次に、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は洗浄便座装置10が取り付けられた便器1の外観斜視図であり、図2は洗浄便座装置10の構成の概略を示す構成図であり、図3はノズルユニット20の外観斜視図である。また、図4はシャッター50が閉じた状態のノズルユニット20の外観斜視図であり、図5はシャッター50が開いた状態のノズルユニット20の外観斜視図であり、図6はシャッター50の外観斜視図であり、図7は局部洗浄ノズルの断面の概略形状を示す説明図である。本実施形態において、左右方向、前後方向及び上下方向は、図3〜図6に示した通りとする。
便器1は、洋式便器であり、便器1の上面に洗浄便座装置10が設置されている。洗浄便座装置10は、図1に示すように、便器1の後方に設置される便座装置本体11と、便座装置本体11に回動自在に支持された便座12と、便座装置本体11に回動自在に支持された便蓋13と、使用者により操作される操作パネル14とを備える。
便座装置本体11は、2つの局部洗浄ノズルとしておしり洗浄ノズル21とビデ洗浄ノズル22とを有するノズルユニット20と、洗浄便座装置10全体を制御する制御装置60とを備える。ノズルユニット20は、図2〜図5に示すように、おしり洗浄ノズル21を前後方向に進退移動させるおしり洗浄ノズル駆動部31と、ビデ洗浄ノズル22を前後方向に進退移動させるビデ洗浄ノズル駆動部32と、おしり洗浄ノズル21とビデ洗浄ノズル22の外周全体を覆うノズルカバー40と、ノズルカバー40の前方を覆う可動式のシャッター50(図3では図示略)とを備える。
おしり洗浄ノズル21とビデ洗浄ノズル22は、伸縮しない単段式の軸状ノズル部材である。おしり洗浄ノズル21とビデ洗浄ノズル22は、図示は省略するが、それぞれ、内部に洗浄水の流路が形成された中空円筒状の樹脂製のノズル本体と、ノズル本体の外表面に撥水処理により形成された撥水性層とにより構成されている。なお、ノズル本体の外表面は撥水性層に限られず、例えば特開2000−308861号公報などに開示されるように親水処理により形成された親水性層が構成されるものとしてもよい。また、おしり洗浄ノズル21とビデ洗浄ノズル22の断面の外形は、図7(a)〜(c)に示すように、円形状や楕円形状など曲線状に形成されるものでもよいし、図7(d),(e)に示すように、断面の一部(上部または下部など)が平坦状(直線状)に形成されるものでもよい。また、おしり洗浄ノズル21とビデ洗浄ノズル22を、複数段のノズル部材により伸縮可能に構成してもよい。
おしり洗浄ノズル駆動部31は、図示は省略するが、駆動源としてのモータと、モータにより回転するピニオンギヤと、ピニオンギヤに噛み合うと共におしり洗浄ノズル21に先端部が接続されピニオンギヤの回転に伴って移動可能なラック(フレキシブルラック)とを備え、モータの正回転または逆回転によりおしり洗浄ノズル21を前方または後方に移動させる。また、ビデ洗浄ノズル駆動部32も同様に構成されている。なお、制御装置60は、おしり洗浄ノズル駆動部31やビデ洗浄ノズル駆動部32の各モータの回転量や図示しない位置センサなどから、おしり洗浄ノズル21やビデ洗浄ノズル22の位置を検出可能である。
ノズルカバー40は、図3〜図5に示すように、下カバー部材41と、上カバー部材43と、前壁部材45とにより構成されている。下カバー部材41は、前方に向かって斜め下方に傾斜する上面におしり洗浄ノズル21とビデ洗浄ノズル22がそれぞれ載置される。また、下カバー部材41は、その幅方向両側縁に複数の係合爪42を有しており、複数の係合爪42が上カバー部材43の対向する位置に設けられた複数の係合溝44と係合することにより、上カバー部材43が下カバー部材41に取り付けられる。また、前壁部材45は、下カバー部材43の前方端に配設されている。前壁部材45には、おしり洗浄ノズル21とビデ洗浄ノズル22がそれぞれ進退移動するための開口45a,45b(図3参照)が形成されている。これにより、おしり洗浄ノズル21とビデ洗浄ノズル22は、下カバー部材41と上カバー部材43と前壁部材45とにより囲まれて、ノズルカバー40に収容される。
