JP2013193267A - ガスバリア性プラスチックフィルムとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プラスチックフィルムとの密着性に優れたガスバリアフィルムを提供することにある。
【解決手段】基材となるプラスチックフィルムの少なくとも一方の面に、プラズマ処理面、1.0≦x<1.5、y≦1.0を満たすSiOxCy膜からなる密着層、1.5≦x≦1.8を満たすSiOx膜からなるガスバリア層とで形成されることを特徴としたガスバリア性プラスチックフィルムとその製造方法である。
【選択図】図1
【解決手段】基材となるプラスチックフィルムの少なくとも一方の面に、プラズマ処理面、1.0≦x<1.5、y≦1.0を満たすSiOxCy膜からなる密着層、1.5≦x≦1.8を満たすSiOx膜からなるガスバリア層とで形成されることを特徴としたガスバリア性プラスチックフィルムとその製造方法である。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、太陽電池のバックシート、食品や医薬品等の包装分野に用いられるガスバリア性プラスチックフィルムとその製造方法に関する。
例えば、太陽電池の保護シートは、太陽電池モジュールの起電部分であるパターニングされたシリコン薄膜の湿度による劣化を防止するために、太陽電池の裏側に配置される。この種の保護シートは、酸素や水蒸気といったガスを遮断し、同時に屋外などの過酷な状況下で使用されることからガスバリア性能が劣化しない耐久性能が求められる。また、ハードディスクや半導体モジュール、食品や医薬品類の包装に用いられる包装材料においても、内容物の変質を抑制し、効能を維持するガスバリア性能が求められる。特に、食品包装においては蛋白質や油脂などの酸化や変質を抑制し、味や鮮度を保持することが重要である。また、無菌状態での取り扱いが必要とされる医薬品類では有効成分の変質を抑制し、効能を維持することが求められる。これらの内容物の品質を保護するために、酸素や水蒸気、その他内容物を変質させる気体を遮断するガスバリア性を備える包装体が求められる。
一般に、プラスチックフィルムからなる包装体としては、従来、高分子の中では、比較的ガスバリア性能に優れるポリビニルアルコール(PVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)などの樹脂フィルムや或いはこれらの樹脂をラミネートまたはコーティングしたプラスチックフィルムなどが好んで用いられてきた。
しかしながら、これらのフィルムは、温度依存性が高く、高温または高湿度下においてガスバリア性能の劣化が見られる。また、食品包装用途においてはボイル処理や高温高圧力条件下でのレトルト処理を行うと、ガスバリア性能が著しく劣化する場合が多い。PVDC系の高分子樹脂組成物を用いたガスバリア性積層体は、湿度依存性は低いものの、温度依存性がある上に高いガスバリア性能(例えば、1cc/m2・day・atm以下)を得ることができない。
また、PVDCやPANなどは廃棄・焼却の際に有害物質が発生する危険性が高い。このような事情から、高防湿性を有し、かつ高度のガスバリア性能を要求される包装体については、アルミニウムなどの金属箔などにてガスバリア性能を担保せざるを得なかった。
しかし、金属箔は不透明であるため、包装材料を透過して内容物を識別することが難しく、金属探知機による内容物検査や、電子レンジでの加熱処理が出来ないという難点があった。
これらの包装体を屋外などの過酷な条件下に長期間曝した場合、プラスチックフィルムとセラミック層との間で層間剥離が発生し、包装体としての機能を損なうという問題があり、屋外などで使用される高耐久性を有するガスバリア包装体を得るために鋭意工夫が求められる。
ガスバリア性フィルムとしては、プラスチックフィルム基材の表面に、酸化珪素、酸化アルミニウム等からなる金属酸化膜を形成した透明性の高いガスバリア性フィルムが、数多く実用化されている。特許文献1は、高分子樹脂フィルム上に炭化酸化珪素を有するガスバリア性フィルムである。特許文献2は、透明プラスチック基体上に、非晶質の酸化アルミニウム薄膜を設けたガスバリア性フィルムである。
ところが、プラスチックフィルム基体に、これらの蒸着膜を単純に積層しても、その基材と蒸着層との密着性が十分でなく、レトルト処理やボイル処理、耐環境試験等により、基材と蒸着層間で簡単に剥離してしまうことも少なくない。
そこで、基材と蒸着層の密着性を上げるために、プラスチックフィルム基材に、プラズマ処理、火炎処理、コロナ処理等の一般的な表面処理を基材表面に施す方法(特許文献3,4)や、アンカーコート層をウエット法によりコーティングする方法が多く提案されている(特許文献4,5,6,7)。この中でも、減圧プラズマ処理による表面処理方法は、蒸着層成膜プロセスと同一系内(インライン)での処理により、工程の簡素化を実現できる。
しかし、インラインの密着プロセスでは、高速な蒸着プロセスと同等な処理速度を必要とするため、十分な密着処理が得られない場合が多い。したがって、生産能率が高く、強固な密着力を得られるインラインの密着方法が望まれていた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、定期従来の方式では不十分であった、プラスチックフィルムとガスバリア膜との密着性を改善するために、プラズマ処理面、密着層、ガスバリア層とをインライン成膜で形成することで、従来よりも密着性に優れたガスバリア性プラスチックフィルムの提供と、そのガスバリア性プラスチックフィルムを高い生産効率で製造することができる製造方法を提供することにある。
請求項1に記載の発明における課題を解決するための手段は、基材となるプラスチックフィルムの少なくとも一方の面にプラズマ処理面を形成し、このプラズマ処理面上に1.0≦x<1.5、y≦1.0を満たすSiOxCy膜からなる密着層を設け、該密着層の上に1.5≦x≦1.8を満たすSiOx膜からなるガスバリア層を形成したことを特徴としたガスバリア性プラスチックフィルムである。
