JP6950247B2 - 積層フィルムとそれを用いたゴム成形体、及びそれらの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層フィルムと、それを用いたゴム成形体、及びそれらの製造方法に関するものであり、より詳細には、ゴム部材と接着するための接着層とフッ素系樹脂フィルムとを有する積層フィルム、及び該積層フィルムとゴム部材とが接着しているゴム成形体に関する。該ゴム成形体は、ゴム部材表面の滑り性に優れ、すなわち、摺動抵抗が小さく、さらには、耐溶剤性に優れる。
注射器の滑栓や医薬バイアルの栓等の種々のゴム製品は、その滑り性や耐溶剤性を向上させるために、ゴム部材の表面を適当な樹脂フィルムで被覆することが知られている。このような樹脂フィルムとしては、ゴム部材との接着性(以下、密着性とも記載する)が高まるように、プラズマエッチング処理、スパッタエッチング処理または化学処理等で表面改質されたフッ素系樹脂フィルムがある(特許文献1、2)。
しかし、フッ素系樹脂フィルムの表面をエッチングしても、ゴム部材との接着性の向上は不十分であることから、より強力な接着性を示すフッ素系樹脂フィルムが望まれている。また、前述の処理方法を用いた場合、接着性を良くするために処理強度を大きくすると、フィルムの着色が起こるという問題がある。
上記問題を解決する方法として、フッ素系樹脂フィルムの表面に、アクリルモノマーをグラフト重合して形成した薄膜層を積層する手法が知られているが、薄膜層を形成するモノマー成分が溶出する恐れがあり、適用用途が限定される。(特許文献3)
また、フッ素系樹脂フィルムの表面に、モノマー成分が溶出しないようにプラズマCVDを使った有機珪素化合物からなる接着層を積層する方法が知られている。該有機珪素化合物由来のメチル基及びエチル基を有することによって、接着層表層とゴム部材との接着性が発現する。しかしながら、この方法を用いたとしてもゴム部材との接着性が不十分である場合がある。(特許文献4)
特開2000−129015号公報 特開2002−177390号公報 特開2012−233038号公報 特開2013−107961号公報
本発明は、上記の問題を解決して、ゴム部材との接着性に優れた積層フィルム、並びにそれを用いたゴム成形体、更にはそれらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、種々研究の結果、フッ素系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、加熱圧着手段によりゴム部材を接着させるための接着層を有する積層フィルムであって、該接着層が、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物を用いて、プラズマ気相化学蒸着法(以下「プラズマCVD法」とも記載する)により前記フッ素系樹脂フィルム上に形成した蒸着膜であり、更に、該蒸着膜の露出表面に、酸素ガスを用いた酸素プラズマ処理により酸化処理面が形成されていることを特徴とする積層フィルムが、上記の目的を達成することを
見出した。
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.フッ素系樹脂フィルムと接着層とを有する積層フィルムであって、前記接着層は、加熱圧着手段により、ゴム部材と接着し得るものであり、前記接着層は、前記フッ素系樹脂フィルムの少なくとも一方の面に露出して積層されており、前記接着層は、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物を用いたプラズマ気相化学蒸着法により前記フッ素系樹脂フィルム上に形成された蒸着膜に更に酸素プラズマ処理を施した酸化処理面が形成されており、該接着層の表面の、水の接触角が、1°以上、35°以下であることを特徴とする、積層フィルム。
2.上記1に記載の積層フィルムと前記ゴム部材とが、前記積層フィルムの前記接着層を介して接着されている構造を有する、ゴム成形体。
3.前記ゴム成形体が、前記積層フィルムの前記接着層の面と、前記ゴム部材とが、重ね合わせられて成型及び加熱圧着されたものであることを特徴とする、上記2に記載のゴム成形体。
4.前記ゴム部材が、ゴム組成物、ゴム組成物硬化未了物、ゴム組成物硬化物から成る群から選ばれる1種または2種以上である、上記2または3に記載のゴム成形体。
5.前記ゴム部材が、ゴム組成物またはゴム組成物硬化未了物である、上記2または3に記載のゴム成形体。
6.前記ゴム成形体が、更に、後硬化処理されたものであることを特徴とする、上記2〜5の何れか1つに記載のゴム成形体。
7.前記ゴム成形体が、注射器用滑栓であることを特徴とする、上記2〜6の何れか1つに記載のゴム成形体。
8.前記ゴム成形体が、医薬バイアル用栓であることを特徴とする、上記2〜6の何れか1つに記載のゴム成形体。
