JP6967624B2 - 印刷物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷物及びその製造方法に関し、特には、付着性、耐汚染性及び耐傷付き性に優れる印刷物及びその製造方法に関するものである。
近年、活性エネルギー線硬化型インクを用いて加飾が行われている。活性エネルギー線硬化型インクは、活性エネルギー線の照射によって硬化するため、従来の有機溶剤系インクや水系インクの場合のように、水や有機溶剤の揮発・乾燥によるノズル詰り等の吐出不良が起きにくく、速乾性であるため生産性を向上させることができるといった長所がある。しかしながら、活性エネルギー線硬化型インクは硬化時の体積収縮が大きく、かつ速乾性のため皮膜に大きな内部応力が残存することから、特に金属、ガラス、セラミックなどのインクを吸収しない非吸収性の基材などへの付着性が得られにくい課題があった。この課題に対して、これまで、以下の検討がなされてきた。
特開2010−229281号公報(特許文献1)は、ポリエステル樹脂とアミノ樹脂よりなるベース塗料に多官能アクリレートモノマーを一定量配合することで、紫外線硬化型インキ層との密着性に優れる熱硬化型塗料組成物を提供することを記載するものである。特開2008−142701号公報(特許文献2)は、水酸基含有樹脂と架橋剤よりなる水酸基含有塗料にエポキシ化ポリブタジエン樹脂を一定量配合することで、UVインク塗膜との密着性に優れるプレコートメタル用の塗膜形成方法を提供することを記載するものである。特許文献1及び特許文献2に記載される発明は活性エネルギー線硬化型インクとの一定の付着性を確保できるものの、改善の余地があった。
出願人もこれまでに検討を行っている。例えば、特開2018−79400号公報(特許文献3)は、特定の架橋性官能基を持つアクリル樹脂を含む下塗り塗料を用いることで印刷層の付着性を改善できることを記載する。特開2019−77090号公報(特許文献4)は、脂環式炭化水素構造を有するポリエステル樹脂を主たる成分とする被覆層によって印刷層の付着性を改善できることを記載する。特開2019−162732号公報(特許文献5)は、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂及び多官能アクリレートの反応物を含有する被覆層によって、印刷層の付着性を改善できることを記載する。
特開2010−229281号公報 特開2008−142701号公報 特開2018−79400号公報 特開2019−77090号公報 特開2019−162732号公報
また、インクフィニッシュ仕様の場合、印刷が行われていない部分は下塗り塗膜が剥き出しになる。このとき、柔らかくてインクが付着しやすい膜は、硬さが不足して傷つきやすく、汚染物質なども付着しやすくなるといった課題がある。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、付着性、耐汚染性及び耐傷付き性に優れる印刷物及び印刷物の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、下塗り塗料の塗膜形成樹脂にイミノ基タイプのアミノ樹脂を用いることで、活性エネルギー線硬化型インクから形成される印刷層との付着性を十分に確保しつつ、耐汚染性及び耐傷付き性に優れる下塗塗膜層を形成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の印刷物は、耐熱性の基材表面に、イミノ基タイプのアミノ樹脂を塗膜形成樹脂として含有する下塗塗膜層と活性エネルギー線硬化型インクから形成される印刷層を有することを特徴とする。
本発明の印刷物の好適例においては、前記下塗塗膜層に含まれる全樹脂中における前記イミノ基タイプのアミノ樹脂の量が3〜20質量%の範囲内である。
本発明の印刷物の他の好適例においては、前記下塗塗膜層が、さらに自己架橋型アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂、及びポリエステルポリオール樹脂よりなる群から選ばれる1種類以上の塗膜形成樹脂を含む。
本発明の印刷物の他の好適例においては、前記自己架橋型アクリル樹脂が、下記式(1)
Figure 0006967624
(式中、Rは、水素原子又は炭素数が1〜8のアルキル基であり、Rは、水素原子又はメチル基である)で表される(メタ)アクリルモノマーの重合体、及び/又は上記式(1)で表される(メタ)アクリルモノマーと該(メタ)アクリルモノマー以外のエチレン性不飽和基を有するモノマー及び/又はオリゴマーとを共重合させたアクリル樹脂共重合体である。
本発明の印刷物の他の好適例においては、前記活性エネルギー線硬化型インクが、下記式(3):
Figure 0006967624
(式(3)中、Rは水素原子又はメチル基であり、nは1〜3の整数である。)で表されるラジカル重合性モノマー及び/又は下記式(4):
Figure 0006967624
(式(4)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rが炭素数2のアルキレン基である場合はnが2〜5の整数であり、Rが炭素数3のアルキレン基である場合はnが1〜3の整数であり、Rが炭素数4のアルキレン基である場合はnが1〜2の整数である。)で表されるラジカル重合性モノマーを含有する。
本発明の印刷物の他の好適例においては、前記下塗塗膜層のゲル分率が75%以上である。
また、本発明の印刷物の製造方法は、耐熱性の基材表面を、イミノ基タイプのアミノ樹脂を塗膜形成樹脂として含有する下塗り塗料で塗装した後に、焼付硬化させて下塗塗膜層を形成し、次いで、当該形成された下塗塗膜層の表面に、活性エネルギー線硬化型インクで印刷を行った後に、活性エネルギー線の照射により硬化させて印刷層を形成することを特徴とする。
本発明の印刷物の製造方法の好適例においては、前記硬化した印刷層を備える印刷物を70〜300℃の範囲内で加熱する。
本発明によれば、付着性、耐汚染性及び耐傷付き性に優れる印刷物及び印刷物の製造方法を提供することができる。
以下に、本発明の印刷物及び印刷物の製造方法を詳細に説明する。本発明の印刷物は、基材上に下塗塗膜層及び印刷層を備える印刷物であり、本発明の印刷物の製造方法は、基材表面に下塗塗膜層を形成する工程(塗膜形成工程)と、下塗塗膜層上に印刷層を形成する工程(印刷層形成工程)とを含む。
本発明の印刷物において、基材は、耐熱性の基材であり、具体的には、下塗塗膜層の焼付け硬化処理、更には必要に応じて適用される印刷物の加熱処理に耐え得る耐熱性を有する基材であることが好ましい。このような材料としては、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、チタンやそれらの合金等の金属、セメント、コンクリート、石膏、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、大理石、人工大理石、ガラス、セラミック等が挙げられ、これら材料の2種以上を組み合わせたものでもよい。また、基材は、その表面に、脱脂処理、化成処理、研磨等の前処理や、シーラー、プライマー塗装等が施されていてもよい。基材表面は、平滑であってもよいし、凹凸を有するものや立体物であってもよい。本発明においては、このような材料及び性状を有する基材を用いることにより、とりわけ、家具、建材、金属製小物の用途で好適に使用することができる。
本発明の印刷物において、下塗塗膜層は、基材表面の一部又は全体に形成される。ここで、下塗塗膜層は、塗膜形成工程において、基材表面を下塗り塗料で塗装した後に、焼付硬化させることにより形成できる。
下塗塗膜層は、塗膜形成樹脂を含む。ここで、塗膜形成樹脂は、塗膜を構成する樹脂として残る成分であり、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ふっ素樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ビニル樹脂、アミノ樹脂(メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂等も含まれる)、ケチミン樹脂等が挙げられる。下塗塗膜層中において、塗膜形成樹脂の量は、例えば50〜100質量%、好ましくは70質量%〜100質量%の範囲内である。また、下塗り塗料中において塗膜形成樹脂の量は、例えば5〜90質量%、好ましくは10〜80質量%である。塗膜形成樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
下塗塗膜層は、塗膜形成樹脂として、イミノ基タイプのアミノ樹脂、好ましくはイミノ基タイプのメラミン樹脂を含む。イミノ基タイプのアミノ樹脂を用いることで、活性エネルギー線硬化型インクから形成される印刷層との付着性を十分に確保しつつ、耐汚染性及び耐傷付き性に優れる下塗塗膜層を形成することができる。
アミノ樹脂は、一般に、アミノ基の形の窒素を多量に有する重合体の総称である。通常、アミノ基(−NH)を持つ出発原料をアルデヒド(主にホルムアルデヒド)と反応させ、反応性に富む単量体を生成させ、これを付加重合させる熱硬化性樹脂である。アミノ樹脂には、メラミン樹脂(出発原料がメラミン)、尿素樹脂(出発原料が尿素)、グアナミン樹脂(出発原料がベンゾグアナミン等のグアナミン類)の他、出発原料に応じて、チオ尿素樹脂、アニリン樹脂等も知られている。なお、一般に、ナイロン型ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルアミド樹脂等は、アミノ樹脂に分類されない。
また、アミノ基(−NH)を持つ出発原料とアルデヒドとの反応により生成する単量体は、アミノ基として、1つの水素を有するアミノ基(即ち、イミノ基−NHR;ここで、Rはメチロール基又はアルキルエーテル化されたメチロール基)、水素を有さず、メチロール基及びアルキルエーテル化メチロール基から選択される基を有するアミノ基(−NR;ここで、各Rはメチロール基又はアルキルエーテル化されたメチロール基)等を有しており、この単量体のアミノ基の種類に応じて、アミノ樹脂は分類されている。一般に、イミノ基−NHR(ここで、Rはメチロール基又はアルキルエーテル化されたメチロール基)を多く有するものをイミノ基タイプのアミノ樹脂と称し、アミノ基−NR(ここで、各Rはメチロール基又はアルキルエーテル化されたメチロール基)を多く有するものをメチロールタイプのアミノ樹脂と称し、また、アミノ基−NR(ここで、各Rはアルキルエーテル化されたメチロール基)を多く有するものをフルアルキルタイプのアミノ樹脂と称する。
