JP6987497B2 - 液体吐出モジュールおよび液体吐出ヘッド - Google Patents

液体吐出モジュールおよび液体吐出ヘッド Download PDF

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Description

本発明は、インク等の液体を吐出する液体吐出モジュールおよび液体吐出ヘッドに関する。
近年のインクジェット記録装置では、より高速かつ高画質な記録を可能とするために、液体吐出ヘッドに高密度に液体吐出素子を設けることが行われている。このような液体吐出ヘッドでは、従来よりも流路が高密度に配置されるため流路が微細となる。
流路が微細になると、液体が流れる際の流抵抗が増大し圧力損失が大きくなるため、吐出口における負圧が大きくなり、記録に影響が出ることがある。例えば負圧が大きくなることで、吐出口におけるメニスカスが吐出口内に引き込まれる形になるため、負圧が小さい時と比べ吐出される液体量が少なくなる。吐出される液体量が少ないと記録濃度が薄くなり、所望の結果が得られなくなる。
そこで特許文献1では、できるだけ記録素子直前までは大きな流路で液体を供給し、記録素子近傍で微細な流路とすることで、流抵抗による圧力損失を最小限に抑え、高速な記録が可能な記録ヘッドアセンブリが開示されている。
米国特許第7845763号明細書
大きな流路から微細な流路へ接続されている場合、その接続位置に比較的近い吐出口は、負圧が小さくなるが、接続部から離れるに従い負圧は高くなる。特許文献1に記載のような構造では、異なる吐出口列に対する供給口が、記録媒体の搬送方向の同一位置に設けられている。よって吐出口列毎に負圧の低い吐出口と、負圧の高い吐出口とが搬送方向において同一位置になるため、吐出口列の同一位置で記録濃度の濃淡(記録ムラ)が現れて濃淡が強調され視認され易くなってしまう。
よって本発明は、記録ムラの発生を抑制することができる液体吐出モジュールおよび液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
そのため本発明の液体吐出モジュールは、相対移動する記録媒体に対して吐出口から液体を吐出するページワイド型の液体吐出ヘッドに用いられる液体吐出モジュールにおいて、液体を吐出する吐出口が、前記相対移動の方向に対して交差する方向に配列される第1および第2の吐出口列と、前記第1および第2の吐出口列の夫々に液体を供給する、前記交差する方向に延在する第1および第2の液体供給路と、前記第1および第2の吐出口列の夫々から液体を回収する、前記交差する方向に延在する第1および第2の液体回収路と、を備える記録素子基板と、前記第1および第2の液体供給路の夫々に液体を供給するための、前記第1および第2の液体供給路の夫々に連通する第1および第2の供給開口と、前記第1および第2の液体回収路の夫々から液体を回収するための、前記第1および第2の液体回収路の夫々に連通する第1および第2の回収開口と、を備え、前記第1の供給開口の重心と前記第2の供給開口の重心、第1の供給開口の重心と第1の回収開口の重心、第2の供給開口の重心と第2の回収開口の重心は、夫々、前記相対移動の方向に延在する直線上からずれ、かつ前記第1の供給開口の重心と前記第2の供給開口の重心、および前記第1の回収開口の重心と前記第2の回収開口の重心は、夫々、前記相対移動の方向と直交する方向に延在する直線上からずれていることを特徴とする。
本発明によれば、記録ムラの発生を抑制することができる液体吐出モジュール、記録素子基板および液体吐出ヘッドを実現することができる。
液体を吐出する液体吐出装置の概略構成を示した図である。 記録装置に適用される循環経路の第1の循環形態を示す模式図である。 記録装置に適用される循環経路の第2の循環形態を示す模式図である。 液体吐出ヘッドへのインクの流入量の違いを示した概略図である。 液体吐出ヘッドを示した斜視図である。 液体吐出ヘッドを構成する各部品またはユニットを示した分解斜視図である。 第1〜第3流路部材の各流路部材の表面と裏面を示した図である。 図7(a)のα部の吐出モジュールが搭載される面から示した透視図である。 図8のIX−IXにおける断面を示した図である。 1つの吐出モジュールを示した斜視図と分解図である。 記録素子基板を示した図である。 記録素子基板及び蓋部材の断面を示す斜視図である。 記録素子基板の隣接部を部分的に拡大して示した平面図である。 液体吐出ヘッドを示した斜視図である。 液体吐出ヘッドを示した斜視分解図である。 第1流路部材を示した図である。 記録素子基板と流路部材との液体の接続関係を示した透視図である。 図17のXVIII−XVIIIにおける断面を示した図である。 1つの吐出モジュールを示した斜視図と分解図である。 記録素子基板を示す模式図である。 液体を吐出して記録を行うインクジェット記録装置を示した図である。 記録装置の液体吐出モジュールを示した図である。 記録素子基板の構造を示した図である。 蓋部材の開口の位置と対応する記録濃度の関係を示した図である。 記録装置の液体吐出モジュールと液体吐出ヘッドを示した図である。 記録素子基板の構造を示した図である。 蓋部材の開口の位置と対応する記録濃度の関係を示した図である。 第1の適用例の記録装置を示す図である。 第3の循環形態を示す図である。 第1の適用例の液体吐出ヘッドの変形例を示す図である。 第1の適用例の液体吐出ヘッドの変形例を示す図である。 第1の適用例の液体吐出ヘッドの変形例を示す図である。 第3の適用例の記録装置を示す図である。 第4の循環形態を示す図である。 第3の適用例の液体吐出ヘッドを示す図である。 第3の適用例の液体吐出ヘッドを示す図である。
以下、図面を参照して本発明を適用可能な第1および第2の適用例について説明する。
(第1の適用例)
(インクジェット記録装置の説明)
図1は、本発明の液体を吐出する液体吐出装置、特にはインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置(以下、記録装置とも称す)1000の概略構成を示した図である。記録装置1000は、記録媒体2を搬送する搬送部1と、記録媒体2の搬送方向と略直交して配置されるライン型(ページワイド型)の液体吐出ヘッド3とを備える。そして、記録装置1000は、複数の記録媒体2を連続もしくは間欠に搬送しながら、相対移動する記録媒体にインクを吐出して、1パスで連続記録を行うライン型記録装置である。液体吐出ヘッド3は循環経路内の圧力(負圧)を制御する負圧制御ユニット230と、負圧制御ユニット230と流体連通した液体供給ユニット220と、液体供給ユニット220へのインクの供給および排出口となる液体接続部111と、筺体80とを備えている。記録媒体2は、カット紙に限らず、連続したロール媒体であってもよい。液体吐出ヘッド3は、シアンC、マゼンタM、イエロY、ブラックKのインクによるフルカラー記録が可能であり、液体を液体吐出ヘッド3へ供給する供給路である液体供給手段、メインタンクおよびバッファタンク(後述する図2参照)が流体的に接続される。また、液体吐出ヘッド3には、液体吐出ヘッド3へ電力および吐出制御信号を伝送する電気制御部が電気的に接続される。液体吐出ヘッド3内における液体経路および電気信号経路については後述する。
記録装置1000は、インク等の液体を後述するタンクと液体吐出ヘッド3との間で循環させる形態のインクジェット記録装置である。その循環の形態は、液体吐出ヘッド3の下流側で2つの循環ポンプ(高圧用、低圧用)を可動することで循環させる第1の循環形態と、液体吐出ヘッド3の上流側で2つの循環ポンプ(高圧用、低圧用)を可動することで循環させる第2の循環形態とがある。以下、この循環の第1の循環形態と第2の循環形態とについて説明する。
(第1の循環形態の説明)
図2は、本適用例の記録装置1000に適用される循環経路の第1の循環形態を示す模式図である。液体吐出ヘッド3は、第1循環ポンプ(高圧側)1001、第1循環ポンプ(低圧側)1002およびバッファタンク1003等に流体的に接続されている。なお図2では、説明を簡略化するため、シアンC、マゼンタM、イエロY、ブラックKのインクの内の1色のインクが流動する経路のみを示しているが、実際には4色分の循環経路が、液体吐出ヘッド3および記録装置本体に設けられる。
第1の循環形態では、メインタンク1006内のインクは、補充ポンプ1005によってバッファタンク1003に供給され、その後、第2循環ポンプ1004によって液体接続部111を介して液体吐出ヘッド3の液体供給ユニット220に供給される。その後、液体供給ユニット220に接続された負圧制御ユニット230で異なる2つの負圧(高圧、低圧)に調整されたインクは、高圧側と低圧側の2つの流路に分かれて循環する。液体吐出ヘッド3内のインクは液体吐出ヘッド3の下流にある第1循環ポンプ(高圧側)1001及び第1循環ポンプ(低圧側)1002の作用で液体吐出ヘッド内を循環し、液体接続部111を介して液体吐出ヘッド3から排出されバッファタンク1003に戻る。
サブタンクであるバッファタンク1003は、メインタンク1006と接続され、タンク内部と外部とを連通する不図示の大気連通口を有し、インク中の気泡を外部に排出することが可能である。バッファタンク1003とメインタンク1006との間には、補充ポンプ1005が設けられている。補充ポンプ1005は、インクを吐出しての記録や吸引回復等、液体吐出ヘッド3の吐出口からインクを吐出(排出)することによって消費されたインクをメインタンク1006からバッファタンク1005へ移送する。
2つの第1循環ポンプ1001、1002は、液体吐出ヘッド3の液体接続部111から液体を引き出してバッファタンク1003へ流す。第1循環ポンプとしては、定量的な送液能力を有する容積型ポンプが好ましい。具体的にはチューブポンプ、ギアポンプ、ダイヤフラムポンプ、シリンジポンプ等が挙げられるが、例えば一般的な定流量弁やリリーフ弁をポンプ出口に配して一定流量を確保する形態であってもよい。液体吐出ヘッド3の駆動時には、第1循環ポンプ(高圧側)1001および第1循環ポンプ(低圧側)1002を稼働することによって、それぞれ共通供給流路211、共通回収流路212内を所定流量のインクが流れる。このようにインクを流すことで、記録時の液体吐出ヘッド3の温度を最適の温度に維持している。液体吐出ヘッド3駆動時の所定流量は、液体吐出ヘッド3内の各記録素子基板10間の温度差が記録画質に影響しない程度に維持可能である流量以上に設定することが好ましい。もっとも、あまりに大きな流量に設定すると、液体吐出ユニット300内の流路の圧損の影響により、各記録素子基板10で負圧差が大きくなり画像の濃度ムラが生じてしまう。そのため、各記録素子基板10間の温度差と負圧差を考慮しながら流量を設定することが好ましい。
負圧制御ユニット230は、第2循環ポンプ1004と液体吐出ユニット300との間の経路に設けられている。この負圧制御ユニット230は、単位面積あたりの吐出量の差等によって循環系におけるインクの流量が変動した場合でも、負圧制御ユニット230よりも下流側(即ち液体吐出ユニット300側)の圧力を予め設定した一定圧力に維持するように動作する。負圧制御ユニット230を構成する2つの負圧制御機構としては、負圧制御ユニット230よりも下流の圧力を、所望の設定圧を中心として一定の範囲以下の変動で制御できるものであれば、どのような機構を用いてもよい。一例としては所謂「減圧レギュレータ」と同様の機構を採用することができる。本適用例における循環流路では、第2循環ポンプ1004によって、液体供給ユニット220を介して負圧制御ユニット230の上流側を加圧している。このようにすると、バッファタンク1003の液体吐出ヘッド3に対する水頭圧の影響を抑制できるので、記録装置1000におけるバッファタンク1003のレイアウトの自由度を広げることができる。
