JP6964306B2 - 圧電材料、その製造方法、圧電素子および燃焼圧センサ - Google Patents

圧電材料、その製造方法、圧電素子および燃焼圧センサ Download PDF

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Description

本発明は、圧電材料、その製造方法、圧電素子および燃焼圧センサに関し、詳細には、ランガサイトの結晶構造と同一の結晶構造を有する結晶からなる圧電材料、その製造方法、ならびに、それを用いた圧電素子および燃焼圧センサに関する。
燃費向上およびCO/NO削減のため、内燃機関を有する自動車などの研究開発が行われてきた。近年、この目的のため、内燃機関に搭載される燃焼圧センサが注目されている。燃焼圧センサは、トルク変動を直接検知するので、低トルク変動と低CO/NOとの両方を達成し得るとのことから、燃費向上およびCO/NO削減が期待されている。
このような燃焼圧センサは、圧電材料から構成されるが、圧電材料として、LaGaSiO14(ランガサイト)、ランガサイトの結晶構造と同一の結晶構造を有するランガサイト型結晶などが知られている。
ランガサイトおよびランガサイト型結晶は、融点まで相転移を生じず、焦電性を有さないことから、高温での特性劣化が少なく、焦電性に由来する温度変化に対応した起電力発生などの電気信号擾乱や焦電電圧による絶縁破壊の恐れもない、という特徴を有する。しかしながら、これらランガサイトおよびランガサイト型結晶においても、車載用燃焼圧センサに用いるためには、高温での電気抵抗率は十分でない。
最近、ランガサイト型結晶の中でも、CaTaAlSi14(CTAS)が、高温センシング用途に好ましい材料として注目されており、高温における高い電気抵抗率および良好な圧電特性を示すCTASが報告されている(例えば、非特許文献1を参照)。
一方、CTASのCaをSrで置換することによって、CTASの圧電特性をさらに向上させることが期待されている。例えば、非特許文献2では、CTASのCaが100%Srで置換された組成を有するSrTaAlSi14(STAS)について、その結晶構造や圧電定数d11等の圧電特性をシミュレーションした結果が報告されている。
しかしながら、これまでにSTASを実際に作製し、その圧電特性を確認した報告例はない。また、非特許文献2にはSTASについて記載されているのみであり、CTASのCaをSrで置換する割合と圧電特性の関係等については何ら記載されておらず、さらなる研究の余地があった。
X.W.Fuら, Cryst. Growth Des., 16, 2151(2016) Yan−qing ZHENGら, "Advances in design, growth and application of piezoelectric crystals with langasite strucure", IEEE 2012
本発明の課題は、燃焼圧センサ用の圧電材料、その製造方法およびそれを用いた燃焼圧センサを提供することである。
本発明による圧電材料は、SrとCaとTaとAlとSiとOとを含有する結晶からなる圧電材料であって、前記結晶は、LaGaSiO14で表されるランガサイトの結晶構造と同一の結晶構造を有し、前記結晶は、一般式SrCa3−xTaAlSi14で表され、パラメータxは0<x<3であり、これにより上記課題を解決する。
前記結晶は、単結晶であってもよい。
前記パラメータxは、0<x≦1.5であってもよい。
前記結晶の400℃における電気抵抗率は、1.0×1010Ω・cm以上9.0×1010Ω・cm以下の範囲であってもよい。
前記結晶の400℃における電気抵抗率は、3.0×1010Ω・cm以上9.0×1010Ω・cm以下の範囲であってもよい。