イミノ基タイプのアミノ樹脂の具体例としては、サイメル202、207、213、253、254、325、327、701、703、712、マイコート508(いずれもオルネクス社製)、ニカラックBL−60、MS−001、MX−410、MX−706、MX−730、MX−750、MZ−351(いずれも三和ケミカル社製)等が挙げられる。この中で、特にサイメル325、327、703、ニカラックMX−730が好ましい。
下塗塗膜層に含まれる全樹脂中においてイミノ基タイプのアミノ樹脂の量は、好ましくは3〜20質量%、より好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%の範囲内である。イミノ基タイプのアミノ樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
下塗塗膜層は、更に、自己架橋型アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂、及びポリエステルポリオール樹脂よりなる群から選ばれる1種類以上の塗膜形成樹脂を含むことが好ましい。これらの塗膜形成樹脂は、イミノ基タイプのアミノ樹脂と組み合わせることで、インクとの付着性を向上できる。特に、自己架橋型アクリル樹脂は、イミノ基タイプのアミノ樹脂と組み合わせることで、耐汚染性及び耐傷付き性(又は硬度)の向上効果も高くなる。
下塗塗膜層に含まれる全樹脂中において、自己架橋型アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂及びポリエステルポリオール樹脂からなる塗膜形成樹脂の量は、合計で、好ましくは30〜95質量%、より好ましくは50〜90質量%の範囲内である。なお、自己架橋型アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂、及びポリエステルポリオール樹脂のぞれぞれは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本明細書において、アクリル樹脂は、アクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類の重合体であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸並びにそのエステル、アミド及びニトリル等から選択される(メタ)アクリルモノマーの1種又は複数種を重合させて得られる重合体が挙げられ、更には、(メタ)アクリルモノマーと、例えば、スチレン等の非(メタ)アクリルモノマーとを重合させて得られる重合体も含まれる。ここで、(メタ)アクリルモノマーの用語は、メタクリルモノマー又はアクリルモノマーを意味する。ここで、アクリルポリオール樹脂は、複数の水酸基を有するアクリル樹脂である。アクリルポリオール樹脂は、例えばアクリル樹脂の合成の際に水酸基を有するモノマーを用いることで容易に得ることができる。
本明細書において、ポリエステル樹脂は、主鎖の欠くことができない部分としてエステル結合が繰り返されている重合体から構成されている樹脂であり、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの反応によって得られる。ここで、ポリエステルポリオール樹脂は、複数の水酸基を有するポリエステル樹脂である。
自己架橋型アクリル樹脂は、自己架橋性官能基を基体となるアクリル樹脂骨格中に有する樹脂であり、これにより、下塗り塗装後に施される焼付により当該自己架橋性官能基どうしが架橋を形成し(ここでの自己架橋性官能基どうしの架橋には、同一の官能基間での架橋や異種の官能基間での架橋がある)、それにより、硬度や耐傷付き性などに優れた硬化塗膜が下塗塗膜層として形成できる。
自己架橋型アクリル樹脂は、自己架橋性官能基として、下記式(2):
Figure 0006967624
(式中、Rは、水素原子又は炭素数が1〜8のアルキル基であり、記号*は、アクリル樹脂骨格への結合点である)で表される官能基を有することが好ましく、更には、式(2)で表される官能基に加えて、該官能基に対して反応性を示す官能基(例えば、水酸基、アミノ基、アミド基、イミド基、アルコキシメチル基等)を有していてもよい。この式(2)で表される自己架橋性官能基どうしの熱処理(焼付)による架橋の機序は公知の通りであり、熱処理により式中のR(水素原子又はアルキル基)の脱離や、それと同時に引き起こされる脱水や、それに引き続きホルムアルデヒド(CHO)が脱離されることにより、最終的に−NH−CH−NH−の結合が生じることによるものであることが確認されている。
上記式(2)において、Rは水素原子又は炭素数が1〜8のアルキル基である。ここで、アルキル基は、直鎖でも枝分れ鎖でもよく、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。アルキル基は、未置換でも置換されていてもよいが、未置換のアルキル基であることが好ましい。アルキル基の置換基としては、ハロゲン等が挙げられる。
自己架橋型アクリル樹脂に含まれる上記式(2)で表される官能基の量は、焼付により十分な硬化を行う観点から、例えば3〜20質量%、好ましくは5〜15質量%である。
自己架橋型アクリル樹脂は、下記式(1)
Figure 0006967624
(式中、Rは、水素原子又は炭素数が1〜8のアルキル基であり、Rは、水素原子又はメチル基である)で表される(メタ)アクリルモノマーの重合体又は上記式(1)で表される(メタ)アクリルモノマーと該(メタ)アクリルモノマー以外のエチレン性不飽和基を有するモノマー及び/又はオリゴマーとを共重合させたアクリル樹脂共重合体のいずれか一方であるか、又はその両方からなることが好ましい。
上記式(1)において、Rは水素原子又は炭素数が1〜8のアルキル基である。ここで、アルキル基は、直鎖でも枝分れ鎖でもよく、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。アルキル基は、未置換でも置換されていてもよいが、未置換のアルキル基であることが好ましい。アルキル基の置換基としては、ハロゲン等が挙げられる。また、上記式(1)において、Rは、水素原子又はメチル基であり、水素であることが好ましい。
上記式(1)で表される(メタ)アクリルモノマーの具体例としては、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド及びN−メチロールアクリルアミド等が好適に挙げられる。
また、上記式(1)で表される(メタ)アクリルモノマー以外のエチレン性不飽和基を有するモノマー及び/又はオリゴマーとしては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、スチレン等が挙げられる。
自己架橋型アクリル樹脂の具体例としては、ダイヤナールSE5661、SE5456、SE5102、SE5482、RE1616、LR691(いずれも三菱レイヨン社製)等が挙げられる。
自己架橋型アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂、及びポリエステルポリオール樹脂は、インクとの付着性や塗膜としての性能の観点から、その数平均分子量(Mn)は、好ましくは3000〜50000、より好ましくは10000〜30000であり、重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10000〜200000、より好ましくは50000〜150000であり、また、ガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−30〜90℃、より好ましくは−20〜60℃である。
本明細書において、数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定した値であり、標準物質にはポリスチレンが使用される。
本明細書において、ガラス転移温度(Tg)とは、次のFOX式を用いて計算されるものをいう。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wi/Tgi+・・・+Wn/Tgn
上記FOX式において、Tgは、n種類のモノマーからなるポリマーのガラス転移温度(K)であり、Tg(1、2、i、n)は、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度(K)であり、W(1、2、i、n)は、各モノマーの質量分率であり、W1+W2+・・・+Wi+・・・+Wn=1である。
アクリルポリオール樹脂、及びポリエステルポリオール樹脂は、水酸基価が1〜200mgKOH/gであることが好ましい。これら樹脂の水酸基価が上記特定した範囲内にあれば、良好な塗膜性能を示すのに十分な硬化性を確保することができる。なお、水酸基価は、JIS K 0070に準拠して測定できる。これら樹脂の水酸基価が1mgKOH/gより小さいと、十分な硬化性が得られない場合がある。一方、これら樹脂の水酸基価が200mgKOH/gより大きいと、架橋点が多くなり内部応力が増大するため、基材や塗膜との付着性が悪くなる場合がある。
下塗塗膜層は、顔料を含むことができる。顔料の具体例としては、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック等の着色顔料、シリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料、亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ハイドロカルマイト等の防錆顔料、アルミニウム、ニッケル、クロム、錫、銅、銀、白金、金、ステンレス等の光輝顔料や、ガラスフレーク、黒鉛等の鱗片状顔料等が挙げられる。