シャッター50は、図4,図5に示すように、左右に延びる長尺の平板状部材であり、上辺部に設けられた回動軸51回りに回動する。なお、回動軸51は中空軸状に形成されており、図示は省略するが、便座装置本体11に設けられる支持部材の支持軸が中空部内に嵌め込まれることで回動可能に支持される。シャッター50は、閉状態(図4参照)でノズルカバー40の前方(開口45a,45b)即ちおしり洗浄ノズル21やビデ洗浄ノズル22の先端を覆い、表面50aが視認される。これにより、おしり洗浄ノズル21やビデ洗浄ノズル22、更にはその周辺部の汚れをかくして美観を維持することができる。また、シャッター50は、おしり洗浄ノズル駆動部31の駆動によりおしり洗浄ノズル21が進出したりビデ洗浄ノズル駆動部32の駆動によりビデ洗浄ノズル22が進出したりすると、進出するノズル(図5ではおしり洗浄ノズル21)に裏面50bが押されて回動軸51回りに回動することで開状態となる(図5参照)。また、シャッター50は、図示しないスプリングによって閉方向に付勢されており、おしり洗浄ノズル21とビデ洗浄ノズル22がノズルカバー40内に収容されると、スプリングの付勢力により閉状態となる。なお、図6は、シャッター50を裏面50bから見た外観斜視図である。
このシャッター50には、閉状態において下方側を向き開状態において局部洗浄ノズルの進退方向における前方側を向く端面50cに丸穴状に形成された複数(例えば4つ)の吐出口52と、裏面50bから逆L字状に突出し洗浄水が供給される供給口53と、供給口53から供給された洗浄水を貯留して各吐出口52まで流通させるようにシャッター50内に形成された供給流路54とが設けられている。端面50cに形成された吐出口52は、シャッター50の閉状態で下方側を向いており使用者に視認されることはないから、シャッター50の美観を損ねることはない。また、端面50cは、シャッター50の平板面としての表面50a(裏面50b)を挟んで回動軸51と相対するため、シャッター50が開状態となると、吐出口52がノズルカバー40から進出している局部洗浄ノズルの上方に位置すると共に局部洗浄ノズルの進退移動方向(軸方向)に沿った向きとなる。なお、複数の吐出口52は、ノズルカバー40から進出したおしり洗浄ノズル21の上方の範囲内となる位置(図5参照)と、ノズルカバー40から進出したビデ洗浄ノズル22の上方の範囲内となる位置に、同じ数(例えば2つ)ずつ形成されている。
ノズルユニット20は、図2に示すように、給水源からの給水を所定の給水圧に減圧する給水減圧弁23と、給水減圧弁23を通過した洗浄水を加熱するヒータや温度センサが設けられた熱交換ユニット25と、洗浄水の流量を調整する流量調整弁27と、流量調整弁27から出力された洗浄水の供給先を切り替える流路切替弁28とを備える。おしり洗浄ノズル21とビデ洗浄ノズル22とは、図2に示すように、流路切替弁28に接続されている。流路切替弁28は、供給先をおしり洗浄ノズル21とビデ洗浄ノズル22のいずれかに切り替えるものであり、図示しないモータにより駆動されるロータリバルブやディスクバルブなどとして構成されている。
また、ノズルユニット20は、給水減圧弁23から熱交換ユニット25までの流路から分岐してシャッター50の供給口53に洗浄水を供給可能に接続されるシャッター用供給路29aと、シャッター用供給路29aに設けられた開閉弁29とを備える。なお、開閉弁29から供給口53までのシャッター用供給路29aは、可撓性のホースなどにより構成されている。開閉弁29を開くことにより、シャッター用供給路29aから供給口53を介して供給流路54に洗浄水を供給して吐出口52からの洗浄水の吐出を開始し、開閉弁29を閉じることにより、吐出口52からの洗浄水の吐出を終了する。上述したように、吐出口52は、シャッター50が開状態でノズルカバー40から進出している局部洗浄ノズルの上方に位置する。また、おしり洗浄ノズル21とビデ洗浄ノズル22は、先端側が下がるようにノズルカバー40から傾斜して進出する。このため、吐出口52から吐出された洗浄水は、ノズルカバー40から進出している局部洗浄ノズルの根元側から局部洗浄ノズルの外表面の上部(局部洗浄洗浄ノズルの断面上側)を伝うように、局部洗浄ノズルの先端側に向かって流れるものとなる。
