配列表の簡単な説明
配列番号1〜6148は、S.pyogenes Cas9エンドヌクレアーゼを有するC9ORF72遺伝子を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号6149〜6892は、S.aureus Cas9エンドヌクレアーゼを有するC9ORF72遺伝子を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号7760〜8097は、S.thermophilus Cas9エンドヌクレアーゼを有するC9ORF72遺伝子を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号8098〜8261は、T.denticola Cas9エンドヌクレアーゼを有するC9ORF72遺伝子を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号6893〜7759は、N.meningitides Cas9エンドヌクレアーゼを有するC9ORF72遺伝子を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号8262〜18807は、Acidominococcus、Lachnospiraceae、及びFrancisella novicida Cpf1エンドヌクレアーゼを有するC9ORF72遺伝子を標的化するための22bpのスペーサー配列である。
配列番号18810〜20841は、S.pyogenes Cas9エンドヌクレアーゼを有するAAVS1(PPP1R12C)遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号20842〜21012は、S.aureus Cas9エンドヌクレアーゼを有するAAVS1(PPP1R12C)遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号21013〜21030は、S.thermophilus Cas9エンドヌクレアーゼを有するAAVS1(PPP1R12C)遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号21031〜21039は、T.denticola Cas9エンドヌクレアーゼを有するAAVS1(PPP1R12C)遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号21040〜21114は、N.meningitides Cas9エンドヌクレアーゼを有するAAVS1(PPP1R12C)遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号21115〜22290は、Acidominococcus,Lachnospiraceae及びFrancisella novicida Cpf1エンドヌクレアーゼを有するAAVS1(PPP1R12C)遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための22bpのスペーサー配列である。
配列番号22291〜22458は、S.pyogenes Cas9エンドヌクレアーゼを有するAlb遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号22459〜22486は、S.aureus Cas9エンドヌクレアーゼを有するAlb遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号22487〜22504は、S.thermophilus Cas9エンドヌクレアーゼを有するAlb遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号22505〜22509は、T.denticola Cas9エンドヌクレアーゼを有するAlb遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号22510〜22533は、N.meningitides Cas9エンドヌクレアーゼを有するAlb遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号22534〜22912は、Acidominococcus、Lachnospiraceae、及びFrancisella novicida Cpf1エンドヌクレアーゼを有するAlb遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための22bpのスペーサー配列である。
配列番号22913〜23257は、S.pyogenes Cas9エンドヌクレアーゼを有するAngpt13遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号23258〜23293は、S.aureus Cas9エンドヌクレアーゼを有するAngpt13遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号23294〜23316は、S.thermophilus Cas9エンドヌクレアーゼを有するAngpt13遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号23317〜23329は、T.denticola Cas9エンドヌクレアーゼを有するAngpt13遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号23330〜23392は、N.meningitides Cas9エンドヌクレアーゼを有するAngpt13遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号23393〜24240は、Acidominococcus、Lachnospiraceae、及びFrancisella novicida Cpf1エンドヌクレアーゼを有するAngpt13遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための22bpのスペーサー配列である。
配列番号24241〜24643は、S.pyogenes Cas9エンドヌクレアーゼを有するApoC3遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号24644〜24668は、S.aureus Cas9エンドヌクレアーゼを有するApoC3遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号24669〜24671は、S.thermophilus Cas9エンドヌクレアーゼを有するApoC3遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号24672〜24673は、T.denticola Cas9エンドヌクレアーゼを有するApoC3遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号24674〜24685は、N.meningitides Cas9エンドヌクレアーゼを有するApoC3遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号24686〜24917は、Acidominococcus、Lachnospiraceae、及びFrancisella novicida Cpf1エンドヌクレアーゼを有するApoC3遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための22bpのスペーサー配列である。
配列番号24918〜26685は、S.pyogenes Cas9エンドヌクレアーゼを有するASGR2遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号26686〜26891は、S.aureus Cas9エンドヌクレアーゼを有するASGR2遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号26892〜26915は、S.thermophilus Cas9エンドヌクレアーゼを有するASGR2遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号26916〜26927は、T.denticola Cas9エンドヌクレアーゼを有するASGR2遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号26928〜27010は、N.meningitides Cas9エンドヌクレアーゼを有するASGR2遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号27011〜28450は、Acidominococcus、Lachnospiraceae、及びFrancisella novicida Cpf1エンドヌクレアーゼを有するASGR2遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための22bpのスペーサー配列である。
配列番号28451〜28653は、S.pyogenes Cas9エンドヌクレアーゼを有するCCR5遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号28654〜28685は、S.aureus Cas9エンドヌクレアーゼを有するCCR5遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号28686〜28699は、S.thermophilus Cas9エンドヌクレアーゼを有するCCR5遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号28700〜28701は、T.denticola Cas9エンドヌクレアーゼを有するCCR5遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号28702〜28729は、Cas9エンドヌクレアーゼを有するCCR5遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号28730〜29029は、Acidominococcus、Lachnospiraceae、及びFrancisella novicida Cpf1エンドヌクレアーゼを有するCCR5遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための22bpのスペーサー配列である。
配列番号29030〜30495は、S.pyogenes Cas9エンドヌクレアーゼを有するF9遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号30496〜30658は、S.aureus Cas9エンドヌクレアーゼを有するF9遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号30659〜30719は、S.thermophilus Cas9エンドヌクレアーゼを有するF9遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号30720〜30744は、T.denticola Cas9エンドヌクレアーゼを有するF9遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号30745〜30897は、N.meningitides Cas9エンドヌクレアーゼを有するF9遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号30898〜33038は、Acidominococcus、Lachnospiraceae、及びFrancisella novicida Cpf1エンドヌクレアーゼを有するF9遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための22bpのスペーサー配列である。
配列番号33039〜34054は、S.pyogenes Cas9エンドヌクレアーゼを有するG6PC遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号34055〜34171は、S.aureus Cas9エンドヌクレアーゼを有するG6PC遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号34172〜34195は、S.thermophilus Cas9エンドヌクレアーゼを有するG6PC遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号34196〜34204は、T.denticola Cas9エンドヌクレアーゼを有するG6PC遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号34205〜34294は、N.meningitides Cas9エンドヌクレアーゼを有するG6PC遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号34295〜35389は、Acidominococcus、Lachnospiraceae、及びFrancisella novicida Cpf1エンドヌクレアーゼを有するG6PC遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための22bpのスペーサー配列である。
配列番号35390〜40882は、S.pyogenes Cas9エンドヌクレアーゼを有するGys2遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号40883〜41558は、S.aureus Cas9エンドヌクレアーゼを有するGys2遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号41559〜41836は、S.thermophilus Cas9エンドヌクレアーゼを有するGys2遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号41837〜41950は、T.denticola Cas9エンドヌクレアーゼを有するGys2遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号41951〜42630は、N.meningitides Cas9エンドヌクレアーゼを有するGys2遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号42631〜51062は、Acidominococcus、Lachnospiraceae、及びFrancisella novicida Cpf1エンドヌクレアーゼを有するGys2遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための22bpのスペーサー配列である。
配列番号51063〜52755は、S.pyogenes Cas9エンドヌクレアーゼを有するHGD遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号52756〜52969は、S.aureus Cas9エンドヌクレアーゼを有するHGD遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号52970〜53052は、S.thermophilus Cas9エンドヌクレアーゼを有するHGD遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号53053〜53071は、T.denticola Cas9エンドヌクレアーゼを有するHGD遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号53072〜53272は、N.meningitides Cas9エンドヌクレアーゼを有するHGD遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号53273〜55597は、Acidominococcus、Lachnospiraceae、及びFrancisella novicida Cpf1エンドヌクレアーゼを有するHGD遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための22bpのスペーサー配列である。
配列番号55598〜59392は、S.pyogenes Cas9エンドヌクレアーゼを有するLp(a)遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号59393〜59802は、S.aureus Cas9エンドヌクレアーゼを有するLp(a)遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号59803〜59938は、S.thermophilus Cas9エンドヌクレアーゼを有するLp(a)遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号59939〜59973は、T.denticola Cas9エンドヌクレアーゼを有するLp(a)遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号59974〜60341は、N.meningitides Cas9エンドヌクレアーゼを有するLp(a)遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号60342〜64962は、Acidominococcus、Lachnospiraceae、及びFrancisella novicida Cpf1エンドヌクレアーゼを有するLp(a)遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための22bpのスペーサー配列である。
配列番号64963〜66982は、S.pyogenes Cas9エンドヌクレアーゼを有するPCSK9遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号66983〜67169は、S.aureus Cas9エンドヌクレアーゼを有するPCSK9遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号67170〜67205は、S.thermophilus Cas9エンドヌクレアーゼを有するPCSK9遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号67206〜67219は、T.denticola Cas9エンドヌクレアーゼを有するPCSK9遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号67220〜67359は、N.meningitides Cas9エンドヌクレアーゼを有するPCSK9遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号67360〜69153は、Acidominococcus、Lachnospiraceae、及びFrancisella novicida Cpf1エンドヌクレアーゼを有するPCSK9遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための22bpのスペーサー配列である。
配列番号69154〜70291は、S.pyogenes Cas9エンドヌクレアーゼを有するSerpina1遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号70292〜70384は、S.aureus Cas9エンドヌクレアーゼを有するSerpina1遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号70385〜70396は、S.thermophilus Cas9エンドヌクレアーゼを有するSerpina1遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号70397〜70399は、T.denticola Cas9エンドヌクレアーゼを有するSerpina1遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号70400〜70450は、N.meningitides Cas9エンドヌクレアーゼを有するSerpina1遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号70451〜71254は、Acidominococcus、Lachnospiraceae、及びFrancisella novicida Cpf1エンドヌクレアーゼを有するSerpina1遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための22bpのスペーサー配列である。
配列番号71255〜72086は、S.pyogenes Cas9エンドヌクレアーゼを有するTF遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号72087〜72172は、S.aureus Cas9エンドヌクレアーゼを有するTF遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号72173〜72184は、S.thermophilus Cas9エンドヌクレアーゼを有するTF遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号72185〜72191は、T.denticola Cas9エンドヌクレアーゼを有するTF遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号72192〜72235は、N.meningitides Cas9エンドヌクレアーゼを有するTF遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号72236〜72871は、Acidominococcus、Lachnospiraceae、及びFrancisella novicida Cpf1エンドヌクレアーゼを有するTF遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための22bpのスペーサー配列である。
配列番号72872〜73171は、S.pyogenes Cas9エンドヌクレアーゼを有するTTR遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号73172〜73212は、S.aureus Cas9エンドヌクレアーゼを有するTTR遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号73213〜73229は、S.thermophilus Cas9エンドヌクレアーゼを有するTTR遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号73230〜73231は、T.denticola Cas9エンドヌクレアーゼを有するTTR遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号73232〜73266は、N.meningitides Cas9エンドヌクレアーゼを有するTTR遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための20bpのスペーサー配列である。
配列番号73267〜73668は、Acidominococcus、Lachnospiraceae、及びFrancisella novicida Cpf1エンドヌクレアーゼを有するTTR遺伝子のエクソン1〜2を標的化するための22bpのスペーサー配列である。
C9ORF72
ヒトC9ORF72遺伝子は、塩基対27,546,542から塩基対27,573,863の染色体9オープンリーディングフレーム72の短(p)アーム上に位置している。その細胞遺伝学的位置は、9p21.2にある。C9ORF72の変異は、6つの文字列のヌクレオチドGGGGCCのヘキサヌクレオチド反復拡大である。健常な個人において、このヘキサヌクレオチドの少数の反復がある、典型的には、30以下であるが、罹患した表現型を有する人において、反復は、ほぼ数百程度で生じ得る。C9ORF72遺伝子におけるヘキサヌクレオチド拡大事象は、約40%の家族性ALS及び8〜10%の散発性ALSに存在する。
ヘキサヌクレオチド拡大は、C9ORF72遺伝子の代替的にスプライシングされたイントロン1で発生し、したがって、コード配列または結果として生じるタンパク質を変更しない。C9ORF72の3つの代替的にスプライシングされた変異体(V1、V2、及びV3)が、通常、生成される。拡大したヌクレオチド反復は、V1の転写を減少させることが示されているが、生成されたタンパク質の総量は、影響を受けなかった。
「ヘキサヌクレオチド反復拡大」という用語は、一連の6塩基(例えば、GGGGCC、GGGGGG、GGGGCG、またはGGGGGC)が少なくとも2回反復したことを意味する。ある特定の実施形態では、ヘキサヌクレオチド反復拡大は、C9ORF72核酸のイントロン1に位置し得る。ある特定の実施形態では、病原性ヘキサヌクレオチド反復拡大は、C9ORF72核酸において、GGGGCC、GGGGGG、GGGGCG、またはGGGGGCの少なくとも30回の反復を含み、疾患と関連している。他の実施形態では、病原性ヘキサヌクレオチド反復拡大は、少なくとも31、32、33、34、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300またはそれ以上の反復を含む。ある特定の実施形態では、反復は、連続的である。ある特定の実施形態では、反復は、1つ以上の核酸塩基によって中断される。ある特定の実施形態では、野生型ヘキサヌクレオチド反復拡大は、C9ORF72核酸において、GGGGCC、GGGGGG、GGGGCG、またはGGGGGCの29回以下の反復を含む。他の実施形態では、野生型ヘキサヌクレオチド反復拡大は、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1回の反復を含む。ある特定の実施形態では、全ヘキサヌクレオチド反復拡大が欠失される。ある特定の実施形態では、反復は、連続的である。ある特定の実施形態では、反復は、1つ以上の核酸塩基によって中断される。
治療的アプローチ
1)C9ORF72遺伝子内もしくはその近傍の拡大したヘキサヌクレオチド反復を完全に欠失する、2)C9ORF72遺伝子内もしくはその近傍の拡大したヘキサヌクレオチド反復を、野生型または同様の数のヘキサヌクレオチド反復で修正/置き換える、または3)遺伝子座またはセーフハーバー遺伝子座へのヘキサヌクレオチド反復領域及びノッキングインC9ORF72 cDNAの欠失によって、ゲノムへの永久変化を引き起こすためにゲノム操作ツールを用いるための細胞、エクスビボ、及びインビボ方法が、本明細書に提供される。かかる方法は、拡大したヘキサヌクレオチド反復もしくはその一部を永久に欠失もしくは置き換える、またはC9ORF72遺伝子のゲノム遺伝子座に挿入するために、エンドヌクレアーゼ、例えば、CRISPR関連(Cas9、Cpf1等)ヌクレアーゼを使用する。このようにして、本発明は、野生型または類似のC9ORF72イントロン配列を復元するか、または(患者の寿命のための潜在的治療を送達するよりはむしろ)拡大したヘキサヌクレオチド反復を単一処理で欠失する。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)または前頭側頭葉変性症(FTLD)患者を治療するための方法が、本明細書に提供される。かかる方法の一実施形態は、エクスビボ細胞系療法である。例えば、患者特異的誘導多能性幹細胞(iPSC)が、作成される。次いで、これらのiPS細胞の染色体DNAは、本明細書に記載される材料及び方法を用いて修正される。次に、修正されたiPSCは、造血前駆細胞、神経前駆細胞、または神経系細胞に分化される。最終的に、造血前駆細胞、神経前駆細胞、または神経系細胞は、患者に移植される。
ドナー鋳型とともに、CRISPR−Cas9またはCRISPR−Cpf1を用いて、野生型C9ORF72 cDNAを、C9ORF72遺伝子座、またはAAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、G6PC、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTRからなる群から選択されるセーフハーバー遺伝子座に挿入するために、C9ORF72遺伝子の正確な発現を復元する方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、かかる方法は、ノックインされ得、影響を受けたエクソンを含有する、cDNAの使用である。部分的なcDNAアプローチに加えて、完全長cDNAは、翻訳開始部位にノックされ得る。いずれにしても、挿入されたcDNAの発現は、C9ORF72プロモーターの制御下にあり、C9ORF72タンパク質レベルの正確な制御を表示する。
C9ORF72 cDNAを、AAVS1(PPP1R12C)のエクソン1〜2、ALBのエクソン1〜2、Angptl3のエクソン1〜2、ApoC3のエクソン1〜2、ASGR2のエクソン1〜2、CCR5のエクソン1〜2、FIX(F9)のエクソン1〜2、G6PCのエクソン1〜2、Gys2のエクソン1〜2、HGDのエクソン1〜2、Lp(a)のエクソン1〜2、Pcsk9のエクソン1〜2、Serpina1のエクソン1〜2、TFのエクソン1〜2、及びTTRのエクソン1〜2、からなる群から選択されるセーフハーバー遺伝子座に挿入することによって、C9ORF72遺伝子の正確な発現を復元する方法もまた、本明細書に提供される。
かかる方法の別の実施形態は、エクスビボ細胞系療法である。例えば、白血球は、患者から単離される。次に、これらの白血球の染色体DNAは、本明細書に記載される材料及び方法を使用して修正される。最終的に、編集された白血球は、患者に移植される。
かかる方法のさらに別の実施形態は、エクスビボ細胞系療法である。例えば、任意に、患者の骨髄の生検を実行する。次いで、間葉幹細胞は、生検材料から単離される。次に、これらの幹細胞の染色体DNAは、本明細書に記載される材料及び方法を用いて修正される。次に、幹細胞は、造血前駆細胞、神経前駆細胞、または神経系細胞に分化される。最終的に、これらの造血前駆細胞、神経前駆細胞、または神経系細胞は、患者に移植される。
かかる方法のさらなる実施形態は、エクスビボ細胞系療法である。例えば、患者は、任意に、顆粒球コロニー刺激因子で治療される。次いで、造血前駆細胞は、患者から単離される。次に、これらの細胞の染色体DNAは、本明細書に記載される材料及び方法を用いて修正される。最終的に、細胞は、患者に移植される。
エクスビボ細胞療法アプローチの1つの利点は、投与前に治療法の総合的分析を行う能力である。全てのヌクレアーゼ系治療法は、いくつかのレベルのオフ標的効果を有する。エクスビボで遺伝子修正を行うことは、移植前に修正された細胞集団を十分に特徴付けることを可能にする。本発明の態様は、もしあれば、オフ標的切断が患者への最小リスクと関連する遺伝子位置にあることを確実にするために、修正された細胞の全ゲノムを配列決定することを含む。さらに、クローン集団を含む特定の細胞の集団は、移植前に単離され得る。
エクスビボ細胞療法の別の利点は、他の初代細胞源と比較したiPSC中の遺伝子修正に関する。iPSCは、豊富であり、細胞系療法に必要とされるであろう多数の細胞を取得することを容易にする。さらに、iPSCは、クローン単離を行うために理想的な細胞型である。これは、生存率の減少のリスクを冒さずに、正確なゲノム修正のためのスクリーニングを可能にする。対照的に、他の初代細胞は、ほんの継代のみで生存可能であり、クローン的に拡大させるのが困難である。それ故に、ALSまたはFTLDの治療のためのiPSCの操作は、さらに容易であり、かつ所望の遺伝的修正を行うために必要とされる時間の量を短縮するであろう。
かかる方法の別の実施形態は、インビボ系療法である。この方法では、患者における細胞の染色体DNAは、本明細書に記載される材料及び方法を用いて修正される。好ましくは、細胞は、神経系細胞、骨髄細胞、造血前駆細胞、またはCD34+細胞である。
インビボ系遺伝子療法の利点は、治療的生成及び投与の容易さである。同じ治療的アプローチ及び療法は、1人を超える患者、例えば、同じまたは同様の遺伝子型または対立遺伝子を共有する多くの患者を治療するために使用される可能性を有するであろう。対照的に、エクスビボ細胞療法は、典型的には、単離し、操作し、同じ患者に戻す、患者自体の細胞を用いることを必要とする。
ゲノム編集によって細胞中のC9ORF72遺伝子を編集するための細胞方法も、本明細書で提供される。例えば、細胞は、患者または動物から単離される。次いで、細胞の染色体DNAは、本明細書に記載される材料及び方法を用いて修正される。
本発明の方法は、細胞またはエクスビボまたはインビボ方法にかかわらず、以下のもののうちの1つまたはこれらの組み合わせを含む:C9ORF72遺伝子内またはその近傍の全拡大したヘキサヌクレオチド反復もしくはその断片を欠失すること、C9ORF72遺伝子内またはその近傍の拡大したヘキサヌクレオチド反復を、野生型レベルもしくは同等のレベルまで修正すること、または外因性C9ORF72 DNAもしくはcDNA配列またはその断片を、遺伝子の遺伝子座にまたはゲノム中の異種位置(セーフハーバー遺伝子座、例えば、AAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、G6PC、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTRからなる群から選択されるセーフハーバー遺伝子座)で導入すること。修正戦略及びノックイン戦略はともに、相同配向型修復(HDR)中のドナーDNA鋳型を利用する。いずれかの戦略におけるHDRは、1つ以上のエンドヌクレアーゼを使用することによってゲノム中の特異的部位で1つ以上の二本鎖切断(DSB)を作製することによって達成され得る。第1エクソンへのcDNAのHDR媒介性ノックインの有効性の評価は、「セーフハーバー」部位、例えば、ApoC3(chr11:116,829,908〜116,833,071)、Angptl3(chr1:62,597,487〜62,606,305)、Serpina1(chr14:94,376,747〜94,390,692)、Lp(a)(chr6:160,531,483〜160,664,259)、Pcsk9(chr1:55,039,475〜55,064,852)、FIX(chrX:139,530,736〜139,563,458)、ALB(chr4:73,404,254〜73,421,411)、TTR(chr18:31,591,766〜31,599,023)、TF(chr3:133,661,997〜133,779,005)、G6PC(17:42,900,796〜42,914,432)、Gys2(chr12:21,536,188〜21,604,857)、AAVS1(PPP1R12C)(chr19:55,090,912〜55,117,599)、HGD(chr3:120,628,167〜120,682,570)、CCR5(chr3:46,370,854〜46,376,206)、ASGR2(chr17:7,101,322〜7,114,310)の領域のうちの1つへの相同アームを有する一本鎖または二本鎖DNAにcDNAノックインを利用する。修正戦略及びノックイン戦略はともに、相同配向型修復(HDR)中のドナーDNA鋳型を利用する。いずれかの戦略におけるHDRは、1つ以上のエンドヌクレアーゼを使用することによってゲノム中の特異的部位で1つ以上の二本鎖切断(DSB)を作製することによって達成され得る。
例えば、修正戦略は、細胞内DSB反応を、相同配向型修復(ドナーDNA鋳型は、短一本鎖オリゴヌクレオチド、短二本鎖オリゴヌクレオチド、長一本鎖もしくは二本鎖DNA分子であり得る)に向けるために外因的に導入されるドナーDNA鋳型の存在下で、1つ以上のCas9及びsg RNAを有する対象となる遺伝子中の1つの二本鎖切断、または2つ以上の適切なsgRNAを用いて対象となる遺伝子中の2つ以上の二本鎖切断を誘導することによって、C9ORF72遺伝子中の拡大したヘキサヌクレオチド反復を修正することを含む。このアプローチは、C9ORF72遺伝子の異種ヘキサヌクレオチド反復拡大のために、gRNAS及びドナーDNA分子の開発及び最適化を必要とする。
例えば、ノックイン戦略は、C9ORF72遺伝子の第1または他のエクソン及び/もしくはイントロンの、もしくはその中、またはセーフハーバー部位(例えば、AAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、G6PC、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTR)からなる群から選択されるセーフハーバー遺伝子座のエクソン1〜2)中のsgRNAまたは一対のsgRNA標的上流を用いて遺伝子座に、C9ORF72 cDNAをノックインすることを含む。ドナーDNAは、9p21.2領域に、相同アームを有する一本鎖または二本鎖DNAであろう。ドナーDNAは、標的セーフハーバー遺伝子座に対して相同アームを有する一本鎖または二本鎖DNAであり得る。ドナー鋳型は、AAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、G6PC、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTRからなる群から選択されるセーフハーバー遺伝子座に対して相同アームを有する一本鎖または二本鎖DNAであり得る。
例えば、欠失戦略は、1つ以上のエンドヌクレアーゼ及び2つ以上のgRNAまたはsgRNAを用いてC9ORF72遺伝子中の1つ以上の、好ましくは全てのヘキサヌクレオチド反復を欠失することを含む。
上記の戦略(修正及びノックイン及び欠失)のための利点は、原則として、短期間及び長期間の両方の有益な臨床及び実験的効果を含む。ノックインアプローチは、修正または欠失アプローチにわたる1つの利点、つまり患者のサブセットのみを対象とする全ての患者を処置する能力を提供する。この様式で遺伝子編集を有する他の問題は、HDRのためにDNAドナーに対する必要性である。
上記のゲノム編集戦略に加えて、別の戦略は、拡大したヘキサヌクレオチド反復領域以外の遺伝子において編集することによって、または調節配列において編集することによって、C9orf72の発現、機能、または活性を調節することを含む。
CRISPR/Cas9エンドヌクレアーゼは、PAMが、DNAオリゴ(PAMer)(O’Connell,M.R.et al.Nature 516,263−266(2014))としてトランスで示される場合に、一本鎖RNA標的を標的化するために使用することができる。このシステムの操作は、転写されたRNAにおける切断を特異的に誘導するが、ゲノム遺伝子座を無傷のままにするために利用することができる。これは、細胞中の有害なRNAからの特異的なノックダウン発現のために有用な戦略である。ALSを治療する文脈において、あるアプローチは、切断を誘発するために、DNA PAMerとともにC9ORF72 プレRNAにおいてヘキサヌクレオチド反復を特異的に標的化するgRNAを送達するためのものであり得る。これは、有害なC9ORF72 mRNAの発現の低下をもたらし得る。
本発明の別の方法は、ドナーからの骨髄を患者に移植することを含む、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または前頭側頭葉変性症(FTLD)患者を治療することを含む。
多くの種類のゲノム標的部位が、コード及びスプライシング配列における変異に加えて存在する。
転写及び翻訳の調節は、細胞タンパク質またはヌクレオチドと相互作用するいくつかの異なるクラスの部位に関与する。多くの場合、転写因子または他のタンパク質のDNA結合部位は、部位の役割を研究するために特異または欠失に対して標的化され得るが、それらはまた、遺伝子発現を変化させるために標的化され得る。部位は、非相同末端結合(NHEJ)を通して添加されるか、または相同配向型修復(HDR)によるゲノム編集を配向し得る。ゲノム配列決定の使用の増加、転写因子結合のRNA発現及びゲノム規模研究は、いかに部位が発生的または時間的遺伝子調節をもたらすかを特定する能力を増加させた。これらの制御システムは、直接的であっても、複数のエンハンサーからの活性の統合を必要とすることができる広範な共同調節を伴ってもよい。転写因子は、典型的には6〜12bp長さの縮重DNA配列と結合する。個々の部位によって提供される低レベルの特異性は、複雑な相互作用及び役割が結合及び機能的結果に関与することを示唆する。縮重が少ない結合部位は、調節のより単純な手段を提供し得る。人工転写因子は、ゲノム内にあまり類似していない配列を有し、オフ標的切断の可能性がさらに低い、より長い配列を特定するように設計され得る。これらの種類の結合部位のうちのいずれかは、遺伝子調節または発現の変化を可能にするために、変異され、欠失され、またはさらには作製され得る(Canver,M.C.et al.,Nature(2015))。
これらの特性を有する別のクラスの遺伝子調節領域は、マイクロRNA(miRNA)結合部位である。miRNAは、転写後遺伝子調節において重要な役割を果たす非コードRNAである。miRNAは、全ての哺乳動物タンパク質をコードする遺伝子の30%の発現を調節し得る。二本鎖RNA(RNAi)による特異的及び強力な遺伝子サイレンシングが発見され、さらに小分子非コードRNAが発見された(Canver,M.C.et al.,Nature(2015))。遺伝子サイレンシングにとって重要である最大クラスの非コードRNAは、miRNAである。哺乳動物において、miRNAは、まず、別個の転写単位、タンパク質イントロンの一部、または他の転写物であり得る、長いRNA転写物として転写される。長い転写物は、不完全に塩基対ヘアピン構造を含む一次miRNA(pri−miRNA)と呼ばれる。これらのpri−miRNAは、Droshaを含む、マイクロプロセッサ、核内のタンパク質複合体によって1つ以上のより短い前駆体miRNA(pre−miRNA)に切断される。
Pre−miRNAは、成熟19〜25ヌクレオチドmiRNA:miRNA*二本鎖に、エクスポートされた2−ヌクレオチド3’−オーバーハングを有する約70長のヌクレオチドの短い幹ループである。より低い塩基対の安定性を有するmiRNA鎖(ガイド鎖)は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)上に装填される。パッセンジャーガイド鎖(*で印を付けた)は、機能的であり得るが、通常、分解される。成熟miRNAは、RISCを、3’非翻訳領域(UTR)内に主に見出される標的mRNAに部分的に相補的配列モチーフに連結し、転写後遺伝子サイレンシングを誘導する(Bartel,D.P.Cell 136,215−233(2009)、Saj,A.& Lai,E.C.Curr Opin Genet Dev 21,504−510(2011))。
miRNAは、発達、分化、細胞周期、及び成長制御、ならびに哺乳動物及び他の多細胞生物における事実上全ての生物学的経路において重要である。miRNAはまた、細胞周期制御、アポトーシス及び幹細胞分化、造血、低酸素症、筋肉発生、神経形成、インスリン分泌、コレステロール代謝、老化、ウイルス複製、及び免疫応答に関与している。
単一のmiRNAは、数百の異なるmRNA転写物を標的し得るが、個々の転写物は、多くの異なるmiRNAによって標的化され得る。28645を超えるmicroRNAは、miRBase(v.21)の最新の放出に注釈付けられている。いくつかのmiRNAは、複数の遺伝子座によってコードされ、これらのうちのいくつかは、直列に同時転写されたクラスタから発現される。これらの特性は、複数の経路及びフィードバック制御を有する複合調節ネットワークを可能にする。miRNAは、これらのフィードバック及び調節回路の一体部分であり、限界内でタンパク質産生を維持することによって遺伝子発現の調節に役立ち得る(Herranz,H.& Cohen,S.M.Genes Dev 24,1339−1344(2010)、Posadas,D.M.& Carthew,R.W.Curr Opin Genet Dev 27,1−6(2014))。
miRNAはまた、異常なmiRNA発現に関連する多数のヒト疾患において重要である。この関連は、miRNA調節経路の重要性を強調する。近年のmiRNA欠失研究は、miRNAを免疫応答の調節と関連付けられている(Stern−Ginossar,N.et al.,Science 317,376−381(2007))。
