵抗素子33a,33b,33cと、演算増幅器(Op Amp: Operational Amplifier)35と、スイッチング素子であるpチャネルMOSFET(Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect-Transistor)37とを含んで構成される。抵抗素子33aの一端が入力端子29に電気的に接続され、抵抗素子33aの他端が抵抗素子33bの一端に電気的に接続され、抵抗素子33bの他端は接地されている。抵抗素子33cの一端は入力端子29に電気的に接続され、抵抗素子33cの他端はpチャネルMOSFET37のソース端子に電気的に接続されている。pチャネルMOSFET37のドレイン端子は出力端子31に電気的に接続され、pチャネルMOSFET37のゲート端子は演算増幅器35の出力に電気的に接続されている。そして、演算増幅器35の反転入力は抵抗素子33cの他端及びpチャネルMOSFET37のソース端子に電気的に接続され、演算増幅器35の非反転入力は抵抗素子33aの他端及び抵抗素子33bの一端に電気的に接続されている。
このような構成の給電回路13においては、分圧回路を構成する抵抗素子33a,33bの抵抗値とによって設定される分圧比と電圧V1の値とで決まる電圧が演算増幅器35の非反転入力に印加され、演算増幅器35により反転入力に印加される電圧が非反転入力の電圧に等しくなるようにpチャネルMOSFET37のゲート電圧が帰還制御される。例えば、電圧V1=3.3V、抵抗素子33a,33b,33cのそれぞれの抵抗値が10kΩ、320kΩ、1Ωに設定されている場合には、演算増幅器35の非反転入力に印加される電圧は3.2Vとなるため、演算増幅器35の反転入力の電圧が3.2Vとなるように帰還制御される結果、入力端子29から抵抗素子33cを経由してpチャネルMOSFET37のソース端子とドレイン端子との間に流れる電流値が100mAとなるように、pチャネルMOSFET37のゲート電圧が設定される。ここで、pチャネルMOSFET37は、電流源として働く。その結果、給電回路13の出力端子31から、電圧値V1及び抵抗素子33a〜33cの抵抗値で決まる所定値(例えば、100mA)の駆動電流が出力される。
[光トランシーバの作用効果]
上述した構成の光トランシーバ1によれば、TOSA3Aから出力された多重化光信号が半導体光増幅器9Aによって増幅され、TOSA3Bから出力された多重化光信号が半導体光増幅器9Bによって増幅され、半導体光増幅器9Aによって増幅された多重化光信号と半導体光増幅器9Bによって増幅された多重化光信号とが、光合波器11によって合波されて出力される。ここで、給電回路13には、その入力端子29に電圧V1が印加され、その出力端子31に半導体光増幅器9Aと半導体光増幅器9Bとがこの順で直列に接続され、半導体光増幅器9Bの電流出力端子23Bに電圧V1より低い電圧V2が印加されている。これにより、半導体光増幅器9Aは給電回路13から駆動電流を受け、半導体光増幅器9Bは半導体光増幅器9Aからその駆動電流を受けて電源線L2に出力することとなる。このような接続構成によって、半導体光増幅器9A及び半導体光増幅器9Bに駆動電流を供給するための電流源回路を一本化することができる。その結果、光トランシーバ全体の消費電力を低減することができる。
ここで、本実施形態の光トランシーバ1の作用効果を、比較例と比較しつつ具体的に説明する。
図10は、第1の比較例にかかる光トランシーバ901Aの概略構成を示している。光トランシーバ901Aには、1つのTOSA903が内蔵されている。TOSA903は、8つのLD905a〜905hと光合波器907とを含んでいる。LD905a〜905hは、それぞれ異なる波長を有する光信号を生成して出力する。光合波器907は、8つの入力端子と1つの出力端子を有し、8つの入力端子のそれぞれがLD905a〜905hの出力に光学的に接続され、出力端子が光トランシーバ901Aの出力に光学的に接続されている。このような接続構成の光トランシーバ901Aは、LD905a〜905hから出力された複数の波長(ピーク波長)の光信号を多重化(合波)して多重化光信号を生成し、生成した多重化光信号を出力端子から出力する。