請求項2に記載の発明は、基材となるプラスチックフィルムの少なくとも一方の面にプラズマ処理面を形成する工程と、前記プラズマ処理面上に1.0≦x<1.5、y≦1.0を満たすSiOxCy膜からなる密着層を形成する工程と、前記密着層の上に1.5≦x≦1.8を満たすSiOx膜からなるガスバリア層を形成する工程と、を有するガスバリア性プラスチックフィルムの製造方法である。
請求項3に記載の発明は、前記プラズマ処理面を形成する工程では、高周波印加電極である金属ロール上を基材となるプラスチックフィルムを走行させ、前記高周波印加電極に対向する接地電極側に永久磁石を配置し、前記高周波印加電極と前記接地電極との間に、酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、もしくはそれらの混合したものを含むガスを導入し、その空間圧力を1以上50Pa以下として、前記高周波印加電極と前記接地電極との間に10kHz以上30MHz以下の高周波を印加することで、前記高周波印加電極と前記接地電極との間にプラズマを発生させて、プラズマ処理を行うことを特徴とした請求項2に記載のガスバリア性プラスチックフィルムの製造方法である。
請求項4に記載の発明は、前記密着層を形成する工程では、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)にて前記密着層を形成し、この際、高周波印加電極である金属ロール側を基材となるプラスチックフィルムを走行させ、高周波印加電極に対向する接地電極側に永久磁石を配置し、前記電極間に前記電極間に、ヘキサメチルジシロキサン等の有機シラン系材料と、ヘリウムやアルゴン等の希ガスや酸素等の活性ガス、もしくはそれらを混合したものを含むガスを導入し、その空間圧力を1以上5Pa以下として、10kHz以上30MHz以下の高周波を印加することで、前記高周波印加電極と前記接地電極との間にプラズマを発生させることにより前記密着層を形成することを特徴としたガスバリア性プラスチックフィルムの製造方法である。
請求項5に記載の発明は、前記ガスバリア層を形成する工程は、ドライコーティング法により酸化珪素膜であるガスバリア層を形成することを特徴とした請求項2〜4のいずれかに記載のガスバリア性プラスチックフィルムの製造方法である。
請求項6に記載の発明は、前記プラズマ処理面を形成する工程、密着層を形成する工程、ガスバリア層を形成する工程がいずれも減圧環境下におけるインライン工程にて形成されることを特徴としたガスバリア性プラスチックフィルムの製造方法である。
上記発明によれば、従来よりも密着性に優れたガスバリアフィルムを高い生産効率で提供することができる。
密着性を向上させる作用としては、プラズマ処理面、密着層形成時に、高周波印加電極である金属ロール電極を走行することで、プラスチックフィルムが、近傍の高密度なプラズマに晒され、イオンによるボンバード効果や化学反応が増大されることと、イオンによるボンバード効果によるエッチング効果とプラズマ化学的気相成長法(PECVD法)による成膜が同時に進行することで、複合界面が生じることによりなされると考えられる。また、プラズマ処理面の上に密着層を形成することで、プラスチックフィルム表面に存在している脆弱層の除去や、プラスチック基材表面の化学構造に変化が生じ、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)による密着層の形成時に、より多くの複合界面が生じると考えられる。
高い生産性を実現させる作用としては、従来用いられた大気圧環境下における塗布方式による密着層の形成方法では、その度に製造装置を変える必要が有るのに対し、全ての行程を減圧環境下に1つの装置で行うことで、間接時間の減少や異物混入によるロスの発生を抑えることで可能になると考えられる。
図1は、本発明のガスバリアフィルムの層構造を説明するためにその層構造を模式的に示す断面図である。プラスチックフィルム1の一方の面には、プラズマ処理面2が形成され、更に、プラズマ処理面2には、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCyからなる密着層3及びガスバリア層4の膜が順次形成されている。この層構造は、基材となるプラスチックフィルム1の方面だけでなく両面に夫々形成するようにしてもよい。また、ガスバリア層4の上にさらに保護層(図示せず)を形成するなどの多層構造としてもよい。
プラスチックフィルム1は、特に制限を受けるものではなく、公知のものを使用することが出来る。例えば、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル系(ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリアミド系(ナイロン―6、ナイロン―66等)、ポリスチレン、エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネイト、ポリエーテルスルホン、アクリル、セルロース系(トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等)などが挙げることができるが、それに限定されない。包装材料として用いる場合、外観の観点や、中身が確認できると言った利点から、透明フィルムを用いることが好ましい。また、厚さに関しても、特に制限を受けるものではなく、ガスバリアフィルムを形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には12〜100μmの範囲が好ましい。
プラスチックフィルム1の面をプラズマ処理してプラズマ処理面2を形成することで、プラスチック基材の表面においてのC鎖の結合が切れる、またはその表面において非結晶部分が増加するといった、変化が生じることで、その上に形成される、密着層3とプラスチックフィルム1との密着力を更に向上させることが可能となる。なお、プラズマ処理面2を形成しない場合ではC鎖の結合切れや、表面に増加する非結晶部分の割合が不十分であり、密着層3とプラスチックフィルム1との密着力を向上させることが出来ない。