miRNAはまた、がんに対する強い関連も有し、異なる種類のがんにおいて役割を果たし得る。miRNAは、多くの腫瘍において下方調節されることが見出されている。miRNAは、主要ながん関連経路の調節、例えば、細胞周期及びDNA損傷応答において重要であり、したがって、診断に使用され、臨床的に標的としている。MicroRNAは、全てのマイクロRNAを欠失する実験が、腫瘍の血管新生を抑制するように、血管新生の均衡を微妙に調節する(Chen,S.et al.,Genes Dev 28,1054−1067(2014))。
タンパク質コード遺伝子について示されているように、miRNA遺伝子もまた、がんにより生じる後成的変化に供される。多くのmiRNA遺伝子座は、DNAメチル化による調節のそれらの機会を増加させるCpGアイランドと関連している(Weber,B.,Stresemann,C.,Brueckner,B.& Lyko,F.Cell Cycle 6,1001−1005(2007))。研究の大部分は、後成的にサイレンシングされたmiRNAを示すために、クロマチン再構築剤による治療で使用されている。
RNAサイレンシングにおけるそれらの役割に加えて、miRNAはまた、翻訳を活性化することもできる(Posadas,D.M.& Carthew,R.W.Curr Opin Genet Dev 27,1−6(2014))。これらの部位のノックアウトは、標的遺伝子の発現の減少をもたらし得るが、これらの部位の導入は、発現を増加し得る。
個々のmiRNAは、シード配列(マイクロRNAの塩基2〜8)を変異させることによって最も有効にノックアウトされ得、これは、結合特異性に重要である。この領域における切断、続いて、NHEJによる誤修復は、標的部位への結合を遮断することによってmiRNA機能を効果的に停止させ得る。miRNAはまた、パリンドローム配列に隣接する特定のループ領域の特異的標的化によって阻害され得る。触媒不活性Cas9はまた、shRNA発現を阻害するために使用することもできる(Zhao,Y.et al.,Sci Rep 4,3943(2014))。miRNAの標的化に加えて、結合部位はまた、miRNAによるサイレンシングを阻止するために標的とされ、変異され得る。
ヒト細胞
ALSまたはFTLDを改善するために、本明細書に記載及び例示されるように、遺伝子編集のための主要な標的は、ヒト細胞である。例えば、エクスビボ方法において、ヒト細胞は、記載される技術を用いて修飾した後に、神経系細胞または前駆細胞を生じさせ得る、体細胞である。例えば、インビボ方法において、ヒト細胞は、神経系細胞である。
必要とする患者から由来し、したがって、患者と既に完全に一致している自己細胞内の遺伝子編集を行うことによって、患者に安全に再導入され得る細胞を生成し、患者の疾患と関連する1つ以上の臨床状態を改善する際に有効であろう細胞の集団に有効に生じさせることが可能である。
前駆細胞(本明細書において幹細胞とも称される)は、より多くの前駆細胞を増殖し、生じさせることができ、これらは次いで、分化したまたは分化可能な娘細胞を次に生じさせ得る多数の母細胞を作製する能力を有する。娘細胞自体は、増殖し、かつ、親の発生能を有する1つ以上の細胞を保持しつつ、1つ以上の成熟細胞型へ続いて分化する後代を生成するように誘導され得る。「幹細胞」という用語は、次いで、特定の状況下で、より特殊化したまたは分化した表現型へ分化する能力または可能性を有し、かつ、ある状況下で、実質的に分化することなく増殖する能力を有する、細胞を指す。一実施形態では、前駆または幹細胞という用語は、胚細胞及び組織の漸進的多様化において生じるように、その子孫(後代)が、分化によって、例えば完全に個々の特徴を獲得することによって、しばしば異なる方向に、特殊化する、一般化された母細胞を指す。細胞分化は、多くの細胞***によって典型的に生じる複雑なプロセスである。分化細胞は、それ自体が複能性細胞等から誘導される複能性細胞に由来し得る。これらの複能性細胞の各々は、幹細胞と考えられ得る一方、各々が生じさせ得る細胞型の範囲は、かなり異なり得る。いくつかの分化細胞はまた、より大きな発生能の細胞を生じさせる能力も有する。このような能力は、天然のものであり得るか、または様々な因子での処理時に人工的に誘導され得る。多くの生物学的な事例において、幹細胞はまた、1つを超える別個の細胞型の後代を生成し得るため、「複能性」であるが、これは「幹性(stem−ness)」について必要とされない。
自己再生は、幹細胞の別の重要な態様である。理論的には、自己再生は、2つの主要な機構のいずれかによって生じ得る。幹細胞は、非対称的に***し得、一方の娘細胞は幹細胞状態を保持し、他方の娘細胞は、ある別個の他の特定の機能及び表現型を発現する。あるいは、集団中の幹細胞のいくつかは、2つの幹細胞へ対称的に***し得、したがって、全体として集団中にいくつかの幹細胞が維持され、一方、集団中の他の細胞は分化された後代のみを生じさせる。一般的に、「前駆細胞」は、より原始的である(すなわち、完全に分化した細胞であるよりも発生経路または進行に沿って初期の段階である)細胞表現型を有する。多くの場合、前駆細胞はまた、顕著なまたは非常に高い増殖能を有する。前駆細胞は、発生経路に応じて、細胞が発生かつ分化する環境に応じて、複数の異なる分化細胞型、または単一の分化細胞型を生じ得る。
細胞個体発生の文脈において、「分化した」または「分化している」という形容詞は、相対的な用語である。「分化細胞」は、それが比較されている細胞よりも発生経路のさらに先へ進んだ細胞である。したがって、幹細胞は、系統限定前駆細胞(筋細胞前駆細胞等)へ分化することができ、これは次に、この経路のさらに先の他の前駆細胞型(筋細胞前駆体等)へ、その後、最終段階の分化細胞へ分化することができ、これはある種の組織型において特徴的な役割を果たし、さらに増殖する能力を保持しても、保持していなくてもよい。
「造血前駆細胞」という用語は、赤血球(赤血球または赤血球細胞(RBC))、骨髄(単球及びマクロファージ、好中球、好塩基球、好酸球、巨核球/血小板、及び樹状細胞)、ならびにリンパ(T細胞、B細胞、NK細胞)を含む、全ての血液細胞型を生じさせる幹細胞系統の細胞を指す。
「赤血球系統の細胞」は、接触させる細胞が、最終分化によって赤血球(erythrocyte)または赤血球(red blood cell)を形成するような、赤血球生成を起こす細胞であることを示す。そのような細胞は、骨髄造血前駆細胞が起源である。特定の成長因子及び造血微環境の他の構成要素に曝露すると、造血前駆細胞は、一連の中間分化細胞型、赤血球系統の全ての中間体を通じて、RBCに成熟することができる。それ故に、「赤血球系統」の細胞は、造血前駆細胞、前赤芽球、塩基好性赤芽球、赤芽球、後赤血球、網状赤血球、及び赤血球を含む。
いくつかの実施形態では、造血前駆細胞は、造血前駆細胞の細胞表面マーカー:CD34+、CD59+、Thyl/CD90+、CD381o/−、及びC−kit/CDl 17+のうちの少なくとも1つを発現する。いくつかの実施形態では、造血前駆体は、CD34+である。
いくつかの実施形態では、造血前駆細胞は、患者が、顆粒球コロニー刺激因子等の1つ以上の因子(任意に、Plerixaflorと組み合わせて)で治療された後に、この患者から得られた末梢血幹細胞である。例示的な実施形態では、CD34+細胞は、CliniMACS(登録商標)Cell Selection System(Miltenyi Biotec)を用いて濃縮される。いくつかの実施形態では、CD34+細胞は、ゲノム編集前に、サイトカイン(例えば、SCF、rhTPO、rhFLT3)で、無血清培地(例えば、CellGrow SCGM培地、CellGenix)中で刺激される。いくつかの実施形態では、SR1及びdmPGE2ならびに/または他の因子の添加は、長期間の生着を改善することが企図される。
いくつかの実施形態では、赤血球系統の造血前駆細胞は、CD71及びTerl 19等の赤血球系統の細胞表面マーカー特徴を有する。
ALS及びFTLDはともに、運動ニューロンの疾患であり、筋肉を制御するために、神経線維を送る脊髄の大細胞である。また、随意運動を調節する脳の一部における運動ニューロンは、ALS及びFTLDにおいて破壊される。これら(上位運動ニューロンと呼ばれる)は、脳から神経線維を送って、脊髄中の下位運動ニューロンを制御する。インビボ方法は、運動ニューロンを直接標的し得る。インビボ方法はまた、グリア、星状膠細胞、及び他の支持細胞を標的し得る。
未公開データでは、ホモ接合性C9ORF72変異を持つマウスが生存可能であることが示されている。しかしながら、これらのマウスは、平均余命の減少、脾腫、好中球増加症、血小板減少症、及び炎症性サイトカインのレベルの上昇によって特徴付けられ、ALSの病理に対する免疫成分が存在し得ることを示唆する。興味深いことには、骨髄移植は、C9ORF72ホモ接合性変異体マウスにおいて観察される、死亡率及びサイトカインのレベルを遅延させることができる。この作業を基に、CRISPR/Cas9/Cpf1技術を用いた免疫系の細胞中のC9orf72遺伝子座の修正が、ALSの治療における新しいアプローチであり得ることが仮説されている。
誘導された多能性幹細胞
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される遺伝子操作されたヒト細胞は、誘導多能性幹細胞(iPSC)である。iPSCを用いる利点は、細胞は、前駆細胞が投与される同じ対象に由来し得ることである。つまり、体細胞は、対象から得られ、誘導多能性幹細胞に再プログラムされ、次いで、対象に投与される前駆細胞(例えば、自己細胞)に再分化され得る。前駆体が本質的に自己源に由来するため、生着拒絶またはアレルギー性反応のリスクは、別の対象または対象群の細胞の使用と比較して低減される。加えて、iPSCの使用は、胚源から得られた細胞の必要性を否定する。それ故に、一実施形態では、開示された方法で使用される幹細胞は、胚幹細胞ではない。
分化は、概して、生理学的状況下で不可逆的であるが、いくつかの方法が、体細胞をiPSCに再プログラムするように最近開発されている。例示的な方法は、当業者に既知であり、本明細書において以下に簡潔に説明されている。
「再プログラミング」という用語は、分化された細胞(例えば、体細胞)の分化状態を改変または逆転させるプロセスを指す。つまり、再プログラミングは、細胞の、より未分化なまたはより原始的な型へと細胞の分化を逆に推進するプロセスを指す。多くの初代細胞を培養液中に置くことで、完全に分化した特徴の一部の喪失を招き得ることに注意すべきである。それ故に、分化細胞という用語に含まれるような細胞を単に培養することは、これらの細胞を非分化細胞(例えば、未分化細胞)または多能性細胞とするものではない。多能性への分化細胞の移行には、培養液中での分化した特徴の部分的な喪失を招く刺激を超えた再プログラミング刺激が要求される。再プログラミングされた細胞はまた、一般的に培養液中での限られた数だけの***のための能力を有する初代細胞の親と比べて、成長能の喪失を伴わずに、延長した継代の能力の特徴を有する。
再プログラミングされる細胞は、再プログラミング前に、部分的または末端に分化される。いくつかの実施形態では、再プログラミングは、多能性状態または複能性状態への分化細胞(例えば、体細胞)の分化状態の完全な逆転を含む。いくつかの実施形態では、再プログラミングは、未分化細胞(例えば、胚様細胞)への分化細胞(例えば、体細胞)の分化状態の完全なまたは部分的な逆転を含む。再プログラミングは、細胞による特定の遺伝子の発現をもたらし得、この発現は、さらに再プログラミングの一因となる。本明細書に記載されるある特定の実施形態では、分化細胞(例えば、体細胞)の再プログラミングは、分化細胞に、未分化状態(例えば、未分化細胞である)を取らせる。結果として得られた細胞は、「再プログラミング細胞」または「誘導多能性幹細胞(iPSCまたはiPS細胞)」と称される。
再プログラミングは、細胞分化の間に生じる、核酸修飾(例えば、メチル化)、クロマチン凝縮、エピジェネティック変化、ゲノムインプリンティング等の遺伝的パターンの、改変、例えば、逆転を含む。再プログラミングは、既に多能性である細胞の既存の未分化状態を単に維持すること、または既に複能性細胞である細胞(例えば、筋原性幹細胞)の既存の、完全に満たない分化状態を維持することからは区別される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物及び方法はまた、そのような目的のために有用であるが、再プログラミングはまた、既に多能性または複能性である細胞の自己複製または増殖を促すことから区別されている。
体細胞から多能性幹細胞を生成するために使用することができる、多くの方法が、当該技術分野で既知である。多能性表現型に体細胞を再プログラミングする任意のこのような方法は、本明細書に記載される方法で用いるために適切であり得る。
転写因子の定義された組み合わせを用いて多能性細胞を生成するための再プログラミング方法が、説明されている。Oct4、Sox2、Klf4、及びc−Mycの直接形質導入によって、マウス体細胞を、発達能が増大したES細胞様細胞へと変換させ得る;例えば、Takahashi and Yamanaka,Cell 126(4):663−76(2006)を参照のこと。iPSCは、それらが多能性関連転写回路及び後成的背景の多くを回復するため、ES細胞と類似する。加えて、マウスiPSCは、多能性に関する全ての標準アッセイ、具体的に、3胚葉の細胞型へのインビトロ分化、テラトーマ形成、キメラへの関与、生殖系列伝播[例えば、Maherali and Hochedlinger,Cell Stem Cell.3(6):595−605(2008)を参照のこと]、及び四倍体相補性を満たす。
ヒトiPSCは、類似の形質導入法を用いて得られ得、転写因子トリオ、OCT4、SOX2、及びNANOGは、多能性を支配する転写因子のコアセットとして確立されている;例えば、Budniatzky and Gepstein,Stem Cells Transl Med.3(4):448−57(2014)、Barrett et al.,Stem Cells Trans Med 3:1−6 sctm.2014−0121(2014)、Focosi et al.,Blood Cancer Journal 4:e211(2014)、及びその中に言及された参照文献を参照のこと。iPSCの生成は、歴史的にはウイルスベクターを用いて、幹細胞関連遺伝子をコードする核酸配列を、成熟の体細胞に導入することによって達成することができる。
iPSCは、最終分化体細胞、ならびに成熟幹細胞、または体幹細胞から作製または誘導することができる。つまり、非多能性前駆細胞は、再プログラミングによって多能性または複能性にされ得る。そのような例では、最終分化細胞を再プログラミングするために必要な場合ほど多くの再プログラミング因子を含める必要ではあり得ない。さらに、再プログラミングは、非ウイルス性の再プログラミング因子の導入によって、例えば、タンパク質それ自体を導入することによって、または再プログラミング因子をコードする核酸を導入することによって、または翻訳時に再プログラミング因子を生成するメッセンジャーRNAを導入することによって誘導することができる(例えば、Warren et al.,Cell Stem Cell,7(5):618−30(2010)を参照のこと。再プログラミングは、例えば、Oct−4(Oct−3/4またはPouf51としても既知である)、Soxl、Sox2、Sox3、Sox15、Sox18、NANOG、Klfl、Klf2、Klf4、Klf5、NR5A2、c−Myc、1−Myc、n−Myc、Rem2、Tert、及びLIN28を含む、幹細胞関連遺伝子をコードする核酸の組み合わせを導入することによって達成され得る。一実施形態では、本明細書に記載される方法及び組成物を用いた再プログラミングは、Oct−3/4、Soxファミリーメンバー、Klfファミリーメンバー、Mycファミリーメンバーのうちの1つ以上を、体細胞に導入することをさらに含み得る。一実施形態では、本明細書に記載される方法及び組成物は、再プログラミングのためにOct−4、Sox2、Nanog、c−MYC、及びKlf4の各々の1つ以上を導入することをさらに含む。上述のように、再プログラミングのために使用される的確な方法は、必ずしも本明細書に記載される方法及び組成物にとって重要ではない。しかしながら、再プログラミングした細胞から分化された細胞は、例えば、ヒトの治療に用いる場合、一実施形態では、再プログラミングは、ゲノムを変化させる方法によって達成されない。それ故に、このような実施形態では、再プログラミングは、例えば、ウイルスまたはプラスミドベクターを用いずに達成される。
開始細胞集団から誘導される再プログラミングの効率(すなわち、再プログラミング細胞の数)は、Shi et al.,Cell−Stem Cell 2:525−528(2008)、Huangfu et al.,Nature Biotechnology 26(7):795−797(2008)、及びMarson et al.,Cell−Stem Cell 3:132−135(2008)によって示されるように、様々な薬剤、例えば小分子の添加によって増強させることができる。このようにして、誘導多能性幹細胞産生の効率または割合を増強する薬剤または薬剤の組み合わせは、患者特異的または疾患特異的iPSCの産生に用いることができる。再プログラミングの効率を増強する薬剤のいくつかの非限定的な例としては、とりわけ、可溶性Wnt、Wnt条件培地、BIX−01294(G9aヒストンメチルトランスフェラーゼ)、PD0325901(MEK阻害剤)、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、バルプロ酸、5’−アザシチジン、デキサメタゾン、スベロイルアニリド、ヒドロキサム酸(SAHA)、ビタミンC、及びトリコスタチン(TSA)が挙げられる。
再プログラミング増強剤の他の非限定的な例としては、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA(例えば、MK0683、ボリノスタット)及び他のヒドロキサム酸)、BML−210、デプデシン(例えば、(−)−デプデシン)、HC毒素、ヌルスクリプト(4−(l,3−ジオキソ−lH,3H−ベンゾ[デ]イソキノリン−2−イル)−N−ヒドロキシブタナミド)、フェニルブチレート(例えば、フェニル酪酸ナトリウム)及びバルプロ酸((VPA)及び他の短鎖脂肪酸)、スクリプタイド、スラミンナトリウム、トリコスタチンA(TSA)、APHA化合物8、アピシジン、酪酸ナトリウム、ピバロイルオキシメチルブチレート(Pivanex、AN−9)、トラポキシンB、クラミドシン、デプシペプチド(FR901228またはFK228としても既知である)、ベンズアミド(例えば、CI−994(例えば、N−アセチルジナリン)及びMS−27−275)、MGCD0103、NVP−LAQ−824、CBHA(m−カルボキシ桂皮酸ビスヒドロキサム酸)、JNJ16241199、ツバシン、A−161906、プロキサミド、オキサムフラチン、3−Cl−UCHA(例えば、6−(3−クロロフェニルウレイド)カプロイックヒドロキサム酸)、AOE(2−アミノ−8−オキソ−9,10−エポキシデカン酸)、CHAP31、及びCHAP50が挙げられる。他の再プログラミング増強剤には、例えば、HDACのドミナントネガティブ型(例えば、触媒的に不活性な型)、HDACのsiRNA阻害剤、及びHDACに特異的に結合する抗体が挙げられる。そのような阻害剤は、例えば、BIOMOL International、Fukasawa、Merck Biosciences、Novartis、Gloucester Pharmaceuticals、Titan Pharmaceuticals、MethylGene、及びSigma Aldrichから入手することができる。
本明細書に記載される方法とともに用いるための多能性幹細胞の誘導を確認するために、単離クローンを、幹細胞マーカーの発現に関して試験することができる。体細胞から誘導された細胞中のそのような発現は、誘導多能性幹細胞として細胞を特定する。幹細胞マーカーは、SSEA3、SSEA4、CD9、Nanog、Fbxl5、Ecatl、Esgl、Eras、Gdf3、Fgf4、Cripto、Daxl、Zpf296、Slc2a3、Rexl、Utfl、及びNatlを含む、非限定的な群から選択される。一実施形態では、Oct4またはNanogを発現する細胞は、多能性であると特定される。そのようなマーカーの発現を検出するための方法は、例えば、RT−PCR、及びウエスタンブロットまたはフローサイトメトリー分析等のコードされるポリペプチドの存在を検出する免疫学的方法を含み得る。いくつかの実施形態では、検出は、RT−PCRを伴うのみならず、タンパク質マーカーの検出を含む。細胞内マーカーは、RT−PCRによって、または免疫細胞化学等のタンパク質検出方法によって最もよく特定され得るが、細胞表面マーカーは、例えば、免疫細胞化学によって容易に同定される。
単離細胞の多能性幹細胞特徴は、3胚葉の各々の細胞へのiPSCの分化能を評価する試験によって確認することができる。一例として、ヌードマウスにおけるテラトーマ形成は、単離クローンの多能性特徴を評価するために使用することができる。細胞をヌードマウスに導入して、細胞から生じた腫瘍に関して組織学及び/または免疫組織化学を行う。3胚葉全てからの細胞を含む使用の成長は、例えば、細胞が多能性幹細胞であることをさらに示す。
神経系細胞
ヒト神経系は、およそ3600億個の非神経性グリア細胞及び900億個の神経細胞を有すると推測される。形態に基づいて、単独で数百の異なる種類のニューロンが存在する。しばしば、同様に見えるニューロンは、著しく異なる特性を有する。例えば、それらは、異なる神経伝達物質に使用し、それらに応答する。
神経幹細胞(NSC)は、神経系の主な表現型を生成する、自己複製の複能性細胞である。幹細胞は、それらの環境からの外部刺激を介して複数の細胞型への分化する能力によって特徴付けられる。それらは、一方は非特殊化であり、もう一方は特殊化である、2つの娘細胞に非対称の細胞***を行う。NSCは、主に、ニューロン、星状膠細胞、及び乏突起膠細胞に分化する。
典型的なニューロンは、1つの細胞から別の細胞に電気シグナルを送信する。ニューロンは、細胞体、樹状突起、軸索小丘、神経終末、及び神経筋接合部を含む。ニューロンは、樹枝木の形状または性質に従って名付けられ得る。
中枢神経系の最も多くの細胞成分は、ニューロン間の空間を占める非神経細胞、神経グリア(「神経膠」)細胞である。CNS中の細胞の80〜90%を含む、およそ3600億個のグリア細胞が存在すると推定されている。神経膠は、シナプスを形成せず、本質的に1種類のみのプロセスを有し、分割能力を保持し、ニューロンほど電気的に励起しないという点でいくつかの一般的な方法において、ニューロンとは異なる。神経膠は、光学顕微鏡レベルで、それらの核のサイズ及び形状に基づいて分類され、ニューロンと区別される。神経膠は、サイズに基づいて2つの主な区分、大膠細胞及び小膠細胞に分割される。大膠細胞は、外胚葉起源からのものであり、星状膠細胞、乏突起膠細胞、及び上衣細胞からなる。小膠細胞は、恐らくは、中胚葉起源からのものである。
患者特異的iPSCを作成すること
本発明のエクスビボ方法の1つのステップは、患者特異的iPS細胞、患者特異的iPS細胞、または患者特異的iPS細胞株を作成することを含む。Takahashi and Yamanaka 2006、Takahashi,Tanabe et al.2007に記載される、患者特異的iPS細胞を作成するための当該技術分野で多くの構築された方法がある。例えば、作成するステップは、a)皮膚細胞または線維芽細胞等の体細胞を患者から単離することと、b)体細胞に、一連の多分化能関連遺伝子を導入し、細胞を誘導して、多能性幹細胞にすることと、を含む。いくつかの実施形態では、一連の多分化能関連遺伝子は、OCT4、SOX2、KLF4、Lin28、NANOG、及びcMYCからなる群から選択される遺伝子のうちの1つ以上である。
患者の骨髄の生検を実行すること
生検は、身体から取られた組織または流体の試料である。多くの異なる種類の生検が存在する。それらのほぼ全ては、少量の組織を除去するための鋭利なツールを使用することを伴う。生検が、皮膚または他の敏感な部位にある場合、麻痺させる薬物を最初に適用する。生検は、当該技術分野で既知の方法のうちのいずれかに従って行われ得る。例えば、骨髄生検において、太い注射針が、骨髄を収集するために、骨髄骨に入れるために使用される。
白血球を単離すること
白血球は、当該技術分野で既知の任意の方法に従って単離され得る。例えば、白血球は、遠心分離によって液体試料から単離され得る。
間葉幹細胞を単離すること
間葉幹細胞は、当該技術分野で既知の任意の方法に従って単離され得る。例えば、骨髄穿刺は、ヘパリン入りの注射器に回収される。細胞を、洗浄し、Percoll上で遠心分離する。細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(低グルコース)中で培養する(Pittinger MF,Mackay AM,Beck SC et al.,Science 1999;284:143−147)。
GCSFで患者を治療すること
患者は、任意に、当該技術分野で既知の任意の方法に従って顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)で治療され得る。いくつかの実施形態では、GCSFは、Plerixaflorと組み合わせて投与される。
造血前駆細胞を患者から単離すること
造血前駆細胞は、当該技術分野で既知の任意の方法によって患者から単離され得る。CD34+細胞は、CliniMACS(登録商標)Cell Selection System(Miltenyi Biotec)を用いて濃縮される。いくつかの実施形態では、CD34+細胞は、ゲノム編集前に、サイトカイン(例えば、SCF、rhTPO、rhFLT3)で、無血清培地(例えば、CellGrow SCGM培地、CellGenix)中で弱く刺激される。
ゲノム編集
ゲノム編集は、概して、好ましくは、正確なまたは事前決定された様式でゲノムのヌクレオチドを修飾するプロセスを指す。本明細書に記載されるゲノム編集の方法の例は、ゲノム中の正確な標的位置でデオキシリボ核酸(DNA)を切断するための部位特異的ヌクレアーゼを使用し、それによってゲノム内の特定の位置で二本鎖または一本鎖DNA切断を作成する方法を含む。そのような切断は、Cox et al.,Nature Medicine 21(2),121−31(2015)において最近概説されているように、相同配向型修復(HDR)及び非相同末端結合(NHEJ)等の天然の内因性細胞プロセスであり得、定期的にそれらによって修復される。NHEJは、時には、ヌクレオチド配列の欠失または付加によって、二本鎖切断から生じるDNA末端に直接結合し、遺伝子発現を崩壊または増強することができる。HDRは、切断点で、定義されたDNA配列を挿入するための鋳型として、相同配列、またはドナー配列を使用する。相同配列は、姉妹染色分体等の内因性ゲノム中に存在し得る。あるいは、ドナーは、ヌクレアーゼで切断された遺伝子座を含む高度な相同性の領域を有するが、切断された標的遺伝子座に組み込まれ得る欠失を含む、さらなる配列または配列変化も含み得る、プラスミド、一本鎖オリゴヌクレオチド、二本鎖オリゴヌクレオチド、二重鎖オリゴヌクレオチド、またはウイルス等の外因性核酸であり得る。第3の修復機構は、マイクロホモロジー媒介性末端結合(MMEJ)であり、「代替NHEJ」とも称され、小欠失及び挿入が切断部位で生じ得るという点において、遺伝的な結果は、NHEJと類似している。MMEJは、より好ましいDNA末端結合修復結果を後押しするようにDNA切断部位に隣接するいくつかの塩基対の相同配列を使用し、最近の報告は、このプロセスの分子機構をさらに解明している;例えば、Cho and Greenberg,Nature 518,174−76(2015)、Kent et al.,Nature Structural and Molecular Biology,Adv.Online doi:10.1038/nsmb.2961(2015)、Mateos−Gomez et al.,Nature 518,254−57(2015)、Ceccaldi et al.,Nature 528,258−62(2015)を参照のこと。場合によっては、DNA切断の部位で潜在的なマイクロホモロジーの分析に基づいて、修復結果を予測することは恐らく可能であり得る。
これらのゲノム編集機構の各々は、所望のゲノム改変を作成するために使用することができる。ゲノム編集プロセスにおけるステップは、意図された変異の部位に可能な限り近く、標的遺伝子座において、後者は、二本鎖切断として、または2つの一本鎖切断として、1つまたは2つのDNA切断を作成することである。これは、本明細書に記載され、例示されるように、部位特異的ポリペプチドの使用によって達成され得る。
DNAエンドヌクレアーゼ等の部位特異的ポリペプチドは、核酸、例えば、ゲノムDNA中に二本鎖切断または一本鎖切断を導入し得る。二本鎖切断は、細胞の内因性のDNA修復経路(例えば、相同依存性修復または非相同末端結合または代替の非相同末端結合(A−NHEJ)またはマイクロホモロジー媒介性末端結合)を刺激し得る。NHEJは、相同な鋳型を必要とせずに、切断された標的核酸を修復し得る。これは、時には、切断の部位で標的核酸中の小欠失または挿入(インデル)をもたらし得、遺伝子発現の崩壊または改変につながり得る。HDRは、相同修復鋳型またはドナーが利用可能である場合に生じ得る。相同ドナー鋳型は、標的核酸切断部位に隣接する配列に対して相同である配列を含む。姉妹染色分体は、概して、修復鋳型として細胞によって使用される。しかしながら、ゲノム編集の目的のために、修復鋳型は、しばしば、プラスミド、二重鎖オリゴヌクレオチド、一本鎖オリゴヌクレオチド、二本鎖オリゴヌクレオチド、またはウイルス核酸等の外因性核酸として供給される。外因性ドナー鋳型を用いて、ホモロジーの隣接領域間にさらなる核酸配列(トランス遺伝子等)または修飾(単一または複数の塩基変化または欠失)を導入することは一般的であり、そのため、追加のまたは改変された核酸配列もまた、標的遺伝子座に組み込まれる。MMEJは、小欠失及び挿入が切断部位で生じ得るという点において、NHEJと類似している、遺伝的な結果をもたらす。MMEJは、好ましい末端結合DNA修復結果を後押しするように切断部位に隣接するいくつかの塩基対の相同配列を使用する。場合によっては、ヌクレアーゼ標的領域で潜在的なマイクロホモロジーの分析に基づいて、修復結果を予測することは恐らく可能であり得る。
それ故に、場合によっては、相同組み合わせは、標的核酸切断部位に外因性ポリヌクレオチド配列を挿入するために使用される。外因性ポリヌクレオチド配列は、本明細書において、ドナーポリヌクレオチド(またはドナーまたはドナー配列またはポリヌクレオチドドナー鋳型)と称される。いくつかの実施形態では、ドナーポリヌクレオチド、ドナーポリヌクレオチドの一部、ドナーポリヌクレオチドのコピー、またはドナーポリヌクレオチドのコピーの一部は、標的核酸切断部位に挿入される。いくつかの実施形態では、ドナーポリヌクレオチドは、外因性ポリヌクレオチド配列、すなわち、標的核酸切断部位で天然に存在しない配列である。
NHEJ及び/またはHDRによる標的DNAの修正は、例えば、変異、欠失、改変、組み込み、遺伝子修正、遺伝子置換、遺伝子タグ化、トランス遺伝子挿入、ヌクレオチド欠失、遺伝子破損、転座、及び/または遺伝子変異をもたらし得る。ゲノムDNAを削除し、非天然核酸をゲノムDNAに組み込むプロセスは、ゲノム編集の例である。
CRISPRエンドヌクレアーゼシステム
CRISPR(クラスタ化規則的スペース間短パリンドローム反復)ゲノム遺伝子座は、多くの原核生物(例えば、細菌及び古細菌)のゲノムにおいて見出され得る。原核生物では、CRISPR遺伝子座は、ウイルス及びファージ等の外来侵入物に対して原核生物が防御するのに役立つ免疫系の種類として機能する生成物をコードする。遺伝子座への新たな配列の組み込み、CRISPR RNA(crRNA)の生物発生、及び外来侵入物である核酸のサイレンシングの3つの段階のCRISPR遺伝子座機能が存在する。5種類のCRISPR系(例えば、I型、II型、III型、U型、及びV型)が、特定されている。
CRISPR遺伝子座は、「反復」と称される多くの短い反復配列を含む。反復は、ヘアピン構造を形成することができ、及び/または非構造化一本鎖配列を含むことができる。反復は、通常、クラスタ中に生じ、種の間で高頻度に分岐する。反復は、「スペーサー」と称される固有の介在性配列で規則的に空間を空けられており、それによって反復−スペーサー−反復遺伝子座の構造が生じる。スペーサーは、既知の外来の侵入物配列と同一であるか、または高い相同性を有する。スペーサー−反復単位は、crisprRNA(crRNA)をコードし、スペーサー−反復単位の成熟型に処理される。crRNAは、標的核酸を標的とすることを含む「シード」またはスペーサー配列を含む(原核生物中の天然に存在する形態で、スペーサー配列は、外来侵入物である核酸を標的とする)。スペーサー配列は、crRNAの5’または3’末端に位置する。
CRISPR遺伝子座はまた、CRISPR関連(Cas)遺伝子をコードするポリヌクレオチド配列も含む。Cas遺伝子は、原核生物において、crRNA機能の生物発生及び干渉段階に関与する。いくつかのCas遺伝子は、相同な二次及び/または三次的構造を含む。
II型CRISPRシステム
II型CRISPRシステム中のcrRNAの生物発生は、実際は、トランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)を必要とする。tracrRNAは、内因性のRNaseIIIによって修飾され、次いで、プレ−crRNAアレイ中のcrRNA反復に対してハイブリダイズする。内因性のRNaseIIIは、プレ−crRNAを切断するために補充される。切断されたcrRNAは、エクソリボヌクレアーゼトリミングに供されて、成熟crRNA形態(例えば、5’トリミング)を生じる。tracrRNAは、crRNAにハイブリダイズされたまま残存し、tracrRNA及びcrRNAは、部位特異的ポリペプチド(例えば、Cas9)と会合する。crRNA−tracrRNA−Cas9複合体のcrRNAは、複合体を、crRNAがハイブリダイズすることができる標的核酸に誘導する。標的核酸に対するcrRNAのハイブリダイゼーションは、標的核酸切断に関してCas9を活性化する。II型CRISPRシステム中の標的核酸は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)と称される。実際には、PAMは、標的核酸に対する部位特異的ポリペプチド(例えば、Cas9)の結合を容易にするために必須である。II型システム(NmeniまたはCASS4とも称される)は、II型−A(CASS4)及びII型−B(CASS4a)にさらに小分割される。Jinek et al.,Science,337(6096):816−821(2012)は、CRISPR/Cas9システムが、RNA−プログラム可能なゲノム編集に有用であることを示し、国際特許出願公開第WO2013/176772号は、部位特異的遺伝子編集のためのCRISPR/Casエンドヌクレアーゼシステムの多数の例及び用途を提供する。
V型CRISPRシステム
V型CRISPRシステムは、II型システムとはいくつかの重要な差異を有する。例えば、Cpf1は、II型システムとは対照的に、tracrRNAを欠いている、単一のRNA誘導エンドヌクレアーゼである。実際に、Cpf1関連CRISPRアレイは、さらなるトランス活性化tracrRNAを必要とすることなく、成熟crRNASに処理される。V型CRISPRアレイは、42〜44ヌクレオチド長の短い成熟crRNAに処理され、それぞれ、成熟crRNAは、直接反復の19ヌクレオチドで始まり、続いて、スペーサー配列の23〜25ヌクレオチドが続く。対照的に、II型システム中の成熟crRNAは、スペーサー配列の20〜24ヌクレオチドで始まり、続いて、直接反復の約22ヌクレオチドが続く。また、Cpf1は、Cpf1−crRNA複合体が短いTリッチなPAMが先行する標的DNAを有効に切断し、GリッチなPAMとは対照的に、II型システムに対する標的DNAが続くように、Tリッチなプロトスペーサー−隣接モチーフを利用する。それ故に、V型システムは、PAMから離れている点で切断し、一方、II型システムは、PAMに隣接する点で切断する。加えて、II型システムとは対照的に、Cpf1は、4または5ヌクレオチドの5’オーバーハングを有する交互のDNA二本鎖切断を介してDNAを切断する。II型システムは、鈍的二本鎖破断を介して切断する。II型システムと同様に、Cpf1は、予測されたRuvC様エンドヌクレアーゼドメインを含有するが、第2のHNHエンドヌクレアーゼドメインを欠いており、このことは、II型システムとは対照的である。
Cas遺伝子/ポリペプチド及びプロトスペーサー隣接モチーフ
例示的なCRISPR/Casポリペプチドは、Fonfara et al.,Nucleic Acids Research,42:2577−2590(2014)の図1中のCas9ポリペプチドを含む。CRISPR/Cas遺伝子命名システムは、Cas遺伝子が発見されたため、広範な書換を行った。Fonfaraの図5(上記を参照)は、様々な種からCas9ポリペプチドに対するPAM配列を提供する。
部位特異的ポリペプチド
部位特異的ポリペプチドは、DNAを切断するためにゲノム編集で使用される部位特異的ポリペプチドである。部位特異的は、1つ以上のポリペプチド、またはポリペプチドをコードする1つ以上のmRNAのいずれかとして、細胞または患者に投与され得る。
CRISPR/CasまたはCRISPR/Cpf1システムの文脈において、部位特異的ポリペプチドは、ガイドRNAに結合することができ、次いで、ポリペプチドが配向される標的DNA中の部位を特定する。本明細書においてCRISPR/CasまたはCRISPR/Cpf1システムの実施形態では、部位特異的ポリペプチドは、DNAエンドヌクレアーゼ等のエンドヌクレアーゼである。
いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチドは、複数の核酸切断(すなわち、ヌクレアーゼ)ドメインを含む。2つ以上の核酸切断ドメインは、リンカーを介して一緒に連結され得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、可撓性リンカーを含む。リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、またはそれ以上のアミノ酸長を含み得る。
天然に存在する野生型Cas9酵素は、2つのヌクレアーゼドメイン(HNHヌクレアーゼドメイン、及びRuvCドメイン)を含む。本明細書において、「Cas9」は、天然に存在するCas9及び組換えCas9の両方を指す。本明細書で企図されるCas9酵素は、HNHもしくはHNH様ヌクレアーゼドメイン、及び/またはRuvCもしくはRuvC様ヌクレアーゼドメインを含む。
HNHまたはHNH様ドメインは、McrA様フォールディングを含む。HNHまたはHNH様ドメインは、2つの逆平行のβ−鎖及びα−らせんを含む。HNHまたはHNH様ドメインは、金属結合部位(例えば、二価陽イオン結合部位)を含む。HNHまたはHNH様ドメインは、標的核酸の1つの鎖(例えば、crRNA標的鎖の相補的な鎖)を切断し得る。
RuvCまたはRuvC様ドメインは、RNaseHまたはRNaseH様フォールディングを含む。RuvC/RNaseHドメインは、RNA及びDNAの両方に作用することを含む核酸ベースの機能の多様なセットに関与する。RNaseHドメインは、複数のα−らせんによって囲まれる5つのβ−鎖を含む。RuvC/RNaseHまたはRuvC/RNaseH様ドメインは、金属結合部位(例えば、二価陽イオン結合部位)を含む。RuvC/RNaseHまたはRuvC/RNaseH様ドメインは、標的核酸の1つの鎖(例えば、二本鎖標的DNAの非相補的な鎖)を切断し得る。
部位特異的ポリペプチドは、核酸、例えば、ゲノムDNA中に二本鎖切断または一本鎖切断を導入し得る。二本鎖切断は、細胞の内因性のDNA修復経路(例えば、相同依存性修復(HDR)または非相同末端結合(NHEJ)または代替の非相同末端結合(A−NHEJ)またはマイクロホモロジー媒介性末端結合(MMEJ))を刺激し得る。NHEJは、相同な鋳型を必要とせずに、切断された標的核酸を修復し得る。これは、時には、切断の部位で標的核酸中の小欠失または挿入(インデル)をもたらし得、遺伝子発現の崩壊または改変につながり得る。HDRは、相同修復鋳型またはドナーが利用可能である場合に生じ得る。相同ドナー鋳型は、標的核酸切断部位に隣接する配列に対して相同である配列を含む。姉妹染色分体は、概して、修復鋳型として細胞によって使用される。しかしながら、ゲノム編集の目的のために、修復鋳型は、しばしば、プラスミド、二重鎖オリゴヌクレオチド、一本鎖オリゴヌクレオチド、またはウイルス核酸等の外因性核酸として供給される。外因性ドナー鋳型を用いて、ホモロジーの隣接領域間にさらなる核酸配列(トランス遺伝子等)または修飾(単一または複数の塩基変化または欠失)を導入することは一般的であり、そのため、追加のまたは改変された核酸配列もまた、標的遺伝子座に組み込まれる。MMEJは、小欠失及び挿入が切断部位で生じ得るという点において、NHEJと類似している、遺伝的な結果をもたらす。MMEJは、好ましい末端結合DNA修復結果を後押しするように切断部位に隣接するいくつかの塩基対の相同配列を使用する。場合によっては、ヌクレアーゼ標的領域で潜在的なマイクロホモロジーの分析に基づいて、修復結果を予測することは恐らく可能であり得る。
それ故に、場合によっては、相同組み合わせは、標的核酸切断部位に外因性ポリヌクレオチド配列を挿入するために使用される。外因性ポリヌクレオチド配列は、本明細書において、ドナーポリヌクレオチド(またはドナーまたはドナー配列)と称される。いくつかの実施形態では、ドナーポリヌクレオチド、ドナーポリヌクレオチドの一部、ドナーポリヌクレオチドのコピー、またはドナーポリヌクレオチドのコピーの一部は、標的核酸切断部位に挿入される。いくつかの実施形態では、ドナーポリヌクレオチドは、外因性ポリヌクレオチド配列、すなわち、標的核酸切断部位で天然に存在しない配列である。
NHEJ及び/またはHDRによる標的DNAの修正は、例えば、変異、欠失、改変、組み込み、遺伝子修正、遺伝子置換、遺伝子タグ化、トランス遺伝子挿入、ヌクレオチド欠失、遺伝子破損、転座、及び/または遺伝子変異をもたらし得る。ゲノムDNAを削除し、非天然核酸をゲノムDNAに組み込むプロセスは、ゲノム編集の例である。
いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチドは、野生型の例示的部位特異的ポリペプチド[例えば、S.pyogenesからのCas9、US2014/0068797の配列番号8、またはSapranauskas et al.,Nucleic Acids Res,39(21):9275−9282(2011)]、及び様々な他の部位特異的ポリペプチド)に対して少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチドは、野生型の例示的部位特異的ポリペプチド(例えば、S.pyogenesからのCas9、上記を参照)のヌクレアーゼドメインに対して少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチドは、10の連続するアミノ酸において、野生型の部位特異的ポリペプチド(例えば、S.pyogenesからのCas9、上記を参照)に対して少なくとも70、75、80、85、90、95、97、99、または100%の同一性を含む。いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチドは、10の連続するアミノ酸において、野生型の部位特異的ポリペプチド(例えば、S.pyogenesからのCas9、上記を参照)に対して多くても70、75、80、85、90、95、97、99、または100%の同一性を含む。いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチドは、部位特異的ポリペプチドのHNHヌクレアーゼドメイン中の10の連続するアミノ酸において、野生型の部位特異的ポリペプチド(例えば、S.pyogenesからのCas9、上記を参照)に対して少なくとも70、75、80、85、90、95、97、99、または100%の同一性を含む。いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチドは、部位特異的ポリペプチドのHNHヌクレアーゼドメイン中の10の連続するアミノ酸において、野生型の部位特異的ポリペプチド(例えば、S.pyogenesからのCas9、上記を参照)に対して多くても70、75、80、85、90、95、97、99、または100%の同一性を含む。いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチドは、部位特異的ポリペプチドのRuvCヌクレアーゼドメイン中の10の連続するアミノ酸において、野生型の部位特異的ポリペプチド(例えば、S.pyogenesからのCas9、上記を参照)に対して少なくとも70、75、80、85、90、95、97、99、または100%の同一性を含む。いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチドは、部位特異的ポリペプチドのRuvCヌクレアーゼドメイン中の10の連続するアミノ酸において、野生型の部位特異的ポリペプチド(例えば、S.pyogenesからのCas9、上記を参照)に対して多くても70、75、80、85、90、95、97、99、または100%の同一性を含む。
いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチドは、野生型の例示的な部位特異的ポリペプチドの修飾形態を含む。野生型の例示的な部位特異的ポリペプチドの修飾形態は、部位特異的ポリペプチドの核酸切断活性を低減する変異を含む。いくつかの実施形態では、野生型の例示的な部位特異的ポリペプチドの修飾形態は、野生型の例示的な部位特異的ポリペプチド(例えば、S.pyogenesからのCas9、上記を参照)の核酸切断活性を90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、または1%未満有する。部位特異的ポリペプチドの修飾形態は、実質的な核酸切断活性を有し得ない。部位特異的ポリペプチドが実質的な核酸切断活性を有しない修飾形態である場合、それは、本明細書で「酵素的に不活性である」と称される。
いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチドの修飾形態は、変異を含み、そのため、それは、標的核酸上の一本鎖切断(SSB)を誘導し得る(例えば、二本鎖標的核酸の糖−リン酸塩骨格のうちの1つのみを切断することによって)。いくつかの実施形態では、変異は、野生型部位特異的ポリペプチド(例えば、S.pyogenesからのCas9、上記を参照)の複数の核酸切断ドメインのうちの1つ以上の核酸切断活性の90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、または1%未満の核酸切断活性をもたらす。いくつかの実施形態では、変異は、標的核酸の相補鎖を切断する能力を保持するが、標的核酸の非相補鎖を切断する能力を低減する、複数の核酸切断ドメインのうちの1つ以上をもたらす。いくつかの実施形態では、変異は、標的核酸の非相補鎖を切断する能力を保持するが、標的核酸の相補鎖を切断する能力を低減する、複数の核酸切断ドメインのうちの1つ以上をもたらす。例えば、Asp10、His840、Asn854、及びAsn856等の野生型の例示的なS.pyogenes Cas9ポリペプチドの残基は、複数の核酸切断ドメイン(例えば、ヌクレアーゼドメイン)のうちの1つ以上を不活性化するために変異される。いくつかの実施形態では、変異される残基は、野生型の例示的なS.pyogenes Cas9ポリペプチド中の残基Asp10、His840、Asn854、及びAsn856に対応する(例えば、配列及び/または構造的アラインメントによって決定される)。変異の非限定的な例は、D10A、H840A、N854A、またはN856Aを含む。当業者は、アラニン置換以外の変異が適切であることを認識するであろう。
いくつかの実施形態では、D10A変異は、H840A、N854A、またはN856A変異のうちの1つ以上と組み合わせられて、実質的にDNA切断活性を欠失している部位特異的ポリペプチドを生成する。いくつかの実施形態では、H840A変異は、D10A、N854A、またはN856A変異のうちの1つ以上と組み合わせられて、実質的にDNA切断活性を欠失している部位特異的ポリペプチドを生成する。いくつかの実施形態では、N854A変異は、H840A、D10A、またはN856A変異のうちの1つ以上と組み合わせられて、実質的にDNA切断活性を欠失している部位特異的ポリペプチドを生成する。いくつかの実施形態では、N856A変異は、H840A、N854A、またはD10A変異のうちの1つ以上と組み合わせられて、実質的にDNA切断活性を欠失している部位特異的ポリペプチドを生成する。1つの実質的に不活性なヌクレアーゼドメインを含む部位特異的ポリペプチドは、「ニッカーゼ」と称される。
RNAガイドエンドヌクレアーゼのニッカーゼ変異体、例えば、Cas9は、CRISPR媒介性ゲノム編集の特異性を増加させるために使用することができる。野生型Cas9は、典型的には、標的配列(内因性ゲノム遺伝子座等)内の特定された約20ヌクレオチド配列でハイブリダイズするように設計される単一のガイドRNAによって誘導される。しかしながら、いくつかのミスマッチは、ガイドRNAと標的遺伝子座との間に許容され得、標的部位における必要とされるホモロジーの長さを効果的に低減することと、例えば、13ntのホモロジーとして、それによってオフターゲット切断としても既知である、標的ゲノム内で他の場所にCRISPR/Cas9複合体による結合及び二本鎖核酸切断の高い潜在性をもたらす。Cas9のニッカーゼ変異型は、それぞれ、二本鎖切断を作製するために、1つの鎖のみを切断するため、標的核酸に近接近して、その反対の鎖上で結合し、それにより、二本鎖切断と同等である一対のニックを作製することが、一対のニッカーゼに必要である。これには、2つの別々のガイドRNA(各ニッカーゼに対して1つ)が、標的核酸に近接近して、その反対の鎖上で結合すべきであることが必要である。この必要条件は、本質的に、生じるために二本鎖切断に対して必要とされる最小長さの相同性を2倍にし、それによって、二本鎖切断事象がゲノム中の他の場所で生じるであろう可能性を軽減し、2つのガイドRNA部位は、存在する場合、二本鎖切断が形成することを可能にするために互いに十分近い可能性は低い。当該技術分野で記載されるように、ニッカーゼはまた、NHEJに対してHDRを促進するために使用することもできる。HDRは、所望の変化を効果的に媒介する特定のドナー配列の使用を通してゲノム中の標的部位への選択された変化を導入するために使用することができる。ゲノム編集で用いられる様々なCRISPR/Casシステムの説明は、例えば、国際特許出願公開第WO2013/176772号、及びNature Biotechnology 32,347−355(2014)、及びそこに言及される参照文献に見出され得る。
企図される変異は、置換、付加、及び欠失、またはこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、変異は、変異アミノ酸をアラニンに変換する。いくつかの実施形態では、変異は、変異アミノ酸を、別のアミノ酸(例えば、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、リジン、またはアルギニン)に変換する。いくつかの実施形態では、変異は、変異アミノ酸を、非天然アミノ酸(例えば、セレノメチオニン)に変換する。いくつかの実施形態では、変異は、変異アミノ酸を、アミノ酸模倣体(例えば、リン酸模倣体)に変換する。いくつかの実施形態では、変異は、保存的変異である。例えば、変異は、変異アミノ酸を、変異アミノ酸のサイズ、形状、変化、極性、構造、及び/または回転異性体と似ているアミノ酸に変換することができる(例えば、システイン/セリン変異、リジン/アスパラギン変異、ヒスチジン/フェニルアラニン変異)。いくつかの実施形態では、変異は、リーディングフレームのシフト及び/または未成熟停止コドンの生成をもたらす。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の遺伝子の発現に影響を及ぼす遺伝子または遺伝子座の調節領域への変化をもたらす。
いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチド(例えば、変異、変異した、酵素的に不活性な及び/または条件付きで酵素的に不活性な部位特異的ポリペプチド)は、核酸を標的にする。いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチド(例えば、変異、変異した、酵素的に不活性な及び/または条件付きで酵素的に不活性なエンドニボヌクレアーゼ)は、RNAを標的にする。いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチド(例えば、変異、変異した、酵素的に不活性な及び/または条件付きで酵素的に不活性なエンドニボヌクレアーゼ)は、DNAを標的にする。
いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチドは、1つ以上の非天然配列を含む(例えば、部位特異的ポリペプチドは、融合タンパク質である)。
いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチドは、バクテリウム(例えば、S.pyogenes)からのCas9に対して少なくとも15%のアミノ酸同一性を含むアミノ酸配列、核酸結合ドメイン、及び2つの核酸切断ドメイン(すなわち、HNHドメイン及びRuvCドメイン)を含む。
いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチドは、バクテリウム(例えば、S.pyogenes)からのCas9に対して少なくとも15%のアミノ酸同一性を含むアミノ酸配列、及び2つの核酸切断ドメイン(すなわち、HNHドメイン及びRuvCドメイン)を含む。
いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチドは、バクテリウム(例えば、S.pyogenes)からのCas9に対して少なくとも15%のアミノ酸同一性を含むアミノ酸配列、及び2つの核酸切断ドメインを含み、核酸切断ドメインのうちの1つまたはその両方が、バクテリウム(例えば、S.pyogenes)からのCas9からのヌクレアーゼドメインに対して少なくとも50%のアミノ酸同一性を含む。
いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチドは、バクテリウム(例えば、S.pyogenes)からのCas9に対して少なくとも15%のアミノ酸同一性を含むアミノ酸配列、2つの核酸切断ドメイン(すなわち、HNHドメイン及びRuvCドメイン)、及び非天然配列(例えば、核局在シグナル)、または非天然配列に対して部位特異的ポリペプチドを連結するリンカーを含む。
いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチドは、バクテリウム(例えば、S.pyogenes)からのCas9に対して少なくとも15%のアミノ酸同一性を含むアミノ酸配列、2つの核酸切断ドメイン(すなわち、HNHドメイン及びRuvCドメイン)を含み、部位特異的ポリペプチドは、ヌクレアーゼドメインの切断活性を少なくとも50%まで低下する核酸切断ドメインのうちの1つまたはその両方に突然変異を含む。
いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチドは、バクテリウム(例えば、S.pyogenes)からのCas9に対して少なくとも15%のアミノ酸同一性を含むアミノ酸配列、及び2つの核酸切断ドメイン(すなわち、HNHドメイン及びRuvCドメイン)を含み、ヌクレアーゼドメインのうちの1つは、アスパラギン酸10の変異を含み、及び/またはヌクレアーゼドメインのうちの1つは、ヒスチジン840の変異を含み、変異は、ヌクレアーゼドメイン(複数可)の切断活性を少なくとも50%まで低下する。
本発明のいくつかの実施形態では、1つ以上の部位特異的ポリペプチド、例えばDNAエンドヌクレアーゼは、ゲノム中の特定の遺伝子座において1つの二本鎖切断をともに影響を及ぼす2つのニッカーゼ、またはゲノム中の特定の遺伝子座において2つの二本鎖切断をともに影響を及ぼす4つのニッカーゼを含む。あるいは、1つの部位特異的ポリペプチド、例えばDNAエンドヌクレアーゼは、ゲノム中の特定の遺伝子座において1つの二本鎖切断に影響を及ぼす。
ゲノム標的核酸
本開示は、標的核酸内の特定の標的配列に対して、関連したポリペプチド(例えば、部位特異的ポリペプチド)の活性を指向し得るゲノム標的核酸を提供する。いくつかの実施形態では、ゲノム標的核酸は、RNAである。ゲノム標的RNAは、本明細書において「ガイドRNA」または「gRNA」と称される。ガイドRNAは、対象となる標的核酸配列にハイブリダイズする少なくとも1つのスペーサー配列、及びCRISPR反復配列を含む。II型システムでは、gRNAはまた、tracrRNA配列を含む。II型ガイドRNAでは、CRISPR反復配列及びtracrRNA配列は、互いにハイブリダイズして、二重鎖を形成する。V型ガイドRNAでは、crRNAは、二重鎖を形成する。両方のシステムでは、二重鎖は、部位特異的ポリペプチドを結合し、そのため、ガイドRNA及び部位特異的ポリペプチドは、複合体を形成する。ゲノム標的核酸は、部位特異的ポリペプチドとのその関連のおかげで標的特異性を提供する。したがって、ゲノム標的核酸は、部位特異的ポリペプチドの活性を指向する。
例示的なガイドRNAは、それらの標的配列のゲノム位置及び関連したCas9切断部位で示される配列番号1〜18807中にスペーサー配列を含み、ゲノム位置は、GRCh38/hg38ヒトゲノムアセンビリに基づいている。当業者によって理解されるように、各ガイドRNAは、そのゲノム標的配列に対して相補的であるスペーサー配列を含むように設計される。例えば、配列番号1〜18807中のスペーサー配列の各々は、単一RNAキメラまたはcrRNA(対応するtracrRNAとともに)に入れることができる。Jinek et al.,Science,337,816−821(2012)及びDeltcheva et al.,Nature,471,602−607(2011)を参照のこと。
いくつかの実施形態では、ゲノム標的核酸は、二重分子のガイドRNAである。いくつかの実施形態では、ゲノム標的核酸は、単一分子ガイドRNAである。
二重分子のガイドRNAは、RNAの2つの鎖を含む。第1の鎖は、5’から3’方向に、任意にスペーサー伸長配列、スペーサー配列、及び最小CRISPR反復配列を含む。第2の鎖は、最小tracrRNA配列(最小CRISPR反復配列に対して相補的である)、3’tracrRNA配列、及び任意にtracrRNA伸長配列を含む。
II型システム中の単一分子ガイドRNAは、5’から3’方向に、任意にスペーサー伸長配列、スペーサー配列、最小CRISPR反復配列、単一分子のガイドリンカー、最小tracrRNA配列、3’tracrRNA配列、及び任意のtracrRNA伸長配列を含む。任意のtracrRNA伸長部は、ガイドRNAに対するさらなる機能性(例えば、安定性)に寄与する要素を含んでもよい。単一分子ガイドリンカーは、最小CRISPR反復及び最小tracrRNA配列に連結させて、ヘアピン構造を形成する。任意のtracrRNA伸長部は、1つ以上のヘアピンを含む。
V型システム中の単一分子ガイドRNAは、5’から3’方向に、最小CRISPR反復配列、及びスペーサー配列を含む。
例示のために、CRISPR/Casシステム中に使用されるガイドRNA、または他のより小さいRNAは、以下に例示され、当該技術分野で記載されるように、化学的手段によって容易に合成され得る。化学合成手順は、継続的に拡大しているが、高速液体クロマトグラフィー(HPLC、PAGE等のゲルの使用を避ける)等の手順によるこのようなRNAの精製は、ポリヌクレオチド長がほぼ100のヌクレオチドを超えて著しく増加するため、さらに困難である傾向がある。より大きい長さのRNAを生成するために使用される1つのアプローチは、一緒にライゲーションされる2つ以上の分子を生成することである。Cas9エンドヌクレアーゼをコードするもの等のはるかに長いRNAは、酵素的にさらに容易に生成される。様々な種類のRNA修飾、例えば、当該技術分野で記載されるように、安定性を増強する、先天性免疫応答の可能性または程度を低減する、及び/または他の特質を増強する、修飾は、RNAの化学合成及び/または酵素生成中またはその後に導入され得る。
スペーサー伸長配列
ゲノム標的核酸のいくつかの実施形態では、スペーサー伸長配列は、安定性を提供し、かつ/またはゲノム標的核酸の修飾のための位置を提供することができる。スペーサー伸長配列は、オンまたはオフターゲット活性または特異性を修正することができる。いくつかの実施形態では、スペーサー伸長配列が、提供される。スペーサー伸長配列は、1より多い、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、1000、2000、3000、4000、5000、6000、または7000もしくはそれ以上の長さを有し得る。スペーサー伸長配列は、1より少ない、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、1000、2000、3000、4000、5000、6000、または7000もしくはそれ以上の長さを有し得る。いくつかの実施形態では、スペーサー伸長配列は、10ヌクレオチド長未満である。いくつかの実施形態では、スペーサー伸長配列は、10〜30ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、スペーサー伸長配列は、30〜70ヌクレオチド長である。
いくつかの実施形態では、スペーサー伸長配列は、別の部分(例えば、安定性制御配列、エンドリボヌクレアーゼ結合配列、リボザイム)を含む。いくつかの実施形態では、部分は、核酸標的核酸の安定性を増加させる。いくつかの実施形態では、部分は、転写終止セグメント(すなわち、転写終止配列)である。いくつかの実施形態では、部分は、真核生物細胞中で機能する。いくつかの実施形態では、部分は、原核生物細胞中で機能する。いくつかの実施形態では、部分は、真核生物細胞及び原核生物細胞の両方の中で機能する。好適な部分の非限定的な例は、5’キャップ(例えば、7−メチルグアニレートキャップ(m7 G))、リボスイッチ配列(例えば、タンパク質及びタンパク質複合体によって調節された安定性及び/または調節された接近性を可能にするため)、dsRNA二重鎖(すなわち、ヘアピン)を形成する配列、RNAを細胞内の位置(例えば、核、ミトコンドリア、クロロプラスト等)に標的とする配列、トラッキングを提供する修飾もしくは配列(例えば、蛍光分子に対する直接のコンジュゲーション、蛍光検出を容易にする部分に対するコンジュゲーション、蛍光検出を可能にする配列、等)、及び/またはタンパク質(例えば、転写活性化因子、転写レプレッサー、DNAメチルトランスフェラーゼ、DNAデメチラーゼ、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ、ヒストンデアセチラーゼ等を含む、DNAに作用するタンパク質)に結合部位を提供する修飾もしくは配列を含む。
スペーサー配列
スペーサー配列は、対象となる標的核酸中の配列にハイブリダイズする。ゲノム標的核酸のスペーサーは、ハイブリダイゼーション(すなわち、塩基対合)を介して標的核酸と、配列特異的な方式で相互作用する。したがって、スペーサーのヌクレオチド配列は、対象となる標的核酸の配列に応じて異なる。
本明細書においてCRISPR/Casシステムでは、スペーサー配列は、システムにおいて使用されるCas9酵素のPAMの5’側に位置する標的核酸に対してハイブリダイズするように設計される。スペーサーは、標的配列を完全に一致し得るか、またはミスマッチを有し得る。各Cas9酵素は、標的DNA中で認識する特定のPAM配列を有する。例えば、S.pyogenesは、標的核酸中で、配列5’−NRG−3’を含むPAMを認識し、式中、Rは、AまたはGのいずれかを含み、Nは、任意のヌクレオチドであり、Nは、スペーサー配列によって標的とされる標的核酸配列のすぐ3’側である。
いくつかの実施形態では、標的核酸配列は、20ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は、20超のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は、20未満のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は、少なくとも5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30またはそれ以上のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は、多くても5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30またはそれ以上のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸配列は、PAMの第1のヌクレオチドのすぐ5’側の20塩基を含む。例えば、
(配列番号18808)を含む配列では、標的核酸は、Nが任意のヌクレオチドであるNに対応する配列を含み、下線を引いたNRG配列は、S.pyogenes PAMである。
いくつかの実施形態では、標的核酸にハイブリダイズするスペーサー配列は、少なくとも約6のヌクレオチド(nt)の長さを有する。スペーサー配列は、少なくとも約6nt、少なくとも約10nt、少なくとも約15nt、少なくとも約18nt、少なくとも約19nt、少なくとも約20nt、少なくとも約25nt、少なくとも約30nt、少なくとも約35nt、または少なくとも約40nt、約6nt〜約80nt、約6nt〜約50nt、約6nt〜約45nt、約6nt〜約40nt、約6nt〜約35nt、約6nt〜約30nt、約6nt〜約25nt、約6nt〜約20nt、約6nt〜約19nt、約10nt〜約50nt、約10nt〜約45nt、約10nt〜約40nt、約10nt〜約35nt、約10nt〜約30nt、約10nt〜約25nt、約10nt〜約20nt、約10nt〜約19nt、約19nt〜約25nt、約19nt〜約30nt、約19nt〜約35nt、約19nt〜約40nt、約19nt〜約45nt、約19nt〜約50nt、約19nt〜約60nt、約20nt〜約25nt、約20nt〜約30nt、約20nt〜約35nt、約20nt〜約40nt、約20nt〜約45nt、約20nt〜約50nt、または約20nt〜約60ntであり得る。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、20ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、19ヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、スペーサー配列と標的核酸との間のパーセント相補性は、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%である。いくつかの実施形態では、スペーサー配列と標的核酸との間のパーセント相補性は、多くても約30%、多くても約40%、多くても約50%、多くても約60%、多くても約65%、多くても約70%、多くても約75%、多くても約80%、多くても約85%、多くても約90%、多くても約95%、多くても約97%、多くても約98%、多くても約99%、または100%である。いくつかの実施形態では、スペーサー配列と標的核酸との間のパーセント相補性は、標的核酸の相補性鎖の標的配列の6つの連続する最も5’側のヌクレオチドにおいて100%である。いくつかの実施形態では、スペーサー配列と標的核酸との間のパーセント相補性は、約20の連続するヌクレオチドを少なくとも60%上回る。スペーサー配列及び標的核酸の長さは、1〜6ヌクレオチドによって異なり得、バルジ(複数可)であると考えられ得る。
いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、コンピュータプログラムを用いて設計または選択される。コンピュータプログラムは、予測融点、二次構造形成、及び予測アニーリング温度、配列同一性、ゲノムコンテクスト、クロマチン接近性、GC%、ゲノム出現(例えば、同一であるかまたは同様であるが、ミスマッチ、挿入、または欠失の結果として1つ以上のスポットにおいて異なる配列)の頻度、メチル化状況、SNPの存在等のような変数を用い得る。
最小CRISPR反復配列
いくつかの実施形態では、最小CRISPR反復配列は、参照CRISPR反復配列(例えば、S.pyogenesからのcrRNA)に対して、少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または100%の配列同一性を有する配列である。
最小CRISPR反復配列は、細胞中の最小tracrRNA配列にハイブリダイズすることができるヌクレオチドを含む。最小CRISPR反復配列及び最小tracrRNA配列は、二重鎖、すなわち、塩基対の二本鎖構造を形成する。まとめると、最小CRISPR反復配列及び最小tracrRNA配列は、部位特異的ポリペプチドに結合する。少なくとも最小CRISPR反復配列の一部は、最小tracrRNA配列にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、少なくとも最小CRISPR反復配列の一部は、最小tracrRNA配列に対して、少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または100%の相補性を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも最小CRISPR反復配列の一部は、最小tracrRNA配列に対して、多くても約30%、約40%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または100%の相補性を含む。
最小CRISPR反復配列は、約7ヌクレオチド〜約100ヌクレオチドの長さを有し得る。例えば、最小CRISPR反復配列の長さは、約7ヌクレオチド(nt)〜約50nt、約7nt〜約40nt、約7nt〜約30nt、約7nt〜約25nt、約7nt〜約20nt、約7nt〜約15nt、約8nt〜約40nt、約8nt〜約30nt、約8nt〜約25nt、約8nt〜約20nt、約8nt〜約15nt、約15nt〜約100nt、約15nt〜約80nt、約15nt〜約50nt、約15nt〜約40nt、約15nt〜約30nt、または約15nt〜約25ntである。いくつかの実施形態では、最小CRISPR反復配列は、およそ9ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、最小CRISPR反復配列は、およそ12ヌクレオチド長である。
いくつかの実施形態では、最小CRISPR反復配列は、少なくとも6つ、7つ、または8つの連続するヌクレオチドのストレッチにおいて、参照の最小CRISPR反復配列(例えば、S.pyogenesからの野生型crRNA)に対して、少なくとも約60%同一である。例えば、最小CRISPR反復配列は、少なくとも6つ、7つ、または8つの連続するヌクレオチドのストレッチにおいて、参照の最小CRISPR反復配列に対して、少なくとも約65%同一、少なくとも約70%同一、少なくとも約75%同一、少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約98%同一、少なくとも約99%同一、または100%同一である。
最小tracrRNA配列
いくつかの実施形態では、最小tracrRNA配列は、参照のtracrRNA配列(例えば、S.pyogenesからの野生型tracrRNA)に対して、少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または100%の配列同一性を有する配列である。
最小tracrRNA配列は、細胞中の最小CRISPR配列にハイブリダイズするヌクレオチドを含む。最小tracrRNA配列及び最小CRISPR反復配列は、二重鎖、すなわち塩基対の二本鎖構造を形成する。まとめると、最小tracrRNA配列及び最小CRISPR反復配列は、部位特異的ポリペプチドに結合する。少なくとも最小tracrRNA配列の一部は、最小CRISPR反復配列にハイブリダイズすることができる。いくつかの実施形態では、最小tracrRNA配列は、最小CRISPR反復配列に対して少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または100%の相補性を含む。
最小tracrRNA配列は、約7ヌクレオチド〜約100ヌクレオチドの長さを有し得る。例えば、最小tracrRNA配列は、約7ヌクレオチド(nt)〜約50nt、約7nt〜約40nt、約7nt〜約30nt、約7nt〜約25nt、約7nt〜約20nt、約7nt〜約15nt、約8nt〜約40nt、約8nt〜約30nt、約8nt〜約25nt、約8nt〜約20nt、約8nt〜約15nt、約15nt〜約100nt、約15nt〜約80nt、約15nt〜約50nt、約15nt〜約40nt、約15nt〜約30nt、または約15nt〜約25ntの長さであり得る。いくつかの実施形態では、最小tracrRNA配列は、およそ9ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、最小tracrRNA配列は、およそ12ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、最小tracrRNAは、Jinekら(上記を参照)に記載される、23〜48ntのtracrRNAからなる。
いくつかの実施形態では、最小tracrRNA配列は、少なくとも6つ、7つ、または8つの連続するヌクレオチドのストレッチにおいて、参照の最小tracrRNA(例えば、S.pyogenesからの野生型tracrRNA)配列に対して少なくとも約60%同一である。例えば、最小tracrRNA配列は、少なくとも6つ、7つ、または8つの連続するヌクレオチドのストレッチにおいて、参照の最小tracrRNA配列に対して少なくとも約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一、約90%同一、約95%同一、約98%同一、約99%同一、または100%同一である。
いくつかの実施形態では、最小CRISPR RNAと最小tracrRNAとの間の二重鎖は、二重らせんを含む。いくつかの実施形態では、最小CRISPR RNAと最小tracrRNAとの間の二重鎖は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10もしくはそれ以上のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、最小CRISPR RNAと最小tracrRNAとの間の二重鎖は、多くても約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10もしくはそれ以上のヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、二重鎖は、ミスマッチを含む(すなわち、二重鎖の2つの鎖は、100%相補的ではない)。いくつかの実施形態では、二重鎖は、少なくとも約1、2、3、4、または5もしくはミスマッチを含む。いくつかの実施形態では、二重鎖は、多くても約1、2、3、4、または5もしくはミスマッチを含む。いくつかの実施形態では、二重鎖は、2つ以下のミスマッチを含む。
バルジ
いくつかの実施形態では、最小CRISPR RNAと最小tracrRNAとの間の二重鎖中に「バルジ」がある。バルジは、二重鎖内のヌクレオチドの不対の領域である。いくつかの実施形態では、バルジは、部位特異的ポリペプチドへの二重鎖の結合に寄与する。バルジは、二重鎖の片側に、不対の5’−XXXY−3’を含み、式中、Xは、任意のプリンであり、Yは、反対の鎖の上のヌクレオチドと不安定な対を形成し得るヌクレオチド、及び二重鎖の他の側の上の不対のヌクレオチド領域を含む。二重鎖の2つの側上に不対のヌクレオチドの数は、異なり得る。
一例では、バルジは、バルジの最小CRISPR反復鎖上に不対のプリン(例えば、アデニン)を含む。いくつかの実施形態では、バルジは、バルジの最小tracrRNA配列鎖の不対の5’−AAGY−3’を含み、式中、Yは、最小CRISPR反復鎖上のヌクレオチドと不安定な対を形成し得るヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、二重鎖の最小CRISPR反復側上のバルジは、少なくとも1、2、3、4、または5もしくはそれ以上の不対のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、二重鎖の最小CRISPR反復側上のバルジは、多くても1、2、3、4、または5もしくはそれ以上の不対のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、二重鎖の最小CRISPR反復側上のバルジは、1つの不対のヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、二重鎖の最小tracrRNA配列側上のバルジは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10もしくはそれ以上の不対のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、二重鎖の最小tracrRNA配列側上のバルジは、多くても1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10もしくはそれ以上の不対のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、二重鎖の第2の側(例えば、二重鎖の最小tracrRNA配列)の上のバルジは、4つの不対のヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、バルジは、少なくとも1つの不安定な対合を含む。いくつかの実施形態では、バルジは、多くても1つの不安定な対合を含む。いくつかの実施形態では、バルジは、少なくとも1つのプリンヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、バルジは、少なくとも3つのプリンヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、バルジ配列は、少なくとも5つのプリンヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、バルジ配列は、少なくとも1つのグアニンヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、バルジ配列は、少なくとも1つのアデニンヌクレオチドを含む。
ヘアピン
様々な実施形態では、1つ以上のヘアピンは、3’tracrRNA配列内の最小tracrRNAの3’側に位置する。
いくつかの実施形態では、ヘアピンは、最小CRISPR反復及び最小tracrRNA配列の二重鎖中の最後の対のヌクレオチドの少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、または20もしくはそれ以上のヌクレオチド3’で開始する。いくつかの実施形態では、ヘアピンは、最小CRISPR反復及び最小tracrRNA配列の二重鎖中の最後の対のヌクレオチドの多くても約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10もしくはそれ以上のヌクレオチド3’で開始し得る。
いくつかの実施形態では、ヘアピンは、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、または20もしくはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ヘアピンは、多くても約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15もしくはそれ以上の連続ヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態では、ヘアピンは、CCジヌクレオチド(すなわち、2つの連続したシトシンヌクレオチド)を含む。
いくつかの実施形態では、ヘアピンは、二重鎖のヌクレオチド(例えば、一緒にハイブリダイズした、ヘアピンのヌクレオチド)を含む。例えば、ヘアピンは、3’tracrRNA配列のヘアピン二重鎖中のGGジヌクレオチドにハイブリダイズするCCジヌクレオチドを含む。
ヘアピンのうちの1つ以上は、部位特異的ポリペプチドのガイドRNA相互作用領域と相互作用し得る。
いくつかの実施形態では、2つ以上のヘアピンが存在し、いくつかの実施形態では、3つ以上のヘアピンが存在する。
3’tracrRNA配列
いくつかの実施形態では、3’tracrRNA配列は、参照のtracrRNA配列(例えば、S.pyogenesからのtracrRNA)に対して、少なくとも約30%、約40%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
いくつかの実施形態では、3’tracrRNA配列は、約6ヌクレオチド〜約100ヌクレオチドの長さを有する。例えば、3’tracrRNA配列は、約6ヌクレオチド(nt)〜約50nt、約6nt〜約40nt、約6nt〜約30nt、約6nt〜約25nt、約6nt〜約20nt、約6nt〜約15nt、約8nt〜約40nt、約8nt〜約30nt、約8nt〜約25nt、約8nt〜約20nt、約8nt〜約15nt、約15nt〜約100nt、約15nt〜約80nt、約15nt〜約50nt、約15nt〜約40nt、約15nt〜約30nt、または約15nt〜約25ntの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、3’tracrRNA配列は、およそ14ヌクレオチドの長さを有する。
いくつかの実施形態では、3’tracrRNA配列は、少なくとも6つ、7つ、または8つの連続するヌクレオチドのストレッチにおいて、参照の3’tracrRNA配列(例えば、S.pyogenesからの野生型3’tracrRNA配列)に対して少なくとも約60%同一である。例えば、3’tracrRNA配列は、少なくとも6つ、7つ、または8つの連続するヌクレオチドのストレッチにおいて、参照の3’tracrRNA配列(例えば、S.pyogenesからの野生型3’tracrRNA配列)に対して、少なくとも約60%同一、約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一、約90%同一、約95%同一、約98%同一、約99%同一、または100%同一である。
いくつかの実施形態では、3’tracrRNA配列は、1つを超える二重鎖の領域(例えば、ヘアピン、ハイブリダイズした領域)を含む。いくつかの実施形態では、3’tracrRNA配列は、2つの二重鎖の領域を含む。
いくつかの実施形態では、3’tracrRNA配列は、ステムループ構造を含む。いくつかの実施形態では、3’tracrRNA中のステムループ構造は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、または20もしくはそれ以上のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、3’tracrRNA中のステムループ構造は、多くても1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10もしくはそれ以上のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、ステムループ構造は、機能的な部分を含む。例えば、ステムループ構造は、アプタマー、リボザイム、タンパク質−相互作用ヘアピン、CRISPRアレイ、イントロン、及びエクソンを含み得る。いくつかの実施形態では、ステムループ構造は、少なくとも約1、2、3、4、5またはそれ以上の機能的な部分を含む。いくつかの実施形態では、ステムループ構造は、多くても約1、2、3、4、5またはそれ以上の機能的な部分を含む。
いくつかの実施形態では、3’tracrRNA配列中のヘアピンは、P−ドメインを含む。いくつかの実施形態では、P−ドメインは、ヘアピン中に二本鎖の領域を含む。
tracrRNA伸長配列
tracrRNA伸長配列は、tracrRNAが単一分子ガイドまたは二重分子ガイドという状況であるかどうかが提供され得る。いくつかの実施形態では、tracrRNA伸長配列は、約1ヌクレオチド〜約400ヌクレオチドの長さを有する。いくつかの実施形態では、tracrRNA伸長配列は、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、または400、を超えるヌクレオチドの長さを有する。いくつかの実施形態では、tracrRNA伸長配列は、約20〜約5000またはそれ以上のヌクレオチドの長さを有する。いくつかの実施形態では、tracrRNA伸長配列は、1000を超えるヌクレオチドの長さを有する。いくつかの実施形態では、tracrRNA伸長配列は、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、または400もしくはそれ以上のヌクレオチドの長さを有する。いくつかの実施形態では、tracrRNA伸長配列は、1000ヌクレオチド未満の長さを有し得る。いくつかの実施形態では、tracrRNA伸長配列は、10ヌクレオチド長未満を含む。いくつかの実施形態では、tracrRNA伸長配列は、10〜30ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、tracrRNA伸長配列は、30〜70ヌクレオチド長である。
いくつかの実施形態では、tracrRNA伸長配列は、機能的な部分(例えば、安定性制御配列、リボザイム、エンドリボヌクレアーゼ結合配列)を含む。いくつかの実施形態では、機能的な部分は、転写終止セグメント(すなわち、転写終止配列)を含む。いくつかの実施形態では、機能的な部分は、約10ヌクレオチド(nt)〜約100ヌクレオチド、約10nt〜約20nt、約20nt〜約30nt、約30nt〜約40nt、約40nt〜約50nt、約50nt〜約60nt、約60nt〜約70nt、約70nt〜約80nt、約80nt〜約90nt、または約90nt〜約100nt、約15nt〜約80nt、約15nt〜約50nt、約15nt〜約40nt、約15nt〜約30nt、または約15nt〜約25ntの総長を有する。いくつかの実施形態では、機能的な部分は、真核生物細胞中で機能する。いくつかの実施形態では、機能的な部分は、原核細胞細胞中で機能する。いくつかの実施形態では、機能的な部分は、真核生物細胞及び原核生物細胞の両方の中で機能する。
好適なtracrRNA伸長機能的な部分の非限定的な例には、3’ポリ−アデニル化テール、リボスイッチ配列(例えば、タンパク質及びタンパク質複合体により調節された安定性及び/もしくは調節された接近性を可能にするため)、dsRNA二重鎖(すなわち、ヘアピン)を形成する配列、RNAを細胞内の位置(例えば、核、ミトコンドリア、クロロプラスト等)に標的とする配列、トラッキング(蛍光分子に対する直接コンジュゲーション、蛍光検出を容易にする部分へのコンジュゲーション、蛍光検出を可能にする配列等)を提供する修正もしくは配列、タンパク質(例えば、転写活性化因子、転写レプレッサー、DNAメチルトランスフェラーゼ、DNAデメチラーゼ、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ、ヒストンデアセチラーゼ等を含む、DNAに作用するタンパク質)に関する結合部位を提供する修飾もしくは配列を含む。いくつかの実施形態では、tracrRNA伸長配列は、プライマー結合部位、または分子指標(例えば、バーコード配列)を含む。いくつかの実施形態では、tracrRNA伸長配列は、1つ以上の親和性タグを含む。
単一分子ガイドリンカー配列
いくつかの実施形態では、単一分子ガイド核酸のリンカー配列は、約3ヌクレオチド〜約100ヌクレオチドの長さを有する。Jinekら(上記を参照)では、例えば、Science,337(6096):816−821(2012)の単純な4ヌクレオチド「テトラループ」(−GAAA−)を、使用した。例示的なリンカーは、約3ヌクレオチド(nt)〜約90nt、約3nt〜約80nt、約3nt〜約70nt、約3nt〜約60nt、約3nt〜約50nt、約3nt〜約40nt、約3nt〜約30nt、約3nt〜約20nt、約3nt〜約10ntの長さを有する。例えば、リンカーは、約3nt〜約5nt、約5nt〜約10nt、約10nt〜約15nt、約15nt〜約20nt、約20nt〜約25nt、約25nt〜約30nt、約30nt〜約35nt、約35nt〜約40nt、約40nt〜約50nt、約50nt〜約60nt、約60nt〜約70nt、約70nt〜約80nt、約80nt〜約90nt、または約90nt〜約100ntの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、単一分子のガイド核酸のリンカーは、4〜40ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも約100、500、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、または7000もしくはそれ以上のヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、リンカーは、多くても約100、500、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、または7000もしくはそれ以上のヌクレオチドである。