本発明による上述の圧電材料の製造方法は、SrとCaとTaとAlとSiとOとを含有する原料を溶融するステップと、前記溶融するステップで得られた前記原料の融液に種結晶を接触させ、引き上げるステップとを包含し、前記溶融するステップおよび前記引き上げるステップは、不活性ガス下で行われ、前記原料は、前記原料中のSrとCaとTaとAlとSiとが、関係Sr:Ca:Ta:Al:Si=x:(3−x):1:3:2(原子数比)を満たすように調製され、これにより上記課題を解決する。
前記不活性ガス中の酸素含有量は、0体積%以上1.5体積%以下の範囲を満たしてもよい。
前記不活性ガス中の酸素含有量は、0.5体積%以上であってもよい。
前記原料は、Ir製ルツボに充填され、前記溶融するステップおよび前記引き上げるステップは、酸素含有量が0体積%以上1.2体積%以下の範囲を満たす不活性ガス下で行われてもよい。
また、不活性ガスまたは大気中で熱処理するステップをさらに包含してもよい。
前記熱処理するステップは、不活性ガス中、1150℃以上1250℃以下の温度範囲で、2時間以上24時間以下の時間行ってもよい。
本発明による圧電材料を備えた圧電素子は、前記圧電材料が上述の圧電材料であり、これにより上記課題を解決する。
本発明による圧電素子を備えた燃焼圧センサは、前記圧電素子が上述の圧電素子であり、これにより上記課題を解決する。
本発明による圧電材料は、SrとCaとTaとAlとSiとOとを含有する結晶からなり、LaGaSiO14で表されるランガサイトの結晶構造と同一の結晶構造を有し、一般式SrCa3−xTaAlSi14で表され、パラメータxは0<x<3であるので、ランガサイト結晶と同様に、融点まで相転移がなく、焦電性を有さないので、高温で特性劣化が少なく、高温で使用する圧電素子に有利である。さらに、本発明による圧電材料は、400℃における電気抵抗率は、1.0×1010Ω・cmを超える結晶である。この結果、高温で使用される内燃機関等において、圧電素子が搭載された燃焼圧センサに有利である。
本発明の単結晶からなる圧電材料の製造方法に用いる単結晶育成装置の模式図 本発明の圧電素子を示す模式図 実施例1のSCTAS単結晶の観察結果を示す図 実施例1のSCTAS単結晶の粉末X線回折チャートを示す図 実施例1のSCTAS単結晶の透過スペクトルを示す図 実施例1のSCTAS単結晶および比較例1のCTAS単結晶の電気抵抗率の温度依存性を示す図
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の番号を付し、その説明を省略する。
まず、本発明の圧電材料およびその製造方法について説明する。
本発明の圧電材料は、SrとCaとTaとAlとSiとOとを含有する結晶からなる。この結晶は、LaGaSiO14で表されるランガサイトの結晶構造と同一の結晶構造を有する。詳細には、この結晶は、三方晶系の結晶構造を有し、点群32および空間群P321に属する。このように、本発明の圧電材料を構成する結晶(単に、本発明の結晶と呼ぶ)が、ランガサイトの結晶構造と同一の結晶構造を有するので、ランガサイトと同様に、融点まで相転移がなく、焦電性を有さないので、高温での特性劣化が少ない。さらに、本発明の結晶は、ランガサイトの結晶構造と同一の結晶構造を有するので、ランガサイトと同様に、高い圧電定数を有する。これにより、本発明の結晶は、高温で使用する圧電素子に有利である。
本発明の結晶は、一般式SrCa3−xTaAlSi14で表され、パラメータxは0<x<3である。なお、本明細書において、本発明の結晶をSCTAS結晶と呼ぶ場合がある。パラメータxの値は、SCTAS結晶の用途等に応じた所望の特性、SCTAS結晶の製造の容易さの観点等を踏まえて適宜設定され得るが、好ましい範囲を例示すると、例えば、0.001≦x≦2.999の範囲、0.001≦x≦2.0の範囲、0.01≦x≦1.5の範囲、0.01≦x≦1.0の範囲などが挙げられる。例えば、圧電特性により優れた(例えば、所定の条件でより大きい圧電定数d11の値を示す)SCTAS結晶とする観点からは、xの値が3により近いことが好ましく考慮され得る。一方、安定した品質でかつ安全にSCTAS結晶を製造する観点からは、xの値を1.5以下とすることが好ましく考慮され得る。この場合、xの値としては、例えば、x=1.5、1.0、0.75、0.5、0.25、0.1、0.075、0.05、0.025、0.001が挙げられるが、これらに限定されない。