第2循環ポンプ1004としては、液体吐出ヘッド3の駆動時に使用するインク循環流量の範囲において、一定圧以上の揚程圧を有するものであればよく、ターボ型ポンプや容積型ポンプなどを使用できる。具体的には、ダイヤフラムポンプ等が適用可能である。また第2循環ポンプ1004の代わりに、例えば負圧制御ユニット230に対してある一定の水頭差をもって配置された水頭タンクでも適用可能である。図2に示したように負圧制御ユニット230は、それぞれが互いに異なる制御圧が設定された2つの負圧調整機構を備えている。2つの負圧調整機構の内、相対的に高圧設定側(図2でHと記載)、相対的に低圧設定側(図2でLと記載)は、それぞれ、液体供給ユニット220内を経由して、液体吐出ユニット300内の共通供給流路211、共通回収流路212に接続されている。液体吐出ユニット300には、共通供給流路211、共通回収流路212、各記録素子基板と連通する個別流路215(個別供給流路213、個別回収流路214)が設けられている。共通供給流路211には、負圧制御機構Hが、共通回収流路212には負圧制御機構Lが接続されており、2つの共通流路間に差圧が生じている。そして、個別流路215は、共通供給流路211および共通回収流路212と連通しているので、液体の一部が、共通供給流路211から記録素子基板10の内部流路を通過して共通回収流路212へと流れる流れ(図2の矢印)が発生する。
このようにして、液体吐出ユニット300では、共通供給流路211および共通回収流路212内をそれぞれ通過するように液体を流しつつ、一部の液体が各記録素子基板10内を通過するような流れが発生する。このため、各記録素子基板10で発生する熱を共通供給流路211および共通回収流路212を流れるインクによって記録素子基板10の外部へ排出することができる。またこのような構成により、液体吐出ヘッド3による記録を行っている際に、吐出を行っていない吐出口や圧力室においてもインクの流れを生じさせることができる。これによって、吐出口内で増粘したインクの粘度を低下させることで、インクの増粘を抑制することができる。また、増粘したインクやインク中の異物を共通回収流路212へと排出することができる。このため、本適用例の液体吐出ヘッド3は、高速で高画質な記録が可能となる。
(第2の循環形態の説明)
図3は、本適用例の記録装置に適用される循環経路のうち、上述した第1の循環形態とは異なる循環形態である第2の循環形態を示す模式図である。前述の第1の循環形態との主な相違点は、負圧制御ユニット230を構成する2つの負圧制御機構が共に、負圧制御ユニット230よりも上流側の圧力を、所望の設定圧を中心として一定範囲内の変動で制御する点である。また、第1の循環形態との相違点として、第2循環ポンプ1004が負圧制御ユニット230の下流側を減圧する負圧源として作用する点がある。更に、第1循環ポンプ(高圧側)1001および第1循環ポンプ(低圧側)1002が液体吐出ヘッド3の上流側に配置され、負圧制御ユニット230が液体吐出ヘッド3の下流側に配置されている点も相違する点である。
第2の循環形態では、メインタンク1006内のインクは、補充ポンプ1005によってバッファタンク1003に供給される。その後インクは2つの流路に分けられ、液体吐出ヘッド3に設けられた負圧制御ユニット230の作用で高圧側と低圧側の2つの流路で循環する。高圧側と低圧側の2つの流路に分けられたインクは、第1循環ポンプ(高圧側)1001及び第1循環ポンプ(低圧側)1002の作用で液体接続部111を介して液体吐出ヘッド3に供給される。その後、第1循環ポンプ(高圧側)1001及び第1循環ポンプ(低圧側)1002の作用で液体吐出ヘッド内を循環したインクは、負圧制御ユニット230を経て、液体接続部111を介して液体吐出ヘッド3から排出される。排出されたインクは、第2循環ポンプ1004によってバッファタンク1003に戻される。
第2の循環形態で負圧制御ユニット230は、単位面積あたりの吐出量の変化等によって生じる流量の変動があっても、負圧制御ユニット230の上流側(即ち液体吐出ユニット300側)の圧力変動を予め設定された圧力を中心として一定範囲内に安定させる。本適用例の循環流路では、第2循環ポンプ1004によって、液体供給ユニット220を介して負圧制御ユニット230の下流側を加圧している。このようにすると液体吐出ヘッド3に対するバッファタンク1003の水頭圧の影響を抑制できるので、記録装置1000におけるバッファタンク1003のレイアウトの選択幅を広げることができる。第2循環ポンプ1004の代わりに、例えば負圧制御ユニット230に対して所定の水頭差をもって配置された水頭タンクであっても適用可能である。第2の循環形態は第1の循環形態と同様に、負圧制御ユニット230は、それぞれが互いに異なる制御圧が設定された2つの負圧制御機構を備えている。2つの負圧調整機構の内、高圧設定側(図3でHと記載)、低圧設定側(図3でLと記載)はそれぞれ、液体供給ユニット220内を経由して、液体吐出ユニット300内の共通供給流路211または共通回収流路212に接続されている。2つの負圧調整機構により、共通供給流路211の圧力を共通回収流路212の圧力より相対的に高くすることで、共通供給流路211から個別流路215および各記録素子基板10の内部流路を介して共通回収流路212へと流れる液体の流れが発生する。
このような第2の循環形態では、液体吐出ユニット300内には第1の循環形態と同様の液体の流れ状態が得られるが、第1の循環形態の場合とは異なる2つの利点がある。1つ目の利点は、第2の循環形態では負圧制御ユニット230が液体吐出ヘッド3の下流側に配置されているので、負圧制御ユニット230から発生するゴミや異物が液体吐出ヘッド3へ流入する懸念が少ないことである。2つ目の利点は、第2の循環形態では、バッファタンク1003から液体吐出ヘッド3へ供給する必要流量の最大値が、第1の循環形態の場合よりも少なくて済むことである。その理由は次の通りである。
記録待機時に循環している場合の、共通供給流路211および共通回収流路212内の流量の合計を流量Aとする。流量Aの値は、記録待機中に液体吐出ヘッド3の温度調整にあたり、液体吐出ユニット300内の温度差を所望の範囲内にするために必要な最小限の流量として定義される。また液体吐出ユニット300の全ての吐出口からインクを吐出する場合(全吐出時)の吐出流量を流量F(1吐出口当りの吐出量×単位時間当たりの吐出周波数×吐出口数)と定義する。
図4は、第1の循環形態と第2の循環形態とにおける、液体吐出ヘッド3へのインクの流入量の違いを示した概略図である。図4(a)は、第1の循環形態における待機時を示しており、図4(b)は、第1の循環形態における全吐出時を示している。図4(c)から図4(f)は、第2循環流路を示しており、図4(c)、(d)が流量F<流量Aの場合で、図4(e)、(f)が流量F>流量Aの場合であり、それぞれ、待機時と全吐出時の流量を示している。
定量的な送液能力を有する第1循環ポンプ1001及び第1循環ポンプ1002が液体吐出ヘッド3の下流側に配置されている第1の循環形態の場合(図4(a)、(b))、第1循環ポンプ1001及び第1循環ポンプ1002の合計設定流量は流量Aとなる。この流量Aによって、待機時の液体吐出ユニット300内の温度管理が可能となる。そして、液体吐出ヘッド3で全吐出が行われる場合、第1循環ポンプ1001及び第1循環ポンプ1002の合計設定流量は流量Aのままである。しかし、液体吐出ヘッド3へ供給される最大流量は、液体吐出ヘッド3で吐出によって生じる負圧が作用して、合計設定流量の流量Aに全吐出による消費分の流量Fが加算される。よって、液体吐出ヘッド3への供給量の最大値は、流量Fが流量Aに加算されるため流量A+流量Fとなる(図4(b))。
一方で、第1循環ポンプ1001および第1循環ポンプ1002が液体吐出ヘッド3の上流側に配置されている第2の循環形態の場合(図4(c)から図4(f))は、記録待機時に必要な液体吐出ヘッド3への供給量は、第1の循環形態と同様に流量Aである。従って、第1循環ポンプ1001および第1循環ポンプ1002が液体吐出ヘッド3の上流側に配置されている第2の循環形態では、流量Fよりも流量Aが多い場合(図4(c)、(d))には、全吐出時でも液体吐出ヘッド3への供給量は流量Aで十分である。その際、液体吐出ヘッド3からの排出流量は、流量A−流量Fとなる(図4(d))。しかし、流量Aよりも流量Fが多い場合(図4(e)、(f))には、全吐出時には液体吐出ヘッド3への供給流量を流量Aとすると流量が足りなくなってしまう。そのため、流量Aよりも流量Fが多い場合には、液体吐出ヘッド3への供給量を流量Fとする必要がある。その際、全吐出が行われると、液体吐出ヘッド3では流量Fが消費されるため、液体吐出ヘッド3からの排出流量は、ほとんど排出されない状態となる(図4(f))。なお、流量Aよりも流量Fが多い場合で、吐出は行うが全吐出ではない場合には、流量Fから吐出で消費された分が引かれた量が液体吐出ヘッド3から排出される。また、流量Aと流量Fとが等しい場合には、液体吐出ヘッド3へは流量A(または流量F)が供給されて、液体吐出ヘッド3では流量Fが消費されるため、液体吐出ヘッド3からの排出流量は、ほとんど排出されない状態となる。
このように、第2の循環形態の場合、第1循環ポンプ1001および第1循環ポンプ1002の設定流量の合計値、即ち必要供給流量の最大値は、流量Aまたは流量Fの大きい方の値となる。このため、同一構成の液体吐出ユニット300を使用する限り、第2の循環形態における必要供給量の最大値(流量Aまたは流量F)は、第1の循環形態における必要供給流量の最大値(流量A+流量F)よりも小さくなる。
そのため第2の循環形態の場合、適用可能な循環ポンプの自由度が高まり、例えば構成の簡便な低コストの循環ポンプを使用したり、本体側経路に設置される冷却器(不図示)の負荷を低減したりすることができ、記録装置のコストを低減できるという利点がある。この利点は、流量Aまたは流量Fの値が比較的大きくなるラインヘッドであるほど大きくなり、ラインヘッドの中でも長手方向の長さが長いラインヘッドほど有益である。
しかしながら一方で、第1の循環形態の方が、第2の循環形態に対して有利になる点もある。すなわち第2の循環形態では、記録待機時に液体吐出ユニット300内を流れる流量が最大であるため、単位面積当たりの吐出量が少ない画像(以下、低Duty画像ともいう)であるほど、各吐出口に高い負圧が印加された状態となる。このため、流路幅が狭く高い負圧である場合、ムラの見えやすい低Duty画像で吐出口に高い負圧が印加されるため、インクの主滴に伴って吐出される所謂サテライト滴が多く発生して記録品位が低下する虞がある。
一方、第1の循環形態の場合、高い負圧が吐出口に印加されるのは単位面積当たりの吐出量が多い画像(以下、高Duty画像ともいう)形成時であるため、仮にサテライト滴が発生しても視認されにくく、画像への影響は小さいという利点がある。これら2つの循環形態の選択は、液体吐出ヘッドおよび記録装置本体の仕様(吐出流量F、最小循環流量A、およびヘッド内流路抵抗)に照らして好ましい選択を採ることができる。
(第3の循環形態の説明)
図29は、本実施形態の記録装置に適用される循環経路の1形態である第3の循環形態を示す模式図である。上記第1および第2の循環経路と同様な機能、構成については説明を省略し、異なる点について主体的に説明する。
本循環経路では、液体吐出ヘッド3の中央部の2個所と、液体吐出ヘッド3の一端側の計3か所から液体吐出ヘッド3内に液体が供給される。液体は、共通供給流路211から各圧力室23を経た後に共通回収流路212に回収され、液体吐出ヘッド3の他端部にある回収開口から外部へ回収される。個別流路213は共通供給経路211及び共通回収流路212と連通しており、各個別流路213の経路中に記録素子基板10およびその記録素子基板内に配される圧力室23が設けられている。よって、第1循環ポンプ1002で流す液体の一部は、共通供給流路211から記録素子基板10の圧力室23内を通過して、共通回収流路212へと流れる(図29の矢印)。これは、共通供給流路211に接続された圧力調整機構Hと、共通回収流路212に接続された圧力調整機構Lとの間に圧力差が設けられ、第1循環ポンプ1002が共通回収流路212のみに接続されているからである。