リンカーは、様々な配列のうちのいずれかを含み得るが、好ましくはリンカーがガイドRNAの他の部分との相同性の広範な領域を有する配列を含まず、ガイドの他の機能的領域と干渉し得ない分子内結合を引き起こし得る。Jinekら(上記を参照)では、Science,337(6096):816−821(2012)の単純な4ヌクレオチド配列−GAAA−を、使用したが、より長い配列を含む多くの他の配列を、同様に使用することができる。
いくつかの実施形態では、リンカー配列は、機能的部分を含む。例えば、リンカー配列は、アプタマー、リボザイム、タンパク質−相互作用ヘアピン、CRISPRアレイ、イントロン、及びエクソンを含む、1つ以上の特性を含み得る。いくつかの実施形態では、リンカー配列は、少なくとも約1、2、3、4、または5もしくはそれ以上の機能的な部分を含む。いくつかの実施形態では、リンカー配列は、多くても約1、2、3、4、または5もしくはそれ以上の機能的な部分を含む。
C9ORF72遺伝子内の拡大したヘキサヌクレオチド反復の欠失または置換によって、または対応する遺伝子またはセーフハーバー部位の遺伝子座にC9ORF72 cDNAをノックインすることによって細胞を修正するためのゲノム操作戦略
本発明のエクスビボ方法のステップは、ゲノム操作を用いて、患者特異的iPS細胞を編集すること/修正することを含む。あるいは、本発明のエクスビボ方法のステップは、白血球、間葉幹細胞、または造血前駆細胞を編集すること/修正することを含む。同様に、本発明のインビボ方法のステップは、ゲノム操作を用いて、ALSまたはFTLD患者における細胞を編集すること/修正することを含む。同様に、本発明の細胞内方法のステップは、ゲノム操作によって、ヒト細胞中のC9ORF72遺伝子を編集すること/修正することを含む。
ALS及び/またはFTLD患者は、C9ORF72遺伝子内の拡大したヘキサヌクレオチド反復を示す。したがって、異なる患者は、概して、同様の修正戦略を必要とするであろう。任意のCRISPRエンドヌクレアーゼは、本発明の方法において使用され得、それぞれ、CRISPRエンドヌクレアーゼは、それ自体の関連したPAMを有し、疾患特異的であってもなくてもよい。例えば、S.pyogenesからのCRISPR/Cas9エンドヌクレアーゼを有するC9ORF72遺伝子を標的化するためのgRNAスペーサー配列は、配列番号1〜6148で特定されている。S.aureusからのCRISPR/Cas9エンドヌクレアーゼを有するC9ORF72遺伝子を標的化するためのgRNAスペーサー配列は、配列番号6149〜6892で特定されている。S.thermophilusからのCRISPR/Cas9エンドヌクレアーゼを有するC9ORF72遺伝子を標的化するためのgRNAスペーサー配列は、配列番号7760〜8097で特定されている。T.denticolaからのCRISPR/Cas9エンドヌクレアーゼを有するC9ORF72遺伝子を標的化するためのgRNAスペーサー配列は、配列番号8098〜8261で特定されている。N.meningitidesからのCRISPR/Cas9エンドヌクレアーゼを有するC9ORF72遺伝子を標的化するためのgRNAスペーサー配列は、配列番号6893〜7759で特定されている。Acidominococcus及びLachnospiraceaeからのCRISPR/Cpf1エンドヌクレアーゼを有するC9ORF72遺伝子を標的化するためのgRNAスペーサー配列は、配列番号8262〜18807で特定されている。例えば、S.pyogenesからのCRISPR/Cas9エンドヌクレアーゼを有するAAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTRのエクソン1〜2を標的化するためのを標的化するためのgRNAスペーサー配列は、それぞれ、実施例7、13、19、25、31、37、43、49、55、61、67、73、79、85、及び91で特定されている。例えば、S.aureusからのCRISPR/Cas9エンドヌクレアーゼを有するAAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTRのエクソン1〜2を標的化するためのを標的化するためのgRNAスペーサー配列は、それぞれ、実施例8、14、20、26、32、38、44、50、56、62、68、74、80、及び86で特定されている。例えば、S.thermophilusからのCRISPR/Cas9エンドヌクレアーゼを有するAAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTRのエクソン1〜2を標的化するためのを標的化するためのgRNAスペーサー配列は、それぞれ、実施例9、15、21、27、33、39、45、51、57、63、69、75、81、及び87で特定されている。例えば、T.denticolaからのCRISPR/Cas9エンドヌクレアーゼを有するAAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTRのエクソン1〜2を標的化するためのを標的化するためのgRNAスペーサー配列は、それぞれ、実施例10、16、22、28、34、40、46、52、58、64、70、76、82、及び88で特定されている。例えば、N.meningitidesからのCRISPR/Cas9エンドヌクレアーゼを有するAAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTRのエクソン1〜2を標的化するためのを標的化するためのgRNAスペーサー配列は、それぞれ、実施例11、17、23、29、35、41、47、53、59、65、71、77、83、及び89で特定されている。例えば、Acidominococcus、Lachnospiraceae、及びFrancisella novicidaからのCRISPR/Cas9エンドヌクレアーゼを有するAAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTRのエクソン1〜2を標的化するためのを標的化するためのgRNAスペーサー配列は、それぞれ、実施例12、18、24、30、36、42、48、54、60、66、72、78、84、及び90で特定されている。
例えば、変異は、不明確なNHEJ修復経路が原因で起こる挿入または欠失によって修正され得る。患者のC9ORF72遺伝子が、挿入または欠失した塩基を有する場合、標的切断は、フレームを復元するNHEJ媒介性挿入または欠失をもたらし得る。ミスセンス変異はまた、1つ以上のガイドRNAを用いてNHEJ媒介性修正を通して修正され得る。変異を修正する切断(複数可)の能力または可能性は、局所的配列及びマイクロホモロジーに基づいて設計または評価され得る。NHEJはまた、いくつかの位置を標的化する1つのgRNA、またはいくつかのgRNAによる切断を通してスプライスドナーまたはアクセプター部位を、直接または変化させることによって、遺伝子のセグメントを欠失するために使用することもできる。これは、アミノ酸、ドメイン、またはエクソンが変異を含み、除去または挿入され得る場合か、またはそうでなければタンパク質への機能を復元する場合に有用であり得る。ガイド鎖の対は、欠失または反転の修正のために使用されている。
あるいは、HDRによる修正のためのドナーは、アニーリングを可能にするために、小さいまたは大きい隣接相同アームを有する修正された配列を含む。HDRは、本質的には、DSB修復中の鋳型として供給された相同DNA配列を使用するエラーフリー機構である。相同配向型修復(HDR)の速度は、重複または最も近い標的部位を選択することは重要であるため、変異と切断部位との間の距離の関数である。鋳型は、相同領域によって隣接された余分の配列を含むことができるか、またはゲノム配列とは異なる配列を含むことができ、そのため、配列編集を可能にする。
NHEJまたはHDRによって変異を修正することに加えて、他の選択肢の範囲が可能である。小さいまたは大きい欠失または複数の変異が存在する場合、影響を受けたエクソンを含有する、cDNAが、ノックインされ得る。完全長cDNAは、任意の「セーフハーバー」にノックインされ得るが、供給されたまたは他のプロモーターを使用しなければならない。この構築体が、正しい場所にノックインされる場合、それは、正常遺伝子と同様に、生理学的制御を有するであろう。ヌクレアーゼの対は、変異した遺伝子領域を欠失するために使用されることができるが、ドナーは、通常、機能を複製するために提供されなければならないであろう。この場合、2つのgRNAが供給され得、1つのドナーが配列を決定する。
いくつかのゲノム操作戦略は、C9ORF72遺伝子内もしくはその近傍の野生型または同様の数のヘキサヌクレオチド反復による、拡大したヘキサヌクレオチド反復の置換、または拡大したヘキサヌクレオチド反復を欠失すること、及びC9ORF72 cDNAを、相同組換え(HR)としても既知である相同配向型修復(HDR)によって対応する遺伝子の遺伝子座またはセーフハーバー遺伝子座にノックインすることを含む。相同配向型修復は、C9ORF72遺伝子において拡大したヘキサヌクレオチドを有する患者を治療するためのある戦略である。これらの戦略は、C9ORF72遺伝子を復元し、疾患状態を完全に逆転させるであろう。この戦略は、患者の拡大したヘキサヌクレオチド反復の長さに基づいたさらにカスタムアプローチを必要としない可能性が高いであろう。変異を修正するためのドナーヌクレオチドは、小さい(300bp未満)。これは、HDR効率がドナー分子のサイズに逆相関し得るため、有利である。また、ドナー鋳型が、例えば、非限定的な例として、ドナー鋳型送達の有効な手段であることが示されている、サイズ制限したアデノ随伴ウイルス(AAV)分子を含む、サイズ制限したウイルスベクター分子に適合することができることが予想されている。また、ドナー鋳型が、非限定的な例として、血小板、及び/またはエクソソームまたは他の微小胞胞を含む、他のサイズ制限した分子に適合することができることも予想されている。
相同配向型修復は、二本鎖切断(DSB)を修復するための細胞機構である。最も一般的な形態は、相同組換えである。一本鎖アニーリング及び代替のHDRを含む、HDRのためのさらなる経路が存在する。ゲノム操作ツールは、研究者が、ゲノムに部位特異的修飾を行うために細胞相同組換え経路を操作することができる。細胞が、トランスに提供される合成ドナー分子を用いて二本鎖切断を修復することができることが見出されている。したがって、特異的変異の近傍に二本鎖切断を導入し、好適なドナーを提供することによって、ゲノム中で標的化された変化を行うことができる。特異的切断は、相同ドナーを単独で受容する106細胞中の1の速度を上回る1,000倍よりもHDRの速度を増加させる。特定のヌクレオチドで相同配向型修復(HDR)の速度は、重複または最も近い標的部位を選択することは重要であるため、切断部位に対する距離の関数である。遺伝子編集は、原位置の修正が、ゲノムの残りが摂動されないままであるため、遺伝子付加を上回る利点を提供する。
編集のために供給されたドナーは、HDRによって大きく異なるが、一般に、ゲノムDNAにアニーリングすることができる小さいまたは大きい隣接相同アームを有する目的とする配列を含有する。導入した遺伝子変化に隣接する相同領域は、30bp以下であり得るか、またはcDNA等のプロモーターを含有し得るマルチキロベースカセットと同じ大きさであり得る。一本鎖及び二本鎖オリゴヌクレオチドドナーの両方が使用されている。より長いssDNAがまた、生成及び使用され得るが、これらのオリゴヌクレオチドは、100nt未満から多くのkbを超えるサイズの範囲である。PCR単位複製配列、プラスミド、及びミニサークルを含む、二本鎖ドナーが、しばしば、使用される。全般に、AAVベクターが、個々のドナーのための包装制限が5kb未満であるが、ドナー鋳型の送達の非常に効果的な手段であることが見出された。ドナーの活性転写は、プロモーターの封入が変換を増加し得ることを示す、HDRを3倍増加した。逆に、ドナーのCpGメチル化は、遺伝子発現及びHDRを減少させた。
Cas9等の野生型エンドヌクレアーゼに加えて、1つのDNA鎖のみの切断をもたらす不活性化された1つまたは他のヌクレアーゼドメインを有する、ニッカーゼ変異体が、存在する。HDRは、個々のCasニッカーゼから指向され得るか、標的領域を隣接するニッカーゼの対を使用し得る。ドナーは、一本鎖、ニック、またはdsDNAであり得る。
ドナーDNAは、様々な異なる方法によって、例えば、トランスフェクション、ナノ粒子、マイクロ注入、またはウイルス形質転換によって、ヌクレアーゼとともにまたは独立して供給され得る。様々な範囲のテザリング選択肢は、HDRのためのドナーの可能性を増加させることが提案されている。例には、ドナーをヌクレアーゼに連結させること、その近隣に結合するDNA結合タンパク質に連結させること、またはDNA末端結合もしくは修復に関与するタンパク質に連結させることが含まれる。
修復経路の選択は、細胞サイクリングに影響を及ぼすもののような多くの培養条件によって、またはDNA修復及び関連タンパク質の標的化によって誘導され得る。例えば、HDRを増加させるために、KU70、KU80、またはDNAリガーゼIV等の主なNHEJ分子は、抑制され得る。
ドナーが存在することなく、DNA切断からの末端または異なる切断からの末端は、DNA末端が接合部でほとんどまたは全く塩基対合することなく、接合される、いくつかの非相同修復経路を用いて接合され得る。標準的NHEJに加えて、alt−NHEJ等の同様の修復機構が存在する。2つの切断がある場合、介在するセグメントは、欠失または反転され得る。NHEJ修復経路は、接合で挿入、欠失、または変異をもたらし得る。
NHEJは、ヌクレアーゼ切断後にヒト細胞株において定義された遺伝子座に、15kbの誘導遺伝子発現カセットを挿入するために使用された。Maresca,M.,Lin,V.G.,Guo,N.& Yang,Y.,Genome Res 23,539−546(2013)。
NHEJまたはHDRによるゲノム編集に加えて、NHEJ経路及びHRの両方を使用する、部位特異的挿入が、行われている。組み合わせアプローチは、ある特定の状況において適用可能であり、イントロン/エクソン境界を含む可能性が高い。NHEJは、イントロン内のライゲーションに対して有効であることが証明され得るが、エラーフリーHDRは、コード領域により良好に適し得る。
前述のように、C9ORF72遺伝子の変異は、6つの文字列のヌクレオチドGGGGCCのヘキサヌクレオチド反復拡大である。健常な個人において、典型的には、約30以下のこのヘキサヌクレオチドの反復がほとんどない。疾患表現型を有する人々において、この反復は、数百程度で生じ得る。1つ以上のヘキサヌクレオチド反復は、遺伝子を、野生型または同様の数のヘキサヌクレオチド反復に復元するために欠失または修正され得る。あるいは、ヘキサヌクレオチド反復の全てが欠失していてもよい。さらなる代替として、C9ORF72 cDNAは、対応する遺伝子の遺伝子座にノックインされ得るか、またはAAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、G6PC、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTRからなる群から選択されるセーフハーバー遺伝子座等のセーフハーバー部位にノックインされ得る。いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上の変異を置き換えるために、または全C9ORF72遺伝子もしくはcDNAをノックインするために、ポリヌクレオチドドナー鋳型から新しい配列の組み込みを促進するために使用することができる、1つのgRNAまたは一対のgRNAを提供する。
本方法のいくつかの実施形態は、1つ以上のヘキサヌクレオチド反復を置き換えるために、ポリヌクレオチドドナー鋳型からの新しい配列の挿入を促進する、一方のgRNAを、1つ以上のヘキサヌクレオチド反復の5’末端で切断し、他方のgRNAを、1つ以上のヘキサヌクレオチド反復の3’末端で切断する、遺伝子を2回切断することによって欠失するgRNA対を提供する。切断は、それぞれ、ゲノム中のDSBを作製する一対のDNAエンドヌクレアーゼによって、またはゲノム中のDSBを一緒に作製する複数のニッカーゼによって達成され得る。
あるいは、本方法のいくつかの実施形態は、1つ以上のヘキサヌクレオチド反復を置き換えるために、ポリヌクレオチドドナー鋳型からの新しい配列の挿入を促進する、1つ以上のヘキサヌクレオチド反復周辺で1つの二本鎖切断を行うために1つのgRNAを提供する。二本鎖切断は、単一のDNAエンドヌクレアーゼ、またはゲノム中のDSBを一緒に作製する複数のニッカーゼによって作製され得る。
C9ORF72遺伝子内の例示的な修飾には、上に称される変異内もしくはその近傍の、例えば、特異的変異の3kb未満、2kb未満、1kb未満、0.5kb未満の上流または下流の領域内の置換が含まれる。C9ORF72遺伝子における比較的幅広い変動のヘキサヌクレオチド反復を考慮すると、(より大きいならびにより小さい欠失が含まれるが、これらに限定されることなく)上で言及される置換の多くの変動が、C9ORF72遺伝子の復元をもたらすことが予想され得ると理解されよう。
このような変異体は、問題になっている特異的変異よりも5’及び/または3’方向でより大きい、またはいずれかの方向でより小さい置換を含む。したがって、特定の置換に対する「近位」によって、所望の置換境界と関連するDSB遺伝子座(本明細書において終点とも称される)が、記載される参照遺伝子座から約3kb未満である領域内であり得ることが意図されている。いくつかの実施形態では、DSB遺伝子座は、より近位であり、2kb以内、1kb以内、0.5kb以内、または0.1kb以内である。小さい置換の場合、所望の終点は、参照遺伝子座でまたはそれに「隣接」しており、これによって、終点が、参照遺伝子座から100bp以内、50bp以内、25bp以内、または約10bp〜5bpであることが意図されている。
より大きいまたはより小さい置換を含む実施形態は、拡大したヘキサヌクレオチド反復が野生型レベルまで低減される限り、同じ利益を提供することが予想される。それ故に、本明細書で説明及び図示される置換の多くの変形例が、ALS及び/またはFTLDを改善するために有効であろうと予測される。
別のゲノム操作戦略は、エクソン欠失を伴う。特定のエクソンの標的欠失は、単一の治療カクテルを有する、大きなサブセットの患者を治療するための魅力的な戦略である。欠失は、単一のヘキサヌクレオチド反復欠失またはマルチ−ヘキサヌクレオチド反復欠失のいずれかであり得る。拡大したヘキサヌクレオチド反復の完全欠失を含む、マルチ−反復欠失は、より大きい欠失のためにより多数の患者に達し得るが、欠失の有効性が、増加したサイズで大幅に減少する。したがって、好ましい欠失は、サイズで40〜10,000の塩基対(bp)の範囲である。例えば、欠失は、サイズで40〜100、100〜300、300〜500、500〜1,000、1,000〜2,000、2,000〜3,000、3,000〜5,000、または5,000〜10,000の塩基対の範囲であり得る。
プレ−mRNAが欠失後に適切に処理されることを確実にするために、周囲のスプライシングシグナルを欠失することも重要である。スプライシングドナー及びアクセプターは、概して、隣接するイントロンの100塩基対内である。したがって、いくつかの実施形態では、方法は、それぞれ、対象となるエクソン/イントロン接合部に対しておよそ+/−100〜3100bpを切断する、全てのgRNAを提供する。
ゲノム編集戦略のうちのいずれかのために、ゲノム編集は、配列決定またはPCR分析によって確認され得る。
標的配列選択
好ましくは、特定の参照遺伝子座と比較して5’境界及び/または3’境界の位置のシフトは、本明細書にさらに記載され、例示されるように、ゲノム編集の特定の用途を促進または増強するために使用され、これは、一部分において、編集のために選択されたエンドヌクレアーゼシステムに応じて異なる。
このような標的配列選択の第1の態様では、多くのエンドヌクレアーゼシステムは、CRISPR II型またはV型エンドヌクレアーゼの場合、DNA切断部位に隣接する特定の場所でPAM配列モチーフの必要条件等の切断のために潜在的な標的部位の初期選択を誘導する規則または基準を有する。
標的配列選択または最適化の別の態様では、標的配列及びゲノム編集エンドヌクレアーゼの特定の組み合わせの「オフターゲット」活性の頻度(すなわち、選択された配列以外の部位で生じるDSBの頻度)は、オンターゲット活性の頻度と比較して評価される。場合によっては、所望の遺伝子座で正しく編集されている細胞は、他の細胞と比較して選択的優位性を有し得る。例示的であるが、非限定的である、選択的優位性の例は、特質、例えば、複製の増強速度、持続性、ある特定の条件への耐性、生着の成功の増強速度、または患者への導入後のインビボでの持続性、及びこのような細胞の維持または数もしくは生存率の増加と関連する、他の特質の習得を含む。別の場合では、所望の遺伝子座で正しく編集された細胞は、正しく編集された細胞を特定、分類、またはそうでなければ選択するために使用される1つ以上のスクリーニング方法によって積極的に選択され得る。選択的優位性及び配向性選択方法はともに、修正と関連する表現型を利用し得る。いくつかの実施形態では、細胞は、意図された細胞集団を選択または精製するために使用される新しい表現型を作製する第2の修飾を作製するために2回以上編集され得る。このような第2の修飾は、選択可能なまたはスクリーニング可能なマーカーのために第2のgRNAを添加することによって作製され得る。いくつかの実施形態では、細胞は、cDNA及び選択可能なマーカーをも含有するDNA断片を用いて所望の遺伝子座で正しく編集され得る。
任意の選択的優位性が適用可能であるか、または任意の配向された選択が特定の状況で適用されるべきであるかどうか、標的配列選択はまた、適用の有効性を増強する、及び/または所望の標的以外の部位で望ましくない変更の可能性を低減させるために、オフターゲットの考慮により導かれる。本明細書及び当該技術分野においてさらに説明され、例示されるように、オフターゲット活性の発生は、標的部位と様々なオフターゲット部位との間の類似点及び相違点を含む、多くの要因、ならびに使用される特定のエンドヌクレアーゼによって影響される。多くの場合、バイオインフォマティクスツールは、オフターゲット活性の予測を支援するのに利用でき、しばしば、このようなツールはまた、オフターゲット活性の最も可能性の高い部位を特定するために使用することができ、オンターゲット活性に対するオフターゲット活性の相対度数を評価するために実験的設定で評価することができ、それによって、より高い相対的オフターゲット活性を有する配列の選択を可能にする。このような技術の例示的な例は、本明細書に提供され、その他は、当該技術分野で既知である。
標的配列選択の別の態様は、相同的組換え事象に関する。相同性領域を共有する配列が、介在配列の欠失をもたらす相同的組換え事象に対する焦点として機能し得ることが公知である。このような組換え事象は、染色体及び他のDNA配列の通常の複製の経過中に生じ、普段は、DNA配列が合成される場合、例えば、二本鎖切断(DSB)の修復の場合、通常の細胞複製サイクル中に生じるが、様々な事象(例えば、紫外線及びDNA切断の他の誘導物質)の発生またはある特定の事象(例えば、様々な化学誘導物質)の存在によっても増強され得る。多くのこのような誘導物質は、DSBがゲノム中に無差別に生じさせ、DSBは、定期的に、正常細胞に誘導され、修復される。修復時、元の配列は、完全な忠実度で再構築され得るが、場合によっては、小さい挿入または欠失(「インデル」と称される)は、DSB部位で導入される。
DSBはまた、特定の位置で特異的に誘導され得、本明細書に記載されるエンドヌクレアーゼ系の場合は、選択された染色***置で配向されたまたは優先的な遺伝子組換え事象を引き起こすために使用することができる。DNA修復(及び複製)の文脈において組換えの影響を受けやすい相同配列の傾向は、多くの状況においてうまく生かされ得、CRISPR等の遺伝子編集システムの1つの適用への基盤となり、相同配向型修復が対象となる配列を挿入するために使用されるが、但し、所望の染色***置への「ドナー」ポリヌクレオチドの使用を通じるものとする。
わずか10塩基対以下を含み得る「マイクロホモロジー」の小領域であり得る、特定の配列間の相同性領域はまた、所望の欠失をもたらすために使用され得る。例えば、単一のDSBは、近隣配列でマイクロホモロジーを示す部位で導入される。このようなDSBの通常の修復経過中、高頻度で生じる結果は、DSB及び同時細胞修復プロセスによって促進される組換えの結果として介在配列の欠失である。
しかしながら、いくつかの状況では、相同性領域内の標的配列を選択することはまた、遺伝子融合(欠失がコード領域内である場合)を含む、さらに大きい欠失をもたらすこともでき、特定の状況を考えると、所望であっても所望でなくてもよい。
本明細書に提供される例は、野生型または同様のレベルのヘキサヌクレオチド反復の復元をもたらす置換を誘導するように設計されるDSBの作製のための様々な標的領域の選択、ならびにオンターゲット事象と比較してオフターゲット事象を最小限に抑えるように設計されるような領域内に特定の標的配列の選択をさらに例証する。
核酸修飾
いくつかの実施形態では、細胞に導入されるポリヌクレオチドは、本明細書にさらに記載され、当該技術分野で既知であるように、例えば、活性、安定性、もしくは特異性を増強し、送達を変化させ、宿主細胞における先天性免疫応答を低減させるために、または他の増強のために使用することができる、1つ以上の修飾を含む。
ある特定の実施形態では、修飾ポリヌクレオチドは、CRISPR/Cas9/Cpf1システムで使用され、この場合、ガイドRNA(単一分子ガイドもしくは二分子ガイドのいずれか)及び/または細胞に導入されるCasもしくはCpf1エンドヌクレアーゼをコードするDNAもしくはRNAは、以下に記載され、例示されるように、修飾され得る。このような修飾ポリヌクレオチドは、任意の1つ以上のゲノム遺伝子座を編集するために、CRISPR/Cas9/Cpf1システムで使用することができる。
このような使用の非限定的な例示の目的のためにCRISPR/Cas9/Cpf1システムを用いて、ガイドRNAの修飾は、単一分子ガイドまたは二分子、及びCasまたはCpf1エンドヌクレアーゼであり得る、ガイドRNAを含むCRISPR/Cas9/Cpf1ゲノム編集複合体の形成または安定性を増強するために使用することができる。ガイドRNAの修飾はまた、または代替的に、ゲノム中の標的配列とのゲノム編集複合体間の相互作用の開始、安定性、または動力学を増強するために使用することができ、これは、例えば、オンターゲット活性を増強するために使用することができる。ガイドRNAの修飾はまた、または代替的に、特異性、例えば、他の(オフターゲット)部位における効果と比較して、オンターゲット部位におけるゲノム編集の相対速度を増強するために使用することができる。
修飾はまた、または代替的に、例えば、細胞中に存在するリボヌクレアーゼ(RNase)による分解に対するその耐性を増加させ、それによって、増加させた細胞中のその半減期を引き起こすことによって、ガイドRNAの安全性を増加させるために使用することができる。ガイドRNA半減期を増強する修飾は、特に、エンドヌクレアーゼをコードするRNAと同時に導入されるガイドRNAの半減期を増加させることは、ガイドRNA及びコードしたCasまたはCpf1エンドヌクレアーゼが細胞中で共存する時間を増加させるために使用することができるため、CasまたはCpf1エンドヌクレアーゼが、エンドヌクレアーゼを生成するために翻訳される必要があるRNAを介して編集される細胞に導入される、実施形態で有用であり得る。
修飾はまた、または代替的に、細胞に導入されたRNAは、先天性免疫応答を引き起こす可能性または程度を減少させるために使用することができる。以下に、及び当該技術分野で記載されるように、小干渉RNA(siRNA)を含む、RNA干渉(RNAi)の文脈において十分に特徴付けられた、このような応答は、RNAの半減期の減少及び/またはサイトカインもしくは免疫応答と関連する他の因子の誘導と関連する傾向がある。
1つ以上の種類の修飾はまた、RNAの安定性を増強させる修飾(例えば、細胞中に存在するRNAesによるその分解を増大させることによって)、得られた生成物(すなわち、エンドヌクレアーゼ)の翻訳を増強させる修飾、及び/または細胞に導入されるRNAが先天性免疫応答を誘導する可能性または程度を減少させる修飾が含まれるが、これらに限定されない、細胞に導入されるエンドヌクレアーゼをコードするRNAに行われ得る。
前述及びその他のような修飾の組み合わせは、同様に使用することができる。CRISPR/Cas9/Cpf1の場合、例えば、1つ以上の種類の修飾は、ガイドRNA(上記に例示されるものを含む)を行われ得るか、及び/または1つ以上の種類の修飾は、CasもしくはCpf1エンドヌクレアーゼをコードするRNA(上記に例示されるものを含む)を行われ得る。
例示のために、CRISPR/Cas9/Cpf1システム中に使用されるガイドRNA、または他のより小さいRNAは、以下に例示され、当該技術分野で記載されるように、化学的手段によって容易に合成され得、多くの修飾が容易に組み込まれることを可能にする。化学合成手順は、継続的に拡大しているが、高速液体クロマトグラフィー(HPLC、PAGE等のゲルの使用を避ける)等の手順によるこのようなRNAの精製は、ポリヌクレオチド長がおよそ100ヌクレオチドを著しく超えて増加するためより困難である傾向がある。より大きい長さの化学修飾されたRNAを生成するために使用される1つのアプローチは、一緒にライゲーションされる2つ以上の分子を生成することである。Cas9エンドヌクレアーゼをコードするもの等のはるかに長いRNAは、酵素的にさらに容易に生成される。少数の種類の修飾は、概して、酵素的に生成されたRNAで用いるために利用可能であるが、依然として、例えば、以下に、及び当該技術分野でさらに記載されるように、安定性を増強する、先天性免疫応答の可能性または程度を低減する、及び/または他の特質を増強する、修飾があり、新しい種類の修飾は、定期的に開発されている。
様々な種類の修飾、特に、より小さい化学的に合成されたRNAで高い頻度で使用されるものの例示のために、修飾は、糖の2’位で修飾された1つ以上のヌクレオチド、いくつかの実施形態では、2’−O−アルキル、2’−O−アルキル−O−アルキル、または2’−フルオロ修飾ヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、RNA修飾は、ピリミジン、脱塩基残基、またはRNAの3’末端で反転塩基のリボース上の2’−フルオロ、2’−アミノ、または2’O−メチル修飾を含む。このような修飾は、通常通りにオリゴヌクレオチドに組み込まれ、これらのオリゴヌクレオチドは、所与の標的に対して、2’ −デオキシオリゴヌクレオチドより高いTm(すなわち、より高い標的結合親和性)を有することが示されている。
いくつかのヌクレオチド修飾及びヌクレオシド修飾は、これらが組み込まれているオリゴヌクレオチドを、天然オリゴデオキシヌクレオチドよりヌクレアーゼ消化に対してより耐性にすることが示されており、これらの修飾オリゴ体(oligo)は、無修飾オリゴヌクレオチドより長い時間にわたって無傷で残存する。修飾オリゴヌクレオチドの具体例としては、修飾骨格、例えば、ホスホロチオエート、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、短鎖アルキルもしくはシクロアルキル糖間連結、または短鎖ヘテロ原子もしくは複素環糖間連結を含むものが含まれる。いくつかのオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート骨格を有するオリゴヌクレオチド、及びヘテロ原子骨格、特に、CH2−NH−O−CH2、CH、〜N(CH3)〜O〜CH2(メチレン(メチルイミノ)またはMMI骨格として既知である)、CH2−−O−−N(CH3)−CH2、CH2−N(CH3)−N(CH3)−CH2、及びO−N(CH3)−CH2−CH2骨格であり、天然ホスホジエステル骨格は、O−P−−O−CH,として表される);アミド骨格[De Mesmaeker et al.,Ace.Chem.Res.,28:366−374(1995)を参照];モルホリノ骨格構造(Summerton and Weller、米国特許第5,034,506号を参照);ペプチド核酸(PNA)骨格(オリゴヌクレオチドのホスホジエステル骨格は、ポリアミド骨格で置き換えられており、ヌクレオチドは、ポリアミド骨格のアザ窒素原子に直接または間接的に結合している、Nielsen et al.,Science 1991,254,1497を参照)を有するものである。リン含有連結としては、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3’アルキレンホスホネート及びキラルホスホネートを含むメチル及び他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’ −アミノホスホラミデート及びアミノアルキルホスホラミデートを含むホスホラミデート、チオノホスホラミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、ならびに正常な3’ −5’連結を有するボラノホスフェート、これらの2’ −5’連結類似体、ならびにヌクレオシド単位の隣り合う対が3’ −5’から5’ −3’または2’ −5’から5’ −2’に連結されている逆極性を有するものが挙げられるが、これらに限定されず、米国特許第3,687,808号、同第4,469,863号、同第4,476,301号、同第5,023,243号、同第5,177,196号、同第5,188,897号、同第5,264,423号、同第5,276,019号、同第5,278,302号、同第5,286,717号、同第5,321,131号、同第5,399,676号、同第5,405,939号、同第5,453,496号、同第5,455,233号、同第5,466,677号、同第5,476,925号、同第5,519,126号、同第5,536,821号、同第5,541,306号、同第5,550,111号、同第5,563,253号、同第5,571,799号、同第5,587,361号、及び同第5,625,050号を参照のこと。
モルホリノ系オリゴマー化合物は、Braasch and David Corey,Biochemistry,41(14):4503−4510(2002)、Genesis,Volume 30,Issue 3,(2001)、Heasman,Dev.Biol.,243:209−214(2002)、Nasevicius et al.,Nat.Genet.,26:216−220(2000)、Lacerra et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,97:9591−9596(2000)、及び1991年7月23日に発行された米国特許第5,034,506号において記載されている。
シクロヘキセニル核酸オリゴヌクレオチド模倣体は、Wang et al.,J.Am.Chem.Soc.,122:8595−8602(2000)に記載されている。
その中にリン原子を含まない修飾オリゴヌクレオチド骨格は、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間連結、ヘテロ原子及びアルキルもしくはシクロアルキル短鎖アルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間連結の混合、または1つ以上の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環式ヌクレオシド間連結によって形成される骨格を有する。これらは、モルホリノ連結(ヌクレオシドの糖部分から部分的に形成される)、シロキサン骨格、スルフィド、スルホキシド、及びスルホン骨格、ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、アルケン含有骨格、スルファメート骨格、メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格、スルホネート及びスルホンアミド骨格、アミド骨格、ならびに混合されたN、O、S、及びCH2構成部分を有するその他を有するものを含む;米国特許第5,034,506号、同第5,166,315号、同第5,185,444号、同第5,214,134号、同第5,216,141号、同第5,235,033号、同第5,264,562号、同第5,264,564号、同第5,405,938号、同第5,434,257号、同第5,466,677号、同第5,470,967号、同第5,489,677号、同第5,541,307号、同第5,561,225号、同第5,596,086号、同第5,602,240号、同第5,610,289号、同第5,602,240号、同第5,608,046号、同第5,610,289号、同第5,618,704号、同第5,623,070号、同第5,663,312号、同第5,633,360号、同第5,677,437号、及び同第5,677,439号を参照されたく、これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。
1つ以上の置換糖部分はまた、例えば、2’位で以下のもののうちの1つが含まれ得る:OH、SH、SCH3、F、OCN、OCH3 OCH3、OCH3 O(CH2)n CH3、O(CH2)n NH2、またはO(CH2)n CH3(式中、nは、1〜約10である)、C1〜C10低級アルキル、アルコキシアルコキシ、置換低級アルキル、アルカリル、またはアラルキル、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、O−、S−、もしくはN−アルキル、O−、S−、もしくはN−アルケニル、SOCH3、SO2 CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的特性を改善するための基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善するための基及び同様の特性を有する他の置換基。いくつかの実施形態では、修飾は、2’−メトキシエトキシ(2’−0−CH2CH2OCH3、2’−O−(2−メトキシエチル)としても既知である)を含む(Martin et al,HeIv.Chim.Acta,1995,78,486)。他の修飾は、2’−メトキシ(2’−0−CH3)、2’−プロポキシ(2’−OCH2 CH2CH3)、及び2’−フルオロ(2’−F)を含む。同様の修飾はまた、オリゴヌクレオチド上の他の位置、特に、3’末端ヌクレオチド上の糖の3’位、及び5’末端ヌクレオチドの5’位で行うことができる。オリゴヌクレオチドはまた、ペントフラノシル基の代わりにシクロブチル等の糖模倣体も有することができる。
いくつかの実施形態では、ヌクレオチド単位の糖及びヌクレオシド間連結の両方は、すなわち、骨格が、新規の基で置き換えられている。塩基単位は、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持されている。1つのこのようなオリゴマー化合物、優れたハイブリダイゼーション特性を有することが示されているオリゴヌクレオチド模倣体は、ペプチド核酸(PNA)と称される。PNA化合物では、オリゴヌクレオチドの糖骨格は、アミド含有骨格、例えば、アミノエチルグリシン骨格で置き換えられている。核酸塩基は、保持され、骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接または間接的に結合している。PNA化合物の調製を教示する代表的な米国特許としては、米国特許第5,539,082号、同第5,714,331号、及び同第5,719,262号が挙げられるが、これらに限定されない。PNA化合物のさらなる教示は、Nielsen et al,Science,254:1497−1500(1991)に見出され得る。
ガイドRNAはまた、さらにまたは代替的に、核酸塩基(単に「塩基」と当該技術分野で称されることが多い)修飾または置換も含むことができる。本明細書で使用される場合、「未修飾」または「天然」核酸塩基には、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)、及びウラシル(U)が含まれる。修飾核酸塩基には、例えば、ヒポキサンチン、6−メチルアデニン、5−Meピリミジン、特に、5−メチルシトシン(5−メチル−2’デオキシシトシンとも称され、5−Me−Cと当該技術分野で称されることが多い)、5−ヒドロキシメチルシトシン(HMC)、グリコシルHMC、及びゲントビオシルHMC、ならびに合成核酸塩基、例えば、2−アミノアデニン、2−(メチルアミノ)アデニン、2−(イミダゾリルアルキル)アデニン、2−(アミノアルキルアミノ(aminoalklyamino))アデニン、または他のヘテロ置換アルキルアデニン、2−チオウラシル、2−チオチミン、5−ブロモウラシル、5−ヒドロキシメチルウラシル、8−アザグアニン、7−デアザグアニン、N6(6−アミノヘキシル)アデニン、及び2,6−ジアミノプリンのような、天然核酸中に稀に、または一過性にのみ見出される核酸塩基が含まれる。Kornberg,A.,DNA Replication,W.H.Freeman & Co.,San Francisco,pp75−77(1980)、Gebeyehu et al.,Nucl.Acids Res.15:4513(1997)。当該技術分野で既知の「ユニバーサル」塩基、例えば、イノシンも含めることができる。5−Me−C置換は、核酸二重鎖安定性を0.6〜1.2℃増大させることが示されており(Sanghvi,Y.S.,in Crooke,S.T.及びLebleu,B.,eds.,Antisense Research and Applications,CRC Press,Boca Raton,1993,pp.276−278)、塩基置換の実施形態である。
修飾核酸塩基は、例えば、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、6−メチルならびにアデニン及びグアニンの他のアルキル誘導体、2−プロピルならびにアデニン及びグアニンの他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミン、及び2−チオシトシン、5−ハロウラシル及びシトシン、5−プロピニルウラシル及びシトシン、6−アゾウラシル、シトシン、及びチミン、5−ウラシル(疑似ウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシルならびに他の8−置換アデニン及びグアニン、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチルならびに他の5−置換ウラシル及びシトシン、7−メチルグアニン、及び7−メチルアデニン、8−アザグアニン及び8−アザアデニン、7−デアザグアニン及び7−デアザアデニン、ならびに3−デアザグアニン及び3−デアザアデニンのような、他の合成及び天然核酸塩基を含む。
さらに、核酸塩基は、米国特許第3,687,808号に開示されているもの、「The Concise Encyclopedia of Polymer Science And Engineering」、858〜859頁、Kroschwitz,J.I.,ed.John Wiley & Sons,1990に開示されているもの、Englisch et al.,Angewandle Chemie,International Edition’,1991,30、613頁に開示されているもの、及びSanghvi,Y.S.,Chapter 15,Antisense Research and Applications’、289〜302頁、Crooke,S.T.及びLebleu,B.ea.,CRC Press,1993に開示されているものを含む。ある特定のこれらの核酸塩基は、本発明のオリゴマー化合物の結合親和性を増大させるのに特に有用である。これらには、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジン、ならびに2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル、及び5−プロピニルシトシンを含むN−2、N−6、及び0−6置換プリンが含まれる。5−メチルシトシン置換は、核酸二重鎖安定性を0.6〜1.2℃増大させることが示されており(Sanghvi,Y.S.,Crooke,S.T.及びLebleu,B.,eds,「Antisense Research and Applications」、CRC Press,Boca Raton,1993,276〜278頁)、さらにより具体的には、2’−O−メトキシエチル糖修飾と組み合わされる場合、塩基置換の実施形態である。修飾された核酸塩基は、米国特許第3,687,808号、同第4,845,205号、同第5,130,302号、同第5,134,066号、同第5,175,273号、同第5,367,066号、同第5,432,272号、同第5,457,187号、同第5,459,255号、同第5,484,908号、同第5,502,177号、同第5,525,711号、同第5,552,540号、同第5,587,469号、同第5,596,091号、同第5,614,617号、同第5,681,941号、同第5,750,692号、同第5,763,588号、同第5,830,653号、同第6,005,096号、及び米国特許出願公開第2003/0158403号において記載されている。