また、SiOxCyからなる密着層3の組成が、1.0≦x<1.5、y≦1.0の条件を満たすことで、その密着層3の上に形成される、ガスバリア層4のガスバリア性能を阻害することがなく、密着性に優れた密着層3を形成することが可能となる。より好ましくは、1.0<x<1.5、0.4≦y≦0.6とすることである。SiOxCyからなる密着層3の組成が、1.0≦x<1.5、y≦1.0を満たさない場合、原料として導入されている、有機系シランガスの分解が不十分であると考えられ、その結果、密着層3の膜質劣化が生じ、優れた密着性を得ることができない。また、密着層3の膜中に含まれる、C含有量が多すぎる場合、その上に形成される、ガスバリア層4のガスバリア性能を阻害する可能性がある。
密着層3の膜厚は、特に制限されるものでないが、インライン工程においてはガスバリア層4の形成速度を阻害しないことが重要となる。十分な密着力の発現、ガスバリア層4の形成を阻害しないと言った観点から鑑みると、3〜10nmが好ましく、より好ましくは5nm〜7nmとすることである。
また、酸化珪素(SiOx)膜からなるガスバリア層4の組成を1.5≦x≦1.8とすることで、透明性とガスバリア性を両立した、ガスバリア層4を形成することができる。透明性とガスバリア性との両立を考慮すると、より好ましくは、ガスバリア層4の組成を1.6≦x<1.8とすることである。ガスバリア層4の組成のxの値を制御する方法としては、成膜中に、例えば酸素のような酸化剤となるようなガスを導入する、または、使用する蒸着材料におけるxの値を変化させる方法がある。酸化ガスを多く導入する、もしくは使用する蒸着材料におけるxの値を大きくすることで、ガスバリア層4における上記xの値が大きくなっていく。
また、ガスバリア層4の組成がx<1.5の場合、ガスバリア層4の黄色味が強くなり、透明性を確保できず、外観を損ねてしまう。また、ガスバリア層4の組成が、1.8<xの場合、透明性は確保できるが、ガスバリア性能が発揮されない可能性がある。
ガスバリア層4の膜厚は、特に制限されるものではないが、10〜1000nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし、ガスバリア層4の膜厚が5nm以下の場合は、均一な膜厚を得ることが困難であったり、膜の厚さが不十分なために要求通りのガスバリア性を発揮できなかったりする。また、ガスバリア層4の厚さが1000nmを超える場合は、その膜厚が厚すぎるために、成膜時間の長時間化により基材に熱負けが生じ外観不良が生じたり、ガスバリア性能などに悪影響を与えてしまったりする虞があり、より好ましくは、10〜60nmとすることである。
次に、本発明におけるガスバリア性プラスチックフィルムの製造装置5を説明する。図2はその製造装置5全体を示す。ここでの製造装置5は、プラズマ処理装置6、密着層形成装置11、ガスバリア層形成装置13及びプラスチックフィルム移送路を備える。ガスバリア層形成装置13は減圧チャンバ16による処理槽に通じるエレクトロンビーム14を備える。そして、プラズマ処理装置6、密着層形成装置11、ガスバリア層形成装置13及びプラスチックフィルム移送路は装置用減圧チャンバ20内に設置されている。エレクトロンビーム14の外部は装置用減圧チャンバ20の外部にある。
基材としてのプラスチックフィルム1は装置用減圧チャンバ20内に設置されている移送路としての複数の移送用ローラ15によって各装置6、11、13に移送されることによって同一系内(インライン)での処理がなされる。そして、プラズマ処理装置6においてプラスチックフィルム1の面にプラズマ処理が施され、そのプラスチックフィルム1の面にプラズマ処理面2を形成する。続けて、密着層形成装置11においては、プラズマ処理面2上に密着層3を形成する。さらに、ガスバリア層形成装置13においては密着層3の上にガスバリア層4を形成する。本発明ではこの形態に制限されるわけではなく、必要に応じて、プラズマ処理装置や密着層形成装置の数を増やしても問題はない。また、接地電極の形状、有機シラン系材料導入方法、ロールの配置、ガスバリア層の形成方法等に関しても、特に制限されるものではない。
プラズマ処理装置6は、減圧チャンバ16による処理槽内に高周波印加電極となる金属ロール8に対向して向電極である接地電極9と、この接地電極9側に寄って位置して金属ロール8に対向する永久磁石10を設置している。そして、プラスチックフィルム1上にプラズマ処理面2を形成する場合、プラスチックフィルム1が高周波印加電極となる金属ロール8上を走行すること、さらに向電極である接地電極9側に位置して金属ロール8と接地電極9の間に位置して永久磁石10を設置したことで、プラズマ中のイオンがプラスチックフィルム1へと効率的に衝突し、ボンバード効果を発揮する。このことで、密着強度の低下を招く層を効率よく取り除くことが可能となる他、C鎖の結合の断裂や、非晶質部分の増加が促進され、その上に形成される密着層3とプラスチックフィルム1との密着力を更に向上させることが可能となる。また、プラスチックフィルム1上に、プラズマ処理面2を形成する場合、処理用ガスとして、酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、もしくはそれらの混合したものを含むガスを導入することができる。酸素や窒素を用いた場合は、化学的なエッチングと物理的なエッチングの両者が発生するが、アルゴンやヘリウムを用いた場合には物理的なエッチングのみが発生する。より密着層に優れたプラズマ処理面2を形成するには、アルゴンやヘリウムを用いた方が効率的だが、これに制限されるものではなく、酸素とアルゴンの混合ガス等を用いてもよい。この処理用ガスの供給方法に関しては、特に制限されるものではない。
また、このプラズマ処理装置6において、プラスチックフィルム1上に、プラズマ処理面2を形成する場合、その処理空間での圧力を、1以上50Pa以下とすることで、より効率的に効果を発揮することが可能となる。1Pa未満である場合、放電を維持することが困難であり、50Paを越える場合、設置してある永久磁石によるプラズマ密度向上の効果を得ることが困難となる可能性がある。より好ましくは5Paから30Pa以内とすることである。