このようにして、液体吐出ユニット300では、共通回収流路212内を通過するような液体の流れと、共通供給流路211から各記録素子基板10内の圧力室23を通過し共通回収流路212に流れが発生する。このため、圧力損失の増大を抑制しつつ、各記録素子基板10で発生する熱を共通供給流路211から共通回収流路212への流れで記録素子基板10の外部へ排出することが出来る。また、本循環経路によれば、上記第1および第2の循環経路に比べて液体の輸送手段であるポンプの数を少なくすることが可能となる。
(液体吐出ヘッド構成の説明)
第1の適用例に係る液体吐出ヘッド3の構成について説明する。図5(a)および図5(b)は、本適用例に係る液体吐出ヘッド3を示した斜視図である。液体吐出ヘッド3は、1つの記録素子基板10でシアンC/マゼンタM/イエロY/ブラックKの4色のインクを吐出可能な記録素子基板10を直線上に15個配列(インラインに配置)されるライン型の液体吐出ヘッドである。図5(a)に示すように液体吐出ヘッド3は、各記録素子基板10と、記録素子基板10に電気エネルギを供給可能なフレキシブル配線基板40および電気配線基板90を介して電気的に接続された信号入力端子91と電力供給端子92を備える。信号入力端子91および電力供給端子92は、記録装置1000の制御部と電気的に接続され、それぞれ吐出駆動信号および吐出に必要な電力を記録素子基板10に供給する。電気配線基板90内の電気回路によって配線を集約することで、信号入力端子91および電力供給端子92の数を記録素子基板10の数に比べて少なくすることができる。これにより、記録装置1000に対して液体吐出ヘッド3を組み付ける時または液体吐出ヘッドの交換時に取り外しが必要な電気接続部数が少なくて済む。図5(b)に示すように、液体吐出ヘッド3の両端部に設けられた液体接続部111は、記録装置1000の液体供給系と接続される。これによりシアンC/マゼンタM/イエロY/ブラックK4色のインクが記録装置1000の供給系から液体吐出ヘッド3に供給され、また液体吐出ヘッド3内を通ったインクが記録装置1000の供給系へ回収されるようになっている。このように各色のインクは、記録装置1000の経路と液体吐出ヘッド3の経路を介して循環可能である。
図6は、液体吐出ヘッド3を構成する各部品またはユニットを示した分解斜視図である。液体吐出ユニット300、液体供給ユニット220および電気配線基板90が筺体80に取り付けられている。液体供給ユニット220には液体接続部111(図3参照)が設けられるとともに、液体供給ユニット220の内部には、供給されるインク中の異物を取り除くため、液体接続部111の各開口と連通する各色別のフィルタ221(図2、図3参照)が設けられている。2つの液体供給ユニット220は、それぞれに2色分ずつのフィルタ221が設けられている。フィルタ221を通過した液体は、それぞれの色に対応して液体供給ユニット220上に配置された負圧制御ユニット230へ供給される。負圧制御ユニット230は、各色別の負圧制御弁からなるユニットであり、それぞれの内部に設けられる弁やバネ部材などの働きで液体の流量の変動に伴って生じる記録装置1000の供給系内(液体吐出ヘッド3の上流側の供給系)の圧損変化を大幅に減衰させる。これによって負圧制御ユニット230は、負圧制御ユニットよりも下流側(液体吐出ユニット300側)の負圧変化をある一定範囲内で安定化させることが可能である。各色の負圧制御ユニット230内には、図2で記述したように各色2つの負圧制御弁が内蔵されている。2つの負圧制御弁は、それぞれ異なる制御圧力に設定され、高圧側が液体吐出ユニット300内の共通供給流路211(図2参照)、低圧側が共通回収流路212(図2参照)と液体供給ユニット220を介して連通している。
筐体80は、液体吐出ユニット支持部81および電気配線基板支持部82とから構成され、液体吐出ユニット300および電気配線基板90を支持するとともに、液体吐出ヘッド3の剛性を確保している。電気配線基板支持部82は、電気配線基板90を支持するためのものであり、液体吐出ユニット支持部81にネジ止めによって固定されている。液体吐出ユニット支持部81は、液体吐出ユニット300の反りや変形を矯正して、複数の記録素子基板10の相対位置精度を確保する役割を有し、それにより記録物におけるスジやムラを抑制する。そのため液体吐出ユニット支持部81は、十分な剛性を有することが好ましく、材質としてはSUSやアルミなどの金属材料、もしくはアルミナなどのセラミックが好適である。液体吐出ユニット支持部81には、ジョイントゴム100が挿入される開口83、84が設けられている。液体供給ユニット220から供給される液体は、ジョイントゴムを介して液体吐出ユニット300を構成する第3流路部材70へと導かれる。
液体吐出ユニット300は、複数の吐出モジュール200、流路部材210からなり、液体吐出ユニット300の記録媒体側の面にはカバー部材130が取り付けられる。ここで、カバー部材130は、図6に示したように長尺の開口131が設けられた額縁状の表面を持つ部材であり、開口131からは吐出モジュール200に含まれる記録素子基板10および封止部材110(後述する図10参照)が露出している。開口131の周囲の枠部は、記録待機時に液体吐出ヘッド3をキャップするキャップ部材の当接面としての機能を有する。このため、開口131の周囲に沿って接着剤、封止材、充填材等を塗布し、液体吐出ユニット300の吐出口面上の凹凸や隙間を埋めることで、キャップ時に閉空間が形成されるようにすることが好ましい。
次に、液体吐出ユニット300に含まれる流路部材210の構成について説明する。図6に示したように流路部材210は、第1流路部材50、第2流路部材60および第3流路部材70を積層したものであり、液体供給ユニット220から供給された液体を各吐出モジュール200へと分配する。また流路部材210は、吐出モジュール200から環流する液体を液体供給ユニット220へと戻すための流路部材である。流路部材210は、液体吐出ユニット支持部81にネジ止めで固定されており、それにより流路部材210の反りや変形が抑制されている。
図7(a)〜(f)は、第1〜第3流路部材の各流路部材の表面と裏面を示した図である。図7(a)は、第1流路部材50の、吐出モジュール200が搭載される側の面を示し、図7(f)は、第3流路部材70の、液体吐出ユニット支持部81と当接する側の面を示す。第1流路部材50と第2流路部材60とは、夫々の流路部材の当接面である図7(b)と図7(c)が対向するように接合し、第2流路部材と第3流路部材とは、夫々の流路部材の当接面である図7(d)と図7(e)が対向するように接合する。第2流路部材60と第3流路部材70を接合することで、各流路部材に形成される共通流路溝62、71とから、流路部材の長手方向に延在する8本の共通流路(211a、211b、211c、211d、212a、212b、212c、212d)が形成される。これにより色毎に共通供給流路211と共通回収流路212のセットが流路部材210内に形成される。共通供給流路211から液体吐出ヘッド3にインクが供給されて、液体吐出ヘッド3に供給されたインクは共通回収流路212によって回収される。第3流路部材70の連通口72(図7(f)参照)は、ジョイントゴム100の各穴と連通しており、液体供給ユニット220(図6参照)と流体的に流通している。第2流路部材60の共通流路溝62の底面には、連通口61(共通供給流路211と連通する連通口61−1、共通回収流路212と連通する連通口61−2)が複数形成されており、第1流路部材50の個別流路溝52の一端部と連通している。第1流路部材50の個別流路溝52の他端部には連通口51が形成されており、連通口51を介して複数の吐出モジュール200と流体的に連通している。この個別流路溝52により流路部材の中央側へ流路を集約することが可能となる。
第1〜第3流路部材は、液体に対して耐腐食性を有するとともに、線膨張率の低い材質からなることが好ましい。材質としては例えば、アルミナや、LCP(液晶ポリマ)、PPS(ポリフェニルサルファイド)やPSF(ポリサルフォン)や変性PPE(ポリフェニレンエーテル)を母材としてシリカ微粒子やファイバなどの無機フィラーを添加した複合材料(樹脂材料)を好適に用いることができる。流路部材210の形成方法としては、3つの流路部材を積層させて互いに接着してもよいし、材質として樹脂複合樹脂材料を選択した場合には、溶着による接合方法を用いてもよい。
図8は、図7(a)のα部を示しており、第1〜第3流路部材を接合して形成される流路部材210内の流路を第1の流路部材50の、吐出モジュール200が搭載される面側から一部を拡大して示した透視図である。共通供給流路211と共通回収流路212とは、両端部の流路からそれぞれ交互に共通供給流路211と共通回収流路212とが配置されている。ここで、流路部材210内の各流路の接続関係について説明する。
流路部材210には、色毎に液体吐出ヘッド3の長手方向に伸びる共通供給流路211(211a、211b、211c、211d)および共通回収流路212(212a、212b、212c、212d)が設けられている。各色の共通供給流路211には、個別流路溝52によって形成される複数の個別供給流路213(213a、213b、213c、213d)が連通口61を介して接続されている。また、各色の共通回収流路212には、個別流路溝52によって形成される複数の個別回収流路214(214a、214b、214c、214d)が連通口61を介して接続されている。このような流路構成により各共通供給流路211から個別供給流路213を介して、流路部材の中央部に位置する記録素子基板10にインクを集約することができる。また記録素子基板10から個別回収流路214を介して、各共通回収流路212にインクを回収することができる。
図9は、図8のIX−IXにおける断面を示した図である。それぞれの個別回収流路(214a、214c)は連通口51を介して、吐出モジュール200と連通している。図9では個別回収流路(214a、214c)のみ図示しているが、別の断面においては図8に示すように個別供給流路213と吐出モジュール200とが連通している。各吐出モジュール200に含まれる支持部材30および記録素子基板10には、第1流路部材50からのインクを記録素子基板10に設けられる記録素子15に供給するための流路が形成されている。更に、支持部材30および記録素子基板10には、記録素子15に供給した液体の一部または全部を第1流路部材50に回収(環流)するための流路が形成されている。
ここで、各色の共通供給流路211は、対応する色の負圧制御ユニット230(高圧側)と液体供給ユニット220を介して接続されており、また共通回収流路212は負圧制御ユニット230(低圧側)と液体供給ユニット220を介して接続されている。この負圧制御ユニット230により、共通供給流路211と共通回収流路212間に差圧(圧力差)を生じさせるようになっている。このため、図8および図9に示したように、各流路を接続した本適用例の液体吐出ヘッド内では、各色で共通供給流路211〜個別供給流路213〜記録素子基板10〜個別回収流路214〜共通回収流路212へと順に流れる流れが発生する。
(吐出モジュールの説明)
図10(a)は、1つの吐出モジュール200を示した斜視図であり、図10(b)は、その分解図である。吐出モジュール200の製造方法としては、まず記録素子基板10およびフレキシブル配線基板40を、予め液体連通口31が設けられた支持部材30上に接着する。その後、記録素子基板10上の端子16と、フレキシブル配線基板40上の端子41とをワイヤーボンディングによって電気接続し、その後にワイヤーボンディング部(電気接続部)を封止部材110で覆って封止する。フレキシブル配線基板40の記録素子基板10と反対側の端子42は、電気配線基板90の接続端子93(図6参照)と電気接続される。支持部材30は、記録素子基板10を支持する支持体であるとともに、記録素子基板10と流路部材210とを流体的に連通させる流路部材であるため、平面度が高く、また十分に高い信頼性をもって記録素子基板と接合できるものが好ましい。材質としては例えばアルミナや樹脂材料が好ましい。