さらに、本発明の圧電材料は、400℃における電気抵抗率は、1.0×1010Ω・cmを超える。電気抵抗率の測定は、例えば、三端子法によって行えばよい。この値は、高温で使用される内燃機関等において、圧電素子が搭載された燃焼圧センサの仕様をクリアするものである。
本発明の結晶は、好ましくは、単結晶である。これにより、上述の優れた圧電特性および優れた電気抵抗率を達成できる。
次に、本発明の結晶からなる圧電材料の例示的な製造方法を説明するが、一例に過ぎないことに留意されたい。以下では、チョクラルスキー法(CZ法)により本発明の結晶、とりわけ単結晶を製造する場合を説明する。
図1は、本発明の単結晶からなる圧電材料の製造方法に用いる単結晶育成装置の模式図である。
図1には、単結晶の製造に用いられる結晶引上げ炉20が示されている。結晶引上げ炉20は、イリジウム(Ir)製または白金(Pt)製ルツボ21と、ルツボ21を収容するセラミック製の筒状容器22と、筒状容器22の周囲に巻回される高周波コイル23とを主として備えている。高周波コイル23は、ルツボ21に誘導電流を生じさせ、ルツボ21を加熱する。結晶引上げ炉20を用いたCZ法により、上述した圧電材料となる単結晶を育成する。製造工程を詳述する。
ステップS110:SrとCaとTaとAlとSiとOとを含有する原料を溶融する。
まず、SrCO粉末、CaCO粉末、Ta粉末、Al粉末、およびSiO粉末を乾式混合して、原料粉末を大気中で焼成し、SrとCaとTaとAlとSiとOとを含有する原料を調製する。原料粉末の配合率は、SrとCaとTaとAlとSiとが、関係Sr:Ca:Ta:Al:Si=x:(3−x):1:3:2(原子数比)を満たすように調製されており、焼成体もまた、同じ原子数比を満たす。これにより、最終的に得られる単結晶は、ランガサイトの結晶構造と同一結晶構造を有することができる。なお、原料粉末の種類はこれに限定されないが、入手可能な点、取扱いが容易であることから上述の酸化物、炭酸塩が好ましい。
次に、上記焼成体をルツボ21に充填する。高周波コイル23に高周波電流を印加して、ルツボ21を加熱し、ルツボ21内の焼成体を室温から、原料粉末を溶融可能な温度まで加熱する。これにより、焼成体が溶融し、融液24が得られる。
ステップS120:ステップS110で得られた原料の融液に種結晶を接触させ、引き上げる。
融液24に接触させる種結晶は、例えば、棒状の結晶引き上げ軸として用いる種結晶25である。種結晶25としては、例えば、LaGaSiO14で表されるランガサイト、CaTaAlSi14(CTAS)、CaTaGaSi14(CTGS)などのランガサイト型単結晶を用いることができる。
種結晶25の先端を融液24に接触させた後、種結晶25を所定の回転数で回転させながら、所定の引上げ速度で引き上げる。種結晶25の回転数は、好ましくは3〜50rpmとし、より好ましくは10〜15rpmとする。種結晶25の引き上げ速度は、好ましくは0.1〜10mm/hとし、より好ましくは0.3〜0.8mm/hとする。
ステップS110およびステップS120は、不活性ガス下で行われるが、不活性ガス中の酸素含有量は、0体積%以上1.5体積%以下の範囲を満たす。1.5体積%を超える酸素を含有する場合、酸素量が多すぎて、ルツボの酸化が大きくなる/酸素欠陥を制御できないので、400℃において1.0×1010Ω・cmを超える電気抵抗率を有する単結晶が得られない。また、不活性ガスは、N、あるいは、He、Ne、Ar等の希ガスを用いることができるが、好ましくは、含有される酸素量を制御する観点からNが有利である。不活性ガス中の酸素含有量は、好ましくは0.5体積%以上である。これにより、ルツボの酸化が抑制され、酸素欠陥が所定量に制御されるので、高い電気抵抗率を達成できる。酸素含有量は、より好ましくは、1体積%以上である。なお、結晶引き上げ炉20のルツボ21等を密閉ハウジング中に密閉し、雰囲気制御をしてもよい。