更に、プラズマ処理装置6において、プラスチックフィルム1上に、プラズマ処理面2を形成する際、使用する高周波電源を10kHz以上にすることで、1Paなどの比較的低い圧力でも安定した放電を得ることができる。しかし、30MHzを越えると、プラズマ向上によりイオンや電子の数は増加するが、電圧が低下するため、ボンバード効果は弱くなる。また、装置の大型化が非常に困難となる。したがって、イオンや電子の数とボンバードの勢い、装置大型化などを考慮すると40kHzから400kHzがより好ましい。
前記密着層形成装置11は、減圧チャンバ16による処理槽内に高周波印加電極となる金属ロール8に対向して向電極である接地電極9と、この接地電極9側に寄って位置して金属ロール8と接地電極9との間に永久磁石10を設置する。この密着層形成装置11の処理槽内には有機シラン系材料導入パイプ12が設置され、処理槽内に有機シラン系材料を供給できる。
この密着層形成装置11において、プラスチックフィルム1上ならびにプラズマ処理面2上に、密着層3を形成する場合、高周波印加電極である金属ロール8側をプラスチックフィルム1が走行すること、さらに向電極である接地電極9側に永久磁石10を設置したことで、空間中のプラズマ密度が向上する。このため、使用する有機シラン系モノマーの分解をより促進することが可能であり、生産効率が向上すると共に、プラズマ中のイオンが、プラスチックフィルム1やプラズマ処理面2へと効率的に衝突し、ボンバード効果を発揮することで、密着強度の低下を招く層を効率よく取り除くことが可能となる。また、プラスチックフィルムが、近傍の高密度なプラズマに晒され、イオンや電子によるボンバード効果や化学反応が増大される結果、優れた密着力を生み出すことが可能となる。
空間中のプラズマ密度の向上方法としては、接地電極9側に高周波電源を接続する方法もあるが、これは、装置の複雑化や広幅化への障害となる可能性が大きい。また、投入可能な電力の最大値を大きくする方法も考えられるが、この場合では、電源の大型化や、装置の耐久性向上が必須というような問題点が存在する。
また、この密着層形成装置11において、プラスチックフィルム1上、ならびにプラズマ処理面2上に、密着層3を形成する場合、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)を用いることが有効である。プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)を用いることで、イオンによるボンバード効果によるエッチング効果とプラズマ化学的気相成長法(PECVD法)による成膜が同時に進行することで、複合界面が生じ、基材との密着性に優れた、密着層3を形成することが出来る。
上記のように、プラスチックフィルム1上、ならびにプラズマ処理面2上に、密着層3を形成する場合、高周波印加電極である金属ロール8側をプラスチックフィルム1が走行すること、さらに向電極である接地電極9側に永久磁石10を設置することで、密着層3の形成時にも、プラズマ処理面2の形成時と同じような効果を、プラスチックフィルム1に発揮することが可能であるが、イオンによるボンバード効果によるエッチング効果とプラズマ化学的気相成長法(PECVD法)による成膜が同時に進行してしまうのでその効果が薄くなってしまうというデメリットが存在している。そのため、より強固な密着力を発生させるためには、プラズマ処理装置6と密着層形成装置11との両方を搭載する必要がある。
プラスチックフィルム1上、ならびにプラズマ処理面2上に、密着層3を形成する場合、有機シラン系モノマーの中でも、ヘキサメチルジシロキサンを用いることで、安全かつ効率的に成膜を実施することができる。
プラスチックフィルム1上、ならびにプラズマ処理面2上に、密着層3を形成する場合、有機シラン系モノマーと、ヘリウムやアルゴン等の希ガスや酸素等の活性ガス、もしくはその混合ガスとを導入することで、1.0≦x<1.5、0.4<y≦1.0の条件を満たすSiOxCy膜からなる密着層3を形成することが可能となる。
活性ガスとして、ヘリウムを用いることで、電子温度、電子密度が上昇し、使用する原料ガスの分解をより促進することが可能であり、生産効率が向上すると共に、より優れたガスバリア性を発揮できることが可能である。また、プラズマ中においてO+イオン(酸素プラスイオン)が支配的となり、酸化作用の促進も可能となる。
プラスチックフィルム1上、ならびにプラズマ処理面2上に、密着層3を形成する場合、その成膜圧力を5Pa以下に設定することで、使用する有機シラン系モノマーの未分解に起因するガスバリア性能や密着性の劣化を防ぐことが可能である。1Pa未満にした場合、安定した放電を得ることが困難となる。プラスチックフィルム1上、ならびにプラズマ処理面2上に、密着層3を形成する場合、使用する高周波電源を10kHz以上にすることで、1Paなどの比較的低い圧力でも安定した放電を得ることができる。30MHzを越える場合、プラズマ向上により、イオンや電子の数は増加するが、電圧が低下するためボンバード効果は弱くなる。また、装置の大型化が非常に困難となる。したがって、イオンや電子の数とボンバードの勢い、装置の大型化などを考慮すると、40kHzから400kHzがより好ましい。
前記ガスバリア層形成装置13において、密着層3上にガスバリア層4を形成する場合、ドライコーティング法、中でも真空蒸着法を用いることで、生産性に優れたガスバリア層4を形成することができる。
真空蒸着法以外のドライコーティング方式として、スパッタリング法や化学気相蒸着法(ChemicalVaporDeposition:CVD)が挙げられるが、スパッタリング法では、ガスバリア性能や密着性には優れるものの、生産速度が大幅に遅くなってしまう。また、膜厚が厚くなっていくに従い、膜の内部応力によるクラック等に起因するガスバリア性能の上げ留まりが生じてしまう。化学気相蒸着法(ChemicalVaporDeposition:CVD)の場合においても、ガスバリア層形成として選択した場合、真空蒸着法と比較して生産速度に遅くなってしまうというデメリットが生じてしまう。