9.上記1に記載の積層フィルムの製造方法であって、前記製造方法は、下記の工程1と工程2とを含み、工程1と工程2とは、外気に曝されること無く連続的に行われるものである、積層フィルムの製造方法。
工程1)フッ素系樹脂フィルム上に、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物を用いて、プラズマ気相化学蒸着法により、蒸着膜からなる接着層を形成する工程。
工程2)前記蒸着膜の露出表面に、酸素ガスを用いた酸素プラズマ処理により、酸化処理面を形成する工程。
10.上記2〜8の何れか1つに記載のゴム成形体の製造方法であって、前記積層フィルムは、上記7に記載の製造方法で製造され、前記ゴム成形体は、前記積層フィルムの前記接着層の面と、前記ゴム部材とが、重ね合わせられて成型及び加熱圧着されることを特徴とする、ゴム成形体の製造方法。
11.更に、ゴム成形体が、後硬化処理されることを特徴とする、上記10に記載の、ゴム成形体の製造方法。
本発明の積層フィルムは、少なくとも一方の面に、ゴム部材との接着層として、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物(以下、「原料ガス」とも記載する)を用いたプラズマCVD法により形成された蒸着膜である接着層を有しており該接着層の露出最表面には、更に、酸素プラズマ処理により酸化処理面が形成されている。
前記蒸着膜は、フッ素系樹脂フィルム上に、プラズマ化した原料ガスを薄膜状に形成してなるものであり、主に炭素、珪素及び酸素からなる、炭化水素基を有する、緻密で可撓性に富む連続蒸着薄膜である。
前記酸化処理面は、前記蒸着膜の露出最表面が、酸素ガスを用いた酸素プラズマ処理により、酸化されて、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケトン基などの酸素含有官
能基を有する。
このような炭化水素基、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケトン基を含む、酸化処理面を、フッ素系樹脂フィルムの接着面表面に設けることにより、有機珪素化合物由来のメチル基及びエチル基などの高い接着性を示す炭化水素基や、更に高い接着性を示す水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケトン基が露出することとなるため、本発明の積層フィルムは、ゴム部材と高い接着性を示す。
また、この蒸着膜は、フッ素系樹脂フィルムと界面化学結合を形成して極めて強固に接着しているため、フッ素系樹脂フィルムと層間剥離が生じにくい。
さらに、本発明のプラズマCVD法による蒸着によれば、フッ素系樹脂フィルムを着色させることなく、溶出物を発生させなく、更に表面の酸化を促進させることにより、接着層を効率よく短時間で形成することができるため、本発明の積層フィルムは生産性に優れるという利点も有する。
本発明の積層フィルムの層構成についてその一例を示す概略的断面図である。 本発明の積層フィルムの層構成についてその一例を示す概略的断面図である。 本発明のゴム成形体の層構成についてその一例を示す概略的断面図である。 本発明のゴム成形体の層構成についてその一例を示す概略的断面図である。 プラズマCVD装置についてその一例の概要を示す概略的構成図である。
本発明について以下に詳しく説明する。
なお、本発明において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものが用いられる。また、本発明において、密度はJIS K7112に準拠して測定した。
<I>本発明の積層フィルム及びゴム成形体の層構成
図1及び図2は、本発明の積層フィルム及びゴム成形体のそれぞれの層構成について、一例を示す概略的断面図である。
図1に示された本発明の積層フィルムは、フッ素系樹脂フィルム10と、その一方の面に、有機珪素化合物を蒸着モノマー材料として、プラズマCVD法で成膜した珪素酸化物の蒸着膜からなる接着層20及び接着層20を酸化処理した酸化処理面30を有する。
図2に示された本発明の積層フィルムは、フッ素系樹脂フィルム10と、その両面に、有機珪素化合物を蒸着モノマー材料として、プラズマCVD法で成膜した珪素酸化物の蒸着膜からなる接着層20及び接着層20を酸化処理した酸化処理面30を有する。
図3に示された本発明のゴム成形体は、フッ素系樹脂フィルム10、接着層20、酸化処理面30からなる積層フィルムが、ゴム部材40の片面に加熱圧着により積層された構成を有する。
図4に示された本発明のゴム成形体は、フッ素系樹脂フィルム10、接着層20、酸化処理面30からなる積層フィルムが、ゴム部材40の両面に加熱圧着により積層された構成を有する。
重要なことは、フッ素系樹脂フィルム10とゴム部材40との間に、プラズマCVD法により有機珪素化合物から形成された珪素酸化物の蒸着膜を形成し、更に酸化処理して、酸化処理面30を形成することにより、フッ素系樹脂フィルム10とゴム部材40との接