好ましくは、本発明の製造方法においては、ルツボ21としてIr製ルツボを採用し、ステップS110およびステップS120が、酸素含有量0体積%以上1.2体積%以下の範囲を満たす不活性ガス下で行われる。これにより、特に高い電気抵抗率を達成できる。Pt製ルツボよりもIr製ルツボを用いることにより、不純物の影響を低減し、良質な単結晶が得られる。
このように種結晶25を引き上げることにより、種結晶25の先端にバルク状の育成結晶26を得ることができる。育成結晶26は、上述したSrとCaとTaとAlとSiとOとを含有し、ランガサイトの結晶構造と同一の結晶構造を有する単結晶からなる圧電材料である。得られた育成結晶26を所望の大きさに切り出すことにより、後述する圧電素子に用いることができる。
以上の工程により、本発明の単結晶からなる圧電材料である育成結晶26を容易に製造することができるとともに、育成結晶26の大型化も容易に実現できる。
なお、本発明の単結晶は、図1を参照して説明したCZ法に限らず、Edge Defined Film Fed Growth Method(EFG法)、ブリッジマン法、フローティングゾーン法(FZ法)、ベルヌーイ法等の液相成長法によって得ることができる。
得られた単結晶を窒素などの不活性ガス中、あるいは、大気中で熱処理することにより、さらに、電気抵抗率を向上させることができる。熱処理条件は、不活性ガス中、あるいは、大気中で、単結晶育成温度を下回る温度において、2時間以上24時間以下の範囲で行われる。これにより、SCTAS単結晶の電気抵抗率が向上する。より好ましくは、熱処理条件は、不活性ガスとして窒素中、1150℃以上1250℃以下の温度範囲で、2時間以上24時間以下の範囲で行われる。これにより、単結晶中の酸素欠陥が制御され、電気抵抗率が確実に向上する。
次に、本発明の圧電材料を用いた圧電素子について説明する。
図2は、本発明の圧電素子を示す模式図である。
圧電素子200は、本発明の圧電材料210を備える。圧電材料210は、上述した結晶からなる圧電材料であるため、説明を省略する。図2では、圧電材料は単結晶であるものとする。圧電材料210の一面には電極220が、対向する面に電極230が付与されている。なお、電極220および230は、圧電材料210を構成する単結晶のy面に配置されている。圧電素子200の圧電材料210y面に対し垂直方向に応力が印加されると、電荷が発生し、電極220および230を介して出力される。本発明の圧電素子200は、上述した単結晶からなる圧電材料を備えるので、高い圧電定数のみならず、高温においても高い電気抵抗率を備える。したがって、このような圧電素子200を適切なハウジングに組み込み、内燃機関のような高温になる燃焼室内に設置すれば、燃焼圧センサとして機能する。すなわち、エンジンのシリンダに取り付け、エンジンの燃焼圧を微小な電荷の変化として検出することができる。ただし、デバイスの設計において必ずしもy面に限定されるものではない。
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
[実施例1]
実施例1では、一般式SrCa3−xTaAlSi14のパラメータxが0.75である、SCTAS単結晶からなる圧電材料を、図1を参照して説明したCZ法により製造した。
まず、SrとCaとTaとAlとSiとOとを含有する原料を調製した。具体的には、純度99.99%の炭酸ストロンチウム(SrCO)原料粉末(44.583g)と、純度99.99%の炭酸カルシウム(CaCO)原料粉末(90.668g)と、純度99.99%の酸化タンタル(Ta)原料粉末(88.955g)と、純度99.99%の酸化アルミニウム(Al)原料粉末(61.576g)と、純度99.99%の二酸化ケイ素(SiO)原料粉末(48.377g)とを乾式混合し、アルミナルツボに配置し、焼成体を得た。