下塗塗膜層中において、顔料の量は、例えば0〜50質量%の範囲内である。また、下塗り塗料中における顔料の量は、例えば0〜50質量%、好ましくは1〜30質量%の範囲内である。なお、顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
下塗塗膜層及び下塗り塗料には、樹脂や顔料以外に、水、有機溶剤、乾燥剤、酸化防止剤、反応触媒、分散剤、消泡剤、脱水剤、レベリング剤、沈降防止剤、ダレ止め剤、シランカップリング剤等の付着性付与剤、防藻剤、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤等を必要に応じて適宜配合してもよい。下塗り塗料は、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することによって調製できる。
下塗り塗料を用いた塗装手段は、特に限定されず、既知の塗装手段、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、カーテンフロー、ロールコーター、ローラーカーテン、ダイコーター、フローコーター、静電塗装等が利用できる。また、下塗り塗料の塗布量は、例えば一度の塗装につき2〜80g/mである。塗布量を増やす場合に、複数回の塗装(塗り重ね)を行うこともできる。
下塗塗膜層は、塗膜形成工程において、下塗り塗料で基材表面を塗装した後に、下塗り塗料を焼付硬化させて、形成される。焼付けは公知の方法により行うことができる。焼付条件としては、下塗り塗料を十分に硬化させることができるのであれば、適宜調整することが可能であるが、通常は基材到達最高温度150〜240℃で20秒〜60分、より具体的には、210℃で60秒程度とする。なお、下塗塗膜層は、活性エネルギー線硬化型インクより形成される印刷層が事後の熱処理等により動いたり割れや剥がれなどが発生したりしないようにこの段階で十分に硬化させることが好ましいが、半硬化の下塗塗膜層上に活性エネルギー線硬化型インクで印刷層を形成した後、熱処理を行って十分に硬化させることもできる。硬化の程度については、例えば、当業界において知られているゲル分率として規定することが可能であり、また、溶剤ラビング試験などにより確認することができる。本明細書においては、下塗塗膜層のゲル分率が75%以上であることが、少なくとも“硬化”した状態と定めることができ、好ましくはゲル分率が80%超過であり、より好ましくはゲル分率が90%以上となるように硬化することがよく、95%以上として100%に近づけるように硬化することがさらに好ましい。当該ゲル分率については、焼付条件の変更により調整することが可能であり、例えば、テトラヒドロフランに、温度23℃程度で48時間程度浸漬し、濾過や乾燥を施すことによって、未硬化に相当する塗膜が除かれた残存塗膜の質量と元の塗膜の質量との比から定めることができる。
下塗塗膜層は、その厚さが例えば5〜40μmである。
本発明の印刷物において、印刷層は、活性エネルギー線硬化型インクから形成される。ここで、印刷層は、少なくとも下塗塗膜層の表面の一部又は全体に形成される。印刷層は、印刷層形成工程において、塗膜形成工程で得られた下塗塗膜層の表面に、活性エネルギー線硬化型インクで印刷を行った後に、活性エネルギー線の照射により硬化させることにより形成できる。これにより様々な意匠を施すことができる。また、下塗塗膜層は、耐汚染性及び耐傷付き性に優れることから、下塗塗膜層に印刷が行われていない部分があっても、下塗塗膜層に傷が付いたり、汚染物質が付着したりするのを抑制することができる。
印刷層形成工程では、活性エネルギー線硬化型インクを用いて、少なくとも下塗塗膜層の表面の一部又は全体に印刷を行う。本明細書において、活性エネルギー線硬化型インクとは、紫外線、可視光線、電子線等の活性エネルギー線の照射により硬化させることができるインク組成物を意味する。
印刷層形成工程に用いる活性エネルギー線硬化型インクは、重合性化合物、及び光重合開始剤を含む。
重合性化合物は、活性エネルギー線照射時に反応性を示す官能基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基又はアリル基を構成する炭素−炭素二重結合等の重合性不飽和基)を介して重合反応を起こす化合物である。なお、重合性化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。活性エネルギー線硬化型インク中において、重合性化合物の量は50〜95質量%であることが好ましい。
重合性化合物は、単官能重合性化合物又は多官能重合性化合物に分類される。ここで、単官能重合性化合物としては、活性エネルギー線照射時に反応性を示す官能基を1つ有する単官能重合性モノマー(例えば1つの重合性不飽和基を有する単官能重合性モノマー)や活性エネルギー線照射時に反応性を示す官能基を1つ有する単官能重合性オリゴマー(例えば、1つの重合性不飽和基を有する単官能重合性オリゴマー)等が挙げられる。多官能重合性化合物としては、活性エネルギー線照射時に反応性を示す官能基を2つ以上有する多官能重合性モノマー(例えば2つ以上の重合性不飽和基を有する多官能重合性モノマー)や活性エネルギー線照射時に反応性を示す官能基を2つ以上有する多官能重合性オリゴマー(例えば、2つ以上の重合性不飽和基を有する多官能重合性オリゴマー)等が挙げられる。
単官能重合性モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシキプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレンモノ(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ビニルカプロラクタム、デシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、EO(エチレンオキシド)変性2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルイミダゾール、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、及びエトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能重合性モノマーのうち、活性エネルギー線照射時に反応性を示す官能基を2つ有する多官能重合性モノマー(2官能重合性モノマー)の具体例としては、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジメチロールシクロヘキサンジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、PO(プロピレンオキシド)変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、活性エネルギー線照射時に反応性を示す官能基を3つ以上有する多官能重合性モノマー(3官能以上の多官能重合性モノマー)の具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びEO変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本明細書において、(メタ)アクリレートの用語は、メタクリレート又はアクリレートを意味する。また、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート等のように、複数であることを示す接頭語が(メタ)アクリレートに付されている場合、各(メタ)アクリレート部分は同一でも異なっていてもよい。
活性エネルギー線硬化型インク中において、単官能重合性モノマーの量は30〜95質量%であることが好ましい。活性エネルギー線硬化型インク中において、多官能重合性モノマーの量は、例えば0〜30質量%であり、好ましくは5〜20質量%である。
活性エネルギー線硬化型インクは、重合性化合物として、重合性オリゴマーを含むことが好ましい。重合性オリゴマーは、好ましくはアクリレートオリゴマーである。また、重合性オリゴマーの官能基数は2〜6であることが好ましく、重合性オリゴマーの分子量は、2000〜20000であることが好ましい。ここで、重合性オリゴマーの分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
アクリレートオリゴマーの具体例としては、ウレタンアクリレートオリゴマー[ウレタン結合(−NHCOO−)を複数持つアクリレートオリゴマー]、アミノアクリレートオリゴマー[アミノ基(−NH)を複数持つアクリレートオリゴマー]、エポキシアクリレートオリゴマー[エポキシ基を複数持つアクリレートオリゴマー]、シリコーンアクリレートオリゴマー[シロキサン結合(−SiO−)を複数持つアクリレートオリゴマー]、エステルアクリレートオリゴマー[エステル結合(−COO−)を複数持つアクリレートオリゴマー]及びブタジエンアクリレートオリゴマー[ブタジエン単位を複数持つアクリレートオリゴマー]等が挙げられる。これらの中でも、ウレタンアクリレートオリゴマーが好ましい。
また、アクリレートオリゴマーとして、以下のものが知られている。
ビームセット502H、ビームセット505A−6、ビームセット550B、ビームセット575、ビームセットAQ−17(荒川化学工業社製)、
AH−600、UA−306H、UA−306T、UA−306I、UA−510H、UF−8001G(共栄社化学社製)、