制御装置60は、図示は省略するが、CPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他にROMやRAM,入出力ポートなどを備える。制御装置60には、図2に示すように、操作パネル14からの操作信号や着座センサ15からの検知信号などが入力ポートを介して入力される。また、制御装置60からは、給水減圧弁23への駆動信号や熱交換ユニット25への駆動信号,流量調整弁27への駆動信号,流路切替弁28への駆動信号,開閉弁29への駆動信号,おしり洗浄ノズル駆動部31への駆動信号、ビデ洗浄ノズル駆動部32への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、操作パネル14には、おしり洗浄を指示するおしり洗浄スイッチやビデ洗浄を指示するビデ洗浄スイッチ、洗浄の強さを調整する洗浄強さ調整スイッチ、洗浄の停止などを指示する停止スイッチなどが設けられている。
次に、こうして構成された洗浄便座装置10(ノズルユニット20)の動作について説明する。図8は、ノズルユニット作動処理の一例を示すフローチャートである。制御装置60は、着座センサ15により使用者の便座12への着座を判定した場合に、この処理を実行する。また、図示は省略するが、制御装置60は、着座センサ15により使用者の着座が検知されなくなった場合などに、この処理を終了する。
このノズルユニット作動処理では、制御装置60は、まず、局部洗浄(おしり洗浄またはビデ洗浄)の開始が指示されるのを待つ(S100)。S100の判定は、着座センサ15からの検知信号により使用者が便座12に着座していると判定している状態で、操作パネル14からの操作信号によりおしり洗浄スイッチやビデ洗浄スイッチが操作されたか否かに基づいて行われる。S100で局部洗浄の開始が指示されたと判定すると、開閉弁29を開いてシャッター50の吐出口52から洗浄水を吐出させてノズル洗浄を開始すると共に(S110)、局部洗浄を行う局部洗浄ノズル(おしり洗浄ノズル21およびビデ洗浄ノズル22のいずれか、以下同じ)をノズルカバー40から進出させる(S120)。上述したように、局部洗浄ノズルの進出によりシャッター50が開状態となって吐出口52が前方を向くから、吐出口52から吐出する洗浄水によって、局部洗浄位置へ移動中の局部洗浄ノズルの外表面を洗浄することができる。
次に、制御装置60は、局部洗浄ノズルが洗浄位置に到達するのを待ち(S130)、洗浄位置に到達したと判定すると、局部洗浄ノズルから洗浄水を吐出させて局部洗浄を開始する(S140)。そして、局部洗浄(おしり洗浄またはビデ洗浄)の停止が指示されるのを待つ(S150)。S150の判定は、操作パネル14の停止スイッチが操作されたか否かに基づいて行われる。制御装置60は、局部洗浄の停止が指示されたと判定すると、局部洗浄を終了し(S160)、洗浄位置にある局部洗浄ノズルの後退(ノズルカバー40内への移動)を開始して(S170)、局部洗浄ノズルがノズルカバー40内の収容位置(待機位置)に到達するのを待つ(S180)。局部洗浄ノズルが収容位置に到達したと判定すると、開閉弁29を閉じてシャッター50の吐出口52から洗浄水の吐出を終了することでノズル洗浄を終了して(S190)、S100に戻り処理を行う。