着性が大幅に改善されることである。
<II>フッ素系樹脂フィルム
本発明の積層フィルムを構成する基材フィルムとしては、低い摺動抵抗性、すなわち良好な表面滑性、及び種々の薬品との低反応性を示すことから、フッ素系樹脂フィルムが使用される。
フッ素系樹脂フィルムは、積層フィルムの用途に適した表面滑性、低反応性、及びその他の種々の性質を示すものであって、且つ、プラズマCVD法の蒸着条件に耐え得る任意のものを使用することができる。
このようなフッ素系樹脂フィルムとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体からなるペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとヘキサフルオロプロピレンコポリマー(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマー(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、又はフッ化ビニル系樹脂(PVF)等のフッ素系樹脂の1種又は2種以上からなるフィルムを使用することができる。
なお、本発明においては、注射器の滑栓や医薬バイアルの栓等の医療用品用途で用いる場合は、特に、フッ化ビニル系樹脂(PVF)、又は、テトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)からなるフッ素系樹脂フィルムが、優れた摺動性、種々の薬品や溶剤との低反応性、耐熱性、耐久性及び蒸着膜との接着性等の観点から好ましいものである。
本発明において、上記フッ素系樹脂フィルムは、各用途に適した表面滑性及び低反応性を有するものであれば、いかなる製法によるものであってもよく、例えば、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の成膜化法を用いて成膜化する方法、あるいは、2種以上のフッ素系樹脂を使用して多層共押し出し成膜化する方法、さらには、2種以上のフッ素系樹脂を使用し、成膜化する前に混合して成膜化する方法等により製造し、さらに、要すれば、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸又は2軸方向に延伸してなるフィルムを使用することができる。
本発明において、フッ素系樹脂フィルムの膜厚としては、12〜300μmが望ましく、より好ましくは50〜150μmが望ましい。上記範囲より薄いと、製造及び取り扱いが困難になり、上記範囲より厚いと、フッ素系樹脂フィルムの剛性が高くなり、ゴム成形体の剛性も高くなって、ゴム弾性を損なうため好ましくない。また、厚くなるほど高価になるため好ましくない。
上記フッ素系樹脂の1種又は2種以上を使用し、その成膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐光性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、フッ素系樹脂全量に対して、減加剤等に応じて極微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
また、接着性を向上させるために、エポキシ系のシランカップリング剤を添加してもよく、フィルムのブロッキング等を防止するために、ブロッキング防止剤を添加してもよい。これらの添加量は、0.1重量%〜10重量%程度が好ましい。
本発明において、上記フッ素系樹脂フィルムの表面は、フッ素系樹脂フィルムと蒸着膜との接着性等を向上させるために、必要に応じて、更に、予め、所望の表面処理層を設けることができる。
表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理等の処理を用いることができる。
接着性を改善する方法としてはさらに、例えば、フッ素系樹脂フィルムの表面に、予め、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカーコート剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。前処理のコート剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体又は変性樹脂、セルロース系樹脂等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
また、上記において、コート剤系表面処理層の形成法としては、例えば、溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型等のコート剤を使用し、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法等のコート法を用いてコートすることができ、そのコート時期としては、フィルムの成膜後、あるいは、2軸延伸処理後の後工程として、あるいは、成膜、あるいは、2軸延伸処理のインライン処理等で実施することができる。