(記録素子基板の構造の説明)
図11(a)は記録素子基板10の吐出口13が形成される側の面の平面図を示し、図11(b)は、図11(a)のAで示した部分の拡大図を示し、図11(c)は、図11(a)の裏面の平面図を示す。ここで、本適用例における記録素子基板10の構成について説明する。図11(a)に示すように、記録素子基板10の吐出口形成部材12に、各インク色に対応する4列の吐出口列が形成されている。なお、以後、複数の吐出口13が配列される吐出口列が延びる方向を「吐出口列方向」と呼称する。図11(b)に示すように、各吐出口13に対応した位置には、熱エネルギを利用して液体を発泡させるための吐出エネルギ発生素子である記録素子15が配置されている。隔壁22により、記録素子15を内部に備える圧力室23が区画されている。記録素子15は、記録素子基板10に設けられる電気配線(不図示)によって、端子16と電気的に接続されている。そして記録素子15は、記録装置1000の制御回路から、電気配線基板90(図6参照)およびフレキシブル配線基板40(図10参照)を介して入力されるパルス信号に基づいて発熱して液体を沸騰させる。この沸騰による発泡の力で液体を吐出口13から吐出する。図11(b)に示すように、各吐出口列に沿って、一方の側には液体供給路18が、他方の側には液体回収路19が延在している。液体供給路18および液体回収路19は記録素子基板10に設けられた吐出口列方向に伸びた流路であり、それぞれ供給口17a、回収口17bを介して吐出口13と連通している。
図11(c)に示すように、記録素子基板10の、吐出口13が形成される面の裏面にはシート状の蓋部材20が積層されており、蓋部材20には、液体供給路18および液体回収路19に連通する開口21が複数設けられている。本適用例においては、液体供給路18の1本に対して3個、液体回収路19の1本に対して2個の開口21が蓋部材20に設けられている。図11(b)に示すように蓋部材20の夫々の開口21は、図7(a)に示した複数の連通口51と連通している。蓋部材20は、液体に対して十分な耐食性を有している物が好ましく、また、混色防止の観点から、開口21の開口形状および開口位置には高い精度が求められる。このため蓋部材20の材質として、感光性樹脂材料やシリコン板を用い、フォトリソプロセスによって開口21を設けることが好ましい。このように蓋部材20は、開口21により流路のピッチを変換するものであり、圧力損失を考慮すると厚みは薄いことが望ましく、フィルム状の部材で構成されることが望ましい。
図12は、図11(a)のXII−XIIにおける記録素子基板10および蓋部材20の断面を示す斜視図である。ここで、記録素子基板10内での液体の流れについて説明する。蓋部材20は、記録素子基板10の基板11に形成される液体供給路18および液体回収路19の壁の一部を形成する蓋としての機能を有する。記録素子基板10は、Siにより形成される基板11と感光性の樹脂により形成される吐出口形成部材12とが積層されており、基板11の裏面には蓋部材20が接合されている。基板11の一方の面側には、記録素子15が形成されており(図11参照)、その裏面側には、吐出口列に沿って延在する液体供給路19および液体回収路18を構成する溝が形成されている。基板11と蓋部材20とによって形成される液体供給路18および液体回収路19は、それぞれ流路部材210内の共通供給流路211と共通回収流路212と接続されており、液体供給路18と液体回収路19との間には差圧が生じている。吐出口13から液体を吐出して記録を行っている際に、吐出を行っていない吐出口では、この差圧によって基板11内に設けられた液体供給路18内の液体が、供給口17a、圧力室23、回収口17bを経由して液体回収路19へ流れる(図12の矢印C)。この流れによって、記録を休止している吐出口13や圧力室23において、吐出口13からの蒸発によって生じる増粘インク、泡および異物などを液体回収路19へ回収することができる。また吐出口13や圧力室23のインクが増粘するのを抑制することができる。液体回収路19へ回収された液体は、蓋部材20の開口21及び支持部材30の液体連通口31(図10b参照)を通じて、流路部材210内の連通口51(図7(a)参照)、個別回収流路214、共通回収流路212の順に回収される。そして、液体は記録装置1000の回収経路へ回収される。つまり、記録装置本体から液体吐出ヘッド3へ供給される液体は、下記の順に流動し、供給および回収される。
液体は、まず液体供給ユニット220の液体接続部111から液体吐出ヘッド3の内部に流入する。そして液体は、ジョイントゴム100、第3流路部材に設けられた連通口72および共通流路溝71、第2流路部材に設けられた共通流路溝62および連通口61、第1流路部材に設けられた個別流路溝52および連通口51の順に供給される。その後、支持部材30に設けられた液体連通口31、蓋部材20に設けられた開口21、基板11に設けられた液体供給路18および供給口17aを順に介して圧力室23に供給される。圧力室23に供給された液体のうち、吐出口13から吐出されなかった液体は、基板11に設けられた回収口17bおよび液体回収路19、蓋部材20に設けられた開口21、支持部材30に設けられた液体連通口31を順に流れる。その後液体は、第1流路部材に設けられた連通口51および個別流路溝52、第2流路部材に設けられた連通口61および共通流路溝62、第3流路部材70に設けられた共通流路溝71および連通口72、ジョイントゴム100を順に流れる。そして液体は、液体供給ユニット220に設けられた液体接続部111から液体吐出ヘッド3の外部へ流動する。
図2に示す第1の循環形態の形態においては、液体接続部111から流入した液体は、負圧制御ユニット230を経由した後にジョイントゴム100に供給される。また図3に示す第2の循環形態の形態においては、圧力室23から回収された液体は、ジョイントゴム100を通過した後、負圧制御ユニット230を介して液体接続部111から液体吐出ヘッドの外部へ流動する。また液体吐出ユニット300の共通供給流路211の一端から流入した全ての液体が、個別供給流路213aを経由して圧力室23に供給されるわけではない。つまり、共通供給流路211の一端から流入した液体で、個別供給流路213aに流入することなく、共通供給流路211の他端から液体供給ユニット220に流動する液体もある。このように、記録素子基板10を経由することなく流動する経路を備えることで、本適用例のような微細で流抵抗の大きい流路を備える記録素子基板10を備える場合であっても、液体の循環流の逆流を抑制することができる。このように、本適用例の液体吐出ヘッド3では、圧力室23や吐出口近傍部の液体の増粘を抑制することができるので、吐出のヨレや不吐出を抑制することができ、結果として高画質な記録を行うことができる。
(記録素子基板間の位置関係の説明)
図13は、隣り合う2つの吐出モジュールにおける、記録素子基板の隣接部を部分的に拡大して示した平面図である。本適用例では略平行四辺形の記録素子基板を用いている。各記録素子基板10における吐出口13が配列される各吐出口列(14a〜14d)は、液体吐出ヘッド3の長手方向に対し一定角度傾くように配置されている。そして、記録素子基板10同士の隣接部における吐出口列は、少なくとも1つの吐出口が記録媒体の搬送方向にオーバーラップするようになっている。図13では、線D上の2つの吐出口が互いにオーバーラップする関係にある。このような配置によって、仮に記録素子基板10の位置が所定位置から多少ずれた場合でも、オーバーラップする吐出口の駆動制御によって、記録画像の黒スジや白抜けを目立たなくすることができる。複数の記録素子基板10を千鳥配置ではなく、直線上(インライン)に配置した場合も、図13のような構成により液体吐出ヘッド10の記録媒体の搬送方向の長さの増大を抑えつつ記録素子基板10同士のつなぎ部における黒スジや白抜け対策を行うことができる。なお、本適用例では記録素子基板の主平面は平行四辺形であるが、これに限るものではなく、例えば長方形、台形、その他形状の記録素子基板を用いた場合でも、本発明の構成を好ましく適用することができる。
(液体吐出ヘッド構成の変形例の説明)
図28、図30〜図32に上述した液体吐出ヘッド構成の変形例について説明する。上述した例と同様な構成、機能については説明を省略し、異なる点について主体的に説明する。本変形例は、図28、図30に示すように液体吐出ヘッド3と外部との液体の接続部である複数の液体接続部111は、液体吐出ヘッドの長手方向の一端側に集約して配置されている。液体吐出ヘッド3の他端側には複数の負圧制御ユニット230を集約して配置している(図31)。液体吐出ヘッド3に含まれる液体供給ユニット220は、液体吐出ヘッド3の長さに対応した長尺状のユニットとして構成され、供給する4色の液体に対応した流路およびフィルタ221を備える。図31に示すように、液体吐出ユニット支持部81に設けられる開口83〜開口86の位置も上述した液体吐出ヘッド3とは異なる位置に設けられている。
図32に流路部材50,60,70の積層状態を示す。複数の流路部材50,60、70の最上層である流路部材50の上面に複数の記録素子基板10が直線状に配列される。各記録素子基板10の裏面側に形成される開口21(図20(c))に連通する流路は、液体の色ごとに、個別供給流路213が2つ、個別回収流路214が1つとなっている。これに対応して、記録素子基板10の裏面に設けられる蓋部材20に形成される開口21も、液体の色ごとに供給開口21が2つ、回収開口21が1つとなっている。図32に示すように、液体吐出ヘッド3の長手方向に沿って延在する共通供給流路211と共通回収流路212とが交互に並列されている。
(第2の適用例)
以下、図面を参照して本発明の第2の適用例によるインクジェット記録装置2000および液体吐出ヘッド2003の構成を説明する。なお以降の説明においては、主として第1の適用例と異なる部分のみを説明し、第1の適用例と同様の部分については説明を省略する。
(インクジェット記録装置の説明)
図21は、本適用例を適用可能な、液体を吐出して記録を行うインクジェット記録装置2000を示した図である。本適用例の記録装置2000は、シアンC、マゼンタM、イエロY、ブラックKの各インクごとに対応した単色用の液体吐出ヘッド2003を4つ並列配置させることで記録媒体へフルカラー記録を行う点が第1の適用例とは異なる。第1の適用例において1色あたりに使用できる吐出口列数が1列だったのに対し、本適用例においては、1色あたりに使用できる吐出口列数は20列となっている。このため、記録データを複数の吐出口列に適宜振り分けて記録を行うことで、非常に高速な記録が可能となる。更に、不吐出になる吐出口があったとしても、その吐出口に対して記録媒体の搬送方向に対応する位置にある、他列の吐出口から補完的に吐出を行うことで信頼性が向上し、商業記録などに好適である。第1の適用例と同様に、各液体吐出ヘッド2003に対して、記録装置2000の供給系、バッファタンク1003(図2、図3参照)およびメインタンク1006(図2、図3参照)が流体的に接続されている。また、それぞれの液体吐出ヘッド2003には、液体吐出ヘッド2003へ電力および吐出制御信号を伝送する電気制御部が電気的に接続されている。
(循環経路の説明)
第1の適用例と同様に、記録装置2000および液体吐出ヘッド2003間の液体の循環形態としては、図2または図3に示した第1および第2の循環形態を用いることができる。
(液体吐出ヘッド構造の説明)