一般的に、真空蒸着と比較してプラズマ化学的気相成長法(PECVD法)による成膜は成膜レートが遅くインライン成膜を行う際の律速となってしまう。プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)による密着層3の生産スピードを向上させるには、有機シラン系シランガス流量を増やす手段が有効であるが、有機シラン系シランガス流量に伴い成膜圧力が向上してしまうと、有機シラン系シランガスの未分解に起因するガスバリア層4のガスバリア性能や密着層3自体の密着性の劣化が生じてしまう虞がある。このため、成膜圧力を1以上5Pa以下に維持することが重要となる。有機シラン系シランガスの未分解を招く要因としては、投入Power不足が考えられるので、投入Powerと導入する有機系シランガスとのバランスを保つことも重要となる。
有機シラン系シランガス流量の増加に伴い、1以上5Pa以下の成膜圧力維持が困難な場合、密着層成膜ユニットの数を増やし、ラインスピード×成膜膜厚で定義されるダイナミックレートを維持する方法が有効である。例えば、密着成膜ユニット3個ガスバリア層精膜ユニット1個とすることであり、必要膜厚と成膜速度とを鑑みたユニット数の選択が重要となる。
各装置による工程を、減圧チャンバ20内の減圧環境下でインライン成膜にて行うことで、不純物が交ざりにくく、成膜環境に適した状態を維持しやすくなる。
ガスバリア層4の上に保護層等を設けても問題ない。この保護層としては、SiOx膜との密着性が良好な金属アルコキシドを用いる塗布膜を設けることが望ましい。具体的には一般式R1(M−OR2)(ただしR1、R2は炭素数1〜8の有機基、Mは金属原子)で表されるものであり、金属原子としてはSi、Ti、Al、Zr等を挙げることができる。また、その上にナイロンフィルムやポリプロピレンフィルム等をラミネートしても問題ない。
金属MがSiであるR1(Si−OR2)としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等を挙げることができる。
金属MがZrであるR1(Zr−OR2)としては、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等を挙げることができる。
金属MがTiであるR1(Ti−OR2)としては、テトラメトキシチタニウム、テトラエトキシチタニウム、テトライソプロポキシチタニウム、テトラブトキシチタニウム等を挙げることができる。
金属MがAlであるR1(Al−OR2)としては、テトラメトキシアルミニウム、テトラエトキシアルミニウム、テトライソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシアルミニウム等を挙げることができる。
上記金属アルコキシドは1種類のみ用いても2種以上混合して用いても差し支えない。また、アクリル酸やポリビニルアルコール、ウレタン化合物、ポリエステル化合物を混合してもよいが、膨潤性の材料を混合することが望ましい。
また、全ての工程を減圧環境下においてのインライン成膜にて行うことで、不純物が交ざりにくく、成膜環境に適した状態を維持しやすくなる。
<実施例1>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ処理面、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層、真空蒸着法により形成されたSiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルムとした。各層の成膜条件は以下のようになる。
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ処理面、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層、真空蒸着法により形成されたSiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルムとした。各層の成膜条件は以下のようになる。
[プラズマ処理]
使用ガス:Ar
処理圧力:5Pa
投入Power:5000W(400kHzの電源を使用した)
[密着層形成]
有機シラン系材料:ヘキサメチルジシロキサン
ガス:He
成膜圧力:5Pa
投入Power:5000W (400kHzの電源を使用した)
[ガスバリア膜]
O2ガス:導入無し
使用材料:SiOx(x=1.6)
また、同条件にて、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ処理面のみを行ったフィルム、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層のみを形成したフィルム、真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層のみを形成したフィルムをそれぞれ作製した。
使用ガス:Ar
処理圧力:5Pa
投入Power:5000W(400kHzの電源を使用した)
[密着層形成]
有機シラン系材料:ヘキサメチルジシロキサン
ガス:He
成膜圧力:5Pa
投入Power:5000W (400kHzの電源を使用した)
[ガスバリア膜]
O2ガス:導入無し
使用材料:SiOx(x=1.6)
また、同条件にて、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ処理面のみを行ったフィルム、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層のみを形成したフィルム、真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層のみを形成したフィルムをそれぞれ作製した。