<III>接着層
本発明の積層フィルムにおいて、加熱圧着手段によりゴム部材と接着させるための接着層は、接着層の表層部を低圧プラズマ処理などにより活性化すると、表層部に存在するCH3基及びC25基から、水素原子が離脱して、炭素ラジカルが生成するようになる。また、有機珪素化合物由来のメチル基及びエチル基のメチル基あるいはエチル基が離脱して、珪素ラジカルが生成するようになる。その後、それらラジカルを基に雰囲気中の酸素と結合し、さらに雰囲気中やフィルム基材等から供給される水素原子により、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケトン基などの酸素含有官能基が形成されている。
もしくは、低圧酸素プラズマ処理により雰囲気中に発生した酸素ラジカルにより、接着層表層のCH3基及びC25基から水素原子の引き抜きや、酸素の付加反応が起こり、さらにフィルム基材から供給される水素原子により、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケトン基などの酸素含有官能基が形成される。
これらの官能基が存在するようになった表層は、ゴム材料との親和性と反応性が著しく向上することで、接着性の向上が発現するものと考えられる。
前記蒸着膜は、蒸着材料としてSi原子に直接結合したメチル基を含む有機珪素化合物モノマーを使用し、これよりなる蒸着用モノマーガス、及び場合により酸素供給ガス、を含む蒸着用ガス組成物を用いて、CVD法により成膜されたものである。
また、CVD法には、熱CVD法や光CVDなどいくつかの方法があるが、低温成膜が可能で、フッ素系樹脂フィルムの着色を生じにくいプラズマCVD法を採用することが好ましい。プラズマCVD法における成膜条件については後述する。
接着層表面に存在するCH3基及びC25基の量は、成膜時の蒸着用ガス組成物中の蒸着用モノマーガスと酸素供給ガスとの比を変化させることにより調製することができる。
接着層の膜厚としては、5nm以上200nmであることが好ましく、10nm以上100nm以下であることが更に好ましく、20nm以上60nm以下であることが特に好ましく、30nm以上50nm以下であることが最も好ましい。上記範囲よりも薄いと、
接着層が連続膜として存在し難くなる傾向になり、フッ素系樹脂フィルムのフッ素原子が表面に露出しやすくなり、ゴムとの接着性が損なわれる傾向になる。一方、上記範囲よりも厚いと、生産性の観点から好ましくない上、接着層の剛性が増して、接着層にクラック等が発生し易くなる。
なお、上記接着層の厚みは、例えば、(株)リガク製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、測定することができる。
本発明の接着層となる蒸着膜を成膜するためには、例えば、被蒸着フィルム(フッ素系樹脂フィルム)10を真空槽内に導入する。そして、真空槽内に、有機珪素化合物からなる蒸着用モノマーガスと、場合により酸素供給ガスとを含む蒸着用ガス組成物を一定割合で導入し、プラズマCVD法により表面上に接着層を形成する。
接着層の形成に用いられる有機珪素化合物としては、シリコン(Si)原子に直接結合したCH3を含む有機珪素化合物、例えば、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、オクタメチリシクロテトラシロキサン、メチルシラン、ジメチルシラン、トエリメチルシラン、テトラメチルシラン、エチルシラン等が好ましく用いられる。
他の有機珪素化合物としては、有機化合物であって常温で適当な蒸気圧を持ち、プラズマCVD法を実施することが可能な材料であればどのような材料でもよい。したがって、例えばC38基などの炭素数が3以上の官能基をもつ材料を用いてCH3基及びC25のいずれかを少なくとも含む有機珪素膜(接着層)をプラズマCVD法により製造することも理論的には可能と考えられる。しかし、現実にはこれらの材料は蒸気圧が非常に低いため、有機珪素膜の作成が困難である。
本実施形態に係る接着層を形成する場合には、有機珪素化合物のうちでも特に、HMDSO、TMDSO、オクタメチルシクロテトラシロキサンを用いることが好ましい。これらのシロキサン材料は、接着性を発現するCH3基が、結合が切れやすいSi−O結合やO−C結合を介してではなく、直接Si原子と結合しているため、蒸着膜中に安定して取り込まれやすくなるからである。
本発明において、酸素供給ガスとしては、例えば酸素ガスが用いられる。酸素ガスの代わりに、オゾンガスや笑気ガス(N2Oガス)などを使用することも可能であるが、成膜効率やコストの面から、酸素ガスを用いるのが最も好ましい。