図14(a)、(b)は、本適用例に係る液体吐出ヘッド2003を示した斜視図である。ここで、本適用例に係る液体吐出ヘッド2003の構造について説明する。液体吐出ヘッド2003は、液体吐出ヘッド2003の長手方向に直線上に配列される16個の記録素子基板2010を備え、1種類の液体で記録が可能なインクジェット式のライン型(ページワイド型)記録ヘッドである。液体吐出ヘッド2003は、第1の適用例と同様、液体接続部111、信号入力端子91および電力供給端子92を備える。しかしながら本適用例の液体吐出ヘッド2003は、第1の適用例に比べて吐出口列が多いため、液体吐出ヘッド2003の両側に信号出力端子91および電力供給端子92が配置されている。これは記録素子基板2010に設けられる配線部で生じる電圧低下や信号伝送遅れを低減するためである。
図15は、液体吐出ヘッド2003を示した斜視分解図であり、液体吐出ヘッド2003を構成する各部品またはユニットをその機能毎に分割して示している。各ユニットおよび部材の役割や液体吐出ヘッド内の液体流通の順は、基本的に第1の適用例と同様であるが、液体吐出ヘッドの剛性を担保する機能が異なる。第1の適用例では主として液体吐出ユニット支持部81によって液体吐出ヘッド剛性を担保していたが、第2の適用例の液体吐出ヘッド2003では、液体吐出ユニット2300に含まれる第2流路部材2060によって液体吐出ヘッドの剛性を担保している。本適用例における液体吐出ユニット支持部81は、第2流路部材2060の両端部に接続されており、この液体吐出ユニット2300は記録装置2000のキャリッジと機械的に結合されて、液体吐出ヘッド2003の位置決めを行う。負圧制御ユニット2230を備える液体供給ユニット2220と、電気配線基板90は、液体吐出ユニット支持部81に結合される。2つの液体供給ユニット2220内にはそれぞれフィルタ(不図示)が内蔵されている。
2つの負圧制御ユニット2230は、それぞれ異なる、相対的に高低の負圧で圧力を制御するように設定されている。また、図14および図15のように、液体吐出ヘッド2003の両端部にそれぞれ、高圧側と低圧側の負圧制御ユニット2230を設置した場合、液体吐出ヘッド2003の長手方向に延在する共通供給流路と共通回収流路における液体の流れが互いに対向する。このような構成では、共通供給流路と共通回収流路の間で熱交換が促進されて、2つの共通流路内における温度差が低減される。これによって、共通流路に沿って複数設けられる各記録素子基板2010における温度差が少なくなり、温度差による記録ムラが生じにくくなるという利点がある。
次に、液体吐出ユニット2300の流路部材2210の詳細について説明する。図15に示すように流路部材2210は、第1流路部材2050と第2流路部材2060とを積層したものであり、液体供給ユニット2220から供給された液体を各吐出モジュール2200へと分配する。また流路部材2210は、吐出モジュール2200から環流する液体を液体供給ユニット2220へと戻すための流路部材として機能する。流路部材2210の第2流路部材2060は、内部に共通供給流路および共通回収流路が形成された流路部材であるとともに、液体吐出ヘッド2003の剛性を主に担うという機能を有する。このため、第2流路部材2060の材質としては、液体に対する十分な耐食性と高い機械強度を有するものが好ましい。具体的にはSUSやTi、アルミナなど用いることができる。
図16(a)は、第1流路部材2050の、吐出モジュール2200がマウントされる面を示した図であり、図16(b)は、その裏面を示しており、第2流路部材2060と当接される面を示した図である。第1の適用例とは異なり、本適用例における第1流路部材2050は、各吐出モジュール2200毎に対応した複数の部材を隣接して配列したものである。このように分割した構造を採ることで、複数のモジュールを配列させて、液体吐出ヘッド2003の長さに対応することができるので、例えばB2サイズおよびそれ以上の長さに対応した比較的ロングスケールの液体吐出ヘッドに特に好適に適用することができる。図16(a)に示すように、第1流路部材2050の連通口51は、吐出モジュール2200と流体的に連通し、図16(b)に示すように、第1流路部材2050の個別連通口53は、第2流路部材2060の連通口61と流体的に連通する。図16(c)は、第2流路部材60の、第1流路部材2050と当接される面を示し、図16(d)は、第2流路部材60の厚み方向中央部の断面を示し、図16(e)は、第2流路部材2060の、液体供給ユニット2220と当接する面を示す図である。第2流路部材2060の流路や連通口の機能は、第1の適用例の1色分と同様である。第2流路部材2060の共通流路溝71は、その一方が後述する図17に示す共通供給流路2211であり、他方が共通回収流路2212であり、夫々、液体吐出ヘッド2003の長手方向に沿って設けられており、その一端側から他端側に液体が供給される。本適用例は第1の適用例と異なり、共通供給流路2211と共通回収流路2212の液体の流れは互いに反対方向となっている。
図17は、記録素子基板2010と流路部材2210との液体の接続関係を示した透視図である。流路部材2210内には、液体吐出ヘッド2003の長手方向に延びる一組の共通供給流路2211および共通回収流路2212が設けられている。第2流路部材2060の連通口61は第1流路部材2050の個別連通口53と位置を合わせて接続されており、第2流路部材2060の共通供給流路2211から連通口61を介して第1流路部材2050の連通口51へと連通する液体供給流路が形成されている。同様に、第2流路部材2060の連通口72から共通回収流路2212を介して第1流路部材2050の連通口51へと連通する液体供給経路も形成されている。
図18は、図17のXVIII−XVIIIにおける断面を示した図である。共通供給流路2211は、連通口61、個別連通口53、連通口51を介して、吐出モジュール2200へ接続されている。図18では不図示であるが、別の断面においては、共通回収流路2212が同様の経路で吐出モジュール2200へ接続されていることは、図17を参照すれば明らかである。第1の適用例と同様に、各吐出モジュール2200および記録素子基板2010には、各吐出口に連通する流路が形成されており、供給した液体の一部または全部が、吐出動作を休止している吐出口を通過して、環流できるようになっている。また第1の適用例と同様に、共通供給流路2211は、負圧制御ユニット2230(高圧側)と、共通回収流路2212は負圧制御ユニット2230(低圧側)と液体供給ユニット2220を介して接続されている。従ってその差圧によって、共通供給流路2211から記録素子基板2010の圧力室を通過して共通回収流路2212へと流れる流れが発生する。
(吐出モジュールの説明)
図19(a)は、1つの吐出モジュール2200を示した斜視図であり、図19(b)は、その分解図である。第1の適用例との差異は、記録素子基板2010の複数の吐出口列方向に沿った両辺部(記録素子基板2010の各長辺部)に複数の端子16がそれぞれ配置されている点である。これに伴い記録素子基板2010と電気接続されるフレキシブル配線基板40も、1つの記録素子基板2010に対して2枚配置されている。これは記録素子基板2010に設けられる吐出口列数が20列あり、第1の適用例の8列よりも大幅に増加しているためであり、端子16から記録素子までの最大距離を短くして記録素子基板2010内の配線部で生じる電圧低下や信号遅れを低減するためである。また支持部材2030の液体連通口31は、記録素子基板2010に設けられ全吐出口列を跨るように開口している。その他の点は、第1の適用例と同様である。
(記録素子基板の構造の説明)
図20(a)は、記録素子基板2010の吐出口13が配される面の模式図であり、図20(c)は、図20(a)の面の裏面を示す模式図である。図20(b)は図20(c)において、記録素子基板2010の裏面側に設けられている蓋部材2020を除去した場合の記録素子基板2010の面を示す模式図である。図20(b)に示すように、記録素子基板2010の裏面には吐出口列方向に沿って、液体供給路18と液体回収路19とが交互に設けられている。吐出口列数は、第1の適用例よりも大幅に増加しているものの、第1の適用例との本質的な差異は、前述のように端子16が記録素子基板の吐出口列方向に沿った両辺部に配置されていることである。各吐出口列毎に一組の液体供給路18と液体回収路19が設けられていること、蓋部材2020に、支持部材2030の液体連通口31と連通する開口21が設けられていることなど、基本的な構成は第1の適用例と同様である。
(第3の適用例)
本発明の第3の適用例によるインクジェット記録装置1000及び液体吐出ヘッド3の構成を説明する。第3の適用例の液体吐出ヘッドは、B2サイズの被記録媒体に対して1スキャンで記録を行うページワイド型である。第3の適用例は第2の適用例と類似している点が多いため、以降の説明においては、主として第2適用例と異なる部分を説明し、第2適用例と同様の部分については説明を省略する。
(インクジェット記録装置の説明)
図33に本適用例のインクジェット記録装置の模式図を示す。記録装置1000は、液体吐出ヘッド3から被記録媒体に直接記録を行わず、一度、中間転写体(中間転写ドラム1007)に液体を吐出し画像を形成した後に、その画像を被記録媒体2に転写する構成である。記録装置1000では、CMYKの4種類のインクに夫々対応した4つの単色用の液体吐出ヘッド3が、中間転写ドラム1007に沿って円弧状に配置されている。これによって中間転写体上にフルカラー記録が行われ、その記録画像は、中間転写体上で適切な乾燥状態にされた後、紙搬送ローラー1009によって搬送される被記録媒体2へ、転写部1008で転写される。第2の適用例の紙搬送系は主にカット紙を意図した水平搬送であったのに対し、本適用例においては本体ロール(不図示)から供給される連続紙にも対応可能である。このようなドラム搬送系では、紙に一定の張力をかけながら搬送することが容易なため、高速記録時においても搬送ジャムが少ない。このため装置の信頼性が向上し、商業印刷などに好適である。第1及び第2の適用例と同様、各液体吐出ヘッド3に対して、記録装置1000の供給系、バッファタンク1003及びメインタンク1006が流体的に接続される。また、それぞれの液体吐出ヘッド3には、液体吐出ヘッド3へ電力及び吐出制御信号を伝送する電気制御部が電気的に接続される。
(第4の循環経路の説明)
第2の適用例と同様に、記録装置1000のタンクと液体吐出ヘッド3との間における液体循環経路としては、図2又は図3に示した第1および第2の循環経路も適用可能であるが、図34に示す循環経路が好適である。図3の第2の循環経路との主な差異は、第1循環ポンプ1001,1002及び第2循環ポンプ1004各々の流路の流路に連通するバイパス弁1010が付加されていることである。このバイパス弁1010は予め設定された圧力を超過すると弁が開くことで、バイパス弁1010上流側の圧力を下げるという機能(第1の機能)を有する。また記録装置本体の制御基板からの信号によって、任意のタイミングで弁を開閉する機能(第2の機能)も有する。
第1の機能により、第1循環ポンプ1001,1002の下流側または第2循環ポンプ1004の上流側の流路に、過剰または過小な圧力が掛かることを抑制することができる。例えば、第1循環ポンプ1001,1002の機能に支障が発生した場合、過剰な流量や圧力が液体吐出ヘッド3に加わる場合がある。それにより液体吐出ヘッド3の吐出口から液体の漏洩が生じたり、液体吐出ヘッド3内の各接合部に破断が生じたりする虞がある。しかし本適用例のように、第1循環ポンプ1001、1002にバイパス弁が追加されている場合、過剰な圧力が発生した場合でも、バイパス弁1010が開くことで各循環ポンプ上流側へと液体経路が開放されるため、上記のようなトラブルを抑制できる。