CN910、CN959、CN963、CN964、CN965NS、CN966NS、CN969NS、CN980NS、CN981NS、CN982、CN983NS、CN985、CN991NS、CN996NS、CN2920、CN2921、CN8881NS、CN8883NS、CN9001NS、CN9004、CN9005、CN9009、CN9011、CN9021NS、CN9023、CN9028、CN9030、CN9178NS、CN9290、CN9893NS、CN929、CN989NS、CN968NS、CN9006NS、CN9010NS、CN9025、CN9026、CN9039、CN9062、CN9110NS、CN9029、CN8885NS、CN9013NS、CN973、CN978NS、CN992、CN9167、CN9782、CN9783、CN970、CN971、CN972、CN975NS、CN9165(サートマー社製)、
U−2PPA、U−6LPA、U−10HA、U−10PA、UA−1100H、U−15HA、UA−53H、UA−33H、U−200PA、UA−200PA、UA−160TM、UA−290TM、UA−4200、UA−4400、UA−122P(新中村化学工業社製)、
ニューフロンティアR−1235、R−1220、RST−201、RST−402、R−1301、R−1304、R−1214、R−1302XT、GX−8801A、R−1603、R−1150D(第一工業製薬社製)、
EBECRYL204、EBECRYL205、EBECRYL210、EBECRYL215、EBECRYL220、EBECRYL230、EBECRYL244、EBECRYL245、EBECRYL264、EBECRYL265、EBECRYL270、EBECRYL280/15IB、EBECRYL284、EBECRYL285、EBECRYL294/25HD、EBECRYL1259、EBECRYL1290、KRM8200、EBECRYL4820、EBECRYL4858、EBECRYL5129、EBECRYL8210、EBECRYL8254、EBECRYL8301R、EBECRYL8307、EBECRYL8402、EBECRYL8405、EBECRYL8411、EBECRYL8465、EBECRYL8800、EBECRYL8804、EBECRYL8807、EBECRYL9260、EBECRYL9270、EBECRYL7735、EBECRYL8296、EBECRYL8452、EBECRYL8904、EBECRYL8311、EBECRYL8701、EBECRYL8667(ダイセル・オルネクス社製)、
UV−1700B、UV−6300B、UV−7550B、UV−7600B、UV−7605B、UV−7610B、UV−7630B、UV−7640B、UV−7650B、UV−6630B、UV−7000B、UV−7510B、UV−7461TE、
UV−2000B、UV−2750B、UV−3000B、UV−3200B、UV−3300B、UV−3310B、UV−3700B、UV6640B(日本合成化学社製)、
アートレジンUN−333、UN−350、UN−1255、UN−2600、UN−2700、UN−5590、UN−6060PTM、UN−6200、UN−6202、UN−6300、UN−6301、UN−7600、UN−7700、UN−9000PEP、UN−9200A、UN−3320HA、UN−3320HC、UN−904、UN−906S(根上工業社製)
活性エネルギー線硬化型インク中において、重合性オリゴマーの量は、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは5〜15質量%である。なお、重合性オリゴマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明の印刷物においては、下塗塗膜層との付着性を向上させる観点から、活性エネルギー線硬化型インクは、以下の式(3):
Figure 0006967624
(式(3)中、Rは水素原子又はメチル基であり、nは1〜3の整数である。)で表されるラジカル重合性モノマー及び/又は以下の式(4):
Figure 0006967624
〔式(4)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rが炭素数2のアルキレン基である場合はnが2〜5の整数であり、Rが炭素数3のアルキレン基である場合はnが1〜3の整数であり、Rが炭素数4のアルキレン基である場合はnが1〜2の整数である。〕で表されるラジカル重合性モノマーを含むことが好ましい。
上記式(3)及び式(4)で表される化合物は、水酸基含有(メタ)アクリレートであるが、アクリロイルオキシ基(CH=CHCOO−)又はメタクリロイルオキシ基(CH=CCHCOO−)とヒドロキシ基の間に、ε−カプロラクトンの開環物に由来する構造又はエチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドに由来する構造を有しており、これによって、基材(下塗塗膜層)に対する印刷層の付着性を向上させることができる。このようなラジカル重合性モノマーの含有量は、インク組成物の全質量中0.5〜15質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることが更に好ましく、5〜10質量%あることが一層好ましい。
上記式(3)において、Rは水素原子又はメチル基であり、水素原子であることが好ましい。また、上記式(3)において、nは1〜3の整数であり、2〜3が好ましく、2が更に好ましい。なお、当該上記式(3)で表される化合物は、例えばヒドロキシエチルアクリレートを常法によりカプロラクトン変性することで得られるが、市販品を好適に使用できる。具体的には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとε−カプロラクトンとの反応物等が挙げられ、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記式(4)において、Rは水素原子又はメチル基であり、水素原子であることが好ましい。また、上記式(4)において、Rは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、炭素数2〜3のアルキレン基であることが好ましく、エチレン基(−CHCH−)であることが好ましい。更に、上記式(4)において、Rが炭素数2のアルキレン基である場合はnが2〜5の整数であり、Rが炭素数3のアルキレン基である場合はnが1〜3の整数であり、Rが炭素数4のアルキレン基である場合はnが1〜2の整数である。なお、上記式(4)において、Rが炭素数4のアルキレン基である場合は4−ヒドロキシブチルアクリレートが特に好適である。このような化合物は、例えばヒドロキシエチルアクリレートを常法によりアルキレンオキサイド変性することで得られるが、市販品を好適に使用できる。具体的には、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリオキシエチレンモノアクリレート、ポリオキシプロピレンモノアクリレート及びポリオキシブチレンモノアクリレート等が挙げられ、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
活性エネルギー線硬化型インクに用いる光重合開始剤は、活性エネルギー線を照射されることによって、上述した重合性化合物の重合を開始させる作用を有する。光重合開始剤の量は、インク中1〜25質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることが更に好ましく、3〜15質量%であることが一層好ましい。光重合開始剤の含有量が1質量%未満では、印刷層が硬化不良となることがあり、25質量%を超えると、低温時に析出物が発生してインクの吐出が不安定になることがある。更に、光重合開始剤の開始反応を促進させるため、光増感剤等の助剤を併用することも可能である。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物等が挙げられるが、硬化性の観点から、照射する活性エネルギー線の波長と光重合開始剤の吸収波長ができるだけ重複するものが好ましい。特に、光重合開始剤は、加熱時の耐黄変性を向上させる観点から、アシルホスフィンオキシド系開始剤を含むことが好ましい。アシルホスフィンオキサイド系開始剤は、活性エネルギー線照射による硬化に対して、他の開始剤よりも印刷膜が黄変しやすいものの、その後の加熱処理によって透明度が向上する。なお、光重合開始剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤の具体例としては、
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、
ベンゾフェノン、
1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、
2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、
フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、
2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、
2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、
ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、
2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、
1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、
エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、
2,4−ジエチルチオキサントン、
2−イソプロピルチオキサントン、
2−クロロチオキサントン等が挙げられる。
これらの中でも、インクの硬化性の観点から、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、及び2,4−ジエチルチオキサントンが好ましく、更には加熱時の耐黄変性を向上させる観点から、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、及び2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドが好ましく、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドが特に好ましい。