<比較例1>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、ガスバリア層の成膜条件は、実施例1と同様にした。
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、ガスバリア層の成膜条件は、実施例1と同様にした。
<比較例2>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層のみを形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、密着層の成膜条件は、実施例1と同様にした。
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層のみを形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、密着層の成膜条件は、実施例1と同様にした。
<比較例3>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ処理面、真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、プラズマ処理面、ガスバリア層の処理条件は、実施例1と同様にした。
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ処理面、真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、プラズマ処理面、ガスバリア層の処理条件は、実施例1と同様にした。
<比較例4>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層、真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、密着層、ガスバリア層の成膜条件は、実施例1と同様にした。
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層、真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、密着層、ガスバリア層の成膜条件は、実施例1と同様にした。
<比較例5>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ処理面、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層、真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、プラズマ処理面の作製条件を以下のよう変更した以外、実施例1と同じ条件で作製した。
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ処理面、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層、真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、プラズマ処理面の作製条件を以下のよう変更した以外、実施例1と同じ条件で作製した。
[プラズマ処理]
使用ガス:Ar
処理圧力:5Pa
投入Power:1000W (400kHzの電源を使用した)
また、同条件にて厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面にプラズマ処理面のみを形成したフィルムを作製した。
使用ガス:Ar
処理圧力:5Pa
投入Power:1000W (400kHzの電源を使用した)
また、同条件にて厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面にプラズマ処理面のみを形成したフィルムを作製した。
<比較例6>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ処理面、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層、真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、密着層の作製条件を以下のよう変更した以外、実施例1と同じ条件で作製した。
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ処理面、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層、真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、密着層の作製条件を以下のよう変更した以外、実施例1と同じ条件で作製した。
[密着層形成]
有機シラン系材料:ヘキサメチルジシロキサン(流量は実施例1と同様とした。)
ガス:He
成膜圧力:20Pa
投入Power:1000W(400kHzの電源を使用した)
また、同条件にて厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に密着層のみを形成したフィルムを作製した。
有機シラン系材料:ヘキサメチルジシロキサン(流量は実施例1と同様とした。)
ガス:He
成膜圧力:20Pa
投入Power:1000W(400kHzの電源を使用した)
また、同条件にて厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に密着層のみを形成したフィルムを作製した。
<比較例7>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ処理面、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層、真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、ガスバリア層の作製条件を以下のよう変更した以外、実施例1と同じ条件で作製した。