混合した原料粉末中のSrとCaとTaとAlとSiとは、Sr:Ca:Ta:Al:Si=0.75:2.25:1:3:2(原子比)を満たした。焼成の温度プロファイルは、0℃から1260℃まで8時間かけて昇温し、1260℃の温度で25時間保持し、その後、0℃まで8時間かけて降温した。得られた焼成体の粉末X線回折を行ったところ、ランガサイトの結晶構造と同一の結晶構造であり、単相で得られていることが確認された。また、得られた焼成体中のSrとCaとTaとAlとSiとは、Sr:Ca:Ta:Al:Si=0.75:2.25:1:3:2(原子比)を満たすことを確認した。このようにして得た焼成体をSrとCaとTaとAlとSiとOとを含有する原料として用いた。
このようにして得た焼成体をIr製ルツボに充填し、溶融した(ステップS110)。ルツボの形状は円筒形であり、直径は約50mm、高さは約50mmであった。
次に、融液に、CaTaGaSi14で表されるCTGSの角棒状の種結晶(サイズ:2mm×2mm×40mm、a軸)の先端を接触させ、種結晶を12rpmの回転数で回転させながら、種結晶を1時間当たり0.5mmの速度で引き上げ、バルク状の単結晶を育成した(ステップS120)。なお、育成終了後、室温までの冷却には40時間を要した。
この結晶の育成は、不活性ガスとして酸素を含有するNガス雰囲気下で行った。酸素含有量は1.0体積%であった。得られた単結晶の外観を観察した。結果を図3に示す。
次に、得られた単結晶について粉末X線回折(XRD)を行った。結果を図4に示す。なお、図4では、比較のために、当該技術分野において一般に入手可能なデータベースから入手したCTASについてシミュレーションされた回折チャートを並べて示している。
ICP発光分光分析により、単結晶の組成(Sr、Ca、Ta、AlおよびSiのモル比)を確認した。結果を表1に示す。これにより、設計した組成とほぼ一致するSCTAS単結晶が得られたことが確認された。
Figure 0006964306
単結晶から10mm角、厚さ1mmのyカット板を切り出し、両面を鏡面研磨した。この試料について透過スペクトルを測定した。結果を図5に示す。
さらに、図2を参照して説明したように、この試料のy面に白金電極をスパッタリングにより形成し、圧電素子を製造した。この圧電素子の電気抵抗率の温度依存性を三端子法により、ならびに、圧電特性(比誘電率および圧電定数d11)をインピーダンスアナライザおよびLCRメータにより測定した。結果を図6および表2に示す。
[比較例1]
比較例1では、CTAS単結晶からなる圧電材料を、実施例1と同様に、図1を参照して説明したCZ法により製造した。
まず、CaとTaとAlとSiとOとを含有する原料を調製した。具体的には、純度99.99%の炭酸カルシウム(CaCO)原料粉末(120.143g)と、純度99.99%の酸化タンタル(Ta)原料粉末(88.404g)と、純度99.99%の酸化アルミニウム(Al)原料粉末(61.218g)と、純度99.99%の二酸化ケイ素(SiO)原料粉末(48.082g)とを乾式混合し、アルミナルツボに配置し、焼成体を得た。
混合した原料粉末中のCaとTaとAlとSiとは、Ca:Ta:Al:Si=3:1:3:2(原子比)を満たした。焼成の温度プロファイルは、0℃から1300℃まで8時間かけて昇温し、1300℃の温度で20時間保持し、その後、0℃まで8時間かけて降温した。得られた焼成体の粉末X線回折を行ったところ、ランガサイトの結晶構造と同一の結晶構造であり、単相で得られていることが確認された。また、得られた焼成体中のCaとTaとAlとSiとは、Ca:Ta:Al:Si=3:1:3:2(原子比)を満たすことを確認した。このようにして得た焼成体をCaとTaとAlとSiとOとを含有する原料として用いた。
このようにして得た焼成体をPt製ルツボに充填し、溶融した(ステップS110)。ルツボに充填した原料粉末の重量は262gであった。ルツボの形状は円筒形であり、直径は約50mm、高さは約50mmであった。