このように、本実施例では、局部洗浄開始指示に基づきS110で吐出口52から洗浄水の吐出を開始すると、局部洗浄中および局部洗浄が終了して局部洗浄ノズルがノズルカバー40内に収容されるまで、吐出口52から洗浄水を吐出し続けるものとなる。このため、局部洗浄開始時の移動中(前進中)に局部洗浄ノズルの外表面を洗浄水で濡らすことができるから、局部洗浄中にノズル外表面に汚れが付着したとしても、その汚れを落ちやすくすることができる。また、局部洗浄中にも洗浄水を吐出することで、局部洗浄中にノズル外表面に付着した汚れを速やかに除去することができる。また、局部洗浄終了後の移動中(後退中)に洗浄水を吐出することで、ノズル外表面に汚れが付着していても、その汚れがノズルカバー40内に入る前に除去することができる。さらに、局部洗浄ノズルの移動中(前進中や後退中)に吐出口52から吐出される洗浄水の水音を聞いた使用者は、局部洗浄ノズルが洗浄されていることを認識するから、衛生面に対する不安を払拭することができる。
以上説明した洗浄便座装置10では、シャッター50の端面50cに吐出口52を形成し、局部洗浄ノズルの前進によりシャッター50が回動して開状態になると吐出口52から局部洗浄ノズルに洗浄水を吐出してノズル洗浄を行う。これにより、除去した汚れがノズルカバー40内に留まることがないから、局部洗浄ノズルの汚れをより適切に除去して局部洗浄ノズルの清潔性を保つことができる。また、ノズル洗浄を行うための洗浄部材(洗浄器)をシャッター50とは別に設けるものに比して、ノズルユニット20の構成をコンパクトなものとすることができる。また、シャッター50の閉状態で吐出口52は視認されないため、シャッター50の美観を損ねることなく、シャッター50にノズル洗浄機能を付加することができる。
また、洗浄便座装置10では、洗浄位置への移動中および収容位置への移動中にシャッター50の吐出口52から洗浄水を吐出するから、ノズル外表面に汚れが付着しても落ちやすくすると共にノズル外表面に付着した汚れがノズルカバー40内に入るのを防止することができる。また、局部洗浄ノズルが洗浄されていることを使用者に認識させて、衛生面に対する不安を払拭させることができる。また、局部洗浄中もシャッター50の吐出口52から洗浄水を吐出するから、局部洗浄中に局部洗浄ノズルに付着した汚れを速やかに洗い落とすことができる。
また、洗浄便座装置10では、端面50cに丸穴状に形成された複数の吐出口52が設けられるから、必要とされる洗浄水の水量に応じて適切な数や口径の吐出口52を比較的容易に形成することができる。
上述した実施形態では、局部洗浄ノズルの前進中と局部洗浄中、後退中のいずれにおいてもシャッター50の吐出口52から洗浄水を吐出してノズル洗浄を行うものとしたが、これに限られるものではない。ここで、図9は、変形例のノズルユニット作動処理の一例を示すフローチャートである。変形例では、実施例のノズルユニット作動処理と同じ処理には同じステップ番号を付して説明を省略する。
図9の変形例のノズルユニット作動処理では、S130で洗浄位置に局部洗浄ノズルが到達すると、シャッター50の吐出口52から洗浄水の吐出を終了してノズル洗浄を終了する(S135)。また、S160で局部洗浄を終了すると、シャッター50の吐出口52から洗浄水の吐出を開始してノズル洗浄を開始し(S165)、S180で局部洗浄ノズルが収容位置へ到達するとS190でノズル洗浄を終了する。このように、変形例では、局部洗浄中にはシャッター50の吐出口52から洗浄水を吐出せず、局部洗浄ノズルの前進中および後退中に吐出口52から洗浄水を吐出してノズル洗浄を行うのである。これにより、実施形態と同様に、局部洗浄開始時の移動中に局部洗浄ノズルの外表面を洗浄水で濡らしたり、局部洗浄終了時の移動中に局部洗浄ノズルの外表面に付着している汚れを除去したり、移動中の洗浄水の水音から使用者の衛生面に対する不安を払拭させたりすることができる。なお、局部洗浄ノズルの前進中と後退中のいずれもシャッター50によるノズル洗浄を行うものに限られず、前進中と後退中のいずれか一方でノズル洗浄を行ってもよい。また、局部洗浄ノズルの前進中と局部洗浄中にノズル洗浄を行ってもよいし、局部洗浄中と局部洗浄ノズルの後退中にノズル洗浄を行ってもよい。