上記構成の光トランシーバ901Aは、より多くの光信号を1つの光合波器で合波する必要があるために、例えば光合波器内の波長フィルタ(誘電体膜多層フィルタ)あるいはミラー等によって構成される光学系の構造が複雑となり、光トランシーバ1に比較して製造コストが高くなる傾向にある。また、光合波器907によって光強度の減衰が生じるため、出力される多重化光信号に含まれる各波長の光信号はLD905a〜905hから出力される光信号よりも強度が弱くなる。
図11は、第2の比較例にかかる光トランシーバ901Bの概略構成を示している。この光トランシーバ901Bの構成は、本実施形態の光トランシーバ1と比較して、半導体光増幅器9A,9Bを個別に駆動する2つの給電回路13A,13Bを備える点で異なっている。これらの給電回路13A,13Bは、給電回路13と同一の回路構成であってもよい。給電回路13Aの出力端子が半導体光増幅器9Aの電流入力端子21Aに電気的に接続され、半導体光増幅器9Aの電流出力端子23Aに電圧V2(例えば、グラウンド電圧)が印加されるように構成される。同様に、給電回路13Bの出力端子が半導体光増幅器9Bの電流入力端子21Bに電気的に接続され、半導体光増幅器9Bの電流出力端子23Bに電圧V2(例えば、グラウンド電圧)が印加されるように構成される。
図12には、光トランシーバ901B内における半導体光増幅器9Aと給電回路13Aとの接続構成を示している。給電回路13Aは、入力端子29A及び出力端子31Aを有し、入力端子29Aには電圧V1に設定される電源線L1が電気的に接続され、出力端子31Aには半導体光増幅器9Aの電流入力端子21Aが電気的に接続されている。半導体光増幅器9Aの電流出力端子23Aは、電圧V1より低い電圧V2(例えば、グラウンド電圧)に設定される電源線L2が電気的に接続されている。半導体光増幅器9Bと給電回路13Bとの接続構成も同様である。このような接続構成により、給電回路13A,13Bのそれぞれによって生成された駆動電流ISOAは、2つの半導体光増幅器9A,9Bに駆動電流として個別に供給される。
上記構成の光トランシーバ901Bは、1個の光合波器における多重化する光信号の数が少なくなるため光トランシーバ901Aに比較して製造コストが低くなる一方で、2段階で光合波器による光信号の多重化を行う方式を採用しているため最終的な出力における各波長の光信号の減衰が大きくなり、光信号を増幅する半導体光増幅器9A,9Bを備える必要がある。ここで、図4には、半導体光増幅器9A,9Bを駆動する際の印加電圧Vfと駆動電流ISOAとの関係の一例を示す。このような印加電圧Vf−駆動電流ISOA特性を有する半導体光増幅器9A,9Bを駆動電流ISOA=100mAで駆動する場合は印加電圧Vf=1.45Vが必要となる。そのため、それぞれの半導体光増幅器9A,9Bの消費電力は100mA×1.45V=0.145Wであるが、給電回路13Aと半導体光増幅器9Aとを含む回路全体の消費電力は、電圧V1=3.3V、電圧V2=0V(グラウンド電圧)の場合に、100mA×3.3V=0.33Wとなり、全体としての2つの半導体光増幅器9A,9Bの駆動のための消費電力は0.33W×2=0.66Wとなる。これに対して、本実施形態の光トランシーバ1では、給電回路13が2つの半導体光増幅器9A,9Bの駆動用として共用されているため、全体としての2つの半導体光増幅器9A,9Bの駆動のための回路の消費電力は0.33Wとなり半減される。これに関連して、第2の比較例における半導体光増幅器9A,9Bを駆動する回路の電力効率は、0.29W/0.66W=44%であるのに対し、本実施形態における半導体光増幅器9A,9Bを駆動する回路の電力効率は、0.29W/0.33W=88%となり倍増する。
[変形例の構成及び動作]
以上、好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