それ故に、「修飾された」という用語は、ガイドRNA、エンドヌクレアーゼ、またはガイドRNA及びエンドヌクレアーゼの両方に組み込まれる、非天然糖、リン酸塩、または塩基を指す。所与のオリゴヌクレオチド中の全ての位置が均一に修飾される必要はなく、実際に、前述の修飾の1つを超える修飾を、単一オリゴヌクレオチド内に、またはさらにはオリゴヌクレオチド内の単一ヌクレオシド内に組み込むことができる。
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼをコードする、ガイドRNA及び/またはmRNA(もしくはDNA)は、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布、または細胞取込みを増強する1つ以上の部分またはコンジュゲートに化学的に結合されている。このような部分には、コレステロール部分等の脂質部分[Letsinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:6553−6556(1989)];コール酸[Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Let.,4:1053−1060(1994)];チオエーテル、例えば、ヘキシル−S−トリチルチオール[Manoharan et al,Ann.N.Y.Acad.Sci.,660:306−309(1992)及びManoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Let.,3:2765−2770(1993)];チオコレステロール[Oberhauser et al.,Nucl.Acids Res.,20:533−538(1992)];脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールもしくはウンデシル残基[Kabanov et al.,FEBS Lett.,259:327−330(1990)及びSvinarchuk et al.,Biochimie,75:49−54(1993)];リン脂質、例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロール、またはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート[Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,36:3651−3654(1995)及びShea et al.,Nucl.Acids Res.,18:3777−3783(1990)];ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖[Mancharan et al.,Nucleosides & Nucleotides,14:969−973(1995)];アダマンタン酢酸[Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,36:3651−3654(1995)];パルミチル部分[(Mishra et al.,Biochim.Biophys.Acta,1264:229−237(1995)];またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニル−トキシコレステロール部分[Crooke et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,277:923−937(1996)]が含まれるが、これらに限定されない。米国特許第4,828,979号、同第4,948,882号、同第5,218,105号、同第5,525,465号、同第5,541,313号、同第5,545,730号、同第5,552,538号、同第5,578,717号、同第5,580,731号、同第5,580,731号、同第5,591,584号、同第5,109,124号、同第5,118,802号、同第5,138,045号、同第5,414,077号、同第5,486,603号、同第5,512,439号、同第5,578,718号、同第5,608,046号、同第4,587,044号、同第4,605,735号、同第4,667,025号、同第4,762,779号、同第4,789,737号、同第4,824,941号、同第4,835,263号、同第4,876,335号、同第4,904,582号、同第4,958,013号、同第5,082,830号、同第5,112,963号、同第5,214,136号、同第5,082,830号、同第5,112,963号、同第5,214,136号、同第5,245,022号、同第5,254,469号、同第5,258,506号、同第5,262,536号、同第5,272,250号、同第5,292,873号、同第5,317,098号、同第5,371,241号、同第5,391,723号、同第5,416,203号、同第5,451,463号、同第5,510,475号、同第5,512,667号、同第5,514,785号、同第5,565,552号、同第5,567,810号、同第5,574,142号、同第5,585,481号、同第5,587,371号、同第5,595,726号、同第5,597,696号、同第5,599,923号、同第5,599,928号、及び同第5,688,941号を参照のこと。
糖及び他の部分は、特定の部位に、カチオン性ポリソーム及びリポソーム等のヌクレオチドを含む、タンパク質及び複合体を標的化するために使用することができる。例えば、肝細胞配向型転移は、アシアロ糖タンパク受容体(ASGPR)を介して媒介され得る;例えば、Hu,et al.,Protein Pept Lett.21(10):1025−30(2014)を参照のこと。当該技術分野で既知であり、定期的に開発されている他のシステムは、対象となる特定の標的細胞に、本発明の症例及び/またはそれらの複合体における使用の生体分子を標的とするために、使用することができる。
これらの標的化部分またはコンジュゲートは、一級または二級ヒドロキシル基等の官能基に共有結合的に結合したコンジュゲート基を含むことができる。本発明のコンジュゲート基は、インターカレーター、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、オリゴマーの薬力学的特性を増強する基、及びオリゴマーの薬物動態学的特性を増強する基を含む。一般的なコンジュゲート基には、コレステロール、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、フォレート、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、及び色素が含まれる。本発明の文脈において、薬物動態学的特性を増強する基には、取込みを改善し、分解に対する耐性を増強し、及び/または標的核酸との配列特異的ハイブリダイゼーションを強化する基が含まれる。本発明の文脈において、薬物動態学的特性を増強する基には、本発明の化合物の取込み、分布、代謝、または排出を改善する基が含まれる。代表的なコンジュゲート基には、1992年10月23日に出願された国際特許出願第PCT/US92/09196号及び米国特許第6,287,860号に開示されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。コンジュゲート基には、コレステロール部分等の脂肪部分、コール酸、チオエーテル、例えば、ヘキシル−5−トリチルチオール、チオコレステロール、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールもしくはウンデシル残基、リン脂質、例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールもしくはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート、ポリアミン、またはポリエチレングリコール鎖、またはアダマンタン酢酸、パルミチル部分、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール部分が含まれるが、これらに限定されない。例えば、米国特許第4,828,979号、同第4,948,882号、同第5,218,105号、同第5,525,465号、同第5,541,313号、同第5,545,730号、同第5,552,538号、同第5,578,717号、同第5,580,731号、同第5,580,731号、同第5,591,584号、同第5,109,124号、同第5,118,802号、同第5,138,045号、同第5,414,077号、同第5,486,603号、同第5,512,439号、同第5,578,718号、同第5,608,046号、同第4,587,044号、同第4,605,735号、同第4,667,025号、同第4,762,779号、同第4,789,737号、同第4,824,941号、同第4,835,263号、同第4,876,335号、同第4,904,582号、同第4,958,013号、同第5,082,830号、同第5,112,963号、同第5,214,136号、同第5,082,830号、同第5,112,963号、同第5,214,136号、同第5,245,022号、同第5,254,469号、同第5,258,506号、同第5,262,536号、同第5,272,250号、同第5,292,873号、同第5,317,098号、同第5,371,241号、同第5,391,723号、同第5,416,203号、同第5,451,463号、同第5,510,475号、同第5,512,667号、同第5,514,785号、同第5,565,552号、同第5,567,810号、同第5,574,142号、同第5,585,481号、同第5,587,371号、同第5,595,726号、同第5,597,696号、同第5,599,923号、同第5,599,928号、同第5,688,941号を参照のこと。
化学合成にあまり影響を受けず、一般的には酵素合成によって生成される、より長いポリヌクレオチドはまた、様々な手段によって修飾され得る。このような修飾は、例えば、ある特定のヌクレオチド類似体の導入、特定の配列または分子の5’または3’末端で他の部分の組み込み、及び他の修飾を含み得る。例示のために、Cas9をコードするmRNAは、およそ4kbの長さであり、インビトロ転写によって合成され得る。mRNAへの修飾は、例えば、その翻訳または安定性を増大させる(例えば、細胞による分解に対してその耐性を増加させることによって)、または外因性RNA、特に、Cas9をコードするもの等のより長いRNAの導入後に、しばしば細胞中に観察される先天性免疫応答を誘導するためにRNAの傾向を低減するために適用され得る。
多数のこのような修飾は、例えば、ポリA尾部、5’キャップ類似体(例えば、反逆方向キャップ類似体(ARCA)またはm7G(5’)ppp(5’)G(mCAP))、修飾5’または3’非翻訳領域(UTR)、修飾塩基(例えば、偽−UTP、2−チオ−UTP、5−メチルシチジン−5’−三リン酸塩(5−メチル−CTP)またはN6−メチル−ATP)の使用、または5’末端リン酸塩を除去するためのホスファターゼによる治療のような、当該技術分野で記載されている。これらの及び他の修飾は、当該技術分野で既知であり、RNAの新しい修飾は、定期的に開発されている。
例えば、TriLink Biotech,AxoLabs,Bio−Synthesis Inc.,Dharmacon及び多くの他のものを含む、修飾RNAの多くの商業的供給業者が存在する。TriLinkによって記載されるように、例えば、5−メチル−CTPは、ヌクレアーゼ安定性の増大、またはインビトロ転写RNAによる先天性免疫受容体の相互作用の低減等の所望の特性を与えるために使用することができる。5−メチルシチジン−5’−三リン酸塩(5−メチル−CTP)、N6−メチル−ATP、ならびに疑似−UTP及び2−チオ−UTPはまた、以下で言及される、Kormannら及びWarrenらによって刊行物中に例示されるように、培養中及びインビボで先天性免疫刺激を低減することも示されているが、翻訳を増強させる。
インビボで送達される化学修飾されたmRNAが、改善された治療効果を達成するために使用することができることが示されており、例えば、Kormann et al.,Nature Biotechnology 29,154−157(2011)を参照のこと。このような修飾は、例えば、RNA分子の安定性を増加させ、及び/またはその免疫原性を低減させるために使用することができる。疑似−U、N6−メチル−A、2−チオ−U、及び5−メチル−C等の化学修飾を用いて、2−チオ−U及び5−メチル−Cによる、ウリジン及びシチジンのわずか4分の1の置換が、それぞれ、マウスにおけるmRNAのトール様受容体(TLR)の媒介性認識において有意な減少をもたらしたことが見出された。先天性免疫系の活性化を低減することによって、これらの修飾を、インビボでmRNAの安定性及び寿命を効果的に増加させるために使用することができる;例えば、Kormannらの上記を参照のこと。
先天性抗ウイルス応答を迂回するように設計されている修飾を組み込む合成メッセンジャーRNAは、多能性能に対して分化されたヒト細胞を再プログラミングすることができることも示されている。例えば、Warren,et al.,Cell Stem Cell,7(5):618−30(2010)を参照のこと。一次再プログラミングタンパク質としての役割を果たすこのような修飾mRNAは、複数のヒト細胞型を再プログラミングする有効な手段であり得る。このような細胞は、誘導多能性幹細胞(iPSC)と称され、5−メチル−CTP、疑似−UTP、及び反逆方向キャップ類似体(ARCA)を組み込む酵素的に合成されたRNAが、細胞の抗ウイルス応答を効果的に回避するために使用され得ることが見出された;例えば、Warrenらの上記を参照のこと。
当該技術分野に記載されるポリヌクレオチドの他の修飾は、例えば、ポリA尾部の使用、5’キャップ類似体(m7G(5’)ppp(5’)G(mCAP)等)の添加、5’もしくは3’非翻訳領域(UTR)の修飾、または5’末端ホスフェートを除去するためにホスファターゼによる治療を含み、新しいアプローチは、定期的に開発されている。
本明細書での使用のための修飾RNAの生成に適用可能ないくつかの組成物及び技法は、小干渉RNA(siRNA)を含む、RNA干渉(RNAi)の修飾に関連して開発されている。siRNAは、mRNA干渉を介して遺伝子サイレンシングにおけるそれらの効果が、概して、一過性であり、反復投与を必要とすることができるため、インビボで特定の課題を示す。さらに、siRNAは、二本鎖RNA(dsRNA)であり、哺乳動物細胞は、しばしば、ウイルス感染の副生成物である、dsRNAを検出及び中和するように発生する免疫応答を有する。したがって、PKR(dsRNA応答性キナーゼ)等の哺乳動物酵素、及びdsRNAへの細胞応答を媒介し得る、潜在的にレチノイン酸誘導性遺伝子I(RIG−I)、ならびにこのような分子に応答してサイトカインの誘導を引き起し得るトール様受容体(例えば、TLR3、TLR7、及びTLR8)が存在する;例えば、Angart et al.,Pharmaceuticals(Basel)6(4):440−468(2013)、Kanasty et al.,Molecular Therapy 20(3):513−524(2012)、Burnett et al.,Biotechnol J.6(9):1130−46(2011)、Judge and MacLachlan,Hum Gene Ther 19(2):111−24(2008)による概説、及びそこに言及された参照文献を参照のこと。
多種多様の修飾は、RNAの安定性を増強する、先天性免疫応答を低減する、及び/または本明細書に記載されるヒト細胞へのポリヌクレオチドの導入に関連して有用であり得る他の利益を達成するために開発され、適用されている;例えば、Whitehead KA et al.,Annual Review of Chemical and Biomolecular Engineering,2:77−96(2011)、Gaglione and Messere,Mini Rev Med Chem,10(7):578−95(2010)、Chernolovskaya et al,Curr Opin Mol Ther.,12(2):158−67(2010)、Deleavey et al.,Curr Protoc Nucleic Acid Chem Chapter 16:Unit 16.3(2009)、Behlke,Oligonucleotides 18(4):305−19(2008)、Fucini et al.,Nucleic Acid Ther 22(3):205−210(2012)、Bremsen et al.,Front Genet 3:154(2012)による概説を参照のこと。
上述のように、修飾RNAの多くの商業的供給業者が存在し、これらの多くは、siRNAの有効性を改善するように設計される修正を特殊化する。様々なアプローチは、文献において報告される様々な所見に基づいて提供される。例えば、Dharmaconは、Kole,Nature Reviews Drug Discovery 11:125−140(2012)によって報告されるように、硫黄(ホスホロチオエート、PS)による非架橋酸素の置換が、siRNAのヌクレアーゼ耐性を改善するために広範囲に使用されていることに留意する。リボーゼの2’位の修飾は、ヌクレオチド間リン酸結合のヌクレアーゼ耐性を改善するが、二重鎖の安定性(Tm)を増加させることが報告されており、これはまた、免疫活性化からの保護を提供することも示されている。中程度のPS骨格修飾と小さい、良好な耐容性を示す2’−置換(2’−O−メチル、2’−フルオロ、2’−ヒドロ)との組み合わせは、Soutschek et al.Nature 432:173−178(2004)によって報告されるように、インビボでの適用のために高度に安定したsiRNAと関連しており、2’−O−メチル修飾は、Volkov,Oligonucleotides 19:191−202(2009)によって報告されるように、安定性を改善するのに有効であることが報告されている。先天性免疫応答の誘導を低減させることに対して、2’−O−メチル、2’−フルオロ、2’−ヒドロを有する特定の配列の修飾は、TLR7/TLR8の相互作用を低減させるが、概して、サイレンシング活性を維持することが報告されており、例えば、Judge et al.,Mol.Ther.13:494−505(2006)及びCekaite et al.,J.Mol.Biol.365:90−108(2007)を参照のこと。2−チオウラシル、疑似ウラシル、5−メチルシトシン、5−メチルウラシル、及びN6−メチルアデノシン等のさらなる修飾はまた、TLR3、TLR7、及びTLR8によって媒介される免疫効果を最小限に抑えることも示されている;例えば、Kariko,K.et al.,Immunity 23:165−175(2005)を参照のこと。
また、当該技術分野でも既知であり、商業的に利用可能であるように、いくつかのコンジュゲートは、例えば、コレステロール、トコフェロール、及び葉酸、脂質、ペプチド、ポリマー、リンカー、及びアプタマーを含む、それらの送達を増強、及び/または細胞による取り込むことができる、本明細書で使用するために、RNA等のポリヌクレオチドに適用することができる;例えば、Winkler,Ther.Deliv.4:791−809(2013)、及びそこに言及される参照文献を参照のこと。
コドン最適化
いくつかの実施形態では、部位特異的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、対象となる標的DNAを含有する細胞中の発現のために当該技術分野で標準的な方法に従ってコドン最適化される。例えば、意図された標的核酸がヒト細胞内にある場合、Cas9をコードするヒトコドン最適化ポリヌクレオチドは、Cas9ポリペプチドを生成するための使用に企図される。
ゲノム標的核酸及び部位特異的ポリペプチドの複合体
ゲノム標的核酸は、部位特異的ポリペプチド(例えば、Cas9等の核酸誘導ヌクレアーゼ)と相互作用し、それによって、複合体を形成する。ゲノム標的核酸は、部位特異的ポリペプチドを標的核酸に誘導する。
RNP
上述のように、部位特異的ポリペプチド及びゲノム標的核酸は、それぞれ、細胞または患者に別々に投与され得る。一方、部位特異的ポリペプチドは、1つ以上のガイドRNA、またはtracrRNAと一緒に1つ以上のcrRNAと事前に複合体形成され得る。次いで、事前に複合体形成された材料は、細胞または患者に投与され得る。このような事前に複合体形成された材料は、リボヌクレオタンパク質粒子(RNP)として既知である。
核酸コードシステム構成成分
別の態様では、本開示は、本開示のゲノムを標的化する核酸をコードするヌクレオチド配列を含む核酸、本開示の部位特異的ポリペプチド、及び/または本開示の方法の実施形態を実施するために必要な任意の核酸もしくはタンパク性分子を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示のゲノムを標的化する核酸をコードするヌクレオチド配列を含む核酸、本開示の部位特異的ポリペプチド、及び/または本開示の方法の実施形態を実施するために必要な任意の核酸もしくはタンパク性分子は、ベクター(例えば、組換え発現ベクター)を含む。
「ベクター」という用語は、連結している別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。ベクターの1つの型は、「プラスミド」であり、これは、さらなる核酸セグメントをライゲーションすることができる円形二本鎖DNAループを指す。ベクターの別の型は、ウイルスベクターであり、さらなる核酸セグメントをウイルスゲノムにライゲーションすることができる。ある特定のベクターは、導入された宿主細胞中での自己複製が可能である(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞へ導入して宿主細胞のゲノムに統合され、それによって宿主ゲノムとともに複製される。
いくつかの実施形態では、ベクターは、作動可能に連結される核酸の発現を指向することができる。このようなベクターは、同等機能に役立つ、「組換え発現ベクター」または単に「発現ベクター」と本明細書で称される。
「作動可能に連結される」という用語は、対象となるヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列の発現を可能にする様式で調節配列(複数可)に連結されていることを意味する。「調節配列」という用語は、例えば、プロモーター、エンハンサー、及び他の発現制御要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことが意図される。このような調節配列は、当該技術分野で既知であり、例えば、Goeddel;Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CA(1990)において記載されている。調節配列は、多くの種類の宿主細胞中のヌクレオチド配列の構造的発現を配向するもの、及びある特定の宿主細胞中のヌクレオチド配列のみの発現を配向するもの(例えば、組織特異的配列)を含む。発現ベクターの設計が、標的細胞の選択、所望の発現のレベル等としてこのような因子に応じて異なり得ることが、当業者には理解されよう。
企図される発現ベクターとしては、ワクシニアウイルス、ポリオウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、SV40、単純ヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルスに基づいたウイルスベクター、レトロウイルス(例えば、マウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、ならびにレトロウイルス(ラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、レンチウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、及び乳腺腫瘍ウイルス等に由来するベクター)に基づいたウイルスベクター、ならびに他の組換えベクターが挙げられるが、これらに限定されない。真核生物標的細胞について企図される他のベクターとしては、ベクターpXT1、pSG5、pSVK3、pBPV、pMSG、及びpSVLSV40(Pharmacia)が挙げられるが、これらに限定されない。他のベクターは、それらが宿主細胞に適合する限り、使用されてもよい。
いくつかの実施形態では、ベクターは、1つ以上の転写及び/または翻訳制御要素を含む。利用される宿主/ベクター系に応じて、構成的及び誘導性プロモーター、転写エンハンサー要素、転写ターミネータ等を含む、多くの好適な転写及び翻訳制御要素のうちのいずれかは、発現ベクターに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、ベクターは、ウイルス配列またはCRISPR機構の構成成分または他の要素のいずれかを不活性化する自己不活性化ベクターである。
好適な真核生物プロモーター(すなわち、真核生物細胞中で機能的なプロモーター)には、サイトメガロウイルス(CMV)即初期、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼ、初期及び後期SV40、レトロウイルスからの長末端反復(LTR)、ヒト伸長因子−1プロモーター(EF1)からのもの、ニワトリβ−アクチンプロモーター(CAG)、マウス幹細胞ウイルスプロモーター(MSCV)、ホスホグリセリン酸キナーゼ−1遺伝子座プロモーター(PGK)、及びマウスメタロチオネイン−Iと融合されるサイトメガロウイルス(CMV)エンハンサーを含むハイブリッド構築体が含まれる。
CasまたはCpf1エンドヌクレアーゼに関連して使用されるガイドRNAを含む、小RNAを発現するために、例えば、U6及びH1を含む、RNAポリメラーゼIIIプロモーター等の様々なプロモーターは、有利であり得る。このようなプロモーターの使い方をより向上させるための説明及びパラメーターは、当該技術分野で既知であり、さらなる情報及びアプローチは、定期的に説明されている;例えば、Ma,H.et al.,Molecular Therapy−Nucleic Acids 3,e161(2014)doi:10.1038/mtna.2014.12を参照のこと。
発現ベクターはまた、翻訳開始及び転写ターミネータのためのリボソーム結合部位も含有し得る。発現ベクターはまた、発現を増幅するために適切な配列を含み得る。発現ベクターはまた、部位特異的ポリペプチドと融合し、そのため、融合タンパク質をもたらす、非天然タグ(例えば、ヒスチジンタグ、血球凝集素タグ、緑色蛍光タンパク質等)をコードするヌクレオチド配列も含み得る。
いくつかの実施形態では、プロモーターは、誘導性プロモーター(例えば、熱ショックプロモーター、テトラサイクリン調節プロモーター、ステロイド調節プロモーター、金属調節プロモーター、エストロゲン受容体調節プロモーター等)である。いくつかの実施形態では、プロモーターは、構成的プロモーター(例えば、CMVプロモーター、UBCプロモーター)である。いくつかの実施形態では、プロモーターは、空間的に限定された及び/または時間的に制限されたプロモーター(例えば、組織特異的プロモーター、細胞型特異的プロモーター等)である。
いくつかの実施形態では、本開示のゲノム標的核酸及び/または部位特異的ポリペプチドをコードする核酸は、細胞への送達のための送達ビヒクルの中または表面上にパッケージ化される。企図される送達ビヒクルとしては、ナノスフェア、リポソーム、量子ドット、ナノ粒子、ポリエチレングリコール粒子、ヒドロゲル、及びミセルが挙げられるが、これらに限定されない。当該技術分野で説明されるように、様々な標的部分は、所望の細胞型または場所とのこのようなビヒクルの優先的相互作用を増強するために使用することができる。
細胞への本開示の複合体、ポリペプチド、及び核酸の導入は、ウイルスもしくはバクテリオファージ感染、トランスフェクション、コンジュゲーション、プロトプラスト融合、リポフェクション、エレクトロポレーション、ヌクレオフェシン、リン酸カルシウム沈澱、ポリエチレンイミン(PEI)媒介性トランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介性トランスフェクション、リポソーム媒介性トランスフェクション、粒子銃技術、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロ注入、ナノ粒子媒介性核酸送達等により起こり得る。
送達
ガイドRNAポリヌクレオチド(RNAもしくはDNA)及び/またはエンドヌクレアーゼポリヌクレオチド(複数可)(RNAもしくはDNA)は、当該技術分野で既知であるウイルスまたは非ウイルス送達ビヒクルによって送達され得る。あるいは、エンドヌクレアーゼポリペプチド(複数可)は、電気穿孔法または脂質ナノ粒子等の当該技術分野で既知の非ウイルス送達ビヒクルによって送達され得る。さらなる代替の実施形態では、DNAエンドヌクレアーゼは、1つ以上のポリペプチドと送達され、単独で、または1つ以上のガイドRNAもしくはtracrRNAと一緒に1つ以上のcrRNAと事前に複合体形成され得る。
ポリヌクレオチドは、ナノ粒子、リポソーム、リボヌクレオタンパク質、正電荷ペプチド、小分子RNAコンジュゲート、アプタマー−RNAキメラ、及びRNA融合タンパク質複合体が挙げられるが、これらに限定されない、非ウイルス送達ビヒクルによって送達され得る。いくつかの例示的な非ウイルス送達ビヒクルは、Peer and Lieberman,Gene Therapy,18:1127−1133(2011)(他のポリヌクレオチドの送達にも有用なsiRNAのための非ウイルス送達ビヒクルに焦点を当てている)において説明されている。
ガイドRNA、sgRNA、及びエンドヌクレアーゼをコードするmRNAは、脂質ナノ粒子(LNP)によって、細胞または患者に送達され得る。
LNPとは、1000nm未満、500nm、250nm、200nm、150nm、100nm、75nm、50nm、または25nmの直径を有する任意の粒子を指す。あるいは、ナノ粒子は、1〜1000nm、1〜500nm、1〜250nm、25〜200nm、25〜100nm、35〜75nm、または25〜60nmのサイズの範囲であり得る。
LNPは、陽イオン性、陰イオン性、または中性脂質から作製され得る。融合リン脂質DOPEまたは膜構成成分コレステロール等の中性脂質は、トランスフェクション活性及びナノ粒子安定性を増強するための「ヘルパー脂質」としてLNP中に含まれ得る。陽イオン性脂質の制限には、低い安定性及び迅速なクリアランス、ならびに炎症性または抗炎症応答の生成による低い有効性が含まれる。
LNPはまた、疎水性脂質、親水性脂質、または疎水性脂質及び親水性脂質の両方からなり得る。
当該技術分野で既知である脂質の任意の脂質またはその組み合わせは、LNPを生成するために使用され得る。LNPを生成するために使用される脂質の例は、DOTMA、DOSPA、DOTAP、DMRIE、DC−コレステロール、DOTAP−コレステロール、GAP−DMORIE−DPyPE、及びGL67A−DOPE−DMPE−ポリエチレングリコール(PEG)である。陽イオン性脂質の例は、98N12−5、C12−200、DLin−KC2−DMA(KC2)、DLin−MC3−DMA(MC3)、XTC、MD1、及び7C1である。中性脂質の例は、DPSC、DPPC、POPC、DOPE、及びSMである。PEG修飾脂質の例は、PEG−DMG、PEG−CerC14、及びPEG−CerC20である。
脂質は、LNPを生成するために、任意の数のモル比で組み合わされてもよい。加えて、ポリヌクレオチド(複数可)は、LNPを生成するために、広範囲のモル比で脂質(複数可)と組み合わせてもよい。
上述のように、部位特異的ポリペプチド及びゲノム標的核酸は、それぞれ、細胞または患者に別々に投与され得る。一方、部位特異的ポリペプチドは、1つ以上のガイドRNA、またはtracrRNAと一緒に1つ以上のcrRNAと事前に複合体形成され得る。次いで、事前に複合体形成された材料は、細胞または患者に投与され得る。このような事前に複合体形成された材料は、リボヌクレオタンパク質粒子(RNP)として既知である。
RNAは、RNAまたはDNAとの特異的相互作用を形成することができる。この特性が、多くの生物学的プロセスにおいて利用されているが、核酸リッチな細胞環境における乱雑な相互作用の危険性も伴う。この問題に対する1つの解決策は、リボヌクレオタンパク質粒子(RNP)の形成であり、RNAは、エンドヌクレアーゼと事前に複合体形成される。RNPの別の利点は、分解からのRNAの保護である。
RNP中のエンドヌクレアーゼは、修飾または未修飾であり得る。同様に、gRNA、crRNA、tracrRNA、またはsgRNAは、修飾または未修飾であり得る。多くの修飾は、当該技術分野で既知であり、使用され得る。
エンドヌクレアーゼ及びsgRNAは、概して、1:1のモル比で組み合わせられ得る。あるいは、エンドヌクレアーゼ、crRNA、及びtracrRNAは、概して、1:1:1のモル比で組み合わせられ得る。しかしながら、広範囲のモル比は、RNPを生成するために使用され得る。
ウイルスベクターは、アデノウイルス、HPV、HSV、レンチウイルス、または他のウイルスベクター等の送達のために使用され得る。
組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、送達のために使用され得る。rAAV粒子を生成するための技術、rep及びキャップ遺伝子を送達されるポリヌクレオチドを含むパッケージ化されたAAVゲノム、ならびにヘルパーウイルス機能は、当該技術分野で標準である細胞に提供される。rAAVの生成は、rAAVゲノム、rAAVゲノムから分離する(すなわち、その中にはない)AAV rep及びキャップ遺伝子の構成成分、及びヘルパーウイルス機能が単一細胞(本明細書においてパッケージング細胞として示される)内に存在することを必要とする。AAV rep及びキャップ遺伝子は、任意のAAV血清型からのものであり得、組換えウイルスは、誘導され得、AAV血清型AAV−1、AAV−2、AAV−3、AAV−4、AAV−5、AAV−6、AAV−7、AAV−8、AAV−9、AAV−10、AAV−11、AAV−12、AAV−13、及びAAV rh.74が挙げられるが、これらに限定されない、rAAVゲノムITRとは異なるAAV血清型からのものであり得る。偽型rAAVの生成は、例えば、国際特許出願第WO01/83692号に開示されている。表1を参照のこと。
パッケージング細胞を作製する方法は、AAV粒子生成のために必要な構成成分の全てを安定的に発現する細胞株を生成することを含む。例えば、AAV rep及びキャップ遺伝子を欠いているrAAVゲノムを含むプラスミド(または複数のプラスミド)、rAAVゲノムから分離されるAAV rep及びキャップ遺伝子、及びネオマイシン耐性遺伝子等の選択可能なマーカーは、細胞のゲノムに統合される。AAVゲノムは、例えば、GCテーリング(Samulski et al.,1982,Proc.Natl.Acad.S6.USA,79:2077−2081)、制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含む合成リンカーの添加(Laughlin et al.,1983,Gene,23:65−73)、または直接平滑末端ライゲーション(Senapathy & Carter,1984,J.Biol.Chem.,259:4661−4666)によるような手法によって細菌プラスミドに導入されている。次いで、パッケージング細胞株は、アデノウイルス等のヘルパーウイルスに感染する。この方法の利点は、細胞が選択可能であり、rAAVの大規模生産に好適であることである。好適な方法の他の例は、パッケージング細胞に、rAAVゲノム及び/またはrep及びキャップ遺伝子を導入するために、プラスミドよりもアデノウイルスまたはバキュロウイルスを用いる。
rAAV生成の一般原理は、例えば、Carter,1992,Current Opinions in Biotechnology,1533−539、及びMuzyczka,1992,Curr.Topics in Microbial.and Immunol.,158:97−129)に概説されている。様々なアプローチは、Ratschin et al.,Mol.Cell.Biol.4:2072(1984)、Hermonat et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6466(1984)、Tratschin et al.,Mo1.Cell.Biol.5:3251(1985)、McLaughlin et al.,J.Virol.,62:1963(1988)、及びLebkowski et al.,1988 Mol.Cell.Biol.,7:349(1988).Samulski et al.(1989,J.Virol.,63:3822−3828)、米国特許第5,173,414号、WO95/13365、及び対応する米国特許第5,658.776号、WO95/13392、WO96/17947、PCT/US98/18600、WO97/09441(PCT/US96/14423)、WO97/08298(PCT/US96/13872)、WO97/21825(PCT/US96/20777)、WO97/06243(PCT/FR96/01064)、WO99/11764、Perrin et al.(1995) Vaccine 13:1244−1250、Paul et al.(1993) Human Gene Therapy 4:609−615、Clark et al.(1996)Gene Therapy 3:1124−1132、米国特許第5,786,211号、米国特許第5,871,982号、及び米国特許第6,258,595号において説明されている。
AAVベクター血清型は、細胞型を標的するように一致させ得る。例えば、以下の例示的な細胞型は、とりわけ、示されたAAV血清型によって形質導入され得る。表2を参照のこと。
アデノ随伴ウイルスベクターに加えて、他のウイルスベクターは、本発明の実践において使用され得る。このようなウイルスベクターとしては、レンチウイルス、アルファウイルス、エンテロウイルス、ペスチウイルス、バキュロウイルス、ヘルペスウイルス、エプスタインバーウイルス、パポーウイルス、ポックスウイルス、ワクシニアウイルス、及び単純ヘルペスウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、Cas9 mRNA、C9ORF72遺伝子中の1つまたは2つの遺伝子座を標的化するsgRNA、及びドナーDNAは、それぞれ、脂質ナノ粒子に別々に製剤化されるか、またはこれらは全て、1つの脂質ナノ粒子中に共製剤化されるか、または2つ以上の脂質ナノ粒子中に共製剤化される。
いくつかの実施形態では、Cas9 mRNAは、脂質ナノ粒子中に製剤化されるが、sgRNA及びドナーDNAは、AAVベクターに送達される。いくつかの実施形態では、Cas9 mRNA及びsgRNAは、脂質ナノ粒子中に共製剤化されるが、ドナーDNAは、AAVベクターに送達される。
選択肢は、DNAプラスミドとして、mRNAとして、またはタンパク質として、Cas9ヌクレアーゼを送達するために利用可能である。ガイドRNAは、同じDNAから発現され得るか、またはRNAとしてまた送達され得る。RNAは、その半減期を改変または改善する、または免疫応答の可能性もしくは程度を低減するように化学的に修飾され得る。エンドヌクレアーゼタンパク質は、送達前にgRNAと複合体形成され得る。ウイルスベクターは、効率的な送達を可能にし、Cas9のスプリットバージョン及びCas9のより小さいオルソログは、HDRにおいてドナーがパッケージ化され得るように、AAVにおいてパッケージ化され得る。これらの構成成分のそれぞれが送達することができる、様々な範囲の非ウイルス送達方法が存在するか、または非ウイルス及びウイルス方法が、タンデムで用いられ得る。例えば、ナノ粒子は、タンパク質及びガイドRNAを送達するために使用することができるが、AAVは、ドナーDNAを送達するために使用することができる。
遺伝的に修飾された細胞
「遺伝的に修飾された細胞」という用語は、ゲノム編集(例えば、CRISPR/Cas9/Cpf1系を用いて)によって導入される少なくとも1つの遺伝的修飾を含む細胞を指す。本明細書のいくつかのエクスビボ実施形態では、遺伝的に修飾された細胞は、遺伝的に修飾された前駆細胞である。本明細書のいくつかのインビボ実施形態では、遺伝的に修飾された細胞は、遺伝的に修飾された神経系細胞である。外因性ゲノム標的核酸及び/またはゲノム標的核酸をコードする外因性核酸を含む遺伝的に修飾された細胞が、本明細書において企図される。
「対照処理集団」という用語は、ゲノム編集の構成成分の添加を除いて、同一の培地、ウイルス誘導、核酸配列、温度、密集度、フラスコのサイズ、pH等で処理された細胞の集団を説明している。例えば、ノーザンブロット分析、またはC9ORF72 mRNAを定量化するための、当該技術分野で既知である任意の方法は、C9ORF72遺伝子中のヘキサヌクレオチド反復の長さを測定するために使用することができる。
「単離細胞」という用語は、最初に見出された生物、またはこのような細胞の子孫から除去された細胞を指す。任意に、細胞は、例えば、定義された条件下、または他の細胞の存在下で、インビトロで培養されている。任意に、細胞は、後で、第2の生物に導入されるか、またはそれ(または子孫である細胞)を単離した生物に再導入される。
細胞の単離集団に対して「単離集団」という用語は、細胞の混合または異種集団から除去及び分離された細胞集団を指す。いくつかの実施形態では、単離集団は、細胞が単離または濃縮された異種集団と比較して、実質的に純粋な細胞集団である。いくつかの実施形態では、単離集団は、ヒト前駆細胞、及びヒト前駆細胞を由来した細胞を含む異種細胞集団と比較して、ヒト前駆細胞の単離集団、例えば、実質的に純粋なヒト前駆細胞の集団である。
特定の細胞集団に対して「実質的に増強された」という用語は、特定の細胞型の発生が、事前または参照レベルと比較して、例えば、ALS及び/またはFTLDを改善するためにこのような細胞の所望のレベルに応じて、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも400倍、少なくとも1000倍、少なくとも5000倍、少なくとも20000倍、少なくとも100000倍もしくはそれ以上増加する、細胞集団を指す。
特定の細胞集団に対して「実質的に濃縮された」という用語は、全細胞集団を構成する細胞に対して少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%またはそれ以上である細胞集団を指す。
特定の細胞集団に対して「実質的に濃縮された」または「実質的に純粋な」という用語は、全細胞集団を構成する細胞に対して少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%純粋である細胞集団を指す。つまり、前駆細胞集団に対して「実質的に純粋な」または「実質的に精製された」という用語は、本明細書において用語によって定義されるように、前駆細胞ではない細胞の約20%未満、約15%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1%、または1%未満含有する細胞集団を指す。
造血前駆細胞、神経前駆細胞、または神経系細胞への、ゲノム編集したiPSCの分化
本発明のエクスビボ方法の別のステップは、造血前駆細胞、神経前駆細胞、または神経系細胞に、ゲノム編集されたiPSCを分化させることを含む。分化させるステップは、当該技術分野で既知の任意の方法に従って実施され得る。例えば、iPSCは、小分子の組み合わせを用いて、またはBrn2、ASCL1、MYT1L、Sox2、及びFoxa2、Hes1、Hes3、Klf4、Myc、Notch1、(NICD)、PLAGL1、及びRfx4等であるが、これらに限定されない、マスター転写因子の送達によってニューロンに分化させる。iPSCは、βIII−チューブリン、チロシン、ヒドロキシラーゼ、AADC、DAT、ChAT、LMX1B、及びMAP2を発現する、ニューロンに分化させ得る。カテコールアミン関連酵素の存在は、iPSCが、hESCのように、ドーパミンニューロンに分化させ得ることを示し得る。
造血前駆細胞、神経前駆細胞、または神経系細胞への、ゲノム編集された間葉幹細胞の分化