なお、この変形例では、シャッター50の吐出口52からの洗浄水の吐出と、局部洗浄ノズルからの洗浄水の吐出とを重複したタイミングで行わないから、流路切替弁28の切替先の1つとしてシャッター50(供給口53)を接続することができる。そして、局部洗浄ノズルの前進中はシャッター50(供給口53)側に切り替え、局部洗浄ノズルが洗浄位置へ到達すると局部洗浄ノズル(おしり洗浄ノズル21またはビデ洗浄ノズル22)側に切り替え、局部洗浄が終了して局部洗浄ノズルの後退中はシャッター50側に切り替えるように流路切替弁28を制御すればよい。これにより、開閉弁29を不要として、より簡易な構成とすることができる。
実施形態では、シャッター50の供給口53を逆L字状としたが、これに限られるものではない。例えば、図10の変形例のシャッター150に示すように、シャッター150の裏面50bから垂直に延在するように供給口153を形成するものなどとしてもよい。
実施形態では、シャッター50の吐出口52が丸穴状に形成されるものとしたが、これに限られず、洗浄水を吐出可能であれば如何なる形状としてもよい。例えば、図11の変形例のシャッター250に示すように、左右方向に延びる横長のスリット状に吐出口252を形成するものなどとしてもよい。この吐出口252のスリットの内寸(左右方向の幅)は、局部洗浄ノズルの左右の幅に応じたものなどとすることができる。例えば、スリットの内寸は、図7(a)の局部洗浄ノズルの直径と略同じとしたり、図7(b)の局部洗浄ノズルの短軸長さと略同じとしたり、図7(c)の局部洗浄ノズルの最大幅と略同じとしたり、図7(d)や図7(e)の局部洗浄ノズルの平坦部分の幅または最大幅と略同じとしたりすることができる。このようなスリット状の吐出口252から洗浄水を吐出することで、局部洗浄ノズルの外表面の上部に満遍なく洗浄水をかけることができるから、洗浄水を過不足なく供給して、外表面の上部の全面に亘って汚れの付着防止や付着した汚れの除去を適切に行うことができる。
実施形態では、シャッター50の裏面50bに供給口53が設けられるものとしたが、これに限られるものではない。例えば、図12の変形例のシャッター350に示すように、シャッター350の左右の回動軸のいずれか一方(図12では右側の回動軸351)の中空部を供給口353として用いるものとしてもよい。即ち、回動軸351を中空軸状に形成し、その中空部を供給口353と兼用するのである。また、図示は省略するが、回動軸351は、便座装置本体11に設けられる支持部材の挿入穴に嵌め込まれることで回動可能に支持される。このようにすれば、回動軸351に供給口353を設けるコンパクトな構成として、シャッター50によるノズル洗浄を行うものとした場合にレイアウト上の制約が生じるのを抑制することができる。
また、シャッター50によるノズル洗浄に加えて、ノズルカバー40内に設けられる洗浄器によるノズル洗浄を行うものとしてもよい。図13は変形例のノズルユニット20Bの外観斜視図であり、図14はカバー内洗浄器55の外観斜視図であり、図15は変形例のノズルユニット作動処理を示すフローチャートである。図15では、図9のノズルユニット作動処理と同じ処理には同じステップ番号を付して説明を省略する。図13,図14に示すように、変形例のノズルユニット20Bは、ノズルカバー40B内(収容位置)の局部洗浄ノズルに向けて洗浄水を吐出可能なカバー内洗浄器55を備えており、カバー内洗浄器55は、供給口57から供給された洗浄水を複数の吐出口56から吐出可能に構成されている。カバー内洗浄器55がノズルカバー40B(上カバー部材43B)の図示しない開口に取り付けられた状態で、各吐出口56が局部洗浄ノズルの側方に位置するものとなる。また、図示は省略するが、供給口57には、流路切替弁28に接続された供給管(ホース)が接続されている。なお、カバー内洗浄器は、図13,図14の例に限られず、前後方向における長さを短くして局部洗浄ノズルの軸方向の一部のみ(例えば先端部や中央部のみ)に洗浄水を吐出するものなどとしてもよい。