次に、融液に、CaTaAlSi14で表されるCTASの角棒状の種結晶(サイズ:2mm×2mm×40mm、a軸)の先端を接触させ、種結晶を12rpmの回転数で回転させながら、種結晶を1時間当たり0.5mmの速度で引き上げ、バルク状の単結晶を育成した(ステップS120)。なお、育成終了後、室温までの冷却には40時間を要した。
この結晶の育成は、不活性ガスとして酸素を含有するNガス雰囲気下で行った。酸素含有量は1.2体積%であった。得られた単結晶の外観を観察した。次に、得られた単結晶について粉末X線回折を行ったところ、ランガサイトの結晶構造と同一の結晶構造であり、単相で得られていることが確認された。
XRFにより、単結晶の組成(Ca、Ta、AlおよびSiのモル比)を確認し、設計した組成とほぼ一致するCTAS単結晶が得られたことを確認した。
単結晶から10mm角、厚さ1mmのyカット板を切り出し、両面を鏡面研磨した。この試料について透過スペクトルを測定した。さらに、図2を参照して説明したように、この試料のy面に白金電極をスパッタリングにより形成し、圧電素子を製造した。この圧電素子の電気抵抗率の温度依存性を三端子法により、ならびに、圧電特性(比誘電率および圧電定数d11)をインピーダンスアナライザおよびLCRメータにより測定した。結果を図6および表2に示す。
まず、実施例1のSCTAS単結晶の外観の様子を説明する。
図3は、実施例1のSCTAS単結晶の観察結果を示す図である。図3によれば、実施例1のSCTAS単結晶は、20mm×10mm、長さ45mm、重さ22gの透明な単結晶であった。なお、図示しないが、比較例1においても透明な単結晶が得られた。
次に、実施例1のSCTAS単結晶の粉末X線回折チャートについて説明する。
図4は、実施例1のSCTAS単結晶の粉末X線回折チャートを示す図である。
図4によれば、実施例1のSCTAS単結晶の格子定数は、a=8.07Å、c=4.94Åであり、シミュレーションによるCTASの格子定数(a=8.02Å、c=4.91Å)とほぼ一致する。このことから、実施例1のSCTAS単結晶はランガサイトの結晶構造と同一の結晶構造であり、単相で得られていることが確認された。また、実施例1のSCTAS単結晶の粉末X線回折チャートでは、シミュレーションによるCTASと比較して、2θ=18°付近、39°付近、45°付近、60.5°付近、62°付近、100°付近に、それぞれ特徴的なピーク強度が確認され、一方、2θ=12.5°付近のピーク強度は、CTASに比べて弱い傾向が得られた。SCTAS単結晶についてのこれらのピークプロファイルは、CTASのCaの一部がSrで置換されていることに起因するものであると考えられる。
次に、実施例1のSCTAS単結晶の透過スペクトルについて説明する。
図5は、実施例1のSCTAS単結晶の透過スペクトルを示す図である。
図5によれば、実施例1のSCTAS単結晶では、a軸およびc軸のいずれも、ほぼ同様の透過スペクトルを示したが、a軸では波長250〜400nmにわずかに吸収が見られた。
次に、実施例1のSCTAS単結晶および比較例1のCTAS単結晶の電気抵抗率および圧電特性を説明する。
図6は、実施例1のSCTAS単結晶および比較例1のCTAS単結晶の電気抵抗率の温度依存性を示す図である。
図6によれば、実施例1のSCTAS単結晶の電気抵抗率は、比較例1のCTAS単結晶のそれよりも、測定した全温度範囲(400℃〜800℃)において、わずかに下回ったものの、ほぼ同程度であった。特に、実施例1のSCTAS単結晶は、400℃における電気抵抗率が3.0×1010Ω・cm以上9.0×1010Ω・cm以下の範囲である単結晶が得られ、圧電センサ用の圧電材料となることが確認された。なお、実施例1のSCTAS単結晶および比較例1のCTAS単結晶の活性化エネルギーEaは、それぞれ、1.34eVおよび1.44eVであった。
また、図6では、比較のために、従来のランガサイト型結晶の一例であるLTGA単結晶の電気抵抗率を示した。これより、実施例1のSCTAS単結晶の電気抵抗率は、LTGA単結晶のそれを大きく上回っており、特に、400℃における電気抵抗率の差は顕著であった。なお、LTGA単結晶の活性化エネルギーEaは、0.82eVであった。