本発明のエクスビボ方法の別のステップは、神経系細胞に、ゲノム編集された間葉幹細胞を分化させることを含む。分化させるステップは、当該技術分野で既知の任意の方法に従って実施され得る。例えば、間葉幹細胞は、小分子の組み合わせを用いて、またはBrn2、ASCL1、MYT1L、Sox2、及びFoxa2、Hes1、Hes3、Klf4、Myc、Notch1、(NICD)、PLAGL1、及びRfx4等であるが、これらに限定されない、マスター転写因子の送達によってニューロンに分化させる。間葉幹細胞は、βIII−チューブリン、チロシン、ヒドロキシラーゼ、AADC、DAT、ChAT、LMX1B、及びMAP2を発現する、ニューロンに分化させ得る。カテコールアミン関連酵素の存在は、間葉幹細胞が、hESCのように、ドーパミンニューロンに分化させ得ることを示し得る。
細胞を、患者に移植すること
本発明のエクスビボ方法の別のステップは、細胞を、患者に移植することを含む。この移植するステップは、当該技術分野で既知の任意の移植方法を用いて達成され得る。例えば、遺伝的に修飾された細胞は、患者の中枢神経系に直接注射され得るか、またはそうでなければ患者に投与され得る。遺伝的に修飾された細胞は、選択されたマーカーを用いてエクスビボで精製され得る。
薬学的に許容される担体
本明細書で企図される対象への前駆細胞を投与するエクスビボ方法は、前駆細胞を含む治療組成物の使用を含む。
治療組成物は、細胞組成物、及び任意に本明細書に記載される少なくとも1つのさらなる生物活性剤と一緒に生理学的に許容される担体を含有し、活性成分としてそこに分解または分散される。いくつかの実施形態では、治療組成物は、所望でない限り、治療目的のために哺乳動物またはヒト患者に投与される場合に、実質的に免疫原性ではない。
概して、本明細書に記載される前駆細胞は、懸濁液として薬学的に許容される担体とともに投与される。当業者は、細胞組成物で使用される薬学的に許容される担体が、対象に送達される細胞の生存率と実質的に干渉する量で、緩衝液、化合物、低温保存剤、保存剤、または他の薬剤を含まないことを認識するであろう。細胞を含む製剤は、例えば、細胞膜の完全性を維持することができる浸透緩衝液、及び任意に細胞の生存を維持するか、または投与時に生着を増強するための栄養物を含み得る。このような製剤及び懸濁液は、当業者に既知であり、及び/または日常の実験を用いて、本明細書に記載される前駆細胞とともに用いるために適合され得る。
細胞組成物はまた、リポソーム組成物として乳化または提示され得るが、但し、乳化手順が細胞生存に悪影響を及ぼさないものとする。細胞及び任意の他の活性成分は、本明細書に記載される治療方法で用いるのに好適な量で、薬学的に許容される賦形剤と混合し、活性成分と適合し得る。
細胞組成物中に含まれるさらなる薬剤は、その中に構成成分の薬学的に許容される塩を含み得る。薬学的に許容される塩は、例えば、塩酸またはリン酸のような無機酸、または酢酸、酒石酸、マンデル酸等の有機酸で形成される酸付加塩(ポリペプチドの遊離アミノ基で形成される)を含む。遊離カルボキシル基で形成された塩はまた、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化鉄のような無機塩基、及びイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、エタノール、ヒスチジン、プロカイン等のような有機塩基に由来し得る。
生理学的に許容される担体は、当該技術分野で公知である。例示的な液体担体は、活性成分及び水以外のいかなる材料も含有しないか、または緩衝液、例えば、生理学的pH値のリン酸ナトリウム、生理食塩水またはその両方、例えば、リン酸緩衝生理食塩水を含有する滅菌水溶液である。さらになお、水性担体は、1つを超える緩衝塩、ならびに塩、例えば、塩化ナトリウム及び塩化カリウム、デキストロース、ポリエチレングリコール、及び他の溶質を含有し得る。液体組成物はまた、水に加えて及び水を除いて液相を含有し得る。このようなさらなる液体相の例は、グリセリン、植物油、例えば、綿実油、及び水−油エマルジョンである。特定の疾患または病態の治療に有効である細胞組成物で使用される活性化合物の量は、疾患または病態の性質に応じて異なり、標準的な臨床技法によって決定され得る。
投与及び有効性
「投与すること」、「導入すること」、及び「移植すること」という用語は、所望の効果(複数可)が生成されるように、所望の部位、例えば、損傷または修復の部位で導入された細胞の少なくとも部分的な局在化をもたらす方法または経路によって、対象への、細胞、例えば、前駆細胞の置換の文脈において同義に使用される。細胞、例えば、前駆細胞、またはそれらの分化した子孫は、移植された細胞または細胞の構成成分の少なくとも一部が生存する対象における所望の位置への送達をもたらす任意の適切な経路によって投与され得る。対象への投与後の細胞の生存期間は、短くて数時間、例えば、24時間から数日、長くて数年、またはさらには患者の一生涯、すなわち長期にわたる生着であり得る。例えば、本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、有効量の筋原性前駆細胞は、投与の全身経路、例えば、腹腔内または静脈内経路を介して投与される。
「個人」、「対象」、「宿主」、及び「患者」という用語は、本明細書において同義に使用され、診断、治療、または療法が所望である任意の対象を指す。いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
予防的に提供される場合、本明細書に記載される前駆細胞は、ALS及び/またはFTLDの任意の症状より前、例えば、認知症の発症、歩行困難、脚の衰弱、手の衰弱、不器用、不明瞭な発語、嚥下困難、筋けいれん、脚もしくは肩もしくは舌の単収縮、頭を持ち上げるまたは良い姿勢を保つことが困難になる前に、対象に投与され得る。したがって、神経前駆細胞集団の予防的投与は、ALS及び/またはFTLDを予防するのに役立つ。
治療的に提供される場合、神経前駆細胞は、ALS及び/またはFTLDの症状または兆候の発症時(または後)に、例えば、疾患の発症時に提供される。
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法に従って投与される神経前駆細胞集団は、1つ以上のドナーから得られた同種神経前駆細胞を含む。「同種」とは、1つ以上の遺伝子座の遺伝子が同一でない場合に、同じ種の1つ以上の異なるドナーから得られた神経前駆細胞を含む神経前駆細胞または生物学的試料を指す。例えば、対象に投与される神経前駆細胞集団は、1つ以上の別個のドナー対象、または1つ以上の非同一の同胞種に由来し得る。いくつかの実施形態では、遺伝学的に同一の動物、または一卵性双生児から得られたもの等の同系神経前駆細胞集団が、使用することができる。他の実施形態では、神経前駆細胞は、自己細胞である;つまり、神経前駆細胞は、対象から得られるかまたは単離され、同じ対象(すなわち、ドナー及び受容者が同じである)に投与される。
一実施形態では、「有効量」という用語は、ALS及び/またはFTLDの少なくとも1つ以上の兆候または症状を予防または軽減するために必要とされる前駆細胞またはそれらの子孫の集団の量を指し、例えば、ALS及び/またはFTLDを有する対象を治療するために、所望の効果を提供するための十分な量の組成物に関する。したがって、「治療有効量」という用語は、ALS及び/またはFTLDを有するまたはその危険性がある者等の典型的な対象に投与される場合に、特定の効果を促進するのに十分である、前駆細胞、または前駆細胞を含む組成物の量を指す。有効量はまた、疾患の症状の発症を防止または遅延させる、疾患の症状の経過を変化させる(例えば、疾患の症状の進行を遅らせることであるが、これに限定されない)、または疾患の症状を逆転させるのに十分な量を含み得る。任意の所与の場合において、適切な「有効量」は、日常の実験を用いて当業者によって決定され得ることが理解されよう。
本明細書に記載される様々な実施形態で用いるための、前駆細胞の有効量は、少なくとも102個の前駆細胞、少なくとも5×102個の前駆細胞、少なくとも103個の前駆細胞、少なくとも5×103個の前駆細胞、少なくとも104個の前駆細胞、少なくとも5×104個の前駆細胞、少なくとも105個の前駆細胞、少なくとも2×105個の前駆細胞、少なくとも3×105個の前駆細胞、少なくとも4×105個の前駆細胞、少なくとも5×105個の前駆細胞、少なくとも6×105個の前駆細胞、少なくとも7×105個の前駆細胞、少なくとも8×105個の前駆細胞、少なくとも9×105個の前駆細胞、少なくとも1×106個の前駆細胞、少なくとも2×106個の前駆細胞、少なくとも3×106個の前駆細胞、少なくとも4×106個の前駆細胞、少なくとも5×106個の前駆細胞、少なくとも6×106個の前駆細胞、少なくとも7×106個の前駆細胞、少なくとも8×106個の前駆細胞、少なくとも9×106個の前駆細胞、またはこれらの倍数を含む。前駆細胞は、1つ以上のドナーから得られるか、または自家源から得られる。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、前駆細胞は、それを必要とする対象への投与前に、培地中で拡大させる。
ALS及び/またはFTLDを有する患者の細胞中のC9ORF72遺伝子における拡大したヘキサヌクレオチド反復の低減は、疾患の1つ以上の症状を改善するため、長期生存を増加させるため、及び/または他の治療に関連する副作用を低減するために有益であり得る。ヒト患者へのこのような細胞の投与時に、野生型または同様のレベルのヘキサヌクレオチド反復を有する神経前駆細胞の存在は有益である。いくつかの実施形態では、対象の効果的な治療は、治療を受けた対象における全ヘキサヌクレオチド反復と比較して、少なくとも約3%、5%、または7%の野生型または同様のレベルを引き起こす。いくつかの実施形態では、野生型または同様のレベルは、全ヘキサヌクレオチド反復の少なくとも約10%であろう。いくつかの実施形態では、野生型または同様のレベルは、全ヘキサヌクレオチド反復の少なくとも約20%〜30%であろう。同様に、野生型レベルのヘキサヌクレオチド反復を有する、より比較的に制限された細胞の導入は、場合によっては、正規化細胞が、罹患細胞と比較して選択的優位性を有するため、様々な患者において有益であり得る。しかしながら、野生型または同様のレベルのヘキサヌクレオチド反復を有する、さらに適度なレベルの神経前駆細胞は、患者におけるALS及び/またはFTLDの1つ以上の態様を改善するために有益であり得る。いくつかの実施形態では、このような細胞が投与される患者における、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%もしくはそれ以上の神経前駆細胞は、野生型または同様のレベルのヘキサヌクレオチド反復を生成している。
「投与された」とは、所望の部位で細胞組成物の少なくとも部分的局在化をもたらす方法または経路によって、対象への前駆細胞組成物の送達を指す。細胞組成物は、対象における効果的な治療をもたらす任意の適切な経路によって投与され得、すなわち、組成物の少なくとも一部が送達される、すなわち、少なくとも1×104個の細胞が、一定期間中所望の部位に送達される場合に、投与は、対象における所望の場所への送達をもたらす。投与モードは、注射、注入、点滴注入、または摂取を含む。「注射」には、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、脳室内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、硬膜外、及び胸骨下注射及び注入が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、この経路は、静脈内である。細胞の送達のために、注射または注入による投与が、一般的に好ましい。
一実施形態では、細胞は、全身投与される。「全身投与」、「全身に投与される」、「末梢投与」、及び「末梢に投与される」という語句は、標的部位、組織、または器官への直接的投与以外の、前駆細胞の集団がその代わりに対象の循環系に入り、それにより、代謝及び他の同様のプロセスに供されるように、前駆細胞の集団の投与を指す。
ALS及び/またはFTLDの治療のための組成物を含む治療の有効性は、当業者によって決定され得る。しかしながら、治療は、ヘキサヌクレオチド反復の兆候または症状のうちの任意の1つまたはその全て、一例としてそのレベルが、有益な様式で改変される(例えば、少なくとも10%増加する)、または疾患の他の臨床的に認められた症状またはマーカーが、改善または緩和される場合、「効果的な治療」と見なされている。有効性はまた、個人が、入院または医学的介入(例えば、慢性閉鎖性肺疾患、または疾患の進行が、停止されるか、または少なくとも遅延させる)の必要性によって評価されるように悪化させないことによって測定され得る。これらの指標を測定する方法は、当業者に既知であり、かつ/または本明細書に記載されている。治療は、個体または動物(いくつかの非限定的な例には、ヒトまたは哺乳動物が含まれる)における疾患の任意の治療を含み、(1)疾患を阻害すること、例えば、症状の進行を停止するまたは遅延させること、または(2)疾患を緩和させること、例えば、症状の退縮を生じること、及び(3)症状の発症を防ぐこと、またはその可能性を低減させることを含む。
本発明に従って治療は、個体におけるヘキサヌクレオチド反復の量を低減させることによって、ALS及び/またはFTLDと関連する1つ以上の症状を緩和する。典型的には、ALS及び/またはFTLDと関連する初期兆候は、例えば、認知症、歩行困難、脚の衰弱、手の衰弱、不器用、不明瞭な発語、嚥下困難、筋けいれん、脚もしくは肩もしくは舌の単収縮、頭を持ち上げるまたは良い姿勢を保つことが困難になることを含む。
キット
本開示は、本発明の方法を実行するためのキットを提供する。キットは、ゲノム標的核酸、ゲノム標的核酸をコードするポリヌクレオチド、部位特異的ポリペプチド、部位特異的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及び/または本発明の方法の実施形態、またはこれらの任意の組み合わせを実行するために必要な任意の核酸もしくはタンパク質性分子のうちの1つ以上を含み得る。
いくつかの実施形態では、キットは、(1)ゲノム標的核酸をコードするヌクレオチド配列を含むベクター、(2)部位特異的ポリペプチドもしくは部位特異的ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むベクター、ならびに(3)ベクター(複数可)及びもしくはポリペプチドの再構成及び/もしくは希釈のための試薬を含む。
いくつかの実施形態では、キットは、(1)(i)ゲノム標的核酸をコードするヌクレオチド配列と、(ii)部位特異的ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と、を含むベクター、ならびに(2)ベクターの再構成及び/もしくは希釈のための試薬を含む。
上記のキットのうちのいずれかのいくつかの実施形態では、キットは、単一分子ガイドゲノム標的核酸を含む。上記のキットのうちのいずれかのいくつかの実施形態では、キットは、二重分子ゲノム標的核酸を含む。上記のキットのうちのいずれかのいくつかの実施形態では、キットは、2つ以上の二重分子ガイドまたは単一分子ガイドを含む。いくつかの実施形態では、キットは、核酸標識核酸をコードするベクターを含む。
上記のキットのうちのいずれかのいくつかの実施形態では、キットは、所望の遺伝的修飾に影響を及ぼすように挿入されるポリヌクレオチドをさらに含み得る。
キットの構成成分は、別個の容器であり得るか、または単一の容器内に組み合わせられ得る。
いくつかの実施形態では、上述のキットは、1つ以上のさらなる試薬をさらに含み、このようなさらなる試薬は、緩衝液、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドを細胞に導入するための緩衝液、洗浄緩衝液、対照試薬、対照ベクター、対照RNAポリヌクレオチド、DNAからのポリペプチドのインビトロでの生成のために試薬、配列決定のためのアダプター等から選択される。緩衝液は、安定化緩衝液、再構成緩衝液、希釈緩衝液等であり得る。いくつかの実施形態では、キットはまた、エンドヌクレアーゼによってオンターゲット結合またはDNAの切断を促進するもしくは増強する、または標的化の特異性を改善させるために使用され得る1つ以上の構成成分も含むことができる。
上述の構成成分に加えて、キットは、方法を実行するためにキットの構成要素を使用するための指示をさらに含むことができる。方法を実行するための指示は、概して、好適な記録媒体に記録される。例えば、指示は、紙またはプラスチック等の基材上に印刷され得る。指示は、包装挿入物としてキットの中に、キットの容器もしくはその構成要素のラベル等の中に(すなわち、包装または分包に伴って)存在し得る。指示は、好適なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体、例えば、CD−ROM、ディスケット、フラッシュドライブ等に存在する電子記憶データファイルとして存在することができる。いくつかの場合において、実際の指示は、キット中に存在しないが、遠隔供給源から(例えば、インターネットを介して)指示を得るための手段が提供され得る。この実施態様の例は、指示が見られ得る、及び/またはそこから指示がダウンロードされ得るウェブアドレスを含むキットである。指示と同様に、指示を得るためのこの手段は、好適な基材に記録可能である。
ガイドRNA製剤
本発明のガイドRNAは、特定の投与モード及び剤形に応じて、薬学的に許容される賦形剤、例えば、担体、溶媒、安定化剤、アジュバント、希釈剤等で製剤化される。ガイドRNA組成物は、概して、生理学的に適合するpHを達成するように製剤化され、投与の製剤及び経路に応じて、約3のpH〜約11のpH、約pH3〜約pH7の範囲である。代替の実施形態では、pHは、約pH5.0〜約pH8の範囲に調整される。いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤とともに、治療上有効量の本明細書に記載される少なくとも1つの化合物を含む。任意に、組成物は、本明細書に記載される化合物の組み合わせを含むか、または細菌増殖の治療または予防に有用な第2の活性成分(例えば、抗バクテリア剤または抗菌剤であるが、これらに限定されない)を含み得るか、または本発明の試薬の組み合わせを含み得る。
好適な賦形剤には、例えば、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、アミノ酸ポリマー、アミノ酸コポリマー、及び不活性ウイルス粒子等の大きくて遅く代謝する巨大分子を含む、担体分子が含まれる。他の例示的な賦形剤には、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸であるが、これに限定されない)、キレート剤(例えば、EDTAであるが、これに限定されない)、炭水化物(例えば、デキストリン、ヒドロキシアルキルセルロース、及びヒドロキシアルキルメチルセルロースであるが、これらに限定されない)、ステアリン酸、液体(例えば、油、水、生理食塩水、グリセロール、及びエタノールであるが、これらに限定されない)、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質等が含まれる。
他の可能性のある治療的アプローチ
ゲノム編集は、特定の配列を標的化するように操作されたヌクレアーゼを用いて行われ得る。今まで、4つの主な種類のヌクレアーゼ:メガヌクレアーゼ及びそれらの誘導体、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、及びCRISPR−Cas9ヌクレアーゼ系がある。ヌクレアーゼプラットフォームは、特に、ZFN及びTALENの特異性がタンパク質−DNAの相互作用によるものであるが、RNA−DNA相互作用は、主に、Cas9を誘導するため、設計の難しさ、標的化密度、及び作用モードに応じて異なる。Cas9切断はまた、隣接モチーフ、異なるCRISPR系で異なる、PAMも必要とする。Streptococcus pyogenesからのCas9は、NRG PAMを用いて切断し、Neisseria meningitidisからのCRISPRは、NNNNGATT、NNNNNGTTT、及びNNNNGCTTを含む、PAMを有する部位で切断することができる。多くの他のCas9オルソログは、代替のPAMに隣接してプロトスペーサーを標的化する。
本発明の方法において、Cas9等のCRISPRエンドヌクレアーゼを使用することが、好ましい。しかしながら、治療標的部位等の本明細書に記載される教示は、エンドヌクレアーゼの他の形態、例えば、ZFN、TALEN、HE、またはMegaTALに、またはヌクレアーゼの組み合わせを用いて適用され得る。しかしながら、このようなエンドヌクレアーゼへの本発明の教示を適用するために、とりわけ、特異的標的部位に向けられるタンパク質を操作することが必要とされ得る。
さらなる結合ドメインは、特異性を増加させるために、Cas9タンパク質に融合され得る。これらの構築体の標的部位は、特定されたgRNA特異的部位にマッピングされ得るが、例えば、亜鉛フィンガードメインに対してさらなる結合モチーフを必要とし得る。Mega−TALの場合は、メガヌクレアーゼは、TALE DNA結合ドメインに融合され得る。メガヌクレアーゼドメインは、特異性を増加し、切断を提供し得る。同様に、不活性化または死滅Cas9(dCas9)は、切断ドメインに融合され、sgRNA/Cas9標的部位及び融合されたDNA結合ドメインに対する隣接結合部位を必要とし得る。これは、さらなる結合部位のない結合を減少させるために、触媒不活性化に加えて、dCas9のいくつかのタンパク質操作を必要とし得る可能性が高い。
亜鉛フィンガーヌクレアーゼ
亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、II型エンドヌクレアーゼFokIの触媒ドメインに連結された操作された亜鉛フィンガーDNA結合ドメインからなる分子タンパク質である。FokIが二量体としてのみ機能するため、一対のZFNは、反対のDNA鎖上の、触媒的に活性なFokI二量体を形成することができるようにそれらの間で正確な間隔を有する、同種の標的「半減期」配列に結合するために操作されなければならない。それ自体が本来配列特異性を有しない、FokIドメインの二量化時に、DNA二本鎖切断が、ゲノム編集における開始ステップとしてZFNハーフ部位間で生成される。
第4のヌクレオチドとの交差鎖相互作用も重要であり得るが、各ZFNのDNA結合ドメインは、典型的には、十分なCys2−His2アーキテクチャの3〜6の亜鉛フィンガーからなり、各フィンガーは、主に、標的DNA配列の1つの鎖上で三重のヌクレオチドを認識する。DNAと主な接触を行う位置におけるフィンガーのアミノ酸の改変は、所与のフィンガーの配列特異性を改変させる。それ故に、三重選択が、隣接したフィンガーによる異なる度合いに影響され得るが、標的配列が、各フィンガーによって寄与される三重選択の複合物である場合に、4つのフィンガーの亜鉛フィンガータンパク質は、12bpの標的配列を選択的に認識するであろう。ZFNの重要な態様は、かなりの専門的技術がうまく行うために必要とされるが、個々のフィンガーを単に改変することによってほぼあらゆるゲノムアドレスにも容易に再標的化し得ることである。ZFNのほとんどの用途では、4〜6つのフィンガーのタンパク質が使用され、それぞれ、12〜18bpを認識する。それ故に、一対のZFNは、典型的には、ハーフ部位間の5〜7bpのスペーサーを含まない、24〜36bpの組み合わせられた標的配列を認識するであろう。結合部位は、15〜17bpを含む、より大きいスペーサーでさらに分離され得る。この長さの標的配列は、反復配列または遺伝子ホモログが設計プロセス中に含まれないと仮定すれば、ヒトゲノムで固有である可能性がある。それでもなお、ZFNタンパク質−DNAの相互作用は、それらの特異性で絶対ではない、そのため、オフターゲット結合及び切断事象が、2つのZFN間のヘテロ二量体として、またはZFNの一方もしくはもう一方のホモ二量体として生じる。後者の可能性は、互いに二量化し得るが、それら自体で二量化し得ない、偏性ヘテロ二量体変異体としても既知である、「プラス」及び「マイナス」変異を作製するために、FokIドメインの二量化相互作用を操作することによって効果的に排除される。偏性ヘテロ二量体の強化は、ホモ二量体の形成を防ぐ。これは、ZFN、ならびにこれらのFokI変異体を採用する任意の他のヌクレアーゼの特異性を大いに強化する。
様々なZFNに基づいた系は、当該技術分野で説明されており、それらの修正が定期的に報告され、多数の参照文献は、ZFNの設計を誘導するために使用される規則及びパラメーターを説明している;例えば、Segal et al.,Proc Natl Acad Sci USA 96(6):2758−63(1999)、Dreier B et al.,J Mol Biol.303(4):489−502(2000)、Liu Q et al.,J Biol Chem.277(6):3850−6(2002)、Dreier et al.,J Biol Chem 280(42):35588−97(2005)、及びDreier et al.,J Biol Chem.276(31):29466−78(2001)を参照のこと。
転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)
TALENは、ZFNと同様に、モジュールヌクレアーゼの別の形式を表し、操作されたDNA結合ドメインは、FokIヌクレアーゼドメインに連結され、一対のTALENは、標的DNA切断を達成するためにタンデムに操作される。ZFNからの主な違いは、DNA結合ドメイン及び関連する標的DNA配列認識特性の性質である。TALEN DNA結合ドメインは、最初に植物細菌病原体Xanthomonas spに記載されたTALEタンパク質に由来する。TALEは、33〜35のアミノ酸反復のタンデムアレイからなり、各反復が最大20bp長さである標的DNA配列中の単一対合を認識し、最大40bpの総標的配列長を得る。各反復のヌクレオチド特異性は、反復可変性二残基(RVD)によって決定され、12位及び13位でわずか2つのアミノ酸を含む。塩基グアニン、アデニン、シトシン、及びチミンは、それぞれ、4つのRVD:Asn−Asn、Asn−Ile、His−Asp、及びAsn−Glyによって主に認識される。これは、亜鉛フィンガーよりもはるかに単純な認識コードを構成し、したがって、ヌクレアーゼ設計において後者を上回る利点を表す。それにもかかわらず、ZFNと同様に、TALENのタンパク質−DNA相互作用は、それらの特異性において絶対的ではなく、TALENはまた、オフターゲット活性を低減するために、FokIドメインの偏性ヘテロ二量体変異体の使用からも有益である。
FokIドメインのさらなる変異体が作製されており、それらの触媒機能において不活性化される。TALENまたはZFN対のうちのいずれかの半分が不活性なFokIドメインを含有する場合、一本鎖DNA切断(ニッキング)のみが、DSBというよりもむしろ標的部位で生じるであろう。結果は、CRISPR/Cas9/Cpf1「ニッカーゼ」変異体の使用に相当し、Cas9切断ドメインのうちの1つが不活性化されている。DNAニックは、DSBを用いるよりもさらに低い効率で、HDRによってゲノム編集を推進するために使用され得る。主な利益は、NHEJ媒介性ミス修復の傾向がある、DSBとは異なり、オフターゲットニックが、迅速かつ正確に修復されることである。
様々なTALENに基づいたシステムは、当該技術分野で説明されており、それらの修正が定期的に報告されている;例えば、Boch,Science 326(5959):1509−12(2009)、Mak et al.,Science 335(6069):716−9(2012)、及びMoscou et al.,Science 326(5959):1501(2009)を参照のこと。「ゴールデンゲート」プラットホームに基づいたTALENの使用は、複数の基によって説明されている;例えば、Cermak et al.,Nucleic Acids Res.39(12):e82(2011)、Li et al.,Nucleic Acids Res.39(14):6315−25(2011)、Weber et al.,PLoS One.6(2):e16765(2011)、Wang et al.,J Genet Genomics 41(6):339−47,Epub 2014 May 17(2014)、及びCermak T et al.,Methods Mol Biol.1239:133−59(2015)を参照のこと。
ホーミングエンドヌクレアーゼ
ホーミングエンドヌクレアーゼ(HE)は、長い認識配列(14〜44塩基対)を有し、しばしば、ゲノムにおいて固有の部位で高度の特異性でDNAを切断する、配列特異的エンドヌクレアーゼである。真核生物、原生生物、細菌、古細菌、シアノバクテリア、及びファージを含む、広範囲の宿主に由来する、LAGLIDADG(配列番号18809)、GIY−YIG、His−Cis box、H−N−H、PD−(D/E)xK、及びVsr−様を含む、それらに構造によって分類されるように、少なくとも6つの既知のHEのファミリーが存在する。ZFN及びTALENと同様に、HEは、ゲノム編集の初期ステップとして標的遺伝子座でDSBを作製するために使用され得る。加えて、いくつかの天然及び操作されたHEは、DNAの一本鎖のみ切断し、それによって、部位特異的ニッカーゼとして機能する。HE及びそれらが提供される特異性の大きな標的配列は、部位特異的DSBを作製するために魅力的な候補である。
様々なHEに基づいたシステムは、当該技術分野で説明されており、それらの修正が定期的に報告されている;例えば、Steentoft et al.,Glycobiology 24(8):663−80(2014)、Belfort and Bonocora,Methods Mol Biol.1123:1−26(2014)、Hafez and Hausner,Genome 55(8):553−69(2012)、及びその中に言及された参照文献による概説を参照のこと。
MegaTAL/Tev−mTALEN/MegaTev
ハイブリッドヌクレアーゼのさらなる例として、MegaTALプラットホーム及びTev−mTALENプラットホームは、TALE DNA結合ドメイン及び触媒活性HEの融合を使用し、調節可能なDNA結合及びTALEの特異性、ならびにHEの切断配列特異性の両方を活用する;例えば、Boissel et al.,NAR 42:2591−2601(2014)、Kleinstiver et al.,G3 4:1155−65(2014)、及びBoissel and Scharenberg,Methods Mol.Biol.1239:171−96(2015)を参照のこと。
さらなる変形において、MegaTevアーキテクチャは、GIY−YIGホーミングエンドヌクレアーゼI−TevI(Tev)に由来するヌクレアーゼドメインによるメガヌクレアーゼ(Mega)の融合である。2つの活性部位は、DNA基板上で約30bp離れて位置付けられ、非適合性の付着末端を有する2つのDSBを生成する;例えば、Wolfs et al.,NAR 42,8816−29(2014)を参照のこと。既知のヌクレアーゼに基づいたアプローチの他の組み合わせが進化し、本明細書に記載される標的ゲノム修飾を達成するのに有用であろうことが予想される。
dCas9−FokIまたはdCpf1−Fok1及び他のヌクレアーゼ
上述のヌクレアーゼプラットフォームの構造及び機能的特性を組み合わせることは、固有の欠点のうちのいくつかを潜在的に克服することができるゲノム編集へのさらなるアプローチを提供する。一例として、CRISPRゲノム編集システムは、典型的には、DSBを作製するために単一のCas9エンドヌクレアーゼを使用する。標的化の特異性は、標的DNA(S.pyogenesからのCas9の場合、隣接するNAGまたはNGG PAM配列中のさらなる2つ塩基に加えて)でWatson−Crick塩基対合を受けるガイドRNA内の20または24のヌクレオチド配列によって推進される。このような配列は、ヒトゲノムにおいて固有であるのに十分な長さであるが、RNA/DNA相互作用の特異性が、絶対的ではなく、著しく乱雑性を許容する場合があり、特に、標的配列の5’半分において、特異性を推進する塩基の数を効果的に低減する。これに対する1つの解決策は、Cas9またはCpf1触媒機能を完全に不活性化することであり、RNA−ガイドDNA結合機能のみ保持し、その代わりに不活性化したCas9にFokIドメインを誘導する;例えば、Tsai et al.,Nature Biotech 32:569−76(2014)及びGuilinger et al.,Nature Biotech.32:577−82(2014)を参照のこと。FokIは、触媒活性であるために二量化しなければならないため、2つのガイドRNAは、二量体を形成し、DNAを切断するように近接近して、2つのFokI融合でつなぐことが必要である。これは、本質的には、組み合わせた標的部位において塩基の数を倍にし、それによってCRISPRに基づいたシステムによって標的化のストリンジェンシーを増加させる。
さらなる例として、I−TevI等の触媒活性のHEへのTALE DNA結合ドメインの融合は、オフターゲット切断がさらに低減され得るという見込みで、調節可能なDNA結合及びTALEの特異性、ならびにI−TevIの切断配列特異性の両方を活用する。
本発明の方法及び組成物
したがって、本開示は、特に、以下の非限定例に関し、第1の方法である方法1では、本開示は、ゲノム編集によってヒト細胞中のC9ORF72遺伝子を編集するための方法を提供し、本方法は、C9ORF72遺伝子内もしくはその近傍の拡大したヘキサヌクレオチド反復の永久欠失、挿入、または修正をもたらし、かつC9orf72タンパク質活性の復元をもたらす、C9ORF72遺伝子、またはC9ORF72遺伝子の調節要素をコードする他のDNA配列内もしくはその近傍の1つ以上の一本鎖切断(SSB)または二本鎖切断(DSB)を引き起こすために、細胞に、1つ以上のデオキシリボ核酸(DNA)エンドヌクレアーゼを導入することを含む。
別の方法である方法2では、本開示は、ゲノム編集によってヒト細胞中のC9ORF72遺伝子を挿入するための方法を提供し、本方法は、C9ORF72遺伝子またはミニ遺伝子の永久挿入をもたらし、かつC9orf72タンパク質活性の復元をもたらす、セーフハーバー遺伝子座内もしくはその近傍の1つ以上の一本鎖切断(SSB)または二本鎖切断(DSB)を引き起こすために、ヒト細胞に、1つ以上のデオキシリボ核酸(DNA)エンドヌクレアーゼを導入するステップを含む。
別の方法である方法3では、本開示は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または前頭側頭葉変性症(FTLD)患者を治療するためのエクスビボ方法を提供し、本方法は、i)患者特異的誘導多能性幹細胞(iPSC)を作成するステップと、ii)iPSCのC9ORF72遺伝子、もしくはC9ORF72遺伝子の調節要素をコードする他のDNA配列内もしくはその近傍で編集するステップ、またはiPSCのセーフハーバー遺伝子座内もしくはその近傍で編集するステップと、iii)ゲノム編集されたiPSCを、造血前駆細胞、神経前駆細胞、または神経系細胞を分化させるステップと、iv)造血前駆細胞、神経前駆細胞、または神経系細胞を患者に移植するステップと、を含む。
別の方法である方法4では、本開示は、方法3の方法を提供し、作成するステップは、a)体細胞を患者から単離するステップと、b)体細胞に、一連の多分化能関連遺伝子を導入し、細胞を誘導して、多能性幹細胞にするステップと、を含む。
別の方法である方法5では、本開示は、方法4の方法を提供し、体細胞は、線維芽細胞である。
別の方法である方法6では、本開示は、方法4の方法を提供し、一連の多分化能関連遺伝子が、OCT4、SOX2、KLF4、Lin28、NANOG、及びcMYCからなる群から選択される遺伝子のうちの1つ以上である。
別の方法である方法7では、本開示は、方法3〜6のうちのいずれか1つの方法を提供し、編集するステップは、C9ORF72遺伝子、もしくはC9ORF72遺伝子の調節要素をコードする他のDNA配列内もしくはその近傍の拡大したヘキサヌクレオチド反復の永久欠失、挿入、または修正をもたらす、C9ORF72遺伝子、もしくはC9ORF72遺伝子の調節要素をコードする他のDNA配列内もしくはその近傍、またはC9ORF72遺伝子もしくはミニ遺伝子の永久挿入及びC9orf72タンパク質活性の復元をもたらす、セーフハーバー遺伝子座内もしくはその近傍の、1つ以上の一本鎖切断(SSB)または二本鎖切断(DSB)を引き起こすために、iPSCに、1つ以上のデオキシリボ核酸(DNA)エンドヌクレアーゼを導入することを含む。
別の方法である方法8では、本開示は、方法7の方法を提供し、セーフハーバー遺伝子座は、AAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、G6PC、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTRからなる群から選択されるセーフハーバー遺伝子座である。
別の方法である方法9では、本開示は、方法3〜8のうちのいずれか1つの方法を提供し、分化させるステップは、ゲノム編集されたiPSCを、造血前駆細胞、神経前駆細胞、または神経系細胞に分化させるために、小分子の組み合わせによる処理またはマスター転写因子の送達のうちの1つ以上を含む。
別の方法である方法10では、本開示は、方法3〜9のうちのいずれか1つの方法を提供し、移植するステップは、造血前駆細胞、神経前駆細胞、または神経系細胞を、移植術、局所注射、全身注入、またはこれらの組み合わせによって、患者に移植することを含む。
別の方法である方法11では、本開示は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または前頭側頭葉変性症(FTLD)患者を治療するためのエクスビボ方法を提供し、本方法は、i)白血球を患者から単離するステップと、ii)C9ORF72遺伝子、もしくは白血球のC9ORF72遺伝子の調節要素をコードする他のDNA配列内もしくはその近傍で編集するステップ、または白血球のセーフハーバー遺伝子座内もしくはその近傍で編集するステップと、iii)編集された白血球を患者に移植するステップと、を含む。
別の方法である方法12では、本開示は、方法11の方法を提供し、単離するステップが、細胞分画遠心分離、細胞培養、またはこれらの組み合わせを含む。
別の方法である方法13では、本開示は、方法11または12のいずれかの方法を提供し、編集するステップは、C9ORF72遺伝子、もしくはC9ORF72遺伝子の調節要素をコードする他のDNA配列内もしくはその近傍の拡大したヘキサヌクレオチド反復の永久欠失、挿入、または修正をもたらす、C9ORF72遺伝子、もしくはC9ORF72遺伝子の調節要素をコードする他のDNA配列内もしくはその近傍、またはC9orf72タンパク質活性の復元をもたらす、セーフハーバー遺伝子座内もしくはその近傍の1つ以上の一本鎖切断(SSB)または1つ以上の二本鎖切断(DSB)を引き起こすために、神経系細胞に、1つ以上のデオキシリボ核酸(DNA)エンドヌクレアーゼを導入することを含む。
別の方法である方法14では、本開示は、方法13の方法を提供し、セーフハーバー遺伝子座は、AAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、G6PC、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTRからなる群から選択されるセーフハーバー遺伝子座である。
別の方法である方法15では、本開示は、方法11〜14のうちのいずれか1つの方法を提供し、移植するステップは、編集された白血球を、移植術、局所注射、全身注入、またはこれらの組み合わせによって、患者に移植することを含む。
別の方法である方法16では、本開示は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または前頭側頭葉変性症(FTLD)患者を治療するためのエクスビボ方法を提供し、本方法は、i)任意に、患者の骨髄の生検を実行するステップと、ii)間葉幹細胞を単離するステップと、iii)幹細胞のC9ORF72遺伝子、もしくは幹細胞のC9ORF72遺伝子の調節要素をコードする他のDNA配列内もしくはその近傍で編集するステップ、または幹細胞のセーフハーバー遺伝子座内もしくはその近傍で編集するステップと、Iv)幹細胞を、造血前駆細胞、神経前駆細胞、または神経系細胞に分化させるステップと、v)造血前駆細胞、神経前駆細胞、または神経系細胞を患者に移植するステップと、を含む。
別の方法である方法17では、本開示は、方法16の方法を提供し、単離するステップは、Percoll(商標)を用いた密度遠心分離による、骨髄の吸引及び間葉細胞の単離を含む。
別の方法である方法18では、本開示は、方法16または17の方法を提供し、編集するステップは、C9ORF72遺伝子、もしくはC9ORF72遺伝子の調節要素をコードする他のDNA配列内もしくはその近傍の拡大したヘキサヌクレオチド反復の永久欠失、挿入、または修正をもたらす、C9ORF72遺伝子、もしくはC9ORF72遺伝子の調節要素をコードする他のDNA配列内もしくはその近傍、またはC9orf72タンパク質活性の復元をもたらす、セーフハーバー遺伝子座内もしくはその近傍の、1つ以上の一本鎖切断(SSB)または1つ以上の二本鎖切断(DSB)を引き起こすために、幹細胞に、1つ以上のデオキシリボ核酸(DNA)エンドヌクレアーゼを導入することを含む。
別の方法である方法19では、本開示は、方法18の方法を提供し、セーフハーバー遺伝子座は、AAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、G6PC、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTRからなる群から選択されるセーフハーバー遺伝子座である。
別の方法である方法20では、本開示は、方法16〜19のうちのいずれか1つの方法を提供し、分化させるステップは、ゲノム編集された幹細胞を、造血前駆細胞、神経前駆細胞、または神経系細胞に分化させるために、小分子の組み合わせによる処理またはマスター転写因子の送達のうちの1つ以上を含む。
別の方法である方法21では、本開示は、方法16〜20のうちのいずれか1つの方法を提供し、移植するステップは、細胞を、移植術、局所注射、全身注入、またはこれらの組み合わせによって、患者に移植することを含む。
別の方法である方法22では、本開示は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または前頭側頭葉変性症(FTLD)患者を治療するためのエクスビボ方法を提供し、本方法は、i)任意に、患者を、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)で治療するステップと、ii)造血前駆細胞を、患者から単離するステップと、iii)造血前駆細胞のC9ORF72遺伝子、もしくは造血前駆細胞のC9ORF72遺伝子の調節要素をコードする他のDNA配列内もしくはその近傍で編集するステップ、または造血前駆細胞のセーフハーバー遺伝子座内もしくはその近傍で編集するステップと、iv)細胞を、患者に移植するステップと、を含む。
別の方法である方法23では、本開示は、方法22の方法を提供し、治療するステップは、Plerixaflorと組み合わせて行われる。
別の方法である方法24では、本開示は、方法22または23のいずれかの方法を提供し、単離するステップは、CD34+細胞を単離することを含む。
別の方法である方法25では、本開示は、方法22〜24のいずれか1つの方法を提供し、編集するステップは、C9ORF72遺伝子、もしくはC9ORF72遺伝子の調節要素をコードする他のDNA配列内もしくはその近傍の拡大したヘキサヌクレオチド反復の永久欠失、挿入、または修正をもたらす、C9ORF72遺伝子、もしくはC9ORF72遺伝子の調節要素をコードする他のDNA配列内もしくはその近傍、またはC9orf72タンパク質活性の復元をもたらす、セーフハーバー遺伝子座内もしくはその近傍の、1つ以上の一本鎖切断(SSB)または1つ以上の二本鎖切断(DSB)を引き起こすために、幹細胞に、1つ以上のデオキシリボ核酸(DNA)エンドヌクレアーゼを導入することを含む。
別の方法である方法26では、本開示は、方法25の方法を提供し、セーフハーバー遺伝子座は、AAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、G6PC、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTRからなる群から選択されるセーフハーバー遺伝子座である。
別の方法である方法27では、本開示は、方法22〜26のうちのいずれか1つの方法を提供し、移植するステップは、神経系細胞を、移植術、局所注射、全身注入、またはこれらの組み合わせによって、患者に移植することを含む。