活性エネルギー線硬化型インクは、紫外線吸収剤もしくはラジカル捕捉剤のいずれか一方、又は紫外線吸収剤とラジカル捕捉剤の両方を含むことが好ましい。
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収し、紫外線による劣化を防止する作用を有する。紫外線吸収剤としては、シアノアクリレート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾエート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物、ベンジリデンカンファー系化合物、無機微粒子等が挙げられ、中でも、紫外線吸収がより短波長にあるヒドロキシフェニルトリアジン系化合物がインクの硬化性の観点から好ましい。硬化性の観点から、照射する活性エネルギー線の波長と紫外線吸収剤の吸収波長が出来るだけ重複しないものが好ましい。
紫外線吸収剤の具体例としては、
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルフォニックアシッド、
2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン−2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、
ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、
2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、
2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、
2―ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−(ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、
メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートとポリエチレングリコールとの縮合物、
2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2,6−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、
ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型インク中において、紫外線吸収剤の量は、耐候性の観点から、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは0.2〜5質量%の範囲内であることが好ましい。紫外線吸収剤の量が多すぎると、印刷層が十分に硬化しない可能性がある。紫外線吸収剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、紫外線吸収剤は、少なくとも2種の紫外線吸収剤を含有することが好ましい。構造が異なる複数種の紫外線吸収剤を用いることで、紫外線吸収剤の効果をより持続させることができる。
ラジカル捕捉剤は、フリーラジカル等を捕捉し、光安定性を向上させることができる。また、フリーラジカルと反応し、重合反応が起こることを防止する機能を有する物質(いわゆる重合禁止剤)も、ラジカル捕捉剤に含まれる。ラジカル捕捉剤としては、ヒンダードアミン系化合物、ハイドロキノン系化合物、フェノール系化合物、フェノチアジン系化合物、ニトロソ系化合物、N−オキシル系化合物等が挙げられ、特にヒンダードアミン系光安定化剤(HALS)が好ましい。
ラジカル捕捉剤の具体例としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−{2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ{4.5}デカン−2,4−ジオン等のヒンダードアミン系化合物、フェノール、o−、m−又はp−クレゾール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、6−t−ブチル−2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2−メチル−4−t−ブチルフェノール、4−t−ブチル−2,6−ジメチルフェノール等のフェノール系化合物、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2−メチル−p−ハイドロキノン、2,3−ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン4−メチルベンズカテキン、t−ブチルハイドロキノン、3−メチルベンズカテキン、2−メチル−p−ハイドロキノン、2,3−ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、ベンゾキノン、t−ブチル−p−ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン等のハイドロキノン系化合物、フェノチアジン等のフェノチアジン系化合物、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等のニトロソ系化合物、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−N−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−N−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−N−オキシル等のN−オキシル系化合物等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型インク中において、ラジカル捕捉剤の量は、耐候性の観点から、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、特に好ましくは0.2〜5質量%の範囲内であることが好ましい。ラジカル捕捉剤の量が多すぎると、硬化不良の原因となる可能性がある。ラジカル捕捉剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
活性エネルギー線硬化型インクは、通常、染料や顔料等の着色剤を含有するが、耐候性の観点から、顔料を含有することが好ましい。例えば、金属顔料やパール顔料を用いて、メタリックインクとすることも可能である。なお、着色剤の含有量は、例えばインク中0.1〜15質量%である。また、着色剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
着色剤の具体例としては、
C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、7、9、10、12、13、14、15、16、17、24、32、34、35、36、37、41、42、43、49、53、55、60、61、62、63、65、73、74、75、77、81、83、87、93、94、95、97、98、99、100、101、104、105、106、108、109、110、111、113、114、116、117、119、120、123、124、126、127、128、129、130、133、138、139、150、151、152、153、154、155、165、167、168、169、170、172、173、174、175、176、179、180、181、182、183、184、185、191、193、194、199、205、206、209、212、213、214、215、219、
C.I.Pigment Orange 1、2、3、4、5、13、15、16、17、19、20、21、24、31、34、36、38、40、43、46、48、49、51、60、61、62、64、65、66、67、68、69、71、72、73、74、81、
C.I.Pigment Red 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、21、22、23、31、32、38、41、48、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49、52、52:1、52:2、53:1、54、57:1、58、60:1、63、64:1、68、81:1、83、88、89、95、101、104、105、108、112、114、119、122、123、136、144、146、147、149、150、164、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、211、213、214、216、220、220、221、224、226、237、238、239、242、245、247、248、251、253、254、255、256、257、258、260、262、263、264、266、268、269、270、271、272、279、
C.I.Pigment Violet 1、2、3、3:1、3:3、5:1、13、15、16、17、19、23、25、27、29、31、32、36、37、38、42、50、
C.I.Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、16、17:1、24、24:1、25、26、27、28、29、36、56、60、61、62、63、75、79、80、
C.I.Pigment Green 1、4、7、8、10、15、17、26、36、50、
C.I.Pigment Brown 5、6、23、24、25、32、41、42、