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ処理面、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層、真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、ガスバリア層の作製条件を以下のよう変更した以外、実施例1と同じ条件で作製した。
[ガスバリア膜]
O2ガス:導入有り
使用材料:SiOx(x=1.6)
また、同条件にて厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面にガスバリア層のみを形成したフィルムを作製した。
O2ガス:導入有り
使用材料:SiOx(x=1.6)
また、同条件にて厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面にガスバリア層のみを形成したフィルムを作製した。
<比較例8>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ処理面、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層、真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、プラズマ処理面は比較例5、密着層は比較例6、ガスバリア層は、実施例1と同じ条件で作製した。
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ処理面、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層、真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、プラズマ処理面は比較例5、密着層は比較例6、ガスバリア層は、実施例1と同じ条件で作製した。
<比較例9>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ処理面、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層、真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、プラズマ処理面は比較例5、密着層は実施例1、ガスバリア層は、比較例7と同じ条件で作製した。
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ処理面、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層、真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、プラズマ処理面は比較例5、密着層は実施例1、ガスバリア層は、比較例7と同じ条件で作製した。
<比較例10>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ処理面、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層、真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、プラズマ処理面は実施例1、密着層は比較例6、ガスバリア層は比較例7と同じ条件で作製した。
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ処理面、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層、真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、プラズマ処理面は実施例1、密着層は比較例6、ガスバリア層は比較例7と同じ条件で作製した。
<比較例11>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ処理面を2回行い、その上に真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、プラズマ処理面、ガスバリア層の処理条件は、実施例1と同様にした。
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ処理面を2回行い、その上に真空蒸着法により形成された、SiOx膜からなるガスバリア層を形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、プラズマ処理面、ガスバリア層の処理条件は、実施例1と同様にした。
<比較例12>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層を2層形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、密着層の成膜条件は、実施例1と同様にした。
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製P60)の片面に、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)により形成されたSiOxCy膜からなる密着層を2層形成し、その上に、保護層、ナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層したガスバリアフィルム。その際、密着層の成膜条件は、実施例1と同様にした。
<評価1>
本発明品の密着性をテンシロン万能試験機(ORIENTEC社製RTC−1250)にて測定した。なお、測定は121℃30分、130℃30分の各種レトルト処理後に行った。その密着性の結果を以下の表1に示す。
本発明品の密着性をテンシロン万能試験機(ORIENTEC社製RTC−1250)にて測定した。なお、測定は121℃30分、130℃30分の各種レトルト処理後に行った。その密着性の結果を以下の表1に示す。