例えば、上述した実施形態における給電回路13の回路構成は、様々な変形例を採用することができる。給電回路の回路構成は、図5に示す給電回路113のような構成であってもよい。給電回路113は、給電回路13に比較して、抵抗素子33d,33e及びスイッチング素子としてのnチャネルMOSFET39をさらに備える点で相違する。抵抗素子33dは、pチャネルMOSFET37のソース端子と演算増幅器35の反転入力との間に電気的に接続され、抵抗素子33eは、演算増幅器35の反転入力とnチャネルMOSFET39のドレイン端子との間に電気的に接続されている。nチャネルMOSFET39のソース端子は接地され、nチャネルMOSFET39のゲート端子は外部からの制御信号(TxDisable信号)の入力用の入力端子41に電気的に接続されている。
このような変形例によれば、入力端子41にハイの電圧レベルのTxDisable信号が入力されると、nチャネルMOSFET39がオン(ドレイン端子とソース端子とが導通状態)となり、これに応じて演算増幅器35の反転入力は、抵抗素子33d,33eの抵抗比によって決まる電圧に設定される。例えば、V1=3.3V、抵抗素子33d,33eの抵抗値が10kΩ、200kΩの場合には、演算増幅器35の反転入力は、抵抗素子33c(抵抗値1Ω)の影響を無視すると3.3V×{200kΩ/(10kΩ+200kΩ)}≒3.14Vとなり、入力端子41がローの電圧レベルに設定された場合に比較して、非反転入力に設定されている電圧(3.2V)よりも電圧が低下する。その結果、演算増幅器35の出力はハイの電圧レベル(例えば、演算増幅器35の高位側の電源電圧3.3Vにほぼ等しい)となり、pチャネルMOSFET37がオフ(ドレイン端子とソース端子とが非導通状態)となって駆動電流はシャットダウン(遮断)される。このように、本変形例によれば、外部からのTxDisable信号の入力に応じて半導体光増幅器9A,9Bの増幅動作をシャットダウン(停止)することができる。
その他、光トランシーバ1内における半導体光増幅器9A,9B用の給電回路の構成は様々な変形形態を採用することができる。
図6には、光トランシーバ1内における半導体光増幅器9A,9B用の給電回路の構成の第1の変形例を示す。この第1の変形例は、光トランシーバ1においてTOSA3A内のLD5a〜5dの生成する光信号の複数の波長(ピーク波長)の最小値が、TOSA3B内のLD5e〜5hの生成する光信号の複数の波長(ピーク波長)の最大値よりも大きく設定されている場合に適用される。すなわち、第1の変形例では、給電回路43をさらに備えている。この給電回路43は、入力端子45及び出力端子47を有し、入力端子45には半導体光増幅器9Aの電流出力端子23Aと半導体光増幅器9Bの電流入力端子21Bとが電気的に接続され、出力端子47には抵抗素子49を介して電圧V1より低い電圧V3(例えば、グラウンド電圧)に設定される電源線L3が電気的に接続されている。この給電回路43は、電源線L3に分流する分流電流IBRを生成し、半導体光増幅器9Aから出力された駆動電流ISOAから分流電流IBRを分流させる。図7には、給電回路43の回路構成の一例を示している。この給電回路43は、スイッチング素子であるnチャネルMOSFET51を含んで構成され、nチャネルMOSFET51のゲート端子に制御端子53が電気的に接続され、制御端子53には電圧(第3の電圧)V4に設定される電源線(第3の電源線)L4が電気的に接続される。また、nチャネルMOSFET51のドレイン端子が入力端子45に電気的に接続され、nチャネルMOSFET51のソース端子が出力端子47に電気的に接続される。このような構成の給電回路43は、入力端子45から電圧V4に応じた分流電流IBRを引き込みその分流電流IBRを出力端子47から電源線L3に向けて出力する。