図15のノズルユニット作動処理では、S100で局部洗浄の開始が指示されると流路切替弁28を切り替えてカバー内洗浄器55の吐出口56から洗浄水を吐出させることでノズル洗浄を開始すると共に(S105)、S110でシャッター50によるノズル洗浄を開始する。そして、S130で洗浄位置に局部洗浄ノズルが到達すると、カバー内洗浄器55によるノズル洗浄を終了し(S132)、S135でシャッター50によるノズル洗浄を終了する。また、S160で局部洗浄を終了すると、S165でシャッター50によるノズル洗浄を開始すると共に、流路切替弁28を切り替えてカバー内洗浄器55の吐出口56から洗浄水を吐出させることでノズル洗浄を開始する(S167)。そして、S180で収容位置に局部洗浄ノズルが到達すると、S190でシャッター50によるノズル洗浄を終了すると共に、カバー内洗浄器55によるノズル洗浄を終了する(S195)。このように、シャッター50によるノズル洗浄と、カバー内洗浄器55によるノズル洗浄との相乗効果により、局部洗浄ノズルの外表面に汚れが付着するのをより一層抑制すると共に付着した汚れをより確実に除去することができる。なお、S180で収容位置に局部洗浄ノズルが到達してから所定時間に亘りカバー内洗浄器55によるノズル洗浄を継続し、所定時間が経過するとカバー内洗浄器55によるノズル洗浄を終了するものなどとしてもよい。また、この変形例において、実施形態と同様に、局部洗浄の開始が指示されてから局部洗浄を経て収容位置に局部洗浄ノズルが到達するまで、シャッター50によるノズル洗浄を継続して行うものとしてもよい。
実施形態では、制御装置60が行うノズルユニット作動処理の中でシャッター50によるノズル洗浄を行うものとしたが、これに限られず、シャッター50によるノズル洗浄指示を行うための洗浄スイッチを操作パネル14に設けておき、使用者からの操作指示に基づいてノズル洗浄を行うものとしてもよい。このようにする場合、操作パネル14の洗浄スイッチの操作が行われると、局部洗浄ノズルを前進させると共に局部洗浄ノズルの前進により開状態となったシャッター50の吐出口52から洗浄水を吐出させる。これにより、使用者は、吐出口52から吐出される洗浄水を利用しながら、おしり洗浄ノズル21やビデ洗浄ノズル22の清掃作業を行うことができる。また、再度洗浄スイッチの操作が行われるか停止スイッチの操作が行われると、局部洗浄ノズルを後退させ、収容位置に到達すると吐出口52からの洗浄水の吐出を終了させるものなどとすればよい。なお、洗浄スイッチの操作によりおしり洗浄ノズル21とビデ洗浄ノズル22を2本同時に進出させてもよいし、洗浄スイッチの操作の度に1本ずつ交互に進出させてもよい。
実施形態では、おしり洗浄ノズル21とビデ洗浄ノズル22の2本の洗浄ノズルを備えるものとしたが、これに限られず、3本以上の複数の洗浄ノズルを備えるものとしてもよいし、1本の洗浄ノズルを備えるものとしてもよい。
本実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。本実施形態では、洗浄便座装置10が「洗浄便座装置」に相当し、おしり洗浄ノズル21やビデ洗浄ノズル22が「局部洗浄ノズル」に相当し、ノズルカバー40が「収容部」に相当し、シャッター50が「シャッター」に相当し、回動軸51が「回動軸」に相当し、吐出口52が「吐出口」に相当する。制御装置60が「制御装置」に相当する。供給口53が「供給口」に相当する。
なお、本実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、本実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、本実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。