別の方法である方法28では、本開示は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または前頭側頭葉変性症(FTLD)患者を治療するためのインビボ方法を提供し、本方法は、患者の細胞中のC9ORF72遺伝子、もしくはC9ORF72遺伝子の調節要素をコードする他のDNA配列内もしくはその近傍で編集するステップ、またはセーフハーバー遺伝子座内もしくはその近傍で編集するステップと、を含む。
別の方法である方法29では、本開示は、方法28の方法を提供し、編集するステップは、C9ORF72遺伝子、もしくはC9ORF72遺伝子の調節要素をコードする他のDNA配列内もしくはその近傍の拡大したヘキサヌクレオチド反復の永久欠失、挿入、または修正をもたらすC9ORF72遺伝子、もしくはC9ORF72遺伝子の調節要素をコードする他のDNA配列内もしくはその近傍、またはC9orf72タンパク質活性の復元をもたらす、セーフハーバー遺伝子座内もしくはその近傍の1つ以上の一本鎖切断(SSB)または1つ以上の二本鎖切断(DSB)を引き起こすために、細胞に、1つ以上のデオキシリボ核酸(DNA)エンドヌクレアーゼを導入することを含む。
別の方法である方法30では、本開示は、方法29の方法を提供し、セーフハーバー遺伝子座は、AAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、G6PC、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTRからなる群から選択されるセーフハーバー遺伝子座である。
別の方法である方法31では、本開示は、方法28〜30のうちのいずれか1つの方法を提供し、この細胞、神経系細胞、骨髄細胞、造血前駆細胞、またはCD34+細胞。
別の方法である方法32では、本開示は、方法1、7、13、18、25、または29のうちのいずれか1つの方法を提供し、1つ以上のDNAエンドヌクレアーゼは、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(Csn1及びCsx12としても既知である)、Cas100、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4、もしくはCpf1エンドヌクレアーゼ;またはこれらのホモログ、天然に存在する分子の組み換え、コドン最適化、またはこれらの修飾した変形、及びこれらの組み合わせである。
別の方法である方法33では、本開示は、方法32の方法を提供し、本方法は、細胞に、1つ以上のDNAエンドヌクレアーゼをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを導入することを含む。
別の方法である方法34では、本開示は、方法32の方法を提供し、本方法は、細胞に、1つ以上のDNAエンドヌクレアーゼをコードする1つ以上のリボ核酸(RNA)を導入することを含む。
別の方法である方法35では、本開示は、方法33または34のいずれかの方法を提供し、1つ以上のポリヌクレオチドまたは1つ以上のRNAは、1つ以上の修飾ポリヌクレオチドまたは1つ以上の修飾RNAである。
別の方法である方法36では、本開示は、方法32の方法を提供し、DNAエンドヌクレアーゼは、タンパク質またはポリペプチドである。
別の方法である方法37では、本開示は、前述の方法のうちの1つの方法を提供し、本方法は、細胞に、1つ以上のガイドリボ核酸(gRNA)を導入することをさらに含む。
別の方法である方法38では、本開示は、方法37の方法を提供し、1つ以上のgRNAは、単一分子ガイドRNA(sgRNA)である。
別の方法である方法39では、本開示は、方法37または38の方法を提供し、1つ以上のgRNAまたは1つ以上のsgRNAは、1つ以上の修飾gRNAまたは1つ以上の修飾sgRNAである。
別の方法である方法40では、本開示は、方法37〜39のうちのいずれか1つの方法を提供し、1つ以上のDNAエンドヌクレアーゼは、1つ以上のgRNAまたは1つ以上のsgRNAと事前に複合体形成される。
別の方法である方法41では、本開示は、前述の方法のうちの1つの方法を提供し、本方法は、細胞に、野生型C9ORF72遺伝子またはミニ遺伝子またはcDNAの一部を含むポリヌクレオチドドナー鋳型を導入することをさらに含む。
別の方法である方法42では、本開示は、方法41の方法を提供し、野生型C9ORF72遺伝子またはcDNAの一部は、全C9ORF72遺伝子もしくはcDNA、または天然変異体1、変異体2、もしくは変異体3のcDNAである。
別の方法である方法43では、本開示は、方法41または42のいずれかの方法を提供し、ドナー鋳型は、一本鎖または二本鎖のいずれかである。
別の方法である方法44では、本開示は、方法41〜43のうちのいずれか1つの方法を提供し、ドナー鋳型は、9p21.2領域に対して相同アームを有する。
別の方法である方法45では、本開示は、方法41〜43のうちのいずれか1つの方法を提供し、ドナー鋳型は、AAVS1(PPP1R12C)のエクソン1〜2、ALBのエクソン1〜2、Angptl3のエクソン1〜2、ApoC3のエクソン1〜2、ASGR2のエクソン1〜2、CCR5のエクソン1〜2、FIX(F9)のエクソン1〜2、G6PCのエクソン1〜2、Gys2のエクソン1〜2、HGDのエクソン1〜2、Lp(a)のエクソン1〜2、Pcsk9のエクソン1〜2、Serpina1のエクソン1〜2、TFのエクソン1〜2、及びTTRのエクソン1〜2からなる群から選択されるセーフハーバー遺伝子座に対して相同アームを有する。
別の方法である方法46では、本開示は、方法1、7、13、18、25、または29のうちのいずれか1つの方法を提供し、本方法は、細胞に、1つのガイドリボ核酸(gRNA)及び野生型C9ORF72遺伝子の少なくとも一部を含むポリヌクレオチドドナー鋳型を導入することをさらに含み、1つ以上のDNAエンドヌクレアーゼは、C9ORF72遺伝子、もしくはC9ORF72遺伝子の調節要素をコードする他のDNA配列内もしくはその近傍のDSB遺伝子座で、またはセーフハーバー遺伝子座内もしくはその近傍の一本鎖切断(SSB)または二本鎖切断(DSB)を引き起こす、1つ以上のCas9またはCpf1エンドヌクレアーゼであり、遺伝子座またはセーフハーバーで、ポリヌクレオチドドナー鋳型から染色体DNAへの新しい配列の挿入を容易にし、C9ORF72遺伝子、もしくは遺伝子座またはセーフハーバー遺伝子座の近位にあるC9ORF72遺伝子の調節要素をコードする他のDNA配列の染色体DNAの一部の永久挿入または修正をもたらし、かつC9orf72タンパク質活性の復元をもたらし、gRNAが、遺伝子座の断片または遺伝子座に相補的であるスペーサー配列を含む。
別の方法である方法47では、本開示は、方法46の方法を提供し、近位は、遺伝子座の上流及び下流の両方または遺伝子座のヌクレオチドを意味する。
別の方法である方法48では、本開示は、方法1、7、13、18、25、または29のうちのいずれか1つの方法を提供し、本方法は、細胞に、2つのガイドリボ核酸(gRNA)、及び野生型C9ORF72遺伝子の少なくとも一部を含むポリヌクレオチドドナー鋳型を導入することをさらに含み、1つ以上のDNAエンドヌクレアーゼが、第1が5’遺伝子座及び第2が3’遺伝子座であり、C9ORF72遺伝子、もしくはC9ORF72遺伝子の調節要素をコードする他のDNA配列内もしくはその近傍の、またはセーフハーバー遺伝子座内もしくはその近傍の、一対の一本鎖切断(SSB)または二本鎖切断(DSB)を引き起こす2つ以上のCas9またはCpf1エンドヌクレアーゼであり、5’遺伝子座と3’遺伝子座との間で、ポリヌクレオチドドナー鋳型から染色体DNAへの新しい配列の挿入を容易にし、C9ORF72遺伝子、もしくはC9ORF72遺伝子またはセーフハーバー遺伝子座の調節要素をコードする他のDNA配列内もしくはその近傍の、5’遺伝子座と3’遺伝子座との間の染色体DNAの永久挿入または修正をもたらし、かつC9orf72タンパク質活性の復元をもたらし、第1のガイドRNAが、5’遺伝子座の断片に相補的であるスペーサー配列を含み、第2のガイドRNAが、3’遺伝子座の断片に相補的であるスペーサー配列を含む。
別の方法である方法49では、本開示は、方法46〜48のうちのいずれか1つの方法を提供し、1つまたは2つのgRNAは、1つまたは2つの単一分子ガイドRNA(sgRNA)である。
別の方法である方法50では、本開示は、方法46〜49のうちのいずれか1つの方法を提供し、1つもしくは2つのgRNAまたは1つもしくは2つのsgRNAは、1つもしくは2つの修飾gRNAまたは1つもしくは2つの修飾sgRNAである。
別の方法である方法51では、本開示は、方法46〜50のうちのいずれか1つの方法を提供し、1つ以上のDNAエンドヌクレアーゼは、1つもしくは2つのgRNAまたは1つもしくは2つのsgRNAと事前に複合体形成される。
別の方法である方法52では、本開示は、方法46〜51のうちのいずれか1つの方法を提供し、野生型C9ORF72遺伝子またはcDNAの一部は、全C9ORF72遺伝子もしくはcDNA;天然変異体1、変異体2、もしくは変異体3のcDNA;または約30のヘキサヌクレオチド反復である。
別の方法である方法53では、本開示は、方法46〜52のうちのいずれか1つの方法を提供し、ドナー鋳型は、一本鎖または二本鎖ポリヌクレオチドのいずれかである。
別の方法である方法54では、本開示は、方法46〜53のうちのいずれか1つの方法を提供し、ドナー鋳型は、9p21.2領域に対して相同アームを有する。
別の方法である方法55では、本開示は、方法46〜44のうちのいずれか1つの方法を提供し、ドナー鋳型は、AAVS1(PPP1R12C)のエクソン1〜2、ALBのエクソン1〜2、Angptl3のエクソン1〜2、ApoC3のエクソン1〜2、ASGR2のエクソン1〜2、CCR5のエクソン1〜2、FIX(F9)のエクソン1〜2、G6PCのエクソン1〜2、Gys2のエクソン1〜2、HGDのエクソン1〜2、Lp(a)のエクソン1〜2、Pcsk9のエクソン1〜2、Serpina1のエクソン1〜2、TFのエクソン1〜2、及びTTRのエクソン1〜2からなる群から選択されるセーフハーバー遺伝子座に対して相同アームを有する。
別の方法である方法56では、本開示は、方法44の方法を提供し、DSB、または5’DSB及び3’DSBは、C9ORF72遺伝子の第1イントロン内にある。
別の方法である方法57では、本開示は、方法1、7、13、18、25、または29〜56のうちのいずれか1つの方法を提供し、挿入または修正は、相同配向型修復(HDR)によるものである。
別の方法である方法58では、本開示は、方法1、7、13、18、25、または29のうちのいずれか1つの方法を提供し、本方法は、細胞に、2つのガイドリボ核酸(gRNA)を導入することをさらに含み、1つ以上のDNAエンドヌクレアーゼは、C9ORF72遺伝子内もしくはその近傍の、5’DSB遺伝子座と3’DSB遺伝子座との間で染色体DNAの永久欠失をもたらす、5’DSB遺伝子座と3’DSB遺伝子座との間で染色体DNAの欠失をもたらす、C9ORF72遺伝子内もしくはその近傍の、第1が5’DSB遺伝子座及び第2が3’DSB遺伝子座である、一対の二本鎖切断(DSB)を引き起こす、2つ以上のCas9またはCpf1エンドヌクレアーゼであり、第1のガイドRNAが、5’DSB遺伝子座の断片に相補的であるスペーサー配列を含み、第2のガイドRNAが、3’DSB遺伝子座の断片に相補的であるスペーサー配列を含む。
別の方法である方法59では、本開示は、2つのgRNAは、2つの単一分子ガイドRNA(sgRNA)である方法58の方法を提供する。
別の方法である方法60では、本開示は、方法58または59のいずれかの方法を提供し、2つのgRNAまたは2つのsgRNAは、2つの修飾gRNAまたは2つの修飾sgRNAである。
別の方法である方法61では、本開示は、方法58〜60のうちのいずれか1つの方法を提供し、1つ以上のDNAエンドヌクレアーゼは、1つもしくは2つのgRNAまたは1つもしくは2つのsgRNAと事前に複合体形成される。
別の方法である方法62では、本開示は、方法58〜61のうちのいずれか1つの方法を提供し、5’DSB及び3’DSBの両方が、C9ORF72遺伝子の第1エクソン、第1イントロン、または第2エクソンのいずれかの中にあるか、またはその近傍にある。
別の方法である方法63では、本開示は、方法58〜62のうちのいずれか1つの方法を提供し、欠失は、拡大したヘキサヌクレオチド反復の欠失である。
別の方法である方法64では、本開示は、方法1、7、13、18、25、または29〜63のうちのいずれか1つの方法を提供し、Cas9またはCpf1 mRNA、gRNA、及びドナー鋳型はいずれも、それぞれ、脂質ナノ粒子に別々に製剤化されるか、または全てが脂質ナノ粒子に同時に製剤化される。
別の方法である方法65では、本開示は、方法1、7、13、18、25、または29〜63のうちのいずれか1つの方法を提供し、Cas9またはCpf1 mRNAは、脂質ナノ粒子に製剤化され、gRNA及びドナー鋳型はともに、ウイルスベクターによって送達される。
別の方法である方法66では、本開示は、方法65の方法を提供し、ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。
別の方法である方法67では、本開示は、方法66の方法を提供し、AAVベクターは、AAV6ベクターである。
別の方法である方法68では、本開示は、方法1、7、13、18、25、または29〜63のうちのいずれか1つの方法を提供し、Cas9またはCpf1 mRNA、gRNA、及びドナー鋳型はいずれも、それぞれ、エクソソームに別々に製剤化されるか、または全てがエクソソームに同時に製剤化される。
別の方法である方法69では、本開示は、方法1、7、13、18、25、または29〜63のうちのいずれか1つの方法を提供し、Cas9またはCpf1 mRNAは、脂質ナノ粒子に製剤化され、gRNAは、電気穿孔法によって細胞に送達され、ドナー鋳型は、ウイルスベクターによって細胞に送達される。
別の方法である方法70では、本開示は、方法69の方法を提供し、gRNAは、電気穿孔法によって細胞に送達され、ドナー鋳型は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターによって細胞に送達される。
別の方法である方法71では、本開示は、方法70の方法を提供し、AAVベクターは、AAV6ベクターである。
別の方法である方法72では、本開示は、前述の方法のうちのいずれか1つの方法を提供し、C9ORF72遺伝子は、染色体9:27,546,542〜27,573,863(ゲノム参照コンソーシアム−GRCh38/hg38)上に位置する。
別の方法である方法73では、本開示は、方法1、7、13、18、25、または29のうちのいずれか1つの方法を提供し、C9orf72タンパク質活性の復元は、野生型または正常C9orf72タンパク質活性と比較される。
別の方法である方法74では、本開示は、ドナーからの骨髄を患者に移植することを含む、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または前頭側頭葉変性症(FTLD)患者を治療するための方法を提供する。
本開示はまた、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または前頭側頭葉変性症(FTLD)患者から細胞中のC9ORF72遺伝子を編集するために、配列番号1〜18807中の核酸配列からなる群から選択されるスペーサー配列を含む、1つ以上のガイドリボ核酸(gRNA)の組成物である組成物1も提供する。
別の組成物である組成物2では、本開示は、組成物1の組成物を提供し、1つ以上のgRNAは、1つ以上の単一分子ガイドRNA(sgRNA)である。
別の組成物である組成物3では、本開示は、組成物1または組成物2の組成物を提供し、1つ以上のgRNAまたは1つ以上のsgRNAは、1つ以上の修飾gRNAまたは1つ以上の修飾sgRNAである。
本開示はまた、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または前頭側頭葉変性症(FTLD)患者から細胞中のC9ORF72遺伝子を編集するために、配列番号18810〜73668中の核酸配列からなる群から選択されるスペーサー配列を含む、1つ以上のガイドリボ核酸(gRNA)の組成物である組成物4も提供する。
別の組成物である組成物5では、本開示は、組成物4の組成物を提供し、1つ以上のgRNAは、1つ以上の単一分子ガイドRNA(sgRNA)である。
別の組成物である組成物6では、本開示は、組成物4または組成物5の組成物を提供し、1つ以上のgRNAまたは1つ以上のsgRNAは、1つ以上の修飾gRNAまたは1つ以上の修飾sgRNAである。
定義
「含むこと」または「含む」という用語は、本発明に必須である、組成物、方法、及びこれらのそれぞれの構成成分(複数可)に関して使用され、必須であるかどうかにかかわらず、不特定の要素の包含の余地がある。
「本質的にからなる」という用語は、所定の実施形態のために必要とされる要素を指す。この用語は、本発明の実施形態の基本的及び新規のまたは機能的な特徴(複数可)に実質的に影響を及ぼさない、さらなる要素の存在を許容する。
「からなる」という用語は、実施形態のその記載において記載されていないいかなる要素も除外する、本明細書に記載される組成物、方法、及びそれらのそれぞれの構成成分を指す。
「a」、「an」、及び「the」は、別段文脈が明らかに指図しない限り、複数の言及を含む。
本明細書に提示されるある特定の数値は、「約」という用語により始まる。「約」という用語は、「約」という用語が先行する数値、ならびに数値に近い数値に対して文字通りの支援を提供するために使用され、近似している言及されない数値は、それが提示される文脈において、特に言及される数値の実質的な同等物である、数であり得る。「約」という用語は、言及された数値の+10%内の数値を意味する。
数値の範囲が本明細書に提示される場合、それぞれ、範囲の下限と上限との間に介入し、範囲の上限及び下限である範囲、及びこの範囲を有する全ての記述された値は、本開示内に包含されることが企図される。範囲の下限及び上限内の全ての可能な部分的な範囲もまた、本開示によって企図される。
本発明は、本発明の例示的な非限定的な実施形態を提供する、以下の実施例への言及によってさらに完全に理解されよう。
本実施例は、ゲノム遺伝子座における拡大したヘキサヌクレオチド反復の永久修正、または野生型もしくは同様のレベルのヘキサヌクレオチド反復を復元する異種遺伝子座の発現をもたらす、C9ORF72遺伝子において、本明細書では「ゲノム修飾」と称される、定義された治療的ゲノム置換を作製するための例示的なゲノム編集技術としてCRISPRシステムの使用を説明している。定義された治療的修飾の導入は、本明細書に記載され、例示される、ALS及び/またはFTLDの改善の可能性に対する新規の治療戦略を表す。
実施例1−C9ORF72遺伝子におけるCRISPR/SpCas9標的部位
C9ORF72遺伝子の領域を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NRGを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号1〜6148に提供されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例2−C9ORF72遺伝子におけるCRISPR/SaCas9標的部位
C9ORF72遺伝子の領域を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNGRRTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号6149〜6892に提供されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例3−C9ORF72遺伝子におけるCRISPR/StCas9標的部位
C9ORF72遺伝子の領域を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNAGAAWを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号7760〜8097に提供されるように、PAMに対応するgRNA 24bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例4−C9ORF72遺伝子におけるCRISPR/TdCas9標的部位
C9ORF72遺伝子の領域を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NAAAACを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号8098〜8261に提供されるように、PAMに対応するgRNA 24bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例5−C9ORF72遺伝子におけるCRISPR/NmCas9標的部位
C9ORF72遺伝子の領域を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNNNGHTTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号6893〜7759に提供されるように、PAMに対応するgRNA 24bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例6−C9ORF72遺伝子におけるCRISPR/Cpf1標的部位
C9ORF72遺伝子の領域を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列YTNを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号8262〜18807に提供されるように、PAMに対応するgRNA 24bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例7−AAVS1(PPP1R12C)遺伝子におけるCRISPR/SpCas9標的部位
AAVS1(PPP1R12C)遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NRGを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号18810〜20841に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例8−AAVS1(PPP1R12C)遺伝子におけるCRISPR/SaCas9標的部位
AAVS1(PPP1R12C)遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNGRRTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号20842〜21012に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例9−AAVS1(PPP1R12C)遺伝子におけるCRISPR/StCas9標的部位
AAVS1(PPP1R12C)遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNAGAAWを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号21013〜21030に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例10−AAVS1(PPP1R12C)遺伝子におけるCRISPR/TdCas9標的部位
AAVS1(PPP1R12C)遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NAAAACを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号21031〜21039に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例11−AAVS1(PPP1R12C)遺伝子におけるCRISPR/NmCas9標的部位
AAVS1(PPP1R12C)遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNNNGHTTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号21040〜21114に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例12−AAVS1(PPP1R12C)遺伝子におけるCRISPR/Cpf1標的部位
AAVS1(PPP1R12C)遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列YTNを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号21115〜22290に示されるように、PAMに対応するgRNA 22bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例13−ALB遺伝子におけるCRISPR/SpCas9標的部位
ALB遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NRGを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号22291〜22458に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例14−ALB遺伝子におけるCRISPR/SaCas9標的部位
ALB遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNGRRTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号22459〜22486に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例15−ALB遺伝子におけるCRISPR/StCas9標的部位
ALB遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNAGAAWを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号22487〜22504に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例16−ALB遺伝子におけるCRISPR/TdCas9標的部位
ALB遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NAAAACを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号22505〜22509に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例17−ALB遺伝子におけるCRISPR/NmCas9標的部位
ALB遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNNNGHTTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号22510〜22533に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例18−ALB遺伝子におけるCRISPR/Cpf1標的部位
ALB遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列YTNを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号22534〜22912に示されるように、PAMに対応するgRNA 22bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例19−Angptl3遺伝子におけるCRISPR/SpCas9標的部位
Angptl3遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NRGを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号22913〜23257に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例20−Angptl3遺伝子におけるCRISPR/SaCas9標的部位
Angptl3遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNGRRTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号23258〜23293に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例21−Angptl3遺伝子におけるCRISPR/StCas9標的部位
Angptl3遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNAGAAWを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号23294〜23316に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例22−Angptl3遺伝子におけるCRISPR/TdCas9標的部位
Angptl3遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NAAAACを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号23317〜23329に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例23−Angptl3遺伝子におけるCRISPR/NmCas9標的部位
Angptl3遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNNNGHTTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号23330〜23392に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例24−Angptl3遺伝子におけるCRISPR/Cpf1標的部位
Angptl3遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列YTNを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号23393〜24240に示されるように、PAMに対応するgRNA 22bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例25−ApoC3遺伝子におけるCRISPR/SpCas9標的部位
ApoC3遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NRGを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号24241〜24643に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例26−ApoC3遺伝子におけるCRISPR/SaCas9標的部位
ApoC3遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNGRRTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号24644〜24668に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例27−ApoC3遺伝子におけるCRISPR/StCas9標的部位
ApoC3遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNAGAAWを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号24669〜24671に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例28−ApoC3遺伝子におけるCRISPR/TdCas9標的部位
ApoC3遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NAAAACを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号24672〜24673に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例29−ApoC3遺伝子におけるCRISPR/NmCas9標的部位
ApoC3遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNNNGHTTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号24674〜24685に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例30−ApoC3遺伝子におけるCRISPR/Cpf1標的部位
ApoC3遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列YTNを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号24686〜24917に示されるように、PAMに対応するgRNA 22bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例31−ASGR2遺伝子におけるCRISPR/SpCas9標的部位
ASGR2遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NRGを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号24918〜26685に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例32−ASGR2遺伝子におけるCRISPR/SaCas9標的部位
ASGR2遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNGRRTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号26686〜26891に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例33−ASGR2遺伝子におけるCRISPR/StCas9標的部位
ASGR2遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNAGAAWを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号26892〜26915に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例34−ASGR2遺伝子におけるCRISPR/TdCas9標的部位
ASGR2遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NAAAACを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号26916〜26927に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例35−ASGR2遺伝子におけるCRISPR/NmCas9標的部位
ASGR2遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNNNGHTTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号26928〜27010に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例36−ASGR2遺伝子におけるCRISPR/Cpf1標的部位
ASGR2遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列YTNを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号27011〜28450に示されるように、PAMに対応するgRNA 22bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例37−CCR5遺伝子におけるCRISPR/SpCas9標的部位
CCR5遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NRGを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号28451〜28653に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例38−CCR5遺伝子におけるCRISPR/SaCas9標的部位
CCR5遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNGRRTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号28654〜28685に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例39−CCR5遺伝子におけるCRISPR/StCas9標的部位
CCR5遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNAGAAWを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号28686〜28699に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例40−CCR5遺伝子におけるCRISPR/TdCas9標的部位
CCR5遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NAAAACを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号28700〜28701に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例41−CCR5遺伝子におけるCRISPR/NmCas9標的部位
CCR5遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNNNGHTTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号28702〜28729に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例42−CCR5遺伝子におけるCRISPR/Cpf1標的部位
CCR5遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列YTNを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号28730〜29029に示されるように、PAMに対応するgRNA 22bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例43−FIX(F9)遺伝子におけるCRISPR/SpCas9標的部位
FIX(F9)遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NRGを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号29030〜30495に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例44−FIX(F9)遺伝子におけるCRISPR/SaCas9標的部位
FIX(F9)遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNGRRTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号30496〜30658に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例45−FIX(F9)遺伝子におけるCRISPR/StCas9標的部位
FIX(F9)遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNAGAAWを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号30659〜30719に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例46−FIX(F9)遺伝子におけるCRISPR/TdCas9標的部位
FIX(F9)遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NAAAACを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号30720〜30744に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例47−FIX(F9)遺伝子におけるCRISPR/NmCas9標的部位
FIX(F9)遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNNNGHTTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号30745〜30897に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例48−FIX(F9)遺伝子におけるCRISPR/Cpf1標的部位
FIX(F9)遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列YTNを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号30898〜33038に示されるように、PAMに対応するgRNA 22bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例49−G6PC遺伝子におけるCRISPR/SpCas9標的部位
G6PC遺伝子の領域を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NRGを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号33039〜34054に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例50−G6PC遺伝子におけるCRISPR/SaCas9標的部位
G6PC遺伝子の領域を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNGRRTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号34055〜34171に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例51−G6PC遺伝子におけるCRISPR/StCas9標的部位
G6PC遺伝子の領域を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNAGAAWを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号34172〜34195に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例52−G6PC遺伝子におけるCRISPR/TdCas9標的部位
G6PC遺伝子の領域を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NAAAACを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号34196〜34204に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例53−G6PC遺伝子におけるCRISPR/NmCas9標的部位