また第2の機能により、循環駆動停止時には、第1循環ポンプ1001,1002及び第2循環ポンプ1004の停止後に、本体側からの制御信号に基づいて、速やかに全てのバイパス弁1010を開放する。これにより、液体吐出ヘッド3の下流部(負圧制御ユニット230〜第2循環ポンプ1004の間)の高負圧(例えば、数〜数十kPa)を短時間に開放することができる。循環ポンプとしてダイヤフラムポンプなど容積型ポンプを使用した場合には、通常、ポンプ内に逆止弁が内蔵されている。しかしながら、バイパス弁を開くことで、下流側のバッファタンク1003側からも液体吐出ヘッド3の下流部の圧力解放を行える。上流側からだけでも液体吐出ヘッド3の下流部の圧力解放は行えるが、液体吐出ヘッドの上流側流路と液体吐出ヘッド内流路には圧力損失がある。そのため、圧力開放に時間が掛かり、過渡的に液体吐出ヘッド3内の共通流路内の圧力が下がり過ぎて、吐出口のメニスカスが破壊される恐れがある。液体吐出ヘッド3の下流側のバイパス弁1010を開くことで、液体吐出ヘッドの下流側の圧力解放が促進されるため、吐出口のメニスカス破壊のリスクが軽減される。
(液体吐出ヘッド構造の説明)
本発明の第3の適用例に係る液体吐出ヘッド3の構造について説明する。図35(a)は本適用例に係る液体吐出ヘッド3の斜視図、図35(b)はその分解斜視図である。液体吐出ヘッド3は液体吐出ヘッド3の長手方向に直線状(インライン)に配列される36個の記録素子基板10を備え、1色の液体で記録を行うインクジェット式のページワイド型の記録ヘッドである。液体吐出ヘッド3は、第2の適用例同様、信号入力端子91及び電力供給端子92を備える他、ヘッドの長手側面を保護するシールド板132が設けられている。
図35(b)は液体吐出ヘッド3の斜視分解図であり、液体吐出ヘッド3を構成する各部品またはユニットがその機能毎に分割されて表示されている(シールド板132は不図示)。各ユニット及び各部材の役割や、液体吐出ヘッド3内の液体流通の順は第2の適用例と同様である。第2の適用例との主な相違点は、複数分割されて配置された電気配線基板90、負圧制御ユニット230の位置、および第1流路部材の形状である。本適用例のように、例えばB2サイズの被記録媒体に対応した長さを有する液体吐出ヘッド3の場合、液体吐出ヘッド3の使用電力が大きいため、8枚の電気配線基板90が設けられる。各々の電気配線基板90は、液体吐出ユニット支持部81に取り付けられた長尺の電気配線基板支持部82の両側面に4枚ずつ取り付けられる。
図36(a)は、液体吐出ユニット300、液体供給ユニット220及び負圧制御ユニット230を備える液体吐出ヘッド3の側面図、図36(b)は液体の流れを示す概略図、図36(c)は図36(a)のXXXVIc−XXXVIc線部における断面を示す斜視図である。理解を容易にするために、一部の構成は簡略化している。
液体供給ユニット220内には液体接続部111とフィルタ221が設けられるとともに、負圧制御ユニット230が液体供給ユニット220の下方に一体化して形成されている。これによって負圧制御ユニット230と記録素子基板10との高さ方向の距離が、第2の適用例に比べて短くなっている。この構成により、液体供給ユニット220内の流路接続部の数が減り、記録液体の漏洩に対する信頼性が向上するだけでなく、部品点数や組み立て工程数も低減できるという利点がある。
また負圧制御ユニット230と吐出口が形成される面とにおける水頭差が相対的に小さくなるので、図33に示すような、液体吐出ヘッド3の傾斜角度が、各液体吐出ヘッドごとに異なるような記録装置へ好適に適応できる。水等差が小さくできるため、複数の液体吐出ヘッド3をことなる傾斜角で用いても、それぞれの記録素子基板の吐出口に加わる負圧差を低減できるためである。また負圧制御ユニット230から記録素子基板10間の距離が小さくなることでその間の流抵抗が小さくなるので、液体の流量変化による圧損差も小さくなり、より安定な負圧制御が行える点でも好ましい。
図36(b)は、液体吐出ヘッド3内部の記録液体の流れを示す模式図である。図34に示した循環経路と比べ、回路的には同じではあるが、図36(b)では、実際の液体吐出ヘッド3の各構成部品内での液体の流れを示している。長尺状の第2流路部材60内には、液体吐出ヘッド3の長手方向に伸びる一組の共通供給流路211及び共通回収流路212が設けられている。共通供給流路211及び共通回収流路212は互いに対向する方向に液体が流れるように構成されており、夫々の流路の上流側にはフィルタ221が設けられ、接続部111等から侵入する異物をトラップする。このように共通供給流路211及び共通回収流路212は互いに対向する方向に液体を流すことで、液体吐出ヘッド3内の長手方向における温度勾配が軽減される点で好ましい。尚、図34においては説明を簡略化するために共通供給流路211と共通回収流路212との流れを同じ方向で示している。
共通供給流路211及び共通回収流路212の下流側には、それぞれ負圧制御ユニット230が接続される。また、共通供給流路211の途中には複数の個別供給流路213aへの分岐部があり、共通回収流路212の途中には複数の個別回収流路213bへの分岐部がある。個別供給流路213a及び個別回収流路213bは複数の第1流路部材50内に形成されており、夫々の個別流路は、記録素子基板10の裏面に設けられた蓋部材20の開口21(図19(c)参照)と連通している。
図36(b)にHとLで示した負圧制御ユニット230は、高圧側(H)と、低圧側(L)とをユニットである。それぞれの負圧制御ユニット230は、相対的に高(H)、低(L)の負圧で、負圧制御ユニット230よりも上流側の圧力を制御するように設定された背圧型圧力調整機構である。共通供給流路211は負圧制御ユニット230(高圧側)と接続され、共通回収流路212は負圧制御ユニット230(低圧側)と接続されており、それにより共通供給流路211と共通回収流路212の間には差圧が発生する。その差圧によって、液体が、共通供給流路211から個別供給流路213a、記録素子基板10内の吐出口13(圧力室23)、個別回収流路213bを順に通過して共通回収流路212へと流れる。
本適用例において個々の吐出モジュール200は、第1流路部材50、記録素子基板10、フレキシブル配線基板40から構成されている。本実施形形態においては第2の適用例で説明した支持部材30(図18)がなく、蓋部材20を備える記録素子基板10が直接第1流路部材50に接合される。第2流路部材に設けられる共通供給流路211は、その上面に形成される連通口61から、第1流路部材50の下面に形成される個別連通口53を介して、個別供給流路213aに供給される。その後液体は、圧力室23を経由して個別回収流路213b、個別連通口53、連通口61を順に経由して共通回収流路212へと回収される。
ここで、図15に示した第2の適用例とは異なり、第1流路部材50の下面(第2流路部材60側の面)にある個別連通口53は、第2流路部材50の上面に形成される連通口61に対して十分大きな開口となっている。この構成により、吐出モジュール200を第2流路部材60上にマウントする際に位置がズレた場合でも、第1流路部材と第2流部材間で確実に流体連通が行わるようになっているので、ヘッド製造時の歩留まりが向上しコストダウンが図れるようになっている。
なお、上記適用例の記載は本発明の範囲を限定するものではない。1例として、本適用例では発熱素子により気泡を発生させて液体を吐出するサーマル方式について説明したが、ピエゾ方式およびその他の各種液体吐出方式が採用された液体吐出ヘッドにも本発明を適用することができる。
本適用例は、インク等の液体をタンクと液体吐出ヘッドとの間で循環させる形態のインクジェット記録装置(記録装置)について説明したが、その他の形態であってもよい。その他の形態は、例えばインクを循環せずに、液体吐出ヘッド上流側と下流側に2つのタンクを設け、一方のタンクから他方のタンクへインクを流すことで、圧力室内のインクを流動させる形態であってもよい。
また本適用例は、記録媒体の幅に対応した長さを有する、所謂ライン型ヘッドを用いる例を説明したが、記録媒体に対してスキャンを行いながら記録を行う、所謂シリアル型の液体吐出ヘッドにも本発明を適用することができる。シリアル型の液体吐出ヘッドとしては、例えばブラックインクを吐出する記録素子基板およびカラーインクを吐出する記録素子基板を各1つずつ搭載する構成が挙げられるが、これに限るのもではない。つまり、複数個の記録素子基板を吐出口列方向に吐出口がオーバーラップするよう配置した、記録媒体の幅よりも短い短尺の液体吐出ヘッドを作成し、それを記録媒体に対してスキャンさせる形態であってもよい。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の適用例と同様であるため、以下では特徴的な構成についてのみ説明する。
図22(a)は、本実施形態における記録装置1000の液体吐出モジュール200を示した斜視図である。液体吐出モジュール200は、支持部材30の上に記録素子基板10とフレキシブル配線基板40とが配置された構成となっている。図22(b)は、液体吐出モジュール200を示した分解斜視図である。記録素子基板10の端子16とフレキシブル配線基板40の端子41とは、不図示の金ワイヤ等で電気接続され、その電気接続部は保護のために封止剤110で覆われている。支持部材30には、液体吐出モジュール200で吐出するインクを記録素子基板10に供給する流体連通口31が形成されている。また支持部材30は、平面度が高く、十分に高い信頼性をもって記録素子基板10と接合できるものが好ましい。材質として例えばアルミナや樹脂材料が好ましい。
図23(a)から(c)は、記録素子基板10の構造を示した図である。図23(a)は記録素子基板10の全体の概要を示しており、図23(b)は、図23(a)のXXIIIb部の拡大図であり、説明を容易にするため吐出口形成部材12を透過した状態を図示している。図23(c)は、図23(a)のXXIIIc−XXIIIcにおける断面図である。記録素子基板10の吐出口形成部材12には、各インク色に対応する複数の吐出口列が形成されている。記録素子基板10の基板11における各吐出口13に対応した位置には、液体を熱エネルギにより発泡させる発熱素子である記録素子15が配置されている。なお、以後、複数の吐出口13が配列される吐出口列が延在する方向を「吐出口列方向」と呼称する。基板11には、隔壁22により記録素子15を内部に備える圧力室23が区画されている。記録素子15は、記録素子基板10に設けられる電気配線(不図示)によって、図23(a)の端子16と電気的に接続されており、記録装置1000の制御回路からフレキシブル配線基板40を介して入力されるパルス信号に基づいて発熱して液体を沸騰させる。この沸騰による発泡の力によって液体を吐出口13から吐出する。
さらに記録素子基板10における吐出口13が形成される面の裏面には、シート状の蓋部材20(図23(c)参照)が積層されており、蓋部材20には、後述する液体供給路18に連通する開口21(供給開口21)が複数設けられている。本実施形態においては、1つの液体供給路18に対して3個の開口21が蓋部材20に設けられている。また、蓋部材20のそれぞれの開口21は、図22(b)の複数の液体連通口31と連通している。また、蓋部材20は、記録素子基板10の基板11に形成される液体供給路18の壁の一部を構成し、具体的には液体供給路18の蓋としての機能を有する。更に蓋部材20は、液体に対して十分な耐食性を有している物が好ましく、また混色防止の観点から開口21の開口形状および開口位置には高い精度が求められる。このため蓋部材20の材質として感光性樹脂材料やシリコン板を用い、フォトリソプロセスによって開口21を設けることが好ましい。また、蓋部材20は、開口21により流路のピッチを変換するものであり、圧力損失を考慮すると厚みは薄いことが望ましく、フィルム状の部材で構成されることが望ましい。以上を考慮すると、蓋部材20としては感光性を有する薄膜の樹脂フィルム部材から構成されることが好ましい。
本実施形態は、圧力室内のインクをその外部と循環する構成であり、このような構成を採ることで、液体吐出ヘッド3による記録を行っている際に、記録を行っていない(吐出していない)吐出口や圧力室においてインクの流れを生じさせることができる。これによって、その部位におけるインクの増粘を抑制することができる。また増粘したインクやインク中の異物を液体吐出モジュール200の外部へと排出することができる。このため、本実施形態の液体吐出ヘッド3は、より高速で高画質な記録が可能となる。