C.I.Pigment Black 1、6、7、9、10、11、20、26、28、31、32、34、
C.I.Pigment White 1、2、4、5、6、7、11、12、18、19、21、22、23、26、27、28、
アルミニウムフレーク、ガラスフレーク、及び中空粒子等が挙げられる。
これらの中でも、印刷層の耐候性と色再現性の観点から、
C.I.Pigment Black 7、
C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.Pigment Blue 28、
C.I.Pigment Red 101、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 202、C.I.Pigment Red 254、C.I.Pigment Red 282、
C.I.Pigment Violet 19、
C.I.Pigment White 6、
C.I.Pigment Yellow 42、C.I.Pigment Yellow 120、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 139、C.I.Pigment Yellow 150、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 213が好ましい。
吐出安定性の観点から、インク中に分散している顔料粒子は、体積平均粒子径が0.05〜0.4μmであり且つ体積最大粒子径が0.2〜1μmであることが好ましい。体積平均粒子径が0.4μmより大きく且つ体積最大粒子径が1μmよりも大きいと、インクを安定に吐出することが困難となる傾向がある。なお、体積平均粒子径及び体積最大粒子径は、動的光散乱法を用いた測定機器によって測定できる。
活性エネルギー線硬化型インクは、顔料を分散させるために、必要に応じて顔料分散剤を更に含有してもよい。なお、顔料分散剤の含有量は、例えばインク中0.1〜5質量%である。また、顔料分散剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記顔料分散剤の具体例としては、
ANTI−TERRA−U、ANTI−TERRA−U100、
ANTI−TERRA−204、ANTI−TERRA−205、
DISPERBYK−101、DISPERBYK−102、
DISPERBYK−103、DISPERBYK−106、
DISPERBYK−108、DISPERBYK−109、
DISPERBYK−110、DISPERBYK−111、
DISPERBYK−112、DISPERBYK−116、
DISPERBYK−130、DISPERBYK−140、
DISPERBYK−142、DISPERBYK−145、
DISPERBYK−161、DISPERBYK−162、
DISPERBYK−163、DISPERBYK−164、
DISPERBYK−166、DISPERBYK−167、
DISPERBYK−168、DISPERBYK−170、
DISPERBYK−171、DISPERBYK−174、
DISPERBYK−180、DISPERBYK−182、
DISPERBYK−183、DISPERBYK−184、
DISPERBYK−185、DISPERBYK−2000、
DISPERBYK−2001、DISPERBYK−2008、
DISPERBYK−2009、DISPERBYK−2020、
DISPERBYK−2025、DISPERBYK−2050、
DISPERBYK−2070、DISPERBYK−2096、
DISPERBYK−2150、DISPERBYK−2155、
DISPERBYK−2163、DISPERBYK−2164、
BYK−P104、BYK−P104S、BYK−P105、
BYK−9076、BYK−9077、BYK−220S、BYKJET−9150、BYKJET−9151(以上、ビックケミー・ジャパン社製)、
Solsperse3000、Solsperse5000、
Solsperse9000、Solsperse11200、
Solsperse13240、Solsperse13650、
Solsperse13940、Solsperse16000、
Solsperse17000、Solsperse18000、
Solsperse20000、Solsperse21000、
Solsperse24000SC、Solsperse24000GR、
Solsperse26000、Solsperse27000、
Solsperse28000、Solsperse32000、
Solsperse32500、Solsperse32550、
Solsperse32600、Solsperse33000、
Solsperse34750、Solsperse35100、
Solsperse35200、Solsperse36000、
Solsperse36600、Solsperse37500、
Solsperse38500、Solsperse39000、
Solsperse41000、Solsperse54000、
Solsperse55000、Solsperse56000、
Solsperse71000、Solsperse76500、
SolsperseX300(以上、ルブリゾール社製)、
ディスパロンDA−7301、ディスパロンDA−325、ディスパロンDA−375、ディスパロンDA−234(以上、楠本化成社製)、
フローレンAF−1000、フローレンDOPA−15B、フローレンDOPA−15BHFS、フローレンDOPA−17HF、フローレンDOPA−22、フローレンDOPA−33、フローレンG−600、フローレンG−700、フローレンG−700AMP、フローレンG−700DMEA、フローレンG−820、フローレンG−900、フローレンGW−1500、フローレンKDG−2400、フローレンNC−500、フローレンWK−13E、(以上、共栄社化学社製)、
TEGO Dispers610、TEGO Dispers610S、
TEGO Dispers630、TEGO Dispers650、
TEGO Dispers652、TEGO Dispers655、
TEGO Dispers662C、TEGO Dispers670、
TEGO Dispers685、TEGO Dispers700、
TEGO Dispers710、TEGO Dispers740W、
LIPOTIN A、LIPOTIN BL、
LIPOTIN DB、LIPOTIN SB(以上、エボニック・デグサ社製)、
PB821、PB822、PN411、PA111(以上、味の素ファインテクノ社製)、
テキサホール963、テキサホール964、テキサホール987、テキサホールP60、テキサホールP61、テキサホールP63、テキサホール3250、テキサホールSF71、テキサホールUV20、テキサホールUV21(以上、コグニス社製)、
BorchiGenSN88、BorchiGen0451(以上、ボーシャス社製)等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化型インクは、濡れ性の向上等の観点から、表面調整剤を更に含有してもよい。本明細書において、表面調整剤とは、分子構造中に親水性部位と疎水性部位を有し、添加することによりインクの表面張力を調整し得る物質のことを意味する。
活性エネルギー線硬化型インクに使用できる表面調整剤としては、具体的に、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性表面調整剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性表面調整剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性表面調整剤、アクリル系表面調整剤、シリコン系表面調整剤、およびフッ素系表面調整剤などが挙げられる。特に、シリコン系表面調整剤、アクリル系表面調整剤であることが好ましく、ビックケミー社、エボニック社、東レ・ダウコーニング社等の市販品を使用することができる。さらにシリコン系表面調整剤の場合、ポリエーテル変性シリコーンオイルであり、かつHLBが7.6〜12であることが好ましい。
活性エネルギー線硬化型インク中における表面調整剤の量は、使用目的により適宜選択し得るが、例えばインク中0.01〜1質量%であることが好ましい。表面調整剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記表面調整剤の具体例としては、
BYK−300、BYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−313、BYK−315N、BYK−320、BYK−322、BYK−323、BYK−325、BYK−326、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−342、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349、BYK−350、BYK−354、BYK−355、BYK−356、BYK−358N、BYK−361N、BYK−370、BYK−375、BYK−377、BYK−378、BYK−381、BYK−392、BYK−394、BYK−399、BYK−3440、BYK−3441、BYK−3455、BYK−3550、BYK−3560、BYK−3565、BYK−3760、BYK−DYNWET 800N、BYK−SILCLEAN 3700、BYK−SILCLEAN 3701、BYK−SILCLEAN 3720、BYK−UV3500、BYK−UV3505、BYK−UV3510、BYK−UV3530、BYK−UV3535、BYK−UV3570、BYK−UV3575、BYK−UV3576(以上、ビックケミー・ジャパン社製)、