以下の表2は、室温(25℃)において、実施例1のSCTAS単結晶および比較例1のCTAS単結晶の比誘電率および圧電定数d11を測定した結果である。
Figure 0006964306
表2によれば、実施例1のSCTAS単結晶の25℃での比誘電率は、比較例1のCTAS単結晶のそれよりも、約3.2%低かった。また、実施例1のSCTAS単結晶の25℃での圧電定数d11は、比較例1のCTAS単結晶のそれよりも、約7.6%高かった。
これらの結果から、本発明の実施例1のSCTAS単結晶は、低い比誘電率および高い圧電定数を有しており、圧電材料であることが確認された。また、本発明の実施例1のSCTAS単結晶の400℃における電気抵抗率は、1.0×1010Ω・cmを超え、圧電センサ用の圧電材料として実用に耐え得ることが分かった。
本発明のSrとCaとTaとAlとSiとOとを含有する単結晶からなる圧電材料は、高温において高い電気抵抗率を有しており、高温での使用に有利であるため、燃焼圧センサに搭載される圧電センサに好適である。
20 結晶引上げ炉
21 ルツボ
22 筒状容器
23 高周波コイル
24 融液
25 種結晶
26 育成結晶
200 圧電素子
210 単結晶
220、230 電極

Claims (12)

  1. SrとCaとTaとAlとSiとOとを含有する結晶からなる圧電材料であって、
    前記結晶は、LaGaSiO14で表されるランガサイトの結晶構造と同一の結晶構造を有し、
    前記結晶は、一般式SrCa3−xTaAlSi14で表され、パラメータxは0<x<3であり、
    前記結晶の400℃における電気抵抗率は、1.0×10 10 Ω・cm以上9.0×10 10 Ω・cm以下の範囲である、圧電材料。
  2. 前記結晶は、単結晶である、請求項1に記載の圧電材料。
  3. 前記パラメータxは、0<x≦1.5である、請求項1に記載の圧電材料。
  4. 前記結晶の400℃における電気抵抗率は、3.0×1010Ω・cm以上9.0×1010Ω・cm以下の範囲である、請求項に記載の圧電材料。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の圧電材料の製造方法であって、
    SrとCaとTaとAlとSiとOとを含有する原料を溶融するステップと、
    前記溶融するステップで得られた前記原料の融液に種結晶を接触させ、引き上げるステップと
    を包含し、
    前記溶融するステップおよび前記引き上げるステップは、不活性ガス下で行われ、
    前記原料は、前記原料中のSrとCaとTaとAlとSiとが、関係Sr:Ca:Ta:Al:Si=x:(3−x):1:3:2(原子数比)を満たすように調製される、方法。
  6. 前記不活性ガス中の酸素含有量は、0体積%以上1.5体積%以下の範囲を満たす、請求項に記載の方法。
  7. 前記不活性ガス中の酸素含有量は、0.5体積%以上である、請求項に記載の方法。
  8. 前記原料は、Ir製ルツボに充填され、
    前記溶融するステップおよび前記引き上げるステップは、酸素含有量が0体積%以上1.2体積%以下の範囲を満たす不活性ガス下で行われる、請求項に記載の方法。
  9. 不活性ガスまたは大気中で熱処理するステップをさらに包含する、請求項に記載の方法。
  10. 前記熱処理するステップは、不活性ガス中、1150℃以上1250℃以下の温度範囲で、2時間以上24時間以下の時間行う、請求項に記載の方法。
  11. 圧電材料を備えた圧電素子であって、
    前記圧電材料は、請求項1〜のいずれか一項に記載の圧電材料である、圧電素子。
  12. 圧電素子を備えた燃焼圧センサであって、
    前記圧電素子は、請求項11に記載の圧電素子である、燃焼圧センサ。
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