また、蒸着用ガス組成物中に、蒸着用モノマーガスを効率よく真空槽中に導入するためのガス(キャリアガス)や、プラズマを発生させたりプラズマを増強させたりする目的のガスを増強して導入することも、必要に応じて行ってもよい。
プラズマCVD法として最も一般的な方法は、平行平板電極間に13.56MHzの電界を印加する方式である。すなわち、真空槽内に蒸着用ガス組成物を導入することで一定圧力に維持し、真空槽内に設置した平板電極と該平板電極と平行に対向して設置したアース電極との間に13.56MHzのRF交流電圧を印加する。
例えば、300Wの電力を投入することで、グロー放電プラズマを発生させ、そのプラズマ流を利用することで蒸着用ガス組成物を化学的に反応させることにより、有機珪素膜からなる蒸着膜が形成可能である。蒸着膜を形成させるための被蒸着フィルム(フッ素系樹脂フィルム)は、通常、アース電極の表面に設置するが、RF電圧を印加する平板電極側に設置してもよい。
本実施形態においては、13.56MHzのRF交流電圧を印加する代わりに、より低い周波数(40kHzや50kHzなど)を印加したり、より高い周波数(2.45GHzなど)を印加したりすることも可能である。また、直流電圧を印加してもよい。平板電極の代わりに、ガスの吹き出しによりプラズマ流を発生させるようなホローカソード電極を利用したり、外部コイルから誘導プラズマを発生させたりすることも可能である。磁界を用いたり、ECR共鳴現象(電場と磁場とを適切に調節することで、プラズマ中の電子をサイクロトロン共鳴させる現象)を用いたりして、プラズマ密度を高めたりすることも可能である。
プラズマCVD法の成膜条件には、投入電力、ガス流量、成膜圧力、電極間距離、成膜時間等の様々なパラメータがあり、所望の接触角を示す蒸着膜が得られるように、これらのパラメータを適宜に調製することができる。
特に、投入電力が大きいと、フッ素系樹脂フィルムとの反応が起こりやすくなるため、表面改質の効果が大きくなり、ゴム部材との接着性は高くなる。しかしながら、大き過ぎると、熱がかかってフッ素系樹脂フィルムが変形したり、熱が不均一にかかることで蒸着膜にムラが生じたりするため、注意が必要である。本発明においては、20〜500W、より好適には50〜300Wの投入電力で、成膜を行うことが好ましい。
本発明において、蒸着用モノマーガスと酸素供給ガスとの流量比を一定範囲に制御しながら、フッ素系樹脂フィルムの表面上に接着層をプラズマCVD法により形成する。
なお、本発明の製造方法で使用するプラズマCVD法による成膜装置は、上述のバッチ式の平行平板型プラズマCVD装置に限定されるものではなく、図5に示されたような、チャンバー内でフッ素系樹脂フィルムの原反をコーティングドラム上に搬送させながら蒸着膜を形成するロール成膜機等であることが好ましい。
<IV>酸化処理面の形成
接着層の密着性向上方法としては、電子ビームによる処理、コロナ処理、大気圧プラズマ処理、低圧プラズマ処理などがあげられる。生産性の観点からコロナ処理、大気圧プラズマ処理、低圧プラズマ処理などが好ましく、特に、プラズマ雰囲気の制御のしやすさから、低圧下での酸素プラズマ処理が好ましい。
低圧プラズマ処理としては、ICP型のプラズマ処理装置、並行平板型のプラズマ処理装置、ロールツーロール型のプラズマ処理装置などを用いることができる。
低圧プラズマ処理条件には、投入電力、ガス流量、成膜圧力、電極間距離、処理時間等の様々なパラメータがあり、所望の接触角を示す蒸着膜が得られるように、これらのパラメータを適宜に調製することができる。
酸化処理面の形成工程は、蒸着膜の形成工程と連続して、外気に曝さずに行うことが好ましい。
具体的には、図5において、フッ素系樹脂フィルムが、フィルム収納ロールa1から搬送されて、蒸着膜が形成されて、フィルム収納ロールa2に収納された後に、ガス種を切り替えて、搬送を逆回転して、蒸着膜形成済みのフッ素系樹脂フィルムが、フィルム収納ロールa2から搬送されて、酸化処理面が形成されて、フィルム収納ロールa1に収納されるようにする方法が挙げられる。
また、蒸着膜形成と酸化処理面形成とを、外気に曝されることなく、個別の処理ラインで実施してもよい。例えば、同一槽内で個別の処理ラインを設置したり、別個の槽内に各処理ラインを設置して、外気に触れないように連結して処理可能なようにすることも挙げられる。
蒸着膜の表層部を低圧プラズマ処理などにより活性化すると、表層部に存在するCH3基及びC25基から、水素原子が離脱して、炭素ラジカルが生成するようになる。また、有機珪素化合物由来のメチル基及びエチル基のメチル基あるいはエチル基が離脱して、珪素ラジカルが生成するようになる。その後、それらラジカルを基に雰囲気中の酸素と結合し、さらに雰囲気中やフィルム基材等から供給される水素原子により、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケトン基などの酸素含有官能基が形成されている。