先ず、本実施形態の吐出口内でインクが循環する構成について説明する。図23に示すように、各吐出口列14a〜14jに沿って、一方の側には液体供給路18が、他方の側には液体回収路19が延在している。つまり、各吐出口列は、液体供給路18と液体回収路19とに挟まれた構成となっている。液体供給路18及び液体回収路19は、それぞれ供給口17a、回収口17bを介して圧力室と連通している。これら液体供給路18、液体回収路19、供給口17a、回収口17bはSiの基板11に形成されている。
本実施形態においては、1本の液体供給路18に対して3個の開口21(供給開口)、1本の液体回収路19に対して2個の開口21(回収開口)が、蓋部材20に設けられている。蓋部材20のそれぞれの開口21は、支持部材30の複数の液体連通口31(図22(b)参照)と連通している。本発明においては、これに限られず液体供給路18、液体回収路19の夫々に対して、少なくとも1つの開口21が設けられていれば良い。
次に、記録素子基板10内での液体の流れについて説明する。記録素子基板10はSiにより形成される基板11と感光性の樹脂により形成される吐出口形成部材12とが積層されており、基板11の裏面には蓋部材20が接合されている。本実施形態において蓋部材20と基板11とは、接着剤を介することなく互いに接合されている。基板11の一方の面側には記録素子15が形成されており、その裏面側には、吐出口列14に沿って延在する液体供給路19および液体回収路18を構成する溝が形成され、この裏面に蓋部材20が設けられ、溝に蓋がされることで各液路が構成される。基板11と蓋部材20とによって形成される液体供給路18および液体回収路19は、それぞれ流路部材50(図6参照)内の不図示の共通供給流路と共通回収流路とに接続されており、液体供給路18と液体回収路19との間には差圧が生じている。液体吐出ヘッド3の複数の吐出口13から液体を吐出し記録を行う際に、吐出動作を行っていない吐出口では、この差圧によって液体供給路18内の液体は、供給口17a、圧力室22、回収口17bを経由して液体回収路19へ流れる(図23(c)の矢印C)。この流れによって、記録を休止している吐出口13や圧力室22において、吐出口13からの蒸発によって生じる増粘したインクや、泡、異物などを液体回収路19に回収することができる。また吐出口13や圧力室22のインクが増粘するのを抑制することができる。液体回収路19へ回収された液体は、蓋部材20の開口21(回収開口)及び支持部材30の液体連通口31を通じて液体吐出モジュール200の外へと回収され、最終的には記録装置の供給経路へと回収される。つまり記録装置本体から液体吐出モジュール200へ供給される液体は、下記の順に流動し供給および回収される。液体は、まず支持部材30に設けられた液体連通口31、蓋部材20に設けられた開口(供給開口)21、基板11に設けられた液体供給路18および供給口17aを順に介して圧力室23に供給される。圧力室23に供給された液体のうち吐出口13から吐出されなかった液体は、回収口17bおよび液体回収路19、蓋部材20に設けられた開口(回収開口)21、支持部材30に設けられた液体連通口31を順に流れて液体吐出モジュール200の外部へ流出する。
このように、本実施形態の液体吐出モジュール200では、圧力室23や吐出口13の近傍部の液体の増粘を抑制することができる。これによって、吐出のヨレや不吐出を抑制することができ、結果として高画質な記録を行うことができる。
ここで、本願発明の特徴事項について、図を参照して比較例と比較しながら説明する。図24(a)は、比較例としての記録素子基板の吐出口列と蓋部材の開口の位置と、対応する記録濃度との関係を示した図である。比較例では、蓋部材の開口21が各吐出口列で、吐出口列方向において同一位置に配置された構成である。このような構成では、吐出口列14a〜14jの全ての列の記録媒体搬送方向(矢印β方向)の同一直線上にある吐出口における負圧が略同じになるため、負圧が低い吐出口(開口の近傍)では、記録濃度が相対的に高くなり、負圧が高い吐出口では記録濃度が相対的に低くなる。つまり、図24(a)のグラフに示すように、吐出口列ごとに記録濃度が濃くなる位置と薄くなる位置とが揃うことで、記録媒体上では、記録における濃淡が強調されて記録ムラが視認され易くなってしまう。
そこで本願発明では、蓋部材20の開口21の配置について、以下のような構成としている。図24(b)は、本実施形態における記録素子基板10の吐出口列と蓋部材20の開口21の位置と、対応する記録濃度との関係を示した図である。本実施形態の液体吐出モジュール200は、蓋部材20の開口21の中心位置(重心位置)が、各吐出口列14間で、吐出口が配列する配列方向と略直交する方向(記録媒体搬送方向(矢印β方向))の同一直線上に並ばないように配置している。具体的には、開口21の中心位置が、吐出口列における吐出口が配列する配列方向と略直交する方向に対して所定角度を成す同一直線上に並ぶよう構成されている。このように、各吐出口列14a〜14jの位置に因る記録濃度分布を異ならせることで、記録濃度の濃淡が軽減され、視認しにくくなる。よって、記録媒体に記録した際の記録品位を向上することができる。
なお、本発明においては、上記直線上において全ての開口21の中心がずれている必要はなく、複数の吐出口列における少なくとも1つの開口21の中心位置が、記録媒体搬送方向の同一直線上に並ばないように配置することで効果を得ることができる。
ここで、本実施形態では、インクを吐出した後に生じる圧力室23へのインクリフィルの流れは、短時間ではあるが、圧力室を循環する上記の流れよりも強い流れとなる。このため、開口21には供給側の供給開口21と回収側の回収開口21とが存在するが、インクを吐出した後に生じる圧力室23へのインクリフィルの流れは、循環を行っている場合でも瞬間的には供給側と回収側との両方から発生する。その際、開口21の近くの吐出口では、負圧は低くなり、開口21から離れるに従って、吐出口での負圧は高くなる。よって、図24(b)の記録濃度分布に示すように、供給開口21と回収開口21のいずれかに関わらず、開口21の近くでは記録濃度は濃くなり、開口21から遠いほど記録濃度は薄くなる。従って、吐出口列14の供給開口21の中心位置と、同一吐出口列14の回収開口21の中心とが、記録媒体搬送方向の同一直線上に並ばない構成とすることで、記録媒体上で記録濃度が濃くなる部分を分散することができる。このような効果をより発現するためには、異なる吐出口列14間においても,供給側開口21や回収側開口21の中心位置を記録媒体搬送方向の同一直線上に並ばない構成とすることが望ましい。その際には、図24のように供給側、回収側全ての開口21の中心位置を記録媒体搬送方向の同一直線上に並ばない形態とするがより好ましい。
なお、支持部材30に蓋部材20の機能を持たせることで、蓋部材20のない構造でも本発明は適用可能である。
このように、複数の吐出口列において、少なくとも1つの開口の中心(重心)位置は、他の開口中心位置に対し、相対移動における記録媒体の移動方向に延在する同一直線上に並ばないように開口を配置する。これによって、記録ムラの発生を抑制することができる液体吐出モジュールおよびそれを備える液体吐出ヘッドを実現することができた。
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第4の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成についてのみ説明する。
図25(a)は、本実施形態の記録素子基板400を示した図であり、図25(b)は、液体吐出モジュール500の分解斜視図であり、図25(c)は、液体吐出モジュール50を配列した液体吐出ヘッド600を示した図である。
上述した第1の実施形態の構成では、吐出口列間で、開口21から吐出口13までの最長距離が異なることになる。例えば、図23(a)で、吐出口列14aにおける図右端の吐出口13と、開口21との距離と、吐出口列14eにおける図右端の吐出口13と、開口21との距離を比べてみると、吐出口列14aの方が長いことがわかる。このような構成では、開口21から遠い吐出口13では負圧が大きくなることで、高速記録を行う際にはインクの供給が間に合わなくなり不吐出となることがある。これによって記録品位が低下することが懸念される。
そこで、本実施形態では、各吐出口列14に対応する開口21の数を変えずに、各吐出口列14の開口21から吐出口13までの最長距離が略同じ距離になるように構成する。図25(a)に示すように本実施形態は各吐出口列14の同種の液体が流れる開口21の中心(重心)が、記録媒体搬送方向に対して所定角度α(α>0)を成す同一直線上に並ぶよう構成し、かつ記録素子基板の外形を記録媒体搬送方向に対して所定角度αを成す辺を備えた略平行四辺形としている。本実施形態における平行四辺形は図25(a)のように記録素子基板400の外径の隣接する辺同士のなす角が90度ではない形状である。記録素子基板400の吐出口列方向の両端の外形(辺)は、吐出口列と略平行であり、他の2辺の外形は、吐出口列と交差する方向で、同一種類の液体が流れる複数の開口21の中心を結んだ線と略平行となっている。なお、記録媒体搬送方向に対して所定の角度を持った同一直線とは、記録素子基板400の吐出口列と平行でない辺と略平行である。
このような構造とすることで、各吐出口列14について、開口21から吐出口までの最長距離を略等しくなるように構成することができる。このように、最長距離が各吐出口列14で略等しくなることで、極端に長い距離をインクが供給流路18を流れなくなるため、圧力損失も低減され、記録品位の向上が図れる。さらには、同一供給流路18に開口21が複数あるとき、少なくとも吐出口列14の端部から開口21までの距離を同一供給流路18の開口21の吐出口列方向の開口間隔よりも短くするとよい。そのように開口を配置することで、極端に長い距離をインクが供給流路18を流れることがなくなり、より一層の記録品位を向上することができる。
なお、第3の実施形態でも述べた通り、吐出時には回収流路19側からもインクが供給されるので、供給流路18の開口21だけでなく、回収流路19の開口21も同様に配置するのが望ましい。
また、記録素子基板を略平行四辺形形状とした際には、液体吐出モジュール200を図25(c)のように、液体吐出ヘッド600の長手方向のインラインに並べることが可能となる。液体吐出モジュール200をインラインに並べたライン型の液体吐出ヘッド(ページワイド型の液体吐出ヘッド)とすることで、より高速な記録が可能となる。その際には、各液体吐出モジュール200のつなぎ部で、異なる吐出口列の吐出口を一部オーバーラップさせることが、記録品位向上には望ましい。図25(c)のように、異なる吐出口列の吐出口を一部オーバーラップさせるために、各記録素子基板10の吐出口列14は、液体吐出ヘッド600の長手方向に対して、一定角度傾けた構成としている。このようなラインヘッド構成では、ワンパス記録を行うことが多いため、本発明の課題が顕著に表れやすく、特に本発明の効果を得られやすい。
なお、1つの記録素子基板10に対して多種類のインクが供給される構成で説明を行ってきたが、一種類のインクが供給される構成でも同様の効果が発現する。例えば、商業印刷機向けの高速に記録を行う液体吐出ヘッドでは、一種類のインクにつき一つの液体吐出ヘッドが配置される場合があるが、そのような液体吐出ヘッドの液体吐出モジュールでも本発明のような構成を取れば、記録品位を向上することができる。
(第3の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第3の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の適用例と同様であるため、以下では特徴的な構成についてのみ説明する。