TEGO Flow 300、TEGO Flow 370、TEGO Flow 425、TEGO Flow ATF 2、TEGO Flow ZFS 460、TEGO Glide 100、TEGO Glide 110、TEGO Glide 130、TEGO Glide 406、TEGO Glide 410、TEGO Glide 411、TEGO Glide 415、TEGO Glide 432、TEGO Glide 435、TEGO Glide 440、TEGO Glide 450、TEGO Glide 482、TEGO GlideA 115、TEGO GlideB 1484、TEGO GlideZG 400(以上、エボニック ジャパン社製)、
501W ADDITIVE、FZ−2104、FZ−2110、FZ−2123、FZ−2164、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2215、FZ−2222、FZ−5609、L−7001、L−7002、L−7604、OFX−0193、OFX−0309 FLUID、OFX−5211 FLUID、SF 8410 FLUID、SH3771、SH 3746 FLUID、SH 8400 FLUID、SH 8700 FLUID、Y−7006(以上、東レ・ダウコーニング社製)、
KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−640、KF−642、KF−643、KF−644、KF−945、KF−6004、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017、KF−6020、KF−6204、X−22−2516、X−22−4515(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
これらの中でも、構造およびHLBの観点から、501W ADDITIVE、FZ−2104、FZ−2123、FZ−2215、L−7002、OFX−0309 FLUID、OFX−5211 FLUID、SH 8400 FLUID、KF−351A、KF−353、KF−355A、KF−615A、KF−642、KF−644、KF−6004、KF−6011、KF−6204が好ましい。
活性エネルギー線硬化型インクは、その他の成分として、酸化防止剤、可塑剤、防錆剤、溶剤、非反応性ポリマー、充填剤、消泡剤、荷電制御剤、応力緩和剤、浸透剤、導光材、光輝材、磁性材、蛍光体等の添加剤を必要に応じて使用してもよい。
活性エネルギー線硬化型インクは、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合し、必要に応じて、使用するインクジェットプリントヘッドのノズル径の約1/10以下のポアサイズを持つフィルターを用い、得られた混合物を濾過することによって、調製できる。
活性エネルギー線硬化型インクは、その40℃における粘度が、5〜25mPa・sであることが好ましく、5〜20mPa・sであることが更に好ましい。40℃におけるインク粘度が上記特定した範囲内にあれば、良好な吐出安定性が得られる。なお、インク粘度は、コーンプレート型粘度計を用いて測定できる。
活性エネルギー線硬化型インクは、その25℃における表面張力が20〜35mN/mであることが好ましく、23〜33mN/mであることが更に好ましい。25℃におけるインク表面張力が上記特定した範囲内にあれば、良好な吐出安定性が得られる。なお、インク表面張力は、プレート法により測定できる。
印刷層形成工程において、印刷は、インクジェット印刷方式にて行われることが好適であるものの、これに限定されず、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、フレキソ印刷方式、スクリーン印刷方式、コーター方式等の各種印刷方法によって行うことも可能である。
本明細書において、印刷とは、印刷手段によって対象の上にインクを適用することを意味し、対象に色付けや、文字や画像等を描くことを目的とするものに制限されず、対象の表面を被覆することを目的としたり、対象に表面処理を行うことを目的としたりすることも含まれる。なお、本明細書において、インクジェット印刷方式に用いるためのインクをインクジェットインクともいう。
インクジェット印刷には、種々のインクジェットプリンタを使用することができる。インクジェットプリンタとしては、例えば、荷電制御方式又はピエゾ方式によりインク組成物を噴出させるインクジェットプリンタが挙げられる。また、大型インクジェットプリンタ、具体例としては工業ラインで生産される物品への印刷を目的としたインクジェットプリンタも好適に使用できる。
印刷層形成工程において、インク層の硬化は、好ましくは350nm以上400nm以下の範囲内にピーク波長を有する光の照射によって行われる。ここで、光源としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ等を使用できるが、LEDランプが好ましい。また、インク層を硬化させるために照射する活性エネルギー線の波長は、光重合開始剤の吸収波長と重複していることが好ましい。なお、活性エネルギー線の積算光量は100〜2000mJ/cmの範囲にあることが好ましい。
本発明の印刷物は、更に、表面保護層を備えていてもよい。ここで、表面保護層は、印刷層形成工程で得られた印刷層を覆うように表面保護層を形成する工程により形成できる。本明細書において、この工程を表面保護層形成工程という。
本発明の印刷物において、表面保護層は、少なくとも印刷層を覆うように形成されている。基材や下塗塗膜層などの表面の一部に印刷層が存在しない箇所がある場合には、表面保護層は、基材や下塗塗膜層などの表面に形成されてもよい。
表面保護層は、耐候性の観点から、紫外線吸収剤もしくはラジカル捕捉剤のいずれか一方、又は紫外線吸収剤とラジカル捕捉剤の両方を含むことが好ましい。また、表面保護層は、必要に応じて、樹脂、着色剤、酸化防止剤、可塑剤、防錆剤、充填剤、荷電制御剤、導光材、光輝材、磁性材、蛍光体、ワックス等を含むことができる。
表面保護層は、例えば、塗料又はインクによって形成される。表面保護層用の塗料及びインクには、主溶媒として有機溶剤を用いる有機溶剤系塗料及びインク、主溶媒として水を用いる水系塗料及びインク、重合性化合物を用いる光硬化型塗料及びインク、粉体塗料等の各種塗料及びインクが利用可能である。本発明の印刷物において、表面保護層は、活性エネルギー線硬化型インクにより形成されることが好ましい。表面保護層用の活性エネルギー線硬化型インクに使用できる成分としては、上述した印刷層形成工程に用いる活性エネルギー線硬化型インクに使用できる成分等が挙げられる。表面保護層の形成には、上述した下塗塗膜層や印刷層の形成と同様に、各種塗装手段、印刷手段及び硬化手段を用いることができる。
表面保護層用の活性エネルギー線硬化型インクはクリアインクであることが好ましい。本明細書において、クリアインクは、厚さ30μmの膜を形成した際の波長380〜800nmの範囲における光線透過率が80%以上である。本明細書において、光線透過率は、JIS K7361−1:1997「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法−第1部:シングルビーム法」に準拠して測定される。
表面保護層用の活性エネルギー線硬化型インクは、インクジェット印刷の吐出条件やその後の硬化条件を適宜選択することで、グロス調、マット調等の表面仕上げ加工を行うことができる。例えば、インクを吐出し、時間を置いてから(インクが拡がった後に)硬化すれば印刷物の表面をグロス調に仕上げることができ、また、インクドットがレンズ状のまま(インクドットが独立したまま)硬化すれば印刷物の表面をマット調に仕上げることができる。また、クリア層に厚盛部分を形成することで、下地に施された意匠に合わせて、質感や立体感を付与することも可能である。クリア層に厚盛部分を形成するためには、インクの吐出量を多くしたり、クリア層を積層したりする手法が挙げられる。更に、レンチキュラー印刷を行うことも可能である。例えば、2色以上からなる印刷層上にドーム状にクリアインクを吐出し、クリア層を形成することで、見る角度により画像が変化する印刷物を提供することができる。
表面保護層は、クリア層であることが好ましく、その厚さが30μmである場合に波長380〜800nmの範囲の光線透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
表面保護層は、その厚さが5〜400μmの範囲内にあることが好ましく、表面保護層内の最小厚さと最大厚さの差が50μm以上であることが好ましい。
本発明の印刷物の製造方法は、上述のとおり、基材表面に下塗塗膜層を形成する工程(塗膜形成工程)と、下塗塗膜層上に印刷層を形成する工程(印刷層形成工程)とを含む。
本発明の印刷物の製造方法において、塗膜形成工程は、耐熱性の基材表面を下塗り塗料で塗装した後に、焼付硬化させて下塗塗膜層を形成する工程である。ここで、下塗塗膜層は、基材表面の一部又は全体に形成される。本発明の印刷物の製造方法において、塗膜形成工程の詳細については、本発明の印刷物において説明したとおりである。
本発明の印刷物の製造方法において、印刷層形成工程は、塗膜形成工程で得られた下塗塗膜層の表面に、活性エネルギー線硬化型インクで印刷を行った後に、活性エネルギー線の照射により硬化させて印刷層を形成する工程である。印刷層形成工程では、活性エネルギー線硬化型インクを用いて、少なくとも下塗塗膜層の表面の一部又は全体に印刷を行う。本発明の印刷物の製造方法において、印刷層形成工程の詳細については、本発明の印刷物において説明したとおりである。
本発明の印刷物の製造方法は、更に、表面保護層形成工程を含むことができる。表面保護層形成工程において、表面保護層は、少なくとも印刷層を覆うように形成されている。基材や下塗塗膜層などの表面の一部に印刷層が存在しない箇所がある場合には、表面保護層は、基材や下塗塗膜層などの表面に形成されてもよい。本発明の印刷物の製造方法において、表面保護層形成工程の詳細については、本発明の印刷物において説明したとおりである。