上記構成の第1の変形例においては、給電回路13,43の働きにより、半導体光増幅器9Aには駆動電流ISOA1が供給され、半導体光増幅器9Bには、半導体光増幅器9Aから出力された駆動電流ISOA1から分流電流IBRが差し引かれた駆動電流ISOA2=ISOA1−IBRが供給される。一般に、半導体光増幅器において所定利得以上の利得特性を得るためには、増幅対象の光信号の波長が大きくなるほど大きな駆動電流を供給する必要がある。一例を挙げると、15dB以上の利得を得るためには、1310.1nmの波長の光信号に対しては駆動電流が約80mA必要であるのに対して、1294.6nmの波長の光信号に対しては駆動電流が約70mAで済むことになる。このことから、より長い波長の光信号を含む多重化光信号を増幅する半導体光増幅器9Aに対しては、より短い波長の光信号を含む多重化光信号を増幅する半導体光増幅器9Bに比較して、より大きな駆動電流を供給することが望ましい。本変形例によれば、半導体光増幅器9Aに供給する駆動電流ISOA1と半導体光増幅器9Bに供給する駆動電流ISOA2とを、駆動電流ISOA1のほうを大きくしながらそれらの差分を調整することができる。その結果、半導体光増幅器9Aの増幅率と半導体光増幅器9Bの増幅率とを独立に制御することができる。その結果、半導体光増幅器9Aの増幅率と半導体光増幅器9Bの増幅率との間で容易にバランスを取ることが可能となる。
図8は、第1の変形例において、nチャネルMOSFET51のゲート電圧の変化に対する駆動電流ISOA1,ISOA2の変化を示すグラフである。ここでは、給電回路13によってISOA1=100mAに設定され、抵抗素子49の抵抗値が10Ωに設定された場合の駆動電流の変化を示している。このように、給電回路43におけるゲート電圧を約1V〜約1.8Vの間で設定することにより、駆動電流ISOA2の値を100mA〜約26mAの範囲で駆動電流ISOA1と独立に調整することができる。
図9には、光トランシーバ1内における半導体光増幅器9A,9B用の給電回路の構成の第2の変形例を示す。この第2の変形例は、光トランシーバ1においてTOSA3A内のLD5a〜5dの生成する光信号の複数の波長(ピーク波長)の最大値が、TOSA3B内のLD5e〜5hの生成する光信号の複数の波長(ピーク波長)の最小値よりも小さく設定されている場合に適用される。すなわち、第2の変形例では、給電回路55をさらに備えている。この給電回路55は、給電回路13と同様な構成を有している。すなわち、給電回路55は、入力端子57及び出力端子59を有し、入力端子57には電圧(第4の電圧)V5に設定される電源線(第4の電源線)L5が電気的に接続され、出力端子59には半導体光増幅器9Aの電流出力端子23Aと半導体光増幅器9Bの電流入力端子21Bとが電気的に接続されている。この給電回路55は、半導体光増幅器9Bを駆動する駆動電流ISOA2に付加する付加駆動電流IADを生成する。この給電回路55は、電圧V5に応じた付加駆動電流IADを生成し、その付加駆動電流IADを出力端子59から半導体光増幅器9Bの電流入力端子21Bに向けて出力する。これにより、半導体光増幅器9Bは、駆動電流ISOA2と付加駆動電流IADの両方の供給を受ける。
上記構成の第2の変形例においては、給電回路13,55の働きにより、半導体光増幅器9Aには駆動電流ISOA1が供給され、半導体光増幅器9Bには、駆動電流ISOA1に付加駆動電流IADが付加された駆動電流ISOA2=ISOA1+IADが供給される。一般に、半導体光増幅器において所定利得以上の利得の特性を得るためには、増幅対象の光信号の波長が大きくなるほど大きな駆動電流を供給する必要がある。このことから、より短い波長の光信号を含む多重化光信号を増幅する半導体光増幅器9Aに対しては、より長い波長の光信号を含む多重化光信号を増幅する半導体光増幅器9Bに比較して、より小さな駆動電流を供給することが望ましい。本変形例によれば、半導体光増幅器9Aに供給する駆動電流ISOA1と半導体光増幅器9Bに供給する駆動電流ISOA2とを、駆動電流ISOA1のほうを小さくしながらそれらの差分を調整することができる。その結果、半導体光増幅器9Aの増幅率と半導体光増幅器9Bの増幅率とを独立に制御することができる。その結果、半導体光増幅器9Aの増幅率と半導体光増幅器9Bの増幅率との間で容易にバランスを取ることが可能となる。