もしくは、低圧酸素プラズマ処理により雰囲気中に発生した酸素ラジカルにより、蒸着膜表層のCH3基及びC25基から水素原子の引き抜きや、酸素の付加反応が起こり、さらにフィルム基材から供給される水素原子により、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケトン基などの酸素含有官能基が形成される。
これらの官能基が存在するようになった表層は、ゴム材料との親和性と反応性が著しく向上することで、接着性の向上が発現するものと考えられる。
これらの官能基の存在量の大小によるゴム材料との親和性は、該接着層表層の、水の接触角によって表現が可能である。水の接触角は、1°以上40°未満であることが好ましく、1°以上35°以下であることが更に好ましい。上記の範囲よりも大きいと、ゴム材料との親和性が低く、接着力が弱くなり、剥離が発生し易い。
<V>ゴム部材との加熱圧着
本発明において、ゴム部材とは、ゴム組成物、ゴム組成物硬化未了物、ゴム組成物硬化物等の総称である。
ゴム組成物とは、該ゴム組成物を構成する原材料を配合、混合、混錬、必要に応じて加熱混錬等されたものを指し、硬化反応率は必ずしもゼロではなく、製造工程で与えられた通常の熱履歴等に応じた反応進行度を備えたものである。
また、ゴム組成物は、公知の成形方法によって、板状、シート状、ゴム栓状等の任意の形状のゴム組成物に成形することもできる。
なお、ゴム組成物は、成型用金型内で成型され得る流動性を有している範囲内で硬化反応がある程度進んでいてもよく、硬化反応の進行の程度は、当業者が適宜に設定することができる。
ゴム組成物硬化物とは、ゴム組成物が通常可能とする目標レベルまで硬化反応を進行したものであり、硬化反応率は必ずしも100%では無い。
ゴム組成物硬化未了物とは、ゴム組成物が硬化反応をある程度は進行させているが、通常可能とする目標レベルにまでは進行させていないものであり、ゲル化前後の状態や、成型硬化後ではあるが硬化レベルの低いもの等を指す。ゴム組成物半硬化物とも言う。
後硬化処理とは、ゴム組成物を成形硬化して、取り出した後に、必要に応じて、更なる加熱等によって、硬化反応を更に進行させる処理のことである。
ゴム成形体とは、積層フィルムとゴム部材とが接着されたものを指す。
本発明の積層フィルムを、ゴム部材と接着することにより、ゴム部材の弾性を保持したまま、その表面の滑り性及び耐溶剤性に優れた、本発明のゴム成形体を得ることができる。
ここで、本発明の積層フィルムの接着層の面をゴム部材と対向するように重ね合わせ、加熱圧着することにより、積層フィルムとゴム部材との極めて強固な接着が達成される。
本発明において用いられるゴム部材の原料ゴムとしては、適用する用途に応じて任意のものを使用することができる。例えば、任意の合成ゴムや天然ゴムを主原料とすることができる。合成ゴムとしては、例えば、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム
、ジビニルベンゼン共重合ブチルゴムなどのブチル系ゴム、イソプレンゴム、イソプレン−イソブチレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム等が挙げられる。
特に、医療用ゴム成形体、例えば注射器用滑栓、医薬バイアル用栓、薬瓶の内蓋等のゴム成形体を製造する場合は、良好な気体不透過性、耐オゾン性、耐老化性、電気的性質、耐化学薬品性などを保持するとともに、優れた耐熱性及び金属との接着性を示すため、塩素化ブチルゴムまたは臭素化ブチルゴムを好ましく使用することができる。
例えば、ゴム組成物からなるゴムシートの片面または両面に、本発明の積層フィルムの接着層の面を重ね合わせ、加熱圧着することにより、片面の滑り性及び耐薬品性が向上された複合ゴムシートとすることができる。また、この複合ゴムシートを任意の形状に打ち抜いて、種々の加工品、例えば注射器用滑栓及び医薬バイアル用栓を製造することもできる。
また、ゴム組成物からなるゴムシートを、所望の形状に加熱成形して得られた成型品を、本発明の積層フィルムの接着層の面と重ね合わせ、加熱圧着ラミネートすることにより、本発明のゴム成形体を製造してもよい。
さらに、ゴム組成物からなるゴムシートの片面または両面に、本発明の積層フィルムの接着層の面を重ね合わせた後に、任意の成形用金型内に配置し、加熱成形と同時に加熱圧着ラミネートして、必要に応じて後硬化して、所望の形状のゴム成形体を得ることもできる。
上記の硬化を進行させる硬化剤または硬化促進剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などの硫黄、塩化硫黄、二塩化硫黄、高分子多硫化物、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレンなどの硫黄化合物、ジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物、ポリアミン類、オキシム類などが挙げられ、これらを2種類以上併用してもよい。