<評価2>
本発明品のガスバリア性を水蒸気透過度測定装置(モダンコントロール社製MOCON PERMATRAN 3/21 40℃90%RH雰囲気)にて用い測定した。なお、測定は保護層の上にナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層した後、121℃30分、130℃30分の各種レトルト処理前後に行った。そのガスバリア性の結果を以下の表2に示す。
本発明品のガスバリア性を水蒸気透過度測定装置(モダンコントロール社製MOCON PERMATRAN 3/21 40℃90%RH雰囲気)にて用い測定した。なお、測定は保護層の上にナイロンフィルム(ユニチカ製ONMB−15μ)とポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ製RXC−22 70μ)を積層した後、121℃30分、130℃30分の各種レトルト処理前後に行った。そのガスバリア性の結果を以下の表2に示す。
本発明おけるガスバリアフィルムの産業上の利用可能性としては、太陽電池のバックシート、食品や医薬品等の包装分野に用いられるガスバリアフィルムが考えられる。
1…ガスバリア性プラスチックフィルム
2…プラズマ処理面
3…密着層
4…ガスバリア層
5…ガスバリア性プラスチックフィルムの製造装置
6…プラズマ処理装置
7…高周波電源
8…高周波印加電極としての金属ロール
9…接地電極
10…磁石
11…密着層形成装置
12…有機シラン系材料導入パイプ
13…ガスバリア層形成装置
14…エレクトロンビーム
2…プラズマ処理面
3…密着層
4…ガスバリア層
5…ガスバリア性プラスチックフィルムの製造装置
6…プラズマ処理装置
7…高周波電源
8…高周波印加電極としての金属ロール
9…接地電極
10…磁石
11…密着層形成装置
12…有機シラン系材料導入パイプ
13…ガスバリア層形成装置
14…エレクトロンビーム
Claims (6)
- 基材となるプラスチックフィルムの少なくとも一方の面にプラズマ処理面を形成し、このプラズマ処理面上に1.0≦x<1.5、y≦1.0を満たすSiOxCy膜からなる密着層を設け、該密着層の上に1.5≦x≦1.8を満たすSiOx膜からなるガスバリア層を形成したことを特徴としたガスバリア性プラスチックフィルム。
- 基材となるプラスチックフィルムの少なくとも一方の面にプラズマ処理面を形成する工程と、
前記プラズマ処理面上に1.0≦x<1.5、y≦1.0を満たすSiOxCy膜からなる密着層を形成する工程と、
前記密着層の上に1.5≦x≦1.8を満たすSiOx膜からなるガスバリア層を形成する工程と、
を有するガスバリア性プラスチックフィルムの製造方法。 - 前記プラズマ処理面を形成する工程では、高周波印加電極である金属ロールに基材となるプラスチックフィルムを走行させ、前記高周波印加電極に対向する接地電極側に永久磁石を配置し、前記高周波印加電極と前記接地電極との間に、酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、もしくはそれらの混合したものを含むガスを導入し、その空間圧力を1以上50Pa以下として、前記高周波印加電極と前記接地電極との間に10kHz以上30MHz以下の高周波を印加することで前記高周波印加電極と前記接地電極との間にプラズマを発生させ、プラズマ処理を行うことを特徴とした請求項2に記載のガスバリア性プラスチックフィルムの製造方法。
- 前記密着層を形成する工程では、プラズマ化学的気相成長法(PECVD法)にて前記密着層を形成し、この際、高周波印加電極である金属ロール上を基材となるプラスチックフィルムを走行させ、高周波印加電極に対向する接地電極側に永久磁石を配置し、前記電極間に、ヘキサメチルジシロキサン等の有機シラン系材料と、ヘリウムやアルゴン等の希ガスや酸素等の活性ガス、もしくはその混合したものを含むガスを導入し、その空間圧力を1以上5Pa以下として、10kHz以上30MHz以下の高周波を印加することで、前記高周波印加電極と前記接地電極との間にプラズマを発生させることにより前記密着層を形成することを特徴とした請求項2〜3のいずれかに記載のガスバリア性プラスチックフィルムの製造方法。
- 前記ガスバリア層を形成する工程は、ドライコーティング法により酸化珪素膜であるガスバリア層を形成することを特徴とした請求項2〜4のいずれかに記載のガスバリア性プラスチックフィルムの製造方法。
- 前記プラズマ処理面を形成する工程、密着層を形成する工程、ガスバリア層を形成する工程がいずれも減圧環境下におけるインライン工程にて形成されることを特徴とした請求項2〜5のいずれかに記載のガスバリア性プラスチックフィルムの製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015125794A (ja) * | 2013-12-25 | 2015-07-06 | 古河電気工業株式会社 | 複合体粒子及びその製造方法並びにそれを用いた負極及び非水電解質二次電池 |
JP2016087815A (ja) * | 2014-10-30 | 2016-05-23 | 凸版印刷株式会社 | 透明ガスバリア性フィルム |
JP2018192693A (ja) * | 2017-05-17 | 2018-12-06 | 凸版印刷株式会社 | ガスバリア性フィルムおよびその製造方法 |
JP2020070429A (ja) * | 2018-10-31 | 2020-05-07 | 大日本印刷株式会社 | 酸素プラズマ処理樹脂フィルム、ガスバリア性蒸着フィルム及び該ガスバリア性蒸着フィルムを用いたガスバリア性積層体、ガスバリア性包装材料、ガスバリア性包装体、ガスバリア性包装袋、及びそれらの製造方法 |
-
2012
- 2012-03-16 JP JP2012060745A patent/JP2013193267A/ja active Pending
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