G6PC遺伝子の領域を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNNNGHTTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号34205〜34294に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例54−G6PC遺伝子におけるCRISPR/Cpf1標的部位
G6PC遺伝子の領域を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列YTNを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号34295〜35389に示されるように、PAMに対応するgRNA 22bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例55−Gys2遺伝子におけるCRISPR/SpCas9標的部位
Gys2遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NRGを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号35390〜40882に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例56−Gys2遺伝子におけるCRISPR/SaCas9標的部位
Gys2遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNGRRTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号40883〜41558に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例57−Gys2遺伝子におけるCRISPR/StCas9標的部位
Gys2遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNAGAAWを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号41559〜41836に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例58−Gys2遺伝子におけるCRISPR/TdCas9標的部位
Gys2遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NAAAACを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号41837〜41950に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例59−Gys2遺伝子におけるCRISPR/NmCas9標的部位
Gys2遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNNNGHTTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号41951〜42630に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例60−Gys2遺伝子におけるCRISPR/Cpf1標的部位
Gys2遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列YTNを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号42631〜51062に示されるように、PAMに対応するgRNA 22bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例61−HGD遺伝子におけるCRISPR/SpCas9標的部位
HGD遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NRGを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号51063〜52755に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例62−HGD遺伝子におけるCRISPR/SaCas9標的部位
HGD遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNGRRTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号52756〜52969に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例63−HGD遺伝子におけるCRISPR/StCas9標的部位
HGD遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNAGAAWを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号52970〜53052に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例64−HGD遺伝子におけるCRISPR/TdCas9標的部位
HGD遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NAAAACを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号53053〜53071に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例65−HGD遺伝子におけるCRISPR/NmCas9標的部位
HGD遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNNNGHTTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号53072〜53272に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例66−HGD遺伝子におけるCRISPR/Cpf1標的部位
HGD遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列YTNを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号53273〜55597に示されるように、PAMに対応するgRNA 22bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例67−Lp(a)遺伝子におけるCRISPR/SpCas9標的部位
Lp(a)遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NRGを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号55598〜59392に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例68−Lp(a)遺伝子におけるCRISPR/SaCas9標的部位
Lp(a)遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNGRRTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号59393〜59802に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例69−Lp(a)遺伝子におけるCRISPR/StCas9標的部位
Lp(a)遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNAGAAWを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号59803〜59938に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例70−Lp(a)遺伝子におけるCRISPR/TdCas9標的部位
Lp(a)遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NAAAACを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号59939〜59973に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例71−Lp(a)遺伝子におけるCRISPR/NmCas9標的部位
Lp(a)遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNNNGHTTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号59974〜60341に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例72−Lp(a)遺伝子におけるCRISPR/Cpf1標的部位
Lp(a)遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列YTNを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号60342〜64962に示されるように、PAMに対応するgRNA 22bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例73−PCSK9遺伝子におけるCRISPR/SpCas9標的部位
PCSK9遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NRGを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号64963〜66982に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例74−PCSK9遺伝子におけるCRISPR/SaCas9標的部位
PCSK9遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNGRRTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号66983〜67169に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例75−PCSK9遺伝子におけるCRISPR/StCas9標的部位
PCSK9遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNAGAAWを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号67170〜67205に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例76−PCSK9遺伝子におけるCRISPR/TdCas9標的部位
PCSK9遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NAAAACを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号67206〜67219に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例77−PCSK9遺伝子におけるCRISPR/NmCas9標的部位
PCSK9遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNNNGHTTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号67220〜67359に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例78−PCSK9遺伝子におけるCRISPR/Cpf1標的部位
PCSK9遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列YTNを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号67360〜69153に示されるように、PAMに対応するgRNA 22bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例79−Serpina1遺伝子におけるCRISPR/SpCas9標的部位
Serpina1遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NRGを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号69154〜70291に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例80−Serpina1遺伝子におけるCRISPR/SaCas9標的部位
Serpina1遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNGRRTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号70292〜70384に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例81−Serpina1遺伝子におけるCRISPR/StCas9標的部位
Serpina1遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNAGAAWを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号70385〜70396に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例82−Serpina1遺伝子におけるCRISPR/TdCas9標的部位
Serpina1遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NAAAACを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号70397〜70399に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例83−Serpina1遺伝子におけるCRISPR/NmCas9標的部位
Serpina1遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNNNGHTTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号70400〜70450に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例84−Serpina1遺伝子におけるCRISPR/Cpf1標的部位
Serpina1遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列YTNを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号70451〜71254に示されるように、PAMに対応するgRNA 22bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例85−TF遺伝子におけるCRISPR/SpCas9標的部位
TF遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NRGを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号71255〜72086に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例86−TF遺伝子におけるCRISPR/SaCas9標的部位
TF遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNGRRTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号72087〜72172に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例87−TF遺伝子におけるCRISPR/StCas9標的部位
TF遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNAGAAWを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号72173〜72184に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例88−TF遺伝子におけるCRISPR/TdCas9標的部位
TF遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NAAAACを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号72185〜72191に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例89−TF遺伝子におけるCRISPR/NmCas9標的部位
TF遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNNNGHTTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号72192〜72235に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例90−TF遺伝子におけるCRISPR/Cpf1標的部位
TF遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列YTNを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号72236〜72871に示されるように、PAMに対応するgRNA 22bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例91−TTR遺伝子におけるCRISPR/SpCas9標的部位
TTR遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NRGを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号72872〜73171に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例92−TTR遺伝子におけるCRISPR/SaCas9標的部位
TTR遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNGRRTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号73172〜73212に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例93−TTR遺伝子におけるCRISPR/StCas9標的部位
TTR遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNAGAAWを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号73213〜73229に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例94−TTR遺伝子におけるCRISPR/TdCas9標的部位
TTR遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NAAAACを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号73230〜73231に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例95−TTR遺伝子におけるCRISPR/NmCas9標的部位
TTR遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列NNNNGHTTを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号73232〜73266に示されるように、PAMに対応するgRNA 20bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例96−TTR遺伝子におけるCRISPR/Cpf1標的部位
TTR遺伝子のエクソン1〜2を、標的部位についてスキャンした。各エリアを、配列YTNを有するプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)についてスキャンした。配列番号73267〜73668に示されるように、PAMに対応するgRNA 22bpのスペーサー配列が、特定された。
実施例97−ガイド鎖のバイオインフォマティクス分析
候補ガイドは、理論性結合及び実験的に評価された活性の両方を含む、複数のステッププロセスにおいてスクリーニングされ、選択されるであろう。例示のために、C9ORF72遺伝子内の部位等の特定のオフターゲット部位を、隣接したPAMと一致させる配列を有する候補ガイドは、意図されるもの以外の染色体上の位置での効果の可能性を評価するために、以下にさらに詳述され、例示されるように、オフターゲット結合を評価するために利用可能な様々なバイオインフォマティクスツールのうちの1つ以上を用いて、同様の配列を有するオフターゲット部位を切断するそれらの可能性について評価され得る。次いで、オフターゲット活性に対して比較的低い可能性を有することが予測される候補は、それらのオンターゲット活性を測定し、次いで様々な部位でオフターゲット活性を測定するために実験的に評価され得る。好ましいガイドは、選択された遺伝子座で所望のレベルの遺伝子編集を達成するために十分に高いオンターゲット活性と、他の染色体遺伝子座で改変の可能性を低減するために比較的低いオフターゲット活性と、を有する。オンターゲット対オフターゲット活性の比は、しばしば、ガイドの「特異性」と称される。
予測されたオフターゲット活性の初期スクリーニングのために、最も可能性が高いオフターゲット部位を予測するために使用することができる、既知であり、公的に入手可能であるいくつかのバイオインフォマティクスツールがあり、CRISPR/Cas9/Cpf1ヌクレアーゼ系における標的部位への結合が、相補配列間のWatson−Crick塩基対合によって動かされるため、相違度(したがって、オフターゲット結合の可能性が低い)は、本質的に一次配列差、ミスマッチ及びバルジ、すなわち、非相補的塩基に変化する塩基、及び標的部位と比較して、潜在的なオフターゲット部位において塩基の挿入または欠失に関連している。COSMIDと称される例示的なバイオインフォマティクスツール(ミスマッチ、挿入、及び欠失を有するCRISPRオフターゲット部位)(crispr.bme.gatech.eduのウェブ上で入手可能)は、このような類似性をコンパイルする。他のバイオインフォマティクスツールとしては、GUIDO、autoCOSMID、及びCCtopが挙げられるが、これらに限定されない。
バイオインフォマティクスは、変異及び染色体再配置の有害効果を低減するために、オフターゲット切断を最小限に抑えるために使用された。CRISPR/Cas9系における研究は、特に、PAM領域からの遠位で塩基対のミスマッチ及び/またはバルジを有するDNA配列に対してガイド鎖の非特異的ハイブリダイゼーションにより、高いオフターゲット活性を示唆した。(例えば、Hsu,P.D.et al.DNA targeting specificity of RNA−guided Cas9 nucleases.Nat Biotechnol 31,827−832(2013)、Fu,Y.et al.High−frequency off−target mutagenesis induced by CRISPR−Cas nucleases in human cells.Nat Biotechnol(2013)、Cradick,T.J.,Fine,E.J.,Antico,C.J.& Bao,G.CRISPR/Cas9 systems targeting β−globin and CCR5 genes have substantial off−target activity.Nucleic Acids Research 41,9584−9592(2013)、Lin,Y.et al.CRISPR/Cas9 systems have off−target activity with insertions or deletions between target DNA and guide RNA sequences.Nucleic Acids Res 42,7473−7485(2014)を参照のこと)。したがって、塩基対ミスマッチに加えて、RNAガイド鎖とゲノム配列との間の挿入及び/または欠失を有する潜在的なオフターゲット部位を特定し得ることができるバイオインフォマティクスツールを有することは重要である。したがって、バイオインフォマティクスツール、COSMID(ミスマッチ、挿入、及び欠失を有するCRISPRオフターゲット部位)は、潜在的なCRISPRオフターゲット部位(http_crispr_bme_gatech_eduのウェブ上で入手可能)に対するゲノムを検索するために使用された。COSMID出力は、ミスマッチの数及び位置に基づいて潜在的なオフターゲット部位の一覧を順位化し、標的部位のさらに情報を持つ選択を可能にし、オフターゲット切断の可能性が高い部位の使用を避けた。
領域内のgRNA標的部位の推定されるオンターゲット及び/またはオフターゲット活性を較量する、さらなるバイオインフォマティクスパイプラインが、用いられた。活性を予測するために使用され得る他の特性は、問題になっている細胞型についての情報、DNA接近性、クロマチン状態、転写因子結合部位、転写因子結合データ、及び他のCHIP−seqデータを含む。編集の有効性、例えば、gRNAの対の相対位置及び方向、局所的配列特性、及びマイクロホモロジーを予測する、さらなる要因が、較量される。(例えば、Naito,Y.,Hino,K.,Bono,H.& Ui−Tei,K.CRISPRdirect:software for designing CRISPR/Cas guide RNA with reduced off−target sites.Bioinformatics 31,1120−1123(2015)、Cradick,T.J.,Qui,P.,Lee,C.M.,Fine,E.J.& Bao,G.COSMID:A Web−based Tool for Identifying and Validating CRISPR/Cas Off−target Sites.Molecular Therapy−Nucleic Acids,e214(2014)、Guell,M.,Yang,L.& Church,G.M.Genome editing assessment using CRISPR Genome Analyzer(CRISPR−GA).Bioinformatics 30,2968−2970(2014)、Prykhozhij,S.V.,Rajan,V.,Gaston,D.& Berman,J.N.CRISPR multitargeter:a web tool to find common and unique CRISPR single guide RNA targets in a set of similar sequences.PLoS One 10,e0119372(2015)、Montague,T.G.,Cruz,J.M.,Gagnon,J.A.,Church,G.M.& Valen,E.CHOPCHOP:a CRISPR/Cas9 and TALEN web tool for genome editing.Nucleic Acids Res 42,W401−407(2014)、Bae,S.,Kweon,J.,Kim,H.S.& Kim,J.S.Microhomology−based choice of Cas9 nuclease target sites.Nat Methods 11,705−706(2014)、Bae,S.,Park,J.& Kim,J.S.Cas−OFFinder:a fast and versatile algorithm that searches for potential off−target sites of Cas9 RNA−guided endonucleases.Bioinformatics 30,1473−1475(2014)、Stemmer,M.,Thumberger,T.,Del Sol Keyer,M.,Wittbrodt,J.& Mateo,J.L.CCTop:An Intuitive,Flexible and Reliable CRISPR/Cas9 Target Prediction Tool.PLoS One 10,e0124633(2015)を参照のこと)。
実施例98−オフターゲット活性のための細胞中の好ましいガイドの試験
次いで、最低オフターゲット活性を有することが予測されるgRNAは、HEK293TまたはK562等のモデル細胞株中のオフターゲット活性に対して試験され、TIDEまたは次世代シークエンシングを用いて、インデル頻度に対して評価されるであろう。TIDEは、ガイドRNA(sgRNA)によって決定される標的遺伝子座のCRISPR−Cas9によってゲノム編集を迅速に評価するためのウェブツールである。2つの標準的なキャピラリーシークエンシング反応からの定量的配列追跡データに基づいて、TIDEソフトウェアは、編集の有効性を定量化し、標的化した細胞プールのDNA中の主要な種類の挿入及び欠失(インデル)を特定する。詳細な説明及び例のために、Brinkman et al,Nucl.Acids Res.(2014)を参照のこと。ハイスループットシークエンシングとしても既知である、次世代シークエンシング(NGS)は、Illumina(Solexa)シークエンシング、Roche 454シークエンシング、Ion torrent:Proton/PGMシークエンシング、及びSOLiDシークエンシングを含む、多くの異なる近代的シークエンシング技術を記載するために使用されるあらゆる状況に対応できる用語である。これらの最新技術は、これまでに使用されたSangerシークエンシングよりもはるかに迅速かつ安価にDNA及びRNAの配列を決定することができ、したがって、ゲノミクス及び分子生物学の研究に革命を起こす。
組織培養細胞のトランスフェクションは、異なる構築物をスクリーニングし、活性及び特異性を試験するロバストな手段を可能にする(Cradick,T.J.,Qui,P.,Lee,C.M.,Fine,E.J.& Bao,G.COSMID:A Web−based Tool for Identifying and Validating CRISPR/Cas Off−target Sites.Molecular Therapy−Nucleic Acids,e214(2014))。K−562またはHEK293T等の組織培養細胞株は、容易にトランスフェクトされ、高い活性をもたらす。これらのまたは他の細胞株は、CD34+と一致する細胞株を決定し、最良の代理物を提供するために評価されよう。次いで、これらの細胞は、多くの初期段階試験のために使用されよう。例えば、S.pyogenes Cas9のための個々のgRNAは、ヒト細胞における発現に好適である、プラスミドを用いて細胞にトランスフェクトされるであろう。数日後、ゲノムDNAを採取し、標的部位をPCRによって増幅する。切断活性は、遊離DNA末端のNHEJ修復によって導入される挿入、欠失、及び変異の速度によって測定され得る。この方法は、この方法で切断されていないDNAから正しく修復された配列を分化させることができないが、切断のレベルは、ミス修復によって評価され得る。オフターゲット活性は、特定された推定上のオフターゲット部位を増幅し、切断を検出するために同様の方法を用いることによって観察され得る。転座はまた、特異的切断及び転座が起こるかどうかを決定するために、切断部位に隣接するプライマーを用いてアッセイされ得る。guide−seqを含むオフターゲット切断の相補的試験を可能にする、無誘導アッセイが、開発されている(Kim,D.et al.Digenome−seq:genome−wide profiling of CRISPR−Cas9 off−target effects in human cells.Nat Methods 12,237−243,231p following 243(2015)、Frock,R.L.et al.Genome−wide detection of DNA double−stranded breaks induced by engineered nucleases.Nat Biotechnol 33,179−186(2015)、Wang,X.et al.Unbiased detection of off−target cleavage by CRISPR−Cas9 and TALENs using integrase−defective lentiviral vectors.Nat Biotechnol 33,175−178(2015)、Tsai,S.Q.et al.GUIDE−seq enables genome−wide profiling of off−target cleavage by CRISPR−Cas nucleases.Nat Biotechnol(2014)、Kuscu,C.,Arslan,S.,Singh,R.,Thorpe,J.& Adli,M.Genome−wide analysis reveals characteristics of off−target sites bound by the Cas9 endonuclease.Nat Biotechnol 32,677−683(2014))。次いで、有意な活性を有するgRNAまたはgRNAの対は、C9ORF72遺伝子の発現レベルを測定するために、培養細胞中で追跡調査され得る。オフターゲット事象は、再度続き得る。同様に、CD34+細胞は、トランスフェクトされ、遺伝子修正のレベル及び可能なオフターゲット事象が測定され得る。これらの実験は、ヌクレアーゼ及びドナー設計及び送達の最適化を可能にする。
実施例99−オフターゲット活性のための細胞中の好ましいガイドの試験
次いで、上記の実施例におけるTIDE及び次世代シークエンシング研究からの最良のオンターゲット活性を有するgRNAは、全ゲノムシークエンシングを用いてオフターゲット活性について試験されるであろう。候補gRNAは、CD34+細胞またはiPSCにおいてより完全に評価されるであろう。
実施例100−HDR遺伝子編集のための異なるアプローチの試験
オンターゲット活性及びオフターゲット活性の両方のgRNAを試験した後、変異修正及びノックイン戦略は、HDR遺伝子編集について試験されよう。
変異修正アプローチのために、ドナーDNA鋳型は、短い一本鎖オリゴヌクレオチド、短い二本鎖オリゴヌクレオチド(無傷のPAM配列/変異したPAM配列)、長い一本鎖DNA分子(無傷のPAM配列/変異したPAM配列)、または長い二本鎖DNA分子(無傷のPAM配列/変異したPAM配列)として提供されるであろう。加えて、ドナーDNA鋳型は、AAVによって送達されよう。
cDNAノックインアプローチのいくつかの実施形態のために、セーフハーバー遺伝子座(例えば、AAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、G6PC、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTR)、18q11.2領域、14q24.3領域、または11p15.4領域に対して相同アームを有する一本鎖または二本鎖DNAは、C9ORF72遺伝子の40nt超の第1のエクソン(第1のコーディングエクソン)、C9ORF72遺伝子の完全CDS、及びC9ORF72遺伝子の3’UTR、及び少なくとも40ntの以下のイントロンを含み得る。セーフハーバー遺伝子座(例えば、AAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、G6PC、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTR)、18q11.2領域、14q24.3領域、または11p15.4領域に対して相同アームを有する一本鎖または二本鎖DNAは、C9ORF72遺伝子の80nt超の第1のエクソン、C9ORF72遺伝子の完全CDS、及びC9ORF72遺伝子の3’UTR、及び少なくとも80ntの以下のイントロンを含み得る。セーフハーバー遺伝子座(例えば、AAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、G6PC、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTR)、18q11.2領域、14q24.3領域、または11p15.4領域に対して相同アームを有する一本鎖または二本鎖DNAは、C9ORF72遺伝子の100nt超の第1のエクソン、C9ORF72遺伝子の完全CDS、及びC9ORF72遺伝子の3’UTR、及び少なくとも100ntの以下のイントロンを含み得る。セーフハーバー遺伝子座(例えば、AAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、G6PC、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTR)、18q11.2領域、14q24.3領域、または11p15.4領域に対して相同アームを有する一本鎖または二本鎖DNAは、C9ORF72遺伝子の150nt超の第1のエクソン、C9ORF72遺伝子の完全CDS、及びC9ORF72遺伝子の3’UTR、及び少なくとも150ntの以下のイントロンを含み得る。セーフハーバー遺伝子座(例えば、AAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、G6PC、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTR)、18q11.2領域、14q24.3領域、または11p15.4領域に対して相同アームを有する一本鎖または二本鎖DNAは、C9ORF72遺伝子の300nt超の第1のエクソン、C9ORF72遺伝子の完全CDS、及びC9ORF72遺伝子の3’UTR、及び少なくとも300ntの以下のイントロンを含み得る。セーフハーバー遺伝子座(例えば、AAVS1(PPP1R12C)、ALB、Angptl3、ApoC3、ASGR2、CCR5、FIX(F9)、G6PC、Gys2、HGD、Lp(a)、Pcsk9、Serpina1、TF、及びTTR)、18q11.2領域、14q24.3領域、または11p15.4領域に対して相同アームを有する一本鎖または二本鎖DNAは、C9ORF72遺伝子の400nt超の第1のエクソン、C9ORF72遺伝子の完全CDS、及びC9ORF72遺伝子の3’UTR、及び少なくとも400ntの以下のイントロンを含み得る。加えて、DNA鋳型は、AAVによって送達されよう。
cDNAまたはミニ遺伝子ノックインアプローチのために、9p21.2に対して相同アームを有する一本鎖または二本鎖DNAは、C9ORF72遺伝子の80nt超の第1のエクソン(第1のコーディングエクソン)、C9ORF72遺伝子の完全CDS、及びC9ORF72遺伝子の3’UTR、及び少なくとも80ntの以下のイントロンを含む。加えて、DNA鋳型は、AAVによって送達されよう。
実施例101−主なCrispr−Cas9/DNAドナーの組み合わせの再評価
HDR遺伝子編集のための異なる戦略を試験した後、主なCRISPR−Cas9/DNAドナーの組み合わせは、欠失、組換え、及びオフターゲット特異性の有効性のために初代ヒト神経細胞中で再評価されよう。Cas9 mRNAは、送達のために脂質ナノ粒子に製剤化され、sgRNAは、ナノ粒子に製剤化またはAAVとして送達され、ドナーDNAは、ナノ粒子に製剤化またはAAVとして送達されよう。
実施例102−関連マウスモデルにおけるインビボ試験
最近、正常なヘキサヌクレオチド反復補体または拡大したヘキサヌクレオチド反復のいずれかとともに、ヒトC9ORF72遺伝子を含有するマウスモデルが、生成された。Tg(C9orf72_3)株112マウス(Jackson Laboratory、ストック番号023099)は、ヒトC9orf72_3トランス遺伝子のいくつかのタンデムコピーを有し、各コピーが、100〜1000反復([GGGGCC]100〜1000)を有する。対照として、Tg(C9orf72_2)株8マウス(Jackson Laboratory、ストック番号023088)は、15のヘキサヌクレオチド反復([GGGGCC]15)を有するC9orf72_2トランス遺伝子を有する。Tg(C9orf72_3)株112及びTg(C9orf72_2)株8からの半接合体マウスは、生存可能であり、増殖に適し、メンデル比で生まれ、16月齢でいかなる運動または認識の表現型も発現しない。
しかしながら、3月齢までに、半接合体Tg(C9orf72_3)株112動物は、脳の最も神経集団におけるRNA病巣(ヘキサヌクレオチド反復拡大を含有するヒトC9ORF72 RNAによって形成される)及びポリ(GP)ジペプチド(反復拡大の非ATG開始翻訳に起因する)を示す。No RNA病巣またはポリ(GP)ジペプチド表現型は、半接合体Tg(C9orf72_2)株8に対して観察される。(O’Rourke(2015) Neuron Volume 88,Issue 5,p892−901,2 December 2015 「C9orf72 BAC Transgenic Mice Display Typical Pathologic Features of ALS/FTD」)。
gRNAは、C9ORF72においてヘキサヌクレオチド反復拡大を改変し、表現型の変化、例えば、RNA病巣及び反復関連の非ATG(RAN)翻訳ジペプチドの抑制または緩和、ならびに半接合体Tg(C9orf72_3)株112動物において示される結果として生じた改変されたヌクレオリン分布及び核機能不全の抑制または緩和を行う、それらの能力を評価するために、動物において試験されよう。
実施例103−C9ORF72のインビトロ転写
C9ORF72 DNA標的領域を編集することができる大きなスペクトルの一対のgRNAを特定するために、インビトロ転写(IVT)のgRNAスクリーニングを行った。C9ORF72ゲノム配列は、a gRNA設定ソフトウェアを用いて分析のために提示された。結果として得られたgRNAの表は、配列の特異性(ゲノム中で他にスクリーニングされた完全一致しないgRNAのみ)に基づいて約200 gRNAの一覧表(表3を参照のこと)に狭め、最小限にオフターゲットを予測した。
表3中のgRNAは、インビトロ転写され、Cas9を構造的に発現するHEK293T細胞にメッセンジャーMaxを用いてトランスフェクトされた。細胞を、トランスフェクトから48時間後に採取し、ゲノムDNAを単離し、切断効率は、TIDE分析を用いて評価された。(図1)。約25%の試験したgRNAが80%を超える切断効率を誘導したことが見出された。
例示的な実施形態に関する注記
本開示は、本発明の様々な態様及び/またはその潜在的用途を示す目的のために様々な特定の態様の説明を提供するが、変形及び修飾が当業者に生じるであろうことが理解されよう。したがって、本明細書に記載される本発明(複数可)は、少なくともそれらが特許請求されるものと同じく広範で、本明細書に提供される特定の例示的な態様によってより狭く定義されないことが理解されるべきである。
本明細書に特定されるあらゆる特許、刊行物、または他の開示材料は、特に記載のない限り、組み込まれた材料が、本明細書に明示的に記載される既存の説明、定義、声明、または他の開示材料と矛盾しない程度にまで、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。したがって、必要な程度まで、本明細書に記載される本開示は、参照により組み込まれた任意の矛盾した材料に優先する。参照により組み込まれると言われているが、本明細書に記載される既存の定義、声明、または他の開示材料と矛盾する、任意の材料、またはこれらの一部は、組み込まれた材料と既存の開示材料との間に生じる矛盾がない程度までのみ組み込まれる。出願者らは、本明細書において参照により組み込まれる任意の主題またはその一部を明示的に列挙するために本明細書を修正する権利を留保する。