ゴム成形体としては、上記複合ゴムシート、種々の医療用ゴム製品、例えば注射器用滑栓、医薬バイアル用栓が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の積層フィルムを有する注射器用滑栓及び医薬バイアル用栓は、優れた密封性を保持しながらも、良好な滑り性及び耐薬品性を示す。
本発明において、積層フィルムとゴム部材との加熱圧着、加熱成形、及び後硬化処理は、従来公知の方法によって行うことができる。また、その際の諸条件は、使用するゴム組成物の配合組成や硬化進行状態、フッ素系樹脂フィルムの融点、厚さ等に応じて、当業者が適宜に設定することができる。
例えば、ゴム組成物を成形硬化して得られた、ゴム部材であるゴム組成物硬化物と本発明の積層フィルムとを接着する場合は、温度150〜250℃、圧力0.1〜20Pa、時間10〜300秒で加熱圧着することが好ましい。
また、ゴム組成物またはゴム組成物硬化未了物と本発明の積層フィルムとを接着する場合は、温度150〜250℃、圧力0.1〜20Pa、時間10〜600秒で加熱成形及び加熱圧着することが好ましい。
本発明の、積層フィルムとゴム部材とからなるゴム成形体、例えば複合ゴムシート、注射器用滑栓及び医薬バイアル用栓は、ゴム部材と積層フィルムとが強固に接着しているため、ゴム部材上から積層フィルムが剥がれて浮いたり、白化したりすることがない。
本発明の積層フィルムとゴム部材とからなるゴム成形体は、ゴム部材が未硬化のゴム組
成物またはゴム組成物硬化未了物の場合に特に優れた接着性を発現する。これは、ゴム部材が未硬化のゴム組成物またはゴム組成物硬化未了物の場合には、積層フィルム側の酸化処理面の各種官能基との、親和性または反応性の高い官能基が多く存在しているからだと推察される。
次に本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
[実施例1]
(フッ素系樹脂フィルムへの蒸着膜の形成)
厚さ100μmのフッ素系樹脂フィルム(ETFE、ダイキン工業(株)製、表面無処理)を使用し、これをロールツーロール型CVD装置(図5)のチャンバーb内のフィルム収納ロールa1に収納し、搬送ロールcおよびメインロールdを介して、フィルム収納ロールa2へと接続した。次に、プラズマ処理装置のチャンバー内を0.001Paに減圧した。
次いで、有機珪素化合物としてHMDSOを準備し、これを流量制御しながら40℃に加熱した気化器eによって気化して蒸着用モノマーガスとし、100sccm(気体状態)の流量でチャンバーに供給した。また、酸素ガスfを1500sccmの流量でチャンバーに供給した。
次に、メインドラムdとマグネット電極g間の距離は50mmで、700W、13.56MHzの電力をメインドラムdとマグネット電極gの間に投入することによりプラズマを生成し、成膜時のチャンバー内の圧力を3Paに保って、フィルム搬送速度2.0m/分で搬送しながら成膜して、フィルム収納ロールa2に収納した。尚、処理時のフッ素系樹脂フィルムは水冷して室温に保持した。
(蒸着膜への酸化処理面の形成)
次に、プラズマ処理装置のチャンバー内を0.001Paに減圧し、蒸着用モノマーガスは供給せずに0sccmとし、次いで、酸素ガスfを1500sccmの流量でチャンバーに供給した。
そして、メインドラムdとマグネット電極g間の距離は50mmで、700W、13.56MHzの電力をメインドラムとマグネット電極の間に投入することによりプラズマを生成し、成膜時のチャンバー内の圧力を8Paに保った。
そして、フィルム収納ロールa2に収納されている蒸着膜形成済のフッ素系樹脂フィルムを、フィルム収納ロールa1に向けて、搬送ロールcおよびメインロールdを介して、フィルム搬送速度4.2m/分で搬送しながら酸化処理し、酸化処理面を形成、接着層を完成し、積層フィルムを作製した。
接着層の厚みは、43nmであった。
得られた積層フィルムに対して、水の接触角を測定した。結果を表1に示す。
(フッ素系樹脂フィルムとゴム部材との接着処理)
得られた積層フィルムの接着層の表面を、未硬化のゴム組成物シート(エクソン化学(株)製エッソブチル、厚さ1mm)と重ね合せ、テスター産業社製精密プレス機によって、170℃、0.5MPaで600秒間加熱圧着及び硬化を行い、本発明のゴム成形体である、複合ゴムシートを得た。
得られた複合ゴムシートを用いて、剥離試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例2〜3、比較例1〜3]
酸素プラズマ処理時の酸素ガスfの流量を表1に示した条件に変更した以外は、実施例1と同様に操作して、蒸着膜と酸化処理面を形成して接着層を完成して積層フィルムを作製し、次いで、複合ゴムシートを作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