本発明の印刷物の製造方法は、更に、印刷層形成工程で得られた印刷層を備える印刷物(即ち、基材上に下塗塗膜層及び印刷層を備える印刷物)又は表面保護層形成工程で得られる表面保護層を備える印刷物(即ち、基材上に下塗塗膜層、印刷層及び表面保護層を備える印刷物)を加熱する工程(加熱処理工程)を含むことができる。これにより、印刷層や表面保護層の臭気やべたつきの問題を解決することができ、また、印刷層や表面保護層の付着性も改善することができる。ここで、加熱処理は、例えば70℃〜300℃の範囲内で行われる。
以下に、本発明の方法について、実施例及び比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例における「部」、「%」はとくに断らない限り質量を基準とする。
<アクリル樹脂の合成>
(樹脂1)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下槽が備わった反応容器に、ブタノール 20部、T−SOL100FLUID(東燃ゼネラル石油社製、芳香族系混合溶剤) 5部、及びキシレン 5.75部を入れ、加熱撹拌し、110℃に達してから、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド 7.5部、スチレン 21.3部、アクリル酸ブチル 13.2部、メタクリル酸メチル 7部、アクリル酸 1部、及びナイパーBMT−K40(日油社製、有機過酸化物の混合物) 0.9部を予め混合した混合物を滴下槽に入れ、4時間かけて滴下した。
滴下終了後、滴下槽をT−SOL100FLUID 1部で洗浄し、110℃を保持したまま、ナイパーBMT−K40 1部、及びT−SOL100FLUID 1.5部を予め混合した混合物を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、滴下槽をT−SOL100FLUID 0.5部で洗浄し、更に、110℃で1.5時間撹拌を続けた後、冷却した。その後、T−SOL100FLUID 14.35部を加えて攪拌し、式(2)で表される官能基を有する自己架橋型アクリル樹脂1(以下、これを単に「樹脂1」などと表わす場合がある。)を得た(表1)。
(樹脂2、および3)
樹脂1の場合と同様の手順で、以下の表1に示した配合で各原料を反応容器に入れて反応を行い、目的とする式(2)で表される官能基を有しない自己架橋型アクリル樹脂2、および非自己架橋型アクリル樹脂3を得た。
Figure 0006967624
<下塗り塗料の調製>
以下の表2に示した配合に従って、撹拌しながら混合物を調製し、充分均質にして、下塗り塗料1〜13(以下、これを単に「塗料1」等と表す場合がある。)を得た。
Figure 0006967624
<活性エネルギー線硬化型インクジェットインクの調製>
以下の表3に示す各色のインク配合処方に従って各原料を混合し、得られた混合物をビーズミルで練合して均質にし、最後にフィルターで濾過して、各色の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク1、および2を得た。表3中の配合処方は質量部で示される。
得られた各色のインクについて、粘度、表面張力、4℃の水に対する比重を測定した。
Figure 0006967624
<下塗塗膜層のゲル分率の測定>
上記表1に従って調製した下塗り塗料1〜13を、それぞれエアスプレーを用いてSUS304板に塗装し、次いで、それらを表4に記載の下塗り塗料焼付条件で焼付硬化させることにより、膜厚約15μmの下塗塗膜層を得た。その後、該SUS304板から塗膜を剥離し、塗膜の質量(Wc)を測定した。その後、該塗膜をテトラヒドロフランに浸漬し、25℃で48時間放置した後に、200メッシュのステンレススチール製金網で濾過した残渣塗膜を110℃で60分間乾燥し、残渣塗膜の質量(Wd)を測定し、下記の式に従ってゲル分率(質量%)を求めた。
ゲル分率(質量%)=(Wd/Wc)×100
<鉛筆硬度>
上記表1に従って調製した下塗り塗料1〜13を、それぞれエアスプレーを用いてSUS304板に塗装し、次いで、それらを表4に記載の下塗り塗料焼付条件で焼付硬化させることにより、膜厚約15μmの下塗塗膜層を得た。
得られたそれぞれの下塗塗膜層に対して、JIS K5600−5−4(鉛筆法)に準拠して試験を行い、下記の基準に従って、鉛筆硬度を評価した。
◎:H以上
○:F
△:HB
×:B以下
<耐汚染性>
上記表1に従って調製した下塗り塗料1〜13を、それぞれエアスプレーを用いてSUS304板に塗装し、次いで、それらを表4に記載の下塗り塗料焼付条件で焼付硬化させることにより、膜厚約15μmの下塗塗膜層を得た。
得られたそれぞれの下塗塗膜層に対して、油性黒マーカーで色付けした後、ブタノールを染み込ませた布を用いてマーカーを拭き取った。拭き取り面の状態を、下記の基準に従って、目視で確認し、耐汚染性を評価した。
◎:油性マーカーの色付けした箇所を判別できない
○:油性マーカーの着色はないが、色付けした箇所を判別できる
×:油性マーカーの着色が残る
<付着性>
先ず、上記表1に従って調製した下塗り塗料1〜13を、それぞれエアスプレーを用いてSUS304板に塗装し、次いで、それらを表4に記載の下塗り塗料焼付条件で焼付硬化させることにより、膜厚約15μmの下塗塗膜層をそれぞれ得た。その後、得られたそれぞれの下塗塗膜層の表面に、上記表3で調製した活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを搭載したインクジェットプリンタを用いて、インクセット1、および2それぞれ各色のベタ画像を印刷し、その後、発光主波長が385nmの紫外線LEDランプを用いて活性エネルギー線を照射してインクを硬化させ、膜厚約8μmの印刷層を形成した。なお、下塗り塗料と活性エネルギー線硬化型インクジェットインクの組み合わせは、表4に示される。
そして、JIS K5600−5−6(クロスカット法)に準拠し、それぞれの印刷層を1mm間隔100マスの碁盤目状にカットし、粘着テープを用いて剥離試験を行い、剥離試験後の残存率を求め、下記の基準に従って、付着性を評価した。
◎:100/100(試験後に残ったカット部分の数/試験前のカット部分の総数)
○:95/100〜99/100
△:85/100〜94/100
×:84/100以下
<評価結果>
上記の評価結果を、表4に示した。
Figure 0006967624
表4の評価結果から明らかなように、所定のイミノ基タイプのアミノ樹脂を含有した実施例1〜14は、下塗塗膜層の耐汚染性、および鉛筆硬度に優れ、かつ印刷層のインクとの付着性に優れる結果であった。しかし、所定のイミノ基タイプのアミノ樹脂を含有しない比較例1、および2では上記の結果に劣った。
また、上記付着性の試験についての実施例1〜14での比較おいて、評価結果が十分ではなかった実施例7で得られた印刷物を160℃/20分という条件で後焼付の工程を行った実施例15では、付着性が向上する結果が得られた。

Claims (7)

  1. 耐熱性の基材表面に、イミノ基タイプのアミノ樹脂を塗膜形成樹脂として含有する下塗塗膜層と着色剤を含有する活性エネルギー線硬化型インクから形成される印刷層を有する印刷物であって、前記下塗塗膜層が、さらに自己架橋型アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂、及びポリエステルポリオール樹脂よりなる群から選ばれる1種類以上の塗膜形成樹脂を含むことを特徴とする印刷物。
  2. 前記下塗塗膜層に含まれる全樹脂中における前記イミノ基タイプのアミノ樹脂の量が3〜20質量%の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の印刷物。
  3. 前記自己架橋型アクリル樹脂が、下記式(1)
    Figure 0006967624
    (式中、Rは、水素原子又は炭素数が1〜8のアルキル基であり、Rは、水素原子又はメチル基である)で表される(メタ)アクリルモノマーの重合体、及び/又は上記式(1)で表される(メタ)アクリルモノマーと該(メタ)アクリルモノマー以外のエチレン性不飽和基を有するモノマー及び/又はオリゴマーとを共重合させたアクリル樹脂共重合体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の印刷物。
  4. 前記活性エネルギー線硬化型インクが、下記式(3):
    Figure 0006967624
    (式(3)中、Rは水素原子又はメチル基であり、nは1〜3の整数である。)で表されるラジカル重合性モノマー及び/又は下記式(4):
    Figure 0006967624
    (式(4)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rが炭素数2のアルキレン基である場合はnが2〜5の整数であり、Rが炭素数3のアルキレン基である場合はnが1〜3の整数であり、Rが炭素数4のアルキレン基である場合はnが1〜2の整数である。)で表されるラジカル重合性モノマーを含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の印刷物。
  5. 前記下塗塗膜層のゲル分率が75%以上であることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の印刷物。
  6. 耐熱性の基材表面を、イミノ基タイプのアミノ樹脂を塗膜形成樹脂として含有する下塗り塗料で塗装した後に、焼付硬化させて下塗塗膜層を形成し、次いで、当該形成された下塗塗膜層の表面に、着色剤を含有する活性エネルギー線硬化型インクで印刷を行った後に、活性エネルギー線の照射により硬化させて印刷層を形成する、印刷物の製造方法であって、前記下塗塗膜層が、さらに自己架橋型アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂、及びポリエステルポリオール樹脂よりなる群から選ばれる1種類以上の塗膜形成樹脂を含むことを特徴とする印刷物の製造方法。
  7. 前記硬化した印刷層を備える印刷物を70〜300℃の範囲内で加熱することを特徴とする、請求項に記載の印刷物の製造方法。
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