図26(a)から(c)は、記録素子基板10の構造を示した図である。図26(a)は記録素子基板10の全体の概要を示しており、図26(b)は、図26(a)のXXVIb部の拡大図であり、図26(c)は、図26(a)のXXVIc−XXVIcにおける断面図である。
本実施形態では、吐出口にインクを供給する流路の構成が、上述の各実施形態とは異なる。上述の各実施形態では、吐出口にインクを供給する流路と、吐出口からインクを回収する流路とが分かれた構成を説明したが、本実施形態では、循環は行わず液体供給路418から吐出口へインクの供給が行われる。液体供給路418は、記録素子基板410に設けられた吐出口列方向に延在する流路であり、供給口417aを介して吐出口13と連通している。本発明は上述したように、循環を行うか否かにかかわらず、つまり回収用の開口21があるか否かに関わらず、リフィル時においては開口21の近くでは記録濃度は濃くなり、開口21から遠いほど記録濃度は薄くなる。よって循環を行わない本実施形形態の液体吐出ヘッドにも本発明は適用可能である。
以下、液体吐出モジュール200内の液体の流れについて説明する。不図示のインク供給源から供給されるインクは、液体吐出モジュール200内において、先ず支持基板30に形成された液体連通口31(図22(b)参照)を通り、記録素子基板410の蓋部材420の供給開口21を介して液体供給路418へと流入する。この時、一般的なインクジェット記録装置では、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロの4色のインクが用いられ、各色に分離されて供給される。なお本実施形態の記録装置1000では、ブラックが4列、その他各色は2列の吐出口列を備えている。
液体供給路418へと流入したインクは、液体供給路418を流れて、供給口417aを通り、共通供給液室24へと流入し、各圧力室23へと分配される。各圧力室23へと供給されたインクは、記録素子15が発生する熱エネルギにより沸騰して吐出口13より吐出し、不図示の記録媒体へインクが着弾することで記録が行われる。本実施形態のように吐出口列14の両側に供給口417aを配置することで、インクの吐出後の供給が高速化し、より高速な記録が可能となる。なお、片側のみに417aを配置しても本発明は適用可能である。
ここで、本願発明の特徴事項について説明する。本実施形態では、蓋部材の開口の配置について、以下のような構成としている。図27(a)は、本実施形態における記録素子基板410の吐出口列と蓋部材420の開口の位置と、対応する記録濃度との関係を示した図である。本実施形態では、蓋部材420の開口21の中心が、記録媒体の搬送方向(矢印β方向)搬送方向の同一直線上にないように開口21を配置している。このような構成とすることで、各吐出口列ごとに負圧が高くなる吐出口列方向の吐出口位置と、負圧が低くなる吐出口列方向の吐出口位置とが異なるため、各吐出口列で吐出口列方向における記録濃度が濃くなる位置と薄くなる位置とが異なる。これによって記録媒体上では、記録濃度が濃くなる部分と薄くなる部分とが、吐出口列ごとに分散されることで、記録媒体上の濃淡が軽減されて、視認しにくくなり記録品位を向上することができる。
なお、本実施形態では、全ての蓋部材420の開口21中心位置を、記録媒体搬送方向の同一直線上に並ばない構成としたが、これに限定するものではない。つまり、少なくとも1つの開口21を他の吐出口列の開口21に対して、記録媒体搬送方向の同一直線上に並ばない構成とすれば本発明の効果を発現できる。
さらに、同色の吐出口列14に対して適用することでさらなる効果があり、多くの吐出口列14に対して適用することで、より大きな効果が生じる。そのため、可能な限りの吐出口列14の開口21を記録媒体搬送方向の同一直線上に並ばないように構成することが望ましく、本実施形態のように、全ての吐出口列14の開口21の中心位置を吐出口列方向に異ならせることが最も望ましい。
なお、上記各実施形態では、開口21の中心という語句を用いたが、これは開口21の形状の重心として定義できる。すなわち、図27(b)は、蓋部材420側から見た際の、様々な形状の開口を例示したものである。図のように開口21の中心は、開口形状が平行四辺形ならば対角線の交点、円形ならば円の中心、長丸形状ならば線対称の対称軸2本の交点となる。
3 液体吐出ヘッド
10 記録素子基板
14 吐出口列
20 蓋部材
21 開口
200 液体吐出モジュール

Claims (15)

  1. 相対移動する記録媒体に対して吐出口から液体を吐出するページワイド型の液体吐出ヘッドに用いられる液体吐出モジュールにおいて、
    液体を吐出する吐出口が、前記相対移動の方向に対して交差する方向に配列される第1および第2の吐出口列と、前記第1および第2の吐出口列の夫々に液体を供給する、前記交差する方向に延在する第1および第2の液体供給路と、前記第1および第2の吐出口列の夫々から液体を回収する、前記交差する方向に延在する第1および第2の液体回収路と、を備える記録素子基板と、
    前記第1および第2の液体供給路の夫々に液体を供給するための、前記第1および第2の液体供給路の夫々に連通する第1および第2の供給開口と、前記第1および第2の液体回収路の夫々から液体を回収するための、前記第1および第2の液体回収路の夫々に連通する第1および第2の回収開口と、を備え、
    前記第1の供給開口の重心と前記第2の供給開口の重心、第1の供給開口の重心と第1の回収開口の重心、第2の供給開口の重心と第2の回収開口の重心は、夫々、前記相対移動の方向に延在する直線上からずれ、かつ前記第1の供給開口の重心と前記第2の供給開口の重心、および前記第1の回収開口の重心と前記第2の回収開口の重心は、夫々、前記相対移動の方向と直交する方向に延在する直線上からずれていることを特徴とする液体吐出モジュール。
  2. 前記記録素子基板を支持するとともに、前記第1および第2の供給開口に液体を供給する連通口を備える支持部材と、
    前記記録素子基板に設けられる吐出エネルギ発生素子に電気エネルギを供給可能な配線基板と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出モジュール。
  3. 前記第1および第2の供給開口は、前記第1および第2の液体供給路に対して夫々複数設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体吐出モジュール。
  4. 液体を吐出する吐出口が、前記相対移動の方向に対して交差する方向に配列される第3の吐出口列と、前記第3の吐出口列に液体を供給する、前記交差する方向に延在する第3の液体供給路と、前記第3の液体供給路に液体を供給するための第3の供給開口と、を備え、
    前記第1、第2および第3の供給開口は、夫々の重心が、前記相対移動の方向に延在する直線に対して傾斜する直線上に位置するように設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の液体吐出モジュール。
  5. 前記第1および第2の液体供給路は、前記記録素子基板の、前記吐出口が設けられる側とは反対の面に設けられており、
    前記第1および第2の供給開口は、前記記録素子基板の前記反対の面に設けられるフィルム部材に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の液体吐出モジュール。
  6. 前記第1および第2の液体供給路には同一種類の液体が供給されることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の液体吐出モジュール。
  7. 前記第1の供給開口から液体が供給される複数の吐出口のうち最も長い液路の長さと、前記第2の供給開口から液体が供給される複数の吐出口のうち最も長い液路の長さと、は等しいことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の液体吐出モジュール。
  8. 前記記録素子基板の外形が、略平行四辺形であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の液体吐出モジュール。
  9. 前記記録素子基板は、前記第1の液体供給路から前記吐出口に液体を供給するための複数の供給口を備え、前記複数の供給口は前記記録素子基板の厚み方向に延在することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の液体吐出モジュール。
  10. 前記記録素子基板は、液体を吐出するために利用されるエネルギを発生する吐出エネルギ発生素子と、前記吐出エネルギ発生素子を内部に備える圧力室と、を備え、
    前記圧力室内の液体は当該圧力室の外部との間で循環されることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の液体吐出モジュール。
  11. 相対移動する記録媒体に対して吐出口から液体を吐出するページワイド型の液体吐出ヘッドにおいて、
    液体を吐出する吐出口が、前記相対移動の方向に対して交差する方向に配列される第1および第2の吐出口列と、前記第1および第2の吐出口列の夫々に液体を供給する、前記交差する方向に延在する第1および第2の液体供給路と、前記第1および第2の吐出口列の夫々から液体を回収する、前記交差する方向に延在する第1および第2の液体回収路と、を備える記録素子基板と、
    前記第1および第2の液体供給路の夫々に液体を供給するための、前記第1および第2の液体供給路の夫々に連通する第1および第2の供給開口と、前記第1および第2の液体回収路の夫々から液体を回収するための、前記第1および第2の液体回収路の夫々に連通する第1および第2の回収開口と、を備え、前記第1および第2の液体供給路の一部を構成する蓋部材と、を有し、
    前記第1の供給開口の重心と第2の供給開口の重心、第1の供給開口の重心と第1の回収開口の重心、第2の供給開口の重心と第2の回収開口の重心は、夫々、前記相対移動の方向に延在する直線上からずれ、かつ前記第1の供給開口の重心と前記第2の供給開口の重心、および前記第1の回収開口の重心と前記第2の回収開口の重心は、夫々、前記相対移動の方向と直交する方向に延在する直線上からずれていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  12. 前記蓋部材は感光性のフィルム部材であることを特徴とする請求項11に記載の液体吐出ヘッド。
  13. 前記記録素子基板は、液体を吐出する吐出口が、前記相対移動の方向に対して交差する方向に配列される第3の吐出口列と、前記第3の吐出口列に液体を供給する、前記交差する方向に延在する第3の液体供給路と、を備え、
    前記蓋部材は、前記第3の液体供給路に液体を供給するための第3の供給開口と、を備え、
    前記第1、第2および第3の供給開口は、夫々の重心が、前記相対移動の方向に延在する直線に対して傾斜する直線上に位置するように設けられていることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の液体吐出ヘッド。
  14. 複数の前記記録素子基板を支持する支持部材を備え、
    前記複数の記録素子基板は、前記交差する方向に直線状に配されていることを特徴とする請求項11ないし請求項13のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  15. 前記記録素子基板は、液体を吐出するために利用されるエネルギを発生する吐出エネルギ発生素子と、前記吐出エネルギ発生素子を内部に備える圧力室と、を備え、
    前記圧力室内の液体は当該圧力室の外部との間で循環されることを特徴とする請求項11ないし請求項14のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
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