[接着層の厚み測定]
(株)リガク社製蛍光X線分析装置RIX2000型を用いて接着層の厚みを測定した。
[接着性の評価]
(接触角)
積層フィルム接着層表面の接着性を評価するために、水の接触角を、接触角試験機(協和界面科学(株)全自動接触角計Drop Master700)を用いて、20℃、50%RHの条件下で測定した。
(剥離試験)
積層フィルムとゴム部材との接着性を調べるために、JISK 6404−5に準じて、剥離試験を行った。具体的には、各複合ゴムシートから15mm巾に切り出した試験片を用いて、これらを人の手で剥離角180°で引張り、剥離を試みた。判定基準は下記の通り。
○:引張りにより試験片が伸び、その後破断するまでフィルムとゴム部材とが剥離しなかった
△:試験片が伸び、破断する前にフィルムとゴム部材とが剥離した
×:試験片が伸びる前にフィルムとゴム部材とが剥離した
[結果まとめ]
実施例1〜3の積層フィルムは、水の接触角が35°以下の低い値を示した。また、これらの積層フィルムを用いた複合ゴムシートにおいて、積層フィルムとゴム部材とは強固な接着を示した。
これに対し、比較例1〜3の積層フフィルムは、水の接触角が35°を超える高い値を示した。また、これらのフィルムを用いた複合ゴムシートにおいて、フィルムとゴム部材との接着は弱く、ゴム部材からフィルムが剥離した。
Figure 0006950247
10 フッ素系樹脂フィルム
20 接着層
30 酸化処理面
40 ゴム部材
a1、a2 フィルム収納ロール
b チャンバー
c 搬送ロール
d メインロール
e 気化器
f 酸素ガス
g マグネット電極
h 材料ガス配管
i 放電電源
j 排気ポンプ

Claims (12)

  1. フッ素系樹脂フィルムと、前記フッ素系樹脂フィルム上に形成された蒸着膜からなる接着層と、前記接着層上に形成された酸化処理面と、を有する積層フィルムであって、
    前記蒸着膜は、主に炭素、珪素及び酸素からなり、
    前記蒸着膜の露出最表面前記接着層が酸化処理された酸化処理面が形成されており
    前記酸化処理面は、酸素含有官能基を含み
    酸化処理面の、水の接触角が、1°以上、35°以下であることを特徴とする、積層フィルム。
  2. 前記酸素含有官能基が、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケトン基のいずれかである、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 請求項1または2に記載の積層フィルムとゴム部材とが、前記積層フィルムの前記接着層を介して接着されている構造を有する、ゴム成形体。
  4. 前記ゴム成形体が、前記積層フィルムの前記接着層の面と、前記ゴム部材とが、重ね合わせられて成型及び加熱圧着されたものであることを特徴とする、請求項に記載のゴム成形体。
  5. 前記ゴム部材が、ゴム組成物、ゴム組成物硬化未了物、ゴム組成物硬化物から成る群から選ばれる1種または2種以上である、請求項3または4に記載のゴム成形体。
  6. 前記ゴム部材が、ゴム組成物またはゴム組成物硬化未了物である、請求項3または4に記載のゴム成形体。
  7. 前記ゴム成形体が、更に、後硬化処理されたものであることを特徴とする、請求項3〜6の何れか1項に記載のゴム成形体。
  8. 前記ゴム成形体が、注射器用滑栓であることを特徴とする、請求項3〜7の何れか1項
    に記載のゴム成形体。
  9. 前記ゴム成形体が、医薬バイアル用栓であることを特徴とする、請求項3〜7の何れか1項に記載のゴム成形体。
  10. 請求項1または2に記載の積層フィルムの製造方法であって、
    前記製造方法は、下記の工程1と工程2とを含み、
    工程1と工程2とは、外気に曝されること無く連続的に行われるものである、積層フィルムの製造方法。
    工程1)フッ素系樹脂フィルム上に、有機珪素化合物を含む蒸着用ガス組成物を用いて、プラズマ気相化学蒸着法により、蒸着膜からなる接着層を形成する工程。
    工程2)前記蒸着膜の露出表面に、酸素ガスを用いた酸素プラズマ処理を施すことより、酸化処理面を形成する工程。
  11. 請求項3〜9の何れか1項に記載のゴム成形体の製造方法であって、
    前記積層フィルムは、請求項10に記載の製造方法で製造され、
    前記ゴム成形体は、前記積層フィルムの前記接着層の面と、前記ゴム部材とが、重ね合わせられて成型及び加熱圧着されることを特徴とする、ゴム成形体の製造方法。
  12. 更に、ゴム成形体が、後硬化処理されることを特徴とする、請求項11に記載の、ゴム成形体の製造方法。
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